説明

保安器とそれを用いた保安器盤、保安器監視ユニット及び保安器監視システム

【課題】保安器によって、設備機器を保護すると共に、雷等のサージ電流を精度良く検出し、複数の保安器の一括監視を容易にする。
【解決手段】保安器1は、接地端子25に接続された導線35に侵入するサージ電流を抑制する保護回路40と、導線35を流れるサージ電流を検出して保護回路40の動作状態を表示する動作表示装置100とを備えている。動作表示装置100は、導線35を流れるサージ電流を検出するための検出コイルを有する検出部110と、その検出コイルによって検出された検出電圧の波形を時間軸に対して引き延ばし処理を行って変形処理波形を出力する波形処理部120と、その変形処理波形の電圧値からサージ電流の電流値を算定してサージ電流算定結果を求める制御部130と、表示部140とを有している。表示部140は、外部から視認可能な状態で、サージ電流算定結果を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源線、通信線等の線路に誘起される雷等のサージ電流から、電源機器等の被保護機器を保護するためのサージ防護デバイス(Surge Protective Device、以下「SPD」という。)である保安器に係り、特に、保安器内に設けられた保護回路の動作状態を表示する動作表示装置を有する保安器と、その保安器を複数備えた保安器盤と、その保安器盤を遠隔監視して保安器の動作状態等を監視する保安器監視システムとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の保安器は、例えば、下記の特許文献1、2に記載されているように、保護回路や、その保護回路の劣化状態を表示する表示器等を有している。電源線等の線路から保安器へ、雷等のサージ電流が侵入すると、保護回路によってそのサージ電流が接地線側へ放電され、線路に接続された電源機器等の被保護機器が保護される。
【0003】
保護回路は、例えば、避雷管であるアレスタや、非直線性抵抗素子であるバリスタ(varistor)等の保護素子により構成されている。保護素子は、サージ電流による動作回数の増加等に伴って特性が劣化すると、発熱して焼損することがある。そのため、保安器内には、保護素子の劣化状態を表示するための劣化表示部が設けられている。
【0004】
特許文献1の保安器では、劣化表示部がサーモラベルにより構成されている。サーモラベルは、避雷素子に貼り付けられている。避雷素子の動作に伴う発熱により、サーモラベルの色が変化するので、その色の変化を目視で確認できる構成になっている。
【0005】
特許文献2の保安器では、劣化表示部が着色部材で構成され、更に、保護素子が劣化した場合、その保護素子を保護回路から切り離すための切り離し部が設けられている。切り離し部が動作した場合、摺動(slide)又は揺動(to swing)機構により、着色部材が回転してその表示部材の色が変化するので、その色の変化を表示窓から目視で確認できる構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−150657号公報
【特許文献2】特開2006−059888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2に記載された従来の保安器では、次の(1)、(2)のような課題があった。
【0008】
(1) 特許文献1の保安器の課題
劣化表示部を構成するサーモラベルは、発熱度の関係から、小さなサージ電流には反応しない。サーモラベルの色は、反応後は元に戻らないため、交換が必要である。サージ電流の侵入回数を把握できない。更に、複数の保安器の動作及び劣化状態を一括して監視することができない。
【0009】
(2) 特許文献2の保安器の課題
劣化表示部を構成する部品点数が多いので、構造が複雑である。多数の劣化表示構成部品を保安器内に収容するため、保安器の小型化が困難である。保安器の小型化を図ろうとすると、劣化表示部の表示個所が小さくなり、外部からの目視が困難になる。更に、複数の保安器の動作及び劣化状態を一括して監視することができない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の内の第1の発明の保安器は、線路に接続される複数の外部端子が設けられたケースと、前記ケース内に収容され、前記複数の外部端子に導線を介して接続され、前記導線に侵入するサージ電流を抑制する保護回路と、前記ケース内に内蔵され、又は前記ケース外に外付けされ、前記導線を流れる前記サージ電流を検出して前記保護回路の動作状態を表示する動作表示装置と、を備えている。
【0011】
前記動作表示装置は、前記導線の近傍に配設され、前記導線を流れる前記サージ電流によって誘起される誘導電流を出力する検出コイルを有する検出部と、前記誘導電流を電圧に変換して検出電圧を生成し、前記検出電圧の電圧波形を時間軸に対して引き延ばし処理を行って変形処理波形を出力する波形処理部と、前記変形処理波形を入力し、前記変形処理波形の電圧値から前記サージ電流の電流値を算定してサージ電流算定結果を求める制御部と、前記制御部により制御され、外部から視認可能な状態で、前記サージ電流算定結果を表示する表示部と、を備えている。
【0012】
第2の発明の保安器盤は、前記第1の発明の保安器が1つ又は複数収容された収容函と、前記収容函内に配設され、前記保安器と有線通信又は無線通信を行い、前記保安器の動作状態及び動作履歴を保存するセンタユニットと、を備えている。
【0013】
第3の発明の保安器盤は、前記第1の発明の保安器が1つ又は複数収容された収容函と、前記収容函内に配設され、伝送路を介して前記保安器と通信を行い、前記保安器の動作状態及び動作履歴を保存するセンタユニットと、を備えている。前記伝送路は、前記保安器と前記センタユニットとを着脱自在に装着するための機器取り付け用レールと、前記機器取り付け用レール内に配設され、前記保安器と前記センタユニットとを電気的に接続するための基盤と、を有している。
【0014】
第4の発明の保安器監視ユニットは、前記第1の発明の1つ又は複数の保安器と、前記保安器の近傍に配設され、前記保安器と有線通信又は無線通信を行い、前記保安器の動作状態及び動作履歴を保存するセンタユニットと、を備えている。
【0015】
第5の発明の保安器監視ユニットは、前記第1の発明の1つ又は複数の保安器と、前記保安器の近傍に配設され、伝送路を介して前記保安器と通信を行い、前記保安器の動作状態及び動作履歴を保存するセンタユニットと、を備えている。前記伝送路は、前記保安器と前記センタユニットとを着脱自在に装着するための機器取り付け用レールと、前記機器取り付け用レール内に配設され、前記保安器と前記センタユニットとを電気的に接続するための基盤と、を有している。
【0016】
第6の発明の保安器監視システムは、1つ又は複数の箇所に設置された前記第2又は第3の発明の保安器盤と、前記保安器盤と通信を行い、前記保安器盤を遠隔監視する監視装置と、を備えている。
【0017】
第7の発明の保安器監視システムは、1つ又は複数の箇所に設置された前記4又は第5の発明の保安器監視ユニットと、前記保安器監視ユニットと通信を行い、前記保安器監視ユニットを遠隔監視する監視装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明の保安器によれば、次の(1)〜(3)のような効果がある。
(1) 導線の近傍に検出コイルを配置し、その導線に流れるサージ電流を検出し、波形処理部により、その検出電圧の電圧波形を時間軸に対して引き延ばし、その後、制御部により、サージ電流の電流値を算定しているので、インパルス性の小さなサージ電流も精度良く検出できる。
【0019】
(2) 検出コイルを用いてサージ電流を検出し、この検出結果を制御部内に記憶させることにより、サージ電流の発生回数や大きさ等を把握できる。
【0020】
(3) 動作表示装置を構成する部品点数が少ないので、構造が簡単である。動作表示装置を構成する少数の部品を保安器内に収容するか、あるいは、外付けにする構成になっているので、保安器の小型化が容易である。表示部により、保安器の動作状態を表示するので、保安器を小型化しても、外部からの目視が容易である。
【0021】
第2の発明の保安器盤、及び第4の発明の保安器監視ユニットによれば、センタユニットが保安器と通信を行い、その保安器の動作状態及び動作履歴をセンタユニットに保存する構成になっているので、保安器の動作及び劣化状態を一括して監視することが容易になる。特に、保安器とセンタユニットとが、無線通信を行う構成の場合には、保安器盤内あるいは保安器監視ユニット内の配線を簡素化できる。
【0022】
第3の発明の保安器盤、及び第5の発明の保安器監視ユニットによれば、第2及び第4の発明とほぼ同様の効果がある。特に、保安器とセンタユニットとを、基盤が設けられた機器取り付け用レールに対して着脱自在に装着する構成にしたので、プラグアンドプレイ機能を付加することが可能になる。これにより、保安器盤内あるいは保安器監視ユニット内の配線を簡素化できる。
【0023】
第6及び第7の発明の保安器監視システムによれば、監視装置により、保安器盤あるいは保安器監視ユニットを介して、保安器を遠隔監視する構成になっているので、保安器の動作状態や動作履歴を簡単且つ的確に遠隔監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の実施例1における保安器を示す概略の構成図である。
【図2A】図2Aは図1中の保護回路40(=40−1,40−2,40−3)の構成例を示す回路図である。
【図2B】図2Bは図1中の保護回路40(=40−1,40−2,40−3)の構成例を示す回路図である。
【図2C】図2Cは図1中の保護回路40(=40−1,40−2,40−3)の構成例を示す回路図である。
【図3】図3は図1中の動作表示装置100を示す概略の構成図である。
【図4】図4は図3の動作表示装置100における構成例を示す回路図である。
【図5】図5は図4中の検出部110内の検出コイル111を示す概略の構成図である。
【図6】図6は図4及び図5における接地用導線35に流れるサージ電流と波形処理部120から出力される変形処理波形S125の電圧値との相関値を示す図である。
【図7A】図7Aは実施例1の図1、図2C及び図3における保安器1の構造例を示す概略の斜視図である。
【図7B】図7Bは図7Aの保安器を斜め下から見たときの概略の斜視図である。
【図7C】図7Cは図7Aの保安器を正面から見たときの概略の正面図である。
【図7D】図7Dは図7C中の機器取り付け用レールの斜視図である。
【図8】図8は図4中の制御部130のウェイクアップ後の処理を示すフローチャートである。
【図9A】図9Aは図4中の検出電圧S122の波形を示す図である。
【図9B】図9Bは図4中の起動電圧S164の波形を示す図である。
【図9C】図9Cは図4中の変形処理波形S125の電圧変化を示す図である。
【図10】図10は図4中の表示部140の表示例を示す図である。
【図11】図11は図4中の確認ボタン136が押された場合の制御部130の処理例を示すフローチャートである。
【図12】図12は図4中の確認ボタン136が押された場合の制御部130の他の処理例を示す図である。
【図13A】図13Aは図5の検出コイル111の変形例を示す斜視図である。
【図13B】図13Bは図5の検出コイル111の変形例を示す斜視図である。
【図14】図は図5の検出コイル111の他の変形例を示す斜視図である。
【図15A】図15Aは実施例1の図7A、図7B、及び図7Cにおける保安器1の変形例を示す概略の斜視図である。
【図15B】図15Bは図15Aの保安器を斜め上から見たときの概略の斜視図である。
【図15C】図15Cは図15Aの保安器を正面から見たときの概略の正面図である。
【図15D】図15Dは図15B及び図15C中の機器取り付け用レールであるDINレールの斜視図である。
【図16A】図16Aは本発明の実施例2における保安器監視システムの概略を示す模式的な構成図である。
【図16B】図16Bは図16A内のセンタユニットを示す概略の構成図である。
【図16C】図16Cは図16A内の監視装置を示す概略の構成図である。
【図17】図17は図16Bのセンタユニット310における表示部316の表示例を示す図である。
【図18】図18は図16Cの監視装置430における表示部436の表示例を示す図である。
【図19】図19は図16Bのセンタユニット310の変形例を示す構成図である。
【図20】図20は本発明の実施例3における保安器監視システムの概略を示す模式的な構成図である。
【図21】図21は本発明の実施例4における保安器監視システムの概略を示す模式的な構成図である。
【図22A】図22Aは図21中の4つの保安器の設置状態を示す概略の斜視図である。
【図22B】図22Bは図22Aの概略の平面図である。
【図23】図23はプラグアンドプレイ機能の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0026】
(実施例1の保安器の構成例)
図1は、本発明の実施例1における保安器を示す概略の構成図である。
【0027】
この保安器1は、機器収納用の分離型又は一体型のケース10を有している。ケース10には、複数の外部端子として、例えば、電源線、通信線等に接続される2つの線路側端子21,22と、電源機器、通信機器等の被保護機器側に接続される2つの機器側端子23,24と、グランドGNDに接続される接地端子25等とが設けられている。その他の外部端子として、図示しないが、電池内蔵型でない場合には外部から直流の電源電圧VCCを印加するための電源端子、外部機器との間で通信を行うための通信端子、内部部品劣化による保安器交換の識別信号を出力するための交換識別用端子等が、必要に応じて設けられている。
【0028】
ケース10内には、外部から侵入する雷等のサージ電流を抑制する保護回路40と、この保護回路40の動作状態を表示するための動作表示装置100とが、内蔵されている。
【0029】
保護回路40は、例えば、外部端子である線路側端子21,22に導線31,32を介してそれぞれ接続される線路側端子41,42と、外部端子である機器側端子23,24に導線33,34を介してそれぞれ接続される機器側端子43,44と、外部端子である接地端子25に接地用導線35を介して接続される接地端子45とを有している。これらの端子41,42,43,44,45間には、外部から侵入するサージ電流を抑制するためのアレスタ、バリスタ、半導体素子等の保護素子が接続されている。
【0030】
動作表示装置100は、例えば、接地用導線35に流れるサージ電流を検出して保護回路40の動作状態を表示するものであり、検出部110、波形処理部120、制御部130、及び表示部140等により構成されている。
【0031】
検出部110は、検出コイルを有し、この検出コイルが接地用導線35の近傍(即ち、直近)に配置され、接地用導線35を流れるサージ電流によって誘起される誘導電流を出力するものであり、この出力側に波形処理部120が接続されている。波形処理部120は、入力される誘導電流を電圧に変換して検出電圧を生成し、更に、その検出電圧の電圧波形を時間軸に対して引き延ばし処理を行ってアナログの変形処理波形S125を出力する回路であり、この出力側に、制御部130が接続されている。
【0032】
制御部130は、アナログの変形処理波形S125を入力し、この変形処理波形S125をデジタル信号に変換し、このデジタル信号の電圧値からサージ電流の電流値を算定してサージ電流算定結果を求める演算機能と、制御機能等とを有し、マイクロコントローラ(例えば、Peripheral Interface Controller、以下「PIC」という。)により構成されている。PICは、コンピュータの周辺機器接続の制御用として使用されるものであり、演算機能や制御機能を有する中央処理装置(以下「CPU」という。)と、ランダム・アクセス・メモリ(以下「RAM」という。)と、リード・オンリ・メモリ(以下「ROM」という。)と、入出力(以下「I/O」という。)ポート等とが、1チップに収められており、ROMに書き込まれたプログラムにより制御されるようになっている。この制御部130の出力側には、表示部140が接続されている。
【0033】
表示部140は、例えば、ケース10内の側壁に配設され、制御部130の制御機能により制御されて、外部から視認可能な状態で、サージ電流算定結果を表示するものであり、例えば、サージ電流算定結果を点灯表示する発光素子としての発光ダイオード、以下「LED」という。)により、構成されている。なお、動作表示装置100は、ケース10外に外付けしても良い。
【0034】
図2A、図2B、図2Cは、図1中の保護回路40(=40−1,40−2,40−3)の構成例を示す回路図である。
【0035】
図2Aに示す保護回路40−1は、サージ電流の流れる方向を決める4つのダイオード51,52,53,54と、2つのアレスタ55,56とを有している。一方の線路側端子41と他方の線路側端子42との間には、順方向のダイオード51と、逆方向のダイオード52とが、導線によって直列に接続されている。一方の機器側端子43と他方の機器側端子44との間には、逆方向のダイオード53と、順方向のダイオード54とが、導線によって直列に接続されている。ダイオード51,52の接続点と、ダイオード53,54の接続点との間には、導線によってアレスタ55,56が直列に接続されている。アレスタ55,56の接続点は、接地用導線35によって接地端子45に接続されている。
【0036】
例えば、線路側端子41及び線路側端子42と接地との間に、正極性のサージ電圧が印加された場合は、アレスタ55が放電し、線路側端子41から流入した雷サージ電流は、ダイオード51及びアレスタ55を経由して接地端子45へ放流されると共に、線路側端子42から流入した雷サージ電流は、ダイオード52及びアレスタ55を経由して接地端子45へ放流される。線路側端子41及び線路側端子42と接地との間に、負極性のサージ電圧が印加された場合は、アレスタ56が放電し、接地端子45から流入した雷サージ電流は、アレスタ56及びダイオード53を経由して線路側端子41へ放流されると共に、アレスタ56及びダイオード54を経由して線路側端子42へ放流される。このようにして、機器側端子43,44に接続された被保護機器が保護される。
【0037】
又、線間にサージ電圧が印加され、サージ電流が線路側端子41に入力された場合は、アレスタ55,56が放電し、そのサージ電流が、ダイオード51、アレスタ55,56及びダイオード54を経由して線路側端子42へ流れ、機器側端子43,44に接続された被保護機器が保護される。線間にサージ電圧が印加され、サージ電流が線路側端子42に入力された場合は、アレスタ55,56が放電し、そのサージ電流が、ダイオード52、アレスタ55,56及びダイオード53を経由して線路側端子41へ流れ、機器側端子43,44に接続された被保護機器が保護される。
【0038】
対接地間のサージ電流を検出する場合には、図2A中の三角(△)で示すように、接地端子45に接続された接地用導線35の直近に検出部110が配置される。これに対し、線間のサージ電流を検出する場合には、所望の位置に検出部110が配置される。所望の位置とは、例えば、図2A中の菱形(◇)で示すように、ダイオード51,52の接続点とアレスタ55との間の導線の位置、又は、アレスタ56とダイオード53,54の接続点との間の導線の位置である。
【0039】
図2Bに示す保護回路40−2は、1つのアレスタ61と、2つの抵抗62,63と、1つのツェナーダイオード64とを有している。一方の線路側端子41と他方の線路側端子42との間には、アレスタ61が導線によって接続され、そのアレスタ61の接地電極が接地用導線35によって接地端子45に接続されている。一方の機器側端子43と他方の機器側端子44との間には、ツェナーダイオード64が導線によって接続されている。一方の線路側端子41と機器側端子43との間には、抵抗62が導線によって接続されている。他方の線路側端子42と機器側端子44との間にも、抵抗63が導線によって接続されている。
【0040】
ツェナーダイオード64は、線路と機器との間に不平衡分がある際に発生する線間電圧を抑制するためのものである。抵抗62,63は、ツェナーダイオード64に流れる電流を抑制するものである。抵抗62,63の抵抗値を大きくすれば、長時間のサージ電圧に対してもツェナーダイオード64は破壊し難くなるが、伝送信号に対する損失が大きくなる。
【0041】
例えば、対接地間に雷等のサージ電圧が印加され、サージ電流が線路側端子41に入力されると、アレスタ61が放電し、そのサージ電流が、アレスタ61を経由して接地端子45へ放電され、機器側端子43,44に接続された被保護機器が保護される。サージ電流が線路側端子42に入力されると、アレスタ61が放電し、そのサージ電流が、アレスタ61を経由して接地端子45へ放電され、機器側端子43,44に接続された被保護機器が保護される。
【0042】
又、線間にサージ電圧が印加され、サージ電流が線路側端子41に入力されると、アレスタ61が放電し、そのサージ電流が、アレスタ61を経由して線路側端子42へ流れ、機器側端子43,44に接続された被保護機器が保護される。サージ電流が線路側端子42に入力されると、アレスタ61が放電し、そのサージ電流が、アレスタ61を経由して線路側端子41へ流れ、機器側端子43,44に接続された被保護機器が保護される。
【0043】
対接地間のサージ電流を検出する場合には、図2B中の三角(△)で示すように、接地端子45に接続された接地用導線35の直近に検出部110が配置される。これに対し、線間のサージ電流を検出する場合には、所望の位置に検出部110が配置される。所望の位置とは、例えば、図2B中の菱形(◇)で示すように、線路側端子41とアレスタ61との間の導線の位置、又は、線路側端子42とアレスタ61との間の導線の位置である。
【0044】
図2Cに示す保護回路40−3は、2つのバリスタ71,72と、1つのアレスタ73とを有している。一方の線路側端子41と他方の線路側端子42との間には、バリスタ71、アレスタ73及びバリスタ72が導線によって直列に接続され、そのアレスタ73の接地電極が接地用導線35によって接地端子45に接続されている。
【0045】
例えば、対接地間に雷等のサージ電圧が印加され、サージ電流が線路側端子41に入力されると、アレスタ73が放電し、そのサージ電流が、バリスタ71及びアレスタ73を経由して接地端子45へ放電され、機器側端子43,44に接続された被保護機器が保護される。サージ電流が線路側端子42に入力されると、アレスタ73が放電し、そのサージ電流が、バリスタ72及びアレスタ73を経由して接地端子45へ放電され、機器側端子43,44に接続された被保護機器が保護される。
【0046】
又、線間にサージ電圧が印加され、サージ電流が線路側端子41に入力されると、アレスタ73が放電し、そのサージ電流が、バリスタ71、アレスタ73及びバリスタ72を経由して線路側端子42へ流れ、機器側端子43,44に接続された被保護機器が保護される。サージ電流が線路側端子42に入力されると、アレスタ73が放電し、そのサージ電流が、バリスタ72、アレスタ73及びバリスタ71を経由して線路側端子41へ流れ、機器側端子43,44に接続された被保護機器が保護される。
【0047】
保護素子としてアレスタ73及びバリスタ71,72を組み合わせて使用している理由は、次の通りである。
【0048】
例えば、電源線にアレスタ73のみを使用した場合、インパルス性のサージ電流でアレスタ73が放電した後、そのインパルス電流消滅後も交流電流により放電が継続する続流現象が起こり、アレスタ73の寿命が短縮したり、あるいは焼損に至ることもある。このような続流の遮断のために、アレスタ73とバリスタ71,72とを直列に組み合わせている。又、バリスタ71,72のみを電源線に使用した場合には、インパルス電流による動作回数の増加に伴って特性が劣化すると、漏れ電流が増加し、遂には、焼損に至ることも考えられるので、漏れ電流遮断のために、アレスタ73をバリスタ71,72と直列に接続している。
【0049】
対接地間のサージ電流を検出する場合には、図2C中の三角(△)で示すように、接地端子45に接続された接地用導線35の直近に検出部110が配置される。これに対し、線間のサージ電流を検出する場合には、所望の位置に検出部110が配置される。所望の位置とは、例えば、図2C中の菱形(◇)で示すように、バリスタ71とアレスタ73との間の導線の位置、又は、バリスタ72とアレスタ73との間の導線の位置である。
【0050】
なお、保護回路40−3内のバリスタ71,72は、過大なサージ電流等により劣化すると、発熱して焼損することがある。そこで、バリスタ71,72を回路から切り離して発煙発火を防止するために、図示しない切り離し部と、この切り離し部が動作したことを検出するセンサ138とが、保護回路40−3に設けられることがある。
【0051】
図3は、図1中の動作表示装置100を示す概略の構成図である。
この動作表示装置100の検出部110は、検出コイル111を有し、保安器1のケース10内に設けられた接地用導線35の直近に、その検出コイル111が配置されている。動作表示装置100には、検出部110、波形処理部120、制御部130及び表示部140の他に、電源電圧VCCが印加される電源端子101、グランドGNDに接続される接地端子102、及び内部部品劣化による保安器交換の識別情報を出力するための交換識別用端子103が設けられている。更に、確認ボタン136、及び通信部137が設けられ、これらが制御部130に接続されている。なお、保護素子の切り離し状態を検出するための図2C中のセンサ138が設けられる場合には、このセンサ138が例えば制御部130に接続される。
【0052】
確認ボタン136は、保安器1のケース10における例えば上面に突設され、保護回路40の動作状態を外部から確認するために押圧するスイッチである。通信部137は、制御部130により制御され、外部機器との間でデータの送受信を行うための変調及び復調機能等を有し、電力線を通信回線として利用する電力線搬送通信(Power Line Communication、以下「PLC」という。)を行う場合には、電源端子101に接続されている。
【0053】
制御部130は、演算機能及び制御機能を有するCPU131と、このCPU131によりアクセルされるROM、RAM等のメモリ132と、CPU131により制御される入力ポート133、I/Oポート134及び出力ポート135等と、を有している。入力ポート133は、波形処理部120から出力されるアナログの変形処理波形S125を入力してデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換(以下「A/D変換」という。)を行うと共に、確認ボタン136の出力信号及びセンサ138の出力信号を入力する機能を有している。
【0054】
I/Oポート134は、センサ138の出力信号をCPU131を介して交換識別用端子103へ出力すると共に、通信部137に対してデータの受渡を行う機能を有している。出力ポート135は、CPU131から出力されるデジタル信号のサージ電流算定結果をアナログ信号に変換して表示部140へ与えるデジタル/アナログ変換(以下「D/A変換」という。)機能を有している。表示部140は、アナログ信号に変換されたサージ電流算定結果を点灯表示するために、例えば、2つのLED141,142により構成されている。
【0055】
図4は、図3の動作表示装置100における構成例を示す回路図である。
この動作表示装置100では、検出コイル111を有する検出部110の出力側に、過電圧抑制回路150を介して波形処理部120が接続されている。過電圧抑制回路150は、検出コイル111の2つの出力端子間の最高電圧値を一定値以下(例えば、30V以下)に抑制する回路であり、2つのツェナーダイオード151,152を有している。2つのツェナーダイオード151,152は、検出コイル111の2つの出力端子間において、逆方向に直列に接続されている。
【0056】
波形処理部120は、過電圧抑制回路150の出力側に接続された全波整流回路121と、この全波整流回路121の出力側に接続された電流/電圧(以下「I/V」という。)変換用の抵抗122、整流用のダイオード123、時定数回路124及び抵抗125と、により構成されている。
【0057】
全波整流回路121は、検出コイル111に誘起される誘導電流を直流に変換する回路であり、4つのダイオード121a,121b,121c、121dにより構成されている。全波整流回路121の2つの出力端子間には、I/V変換用の抵抗122が接続されている。I/V変換用の抵抗122は、全波整流回路121の出力電流を電圧に変換して検出電圧S122を生成するものであり、この出力側に、整流用のダイオード123を介して、時定数回路124が接続されている。
【0058】
時定数回路124は、抵抗122にて生成された検出電圧S122の電圧波形を時間軸に対して引き延ばし処理を行ってアナログの変形処理波形S125を出力する回路であり、時定数の大きな抵抗124a及びコンデンサ124bの直列回路により構成されている。コンデンサ124bの2つの電極間には、抵抗125が接続されている。コンデンサ124bと抵抗125との接続点は、順方向のダイオード126を介して、電源電圧VCCが印加される電源端子101に接続されている。コンデンサ124bと抵抗125との接続点は、更に、制御部130内の入力ポート133に接続されている。
【0059】
全波整流回路121におけるダイオード121aのカソードとダイオード123のアノードとの接続点には、検出電圧S122を降圧する抵抗127を介して、電圧制限圧回路160が接続されている。電圧制限回路160は、抵抗127にて降圧された電圧を一定電圧値以下に制限する回路であり、抵抗127とグランドGNDに接続された接地端子102との間に順方向に接続されたLED161と、このLED161に対して逆方向に並列接続されたダイオード162と、により構成されている。LED161のアノードとダイオード16のカソードとの接続点は、LED161の閾値電圧Vfにより、最高電圧値Vmaxが例えば、2.0V以下に制限される。LED161のアノードとダイオード162のカソードとの接続点には、抵抗163を介して、ダイオード164のアノードと、制御部130内の入力ポート133とが接続されている。ダイオード164のカソードは、電源電圧VCC側の電源端子101に接続されている。ダイオード164のアノードの電圧が、起動電圧S164として制御部130内の入力ポート133へ与えられる。
【0060】
制御部130において、入力ポート133に接続された確認ボタン136は、その入力ポート133と電源電圧VCC側の電源端子101との間に接続されたノーマルオフ型のスイッチである。確認ボタン136における入力ポート133側の電極は、抵抗145を介して、グランドGND側の接地端子102に接続されている。制御部130は、接地端子VSS、及び電源端子VDD等を有し、その接地端子VSSがグランドGND側の接地端子102に接続され、その電源端子VDDが電源電圧VCC側の電源端子101に接続されている。電源端子VDDは、更に、ノイズ防止用のコンデンサ146を介して、グランドGND側の接地端子102に接続されている。
【0061】
制御部130内の出力ポート135には、2つの抵抗143,144の一端が接続され、その各抵抗143,144の他端が、表示部140内の各LED141,142のアノードにそれぞれ接続されている。各LED141,142のカソードは、グランドGND側の接地端子102にそれぞれ接続されている。
【0062】
図5は、図4中の検出部110内の検出コイル111を示す概略の構成図である。
検出コイル111は、鉄心(core)111aに巻線(winding)111bを巻いたコアコイル(core coil)である。この検出コイル111は、巻線111bの巻き回し方向が、接地用導線35に対して略垂直になるように、接地用導線35の直近に配置されている。
【0063】
検出コイル111の仕様は、例えば、次のように設定されている。
・検出コイル111の長さ ;10mm
・鉄心111aの長さ ;20mm
・鉄心111aの直径 ;1mm
・巻線111bの巻数(ターン数);
検出対象となるサージ電流が100A〜1kAの場合;120ターン
検出対象となるサージ電流が1kA〜10kAの場合;30ターン
【0064】
検出コイル111の設置位置は、例えば、次のように設定されている。
・接地用導線35からの距離;5mm以下
接地用導線35に対して垂直方向に設置
【0065】
図6は、図4及び図5における接地用導線35に流れるサージ電流と波形処理部120から出力される変形処理波形S125の電圧値との相関値を示す図である。
【0066】
この図6では、例えば、検出コイル111における巻線111bを120ターンとして測定したときの相関値が示されている。この相関値は、予め図3及び図4中の制御部130内のメモリ132に記憶される。
【0067】
(実施例1の保安器の構造例)
図7Aは、実施例1の図1、図2C及び図3における保安器1の構造例を示す概略の斜視図である。図7Bは、図7Aの保安器を斜め下から見たときの概略の斜視図である。図7Cは、図7Aの保安器を正面から見たときの概略の正面図である。更に、図7Dは、図7C中の機器取り付け用レールの斜視図である。
【0068】
図7A、図7B及び図7Cでは、保安器1の主要部のみが模式的に図示されている。この保安器1の検出部110は、図2Cに示すように、対接地間のサージ電流を検出するために、アレスタ73と接地端子45との間の接地用導線35の直近に配置されている。
【0069】
図7A,図7B及び図7Cに示す保安器1は、ジャック盤2とSPDプラグ3とで構成され、この保安器1のケース10が、ジャック盤2側のジャックケース10−1と、SPDプラグ3側のプラグケース10−2とに、分割されている。SPDプラグ3は、図7A中の矢印で示すように、ジャック盤2に対して挿入及び離脱可能に挿着される構造になっている。
【0070】
ジャック盤2側のジャックケース10−1は、略箱形の基台部11と、この基台部11の両側面から上方向に延設された一対の側壁部12−1,12−2とにより構成されている。これらの基台部11及び側壁部12−1,12−2により囲まれた領域により、SPDプラグ3を挿入及び離脱可能に収容するためのプラグ収容部13が形成されている。基台部11の底面には、固定爪15とレールストッパである移動爪16とが、一定距離離れて対向して設けられている。移動爪16は、図示しないばねにより、固定爪15の方向へ付勢(to be spring biased)されている。これらの固定爪15と移動爪16とにより、図7Dに示す機器取り付け用レール(Mounting rails for devices、例えば、DINレール)50を挟持し、そのDINレール50に対してジャック盤2を取り外し可能に固定する構造になっている。
【0071】
DINレール50とは、DIN規格で定められた例えば35mm幅の機器取り付け金具である。DIN規格では、交流1000V以下又は直流1500V以下で使用する開閉器、工業用端子台等の電気機器を取り付ける機器取り付け用レールについて規定されている。DINレール50内には、絶縁性を有する基盤51が配設されている。基盤51上には、一対の凹状の正極側電源端子52a及び負極側電源端子52bからなる電源端子52が所定間隔隔てて複数設けられている。各電源端子52は、基盤51に形成された図示しない導電パターンにより、電気的に接続されている。
【0072】
ジャック盤2における基台部11の底面において、固定爪15と移動爪16との間には、一対の凸状の正極側電源端子101a及び負極側電源端子101bからなる電源端子101が取り付けられている。ジャック盤2側の電源端子101は、DINレール50側の電源端子52に対して着脱自在に挿入されるようになっている。
【0073】
一方の側壁部12−1の外側面には、1つの電線導入孔13−1が設けられている。その側壁部12−1の上面には、1つの端子開口孔14−1が形成されている。端子開口孔14−1内には、螺子形の線路側端子21が取り付けられている。電線導入孔13−1に挿入された図示しない線路の端末部は、線路側端子21により固定されるようになっている。
【0074】
同様に、他方の側壁部12−2の外側面には、図示しない1つの電線導入孔が設けられている。その側壁部12−2の上面には、1つの端子開口部14−2が形成されている。端子開口部14−2内には、螺子形の接地端子25が取り付けられている。側壁部12−2側の電線導入孔に挿入された図示しない線路の端末部は、接地端子25により固定されるようになっている。
【0075】
一方の側壁部12−1の外側面において、電線導入孔13−1の下方向の位置には、交換識別用端子103が着脱自在に挿着されている。
【0076】
SPDプラグ3側のプラグケース10−2は、略直方体形状をなし、この内部に、保護回路40及び動作表示装置100が設けられている。動作表示装置100の表示部140は、プラグケース10−2内の上部に配置され、その表示部140を構成する2つのLED141,142が、外部から視認可能な状態で取り付けられている。プラグケース10−2の上面には、確認ボタン136が突設されている。
【0077】
(実施例1の動作)
例えば、図1及び図7Aに示す保安器1において、落雷等により、線路側端子21と接地端子25との間に、サージ電圧が発生した場合の動作を説明する。
【0078】
図1に示す保安器1の線路側端子21と接地端子25との間にサージ電圧が発生すると、図2Cに示す保護回路40の線路側端子41と接地端子45との間のアレスタ73が放電し、サージ電流が、その線路側端子41からバリスタ71、アレスタ73及び接地用導線35を経由して接地端子45へ放流される。これにより、保安器1の機器側端子23,24に接続された被保護機器が保護される。
【0079】
接地用導線35にサージ電流が流れると、図4に示す動作表示装置100において、その接地用導線35の直近に配置された検出部110の検出コイル111に誘導電流が誘起される。検出コイル111に誘起された誘導電流は、過電圧抑制回路150を介して、波形処理部120内の全波整流回路121にて全波整流される。
【0080】
全波整流された誘導電流は、抵抗122にて電圧に変換されて検出電圧S122が生成される。生成された検出電圧S122の電圧波形は、ダイオード123を介して時定数回路124において、時間軸に対して引き延ばされて変形処理波形S125が生成され、抵抗125及びダイオード126の接続点を経由して、制御部130内の入力ポート133へ送られる。
【0081】
一方、全波整流された誘導電流は、抵抗127を介して、電圧制限回路160にて最高電圧値が一定値以下に制限され、抵抗163及びダイオード164によって起動電圧S164が生成される。生成された起動電圧S164は、制御部130内の入力ポート133へ送られ、スリープ状態になっているCPU131が起動(ウェイクアップ)する。CPU131は、消費電力を減らすために常時スリープ状態になっており、起動電圧S164の入力によりウェイクアップする。
【0082】
図8は、図4中の制御部130のウェイクアップ後の処理を示すフローチャートである。
制御部130内のCPU131が、スリープ状態からウェイクアップすると、制御部130において、以下のようなステップST1〜ST10の処理が行われる。
【0083】
ステップST1において、変形処理波形S125が、制御部130内の入力ポート133に入力される。ステップST2において、入力ポート133は、CPU131の制御により、入力された変形処理波形S125をデジタル信号に変換し、CPU131へ送る。ステップST3において、CPU131は、メモリ132に記憶された図6の相関値を参照し、デジタル信号に変換された変形処理波形S125の電圧値からサージ電流の電流値を算定してサージ電流算定結果を求め、このサージ電流算定結果が一定値(例えば、100A)以上か否かを判定し、一定値よりも小さい場合には(NO)、ステップST10へ進んで、スリープ状態になり、処理を終了する。
【0084】
ステップST3において、一定値以上の場合には(YES)、ステップST4へ進む。ステップST4において、CPU131は、計数値(カウント数)を+1増分(インクリメント)し、メモリ132に記憶してステップST6へ進む。ステップST6において、CPU131は、求めたサージ電流算定結果がこれまでで最大電流か否かを判定し、この判定結果が最大電流でない場合には(NO)、ステップST9へ進み、判定結果が最大電流の場合には(YES)、ステップST7へ進む。
【0085】
ステップST7において、CPU131は、最大電流値のセットを行い、ステップST8へ進み、メモリ132に記憶し、ステップST9へ進む。ステップST9において、CPU131は、メモリ132に記憶されたサージ電流算定結果に基づき、出力ポート135及び抵抗143,144を介して、表示部140のLED141,142に表示させた後、ステップST10へ進み、スリープ状態になって処理を終了する。
【0086】
図9A、図9B及び図9Cは、図4中の各部の信号波形を示す図である。
図9Aは、図4中の接地用導線35にサージ電流が流れたときの検出電圧S122の波形例を示す図である。図9Aの横軸は時間T(10μS/1目盛)、縦軸は電圧V(1V/1目盛)である。
【0087】
この検出電圧S122の波形は、例えば、8/20μS波形である。接地用導線35にインパルス性のサージ電流が流れると、検出電圧S122が急激に立ち上がり、時間8μS後に最高電圧値5Vに達し、その後、降下して行く。検出電圧S122は、立ち上がりから20μS後に、最高電圧値5Vの50%(=2.5V)まで減少する。
【0088】
図9Bは、図4中の起動電圧S164の波形例を示す図である。図9Bの横軸は時間T(10μS/1目盛)、縦軸は電圧V(500mV/1目盛)である。
【0089】
この起動電圧S164の波形は、LED161の閾値電圧Vfにより、最高電圧値Vmaxが2.0V以下に制限されている。接地用導線35にサージ電流が流れると、電圧制限回路160から抵抗163を介して出力される起動電圧S164が、最高電圧値Vmax(例えば、2.0V以下)まで立ち上がり、スリープ状態のCPU131がウェイクアップする。
【0090】
図9Cは、図4中の変形処理波形S125の電圧変化を示す図である。図9Cの横軸は時間T(10μS/1目盛)、縦軸は電圧V(200mV/1目盛)である。
【0091】
変形処理波形S125は、検出電圧S122の立ち上がりに伴い立ち上がり、時間10μSまでの間に最高電圧値800mVに達する。その後、立ち下がって時間20μS〜30μS頃には最低電圧値300mV以下に低下する。再び上昇して時間47μS頃には電圧値が700mV程度になる。再び低下して時間55μS頃には電圧値が600mVになる。その後、変形処理波形S125は、その電圧値600mVを維持する安定領域に入る。そのため、CPU131は、変形処理波形S125が時間100μS後の安定領域になった時を読み取りポイントPとして、その変形処理波形S125の電圧値600mVを入力ポート133でデジタル信号に変換させて読み取り、メモリ132に記憶された図6の相関値(起動電圧2.0V、変形処理波形S125の電圧値650mV、サージ電流400A)を参照し、比例式を用いて、変形処理波形S125の電圧値が600mVの時のサージ電流の電流値(=600mV×400A/650mV≒369.23)を算定してサージ電流算定結果を求める。
【0092】
このように、制御部130内のCPU131は、消費電力を少なくするために、通常、スリープ状態にしておく。一方、インパルス性のサージ電流波形の発生時間は、極めて短い。そこで、サージ電流波形に対する検出電圧S122波形の波尾を、波形処理部120にて引き延ばして変形処理波形S125を生成する。これにより、CPU131は、ウェイクアップした後にゆっくり変形処理波形S125を読み取ったとしても、サージ電流の大きさを的確に算定できる。
【0093】
図10は、図4中の表示部140の表示例を示す図である。
表示部140におけるLED141,142は、例えば、サージ電流が0A以上〜100A未満の場合には、共に消灯状態を維持する。サージ電流が100A以上〜300A未満の場合には、一方のLED141のみが一瞬点灯する。サージ電流が300A以上〜700A未満の場合には、他方のLED142のみが一瞬点灯する。サージ電流が700A以上〜1000A未満の場合には、LED141,142が共に一瞬点灯する。このようなLED141,142の点灯/消灯状態から、発生したサージ電流の大きさを外部から視認できる。
【0094】
なお、LED141,142を一瞬点灯させる理由は、保安器1の電源として例えば保安器1に内蔵させた電池を用いた場合に、低消費電力化を図るためである。
【0095】
サージ電流の動作履歴を確認したい場合は、図4中の確認ボタン136を押す。確認ボタン136が押されると、CPU131は、メモリ132に記憶されたサージ電流の動作履歴を基に、表示部140のLED141,142を動作させる。これにより、サージ電流の動作履歴を外部から確認できる。
【0096】
図11は、図4中の確認ボタン136が押された場合の制御部130の処理例を示すフローチャートである。
【0097】
例えば、過去に発生したサージ電流の検出回数が以下のような場合、その検出回数がメモリ132に記憶されている。
(小)100(A)以上〜300(A)未満のサージ電流の検出回数;3回
(中)300(A)以上〜700(A)未満のサージ電流の検出回数;5回
(大)700(A)以上〜1000(A)未満のサージ電流の検出回数;1回
(大中小)のサージ電流の合計(トータル)の検出回数;9回
【0098】
確認ボタン136が押されると、制御部130において、以下のようなステップST20〜ST27の処理が行われる。
【0099】
ステップST20において、確認ボタン136が押されると、このオン信号が入力ポート133を介してCPU131へ送られ、ステップST21へ進む。ステップST21において、CPU131は、送られてきたオン信号に基づき、確認ボタン136の1回押しか否かを判定し、1回押しの場合には(YES)、ステップST22へ進み、1回押しで無い場合には(NO)、ステップST23へ進む。ステップST22において、CPU131は、メモリ132に記憶されたサージ電流の最大電流値(700(A)以上〜1000(A)未満)を表示部140に表示させる。この場合は、例えば、2つのLED141,142が同時に1回点滅する。
【0100】
ステップST23において、CPU131は、確認ボタン136の2回押しか否かを判定し、2回押しの場合には(YES)、ステップST24へ進み、2回押しで無い場合には(NO)、ステップST25へ進む。ステップST24において、CPU131は、メモリ132に記憶されたサージ電流のトータルの検出回数を表示部140に表示させる。この場合は、例えば、LED142が9回点滅する。なお、サージ電流のトータルの検出回数が21回の場合は、LED141が2回点滅した後、LED142が1回点滅する。
【0101】
ステップST25において、CPU131は、確認ボタン136の長押しか否かを判定し、長押しの場合には(YES)、ステップST26へ進み、長押しで無い場合には(NO)、ステップST27へ進む。ステップST26において、CPU131は、メモリ132に記憶されたデータを消去(リセット)する。ステップST27において、CPU131は、スリープ状態になって処理を終了する。
【0102】
図12は、図4中の確認ボタン136が押された場合の制御部130の他の処理例を示す図である。
【0103】
前記と同様に、例えば、過去に発生したサージ電流の検出回数が以下のような場合、その検出回数がメモリ132に記憶されている。
(小)100(A)以上〜300(A)未満のサージ電流の検出回数;3回
(中)300(A)以上〜700(A)未満のサージ電流の検出回数;5回
(大)700(A)以上〜1000(A)未満のサージ電流の検出回数;1回
【0104】
確認ボタン136が押されると、CPU131は、メモリ132に記憶されたデータを読み出し、表示部140のLED141,142を以下のように点滅させる。
【0105】
LED141が3回点滅し、100(A)以上〜300(A)未満のサージ電流の検出回数が3回あったことを表示し、LED142が5回点滅し、300(A)以上〜700(A)未満のサージ電流の検出回数が5回あったことを表示し、更に、LED141及び142が同時に1回点滅し、700(A)以上〜1000(A)未満のサージ電流の検出回数が1回あったことを表示する。
【0106】
又、メモリ132に記憶されたサージ電流の動作履歴データは、図示しない外部機器からの要求に応じて、CPU131により読み出され、I/Oポート134から通信部137へ送られる。通信部137は、送られてきた動作履歴データに対して変調処理等を行って送信信号を生成し、外部機器へ送信する。PLCを行う場合は、通信部137で生成された送信信号が、電源端子101に接続された図7DのDINレール50内の基盤51を経由して外部機器へ送信される。
【0107】
なお、センサ138が設けられている場合には、このセンサ138により、保護回路40内における保護素子の切り離し状態が検出され、制御部130を経由して交換識別用端子103から外部へ出力される。
【0108】
(実施例1の効果)
本実施例1の保安器1によれば、次の(a)〜(d)のような効果がある。
【0109】
(a) 対接地間のサージ電流を検出するために、図2Cに示す接地用導線35の直近に検出コイル111を配置し、その接地用導線35に流れるサージ電流を検出し、波形処理部120により、その検出電圧の電圧波形を時間軸に対して引き延ばし、その後、制御部130内のCPU131により、サージ電流の電流値を算定しているので、インパルス性の小さなサージ電流も精度良く検出できる。なお、線間のサージ電流を検出する場合には、図2A、図2B及び図2Cにおいて、接地用導線35以外の所望の導線の直近に検出コイル111を配置すれば良い。
【0110】
(b) 検出コイル111を用いてサージ電流を検出し、この検出結果を制御部130内のメモリ132に記憶させるので、サージ電流の検出回数や大きさ等を把握できる。
【0111】
(c) 動作表示装置100を構成する部品点数が少ないので、構造が簡単である。動作表示装置100を構成する少数の部品を保安器100内に収容するか、あるいは、外付けにする構成になっているので、保安器1の小型化が容易である。表示部140を構成するLED141,142により、保安器1の動作状態を表示するので、保安器1を小型化しても、外部からの目視が容易である。
【0112】
(d) 通信部137や交換識別用端子103により、保安器1の動作及び劣化状態のデータ等を外部へ出力する構成になっているので、複数の位置にそれぞれ設置した複数の保安器1の動作及び劣化状態を、外部の監視装置等で一括して監視することが可能になる。この保安器監視システムの構成については、後記の実施例2等で説明する。
【0113】
(実施例1の検出コイルの変形例)
図13A,図13B及び図14は、図5の検出コイル111の変形例を示す斜視図である。
【0114】
図13Aは、変形例の検出コイル112を開いた状態を示す斜視図である。
この検出コイル112は、弾力性を有する板状の鉄心112aを有し、この鉄心112aに、絶縁被覆された絶縁電線からなる巻線112bが巻かれている。巻線112bは、接地用導線35又は他の導線に対して略平行になるように巻き回され、接地用導線35又は他の導線の直近に配置される。
【0115】
図13Bは、図13Aの検出コイル112をリング状に閉じて接地用導線35又は他の導線の周囲に配置した状態を示す斜視図である。
【0116】
検出コイル112を図13Aに示すように開いた状態にして接地用導線35又は他の導線に接触させ、リング状に閉じて接着テープ等で固定すれば、図13Bに示すように、検出コイル112を接地用導線35又は他の導線の外周に装着できる。このようなリング状の検出コイル112の構成に変形しても、接地用導線35又は他の導線に流れるサージ電流を精度良く検出できる。
【0117】
図14は、図13Bのリング状の検出コイル112の外周にシールド部材113を設けた状態を示す斜視図である。
【0118】
複数の保安器1を近接して配置する場合、隣接する各保安器1に設けられたリング状の検出コイル112が相互に干渉し、サージ電流を検出した検出コイル112の影響により、これに隣接する他の検出コイル112が反応してしまうことがある。このような場合には、図14に示すように、磁性体金属からなるシールド部材113により、リング状の検出コイル112の外周を電磁遮蔽すれば、前記の相互干渉の問題を解消できる。
【0119】
(実施例1の保安器の変形例)
図15Aは、実施例1の図7A、図7B、及び図7Cにおける保安器1の変形例を示す概略の斜視図である。図15Bは、図15Aの保安器を斜め上から見たときの概略の斜視図である。図15Cは、図15Aの保安器を正面から見たときの概略の正面図である。更に、図15Dは、図15B及び図15C中の機器取り付け用レールであるDINレールの斜視図である。
【0120】
図15A、図15B及び図15Cでは、保安器200の主要部のみが模式的に図示されている。
【0121】
この変形例の保安器200では、図7A、図7B及び図7Cに示すPLC方式の保安器1と異なり、電力線と通信回線とを別にした非PLC方式の構造になっている。
【0122】
保安器200は、保安器1と同様に、ジャック盤2とSPDプラグ3とで構成され、この保安器200のケース10が、ジャック盤2側のジャックケース10−1と、SPDプラグ3側のプラグケース10−2とに、分割されている。保安器200では、保安器1と同様に、ジャックケース10−1の底面に、固定爪15と移動爪16とが設けられている。これらの固定爪15と移動爪16とにより、図15Dに示すDINレール250を挟持し、そのDINレール250に対してジャック盤2を取り外し可能に固定する構造になっている。
【0123】
保安器200では、固定爪15と移動爪16との間において、一対の凸状の正極側電源端子101a及び負極側電源端子101bからなる電源端子101の近傍に、一対の凸状の正極側通信端子201a及び負極側通信端子210bからなる通信端子201が追加されている点が、保安器1と異なる。図15Dに示すDINレール250内には、絶縁性を有する基盤251が配設されている。基盤251上には、一対の凹状の正極側電源端子252a及び負極側電源端子252bからなる電源端子252と、この近傍に配置された一対の凹状の正極側通信端子253a及び負極側通信端子253bからなる通信端子253とが、所定間隔隔てて複数設けられている。複数の電源端子252及び複数の通信端子253は、基盤251に形成された図示しない導電パターンに接続されている。
【0124】
ジャック盤2側の電源端子101及び通信端子201は、DINレール250側の電源端子252及び通信端子253に対してそれぞれ着脱自在に挿入されるようになっている。保安器200では、図3に示す動作表示装置100において、通信部137が、電源端子101に代えて、通信端子201に接続されている。保安器200のその他の構造は、保安器1と同様である。
【0125】
このような非PLC方式の保安器200においても、PLC方式の保安器1とほぼ同様の作用効果を奏する。
【実施例2】
【0126】
(実施例2の構成)
図16Aは、本発明の実施例2における保安器監視システムの概略を示す模式的な構成図である。図16Bは、図16A内のセンタユニットを示す概略の構成図である。更に、図16Cは、図16A内の監視装置を示す概略の構成図である。
【0127】
図16Aに示すように、保安器監視システムは、複数の監視箇所に設置される複数の保安器盤300(例えば、300−1,300−2,300−3)を備えている。各保安器盤300は、各監視箇所の電源線又は通信線等の複数回線の線路400に接続された被保護機器401を、雷等のサージ電流の侵入から保護する装置である。各保安器盤300は、通信網(ネットワーク)間を相互接続する通信機器であるルータ(router)等の各伝送装置410(例えば、410−1,410−2,410−3)を介して、通信路であるネットワーク420に接続されている。ネットワーク420には、ルータ等の伝送装置421を介して、各保安器盤300を遠隔監視するための監視装置430が接続されている。
【0128】
各保安器盤300は、装置収容用の収容函301をそれぞれ有している。各収容函301内には、複数回線(例えば、4回線)の線路400に接続された端子盤302と、線路400の各回線に侵入する雷等のサージ電流をそれぞれ抑制するための図15Aに示す4個の保安器200(例えば、200−1,200−2,200−3,200−4)と、この4個の保安器200−1〜200−4の動作状態や動作履歴等を計数(カウンタ)するためのセンタユニット310とが設けられている。
【0129】
端子盤302は、4回線の線路400に接続された4つの端子302a,302b,302c,302dを有している。各端子302a〜302dには、各保安器200(=200−1〜200−4)の線路側端子21がそれぞれ接続されている。各保安器200の接地端子25は、共通の接地線303を介して、集合接地線304に接続され、この集合接地線304がグランドGNDに接続されている。更に、各保安器200の通信端子201は、伝送路としての各通信線305を介して、センタユニット310に接続されている。集合接地線304には、サージ電流検出用の計器用変流器 (Current Transformer、以下「CT」という。)306が装着され、このCT306がセンタユニット310に接続されている。
【0130】
センタユニット310は、例えば、図15Aに示す保安器200と同程度の大きさで、図15Dに示すDINレール250への装着が可能な構造になっている。図16Bに示すように、センタユニット310内には、CPU等で構成された制御部311と、この制御部311によりそれぞれ制御されるメモリ312、入力部313、検出部314、I/Oポート315、表示部316及び通信部317等を備えている。メモリ312は、データやプログラムを保存する記憶装置であり、制御部311により読み書き(アクセス)される。入力部313は、制御部311に対して操作信号等を入力するものであり、表示ボタン等で構成されている。検出部314は、CT306の出力電流から、集合接地線304に流れる雷等のサージ電流を検出し、この検出電圧を制御部311へ与えるものである。
【0131】
表示部316及び通信部317は、I/Oポート315を介して制御部311に接続されている。表示部316は、制御部311により制御されてデータ等を表示するものであり、液晶表示器等で構成されている。通信部317は、通信線305を介して、各保安器200とデータ等を送受信するものである。
【0132】
図16Cに示すように、監視装置430は、遠方の各保安器盤300内の保安器200−1〜200−4の動作状態や動作履歴等を監視するものである。この監視装置430は、CPU等で構成された制御部431と、この制御部431によりそれぞれ制御されるメモリ432、入力部433、出力部434、I/Oポート435、表示部436及び通信部437等を備え、パーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)等で構成されている。
【0133】
入力部433は、キーボートやマウス等の入力機器により構成されている。出力部434は、プリンタ等の出力機器により構成されている。表示部436は、I/Oポート435を介して制御部431により制御され、データ等を表示するための表示装置により構成されている。通信部437は、I/Oポート435を介して制御部431により制御され、外部との間でデータ等の送受信を行うものである。
【0134】
なお、線路400の回線数、保安器盤300の設置台数、あるいは、各保安器盤300内に設けられる保安器200の数は、任意の数に変更できる。
【0135】
(実施例2の動作)
例えば、保安器盤300−1内に設けられた各保安器200(=200−1〜200−4)において、図3に示す動作表示装置100では、次の(1)〜(3)のような処理を行う。
【0136】
(1) 保安器200内の接地用導線35に雷等のサージ電流が流れた場合、このサージ電流を検出コイル111で検出し、波形処理部120を介して、制御部130で電流値算定を行い、LED141,142の点灯処理を行う。更に、制御部130の制御により、算定された電流値をメモリ132に記憶する。
【0137】
(2) 確認ボタン136が押された場合、制御部130は、メモリ132に記憶されたデータを参照し、LED141,142の点灯処理を行う。
【0138】
(3) センタユニット310の通信部317から、通信線305を介して、サージ電流有無等の照会を受けた場合、制御部130内のCPU131は、メモリ132内のデータを参照し、I/Oポート134、通信部137及び通信線305を経由して、センタユニット310の通信部317に対してサージ電流の有無や電流値を回答する。
【0139】
センタユニット310では、次の(a)、(b)のような処理を行う。
(a) 集合接地線304にサージ電流が流れた場合、このサージ電流をCT306及び検出部314によって検出し、制御部311で電流値の算定を行い、メモリ312にその電流値を保存し、時刻設定(タイムスタンプ)も行う。
【0140】
更に、制御部311は、I/Oポート315、通信部317、及び通信線305を経由して、各保安器200(=200−1〜200−4)に、サージ電流の有無の照会を行う。その後、制御部311は、各保安器200からの回答内容(例えば、サージ電流の有無や電流値等)をメモリ312に保存させる。それと共に、制御部311は、各保安器200からの回答内容にタイムスタンプを付した情報を、通信部317、伝送装置410−1、ネットワーク420及び伝送装置421を経由して、監視装置430の通信部437へ通知する。
【0141】
(b) 入力部313の表示ボタンを押す等して、制御部311から表示部316に対して表示命令がされた場合、制御部311は、メモリ312に保存された各保安器200の諸情報(例えば、動作履歴である日時、電流値等)を表示部316に表示させる。
【0142】
図17は、図16Bのセンタユニット310における表示部316の表示例を示す図である。
【0143】
入力部313の表示ボタンが押されたときなどの場合、表示部316には、履歴No.「No.32」、日時「2010/10/31、18:30」、電流値として、合計(CU)「700(A)」、保安器200−1「180(A)」、保安器200−2「160(A)」、保安器200−3「190(A)」、保安器200−4「170(A)」が表示される。
【0144】
次に、入力部313の前履歴ボタンが押されると、表示部316には、履歴No.「No.31」、日時「2010/10/20、17:50、電流値として、合計(CU)「200(A)」、保安器200−1「80(A)」、保安器200−2「表示無し」、保安器200−3「50(A)」、保安器200−4「70(A)」が表示される。
【0145】
なお、表示部316の表示において、「電流値」は数値でなくとも良い。例えば、「有」、「無」の表示にしたり、あるいは、「大」、「中」、「小」の表示にしても良い。又、「電流値」は、これまでの「最大電流値」を表示するようにしても良い。
【0146】
図18は、図16Cの監視装置430における表示部436の表示例を示す図である。
表示部436には、監視場所「保安器盤300−1」、動作履歴情報として「履歴No.」、「日時」、「電流値」、諸情報としてセンタユニット310及び保安器200−1,200−2,200−3,200−4の「設置日」、「最大電流値→保安器交換必要度」、「保安器劣化信号有無→保安器交換要否」が表示される。
【0147】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、各保安器盤300内に、複数(例えば、4個)の保安器200−1〜200−4と、センタユニット310とが収容され、そのセンタユニット310により、複数の保安器200−1〜200−4の動作状態や動作履歴等をカウンタする構成になっている。そのため、そのカウント結果を外部の監視装置430へ送信することにより、監視装置430側において、複数の保安器200−1〜200−4の動作及び劣化状態を一括して監視することが容易になる。
【0148】
(実施例2のセンタユニットの変形例)
図19は、図16Bのセンタユニット310の変形例を示す構成図である。
この変形例のセンタユニット320では、図16Bのセンタユニット310における表示部316を省略し、この表示部316に代えて、複数の表示用の接続端子321,322を設け、この接続端子321,322をI/Oポート315に接続している。その他の構成は、図16Bのセンタユニット310と同様である。
【0149】
センタユニット320では、例えば、接続端子321に携帯型の表示機330を接続し、この表示機330の表示画面で、各保安器200の動作状態や動作履歴等を確認する。あるいは、接続端子322に携帯型のPC331を接続し、このPC331の画面で、各保安器200の動作状態や動作履歴等を確認する構成になっている。
【0150】
この変形例のセンタユニット320によれば、表示部を省略したので、より小型化と低コスト化が可能になる。又、例えば、機器の保守をする際、機器にテスタを接続して確かめることは普通に行われている。これと同様の発想から、センタユニット320に表示機330やPC331を接続して各保安器200の動作状態や動作履歴等を確認できるので、使い勝手が良い。
【実施例3】
【0151】
(実施例3の構成)
図20は、本発明の実施例3における保安器監視システムの概略を示す模式的な構成図である。この図20において、実施例2を示す図16A及び図16B中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0152】
本実施例3の保安器監視システムでは、複数の監視箇所に設置される複数の保安器盤500(例えば、500−1,500−2,500−3)を備えている。各保安器盤500は、実施例2と同様に、各監視箇所の複数回線の線路400に接続された被保護機器401を、雷等のサージ電流の侵入から保護する装置である。各保安器盤500は、実施例2と同様に、各伝送装置410(例えば、410−1,410−2,410−3)を介して、ネットワーク420に接続されている。ネットワーク420には、実施例2と同様に、伝送装置421を介して、監視装置430が接続されている。
【0153】
各保安器盤500の収容函501内には、実施例2と同様の端子盤302と、実施例2の保安器200とは構成の異なる4個の保安器510(例えば、510−1,510−2,510−3,510−4)と、実施例2のセンタユニット310とは構成の異なるセンタユニット520とが設けられている。
【0154】
各保安器510は、実施例2の保安器200と同様の線路側端子21及び接地端子25と、実施例2の通信端子201とは異なる無線通信部511とを有している。各保安器510の線路側端子21は、実施例2と同様に、端子盤302に接続されている。各保安器510の接地端子25は、実施例2と同様に、共通の接地線303を介して、集合接地線304に接続され、この集合接地線304がグランドGNDに接続されている。更に、各保安器500の無線通信部511は、実施例2の有線通信とは異なり、無線通信により、センタユニット520に対してデータ等の送受信を行う構成になっている。即ち、本実施例3の保安器500における無線通信部511は、図3中の通信部137に代えて動作表示装置100内に設けられている。
【0155】
センタユニット520は、実施例2のセンタユニット310と同様に、例えば、図15Aに示す保安器200と同程度の大きさで、図15Dに示すDINレール250への装着が可能な構造になっている。本実施例3のセンタユニット520では、実施例2のセンタユニット310における通信部317に代えて、無線通信部521が設けられている点が、実施例2と異なる。センタユニット520の無線通信部521は、各保安器510側の無線通信部511に対して、無線にてデータ等の送受信を行う機能を有している。その他の構成は、実施例2と同様である。
【0156】
なお、実施例2と同様に、線路400の回線数、保安器盤500の設置台数、あるいは、各保安器盤500内に設けられる保安器510の数は、任意の数に変更できる。
【0157】
(実施例3の動作)
各保安器510では、センタユニット520の無線通信部521から、無線により、サージ電流有無等の照会を受けた場合、センタユニット520の無線通信部521に対して無線にて、サージ電流の有無や電流値を回答する。
【0158】
センタユニット520では、各保安器510に対して無線にて、サージ電流の有無の照会を行う。その後、センタユニット520は、実施例2と同様に、各保安器510からの回答内容を保存すると共に、各保安器510からの回答内容にタイムスタンプを付した情報を、伝送装置410−1、ネットワーク420及び伝送装置421を経由して、監視装置430へ通知する。
【0159】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、実施例2とほぼ同様の効果がある。特に、本実施例3では、各保安器510とセンタユニット520とが、無線にてデータ等の送受信を行う構成になっているので、各保安器盤500内の配線を簡素化できる。
【実施例4】
【0160】
(実施例4の構成)
図21は、本発明の実施例4における保安器監視システムの概略を示す模式的な構成図である。図22Aは、図21中の4つの保安器の設置状態を示す概略の斜視図である。更に、図22Bは、図22Aの概略の平面図である。これらの図21、図22A及び図22Bにおいて、実施例2を示す図16A、図16B及び図16C中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0161】
本実施例4の保安器監視システムでは、複数の監視箇所に設置される複数の保安器盤600(例えば、600−1,600−2,600−3)を備えている。各保安器盤600は、実施例2と同様に、各監視箇所の複数回線の線路400に接続された被保護機器401を、雷等のサージ電流の侵入から保護する装置である。各保安器盤600は、実施例2と同様に、各伝送装置410(例えば、410−1,410−2,410−3)を介して、ネットワーク420に接続されている。ネットワーク420には、実施例2と同様に、伝送装置421を介して、監視装置430が接続されている。
【0162】
各保安器盤600の収容函601内には、実施例2と同様に、端子盤302と、4個の保安器200(例えば、200−1,200−2,200−3,200−4)と、センタユニット310とが設けられている。
【0163】
各保安器200は、実施例2と同様の線路側端子21及び接地端子25を有し、その線路側端子21が、端子盤302に接続され、その接地端子25が、共通の接地線303を介して集合接地線304に接続されている。
【0164】
4つの保安器200−1〜200−4と、センタユニット310とは、図15Dに示す実施例2のDINレール250に対して着脱自在に装着されている点が、実施例2の図16Aと異なる。4つの保安器200−1〜200−4の各電源端子101及び各通信端子201と、センタユニット310の図示しない電源端子及び通信端子とは、DINレール250の基盤251上における電源端子252及び通信端子253にそれぞれ挿着され、それらの4つの保安器200−1〜200−4とセンタユニット310とが、相互に接続されている。その他の構成は、実施例2と同様である。
【0165】
なお、実施例2と同様に、線路400の回線数、保安器盤600の設置台数、あるいは、各保安器盤600内に設けられる保安器200の数は、任意の数に変更できる。
【0166】
(実施例4の動作)
各保安器200では、センタユニット310の通信部317から、DINレール250を介して、サージ電流有無等の照会を受けた場合、センタユニット310の通信部317に対し、DINレール250を介して、サージ電流の有無や電流値を回答する。
【0167】
センタユニット310では、各保安器200に対し、DINレール250を介して、サージ電流の有無の照会を行う。その後、センタユニット310は、実施例2と同様に、各保安器200からの回答内容を保存すると共に、各保安器200からの回答内容にタイムスタンプを付した情報を、伝送装置410−1、ネットワーク420及び伝送装置421を経由して、監視装置430へ通知する。
【0168】
本実施例4におけるDINレール250の基盤251は、電源線と通信線を実装したPLC方式としない構成になっている。保安器200をDINレール250に取り付ける際、保安器200の底面の電源端子101及び通信端子201と、基盤251の電源端子252及び通信端子253とが、着脱自在に挿着される構造になっている。このような構造の場合、プラグアンドプレイ(Plug and play)機能を付加することが可能となる。プラグアンドプレイとは、機器と機器とが接続された際(例えば、機器と機器とが接続されることにより、機器間に電源が通電された際)に、自動的に所定の処理が行われる機能のことである。即ち、本実施例4では、保安器200をDINレール250に取り付けた際、その保安器200に電源が供給されるため、プラグアンドプレイ機能を付加することができる。
【0169】
図23は、プラグアンドプレイ機能の処理を示すフローチャートである。
プラグアンドプレイ機能の処理では、保安器200側においてステップST30〜ST34の処理を行い、センタユニット310側においてステップST40〜ST44の処理を行う。
【0170】
先ず、保安器200側のステップST30において、センタユニット310が装着されたDINレール250に、保安器200(例えば、200−1)が装着されると、保安器200−1側の電源端子101及び通信端子201と、センタユニット310側の図示しない電源端子及び通信端子とが、DINレール250の基盤251を介してそれぞれ電気的に接続される。これにより、センタユニット310は、保安器200が装着されたことを認識し、装着された保安器200との通信を自動的に開始する。
【0171】
保安器200−1は、ステップST31において、通信端子201から、登録コマンド(例えば、保安器200−1のIDナンバといった固有番号)を送信する。送信された登録コマンドは、基盤251を経由してセンタユニット310へ送られる。その後、保安器200−1は、ステップST32において、自己の登録コマンドがセンタユニット310側に登録されたか否かの登録有無の回答待ち状態になる。
【0172】
一方、センタユニット310は、ステップST40において、保安器200−1から送られてきた登録コマンドを受信すると、ステップST41において、装着された保安器200−1の固有番号の割り振りを行い、保安器200−1の装置IDを決定する。更に、センタユニット310は、ステップST42において、保安器200−1を監視対象に登録し、ステップST43において、装置IDを含む登録完了の情報を保安器200−1へ送信する。更に、センタユニット310は、ステップST44において、監視対象が追加された旨の情報を監視装置430へ送信する。これにより、監視装置430では、監視対象をメモリ432に保存して追加する。
【0173】
ステップST43において、装置IDを含む登録完了の情報が保安器200−1へ送信されると、この保安器200−1では、ステップST33において、その装置IDを受信した後、ステップST34において、自装置IDをメモリ132に記憶する等してセットする。これにより、プラグアンドプレイ機能の処理が終了する。
【0174】
なお、実施例1の図7A、図7B、図7C及び図7Dに示す保安器1及びDINレール50を用いて、PLC方式のプラグアンドプレイ機能を実現する場合には、DINレール50に設けられた基盤51の電源ラインを利用して、保安器1とセンタユニット310との間で通信を行えば良い。
【0175】
(実施例4の効果)
本実施例4によれば、実施例2とほぼ同様の効果がある。特に、本実施例4では、基盤251が設けられたDINレール250、又は、基盤51が設けられたDINレール50上に、複数の保安器200又は複数の保安器1と、センタユニット310とを着脱自在に装着する構成にしたので、プラグアンドプレイ機能を付加することが可能になる。これにより、各保安器盤600内の配線を簡素化できる。
【0176】
(他の変形例)
本発明は、上記実施例及び変形例に限定されず、その他、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(A)〜(E)のようなものがある。
【0177】
(A) 保安器1,200,510は、ジャック盤2とSPDプラグ3とを分離した構造になっているが、そのジャック盤2とSPDプラグ3とを一体化した構造に変形しても良い。又、保安器1,200,510は、DINレール50,250に装着可能な構造になっているが、螺子等で、DINレール以外の部材に取り付ける構造に変更しても良い。
【0178】
(B) 保安器1,200,510は、図示以外の回路構成に変更しても良い。
【0179】
(C) 保安器盤300,500,600は、内部の複数の保安器200,510を図示以外の配置形態に変更したり、あるいは、他の回路部品を追加する等しても良い。
【0180】
(D) 複数の保安器盤300,500,600を用いた保安器監視システムは、図示以外の形態に変更しても良い。
【0181】
(E) 保安器1,200,510及びセンタユニット310,320,520は、必ずしも保安器盤300,500,600又は収容函301,501,601の中に収容されていなくても良い。例えば、保安器1,200,510及びセンタユニット310,320,520からなる保安器監視ユニットを構成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0182】
1,200(200−1,200−2,200−3,200−4),510(510−1,510−2,510−3,510−4) 保安器
2 ジャック盤
3 SPDプラグ
10 ケース
40,40−1,40−2,40−3 保護回路
50,250 DINレール
51,251 基盤
100 動作表示装置
110 検出部
111,112 検出コイル
113 シールド部材
120 波形処理部
130 制御部
140 表示部
141,142 LED
300(300−1,300−2,300−3),500(500−1,500−2,500−3),600(600−1,600−2,600−3) 保安器盤
310,320,520 センタユニット
400 線路
401 被保護機器
430 監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路に接続される複数の外部端子が設けられたケースと、
前記ケース内に収容され、前記複数の外部端子に導線を介して接続され、前記導線に侵入するサージ電流を抑制する保護回路と、
前記ケース内に内蔵され、又は前記ケース外に外付けされ、前記導線を流れる前記サージ電流を検出して前記保護回路の動作状態を表示する動作表示装置と、
を備えた保安器であって、
前記動作表示装置は、
前記導線の近傍に配設され、前記導線を流れる前記サージ電流によって誘起される誘導電流を出力する検出コイルを有する検出部と、
前記誘導電流を電圧に変換して検出電圧を生成し、前記検出電圧の電圧波形を時間軸に対して引き延ばし処理を行って変形処理波形を出力する波形処理部と、
前記変形処理波形を入力し、前記変形処理波形の電圧値から前記サージ電流の電流値を算定してサージ電流算定結果を求める制御部と、
前記制御部により制御され、外部から視認可能な状態で、前記サージ電流算定結果を表示する表示部と、
を有することを特徴とする保安器。
【請求項2】
前記ケースの底面は、
機器取り付け用レールに対して着脱自在に装着可能な構造になっていることを特徴とする請求項1記載の保安器。
【請求項3】
前記線路は、電源線又は通信線と接地線とであり、
前記保護回路は、単数又は複数のアレスタと、単数又は複数のバリスタと、アレスタ及びバリスタの組み合わせと、のいずれか1つを含むように構成されていることを特徴とする請求項1記載の保安器。
【請求項4】
前記検出部の前記検出コイルは、鉄心に巻線を巻いたコアコイルであり、
前記巻線の巻き回し方向が、前記導線に対して略垂直又は略平行になるように、前記導線の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1記載の保安器。
【請求項5】
前記検出部は、
前記検出コイルと、前記検出コイルを包囲する磁性体金属からなるシールド部材とを有し、
前記検出コイルは、鉄心に巻線を巻いたコアコイルであり、前記巻線の巻き回し方向が、前記導線に対して略垂直又は略平行になるように、前記導線の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1記載の保安器。
【請求項6】
前記波形処理部は、
前記検出電圧を生成する電流/電圧変換用の抵抗と、
前記引き延ばし処理を行うための時定数の大きな抵抗及びコンデンサの直列回路と、
を有することを特徴とする請求項1記載の保安器。
【請求項7】
前記制御部は、
前記変形処理波形を入力する入力ポートと、
前記表示部に対して前記サージ電流算定結果を出力する出力ポートと、
信号の入/出力を行う入/出力ポートと、
前記演算機能及び前記制御機能を有する中央処理装置と、
前記変形処理波形の電圧値から前記サージ電流の電流値を算定するための、前記変形処理波形の電圧値と前記サージ電流の電流値との相関データを含むデータを記憶するメモリと、
を有するマイクロコントローラにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の保安器。
【請求項8】
前記表示部は、前記サージ電流算定結果を点灯表示する発光素子により構成されていることを特徴とする請求項1記載の保安器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の保安器が1つ又は複数収容された収容函と、
前記収容函内に配設され、前記保安器と有線通信又は無線通信を行い、前記保安器の動作状態及び動作履歴を保存するセンタユニットと、
を備えたことを特徴とする保安器盤。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の保安器が1つ又は複数収容された収容函と、
前記収容函内に配設され、伝送路を介して前記保安器と通信を行い、前記保安器の動作状態及び動作履歴を保存するセンタユニットと、
を備えた保安器盤であって、
前記伝送路は、
前記保安器と前記センタユニットとを着脱自在に装着するための機器取り付け用レールと、
前記機器取り付け用レール内に配設され、前記保安器と前記センタユニットとを電気的に接続するための基盤と、
を有することを特徴とする保安器盤。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の1つ又は複数の保安器と、
前記保安器の近傍に配設され、前記保安器と有線通信又は無線通信を行い、前記保安器の動作状態及び動作履歴を保存するセンタユニットと、
を備えたことを特徴とする保安器監視ユニット。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の1つ又は複数の保安器と、
前記保安器の近傍に配設され、伝送路を介して前記保安器と通信を行い、前記保安器の動作状態及び動作履歴を保存するセンタユニットと、
を備えた保安器監視ユニットであって、
前記伝送路は、
前記保安器と前記センタユニットとを着脱自在に装着するための機器取り付け用レールと、
前記機器取り付け用レール内に配設され、前記保安器と前記センタユニットとを電気的に接続するための基盤と、
を有することを特徴とする保安器監視ユニット。
【請求項13】
1つ又は複数の箇所に設置された請求項9又は10記載の保安器盤と、
前記保安器盤と通信を行い、前記保安器盤を遠隔監視する監視装置と、
を備えたことを特徴とする保安器監視システム。
【請求項14】
1つ又は複数の箇所に設置された請求項11又は12記載の保安器監視ユニットと、
前記保安器監視ユニットと通信を行い、前記保安器監視ユニットを遠隔監視する監視装置と、
を備えたことを特徴とする保安器監視システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−161137(P2012−161137A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17971(P2011−17971)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000130835)株式会社サンコーシヤ (64)
【Fターム(参考)】