説明

保冷箱

【課題】引手とハンドルがコンパクトに装着された保冷箱を提供する。
【解決手段】容器本体10と蓋20とを具備する直方体形状の保冷箱であって、容器本体の所定対向側壁間には、該所定対向側壁の側壁同士S1,S2が対向する方向に延伸した枢軸を中心として回動可能なブリッジ状の手提げハンドル30が装着されており、前記所定対向側壁の一方の側壁S1には、該一方の側壁に対向する他方の側壁S2の側に配設した転動体Rが地面上を転動しつつ該保冷箱を運搬するための引手40が設けられており、該引手は、前記一方の側壁の外側に設けた引手収納部50に対して、その上方への引き出しと内方への収納が可能に設けられており、前記ハンドルはその一端部が前記引手収納部の外側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りやレジャーに使用できるクーラーボックス等の保冷箱(保温箱を含む)に関する。
【背景技術】
【0002】
保冷箱は、下記特許文献1の図1に図示されているように、その運搬のために手提げハンドルが設けられている。また、下記特許文献2に開示のように、保冷箱がある程度以上大きくなると、手提げハンドルでは持ち運びすることが困難となり、そうした場合に、直方体状の保冷箱の所定側壁部に引手を設け、この引手を持って保冷箱下部の車輪を地面上に転動させて保冷箱を引きながら運搬することが行われる。
【特許文献1】特開2007−195494号公報
【特許文献2】特開平10−250778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
然しながら、引きながら運搬する場合は、地面の凹凸によって保冷箱がガタガタと音をたてたり、揺れたりする欠点がある。そこで、保冷箱の大きさによって、体力のある釣人はできるだけ手提げハンドルを使用して静かに運搬することを望み、そうでない人は、やむを得ず引手をもって運搬する。こうしたことが可能なように手提げハンドルと引手の両方を装着準備しておくことが望まれる。この場合、引手や手提げハンドルの装着部をコンパクトにして、スマートな感じの保冷箱にしたい。
依って解決しようとする課題は、引手とハンドルがコンパクトに装着された保冷箱の提供である。また、引手の不用意な動きを防止したい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題解決のために第1の発明では、容器本体と蓋とを具備する直方体形状の保冷箱であって、容器本体の所定対向側壁間には、該所定対向側壁の側壁同士が対向する方向に延伸した枢軸を中心として回動可能なブリッジ状の手提げハンドルが装着されており、前記所定対向側壁の一方の側壁には、該一方の側壁に対向する他方の側壁の側に配設した転動体が地面上を転動しつつ該保冷箱を運搬するための引手が設けられており、該引手は、前記一方の側壁の外側に設けた引手収納部に対して、その上方への引き出しと内方への収納が可能に設けられており、前記ハンドルはその一端部が前記引手収納部の外側に位置していることを特徴とする保冷箱を提供する。
【0005】
第2の発明は、手提げ状態で表現すれば、第1の発明の前記ブリッジ状のハンドルは前記枢軸の位置から上方に延伸した上方延伸部を具備しており、前記一端部側の上下延伸部は、前記引手を収納させた状態でハンドルを回動させても該引手に干渉しない途中位置でブリッジの内側方向に向かって折れ曲がっている。
第3の発明は、第1又は第2の発明の前記引手の収納位置において、所定以下の引き出し力に対して該引手を保持する保持手段が設けられている。
【発明の効果】
【0006】
第1の発明では、引手は引手収納部に対して上下に作動する。一方、ハンドルは枢軸周りに回動するものであるため、仮にハンドルを引手よりも側壁の壁面寄りに装着していれば、引手はハンドルの肉厚分だけ外側に位置させて設ける必要がある。このため、引手収納部はハンドル肉厚と引手肉厚とを合わせた厚さ分以上、側壁壁面から外方に突出する。また、枢軸回りに回動するようにハンドルを装着させる装着部を引手収納部とは別に必要とする。然しながら、ハンドルは端部を引手収納部の外側から装着させる構造のため、該引手収納部の外側壁部をハンドル装着に利用できると共に、引手収納部はハンドル肉厚分だけ薄く構成でき、スマートな感じの保冷箱となる。
【0007】
第2の発明では、上下延伸部は、その所定途中位置でブリッジの内側方向へ折れ曲がっているため、ハンドルが長さ方向にコンパクトになり、保冷箱がよりコンパクトでスマートになる。
第3の発明では、所定以下の引き出し力に対して引手は保持手段によって収納位置において保持されるため、ハンドルを持って保冷箱を提げた運搬中に、引手が不用意に飛び出すことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る保冷箱の正面図、図2は図1の矢視線Bの方向視による異なるハンドル状態の保冷箱の側面図、図3は図1の縦断面図に相当する部分破断拡大図、図4は図3の右側部分の異なる状態図、図5は図2と異なる状態の横断面拡大図である。保冷箱の各部はネジを除いて合成樹脂材で成形できる。容器本体10と蓋20とを有する直方体状の保冷箱には、容器本体の長手方向に対向する所定対向側壁S1,S2の間に亘って、手提げ状態において、蓋20の上方に長手部30Lが位置するように、ブリッジ状の手提げハンドル30が装着されている。前記所定対向側壁の一方の側壁S1の外側に設けた引手収納部を区画する引手収納カバー50の内部に、下方に向かって引手40の下方大部分を収納でき、また、上方に向かって引き出し可能に構成している。また、他方の側壁S2の下部位置には、転動体としての車輪Rが設けられている。なお、容器本体を形成する側壁や蓋20の壁内部には発泡合成樹脂等の断熱材Dが収容されている。
【0009】
上記ハンドル30の長手部30Lの各端部には、手提げ状態で上下方向に延伸する上下延伸部30E、30E’が設けられており、一方の上下延伸部30Eの下端部には、両側壁S1,S2の対向方向(長手方向)に延伸した枢軸30Jが引手収納カバー50の外側壁に装着されている。一方、他方の上下延伸部30E’の下端部には、両側壁S1,S2の対向方向に延伸した枢軸30J’がハンドル装着部60の外側壁に装着されている。こうしてハンドル30は、他の対向側壁の一方S3と他方S4の間を蓋20の上方を通って回動(往復動)できる。
【0010】
側壁S1の外面には板状部材55が装着固定されており、この外側に上記引手収納カバー50が装着されている。この引手収納カバーは図3に明示されているように、上方程厚さ幅(図3の左右方向幅)が狭くなっている。また、板状部材55の下方部には半円柱状の突起55Kが外方向に突出しており、更には、上方部であって、引手収納カバー50の内部上方位置には半円柱状の他の突起55Sが外方向に突出している。引手40は図5に明示されているように、この例ではロ字状であって、概ね矩形状であって、その中央領域が開口している。その下部横フレーム40Bは、この例では横断面が円形の丸棒状であり、引手40を収納する最後の方で、所定以上の力で押し込めば、下部横フレーム40Bが突起55Kを弾力的に乗り越えてその下側に位置し、この収納位置で保持される。この際、所謂、節度感が感じられ、目視しなくても保持されたことが分かる。また、これにより引手40が不用意に飛び出すことが防止される。
【0011】
ハンドル30が何れかの側壁S3,S4の側に位置した通常載置状態において、引手を引き出す際には、所定以上の力で引き出せばよく、ハンドルの枢軸30Jの抜け止め処理された端部と側壁S1との間空間を通過して上方に移動した引手40は、その下部横フレーム40Bが既述の他の突起55Sに当接するが、所定以上の力で引き上げれば、下部横フレーム40Bが突起55Sを弾力的に乗り越えてその上側に位置し、引手収納カバー50の上部壁との間に保持され、それ以上の引き出しが規制される。また、この位置では、概ね下部横フレーム40Bを枢軸として所要角度回動できる。図4に、この位置の下部横フレームを記号40B”で示している。引手40を適宜な角度回動させた状態で保冷箱を引くと図6の状態となり、車輪Rが地面上を転動する。また、保冷箱を平面状の地面に載置した状態では、車輪は僅かに浮き、底壁の下面に設けた適宜数の台座DZが地面に当接するように設計している。
【0012】
上記説明から明らかなように、ハンドルの上下延伸部30Eは引手40の外側に位置しているため、引手収納部を区画する引手収納カバー50は、ハンドルの上下延伸部30Eを収容する必要は無く、その枢軸30Jを装着できて、引手40の縦方向フレームと下部横フレーム40Bとが通過できるだけの厚さ幅(図3の左右方向幅)が有ればよく、その分薄く構成できる。
【0013】
ハンドル30の上下延伸部30Eは、収納状態の引手40に干渉しないその途中位置において、枢軸30Jから長手部30Lの方向に見て、ブリッジ状ハンドルの内方に折れ曲がった傾斜部30Bを有している。従って、ハンドル30がコンパクトであってスマートな感じになると共に、対向側壁の一方S3と他方S4の間を蓋20の上方を通って回動しても引手40には当たらずに回動できる。また、上下延伸部30E’もハンドル装着部60と干渉しない途中位置において、同様に、ブリッジ状ハンドルの内方に折れ曲がった傾斜部30B’を有している。従って、図1等に図示されている上下延伸部30E,30E’の上方部と、これらに連結されている長手部30Lとはコンパクトに構成されている。
【0014】
ハンドル30を持って保冷箱を持ち運ぶときは、ハンドルが蓋20の上方に位置し、ハンドルの傾斜部30Bが収納状態の引手40の上方に位置するため、下部横フレーム40Bが仮に突起55Kの下方にまで押し下げが行われていなかった場合、引手40が上方に振れ出ようとしても、傾斜部にあたって引手収納カバー50の内部からの不用意な飛び出しを防止できる。
上記実施形態例のハンドル30は概ねコの字状であるが、アーチ状等、形状は任意である。また、引手40は概ね矩形状であったが、これも形状は任意である。更には、肩に掛けるベルトを具備していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、魚釣りやレジャーに使用するクーラーボックス等の保冷箱(や保温箱)に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明に係る保冷箱の正面図である。
【図2】図2は図1の矢視線Bの方向視による異なるハンドル状態の保冷箱の側面図である。
【図3】図3は図1の縦断面図に相当する部分破断拡大図である。
【図4】図4は図3の右側部分の異なる状態図である。
【図5】図5は図2と異なる状態の横断面拡大図である。
【図6】図6は引手による運搬中の図である。
【符号の説明】
【0017】
10 容器本体
20 蓋
30 ハンドル
30J 枢軸
30E 上下延伸部
40 引手
40B 下部横フレーム
50 引手収納カバー(引手収納部)
55K 半円柱状の突起(保持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と蓋とを具備する直方体形状の保冷箱であって、容器本体の所定対向側壁間には、該所定対向側壁の側壁同士が対向する方向に延伸した枢軸を中心として回動可能なブリッジ状の手提げハンドルが装着されており、前記所定対向側壁の一方の側壁には、該一方の側壁に対向する他方の側壁の側に配設した転動体が地面上を転動しつつ該保冷箱を運搬するための引手が設けられており、
該引手は、前記一方の側壁の外側に設けた引手収納部に対して、その上方への引き出しと内方への収納が可能に設けられており、前記ハンドルはその一端部が前記引手収納部の外側に位置している
ことを特徴とする保冷箱。
【請求項2】
手提げ状態で表現すれば、前記ブリッジ状のハンドルは前記枢軸の位置から上方に延伸した上下延伸部を具備しており、前記一端部側の上方延伸部は、前記引手を収納させた状態でハンドルを回動させても該引手に干渉しない途中位置でブリッジの内側方向に向かって折れ曲がっている請求項1記載の保冷箱。
【請求項3】
前記引手の収納位置において、所定以下の引き出し力に対して該引手を保持する保持手段が設けられている請求項1又は2記載の保冷箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−168100(P2010−168100A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14425(P2009−14425)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【出願人】(591025082)日泉化学株式会社 (19)
【Fターム(参考)】