説明

保温可能な湿タオル保持具

【課題】
湿タオルを人体に接触させる場合、湿タオルが落ちないように横臥になったり、手などで支えなくてはならない不便さがある。また、保温もしくは冷却させて湿タオルを使用する場合、開始時の温度が短時間で体温に近づいてしまう。湿タオルの水分が、衣服を湿らすこともある。
【解決手段】
保温可能な湿タオル保持具は人体に湿タオル(10)を密着させるもので、湿タオルを包み込むようにして湾曲収納部(20)によって保持する。これにより湿タオルを保温して元の温度を長い時間保ち、湿気を外部に出さない。温熱水蒸気発生材である湿タオルは蒸しタオルを代表的なものとして、着脱自在に装着できる構造である。タオルは冷しタオルであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の筋肉疲労部分に対し、蒸しタオルを含む保温材もしくは冷しタオルを含む冷却材を筋肉疲労部分に固定して、温熱もしくは冷却することで筋肉疲労を緩和する保温可能な湿タオル保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筋肉疲労の療法として、温湿布、冷湿布が用いられることがある。簡易的には蒸しタオルや冷しタオルが使われることがある。
【0003】
蒸しタオルは、濡らしたタオルから電子レンジを用いて作ることができ、業務用として専用ヒーターが使われることもある。冷しタオルの場合には専用冷蔵庫が用いられることもある。
【0004】
また、ジェル状の保温材入りの湿布として、電子レンジで温めれば温湿布として、冷凍庫で冷やせば冷湿布として使えるものがある。
【0005】
また、電熱回路により人体へ装着した蒸しタオルを加熱する機器がある。(特許文献1)
【0006】
また、首回りや肩を被覆して保温することができるような掛け布がある。(特許文献2)
【0007】
また、化学的な反応によって温熱を発するアイマスクや使い捨てカイロもある。(特許文献3〜5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許公開2000−24025
【特許文献2】特許公開2004−121619
【特許文献3】特許公開2001−245915
【特許文献4】特許公開2007−236410
【特許文献5】特許公開2009−82570
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は折りたたんだ蒸しタオル、もしくは冷しタオルを、人体の首筋、後頭部、目、顔、腹、腰、肩、肘、膝、足裏、足首等に保持する保温可能な湿タオル保持具である。以下、保温可能な湿タオル保持具を保持具と記載する。また、蒸しタオルと冷しタオルを合わせて湿タオルと記載する。
【0010】
(1) 請求項1の解決しようとする課題
解決しようとする第一の問題点は、使用者が着座もしくは起立している場合には、手で湿タオルを支えないと湿タオルが自重で落ちるという点である。本発明は湿タオルを人体に保持することを第一の目的とする。
【0011】
解決しようとする第二の問題点は、湿タオルを使用する場合、湿タオルの湿気により衣服が濡れることがある。本発明は湿タオルの湿気から衣服を濡らさないことを第二の目的とする。
【0012】
解決しようとする第三の問題点は、湿タオルを人体に装着した場合、湿タオルの温度が外気温や体温に徐々に近づくため、適切な温度に保たれる時間が短い点である。本発明は、湿タオルの適切な温度の保持を長くすることを第三の目的とする。
【0013】
(2) 請求項2の解決しようとする課題
解決しようとする第四の問題点は、湿タオルを人体に固定する為に強く巻き付けると、湿タオル内部の空気層が潰れて、柔らかな装着感が喪失してしまうことがある。本発明は、湿タオル内部の空気層を強く圧迫せずに湿タオルを保持することを第四の目的とする。
【0014】
解決しようとする第五の問題点は、湿タオルを保持具に収納する際、円筒形状であるため、保持具の姿勢が不安定であるという点である。本発明は、湿タオルを保持具に収納する際、保持具をほぼ水平に安定させることを第五の目的とする。
【0015】
(3) 請求項3の解決しようとする課題
解決しようとする第六の問題点は、保持具を装着する際、人体が不均一な形状であるため、保持具と人体との間に隙間が生じることがある。特に首回りでは下側に隙間が生じると湿タオルが自重で下がるため、衣服の襟首が濡れ易い。本発明は首筋や頭部に保持具を装着する際に人体との隙間を少なくすることを第六の目的とする。
【0016】
(4) 請求項4の解決しようとする課題
解決しようとする第七の問題点は、装着箇所が座位の足裏や、腰部などの場合、人体の重さで圧迫されてタオル内の空気層が潰れて、柔らかな装着感が喪失してしまう点である。本発明は、人体の足裏や腰への装着時にも湿タオル内の空気層を圧迫せずに保持することを第七の目的とする。
【0017】
(5) 請求項5の解決しようとする課題
解決しようとする第八の問題点は、湿タオルを蒸しタオルとして使うとき、装着時の初期温度が火傷の危険を感じるように高い場合があるという点である。本発明は、蒸しタオルとして使う際の初期の温度を若干だけ下げることを第八の目的とする。
【0018】
解決しようとする第九の問題点は、湿タオルを保持具で包み人体に当てる際、湿タオルの折り方によって少しづつ形が異なったり、タオルの端部がはみ出したりして、人体に湿タオルを当てる位置にずれを生じる場合があるという点である。本発明は、その際に湿タオルの位置を保持具の一定の位置に定めることを第九の目的とする。
【0019】
(6) 請求項6の解決しようとする課題
解決しようとする第十の問題点は、湿タオルをツボ等の人体の狭い範囲のみを強く温めることが難しい点である。本発明は、蒸しタオルの高熱を特定のツボの範囲に当てる温灸用として使用することを第十の目的とする。
【0020】
(7) 請求項7の解決しようとする課題
解決しようとする第十一の問題点は、保温時間をさらに長く使用したい場合や、保持具の外形寸法を小さくして熱容量の少ない薄手のミニタオルを用いて長時間の保温をしたい場合があるが、対応が難しいものであった。本発明は、保持具を使用した保温時間をさらに長くして使用することを第十一の目的とする。
【0021】
(8) 請求項8の解決しようとする課題
解決しようとする第十二の問題点は、湿タオルを人体に保持する際、人体の部位ごとに巻付けるサイズが異なる為、使用者が使う部位ごとに専用サイズの保持具を持たなければならない点である。本発明は、一つの保持具で各部位に装着できる構造にすることを第十二の目的とする。
【0022】
(9) 請求項9の解決しようとする課題
解決しようとする第十三の問題点は、人体は微妙な温度変化には鈍感であり長時間にわたり使用すると湿タオルの温度が、蒸しタオルだと冷え過ぎ、冷しタオルでは温まり過ぎという状態になるが、使用者がその状態に気付かないことがある。特に、使用者が蒸しタオルで心地良くなり居眠りをした場合などは、湿タオルの温度が体温以下に下がることがある。そのような際に使用者にアラーム音等で湿タオルの交換や、保持具を外すことを促すことを第十三の目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、上記の目的を達成するために、次の課題解決手段を備えて構成されている。
【0024】
(1) 請求項1の発明
本発明での、上記第一の目的である人体に保持するための手段としては湿タオルを装着する人体の部位のサイズに合わせた柔軟性のある保持具で巻き付けた後、保持具の2ケ所の巻付け端を、面ファスナーやベルトなどで接続することを特徴とする。
【0025】
次に、第二の目的である衣服が濡れないようにするためには2つの手段がある。
第二の目的である第一の手段としては、湿タオルを覆う保持具に防水性のある素材を用いることを特徴とする。
【0026】
第二の目的である第二の手段としては、保持具の湾曲収納部の上下に上側保温保持部と下側保温保持部を設置して湿タオルを覆うことを特徴とする。
【0027】
次に、第三の目的である湿タオルの温度をより長時間保つためには2つの手段がある。
第三の目的である第一の手段としては、保持具の素材に断熱性の高い素材を使用することを特徴とする。
【0028】
第三の目的である第二の手段としては、湿タオルの体積が大きいほど熱容量が大きいので、熱容量が大きい厚手の湿タオルでも保持具で包み込めることを特徴とする。ここで厚手の湿タオルとはパイル地の厚手タオル、もしくは薄手のタオル2枚分を示すものとする。腹部や腰部用についてはさらに大きく、小さいバスタオルも包めるサイズとする。
【0029】
(2) 請求項2の発明
次に、第四の目的である湿タオル内の空気層を強く圧迫せずに保持するための手段としては、人体に湿タオルを保持する際に、上側保温保持部の上端と、下側保温保持部の下端で人体に固定し、固定部の湾曲収納部側から端部にかけて徐々に細くなっていく形状を特徴とする。
【0030】
次に、第五の目的である湿タオルを保持具に置く際に保持具をほぼ水平にする手段としては、腰はあるが変形しやすい素材による保持具とし、上側保温保持部と、下側保温保持部の厚さを配慮した立体形状であるが、湿タオルを置くときには水平にできる柔軟性のある形状にすることを特徴とする。
【0031】
(3) 請求項3の発明
次に、第六の目的である首筋や頭部に保持具を装着する際に人体との隙間を少なくするための手段としては、人体の首と頭部の外径に合わせた、保持具の内径とすることであり、上側保温保持部内径より、下側保温保持部内径を短くすることを特徴とする。
【0032】
(4) 請求項4の発明
次に、第七の目的である人体の足裏や腰への装着時にも湿タオル内の空気層を圧迫せずに保持する手段としては、体重で湿タオルが潰れないように体重支え専用のクッション材で体重を支えて、湿タオルを押さえる圧力を低減させるものである。座位の足裏で使用する場合は足裏の踵に、クッション材を置いて支え、リクライニングソファーで使用する際は腰部の2ケ所にクッション材を置いて支えることを特徴とする。
【0033】
(5) 請求項5の発明
次に、第八の目的である蒸しタオルの初期の温度を若干だけ下げる手段としては、湿タオルと人体との間に蒸気や冷気を通す薄手の温度調整保持シートを付加することを特徴とする。
【0034】
次に、第九の目的である保持具を一定の位置に定める手段としては、前記第八の目的の手段と同一の素材である薄手の温度調整保持シートで湿タオルを包むことを特徴とする。
【0035】
(6) 請求項6の発明
次に、第十の目的とする、湿タオルの高熱をツボに当てる温灸用として使用する手段としては、人体のツボに当たる位置に温灸効果穴を開けた温度調整温灸効果シートを使うことを特徴とする。
【0036】
(7) 請求項7の発明
次に、第十一の目的とする保温時間をさらに長くしたり、保持具の外径を小さくしてサイズの大きい保温具と同程度の時間の保温をする手段としては、追加保温保冷材入れ袋を持ち、その中に加温もしくは加冷する追加保温保冷材を位置することを特徴とする。
【0037】
(8) 請求項8の発明
次に、第十二の目的として、一つの保持具で各部位に装着できる構造にする手段としては、内径が短くても使用できる顔、目、首筋、膝、肘、足首、足裏用の保持具に、巻付け部の長さが不足した長さを補う巻付け部延長バンドを付けることで略円形の長さを延長させて腹、腰にまで巻付ける機能を持つことを特徴とする。
【0038】
(9) 請求項9の発明
次に、第十三の目的として、湿タオルの温度が体温に近づいたとき使用者にアラーム音等で湿タオルの交換や、保持具を外すことを促す手段としては、湿タオルの温度を温度センサーで計測し、タオルを蒸しタオルとして使用した場合には特定の温度以下、または冷しタオルとして使用した場合は特定の温度以上で使用者にアラーム音で通報する機能を持つことを特徴とする。

【発明の効果】
【0039】
上述したように本発明は、人体の疲労部分に対し、蒸しタオルもしくは冷しタオルを保温可能な湿タオル保持具に装着することで、着座もしくは起立時でも湿タオルを安定して保持することができる。装着した湿タオルは、着衣を濡らすことなく、本発明を使わない場合に比べて長い時間一定の温度を保つことができる。

【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】上面図(図1(a))、左側面図(図1(b))、正面図(図1(c))、右側面図(図1(d))、底面図(図1(e))、背面図(図1(f))、断面図(図1(g))、名称の範囲断面図(図1(h))である。(実施例1)
【図2】図1の斜視図(図2(a))、別の実施例(図2(b))である。(実施例1)
【図3】首、目、後頭部用の上面図(図3(a))、左側面図(図3(b))、正面図(図3(c))、右側面図(図3(d))、底面図(図3(e))、背面図(図3(f))、断面図(図3(g))である。(実施例2)
【図4】首装着図(図4(a))、目装着図(図4(b))、後頭部装着図(図4(c))である。(実施例2)
【図5】足裏用保持具の正面図(図5(a))、底面図(図5(b))、側面透視図(図5(c))である。(実施例3)
【図6】両足裏用保持具の上面透視図(図6(a))、側面透視図(図6(b))である。(実施例3)
【図7】腰用保持具の正面図(図7(a))、底面図(図7(b))、リクライニングシートでの側面イメージ図(図7(c))である。(実施例3)
【図8】温度調整保持シート付き上面図(図8(a))右側面図(図8(b))、断面図(図8(c))である。(実施例4)
【図9】温度調整温灸効果シートの正面図である。図はそれぞれ、肘用(図9(a))、膝用(図9(b))、腹用(図9(c))、腰用(図9(d))、首用(図9(e))、目用(図9(f))を示す。(実施例5)
【図10】追加保温保冷材入れ袋の右側面図(図10(a))、追加保温保冷材入れ袋の断面図(図10(b))である。(実施例6)
【図11】巻付け部延長バンドにより巻付けサイズを延長させた外観図(図11(a))、巻付け部延長バンドの正面図(図11(b))である。(実施例7)
【図12】温度センサーを取付けた右側面図(図12(a))、温度センサーコントロール部を取付けた断面図とイメージ図(図12(b))、温度センサーコントロール部の構成図(図12(c))である。(実施例8)
【図13】湿タオルの保温効果のグラフの一例である。(実施例9)
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
【実施例1】
【0042】
図1は、本発明の第1の実施例であって請求項1、請求項2に示すものである。
上面図(図1(a))、左側面図(図1(b))、正面図(図1(c))、右側面図(図1(d))、底面図(図1(e))、背面図(図1(f))、断面図(図1(g))の保持具は人体へ装着する際の略円形の形状を示す図面である。
【0043】
保持具1は名称の範囲断面図(図1(h))に示すように、湾曲収納部20と固定部24で構成される。
さらに湾曲収納部は、上側の黒色の部分の上側保温保持部21と、下側の黒色の部分の下側保温保持部22と、中央の白色の部分の保温部23とで構成され、湿タオル10を上下と外側から収納する。
【0044】
保持具の湾曲収納部20の素材は防水性のある保温材であってウェットスーツに用いられるようなゴム系材料、ウレタン材、合成樹脂材、人工皮革、高機能材等としてもよい。
固定部24の素材は湾曲収納部20と同じでも、異なってもよい。
【0045】
分割ライン25は素材によって有無があり、接着や縫製で立体的にする場合は必要であるが、金型等を用いた発泡材等による一体成型の場合は不要となる。
【0046】
分割ライン25によって材料を分割した部品ごとに色を変えることでデザイン選択の幅を広げることもできる。
【0047】
縫製の際には全体を一体化して図11(a)の保持具に示すように上端、下端のみにスリットを入れる構造でもよい。
【0048】
この保温素材は人体に装着して型崩れがなく、厚さは素材の断熱性により定めるものであり、発泡ポリエチレンやゴム系の素材を代表とするものでは2mm〜10mmの厚さである。特殊セラミック等による特に断熱性の高い保温材の場合には、さらに薄いものでもよい。
【0049】
特に人体に接触する上側保温保持部21と、下側の黒色の部分の下側保温保持部22と、固定部24には人体の健康維持に有効な金属や、磁気を含む成分を含ませてもよい。
【0050】
保持具のサイズは巻付ける部位によって異なり、「足首、肘」、「膝」、「首筋、後頭部、目、顔」「腹、腰」の順に大きくする。湿タオルはフェイスタオル等が好ましく、その素材は天然素材である綿や、化学繊維であるナイロン、ポリエステルなどが用いられる。本発明は、湿タオルには限定されない。
【0051】
固定部24の面ファスナーループ側30と面ファスナーフック側31は一対をなすものであり、人体に巻付けてから、保持具を人体に固定するのに用いる。面ファスナーフック31側は固い素材の為、皮膚を傷めないように外側に向けるものとする。
【0052】
ここで、保持具は柔軟性と保形性を兼ね備える材料を使用する。通常は各図に示す立体的な形状を保持するが、湿タオルを収納する際に、湾曲収納部20をほぼ水平にできる柔軟性のある素材とする。
【0053】
さらに、保管や運送時に平面状やロール状に変形しても、使用時には各図に示す基本的な形状に回復する素材とする。
【0054】
保持具によって湿タオル内の空気層を強く圧迫せずに保持するためには、図1の斜視図(図2(a))の保持する力のラインDに示すように、上側保温保持部21の上端と、下側保温保持部の下端で湿タオルを保持する。
【0055】
保持する力のラインDは有効に力が加わるように、各部の高さを示した図1の右側面図(図1(d))に示すよう、固定部20の端部にかけて細くなっていく形状とする。
【0056】
図1の右側面図(図1(d))に示す端部の高さAは8〜30mmの間であり、面ファスナーループ側30と面ファスナーフック側31の幅に縁取りを加えた高さとする。
【0057】
中間の高さBは、端部の高さAと湿タオルを包む高さCとの間の高さで、上側保温保持部21と下側保温保持部22からの力が端部に有効にかかる高さとする。
【0058】
湿タオルを包む高さCは40〜250mmの間とする。首筋、後頭部、目に使う保持具での湿タオルを包む高さCは70〜110mm。腹部や腰に使う保持具での湿タオルを包む高さCは100〜200mmが望ましい。
【0059】
図1の斜視図(図2(a))に示す湾曲収納部20は上側保温保持部21と、下側保温保持部22と、固定部24とが一体化してカマボコ型の形状であるが、別の実施例(図2(b))のように上側保温保持部21と、下側保温保持部22と、固定部24とが構造上で別の部材でもよい。
【実施例2】
【0060】
図3、図4は、本発明の第2の実施例であって請求項3に示すものである。
図3での首、目、後頭部用の上面図(図3(a))と底面図(図3(e))、断面図(図3(g))に示すように上側保温保持部内径Eは下側保温保持部内径Fより長いものであり、側面は底部が平らのくさび型とする。
【0061】
人体の首筋や頭部の外径は部位ごとに異なっているため、それに合わせて保持具の上側保温保持部内径Eと下側保温保持部内径Fの長さを定める。
【0062】
ここでは、特に首筋に装着した場合に衣服の襟が濡れ易いので、首筋に装着する下側保温保持部内径Fの長さを基準として使用者によってサイズを定める。
【0063】
図4は人体への装着方法を示すものである。首装着図(図4(a))は図3に示す方向通りの装着となる。但し、目と後頭部への装着では、頭部の上部の方の内径が狭くなっているため、図3とは上下逆にして目装着図(図4(b))、後頭部装着図(図4(c))に示すように装着する。
【0064】
首装着時には、固定部24の面ファスナーへ向かうラインが下向きになり、首の背中側の湾曲収納部20が上がり、首の前側の固定部24が下がる形状になり、装着時のフィット感が向上する。
【実施例3】
【0065】
図5〜7は、本発明の第3の実施例であって請求項4に示すものであり、保持具に体重を支えるためのクッション材60を装着したものである。
図5は椅子に座って湿タオルを足裏に用いるもので、湿タオルが足の重さで潰されるのを防ぐものである。足裏用保持具の正面図(図5(a))と、底面図(図5(b))に示すようにクッション材60の位置を定める。足裏で使う際には、側面透視図(図5(c))に示すようにクッション材60を踵に当たる位置に設置して足の重さを支え、保持具で足裏を包んで使用する。
【0066】
クッション材60の素材は足の重みでの変形が少ない硬質ウレタンを代表とする。
【0067】
図6の両足裏用保持具の上面透視図(図6(a))、側面透視図(図6(b))では、足湯のように長時間使う場合に用いることができる。その際には湿タオルとしてはバスタオルのような大型で熱容量の大きなものを用いる。
【0068】
図7は腹、腰に用いる保持具であり、腰用保持具の正面図(図7(a))では面ファスナーループ側30と面ファスナーフック側31を2重にすることで、湿タオルに熱容量の大きなバスタオルを包むことができる。
【0069】
クッション材60は正面図(図7(a))と底面図(図7(b))に示すように、腰の上下の位置に設けることで、湿タオルを強く圧迫することがなくなる。
【0070】
使用例としてはリクライニングシートでの側面イメージ図(図7(c))のように湿タオルをクッション材60で挟むものとする。
【実施例4】
【0071】
図8は、本発明の第4の実施例であって請求項5に示すものである。
温度調整保持シート付き上面図(図8(a))と、断面図(図8(c))に温度調整保持シート70の取付け位置を示す。温度調整保持シート70は上側保温保持部21の上端に接着または縫製等で付加する。また、反対の下側保温保持部22側に付加してもよい。右側面図(図8(b))は透過イメージとして温度調整保持シート70の位置を示す。
【0072】
温度調整保持シート70は、湿タオルの急激な人体への熱さ、冷たさの伝達を軽減させる為のものである。さらに湿タオルを包むことで、上側保温保持部21と、下側保温保持部22の間の一定の位置に保持させ易くする。
【0073】
温度調整保持シート70は合成繊維のフリース材、もしくは通気性のあるポリエステル材等を用い、厚さは0.3〜1mmとする。
【0074】
ここで、湿タオルを蒸しタオルとして使用して温度が低下した場合や、冷やタオルとしての冷気が低減した場合には、温度調整保持シート70を人体側でなく、湾曲収納部20の内側に移動させることにより、人体と湿タオルを直接接触させることで新たな温熱や冷却の効果を得ることができる。
【0075】
さらに、温度調整保持シート70に保温物質やオイルを浸透させることで、温熱効果を高めることもできる。
【実施例5】
【0076】
図9は、本発明の第5の実施例であって請求項6に示すものである。
図9は温度調整温灸効果シート71の正面図であり、それぞれ、肘用(図9(a))、膝用(図9(b))、腹用(図9(c))、腰用(図9(d))、首用(図9(e))、目用(図9(f))を示す。
【0077】
温度調整温灸効果シート71は温度調整保持シート70の一部に穴を開けたものであり、取り付け方も温度調整保持シート70と同じとする。
【0078】
温度調整温灸効果シートの肘用(図9(a))には人体の肘のツボ位置に該当する肘の表と裏の境目で関節の内側と外側に温灸効果穴300を開ける。
【0079】
温度調整温灸効果シートの膝用(図9(b))には膝のツボ位置に該当する皿の直下、内側と外側にあるくぼみに温灸効果穴300を開ける。
【0080】
温度調整温灸効果シートの腹用(図9(c))には腹のツボ位置に該当するみぞおちから、ヘソの上下、下腹部に温灸効果穴300を開ける。
【0081】
温度調整温灸効果シートの腰用(図9(d))には腰のツボ位置に該当する位置に温灸効果穴300を開ける。
【0082】
温度調整温灸効果シートの首用(図9(e))には腰のツボ位置に該当する位置に温灸効果穴300を開ける。
【0083】
温度調整温灸効果シートの目用(図9(f))には目の周囲のツボ位置に該当する位置に温灸効果穴300を開ける。
【実施例6】
【0084】
図10は、本発明の第6の実施例であって請求項7に示すものである。
図10の追加保温保冷材入れ袋の右側面図(図10(a))は追加保温保冷材入れ袋80と、その上部から中に入れる追加保温保冷材81の位置を透過で示したものである。追加保温保冷材入れ袋の断面図(図10(b))では、追加保温保冷材入れ袋80と、その上部から中に入れる追加保温保冷材81の断面を示す。
【0085】
追加保温保冷材入れ袋80は伝熱性がよければ特に材質を定めない。
【0086】
追加保温保冷材81は湿タオルより熱容量の大きいもので、保持具を使用した保温、保冷時間をさらに長くして使用する為に加えるものである。
【0087】
追加保温保冷材81の素材はジェル状の保温材や保冷材を代表として出し入れが容易な形状とする。保冷材としては氷であってもよいが、その際は解けた氷水が湿タオルに吸い取られるように追加保温保冷材入れ袋80に網状の素材を用いる。
【0088】
ここで図6に戻るが、両足裏用保持具(図6(a))(図6(b))ではさらに大きな熱容量の追加保温保冷材81を用いて温熱効果を高めることができる。場所は側面透視図(図6(b))の湿タオルの下部に、大きな保温材や湯たんぽを用いることで長時間高温を維持できる。これは電気的な手段の電熱線等であってもよい。
【実施例7】
【0089】
図11は、本発明の第7の実施例であって請求項8に示すものである。
巻付け部延長バンド400により巻付けサイズを延長させた外観図(図11(a))は巻付け部延長バンド400の片側のみを固定部24に取り付けた外観図である。
【0090】
これは、首筋、後頭部、目用の保持具の固定部24に巻付け部延長バンド400を付加することで腹、腰にも使えるようにしたものである。
【0091】
巻付け部延長バンドの正面図(図9(b))の左右には面ファスナーループ側30を取付け、裏側には面ファスナーフック側31を取り付ける。
【0092】
巻付け部延長バンド400を使わない場合、固定部24の端部を長くして長さを調整できるベルトを用いてもよい。
【実施例8】
【0093】
図12は、本発明の第8の実施例であって請求項9に示すものである。
温度センサーを取付けた右側面図(図12(a))は透過図として温度センサー120を取付けた位置を示す。さらに、温度センサーコントロール部を取付けた断面図とイメージ図(図12(b))に温度センサー120と温度センサーコントロール部90の位置関係を示す。温度センサー120と温度センサーコントロール部90の間は脱着可能なケーブルまたは近距離無線で接続する。
【0094】
温度センサーコントロール部の構成図(図12(c))は温度センサーコントロール部90の構造を示すブロック図である。電源SW100は湿タオルが取付けられたとき、その湿度により電気が導通しONとなり、温度センサーコントロール部90の電源101をONにする。湿タオルが外されたとき電源101をOFFにする。
【0095】
これにより電源を自動でON/OFFさせ電池の消耗を低減する。但し、例外としてDOWN設定SW140かUP設定SW141が押下されたときはモード設定をする為にONとなる。その際、ディスプレィ130には室温が表示され、DOWN/UPは表示されない。
【0096】
ワンチップCPU110は、蒸しタオル用最低温度レジスタを持ち、湿タオルの温度が下がり、この温度になったとき圧電ブザー150でアラーム音を発生させる機能を持つ。アラームを停止させるには湿タオルを外すか、DOWN設定SW140もしくはUP設定SW141を押下する。
【0097】
また、ワンチップCPU110は、冷しタオル用最高温度レジスタを持ち、湿タオルの温度が上がり、この温度になったとき圧電ブザー150でアラーム音を発生させる機能を持つ。アラームを停止させるには湿タオルを外すか、DOWN設定SW140もしくはUP設定SW141を押下する。
【0098】
ワンチップCPU110が湿タオルが蒸しタオルであるか、冷しタオルであるかを判別するには、温度センサーの初期値が40℃以上の時、蒸しタオルと認識し、温度センサーの初期値が15℃以下の時、冷しタオルと認識する。
【0099】
蒸しタオル用最低温度レジスタの値と冷しタオル用最高温度レジスタ値の設定はプッシュスイッチのDOWN設定SW140とUP設定SW141にて行う。DOWN設定SW140とUP設定SW141を同時に押すとモードとなりディスプレィ130の表示がDOWNとなる。これにより蒸しタオル用最低温度の設定を行う。蒸しタオル用最低温度の初期値はディスプレィ130に38℃を表示しておりUP設定SW141を連続して押下すると、表示文字が上がり停止した値が蒸しタオル用最低温度レジスタの値として設定される。間違えた場合にはDOWN設定SW140の押下により設定値を下げる。
【0100】
再度、DOWN設定SW140とUP設定SW141を同時に押すとモードの切換えができ、ディスプレィ130の表示がUPとなる。これにより冷しタオル用最高温度の設定を行う。冷しタオル用最高温度の初期値は30℃を表示しておりDOWN設定SW141を連続して押下すると、表示文字が下がり、値を停止した値が冷しタオル用最高温度レジスタの値に設定される。間違えた場合にはUP設定SWの押下により設定値を上げる。
【0101】
蒸しタオル用最低温度レジスタと冷しタオル用最高温度の値は電源をOFFしても再設定するまで消えることはない記憶媒体を使用する。
【0102】
温度センサーコントロール部60のディスプレィ130は湿タオルの温度を表示しており、本体から延長ケーブルで引き出すことができる。ケーブルの長さは、人体のどの部位に付けても使用者が温度を把握できる長さとする。

【実施例9】
【0103】
図13は、本発明の第9の実施例であって湿タオルの保温効果の一例を示すものである。
湿タオルの保温効果のグラフを計測した保持具の素材はウェットスーツ素材の3mm厚のものである。湿タオルは電子レンジで温めて、湿タオルの人体側に温度計を挟んで計測したものである。
【0104】
温度計は保持具を人体に装着すると同時に人体と湿タオルの間に挟んだもので、初期温度の摂氏22度は計測時の室温を示す。
【0105】
図13の上側の湿タオルに保持具を付けた温度推移500は、湿タオルに保持具を付けた場合を示す。下側の湿タオルのみの温度推移501は、湿タオルのみの温度推移示す。人体への心地良さが低下する摂氏40度になる迄に、保持具を付けて湿タオルを使用した場合には約15分保つことができ、湿タオルのみでは約5分であった。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は蒸しタオルや冷しタオルの使用を容易にするものとして製造される。また、温湿布や冷湿布に代わるものとしても製造される。
【符号の説明】
【0107】
1 保持具
10 湿タオル
20 湾曲収納部
21 上側保温保持部
22 下側保温保持部
23 保温部
24 固定部
25 分割ライン
30 面ファスナーループ側
31 面ファスナーフック側
60 クッション材
70 温度調整保持シート
71 温度調整温灸効果シート
80 追加保温保冷材入れ袋
81 追加保温保冷材
90 温度センサーコントロール部
100 電源SW
101 電源
110 ワンチップCPU
120 温度センサー
121 温度センサーアンプ
130 ディスプレィ
140 DOWN設定SW
141 UP設定SW
150 圧電ブザー
300 温灸効果穴
400 巻付け部延長バンド
500 湿タオルに保持具を付けた温度推移
501 湿タオルのみの温度推移
A 端部の高さ
B 中間の高さ
C 湿タオルを包む高さ
D 保持する力のライン
E 上側保温保持部内径
F 下側保温保持部内径


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側保温保持部と、下側保温保持部と、保温部とにより形成され、湿タオルを収納する湾曲収納部と、
前記湾曲収納部の対面側で固定する固定部と、を有し、
前記湾曲収納部と前記固定部とが一体的に形成され、前記湾曲収納部の前記湿タオルを人体に接触させて略円状に巻き付ける形状であることを特徴とする保温可能な湿タオル保持具。

【請求項2】
前記上側保温保持部の上端と、前記下側保温保持部の下端とを人体に接触させることで前記湿タオルを保持し、前記湾曲収納部の膨らみの最大部分から、前記固定部まで一定の割合で細くなっていく形状を特徴とする請求項1に記載する保温可能な湿タオル保持具。

【請求項3】
前記湾曲収納部の、前記上側保温保持部の内径より前記下側保温保持部の内径が短いことを特徴とする請求項1、2に記載の保温可能な湿タオル保持具。

【請求項4】
前記人体の前記湿タオルの厚みに相当する厚さのクッション材を有し、
座位の前記人体の踵に一か所、もしくは前記人体の腰の上下2ケ所に、前記クッション材を位置させることを特徴とする請求項1〜3に記載の保温可能な湿タオル保持具。

【請求項5】
温度調整保持シートを有し、
前記人体と前記湿タオルとの間に前記温度調整保持シートが位置する形状であることを特徴とする請求項1〜4に記載の保温可能な湿タオル保持具。

【請求項6】
温灸効果穴を開けた温度調整温灸効果シートを有し、
前記人体と前記湿タオルとの間に前記温度調整温灸効果シートが位置する形状であり、前記人体のツボに当たる位置に前記温灸効果穴が位置することを特徴とする請求項1〜5に記載の保温可能な湿タオル保持具。

【請求項7】
伝熱性がある素材、もしくは網状の素材の追加保温保冷材入れ袋と、追加保温保冷材と、を有し、
前記湿タオルと前記湾曲収納部との間に前記追加保温保冷材入れ袋を位置させることができ、前記追加保温保冷材入れ袋に前記追加保温保冷材を入れることを特徴とする請求項1〜6に記載の保温可能な湿タオル保持具。

【請求項8】
巻付け部延長バンドを有し、
前記人体の顔、目、首筋、膝、肘、足首、足裏用の前記固定部に、前記巻付け部延長バンドを接続することにより腹や腰に巻き付けられることを特徴とする請求項1〜7に記載の保温可能な湿タオル保持具。

【請求項9】
温度センサーと、温度センサーコントロール部と、を有し、
前記温度センサーが前記湿タオルの温度を測定し、該温度が予め設定された温度を満たさないと前記温度センサーコントロール部が判定した場合、使用者に通報する機能を持つことを特徴とする請求項1〜8に記載の保温可能な湿タオル保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−16551(P2012−16551A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157385(P2010−157385)
【出願日】平成22年7月11日(2010.7.11)
【特許番号】特許第4663817号(P4663817)
【特許公報発行日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(304064377)
【Fターム(参考)】