保持装置、露光装置、露光方法、及びデバイス製造方法
【課題】基板を搬入する動作、基板を保持する動作、及び基板を搬出する動作等の少なくとも一つの動作を高速に実行することが可能でデバイスの生産性の向上に寄与できる保持装置を提供する。
【解決手段】パターンが形成される基板を保持する保持面を有する保持部材と、電圧の印加に応じて、基板を保持面に吸着するための静電力を発生させる複数の第1電極部材と、印加する電圧を調整可能な電源装置と、を備え、パターンの形成動作が進行中の基板上の第1ショット領域に対応する一つの第1電極部材に第1電圧を印加し、パターンの形成動作が終了した基板上の第1ショット領域に対応する一つの第1電極部材に、第1電圧よりも低い電圧を印加し、基板上の第1ショット領域とは異なる領域にパターンの形成動作を進行している間、基板上の第1ショット領域に対応する第1電極部材を第1電圧よりも低い電圧に維持する保持装置。
【解決手段】パターンが形成される基板を保持する保持面を有する保持部材と、電圧の印加に応じて、基板を保持面に吸着するための静電力を発生させる複数の第1電極部材と、印加する電圧を調整可能な電源装置と、を備え、パターンの形成動作が進行中の基板上の第1ショット領域に対応する一つの第1電極部材に第1電圧を印加し、パターンの形成動作が終了した基板上の第1ショット領域に対応する一つの第1電極部材に、第1電圧よりも低い電圧を印加し、基板上の第1ショット領域とは異なる領域にパターンの形成動作を進行している間、基板上の第1ショット領域に対応する第1電極部材を第1電圧よりも低い電圧に維持する保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を保持する保持装置、基板を露光する露光装置、露光方法、及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造装置は、デバイスが製造される基板を保持する保持装置を備えている。例えばEUV露光装置、CVD装置等は、下記特許文献に開示されているような、基板を静電力で保持する保持装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5708556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製造装置においては、保持装置に基板を搬入する動作、搬入された基板を保持装置で保持する動作、及び保持装置から基板を搬出する動作が実行される。デバイスを生産性良く良好に製造するために、保持装置には、上述の各動作を高速且つ良好に実行できることが要望される。静電力を用いた保持装置において、静電力に起因して、例えば基板を搬出する動作に時間がかかると、デバイスの生産性が劣化する可能性がある。また、基板を保持装置に搬入するときに、基板が所望の位置からずれたり、あるいは基板を保持装置から搬出するときに、基板に負荷がかかると、製造されるデバイスの性能が劣化する可能性がある。
【0005】
本発明を例示する態様は、基板を搬入する動作、基板を保持する動作、及び基板を搬出する動作等の少なくとも一つの動作を高速に実行することが可能でデバイスの生産性の向上に寄与できる保持装置を提供することを目的とする。また別の目的は、その保持装置を用いて生産性の向上に寄与できる露光装置、露光方法を提供することである。また別の目的は、その露光装置、露光方法を用いるデバイス製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明を例示する各態様としては実施の形態に示す各図に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
【0007】
本発明を例示する第1の態様に従えば、パターンが形成される基板(P)を保持する保持面(19)を有する保持部材(20)と、前記保持部材(20)に設けられるとともに、前記パターンに関するパターン情報に応じて配置され、電圧の印加に応じて、前記基板(P)を前記保持面(19)に吸着するための静電力を発生させる複数の第1電極部材(3)と、前記複数の第1電極部材(3)に印加する前記電圧を調整可能な電源装置(22)と、を備え、前記電源装置(22)は、前記パターンの形成動作が進行中の前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)に第1電圧を印加し、前記パターンの形成動作が終了した前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)に、前記第1電圧よりも低い電圧を印加し、前記基板(P)上の第1ショット領域とは異なる第2ショット領域に前記パターンの形成動作を進行している間、前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する保持装置(2)が提供される。
【0008】
第1の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0009】
本発明を例示する第2の態様に従えば、基板(P)を保持する保持面(19)を有する保持部材(20)と、前記保持部材(20)に設けられ、電圧の印加に応じて、前記基板(P)を前記保持面(19)に吸着するための静電力を発生させる複数の第1電極部材(3)と、前記複数の第1電極部材(3)のうち少なくとも一つの第1電極部材(3)と、前記複数の第1電極部材(3)のうち少なくとも一つの第1電極部材(3)とは異なる第1電極部材(3)とに、異なる電圧を印加する電源装置(22)と、を備え、前記電源装置(22)は、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)に第1電圧を印加するとともに、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)とは異なる前記第1電極部材(3)に第1電圧とは異なる電圧を印加し、前記基板(P)にパターンの形成動作が進行中又は進行前の少なくとも一方の前記基板(P)上のショット領域に対応する前記少なくとも一つの第1電極部材(3)に印加する前記第1電圧を、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)とは異なる前記第1電極部材(3)に印加する電圧よりも高く設定し、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)に印加する前記第1電圧が、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)とは異なる前記第1電極部材(3)に印加する電圧よりも高く設定されている間、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)とは異なる前記第1電極部材(3)を、前記第1電圧よりも低い電圧に維持する保持装置(2)が提供される。
【0010】
第2の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0011】
本発明を例示する第3の態様に従えば、基板(P)を保持する保持面(19)を有する保持部材(20)と、前記保持部材(20)に設けられ、電圧の印加に応じて、前記基板(P)を前記保持面(19)に吸着するための静電界を発生させる少なくとも一つの第1電極部材(3)と、前記基板(P)を支持する支持面(40A、40B)を有し、前記保持面(19)と前記基板(P)とが離れるように、前記基板(P)の所定領域を支持しながら前記保持部材(20)に対して前記基板(P)を移動する移動部材(41A、41B)を含む移動機構(44)と、前記移動部材(41A、41B)に設けられ、電圧の印加に応じて、前記基板(P)を前記支持面(40A、40B)に吸着するための静電界を発生する第2電極部材(46)と、を備えた保持装置(2)が提供される。
【0012】
第3の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0013】
本発明を例示する第4の態様に従えば、基板(P)を保持する保持面(19)を有する保持部材(20)と、前記保持部材(20)に設けられ、前記基板(P)を前記保持面(19)に吸着するための静電力を発生させる電極部材(3)と、前記保持面(19)と前記基板(P)とが離れるように前記保持部材(20)と前記基板(P)とを相対的に移動させる移動機構(44)と、前記保持部材(20)と前記基板(P)とを離すときに、前記基板(P)に帯電している電気を取り除く除電装置(47)と、を備えた保持装置(2)が提供される。
【0014】
第4の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0015】
本発明を例示する第5の態様に従えば、パターンからの露光光(EL)で基板(P)を露光する露光装置であって、露光光(EL)が照射される基板(P)を保持するために、上記態様の保持装置(2)を備える露光装置(EX)が提供される。
【0016】
第5の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0017】
本発明を例示する第6の態様に従えば、上記態様の露光装置(EX)を用いて基板(P)を露光することと、露光された基板(P)を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0018】
第6の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる露光装置を用いてデバイスを製造できる。
【0019】
本発明を例示する第7の態様に従えば、パターンからの露光光(EL)で基板(P)を露光する露光方法であって、複数の第1電極部材(3)が設けられた保持部材(20)の保持面(19)に前記基板(P)を載せることと、前記基板(P)を前記保持面(19)に静電力で吸着するために、前記第1電極部材(3)に電圧を印加することと、前記パターンからの前記露光光(EL)を前記基板(P)に照射することと、を含み、前記第1電極部材(3)に電圧を印加することは、前記パターンの形成動作が進行中の前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)に第1電圧を印加し、前記パターンの形成動作が終了した前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)に、前記第1電圧よりも低い電圧を印加し、前記基板(P)上の第1ショット領域とは異なる第2ショット領域に前記パターンの形成動作を進行している間、前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する露光方法が提供される。
【0020】
第7の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0021】
本発明を例示する第8の態様に従えば、パターンからの露光光(EL)で基板(P)を露光する露光方法であって、複数の第1電極部材(3)が設けられた保持部材(20)の保持面(19)に前記基板(P)を載せることと、前記基板(P)を前記保持面(19)に静電力で吸着するために、前記第1電極部材(3)に電圧を印加することと、前記パターンからの前記露光光(EL)を、前記基板(P)上の複数のショット領域に順次に照射することと、を含み、前記第1電極部材(3)に電圧を印加することは、前記露光光(EL)の照射前又は前記露光光(EL)の照射が進行中の少なくとも一方の前記基板(P)上のショット領域に対応する前記第1電極部材(3)に印加する第1電圧が、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材(3)とは異なる第1電極部材(3)に印加する電圧よりも大きく設定し、前記第1電極部材(3)に印加する第1電圧が、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材(3)とは異なる第1電極部材(3)に印加する電圧よりも大きく設定されている間、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材(3)とは異なる前記第1電極部材(3)を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する露光方法が提供される。
【0022】
第8の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0023】
本発明を例示する第9の態様に従えば、露光光(EL)で基板(P)を露光する露光方法であって、第1電極部材(3)が設けられた保持部材(20)の保持面(19)に基板(P)を載せることと、基板(P)を保持面(19)に静電力で吸着するために、第1電極部材(3)に電圧を印加することと、保持面(19)に保持された基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光することと、露光された基板(P)と保持面(19)とを離すことと、を含み、基板(P)を支持可能な支持面(40A、40B)を有する移動部材(41A、41B)に設けられた第2電極部材(46)に、基板(P)を支持面(40A、40B)に静電力で吸着するために電圧を印加し、支持面(40A、40B)と基板(P)とを静電力で吸着させた状態で、移動部材(41A、41B)を移動して、基板(P)と保持面(19)とを離す露光方法が提供される。
【0024】
第9の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0025】
本発明を例示する第10の態様に従えば、露光光(EL)で基板(P)を露光する露光方法であって、第1電極部材(3)が設けられた保持部材(20)の保持面(19)に基板(P)を載せることと、基板(P)を保持面(19)に静電力で吸着するために、第1電極部材(3)に電圧を印加することと、保持面(19)に保持された基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光することと、露光された基板(P)と保持面(19)とを離すことと、を含み、保持面(19)と基板(P)とを離すときに、基板(P)に帯電している電気を取り除く露光方法が提供される。
【0026】
第10の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0027】
本発明を例示する第11の態様に従えば、上記態様の露光方法を用いて基板(P)を露光することと、露光された基板(P)を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0028】
第11の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる露光方法を用いてデバイスを製造できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明を例示する態様によれば、基板を搬入する動作、基板を保持する動作、及び基板を搬出する動作等の少なくとも一つの動作を高速に実行することが可能であり、デバイスを生産性良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る露光装置の一例を示す模式図である。
【図2】第1実施形態に係る基板ステージの一部を示す平面図である。
【図3】第1実施形態に係る基板ステージの一部を示す側面図である。
【図4】第1実施形態に係る基板ステージの一部を示す側断面図である。
【図5】第1実施形態に係る第1、第2支持部材を説明するための平面図である。
【図6】基板上のショット領域と保持部材との関係を示す模式図である。
【図7A】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図7B】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図7C】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図8】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図9】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図10】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図11】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図12A】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図12B】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図12C】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図13】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図14】第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図15】第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図16】第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図17】第3実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図18】第3実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図19】第3実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図20】第4実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図21】第4実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図22】第4実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図23】第5実施形態に係る基板ステージの一部を示す平面図である。
【図24】第5実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図25】第5実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図26】第6実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図27】第6実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図28】第7実施形態に係る移動機構の一例を示す斜視図である。
【図29】第7実施形態に係る移動機構の動作の一例を説明するための図である。
【図30】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら例示的に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0032】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、所定のパターンが形成されたマスクMを保持しながら移動可能なマスクステージ1と、パターンが形成される基板Pを保持しながら移動可能な基板ステージ2と、各ステージの位置情報を計測する干渉計システム16と、マスクステージ1に保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、少なくとも露光光ELが通過する所定空間を真空状態に調整する真空システムを有するチャンバ装置(真空チャンバ)6と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置5とを備えている。チャンバ装置6内は、真空システムによって真空雰囲気に維持される。制御装置5には、露光に関する各種信号、情報を入力可能な入力装置7、及び露光に関する各種情報を記憶した記憶装置8が接続されている。入力装置7は、例えばキーボード、タッチパネル、マウス等を含む。基板Pは、半導体ウエハ等の基材の一方の面に感光材(レジスト)等の膜が形成されたものを含む。マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。
【0033】
本実施形態の露光装置EXは、極端紫外光で基板Pを露光するEUV露光装置である。
極端紫外光は、例えば波長5〜50nm程度の軟X線領域の電磁波である。以下の説明において、極端紫外光を適宜、EUV光、と称する。
【0034】
本実施形態において、マスクMは、EUV光を反射可能な多層膜を有する反射型マスクである。露光装置EXは、多層膜でパターンが形成されたマスクMの表面(反射面)を露光光(EUV光)ELで照明し、そのマスクMで反射した露光光ELで感光性を有する基板Pを露光する。マスクM、基板P、照明光学系ILの各光学素子、及び投影光学系PLの各光学素子には、真空状態(例えば、10−4Pa程度の減圧雰囲気)で露光光(EUV光)ELが照射される。
【0035】
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置、所謂、スキャニングステッパである。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。露光装置EXは、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明光学系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、マスクMを露光光ELで証明し、そのマスクMからの露光光ELを基板Pに照射して、その基板Pを露光する。
【0036】
照明光学系ILは、複数の光学素子IR1〜IR4を含み、マスクM上の所定の照明領域IRを均一な照度分布の露光光ELで照明する。光学素子IR1〜IR4は、EUV光を反射可能な多層膜を備えた多層膜反射鏡を含む。光学素子IR1〜IR4の多層膜は、例えばMo/Si多層膜を含む。各光学素子IR1〜IR4は、不図示の鏡筒に保持されている。
【0037】
照明光学系ILは、光源4からの露光光ELでマスクMを照明する。本実施形態の光源4は、レーザ励起型プラズマ光源であって、ハウジング9と、レーザ光を射出するレーザ装置10と、キセノンガス等のターゲット材料をハウジング9の内側に供給する供給部材11とを含む。レーザ装置10から射出され、集光光学系12で集光されたレーザ光は、供給部材11の先端から射出されるターゲット材料に照射される。レーザ光が照射されたターゲット材料は、プラズマ化してEUV光を含む光(露光光EL)を発生する。供給部材11の先端で発生した光は、コンデンサ13によって集光される。コンデンサ13を介した光は、ハウジング9の外側に配置されているコリメータミラー14に入射する。なお、光源4は、放電型プラズマ光源、あるいは他の光源でもよい。
【0038】
マスクステージ1は、マスクMを保持しながら、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6方向に移動可能な6自由度のステージである。本実施形態においては、マスクステージ1は、マスクMの反射面とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを保持する。また、本実施形態においては、マスクステージ1は、マスクMの反射面が−Z方向を向くように、マスクMを保持する。マスクステージ1(マスクM)の位置情報は、干渉計システム16のレーザ干渉計16Mによって計測される。レーザ干渉計16Mは、マスクステージ1に設けられた計測ミラー1Rを用いて、マスクステージ1のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。また、マスクステージ1に保持されているマスクMの反射面の面位置情報(Z軸、θX、及びθYに関する位置情報)は、フォーカス・レベリング検出システム(不図示)によって検出される。制御装置5は、レーザ干渉計16Mの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて、マスクステージ1に保持されているマスクMの位置を制御する。
【0039】
投影光学系PLは、複数の光学素子PR1〜PR4を含み、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で基板Pに投影する。光学素子PR1〜PR4は、EUV光を反射可能な多層膜を備えた多層膜反射鏡を含む。光学素子PR1〜PR4の多層膜は、例えばMo/Si多層膜を含む。各光学素子PR1〜PR4は、不図示の鏡筒に保持されている。また、本実施形態においては、投影光学系PLの各光学素子PR1〜PR4は、専用の真空チャンバ(鏡筒)15に収容されている。なお、専用の真空チャンバは無くてもよい。
【0040】
基板ステージ2は、マスクMのパターンからの露光光ELが照射されることによってパターンが形成される基板Pを保持する保持面19を有する保持部材20と、保持部材20を支持するステージ本体21とを含み、保持部材20で基板Pを保持しながら、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向に移動可能である。本実施形態においては、基板ステージ2は、基板Pの表面(露光面)とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。また、本実施形態においては、基板ステージ2は、基板Pの表面が+Z方向を向くように、基板Pを保持する。基板ステージ2(基板P)の位置情報は、干渉計システム16のレーザ干渉計16Pによって計測される。レーザ干渉計16Pは、基板ステージ2に設けられた計測ミラー2Rを用いて、基板ステージ2のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。また、基板ステージ2に保持されている基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX、及びθYに関する位置情報)は、フォーカス・レベリング検出システム(不図示)によって検出される。制御装置5は、レーザ干渉計16Pの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて、基板ステージ2に保持されている基板Pの位置を制御する。
【0041】
本実施形態においては、マスクMのパターンからの露光光ELで基板Pを露光するために、図1に示すように、マスクMがマスクステージ1に保持され、基板Pが基板ステージ2の保持部材20に保持される。マスクステージ1に保持されたマスクMは、光源4より射出され、照明光学系ILを介した露光光(EUV光)ELで照明される。照明光学系ILより射出された露光光ELは、マスクMの反射面に入射する。マスクMの反射面に照射され、その反射面で反射した露光光ELは、投影光学系PLの物体面側から投影光学系PLに入射する。投影光学系PLの物体面側から投影光学系PLに入射した露光光ELは、投影光学系PLの像面側に射出され、基板Pの表面(露光面)に照射される。これにより、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像が、投影光学系PLを介して、感光性の基板Pに投影され、基板Pは露光される。このように、マスクMのパターンからの露光光ELが投影光学系PLを介して基板Pに照射されることによって、基板Pにパターンが形成される。
【0042】
図2は、基板ステージ2の一部を示す平面図、図3は、基板ステージ2の一部を示す側面図である。図2及び図3において、基板ステージ2は、パターンが形成される基板Pを保持する保持面19を有する保持部材20を有する。本実施形態においては、保持面19は、XY平面とほぼ平行となるように配置されている。また、保持面19は、+Z方向を向くように配置される。
【0043】
基板Pは、保持面19と対向する裏面を有し、保持面19は、基板Pの裏面を保持する。基板Pの裏面は、露光光ELが照射される表面とは反対側の面である。上述のように、基板Pは、半導体ウエハ等の基材の一方の面(露光光ELが照射される表面)に感光材(レジスト)等の膜が形成されたものを含む。本実施形態においては、保持面19の外形は、基板Pの裏面の外形とほぼ同じである。
【0044】
本実施形態の保持部材20は、静電チャック機構を含み、保持面19は、基板Pの裏面を静電力で保持する。基板ステージ2は、例えば、粗動ステージと微動ステージとを重ね合わせたステージを用いることができる。本実施形態においては不図示の微動ステージの上に保持部材20が載置されている。保持部材20には複数の電極部材3が設けられている。電極部材3は、印加される電圧に応じて、基板Pを保持面19に吸着するための静電力を発生させる。すなわち、電圧が印加された電極部材3は、基板Pが保持面19に吸着され得る静電界を生成する。本実施形態において、電極部材3に所定の電圧を印加可能な電源装置22は、基板ステージ2に設けられている。ただし、電源装置22は、真空チャンバ6の外側、あるいは真空チャンバ6の内側の基板ステージ2とは異なる位置に配置されても構わない。電源装置22と電極部材3との間は電気配線によって電気的に接続されている。複数の電極部材3のそれぞれは、所定の形状を有し、保持部材20の所定位置に配置されている。
【0045】
本実施形態の保持部材20は、低膨張セラミックスを含む絶縁材料で形成されている。
保持部材20の少なくとも一部は、静電チャック機構の誘電体として機能する。電極部材3は、保持部材20の内部に配置されている。保持面19は、上述の低膨張セラミックスを含む絶縁材料で形成されている。
【0046】
保持部材20が低膨張材であるため、保持部材20の熱変形、ひいては保持した基板Pの変形が抑制される。また、保持部材20に計測マーク、計測部材等が配置されている場合には、それら計測マーク、計測部材の変形が抑制される。
【0047】
本実施形態の静電チャック機構は、所謂、双極方式であって、電源装置22によって正の電位が与えられる電極部材3と、負の電位が与えられる電極部材3とを含む。
【0048】
以下の説明においては、複数の電極部材3のうち、正の電位が与えられる電極部材3を適宜、正極31、と称し、負の電位が与えられる電極部材3を適宜、負極32、と称する。
【0049】
正極31は複数設けられ、負極32は、正極31に対応するように複数設けられる。図2及び図3に示すように、本実施形態においては、保持部材20には、9つの正極31(31A〜31I)と、それら9つの正極31(31A〜31I)にそれぞれ対応する9つの負極32(32A〜32I)とが設けられている。
【0050】
図2に示すように、本実施形態においては、保持面19の中心に対して−X側の領域に複数の正極31が配置され、+X側の領域に複数の負極32が配置されている。また、正極31は、保持面19の−X側の領域において、Y軸方向に複数配置されている。負極32は、保持面19の+X側の領域において、Y軸方向に複数配置されている。
【0051】
以下の説明においては、Y軸方向に複数配置されている正極31のうち、保持面19の−Y側のエッジに最も近い正極31を適宜、第1正極31A、と称し、第1正極31Aに次いで保持面19の−Y側のエッジに近い正極31を適宜、第2正極31B、と称する。
そして、複数の正極31のうち、第2正極31Bから+Y方向に順次、第3、第4、…、第8正極31C、31D、…、31H、と称し、保持面19の+Y側のエッジに最も近い正極31を適宜、第9正極31I、と称する。
【0052】
また、以下の説明においては、Y軸方向に複数配置されている負極32のうち、保持面19の−Y側のエッジに最も近い負極32を適宜、第1負極32A、と称し、第1負極32Aに次いで保持面19の−Y側のエッジに近い負極32を適宜、第2負極32B、と称する。そして、複数の負極32のうち、第2負極32Bから+Y方向に順次、第3、第4、…、第8負極32C、32D、…、32H、と称し、保持面19の+Y側のエッジに最も近い負極32を適宜、第9負極32I、と称する。
【0053】
第1正極31Aと第1負極32Aとは、XY平面内において、X軸方向に関して対向するように配置されている。また、本実施形態においては、第1正極31Aの大きさと第1負極32Aの大きさとはほぼ同じである。また、第1正極31Aの形状と第1負極32Aの形状とはほぼ同じである。本実施形態においては、第1正極31Aと第1負極32Aとは、Y軸に関して線対称である。
【0054】
同様に、第2、第3、…、第9正極31B、31C、…、31Iのそれぞれと、第2、第3、…、第9負極32B、32C、…、32Iのそれぞれとが対応している。第2、第3、…、第9正極31B、31C、…、31Iのそれぞれと、第2、第3、…、第9負極32B、32C、…、32Iのそれぞれとは、XY平面内において、X軸方向に関して対向するように配置されている。第2、第3、…、第9正極31B、31C、…、31Iのそれぞれと、第2、第3、…、第9負極32B、32C、…、32Iのそれぞれとは、Y軸に関して線対称である。
【0055】
以下の説明において、正の電位が与えられる第1正極31Aと負の電位が与えられる第1負極32Aとを合わせて適宜、第1電極パターン3A、と称する。同様に、第2正極31Bと第2負極32Bとを合わせて適宜、第2電極パターン3B、と称し、第3正極31Cと第3負極32Cとを合わせて適宜、第3電極パターン3C、と称し、第4正極31Dと第4負極32Dとを合わせて適宜、第4電極パターン3D、と称し、第5正極31Eと第5負極32Eとを合わせて適宜、第5電極パターン3E、と称し、第6正極31Fと第6負極32Fとを合わせて適宜、第6電極パターン3F、と称し、第7正極31Gと第7負極32Gとを合わせて適宜、第7電極パターン3G、と称し、第8正極31Hと第8負極32Hとを合わせて適宜、第8電極パターン3H、と称し、第9正極31Iと第9負極32Iとを合わせて適宜、第9電極パターン3I、と称する。
【0056】
本実施形態においては、各電極部材3は、X軸方向に長い形状を有する。保持部材20のエッジと対向する各電極部材3のエッジのXY平面内における形状は、保持面19の外形に応じた曲線状である。また、各正極31のうち、負極32と対向するエッジのXY平面内における形状は、Y軸とほぼ平行な直線状であり、各負極32のうち、正極31と対向するエッジのXY平面内における形状は、Y軸とほぼ平行な直線状である。
【0057】
また、第1、第9正極31A、31Iを除く各正極31B〜31Hの+Y側のエッジ、及び−Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状である。そして、Y軸方向に関する各正極31大きさは、ほぼ同じである。第1正極31Aの+Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状であり、第9正極31Iの−Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状である。
【0058】
また、第1、第9負極32A、32Iを除く各負極32B〜32Hの+Y側のエッジ、及び−Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状である。そして、Y軸方向に関する各負極32大きさは、ほぼ同じである。第1負極32Aの+Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状であり、第9負極32Iの−Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状である。
【0059】
そして、本実施形態においては、各正極31及び負極32を含む複数の電極部材3は、保持面19のほぼ全域に対応するように配置されている。
【0060】
図3に示すように、基板ステージ2は、複数の電極部材3に所定の電圧を印加可能な電源装置22を備えている。電源装置22は、各電極部材3に接続された配線23と、配線23に接続され、配線23を介して各電極部材3に印加するための電圧を発生する電圧発生器24と、配線23に配置され、電極部材3に対する電圧の印加と印加の停止とを切り替えるスイッチ25と、各電極部材3に印加する電圧値を調整可能な電圧調整器26とを備えている。スイッチ25は、複数の電極部材3(電極パターン3A〜3I)に対応するように複数設けられている。電圧調整器26は、複数の電極部材3のそれぞれに印加する電圧値を独立して調整可能である。電源装置22は、制御装置5によって制御される。なお、電圧値を調整しない場合には、電圧調整器26が無くても構わない。
【0061】
制御装置5は、静電チャック機構の正極31及び負極32に所定の電圧を印加することにより、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面との間にクーロン力及び/又はジャンセン・ラーベック力を発生させる。これにより、基板Pが保持部材20の保持面19に静電力で吸着されるように保持される。
【0062】
図4は、保持部材20の側断面図である。図2及び図4において、基板ステージ2は、保持部材20に対して基板Pを移動する移動機構44を備えている。移動機構44は、保持部材20の保持面19に対して基板Pを主にZ軸方向に移動する。移動機構44を、例えば不図示の粗動ステージに設けると、不図示の微動ステージや保持部材20の重量を軽くする事ができるため、基板Pの位置決め精度を向上させることが可能である。本実施の形態では、移動機構44は粗動ステージに配置されているが、微動ステージや保持部材20等他の場所に設けることが可能である。
【0063】
移動機構44は、基板Pの裏面を支持可能な支持面40A、40B、40Cをそれぞれ有する複数の支持部材41A、41B、41Cと、各支持部材41A、41B、41Cを保持面19と直交する方向(Z軸方向)に移動可能な駆動装置45とを備えている。支持部材41A、41B、41Cのそれぞれは、ロッド状の部材である。本実施形態においては、第1支持部材41Aと第2支持部材41Bとはほぼ同じ構造であり、第3支持部材41Cは、第1、第2支持部材41A、41Bとは異なる構造である。
【0064】
保持部材20は、支持部材41A、41B、41Cに応じて保持部材20の内部をZ軸方向に延びるように形成された複数の孔43A、43B、43Cを有する。本実施形態では、各支持部材41A、41B、41Cの少なくとも一部が、各孔43A、43B、43Cに配置されているが、常に各支持部材41A、41B、41Cが孔43A、43B、43C内に配置される必要はない。例えば、基板PをZ軸方向に押し上げるときだけ、各支持部材41A、41B、41Cが孔43A、43B、43Cを通り抜けて基板Pを押し上げる構成としてもよい。本実施形態においては、孔43A、43B、43Cの上端は、保持面19の中心を囲むように、ほぼ等間隔で配置されている。
【0065】
支持部材41A、41B、41Cは、孔43A、43B、43Cに沿ってZ軸方向に移動可能である。駆動装置45は、支持部材41A、41B、41Cのそれぞれを独立して移動可能である。移動機構44は、駆動装置45を用いて、支持部材41A、41B、41Cの支持面40A、40B、40Cが保持面19よりも+Z側に配置されるように支持部材41A、41B、41Cを移動可能であるとともに、支持部材41A、41B、41Cの支持面40A、40B、40Cが保持面19よりも−Z側に配置されるように支持部材41A、41B、41Cを移動可能である。駆動装置45としては圧電素子を用いたアクチュエータや電磁アクチュエータ等種々のアクチュエータを用いることができる。
【0066】
支持部材41A、41B、41Cは、駆動装置45により、保持面19と対向する基板Pの裏面の所定領域を支持しながら、保持部材20の保持面19に対してZ軸方向に移動可能である。すなわち、移動機構44は、支持部材41A、41B、41Cの支持面40A、40B、40Cに基板Pを支持した状態で、駆動装置45によって支持部材41A、41B、41Cを移動することにより、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面とが近付く方向及び離れる方向に基板Pを移動可能である。
【0067】
本実施形態においては、第1、第2支持部材41A、41Bは、静電チャック機構を含み、支持面40A、40Bは、基板Pの裏面を静電力で保持可能である。図4に示すように、基板ステージ2は、第1、第2支持部材41A、41Bに設けられ、基板Pを支持面40A、40Bに吸着するための静電力を発生させる複数の電極部材46と、複数の電極部材46に電圧を印加可能な電源装置22Bとを備えている。なお、電源装置22Bを基板ステージに設けずに、真空チャンバ6内の他の位置や真空チャンバ6外の他の位置に配置してもよい。
【0068】
図5は、第1支持部材41Aに設けられた電極部材46を示す平面図である。電極部材46は、第1支持部材41Aの内部に配置されている。本実施形態の静電チャック機構は、所謂、双極方式であって、電源装置22Bによって正の電位が与えられる電極部材46Aと、負の電位が与えられる電極部材46Bとを含む。以下の説明においては、正の電位が与えられる電極部材46を適宜、正極46A、と称し、負の電位が与えられる電極部材46を適宜、負極46B、と称する。
【0069】
図4に示すように、電源装置22Bは、各電極部材46に接続された配線23Bと、配線23Bに接続され、配線23Bを介して各電極部材46に印加するための電圧を発生する電圧発生器24Bと、配線23Bに配置され、電極部材46に対する電圧の印加と印加の停止とを切り替えるスイッチ25Bと、各電極部材46に印加する電圧値を調整可能な電圧調整器26Bとを備えている。なお、説明の便宜上、配線23B及びスイッチ25Bは一つしか記載していないが、各電極部材46の各々に配線23Bとスイッチ25Bが設けられている。
【0070】
制御装置5は、静電チャック機構の正極46A及び負極46Bに所定の電圧を印加することにより、支持面40Aと基板Pの裏面との間にクーロン力及び/又はジャンセン・ラーベック力を発生させる。これにより、基板Pが第1支持部材41Aの支持面40Aに静電力で吸着されるように保持される。
【0071】
同様に、第2支持部材41Bは、第1支持部材41Aと同様、正極46A及び負極46Bを含む静電チャック機構を有し、その正極46A及び負極46Bには、電源装置22Bによって所定の電圧が印加される。第2支持部材41Bの構造は、第1支持部材41Aの構造とほぼ同じであるため、第2支持部材41Bに関する説明は省略する。
【0072】
なお、本実施形態においては、各支持部材41A、41Bのそれぞれに正極と負極とが配置されているが、各支持部材41A、41Bのそれぞれに電極を一つのみ配置し、例えば、支持部材41A側を正極、支持部材41B側を負極としても構わない。また、支持部材41の数も2つに限定されず、1つでも構わないし、3つ以上設けてもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、基板ステージ2は、保持部材20に保持された基板Pに帯電している電気を取り除く除電装置47を備えている。本実施形態においては、除電装置47は、移動機構44の第3支持部材41Cを含む。
【0074】
本実施形態の第3支持部材41Cは、導電性を有する導電部材48を含む。本実施形態においては、少なくとも第3支持部材41Cの支持面40Cが導電部材48で形成されている。また、図4に示すように、第3支持部材41Cの導電部材48は、接地(アース)されている。接地された導電部材48と基板Pとが接触することによって、基板Pに帯電している電気(電荷)は、その基板Pから取り除かれる。
【0075】
図2に示すように、本実施形態においては、第3支持部材41Cが移動可能な開口42Cは、保持面19の中心に対して−Y側(第1電極パターン3A側)に配置されている。
第1、第2支持部材41A、41Bが移動可能な開口42A、42Bは、保持面19の中心に対して+Y側(第9電極パターン3I側)に配置されている。
【0076】
図6は、露光光ELが照射されることによってパターンが形成される基板P上のショット領域Sと、保持部材20との関係を示す模式図である。なお、図6においては、支持部材41A、41B、41C等の図示は省略してある。図6に示すように、基板P上には、露光対象領域であるショット領域Sが設定される。マスクMは、ショット領域Sに投影されるパターンが配置されたパターン形成領域MR(図1参照)を有する。本実施形態においては、1つのショット領域Sに、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンの像が投影される。すなわち、1つのショット領域Sには、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンに応じたパターンが形成される。例えばマスクMのパターン形成領域MRに1チップ分のパターン(デバイスパターン)が形成される場合、1つのショット領域Sには、1チップ分のパターンが形成される。なお、マスクMのパターン形成領域MRに複数チップ分(例えば2つ分)のパターン(デバイスパターン)が形成される場合、1つのショット領域Sには、複数チップ分のパターンが形成される。
【0077】
投影光学系PLの投影領域PRには、マスクMの照明領域IR内のパターンからの露光光ELが照射される。図6に示すように、本実施形態においては、投影領域PRは、X軸方向に長い矩形状(スリット状)である。投影光学系PLは、照明領域IRに対応するマスクMのパターンを介した露光光を投影領域PRに照射し、投影領域PRに照射された露光光で基板P上のショット領域Sの一部を露光する。
【0078】
1つのショット領域Sを露光する際、制御装置5は、照明領域IRに対するマスクMのパターン形成領域MRのY軸方向への移動に同期して、投影領域PRに対して基板P上のショット領域SをY軸方向へ移動しつつ、投影領域PRに露光光ELを照射する。これにより、ショット領域Sに、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンの像が投影される。
【0079】
基板P上には複数のショット領域Sがマトリクス状に設定され、それら複数のショット領域Sが順次露光される。すなわち、基板P上の複数のショット領域Sのそれぞれに、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンが順次形成される。制御装置5は、所定のショット領域Sを露光するためにマスクMと基板PとをY軸方向へ同期移動しつつ基板Pに露光光ELを照射する動作と、次のショット領域Sを露光するために基板PをX軸方向にステッピング移動する動作を繰り返しながら、複数のショット領域Sを順次露光する。本実施形態においては、一例として、制御装置5は、投影光学系PLの投影領域PRと基板Pとが、図6に示す矢印R1に沿って相対的に移動するように、基板ステージ2を移動しつつ、基板Pの複数のショット領域Sを順次露光する。
【0080】
図6に示すように、本実施形態においては、基板P上には、X軸方向に配置された複数のショット領域Sからなるショット領域群が、Y軸方向に9つ配置されている。
【0081】
以下の説明においては、Y軸方向に複数配置されているショット領域群のうち、保持面19の−Y側のエッジに最も近いショット領域群を適宜、第1ショット領域群S1、と称し、第1ショット領域群S1に次いで保持面19の−Y側のエッジに近いショット領域群を適宜、第2ショット領域群S2、と称する。また、複数のショット領域群のうち、第2ショット領域群S2から+Y方向に順次、第3、第4、…、第8ショット領域群S3、S4、…、S8、と称し、保持面19の+Y側のエッジに最も近いショット領域群を適宜、第9ショット領域群S9、と称する。
【0082】
図6に示すように、本実施形態においては、電極部材3のそれぞれは、パターン情報に応じた大きさ及び形状を有し、パターン情報に応じて保持部材20に配置されている。パターン情報は、パターンの大きさに関する情報、及びパターンの配列情報の少なくとも一方を含む。本実施形態において、パターン情報は、基板Pに形成されるパターン情報を含む。
【0083】
パターンの大きさに関する情報は、基板Pに形成されるパターンの大きさに関する情報を含み、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンの像が投影されることによって基板Pに形成されるパターンの大きさに関する情報を含む。すなわち、本実施形態においては、パターンの大きさに関する情報は、基板P上でのショット領域Sの大きさに関する情報、ひいては基板Pに形成されるチップの大きさに関する情報を含む。
【0084】
パターンの配列情報は、基板Pに形成されるパターンの配列情報を含み、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンの像が投影されることによって基板Pに形成されるパターンの配列情報を含む。すなわち、本実施形態においては、パターンの配列情報は、基板P上での複数のショット領域Sの配列情報、ひいては基板Pに形成されるチップの配列情報を含む。
【0085】
本実施形態においては、複数の電極部材3は、基板Pに形成されるパターン情報、具体的には基板P上に設定されるショット領域Sに関する情報に応じて配置されている。図6に示すように、本実施形態においては、各電極部材3のY軸方向の大きさは、ショット領域SのY軸方向の大きさとほぼ一致するように設定されている。1つのショット領域Sに1つのチップが形成される場合には、各電極部材3のY軸方向の大きさは、1つのチップのY軸方向の大きさとほぼ一致するように設定されている。また、電極部材3によって形成される第1〜第9電極パターン3A〜3IそれぞれのX軸方向の大きさは、ショット領域Sによって形成される第1〜第9ショット領域群S1〜S9それぞれのX軸方向の大きさと対応するように設定されている。
【0086】
また、各電極部材3は、複数のショット領域Sに対応するように配列されている。本実施形態においては、第1〜第9電極パターン3A〜3Iのそれぞれは、第1〜第9ショット領域群S1〜S9のそれぞれに対応するように配置されている。
【0087】
一例として、円形状の基板P及びその基板Pの外形とほぼ同じである保持面19の直径は約300mm、各電極部材3のY軸方向の大きさ(1チップのY軸方向の大きさ)は約33mm、各電極部材3同士の間の距離は約5mmである。
【0088】
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法の一例について説明する。
【0089】
本実施形態においては、電源装置22は、パターン情報に応じて、各電極部材3に印加する電圧を調整する。上述したように、パターン情報は、基板Pに形成されるパターンの大きさに関する情報、及びパターンの配列情報の少なくとも一方を含み、基板P上におけるショット領域Sに関する情報、基板Pに形成されるチップ情報を含む。
【0090】
また、本実施形態においては、パターン情報は、パターンを形成する順序を含む。パターンを形成する順序は、基板P上においてパターンを形成する順序を含む。本実施形態においては、基板P上においてパターンを形成する順序は、基板P上に設定された複数のショット領域Sのそれぞれにパターンを形成する動作を実行する順序、換言すれば、ショット領域Sのそれぞれにパターンを形成するためにマスクMのパターンからの露光光ELを照射する順序を含む。
【0091】
基板Pに対する露光を開始する前の所定のタイミングにおいて、入力装置7より、制御装置5に、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が入力される。制御装置5は、入力装置7より入力されたパターン情報を含む露光条件に基づいて、少なくとも基板Pを露光するときの電源装置22の動作を制御する。制御装置5は、入力装置7より入力されたパターン情報に応じて、電源装置22を制御して、その電源装置22より各電極部材3に印加する電圧を調整する。なお、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が記憶装置8に予め記憶されていてもよい。その場合、制御装置5は、その記憶装置8に記憶されているパターン情報に応じて、電源装置22を制御して、その電源装置22より各電極部材3に印加する電圧を調整することができる。
【0092】
本実施形態においては、制御装置5が、最初に第1ショット領域群S1のショット領域Sを露光し、その後、第2、第3、…、第8ショット領域群S2、S3、…、S8のショット領域Sを順次露光し、最後に第9ショット領域群S9のショット領域Sを露光する場合を例にして説明する。
【0093】
まず、図7Aに示すように、所定の搬送装置50によって、露光前の基板Pが、基板ステージ2の保持部材20に搬入(ロード)される。基板Pを保持部材20にロードするとき、制御装置5は、支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cが保持部材20の保持面19よりも上方(+Z側)に配置されるように、移動機構44の駆動装置45を用いて支持部材41A〜41Cを移動する。搬送装置50は、図7Bに示すように、保持面19よりも+Z側に配置されている支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cに、基板Pを載せる。
【0094】
本実施形態においては、第1、第2支持部材41A、41Bは、正極46A及び負極46Bを含む静電チャック機構を有しており、搬送装置50より渡された基板Pを静電力で保持する。これにより、基板Pの位置ずれ等の発生を抑制することができる。第1、第2支持部材41A、41Bの支持面40A、40Bと基板Pの裏面とを静電力で吸着させた後、制御装置5は、基板Pの裏面を支持した支持部材41A〜41Cを、下方(−Z方向)に移動する。すなわち、制御装置5は、基板Pの裏面と保持部材20の保持面19とが近付くように、基板Pの裏面を支持した支持部材41A〜41Cを移動する。これにより、図7Cに示すように、基板Pが保持部材20の保持面19に載る。保持部材20の保持面19に基板Pを載せた後、制御装置5は、電源装置22Bによる電極部材46に対する電圧の印加を停止する。また、制御装置5は、基板Pの裏面と支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cとが離れるまで、支持部材41A〜41Cを−Z方向に移動する。
これにより、保持部材20の保持面19が基板Pを保持可能な状態になるとともに、基板Pに対する支持部材41A〜41Cの支持が解除される。
【0095】
電極部材3が設けられた保持部材20の保持面19に基板Pを載せた後、基板Pを保持面19に静電力で吸着するために、制御装置5は、電源装置22を用いて、電極部材3に所定の電圧を印加する。本実施形態においては、基板Pを保持面19に載せた後、基板Pの露光を開始する前に、全ての電極パターン3A〜3Iの各正極31A〜31I、及び各負極32A〜32Iのそれぞれに、所定の電圧を印加する。これにより、基板Pは、静電力によって、保持部材20の保持面19に吸着されるように保持される。
【0096】
基板Pを保持部材20の保持面19に静電力で保持した後、制御装置5は、FIA等のアライメント装置を用いて基板Pの位置合わせを行い、基板Pに対する露光処理を開始する。基板P上には複数のショット領域Sが設定されており、それら複数のショット領域Sを順次露光して、基板P上のショット領域Sのそれぞれに、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンを形成する動作を実行する。
【0097】
以下、図8〜図11の模式図を参照しながら、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて複数の電極部材3に印加する電圧を調整する動作について説明する。具体的には、基板Pに形成されるパターン情報に応じて、複数の電極部材3の中から、所定の電極部材3を選択し、所定の電極部材3に印加する電圧を調整する動作について主に説明する。なお、図8〜図11においては、支持部材41A、41B、41C等の図示は省略してある。
【0098】
本実施形態においては、電源装置22は、少なくともパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32に印加する電圧値の絶対値を、他のショット領域Sに対応する正極31、負極32に印加する電圧値の絶対値よりも大きくする。
【0099】
本実施形態においては、電源装置22は、少なくともパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する電極部材3に所定値の電圧を印加し、パターンの形成動作が行われていないショット領域Sの少なくとも一部のショット領域Sに対応する電極部材3に印加する電圧値の絶対値を、所定値の絶対値よりも小さい値とする。
【0100】
本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32に印加する電圧値の絶対値を、パターンが形成された後の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32へ印加する電圧値の絶対値よりも大きくする。本実施形態においては、パターンが形成された後の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32へ印加する電圧値をオフとする。本実施の形態では電圧をオフとするには、スイッチ25によって電極部材3を接地させたが、電源から供給される電圧値を0としても良い。これについては、他の実施形態においても同様である。
【0101】
本実施形態においては、パターンの形成動作は、基板Pにパターンを形成するために、マスクMのパターンからの露光光ELを基板Pに照射する動作を含む。したがって、パターンの形成動作が進行中とは、マスクMのパターンからの露光光ELが基板Pに照射中、すなわち基板Pを露光中であることを含む。また、パターンが形成される前とは、パターンの形成動作が実行される前であることを含み、マスクMのパターンからの露光光ELが基板Pに照射される前、すなわち基板Pの露光前であることを含む。また、パターンが形成された後とは、パターンの形成動作が実行された後であることを含み、マスクMのパターンからの露光光ELが基板Pに照射された後、すなわち基板Pの露光後であることを含む。
【0102】
図8〜図11においては、複数のショット領域Sのうち、パターンの形成動作が進行中、及びパターンの形成動作が実行された後のショット領域Sを実線で示し、パターンの形成動作が実行される前のショット領域Sを破線で示す。また、電源装置22によって電圧が印加されている電極部材3に斜線を付す。
【0103】
まず、図8に示すように、基板P上に設定された複数のショット領域Sのうち、第1ショット領域群S1のショット領域Sに対する露光が実行される。第1ショット領域群S1のショット領域Sに対するパターンの形成動作の進行中、すなわち、第1ショット領域群S1のショット領域Sの露光中において、電源装置22は、第1〜第9電極パターン3A〜3Iの全ての電極部材3(正極31、負極32)に所定値の電圧を印加する(電圧をonにする)。これにより、保持部材20で基板Pを良好に保持した状態で、第1ショット領域群S1のショット領域Sに対する露光が良好に実行される。
【0104】
図9の模式図に示すように、第1ショット領域群S1の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1ショット領域群S1のショット領域Sに対応する第1電極パターン3Aの電極部材3に対する電圧の印加を停止する(オフにする)。すなわち、電源装置22は、パターンが形成された後(露光後)であって、パターンの形成動作が行われていない基板P上の第1ショット領域群S1のショット領域Sに対応する第1電極パターン3Aの電極部材3を接地する。電源装置22は、例えばスイッチ25を用いて、第1電極パターン3Aの電極部材3を電気的に接地する。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第2〜第9ショット領域群S2〜S9のショット領域Sに対応する第2〜第9電極パターン3B〜3Iに電源装置22によって印加される電圧値を所定値に維持する。これにより、第1電極パターン3Aに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力を、第2〜第9電極パターン3B〜3Iに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力よりも弱くすることができる。また、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する第2〜第9電極パターン3B〜3Iに対しては所定値の電圧が印加されているので、保持部材20で基板Pを良好に保持した状態で、第2ショット領域群S2のショット領域Sに対する露光が良好に実行される。具体的には、例えば、第2〜第9電極パターンに対応する領域の基板Pの温度が露光によって上昇したとしても、保持部材20で基板Pをしっかりと保持することによって、露光前の領域の基板の位置ずれを抑制することができる。したがって、露光開始前に行われたアライメントに基づいて全てのショット領域の露光を行うことができるので、露光不良を抑えることができる。
【0105】
このように、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32に所定値の電圧を印加することにより、その正極31、負極32に対応する保持面19と基板Pの裏面との間に単位面積当たりにおいて所定の静電力を発生させることができる。また、パターンが形成された後の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32に所定値よりも小さい値(0を含む)の電圧を印加することにより、その正極31、負極32に対応する保持面19と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力を、上述の単位面積当たりにおける所定の静電力よりも弱い力にすることができる。
【0106】
複数のショット領域Sに対する露光が進行し、図10の模式図に示すように、第1〜第3ショット領域群S1〜S3の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に対する電圧の印加を停止する。すなわち、電源装置22は、パターンが形成された後(露光後)であって、パターンの形成動作が行われていない基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第4〜第9ショット領域群S4〜S9のショット領域Sに対応する第4〜第9電極パターン3B〜3Iに電源装置22によって印加される電圧値を所定値に維持する。これにより、第1〜第3電極パターン3A〜3Cに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力を、第4〜第9電極パターン3D〜3Iに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力よりも弱くすることができる。また、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する第4〜第9電極パターン3D〜3Iに対しては所定値の電圧が印加されているので、保持部材20で基板Pを良好に保持した状態で、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対する露光が良好に実行される。
【0107】
複数のショット領域Sに対する露光が進行し、図11の模式図に示すように、第1〜第8ショット領域群S1〜S8の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第9ショット領域群S9のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第8ショット領域群S1〜S8のショット領域Sに対応する第1〜第8電極パターン3A〜3Hの電極部材3に対する電圧の印加を停止する。すなわち、電源装置22は、パターンが形成された後(露光後)であって、パターンの形成動作が行われていない基板P上の第1〜第8ショット領域群S1〜S8のショット領域Sに対応する第1〜第8電極パターン3A〜3Hの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第9ショット領域群S9のショット領域Sに対応する第9電極パターン3Iに電源装置22によって印加される電圧値を所定値に維持する。これにより、第1〜第8電極パターン3A〜3Hに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力を、第9電極パターン3Iに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力よりも弱くすることができる。また、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する第9電極パターン3Iに対しては所定値の電圧が印加されているので、保持部材20で基板Pを良好に保持した状態で、第9ショット領域群S9のショット領域Sに対する露光が良好に実行される。
【0108】
このように、本実施形態においては、制御装置5は、基板P上に形成されるパターン情報に応じて、複数の電極部材3の中から、所定の電極部材3を選択し、その選択した電極部材3に対して所定の電圧を印加する。
【0109】
基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0110】
図12Aは、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後の保持部材20の状態を示す図である。基板Pを保持部材20からアンロードするために、制御装置5は、支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cが保持部材20の保持面19よりも上方(+Z側)に配置されるように、移動機構44の駆動装置45を用いて支持部材41A〜41Cを移動する。すなわち、制御装置5は、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面とが離れるように、移動機構44を用いて、保持部材20に対する基板Pの移動を開始する。これにより、図12Bに示すように、支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cは、保持面19よりも上方(+Z側)に配置され、その支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cに支持された基板Pの裏面と保持部材20の保持面19とは、Z軸方向に関して離れる。
【0111】
支持部材41A〜41Cで基板Pの裏面を支持して、基板Pの裏面と保持部材20の保持面19とを離す際、制御装置5は、基板Pを支持面40A、40Bに静電力で吸着するために、電源装置22Bを用いて、第1、第2支持部材41A、41Bに設けられた正極46A、負極46Bに所定の電圧を印加する。これにより、基板Pの裏面は、静電力によって、第1、第2支持部材41A、41Bの支持面40A、40Bに吸着されるように保持される。制御装置5は、支持面40A、40Bと基板Pとを静電力で吸着させた状態で、支持部材41A〜41Cを上方(+Z方向)に移動して、基板Pの裏面と保持部材20の保持面19とを離す。これにより、基板Pの位置ずれ等の発生を抑制することができる。
【0112】
また、本実施形態においては、第3支持部材41Cは、接地された導電部材48を含み、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面を離すときに、基板Pの裏面と接触する。導電部材48を含む第3支持部材41Cは、基板Pと接触することによって、その基板Pに帯電している電気(電荷)を取り除くことができる。このように、第3支持部材41Cの導電部材48を含む除電装置47は、保持部材20と基板Pとを離すときに、第3支持部材41C(導電部材48)を用いて、基板Pに帯電している電気を取り除くことができる。
【0113】
そして、図12Cに示すように、所定の搬送装置50によって、露光後の基板Pが、基板ステージ2の保持部材20から搬出(アンロード)される。支持部材41A〜41Cに支持されている基板Pを搬送装置50に渡す際、制御装置5は、電源装置22Bによる電極部材46に対する電圧の印加を停止する。これにより、第1、第2支持部材41A、41Bの静電チャック機構による保持が解除され、基板Pは、搬送装置50によって、円滑に搬出される。また、支持面40A、40Bの面積は十分に小さく、電源装置22Bによる電極部材46に対する電圧の印加を停止した後、残留する静電力(吸着力)が発生しても、その残留する静電力は十分に小さい。したがって、基板Pの裏面と支持面40A、40Bとを円滑に離すことができる。
【0114】
静電チャック機構において、電極部材3に対する電圧の印加を停止した場合でも、例えば残留する静電力(吸着力)によって、電極部材3に対する電圧の印加を停止した直後においては、保持面19から基板Pを円滑に離すことが困難となる可能性がある。残留する静電力が時間の経過に伴って低減される場合、保持面19から基板Pを円滑に離すために(アンロードするために)、基板Pの保持を良好に行うことができる範囲内で、可能な限り早いタイミングで電極部材3に対する電圧の印加を停止して、電極部材3に対する電圧の印加を停止した時点から保持面19と基板Pとを離す動作(アンロードする動作)を実行する時点までの時間を長くすることが望ましい。
【0115】
本実施形態においては、基板P上に形成されるパターン情報に応じて電極部材3を複数配置し、そのパターン情報に応じて、複数の電極部材3に対する電圧の印加の停止を所定の順序で実行しているので、例えば電圧の印加が最初に停止された第1電極パターン3Aの電極部材3に基づいて残留している静電力を、保持面19から基板Pを離す動作を実行するまでに(アンロードするまでに)、十分に低減させることができる。同様に、第2、第3、…、第8電極パターン3B、3C、…、3Hの電極部材3に基づいて残留している静電力も、保持面19から基板Pをアンロードするまでに、十分に低減させることができる。また、第9電極パターン3Iの電極部材3に基づいて残留している静電力が、保持面19から基板Pをアンロードするまでに十分に低減されるならば、保持部材20から基板Pのアンロードを円滑に実行できる。また、第9電極パターン3Iの電極部材3に基づいて残留している静電力が、保持面19から基板Pをアンロードするまでに十分に低減されない場合でも、第9電極パターン3Iに対応する保持面19の領域は小さく、静電力の大きさは、基板Pの保持を良好に行うことができる範囲内で十分に小さい。そのため、保持部材20から基板Pのアンロードを円滑に実行できる。
【0116】
本実施形態においては、基板Pの重さ、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面との摩擦係数、基板ステージ2を移動するときの加速度等に応じて、基板Pの保持を良好に行うことができるように、各電極部材3に印加する電圧値が予め最適化されている。そのため、第9ショット領域群S9のショット領域Sを露光するときに、第9電極パターン3Iの正極31I及び負極32Iのみに所定の電圧を印加することによって、その第9電極パターン3Iに基づいて発生する静電力によって、基板Pの保持を良好に行うことができる。また、保持部材20から基板Pのアンロードを円滑に実行できる。
【0117】
図13は、支持部材41A〜41Cを含む移動機構44によって、保持部材20と基板Pとを離すときの動作の一例を示す模式図である。図13に示すように、移動機構44は、基板Pの裏面の一部分が他の部分よりも保持面19から先に離れるように、保持部材20に対する基板Pの移動を開始する。本実施形態においては、導電部材48を含む第3支持部材41Cが、保持面19から先に離れる基板Pの裏面の一部分を支持する。換言すれば、3つの支持部材41A〜41Cのうち、第3支持部材41Cの支持面40Cが、他の支持部材41A、41Bの支持面40A、40Bよりも先に、保持面19から+Z方向への移動を開始するように、移動機構44の駆動装置45が制御される。
【0118】
上述のように、本実施形態においては、複数の電極パターン3A〜3Iそれぞれの電極部材3に電圧を印加して保持面19に基板Pを吸着させた後、パターンを形成する順序(ショット領域Sを露光する順序)に応じて、複数の電極部材3に対する電圧の印加の停止が所定の順序で実行される。すなわち、図9等を参照して説明したように、まず、第1電極パターン3Aの電極部材3に対する電圧の印加が停止され、その後、第2、第3、…、第9電極パターン3B、3C、…、3Iの順序で、電極部材3に対する電圧の印加が停止される。移動機構44は、電圧の印加が最初に停止された第1電極パターン3Aの電極部材3に対応する基板Pの裏面の一部分、すなわち基板Pの−Y側のエッジ近傍の一部分と保持部材20の保持面19とが最初に離れるように、保持部材20に対する基板Pの移動を開始する。
【0119】
本実施形態においては、複数の支持部材41A〜41Cのうち、導電部材48を含む第3支持部材41Cが、基板Pの−Y側のエッジ近傍に配置されている。制御装置5は、3つの支持部材41A〜41Cのうち、第3支持部材41Cの支持面40Cが、他の支持部材41A、41Bの支持面40A、40Bよりも先に、保持面19から+Z方向への移動を開始するように、移動機構44の駆動装置45を制御することによって、第3支持部材41Cの支持面40Cで支持された基板Pの−Y側のエッジ近傍を、保持部材20の保持面19から最初に離れるように、基板Pを移動させることができる。
【0120】
電圧の印加が最初に停止された第1電極パターン3Aに対応する基板Pの一部分が他の部分よりの先に保持面19から離れるように、保持面19と基板Pの裏面とを離す動作を実行することで、保持面19と基板Pの裏面とを離す動作を円滑に実行できる。電極部材3に対する電圧の印加を停止後において、残留する静電力が存在しても、電圧の印加が最初に停止された第1電極パターン3Aの電極部材3に基づいて残留している静電力は、保持面19から基板Pをアンロードするまでに十分に低減されている可能性が高い。そのため、その残留する静電力が十分に低減されている可能性が高い基板Pの裏面の一部分を他の部分に対して保持面19から先に離すように基板Pを移動することによって、基板Pと保持面19とを円滑に離すことができる。
【0121】
以上説明したように、本実施形態によれば、電極部材3が基板Pに形成されるパターン情報に応じて配置されており、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0122】
また、本実施形態によれば、支持部材41A、41Bには、電極部材46を含む静電チャック機構が設けられているので、その支持部材41A、41Bを用いて、基板Pを良好に支持することができる。したがって、その支持部材41A、41Bを用いて、基板Pの位置ずれ等の発生を抑制しつつ、保持部材20に対する基板Pの搬入動作及び保持部材20からの基板Pの搬出動作を良好に実行できる。したがって、デバイスの性能の劣化を抑制しつつデバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0123】
また、本実施形態によれば、保持部材20と基板Pとを離すときに、基板Pに帯電している電気を除電装置47の第3支持部材41C(導電部材48)で取り除くので、残留する静電力によって保持部材20と基板Pとが離れ難くなる現象の発生を抑制でき、基板Pに大きな負荷がかかるのを抑制しつつ、保持部材20と基板Pとを円滑に離すことができる。
【0124】
なお、本実施形態においては、例えばパターンの形成動作が進行中の第1ショット領域群S1のショット領域Sに対応する電極部材3に所定値の電圧を印加し、その第1ショット領域群S1のショット領域Sに対するパターンの形成動作が実行された後、次の第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターンの形成動作を開始するときに、第1ショット領域群S1に対応する電極部材3に印加する電圧値をオフにしているが、第1ショット領域群S1に対応する電極部材3に印加する電圧値をオフにするタイミングとしては、第1ショット領域群S1のショット領域Sに対するパターンの形成動作が実行された後であれば、任意のタイミングで実行可能である。例えば、第1ショット領域群S1のショット領域Sに対するパターンの形成動作が実行され、次の第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターンの形成動作が実行された後に、第1ショット領域群S1に対する電極部材3に印加する電圧値をオフにするようにしてもよい。
【0125】
なお、本実施形態においては、パターンの形成動作が進行中のショット領域Sに対応する電極部材3に所定の極性の電圧を印加し、そのショット領域Sに対するパターンの形成動作が実行された後、そのパターンの形成動作が実行された後のショット領域Sに対応する電極部材3に印加する電圧値をオフにしているが、電圧値をオフにする前に、例えば所定時間、逆の極性の電圧を印加するようにしてもよい。例えば、図9において、第1ショット領域群S1の各ショット領域Sに対するパターンの形成動作が終了し、第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行を開始する際、例えば正の電位が与えられていた電極部材3(正極31A)に印加する電圧値を所定時間、負の電位を与える。こうすることにより、残留する静電力(吸着力)の発生を抑制することができる。同様に、負の電位が与えられていた電極部材3(負極32A)に印加する電圧値を所定時間、正の電位を与えることができる。その後、電極部材3の電圧をオフにすればよい。
【0126】
また、本実施形態においては、露光が終了した領域に対応する電極の電圧を全てオフにしているが、ショット領域の一部、例えばショット領域S7、S8、S9に対応する電極については全ての露光が終了するまで電圧をオフにせず、ショット領域S1〜S6に対応する電極のみ露光が終了した時点で電圧をオフにしてもよい。
【0127】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0128】
上述の第1実施形態においては、パターンの形成動作が実行された後のショット領域Sに対応する電極部材3に印加する電圧値をオフにしているが、第2実施形態の特徴的な部分は、電圧値をオフにせずに、印加する電圧値の絶対値を小さくする点にある。
【0129】
図14、図15、及び図16は、第2実施形態に係る電源装置22の動作の一例を説明するための模式図である。上述の第1実施形態と同等、第2実施形態においても、基板P上の複数のショット領域Sにパターンが順次形成される。本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値に設定し、パターンの形成動作が実行された後であって、パターンの形成動作が行われていないショット領域Sに対応する電極部材3に印加する電圧値が、第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値となるように電圧を印加する。なお、第1の電圧値及び第2の電圧値は絶対値である。
【0130】
例えば、第1ショット領域群S1のショット領域Sに対するパターンの形成動作の進行中、すなわち、第1ショット領域群S1のショット領域Sの露光中において、電源装置22は、第1〜第9電極パターン3A〜3Iの全ての電極部材3(正極31、負極32)に第1の電圧値の電圧を印加する。これにより、静電力によって、保持面19に基板Pが吸着されるように保持される。
【0131】
そして、例えば図14の模式図に示すように、第1ショット領域群S1の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1ショット領域群S1のショット領域Sに対応する第1電極パターン3Aの電極部材3に印加する電圧値を、第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。
電源装置22は、例えば電圧調整器26を用いて、第1電極パターン3Aの電極部材3に印加する電圧値を第2の電圧値にする。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第2〜第9ショット領域群S2〜S9のショット領域Sに対応する第2〜第9電極パターン3B〜3Iに電源装置22によって印加される電圧値を第1の電圧値に維持する。
【0132】
複数のショット領域Sに対する露光が進行し、図15の模式図に示すように、第1〜第3ショット領域群S1〜S3の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に印加する電圧値を、第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第4〜第9ショット領域群S4〜S9のショット領域Sに対応する第4〜第9電極パターン3B〜3Iに電源装置22によって印加される電圧値を第1の電圧値に維持する。
【0133】
複数のショット領域Sに対する露光が進行し、図16の模式図に示すように、第1〜第8ショット領域群S1〜S8の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第9ショット領域群S9のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第8ショット領域群S1〜S8のショット領域Sに対応する第1〜第8電極パターン3A〜3Hの電極部材3に印加する電圧値を、第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第9ショット領域群S9のショット領域Sに対応する第9電極パターン3Iに電源装置22によって印加される電圧値を第1の電圧値に維持する。
【0134】
そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0135】
このように、本実施形態においては、複数の電極部材3に電圧を印加して保持面19に基板Pを吸着させた後、第1、第2、…、第9電極パターン3A、3B、…、3Iの順序で、複数の電極部材3のそれぞれに対して印加される電圧値が順次低減される。そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、保持面19と基板Pとを移動機構44を用いて離す際、移動機構44は、電圧値が最初に低減された第1電極パターン3Aの電極部材3に対応する基板Pの一部分と保持面19とが最初に離れるように、保持面19に対する基板Pの移動を開始する。
【0136】
以上説明したように、本実施形態においても、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0137】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0138】
上述の実施形態においては、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域群に対応する電極部材3に所定値(第1の電圧値)の電圧を印加し、パターンが形成された後の基板P上のショット領域群に対応する電極部材3に印加する電圧値を所定値(第1の電圧値)の電圧よりも小さい値(0、又は第2の電圧値)に設定している。第3実施形態の特徴的な部分は、パターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域群に対応する電極部材3に所定値の電圧を印加し、他のショット領域群、すなわちパターンが形成される前、及びパターンが形成された後のショット領域群に対応する電極部材3に印加する電圧値を、所定値よりも小さい値に設定する点にある。
【0139】
図17、図18、及び図19は、第3実施形態に係る電源装置22の動作の一例を説明するための模式図である。上述の実施形態と同等、第3実施形態においても、基板P上の複数のショット領域Sにパターンが順次形成される。
【0140】
例えば図17の模式図に示すように、第3ショット領域群S3のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第3ショット領域群S3のショット領域Sに対応する第3電極パターン3Cの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1、第2ショット領域群S1、S2のショット領域Sに対応する第1、第2電極パターン3A、3Bの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第4〜第9ショット領域群S4〜S9のショット領域Sに対応する第4〜第9電極パターン3D〜3Iの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0141】
図18の模式図に示すように、第1〜第3ショット領域群S1〜S3の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第4ショット領域群S4のショット領域Sに対応する第4電極パターン3Dの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第5〜第9ショット領域群S5〜S9のショット領域Sに対応する第5〜第9電極パターン3E〜3Iの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0142】
図19の模式図に示すように、第1〜第4ショット領域群S1〜S4の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第5ショット領域群S5のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第5ショット領域群S5のショット領域Sに対応する第5電極パターン3Eの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第4ショット領域群S1〜S4のショット領域Sに対応する第1〜第4電極パターン3A〜3Dの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第6〜第9ショット領域群S6〜S9のショット領域Sに対応する第6〜第9電極パターン3F〜3Iの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0143】
以下同様に、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材のみに所定値の電圧を印加し、他のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材3に印加する電圧値をオフにしつつ、各ショット領域Sに対するパターンの形成動作を実行する。
【0144】
そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0145】
本実施形態においても、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0146】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0147】
図20、図21、及び図22は、第4実施形態に係る電源装置22の動作の一例を説明するための模式図である。上述の実施形態と同等、第4実施形態においても、基板P上の複数のショット領域Sにパターンが順次形成される。
【0148】
例えば図20の模式図に示すように、第3ショット領域群S3のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第3ショット領域群S3のショット領域Sに対応する第3電極パターン3Cの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値に設定し、パターンが形成された後の基板P上の第1、第2ショット領域群S1、S2のショット領域Sに対応する第1、第2電極パターン3A、3Bの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第4〜第9ショット領域群S4〜S9のショット領域Sに対応する第4〜第9電極パターン3D〜3Iの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。
【0149】
図21の模式図に示すように、第1〜第3ショット領域群S1〜S3の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第4ショット領域群S4のショット領域Sに対応する第4電極パターン3Dの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値に設定し、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第5〜第9ショット領域群S5〜S9のショット領域Sに対応する第5〜第9電極パターン3E〜3Iの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。
【0150】
図22の模式図に示すように、第1〜第4ショット領域群S1〜S4の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第5ショット領域群S5のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第5ショット領域群S5のショット領域Sに対応する第5電極パターン3Eの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値に設定し、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第4ショット領域群S1〜S4のショット領域Sに対応する第1〜第4電極パターン3A〜3Dの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第6〜第9ショット領域群S6〜S9のショット領域Sに対応する第6〜第9電極パターン3F〜3Iの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。
【0151】
以下同様に、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材に印加する電圧値を第1の電圧値に設定し、他のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材3に印加する電圧値を第2の電圧値に設定しつつ、各ショット領域Sに対するパターンの形成動作を実行する。
【0152】
そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0153】
本実施形態においても、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0154】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0155】
図23は、第5実施形態に係る保持部材20Bを示す図である。本実施形態においては、保持部材20Bには、18の正極31(31A〜31R)と、それら18の正極31(31A〜31R)のそれぞれに対応する18の負極32(32A〜32R)とが設けられている。第1、第2、…、第18正極31A、31B、…、31Rのそれぞれと、第1、第2、…、第18負極32A、32B、…、32Rのそれぞれとが対応している。なお、図23においては、支持部材41A、41B、41Cの図示は省略してある。
【0156】
そして、第1、第2、…、第18正極31A、31B、…、31Rのそれぞれと、第1、第2、…、第18負極32A、32B、…、32Rのそれぞれとによって、第1、第2、…、第18電極パターン3A、3B、…、3Rが形成されている。
【0157】
図24は、本実施形態に係る電極部材3と基板P状に設定されるショット領域Sとの関係を示す図である。上述の各実施形態と同様、本実施形態において、基板P上には、第1、第2、…、第9ショット領域群S1、S2、…、S9が設定される。
【0158】
図24に示すように、複数の電極部材3のそれぞれは、パターン情報に応じた大きさ及び形状を有し、パターン情報に応じて保持部材20に配置されている。上述のように、パターン情報は、基板P上でのショット領域Sに関する情報、ひいては基板Pに形成されるチップ情報を含む。
【0159】
図24に示すように、複数の電極部材3は、基板P上に設定されるショット領域Sに関する情報に応じて配置されている。本実施形態においては、各電極部材3のY軸方向の大きさは、ショット領域SのY軸方向の半分の大きさとほぼ一致するように設定されている。すなわち、Y軸方向に関して、1つ分のショット領域Sの大きさと、2つ分の電極部材3の大きさとがほぼ一致するように設定されている。また、電極部材3によって形成される第1〜第18電極パターン3A〜3RそれぞれのX軸方向の大きさは、ショット領域Sによって形成される第1〜第9ショット領域群S1〜S9それぞれのX軸方向の大きさと対応するように設定されている。
【0160】
すなわち、各電極部材3は、複数のショット領域Sに対応するように配列されている。
本実施形態においては、第1、第2電極パターン3A、3Bが、第1ショット領域群S1に対応するように配置されており、第3、第4電極パターン3C、3Dが、第2ショット領域群S2に対応するように配置されている。同様に、第5、第6電極パターン3E、3Fが、第3ショット領域群S3に対応するように配置され、第7、第8電極パターン3G、3Hが、第4ショット領域群S4に対応するように配置され、第9、第10電極パターン3I、3Jが、第5ショット領域群S5に対応するように配置され、第11、第12電極パターン3K、3Lが、第6ショット領域群S6に対応するように配置され、第13、第14電極パターン3M、3Nが、第7ショット領域群S7に対応するように配置され、第15、第16電極パターン3O、3Pが、第8ショット領域群S8に対応するように配置され、第17、第18電極パターン3Q、3Rが、第9ショット領域群S9に対応するように配置されている。
【0161】
次に、本実施形態に係る保持部材20Bの動作の一例について説明する。基板Pに対する露光を開始する前の所定のタイミングにおいて、入力装置7より、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が入力される。そして、その入力装置7より入力されたパターン情報に応じて、電源装置22より各電極部材3に印加する電圧が調整される。なお、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が記憶装置8に予め記憶され、その記憶装置8に記憶されているパターン情報に応じて、電源装置22より各電極部材3に印加する電圧が調整されてもよい。
【0162】
本実施形態においては、制御装置5が、最初に第1ショット領域群S1のショット領域Sを露光し、その後、第2、第3、…、第8ショット領域群S2、S3、…、S8のショット領域Sを順次露光し、最後に第9ショット領域群S9のショット領域Sを露光する場合を例にして説明する。
【0163】
電極部材3が設けられた保持部材20の保持面19に基板Pを載せた後、基板Pを保持面19に静電力で吸着するために、制御装置5は、電源装置22を用いて、電極部材3に所定の電圧を印加する。本実施形態においては、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域群に対応する電極部材3に所定値の電圧を印加し、他のショット領域群に対応する電極部材に印加する電圧値をオフにする。
【0164】
例えば図24の模式図に示すように、第3ショット領域群S3のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第3ショット領域群S3のショット領域Sに対応する第5、第6電極パターン3E、3Fの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1、第2ショット領域群S1、S2のショット領域Sに対応する第1〜第4電極パターン3A〜3Dの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第4〜第9ショット領域群S4〜S9のショット領域Sに対応する第7〜第18電極パターン3G〜3Rの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0165】
図25の模式図に示すように、第1〜第3ショット領域群S1〜S3の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第4ショット領域群S4のショット領域Sに対応する第7、第8電極パターン3G、3Hの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第6電極パターン3A〜3Fの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第5〜第9ショット領域群S5〜S9のショット領域Sに対応する第9〜第18電極パターン3I〜3Rの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0166】
以下同様に、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材のみに所定値の電圧を印加し、他のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材3に印加する電圧値をオフにしつつ、各ショット領域Sに対するパターンの形成動作を実行する。
【0167】
そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0168】
本実施形態においても、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0169】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0170】
図26は、本実施形態に係る電極部材3と基板P状に設定されるショット領域Sとの関係を示す図である。上述の第5実施形態と同様、保持部材20Bは、18の正極31(31A〜31R)と、それら18の正極31(31A〜31R)のそれぞれに対応する18の負極32(32A〜32R)とを備えている。そして、第1、第2、…、第18正極31A、31B、…、31Rのそれぞれと、第1、第2、…、第18負極32A、32B、…、32Rのそれぞれとによって、第1、第2、…、第18電極パターン3A、3B、…、3Rが形成されている。
【0171】
本実施形態においては、基板P上には、第1、第2、…、第6ショット領域群S1、S2、…、S6が設定される。図26に示すように、複数の電極部材3は、基板P上に設定されるショット領域Sに関する情報に応じて配置されている。本実施形態においては、各電極部材3のY軸方向の大きさは、ショット領域SのY軸方向の3分の1の大きさとほぼ一致するように設定されている。すなわち、Y軸方向に関して、1つ分のショット領域Sの大きさと、3つ分の電極部材3の大きさとがほぼ一致するように設定されている。また、電極部材3によって形成される第1〜第18電極パターン3A〜3RそれぞれのX軸方向の大きさは、ショット領域Sによって形成される第1〜第6ショット領域群S1〜S6それぞれのX軸方向の大きさと対応するように設定されている。
【0172】
すなわち、本実施形態においても、各電極部材3は、複数のショット領域Sに対応するように配列されている。本実施形態においては、第1〜第3電極パターン3A〜3Cが、第1ショット領域群S1に対応するように配置されており、第4〜第6電極パターン3D〜3Fが、第2ショット領域群S2に対応するように配置されている。同様に、第7〜第9電極パターン3G〜3Iが、第3ショット領域群S3に対応するように配置され、第10〜第12電極パターン3J〜3Lが、第4ショット領域群S4に対応するように配置され、第13〜第15電極パターン3M〜3Oが、第5ショット領域群S5に対応するように配置され、第16〜第18電極パターン3P〜3Rが、第6ショット領域群S6に対応するように配置されている。
【0173】
次に、本実施形態に係る保持部材20Bの動作の一例について説明する。基板Pに対する露光を開始する前の所定のタイミングにおいて、入力装置7より、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が入力される。そして、その入力装置7より入力されたパターン情報に応じて、電源装置22より各電極部材3に印加する電圧が調整される。なお、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が記憶装置8に予め記憶され、その記憶装置8に記憶されているパターン情報に応じて、電源装置22より各電極部材3に印加する電圧が調整されてもよい。
【0174】
本実施形態においては、制御装置5が、最初に第1ショット領域群S1のショット領域Sを露光し、その後、第2、第3、…、第5ショット領域群S2、S3、…、S5のショット領域Sを順次露光し、最後に第6ショット領域群S6のショット領域Sを露光する場合を例にして説明する。
【0175】
電極部材3が設けられた保持部材20の保持面19に基板Pを載せた後、基板Pを保持面19に静電力で吸着するために、制御装置5は、電源装置22を用いて、電極部材3に所定の電圧を印加する。本実施形態においては、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域群に対応する電極部材3に所定値の電圧を印加し、他のショット領域群に対応する電極部材に印加する電圧値をオフにする。
【0176】
例えば図26の模式図に示すように、第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第2ショット領域群S2のショット領域Sに対応する第4〜第6電極パターン3D〜3Fの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1ショット領域群S1のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第3〜第6ショット領域群S3〜S6のショット領域Sに対応する第7〜第18電極パターン3G〜3Rの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0177】
図27の模式図に示すように、第1、第2ショット領域群S1、S2の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第3ショット領域群S3のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第3ショット領域群S3のショット領域Sに対応する第7〜第9電極パターン3G〜3Iの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1、第2ショット領域群S1、S2のショット領域Sに対応する第1〜第6電極パターン3A〜3Fの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第4〜第6ショット領域群S4〜S6のショット領域Sに対応する第10〜第18電極パターン3J〜3Rの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0178】
以下同様に、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材のみに所定値の電圧を印加し、他のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材3に印加する電圧値をオフにしつつ、各ショット領域Sに対するパターンの形成動作を実行する。
【0179】
そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0180】
本実施形態においても、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0181】
なお、上述の第5、第6実施形態においては、パターンの形成動作が進行中のショット領域群以外のショット領域群に対応する電極部材3に印加する電圧値がオフである場合を例にして説明したが、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値とし、パターンの形成動作が進行中のショット領域群以外のショット領域群に対応する電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値(0以外の値)としてもよい。
【0182】
また、上述の第5、第6実施形態においては、パターンが形成される前のショット領域群に対応する電極部材3に印加される電圧値が、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極部材3に印加される電圧値よりも小さい場合を例にして説明したが、パターンが形成される前のショット領域群に対応する電極部材3に印加される電圧値が、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極部材3に印加される電圧値と同じであってもよい。
【0183】
上述の実施形態では、ショット領域の幅を変更したときでも、同時に制御する電極の数を変更するだけで、ショット領域毎の電圧制御を実行できる。なお、上述の実施形態では電極の幅をショット領域の幅の半分にしているが、各ショット領域の幅内を更に複数の電極で構成してもよい。
【0184】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0185】
上述の第1〜第6実施形態においては、保持部材20に対して基板Pを移動する移動機構44は、保持部材20に設けられた支持部材41A〜41Cを備えているが、第7実施形態の特徴的な部分は、移動機構が、保持部材に対して基板P搬入及び搬出する搬送部材を備える点にある。
【0186】
図28は、第7実施形態に係る移動機構44Bを示す斜視図である。本実施形態の移動機構44Bは、保持部材20Cに対して基板Pを搬入及び搬出する搬送部材51を備えている。移動機構44Bは、搬送部材51を用いて、保持部材20の保持面19に対して基板Pを近付ける方向及び離れる方向に移動する。
【0187】
図28に示すように、本実施形態の搬送部材51は、アーム部52と、アーム部52に設けられ、基板Pの裏面の所定領域(本実施形態では、基板Pの周縁部の裏面)を支持する複数の支持部53A、53B、53Cとを備えている。本実施形態においては搬送部材51は、3つの支持部53A、53B、53Cを備えている。
【0188】
アーム部52は、XY平面内において円弧状の部材であって、保持部材20Cの側面に沿うように形成されている。アーム部52は、保持部材20Cの側面を囲むように配置可能である。また、アーム部52は、2つの先端のそれぞれに、内側(円弧状のアーム部52の中心側)に突出する第1、第2突出部52A、52Bを有する。また、アーム部52は、2つの先端のほぼ中央に、内側に突出する第3突出部52Cを有する。第1、第2、第3支持部53A、53B、53Cは、アーム部52の第1、第2、第3突出部52A、52B、52Cのそれぞれに配置されている。第1、第2、第3支持部53A、53B、53Cのそれぞれは、アーム部52から上方(+Z方向)に突出する形状を有する。
【0189】
保持部材20Cは、第1〜第9電極パターン3A〜3Iを備えている。また、保持部材20Cの−X側の側面及び+X側の側面のそれぞれには、Y軸方向に延びる溝54A、54Bが形成されている。 また、保持部材20Cは、第1、第2、第3突出部52A、52B、52Cのそれぞれに対応するように形成された第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cを備えている。第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cのそれぞれは、保持部材20Cの側面に形成されており、第1、第2、第3突出部52A、52B、52Cを配置可能である。本実施形態においては、第3突出部52Cに対応する第3凹部55Cは、保持面19の中心に対して−Y側(第1電極パターン3A側)に配置されている。
第1、第2突出部52A、52Bに対応する第1、第2凹部55A、55Bは、保持面19の中心に対して+Y側(第9電極パターン3I側)に配置されている。
【0190】
第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cのそれぞれは、Z軸方向に延びるように形成されており、保持面19の一部を切り欠くように形成されている。また、第1、第2凹部55A、55Bは、保持面19と溝54とを接続するように形成されている。第1、第2、第3突出部52A、52B、52Cのそれぞれは、第1、第2、第3凹部55A、55B、55C内で、かつ第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cに沿って、Z軸方向に移動可能である。
【0191】
第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cのそれぞれは、保持面19の一部を切り欠くように形成されているため、保持面19に載せられた基板Pの裏面の一部は、第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cに露出する。
【0192】
移動機構44Bは、保持部材20Cの第1、第2、第3凹部55A、55B、55C内に、搬送部材51の第1、第2、第3突出部52A、52B、52Cを配置した状態で、第1、第2、第3支持部53A、53B、53Cの上端が保持面19よりも+Z側に配置されるように搬送部材51を移動可能であるとともに、第1、第2、第3支持部53A、53B、53Cの上端が保持面19よりも−Z側に配置されるように搬送部材51を移動可能である。
【0193】
保持面19に載せられた基板Pの裏面の一部は、第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cに露出しているので、搬送部材51は、第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cに露出している基板Pの裏面の一部を支持部53で支持しながら、保持部材20の保持面19に対してZ軸方向に移動可能である。すなわち、移動機構44は、搬送部材51の第1、第2、第3支持部53A、53B、53Cに基板Pを支持した状態で、その搬送部材51をZ軸方向に移動することにより、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面とが近付く方向及び離れる方向に基板Pを移動可能である。
【0194】
搬送部材51を用いて保持部材20Cに基板Pを搬入(ロード)するときには、移動機構44Bは、基板Pを各支持部53A、53B、53Cで支持した搬送部材51を保持部材20Cの保持面19の上方に配置し、保持部材20Cの各凹部55A、55B、55Cの上端と搬送部材51の各突出部52A、52B、52Cとを位置合わせした状態で、搬送部材51を−Z方向に移動する。搬送部材51の各突出部52A、52B、52Cは、各凹部55A、55B、55Cに沿って−Z方向に移動可能であり、搬送部材51の−Z方向への移動に伴って、支持部53A、53B、53Cに支持されている基板Pの裏面と保持部材20Cの保持面19とが接触する。そして、搬送部材51がさらに−Z方向へ移動することによって、保持面19に基板Pが載るとともに、基板Pの裏面と支持部53A、53B、53Cとが離れる。そして、さらに搬送部材51を−Z方向へ移動して、第1、第2突出部52A、52Bを溝54A、54Bに配置した後、移動機構44Bは、搬送部材51を、−Y方向に移動する。搬送部材51の第1、第2突出部52A、52Bは、溝54A、54Bの内側で−Y方向に移動可能である。そのため、搬送部材51は、保持部材20Cとの接触を抑制されつつ、−Y方向に移動して、保持部材20Cから離れることができる。
【0195】
また、搬送部材51を用いて保持部材20C上の基板Pを搬出(アンロード)するときには、移動機構44Bは、搬送部材51を保持部材20Cの−Y側に配置し、第1、第2突出部52A、52Bと溝54A、54Bとを位置合わせした状態で、搬送部材51を+Y方向に移動する。搬送部材51の第1、第2突出部52A、52Bは、溝54A、54B内で、かつ溝54A、54Bに沿って+Y方向に移動可能であり、搬送部材51の+Y方向への移動に伴って、第1、第2突出部52A、52Bと第1、第2凹部55A、55Bとが位置合わせされる。また、第3突出部52Cと第3凹部55Cとが位置合わせされる。そして、移動機構44Bは、保持部材20Cの各凹部55A、55B、55Cの下端と搬送部材51の各突出部52A、52B、52Cとを位置合わせした状態で、搬送部材51を+Z方向に移動する。搬送部材51の各突出部52A、52B、52Cは、各凹部55A、55B、55Cの内側で+Z方向に移動可能であり、搬送部材51の+Z方向への移動に伴って、保持面19に載せられている基板Pの裏面の一部と支持部53A、53B、53Cとが接触する。そして、搬送部材51がさらに+Z方向へ移動することによって、支持部53A、53B、53Cに基板Pが支持されるとともに、基板Pの裏面と保持面19とが離れる。そして、さらに搬送部材51を+Z方向へ移動して、保持部材20と基板Pを支持した搬送部材51とを十分に離した後、移動機構44Bは、搬送部材51を、所定方向に移動する。これにより、基板Pは、搬送部材51によって、保持部材20Cより搬出される。
【0196】
図29は、本実施形態に係る移動機構44Bによって、保持部材20Cと基板Pとを離すときの動作の一例を示す模式図である。図29に示すように、移動機構44Bは、基板Pの裏面の一部分が他の部分よりも保持面19から先に離れるように、保持部材20Cに対する基板Pの移動を開始する。本実施形態においては、第3支持部53Cが、保持面19から先に離れる基板Pの裏面の一部分を支持する。換言すれば、3つの支持部53A、53B、53Cのうち、第3支持部53Cが、他の支持部53A、53Bよりも先に、保持面19から+Z方向への移動を開始するように、移動機構44Bの駆動が制御される。
【0197】
上述の実施形態と同様、複数の電極パターン3A〜3Iそれぞれの電極部材3に電圧を印加して保持面19に基板Pを吸着させた後、パターンを形成する順序(ショット領域Sを露光する順序)に応じて、複数の電極部材3に対する電圧の印加の停止が所定の順序で実行される。すなわち、まず、第1電極パターン3Aの電極部材3に対する電圧の印加が停止され、その後、第2、第3、…、第9電極パターン3B、3C、…、3Iの順序で、電極部材3に対する電圧の印加が停止される。移動機構44Bは、電圧の印加が最初に停止された第1電極パターン3Aの電極部材3に対応する基板Pの裏面の一部分、すなわち基板Pの−Y側のエッジ近傍の一部分と保持部材20Cの保持面19とが最初に離れるように、保持部材20Cに対する基板Pの移動を開始する。
【0198】
本実施形態においては、複数の支持部53A、53B、53Cのうち、第3支持部53Cが、基板Pの−Y側のエッジ近傍に配置されている。制御装置5は、3つの支持部53A、53B、53Cのうち、第3支持部53Cが、他の支持部53A、53Bよりも先に、保持面19から+Z方向への移動を開始するように、移動機構44Bを制御することによって、第3支持部53Cで支持された基板Pの−Y側のエッジ近傍を、保持部材20Cの保持面19から最初に離れるように、基板Pを移動させることができる。
【0199】
また、第3支持部53Cに接地された導電部材を設けることにより、基板Pに帯電している電気(電荷)を良好に取り除くことができる。
【0200】
また、本実施形態において、例えば支持部53A、53Bに、基板Pを支持部53A、53Bに吸着するための静電力を発生させる電極部材を含む静電チャック機構を設けることができる。
【0201】
なお、上述の各実施形態においては、移動機構44は、ほぼ静止している保持部材20に対して基板Pを移動しているが、ほぼ静止した基板Pに対して保持部材20を移動させてもよいし、保持部材20と基板Pとの両方を動かすようにしてもよい。
【0202】
さらに、上述の各実施形態においては、移動機構44、44Bは、複数の電極部材を備える保持部材20、20Cに適用した場合を説明したが、移動機構44、44Bは、1つあるいは2つの電極部材を備える保持部材に適用してもよい。
【0203】
また、上述の各実施形態において、保持部材20、20Cは、先端部分が同一面上に配置された多数のピン部材(凸部あるいは突起部)を介して基板Pの裏面を支持してもよい。このように、保持部材20、20Cが多数のピン部材を備える場合には、多数のピン部材の先端部分を含む面を保持面とすることができる。
【0204】
なお、上述の各実施形態においては、基板Pに帯電している電気を取り除く除電装置47は、保持部材20の保持面19と接触する接地された導電部材48を備えているが、基板Pの側面、表面の一部等に接触する接地された導電部材を備えていてもよい。また、基板Pに帯電している電気を取り除くことができるのであれば、導電部材は必ずしも接地されていなくてもよい。
【0205】
なお、上述の各実施形態においては、静電チャック機構が、所謂、双極方式である場合を例にして説明したが、単極方式であってもよい。
【0206】
更に、上述の各実施形態では、Y軸方向にのみ電極部材を分割し、X軸方向には正極と負極のペアを作成しているのみであるが、更に、X軸方向にも電極部材を分割して、X軸方向に関する露光が終了した領域に対応する電極部材の電圧をオフにしてもよい。例えば、チップ幅に関連した間隔で、あるいはスキャン露光を行うスリット(投影領域)の幅に関連した間隔で、正極と負極が配置されるように複数の電極部材を配置しておき、露光が終了したチップ、あるいはスリットの幅に対応する電極部材の電圧を順次オフにするようにしてもよい。
【0207】
また、Y軸方向及びX軸方向のそれぞれに電極部材を複数に分割した場合、基板Pに形成されたパターン情報、例えば、ショット領域Sの大きさに応じて、複数の電極部材の中から、所定数の電極部材を選択すればよい。すなわち、所定数の電極部材は、各ショット領域Sのそれぞれに割り当てられることになる。この場合、電源装置は、ショット領域S毎に割り当てられた所定数の電極部材の電圧を調整すればよい。
【0208】
また、上述の各実施形態では、X軸方向に配置された正極と負極のペアの電圧を同時に変化させているが、一方の電極部材の電圧のみ変化させてもよい。
【0209】
なお、上述の実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスク又はレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)、またはフィルム部材等が適用される。また、基板はその形状が円形に限られるものでなく、矩形など他の形状でもよい。
【0210】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0211】
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0212】
また、例えば米国特許第6,611,316号に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。
【0213】
また、本発明は、米国特許6,341,007号、米国特許6,400,441号、米国特許6,549,269号、米国特許6,590,634号、米国特許6,208,407号、米国特許6,262,796号などに開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
【0214】
更に、例えば特開平11−135400号公報(対応国際公開第1999/23692号パンフレット)、米国特許第6,897,963号等に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
【0215】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0216】
以上のように、実施形態の露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。
これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0217】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図30に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態に従って、マスクのパターンの像で基板に露光し、露光した基板を現像する基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0218】
なお、上述の実施形態においては、基板Pにパターンを形成するための装置が、感光性を有する基板Pに露光光ELを照射することによってその基板Pにパターンを形成する露光装置である場合を例にして説明したが、本発明の保持装置は、基板P上にパターンを形成する種々のパターン形成装置に適用可能である。そのようなパターン形成装置としては、例えばインクの滴を基板上に吐出することによってその基板上にパターンを形成するインクジェット装置、凹凸パターンが形成された原版と有機材料が塗布された基板とを基板のガラス転移温度以上に加熱しながら押し当て、その後、原版と基板とを離すとともに基板を冷却して基板上に原版のパターンを転写するナノインプリント装置などが挙げられる。これらの装置に基板を保持する保持装置が設けられている場合には、本発明の保持装置を用いて基板を保持することで、基板を所望状態で保持することができる。例えば、基板Pの表面が複数の微小な領域に分けられ、インクジェット装置が、その微小な領域のそれぞれに対してパターンを形成する動作(インクの滴を吐出する動作)を実行する場合には、保持部材の電極部材は、微小な領域に応じて配置されるとともに、保持装置の電源装置は、パターンを形成する順序に応じて、保持部材に設けられた複数の電極部材のそれぞれに対して印加する電圧を調整する。
【0219】
また、本発明の保持装置は、パターン形成装置に限らず、例えば、基板Pにレジストを塗布する装置や、基板Pに形成されたパターンを現像する装置等の基板処理装置が備える保持装置にも適用することが可能である。このような保持装置に本発明を適用する場合、電源装置22は、パターン情報を考慮せずに、電極部材のそれぞれに対して印加する電圧を任意に調整すればよい。
【0220】
なお、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置等に関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0221】
なお、上述のように本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述した全ての構成要素を適宜組み合わせて用いる事が可能であり、また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【符号の説明】
【0222】
2…基板ステージ、3…電極部材、3A〜3R…電極パターン、19…保持面、20…保持部材、22…電源装置、25…スイッチ、31…正極、32…負極、40A〜40C…支持面、41A〜41C…支持部材、44…移動機構、46…電極部材、47…除電装置、48…導電部材、51…搬送部材、53A〜53C…支持部、EL…露光光、EX…露光装置、M…マスク、P…基板、S…ショット領域、S1〜S9…ショット領域群
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を保持する保持装置、基板を露光する露光装置、露光方法、及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造装置は、デバイスが製造される基板を保持する保持装置を備えている。例えばEUV露光装置、CVD装置等は、下記特許文献に開示されているような、基板を静電力で保持する保持装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5708556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製造装置においては、保持装置に基板を搬入する動作、搬入された基板を保持装置で保持する動作、及び保持装置から基板を搬出する動作が実行される。デバイスを生産性良く良好に製造するために、保持装置には、上述の各動作を高速且つ良好に実行できることが要望される。静電力を用いた保持装置において、静電力に起因して、例えば基板を搬出する動作に時間がかかると、デバイスの生産性が劣化する可能性がある。また、基板を保持装置に搬入するときに、基板が所望の位置からずれたり、あるいは基板を保持装置から搬出するときに、基板に負荷がかかると、製造されるデバイスの性能が劣化する可能性がある。
【0005】
本発明を例示する態様は、基板を搬入する動作、基板を保持する動作、及び基板を搬出する動作等の少なくとも一つの動作を高速に実行することが可能でデバイスの生産性の向上に寄与できる保持装置を提供することを目的とする。また別の目的は、その保持装置を用いて生産性の向上に寄与できる露光装置、露光方法を提供することである。また別の目的は、その露光装置、露光方法を用いるデバイス製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明を例示する各態様としては実施の形態に示す各図に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
【0007】
本発明を例示する第1の態様に従えば、パターンが形成される基板(P)を保持する保持面(19)を有する保持部材(20)と、前記保持部材(20)に設けられるとともに、前記パターンに関するパターン情報に応じて配置され、電圧の印加に応じて、前記基板(P)を前記保持面(19)に吸着するための静電力を発生させる複数の第1電極部材(3)と、前記複数の第1電極部材(3)に印加する前記電圧を調整可能な電源装置(22)と、を備え、前記電源装置(22)は、前記パターンの形成動作が進行中の前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)に第1電圧を印加し、前記パターンの形成動作が終了した前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)に、前記第1電圧よりも低い電圧を印加し、前記基板(P)上の第1ショット領域とは異なる第2ショット領域に前記パターンの形成動作を進行している間、前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する保持装置(2)が提供される。
【0008】
第1の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0009】
本発明を例示する第2の態様に従えば、基板(P)を保持する保持面(19)を有する保持部材(20)と、前記保持部材(20)に設けられ、電圧の印加に応じて、前記基板(P)を前記保持面(19)に吸着するための静電力を発生させる複数の第1電極部材(3)と、前記複数の第1電極部材(3)のうち少なくとも一つの第1電極部材(3)と、前記複数の第1電極部材(3)のうち少なくとも一つの第1電極部材(3)とは異なる第1電極部材(3)とに、異なる電圧を印加する電源装置(22)と、を備え、前記電源装置(22)は、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)に第1電圧を印加するとともに、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)とは異なる前記第1電極部材(3)に第1電圧とは異なる電圧を印加し、前記基板(P)にパターンの形成動作が進行中又は進行前の少なくとも一方の前記基板(P)上のショット領域に対応する前記少なくとも一つの第1電極部材(3)に印加する前記第1電圧を、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)とは異なる前記第1電極部材(3)に印加する電圧よりも高く設定し、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)に印加する前記第1電圧が、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)とは異なる前記第1電極部材(3)に印加する電圧よりも高く設定されている間、前記少なくとも一つの第1電極部材(3)とは異なる前記第1電極部材(3)を、前記第1電圧よりも低い電圧に維持する保持装置(2)が提供される。
【0010】
第2の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0011】
本発明を例示する第3の態様に従えば、基板(P)を保持する保持面(19)を有する保持部材(20)と、前記保持部材(20)に設けられ、電圧の印加に応じて、前記基板(P)を前記保持面(19)に吸着するための静電界を発生させる少なくとも一つの第1電極部材(3)と、前記基板(P)を支持する支持面(40A、40B)を有し、前記保持面(19)と前記基板(P)とが離れるように、前記基板(P)の所定領域を支持しながら前記保持部材(20)に対して前記基板(P)を移動する移動部材(41A、41B)を含む移動機構(44)と、前記移動部材(41A、41B)に設けられ、電圧の印加に応じて、前記基板(P)を前記支持面(40A、40B)に吸着するための静電界を発生する第2電極部材(46)と、を備えた保持装置(2)が提供される。
【0012】
第3の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0013】
本発明を例示する第4の態様に従えば、基板(P)を保持する保持面(19)を有する保持部材(20)と、前記保持部材(20)に設けられ、前記基板(P)を前記保持面(19)に吸着するための静電力を発生させる電極部材(3)と、前記保持面(19)と前記基板(P)とが離れるように前記保持部材(20)と前記基板(P)とを相対的に移動させる移動機構(44)と、前記保持部材(20)と前記基板(P)とを離すときに、前記基板(P)に帯電している電気を取り除く除電装置(47)と、を備えた保持装置(2)が提供される。
【0014】
第4の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0015】
本発明を例示する第5の態様に従えば、パターンからの露光光(EL)で基板(P)を露光する露光装置であって、露光光(EL)が照射される基板(P)を保持するために、上記態様の保持装置(2)を備える露光装置(EX)が提供される。
【0016】
第5の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0017】
本発明を例示する第6の態様に従えば、上記態様の露光装置(EX)を用いて基板(P)を露光することと、露光された基板(P)を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0018】
第6の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる露光装置を用いてデバイスを製造できる。
【0019】
本発明を例示する第7の態様に従えば、パターンからの露光光(EL)で基板(P)を露光する露光方法であって、複数の第1電極部材(3)が設けられた保持部材(20)の保持面(19)に前記基板(P)を載せることと、前記基板(P)を前記保持面(19)に静電力で吸着するために、前記第1電極部材(3)に電圧を印加することと、前記パターンからの前記露光光(EL)を前記基板(P)に照射することと、を含み、前記第1電極部材(3)に電圧を印加することは、前記パターンの形成動作が進行中の前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)に第1電圧を印加し、前記パターンの形成動作が終了した前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)に、前記第1電圧よりも低い電圧を印加し、前記基板(P)上の第1ショット領域とは異なる第2ショット領域に前記パターンの形成動作を進行している間、前記基板(P)上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材(3)を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する露光方法が提供される。
【0020】
第7の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0021】
本発明を例示する第8の態様に従えば、パターンからの露光光(EL)で基板(P)を露光する露光方法であって、複数の第1電極部材(3)が設けられた保持部材(20)の保持面(19)に前記基板(P)を載せることと、前記基板(P)を前記保持面(19)に静電力で吸着するために、前記第1電極部材(3)に電圧を印加することと、前記パターンからの前記露光光(EL)を、前記基板(P)上の複数のショット領域に順次に照射することと、を含み、前記第1電極部材(3)に電圧を印加することは、前記露光光(EL)の照射前又は前記露光光(EL)の照射が進行中の少なくとも一方の前記基板(P)上のショット領域に対応する前記第1電極部材(3)に印加する第1電圧が、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材(3)とは異なる第1電極部材(3)に印加する電圧よりも大きく設定し、前記第1電極部材(3)に印加する第1電圧が、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材(3)とは異なる第1電極部材(3)に印加する電圧よりも大きく設定されている間、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材(3)とは異なる前記第1電極部材(3)を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する露光方法が提供される。
【0022】
第8の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0023】
本発明を例示する第9の態様に従えば、露光光(EL)で基板(P)を露光する露光方法であって、第1電極部材(3)が設けられた保持部材(20)の保持面(19)に基板(P)を載せることと、基板(P)を保持面(19)に静電力で吸着するために、第1電極部材(3)に電圧を印加することと、保持面(19)に保持された基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光することと、露光された基板(P)と保持面(19)とを離すことと、を含み、基板(P)を支持可能な支持面(40A、40B)を有する移動部材(41A、41B)に設けられた第2電極部材(46)に、基板(P)を支持面(40A、40B)に静電力で吸着するために電圧を印加し、支持面(40A、40B)と基板(P)とを静電力で吸着させた状態で、移動部材(41A、41B)を移動して、基板(P)と保持面(19)とを離す露光方法が提供される。
【0024】
第9の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0025】
本発明を例示する第10の態様に従えば、露光光(EL)で基板(P)を露光する露光方法であって、第1電極部材(3)が設けられた保持部材(20)の保持面(19)に基板(P)を載せることと、基板(P)を保持面(19)に静電力で吸着するために、第1電極部材(3)に電圧を印加することと、保持面(19)に保持された基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光することと、露光された基板(P)と保持面(19)とを離すことと、を含み、保持面(19)と基板(P)とを離すときに、基板(P)に帯電している電気を取り除く露光方法が提供される。
【0026】
第10の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる。
【0027】
本発明を例示する第11の態様に従えば、上記態様の露光方法を用いて基板(P)を露光することと、露光された基板(P)を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0028】
第11の態様によれば、デバイスの性能の劣化を抑制しつつ生産性の向上に寄与できる露光方法を用いてデバイスを製造できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明を例示する態様によれば、基板を搬入する動作、基板を保持する動作、及び基板を搬出する動作等の少なくとも一つの動作を高速に実行することが可能であり、デバイスを生産性良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る露光装置の一例を示す模式図である。
【図2】第1実施形態に係る基板ステージの一部を示す平面図である。
【図3】第1実施形態に係る基板ステージの一部を示す側面図である。
【図4】第1実施形態に係る基板ステージの一部を示す側断面図である。
【図5】第1実施形態に係る第1、第2支持部材を説明するための平面図である。
【図6】基板上のショット領域と保持部材との関係を示す模式図である。
【図7A】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図7B】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図7C】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図8】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図9】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図10】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図11】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図12A】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図12B】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図12C】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図13】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図14】第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図15】第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図16】第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図17】第3実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図18】第3実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図19】第3実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図20】第4実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図21】第4実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図22】第4実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図23】第5実施形態に係る基板ステージの一部を示す平面図である。
【図24】第5実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図25】第5実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図26】第6実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図27】第6実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための図である。
【図28】第7実施形態に係る移動機構の一例を示す斜視図である。
【図29】第7実施形態に係る移動機構の動作の一例を説明するための図である。
【図30】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら例示的に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0032】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、所定のパターンが形成されたマスクMを保持しながら移動可能なマスクステージ1と、パターンが形成される基板Pを保持しながら移動可能な基板ステージ2と、各ステージの位置情報を計測する干渉計システム16と、マスクステージ1に保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、少なくとも露光光ELが通過する所定空間を真空状態に調整する真空システムを有するチャンバ装置(真空チャンバ)6と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置5とを備えている。チャンバ装置6内は、真空システムによって真空雰囲気に維持される。制御装置5には、露光に関する各種信号、情報を入力可能な入力装置7、及び露光に関する各種情報を記憶した記憶装置8が接続されている。入力装置7は、例えばキーボード、タッチパネル、マウス等を含む。基板Pは、半導体ウエハ等の基材の一方の面に感光材(レジスト)等の膜が形成されたものを含む。マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。
【0033】
本実施形態の露光装置EXは、極端紫外光で基板Pを露光するEUV露光装置である。
極端紫外光は、例えば波長5〜50nm程度の軟X線領域の電磁波である。以下の説明において、極端紫外光を適宜、EUV光、と称する。
【0034】
本実施形態において、マスクMは、EUV光を反射可能な多層膜を有する反射型マスクである。露光装置EXは、多層膜でパターンが形成されたマスクMの表面(反射面)を露光光(EUV光)ELで照明し、そのマスクMで反射した露光光ELで感光性を有する基板Pを露光する。マスクM、基板P、照明光学系ILの各光学素子、及び投影光学系PLの各光学素子には、真空状態(例えば、10−4Pa程度の減圧雰囲気)で露光光(EUV光)ELが照射される。
【0035】
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置、所謂、スキャニングステッパである。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。露光装置EXは、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明光学系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、マスクMを露光光ELで証明し、そのマスクMからの露光光ELを基板Pに照射して、その基板Pを露光する。
【0036】
照明光学系ILは、複数の光学素子IR1〜IR4を含み、マスクM上の所定の照明領域IRを均一な照度分布の露光光ELで照明する。光学素子IR1〜IR4は、EUV光を反射可能な多層膜を備えた多層膜反射鏡を含む。光学素子IR1〜IR4の多層膜は、例えばMo/Si多層膜を含む。各光学素子IR1〜IR4は、不図示の鏡筒に保持されている。
【0037】
照明光学系ILは、光源4からの露光光ELでマスクMを照明する。本実施形態の光源4は、レーザ励起型プラズマ光源であって、ハウジング9と、レーザ光を射出するレーザ装置10と、キセノンガス等のターゲット材料をハウジング9の内側に供給する供給部材11とを含む。レーザ装置10から射出され、集光光学系12で集光されたレーザ光は、供給部材11の先端から射出されるターゲット材料に照射される。レーザ光が照射されたターゲット材料は、プラズマ化してEUV光を含む光(露光光EL)を発生する。供給部材11の先端で発生した光は、コンデンサ13によって集光される。コンデンサ13を介した光は、ハウジング9の外側に配置されているコリメータミラー14に入射する。なお、光源4は、放電型プラズマ光源、あるいは他の光源でもよい。
【0038】
マスクステージ1は、マスクMを保持しながら、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6方向に移動可能な6自由度のステージである。本実施形態においては、マスクステージ1は、マスクMの反射面とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを保持する。また、本実施形態においては、マスクステージ1は、マスクMの反射面が−Z方向を向くように、マスクMを保持する。マスクステージ1(マスクM)の位置情報は、干渉計システム16のレーザ干渉計16Mによって計測される。レーザ干渉計16Mは、マスクステージ1に設けられた計測ミラー1Rを用いて、マスクステージ1のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。また、マスクステージ1に保持されているマスクMの反射面の面位置情報(Z軸、θX、及びθYに関する位置情報)は、フォーカス・レベリング検出システム(不図示)によって検出される。制御装置5は、レーザ干渉計16Mの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて、マスクステージ1に保持されているマスクMの位置を制御する。
【0039】
投影光学系PLは、複数の光学素子PR1〜PR4を含み、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で基板Pに投影する。光学素子PR1〜PR4は、EUV光を反射可能な多層膜を備えた多層膜反射鏡を含む。光学素子PR1〜PR4の多層膜は、例えばMo/Si多層膜を含む。各光学素子PR1〜PR4は、不図示の鏡筒に保持されている。また、本実施形態においては、投影光学系PLの各光学素子PR1〜PR4は、専用の真空チャンバ(鏡筒)15に収容されている。なお、専用の真空チャンバは無くてもよい。
【0040】
基板ステージ2は、マスクMのパターンからの露光光ELが照射されることによってパターンが形成される基板Pを保持する保持面19を有する保持部材20と、保持部材20を支持するステージ本体21とを含み、保持部材20で基板Pを保持しながら、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向に移動可能である。本実施形態においては、基板ステージ2は、基板Pの表面(露光面)とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。また、本実施形態においては、基板ステージ2は、基板Pの表面が+Z方向を向くように、基板Pを保持する。基板ステージ2(基板P)の位置情報は、干渉計システム16のレーザ干渉計16Pによって計測される。レーザ干渉計16Pは、基板ステージ2に設けられた計測ミラー2Rを用いて、基板ステージ2のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。また、基板ステージ2に保持されている基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX、及びθYに関する位置情報)は、フォーカス・レベリング検出システム(不図示)によって検出される。制御装置5は、レーザ干渉計16Pの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて、基板ステージ2に保持されている基板Pの位置を制御する。
【0041】
本実施形態においては、マスクMのパターンからの露光光ELで基板Pを露光するために、図1に示すように、マスクMがマスクステージ1に保持され、基板Pが基板ステージ2の保持部材20に保持される。マスクステージ1に保持されたマスクMは、光源4より射出され、照明光学系ILを介した露光光(EUV光)ELで照明される。照明光学系ILより射出された露光光ELは、マスクMの反射面に入射する。マスクMの反射面に照射され、その反射面で反射した露光光ELは、投影光学系PLの物体面側から投影光学系PLに入射する。投影光学系PLの物体面側から投影光学系PLに入射した露光光ELは、投影光学系PLの像面側に射出され、基板Pの表面(露光面)に照射される。これにより、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像が、投影光学系PLを介して、感光性の基板Pに投影され、基板Pは露光される。このように、マスクMのパターンからの露光光ELが投影光学系PLを介して基板Pに照射されることによって、基板Pにパターンが形成される。
【0042】
図2は、基板ステージ2の一部を示す平面図、図3は、基板ステージ2の一部を示す側面図である。図2及び図3において、基板ステージ2は、パターンが形成される基板Pを保持する保持面19を有する保持部材20を有する。本実施形態においては、保持面19は、XY平面とほぼ平行となるように配置されている。また、保持面19は、+Z方向を向くように配置される。
【0043】
基板Pは、保持面19と対向する裏面を有し、保持面19は、基板Pの裏面を保持する。基板Pの裏面は、露光光ELが照射される表面とは反対側の面である。上述のように、基板Pは、半導体ウエハ等の基材の一方の面(露光光ELが照射される表面)に感光材(レジスト)等の膜が形成されたものを含む。本実施形態においては、保持面19の外形は、基板Pの裏面の外形とほぼ同じである。
【0044】
本実施形態の保持部材20は、静電チャック機構を含み、保持面19は、基板Pの裏面を静電力で保持する。基板ステージ2は、例えば、粗動ステージと微動ステージとを重ね合わせたステージを用いることができる。本実施形態においては不図示の微動ステージの上に保持部材20が載置されている。保持部材20には複数の電極部材3が設けられている。電極部材3は、印加される電圧に応じて、基板Pを保持面19に吸着するための静電力を発生させる。すなわち、電圧が印加された電極部材3は、基板Pが保持面19に吸着され得る静電界を生成する。本実施形態において、電極部材3に所定の電圧を印加可能な電源装置22は、基板ステージ2に設けられている。ただし、電源装置22は、真空チャンバ6の外側、あるいは真空チャンバ6の内側の基板ステージ2とは異なる位置に配置されても構わない。電源装置22と電極部材3との間は電気配線によって電気的に接続されている。複数の電極部材3のそれぞれは、所定の形状を有し、保持部材20の所定位置に配置されている。
【0045】
本実施形態の保持部材20は、低膨張セラミックスを含む絶縁材料で形成されている。
保持部材20の少なくとも一部は、静電チャック機構の誘電体として機能する。電極部材3は、保持部材20の内部に配置されている。保持面19は、上述の低膨張セラミックスを含む絶縁材料で形成されている。
【0046】
保持部材20が低膨張材であるため、保持部材20の熱変形、ひいては保持した基板Pの変形が抑制される。また、保持部材20に計測マーク、計測部材等が配置されている場合には、それら計測マーク、計測部材の変形が抑制される。
【0047】
本実施形態の静電チャック機構は、所謂、双極方式であって、電源装置22によって正の電位が与えられる電極部材3と、負の電位が与えられる電極部材3とを含む。
【0048】
以下の説明においては、複数の電極部材3のうち、正の電位が与えられる電極部材3を適宜、正極31、と称し、負の電位が与えられる電極部材3を適宜、負極32、と称する。
【0049】
正極31は複数設けられ、負極32は、正極31に対応するように複数設けられる。図2及び図3に示すように、本実施形態においては、保持部材20には、9つの正極31(31A〜31I)と、それら9つの正極31(31A〜31I)にそれぞれ対応する9つの負極32(32A〜32I)とが設けられている。
【0050】
図2に示すように、本実施形態においては、保持面19の中心に対して−X側の領域に複数の正極31が配置され、+X側の領域に複数の負極32が配置されている。また、正極31は、保持面19の−X側の領域において、Y軸方向に複数配置されている。負極32は、保持面19の+X側の領域において、Y軸方向に複数配置されている。
【0051】
以下の説明においては、Y軸方向に複数配置されている正極31のうち、保持面19の−Y側のエッジに最も近い正極31を適宜、第1正極31A、と称し、第1正極31Aに次いで保持面19の−Y側のエッジに近い正極31を適宜、第2正極31B、と称する。
そして、複数の正極31のうち、第2正極31Bから+Y方向に順次、第3、第4、…、第8正極31C、31D、…、31H、と称し、保持面19の+Y側のエッジに最も近い正極31を適宜、第9正極31I、と称する。
【0052】
また、以下の説明においては、Y軸方向に複数配置されている負極32のうち、保持面19の−Y側のエッジに最も近い負極32を適宜、第1負極32A、と称し、第1負極32Aに次いで保持面19の−Y側のエッジに近い負極32を適宜、第2負極32B、と称する。そして、複数の負極32のうち、第2負極32Bから+Y方向に順次、第3、第4、…、第8負極32C、32D、…、32H、と称し、保持面19の+Y側のエッジに最も近い負極32を適宜、第9負極32I、と称する。
【0053】
第1正極31Aと第1負極32Aとは、XY平面内において、X軸方向に関して対向するように配置されている。また、本実施形態においては、第1正極31Aの大きさと第1負極32Aの大きさとはほぼ同じである。また、第1正極31Aの形状と第1負極32Aの形状とはほぼ同じである。本実施形態においては、第1正極31Aと第1負極32Aとは、Y軸に関して線対称である。
【0054】
同様に、第2、第3、…、第9正極31B、31C、…、31Iのそれぞれと、第2、第3、…、第9負極32B、32C、…、32Iのそれぞれとが対応している。第2、第3、…、第9正極31B、31C、…、31Iのそれぞれと、第2、第3、…、第9負極32B、32C、…、32Iのそれぞれとは、XY平面内において、X軸方向に関して対向するように配置されている。第2、第3、…、第9正極31B、31C、…、31Iのそれぞれと、第2、第3、…、第9負極32B、32C、…、32Iのそれぞれとは、Y軸に関して線対称である。
【0055】
以下の説明において、正の電位が与えられる第1正極31Aと負の電位が与えられる第1負極32Aとを合わせて適宜、第1電極パターン3A、と称する。同様に、第2正極31Bと第2負極32Bとを合わせて適宜、第2電極パターン3B、と称し、第3正極31Cと第3負極32Cとを合わせて適宜、第3電極パターン3C、と称し、第4正極31Dと第4負極32Dとを合わせて適宜、第4電極パターン3D、と称し、第5正極31Eと第5負極32Eとを合わせて適宜、第5電極パターン3E、と称し、第6正極31Fと第6負極32Fとを合わせて適宜、第6電極パターン3F、と称し、第7正極31Gと第7負極32Gとを合わせて適宜、第7電極パターン3G、と称し、第8正極31Hと第8負極32Hとを合わせて適宜、第8電極パターン3H、と称し、第9正極31Iと第9負極32Iとを合わせて適宜、第9電極パターン3I、と称する。
【0056】
本実施形態においては、各電極部材3は、X軸方向に長い形状を有する。保持部材20のエッジと対向する各電極部材3のエッジのXY平面内における形状は、保持面19の外形に応じた曲線状である。また、各正極31のうち、負極32と対向するエッジのXY平面内における形状は、Y軸とほぼ平行な直線状であり、各負極32のうち、正極31と対向するエッジのXY平面内における形状は、Y軸とほぼ平行な直線状である。
【0057】
また、第1、第9正極31A、31Iを除く各正極31B〜31Hの+Y側のエッジ、及び−Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状である。そして、Y軸方向に関する各正極31大きさは、ほぼ同じである。第1正極31Aの+Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状であり、第9正極31Iの−Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状である。
【0058】
また、第1、第9負極32A、32Iを除く各負極32B〜32Hの+Y側のエッジ、及び−Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状である。そして、Y軸方向に関する各負極32大きさは、ほぼ同じである。第1負極32Aの+Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状であり、第9負極32Iの−Y側のエッジのXY平面内における形状は、X軸とほぼ平行な直線状である。
【0059】
そして、本実施形態においては、各正極31及び負極32を含む複数の電極部材3は、保持面19のほぼ全域に対応するように配置されている。
【0060】
図3に示すように、基板ステージ2は、複数の電極部材3に所定の電圧を印加可能な電源装置22を備えている。電源装置22は、各電極部材3に接続された配線23と、配線23に接続され、配線23を介して各電極部材3に印加するための電圧を発生する電圧発生器24と、配線23に配置され、電極部材3に対する電圧の印加と印加の停止とを切り替えるスイッチ25と、各電極部材3に印加する電圧値を調整可能な電圧調整器26とを備えている。スイッチ25は、複数の電極部材3(電極パターン3A〜3I)に対応するように複数設けられている。電圧調整器26は、複数の電極部材3のそれぞれに印加する電圧値を独立して調整可能である。電源装置22は、制御装置5によって制御される。なお、電圧値を調整しない場合には、電圧調整器26が無くても構わない。
【0061】
制御装置5は、静電チャック機構の正極31及び負極32に所定の電圧を印加することにより、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面との間にクーロン力及び/又はジャンセン・ラーベック力を発生させる。これにより、基板Pが保持部材20の保持面19に静電力で吸着されるように保持される。
【0062】
図4は、保持部材20の側断面図である。図2及び図4において、基板ステージ2は、保持部材20に対して基板Pを移動する移動機構44を備えている。移動機構44は、保持部材20の保持面19に対して基板Pを主にZ軸方向に移動する。移動機構44を、例えば不図示の粗動ステージに設けると、不図示の微動ステージや保持部材20の重量を軽くする事ができるため、基板Pの位置決め精度を向上させることが可能である。本実施の形態では、移動機構44は粗動ステージに配置されているが、微動ステージや保持部材20等他の場所に設けることが可能である。
【0063】
移動機構44は、基板Pの裏面を支持可能な支持面40A、40B、40Cをそれぞれ有する複数の支持部材41A、41B、41Cと、各支持部材41A、41B、41Cを保持面19と直交する方向(Z軸方向)に移動可能な駆動装置45とを備えている。支持部材41A、41B、41Cのそれぞれは、ロッド状の部材である。本実施形態においては、第1支持部材41Aと第2支持部材41Bとはほぼ同じ構造であり、第3支持部材41Cは、第1、第2支持部材41A、41Bとは異なる構造である。
【0064】
保持部材20は、支持部材41A、41B、41Cに応じて保持部材20の内部をZ軸方向に延びるように形成された複数の孔43A、43B、43Cを有する。本実施形態では、各支持部材41A、41B、41Cの少なくとも一部が、各孔43A、43B、43Cに配置されているが、常に各支持部材41A、41B、41Cが孔43A、43B、43C内に配置される必要はない。例えば、基板PをZ軸方向に押し上げるときだけ、各支持部材41A、41B、41Cが孔43A、43B、43Cを通り抜けて基板Pを押し上げる構成としてもよい。本実施形態においては、孔43A、43B、43Cの上端は、保持面19の中心を囲むように、ほぼ等間隔で配置されている。
【0065】
支持部材41A、41B、41Cは、孔43A、43B、43Cに沿ってZ軸方向に移動可能である。駆動装置45は、支持部材41A、41B、41Cのそれぞれを独立して移動可能である。移動機構44は、駆動装置45を用いて、支持部材41A、41B、41Cの支持面40A、40B、40Cが保持面19よりも+Z側に配置されるように支持部材41A、41B、41Cを移動可能であるとともに、支持部材41A、41B、41Cの支持面40A、40B、40Cが保持面19よりも−Z側に配置されるように支持部材41A、41B、41Cを移動可能である。駆動装置45としては圧電素子を用いたアクチュエータや電磁アクチュエータ等種々のアクチュエータを用いることができる。
【0066】
支持部材41A、41B、41Cは、駆動装置45により、保持面19と対向する基板Pの裏面の所定領域を支持しながら、保持部材20の保持面19に対してZ軸方向に移動可能である。すなわち、移動機構44は、支持部材41A、41B、41Cの支持面40A、40B、40Cに基板Pを支持した状態で、駆動装置45によって支持部材41A、41B、41Cを移動することにより、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面とが近付く方向及び離れる方向に基板Pを移動可能である。
【0067】
本実施形態においては、第1、第2支持部材41A、41Bは、静電チャック機構を含み、支持面40A、40Bは、基板Pの裏面を静電力で保持可能である。図4に示すように、基板ステージ2は、第1、第2支持部材41A、41Bに設けられ、基板Pを支持面40A、40Bに吸着するための静電力を発生させる複数の電極部材46と、複数の電極部材46に電圧を印加可能な電源装置22Bとを備えている。なお、電源装置22Bを基板ステージに設けずに、真空チャンバ6内の他の位置や真空チャンバ6外の他の位置に配置してもよい。
【0068】
図5は、第1支持部材41Aに設けられた電極部材46を示す平面図である。電極部材46は、第1支持部材41Aの内部に配置されている。本実施形態の静電チャック機構は、所謂、双極方式であって、電源装置22Bによって正の電位が与えられる電極部材46Aと、負の電位が与えられる電極部材46Bとを含む。以下の説明においては、正の電位が与えられる電極部材46を適宜、正極46A、と称し、負の電位が与えられる電極部材46を適宜、負極46B、と称する。
【0069】
図4に示すように、電源装置22Bは、各電極部材46に接続された配線23Bと、配線23Bに接続され、配線23Bを介して各電極部材46に印加するための電圧を発生する電圧発生器24Bと、配線23Bに配置され、電極部材46に対する電圧の印加と印加の停止とを切り替えるスイッチ25Bと、各電極部材46に印加する電圧値を調整可能な電圧調整器26Bとを備えている。なお、説明の便宜上、配線23B及びスイッチ25Bは一つしか記載していないが、各電極部材46の各々に配線23Bとスイッチ25Bが設けられている。
【0070】
制御装置5は、静電チャック機構の正極46A及び負極46Bに所定の電圧を印加することにより、支持面40Aと基板Pの裏面との間にクーロン力及び/又はジャンセン・ラーベック力を発生させる。これにより、基板Pが第1支持部材41Aの支持面40Aに静電力で吸着されるように保持される。
【0071】
同様に、第2支持部材41Bは、第1支持部材41Aと同様、正極46A及び負極46Bを含む静電チャック機構を有し、その正極46A及び負極46Bには、電源装置22Bによって所定の電圧が印加される。第2支持部材41Bの構造は、第1支持部材41Aの構造とほぼ同じであるため、第2支持部材41Bに関する説明は省略する。
【0072】
なお、本実施形態においては、各支持部材41A、41Bのそれぞれに正極と負極とが配置されているが、各支持部材41A、41Bのそれぞれに電極を一つのみ配置し、例えば、支持部材41A側を正極、支持部材41B側を負極としても構わない。また、支持部材41の数も2つに限定されず、1つでも構わないし、3つ以上設けてもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、基板ステージ2は、保持部材20に保持された基板Pに帯電している電気を取り除く除電装置47を備えている。本実施形態においては、除電装置47は、移動機構44の第3支持部材41Cを含む。
【0074】
本実施形態の第3支持部材41Cは、導電性を有する導電部材48を含む。本実施形態においては、少なくとも第3支持部材41Cの支持面40Cが導電部材48で形成されている。また、図4に示すように、第3支持部材41Cの導電部材48は、接地(アース)されている。接地された導電部材48と基板Pとが接触することによって、基板Pに帯電している電気(電荷)は、その基板Pから取り除かれる。
【0075】
図2に示すように、本実施形態においては、第3支持部材41Cが移動可能な開口42Cは、保持面19の中心に対して−Y側(第1電極パターン3A側)に配置されている。
第1、第2支持部材41A、41Bが移動可能な開口42A、42Bは、保持面19の中心に対して+Y側(第9電極パターン3I側)に配置されている。
【0076】
図6は、露光光ELが照射されることによってパターンが形成される基板P上のショット領域Sと、保持部材20との関係を示す模式図である。なお、図6においては、支持部材41A、41B、41C等の図示は省略してある。図6に示すように、基板P上には、露光対象領域であるショット領域Sが設定される。マスクMは、ショット領域Sに投影されるパターンが配置されたパターン形成領域MR(図1参照)を有する。本実施形態においては、1つのショット領域Sに、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンの像が投影される。すなわち、1つのショット領域Sには、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンに応じたパターンが形成される。例えばマスクMのパターン形成領域MRに1チップ分のパターン(デバイスパターン)が形成される場合、1つのショット領域Sには、1チップ分のパターンが形成される。なお、マスクMのパターン形成領域MRに複数チップ分(例えば2つ分)のパターン(デバイスパターン)が形成される場合、1つのショット領域Sには、複数チップ分のパターンが形成される。
【0077】
投影光学系PLの投影領域PRには、マスクMの照明領域IR内のパターンからの露光光ELが照射される。図6に示すように、本実施形態においては、投影領域PRは、X軸方向に長い矩形状(スリット状)である。投影光学系PLは、照明領域IRに対応するマスクMのパターンを介した露光光を投影領域PRに照射し、投影領域PRに照射された露光光で基板P上のショット領域Sの一部を露光する。
【0078】
1つのショット領域Sを露光する際、制御装置5は、照明領域IRに対するマスクMのパターン形成領域MRのY軸方向への移動に同期して、投影領域PRに対して基板P上のショット領域SをY軸方向へ移動しつつ、投影領域PRに露光光ELを照射する。これにより、ショット領域Sに、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンの像が投影される。
【0079】
基板P上には複数のショット領域Sがマトリクス状に設定され、それら複数のショット領域Sが順次露光される。すなわち、基板P上の複数のショット領域Sのそれぞれに、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンが順次形成される。制御装置5は、所定のショット領域Sを露光するためにマスクMと基板PとをY軸方向へ同期移動しつつ基板Pに露光光ELを照射する動作と、次のショット領域Sを露光するために基板PをX軸方向にステッピング移動する動作を繰り返しながら、複数のショット領域Sを順次露光する。本実施形態においては、一例として、制御装置5は、投影光学系PLの投影領域PRと基板Pとが、図6に示す矢印R1に沿って相対的に移動するように、基板ステージ2を移動しつつ、基板Pの複数のショット領域Sを順次露光する。
【0080】
図6に示すように、本実施形態においては、基板P上には、X軸方向に配置された複数のショット領域Sからなるショット領域群が、Y軸方向に9つ配置されている。
【0081】
以下の説明においては、Y軸方向に複数配置されているショット領域群のうち、保持面19の−Y側のエッジに最も近いショット領域群を適宜、第1ショット領域群S1、と称し、第1ショット領域群S1に次いで保持面19の−Y側のエッジに近いショット領域群を適宜、第2ショット領域群S2、と称する。また、複数のショット領域群のうち、第2ショット領域群S2から+Y方向に順次、第3、第4、…、第8ショット領域群S3、S4、…、S8、と称し、保持面19の+Y側のエッジに最も近いショット領域群を適宜、第9ショット領域群S9、と称する。
【0082】
図6に示すように、本実施形態においては、電極部材3のそれぞれは、パターン情報に応じた大きさ及び形状を有し、パターン情報に応じて保持部材20に配置されている。パターン情報は、パターンの大きさに関する情報、及びパターンの配列情報の少なくとも一方を含む。本実施形態において、パターン情報は、基板Pに形成されるパターン情報を含む。
【0083】
パターンの大きさに関する情報は、基板Pに形成されるパターンの大きさに関する情報を含み、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンの像が投影されることによって基板Pに形成されるパターンの大きさに関する情報を含む。すなわち、本実施形態においては、パターンの大きさに関する情報は、基板P上でのショット領域Sの大きさに関する情報、ひいては基板Pに形成されるチップの大きさに関する情報を含む。
【0084】
パターンの配列情報は、基板Pに形成されるパターンの配列情報を含み、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンの像が投影されることによって基板Pに形成されるパターンの配列情報を含む。すなわち、本実施形態においては、パターンの配列情報は、基板P上での複数のショット領域Sの配列情報、ひいては基板Pに形成されるチップの配列情報を含む。
【0085】
本実施形態においては、複数の電極部材3は、基板Pに形成されるパターン情報、具体的には基板P上に設定されるショット領域Sに関する情報に応じて配置されている。図6に示すように、本実施形態においては、各電極部材3のY軸方向の大きさは、ショット領域SのY軸方向の大きさとほぼ一致するように設定されている。1つのショット領域Sに1つのチップが形成される場合には、各電極部材3のY軸方向の大きさは、1つのチップのY軸方向の大きさとほぼ一致するように設定されている。また、電極部材3によって形成される第1〜第9電極パターン3A〜3IそれぞれのX軸方向の大きさは、ショット領域Sによって形成される第1〜第9ショット領域群S1〜S9それぞれのX軸方向の大きさと対応するように設定されている。
【0086】
また、各電極部材3は、複数のショット領域Sに対応するように配列されている。本実施形態においては、第1〜第9電極パターン3A〜3Iのそれぞれは、第1〜第9ショット領域群S1〜S9のそれぞれに対応するように配置されている。
【0087】
一例として、円形状の基板P及びその基板Pの外形とほぼ同じである保持面19の直径は約300mm、各電極部材3のY軸方向の大きさ(1チップのY軸方向の大きさ)は約33mm、各電極部材3同士の間の距離は約5mmである。
【0088】
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法の一例について説明する。
【0089】
本実施形態においては、電源装置22は、パターン情報に応じて、各電極部材3に印加する電圧を調整する。上述したように、パターン情報は、基板Pに形成されるパターンの大きさに関する情報、及びパターンの配列情報の少なくとも一方を含み、基板P上におけるショット領域Sに関する情報、基板Pに形成されるチップ情報を含む。
【0090】
また、本実施形態においては、パターン情報は、パターンを形成する順序を含む。パターンを形成する順序は、基板P上においてパターンを形成する順序を含む。本実施形態においては、基板P上においてパターンを形成する順序は、基板P上に設定された複数のショット領域Sのそれぞれにパターンを形成する動作を実行する順序、換言すれば、ショット領域Sのそれぞれにパターンを形成するためにマスクMのパターンからの露光光ELを照射する順序を含む。
【0091】
基板Pに対する露光を開始する前の所定のタイミングにおいて、入力装置7より、制御装置5に、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が入力される。制御装置5は、入力装置7より入力されたパターン情報を含む露光条件に基づいて、少なくとも基板Pを露光するときの電源装置22の動作を制御する。制御装置5は、入力装置7より入力されたパターン情報に応じて、電源装置22を制御して、その電源装置22より各電極部材3に印加する電圧を調整する。なお、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が記憶装置8に予め記憶されていてもよい。その場合、制御装置5は、その記憶装置8に記憶されているパターン情報に応じて、電源装置22を制御して、その電源装置22より各電極部材3に印加する電圧を調整することができる。
【0092】
本実施形態においては、制御装置5が、最初に第1ショット領域群S1のショット領域Sを露光し、その後、第2、第3、…、第8ショット領域群S2、S3、…、S8のショット領域Sを順次露光し、最後に第9ショット領域群S9のショット領域Sを露光する場合を例にして説明する。
【0093】
まず、図7Aに示すように、所定の搬送装置50によって、露光前の基板Pが、基板ステージ2の保持部材20に搬入(ロード)される。基板Pを保持部材20にロードするとき、制御装置5は、支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cが保持部材20の保持面19よりも上方(+Z側)に配置されるように、移動機構44の駆動装置45を用いて支持部材41A〜41Cを移動する。搬送装置50は、図7Bに示すように、保持面19よりも+Z側に配置されている支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cに、基板Pを載せる。
【0094】
本実施形態においては、第1、第2支持部材41A、41Bは、正極46A及び負極46Bを含む静電チャック機構を有しており、搬送装置50より渡された基板Pを静電力で保持する。これにより、基板Pの位置ずれ等の発生を抑制することができる。第1、第2支持部材41A、41Bの支持面40A、40Bと基板Pの裏面とを静電力で吸着させた後、制御装置5は、基板Pの裏面を支持した支持部材41A〜41Cを、下方(−Z方向)に移動する。すなわち、制御装置5は、基板Pの裏面と保持部材20の保持面19とが近付くように、基板Pの裏面を支持した支持部材41A〜41Cを移動する。これにより、図7Cに示すように、基板Pが保持部材20の保持面19に載る。保持部材20の保持面19に基板Pを載せた後、制御装置5は、電源装置22Bによる電極部材46に対する電圧の印加を停止する。また、制御装置5は、基板Pの裏面と支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cとが離れるまで、支持部材41A〜41Cを−Z方向に移動する。
これにより、保持部材20の保持面19が基板Pを保持可能な状態になるとともに、基板Pに対する支持部材41A〜41Cの支持が解除される。
【0095】
電極部材3が設けられた保持部材20の保持面19に基板Pを載せた後、基板Pを保持面19に静電力で吸着するために、制御装置5は、電源装置22を用いて、電極部材3に所定の電圧を印加する。本実施形態においては、基板Pを保持面19に載せた後、基板Pの露光を開始する前に、全ての電極パターン3A〜3Iの各正極31A〜31I、及び各負極32A〜32Iのそれぞれに、所定の電圧を印加する。これにより、基板Pは、静電力によって、保持部材20の保持面19に吸着されるように保持される。
【0096】
基板Pを保持部材20の保持面19に静電力で保持した後、制御装置5は、FIA等のアライメント装置を用いて基板Pの位置合わせを行い、基板Pに対する露光処理を開始する。基板P上には複数のショット領域Sが設定されており、それら複数のショット領域Sを順次露光して、基板P上のショット領域Sのそれぞれに、マスクMのパターン形成領域MRに配置されているパターンを形成する動作を実行する。
【0097】
以下、図8〜図11の模式図を参照しながら、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて複数の電極部材3に印加する電圧を調整する動作について説明する。具体的には、基板Pに形成されるパターン情報に応じて、複数の電極部材3の中から、所定の電極部材3を選択し、所定の電極部材3に印加する電圧を調整する動作について主に説明する。なお、図8〜図11においては、支持部材41A、41B、41C等の図示は省略してある。
【0098】
本実施形態においては、電源装置22は、少なくともパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32に印加する電圧値の絶対値を、他のショット領域Sに対応する正極31、負極32に印加する電圧値の絶対値よりも大きくする。
【0099】
本実施形態においては、電源装置22は、少なくともパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する電極部材3に所定値の電圧を印加し、パターンの形成動作が行われていないショット領域Sの少なくとも一部のショット領域Sに対応する電極部材3に印加する電圧値の絶対値を、所定値の絶対値よりも小さい値とする。
【0100】
本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32に印加する電圧値の絶対値を、パターンが形成された後の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32へ印加する電圧値の絶対値よりも大きくする。本実施形態においては、パターンが形成された後の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32へ印加する電圧値をオフとする。本実施の形態では電圧をオフとするには、スイッチ25によって電極部材3を接地させたが、電源から供給される電圧値を0としても良い。これについては、他の実施形態においても同様である。
【0101】
本実施形態においては、パターンの形成動作は、基板Pにパターンを形成するために、マスクMのパターンからの露光光ELを基板Pに照射する動作を含む。したがって、パターンの形成動作が進行中とは、マスクMのパターンからの露光光ELが基板Pに照射中、すなわち基板Pを露光中であることを含む。また、パターンが形成される前とは、パターンの形成動作が実行される前であることを含み、マスクMのパターンからの露光光ELが基板Pに照射される前、すなわち基板Pの露光前であることを含む。また、パターンが形成された後とは、パターンの形成動作が実行された後であることを含み、マスクMのパターンからの露光光ELが基板Pに照射された後、すなわち基板Pの露光後であることを含む。
【0102】
図8〜図11においては、複数のショット領域Sのうち、パターンの形成動作が進行中、及びパターンの形成動作が実行された後のショット領域Sを実線で示し、パターンの形成動作が実行される前のショット領域Sを破線で示す。また、電源装置22によって電圧が印加されている電極部材3に斜線を付す。
【0103】
まず、図8に示すように、基板P上に設定された複数のショット領域Sのうち、第1ショット領域群S1のショット領域Sに対する露光が実行される。第1ショット領域群S1のショット領域Sに対するパターンの形成動作の進行中、すなわち、第1ショット領域群S1のショット領域Sの露光中において、電源装置22は、第1〜第9電極パターン3A〜3Iの全ての電極部材3(正極31、負極32)に所定値の電圧を印加する(電圧をonにする)。これにより、保持部材20で基板Pを良好に保持した状態で、第1ショット領域群S1のショット領域Sに対する露光が良好に実行される。
【0104】
図9の模式図に示すように、第1ショット領域群S1の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1ショット領域群S1のショット領域Sに対応する第1電極パターン3Aの電極部材3に対する電圧の印加を停止する(オフにする)。すなわち、電源装置22は、パターンが形成された後(露光後)であって、パターンの形成動作が行われていない基板P上の第1ショット領域群S1のショット領域Sに対応する第1電極パターン3Aの電極部材3を接地する。電源装置22は、例えばスイッチ25を用いて、第1電極パターン3Aの電極部材3を電気的に接地する。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第2〜第9ショット領域群S2〜S9のショット領域Sに対応する第2〜第9電極パターン3B〜3Iに電源装置22によって印加される電圧値を所定値に維持する。これにより、第1電極パターン3Aに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力を、第2〜第9電極パターン3B〜3Iに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力よりも弱くすることができる。また、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する第2〜第9電極パターン3B〜3Iに対しては所定値の電圧が印加されているので、保持部材20で基板Pを良好に保持した状態で、第2ショット領域群S2のショット領域Sに対する露光が良好に実行される。具体的には、例えば、第2〜第9電極パターンに対応する領域の基板Pの温度が露光によって上昇したとしても、保持部材20で基板Pをしっかりと保持することによって、露光前の領域の基板の位置ずれを抑制することができる。したがって、露光開始前に行われたアライメントに基づいて全てのショット領域の露光を行うことができるので、露光不良を抑えることができる。
【0105】
このように、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32に所定値の電圧を印加することにより、その正極31、負極32に対応する保持面19と基板Pの裏面との間に単位面積当たりにおいて所定の静電力を発生させることができる。また、パターンが形成された後の基板P上のショット領域Sに対応する正極31、負極32に所定値よりも小さい値(0を含む)の電圧を印加することにより、その正極31、負極32に対応する保持面19と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力を、上述の単位面積当たりにおける所定の静電力よりも弱い力にすることができる。
【0106】
複数のショット領域Sに対する露光が進行し、図10の模式図に示すように、第1〜第3ショット領域群S1〜S3の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に対する電圧の印加を停止する。すなわち、電源装置22は、パターンが形成された後(露光後)であって、パターンの形成動作が行われていない基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第4〜第9ショット領域群S4〜S9のショット領域Sに対応する第4〜第9電極パターン3B〜3Iに電源装置22によって印加される電圧値を所定値に維持する。これにより、第1〜第3電極パターン3A〜3Cに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力を、第4〜第9電極パターン3D〜3Iに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力よりも弱くすることができる。また、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する第4〜第9電極パターン3D〜3Iに対しては所定値の電圧が印加されているので、保持部材20で基板Pを良好に保持した状態で、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対する露光が良好に実行される。
【0107】
複数のショット領域Sに対する露光が進行し、図11の模式図に示すように、第1〜第8ショット領域群S1〜S8の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第9ショット領域群S9のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第8ショット領域群S1〜S8のショット領域Sに対応する第1〜第8電極パターン3A〜3Hの電極部材3に対する電圧の印加を停止する。すなわち、電源装置22は、パターンが形成された後(露光後)であって、パターンの形成動作が行われていない基板P上の第1〜第8ショット領域群S1〜S8のショット領域Sに対応する第1〜第8電極パターン3A〜3Hの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第9ショット領域群S9のショット領域Sに対応する第9電極パターン3Iに電源装置22によって印加される電圧値を所定値に維持する。これにより、第1〜第8電極パターン3A〜3Hに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力を、第9電極パターン3Iに対応する保持面19の一部の領域と基板Pの裏面との間に発生する単位面積当たりの静電力よりも弱くすることができる。また、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する第9電極パターン3Iに対しては所定値の電圧が印加されているので、保持部材20で基板Pを良好に保持した状態で、第9ショット領域群S9のショット領域Sに対する露光が良好に実行される。
【0108】
このように、本実施形態においては、制御装置5は、基板P上に形成されるパターン情報に応じて、複数の電極部材3の中から、所定の電極部材3を選択し、その選択した電極部材3に対して所定の電圧を印加する。
【0109】
基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0110】
図12Aは、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後の保持部材20の状態を示す図である。基板Pを保持部材20からアンロードするために、制御装置5は、支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cが保持部材20の保持面19よりも上方(+Z側)に配置されるように、移動機構44の駆動装置45を用いて支持部材41A〜41Cを移動する。すなわち、制御装置5は、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面とが離れるように、移動機構44を用いて、保持部材20に対する基板Pの移動を開始する。これにより、図12Bに示すように、支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cは、保持面19よりも上方(+Z側)に配置され、その支持部材41A〜41Cの支持面40A〜40Cに支持された基板Pの裏面と保持部材20の保持面19とは、Z軸方向に関して離れる。
【0111】
支持部材41A〜41Cで基板Pの裏面を支持して、基板Pの裏面と保持部材20の保持面19とを離す際、制御装置5は、基板Pを支持面40A、40Bに静電力で吸着するために、電源装置22Bを用いて、第1、第2支持部材41A、41Bに設けられた正極46A、負極46Bに所定の電圧を印加する。これにより、基板Pの裏面は、静電力によって、第1、第2支持部材41A、41Bの支持面40A、40Bに吸着されるように保持される。制御装置5は、支持面40A、40Bと基板Pとを静電力で吸着させた状態で、支持部材41A〜41Cを上方(+Z方向)に移動して、基板Pの裏面と保持部材20の保持面19とを離す。これにより、基板Pの位置ずれ等の発生を抑制することができる。
【0112】
また、本実施形態においては、第3支持部材41Cは、接地された導電部材48を含み、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面を離すときに、基板Pの裏面と接触する。導電部材48を含む第3支持部材41Cは、基板Pと接触することによって、その基板Pに帯電している電気(電荷)を取り除くことができる。このように、第3支持部材41Cの導電部材48を含む除電装置47は、保持部材20と基板Pとを離すときに、第3支持部材41C(導電部材48)を用いて、基板Pに帯電している電気を取り除くことができる。
【0113】
そして、図12Cに示すように、所定の搬送装置50によって、露光後の基板Pが、基板ステージ2の保持部材20から搬出(アンロード)される。支持部材41A〜41Cに支持されている基板Pを搬送装置50に渡す際、制御装置5は、電源装置22Bによる電極部材46に対する電圧の印加を停止する。これにより、第1、第2支持部材41A、41Bの静電チャック機構による保持が解除され、基板Pは、搬送装置50によって、円滑に搬出される。また、支持面40A、40Bの面積は十分に小さく、電源装置22Bによる電極部材46に対する電圧の印加を停止した後、残留する静電力(吸着力)が発生しても、その残留する静電力は十分に小さい。したがって、基板Pの裏面と支持面40A、40Bとを円滑に離すことができる。
【0114】
静電チャック機構において、電極部材3に対する電圧の印加を停止した場合でも、例えば残留する静電力(吸着力)によって、電極部材3に対する電圧の印加を停止した直後においては、保持面19から基板Pを円滑に離すことが困難となる可能性がある。残留する静電力が時間の経過に伴って低減される場合、保持面19から基板Pを円滑に離すために(アンロードするために)、基板Pの保持を良好に行うことができる範囲内で、可能な限り早いタイミングで電極部材3に対する電圧の印加を停止して、電極部材3に対する電圧の印加を停止した時点から保持面19と基板Pとを離す動作(アンロードする動作)を実行する時点までの時間を長くすることが望ましい。
【0115】
本実施形態においては、基板P上に形成されるパターン情報に応じて電極部材3を複数配置し、そのパターン情報に応じて、複数の電極部材3に対する電圧の印加の停止を所定の順序で実行しているので、例えば電圧の印加が最初に停止された第1電極パターン3Aの電極部材3に基づいて残留している静電力を、保持面19から基板Pを離す動作を実行するまでに(アンロードするまでに)、十分に低減させることができる。同様に、第2、第3、…、第8電極パターン3B、3C、…、3Hの電極部材3に基づいて残留している静電力も、保持面19から基板Pをアンロードするまでに、十分に低減させることができる。また、第9電極パターン3Iの電極部材3に基づいて残留している静電力が、保持面19から基板Pをアンロードするまでに十分に低減されるならば、保持部材20から基板Pのアンロードを円滑に実行できる。また、第9電極パターン3Iの電極部材3に基づいて残留している静電力が、保持面19から基板Pをアンロードするまでに十分に低減されない場合でも、第9電極パターン3Iに対応する保持面19の領域は小さく、静電力の大きさは、基板Pの保持を良好に行うことができる範囲内で十分に小さい。そのため、保持部材20から基板Pのアンロードを円滑に実行できる。
【0116】
本実施形態においては、基板Pの重さ、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面との摩擦係数、基板ステージ2を移動するときの加速度等に応じて、基板Pの保持を良好に行うことができるように、各電極部材3に印加する電圧値が予め最適化されている。そのため、第9ショット領域群S9のショット領域Sを露光するときに、第9電極パターン3Iの正極31I及び負極32Iのみに所定の電圧を印加することによって、その第9電極パターン3Iに基づいて発生する静電力によって、基板Pの保持を良好に行うことができる。また、保持部材20から基板Pのアンロードを円滑に実行できる。
【0117】
図13は、支持部材41A〜41Cを含む移動機構44によって、保持部材20と基板Pとを離すときの動作の一例を示す模式図である。図13に示すように、移動機構44は、基板Pの裏面の一部分が他の部分よりも保持面19から先に離れるように、保持部材20に対する基板Pの移動を開始する。本実施形態においては、導電部材48を含む第3支持部材41Cが、保持面19から先に離れる基板Pの裏面の一部分を支持する。換言すれば、3つの支持部材41A〜41Cのうち、第3支持部材41Cの支持面40Cが、他の支持部材41A、41Bの支持面40A、40Bよりも先に、保持面19から+Z方向への移動を開始するように、移動機構44の駆動装置45が制御される。
【0118】
上述のように、本実施形態においては、複数の電極パターン3A〜3Iそれぞれの電極部材3に電圧を印加して保持面19に基板Pを吸着させた後、パターンを形成する順序(ショット領域Sを露光する順序)に応じて、複数の電極部材3に対する電圧の印加の停止が所定の順序で実行される。すなわち、図9等を参照して説明したように、まず、第1電極パターン3Aの電極部材3に対する電圧の印加が停止され、その後、第2、第3、…、第9電極パターン3B、3C、…、3Iの順序で、電極部材3に対する電圧の印加が停止される。移動機構44は、電圧の印加が最初に停止された第1電極パターン3Aの電極部材3に対応する基板Pの裏面の一部分、すなわち基板Pの−Y側のエッジ近傍の一部分と保持部材20の保持面19とが最初に離れるように、保持部材20に対する基板Pの移動を開始する。
【0119】
本実施形態においては、複数の支持部材41A〜41Cのうち、導電部材48を含む第3支持部材41Cが、基板Pの−Y側のエッジ近傍に配置されている。制御装置5は、3つの支持部材41A〜41Cのうち、第3支持部材41Cの支持面40Cが、他の支持部材41A、41Bの支持面40A、40Bよりも先に、保持面19から+Z方向への移動を開始するように、移動機構44の駆動装置45を制御することによって、第3支持部材41Cの支持面40Cで支持された基板Pの−Y側のエッジ近傍を、保持部材20の保持面19から最初に離れるように、基板Pを移動させることができる。
【0120】
電圧の印加が最初に停止された第1電極パターン3Aに対応する基板Pの一部分が他の部分よりの先に保持面19から離れるように、保持面19と基板Pの裏面とを離す動作を実行することで、保持面19と基板Pの裏面とを離す動作を円滑に実行できる。電極部材3に対する電圧の印加を停止後において、残留する静電力が存在しても、電圧の印加が最初に停止された第1電極パターン3Aの電極部材3に基づいて残留している静電力は、保持面19から基板Pをアンロードするまでに十分に低減されている可能性が高い。そのため、その残留する静電力が十分に低減されている可能性が高い基板Pの裏面の一部分を他の部分に対して保持面19から先に離すように基板Pを移動することによって、基板Pと保持面19とを円滑に離すことができる。
【0121】
以上説明したように、本実施形態によれば、電極部材3が基板Pに形成されるパターン情報に応じて配置されており、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0122】
また、本実施形態によれば、支持部材41A、41Bには、電極部材46を含む静電チャック機構が設けられているので、その支持部材41A、41Bを用いて、基板Pを良好に支持することができる。したがって、その支持部材41A、41Bを用いて、基板Pの位置ずれ等の発生を抑制しつつ、保持部材20に対する基板Pの搬入動作及び保持部材20からの基板Pの搬出動作を良好に実行できる。したがって、デバイスの性能の劣化を抑制しつつデバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0123】
また、本実施形態によれば、保持部材20と基板Pとを離すときに、基板Pに帯電している電気を除電装置47の第3支持部材41C(導電部材48)で取り除くので、残留する静電力によって保持部材20と基板Pとが離れ難くなる現象の発生を抑制でき、基板Pに大きな負荷がかかるのを抑制しつつ、保持部材20と基板Pとを円滑に離すことができる。
【0124】
なお、本実施形態においては、例えばパターンの形成動作が進行中の第1ショット領域群S1のショット領域Sに対応する電極部材3に所定値の電圧を印加し、その第1ショット領域群S1のショット領域Sに対するパターンの形成動作が実行された後、次の第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターンの形成動作を開始するときに、第1ショット領域群S1に対応する電極部材3に印加する電圧値をオフにしているが、第1ショット領域群S1に対応する電極部材3に印加する電圧値をオフにするタイミングとしては、第1ショット領域群S1のショット領域Sに対するパターンの形成動作が実行された後であれば、任意のタイミングで実行可能である。例えば、第1ショット領域群S1のショット領域Sに対するパターンの形成動作が実行され、次の第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターンの形成動作が実行された後に、第1ショット領域群S1に対する電極部材3に印加する電圧値をオフにするようにしてもよい。
【0125】
なお、本実施形態においては、パターンの形成動作が進行中のショット領域Sに対応する電極部材3に所定の極性の電圧を印加し、そのショット領域Sに対するパターンの形成動作が実行された後、そのパターンの形成動作が実行された後のショット領域Sに対応する電極部材3に印加する電圧値をオフにしているが、電圧値をオフにする前に、例えば所定時間、逆の極性の電圧を印加するようにしてもよい。例えば、図9において、第1ショット領域群S1の各ショット領域Sに対するパターンの形成動作が終了し、第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行を開始する際、例えば正の電位が与えられていた電極部材3(正極31A)に印加する電圧値を所定時間、負の電位を与える。こうすることにより、残留する静電力(吸着力)の発生を抑制することができる。同様に、負の電位が与えられていた電極部材3(負極32A)に印加する電圧値を所定時間、正の電位を与えることができる。その後、電極部材3の電圧をオフにすればよい。
【0126】
また、本実施形態においては、露光が終了した領域に対応する電極の電圧を全てオフにしているが、ショット領域の一部、例えばショット領域S7、S8、S9に対応する電極については全ての露光が終了するまで電圧をオフにせず、ショット領域S1〜S6に対応する電極のみ露光が終了した時点で電圧をオフにしてもよい。
【0127】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0128】
上述の第1実施形態においては、パターンの形成動作が実行された後のショット領域Sに対応する電極部材3に印加する電圧値をオフにしているが、第2実施形態の特徴的な部分は、電圧値をオフにせずに、印加する電圧値の絶対値を小さくする点にある。
【0129】
図14、図15、及び図16は、第2実施形態に係る電源装置22の動作の一例を説明するための模式図である。上述の第1実施形態と同等、第2実施形態においても、基板P上の複数のショット領域Sにパターンが順次形成される。本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域Sに対応する電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値に設定し、パターンの形成動作が実行された後であって、パターンの形成動作が行われていないショット領域Sに対応する電極部材3に印加する電圧値が、第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値となるように電圧を印加する。なお、第1の電圧値及び第2の電圧値は絶対値である。
【0130】
例えば、第1ショット領域群S1のショット領域Sに対するパターンの形成動作の進行中、すなわち、第1ショット領域群S1のショット領域Sの露光中において、電源装置22は、第1〜第9電極パターン3A〜3Iの全ての電極部材3(正極31、負極32)に第1の電圧値の電圧を印加する。これにより、静電力によって、保持面19に基板Pが吸着されるように保持される。
【0131】
そして、例えば図14の模式図に示すように、第1ショット領域群S1の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1ショット領域群S1のショット領域Sに対応する第1電極パターン3Aの電極部材3に印加する電圧値を、第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。
電源装置22は、例えば電圧調整器26を用いて、第1電極パターン3Aの電極部材3に印加する電圧値を第2の電圧値にする。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第2〜第9ショット領域群S2〜S9のショット領域Sに対応する第2〜第9電極パターン3B〜3Iに電源装置22によって印加される電圧値を第1の電圧値に維持する。
【0132】
複数のショット領域Sに対する露光が進行し、図15の模式図に示すように、第1〜第3ショット領域群S1〜S3の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に印加する電圧値を、第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第4〜第9ショット領域群S4〜S9のショット領域Sに対応する第4〜第9電極パターン3B〜3Iに電源装置22によって印加される電圧値を第1の電圧値に維持する。
【0133】
複数のショット領域Sに対する露光が進行し、図16の模式図に示すように、第1〜第8ショット領域群S1〜S8の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第9ショット領域群S9のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第8ショット領域群S1〜S8のショット領域Sに対応する第1〜第8電極パターン3A〜3Hの電極部材3に印加する電圧値を、第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。また、本実施形態においては、電源装置22は、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上の第9ショット領域群S9のショット領域Sに対応する第9電極パターン3Iに電源装置22によって印加される電圧値を第1の電圧値に維持する。
【0134】
そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0135】
このように、本実施形態においては、複数の電極部材3に電圧を印加して保持面19に基板Pを吸着させた後、第1、第2、…、第9電極パターン3A、3B、…、3Iの順序で、複数の電極部材3のそれぞれに対して印加される電圧値が順次低減される。そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、保持面19と基板Pとを移動機構44を用いて離す際、移動機構44は、電圧値が最初に低減された第1電極パターン3Aの電極部材3に対応する基板Pの一部分と保持面19とが最初に離れるように、保持面19に対する基板Pの移動を開始する。
【0136】
以上説明したように、本実施形態においても、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0137】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0138】
上述の実施形態においては、パターンが形成される前、及びパターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域群に対応する電極部材3に所定値(第1の電圧値)の電圧を印加し、パターンが形成された後の基板P上のショット領域群に対応する電極部材3に印加する電圧値を所定値(第1の電圧値)の電圧よりも小さい値(0、又は第2の電圧値)に設定している。第3実施形態の特徴的な部分は、パターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域群に対応する電極部材3に所定値の電圧を印加し、他のショット領域群、すなわちパターンが形成される前、及びパターンが形成された後のショット領域群に対応する電極部材3に印加する電圧値を、所定値よりも小さい値に設定する点にある。
【0139】
図17、図18、及び図19は、第3実施形態に係る電源装置22の動作の一例を説明するための模式図である。上述の実施形態と同等、第3実施形態においても、基板P上の複数のショット領域Sにパターンが順次形成される。
【0140】
例えば図17の模式図に示すように、第3ショット領域群S3のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第3ショット領域群S3のショット領域Sに対応する第3電極パターン3Cの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1、第2ショット領域群S1、S2のショット領域Sに対応する第1、第2電極パターン3A、3Bの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第4〜第9ショット領域群S4〜S9のショット領域Sに対応する第4〜第9電極パターン3D〜3Iの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0141】
図18の模式図に示すように、第1〜第3ショット領域群S1〜S3の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第4ショット領域群S4のショット領域Sに対応する第4電極パターン3Dの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第5〜第9ショット領域群S5〜S9のショット領域Sに対応する第5〜第9電極パターン3E〜3Iの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0142】
図19の模式図に示すように、第1〜第4ショット領域群S1〜S4の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第5ショット領域群S5のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第5ショット領域群S5のショット領域Sに対応する第5電極パターン3Eの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第4ショット領域群S1〜S4のショット領域Sに対応する第1〜第4電極パターン3A〜3Dの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第6〜第9ショット領域群S6〜S9のショット領域Sに対応する第6〜第9電極パターン3F〜3Iの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0143】
以下同様に、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材のみに所定値の電圧を印加し、他のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材3に印加する電圧値をオフにしつつ、各ショット領域Sに対するパターンの形成動作を実行する。
【0144】
そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0145】
本実施形態においても、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0146】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0147】
図20、図21、及び図22は、第4実施形態に係る電源装置22の動作の一例を説明するための模式図である。上述の実施形態と同等、第4実施形態においても、基板P上の複数のショット領域Sにパターンが順次形成される。
【0148】
例えば図20の模式図に示すように、第3ショット領域群S3のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第3ショット領域群S3のショット領域Sに対応する第3電極パターン3Cの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値に設定し、パターンが形成された後の基板P上の第1、第2ショット領域群S1、S2のショット領域Sに対応する第1、第2電極パターン3A、3Bの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第4〜第9ショット領域群S4〜S9のショット領域Sに対応する第4〜第9電極パターン3D〜3Iの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。
【0149】
図21の模式図に示すように、第1〜第3ショット領域群S1〜S3の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第4ショット領域群S4のショット領域Sに対応する第4電極パターン3Dの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値に設定し、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第5〜第9ショット領域群S5〜S9のショット領域Sに対応する第5〜第9電極パターン3E〜3Iの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。
【0150】
図22の模式図に示すように、第1〜第4ショット領域群S1〜S4の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第5ショット領域群S5のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第5ショット領域群S5のショット領域Sに対応する第5電極パターン3Eの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値に設定し、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第4ショット領域群S1〜S4のショット領域Sに対応する第1〜第4電極パターン3A〜3Dの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第6〜第9ショット領域群S6〜S9のショット領域Sに対応する第6〜第9電極パターン3F〜3Iの電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値に設定する。
【0151】
以下同様に、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材に印加する電圧値を第1の電圧値に設定し、他のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材3に印加する電圧値を第2の電圧値に設定しつつ、各ショット領域Sに対するパターンの形成動作を実行する。
【0152】
そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0153】
本実施形態においても、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0154】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0155】
図23は、第5実施形態に係る保持部材20Bを示す図である。本実施形態においては、保持部材20Bには、18の正極31(31A〜31R)と、それら18の正極31(31A〜31R)のそれぞれに対応する18の負極32(32A〜32R)とが設けられている。第1、第2、…、第18正極31A、31B、…、31Rのそれぞれと、第1、第2、…、第18負極32A、32B、…、32Rのそれぞれとが対応している。なお、図23においては、支持部材41A、41B、41Cの図示は省略してある。
【0156】
そして、第1、第2、…、第18正極31A、31B、…、31Rのそれぞれと、第1、第2、…、第18負極32A、32B、…、32Rのそれぞれとによって、第1、第2、…、第18電極パターン3A、3B、…、3Rが形成されている。
【0157】
図24は、本実施形態に係る電極部材3と基板P状に設定されるショット領域Sとの関係を示す図である。上述の各実施形態と同様、本実施形態において、基板P上には、第1、第2、…、第9ショット領域群S1、S2、…、S9が設定される。
【0158】
図24に示すように、複数の電極部材3のそれぞれは、パターン情報に応じた大きさ及び形状を有し、パターン情報に応じて保持部材20に配置されている。上述のように、パターン情報は、基板P上でのショット領域Sに関する情報、ひいては基板Pに形成されるチップ情報を含む。
【0159】
図24に示すように、複数の電極部材3は、基板P上に設定されるショット領域Sに関する情報に応じて配置されている。本実施形態においては、各電極部材3のY軸方向の大きさは、ショット領域SのY軸方向の半分の大きさとほぼ一致するように設定されている。すなわち、Y軸方向に関して、1つ分のショット領域Sの大きさと、2つ分の電極部材3の大きさとがほぼ一致するように設定されている。また、電極部材3によって形成される第1〜第18電極パターン3A〜3RそれぞれのX軸方向の大きさは、ショット領域Sによって形成される第1〜第9ショット領域群S1〜S9それぞれのX軸方向の大きさと対応するように設定されている。
【0160】
すなわち、各電極部材3は、複数のショット領域Sに対応するように配列されている。
本実施形態においては、第1、第2電極パターン3A、3Bが、第1ショット領域群S1に対応するように配置されており、第3、第4電極パターン3C、3Dが、第2ショット領域群S2に対応するように配置されている。同様に、第5、第6電極パターン3E、3Fが、第3ショット領域群S3に対応するように配置され、第7、第8電極パターン3G、3Hが、第4ショット領域群S4に対応するように配置され、第9、第10電極パターン3I、3Jが、第5ショット領域群S5に対応するように配置され、第11、第12電極パターン3K、3Lが、第6ショット領域群S6に対応するように配置され、第13、第14電極パターン3M、3Nが、第7ショット領域群S7に対応するように配置され、第15、第16電極パターン3O、3Pが、第8ショット領域群S8に対応するように配置され、第17、第18電極パターン3Q、3Rが、第9ショット領域群S9に対応するように配置されている。
【0161】
次に、本実施形態に係る保持部材20Bの動作の一例について説明する。基板Pに対する露光を開始する前の所定のタイミングにおいて、入力装置7より、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が入力される。そして、その入力装置7より入力されたパターン情報に応じて、電源装置22より各電極部材3に印加する電圧が調整される。なお、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が記憶装置8に予め記憶され、その記憶装置8に記憶されているパターン情報に応じて、電源装置22より各電極部材3に印加する電圧が調整されてもよい。
【0162】
本実施形態においては、制御装置5が、最初に第1ショット領域群S1のショット領域Sを露光し、その後、第2、第3、…、第8ショット領域群S2、S3、…、S8のショット領域Sを順次露光し、最後に第9ショット領域群S9のショット領域Sを露光する場合を例にして説明する。
【0163】
電極部材3が設けられた保持部材20の保持面19に基板Pを載せた後、基板Pを保持面19に静電力で吸着するために、制御装置5は、電源装置22を用いて、電極部材3に所定の電圧を印加する。本実施形態においては、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域群に対応する電極部材3に所定値の電圧を印加し、他のショット領域群に対応する電極部材に印加する電圧値をオフにする。
【0164】
例えば図24の模式図に示すように、第3ショット領域群S3のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第3ショット領域群S3のショット領域Sに対応する第5、第6電極パターン3E、3Fの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1、第2ショット領域群S1、S2のショット領域Sに対応する第1〜第4電極パターン3A〜3Dの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第4〜第9ショット領域群S4〜S9のショット領域Sに対応する第7〜第18電極パターン3G〜3Rの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0165】
図25の模式図に示すように、第1〜第3ショット領域群S1〜S3の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第4ショット領域群S4のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第4ショット領域群S4のショット領域Sに対応する第7、第8電極パターン3G、3Hの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1〜第3ショット領域群S1〜S3のショット領域Sに対応する第1〜第6電極パターン3A〜3Fの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第5〜第9ショット領域群S5〜S9のショット領域Sに対応する第9〜第18電極パターン3I〜3Rの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0166】
以下同様に、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材のみに所定値の電圧を印加し、他のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材3に印加する電圧値をオフにしつつ、各ショット領域Sに対するパターンの形成動作を実行する。
【0167】
そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0168】
本実施形態においても、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0169】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0170】
図26は、本実施形態に係る電極部材3と基板P状に設定されるショット領域Sとの関係を示す図である。上述の第5実施形態と同様、保持部材20Bは、18の正極31(31A〜31R)と、それら18の正極31(31A〜31R)のそれぞれに対応する18の負極32(32A〜32R)とを備えている。そして、第1、第2、…、第18正極31A、31B、…、31Rのそれぞれと、第1、第2、…、第18負極32A、32B、…、32Rのそれぞれとによって、第1、第2、…、第18電極パターン3A、3B、…、3Rが形成されている。
【0171】
本実施形態においては、基板P上には、第1、第2、…、第6ショット領域群S1、S2、…、S6が設定される。図26に示すように、複数の電極部材3は、基板P上に設定されるショット領域Sに関する情報に応じて配置されている。本実施形態においては、各電極部材3のY軸方向の大きさは、ショット領域SのY軸方向の3分の1の大きさとほぼ一致するように設定されている。すなわち、Y軸方向に関して、1つ分のショット領域Sの大きさと、3つ分の電極部材3の大きさとがほぼ一致するように設定されている。また、電極部材3によって形成される第1〜第18電極パターン3A〜3RそれぞれのX軸方向の大きさは、ショット領域Sによって形成される第1〜第6ショット領域群S1〜S6それぞれのX軸方向の大きさと対応するように設定されている。
【0172】
すなわち、本実施形態においても、各電極部材3は、複数のショット領域Sに対応するように配列されている。本実施形態においては、第1〜第3電極パターン3A〜3Cが、第1ショット領域群S1に対応するように配置されており、第4〜第6電極パターン3D〜3Fが、第2ショット領域群S2に対応するように配置されている。同様に、第7〜第9電極パターン3G〜3Iが、第3ショット領域群S3に対応するように配置され、第10〜第12電極パターン3J〜3Lが、第4ショット領域群S4に対応するように配置され、第13〜第15電極パターン3M〜3Oが、第5ショット領域群S5に対応するように配置され、第16〜第18電極パターン3P〜3Rが、第6ショット領域群S6に対応するように配置されている。
【0173】
次に、本実施形態に係る保持部材20Bの動作の一例について説明する。基板Pに対する露光を開始する前の所定のタイミングにおいて、入力装置7より、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が入力される。そして、その入力装置7より入力されたパターン情報に応じて、電源装置22より各電極部材3に印加する電圧が調整される。なお、パターン情報を含む露光条件(パターン形成条件)が記憶装置8に予め記憶され、その記憶装置8に記憶されているパターン情報に応じて、電源装置22より各電極部材3に印加する電圧が調整されてもよい。
【0174】
本実施形態においては、制御装置5が、最初に第1ショット領域群S1のショット領域Sを露光し、その後、第2、第3、…、第5ショット領域群S2、S3、…、S5のショット領域Sを順次露光し、最後に第6ショット領域群S6のショット領域Sを露光する場合を例にして説明する。
【0175】
電極部材3が設けられた保持部材20の保持面19に基板Pを載せた後、基板Pを保持面19に静電力で吸着するために、制御装置5は、電源装置22を用いて、電極部材3に所定の電圧を印加する。本実施形態においては、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上のショット領域群に対応する電極部材3に所定値の電圧を印加し、他のショット領域群に対応する電極部材に印加する電圧値をオフにする。
【0176】
例えば図26の模式図に示すように、第2ショット領域群S2のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第2ショット領域群S2のショット領域Sに対応する第4〜第6電極パターン3D〜3Fの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1ショット領域群S1のショット領域Sに対応する第1〜第3電極パターン3A〜3Cの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第3〜第6ショット領域群S3〜S6のショット領域Sに対応する第7〜第18電極パターン3G〜3Rの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0177】
図27の模式図に示すように、第1、第2ショット領域群S1、S2の各ショット領域Sに対するパターン形成動作が終了し、第3ショット領域群S3のショット領域Sに対するパターン形成動作の実行が開始されると、電源装置22は、パターンの形成動作が進行中の基板P上の第3ショット領域群S3のショット領域Sに対応する第7〜第9電極パターン3G〜3Iの電極部材3に所定値の電圧を印加し(オンにし)、パターンが形成された後の基板P上の第1、第2ショット領域群S1、S2のショット領域Sに対応する第1〜第6電極パターン3A〜3Fの電極部材3に印加する電圧値、及びパターンが形成される前の基板P上の第4〜第6ショット領域群S4〜S6のショット領域Sに対応する第10〜第18電極パターン3J〜3Rの電極部材3に印加する電圧値をオフにする。
【0178】
以下同様に、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材のみに所定値の電圧を印加し、他のショット領域群に対応する電極パターンの電極部材3に印加する電圧値をオフにしつつ、各ショット領域Sに対するパターンの形成動作を実行する。
【0179】
そして、基板P上の全てのショット領域Sにパターンが形成された後、すなわち全てのショット領域Sの露光が終了した後、電源装置22は、複数の電極部材3全てに対する電圧の印加を停止する。そして、制御装置5は、露光後の基板Pを保持部材20から搬出(アンロード)する動作を開始する。
【0180】
本実施形態においても、電源装置22が基板Pに形成されるパターン情報に応じて各電極部材3に印加する電圧を調整するので、基板Pを保持する動作を良好に実行しつつ、基板Pを搬出(アンロード)する動作を高速に実行することができる。したがって、基板Pを良好に保持した状態で、基板Pにパターンを形成する動作を良好に実行して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。また、スループットを向上して、デバイスの生産性の向上に寄与できる。
【0181】
なお、上述の第5、第6実施形態においては、パターンの形成動作が進行中のショット領域群以外のショット領域群に対応する電極部材3に印加する電圧値がオフである場合を例にして説明したが、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値とし、パターンの形成動作が進行中のショット領域群以外のショット領域群に対応する電極部材3に印加する電圧値を第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値(0以外の値)としてもよい。
【0182】
また、上述の第5、第6実施形態においては、パターンが形成される前のショット領域群に対応する電極部材3に印加される電圧値が、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極部材3に印加される電圧値よりも小さい場合を例にして説明したが、パターンが形成される前のショット領域群に対応する電極部材3に印加される電圧値が、パターンの形成動作が進行中のショット領域群に対応する電極部材3に印加される電圧値と同じであってもよい。
【0183】
上述の実施形態では、ショット領域の幅を変更したときでも、同時に制御する電極の数を変更するだけで、ショット領域毎の電圧制御を実行できる。なお、上述の実施形態では電極の幅をショット領域の幅の半分にしているが、各ショット領域の幅内を更に複数の電極で構成してもよい。
【0184】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0185】
上述の第1〜第6実施形態においては、保持部材20に対して基板Pを移動する移動機構44は、保持部材20に設けられた支持部材41A〜41Cを備えているが、第7実施形態の特徴的な部分は、移動機構が、保持部材に対して基板P搬入及び搬出する搬送部材を備える点にある。
【0186】
図28は、第7実施形態に係る移動機構44Bを示す斜視図である。本実施形態の移動機構44Bは、保持部材20Cに対して基板Pを搬入及び搬出する搬送部材51を備えている。移動機構44Bは、搬送部材51を用いて、保持部材20の保持面19に対して基板Pを近付ける方向及び離れる方向に移動する。
【0187】
図28に示すように、本実施形態の搬送部材51は、アーム部52と、アーム部52に設けられ、基板Pの裏面の所定領域(本実施形態では、基板Pの周縁部の裏面)を支持する複数の支持部53A、53B、53Cとを備えている。本実施形態においては搬送部材51は、3つの支持部53A、53B、53Cを備えている。
【0188】
アーム部52は、XY平面内において円弧状の部材であって、保持部材20Cの側面に沿うように形成されている。アーム部52は、保持部材20Cの側面を囲むように配置可能である。また、アーム部52は、2つの先端のそれぞれに、内側(円弧状のアーム部52の中心側)に突出する第1、第2突出部52A、52Bを有する。また、アーム部52は、2つの先端のほぼ中央に、内側に突出する第3突出部52Cを有する。第1、第2、第3支持部53A、53B、53Cは、アーム部52の第1、第2、第3突出部52A、52B、52Cのそれぞれに配置されている。第1、第2、第3支持部53A、53B、53Cのそれぞれは、アーム部52から上方(+Z方向)に突出する形状を有する。
【0189】
保持部材20Cは、第1〜第9電極パターン3A〜3Iを備えている。また、保持部材20Cの−X側の側面及び+X側の側面のそれぞれには、Y軸方向に延びる溝54A、54Bが形成されている。 また、保持部材20Cは、第1、第2、第3突出部52A、52B、52Cのそれぞれに対応するように形成された第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cを備えている。第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cのそれぞれは、保持部材20Cの側面に形成されており、第1、第2、第3突出部52A、52B、52Cを配置可能である。本実施形態においては、第3突出部52Cに対応する第3凹部55Cは、保持面19の中心に対して−Y側(第1電極パターン3A側)に配置されている。
第1、第2突出部52A、52Bに対応する第1、第2凹部55A、55Bは、保持面19の中心に対して+Y側(第9電極パターン3I側)に配置されている。
【0190】
第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cのそれぞれは、Z軸方向に延びるように形成されており、保持面19の一部を切り欠くように形成されている。また、第1、第2凹部55A、55Bは、保持面19と溝54とを接続するように形成されている。第1、第2、第3突出部52A、52B、52Cのそれぞれは、第1、第2、第3凹部55A、55B、55C内で、かつ第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cに沿って、Z軸方向に移動可能である。
【0191】
第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cのそれぞれは、保持面19の一部を切り欠くように形成されているため、保持面19に載せられた基板Pの裏面の一部は、第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cに露出する。
【0192】
移動機構44Bは、保持部材20Cの第1、第2、第3凹部55A、55B、55C内に、搬送部材51の第1、第2、第3突出部52A、52B、52Cを配置した状態で、第1、第2、第3支持部53A、53B、53Cの上端が保持面19よりも+Z側に配置されるように搬送部材51を移動可能であるとともに、第1、第2、第3支持部53A、53B、53Cの上端が保持面19よりも−Z側に配置されるように搬送部材51を移動可能である。
【0193】
保持面19に載せられた基板Pの裏面の一部は、第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cに露出しているので、搬送部材51は、第1、第2、第3凹部55A、55B、55Cに露出している基板Pの裏面の一部を支持部53で支持しながら、保持部材20の保持面19に対してZ軸方向に移動可能である。すなわち、移動機構44は、搬送部材51の第1、第2、第3支持部53A、53B、53Cに基板Pを支持した状態で、その搬送部材51をZ軸方向に移動することにより、保持部材20の保持面19と基板Pの裏面とが近付く方向及び離れる方向に基板Pを移動可能である。
【0194】
搬送部材51を用いて保持部材20Cに基板Pを搬入(ロード)するときには、移動機構44Bは、基板Pを各支持部53A、53B、53Cで支持した搬送部材51を保持部材20Cの保持面19の上方に配置し、保持部材20Cの各凹部55A、55B、55Cの上端と搬送部材51の各突出部52A、52B、52Cとを位置合わせした状態で、搬送部材51を−Z方向に移動する。搬送部材51の各突出部52A、52B、52Cは、各凹部55A、55B、55Cに沿って−Z方向に移動可能であり、搬送部材51の−Z方向への移動に伴って、支持部53A、53B、53Cに支持されている基板Pの裏面と保持部材20Cの保持面19とが接触する。そして、搬送部材51がさらに−Z方向へ移動することによって、保持面19に基板Pが載るとともに、基板Pの裏面と支持部53A、53B、53Cとが離れる。そして、さらに搬送部材51を−Z方向へ移動して、第1、第2突出部52A、52Bを溝54A、54Bに配置した後、移動機構44Bは、搬送部材51を、−Y方向に移動する。搬送部材51の第1、第2突出部52A、52Bは、溝54A、54Bの内側で−Y方向に移動可能である。そのため、搬送部材51は、保持部材20Cとの接触を抑制されつつ、−Y方向に移動して、保持部材20Cから離れることができる。
【0195】
また、搬送部材51を用いて保持部材20C上の基板Pを搬出(アンロード)するときには、移動機構44Bは、搬送部材51を保持部材20Cの−Y側に配置し、第1、第2突出部52A、52Bと溝54A、54Bとを位置合わせした状態で、搬送部材51を+Y方向に移動する。搬送部材51の第1、第2突出部52A、52Bは、溝54A、54B内で、かつ溝54A、54Bに沿って+Y方向に移動可能であり、搬送部材51の+Y方向への移動に伴って、第1、第2突出部52A、52Bと第1、第2凹部55A、55Bとが位置合わせされる。また、第3突出部52Cと第3凹部55Cとが位置合わせされる。そして、移動機構44Bは、保持部材20Cの各凹部55A、55B、55Cの下端と搬送部材51の各突出部52A、52B、52Cとを位置合わせした状態で、搬送部材51を+Z方向に移動する。搬送部材51の各突出部52A、52B、52Cは、各凹部55A、55B、55Cの内側で+Z方向に移動可能であり、搬送部材51の+Z方向への移動に伴って、保持面19に載せられている基板Pの裏面の一部と支持部53A、53B、53Cとが接触する。そして、搬送部材51がさらに+Z方向へ移動することによって、支持部53A、53B、53Cに基板Pが支持されるとともに、基板Pの裏面と保持面19とが離れる。そして、さらに搬送部材51を+Z方向へ移動して、保持部材20と基板Pを支持した搬送部材51とを十分に離した後、移動機構44Bは、搬送部材51を、所定方向に移動する。これにより、基板Pは、搬送部材51によって、保持部材20Cより搬出される。
【0196】
図29は、本実施形態に係る移動機構44Bによって、保持部材20Cと基板Pとを離すときの動作の一例を示す模式図である。図29に示すように、移動機構44Bは、基板Pの裏面の一部分が他の部分よりも保持面19から先に離れるように、保持部材20Cに対する基板Pの移動を開始する。本実施形態においては、第3支持部53Cが、保持面19から先に離れる基板Pの裏面の一部分を支持する。換言すれば、3つの支持部53A、53B、53Cのうち、第3支持部53Cが、他の支持部53A、53Bよりも先に、保持面19から+Z方向への移動を開始するように、移動機構44Bの駆動が制御される。
【0197】
上述の実施形態と同様、複数の電極パターン3A〜3Iそれぞれの電極部材3に電圧を印加して保持面19に基板Pを吸着させた後、パターンを形成する順序(ショット領域Sを露光する順序)に応じて、複数の電極部材3に対する電圧の印加の停止が所定の順序で実行される。すなわち、まず、第1電極パターン3Aの電極部材3に対する電圧の印加が停止され、その後、第2、第3、…、第9電極パターン3B、3C、…、3Iの順序で、電極部材3に対する電圧の印加が停止される。移動機構44Bは、電圧の印加が最初に停止された第1電極パターン3Aの電極部材3に対応する基板Pの裏面の一部分、すなわち基板Pの−Y側のエッジ近傍の一部分と保持部材20Cの保持面19とが最初に離れるように、保持部材20Cに対する基板Pの移動を開始する。
【0198】
本実施形態においては、複数の支持部53A、53B、53Cのうち、第3支持部53Cが、基板Pの−Y側のエッジ近傍に配置されている。制御装置5は、3つの支持部53A、53B、53Cのうち、第3支持部53Cが、他の支持部53A、53Bよりも先に、保持面19から+Z方向への移動を開始するように、移動機構44Bを制御することによって、第3支持部53Cで支持された基板Pの−Y側のエッジ近傍を、保持部材20Cの保持面19から最初に離れるように、基板Pを移動させることができる。
【0199】
また、第3支持部53Cに接地された導電部材を設けることにより、基板Pに帯電している電気(電荷)を良好に取り除くことができる。
【0200】
また、本実施形態において、例えば支持部53A、53Bに、基板Pを支持部53A、53Bに吸着するための静電力を発生させる電極部材を含む静電チャック機構を設けることができる。
【0201】
なお、上述の各実施形態においては、移動機構44は、ほぼ静止している保持部材20に対して基板Pを移動しているが、ほぼ静止した基板Pに対して保持部材20を移動させてもよいし、保持部材20と基板Pとの両方を動かすようにしてもよい。
【0202】
さらに、上述の各実施形態においては、移動機構44、44Bは、複数の電極部材を備える保持部材20、20Cに適用した場合を説明したが、移動機構44、44Bは、1つあるいは2つの電極部材を備える保持部材に適用してもよい。
【0203】
また、上述の各実施形態において、保持部材20、20Cは、先端部分が同一面上に配置された多数のピン部材(凸部あるいは突起部)を介して基板Pの裏面を支持してもよい。このように、保持部材20、20Cが多数のピン部材を備える場合には、多数のピン部材の先端部分を含む面を保持面とすることができる。
【0204】
なお、上述の各実施形態においては、基板Pに帯電している電気を取り除く除電装置47は、保持部材20の保持面19と接触する接地された導電部材48を備えているが、基板Pの側面、表面の一部等に接触する接地された導電部材を備えていてもよい。また、基板Pに帯電している電気を取り除くことができるのであれば、導電部材は必ずしも接地されていなくてもよい。
【0205】
なお、上述の各実施形態においては、静電チャック機構が、所謂、双極方式である場合を例にして説明したが、単極方式であってもよい。
【0206】
更に、上述の各実施形態では、Y軸方向にのみ電極部材を分割し、X軸方向には正極と負極のペアを作成しているのみであるが、更に、X軸方向にも電極部材を分割して、X軸方向に関する露光が終了した領域に対応する電極部材の電圧をオフにしてもよい。例えば、チップ幅に関連した間隔で、あるいはスキャン露光を行うスリット(投影領域)の幅に関連した間隔で、正極と負極が配置されるように複数の電極部材を配置しておき、露光が終了したチップ、あるいはスリットの幅に対応する電極部材の電圧を順次オフにするようにしてもよい。
【0207】
また、Y軸方向及びX軸方向のそれぞれに電極部材を複数に分割した場合、基板Pに形成されたパターン情報、例えば、ショット領域Sの大きさに応じて、複数の電極部材の中から、所定数の電極部材を選択すればよい。すなわち、所定数の電極部材は、各ショット領域Sのそれぞれに割り当てられることになる。この場合、電源装置は、ショット領域S毎に割り当てられた所定数の電極部材の電圧を調整すればよい。
【0208】
また、上述の各実施形態では、X軸方向に配置された正極と負極のペアの電圧を同時に変化させているが、一方の電極部材の電圧のみ変化させてもよい。
【0209】
なお、上述の実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスク又はレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)、またはフィルム部材等が適用される。また、基板はその形状が円形に限られるものでなく、矩形など他の形状でもよい。
【0210】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0211】
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0212】
また、例えば米国特許第6,611,316号に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。
【0213】
また、本発明は、米国特許6,341,007号、米国特許6,400,441号、米国特許6,549,269号、米国特許6,590,634号、米国特許6,208,407号、米国特許6,262,796号などに開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
【0214】
更に、例えば特開平11−135400号公報(対応国際公開第1999/23692号パンフレット)、米国特許第6,897,963号等に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
【0215】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0216】
以上のように、実施形態の露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。
これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0217】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図30に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態に従って、マスクのパターンの像で基板に露光し、露光した基板を現像する基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0218】
なお、上述の実施形態においては、基板Pにパターンを形成するための装置が、感光性を有する基板Pに露光光ELを照射することによってその基板Pにパターンを形成する露光装置である場合を例にして説明したが、本発明の保持装置は、基板P上にパターンを形成する種々のパターン形成装置に適用可能である。そのようなパターン形成装置としては、例えばインクの滴を基板上に吐出することによってその基板上にパターンを形成するインクジェット装置、凹凸パターンが形成された原版と有機材料が塗布された基板とを基板のガラス転移温度以上に加熱しながら押し当て、その後、原版と基板とを離すとともに基板を冷却して基板上に原版のパターンを転写するナノインプリント装置などが挙げられる。これらの装置に基板を保持する保持装置が設けられている場合には、本発明の保持装置を用いて基板を保持することで、基板を所望状態で保持することができる。例えば、基板Pの表面が複数の微小な領域に分けられ、インクジェット装置が、その微小な領域のそれぞれに対してパターンを形成する動作(インクの滴を吐出する動作)を実行する場合には、保持部材の電極部材は、微小な領域に応じて配置されるとともに、保持装置の電源装置は、パターンを形成する順序に応じて、保持部材に設けられた複数の電極部材のそれぞれに対して印加する電圧を調整する。
【0219】
また、本発明の保持装置は、パターン形成装置に限らず、例えば、基板Pにレジストを塗布する装置や、基板Pに形成されたパターンを現像する装置等の基板処理装置が備える保持装置にも適用することが可能である。このような保持装置に本発明を適用する場合、電源装置22は、パターン情報を考慮せずに、電極部材のそれぞれに対して印加する電圧を任意に調整すればよい。
【0220】
なお、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置等に関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0221】
なお、上述のように本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述した全ての構成要素を適宜組み合わせて用いる事が可能であり、また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【符号の説明】
【0222】
2…基板ステージ、3…電極部材、3A〜3R…電極パターン、19…保持面、20…保持部材、22…電源装置、25…スイッチ、31…正極、32…負極、40A〜40C…支持面、41A〜41C…支持部材、44…移動機構、46…電極部材、47…除電装置、48…導電部材、51…搬送部材、53A〜53C…支持部、EL…露光光、EX…露光装置、M…マスク、P…基板、S…ショット領域、S1〜S9…ショット領域群
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成される基板を保持する保持面を有する保持部材と、
前記保持部材に設けられるとともに、前記パターンに関するパターン情報に応じて配置され、電圧の印加に応じて、前記基板を前記保持面に吸着するための静電力を発生させる複数の第1電極部材と、
前記複数の第1電極部材に印加する前記電圧を調整可能な電源装置と、を備え、
前記電源装置は、前記パターンの形成動作が進行中の前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材に第1電圧を印加し、前記パターンの形成動作が終了した前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材に、前記第1電圧よりも低い電圧を印加し、
前記基板上の第1ショット領域とは異なる第2ショット領域に前記パターンの形成動作を進行している間、前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する保持装置。
【請求項2】
前記電源装置は、前記パターン情報に応じて、前記複数の第1電極部材の中から選択された少なくとも1つの第1電極部材に所定の電圧を印加する請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記電源装置は、電圧の印加と印加の停止とを切り替えるスイッチを含む請求項1又は2記載の保持装置。
【請求項4】
前記電源装置は、前記パターンの形成動作が進行中の前記基板上の第1ショット領域に対応する前記第1電極部材に第1電圧を印加し、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材とは異なる第1電極部材のうちの少なくとも一つの第1電極部材に前記第1電圧よりも低い電圧を印加する請求項1〜3のいずれか一項記載の保持装置。
【請求項5】
前記電源装置は、前記パターンが形成される前の前記基板上の第2ショット領域に対応する前記第1電極部材に第1電圧を印加する請求項1〜4のいずれか一項記載の保持装置。
【請求項6】
基板を保持する保持面を有する保持部材と、
前記保持部材に設けられ、電圧の印加に応じて、前記基板を前記保持面に吸着するための静電力を発生させる複数の第1電極部材と、
前記複数の第1電極部材のうち少なくとも一つの第1電極部材と、前記複数の第1電極部材のうち少なくとも一つの第1電極部材とは異なる第1電極部材とに、異なる電圧を印加する電源装置と、を備え、
前記電源装置は、
前記少なくとも一つの第1電極部材に第1電圧を印加するとともに、前記少なくとも一つの第1電極部材とは異なる前記第1電極部材に第1電圧とは異なる電圧を印加し、
前記基板にパターンの形成動作が進行中又は進行前の少なくとも一方の前記基板上のショット領域に対応する前記少なくとも一つの第1電極部材に印加する前記第1電圧を、前記少なくとも一つの第1電極部材とは異なる前記第1電極部材に印加する電圧よりも高く設定し、
前記少なくとも一つの第1電極部材に印加する前記第1電圧が、前記少なくとも一つの第1電極部材とは異なる前記第1電極部材に印加する電圧よりも高く設定されている間、前記少なくとも一つの第1電極部材とは異なる前記第1電極部材を、前記第1電圧よりも低い電圧に維持する保持装置。
【請求項7】
前記第1電圧よりも低い電圧は、オフ電圧である請求項1〜6のいずれか一項記載の保持装置。
【請求項8】
パターンからの露光光で基板を露光する露光装置であって、
前記露光光が照射される基板を保持するために、請求項1〜7のいずれか一項記載の保持装置を備える露光装置。
【請求項9】
前記露光光が通過する空間を真空雰囲気に維持する真空システムをさらに備える請求項8記載の露光装置。
【請求項10】
請求項8又は9記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
前記露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項11】
パターンからの露光光で基板を露光する露光方法であって、
複数の第1電極部材が設けられた保持部材の保持面に前記基板を載せることと、
前記基板を前記保持面に静電力で吸着するために、前記第1電極部材に電圧を印加することと、
前記パターンからの前記露光光を前記基板に照射することと、を含み、
前記第1電極部材に電圧を印加することは、
前記パターンの形成動作が進行中の前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材に第1電圧を印加し、前記パターンの形成動作が終了した前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材に、前記第1電圧よりも低い電圧を印加し、
前記基板上の第1ショット領域とは異なる第2ショット領域に前記パターンの形成動作を進行している間、前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する露光方法。
【請求項12】
前記第1電極部材に前記第1電圧よりも低い電圧が印加される前記基板上の第1ショット領域は、前記露光光の照射が終了した領域である請求項11に記載の露光方法。
【請求項13】
パターンからの露光光で基板を露光する露光方法であって、
複数の第1電極部材が設けられた保持部材の保持面に前記基板を載せることと、
前記基板を前記保持面に静電力で吸着するために、前記第1電極部材に電圧を印加することと、
前記パターンからの前記露光光を、前記基板上の複数のショット領域に順次に照射することと、を含み、
前記第1電極部材に電圧を印加することは、
前記露光光の照射前又は前記露光光の照射が進行中の少なくとも一方の前記基板上のショット領域に対応する前記第1電極部材に印加する第1電圧が、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材とは異なる第1電極部材に印加する電圧よりも大きく設定し、
前記第1電極部材に印加する第1電圧が、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材とは異なる第1電極部材に印加する電圧よりも大きく設定されている間、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材とは異なる前記第1電極部材を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する露光方法。
【請求項14】
前記第1電圧よりも低い電圧は、オフ電圧である請求項11〜13のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか一項記載の露光方法を用いて基板を露光することと、
前記露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項1】
パターンが形成される基板を保持する保持面を有する保持部材と、
前記保持部材に設けられるとともに、前記パターンに関するパターン情報に応じて配置され、電圧の印加に応じて、前記基板を前記保持面に吸着するための静電力を発生させる複数の第1電極部材と、
前記複数の第1電極部材に印加する前記電圧を調整可能な電源装置と、を備え、
前記電源装置は、前記パターンの形成動作が進行中の前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材に第1電圧を印加し、前記パターンの形成動作が終了した前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材に、前記第1電圧よりも低い電圧を印加し、
前記基板上の第1ショット領域とは異なる第2ショット領域に前記パターンの形成動作を進行している間、前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する保持装置。
【請求項2】
前記電源装置は、前記パターン情報に応じて、前記複数の第1電極部材の中から選択された少なくとも1つの第1電極部材に所定の電圧を印加する請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記電源装置は、電圧の印加と印加の停止とを切り替えるスイッチを含む請求項1又は2記載の保持装置。
【請求項4】
前記電源装置は、前記パターンの形成動作が進行中の前記基板上の第1ショット領域に対応する前記第1電極部材に第1電圧を印加し、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材とは異なる第1電極部材のうちの少なくとも一つの第1電極部材に前記第1電圧よりも低い電圧を印加する請求項1〜3のいずれか一項記載の保持装置。
【請求項5】
前記電源装置は、前記パターンが形成される前の前記基板上の第2ショット領域に対応する前記第1電極部材に第1電圧を印加する請求項1〜4のいずれか一項記載の保持装置。
【請求項6】
基板を保持する保持面を有する保持部材と、
前記保持部材に設けられ、電圧の印加に応じて、前記基板を前記保持面に吸着するための静電力を発生させる複数の第1電極部材と、
前記複数の第1電極部材のうち少なくとも一つの第1電極部材と、前記複数の第1電極部材のうち少なくとも一つの第1電極部材とは異なる第1電極部材とに、異なる電圧を印加する電源装置と、を備え、
前記電源装置は、
前記少なくとも一つの第1電極部材に第1電圧を印加するとともに、前記少なくとも一つの第1電極部材とは異なる前記第1電極部材に第1電圧とは異なる電圧を印加し、
前記基板にパターンの形成動作が進行中又は進行前の少なくとも一方の前記基板上のショット領域に対応する前記少なくとも一つの第1電極部材に印加する前記第1電圧を、前記少なくとも一つの第1電極部材とは異なる前記第1電極部材に印加する電圧よりも高く設定し、
前記少なくとも一つの第1電極部材に印加する前記第1電圧が、前記少なくとも一つの第1電極部材とは異なる前記第1電極部材に印加する電圧よりも高く設定されている間、前記少なくとも一つの第1電極部材とは異なる前記第1電極部材を、前記第1電圧よりも低い電圧に維持する保持装置。
【請求項7】
前記第1電圧よりも低い電圧は、オフ電圧である請求項1〜6のいずれか一項記載の保持装置。
【請求項8】
パターンからの露光光で基板を露光する露光装置であって、
前記露光光が照射される基板を保持するために、請求項1〜7のいずれか一項記載の保持装置を備える露光装置。
【請求項9】
前記露光光が通過する空間を真空雰囲気に維持する真空システムをさらに備える請求項8記載の露光装置。
【請求項10】
請求項8又は9記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
前記露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項11】
パターンからの露光光で基板を露光する露光方法であって、
複数の第1電極部材が設けられた保持部材の保持面に前記基板を載せることと、
前記基板を前記保持面に静電力で吸着するために、前記第1電極部材に電圧を印加することと、
前記パターンからの前記露光光を前記基板に照射することと、を含み、
前記第1電極部材に電圧を印加することは、
前記パターンの形成動作が進行中の前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材に第1電圧を印加し、前記パターンの形成動作が終了した前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材に、前記第1電圧よりも低い電圧を印加し、
前記基板上の第1ショット領域とは異なる第2ショット領域に前記パターンの形成動作を進行している間、前記基板上の第1ショット領域に対応する少なくとも一つの前記第1電極部材を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する露光方法。
【請求項12】
前記第1電極部材に前記第1電圧よりも低い電圧が印加される前記基板上の第1ショット領域は、前記露光光の照射が終了した領域である請求項11に記載の露光方法。
【請求項13】
パターンからの露光光で基板を露光する露光方法であって、
複数の第1電極部材が設けられた保持部材の保持面に前記基板を載せることと、
前記基板を前記保持面に静電力で吸着するために、前記第1電極部材に電圧を印加することと、
前記パターンからの前記露光光を、前記基板上の複数のショット領域に順次に照射することと、を含み、
前記第1電極部材に電圧を印加することは、
前記露光光の照射前又は前記露光光の照射が進行中の少なくとも一方の前記基板上のショット領域に対応する前記第1電極部材に印加する第1電圧が、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材とは異なる第1電極部材に印加する電圧よりも大きく設定し、
前記第1電極部材に印加する第1電圧が、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材とは異なる第1電極部材に印加する電圧よりも大きく設定されている間、前記第1電圧が印加された前記第1電極部材とは異なる前記第1電極部材を前記第1電圧よりも低い電圧に維持する露光方法。
【請求項14】
前記第1電圧よりも低い電圧は、オフ電圧である請求項11〜13のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか一項記載の露光方法を用いて基板を露光することと、
前記露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2013−58761(P2013−58761A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−219915(P2012−219915)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2008−71602(P2008−71602)の分割
【原出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2008−71602(P2008−71602)の分割
【原出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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