説明

保守点検管理システムおよび保守点検管理方法

【課題】保守点検部分における保守点検が実施されたか否かについての情報をより正確に保守点検管理装置に入力することができる保守点検管理システムを得る。
【解決手段】エレベータ装置1の保守点検を管理する保守点検管理システムであって、機械室20に設けられ、機械室20における保守点検が実施されるために変位される機械室扉本体211と、機械室扉本体211の変位を検出する機械室扉検出スイッチ212と、機械室扉検出スイッチ212の検出信号に基づいて、機械室20内の清掃等の機械室20における保守点検が実施されたか否かを判定する通信装置25と、通信装置25の判定結果の情報が入力される保守点検管理装置32とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保守点検対象装置の保守点検を管理する保守点検管理システムおよびこの保守点検管理システムを用いた保守点検管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータ装置と、作業者が入力装置を操作することにより、エレベータ装置の各保守点検部分における保守点検が実施されたか否かについての情報が入力される保守点検管理装置とを備えた保守点検管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−264839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、保守点検部分における保守点検がまだ実施されていないにも関わらず、保守点検部分における保守点検が実施されたとする情報を作業者が誤って保守点検管理装置に入力した場合、実施されていない保守点検部分における保守点検が実施されないままとなってしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、保守点検部分における保守点検が実施されたか否かについての情報をより正確に保守点検管理装置に入力することができる保守点検管理システムおよびこの保守点検管理システムを用いた保守点検管理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る保守点検管理システムは、保守点検対象装置の保守点検を管理する保守点検管理システムであって、保守点検部分に設けられ、前記保守点検部分における保守点検が実施されるために変位される変位部材と、前記変位部材の変位を検出する検出装置と、前記検出装置の検出信号に基づいて、前記保守点検部分における保守点検が実施されたか否かを判定する判定装置と、前記判定装置の判定結果の情報が入力される保守点検管理装置とを備えている。
【0007】
この発明に係る保守点検管理方法は、保守点検部分に設けられ前記保守点検部分における保守点検が実施されるために変位される変位部材と、前記変位部材の変位を検出する検出装置と、前記検出装置の検出信号に基づいて、前記保守点検部分における保守点検が実施されたか否かを判定する判定装置と、前記判定装置による判定結果の情報が入力される保守点検管理装置とを備えた保守点検管理システムを用いた保守点検管理方法あって、前記変位部材の変位が検出される検出工程と、前記検出工程の後に、前記検出装置の検出信号に基づいて、前記保守点検部分における保守点検が実施されたか否かが判定される判定工程と、前記判定工程の後に、前記判定装置による判定結果の情報が前記保守点検管理装置に入力される入力工程とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る保守点検管理システムによれば、保守点検対象装置の保守点検を管理する保守点検管理システムであって、保守点検部分に設けられ、保守点検部分における保守点検が実施されるために変位される変位部材と、変位部材の変位を検出する検出装置と、検出装置の検出信号に基づいて、保守点検部分における保守点検が実施されたか否かを判定する判定装置と、判定装置の判定結果の情報が入力される保守点検管理装置とを備えているので、保守点検部分における保守点検がまだ実施されていないにも関わらず、保守点検部分における保守点検が実施されたとする情報が保守点検管理装置に入力されることを防止することができる。その結果、保守点検部分における保守点検が実施されたか否かについての情報をより正確に保守点検管理装置に入力することができる。
【0009】
この発明に係る保守点検管理方法によれば、変位部材の変位が検出される検出工程と、検出工程の後に、検出装置の検出信号に基づいて、保守点検部分における保守点検が実施されたか否かが判定される判定工程と、判定工程の後に、判定装置による判定結果の情報が保守点検管理装置に入力される入力工程とを備えているので、保守点検部分における保守点検がまだ実施されていないにも関わらず、保守点検部分における保守点検が実施されたとする情報が保守点検管理装置に入力されることを防止することができる。その結果、保守点検部分における保守点検が実施されたか否かについての情報をより正確に保守点検管理装置に入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る保守点検管理システムを示すブロック図である。
【図2】図1のピット梯子装置を操作する手順を示す側面図である。
【図3】図1の乗場ドアおよび乗場ドアハンガー装置を示す正面図である。
【図4】図3の乗場ドアハンガー装置の分解および組立の手順を示す側面図である。
【図5】図1の機械室扉装置を操作する手順を示す正面図である。
【図6】図1の巻上機における巻上機ブレーキの電磁開放装置の分解および組立の手順を示す側面図である。
【図7】図1の制御盤の分解および組立の手順を示す側面図である。
【図8】実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示する表示部の画面を示す図である。
【図9】実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示するかご内モニタの画面を示す図である。
【図10】実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報と、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報とを互いに区別して表示する表示部の画面を示す図である。
【図11】実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報を前回表示した情報から削除して、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示するかご内モニタの画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る保守点検管理システムを示すブロック図である。図において、保守点検管理システムは、作業者が保守点検の作業を実施する現場となるエレベータ装置(保守点検対象装置)1と、エレベータ装置1の保守点検についての情報を管理する情報センタ3とを備えている。
【0012】
エレベータ装置1は、昇降路10内を昇降するかご11と、かご11に設けられた表示装置12と、かご11内の乗客により操作されるかご操作盤装置13と、かご11の天井部分に載せられたかご上装置14と、かご11に連動して昇降路10内を昇降する釣合い錘15と、かご11と釣り合い錘15とを連結するロープ16と、ピット(保守点検部分)内に設けられたピット梯子装置17と、各階の乗場に設けられた乗場ドア18と、乗場ドア18を支持する乗場ドアハンガー装置19とを有している。
【0013】
また、エレベータ装置1は、機械室(保守点検部分)20の機械室出入口を開閉する機械室扉装置21と、ロープ16が巻き掛けられた巻上機22と、巻上機22の駆動を制御する制御盤23と、制御盤23に設けられた電磁接触器装置24と、情報センタ3との間で通信を行う通信装置(判定装置)25と、通信装置25に接続されたスイッチ情報集積装置26とを有している。
【0014】
表示装置12は、かご11内に設けられたかご内モニタ121と、かご内モニタ121の表示を制御するモニタ表示制御装置122とを有している。かご内モニタ121は、かご11内の乗客や作業者に視認される。モニタ表示制御装置122は、通信装置25に接続されている。
【0015】
かご操作盤装置13は、かご操作盤内部部材(保守点検部分)における保守点検が実施されるために作業者により変位されるかご操作盤カバー(変位部材)131と、かご操作盤カバー131の変位を検出するかご操作盤カバー検出スイッチ(検出装置)132とを有している。かご操作盤カバー131は、かご操作盤内部部材を覆う取付位置と、かご操作盤内部部材が露出する取外位置との間で変位する。かご操作盤カバー検出スイッチ132の状態は、かご操作盤カバー131の位置が取付位置である場合にON状態となり、かご操作盤カバー131の位置が取外位置である場合にOFF状態となる。かご操作盤カバー検出スイッチ132の検出信号は、スイッチ情報集積装置26を介して、通信装置25に送られる。通信装置25は、かご操作盤カバー検出スイッチ132の状態が、ON状態からOFF状態に変化し、さらに、OFF状態からON状態に変化することにより、かご操作盤内部部材における保守点検が実施されたと判定する。
【0016】
かご上装置14は、かご上装置内部部材(保守点検部分)における保守点検が実施されるために作業者により変位されるかご上装置BOX(変位部材)141と、かご上装置BOX141の変位を検出するかご上装置BOX検出スイッチ(検出装置)142とを有している。かご上装置BOX141は、かご上装置内部部材を覆う取付位置と、かご上装置内部部材が露出する取外位置との間で変位する。かご上装置BOX検出スイッチ142の状態は、かご上装置BOX141の位置が取付位置である場合にON状態となり、かご上装置BOX141の位置が取外位置である場合にOFF状態となる。かご上装置BOX検出スイッチ142の検出信号は、スイッチ情報集積装置26を介して、通信装置25に送られる。通信装置25は、かご上装置BOX検出スイッチ142の状態が、ON状態からOFF状態に変化し、さらに、OFF状態からON状態に変化することにより、かご上装置内部部材における保守点検が実施されたと判定する。かご上装置内部部材における保守点検を実施する場合、作業者は、かご上搭乗時にかご11が動き出さないように安全スイッチを停止モードに切り替える。
【0017】
電磁接触器装置24は、電磁接触器手入れ等の電磁接触器本体(保守点検部分)における保守点検が実施されために作業者により変位される電磁接触器カバー(変位部材)241と、電磁接触器カバー241の変位を検出する電磁接触器カバー検出スイッチ(検出装置)242とを有している。電磁接触器カバー241は、電磁接触器本体を覆う取付位置と、電磁接触器本体が露出される取外位置との間で変位する。電磁接触器カバー検出スイッチ242は、電磁接触器カバー241の位置が取付位置である場合にON状態となり、電磁接触器カバー241の位置が取外位置である場合にOFF状態となる。電磁接触器カバー検出スイッチ242の検出信号は、スイッチ情報集積装置26を介して、通信装置25に送られる。通信装置25は、電磁接触器カバー検出スイッチ242の状態が、ON状態からOFF状態に変化し、さらに、OFF状態からON状態に変化することにより、電磁接触器手入れ等の電磁接触器本体における保守点検が実施されたと判定する。
【0018】
図2は図1のピット梯子装置17を操作する手順を示す側面図である。ピット梯子装置17は、ピット清掃等のピット(保守点検部分)における保守点検が実施されるために作業者により変位されるピット梯子本体(変位部材)171と、ピット梯子本体171の変位を検出するピット梯子検出スイッチ(検出装置)172と、ピット梯子本体171に取り付けられた梯子引上げチェーン173とを有している。ピット梯子本体171は、ピット梯子本体171が延びた位置である伸張位置と、ピット梯子本体171が折りたたまれた位置である収縮位置との間で変位する。作業者が梯子引上げチェーン173を引き上げることにより、ピット梯子本体171の位置は、収縮位置から伸張位置に変位する。ピット梯子本体171の位置が伸張位置である場合に、作業者は、最下階の乗場からピットへ出入りすることが可能となる。ピット梯子検出スイッチ172の状態は、ピット梯子本体171の位置が収縮位置である場合にON状態となり、ピット梯子本体171の位置が伸張位置である場合にOFF状態となる。ピット梯子検出スイッチ172の検出信号は、スイッチ情報集積装置26(図1)を介して、通信装置25(図1)に送られる。通信装置25は、ピット梯子検出スイッチ172の状態が、ON状態からOFF状態に変化し、さらに、OFF状態からON状態に変化することにより、ピットの清掃等のピットにおける保守点検が実施されたと判定する。
【0019】
図3は図1の乗場ドア18および乗場ドアハンガー装置19を示す正面図、図4は図3の乗場ドアハンガー装置19の分解および組立の手順を示す側面図である。乗場ドアハンガー装置19は、乗場ドア18の上端部に接続されたドアハンガー191と、ドアハンガー191を支持するドア吊りレール(保守点検部分)192と、乗場ドアハンガー内手入れ等のドア吊りレール192における保守点検が実施されるために作業者により変位されるハンガーカバー(変位部材)193と、ハンガーカバー193の変位を検出するハンガーカバー検出スイッチ194(検出装置)とを有している。ハンガーカバー193は、ドア吊りレール192を上方から覆う取付位置と、ドア吊りレール192が露出する取外位置との間で変位する。ハンガーカバー検出スイッチ194の状態は、ハンガーカバー193の位置が取付位置である場合にON状態となり、ハンガーカバー193の位置が取外位置である場合にOFF状態となる。ハンガーカバー検出スイッチ194の検出信号は、スイッチ情報集積装置26(図1)を介して、通信装置25(図1)に送られる。通信装置25は、ハンガーカバー検出スイッチ194の状態が、ON状態からOFF状態に変化し、さらに、OFF状態からON状態に変化することにより、乗場ドアハンガー内手入れ等のドア吊りレール192における保守点検が実施されたと判定する。
【0020】
図5は図1の機械室扉装置21を操作する手順を示す正面図である。機械室扉装置21は、機械室20(図1)内の清掃等の機械室20における保守点検が実施されるために作業者により変位される機械室扉本体211(変位部材)と、機械室扉本体211の変位を検出する機械室扉検出スイッチ(検出装置)212とを有している。機械室扉本体211は、機械室出入口を塞ぐ閉位置と機械室出入口が開く開位置との間で変位する。機械室扉検出スイッチ212は、機械室20の壁に取り付けられた第1のスイッチ部213と、機械室扉本体211に取り付けられた第2のスイッチ部214とを有している。第1のスイッチ部213および第2のスイッチ部214は、機械室扉本体211の位置が閉位置である場合に互いに近づき、機械室扉本体211の位置が開位置である場合に互いに離れるように配置されている。機械室扉検出スイッチ212は、機械室扉本体211の位置が閉位置である場合にON状態となり、機械室扉本体211の位置が開位置である場合にOFF状態となる。機械室扉検出スイッチ212の検出信号は、スイッチ情報集積装置26(図1)を介して、通信装置25(図1)に送られる。通信装置25は、機械室扉検出スイッチ212の状態が、ON状態からOFF状態に変化し、さらに、OFF状態からON状態に変化することにより、機械室20の清掃等の機械室20における保守点検が実施されたと判定する。
【0021】
巻上機22は、電磁開放装置を含んだ巻上機ブレーキを有している。図6は図1の巻上機22における巻上機ブレーキの電磁開放装置の分解および組立の手順を示す側面図である。巻上機ブレーキの電磁開放装置は、ブレーキ接点組立部分(保守点検部分)を含む電磁開放装置本体221と、ブレーキプランジャ分解手入れ等のブレーキ接点組立部分における保守点検が実施されるために作業者により変位されるブレーキ接点組立カバー(変位部材)222と、ブレーキ接点組立カバー222の変位を検出するブレーキ接点組立カバー検出スイッチ(検出装置)223とを有している。ブレーキ接点組立カバー222は、ブレーキ接点組立部分を覆う取付位置と、ブレーキ接点組立部分が露出する取外位置との間で変位する。ブレーキ接点組立カバー検出スイッチ223は、ブレーキ接点組立カバー222の位置が取付位置である場合にON状態となり、ブレーキ接点組立カバー222の位置が取外位置である場合にOFF状態となる。ブレーキ接点組立カバー222の検出信号は、スイッチ情報集積装置26(図1)を介して、通信装置25(図1)に送られる。通信装置25は、ブレーキ接点組立カバー検出スイッチ223の状態が、ON状態からOFF状態に変化し、さらに、OFF状態からON状態に変化することにより、ブレーキプランジャ分解手入れ等のブレーキ接点組立部分における保守点検が実施されたと判定する。
【0022】
図7は図1の制御盤23の分解および組立の手順を示す側面図である。制御盤23は、制御盤本体(保守点検部分)231と、制御盤内点検等の制御盤本体231における保守点検が実施されるために作業者により変位される制御盤カバー(変位部材)232と、制御盤カバー232の変位を検出する制御盤カバー検出スイッチ(検出装置)233とを有している。制御盤カバー232は、制御盤本体231を覆う取付位置と、制御盤本体231が露出する取外位置との間で変位する。制御盤カバー検出スイッチ233は、制御盤カバー232の位置が取付位置である場合にON状態となり、制御盤カバー232の位置が取外位置である場合にOFF状態となる。制御盤カバー検出スイッチ233の検出信号は、スイッチ情報集積装置26(図1)を介して、通信装置25(図1)に送られる。通信装置25は、制御盤カバー検出スイッチ233の状態が、ON状態からOFF状態に変化し、さらに、OFF状態からON状態に変化することにより、制御盤内点検等の制御盤本体231における保守点検が実施されたと判定する。
【0023】
図1に示すように、情報センタ3には、通信装置25と通信を行う通信装置31と、通信装置31に接続された保守点検管理装置32と、保守点検管理装置32に接続され、作業者が所持する携帯電話装置(携帯端末装置)4に対して通信をするデータ連絡装置33とを有している。保守点検管理装置32は、通信装置31およびデータ連絡装置33に入力された情報を処理するデータ処理装置321と、データ処理装置321により処理された情報を保存するデータ集積装置322とを有している。携帯電話装置4は、表示部41を有している。
【0024】
次に、保守点検管理システムを用いた保守点検の手順について説明する。まず、現場にいる作業者は、携帯電話装置4を用いて、情報センタ3に対して作業届けを行う。この作業届けには、作業者が保守点検を実施しようとするエレベータ装置1を特定する情報が含まれている。
【0025】
その後、保守点検管理装置32は、特定されたエレベータ装置1において実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を携帯電話装置4にデータ連絡装置33を介して出力する。実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報が入力された携帯電話装置4は、図8に示すように、表示部41に、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示させる。この例では、ドア吊りレール清掃、ブレーキ接点手入れ、電磁接触器接点手入れ、ピット清掃および機械室清掃の項目と、それぞれが未実施であることを示す文字とが表示される。
【0026】
また、保守点検管理装置32は、特定されたエレベータ装置1において実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示装置12に通信装置25および通信装置31を介して出力する。実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報が入力された表示装置12は、図9に示すように、かご内モニタ121に、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示させる。この例では、ドア吊りレール清掃、ブレーキ接点手入れ、電磁接触器接点手入れ、ピット清掃および機械室清掃の項目が表示される。
【0027】
その後、例えば、作業者によりピット清掃が実施されると、ピット梯子本体171が変位し、ピット梯子検出スイッチ172がピット梯子本体171の変位を検出する(検出工程)。その後、ピット梯子検出スイッチ172の状態が、ON状態からOFF状態に変化し、さらに、OFF状態からON状態に変化すると、通信装置25は、ピットの清掃等のピットにおける保守点検が実施されたと判定する(判定工程)。その後、ピット清掃が実施されたことを示す情報が通信装置25から保守点検管理装置32に入力される(入力工程)。
【0028】
その後、保守点検管理装置32は、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報と、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報とを携帯電話装置4にデータ連絡装置33を介して出力する。実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報と、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報とが入力された携帯電話装置4は、図10に示すように、表示部41に、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報と、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報とを互いに区別して表示する。
【0029】
また、表示装置12は、図11に示すように、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報を前回表示した情報から削除して、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報をかご内モニタ121に表示させる。
【0030】
保守点検が終了すると、作業者は、携帯電話装置4を用いて、情報センタ3に対して作業完了登録を行う。これにより、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報を用いてデータ集積装置322において作業実績登録が行われる。
【0031】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る保守点検管理システムによれば、エレベータ装置1の保守点検を管理する保守点検管理システムであって、保守点検部分に設けられ、保守点検部分における保守点検が実施されるために変位される変位部材と、変位部材の変位を検出する検出装置と、検出装置の検出信号に基づいて、保守点検部分における保守点検が実施されたか否かを判定する通信装置25と、通信装置25の判定結果の情報が入力される保守点検管理装置32とを備えているので、保守点検部分における保守点検がまだ実施されていないにも関わらず、保守点検部分における保守点検が実施されたとする情報が保守点検管理装置32に入力されることを防止することができる。その結果、保守点検部分における保守点検が実施されたか否かについての情報をより正確に保守点検管理装置32に入力することができる。また、作業者は保守点検管理装置32に保守点検部分における保守点検が実施されたとする情報を入力する必要がなくなるので、保守点検作業の効率を向上させることができる。
【0032】
また、保守点検管理システムは、表示部41を有した携帯電話装置4をさらに備え、保守点検管理装置32は、エレベータ装置1を特定する情報が入力されることにより、特定されたエレベータ装置1において実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を携帯電話装置4に対して出力し、表示部41は、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示するので、作業者は、携帯電話装置4を用いることにより、実施される予定の保守点検部分における保守点検を確実に実施することができる。
【0033】
また、表示部は、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報および実施されたと判定装置により判定された保守点検部分における保守点検を特定する情報を互いに区別して表示するので、作業者は、携帯電話装置4を用いることにより、実施された保守点検部分における保守点検を確認しながら、実施される予定の保守点検部分における保守点検を実施することができる。
【0034】
また、保守点検管理システムは、エレベータ装置1に設けられた表示装置12をさらに備え、保守点検管理装置32は、エレベータ装置1を特定する情報が入力されることにより、特定されたエレベータ装置1において実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示装置12に対して出力し、表示装置12は、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示するので、作業者は、表示装置12を見ることにより、実施される予定の保守点検部分における保守点検を確認することができる。これにより、作業者は、実施される予定の保守点検部分における保守点検を確実に実施することができる。
【0035】
また、この発明の実施の形態1に係る保守点検管理方法によれば、変位部材の変位が検出される検出工程と、検出工程の後に、検出装置の検出信号に基づいて、保守点検部分における保守点検が実施されたか否かが判定される判定工程と、判定工程の後に、判定装置による判定結果の情報が保守点検管理装置32に入力される入力工程とを備えているので、保守点検部分における保守点検がまだ実施されていないにも関わらず、保守点検部分における保守点検が実施されたとする情報が保守点検管理装置32に入力されることを防止することができる。その結果、保守点検部分における保守点検が実施されたか否かについての情報をより正確に保守点検管理装置32に入力することができる。
【0036】
なお、上記実施の形態1では、保守点検対象装置として、エレベータ装置1を例に説明したが、例えば、エスカレータや動く歩道等の乗客コンベヤであってもよい。
【0037】
また、上記実施の形態1では、携帯端末装置として、携帯電話装置4を例に説明したが、これに限らず、例えば、携帯型パソコンであってもよい。
【0038】
また、上記実施の形態1では、保守点検部分として、機械室20、かご操作盤装置13のかご操作盤内部部材、かご上装置14のかご上装置内部部材、ピット、乗場ドアハンガー装置19のドア吊りレール192、巻上機22のブレーキ接点組立部分、制御盤23の制御盤本体231および電磁接触器装置24の電磁接触器本体を例に説明したが、これらに限らず、保守点検が実施されるその他の保守点検部分であってもよい。
【0039】
また、上記実施の形態1では、表示装置12がかご11に設けられた構成について説明したが、かご11に限らず、例えば、昇降路10や機械室20に表示装置12が設けられた構成であってもよい。
【0040】
また、上記実施の形態1では、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報と、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報とが保守点検管理装置32から携帯電話装置4に入力され、携帯電話装置4は、保守点検管理装置32から入力された実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報と、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報とを区別して表示する構成について説明したが、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報が通信装置25から携帯電話装置4に入力され、携帯電話装置4は、予め保守点検管理装置32から入力された実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報と、通信装置25から入力された実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報とを組み合わせて、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報と、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報とを区別して表示する構成であってもよい。
【0041】
また、上記実施の形態1では、表示装置12は、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報を前回表示した情報から削除して、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示する構成について説明したが、表示装置12は、携帯電話装置4のように、実施される予定の保守点検部分における保守点検を特定する情報と、実施された保守点検部分における保守点検を特定する情報とを互いに区別して表示してもよい。これにより、作業者は、表示装置12を見ることにより、実施された保守点検部分における保守点検を確認しながら、実施される予定の保守点検部分における保守点検を実施することができる。
【0042】
また、上記実施の形態1では、判定装置がエレベータ装置1に設けられた構成について説明したが、判定装置が情報センタ3に設けられた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 エレベータ装置(保守点検対象装置)、3 情報センタ、4 携帯電話装置(携帯端末装置)、10 昇降路、11 かご、12 表示装置、13 かご操作盤装置、14 かご上装置、15 釣合い錘、16 ロープ、17 ピット梯子装置、18 乗場ドア、19 乗場ドアハンガー装置、20 機械室(保守点検部分)、21 機械室扉装置、22 巻上機、23 制御盤、24 電磁接触器装置、25 通信装置(判定装置)、26 スイッチ情報集積装置、31 通信装置、32 保守点検管理装置、33 データ連絡装置、41 表示部、121 かご内モニタ、122 モニタ表示制御装置、131 かご操作盤カバー(変位部材)、132 かご操作盤カバー検出スイッチ(検出装置)、141 かご上装置BOX(変位部材)、142 かご上装置BOX検出スイッチ(検出装置)、171 ピット梯子本体(変位部材)、172 ピット梯子検出スイッチ(検出装置)、173 梯子引上げチェーン、191 ドアハンガー、192 ドア吊りレール(保守点検部分)、193 ハンガーカバー(変位部材)、194 ハンガーカバー検出スイッチ(検出装置)、211 機械室扉本体(変位部材)、212 機械室扉検出スイッチ(検出装置)、213 第1のスイッチ部、214 第2のスイッチ部、221 電磁開放装置本体、222 ブレーキ接点組立カバー(変位部材)、223 ブレーキ接点組立カバー検出スイッチ(検出装置)、231 制御盤本体(保守点検部分)、232 制御盤カバー(変位部材)、233 制御盤カバー検出スイッチ(検出装置)、241 電磁接触器カバー(変位部材)、242 電磁接触器カバー検出スイッチ(検出装置)、321 データ処理装置、322 データ集積装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守点検対象装置の保守点検を管理する保守点検管理システムであって、
保守点検部分に設けられ、前記保守点検部分における保守点検が実施されるために変位される変位部材と、
前記変位部材の変位を検出する検出装置と、
前記検出装置の検出信号に基づいて、前記保守点検部分における保守点検が実施されたか否かを判定する判定装置と、
前記判定装置の判定結果の情報が入力される保守点検管理装置とを備えたことを特徴とする保守点検管理システム。
【請求項2】
表示部を有した携帯端末装置をさらに備え、
前記保守点検管理装置は、前記保守点検対象装置を特定する情報が入力されることにより、特定された前記保守点検対象装置において実施される予定の前記保守点検部分における保守点検を特定する情報を前記携帯端末装置に対して出力し、
前記表示部は、実施される予定の前記保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の保守点検管理システム。
【請求項3】
前記表示部は、実施される予定の前記保守点検部分における保守点検を特定する情報および実施されたと前記判定装置により判定された前記保守点検部分における保守点検を特定する情報を互いに区別して表示することを特徴とする請求項2に記載の保守点検管理システム。
【請求項4】
前記保守点検対象装置に設けられた表示装置をさらに備え、
前記保守点検管理装置は、前記保守点検対象装置を特定する情報が入力されることにより、特定された前記保守点検対象装置において実施される予定の前記保守点検部分における保守点検を特定する情報を前記表示装置に対して出力し、
前記表示装置は、実施される予定の前記保守点検部分における保守点検を特定する情報を表示することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の保守点検管理システム。
【請求項5】
前記表示装置は、実施される予定の前記保守点検部分における保守点検を特定する情報および実施されたと前記判定装置により判定された前記保守点検部分における保守点検を特定する情報を互いに区別して表示することを特徴とする請求項4に記載の保守点検管理システム。
【請求項6】
保守点検部分に設けられ前記保守点検部分における保守点検が実施されるために変位される変位部材と、前記変位部材の変位を検出する検出装置と、前記検出装置の検出信号に基づいて、前記保守点検部分における保守点検が実施されたか否かを判定する判定装置と、前記判定装置による判定結果の情報が入力される保守点検管理装置とを備えた保守点検管理システムを用いた保守点検管理方法あって、
前記変位部材の変位が検出される検出工程と、
前記検出工程の後に、前記検出装置の検出信号に基づいて、前記保守点検部分における保守点検が実施されたか否かが判定される判定工程と、
前記判定工程の後に、前記判定装置による判定結果の情報が前記保守点検管理装置に入力される入力工程とを備えたことを特徴とする保守点検管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−176820(P2012−176820A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40231(P2011−40231)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】