係止/係止解除兼用制御部材を有する圧力調理器具
【課題】蓋中央摘みを持ち上げても容器を持ち上げることなく安全な圧力調理器を提供する。
【解決手段】容器2に対する蓋3の係止/係止解除を制御するための制御部材6を含み、制御部材が、係止解除されている蓋を、制御部材が手で掴まれて扱われることを可能にする当接位置である実施位置と、係止されている蓋を、制御部材が実施位置においてよりも手で掴まれることがより困難になるように設計された引き込み位置との間で動くように取り付けられる。
【解決手段】容器2に対する蓋3の係止/係止解除を制御するための制御部材6を含み、制御部材が、係止解除されている蓋を、制御部材が手で掴まれて扱われることを可能にする当接位置である実施位置と、係止されている蓋を、制御部材が実施位置においてよりも手で掴まれることがより困難になるように設計された引き込み位置との間で動くように取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調理器具の一般的な技術分野に関し、特に圧力調理タイプの家庭用調理器具、たとえば、容器と、容器上に係止されて、実質的に密閉された調理用密閉容器を形成するように設計された蓋とを含み、容器内に収容された食物を圧力下で調理することを可能にするものに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より詳細には、圧力下で食物を調理するための器具に関し、器具は第1には容器及び蓋を、そして第2には容器に関連した蓋の係止/係止解除を制御するための制御部材を含む。
【0003】
容器と、蓋係止位置と蓋係止解除位置との間を移動するのに好適な係止/係止解除手段を介して容器上に係止されるように設計された蓋とを含む圧力調理器具がすでに知られている。たとえば、そのような係止/係止解除手段は、蓋を覆うように放射状に配列された駆動アームに固定され、蓋上に取り付けられた制御部材によって動かされる複数の係止顎を実装する。これにより、ユーザは、制御部材を作動させて顎部を外側に向けて又は内側に向けて放射状に動かし、顎部をそれぞれ係止解除位置又は係止位置に位置付けることができる。特に、蓋の延長の平均平面に対して垂直である回転軸を中心として、蓋上で回転して動くように取り付けられた中央つまみによって係止/係止解除制御部材が構成されている圧力調理器具が知られている。これにより、ユーザは、中央つまみを時計回り又は反時計回りに手動で回すことにより、顎部を内側に向けて及び外側に向けて放射状に動かすことができる。
【0004】
蓋の係止/係止解除を制御するこの機能に加えて、中央つまみはまた、それを介してユーザが蓋を掴んで運ぶことができる把持可能手段として機能するようにも成形される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来技術の圧力調理器は、一般的には満足のいくものである。それでも、さらなる改善が可能である。
【0006】
ユーザが蓋を掴んで扱うことを可能にするために、ユーザに十分な握りを提供する必要がある限り、蓋の表面には、その中央つまみが比較的かさばる突出部を形成する。このコンパクトさが欠如していることが、圧力調理器の蓋を収納したりかたづけたりするために、また食器洗浄機内で洗浄するために問題となる可能性がある。加えて、ユーザは、蓋が容器上に係止されているときでも、定常的に中央つまみを用いることによって蓋を持ち上げようとする可能性がある。したがって、そのことが、ユーザが中央つまみを用いて、容器と、容器上に係止された蓋とからなる器具全体を持ち上げるような不適当な状況につながる可能性がある。そのような扱いは危険であるが、それは容器の重量を考えると、特に容器が水分及び食物で満たされている場合、中央つまみによってもたらされる握りが良質であったとしても、器具がユーザの把持から非常に簡単に滑落する可能性がある。さらに、中央つまみを用いて、蓋のみを持ち上げるのではなく、器具全体(容器を含む)を持ち上げて取り扱うことにより、係止機構にかかる著しい機械的応力を引き起こし、そのような応力を回避することが当然望ましい。
【0007】
結果的に本発明に課せられた目的は、上記で列記されたさまざまな欠点に対処する、圧力下で食物を調理するための新規の器具を提案することであり、特に簡易かつコンパクトで、安価な構成である一方で、かたづけや食器洗浄器での洗浄が簡単であると同時に、また特に安全に用いられる器具を提案することにある。
【0008】
本発明のその他の目的は、ユーザが蓋によって器具全体を持ち上げる事態が生じる危険が著しく制限されるか又は実際には取り除かれる、圧力下で食物を調理するための新規な器具を提案することである。
【0009】
本発明のその他の目的は、特に実用的である、圧力下で食物を調理するための新規な器具を提案することである。
【0010】
本発明のその他の目的は、特に簡易で信頼性のある、圧力下で食物を調理するための新規な器具を提案することである。
【0011】
本発明のその他の目的は、特に人間工学的であり、ユーザの握りから蓋が滑り落ちる事態が生じる危険が制限される、圧力下で食物を調理するための新規な器具を提案することである。
【0012】
本発明の別の目的は、ユーザにとって特に安全であるように作動する、圧力下で食物を調理するための新規な器具を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に課せられたこれらの目的は、圧力下で食物を調理するための器具によって達成され、本器具は、第1に容器及び蓋と、第2に容器に対する蓋の係止/係止解除を制御するための制御部材とを含み、制御部材が蓋上で、第1に、係止解除されている蓋に対応し、制御部材が手で掴まれて蓋が扱われることを可能にするように設計された当接位置である実施位置と、第2に、係止されている蓋に対応し、制御部材が実施位置においてよりも手で掴まれることがより困難になるように設計された引き込み位置との間で動くように取り付けられることを特徴とする。
【0014】
本発明の別の特徴及び利点は、制限することなく説明のための例を目的として与えられた添付の図面を参照して与えられた以下の記載を読むことによって、より詳細に明らか及び明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の圧力下で食物を調理するための調理器具の全体斜視図であり、制御部材が引き込み位置にあり、調理器具が、器具の作動を制御するための作動部材をさらに備え、作動部材が、器具が圧力にさらされることを実質的に防止する第1の位置にあるところを示す図である。
【図2】図1に示された器具の係止/係止解除を制御するための制御部材の実装の詳細の斜視図である。
【図3】図2の実装の詳細を上から見た図である。
【図4】図1の圧力下で食物を調理するための調理器具の全体斜視図であり、制御部材は引き続き引き込み位置にあるが、作動部材は、器具が圧力にさらされることを可能にする第2の位置にあるところを示す図である。
【図5】図4に示された器具の係止/係止解除を制御するための制御部材の実装の詳細の斜視図である。
【図6】図2の実装の詳細の斜視図であり、係止/係止解除制御部材1がいったん引き込み位置を離れ、実施位置に向かって動いているところを示す図である。
【図7】図6の実装の詳細を上から見た図であり、制御部材は明確にすることを理由として省略されている。
【図8】図1〜7の圧力下で食物を調理するための調理器具の全体斜視図であり、係止/係止解除制御部材が展開位置にあるところを示す図である。
【図9】図8に示された器具の係止/係止解除を制御するための制御部材の実装の詳細の斜視図である。
【図10】図9の実装の詳細を上から見た図であり、制御部材は明確にすることを理由として省略されている。
【図11】図9の実装の詳細を示す断面図である。
【図12】図9〜11の実装の詳細を示す斜視図であり、係止/係止解除制御部材がいったん実施位置を離れ、引き込み位置に向かって動いているところを示す図である。
【図13】図12の実装の側面図であり、係止/係止解除部材が引き込み位置に到達しようとしているところを示す図である。
【図14】図13の実装の詳細を上から見た図であり、制御部材は明確にすることを理由として省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の圧力下で食物を調理するための器具1は、好ましくは家庭内の状況において気圧を上回る圧力レベルでさまざまな食物を調理するように設計され、本発明はまた、プロフェッショナル又はセミプロフェッショナル用器具に関するものであり得ることが理解される。本発明の器具は有利なことには、このように持ち運びできる性質(すなわち手動で動かすことができる)であり、独立した性質の調理器具である。従来のように、本発明の器具1は、熱源の影響下に限り圧力にさらされるように設計され(熱源が組み込まれているかあるいは外部であるかに関わらず)、いかなる外部圧力も寄与することがない。
【0017】
特に好ましくは、本発明の調理器具1は圧力調理具である。
【0018】
従来のように、本発明の圧力調理器具1は、調理用の入れ物を形成し、有利なことにはX−X’軸を中心として環状に対称である容器2を含む。
【0019】
以下では、形容詞「軸の」は、対称軸X−X’が延びる方向を指し、この方向は、器具1が普通に用いられている場合に、すなわち水平面上に置かれている場合に垂直の方向である。従来の方法では、容器2は金属材料、たとえばステンレス鋼で作られ、たとえば任意の好適な技法(たとえばホットスタンピング)によって容器に固定された熱伝導底面2Aを備える。容器2はまた、把持可能部材、たとえば取っ手2B、2Cを備え、これらは好ましくは2つあり、容器の側壁2Dに、たとえば正反対に向かい合うように留められる。
【0020】
また、本発明の器具1は蓋3を含み、これは容器2上に載置されて係止され、蓋と協働して、実質的に密閉される、すなわち器具1が圧力にさらされることを可能にするために十分な気密性がある調理用密閉容器を形成する。蓋3は、有利なことには全体の形状が円盤形状であり、蓋は容器上に載置されて係止されると、有利なことには、容器2の底面2Aが延びる平均平面と実質的に平行である平均平面に延びる。
【0021】
このように蓋3は、容器2に対して蓋3を係止/係止解除するための係止/係止解除手段4によって、容器2上に係止又は係止解除されることができる。容器2上に蓋3を係止することにより、調理用密閉容器は、圧力の影響下で蓋が外れるあらゆる危険なしに、圧力にさらされることが可能になる。係止/係止解除手段4は、当業者にとって既知である任意のタイプであってよく、従来の方法では、蓋3が容器2に固定される、容器2に対して蓋3を係止するための係止位置と、蓋3が容器2から自由に分離されることができる、容器2に対して蓋3を係止解除するための係止解除位置との間を移動するのに好適である。
【0022】
そのような、本発明の状況で用いることができる係止/係止解除手段4の例として、顎部又はセグメントを有する係止/係止解除手段を挙げることができ、本発明が特定のタイプの係止/係止解除手段4に全く限定されないことが理解される。図に示される好ましい変形では、容器2に対して蓋3を係止/係止解除するための係止/係止解除手段4は、器具1の対称全般軸X−X’に対して正反対に向かい合うように延びている対応する駆動アーム4C、4Dを介して、蓋3の上を蓋に対して半径方向に平行移動して動くように取り付けられた2つの顎部4A、4Bを含む。顎部4A、4Bはこのように取り付けられ、駆動アーム4C、4Dを介して、各顎部4A、4Bが蓋3及び容器の巻先端縁をクランプする第1の係止位置と、顎部4A、4Bをそれらの係止位置から外側に向けて動かし、顎部4A、4Bがもはや容器2の巻先端部と係合しない第2の係止解除位置との間を動き、これによってユーザによって蓋3を自由に容器2から外すことが可能になる。好ましくは、係止位置は戻り位置であり、そのような戻り位置は、たとえば、駆動アーム4C、4Dを相互接続して、それらを互いに対して後ろ向きに推し進めるばねを介在させることによって得られる。各駆動アーム4C、4Dは、係止/係止解除制御部材6と協働するように設計された内部端と、対応する顎部4A、4Bを保持する外部端との間で、より精密に延びる。各顎部4A、4Bは、有利なことには、U字型の鋼板の形状であり、当業者には周知である。
【0023】
しかし、各セグメント4C、4Dの外部端がいかなる顎部も支えず、容器内に設けられた対応するスロット内に、ボルト及び保持具システムの方法で貫入するように設計されることは至極可能である。
【0024】
ボルト及び保持具ステムタイプのそのような係止システム(図示せず)は、「セグメント係止システム」と呼ばれることがあり、これ自体は周知であるので、さらに詳細に説明する必要はない。
【0025】
本発明の、圧力下で食物を調理するための器具1は、有利なことには、蓋3に設けられた圧力調節手段5を含み、圧力調節手段5は、実質的に一定の所定値又は「作動」圧力で密閉容器内に行き渡っている相対圧力を維持するように配置された対応する穴(図示せず)と漏れを止めるように連通して取り付けられる。そのような調節手段5の一般的な動作原理は、当業者には周知であり、本明細書でさらに詳細に説明する必要はない。有利なことには、調節手段5は設定システムを備え、ユーザが、たとえば器具1内に存在する食物のタイプに応じて、圧力選択部材を介して、複数の作動圧力レベルの選択肢から所定の作動圧力を選択することを可能にする。有利なことには、圧力調節手段5は、作動圧力が実質的に10キロパスカル(kPa)〜90kPaに渡る範囲にあるように設計される。
【0026】
上述のように、本発明の食物調理器具1は、容器2に対して蓋3の係止/係止解除を制御するための制御部材6をさらに有する。制御部材6は、ユーザによって、ユーザが係止/係止解除手段4を制御すること、好ましくは駆動アーム4C,4D及び対応する顎部4A、4Bの半径方向の動きを制御することを可能にするような方法で操作されるように設計される。容器2に対する蓋3の係止/係止解除を制御するための制御部材6は、係止解除されている蓋3に対応し、蓋3がユーザによって扱われることが可能なように、制御部材6が手で掴まれるように設計された第1の実施位置(図8、9及び11に見られる)と、係止されている蓋3に対応し、制御部材6が実施位置にあるときよりも手で掴まれることがより困難になるように設計された第2の引き込み位置(図1、2、4及び5に見られる)との間で蓋3の上を動くように取り付けられる。このように、制御部材6は、ユーザによって実施位置から引き込み位置に、及びその逆にも同様に手で動かされるのに好適であるように設計される。制御部材6は、係止/係止解除手段4と相互作用して、制御部材6が実施位置にあるときには、係止/係止解除手段4が係止解除位置にある、すなわち蓋3が自由に容器2上に載置され、それから取り外されることができるようにするのに対し、制御部材6が引き込み位置にある場合は、係止/係止解除手段4は係止位置を取り、蓋3が容器2から外れるのを防止する。このように、係止/係止解除手段4の係止位置から係止解除位置への移動は、制御部材6が引き込み位置から実施位置に手で動かされることによって得られる。反対に、係止/係止解除手段4の実施位置から引き込み位置への移動は、制御部材6が実施位置から引き込み位置に手で動かされることによって得られる。制御部材6の実施位置は、当接位置である。これにより、蓋3に対して制御部材6が動く可能性を制限することで、蓋3がより安全に扱われることが可能になる。
【0027】
さらに安全かつ快適な使用を向上させるために、実施位置は好ましくは安定位置であり、それによって制御部材6が不適切なときに引き込み位置に戻り、そのようなタイミングの悪い戻りが生じさせ得るすべての負の結果を防止する。
【0028】
同様に、引き込み位置は有利なことには当接位置であるため、係止がより安全になる。同じ理由のために、またより好ましい方法において、引き込み位置は安定位置である。
【0029】
上述のように、制御部材6は、実施位置にあるときには、手で掴まれて、蓋3がユーザによって扱われることを可能にするように設計される。これが意味することは、実施位置において、制御部材6は取っ手形状を取り、ユーザが蓋3を扱う、すなわちしっかりと掴んで持ち上げて、1つの場所から他に動かす、たとえば容器2の上に置くか又は反対に容器2から取り外すことが可能になるということである。言い換えれば、その実施位置において、制御部材6は、制御部材6がユーザによって直接しっかりと確実に掴まれることを可能にする形状及びサイズを有し、このようにして獲得される握りは、ユーザが蓋3の重量をしっかりと支えることを可能にする。この目的のために、制御部材6にはさまざまな形状の構成、たとえば保持取っ手形状(図に示された変形例)又はT字形状、L字形状、球形つまみ形状等が可能である。このように、器具1は把持可能な部材を備え、これを介して蓋3を掴み、この部材は蓋に取り付けられ、手で掴まれて、蓋3が本部材を介して扱われるように設計され、本把持可能部材は、実施位置において本制御部材6によって単独で形成される。言い換えれば、制御部材6は、(実施位置で)手で掴まれて、本部材を介して蓋3を扱うように特に設計された手段のみを構成する。
【0030】
反対に、制御部材が引き込み位置にある場合、実施位置にあるときよりもユーザが手で掴むことがより困難になり、すなわち、制御部材6の幾何学的形状および、たとえばそれが取り付けられている蓋3に対するその角度位置によって、同じユーザが制御部材6をしっかりと捕らえることがより困難になり、このように困難になることが、有利なことにはユーザが引き込み位置で制御部材6を取り扱うための、すなわち蓋3を持ち上げて動かすための取っ手として用いることを制止する。
【0031】
このように、容器2に対する蓋3の係止/繋止解除を制御するための制御部材6は、以下の3つの機能を行う。
【0032】
・係止/係止解除を制御し、たとえばユーザが顎部4A、4Bを係止位置から係止解除位置に動かすことを可能にするための制御機能。
【0033】
・制御部材が実施位置にあるときに、ユーザが制御部材6を介して蓋3を掴むことを可能にする取っ手機能。
【0034】
・制御部材が、容器2条に係止されている蓋3に対応する引き込み位置にあるときに、ユーザが制御部材6を介して蓋3を掴む可能性を制限する安全機能。
【0035】
このように、制御部材6は、掴まれることに対して多様な適合性を有し、この適合性は、制御部材6の位置に応じて変動し、この位置自体は、容器2に対して蓋3を係止/係止解除するための係止/係止解除手段4が、係止状態にあるか又は係止解除状態にあるかに依存する。したがって、本発明は、蓋が容器2に係止されているときに、ユーザが蓋3を扱うことを考えるか又は実際に扱いが可能になる事態となる危険を制限することを可能にする。
【0036】
有利なことには、引き込み位置では、制御部材6は、ユーザが手で掴んで蓋3を扱うことが実質的に不可能になるように設計される。言い換えれば、図示された変形例に対応する好ましい状況では、制御部材6は、実質的に引き込み位置に完全にしまいこまれ、ユーザには、制御部材6を介してユーザが蓋3を掴むために十分な握りを提供するのに利用できる面がない。しかし、図に示された変形例にあるように、このことは、制御部材6がユーザによって扱われて、引き込み位置から実施位置に移されるために好適であることを妨げない。すなわち、制御部材6が、引き込み位置から実施位置に制御部材6を手で動かすために十分であるが、蓋3を扱うことを可能にするためには不十分である握りを提供する。
【0037】
有利なことには、実施位置では、制御部材6は蓋3から、蓋3の延長の平均平面に対して主に垂直である平均方向に、よりさらに好ましくは、X−X’軸によって表される縦方向に対して実質的に平行である方向に延びる。図に示される好ましい変形例では、蓋3の延長の平均平面は、図3、7、10及び14が描かれたシートの平面に対して実質的に平行である。用語「主に垂直である平均方向」は、水平な構成要素(X−X’軸に対して垂直)よりも大きい縦の構成要素(すなわち、X−X’軸に対して平行)を有する方向を意味する。好ましくは、上記で説明されたように、制御部材6は、蓋3に対して垂直に延びるが、斜めに延びることは全く除外されず、必須要件は、ユーザによって十分に把持可能であることである。有利なことには、引き込み位置において、制御部材6は、蓋3から、蓋3の延長の平均平面に主に平行である平均方向に、好ましくは実質的に水平である、すなわちX−X’軸に対して垂直であり、蓋3の延長の平均平面に対して平行である平面にある方向に延びる。言い換えれば、制御部材6は、有利なことには、実施位置では蓋3の表面から縦に突出し、引き込み位置では蓋3に対して又はそれに沿って、好ましくはそれに平行に折りたたまれるように設計される。
【0038】
有利なことには、制御部材6は、蓋3上で、実施位置と引き込み位置との間で、蓋3の延長の平均平面に対して主に平行である平均方向にそれ自体が延びる回転軸Y−Y’を中心として回転するように取り付けられる。このように、この回転軸Y−Y’は、有利なことにはX−X’軸に対して垂直である。有利なことには、蓋3がバランスのとれた方法で扱われることを可能にするために、また器具1の全体的な設計を簡素化するために、制御部材6は蓋3の中央に位置決めされ、そして回転軸Y−Y’が有利なことには、縦方向に対応する軸X−X’と交差する。有利なことには、制御部材6は、引き込み位置に対応し、蓋3の延長の平均平面と制御部材6の延長の平均平面との間で形成される角度が実質的にゼロである折りたたみ位置と、実施位置に対応し、蓋3の延長の平均平面と制御部材6の延長の平均平面との間で形成される角度が実質的に90°である非折りたたみ位置との間で、実質的に90°に等しい角度ストロークを通して動くように設計される。
【0039】
そのような設計により、実施の構成と引き込みの構成とを特に明確に区別することが可能になり、それによってユーザが一見して蓋3が係止されていることを推定することが可能になる。加えて、蓋3の延長の平均平面と制御部材6のそれとの間の角度は、引き込み位置では実質的にゼロであり、いずれにせよ、実際にはユーザが制御部材6を、それを介して蓋3を掴む部材として用いることが不可能になり、それによって器具1の使用の安全性に寄与する。
【0040】
本質的に、及び本明細書に記載されたその他の態様とは別個に、本発明はまた、第1に容器2及び蓋3と、第2に容器2に対する蓋3の係止/係止解除を制御するための制御部材6とを含む、圧力下で食物を調理するための器具1に関し、本制御部材6は、手で掴んで蓋3を扱うことを可能にするように設計された取っ手によって形成され、本取っ手は、好ましくは、蓋3に対して折りたたまれ、容器2上に係止されている蓋3に対応する折りたたみ位置と、係止解除されている蓋3に対応する係止解除位置との間の縦軸X−X’に対して実質的に垂直である軸を中心として回転することによって動くように取り付けられる。
【0041】
有利なことには、制御部材6は、運搬用取っ手6A、すなわちループ形の弧状片を含み、有利なことにはユーザによってしっかりと掴まれて保持されるように設計される。図に示されるように、運搬用取っ手6Aは、有利なことには、実施位置で蓋3から突出して、引き込み位置で蓋3に対して折りたたまれるように設計される。制御部材6を運搬用取っ手6Aの形状で用いることが特に好ましいのは、これによってユーザが特にしっかりと、そして特に確実に掴むことが可能になると同時に、また引き込みが容易であるためである。特に、蓋3がその表面にリリーフ片7を有することは有利であり、リリーフ片の形状は、運搬用取っ手6Aによって画定され、ユーザの指を受けるように設計された空きスペース6Bの形状を実質的に補完する。
【0042】
このように、運搬用取っ手6Aが蓋3に対して、それに対して平行に完全に折りたたまれたとき、空きスペース6Bは少なくとも部分的にリリーフ片7によって充填され、そして運搬用取っ手6Aは有利なことにはリリーフ片7から続いて延びるため、蓋3を取り扱うためにもかかわらずユーザが運搬用取っ手6Aを捕らえる可能性を制限する。言い換えれば、蓋3はその表面上に、運搬用取っ手6Aが引き込み位置で蓋3に対して折りたたまれたときに空きスペース6Bを少なくとも部分的に充填するように設計されたリリーフ片7を有するため、ユーザが蓋3を取り扱うための運搬用取っ手6Aを捕らえる可能性が制限される。
【0043】
運搬用取っ手6Aを用いることは、それ自体が発明を構成し、本明細書に記載された態様とは別個である。本発明に関する態様は、より正確には圧力下で食物を調理するための器具1に関し、第1には容器2及び蓋3と、第2には容器2に対する蓋3を係止/係止解除を制御するための制御部材6とを含み、制御部材6は運搬用取っ手6Aによって形成される。
【0044】
好ましくは、制御部材6は、図に示されるように実質的に円弧状の外形を有する。この場合、運搬用取っ手6Aは有利なことには、第1の端60及び第2の端61の間の実質的に半円状の外形の周囲に延び、回転軸Y−Y’は実質的にこれらの端を通り、したがって第1及び第2の端60、61は、X−X’を中心として実質的に正反対に配列される。言い換えれば、運搬用取っ手6Aは実質的に、有利なことには半円形に対応するアーチ形を有し、その直径は、ユーザが、アーチ形及び蓋3によって画定されたオリフィス6Bの中に、少なくとも2本の指(たとえば、人差し指と中指)、好ましくは3本の指(人差し指、中指及び薬指)を滑り込ませることを可能にするように選定され、4本の指(人差し指、中指、薬指及び小指)を挿入することを可能にするのに十分なスペースが好ましい。
【0045】
円弧形の、特に半円形の外形は、ユーザにとって特に快適であり、また以下に記載する器具1の作動を、以下に記載するようにとりわけ安全にすることを可能にする。図に示されたこのとりわけ安全な実施形態では、制御部材6は、この例では半円形の運搬用取っ手6Aによって構成され、運搬用取っ手6Aの外形に続き、その後実質的に円弧形に延び、好ましくは図示されるように半円形に広がる溝8を備える。
【0046】
器具1はまた、器具の作動を制御するための作動部材9を有し、この作動部材は、蓋3上で、その周囲に溝8が延びる円弧形の中心を通り、制御部材6が引き込み位置にあるときに溝8が延びる平均平面に対して実質的に垂直である回転軸を中心として回転して動くように取り付けられる。図に示された変形例では、作動部材9の回転軸は、X−X’軸に対応する。有利なことには、器具1の作動を制御するための作動部材9は、蓋3上で、作動部材9により器具1が圧力にさらされることが可能になる第1の位置(図4及び5に示される)と、作動部材9が実質的に、器具が圧力にさらされることを防止する第2の位置(図1及び2に示される)との間で回転して動くように取り付けられる。たとえば、第1の位置は、調節手段5のアクティブな状態、すなわち器具1の圧力を調整するための圧力調節弁がアクティブであり、器具1の内圧を調節できる状態に対応する。反対に、作動部材9が第2の位置にある場合、調節手段5は非アクティブになる、すなわち対応する調節弁がその設置位置から持ち上げられて、調理用密閉容器の内部が外部と継続的に連通することを可能にすることによって、器具1が圧力にさらされることを防止する(及び適用可能な場合は、特に器具1が減圧されることを可能にする)。この状況では、作動部材9の第1の位置は調理位置に対応するのに対し、第2の位置は減圧位置に対応する。有利なことには、作動部材9は複数の異なる調理位置を選択することを可能にし、それぞれの位置が、調節手段5を形成する弁の異なる設定に対応する。この状況において、作動部材9はこうして、器具の減圧も制御する圧力セレクタを形成する。
【0047】
図に示された例では、作動部材9は、X−X’軸を中心として、蓋3に取り付けられた円板10を同心円状に取り囲むリング状部によって構成され、その上には運搬用取っ手6Aが回転するように取り付けられる。この状況では、リリーフ片7は、有利なことには円板10に取り付けられて、制御機構を隠すためのキャップによって構成される。
【0048】
作動部材9は、有利なことにはラッチ11を備え、これは好ましくは、作動部材9を構成するリングに固定して取り付けられる。このように、ラッチ11は有利なことには、作動部材9上に組み込まれることによって、X−X’軸を中心としてともに回転するようにされ、X−X’軸はまた有利なことには、溝8がその周囲に延びる円弧形の中心を通る。有利なことには、ラッチ11は、以下のように溝8と協働するように設計される。
【0049】
・制御部材6は、この例では運搬用取っ手6Aによって構成され、作動部材9が第2の位置(図1及び2に示される)にあるときのみ、及び制御部材6が実施位置から引き込み位置に移ったときのみ、ラッチ11が溝8に貫入することを可能にするように形成される。言い換えれば、制御部材6は、実施位置から引き込み位置に折りたたまれた場合、制御部材6が引き込み位置に到達したときに、ラッチ11が溝8に貫入することができるように形成される。そして、器具1は図1及び2に示される構成であり、制御部材6は、ラッチ11が少なくとも溝8の中に部分的に挿入されている間は、引き込み位置にある。ラッチ11が溝8に挿入されることを可能にするために、溝は有利なことには、実質的に平行かつ継続的であり、溝の端壁に対して垂直である上フランジ8A及び底フランジ8Bによって画定され、底フランジ8Bは、ラッチが第2の位置にあり、制御部材6が引き込み位置で蓋3に対して折り下げられているとき、ラッチ11を通すことを可能にする切り込み8Cを備える。同様に、制御部材6は、有利なことには、作動部材9自体が第2の位置にあることがわかるときのみ、引き込み位置から実施位置に移ることができるように成形される。
【0050】
・一度溝8では、ラッチ11は、上記のように、円形の外形である周囲に延びる溝に沿って滑動することができるため、作動部材9が第2の位置から第1の位置に移ることが可能になるが、それでもラッチ11が溝8内にあることにより、作動部材9が第1の位置にあるときに、この例では運搬用取っ手6Aで構成される制御部材6が実施位置から戻ることを防止するが、これはラッチ11がもはや切り込み8Cと一致しておらず、溝8を画定している底フランジ8Bに対して、ブロック状態で接触するようになるためである。
【0051】
このように、円形の制御部材6はラッチ11の案内経路を形成することを可能にするため、特に信頼性がありかつ簡易である、引き込み位置で制御部材6を係止する機能を得ることができ、このことが実のところは発明の本質を構成する。
【0052】
図に示された特定の変形例の動作は、以下に順を追って記載される。
【0053】
第1に、器具1は調理用の構成であり、すなわち、その蓋3は容器2上に、係止/係止解除手段4によって取り付けられて係止される。この構成では、図4及び5に示されるように、この例では、運搬用取っ手6Aを含む制御部材6自体が引き込み位置にあることがわかり、ラッチ11によってこの位置で動かないように保持される。この構成ではこのように、運搬用取っ手6A自体が、プレート10上に取り付けられたキャップによって形成されるリリーフ片7から続くことがわかるため、蓋3は、取っ手に類似しているか又はユーザの目から取っ手として用いることができるように見えるあらゆる部材を有さないような、全体として比較的なめらかな態様を有する。加えて、ユーザがそれでも運搬用取っ手6Aを回転させて、把持可能部材として用いようとすることを望んだとしても、ユーザは、運搬用取っ手6Aを引き込み位置で動かないように保持するラッチ11によって、そのようにすることを妨げられる。調理が一巡した終わりには、ユーザは、作動部材9をX−X’軸を中心として回転させて動かして、作動部材9を第2の位置(図1及び2に図示される)に至らせることにより、調節弁を設置位置に持ち上がらせて、調理用密閉容器の内部を外部と連通させることによって器具1を減圧させる。
【0054】
この構成では、図1及び2に示されるように、ラッチ11自体が、底フランジ8Bに設けられた切り込み8Cと一致していることがわかる。そして、ユーザは、調理用密閉容器の内部に行き渡っている圧力に応じて対処する他の開放安全手段(図示せず)に従って、運搬用取っ手6Aを、回転軸Y−Y’を中心として角度ストローク90°で回転させることによって実施位置に戻す。この引き込み位置から実施位置への経路は、図6に示される。運搬用取っ手6Aが回転して、一対のカム12、13を一緒に回転させて動かし、一対のカムは、運搬用取っ手6Aの第1及び第2の端60、61のそれぞれ1つに取り付けられる。このように、各カム12、13は、プレート10上で、回転軸Y−Y’及び全体的に対称な軸X−X’の両方に実質的に垂直である軸に沿って平行移動して動く中間制御部14上に押し出される。そして、中間制御部14は、引き込み位置から実施位置に回転する制御部材6の影響下にあるカム12、13によって押し出される。カム12、13と中間制御板14との間の継続的な接触を保証するために、中間制御板は、中央制御板14をカム12、13に対抗して継続的に押す戻りばね19(図3、7、10及び14の上からの図のみに示される)の作用を受ける。
【0055】
制御板14は、従来では、傾斜したスロット14A、14Bを備え、これらは駆動アーム4C、4Dのそれぞれ1つに接続され、その内部端に対向する突起15、16と協働する。このように、中間制御板14は、スロット14A、14Bを介して平行移動して動いて、突起15、16を放射状に動かすように機能することによって、それぞれ突起が取り付けられた駆動アーム4C、4Dを放射状に動かす。そのような駆動アーム4C、4Dの放射状移動を制御する原理は、本質的には周知であり、たとえば文献FR−2 863 849 A1に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。このように、スロット14A、14Bを介して、中間制御板14は駆動アーム4C、4Dを外側に向けて放射状に押し出し、これによって顎部4A、4Bが容器2の縁巻部から離れる。運搬用取っ手6Aは、運搬用取っ手6Aが蓋3の上を垂直に延びる当接位置(図10及び11参照)に到達するまで、その経路に沿い続ける。
【0056】
この位置は、最大限に間隔を置いて手動で離される顎部4A、4Bに対応し、係止解除位置に対応している。この制御部材6の実施位置は、有利なことには、運搬用取っ手6Aに設けられた好適かつ相補的形状に貫入する、滑動可能に取り付けられた縦スタッド17、18の作用によって、対応する端60、61に対して安定な位置となる。この目的のために、各スタッド17、18は、プレート10上で垂直に平行移動して動くように取り付けられ、運搬用取っ手6Aに対して各スタッド17、18を押す、対応する戻りばね17A18Aの作用を受ける。
【0057】
そして、ユーザは一方の手で弧状部6Aをしっかりとかつ確実に掴んで、蓋3を持ち上げて容器2から引き離すことができる。このように、特に人間工学的であり、蓋3から突出した運搬用取っ手6Aによって構成される取っ手によって蓋3を掴むことは、特に実用的である。当然、蓋を収納したり片付けたり食器洗浄機内で洗浄したりする目的のために、ユーザがその後運搬用取っ手6Aを折りたたむことは全くもって可能である。そのようにするために、ユーザは運搬用取っ手6Aを実施位置から引き込み位置に戻す。この経路は、図12及び13に示される。蓋3に対して運搬用取っ手6Aを折りたたむためのほぼすべての経路全体にわたって、カム12、13は好ましくは、図10に示された、係止解除されている蓋3に対応するその位置で遮断し続ける中間制御板14とはもはや接触しない。この遮断効果は、本質的に周知であるように好適に成形され、本明細書ではさらなる説明を必要としないスロット14A、14Bによって得られる。図13に示されるように、引き込み位置に近づくにつれ、運搬用取っ手6Aは、この例では中間制御板14と一体型である2つの丸いリブ14C、14Dによって構成されたトリガを圧迫する。リブ14C、14Dを圧迫することによって、運搬用取っ手6Aは、中間制御板14をその安定位置外に押し出し、ばね19の作用下及び戻りばねが駆動アームを互いに対して後ろに推し進める作用のもとに、中間制御板14は急激に、係止されている顎部に対応する位置に進む。
【符号の説明】
【0058】
1 器具
2 容器
3 蓋
6 制御部材
6A 運搬用取っ手
6B 空きスペース
7 リリーフ片
8 溝
9 作動部材
11 ラッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調理器具の一般的な技術分野に関し、特に圧力調理タイプの家庭用調理器具、たとえば、容器と、容器上に係止されて、実質的に密閉された調理用密閉容器を形成するように設計された蓋とを含み、容器内に収容された食物を圧力下で調理することを可能にするものに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より詳細には、圧力下で食物を調理するための器具に関し、器具は第1には容器及び蓋を、そして第2には容器に関連した蓋の係止/係止解除を制御するための制御部材を含む。
【0003】
容器と、蓋係止位置と蓋係止解除位置との間を移動するのに好適な係止/係止解除手段を介して容器上に係止されるように設計された蓋とを含む圧力調理器具がすでに知られている。たとえば、そのような係止/係止解除手段は、蓋を覆うように放射状に配列された駆動アームに固定され、蓋上に取り付けられた制御部材によって動かされる複数の係止顎を実装する。これにより、ユーザは、制御部材を作動させて顎部を外側に向けて又は内側に向けて放射状に動かし、顎部をそれぞれ係止解除位置又は係止位置に位置付けることができる。特に、蓋の延長の平均平面に対して垂直である回転軸を中心として、蓋上で回転して動くように取り付けられた中央つまみによって係止/係止解除制御部材が構成されている圧力調理器具が知られている。これにより、ユーザは、中央つまみを時計回り又は反時計回りに手動で回すことにより、顎部を内側に向けて及び外側に向けて放射状に動かすことができる。
【0004】
蓋の係止/係止解除を制御するこの機能に加えて、中央つまみはまた、それを介してユーザが蓋を掴んで運ぶことができる把持可能手段として機能するようにも成形される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来技術の圧力調理器は、一般的には満足のいくものである。それでも、さらなる改善が可能である。
【0006】
ユーザが蓋を掴んで扱うことを可能にするために、ユーザに十分な握りを提供する必要がある限り、蓋の表面には、その中央つまみが比較的かさばる突出部を形成する。このコンパクトさが欠如していることが、圧力調理器の蓋を収納したりかたづけたりするために、また食器洗浄機内で洗浄するために問題となる可能性がある。加えて、ユーザは、蓋が容器上に係止されているときでも、定常的に中央つまみを用いることによって蓋を持ち上げようとする可能性がある。したがって、そのことが、ユーザが中央つまみを用いて、容器と、容器上に係止された蓋とからなる器具全体を持ち上げるような不適当な状況につながる可能性がある。そのような扱いは危険であるが、それは容器の重量を考えると、特に容器が水分及び食物で満たされている場合、中央つまみによってもたらされる握りが良質であったとしても、器具がユーザの把持から非常に簡単に滑落する可能性がある。さらに、中央つまみを用いて、蓋のみを持ち上げるのではなく、器具全体(容器を含む)を持ち上げて取り扱うことにより、係止機構にかかる著しい機械的応力を引き起こし、そのような応力を回避することが当然望ましい。
【0007】
結果的に本発明に課せられた目的は、上記で列記されたさまざまな欠点に対処する、圧力下で食物を調理するための新規の器具を提案することであり、特に簡易かつコンパクトで、安価な構成である一方で、かたづけや食器洗浄器での洗浄が簡単であると同時に、また特に安全に用いられる器具を提案することにある。
【0008】
本発明のその他の目的は、ユーザが蓋によって器具全体を持ち上げる事態が生じる危険が著しく制限されるか又は実際には取り除かれる、圧力下で食物を調理するための新規な器具を提案することである。
【0009】
本発明のその他の目的は、特に実用的である、圧力下で食物を調理するための新規な器具を提案することである。
【0010】
本発明のその他の目的は、特に簡易で信頼性のある、圧力下で食物を調理するための新規な器具を提案することである。
【0011】
本発明のその他の目的は、特に人間工学的であり、ユーザの握りから蓋が滑り落ちる事態が生じる危険が制限される、圧力下で食物を調理するための新規な器具を提案することである。
【0012】
本発明の別の目的は、ユーザにとって特に安全であるように作動する、圧力下で食物を調理するための新規な器具を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に課せられたこれらの目的は、圧力下で食物を調理するための器具によって達成され、本器具は、第1に容器及び蓋と、第2に容器に対する蓋の係止/係止解除を制御するための制御部材とを含み、制御部材が蓋上で、第1に、係止解除されている蓋に対応し、制御部材が手で掴まれて蓋が扱われることを可能にするように設計された当接位置である実施位置と、第2に、係止されている蓋に対応し、制御部材が実施位置においてよりも手で掴まれることがより困難になるように設計された引き込み位置との間で動くように取り付けられることを特徴とする。
【0014】
本発明の別の特徴及び利点は、制限することなく説明のための例を目的として与えられた添付の図面を参照して与えられた以下の記載を読むことによって、より詳細に明らか及び明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の圧力下で食物を調理するための調理器具の全体斜視図であり、制御部材が引き込み位置にあり、調理器具が、器具の作動を制御するための作動部材をさらに備え、作動部材が、器具が圧力にさらされることを実質的に防止する第1の位置にあるところを示す図である。
【図2】図1に示された器具の係止/係止解除を制御するための制御部材の実装の詳細の斜視図である。
【図3】図2の実装の詳細を上から見た図である。
【図4】図1の圧力下で食物を調理するための調理器具の全体斜視図であり、制御部材は引き続き引き込み位置にあるが、作動部材は、器具が圧力にさらされることを可能にする第2の位置にあるところを示す図である。
【図5】図4に示された器具の係止/係止解除を制御するための制御部材の実装の詳細の斜視図である。
【図6】図2の実装の詳細の斜視図であり、係止/係止解除制御部材1がいったん引き込み位置を離れ、実施位置に向かって動いているところを示す図である。
【図7】図6の実装の詳細を上から見た図であり、制御部材は明確にすることを理由として省略されている。
【図8】図1〜7の圧力下で食物を調理するための調理器具の全体斜視図であり、係止/係止解除制御部材が展開位置にあるところを示す図である。
【図9】図8に示された器具の係止/係止解除を制御するための制御部材の実装の詳細の斜視図である。
【図10】図9の実装の詳細を上から見た図であり、制御部材は明確にすることを理由として省略されている。
【図11】図9の実装の詳細を示す断面図である。
【図12】図9〜11の実装の詳細を示す斜視図であり、係止/係止解除制御部材がいったん実施位置を離れ、引き込み位置に向かって動いているところを示す図である。
【図13】図12の実装の側面図であり、係止/係止解除部材が引き込み位置に到達しようとしているところを示す図である。
【図14】図13の実装の詳細を上から見た図であり、制御部材は明確にすることを理由として省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の圧力下で食物を調理するための器具1は、好ましくは家庭内の状況において気圧を上回る圧力レベルでさまざまな食物を調理するように設計され、本発明はまた、プロフェッショナル又はセミプロフェッショナル用器具に関するものであり得ることが理解される。本発明の器具は有利なことには、このように持ち運びできる性質(すなわち手動で動かすことができる)であり、独立した性質の調理器具である。従来のように、本発明の器具1は、熱源の影響下に限り圧力にさらされるように設計され(熱源が組み込まれているかあるいは外部であるかに関わらず)、いかなる外部圧力も寄与することがない。
【0017】
特に好ましくは、本発明の調理器具1は圧力調理具である。
【0018】
従来のように、本発明の圧力調理器具1は、調理用の入れ物を形成し、有利なことにはX−X’軸を中心として環状に対称である容器2を含む。
【0019】
以下では、形容詞「軸の」は、対称軸X−X’が延びる方向を指し、この方向は、器具1が普通に用いられている場合に、すなわち水平面上に置かれている場合に垂直の方向である。従来の方法では、容器2は金属材料、たとえばステンレス鋼で作られ、たとえば任意の好適な技法(たとえばホットスタンピング)によって容器に固定された熱伝導底面2Aを備える。容器2はまた、把持可能部材、たとえば取っ手2B、2Cを備え、これらは好ましくは2つあり、容器の側壁2Dに、たとえば正反対に向かい合うように留められる。
【0020】
また、本発明の器具1は蓋3を含み、これは容器2上に載置されて係止され、蓋と協働して、実質的に密閉される、すなわち器具1が圧力にさらされることを可能にするために十分な気密性がある調理用密閉容器を形成する。蓋3は、有利なことには全体の形状が円盤形状であり、蓋は容器上に載置されて係止されると、有利なことには、容器2の底面2Aが延びる平均平面と実質的に平行である平均平面に延びる。
【0021】
このように蓋3は、容器2に対して蓋3を係止/係止解除するための係止/係止解除手段4によって、容器2上に係止又は係止解除されることができる。容器2上に蓋3を係止することにより、調理用密閉容器は、圧力の影響下で蓋が外れるあらゆる危険なしに、圧力にさらされることが可能になる。係止/係止解除手段4は、当業者にとって既知である任意のタイプであってよく、従来の方法では、蓋3が容器2に固定される、容器2に対して蓋3を係止するための係止位置と、蓋3が容器2から自由に分離されることができる、容器2に対して蓋3を係止解除するための係止解除位置との間を移動するのに好適である。
【0022】
そのような、本発明の状況で用いることができる係止/係止解除手段4の例として、顎部又はセグメントを有する係止/係止解除手段を挙げることができ、本発明が特定のタイプの係止/係止解除手段4に全く限定されないことが理解される。図に示される好ましい変形では、容器2に対して蓋3を係止/係止解除するための係止/係止解除手段4は、器具1の対称全般軸X−X’に対して正反対に向かい合うように延びている対応する駆動アーム4C、4Dを介して、蓋3の上を蓋に対して半径方向に平行移動して動くように取り付けられた2つの顎部4A、4Bを含む。顎部4A、4Bはこのように取り付けられ、駆動アーム4C、4Dを介して、各顎部4A、4Bが蓋3及び容器の巻先端縁をクランプする第1の係止位置と、顎部4A、4Bをそれらの係止位置から外側に向けて動かし、顎部4A、4Bがもはや容器2の巻先端部と係合しない第2の係止解除位置との間を動き、これによってユーザによって蓋3を自由に容器2から外すことが可能になる。好ましくは、係止位置は戻り位置であり、そのような戻り位置は、たとえば、駆動アーム4C、4Dを相互接続して、それらを互いに対して後ろ向きに推し進めるばねを介在させることによって得られる。各駆動アーム4C、4Dは、係止/係止解除制御部材6と協働するように設計された内部端と、対応する顎部4A、4Bを保持する外部端との間で、より精密に延びる。各顎部4A、4Bは、有利なことには、U字型の鋼板の形状であり、当業者には周知である。
【0023】
しかし、各セグメント4C、4Dの外部端がいかなる顎部も支えず、容器内に設けられた対応するスロット内に、ボルト及び保持具システムの方法で貫入するように設計されることは至極可能である。
【0024】
ボルト及び保持具ステムタイプのそのような係止システム(図示せず)は、「セグメント係止システム」と呼ばれることがあり、これ自体は周知であるので、さらに詳細に説明する必要はない。
【0025】
本発明の、圧力下で食物を調理するための器具1は、有利なことには、蓋3に設けられた圧力調節手段5を含み、圧力調節手段5は、実質的に一定の所定値又は「作動」圧力で密閉容器内に行き渡っている相対圧力を維持するように配置された対応する穴(図示せず)と漏れを止めるように連通して取り付けられる。そのような調節手段5の一般的な動作原理は、当業者には周知であり、本明細書でさらに詳細に説明する必要はない。有利なことには、調節手段5は設定システムを備え、ユーザが、たとえば器具1内に存在する食物のタイプに応じて、圧力選択部材を介して、複数の作動圧力レベルの選択肢から所定の作動圧力を選択することを可能にする。有利なことには、圧力調節手段5は、作動圧力が実質的に10キロパスカル(kPa)〜90kPaに渡る範囲にあるように設計される。
【0026】
上述のように、本発明の食物調理器具1は、容器2に対して蓋3の係止/係止解除を制御するための制御部材6をさらに有する。制御部材6は、ユーザによって、ユーザが係止/係止解除手段4を制御すること、好ましくは駆動アーム4C,4D及び対応する顎部4A、4Bの半径方向の動きを制御することを可能にするような方法で操作されるように設計される。容器2に対する蓋3の係止/係止解除を制御するための制御部材6は、係止解除されている蓋3に対応し、蓋3がユーザによって扱われることが可能なように、制御部材6が手で掴まれるように設計された第1の実施位置(図8、9及び11に見られる)と、係止されている蓋3に対応し、制御部材6が実施位置にあるときよりも手で掴まれることがより困難になるように設計された第2の引き込み位置(図1、2、4及び5に見られる)との間で蓋3の上を動くように取り付けられる。このように、制御部材6は、ユーザによって実施位置から引き込み位置に、及びその逆にも同様に手で動かされるのに好適であるように設計される。制御部材6は、係止/係止解除手段4と相互作用して、制御部材6が実施位置にあるときには、係止/係止解除手段4が係止解除位置にある、すなわち蓋3が自由に容器2上に載置され、それから取り外されることができるようにするのに対し、制御部材6が引き込み位置にある場合は、係止/係止解除手段4は係止位置を取り、蓋3が容器2から外れるのを防止する。このように、係止/係止解除手段4の係止位置から係止解除位置への移動は、制御部材6が引き込み位置から実施位置に手で動かされることによって得られる。反対に、係止/係止解除手段4の実施位置から引き込み位置への移動は、制御部材6が実施位置から引き込み位置に手で動かされることによって得られる。制御部材6の実施位置は、当接位置である。これにより、蓋3に対して制御部材6が動く可能性を制限することで、蓋3がより安全に扱われることが可能になる。
【0027】
さらに安全かつ快適な使用を向上させるために、実施位置は好ましくは安定位置であり、それによって制御部材6が不適切なときに引き込み位置に戻り、そのようなタイミングの悪い戻りが生じさせ得るすべての負の結果を防止する。
【0028】
同様に、引き込み位置は有利なことには当接位置であるため、係止がより安全になる。同じ理由のために、またより好ましい方法において、引き込み位置は安定位置である。
【0029】
上述のように、制御部材6は、実施位置にあるときには、手で掴まれて、蓋3がユーザによって扱われることを可能にするように設計される。これが意味することは、実施位置において、制御部材6は取っ手形状を取り、ユーザが蓋3を扱う、すなわちしっかりと掴んで持ち上げて、1つの場所から他に動かす、たとえば容器2の上に置くか又は反対に容器2から取り外すことが可能になるということである。言い換えれば、その実施位置において、制御部材6は、制御部材6がユーザによって直接しっかりと確実に掴まれることを可能にする形状及びサイズを有し、このようにして獲得される握りは、ユーザが蓋3の重量をしっかりと支えることを可能にする。この目的のために、制御部材6にはさまざまな形状の構成、たとえば保持取っ手形状(図に示された変形例)又はT字形状、L字形状、球形つまみ形状等が可能である。このように、器具1は把持可能な部材を備え、これを介して蓋3を掴み、この部材は蓋に取り付けられ、手で掴まれて、蓋3が本部材を介して扱われるように設計され、本把持可能部材は、実施位置において本制御部材6によって単独で形成される。言い換えれば、制御部材6は、(実施位置で)手で掴まれて、本部材を介して蓋3を扱うように特に設計された手段のみを構成する。
【0030】
反対に、制御部材が引き込み位置にある場合、実施位置にあるときよりもユーザが手で掴むことがより困難になり、すなわち、制御部材6の幾何学的形状および、たとえばそれが取り付けられている蓋3に対するその角度位置によって、同じユーザが制御部材6をしっかりと捕らえることがより困難になり、このように困難になることが、有利なことにはユーザが引き込み位置で制御部材6を取り扱うための、すなわち蓋3を持ち上げて動かすための取っ手として用いることを制止する。
【0031】
このように、容器2に対する蓋3の係止/繋止解除を制御するための制御部材6は、以下の3つの機能を行う。
【0032】
・係止/係止解除を制御し、たとえばユーザが顎部4A、4Bを係止位置から係止解除位置に動かすことを可能にするための制御機能。
【0033】
・制御部材が実施位置にあるときに、ユーザが制御部材6を介して蓋3を掴むことを可能にする取っ手機能。
【0034】
・制御部材が、容器2条に係止されている蓋3に対応する引き込み位置にあるときに、ユーザが制御部材6を介して蓋3を掴む可能性を制限する安全機能。
【0035】
このように、制御部材6は、掴まれることに対して多様な適合性を有し、この適合性は、制御部材6の位置に応じて変動し、この位置自体は、容器2に対して蓋3を係止/係止解除するための係止/係止解除手段4が、係止状態にあるか又は係止解除状態にあるかに依存する。したがって、本発明は、蓋が容器2に係止されているときに、ユーザが蓋3を扱うことを考えるか又は実際に扱いが可能になる事態となる危険を制限することを可能にする。
【0036】
有利なことには、引き込み位置では、制御部材6は、ユーザが手で掴んで蓋3を扱うことが実質的に不可能になるように設計される。言い換えれば、図示された変形例に対応する好ましい状況では、制御部材6は、実質的に引き込み位置に完全にしまいこまれ、ユーザには、制御部材6を介してユーザが蓋3を掴むために十分な握りを提供するのに利用できる面がない。しかし、図に示された変形例にあるように、このことは、制御部材6がユーザによって扱われて、引き込み位置から実施位置に移されるために好適であることを妨げない。すなわち、制御部材6が、引き込み位置から実施位置に制御部材6を手で動かすために十分であるが、蓋3を扱うことを可能にするためには不十分である握りを提供する。
【0037】
有利なことには、実施位置では、制御部材6は蓋3から、蓋3の延長の平均平面に対して主に垂直である平均方向に、よりさらに好ましくは、X−X’軸によって表される縦方向に対して実質的に平行である方向に延びる。図に示される好ましい変形例では、蓋3の延長の平均平面は、図3、7、10及び14が描かれたシートの平面に対して実質的に平行である。用語「主に垂直である平均方向」は、水平な構成要素(X−X’軸に対して垂直)よりも大きい縦の構成要素(すなわち、X−X’軸に対して平行)を有する方向を意味する。好ましくは、上記で説明されたように、制御部材6は、蓋3に対して垂直に延びるが、斜めに延びることは全く除外されず、必須要件は、ユーザによって十分に把持可能であることである。有利なことには、引き込み位置において、制御部材6は、蓋3から、蓋3の延長の平均平面に主に平行である平均方向に、好ましくは実質的に水平である、すなわちX−X’軸に対して垂直であり、蓋3の延長の平均平面に対して平行である平面にある方向に延びる。言い換えれば、制御部材6は、有利なことには、実施位置では蓋3の表面から縦に突出し、引き込み位置では蓋3に対して又はそれに沿って、好ましくはそれに平行に折りたたまれるように設計される。
【0038】
有利なことには、制御部材6は、蓋3上で、実施位置と引き込み位置との間で、蓋3の延長の平均平面に対して主に平行である平均方向にそれ自体が延びる回転軸Y−Y’を中心として回転するように取り付けられる。このように、この回転軸Y−Y’は、有利なことにはX−X’軸に対して垂直である。有利なことには、蓋3がバランスのとれた方法で扱われることを可能にするために、また器具1の全体的な設計を簡素化するために、制御部材6は蓋3の中央に位置決めされ、そして回転軸Y−Y’が有利なことには、縦方向に対応する軸X−X’と交差する。有利なことには、制御部材6は、引き込み位置に対応し、蓋3の延長の平均平面と制御部材6の延長の平均平面との間で形成される角度が実質的にゼロである折りたたみ位置と、実施位置に対応し、蓋3の延長の平均平面と制御部材6の延長の平均平面との間で形成される角度が実質的に90°である非折りたたみ位置との間で、実質的に90°に等しい角度ストロークを通して動くように設計される。
【0039】
そのような設計により、実施の構成と引き込みの構成とを特に明確に区別することが可能になり、それによってユーザが一見して蓋3が係止されていることを推定することが可能になる。加えて、蓋3の延長の平均平面と制御部材6のそれとの間の角度は、引き込み位置では実質的にゼロであり、いずれにせよ、実際にはユーザが制御部材6を、それを介して蓋3を掴む部材として用いることが不可能になり、それによって器具1の使用の安全性に寄与する。
【0040】
本質的に、及び本明細書に記載されたその他の態様とは別個に、本発明はまた、第1に容器2及び蓋3と、第2に容器2に対する蓋3の係止/係止解除を制御するための制御部材6とを含む、圧力下で食物を調理するための器具1に関し、本制御部材6は、手で掴んで蓋3を扱うことを可能にするように設計された取っ手によって形成され、本取っ手は、好ましくは、蓋3に対して折りたたまれ、容器2上に係止されている蓋3に対応する折りたたみ位置と、係止解除されている蓋3に対応する係止解除位置との間の縦軸X−X’に対して実質的に垂直である軸を中心として回転することによって動くように取り付けられる。
【0041】
有利なことには、制御部材6は、運搬用取っ手6A、すなわちループ形の弧状片を含み、有利なことにはユーザによってしっかりと掴まれて保持されるように設計される。図に示されるように、運搬用取っ手6Aは、有利なことには、実施位置で蓋3から突出して、引き込み位置で蓋3に対して折りたたまれるように設計される。制御部材6を運搬用取っ手6Aの形状で用いることが特に好ましいのは、これによってユーザが特にしっかりと、そして特に確実に掴むことが可能になると同時に、また引き込みが容易であるためである。特に、蓋3がその表面にリリーフ片7を有することは有利であり、リリーフ片の形状は、運搬用取っ手6Aによって画定され、ユーザの指を受けるように設計された空きスペース6Bの形状を実質的に補完する。
【0042】
このように、運搬用取っ手6Aが蓋3に対して、それに対して平行に完全に折りたたまれたとき、空きスペース6Bは少なくとも部分的にリリーフ片7によって充填され、そして運搬用取っ手6Aは有利なことにはリリーフ片7から続いて延びるため、蓋3を取り扱うためにもかかわらずユーザが運搬用取っ手6Aを捕らえる可能性を制限する。言い換えれば、蓋3はその表面上に、運搬用取っ手6Aが引き込み位置で蓋3に対して折りたたまれたときに空きスペース6Bを少なくとも部分的に充填するように設計されたリリーフ片7を有するため、ユーザが蓋3を取り扱うための運搬用取っ手6Aを捕らえる可能性が制限される。
【0043】
運搬用取っ手6Aを用いることは、それ自体が発明を構成し、本明細書に記載された態様とは別個である。本発明に関する態様は、より正確には圧力下で食物を調理するための器具1に関し、第1には容器2及び蓋3と、第2には容器2に対する蓋3を係止/係止解除を制御するための制御部材6とを含み、制御部材6は運搬用取っ手6Aによって形成される。
【0044】
好ましくは、制御部材6は、図に示されるように実質的に円弧状の外形を有する。この場合、運搬用取っ手6Aは有利なことには、第1の端60及び第2の端61の間の実質的に半円状の外形の周囲に延び、回転軸Y−Y’は実質的にこれらの端を通り、したがって第1及び第2の端60、61は、X−X’を中心として実質的に正反対に配列される。言い換えれば、運搬用取っ手6Aは実質的に、有利なことには半円形に対応するアーチ形を有し、その直径は、ユーザが、アーチ形及び蓋3によって画定されたオリフィス6Bの中に、少なくとも2本の指(たとえば、人差し指と中指)、好ましくは3本の指(人差し指、中指及び薬指)を滑り込ませることを可能にするように選定され、4本の指(人差し指、中指、薬指及び小指)を挿入することを可能にするのに十分なスペースが好ましい。
【0045】
円弧形の、特に半円形の外形は、ユーザにとって特に快適であり、また以下に記載する器具1の作動を、以下に記載するようにとりわけ安全にすることを可能にする。図に示されたこのとりわけ安全な実施形態では、制御部材6は、この例では半円形の運搬用取っ手6Aによって構成され、運搬用取っ手6Aの外形に続き、その後実質的に円弧形に延び、好ましくは図示されるように半円形に広がる溝8を備える。
【0046】
器具1はまた、器具の作動を制御するための作動部材9を有し、この作動部材は、蓋3上で、その周囲に溝8が延びる円弧形の中心を通り、制御部材6が引き込み位置にあるときに溝8が延びる平均平面に対して実質的に垂直である回転軸を中心として回転して動くように取り付けられる。図に示された変形例では、作動部材9の回転軸は、X−X’軸に対応する。有利なことには、器具1の作動を制御するための作動部材9は、蓋3上で、作動部材9により器具1が圧力にさらされることが可能になる第1の位置(図4及び5に示される)と、作動部材9が実質的に、器具が圧力にさらされることを防止する第2の位置(図1及び2に示される)との間で回転して動くように取り付けられる。たとえば、第1の位置は、調節手段5のアクティブな状態、すなわち器具1の圧力を調整するための圧力調節弁がアクティブであり、器具1の内圧を調節できる状態に対応する。反対に、作動部材9が第2の位置にある場合、調節手段5は非アクティブになる、すなわち対応する調節弁がその設置位置から持ち上げられて、調理用密閉容器の内部が外部と継続的に連通することを可能にすることによって、器具1が圧力にさらされることを防止する(及び適用可能な場合は、特に器具1が減圧されることを可能にする)。この状況では、作動部材9の第1の位置は調理位置に対応するのに対し、第2の位置は減圧位置に対応する。有利なことには、作動部材9は複数の異なる調理位置を選択することを可能にし、それぞれの位置が、調節手段5を形成する弁の異なる設定に対応する。この状況において、作動部材9はこうして、器具の減圧も制御する圧力セレクタを形成する。
【0047】
図に示された例では、作動部材9は、X−X’軸を中心として、蓋3に取り付けられた円板10を同心円状に取り囲むリング状部によって構成され、その上には運搬用取っ手6Aが回転するように取り付けられる。この状況では、リリーフ片7は、有利なことには円板10に取り付けられて、制御機構を隠すためのキャップによって構成される。
【0048】
作動部材9は、有利なことにはラッチ11を備え、これは好ましくは、作動部材9を構成するリングに固定して取り付けられる。このように、ラッチ11は有利なことには、作動部材9上に組み込まれることによって、X−X’軸を中心としてともに回転するようにされ、X−X’軸はまた有利なことには、溝8がその周囲に延びる円弧形の中心を通る。有利なことには、ラッチ11は、以下のように溝8と協働するように設計される。
【0049】
・制御部材6は、この例では運搬用取っ手6Aによって構成され、作動部材9が第2の位置(図1及び2に示される)にあるときのみ、及び制御部材6が実施位置から引き込み位置に移ったときのみ、ラッチ11が溝8に貫入することを可能にするように形成される。言い換えれば、制御部材6は、実施位置から引き込み位置に折りたたまれた場合、制御部材6が引き込み位置に到達したときに、ラッチ11が溝8に貫入することができるように形成される。そして、器具1は図1及び2に示される構成であり、制御部材6は、ラッチ11が少なくとも溝8の中に部分的に挿入されている間は、引き込み位置にある。ラッチ11が溝8に挿入されることを可能にするために、溝は有利なことには、実質的に平行かつ継続的であり、溝の端壁に対して垂直である上フランジ8A及び底フランジ8Bによって画定され、底フランジ8Bは、ラッチが第2の位置にあり、制御部材6が引き込み位置で蓋3に対して折り下げられているとき、ラッチ11を通すことを可能にする切り込み8Cを備える。同様に、制御部材6は、有利なことには、作動部材9自体が第2の位置にあることがわかるときのみ、引き込み位置から実施位置に移ることができるように成形される。
【0050】
・一度溝8では、ラッチ11は、上記のように、円形の外形である周囲に延びる溝に沿って滑動することができるため、作動部材9が第2の位置から第1の位置に移ることが可能になるが、それでもラッチ11が溝8内にあることにより、作動部材9が第1の位置にあるときに、この例では運搬用取っ手6Aで構成される制御部材6が実施位置から戻ることを防止するが、これはラッチ11がもはや切り込み8Cと一致しておらず、溝8を画定している底フランジ8Bに対して、ブロック状態で接触するようになるためである。
【0051】
このように、円形の制御部材6はラッチ11の案内経路を形成することを可能にするため、特に信頼性がありかつ簡易である、引き込み位置で制御部材6を係止する機能を得ることができ、このことが実のところは発明の本質を構成する。
【0052】
図に示された特定の変形例の動作は、以下に順を追って記載される。
【0053】
第1に、器具1は調理用の構成であり、すなわち、その蓋3は容器2上に、係止/係止解除手段4によって取り付けられて係止される。この構成では、図4及び5に示されるように、この例では、運搬用取っ手6Aを含む制御部材6自体が引き込み位置にあることがわかり、ラッチ11によってこの位置で動かないように保持される。この構成ではこのように、運搬用取っ手6A自体が、プレート10上に取り付けられたキャップによって形成されるリリーフ片7から続くことがわかるため、蓋3は、取っ手に類似しているか又はユーザの目から取っ手として用いることができるように見えるあらゆる部材を有さないような、全体として比較的なめらかな態様を有する。加えて、ユーザがそれでも運搬用取っ手6Aを回転させて、把持可能部材として用いようとすることを望んだとしても、ユーザは、運搬用取っ手6Aを引き込み位置で動かないように保持するラッチ11によって、そのようにすることを妨げられる。調理が一巡した終わりには、ユーザは、作動部材9をX−X’軸を中心として回転させて動かして、作動部材9を第2の位置(図1及び2に図示される)に至らせることにより、調節弁を設置位置に持ち上がらせて、調理用密閉容器の内部を外部と連通させることによって器具1を減圧させる。
【0054】
この構成では、図1及び2に示されるように、ラッチ11自体が、底フランジ8Bに設けられた切り込み8Cと一致していることがわかる。そして、ユーザは、調理用密閉容器の内部に行き渡っている圧力に応じて対処する他の開放安全手段(図示せず)に従って、運搬用取っ手6Aを、回転軸Y−Y’を中心として角度ストローク90°で回転させることによって実施位置に戻す。この引き込み位置から実施位置への経路は、図6に示される。運搬用取っ手6Aが回転して、一対のカム12、13を一緒に回転させて動かし、一対のカムは、運搬用取っ手6Aの第1及び第2の端60、61のそれぞれ1つに取り付けられる。このように、各カム12、13は、プレート10上で、回転軸Y−Y’及び全体的に対称な軸X−X’の両方に実質的に垂直である軸に沿って平行移動して動く中間制御部14上に押し出される。そして、中間制御部14は、引き込み位置から実施位置に回転する制御部材6の影響下にあるカム12、13によって押し出される。カム12、13と中間制御板14との間の継続的な接触を保証するために、中間制御板は、中央制御板14をカム12、13に対抗して継続的に押す戻りばね19(図3、7、10及び14の上からの図のみに示される)の作用を受ける。
【0055】
制御板14は、従来では、傾斜したスロット14A、14Bを備え、これらは駆動アーム4C、4Dのそれぞれ1つに接続され、その内部端に対向する突起15、16と協働する。このように、中間制御板14は、スロット14A、14Bを介して平行移動して動いて、突起15、16を放射状に動かすように機能することによって、それぞれ突起が取り付けられた駆動アーム4C、4Dを放射状に動かす。そのような駆動アーム4C、4Dの放射状移動を制御する原理は、本質的には周知であり、たとえば文献FR−2 863 849 A1に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。このように、スロット14A、14Bを介して、中間制御板14は駆動アーム4C、4Dを外側に向けて放射状に押し出し、これによって顎部4A、4Bが容器2の縁巻部から離れる。運搬用取っ手6Aは、運搬用取っ手6Aが蓋3の上を垂直に延びる当接位置(図10及び11参照)に到達するまで、その経路に沿い続ける。
【0056】
この位置は、最大限に間隔を置いて手動で離される顎部4A、4Bに対応し、係止解除位置に対応している。この制御部材6の実施位置は、有利なことには、運搬用取っ手6Aに設けられた好適かつ相補的形状に貫入する、滑動可能に取り付けられた縦スタッド17、18の作用によって、対応する端60、61に対して安定な位置となる。この目的のために、各スタッド17、18は、プレート10上で垂直に平行移動して動くように取り付けられ、運搬用取っ手6Aに対して各スタッド17、18を押す、対応する戻りばね17A18Aの作用を受ける。
【0057】
そして、ユーザは一方の手で弧状部6Aをしっかりとかつ確実に掴んで、蓋3を持ち上げて容器2から引き離すことができる。このように、特に人間工学的であり、蓋3から突出した運搬用取っ手6Aによって構成される取っ手によって蓋3を掴むことは、特に実用的である。当然、蓋を収納したり片付けたり食器洗浄機内で洗浄したりする目的のために、ユーザがその後運搬用取っ手6Aを折りたたむことは全くもって可能である。そのようにするために、ユーザは運搬用取っ手6Aを実施位置から引き込み位置に戻す。この経路は、図12及び13に示される。蓋3に対して運搬用取っ手6Aを折りたたむためのほぼすべての経路全体にわたって、カム12、13は好ましくは、図10に示された、係止解除されている蓋3に対応するその位置で遮断し続ける中間制御板14とはもはや接触しない。この遮断効果は、本質的に周知であるように好適に成形され、本明細書ではさらなる説明を必要としないスロット14A、14Bによって得られる。図13に示されるように、引き込み位置に近づくにつれ、運搬用取っ手6Aは、この例では中間制御板14と一体型である2つの丸いリブ14C、14Dによって構成されたトリガを圧迫する。リブ14C、14Dを圧迫することによって、運搬用取っ手6Aは、中間制御板14をその安定位置外に押し出し、ばね19の作用下及び戻りばねが駆動アームを互いに対して後ろに推し進める作用のもとに、中間制御板14は急激に、係止されている顎部に対応する位置に進む。
【符号の説明】
【0058】
1 器具
2 容器
3 蓋
6 制御部材
6A 運搬用取っ手
6B 空きスペース
7 リリーフ片
8 溝
9 作動部材
11 ラッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力下で食物を調理するための器具(1)であって、
第1に容器(2)及び蓋(3)と、
第2に容器(2)に対する蓋(3)の係止/係止解除を制御するための制御部材(6)とを含み、
前記制御部材(6)が蓋(3)上で、第1に、係止解除されている蓋(3)に対応し、前記制御部材(6)が手で掴まれて蓋(3)が扱われることを可能にするように設計された当接位置である実施位置と、第2に、係止されている蓋(3)に対応し、前記制御部材(6)が実施位置においてよりも手で掴まれることがより困難になるように設計された引き込み位置との間で動くように取り付けられることを特徴とする器具。
【請求項1】
圧力下で食物を調理するための器具(1)であって、
第1に容器(2)及び蓋(3)と、
第2に容器(2)に対する蓋(3)の係止/係止解除を制御するための制御部材(6)とを含み、
前記制御部材(6)が蓋(3)上で、第1に、係止解除されている蓋(3)に対応し、前記制御部材(6)が手で掴まれて蓋(3)が扱われることを可能にするように設計された当接位置である実施位置と、第2に、係止されている蓋(3)に対応し、前記制御部材(6)が実施位置においてよりも手で掴まれることがより困難になるように設計された引き込み位置との間で動くように取り付けられることを特徴とする器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−48915(P2013−48915A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−238180(P2012−238180)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2009−296853(P2009−296853)の分割
【原出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(597012518)
【氏名又は名称原語表記】SEB S.A.
【住所又は居所原語表記】Les 4M,Chemin du Petit Bois, 69132 Ecully Cedex, FRANCE
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2009−296853(P2009−296853)の分割
【原出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(597012518)
【氏名又は名称原語表記】SEB S.A.
【住所又は居所原語表記】Les 4M,Chemin du Petit Bois, 69132 Ecully Cedex, FRANCE
【Fターム(参考)】
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