説明

保守システム、保守装置および保守方法

【課題】装置に障害が発生した場合、当該障害に応じた適切な対応を迅速に行う。
【解決手段】対象装置200から送信されてきた障害識別情報が付与された障害に対応できる作業者が所持する携帯端末に付与された端末識別情報を保守装置100が検索し、検索された端末識別情報のうち、対象装置200から最短の距離に存在する携帯端末の端末識別情報を保守装置100が検索し、検索された端末識別情報が付与された携帯端末へ、保守装置100から、障害識別情報と対象装置200に付与された対象装置識別情報とを送信して、当該携帯端末にて出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置を保守する保守システム、保守装置および保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置等の電子装置(以下、対象装置と称する)を保守するために、監視システムであるNMS(Network Management System)を用いた監視が一般的に用いられている。
【0003】
この場合、運用している対象装置にて発生する障害を監視するには、保守を行う作業者が、当該対象装置が設置されている局舎に張り付いてNMSを通じて監視しなければならない。そのため、保守作業の効率が良いとは言えない。
【0004】
また、対象装置にて障害が発生した際に復旧作業を迅速に行うためには、NMSの前で対象装置を常に監視していなければならない。
【0005】
そこで、監視対象となる物件に異常が発生した場合、当該異常に対応可能なスキルを有し、かつ当該物件から最も近い場所にいる保守者が所持する端末へ、その旨を通知する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−214962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたような技術においては、障害が発生した旨のみを保守者が所持する端末へ通知する。そのため、保守者はその通知を受けた後、当該物件が設置されている場所へ行き、当該物件を確認してみないとその障害の内容を知ることができない。つまり、当該障害に対する迅速な対応ができないという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を解決する保守システム、保守装置および保守方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の保守システムは、
保守対象である対象装置と、該対象装置を保守するための保守装置と、該保守を行う作業者が所持する携帯端末とから構成される保守システムにおいて、
前記対象装置は、当該対象装置に障害が発生した場合、該障害を識別可能な障害識別情報と、当該対象装置を識別可能な対象装置識別情報とを前記保守装置へ送信し、
前記携帯端末は、所定のタイミングで当該携帯端末の位置を示す端末位置情報を取得し、該端末位置情報と当該携帯端末を識別可能な端末識別情報とを前記保守装置へ送信し、前記保守装置から送信されてきた前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを出力し、
前記保守装置は、
前記対象装置識別情報と、該対象装置識別情報が付与された対象装置の位置を示す対象装置位置情報とをあらかじめ対応付けて記憶する対象装置データベースと、
前記障害識別情報と、該障害識別情報が付与された障害に対応できる作業者が所持する携帯端末の前記端末識別情報とをあらかじめ対応付けて記憶する作業者データベースと、
前記携帯端末から送信されてきた前記端末識別情報と前記端末位置情報のうち最新のものとを対応付けて記憶する携帯端末データベースと、
前記対象装置データベースに記憶されている前記対象装置位置情報と、前記携帯端末データベースに記憶されている前記端末位置情報とに基づいて、該対象装置から該携帯端末までの距離を計算し、該計算された距離を該端末位置情報と対応付けて前記携帯端末データベースに記憶させる距離計算部と、
前記対象装置から前記障害識別情報が送信されてきた場合、該障害識別情報と対応付けられた端末識別情報を前記作業者データベースから検索し、該検索された端末識別情報のうち最短の距離と対応付けられている端末識別情報を前記携帯端末データベースから検索する検索部と、
前記検索部が前記携帯端末データベースから検索した端末識別情報が付与された携帯端末へ、前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを送信する通知部とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の保守装置は、
保守対象である対象装置を保守するための保守装置であって、
前記対象装置を識別可能な対象装置識別情報と、該対象装置識別情報が付与された対象装置の位置を示す対象装置位置情報とをあらかじめ対応付けて記憶する対象装置データベースと、
前記対象装置にて発生する障害を識別可能な障害識別情報と、該障害識別情報が付与された障害に対応できる作業者が所持する携帯端末を識別可能な端末識別情報とをあらかじめ対応付けて記憶する作業者データベースと、
前記携帯端末から所定のタイミングで送信されてきた当該携帯端末に付与された端末識別情報と当該携帯端末の位置を示す端末位置情報のうち最新のものとを対応付けて記憶する携帯端末データベースと、
前記対象装置データベースに記憶されている前記対象装置位置情報と、前記携帯端末データベースに記憶されている前記端末位置情報とに基づいて、該対象装置から該携帯端末までの距離を計算し、該計算された距離を該端末位置情報と対応付けて前記携帯端末データベースに記憶させる距離計算部と、
前記対象装置から前記障害識別情報が送信されてきた場合、該障害識別情報と対応付けられた端末識別情報を前記作業者データベースから検索し、該検索された端末識別情報のうち最短の距離と対応付けられている端末識別情報を前記携帯端末データベースから検索する検索部と、
前記検索部が検索した端末識別情報が付与された携帯端末へ、前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを送信する通知部とを有する。
【0011】
また、本発明の保守方法は、
保守対象である対象装置と、該対象装置を保守するための保守装置と、該保守を行う作業者が所持する携帯端末とから構成される保守システムにおける保守方法であって、
前記携帯端末が、所定のタイミングで当該携帯端末の位置を示す端末位置情報を取得する処理と、
前記携帯端末が、前記端末位置情報と当該携帯端末を識別可能な端末識別情報とを前記保守装置へ送信する処理と、
前記保守装置が、前記携帯端末から送信されてきた前記端末識別情報と前記端末位置情報のうち最新のものとを対応付けて携帯端末データベースに記憶する処理と、
前記保守装置が、前記対象装置を識別可能な対象装置識別情報と、該対象装置識別情報が付与された対象装置の位置を示す対象装置位置情報とをあらかじめ対応付けて記憶する対象装置データベースに記憶されている前記対象装置位置情報と、前記携帯端末データベースに記憶されている前記端末位置情報とに基づいて、該対象装置から該携帯端末までの距離を計算する処理と、
前記保守装置が、前記計算された距離を該端末位置情報と対応付けて前記携帯端末データベースに記憶させる処理と、
前記対象装置が、当該対象装置に障害が発生した場合、該障害を識別可能な障害識別情報と、当該対象装置に付与された対象装置識別情報とを前記保守装置へ送信する処理と、
前記保守装置が、前記対象装置から前記障害識別情報が送信されてきた場合、該障害識別情報と対応付けられた端末識別情報を、前記障害識別情報と該障害識別情報が付与された障害に対応できる作業者が所持する携帯端末に付与された端末識別情報とをあらかじめ対応付けて記憶する作業者データベースから検索する処理と、
前記保守装置が、前記検索された端末識別情報のうち最短の距離と対応付けられている端末識別情報を前記携帯端末データベースから検索する処理と、
前記保守装置が、前記携帯端末データベースから検索した端末識別情報が付与された携帯端末へ、前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを送信する処理と、
前記携帯端末が、前記保守装置から送信されてきた前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを出力する処理とを行う。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明においては、装置に障害が発生した場合、当該障害に応じた適切な対応を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の保守システムの一形態を示す図である。
【図2】図1に示した保守装置の内部構成の一例を示す図である。
【図3】図2に示した対象装置データベースに記憶された対応付けの一例を示す図である。
【図4】図2に示した作業者データベースに記憶された対応付けの一例を示す図である。
【図5】図2に示した携帯端末データベースに記憶された対応付けの一例を示す図である。
【図6】本形態における保守方法のうち、図2に示した携帯端末データベースに、対象装置から携帯端末までの距離を記憶させる処理を説明するためのシーケンス図である。
【図7】本形態における保守方法のうち、図2に示した対象装置に障害が発生した場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【図8】ステップS16にて携帯端末に表示された対象装置識別情報と障害識別情報との一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の保守システムの実施の一形態を示す図である。
【0016】
本形態は図1に示すように、保守装置100と、対象装置200と、携帯端末300−1〜300−n(nは自然数)とから構成されている。
【0017】
対象装置200は、保守対象である通信装置等の電子装置である。また、対象装置200は、対象装置200に障害が発生した場合、その障害を識別可能にあらかじめ付与されている固有の障害識別情報(例えば、障害ID(Identification))と、対象装置200を識別可能にあらかじめ付与されている固有の対象装置識別情報(例えば、対象装置ID)とを保守装置100へ送信する。なお、障害識別情報は、障害の内容を示す情報が含まれるものであっても良い。
【0018】
保守装置100は、対象装置200を保守するための装置である。保守装置100は、例えば、NMS等である。
【0019】
携帯端末300−1〜300−nは、保守を行う作業者が所持する無線通信端末である。また、携帯端末300−1〜300−nは、あらかじめ設定されたタイミングで自身の位置を示す端末位置情報を取得する。この取得には、GPS(Global Positioning System)衛星が用いられても良いし、携帯端末300−1〜300−nと通信可能な無線基地局(不図示)から取得するものであっても良い。また、携帯端末300−1〜300−nは、取得した端末位置情報と携帯端末300−1〜300−nを識別可能にあらかじめ付与されている固有の端末識別情報とを保守装置100へ送信する。また、携帯端末300−1〜300−nは、保守装置100から送信されてきた障害識別情報と対象装置識別情報とを出力する。この出力の方法は、障害識別情報と対象装置識別情報とを表示することにより出力するものであっても良いし、障害識別情報と対象装置識別情報とに基づいた所定の音を発することにより出力するものであっても良い。
【0020】
図2は、図1に示した保守装置100の内部構成の一例を示す図である。
【0021】
図1に示した保守装置100には図2に示すように、対象装置データベース110と、作業者データベース120と、携帯端末データベース130と、距離計算部140と、検索部150と、通知部160とが設けられている。
【0022】
対象装置データベース110は、対象装置識別情報と、その対象装置識別情報が付与された対象装置200の位置を示す対象装置位置情報とをあらかじめ対応付けて記憶する。
【0023】
図3は、図2に示した対象装置データベース110に記憶された対応付けの一例を示す図である。
【0024】
図2に示した対象装置データベース110には図3に示すように、対象装置識別情報と、その対象装置識別情報が付与された対象装置200の位置を示す対象装置位置情報とが対応付けられて記憶されている。
【0025】
例えば、図3に示すように、対象装置識別情報「M001」と、対象装置位置情報「北緯○○°○○′○○″、東経○○°○○′○○″」とが対応付けられて記憶されている。これは、対象装置識別情報が「M001」である対象装置は、「北緯○○°○○′○○″、東経○○°○○′○○″」である位置に設置されていることを示している。また、対象装置識別情報「M002」と、対象装置位置情報「北緯□□°□□′□□″、東経□□°□□′□□″」とが対応付けられて記憶されている。これは、対象装置識別情報が「M002」である対象装置は、「北緯□□°□□′□□″、東経□□°□□′□□″」である位置に設置されていることを示している。
【0026】
ここで、対象装置位置情報として、緯度および経度を用いた場合を例に挙げて示したが、対象装置200の位置が識別できるものであれば、ほかの情報を用いたものであってもかまわない。
【0027】
作業者データベース120は、障害識別情報と、その障害識別情報が付与された障害に対応できる(解析や復旧作業が可能な)作業者が所持する携帯端末に付与された端末識別情報とをあらかじめ対応付けて記憶する。
【0028】
図4は、図2に示した作業者データベース120に記憶された対応付けの一例を示す図である。
【0029】
図2に示した作業者データベース120には図4に示すように、障害識別情報と、その障害識別情報が付与された障害に対応できる作業者が所持する携帯端末に付与された端末識別情報とが対応付けられて記憶されている。
【0030】
例えば、図4に示すように、障害識別情報「D001」と、端末識別情報「T001」、「T003」および「T005」とが対応付けられて記憶されている。これは、障害識別情報「D001」が付与された障害には、端末識別情報「T001」が付与された携帯端末を所持した作業者、端末識別情報「T003」が付与された携帯端末を所持した作業者および端末識別情報「T005」が付与された携帯端末を所持した作業者が対応可能であることを示している。また、障害識別情報「D002」と、端末識別情報「T001」および「T002」とが対応付けられて記憶されている。これは、障害識別情報「D002」が付与された障害には、端末識別情報「T001」が付与された携帯端末を所持した作業者および端末識別情報「T002」が付与された携帯端末を所持した作業者が対応可能であることを示している。
【0031】
ここで、端末識別情報は、携帯端末300−1〜300−nの電話番号や、電子メールアドレス等、携帯端末300−1〜300−nを識別可能なものであれば良い。
【0032】
携帯端末データベース130は、携帯端末300−1〜300−nから送信されてきた端末識別情報と、当該端末識別情報とともに送信されてきた端末位置情報のうち最新のものと、距離計算部140にて計算された対象装置200から携帯端末300−1〜300−nまでの距離とを対応付けて記憶する。
【0033】
図5は、図2に示した携帯端末データベース130に記憶された対応付けの一例を示す図である。
【0034】
図2に示した携帯端末データベース130には図5に示すように、携帯端末300−1〜300−nから送信されてきた端末識別情報と、当該端末識別情報とともに送信されてきた端末位置情報のうち最新のものと、対象装置200から携帯端末300−1〜300−nまでの距離とが対応付けられて記憶されている。
【0035】
例えば、図5に示すように、端末識別情報「T001」と、端末位置情報「北緯△△°△△′△△″、東経△△°△△′△△″」と、距離「M001から1km、M002から5km」とが対応付けられて記憶されている。これは、端末識別情報が「T001」である携帯端末は、最新の情報では、「北緯△△°△△′△△″、東経△△°△△′△△″」である位置に存在し、対象装置識別情報が「M001」が付与された対象装置からの距離は「1km」であり、対象装置識別情報が「M002」が付与された対象装置からの距離は「5km」であることを示している。また、端末識別情報「T002」と、端末位置情報「北緯××°××′××″、東経××°××′××″」と、距離「M001から3km、M002から2km」とが対応付けられて記憶されている。これは、端末識別情報が「T002」である携帯端末は、最新の情報では、「北緯××°××′××″、東経××°××′××″」である位置に存在し、対象装置識別情報が「M001」が付与された対象装置からの距離は「3km」であり、対象装置識別情報が「M002」が付与された対象装置からの距離は「2km」であることを示している。
【0036】
ここで、端末位置情報として、緯度および経度を用いた場合を例に挙げて示したが、携帯端末300−1〜300−nの位置が識別できるものであれば、ほかの情報を用いたものであってもかまわない。
【0037】
距離計算部140は、対象装置データベース110に記憶されている対象装置位置情報と、携帯端末データベース130に記憶されている端末位置情報とに基づいて、対象装置200から携帯端末300−1〜300−nまでの距離を計算する。この計算方法については、特に規定しない。また、距離計算部140は、計算した距離を端末位置情報と対応付けて携帯端末データベース130に記憶させる(書き込む)。
【0038】
例えば、図3および図5に示した例を用いて具体的に説明すると、対象装置識別情報が「M001」である対象装置の対象装置位置情報「北緯○○°○○′○○″、東経○○°○○′○○″」と、端末識別情報が「T001」である携帯端末の端末位置情報「北緯△△°△△′△△″、東経△△°△△′△△″」とに基づいて、当該対象装置「M001」から当該携帯端末「T001」までの距離は「1km」と計算されて記憶される。また、対象装置識別情報が「M002」である対象装置の対象装置位置情報「北緯□□°□□′□□″、東経□□°□□′□□″」と、端末識別情報が「T001」である携帯端末の端末位置情報「北緯△△°△△′△△″、東経△△°△△′△△″」とに基づいて、当該対象装置「M002」から当該携帯端末「T001」までの距離は「5km」と計算されて記憶される。また、対象装置識別情報が「M001」である対象装置の対象装置位置情報「北緯○○°○○′○○″、東経○○°○○′○○″」と、端末識別情報が「T002」である携帯端末の端末位置情報「北緯××°××′××″、東経××°××′××″」とに基づいて、当該対象装置「M001」から当該携帯端末「T002」までの距離は「3km」と計算されて記憶される。また、対象装置識別情報が「M002」である対象装置の対象装置位置情報「北緯□□°□□′□□″、東経□□°□□′□□″」と、端末識別情報が「T002」である携帯端末の端末位置情報「北緯××°××′××″、東経××°××′××″」とに基づいて、当該対象装置「M002」から当該携帯端末「T002」までの距離は「2km」と計算されて記憶される。
【0039】
検索部150は、対象装置200から障害識別情報が対象装置識別情報とともに送信されてきた場合、送信されてきた障害識別情報と対応付けられた端末識別情報を作業者データベース120から検索する。その後、検索部150は、作業者データベース120から検索された端末識別情報のうち最短の距離と対応付けられている端末識別情報を携帯端末データベース130から検索する。
【0040】
例えば、図4および図5に示した例を用いて具体的に説明すると、対象装置識別情報が「M001」である対象装置から障害識別情報「D002」が送信されてきた場合、障害識別情報「D002」と対応付けられている端末識別情報「T001」および「T002」が検索される。その後、対象装置識別情報が「M001」である対象装置から端末識別情報「T001」までの距離と、対象装置識別情報が「M001」である対象装置から端末識別情報「T002」までの距離とが比較され、最短の距離である方の端末識別情報が検索される。図5に示した例では、対象装置識別情報が「M001」である対象装置から端末識別情報「T001」までの距離は「1km」であり、一方、対象装置識別情報が「M001」である対象装置から端末識別情報「T002」までの距離は「3km」であるため、対象装置識別情報が「M001」である対象装置からの距離の短い端末識別情報「T001」が検索される。
【0041】
通知部160は、検索部150が携帯端末データベース130から検索した端末識別情報が付与された携帯端末へ、障害識別情報と対象装置識別情報とを送信する。上述した例では、端末識別情報「T001」が付与された携帯端末へ、障害識別情報「D002」と対象装置識別情報「M001」とが送信される。
【0042】
また、通知部160は、障害識別情報と対象装置識別情報とを送信する際、対象装置識別情報が付与された対象装置の周辺の気温を示す気温情報を取得し、取得した気温情報と障害識別情報と対象装置識別情報とを送信するものであっても良い。このとき、通知部160は、天気情報を配信するサイト等から気温情報を取得するものであっても良い。また、気温情報以外に、降雨量等の情報を取得して送信するものであっても良い。
【0043】
以下に、本形態における保守方法について説明する。まずは、本形態における保守方法のうち、図2に示した携帯端末データベース130に、対象装置200から携帯端末300−1〜300−nまでの距離を記憶させる処理について説明する。
【0044】
図6は、本形態における保守方法のうち、図2に示した携帯端末データベース130に、対象装置200から携帯端末300−1〜300−nまでの距離を記憶させる処理を説明するためのシーケンス図である。ここでは、保守装置100と携帯端末300−1との間の処理を例に挙げて説明する。なお、携帯端末300−2〜300−nにおける処理についても同様である。
【0045】
まず、携帯端末300−1にて、携帯端末300−1の位置情報を示す端末位置情報が、所定のタイミングで取得される(ステップS1)。このタイミングは、あらかじめ設定されたものであり、周期的であっても良いし、ある契機に基づくものであっても良い。
【0046】
続いて、取得された端末位置情報と携帯端末300−1に付与された端末識別情報とが、携帯端末300−1から保守装置100へ送信される(ステップS2)。
【0047】
携帯端末300−1から送信された端末識別情報と端末位置情報とが保守装置100にて受信されると、それらが互いに対応付けられて携帯端末データベース130に記憶される(ステップS3)。
【0048】
また、携帯端末データベース130に記憶された端末位置情報と、対象装置データベース110に記憶されている対象装置位置情報とに基づいて、対象装置から携帯端末300−1までの距離が、距離計算部140にて計算される(ステップS4)。
【0049】
そして、計算された距離が、距離計算部140によって携帯端末データベース130に記憶される(ステップS5)。このとき、当該距離は、その計算に用いた端末位置情報と対応付けられて記憶される。
【0050】
次に、本形態における保守方法のうち、図2に示した対象装置200に障害が発生した場合の処理について説明する。
【0051】
図7は、本形態における保守方法のうち、図2に示した対象装置200に障害が発生した場合の処理を説明するためのシーケンス図である。ここでは、対象装置200と保守装置100と携帯端末300−1との間の処理を例に挙げて説明する。なお、携帯端末300−2〜300−nにおける処理についても同様である。
【0052】
対象装置200にて障害が発生すると(ステップS11)、当該障害に付与された障害識別情報と、対象装置200に付与された対象装置識別情報とが、対象装置200から保守装置100へ送信される(ステップS12)。
【0053】
ここで、対象装置200にて障害が発生したかどうかを判断する方法は、一般的に用いられている障害監視方法等であれば良く、ここでは特に規定しない。
【0054】
対象装置200から送信された対象装置識別情報と障害識別情報とが保守装置100にて受信されると、受信された障害識別情報と対応付けられた端末識別情報が、検索部150によって作業者データベース120から検索される(ステップS13)。
【0055】
その後、作業者データベース120から検索された端末識別情報のうち最短の距離と対応付けられている端末識別情報が、検索部150によって携帯端末データベース130から検索される(ステップS14)。
【0056】
そして、検索部150によって携帯端末データベース130から検索された端末識別情報が付与された携帯端末300−1へ、ステップS12にて対象装置200から送信されてきた対象装置識別情報と障害識別情報とが通知部160から送信される(ステップS15)。
【0057】
なお、ステップS13の処理にて検索された端末識別情報が1つである場合は、ステップS14の処理は行われず、ステップS13にて検索された端末識別情報が付与された携帯端末300−1へ、通知部160から対象装置識別情報と障害識別情報とが送信される。
【0058】
保守装置100から送信された対象装置識別情報と障害識別情報とが携帯端末300−1にて受信されると、受信された対象装置識別情報と障害識別情報とが携帯端末300−1にて表示される(ステップS16)。
【0059】
図8は、ステップS16にて携帯端末300−1に表示された対象装置識別情報と障害識別情報との一例を示す図である。
【0060】
図8に示すように、携帯端末300−1には、「装置M001にて障害D002が発生しています。至急、対応してください。」というメッセージが表示される。
【0061】
このように、どの対象装置でどのような障害が発生しているかが表示されることによって、携帯端末300−1を所持している作業者が、現場へ出向く前に障害の状況を把握することができる。
【0062】
なお、上述したように、図8に示すような表示以外であっても、対象装置識別情報と障害識別情報とが出力できるものであれば、音やLEDの色等で出力が行われるものであっても良い。
【0063】
また、対象装置200が設置されている局舎を識別するためにあらかじめ付与されている固有の局舎識別情報を、上述した対象装置識別情報とともに用いるものであっても良い。また、作業者を識別するためにあらかじめ付与されている固有の作業者識別情報を、上述した端末識別情報の代わりに用いるものであっても良い。
【0064】
上述したように、保守を行う作業者はNMSを常時監視することなく、障害が発生したとほぼ同時に障害内容の通知を携帯端末で受信することができる。これにより、保守を行う作業者は通知を受け取った後、迅速に局舎を訪問し、より正確に作業を行うことが可能となり、迅速に対応することにより作業損失を最小限におさめることが可能となる。また、保守を行う作業者は、効率的に通信装置を保守、管理することができ、客先自身にとっても作業人員を効率的に利用できて、人員コストの削減に繋げることができる。さらに、障害が発生している対象装置に最も近い作業者へ通知を行うことにより、迅速な対応が可能となる。
【符号の説明】
【0065】
100 保守装置
110 対象装置データベース
120 作業者データベース
130 携帯端末データベース
140 距離計算部
150 検索部
160 通知部
200 対象装置
300−1〜300−n 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守対象である対象装置と、該対象装置を保守するための保守装置と、該保守を行う作業者が所持する携帯端末とから構成される保守システムにおいて、
前記対象装置は、当該対象装置に障害が発生した場合、該障害を識別可能な障害識別情報と、当該対象装置を識別可能な対象装置識別情報とを前記保守装置へ送信し、
前記携帯端末は、所定のタイミングで当該携帯端末の位置を示す端末位置情報を取得し、該端末位置情報と当該携帯端末を識別可能な端末識別情報とを前記保守装置へ送信し、前記保守装置から送信されてきた前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを出力し、
前記保守装置は、
前記対象装置識別情報と、該対象装置識別情報が付与された対象装置の位置を示す対象装置位置情報とをあらかじめ対応付けて記憶する対象装置データベースと、
前記障害識別情報と、該障害識別情報が付与された障害に対応できる作業者が所持する携帯端末の前記端末識別情報とをあらかじめ対応付けて記憶する作業者データベースと、
前記携帯端末から送信されてきた前記端末識別情報と前記端末位置情報のうち最新のものとを対応付けて記憶する携帯端末データベースと、
前記対象装置データベースに記憶されている前記対象装置位置情報と、前記携帯端末データベースに記憶されている前記端末位置情報とに基づいて、該対象装置から該携帯端末までの距離を計算し、該計算された距離を該端末位置情報と対応付けて前記携帯端末データベースに記憶させる距離計算部と、
前記対象装置から前記障害識別情報が送信されてきた場合、該障害識別情報と対応付けられた端末識別情報を前記作業者データベースから検索し、該検索された端末識別情報のうち最短の距離と対応付けられている端末識別情報を前記携帯端末データベースから検索する検索部と、
前記検索部が前記携帯端末データベースから検索した端末識別情報が付与された携帯端末へ、前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを送信する通知部とを有することを特徴とする保守システム。
【請求項2】
請求項1に記載の保守システムにおいて、
前記通知部は、前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを送信する際、該対象装置識別情報が付与された対象装置の周辺の気温を示す気温情報を取得し、該気温情報と前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを送信することを特徴とする保守システム。
【請求項3】
請求項2に記載の保守システムにおいて、
前記通知部は、天気情報を配信するサイトから前記気温情報を取得することを特徴とする保守システム。
【請求項4】
請求項1に記載の保守システムにおいて、
前記携帯端末は、前記保守装置から送信されてきた前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを表示することにより出力することを特徴とする保守システム。
【請求項5】
請求項1に記載の保守システムにおいて、
前記携帯端末は、前記保守装置から送信されてきた前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とに基づいた所定の音を発することにより出力することを特徴とする保守システム。
【請求項6】
請求項1に記載の保守システムにおいて、
前記携帯端末は、GPS衛星を用いて前記端末位置情報を取得することを特徴とする保守システム。
【請求項7】
保守対象である対象装置を保守するための保守装置であって、
前記対象装置を識別可能な対象装置識別情報と、該対象装置識別情報が付与された対象装置の位置を示す対象装置位置情報とをあらかじめ対応付けて記憶する対象装置データベースと、
前記対象装置にて発生する障害を識別可能な障害識別情報と、該障害識別情報が付与された障害に対応できる作業者が所持する携帯端末を識別可能な端末識別情報とをあらかじめ対応付けて記憶する作業者データベースと、
前記携帯端末から所定のタイミングで送信されてきた当該携帯端末に付与された端末識別情報と当該携帯端末の位置を示す端末位置情報のうち最新のものとを対応付けて記憶する携帯端末データベースと、
前記対象装置データベースに記憶されている前記対象装置位置情報と、前記携帯端末データベースに記憶されている前記端末位置情報とに基づいて、該対象装置から該携帯端末までの距離を計算し、該計算された距離を該端末位置情報と対応付けて前記携帯端末データベースに記憶させる距離計算部と、
前記対象装置から前記障害識別情報が送信されてきた場合、該障害識別情報と対応付けられた端末識別情報を前記作業者データベースから検索し、該検索された端末識別情報のうち最短の距離と対応付けられている端末識別情報を前記携帯端末データベースから検索する検索部と、
前記検索部が検索した端末識別情報が付与された携帯端末へ、前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを送信する通知部とを有する保守装置。
【請求項8】
保守対象である対象装置と、該対象装置を保守するための保守装置と、該保守を行う作業者が所持する携帯端末とから構成される保守システムにおける保守方法であって、
前記携帯端末が、所定のタイミングで当該携帯端末の位置を示す端末位置情報を取得する処理と、
前記携帯端末が、前記端末位置情報と当該携帯端末を識別可能な端末識別情報とを前記保守装置へ送信する処理と、
前記保守装置が、前記携帯端末から送信されてきた前記端末識別情報と前記端末位置情報のうち最新のものとを対応付けて携帯端末データベースに記憶する処理と、
前記保守装置が、前記対象装置を識別可能な対象装置識別情報と、該対象装置識別情報が付与された対象装置の位置を示す対象装置位置情報とをあらかじめ対応付けて記憶する対象装置データベースに記憶されている前記対象装置位置情報と、前記携帯端末データベースに記憶されている前記端末位置情報とに基づいて、該対象装置から該携帯端末までの距離を計算する処理と、
前記保守装置が、前記計算された距離を該端末位置情報と対応付けて前記携帯端末データベースに記憶させる処理と、
前記対象装置が、当該対象装置に障害が発生した場合、該障害を識別可能な障害識別情報と、当該対象装置に付与された対象装置識別情報とを前記保守装置へ送信する処理と、
前記保守装置が、前記対象装置から前記障害識別情報が送信されてきた場合、該障害識別情報と対応付けられた端末識別情報を、前記障害識別情報と該障害識別情報が付与された障害に対応できる作業者が所持する携帯端末に付与された端末識別情報とをあらかじめ対応付けて記憶する作業者データベースから検索する処理と、
前記保守装置が、前記検索された端末識別情報のうち最短の距離と対応付けられている端末識別情報を前記携帯端末データベースから検索する処理と、
前記保守装置が、前記携帯端末データベースから検索した端末識別情報が付与された携帯端末へ、前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを送信する処理と、
前記携帯端末が、前記保守装置から送信されてきた前記障害識別情報と前記対象装置識別情報とを出力する処理とを行う保守方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−22434(P2012−22434A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158617(P2010−158617)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】