説明

保留解除内線を指定できるボタン電話主装置

【課題】 ボタン電話主装置において複数の保留呼が存在した場合においても、ユーザが所望する保留呼に対して確実に保留解除が出来、かつ保留呼への応答間違いを防止することが出来るボタン電話主装置を提供する。
【解決手段】 複数の内線を収容するボタン電話主装置100において、前記内線と接続されている内線電話機300のいずれかが呼を保留と同時に該保留呼の解除を許可する内線を指定する操作が為された場合に、前記保留した呼と対応付けて前記保留解除許可する内線を保留解除管理テーブル記憶部106に登録し、保留解除要求があった場合に、当該内線が前記記憶部106に登録されているかを判定し、登録されていると判定した場合に当該保留中の呼を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の外線および内線を介して内線電話機を収容するボタン電話主装置に係り、特に保留機能を有するボタン電話主装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のボタン電話主装置において、外線と通話中の内線電話機により呼を保留した場合、内線電話機に設けられ上記通話外線と対応した外線ボタンのランプ表示を変化させ、当該呼が保留状態であることを示す機能が広く普及している。このようなボタン電話主装置では、保留呼が複数存在する場合、保留呼に応答すべきユーザが内線電話機の何れの外線ボタンが当該保留呼に対応するのか分からないという問題があった。これに対し、特許文献1では、保留に応答すべきユーザの情報を内線電話機の表示器に表示を行い、当該保留呼を識別可能とするボタン電話主装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2007−96869
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、保留解除を行うユーザの操作ミスにより、ユーザが所望しない保留呼に対して間違って応答してしまうという欠点があった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、ボタン電話主装置において複数の保留呼が存在した場合においても、ユーザが所望する保留呼に対して確実に保留解除が出来、かつ保留呼への応答間違いを防止することが出来るボタン電話主装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、1以上の外線および複数の内線を収容するボタン電話主装置において、呼を保留する保留手段と、保留した呼を解除する保留解除手段と、前記内線と接続されている内線電話機が呼を保留し且つ当該保留した呼の解除を許可する内線を指定する操作が為された場合に前記保留した呼と対応付けて前記保留解除許可する内線を登録する保留解除許可内線登録手段と、前記複数の内線のいずれかから保留解除要求を受信した場合に前記保留解除要求を受信した内線が前記保留解除許可内線登録手段に登録されているか否かを判定する許可内線判定手段と、を有し、前記保留解除手段は、前記許可内線判定手段が前記保留解除要求を受信した内線が前記保留解除許可内線登録手段に登録されていると判定したならば当該保留中の呼を解除し、登録されていないと判定したならば当該保留中の呼を解除しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、対象外の内線電話機が保留呼に応答することを防止することが可能なボタン電話主装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係る全体構成およびボタン電話主装置100の機能ブロック構成図である。
【図2】図2は、ボタン電話主装置100が保留解除管理テーブル記憶部106に記憶する保留解除管理テーブル400を模式的に表した図である。
【図3】図3は、内線電話機300−1、300−2、300−3への外線着信において、内線電話機300−1にて着信応答、保留後、保留解除が許可された内線電話機300−1、及び保留解除が許可されていない内線電話機300−3から保留解除を行った場合の動作を表すシーケンス図である。
【図4】図4は、内線電話機300−1により前記保留解除管理テーブル400の登録レコード4004を削除する場合の動作を表すシーケンス図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係るボタン電話主装置100の動作を表すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態に係る全体構成およびボタン電話主装置100のブロック構成図である。
【0011】
図1において、ボタン電話主装置100は中央制御部101、通話路スイッチ102、外線回路103、内線回路104、保留解除制御部105、保留解除管理テーブル記憶部106から構成される。
【0012】
中央制御部101はボタン電話主装置100の制御全般を行う。
【0013】
通話路スイッチ102は、外線と内線、外線相互、内線相互における通話路の形成と通話路接続情報を保持する。通話路スイッチ102は、中央制御部101の指示に応じて、外線回路103−1〜103−nおよび内線回路104−1〜104−nの接続、切替、および切断を行う。
【0014】
外線回路103は、公衆網200から収容する外線の回線数に応じて複数存在する。なお、本実施例では、公衆網200を電気通信事業者が提供する加入者回線として示すが、IP(Internet Protocol)電話回線等の通信事業者が提供する回線であってもよい。
【0015】
内線回路104は、内線電話機300を収容する内線の回線数に応じて複数存在する。なお、本実施例では、ボタン電話主装置100を構内交換機として、内線電話機300を構内交換機に収容される内線電話機として説明するが、IP(Internet Protocol)回線であってもよい。また、公衆網200および内線電話機300の接続は、有線による接続だけではなく、無線による接続であってもよい。
【0016】
保留解除制御部105は、保留解除管理テーブル記憶部106に記憶された保留解除管理テーブル400へのレコードの登録、消去と、及び内線電話機300−1〜300−nから保留解除要求を受け付けた場合の保留解除の許可、禁止の制御を行う。
【0017】
保留解除管理テーブル記憶部106は保留解除管理テーブルを保存する。図2を参照して保留解除管理テーブル400について説明する。
【0018】
図2は、ボタン電話主装置100が保留解除管理テーブル記憶部106に記憶する保留解除管理テーブル400を模式的に表した図である。
【0019】
保留解除管理テーブル400は、外線回路103毎にレコード4004が登録される。レコード4004は、外線番号のフィールド4001、着信応答電話機のフィールド4002、保留解除許可電話機のフィールド4003とから構成される。
【0020】
外線番号のフィールド4001は、保留を行った外線番号を登録する。
【0021】
着信応答電話機のフィールド4002は外線着信に対して着信応答を行った内線電話機の内線番号を登録する。
【0022】
保留解除許可電話機のフィールド4003は、保留解除が許可された内線電話機の内線番号を登録する。
【0023】
ここでレコード4004は、外線1に対して内線電話機300−1が着信に応答したことを示し、さらに、保留呼に対して保留解除が許可された内線電話機は内線電話機300−1と内線電話機300−2であることを示す。
【0024】
次に、図3、図4のシーケンス図を用いて、本発明のボタン電話主装置100及び内線電話機300―nの動作について説明する。
【0025】
図3は、ボタン電話主装置100が外線1より着信を受け付けた場合の動作を表し、内線電話機300−1にて着信応答し、呼を保留の後、前記保留解除管理テーブル400へレコード登録した場合において、保留解除が許可されていない内線電話機300−3から保留解除を行った場合と、保留解除が許可された内線電話機300−2から保留解除を行った場合の動作を表すシーケンス図である。
【0026】
外線1からボタン電話主装置100に対して外線着信があった場合(S100)、ボタン電話主装置100は内線電話機300−1、300−2、300−3へ外線着信通知を送信する(S101)。
【0027】
内線電話機300−1、300−2、300−3が外線着信中(S102)に、内線電話機300−1により着信応答した場合(S103)、内線電話機300−1はボタン電話主装置100に対して着信応答要求を送信する(S104)。
【0028】
着信応答要求を受けたボタン電話主装置100は、内線電話機300−1、300−2、300−3へ外線着信停止通知を送信(S105)するとともに、外線1と内線電話機300−1を外線通話状態とする(S106)。
【0029】
内線電話機300−1により保留を行った場合(S107)、内線電話機300−1はボタン電話主装置100へ保留要求のメッセージを送信する(S108)。保留要求のメッセージを受け取ったボタン電話主装置100は、外線1と内線電話機300−1を保留状態とする(S109)。
【0030】
その後、内線電話機300−1は、保留解除許可電話機の登録(S110)を受け付けると、レコード登録要求をボタン電話主装置100へ送信する(S111)。このレコード登録要求メッセージには外線通話中である外線番号と、保留解除を許可する内線電話機300の内線番号を含む。なお、ここでS110は内線電話機300−1を利用するユーザの入力により行ってもよいし、内線電話機300−1に具備された専用ボタンにより行ってもよい。また、前記保留解除許可電話機の登録(S110)は、前記S108のメッセージに含めて送信してもよい。
【0031】
レコード登録要求(S111)を受けたボタン電話主装置100の保留解除制御部105は、前記保留解除管理テーブル400に新たなレコードを生成し、外線1の着信に応答した内線番号300−1の内線番号をフィールド4002へ、前記レコード登録要求メッセージに含まれる外線番号、内線番号を取得して、フィールド4001、フィールド4003に対して登録を行う。(S112)
【0032】
以下、保留解除許可電話機として内線電話機300−2を登録したものとして説明する。 外線1と内線電話機300−1保留状態(S109)において、内線電話機300−3により保留解除を行った場合(S113)、内線電話機300−3はボタン電話主装置100へ自身の内線番号と保留解除を行う外線番号の情報を含んだ保留解除要求のメッセージを送信する(S114)。保留解除要求を受けたボタン電話主装置100は、メッセージ中から内線番号と外線番号を取り出し、前記保留解除管理テーブル400を検索してレコード4004を特定するとともに、フィールド4003の登録内容から保留解除が許可された内線電話機を照合する(S115)。
【0033】
照合(S115)の結果、内線電話機300−3は保留解除可能電話機としてフィールド4003へ登録されていないため、ボタン電話主装置100は内線電話機300−3へ保留解除禁止を通知して(S116)、内線電話機300−3からの保留解除を不可とする。
【0034】
前記同様、外線1と内線電話機300−1保留中において、内線電話機300−2により保留解除を行った場合(S117)、内線電話機300−2はボタン電話主装置100へ自身の内線番号と保留解除を行う外線番号の情報を含んだ保留解除要求のメッセージを送信する(S118)。保留解除要求を受けたボタン電話主装置100は、メッセージ中から内線番号と外線番号を取り出し、前記保留解除管理テーブル400からのレコードを特定するとともに、フィールド4003の登録内容から保留解除が許可された内線電話機を照合する(S119)。
【0035】
照合の結果、内線電話機300−2が保留解除許可電話機として登録されているため、ボタン電話主装置100は内線電話機300−2へ保留解除許可を通知して(S120)、内線電話機300−2からの保留解除を可能とする。保留解除許可の通知により、内線電話機300−2は外線1に対して保留解除が可能となり、外線1と内線電話機300−2は外線通話状態となる(S121)。
【0036】
その後、ボタン電話主装置100は、前記保留解除テーブル400からレコードを消去する(S122)。
【0037】
図4は、外線1と内線電話機300−1保留中において、内線電話機300−1により前記保留解除管理テーブルに登録されたレコード内容を削除する場合の動作を表すシーケンス図である。
【0038】
外線1と内線電話機300−1保留中(S300)、内線電話機300−1により保留解除を許可する内線電話機の内線番号の削除(S301)を受け付けると、ボタン電話主装置100へレコード削除要求(S302)を送信する。なお、ここでS301は内線電話機300−1を利用するユーザの入力により行ってもよいし、内線電話機300−1に具備された専用ボタンにより行ってもよい。
【0039】
レコード削除要求(S302)を受け付けたボタン電話主装置100は、内線電話機300−1により登録された前記保留解除管理テーブル400のレコードを削除する。(S303)
【0040】
次に、図5のフローチャート図を用いてボタン電話主装置100の動作について説明する。
公衆網200より外線着信が有った場合(S400のYES)、ボタン電話主装置100は着信対象の内線電話機300−nへ外線着信の通知を行い(S401)、着信対象の内線電話機300−nの応答を監視する(S402)。
【0041】
着信対象の内線電話機300−nが応答しない場合(S402のNO)、外線着信の終了を監視し(S404)、外線着信の終了により(S404のYES)処理を終了する。S402のNOの場合には、再度、内線電話機300−nの応答を監視する。
【0042】
着信対象の内線電話機300−nが応答した場合(S402のYES)、着信対象の内線電話機300−nへ外線着信停止通知を送信(S403)して、着信外線と内線電話機300−nの通話CHを接続する(S405)。S405により着信外線と、内線電話機300−nは通話中となる。
【0043】
S405の後、ボタン電話主装置100は通話外線の終話を監視する(S406)。監視の結果、外線終話ありの場合(S406のYES)、処理を終了する。
【0044】
外線終話なしの場合(S406のNO)、内線電話機300−nからの保留要求を監視し(S407)、保留要求なしの場合(S407のNO)は再度通話外線の終話を監視する。保留要求あり(S407のYES)の場合には、外線を保留状態(S408)とする。
【0045】
S408の後、着信対象の内線電話機300−nからの保留解除管理テーブルへのレコード登録要求の有無を監視する(S409)。監視の結果、レコード登録要求なしの場合(S419のNO)には、処理を終了する。レコード登録要求ありの場合(S409のYES)には、レコード登録要求メッセージに含まれる外線番号、保留解除許可内線電話機の内線番号を取得し(S410)、前記保留解除管理テーブル400へ登録する(S411)。
【0046】
前記保留解除管理テーブル登録(S411)の後、内線電話機300−nより保留解除要求ありの場合(S412のYES)、保留解除要求メッセージに含まれる内線番号(S413)、外線番号(S415)を取得して、前記保留解除管理テーブルの検索を行う(S416)。保留解除要求なしの場合(S412のNO)には、レコード削除要求の監視(S414)を行い、レコード削除要求ありの場合(S414のYES)には、前記保留解除管理テーブルからレコードを削除(S421)して処理を終了する。レコード削除要求なしの場合(S414のNO)、再度、保留解除要求の監視(S412)を行う。
【0047】
前記保留解除管理テーブル検索(S416)の結果、登録なしの場合(S417のNO)、保留解除要求を行った内線電話機300−nに対して保留解除禁止を通知(S422)する。S422により、保留解除要求を行った内線電話機300−nの保留解除は不可となる。登録ありの場合(S417のYES)には、引き続き保留解除要求を行った内線電話機300−nが、保留解除が許可されているかどうかの判定を行う(S418)。
【0048】
S418の結果、保留解除が許可されていない場合(S418のNO)、前記同様にS422を経て処理を終了する。保留解除が許可されている場合(S418のYES)には、内線電話機300−nへ保留解除許可を通知(S419)する。
【0049】
保留解除許可の通知後(S419)、外線と保留解除電話機を外線通話状態(S420)とし、保留解除管理テーブルから登録レコードを削除(S421)して、処理を終了する。
【符号の説明】
【0050】
100・・・・・ボタン電話主装置
101・・・・・中央制御部
102・・・・・通話路スイッチ
103・・・・・外線回路(外線1‐n)
104・・・・・内線回路(内線1‐n)
105・・・・・保留解除制御部
106・・・・・保留解除管理テーブル記憶部
200・・・・・公衆網
300・・・・・内線電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の外線および複数の内線を収容するボタン電話主装置において、
呼を保留する保留手段と、保留した呼を解除する保留解除手段と、前記内線と接続されている内線電話機が呼を保留し且つ当該保留した呼の解除を許可する内線を指定する操作が為された場合に前記保留した呼と対応付けて前記保留解除許可する内線を登録する保留解除許可内線登録手段と、前記複数の内線のいずれかから保留解除要求を受信した場合に前記保留解除要求を受信した内線が前記保留解除許可内線登録手段に登録されているか否かを判定する許可内線判定手段と、を有し、
前記保留解除手段は、前記許可内線判定手段が前記保留解除要求を受信した内線が前記保留解除許可内線登録手段に登録されていると判定したならば当該保留中の呼を解除し、登録されていないと判定したならば当該保留中の呼を解除しないことを特徴とする保留解除内線を指定できるボタン電話主装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−209607(P2012−209607A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71298(P2011−71298)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】