保持機能付きスライドレールユニット
【課題】 インナレールをアウタレールに収納する際に、大きな押圧力を与えることなくアウタレールに自動的に引き込み、引き込んだ状態を保持することが可能であり、しかも少ない部品点数で簡易に且つ低コストで生産することが可能なスライドレールユニットを提供する。
【解決手段】 第1のレール1に対してその長手方向及び幅方向へ移動自在に立設された保持ピン30と、この保持ピン30を第2のレール2のストローク終端に向けて付勢する弾性部材31と、第1のレール1に設けられ、弾性部材31の付勢力に抗して保持ピン30をストローク終端から離れた待機位置に係止すると共に、待機位置から離脱した保持ピン30を前記付勢力に伴ってストローク終端へ向けて案内するピン誘導部材32と、前記第2のレール2に設けられ、前記ピン誘導部材32と重なるにつれて前記保持ピン30をピン誘導部材32の待機位置から離脱させて係止するカム部材とを備えている。
【解決手段】 第1のレール1に対してその長手方向及び幅方向へ移動自在に立設された保持ピン30と、この保持ピン30を第2のレール2のストローク終端に向けて付勢する弾性部材31と、第1のレール1に設けられ、弾性部材31の付勢力に抗して保持ピン30をストローク終端から離れた待機位置に係止すると共に、待機位置から離脱した保持ピン30を前記付勢力に伴ってストローク終端へ向けて案内するピン誘導部材32と、前記第2のレール2に設けられ、前記ピン誘導部材32と重なるにつれて前記保持ピン30をピン誘導部材32の待機位置から離脱させて係止するカム部材とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば家具類における引き出しや複写機におけるペーパトレイ等、所定方向に沿って相対的に往復動する一対の部材の間に設けられて、これら部材の相対的な進退運動を支承するスライドレールユニットに係り、特に、かかる進退運動のストロークの終端において可動部材を該終端方向へ向けて付勢し、終端位置に保持することが可能なスライドレールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家具やシステムキッチンにおける引き出し等の可動部材の進退運動を支承する案内部材として、アウタレールとインナレールとを備えたスライドレールユニットが知られている(特開平11−201158号公報等)。具体的には、長手方向に沿って一対のボール転走部を曲げ起こしてチャネル状に形成されたアウタレールと、このアウタレールよりも一回り小さく形成され、やはり一対のボール転走部を曲げ起こしてチャネル状に形成されたインナレールと、これらアウタレールのボール転走部の内側とインナレールのボール転走部の外側を転走する多数のボールと、前記アウタレールとインナレールとの間でボールを所定の間隔で整列させるリテーナとから構成されており、例えば、前記アウタレールを家具本体に、インナレールを引き出しの両側面に固定して使用される。
【0003】
前記インナレールはボールを介してアウタレールの内側に嵌合していることから、かかるインナレールをアウタレールの内部から自在に引き出すことが可能であり、インナレールの引き出しに伴って前記ボールがリテーナと共にアウタレール内を移動するようになっている。これにより、引き出しを家具本体から自在に引き出し、あるいは家具本体へ引き込むことが可能となっている。
【0004】
また、このスライドレールユニットとしては、閉めた筈の引き出しの半開き状態を解消すると共に、地震等によって引き出しが勝手に開いてしまう不都合を解消するため、インナレールをアウタレール内にある程度まで収納すると、かかるインナレールに対してこれをアウタレール内に引き込む付勢力が作用し、この付勢力によってインナレールをアウタレール内に引き込み、そのまま保持するタイプのものも提案されている(特開平6−245830号公報、特開平11−206489号公報、特開2004−344188号公
報)。
【0005】
特開平6−245830号公報に開示されるスライドレールユニットでは、インナレール側に設けられたローラがアウタレール上を転走し、これによってインナレールがアウタレールに沿って自在に進退可能となっているが、インナレールをアウタレールに引き込む際、前記ローラがアウタレール側に設けられた板ばねを乗り越えるように構成されており、かかる板ばねによってローラがインナレールの引き込み方向へ付勢されるようになっている。また、ローラが板ばねを逆方向へ乗り越えないとインナレールをアウタレールから引き出すことはできず、インナレールをアウタレールから引き出す方向に関しては軽い係止力が作用している。
【0006】
また、特開平11−206489号公報に開示されるスライドレールユニットでは、アウタレール内に板ばねからなる規制体が回動可能に、且つ、所定の姿勢に付勢された状態で配置される一方、インナレールには前記規制体に係合する係合軸が固定的に立設されている。インナレールをアウタレール内に押し込むと前記係合軸が規制体を押圧し、最初は前記規制体がインナレールを押し戻す方向へ付勢力を発揮するが、この付勢力に抗してインナレールを押し込むと、前記規制体が死点を乗り越えて回転し、今度は規制体がインナレールをアウタレール内に引き込む方向へ付勢力を及ぼすようになる。また、インナレールをアウタレールから引き出す際には、前記規制体が再度死点を乗り越えて回転しなければならない。これにより、インナレールをアウタレールから引き出す方向に関しては軽い係止力が作用することになる。
【0007】
更に、特開2004−344188号公報に開示されるスライドレールユニットでは、アウタレールに対してスプリングで付勢された駒部品の案内ケースが取り付けられており、このケース内をスライドする駒部品に対してインナレール側に立設されたピンを係合あるいは離脱させることで、インナレールをアウタレールに対して引き込み、引き込んだインナレールをアウタレール内に保持するように構成されている。前記駒部品はインナレール側のピンが係合又は離脱することから、合成樹脂によって所定形状に形成されて、ばね性を与えられており、前記ケース内で弾性的に変形することによって、前記ピンの係合及び離脱を許容している。
【特許文献1】特開平11−201158号公報
【特許文献2】特開平6−245830号公報
【特許文献3】特開平11−206489号公報
【特許文献4】特開2004−344188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特開平6−245830号公報、特開平11−206489号公報に開示されるスライドレールユニットにおいては、インナレールをアウタレール内に収納する際に、板ばねの付勢力に真っ向から対向してインナレールをアウタレール内に押し込む必要があり、例えば家具本体に対して引き出しを押し込む際に、大きな押圧力が必要になるといった不都合があった。また、板ばねを用いたインナレールの付勢では、かかる付勢力が作用する距離を長く設定することができず、短い距離で急激に付勢力が作用してしまうので、引き出しを開閉する際の使用感が悪いものになってしまうといった不都合もあった。
【0009】
更に、特開2004−344188号公報に開示されるスライドユニットにおいては、合成樹脂製の駒部品やそれを案内するためのケース等が必要となり、組み立てに手間がかかる他、生産コストが嵩んでしまうといった不都合があった。また、前記駒部品はその弾性変形によってインナレール側のピンの係合又は離脱を可能としているため、材質の選択が限定されてしまい、この点においても 生産コストが嵩んでしまうといった不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、インナレールをアウタレールに収納する際に、大きな押圧力を与えることなく該インナレールをアウタレールに自動的に引き込み、引き込んだ状態を保持することが可能であり、しかも少ない部品点数で簡易に且つ低コストで生産することが可能な保持機能付きスライドレールユニットを提供することにある。
【0011】
すなわち、本発明のスライドレールユニットは、第1のレールと、この第1のレールの長手方向に沿ってストローク自在な第2のレールと、この第2のレールのストローク終端の近傍において該第2のレールをストローク終端に向けて付勢する終端付勢手段とから構成されている。この終端付勢手段は、例えば第2レールを第1レールに引き込んだ際に、その移動ストロークの終端付近において第2レールをストローク終端に向けて付勢し、第2レールの引き込みを介助すると共に、終端まで引き込んだ状態維持する保持力を発揮する。これにより、このスライドレールユニットを用いて支持した家具の引き出しなどにおいては、かかる引き出しが閉塞時の反動によって半開き状態となってしまったり、地震によって意図せずして開いてしまったりといった不都合を回避することができるようになっている。
【0012】
この終端付勢手段は、第1のレールに対してその長手方向及び幅方向へ移動自在に立設された保持ピンと、この保持ピンを第2のレールのストローク終端に向けて常に付勢する弾性部材と、前記第1のレールに設けられ、前記弾性部材の付勢力に抗して前記保持ピンをストローク終端から離れた待機位置に係止すると共に、前記待機位置から離脱した保持ピンを前記付勢力に伴って前記ストローク終端へ向けて案内するピン誘導部材と、前記第2のレールに設けられ、前記ピン誘導部材と重なるにつれて前記保持ピンをピン誘導部材の待機位置から離脱させると共に、離脱後の保持ピンを係止するカム部材とから構成されている。
【0013】
前記保持ピンは第1のレールに設けられると共に弾性部材を引き延ばした状態でピン誘導部材の待機位置に係止されており、常に弾性部材の付勢力が作用している。従って、待機位置から離脱すると前記弾性部材の付勢力によって第2のレールのストローク終端に向けて移動するようになっている。一方、前記第2レールに設けられたカム部材は第1のレール側のピン誘導部材と重なるにつれ、前記保持ピンを待機位置から離脱させるように作用すると共に、離脱後の保持ピンを係止するようになっている。
【0014】
このため、第1のレールに対して第2のレールがストロークし、前記ピン誘導部材に対してカム部材が徐々に重なっていくと、保持ピンがピン誘導部材の待機位置から離脱すると共にカム部材に引っ掛かり、前記弾性部材の付勢力によって第2のレールがストローク終端に向けて引っ張られることになる。これにより、第2のレールを第1のレールに対して自動的に引き込み、引き込んだ状態を保持することが可能となる。
【0015】
このとき、待機位置に設定されていた保持ピンはカム部材によってその設定位置を変更されるだけであるから、かかる保持ピンを待機位置から離脱させるにあたり、前記第2のレールに対しては弾性部材の付勢力に抗した押圧力を与える必要はなく、第2のレールを軽く移動させるだけで、第2のレールを第1のレールに対して自動的に引き込むことが可能となる。また、前記カム部材としては、保持ピンに対して作用するカム溝を第2のレールに形成しさえすれば足り、少ない部品点数で簡易に且つ低コストで生産することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を用いて本発明のスライドレールユニットを詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明を適用したスライドレールユニットの実施の形態の一つを示すものである。このスライドレールユニットは、アウタレール1と、このアウタレール1内に収納されるインナレール2と、前記アウタレール1とインナレール2との間を転走する転動体としてのボール3と、アウタレール1とインナレール2との間で多数のボール3を所定間隔で配列させるリテーナ4とから構成されている。
【0018】
このスライドレールユニットは、例えば、図2に示すように家具本体50に対する引き出し51のスライド機構として利用され、アウタレール1が家具本体50に、インナレール2が引き出し51に固定され、かかる引き出し51を家具本体50に対して滑らかに出し入れすることができるようになっている。
【0019】
前記アウタレール1は鋼板をロールフォーミング加工により精密成形したものであり、取付け部11の長手方向に沿って一対のボール転走部12,12を曲げ起こすことによりチャネル状に形成されている。また、前記ボール転走部12の内側面には前記ボール3の球面に近似した曲率のボール転走面13が形成されている。
【0020】
一方、前記インナレール2も同様にして鋼板から成形され、取付け部21の長手方向に沿って一対のボール転走部22,22を曲げ起こすことによりチャネル状に形成されている。但し、インナレール2はアウタレール1のボール転走部12,12の間に収納され、該アウタレール1との間にボール3を配列することから、アウタレール2よりも一回り小さく形成されると共に、ボール転走部22の外側面にボール転走面23が形成されている。
【0021】
各レール1,2の取付け部11,21には取付けねじ5が貫通するねじ孔14,24が夫々開設されており、図3に示すように、例えばアウタレール1は取付ねじ5を用いて家具本体50に、インナレール2は取付ねじ5を用いて引き出し51に夫々固定される。
【0022】
また、前記リテーナ4は鋼板をプレス加工により成形し、あるいは合成樹脂を型内に射出して成形したものであり、図1に示すように、アウタレール1とインナレール2との間に挿入されてこれらレール1,2の間を転走する多数のボール3を等間隔で整列させ、互いに隣接するボール同士の接触を防止している。
【0023】
そして、このように構成されたスライドレールユニットにおいては、アウタレール1とインナレール2とが前述の如くボール3を介して嵌合していることから、かかるボール3の転動により、前記アウタレール1内に収納されたインナレール2を該アウタレール1内からスムーズに引っ張りだすことができる。
【0024】
このスライドレールユニットでは、インナレール2がアウタレール1と完全に重なった状態、すなわちインナレール2をアウタレール1内に完全に引き込んだ状態において、全長がもっとも短くなるように構成されており、例えば前述した引き出し51を家具本体50内に完全に収納した状態がこの状態に相当する。そのような使用において、引き出し51を家具本体50内に確実に収納し、且つ、その状態を保持するため、このスライドレールユニットにはアウタレール1に対するインナレール2の引き込みを補助するための機構6が設けられている。この機構6はインナレール2をアウタレール1内に引き込む際に、かかるインナレール2のストロークの終端位置の僅かに手前側で作用し、弾性部材としての引っ張りばねの付勢力を用いてインナレール2をアウタレール1内に引き込むように構成されている。
【0025】
この補助機構、すなわち本発明における終端付勢手段6は、アウタレール1に対して移動自在に設けられた保持ピン30と、この保持ピン30をインナレール2の引き込み方向へ常に付勢している弾性部材31と、アウタレール1に固定されると共に前記保持ピン30を所定の経路に沿って移動させるピン誘導部材32と、前記インナレール2に設けられると共に該インナレール2の動きに応じて前記保持ピン30を移動させるカム部材33とから構成されており、図1に示されるように、アウタレール及びインナレールの端部に装着されている。そして、アウタレール1に対してインナレール2を引き込むと、インナレール2側に設けられたカム部材33がアウタレール1側の保持ピン30と係合し、弾性部材31の引っ張り力(付勢力)が保持ピン30を介してインナレール2に作用するので、この付勢力によってインナレール2をアウタレール1に対して完全に引き込むことができるようになっている。
【0026】
図4a、図4b及び図4cは、前記保持ピン30、ピン誘導部材32及びカム部材33の関係を示す図であり、図4bは図4aのB矢視図、図4cは図4bのC矢視図である。これらの図において、前記ピン誘導部材32は合成樹脂製であり、正面プレート部32aと、この正面プレート部32aの両脇から突出する一対の脚部32b,32bと、これら脚部32bを介して前記正面プレート部32aと対向する背面プレート部32cとを有しており、背面プレート部がアウタレール1に固定されている。正面プレート部32aと背面プレート部32cとの間には空間が形成されており、この空間が前記保持ピン30の移動空間となっている。かかる正面プレート部32aには前記保持ピン30の移動を規制する誘導溝60が形成されており、保持ピン30はその先端が誘導溝60に挿入され、カム部材33に向けて突き出している。一方、前記保持ピン30は円盤状のベース部30aを有しており、このベース部30aが背面プレート部32cとピン誘導部材32の正面プレート部32aとの間に挟まれている。従って、保持ピン30はその先端を前記誘導溝60から突き出した状態でアウタレール1に対して自在に移動可能であり、かかる先端に対して外力が作用すると、その方向に応じて誘導溝60内を移動する。尚、このピン誘導部材32は図5に示すように金属板を折り曲げて形成することも可能であり、その場合には背面プレート32cを省略し、図1に示すように脚部32bを直接アウタレール1に固定することができる。
【0027】
また、前記保持ピン30のベース部30aには弾性部材としての引っ張りばね31の一端が固定されており、この引っ張りばね31の他端は前記ピン誘導部材32に設けられたスタッド32cに固定されている。このスタッド32cは誘導溝60に対してアウタレール1の端部側に位置している。保持ピン30が誘導溝60のどの位置に設定されていても、前記引っ張りばね31は伸張された状態にあり、保持ピン30には引っ張りばね31の付勢力がアウタレール1の端部方向、すなわちインナレール2の引き込み方向に向けて常に作用している。
【0028】
一方、前記誘導溝60は、引っ張りばね31の付勢力に抗して保持ピン30を係止するための係止凹部61と、この係止凹部61から連続すると共にアウタレール1の長手方向に沿って形成された引っ張りガイド部62とを有している。前記係止凹部61はインナレール2をアウタレール1から引き出した際に前記保持ピン30が設定される待機位置であり、保持ピン30が係止凹部61に設定されているときに、前記引っ張りばね31は最も伸張した状態にある。従って、後述するカム部材33の働きによって保持ピン30が待機位置である係止凹部61から抜け出すと、かかる保持ピン30は引っ張りばね31の付勢力によって前記引っ張りガイド部62を一気に移動して、かかる引っ張りガイド部62の終端にまで移動することになる。
【0029】
また、前記スタッド32cに近接した引っ張りガイド部62の端部には、インナレール2側のカム部材33の移動に関係なく待機位置(係止凹部61)から離脱してしまった保持ピン30を該待機位置に再設定する際に利用する退避凹部63が形成されている。この退避凹部63は引っ張りガイド部62と斜めに交わるようにして形成されている。この退避凹部63の詳しい利用方法については後述する。
【0030】
次に、インナレール2側に設けられた前記カム部材33について説明する。このカム部材33は金属板に案内溝64を切り欠いて形成されており、アウタレール1側のピン誘導部材32と対向するようにインナレール2の内側面に固定されている。前記案内溝64はアウタレール1に対するインナレール2の移動に応じて前記保持ピン30の設定位置を変更する所謂カム溝として構成されており、待機位置に設定された保持ピン30の先端を受け入れる導入部65と、受け入れた保持ピン30をアウタレール1の幅方向へ移動させて前記待機位置から離脱させる作用部66と、この作用部66を通過した保持ピン30を係止しておくピン留置部67とを備えている。このピン留置部67はピン誘導部材32の引っ張りガイド部62と対向しており、保持ピン30はピン留置部67に係止された状態で前記引っ張りガイド部62を移動することが可能となっている。
【0031】
図4cに示すように、ピン誘導部材32と前記カム部材33はアウタレール1とインナレール2との間で互いに対向し、ピン誘導部材32から突き出した保持ピン30の先端は前記カム部材33の案内溝64に挿入されている。もっとも、前記カム部材33は保持ピン30の先端が挿入される案内溝64を具備したものであれば良いから、案内溝64が形成されたカム部材33をインナレール2に固定するのではなく、図1及び図6に示すように、インナレール2の取付け部21に対して直接に案内溝64を形成し、かかる形成部位をカム部材33として利用することも十分に可能である。
【0032】
図7a〜図7fは、インナレール2をアウタレール1に引き込む際の前記保持ピン30の動作を時経過を追って示したものである。図7aに示すように、インナレール2がアウタレール1から引き出され、カム部材33がピン誘導部材32の誘導溝60と完全に分離している状態において、前記保持ピン30は待機位置、すなわち前記誘導溝60の係止凹部61に設定されている。この状態において保持ピン30には弾性部材31の引っ張り力が作用しているが、保持ピン30は係止凹部61に入り込んで係止されており、待機位置に設定された状態を維持している。ここで、インナレール2がアウタレール1に引き込まれ、図7bに示すようにカム部材33が誘導溝60に重なってくると、保持ピン30は導入部65から案内溝64内に入り込み、そのままインナレール1の引き込みが進行すると、図7cに示すように作用部66に突き当たる。この作用部66はインナレールの移動方向に対して斜めに設けられていることから、このままインナレールの引き込みが進行すると、図7dに示すように保持ピン30はインナレールの移動方向(図中の矢線方向)と直交する方向へ偏寄させられ、誘導溝60の係止凹部(待機位置)61から離脱することになる。また、カム部材33の案内溝64では保持ピン30が作用部66を通過してピン留置部67に入り込み、かかる保持ピン30はこのピン留置部67で係止される。
【0033】
前述したように、カム部材33のピン留置部67は誘導溝60の引っ張りガイド部62と対向していることから、図7eに示すように保持ピン30がカム部材33のピン留置部67に設定されると、弾性部材31の付勢力により、保持ピン30は引っ張りガイド部62の内部をインナレール2の引き込み方向へ一気に移動することになる。そして、このとき保持ピン30はカム部材33のピン留置部67に係止されているので、弾性部材31の引っ張り付勢力は保持ピン30を介してカム部材33、ひいてはインナレール2に作用し、インナレール2がアウタレール1内に自動的に引き込まれることになる。これにより、図7fに示すように、インナレール2はストローク範囲の終端位置にまで引き込まれ、弾性部材31の付勢力によってその位置に保持される。
【0034】
このように本発明のスライドレールユニットでは、インナレール2をアウタレール1に引き込む際に、かかるインナレール2がそのストローク範囲の終端に近傍に到達すると、インナレール2側のカム部材33の働きによって保持ピン30が待機位置から離脱し、保持ピン30に作用している弾性部材31の付勢力が一気に作用して、インナレール2をアウタレール1内に自動的に引き込むことが可能となっている。また、引き込んだ状態で弾性部材31の付勢力が保持力として作用するので、意図せずしてインナレール2がアウタレール1から飛び出すのを防止することができ、例えば引き出しの案内機構にこのスライドレールユニットを使用した場合には、かかる引き出しの半開きの状態を解消することが可能となる。
【0035】
一方、インナレール2をアウタレール1から引き出す際には、図7a〜図7fと全く逆の順序で保持ピン30が待機位置に設定される。すなわち、保持ピン30がカム部材33のピン留置部67に係止された状態でインナレール2がアウタレール1から引き出されるので、保持ピン30は弾性部材31の付勢力に抗して引っ張りガイド部62を係止凹部61に向けて移動する。引っ張りガイド部62から係止凹部61にかけての誘導溝60はインナレール2の引き出し方向に対して斜めに形成されていることから、更にインナレール2をアウタレール1から引き出すと、かかる誘導溝60がカム溝として保持ピン30に作用し、保持ピン30はインナレール2の移動方向と直交する方向に偏寄して係止凹部61に設定される。また、このとき保持ピン30はカム部材33のピン留置部67から抜け出し、作用部66を経て導入部65に達する(図7cの状態)。これにより、保持ピン30をカム部材33から抜き出すことが可能となり、インナレール2側のカム部材33をアウタレール1側のピン誘導部材32から分離し、インナレール2をアウタレール1から引き出すことが可能となる。また、保持ピン30は弾性部材31を伸張させた状態で誘導溝60の係止凹部(待機位置)61に設定され、次にインナレール2がアウタレール1内に引き込まれる際には、再び図7a〜図7fに示す手順でインナレール2の引き込みを介助することが可能となる。
【0036】
このように、通常、インナレール2をアウタレール1から引き出した状態では、保持ピン30が誘導溝60の係止凹部61に設定されているのだが、アウタレール1に衝撃が作用する等して、意図せずして保持ピン30が係止凹部61から抜け出してしまうこともあり、その場合には保持ピンが図7aに示すように引っ張りガイド部62の終端位置にまで落ち込んでしまう。このような位置に保持ピン30が意図せずして設定されている場合、保持ピン30を係止凹部61に復帰させなくては、かかる保持ピン30が障害となってインナレール2をアウタレール1内に完全に引き込むことができなくなってしまう。このため、このスライドレールユニットでは保持ピン30を係止凹部(待機位置)61に復帰させる機構が設けられている。
【0037】
具体的には、カム部材33の導入部65に対してテーパ状の掬い上げ部68を形成すると共に、この掬い上げ部68とピン留置部67との間に保持ピン30を一時的に収容する仮止め凹部69を形成した。この仮止め凹部69はピン留置部67と同様にピン誘導部材32の引っ張りガイド部62と対向している。また、ピン誘導部材32の誘導溝60には、前述したように、引っ張りガイド部62の端部から連続する退避凹部63を形成した。この退避凹部63はカム部材33の導入部65に対応している。
【0038】
図8a〜図8fは、意図せずして待機位置から離脱してしまった保持ピン30を待機位置に復帰させる際の該保持ピン30の一連の動きを示すものである。図8aに示すように、インナレール2がアウタレール1から引き出された状態で保持ピン30が待機位置から離脱し、引っ張りガイド部62に存在している場合、インナレール2をアウタレール1に一旦引き込み、再びインナレール2をアウタレール1から引き出すことで、かかる保持ピン30を待機位置に設定し直すことが可能となっている。図8a及び図8bに示すように、インナレール2をアウタレール1に対して引き込み、カム部材33がアウタレール1側の誘導溝60に重なってくると、保持ピン30はカム部材33の掬い上げ部68によってインナレール2の引き込み方向と直交する方向へ偏寄させられ、そのまま誘導溝60の退避凹部63に入り込む(図8c参照)。退避凹部63はインナレール2の引き込み方向に対して斜めに形成されていることから、保持ピン30はカム部材33の掬い上げ部68によって偏寄させられている際も、弾性部材31の引っ張り力によって誘導溝60の引っ張りガイド部62に戻ろうとしている。このため、インナレール2の引き込みが更に進行し、図8cに示すように保持ピン30が前記掬い上げ部68を通過すると、かかる保持ピン30はカム部材33に設けられた仮止め凹部69に入り込み、この位置でカム部材33に係止されることになる(図8d参照)。
【0039】
そして、前記仮止め凹部69は誘導溝60の引っ張りガイド部62と対向していることから、保持ピン30がカム部材33の仮止め凹部69に係止された状態で更にインナレール2を引き出すと、保持ピン30は弾性部材31の付勢力に抗して引っ張りガイド部62を係止凹部61に向けて移動する(図8e参照)。引っ張りガイド部62から係止凹部61にかけての誘導溝60はインナレール2の引き出し方向に対して斜めに形成されていることから、更にインナレール2をアウタレール1から引き出すと、かかる誘導溝60がカム溝として保持ピン30に作用し、保持ピン30はインナレール2の移動方向と直交する方向に偏寄して係止凹部61に設定される。また、このとき保持ピン30はカム部材33の仮止め凹部69から抜け出し、導入部65に設定される(図8fの状態)。これにより、保持ピン30をピン誘導部材32の係止凹部61に再設定すると共に、かかる保持ピン30をカム部材33から抜き出し、インナレールをアウタレールから引き出すことが可能となる。
【0040】
すなわち、このスライドレールユニットでは、インナレール2をアウタレール1から引き出した状態下で、保持ピン30が意図せずして待機位置から離脱し、弾性部材31の付勢力によって引っ張りガイド溝62の終端位置にまで脱落してしまったとしても、インナレール2をアウタレール1内に一旦引き込み、再度アウタレール1から引き出すことで、前記保持ピン30を待機位置に復帰させることができるようになっており、その利便性に優れたものとなっている。
【0041】
一方、図9は前記カム部材33の他の例を示すものである。
【0042】
図2に示すように、家具本体50に対する引き出し51のスライド機構に前記スライドレールユニットを使用する場合、インナレール2をアウタレール1に引き込んだ際のストローク範囲の終端が、家具本体50に対して引き出し51を引き込んだ際の終端と完全に合致していたのでは、かかる終端において弾性部材31の付勢力がインナレール2に対して確実に作用せず、引き出し51と家具本体50との高い密閉性を保つことができない可能性がある。すなわち、引き出しを家具本体に対して確実に引き込むためには、引き出しの終端位置においてインナレールが未だ終端位置に達していないことが必要である。
【0043】
しかし、図4aに示したカム部材33の案内溝64では、仮止め凹部69がインナレール2のストローク範囲の終端に対応して切り欠かれているため、インナレール2がストローク範囲の終端に到達する以前に家具本体50に対する引き出し51の引き込みが係止されてしまうと、保持ピン30が意図せずして係止凹部61から抜け出して引っ張りガイド部62の終端位置にまで落ち込んでしまった場合に、図8に示した手順によって保持ピン30を前記仮止め凹部69に移動させることが困難となる。
【0044】
このことから、図9に示すカム部材33aでは、仮止め凹部69aの幅Wを図4aに示した仮止め凹部69よりも拡張し、インナレール2がストローク範囲の終端に到達する僅かに手前において、前記保持ピン30を仮止め凹部69に設定し得るように構成した。
【0045】
図10a〜図10fは、前記カム部材33aを用いて保持ピン30を待機位置に復帰させる際の該保持ピン30の一連の動きを示すものであり、前述した図8a〜図8fにおける保持ピンの動きと略同一である。すなわち、図10a〜図10cに示すように、インナレール2をアウタレール1に対して引き込み、カム部材33aがアウタレール1側の誘導溝60に重なってくると、保持ピン30はカム部材33aの掬い上げ部68によってインナレール2の引き込み方向と直交する方向へ偏寄させられ、そのまま誘導溝60の退避凹部63に入り込む。退避凹部63はインナレール2の引き込み方向に対して斜めに形成されていることから、保持ピン30はカム部材33aの掬い上げ部68によって偏寄させられている際も、弾性部材31の引っ張り力によって誘導溝60の引っ張りガイド部62に戻ろうとしている。このため、インナレール2の引き込みが更に進行し、図10cに示すように保持ピン30が前記掬い上げ部68を通過すると、かかる保持ピン30はカム部材33に設けられた仮止め凹部69aに入り込み、この位置でカム部材33に係止されることになる(図8d参照)。
【0046】
このとき、図10dにおいてインナレール2はそのストローク範囲の終端には達していないが、前記仮止め凹部69aの形成幅Wを拡張したことから、当該位置において保持ピン30を仮止め凹部69aに設定することが可能となっている。以降の保持ピン30の動きは図8e〜図8fと全く同一であり、図面中に同一符号を付してその説明は省略する。
【0047】
図11は本発明のスライドレールユニットの他の実施の形態を示すものである。
【0048】
図1に示した実施の形態では終端付勢手段6を構成する保持ピン30、ピン誘導部材32及びカム部材33をスライドレールユニットのアウタレール1及びインナレール2に対して直接的に設けたが、図11に示す例では、保持ピン30及びピン誘導部材32を家具本体50に、カム部材33を引き出し51に対して設け、アウタレール1又はインナレール2から分離している。すなわち、スライドレールユニットの働きによって引き出し51が家具本体50に引き込まれると、引き出し51に設けられたカム部材33が家具本体50に設けられた保持ピン30と係合し、保持ピン30に作用する弾性部材31の引っ張り力が引き出しに対して作用するようになっている。このように、保持ピン30やカム部材33をアウタレール1及びインナレール2から分離して設けた場合、例えば引き出し51に対するカム部材33の取付け位置に応じて、かかる引き出し51に弾性部材31の引っ張り力が作用するタイミングを自由に変更することが可能であり、カム部材の取付け位置を変更することで、各種用途に柔軟に適用することが可能となる。
【0049】
また、図12は本発明のスライドレールユニットを引き戸に適用した例を示す図である。
【0050】
この例では建物の開口部70の上端辺に沿ってスライドレールユニットのアウタレール1が固定される一方、前記開口部70を塞ぐ引き戸71がインナレール2から吊り下がっている。アウタレール1にはインナレール2のストローク範囲の終端に対応してピン誘導部材32が設けられ、また、インナレール2には前記ピン誘導部材32によって案内される保持ピン30と係合するカム部材33が設けられている。すなわち、この図12に示す例によれば、引き戸71をスライドレールユニットのストローク範囲の終端近傍まで移動させると、引き戸71が終端位置に向けて自動的に付勢されると共に、かかる終端位置に保持され、引き戸71を開放位置又は閉塞位置で係止しておきたい場合に便利である。
【0051】
尚、図1に示したスライドレールユニットでは、インナレール2をアウタレール1に引き込む際に保持ピン30が作用するように構成したが、前記ピン誘導部材32及びカム部材33の取付け位置及び取付け向きを変更することにより、インナレール2をアウタレール1から引き出す際に保持ピン30が作用するように構成することも可能である。
【0052】
また、この実施の形態に示した例では、ピン誘導部材32をアウタレール1に、カム部材33をインナレール2に夫々固定したが、アウタレール1にカム部材33を、インナレール2にピン誘導部材32を固定するように設計変更することも可能である。
【0053】
更に、本発明は相互に移動自在に組み付けられた一対のレールの間に適用されるものであり、例えば、スライドレールユニットがアウタレール、センタレール及びインナレールの3本から構成される場合であれば、相互に移動自在なアウタレールとセンタレールとの間、センタレールとインナレールとの間のそれぞれに対して本発明を適用することが可能である。
【0054】
また更に、前述した実施の形態ではアウタレールとインナレールとの間に多数のボールを介在させていたが、アウタレールに対してインナレールを移動自在に支承することができるのであれば、これに限定されるものではなく、例えばアウタレールを走行する車輪をインナレールに回転自在に取り付けても良いし、アウタレールとインナレールのそれぞれに対して互いに摺接する滑り面を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のスライドレールユニットの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すスライドレールユニットを引き出しのスライド機構に適用した様子を示す平面図である。
【図3】図1に示すスライドレールユニットの正面断面図である。
【図4a】保持ピン、ピン誘導部材及びカム部材の関係を示す平面図である。
【図4b】図4aのB矢視図である。
【図4c】図4bのC矢視図である。
【図5】保持ピン、ピン誘導部材及び弾性部材の関係を示す分解斜視図である。
【図6】保持ピンがインナレールに形成した案内溝に挿入された状態を示す正面断面図である。
【図7】インナレールをアウタレールに引き込む際の保持ピンの動きを順を追って示す説明図である。
【図8】保持ピンを待機位置に復帰させる際の該保持ピンの動きを順を追って示す説明図である。
【図9】カム部材の他の例を示す平面図である。
【図10】図9に示すカム部材を使用して保持ピンを待機位置に復帰させる際の該保持ピンの動きを順を追って示す説明図である。
【図11】本発明のスライドレールユニットの第2の実施形態を示す斜視図である。
【図12】本発明のスライドレールユニットを引き戸に適用した例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1…アウタレール、2…インナレール、3…ボール、30…保持ピン、31…弾性部材、32…ピン誘導部材、33…カム部材、60…誘導溝、64…案内溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば家具類における引き出しや複写機におけるペーパトレイ等、所定方向に沿って相対的に往復動する一対の部材の間に設けられて、これら部材の相対的な進退運動を支承するスライドレールユニットに係り、特に、かかる進退運動のストロークの終端において可動部材を該終端方向へ向けて付勢し、終端位置に保持することが可能なスライドレールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家具やシステムキッチンにおける引き出し等の可動部材の進退運動を支承する案内部材として、アウタレールとインナレールとを備えたスライドレールユニットが知られている(特開平11−201158号公報等)。具体的には、長手方向に沿って一対のボール転走部を曲げ起こしてチャネル状に形成されたアウタレールと、このアウタレールよりも一回り小さく形成され、やはり一対のボール転走部を曲げ起こしてチャネル状に形成されたインナレールと、これらアウタレールのボール転走部の内側とインナレールのボール転走部の外側を転走する多数のボールと、前記アウタレールとインナレールとの間でボールを所定の間隔で整列させるリテーナとから構成されており、例えば、前記アウタレールを家具本体に、インナレールを引き出しの両側面に固定して使用される。
【0003】
前記インナレールはボールを介してアウタレールの内側に嵌合していることから、かかるインナレールをアウタレールの内部から自在に引き出すことが可能であり、インナレールの引き出しに伴って前記ボールがリテーナと共にアウタレール内を移動するようになっている。これにより、引き出しを家具本体から自在に引き出し、あるいは家具本体へ引き込むことが可能となっている。
【0004】
また、このスライドレールユニットとしては、閉めた筈の引き出しの半開き状態を解消すると共に、地震等によって引き出しが勝手に開いてしまう不都合を解消するため、インナレールをアウタレール内にある程度まで収納すると、かかるインナレールに対してこれをアウタレール内に引き込む付勢力が作用し、この付勢力によってインナレールをアウタレール内に引き込み、そのまま保持するタイプのものも提案されている(特開平6−245830号公報、特開平11−206489号公報、特開2004−344188号公
報)。
【0005】
特開平6−245830号公報に開示されるスライドレールユニットでは、インナレール側に設けられたローラがアウタレール上を転走し、これによってインナレールがアウタレールに沿って自在に進退可能となっているが、インナレールをアウタレールに引き込む際、前記ローラがアウタレール側に設けられた板ばねを乗り越えるように構成されており、かかる板ばねによってローラがインナレールの引き込み方向へ付勢されるようになっている。また、ローラが板ばねを逆方向へ乗り越えないとインナレールをアウタレールから引き出すことはできず、インナレールをアウタレールから引き出す方向に関しては軽い係止力が作用している。
【0006】
また、特開平11−206489号公報に開示されるスライドレールユニットでは、アウタレール内に板ばねからなる規制体が回動可能に、且つ、所定の姿勢に付勢された状態で配置される一方、インナレールには前記規制体に係合する係合軸が固定的に立設されている。インナレールをアウタレール内に押し込むと前記係合軸が規制体を押圧し、最初は前記規制体がインナレールを押し戻す方向へ付勢力を発揮するが、この付勢力に抗してインナレールを押し込むと、前記規制体が死点を乗り越えて回転し、今度は規制体がインナレールをアウタレール内に引き込む方向へ付勢力を及ぼすようになる。また、インナレールをアウタレールから引き出す際には、前記規制体が再度死点を乗り越えて回転しなければならない。これにより、インナレールをアウタレールから引き出す方向に関しては軽い係止力が作用することになる。
【0007】
更に、特開2004−344188号公報に開示されるスライドレールユニットでは、アウタレールに対してスプリングで付勢された駒部品の案内ケースが取り付けられており、このケース内をスライドする駒部品に対してインナレール側に立設されたピンを係合あるいは離脱させることで、インナレールをアウタレールに対して引き込み、引き込んだインナレールをアウタレール内に保持するように構成されている。前記駒部品はインナレール側のピンが係合又は離脱することから、合成樹脂によって所定形状に形成されて、ばね性を与えられており、前記ケース内で弾性的に変形することによって、前記ピンの係合及び離脱を許容している。
【特許文献1】特開平11−201158号公報
【特許文献2】特開平6−245830号公報
【特許文献3】特開平11−206489号公報
【特許文献4】特開2004−344188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特開平6−245830号公報、特開平11−206489号公報に開示されるスライドレールユニットにおいては、インナレールをアウタレール内に収納する際に、板ばねの付勢力に真っ向から対向してインナレールをアウタレール内に押し込む必要があり、例えば家具本体に対して引き出しを押し込む際に、大きな押圧力が必要になるといった不都合があった。また、板ばねを用いたインナレールの付勢では、かかる付勢力が作用する距離を長く設定することができず、短い距離で急激に付勢力が作用してしまうので、引き出しを開閉する際の使用感が悪いものになってしまうといった不都合もあった。
【0009】
更に、特開2004−344188号公報に開示されるスライドユニットにおいては、合成樹脂製の駒部品やそれを案内するためのケース等が必要となり、組み立てに手間がかかる他、生産コストが嵩んでしまうといった不都合があった。また、前記駒部品はその弾性変形によってインナレール側のピンの係合又は離脱を可能としているため、材質の選択が限定されてしまい、この点においても 生産コストが嵩んでしまうといった不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、インナレールをアウタレールに収納する際に、大きな押圧力を与えることなく該インナレールをアウタレールに自動的に引き込み、引き込んだ状態を保持することが可能であり、しかも少ない部品点数で簡易に且つ低コストで生産することが可能な保持機能付きスライドレールユニットを提供することにある。
【0011】
すなわち、本発明のスライドレールユニットは、第1のレールと、この第1のレールの長手方向に沿ってストローク自在な第2のレールと、この第2のレールのストローク終端の近傍において該第2のレールをストローク終端に向けて付勢する終端付勢手段とから構成されている。この終端付勢手段は、例えば第2レールを第1レールに引き込んだ際に、その移動ストロークの終端付近において第2レールをストローク終端に向けて付勢し、第2レールの引き込みを介助すると共に、終端まで引き込んだ状態維持する保持力を発揮する。これにより、このスライドレールユニットを用いて支持した家具の引き出しなどにおいては、かかる引き出しが閉塞時の反動によって半開き状態となってしまったり、地震によって意図せずして開いてしまったりといった不都合を回避することができるようになっている。
【0012】
この終端付勢手段は、第1のレールに対してその長手方向及び幅方向へ移動自在に立設された保持ピンと、この保持ピンを第2のレールのストローク終端に向けて常に付勢する弾性部材と、前記第1のレールに設けられ、前記弾性部材の付勢力に抗して前記保持ピンをストローク終端から離れた待機位置に係止すると共に、前記待機位置から離脱した保持ピンを前記付勢力に伴って前記ストローク終端へ向けて案内するピン誘導部材と、前記第2のレールに設けられ、前記ピン誘導部材と重なるにつれて前記保持ピンをピン誘導部材の待機位置から離脱させると共に、離脱後の保持ピンを係止するカム部材とから構成されている。
【0013】
前記保持ピンは第1のレールに設けられると共に弾性部材を引き延ばした状態でピン誘導部材の待機位置に係止されており、常に弾性部材の付勢力が作用している。従って、待機位置から離脱すると前記弾性部材の付勢力によって第2のレールのストローク終端に向けて移動するようになっている。一方、前記第2レールに設けられたカム部材は第1のレール側のピン誘導部材と重なるにつれ、前記保持ピンを待機位置から離脱させるように作用すると共に、離脱後の保持ピンを係止するようになっている。
【0014】
このため、第1のレールに対して第2のレールがストロークし、前記ピン誘導部材に対してカム部材が徐々に重なっていくと、保持ピンがピン誘導部材の待機位置から離脱すると共にカム部材に引っ掛かり、前記弾性部材の付勢力によって第2のレールがストローク終端に向けて引っ張られることになる。これにより、第2のレールを第1のレールに対して自動的に引き込み、引き込んだ状態を保持することが可能となる。
【0015】
このとき、待機位置に設定されていた保持ピンはカム部材によってその設定位置を変更されるだけであるから、かかる保持ピンを待機位置から離脱させるにあたり、前記第2のレールに対しては弾性部材の付勢力に抗した押圧力を与える必要はなく、第2のレールを軽く移動させるだけで、第2のレールを第1のレールに対して自動的に引き込むことが可能となる。また、前記カム部材としては、保持ピンに対して作用するカム溝を第2のレールに形成しさえすれば足り、少ない部品点数で簡易に且つ低コストで生産することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を用いて本発明のスライドレールユニットを詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明を適用したスライドレールユニットの実施の形態の一つを示すものである。このスライドレールユニットは、アウタレール1と、このアウタレール1内に収納されるインナレール2と、前記アウタレール1とインナレール2との間を転走する転動体としてのボール3と、アウタレール1とインナレール2との間で多数のボール3を所定間隔で配列させるリテーナ4とから構成されている。
【0018】
このスライドレールユニットは、例えば、図2に示すように家具本体50に対する引き出し51のスライド機構として利用され、アウタレール1が家具本体50に、インナレール2が引き出し51に固定され、かかる引き出し51を家具本体50に対して滑らかに出し入れすることができるようになっている。
【0019】
前記アウタレール1は鋼板をロールフォーミング加工により精密成形したものであり、取付け部11の長手方向に沿って一対のボール転走部12,12を曲げ起こすことによりチャネル状に形成されている。また、前記ボール転走部12の内側面には前記ボール3の球面に近似した曲率のボール転走面13が形成されている。
【0020】
一方、前記インナレール2も同様にして鋼板から成形され、取付け部21の長手方向に沿って一対のボール転走部22,22を曲げ起こすことによりチャネル状に形成されている。但し、インナレール2はアウタレール1のボール転走部12,12の間に収納され、該アウタレール1との間にボール3を配列することから、アウタレール2よりも一回り小さく形成されると共に、ボール転走部22の外側面にボール転走面23が形成されている。
【0021】
各レール1,2の取付け部11,21には取付けねじ5が貫通するねじ孔14,24が夫々開設されており、図3に示すように、例えばアウタレール1は取付ねじ5を用いて家具本体50に、インナレール2は取付ねじ5を用いて引き出し51に夫々固定される。
【0022】
また、前記リテーナ4は鋼板をプレス加工により成形し、あるいは合成樹脂を型内に射出して成形したものであり、図1に示すように、アウタレール1とインナレール2との間に挿入されてこれらレール1,2の間を転走する多数のボール3を等間隔で整列させ、互いに隣接するボール同士の接触を防止している。
【0023】
そして、このように構成されたスライドレールユニットにおいては、アウタレール1とインナレール2とが前述の如くボール3を介して嵌合していることから、かかるボール3の転動により、前記アウタレール1内に収納されたインナレール2を該アウタレール1内からスムーズに引っ張りだすことができる。
【0024】
このスライドレールユニットでは、インナレール2がアウタレール1と完全に重なった状態、すなわちインナレール2をアウタレール1内に完全に引き込んだ状態において、全長がもっとも短くなるように構成されており、例えば前述した引き出し51を家具本体50内に完全に収納した状態がこの状態に相当する。そのような使用において、引き出し51を家具本体50内に確実に収納し、且つ、その状態を保持するため、このスライドレールユニットにはアウタレール1に対するインナレール2の引き込みを補助するための機構6が設けられている。この機構6はインナレール2をアウタレール1内に引き込む際に、かかるインナレール2のストロークの終端位置の僅かに手前側で作用し、弾性部材としての引っ張りばねの付勢力を用いてインナレール2をアウタレール1内に引き込むように構成されている。
【0025】
この補助機構、すなわち本発明における終端付勢手段6は、アウタレール1に対して移動自在に設けられた保持ピン30と、この保持ピン30をインナレール2の引き込み方向へ常に付勢している弾性部材31と、アウタレール1に固定されると共に前記保持ピン30を所定の経路に沿って移動させるピン誘導部材32と、前記インナレール2に設けられると共に該インナレール2の動きに応じて前記保持ピン30を移動させるカム部材33とから構成されており、図1に示されるように、アウタレール及びインナレールの端部に装着されている。そして、アウタレール1に対してインナレール2を引き込むと、インナレール2側に設けられたカム部材33がアウタレール1側の保持ピン30と係合し、弾性部材31の引っ張り力(付勢力)が保持ピン30を介してインナレール2に作用するので、この付勢力によってインナレール2をアウタレール1に対して完全に引き込むことができるようになっている。
【0026】
図4a、図4b及び図4cは、前記保持ピン30、ピン誘導部材32及びカム部材33の関係を示す図であり、図4bは図4aのB矢視図、図4cは図4bのC矢視図である。これらの図において、前記ピン誘導部材32は合成樹脂製であり、正面プレート部32aと、この正面プレート部32aの両脇から突出する一対の脚部32b,32bと、これら脚部32bを介して前記正面プレート部32aと対向する背面プレート部32cとを有しており、背面プレート部がアウタレール1に固定されている。正面プレート部32aと背面プレート部32cとの間には空間が形成されており、この空間が前記保持ピン30の移動空間となっている。かかる正面プレート部32aには前記保持ピン30の移動を規制する誘導溝60が形成されており、保持ピン30はその先端が誘導溝60に挿入され、カム部材33に向けて突き出している。一方、前記保持ピン30は円盤状のベース部30aを有しており、このベース部30aが背面プレート部32cとピン誘導部材32の正面プレート部32aとの間に挟まれている。従って、保持ピン30はその先端を前記誘導溝60から突き出した状態でアウタレール1に対して自在に移動可能であり、かかる先端に対して外力が作用すると、その方向に応じて誘導溝60内を移動する。尚、このピン誘導部材32は図5に示すように金属板を折り曲げて形成することも可能であり、その場合には背面プレート32cを省略し、図1に示すように脚部32bを直接アウタレール1に固定することができる。
【0027】
また、前記保持ピン30のベース部30aには弾性部材としての引っ張りばね31の一端が固定されており、この引っ張りばね31の他端は前記ピン誘導部材32に設けられたスタッド32cに固定されている。このスタッド32cは誘導溝60に対してアウタレール1の端部側に位置している。保持ピン30が誘導溝60のどの位置に設定されていても、前記引っ張りばね31は伸張された状態にあり、保持ピン30には引っ張りばね31の付勢力がアウタレール1の端部方向、すなわちインナレール2の引き込み方向に向けて常に作用している。
【0028】
一方、前記誘導溝60は、引っ張りばね31の付勢力に抗して保持ピン30を係止するための係止凹部61と、この係止凹部61から連続すると共にアウタレール1の長手方向に沿って形成された引っ張りガイド部62とを有している。前記係止凹部61はインナレール2をアウタレール1から引き出した際に前記保持ピン30が設定される待機位置であり、保持ピン30が係止凹部61に設定されているときに、前記引っ張りばね31は最も伸張した状態にある。従って、後述するカム部材33の働きによって保持ピン30が待機位置である係止凹部61から抜け出すと、かかる保持ピン30は引っ張りばね31の付勢力によって前記引っ張りガイド部62を一気に移動して、かかる引っ張りガイド部62の終端にまで移動することになる。
【0029】
また、前記スタッド32cに近接した引っ張りガイド部62の端部には、インナレール2側のカム部材33の移動に関係なく待機位置(係止凹部61)から離脱してしまった保持ピン30を該待機位置に再設定する際に利用する退避凹部63が形成されている。この退避凹部63は引っ張りガイド部62と斜めに交わるようにして形成されている。この退避凹部63の詳しい利用方法については後述する。
【0030】
次に、インナレール2側に設けられた前記カム部材33について説明する。このカム部材33は金属板に案内溝64を切り欠いて形成されており、アウタレール1側のピン誘導部材32と対向するようにインナレール2の内側面に固定されている。前記案内溝64はアウタレール1に対するインナレール2の移動に応じて前記保持ピン30の設定位置を変更する所謂カム溝として構成されており、待機位置に設定された保持ピン30の先端を受け入れる導入部65と、受け入れた保持ピン30をアウタレール1の幅方向へ移動させて前記待機位置から離脱させる作用部66と、この作用部66を通過した保持ピン30を係止しておくピン留置部67とを備えている。このピン留置部67はピン誘導部材32の引っ張りガイド部62と対向しており、保持ピン30はピン留置部67に係止された状態で前記引っ張りガイド部62を移動することが可能となっている。
【0031】
図4cに示すように、ピン誘導部材32と前記カム部材33はアウタレール1とインナレール2との間で互いに対向し、ピン誘導部材32から突き出した保持ピン30の先端は前記カム部材33の案内溝64に挿入されている。もっとも、前記カム部材33は保持ピン30の先端が挿入される案内溝64を具備したものであれば良いから、案内溝64が形成されたカム部材33をインナレール2に固定するのではなく、図1及び図6に示すように、インナレール2の取付け部21に対して直接に案内溝64を形成し、かかる形成部位をカム部材33として利用することも十分に可能である。
【0032】
図7a〜図7fは、インナレール2をアウタレール1に引き込む際の前記保持ピン30の動作を時経過を追って示したものである。図7aに示すように、インナレール2がアウタレール1から引き出され、カム部材33がピン誘導部材32の誘導溝60と完全に分離している状態において、前記保持ピン30は待機位置、すなわち前記誘導溝60の係止凹部61に設定されている。この状態において保持ピン30には弾性部材31の引っ張り力が作用しているが、保持ピン30は係止凹部61に入り込んで係止されており、待機位置に設定された状態を維持している。ここで、インナレール2がアウタレール1に引き込まれ、図7bに示すようにカム部材33が誘導溝60に重なってくると、保持ピン30は導入部65から案内溝64内に入り込み、そのままインナレール1の引き込みが進行すると、図7cに示すように作用部66に突き当たる。この作用部66はインナレールの移動方向に対して斜めに設けられていることから、このままインナレールの引き込みが進行すると、図7dに示すように保持ピン30はインナレールの移動方向(図中の矢線方向)と直交する方向へ偏寄させられ、誘導溝60の係止凹部(待機位置)61から離脱することになる。また、カム部材33の案内溝64では保持ピン30が作用部66を通過してピン留置部67に入り込み、かかる保持ピン30はこのピン留置部67で係止される。
【0033】
前述したように、カム部材33のピン留置部67は誘導溝60の引っ張りガイド部62と対向していることから、図7eに示すように保持ピン30がカム部材33のピン留置部67に設定されると、弾性部材31の付勢力により、保持ピン30は引っ張りガイド部62の内部をインナレール2の引き込み方向へ一気に移動することになる。そして、このとき保持ピン30はカム部材33のピン留置部67に係止されているので、弾性部材31の引っ張り付勢力は保持ピン30を介してカム部材33、ひいてはインナレール2に作用し、インナレール2がアウタレール1内に自動的に引き込まれることになる。これにより、図7fに示すように、インナレール2はストローク範囲の終端位置にまで引き込まれ、弾性部材31の付勢力によってその位置に保持される。
【0034】
このように本発明のスライドレールユニットでは、インナレール2をアウタレール1に引き込む際に、かかるインナレール2がそのストローク範囲の終端に近傍に到達すると、インナレール2側のカム部材33の働きによって保持ピン30が待機位置から離脱し、保持ピン30に作用している弾性部材31の付勢力が一気に作用して、インナレール2をアウタレール1内に自動的に引き込むことが可能となっている。また、引き込んだ状態で弾性部材31の付勢力が保持力として作用するので、意図せずしてインナレール2がアウタレール1から飛び出すのを防止することができ、例えば引き出しの案内機構にこのスライドレールユニットを使用した場合には、かかる引き出しの半開きの状態を解消することが可能となる。
【0035】
一方、インナレール2をアウタレール1から引き出す際には、図7a〜図7fと全く逆の順序で保持ピン30が待機位置に設定される。すなわち、保持ピン30がカム部材33のピン留置部67に係止された状態でインナレール2がアウタレール1から引き出されるので、保持ピン30は弾性部材31の付勢力に抗して引っ張りガイド部62を係止凹部61に向けて移動する。引っ張りガイド部62から係止凹部61にかけての誘導溝60はインナレール2の引き出し方向に対して斜めに形成されていることから、更にインナレール2をアウタレール1から引き出すと、かかる誘導溝60がカム溝として保持ピン30に作用し、保持ピン30はインナレール2の移動方向と直交する方向に偏寄して係止凹部61に設定される。また、このとき保持ピン30はカム部材33のピン留置部67から抜け出し、作用部66を経て導入部65に達する(図7cの状態)。これにより、保持ピン30をカム部材33から抜き出すことが可能となり、インナレール2側のカム部材33をアウタレール1側のピン誘導部材32から分離し、インナレール2をアウタレール1から引き出すことが可能となる。また、保持ピン30は弾性部材31を伸張させた状態で誘導溝60の係止凹部(待機位置)61に設定され、次にインナレール2がアウタレール1内に引き込まれる際には、再び図7a〜図7fに示す手順でインナレール2の引き込みを介助することが可能となる。
【0036】
このように、通常、インナレール2をアウタレール1から引き出した状態では、保持ピン30が誘導溝60の係止凹部61に設定されているのだが、アウタレール1に衝撃が作用する等して、意図せずして保持ピン30が係止凹部61から抜け出してしまうこともあり、その場合には保持ピンが図7aに示すように引っ張りガイド部62の終端位置にまで落ち込んでしまう。このような位置に保持ピン30が意図せずして設定されている場合、保持ピン30を係止凹部61に復帰させなくては、かかる保持ピン30が障害となってインナレール2をアウタレール1内に完全に引き込むことができなくなってしまう。このため、このスライドレールユニットでは保持ピン30を係止凹部(待機位置)61に復帰させる機構が設けられている。
【0037】
具体的には、カム部材33の導入部65に対してテーパ状の掬い上げ部68を形成すると共に、この掬い上げ部68とピン留置部67との間に保持ピン30を一時的に収容する仮止め凹部69を形成した。この仮止め凹部69はピン留置部67と同様にピン誘導部材32の引っ張りガイド部62と対向している。また、ピン誘導部材32の誘導溝60には、前述したように、引っ張りガイド部62の端部から連続する退避凹部63を形成した。この退避凹部63はカム部材33の導入部65に対応している。
【0038】
図8a〜図8fは、意図せずして待機位置から離脱してしまった保持ピン30を待機位置に復帰させる際の該保持ピン30の一連の動きを示すものである。図8aに示すように、インナレール2がアウタレール1から引き出された状態で保持ピン30が待機位置から離脱し、引っ張りガイド部62に存在している場合、インナレール2をアウタレール1に一旦引き込み、再びインナレール2をアウタレール1から引き出すことで、かかる保持ピン30を待機位置に設定し直すことが可能となっている。図8a及び図8bに示すように、インナレール2をアウタレール1に対して引き込み、カム部材33がアウタレール1側の誘導溝60に重なってくると、保持ピン30はカム部材33の掬い上げ部68によってインナレール2の引き込み方向と直交する方向へ偏寄させられ、そのまま誘導溝60の退避凹部63に入り込む(図8c参照)。退避凹部63はインナレール2の引き込み方向に対して斜めに形成されていることから、保持ピン30はカム部材33の掬い上げ部68によって偏寄させられている際も、弾性部材31の引っ張り力によって誘導溝60の引っ張りガイド部62に戻ろうとしている。このため、インナレール2の引き込みが更に進行し、図8cに示すように保持ピン30が前記掬い上げ部68を通過すると、かかる保持ピン30はカム部材33に設けられた仮止め凹部69に入り込み、この位置でカム部材33に係止されることになる(図8d参照)。
【0039】
そして、前記仮止め凹部69は誘導溝60の引っ張りガイド部62と対向していることから、保持ピン30がカム部材33の仮止め凹部69に係止された状態で更にインナレール2を引き出すと、保持ピン30は弾性部材31の付勢力に抗して引っ張りガイド部62を係止凹部61に向けて移動する(図8e参照)。引っ張りガイド部62から係止凹部61にかけての誘導溝60はインナレール2の引き出し方向に対して斜めに形成されていることから、更にインナレール2をアウタレール1から引き出すと、かかる誘導溝60がカム溝として保持ピン30に作用し、保持ピン30はインナレール2の移動方向と直交する方向に偏寄して係止凹部61に設定される。また、このとき保持ピン30はカム部材33の仮止め凹部69から抜け出し、導入部65に設定される(図8fの状態)。これにより、保持ピン30をピン誘導部材32の係止凹部61に再設定すると共に、かかる保持ピン30をカム部材33から抜き出し、インナレールをアウタレールから引き出すことが可能となる。
【0040】
すなわち、このスライドレールユニットでは、インナレール2をアウタレール1から引き出した状態下で、保持ピン30が意図せずして待機位置から離脱し、弾性部材31の付勢力によって引っ張りガイド溝62の終端位置にまで脱落してしまったとしても、インナレール2をアウタレール1内に一旦引き込み、再度アウタレール1から引き出すことで、前記保持ピン30を待機位置に復帰させることができるようになっており、その利便性に優れたものとなっている。
【0041】
一方、図9は前記カム部材33の他の例を示すものである。
【0042】
図2に示すように、家具本体50に対する引き出し51のスライド機構に前記スライドレールユニットを使用する場合、インナレール2をアウタレール1に引き込んだ際のストローク範囲の終端が、家具本体50に対して引き出し51を引き込んだ際の終端と完全に合致していたのでは、かかる終端において弾性部材31の付勢力がインナレール2に対して確実に作用せず、引き出し51と家具本体50との高い密閉性を保つことができない可能性がある。すなわち、引き出しを家具本体に対して確実に引き込むためには、引き出しの終端位置においてインナレールが未だ終端位置に達していないことが必要である。
【0043】
しかし、図4aに示したカム部材33の案内溝64では、仮止め凹部69がインナレール2のストローク範囲の終端に対応して切り欠かれているため、インナレール2がストローク範囲の終端に到達する以前に家具本体50に対する引き出し51の引き込みが係止されてしまうと、保持ピン30が意図せずして係止凹部61から抜け出して引っ張りガイド部62の終端位置にまで落ち込んでしまった場合に、図8に示した手順によって保持ピン30を前記仮止め凹部69に移動させることが困難となる。
【0044】
このことから、図9に示すカム部材33aでは、仮止め凹部69aの幅Wを図4aに示した仮止め凹部69よりも拡張し、インナレール2がストローク範囲の終端に到達する僅かに手前において、前記保持ピン30を仮止め凹部69に設定し得るように構成した。
【0045】
図10a〜図10fは、前記カム部材33aを用いて保持ピン30を待機位置に復帰させる際の該保持ピン30の一連の動きを示すものであり、前述した図8a〜図8fにおける保持ピンの動きと略同一である。すなわち、図10a〜図10cに示すように、インナレール2をアウタレール1に対して引き込み、カム部材33aがアウタレール1側の誘導溝60に重なってくると、保持ピン30はカム部材33aの掬い上げ部68によってインナレール2の引き込み方向と直交する方向へ偏寄させられ、そのまま誘導溝60の退避凹部63に入り込む。退避凹部63はインナレール2の引き込み方向に対して斜めに形成されていることから、保持ピン30はカム部材33aの掬い上げ部68によって偏寄させられている際も、弾性部材31の引っ張り力によって誘導溝60の引っ張りガイド部62に戻ろうとしている。このため、インナレール2の引き込みが更に進行し、図10cに示すように保持ピン30が前記掬い上げ部68を通過すると、かかる保持ピン30はカム部材33に設けられた仮止め凹部69aに入り込み、この位置でカム部材33に係止されることになる(図8d参照)。
【0046】
このとき、図10dにおいてインナレール2はそのストローク範囲の終端には達していないが、前記仮止め凹部69aの形成幅Wを拡張したことから、当該位置において保持ピン30を仮止め凹部69aに設定することが可能となっている。以降の保持ピン30の動きは図8e〜図8fと全く同一であり、図面中に同一符号を付してその説明は省略する。
【0047】
図11は本発明のスライドレールユニットの他の実施の形態を示すものである。
【0048】
図1に示した実施の形態では終端付勢手段6を構成する保持ピン30、ピン誘導部材32及びカム部材33をスライドレールユニットのアウタレール1及びインナレール2に対して直接的に設けたが、図11に示す例では、保持ピン30及びピン誘導部材32を家具本体50に、カム部材33を引き出し51に対して設け、アウタレール1又はインナレール2から分離している。すなわち、スライドレールユニットの働きによって引き出し51が家具本体50に引き込まれると、引き出し51に設けられたカム部材33が家具本体50に設けられた保持ピン30と係合し、保持ピン30に作用する弾性部材31の引っ張り力が引き出しに対して作用するようになっている。このように、保持ピン30やカム部材33をアウタレール1及びインナレール2から分離して設けた場合、例えば引き出し51に対するカム部材33の取付け位置に応じて、かかる引き出し51に弾性部材31の引っ張り力が作用するタイミングを自由に変更することが可能であり、カム部材の取付け位置を変更することで、各種用途に柔軟に適用することが可能となる。
【0049】
また、図12は本発明のスライドレールユニットを引き戸に適用した例を示す図である。
【0050】
この例では建物の開口部70の上端辺に沿ってスライドレールユニットのアウタレール1が固定される一方、前記開口部70を塞ぐ引き戸71がインナレール2から吊り下がっている。アウタレール1にはインナレール2のストローク範囲の終端に対応してピン誘導部材32が設けられ、また、インナレール2には前記ピン誘導部材32によって案内される保持ピン30と係合するカム部材33が設けられている。すなわち、この図12に示す例によれば、引き戸71をスライドレールユニットのストローク範囲の終端近傍まで移動させると、引き戸71が終端位置に向けて自動的に付勢されると共に、かかる終端位置に保持され、引き戸71を開放位置又は閉塞位置で係止しておきたい場合に便利である。
【0051】
尚、図1に示したスライドレールユニットでは、インナレール2をアウタレール1に引き込む際に保持ピン30が作用するように構成したが、前記ピン誘導部材32及びカム部材33の取付け位置及び取付け向きを変更することにより、インナレール2をアウタレール1から引き出す際に保持ピン30が作用するように構成することも可能である。
【0052】
また、この実施の形態に示した例では、ピン誘導部材32をアウタレール1に、カム部材33をインナレール2に夫々固定したが、アウタレール1にカム部材33を、インナレール2にピン誘導部材32を固定するように設計変更することも可能である。
【0053】
更に、本発明は相互に移動自在に組み付けられた一対のレールの間に適用されるものであり、例えば、スライドレールユニットがアウタレール、センタレール及びインナレールの3本から構成される場合であれば、相互に移動自在なアウタレールとセンタレールとの間、センタレールとインナレールとの間のそれぞれに対して本発明を適用することが可能である。
【0054】
また更に、前述した実施の形態ではアウタレールとインナレールとの間に多数のボールを介在させていたが、アウタレールに対してインナレールを移動自在に支承することができるのであれば、これに限定されるものではなく、例えばアウタレールを走行する車輪をインナレールに回転自在に取り付けても良いし、アウタレールとインナレールのそれぞれに対して互いに摺接する滑り面を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のスライドレールユニットの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すスライドレールユニットを引き出しのスライド機構に適用した様子を示す平面図である。
【図3】図1に示すスライドレールユニットの正面断面図である。
【図4a】保持ピン、ピン誘導部材及びカム部材の関係を示す平面図である。
【図4b】図4aのB矢視図である。
【図4c】図4bのC矢視図である。
【図5】保持ピン、ピン誘導部材及び弾性部材の関係を示す分解斜視図である。
【図6】保持ピンがインナレールに形成した案内溝に挿入された状態を示す正面断面図である。
【図7】インナレールをアウタレールに引き込む際の保持ピンの動きを順を追って示す説明図である。
【図8】保持ピンを待機位置に復帰させる際の該保持ピンの動きを順を追って示す説明図である。
【図9】カム部材の他の例を示す平面図である。
【図10】図9に示すカム部材を使用して保持ピンを待機位置に復帰させる際の該保持ピンの動きを順を追って示す説明図である。
【図11】本発明のスライドレールユニットの第2の実施形態を示す斜視図である。
【図12】本発明のスライドレールユニットを引き戸に適用した例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1…アウタレール、2…インナレール、3…ボール、30…保持ピン、31…弾性部材、32…ピン誘導部材、33…カム部材、60…誘導溝、64…案内溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレールと、この第1のレールの長手方向に沿ってストローク自在な第2のレールと、この第2のレールのストローク終端の近傍において該第2のレールをストローク終端に向けて付勢する終端付勢手段とから構成され、
前記終端付勢手段は、第1のレールに対してその長手方向及び幅方向へ移動自在に立設された保持ピンと、この保持ピンを第2のレールのストローク終端に向けて常に付勢する弾性部材と、前記第1のレールに設けられ、前記弾性部材の付勢力に抗して前記保持ピンをストローク終端から離れた待機位置に係止すると共に、前記待機位置から離脱した保持ピンを前記付勢力に伴って前記ストローク終端へ向けて案内するピン誘導部材と、前記第2のレールに設けられ、前記ピン誘導部材と重なるにつれて前記保持ピンをピン誘導部材の待機位置から離脱させると共に、離脱後の保持ピンを係止するカム部材とから構成されていることを特徴とする保持機能付きスライドレールユニット。
【請求項2】
前記ピン誘導部材は前記保持ピンの先端が遊嵌する誘導溝を備えると共に前記第1のレールに固定され、かかる誘導溝は前記待機位置に対応する係止凹部を有すると共に、この係止凹部から離脱した保持ピンを第1のレールの長手方向へ案内する引っ張りガイド部を有していることを特徴とする請求項1記載の保持機能付きスライドレールユニット。
【請求項3】
前記保持ピンはピン誘導部材と第1レールとの間に挟まれて移動自在に保持されていることを特徴とする請求項2記載の保持機能付きスライドレールユニット。
【請求項4】
前記カム部材は、前記保持ピンの先端を受け入れる案内溝を備えると共に前記第2のレールに固定され、かかる案内溝は、前記待機位置に設定された保持ピンを第2のレールの移動に伴って受け入れる導入部と、受け入れた保持ピンを第1のレールの幅方向へ移動させて前記待機位置から離脱させる作用部と、この作用部を通過した保持ピンを係止するピン留置部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の保持機能付きスライドレールユニット。
【請求項5】
前記ピン誘導部材における誘導溝の係止凹部と反対側の一端には、当該位置に前記保持ピンを設定したまま前記カム部材の進入を許容する退避凹部が形成されていることを特徴とする請求項2記載のスライドレールユニット。
【請求項6】
前記カム部材における案内溝の導入部と作用部の間には、前記保持ピンを待機位置に復帰させるためのピン回復部が形成されていることを特徴とする請求項4記載のスライドレールユニット。
【請求項7】
所定方向に沿って可動部材が固定部材に対して進退可能なスライド機構と共に使用され、前記可動部材をその進退運動の終端において該終端方向に向けて付勢する終端付勢手段であって、
かかる終端付勢手段は、前記固定部材に対してその長手方向及び幅方向へ移動自在に立設された保持ピンと、この保持ピンを前記可動部材のストローク終端に向けて常に付勢する弾性部材と、前記固定部材に設けられ、前記弾性部材の付勢力に抗して前記保持ピンをストローク終端から離れた待機位置に係止すると共に、前記待機位置から離脱した保持ピンを前記付勢力に伴って前記ストローク終端へ向けて案内するピン誘導部材と、前記可動部材に設けられ、前記ピン誘導部材と重なるにつれて前記保持ピンをピン誘導部材の待機位置から離脱させると共に、離脱後の保持ピンを係止するカム部材とから構成されていることを特徴とするスライド機構の終端付勢機構。
【請求項8】
前記カム部材は、前記保持ピンの先端を受け入れる案内溝を備えると共に前記可動部材に固定され、かかる案内溝は、前記待機位置に設定された保持ピンを可動部材の移動に伴って受け入れる導入部と、受け入れた保持ピンを前記固定部材の幅方向へ移動させて前記待機位置から離脱させる作用部と、この作用部を通過した保持ピンを係止するピン留置部とから構成されていることを特徴とする請求項7記載のスライド機構の終端付勢機構。
【請求項1】
第1のレールと、この第1のレールの長手方向に沿ってストローク自在な第2のレールと、この第2のレールのストローク終端の近傍において該第2のレールをストローク終端に向けて付勢する終端付勢手段とから構成され、
前記終端付勢手段は、第1のレールに対してその長手方向及び幅方向へ移動自在に立設された保持ピンと、この保持ピンを第2のレールのストローク終端に向けて常に付勢する弾性部材と、前記第1のレールに設けられ、前記弾性部材の付勢力に抗して前記保持ピンをストローク終端から離れた待機位置に係止すると共に、前記待機位置から離脱した保持ピンを前記付勢力に伴って前記ストローク終端へ向けて案内するピン誘導部材と、前記第2のレールに設けられ、前記ピン誘導部材と重なるにつれて前記保持ピンをピン誘導部材の待機位置から離脱させると共に、離脱後の保持ピンを係止するカム部材とから構成されていることを特徴とする保持機能付きスライドレールユニット。
【請求項2】
前記ピン誘導部材は前記保持ピンの先端が遊嵌する誘導溝を備えると共に前記第1のレールに固定され、かかる誘導溝は前記待機位置に対応する係止凹部を有すると共に、この係止凹部から離脱した保持ピンを第1のレールの長手方向へ案内する引っ張りガイド部を有していることを特徴とする請求項1記載の保持機能付きスライドレールユニット。
【請求項3】
前記保持ピンはピン誘導部材と第1レールとの間に挟まれて移動自在に保持されていることを特徴とする請求項2記載の保持機能付きスライドレールユニット。
【請求項4】
前記カム部材は、前記保持ピンの先端を受け入れる案内溝を備えると共に前記第2のレールに固定され、かかる案内溝は、前記待機位置に設定された保持ピンを第2のレールの移動に伴って受け入れる導入部と、受け入れた保持ピンを第1のレールの幅方向へ移動させて前記待機位置から離脱させる作用部と、この作用部を通過した保持ピンを係止するピン留置部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の保持機能付きスライドレールユニット。
【請求項5】
前記ピン誘導部材における誘導溝の係止凹部と反対側の一端には、当該位置に前記保持ピンを設定したまま前記カム部材の進入を許容する退避凹部が形成されていることを特徴とする請求項2記載のスライドレールユニット。
【請求項6】
前記カム部材における案内溝の導入部と作用部の間には、前記保持ピンを待機位置に復帰させるためのピン回復部が形成されていることを特徴とする請求項4記載のスライドレールユニット。
【請求項7】
所定方向に沿って可動部材が固定部材に対して進退可能なスライド機構と共に使用され、前記可動部材をその進退運動の終端において該終端方向に向けて付勢する終端付勢手段であって、
かかる終端付勢手段は、前記固定部材に対してその長手方向及び幅方向へ移動自在に立設された保持ピンと、この保持ピンを前記可動部材のストローク終端に向けて常に付勢する弾性部材と、前記固定部材に設けられ、前記弾性部材の付勢力に抗して前記保持ピンをストローク終端から離れた待機位置に係止すると共に、前記待機位置から離脱した保持ピンを前記付勢力に伴って前記ストローク終端へ向けて案内するピン誘導部材と、前記可動部材に設けられ、前記ピン誘導部材と重なるにつれて前記保持ピンをピン誘導部材の待機位置から離脱させると共に、離脱後の保持ピンを係止するカム部材とから構成されていることを特徴とするスライド機構の終端付勢機構。
【請求項8】
前記カム部材は、前記保持ピンの先端を受け入れる案内溝を備えると共に前記可動部材に固定され、かかる案内溝は、前記待機位置に設定された保持ピンを可動部材の移動に伴って受け入れる導入部と、受け入れた保持ピンを前記固定部材の幅方向へ移動させて前記待機位置から離脱させる作用部と、この作用部を通過した保持ピンを係止するピン留置部とから構成されていることを特徴とする請求項7記載のスライド機構の終端付勢機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−268240(P2007−268240A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217933(P2006−217933)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【分割の表示】特願2006−524141(P2006−524141)の分割
【原出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【分割の表示】特願2006−524141(P2006−524141)の分割
【原出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]