説明

保護カバー、及び保護カバー装置

【課題】
配線・配管材を二段配管できる保護カバーの提供である。
【解決手段】
壁面Kに固定される基台V1 と、当該基台V1 に組付けられて、当該基台V1 との組付けにより配管材P1 〜P4 の収容空間を形成する蓋体L1 とから成る長尺状の保護カバーC1 であって、前記基台V1 は、配管材P1 ,P2 を保持する第1保持部1と、当該第1保持部1で保持された配管材P1 ,P2 に対して前記壁面Kと反対側に配管材P3 ,P4 を収容する第2保持部11とを備え、前記基台V1 は、前記各配管材P1 〜P4 を前記壁面Kに沿った方向に並列配管する場合よりも狭い幅を有していて、二段配管が可能な構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に固定される基台と、当該基台に組付けられて、当該基台との組付けにより配線・配管材の収容空間を形成する蓋体とから成る長尺状の保護カバー、及び保護カバー装置に関するものであり、更に詳しくは、前記壁面に対して垂直な方向に沿って配線・配管材を二段配管できる保護カバー、及び保護カバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記した保護カバーの本来的な構造は、単に1本の配線・配管材を収容するものであった。その後に、例えば、浴槽に対する給水・給湯を可能にするために、給水管及び給湯管の2本の配管が必要となり、当該2本の管を並列配管させて収容保持可能にするための保護カバー(以下、「並列型保護カバー」と略す)が出現した(特許文献1)。
【0003】
また、給湯設備を備えた浴槽設備において、追焚きを可能にする要望があり、この場合には、浴槽と給湯設備との間を更に別の2本の管(1本は、浴槽内の湯を給湯設備に戻す配管であり、他の1本は、給湯設備で加温された湯を浴槽に戻す配管である)で接続する必要がある。
【0004】
この場合には、給水管と給湯管とが纏めて収容された一つの保護カバーが壁面に設置されており、この状態で、浴槽と給湯設備とを接続する追焚き用の別の2本の管を配管する必要があるが、「並列型保護カバー」を別に設置するスペースがない場合がある。仮に、当該スペースが残っているとしても、既設の「並列型保護カバー」とは別に、新設の「並列型保護カバー」を設置することは、外観の点で見栄えが悪くなる。なお、追焚き用の2本の管の配管工事は、リフォーム工事で行われることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4−109290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、壁面に対して垂直な方向に沿って配線・配管材を二段配管できる保護カバー、及び保護カバー装置の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、壁面に固定される基台と、当該基台に組付けられて、当該基台との組付けにより配線・配管材の収容空間を形成する蓋体とから成る長尺状の保護カバーであって、前記基台は、第1配線・配管材を保持する第1保持部と、当該第1保持部で保持された第1配線・配管材に対して前記壁面と反対側に第2配線・配管材を保持する第2保持部とを備え、前記基台は、前記第1及び第2の各配線・配管材を前記壁面に沿った方向に並列配管する場合よりも狭い幅を有していて、二段配管が可能であることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、蓋体が組み付けられることにより内部に配線・配管材の収容空間を形成する基台には、第1配線・配管材を保持する第1保持部と、当該第1保持部で保持された第1配線・配管材に対して前記壁面と反対側に第2配線・配管材を保持する第2保持部とを備えているために、当該壁面に対して配線・配管材を二段配管して収容保持することが可能となる。この結果、配線・配管材の1本当たりの壁面の占有面積を小さくできて、従来の並列型保護カバーの設置幅を有していない狭幅な部分においても、二段配管により2本の配線・配管材が配置可能となる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1及び第2の各保持部は、それぞれ別の開口を備えていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明によれば、第1及び第2の各保持部にそれぞれ保持される第1及び第2の各配線・配管材を個別に収容できるので、配線・配管の制約が少なくなる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記第2保持部は、基台とは別体の保持具に設けられて、当該保持具は、前記基台又は前記第1保持部に保持された第1配線・配管材に取着される取着部を備えていることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明によれば、基台の第1保持部に第1配線・配管材を保持させて配管した後に、基台、又は当該基台の第1保持部に保持された第1配線・配管材に対して保持具を取着させて、当該保持具に設けられた第2保持部により第2配線・配管材が二段配管状態となって保持される。このように、基台が固定される壁面に対して上段となる第2保持部は、保持具に設けられているために、基台の構成が簡単になると共に、配管方向に沿って保持具を断続的に配置しても、第2保持部が形成可能となって、保持具の配置ピッチを自在に変えられる。なお、配線・配管材の二段配管が必要な場合にのみ保持具を使用して、保持具を使用しないことにより、配線・配管材の単管配置又は並列配管が可能となる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記保持具は、自身のみで配線・配管材を保持可能であることを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明によれば、保持具は、自身で配線・配管材を保持できるので、基台又は当該基台の第1保持部に保持された第1配線・配管材に対して保持具を取着させる前に、当該保持具に対して第2配線・配管材を保持させ、この保持状態で当該保持具を前記基台又は当該基台に保持された第1配線・配管材に対して取着させることが可能となる。このため、上段に配置される第2配線・配管材の配線・配管が容易となる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記第1保持部の開口は、上段となる第2保持部の側を向いていることを特徴としている。
【0016】
請求項5の発明によれば、上段の第2保持部に保持された配線・配管材によって、下段の第1保持部に保持された配線・配管材が抜け出るのを防止できる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項3ないし5のいずれかの発明において、前記保持具に設けられた上段の第2保持部の開口は、当該保持具の取着状態において下段の第1配線・配管材の側を向いていることを特徴としている。
【0018】
請求項6の発明によれば、保持具の第2保持部に第2配線・配管材を保持させることにより、当該第2配線・配管材が抜け出るのを防止できる。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記第1保持部は、2本の配線・配管材を壁面に沿った方向に並列配管させて保持可能であることを特徴としている。
【0020】
請求項7の発明によれば、基台の第1保持部は、2本の配線・配管材を壁面に沿った方向に並列配管させて保持可能であって、当該第1保持部の上段に形成される第2保持部においても、2本の配線・配管材を並列配管できて、2本の配線・配管材を並列配管可能な幅を有する基台に対して計4本の配線・配管材を収容配置できる。
【0021】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記保持具の取着部は、壁面に沿った方向に並列配管された2つの第1保持部の間に差し込まれて取着可能であることを特徴としている。
【0022】
請求項8の発明によれば、基台に並列配管された2つの第1保持部の間に保持具の取着部を単に差し込むのみで、当該基台に対して保持具が取着可能であるために、基台に対する保持具の取着操作が容易となって、3本を超える配線・配管材を並列二段配管して行う配線・配管作業を迅速に行えると共に、基台に対する保持具の取着位置の変更も容易となる。
【0023】
請求項9の発明は、請求項7又は8の発明において、上段となる前記保持具の第2保持部は、2本の配線・配管材を壁面の方向に沿って並列保持可能であって、当該保持具の取着部は、当該2本の配線・配管材の間に配置されていることを特徴としている。
【0024】
請求項9の発明によれば、上下の各段は、いずれも配線・配管材を並列配管して保持できて、2本の配線・配管材を並列配管できる幅を有する基台の使用によって、計4本の配線・配管材を配線・配管できる。また、2本の配線・配管材を並列配管できる上段の第2保持部を形成している保持具の取着部は、当該2本の配線・配管材の間に設けられているために、第2保持部に並列配管して保持された2本の配線・配管材を安定して保持できる。
【0025】
請求項10の発明は、請求項3に記載の保護カバーと、前記保持具を基台に対して取着していない状態で当該基台に組み付けられて、当該基台との組付けにより、下段となる第1保持部に保持される配線・配管材のみが収容可能な収容空間を形成する単段配管用の蓋体とを備えていることを特徴としている。
【0026】
請求項10の発明によれば、基台に保持具を取着して、当該基台に設けられた第1保持部、及び前記保持具に設けられた第2保持部に、それぞれ第1及び第2の各配線・配管材を保持させた状態で、前記基台に対して二段配管用の蓋体を組み付けることにより、2本の配線・配管材を二段配管できると共に、前記保持具を使用せずに、基台の第1保持部に第1配線・配管材を保持させた状態で、当該基台に対して単段配管用の蓋体を組み付けることにより、配線・配管材を単段配置して配線・配管できる。このため、基台に対して組み付けられる2種類の蓋体の選択と、保持具の使用の有無との組み合わせによって、同一の基台を使用して、目的に応じて配線・配管材の単段配管と二段配管とを自在に選択できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、蓋体が組み付けられることにより内部に配線・配管材の収容空間を形成する基台には、第1配線・配管材を保持する第1保持部と、当該第1保持部で保持された第1配線・配管材に対して壁面と反対側に第2配線・配管材を保持する第2保持部とを備えているために、当該壁面に対して配線・配管材を二段配管して収容することが可能となる。この結果、配線・配管材の1本当たりの壁面の占有面積を小さくできて、従来の並列型保護カバーの設置幅を有していない狭幅な部分においても、二段配管により2本の配線・配管材が配置可能となる。
【0028】
また、基台とは別体の保持具に第2保持部が設けられている構成では、基台の第1保持部に第1配線・配管材を保持させて配管した後に、基台、又は当該基台の第1保持部に保持された第1配線・配管材に対して保持具を取着させて、当該保持具に設けられた第2保持部により第2配線・配管材が二段配管状態となって保持される。このように、基台が固定される壁面に対して上段となる第2保持部は、保持具に設けられているために、基台の構成が簡単になると共に、配管方向に沿って保持具を断続的に配置しても、第2保持部が形成可能となって、保持具の配置ピッチを自在に変えられる。また、基台に対して保持具を取着していない状態で当該基台に組み付けられて、当該基台との組付けにより、下段となる第1保持部に保持される配線・配管材のみが収容可能な収容空間を形成する単段配管用の蓋体を備えている場合には、基台に対して組み付けられる2種類の蓋体の選択と、保持具の使用の有無との組み合わせによって、同一の基台を使用して、目的に応じて配線・配管材の単段配管と二段配管とを自在に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】4本の配管材P1 〜P4 を二段並列配管して収容保持可能な本発明の実施例1の保護カバーC1 の分解斜視図である。
【図2】同じく4本の配管材P1 〜P4 の収容保持状態の部分斜視図である。
【図3】(a),(b)は、それぞれ異なる方向から見た保持具S1 の斜視図である。
【図4】保護カバーC1 により4本の配管材P1 〜P4 を二段並列配管して収容保持する途中の状態の断面図である。
【図5】同じく収容保持された状態の断面図である。
【図6】2本の配管材P1 ,P3'を二段配管して収容保持可能な本発明の実施例2の保護カバーC2 の分解斜視図である。
【図7】(a),(b)は、それぞれ2本の配管材P1 ,P3'を保護カバーC2 に収容保持した状態において、長手方向に沿って異なる部分の断面図である。
【図8】2本の配管材P1 ,P3 を二段配管して収容保持可能な本発明の実施例3の保護カバーC3 の分解斜視図である。
【図9】(a),(b)は、それぞれ2本の配管材P1 ,P3 を二段配管した状態、及び蓋体L3 を組み付けた状態の断面図である。
【図10】(a),(b)は、それぞれ2本の配管材P1 ,P3'を二段配管できる本発明の実施例4の保護カバーC4 ,C4'の断面図である。
【図11】(a)は、本発明の実施例5の保護カバーC5 の保持具S5 の斜視図であり、(b)は、二段並列配管された4本の配管材P1 〜P4 が保護カバーC5 に収容保持された状態の断面図である。
【図12】(a)は、本発明の実施例6の保護カバーC6 の保持具S6 の斜視図であり、(b)は、二段並列配管された4本の配管材P1 〜P4 が保護カバーC6 に収容保持された状態の断面図である。
【図13】(a)は、本発明の実施例7の保護カバーC7 の保持具S7 の斜視図であり、(b)は、二段並列配管された3本の配管材P1 〜P3 が保護カバーC7 に収容保持された状態の断面図である。
【図14】(a),(b)は、それぞれ4本の配管材P1,P2,P3', P4'を二段並列配管できる本発明の実施例8の保護カバーC8 ,C8'の断面図である。
【図15】(a),(b),(c)は、それぞれ単段配管、及び二段配管における保護カバー装置C9,C9', C9'' の断面図である。
【図16】(a)は、保持具S10の斜視図であり、(b)は、単段配管、及び二段配管における保護カバー装置C10の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、複数の実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
最初に、図1ないし図5を参照して、本発明の実施例1の保護カバーC1 について説明し、その後に、当該保護カバーC1 を使用して4本の配管材P1 〜P4 を二段並列配管する際の配管方法について説明する。図1は、4本の配管材P1 〜P4 を二段並列配管して収容保持可能な本発明の実施例1の保護カバーC1 の分解斜視図であり、図2は、同じく4本の配管材P1 〜P4 の収容保持状態の部分斜視図であり、図3(a),(b)は、それぞれ異なる方向から見た保持具S1 の斜視図であり、図4は、保護カバーC1 により4本の配管材P1 〜P4 を二段並列配管して収容保持する途中の状態の断面図であり、図5は、同じく収容保持された状態の断面図である。なお、図示の配管例では、壁表において各配管材P1 〜P4 が90°だけ屈曲され、しかも壁表から壁裏に向けて配管されている部分を示しており、壁表の屈曲部、及び壁裏への屈曲部において、それぞれ付属保護カバーC01,C02が使用されるが、本発明の特徴部は、付属保護カバーC01,C02の部分ではなくて、直状の保護カバーC1 の部分に存在する。よって、直状の保護カバーC1 について詳述し、付属保護カバーC01,C02の記述は、必要最小限に止める。
【0032】
直状の保護カバーC1 は、本管を構成する給水管及び給湯管である2本の配管材P1 ,P2 を並列配管して収容可能な基台V1 と、追焚用の2本の配管材P3 ,P4 を並列配管状態で保持可能であって、当該基台V1 に並列配管して設けられた各第1保持部1の各内壁外側板部3の間に差し込まれる差込板部13を備えた保持具S1 と、当該保持具S1 の使用により二段並列配管された計4本の配管材P1 〜P4 を覆った状態で、前記基台V1 に組み付けられる蓋体L1 とから成る。
【0033】
保護カバーC1 の基台V1 は、2本の配管材P1 ,P2 を並列配管して保持可能な左右一対の第1保持部1が基台本体部2に設けられた構成である。第1保持部1は、外壁部W1aと内壁部W1bとによって形成される。また、内壁部W1bは、二重壁構造となっていて、基台本体部2に一体に設けられた内壁外側板部3と、当該内壁外側板部3の先端部に連結板部4を介し接続された内壁本体部5とで構成され、当該内壁本体部5は、収容保持する配管材P1 ,P2 の外周面に倣っている。即ち、内壁本体部5の横断面形状は、収容保持する配管材P1 ,P2 の外径に対応する円弧状をなしていて、収容保持された配管材P1 ,P2 を連続して密着させる部分を有する。これに対して、外壁部W1aは、高さ方向の中央部よりも僅かに基台本体部2の側にずれた部分に、内壁部W1bと協働して保持される配管材P1 ,P2 を斜下方から保持する弾性変形可能な保持片6が設けられ、配管材P1 ,P2 は、外壁部W1aの先端部と、当該外壁部W1aに一体に設けられた前記保持片6と、前記内壁本体部5とで保持される。基台V1 の各第1保持部1の開口7は、当該基台V1 に保持具S1 を取着した状態において、当該保持具S1 の第2保持部11の側を向いている。また、基台V1 の左右一対の第1保持部1を構成する各外壁部W1aの基端部と基台本体部2との間には、当該基台V1 に対して蓋体L1 の組み付けを可能にするための嵌合溝8が設けられている。
【0034】
また、基台V1 の各第1保持部1を形成する各内壁外側板部3は、前記保持具S1 の差込板部13が挿入可能な間隔をおいて対向配置されていて、当該内壁外側板部3を形成する起立部3aには、差し込まれた前記保持具S1 の差込板部13が抜け出るのを防止する複数本の抜出防止突条17が配管方向(直状の保護カバーC1 の長手方向)に沿って設けられている。
【0035】
保持具S1 は、追焚用の2本の配管材P3 ,P4 を並列配管させて保持可能な左右一対の第2保持部11を備えている。第2保持部11は、配管材P3 ,P4 の外径に対応する内径の円筒体の周方向の一部を欠落させて、弾性変形可能な構造になっていて、連結体部12を介して一体に連結され、当該連結体部12の幅方向の中央部における一対の第2保持部11が設けられた側と反対の側には、差込板部13が一体に設けられている。保持具S1 は、当該差込板部13の延長線に対して対称な形状になっていて、一対の第2保持部11の各開口14は、当該保持具S1 が前記差込板部13を介して基台V1 に取着された状態で、第1保持部1の側(基台本体部2の側)を向いている。差込板部13の先端部は、他の一般部、及び基台V1 の各内壁外側板部3の間隔よりも幅広に形成されていると共に、幅方向の中央部に弾性変形を助けるための溝15が形成された抜出防止部16が形成されており、差込板部13の両側面には、複数の抜出防止突条17が形成されている。また、左右一対の第2保持部11は、空間部を介して左右に並列配管され、長手方向の中央部において部分的に互いに直交する連結板部18,19により連結されていて、当該連結板部18は、保持具S1 の差込板部13を基台V1 の各内壁外側板部3の間に押し込んで差し込む際に押込み力を作用させられる部分として有効に機能する。
【0036】
蓋体L1 は、図4及び図5に示されるように、左右一対の第1保持部1に2本の配管材P1 ,P2 が収容保持された基台V1 に対して左右一対の第2保持部11に2本の配管材P1 ,P2 が収容保持された保持具S1 を差込板部13を介して前記基台V1 に取着させて、当該基台V1 に二段並列状態で保持された計4本の配管材P1 〜P4 を覆って、当該基台V1 に組み付けられる部材である。蓋体L1 は、相対向する各側板部21が天板部22で連結されて、各側板部21の内側面における開口に臨む部分には、基台V1 の嵌合溝8に対して嵌合可能な嵌合突部23が形成された構成である。また、蓋体L1 の各側板部21及び天板部22の内側面には、連続して断熱材24が配置されていて、断面視において当該断熱材24の両端部は、前記嵌合突部23を内方に突設させることにより形成される収容凹部23a内に挿入されている。
【0037】
次に、図1〜図5を参照して、上記した直状の保護カバーC1 を使用して、計4本の配管材P1 〜P4 を二段並列配管する場合について説明する。壁面Kには、保護カバーC1 の各基台V1 が直交配置されて、各基台V1 は、直交接続部において付属保護カバーC01の基台V01を介して接続されると共に、壁貫通部に近い側の基台V1 には、壁貫通用の付属保護カバーC02の基台V02が接続されて、各基台V1 ,V01,V02は、いずれも壁面Kに固定される。図1に示されるように、本管である各配管材P1 ,P2 の屈曲部及び壁貫通部は、それぞれエルボ101,102で接続されている。全く同様に、追焚用の配管材P3 ,P4 の屈曲部及び壁貫通部は、それぞれエルボ103,104で接続されている。そして、追焚用の配管材P3 ,P4 に関しては、保持具S1 を基台V1 に取着させる前に、当該保持具S1 に設けられた左右一対の第2保持部11を弾性変形させることにより、当該一対の第2保持部11に配管材P3 ,P4 が部分的に収容保持されて、互いに連結されている。
【0038】
最初に、エルボ101,102を介して連結された配管材P1 ,P2 を、それぞれ壁面Kに固定された基台V1 の各第1保持部1の開口7から内部に押し込むと、当該第1保持部1を構成する外壁部W1a及び内壁部W1bがそれぞれ弾性変形することにより、前記開口7が拡開されて、当該外壁部W1a及び内壁部W1bで囲まれる空間部に配管材P1 ,P2 が収容されて、当該外壁部W1a及び内壁部W1bの各先端部、並びに保持片6が当該配管材P1 ,P2 の外周面に対して斜上方及び斜下方から弾接して、左右一対の第1保持部1に配管材P1 ,P2 が並列配管状態で保持される。
【0039】
次に、配管材P3 ,P4 の長手方向の一部が左右一対の第2保持部11に部分保持されることにより、当該配管材P3 ,P4 を互いに連結している保持具S1 の差込板部13を、基台V1 の左右一対の第1保持部1を形成する各内壁外側板部3の間の隙間に挿入させると、当該隙間を通過する際には、左右一対の外壁部W1aの各内壁外側板部3が弾性変形して、当該各内壁外側板部3の間隔が拡げられることにより、前記差込板部13の先端の抜出防止部16の通過を許容し、当該抜出防止部16の通過後に、元の幅に復元することにより、基台V1 に対して保持具S1 は容易には抜け出なくなる。なお、外壁部W1aの内壁外側板部3の弾性変形の程度によっては、前記差込板部13の先端の抜出防止部16の変形溝15の幅が狭められることと協働して、当該抜出防止部16の通過を許容する。基台V1 の各内壁外側板部3の間の隙間に対する保持具S1 の差込板部13の挿入は、当該保持具S1 の連結板部18の部分に力を加えて押し込むことにより、容易に行える。これにより、図2及び図5に示されるように、基台V1 に対して計4本の配管材P1 〜P4 が二段並列状態となって配管され、しかも当該配管状態において、基台V1 の第1保持部1の開口7と、保持具S1 の第2保持部11の開口14とは、互いに対向する関係になるために、配管後には、各配管材P1 〜P4 は、いずれも抜け出しが不能となる。よって、配管作業を安定して行える。また、基台V1 の各内壁外側板部3の間の隙間に保持具S1 の差込板部13を差し込むことにより、各第1保持部1の内壁部W1bは、配管材P1 ,P2 の側に弾性変形させられるので、各第1保持部1による配管材P1 ,P2 の保持が一層確実となる。また、保持具S1 の連結体部12は、左右の各第1保持部1の内壁部W1bを構成する内壁外側板部3と内壁本体部5とを連結する各連結板部4の上面に載せられた状態で、各内壁本体部5の先端部の間に配置されるので、内壁部W1bによる配管材P1 ,P2 の保持には影響を与えない。最後に、保護カバーC1 の基台V1 に対して蓋体L1 を組み付けた後に、各蓋体L1 の直交接続部に付属保護カバーC01の蓋体L01を覆蓋させると共に、付属保護カバーC02の基台V02に対して蓋体L02を組み付ける。
【0040】
そして、図5に示されるように、保護カバーC1 の幅Uは、計4本の配線・配管材P1 〜P4 を並列配管する幅よりも遥かに狭くなっている。よって、「並列型保護カバー」により、2本の配線・配管材P1 ,P2 を並列配管させるスペースさえあれば、計4本の配線・配管材P1 〜P4 を並列配管させるスペースがない場合においても、二段配管により、計4本の配線・配管材P1 〜P4 を配管させられる。
【実施例2】
【0041】
次に、図6及び図7を参照して、本発明の実施例2の保護カバーC2 について説明する。図6は、2本の配管材P1 ,P3'を二段配管して収容保持可能な本発明の実施例2の保護カバーC2 の分解斜視図であり、図7(a),(b)は、それぞれ2本の配管材P1 ,P3'を保護カバーC2 に収容保持した状態において、長手方向に沿って異なる部分の断面図である。保護カバーC2 は、長手方向の一部において保持壁部33の対向部が欠落された基台V2 と、別の配管材P3'が保持可能であって、前記基台V2 に保持された配管材P1 に取着される保持具S2 と、前記基台V2 に対して組み付けられる蓋体L2 とから成る。
【0042】
基台V2 は、基台本体部31に対して第1保持部32を構成する左右一対の保持壁部33が一体に設けられて、各保持壁部33には、長手方向に沿って所定間隔をおいて欠落部34が形成され、各保持壁部33の先端部の間に配管材P1 を挿入する開口35が形成され、当該一対の保持壁部33の基端部と基台本体部31との間に嵌合溝36が形成された構成である。保持具S2 は、2つのリング体が周方向の一部で一体に連結されて、各リング体における当該連結部37と対向する部分が、配管材P1 ,P3'を収容可能な大きさに欠落されて開口38a,38bがそれぞれ形成されていて、周方向の一部が欠落された前記リング体は、それぞれ配管材嵌着部39及び第2保持部41となっている。蓋体L2 は、基台V2 に組み付けられて、二段配管された2本の配管材P1 ,P3'を収容可能な空間部を形成すべく、所定間隔をおいて対向配置された各側板部42が天板部43で連結された構成であり、各側板部42の内側面における開口に臨む部分に嵌合突部44が形成されている。
【0043】
そして、基台V2 の第1保持部32に配管材P1 を収容保持した状態で、当該配管材P1 における各保持壁部33の欠落部34の部分に保持具S2 の配管材嵌着部39を嵌着させる。その後に、保持具S2 の第2保持部41に別の配管材P3'を嵌着させて保持させる。なお、保持具S2 の第2保持部41に別の配管材P3'を嵌着保持させた状態で、当該保持具S2 の配管材嵌着部39を、基台V2 に保持された配管材P1 に嵌着させてもよい。最後に、基台V2 に対して蓋体L2 を組み付けると、当該組付けにより形成された空間部に、保持具S2 を介して二段配管された2本の配管材P1 ,P3'が収容される。
【実施例3】
【0044】
次に、図8及び図9を参照にして、本発明の実施例3の保護カバーC3 について説明する。図8は、2本の配管材P1 ,P3 を二段配管して収容保持可能な本発明の実施例3の保護カバーC3 の分解斜視図であり、図9(a),(b)は、それぞれ2本の配管材P1 ,P3 を二段配管した状態、及び蓋体L3 を組み付けた状態の断面図である。なお、保護カバーC3 を構成する基台V3 は、前記保護カバーC2 の基台V2 に対して一部が異なるのみであり、蓋体L3 は、前記保護カバーC2 の蓋体L2 と同一であるため、同一部分には同一又は同等の符号を使用する。保護カバーC3 は、第1保持部32’を形成していて、先端部に外方にわん曲された基台側引掛け部33a’が設けられた保持壁部33’を備えた基台V3 と、断面形状が逆U字状をなしている第2保持部45の各先端部に保持具側引掛け部46が形成された保持具S3 と、蓋体L3 とから成る。保持具S3 は、断面逆U字状をなしていて、その内部空間に上段の配管材P3 が収容保持される構成であって、全体が当該配管材P3 を保持する第2保持部45となっていると共に、上段の配管材P3 を挿入する開口47を備えている。
【0045】
基台V3 の第1保持部32’に配管材P1 を保持させた後に、当該配管材P1 に対して上段の配管材P3 を二段配管させておいて、配管材P3 を保持具S3 で覆った状態で、当該保持具S3 の開口を拡開させた後に開放することにより、基台V3 の基台側引掛け部33a’と保持具S3 の保持具側引掛け部46とを互いに引っ掛けると、基台V3 に対して上段の配管材P3 が保持される。その後に、基台V3 に対して蓋体L3 を組み付けると、2本の配管材P1 ,P3 が二段配管状態で、基台V3 と蓋体L3 との組み付けにより形成される空間部に収容保持される。
【実施例4】
【0046】
次に、図10を参照して、本発明の実施例4の保護カバーC4 ,C4'について説明する。図10(a),(b)は、それぞれ2本の配管材P1 ,P3'を二段配管できる本発明の実施例4の保護カバーC4 ,C4'の断面図である。上記した保護カバーC1 〜C3 は、いずれも保持具S1 〜S3 を使用して、配管材を二段配管可能にしたものであって、当該保持具S1 〜S3 に第2保持部11,41,45が設けられていて、基台V1 〜V3 の第1保持部1,32,32’に保持される配管材の上方に配管される別の配管材を保持可能にしたものである。これに対して、保護カバーC4 ,C4'の第2保持部55,55’は、基台V4 ,V4'に一体に設けられている点が上記保護カバーC1 〜C3 と異なる。なお、保護カバーC4 ,C4'を構成する蓋体L4 は、保護カバーC3 の蓋体L3 と同一である。
【0047】
図10(a)に示される保護カバーC4 は、基台本体部51に、側方を向いた開口52を有する第1保持部53が一体に形成され、当該第1保持部53の上方に、反対の側方を向いた開口54を有する第2保持部55が一体に設けられている。第1保持部53は、基台本体部51とで周方向の一部が欠落されて開口52となった構成であって、基台本体部51を除く部分が弾性変形することにより、側方を向いた開口52から配管材P1 を収容可能となっている。第2保持部55は、円筒体の周方向の一部が欠落されることにより、前記開口52と反対の側方を向いた開口54が形成されて、当該開口54が拡開されるように、円筒体の全体が弾性変形して、内部に配管材P2 を収容可能にしている。保護カバーC4 の基台V4 に設けられた第1及び第2の各保持部53,55の各開口52,54が互いに反対の側方を向いているが、保護カバーC4'の基台V4'に設けられた第1及び第2の各保持部53,55’の各開口52,54’は、同一の側方を向いており、この点が保護カバーC4 ,C4'の唯一の相違点である。
【0048】
上記した各保護カバーC4 ,C4'は、いずれも第1及び第2の各保持部53,55(55’)がいずれも基台V4 に一体に設けられていて、しかも第1及び第2の各保持部53,55(55’)の各開口52,54(54’)は、いずれも側方を向いているために、配管材P1 ,P3'を二段配管する場合に、上下のいずれの段を先に配管するための制約のない利点がある。
【0049】
また、実施例1の保護カバーC1 は、4本の配管材P1 〜P4 を二段並列配管する場合において、下段の第1保持部1の開口7と、保持具S1 に形成された上段の第2保持部11の開口14とが対向配置された構成であって、配管後において、4本の配管材P1 〜P4 のいずれもが抜け出ない利点がある。しかし、第5〜第7の各実施例の保護カバーC5 〜C7 によっても、4本又は3本の配管材P1 〜P4 を二段並列配管でき、更に、第8実施例の保護カバーC8 ,C8'によれば、保持具を使用せずに、4本の配管材P1,P2,P3', P4'を二段並列配管できる。以下、第5〜第8の各実施例の保護カバーC5 〜C8 ,C8'について順次説明する。
【実施例5】
【0050】
次に、図11を参照して、本発明の実施例5の保護カバーC5 について説明する。図11(a)は、本発明の実施例5の保護カバーC5 の保持具S5 の斜視図であり、同(b)は、二段並列配管された4本の配管材P1 〜P4 が保護カバーC5 に収容保持された状態の断面図である。なお、保護カバーC5 を構成する基台V5 及び蓋体L5 は、いずれも前記保護カバーC1 を構成する基台V1 及び蓋体L1 と同一であるので、当該基台V1 及び蓋体L1 の各部分に使用した符号と同一符号を使用し、重複説明を回避して図示のみ行う。保護カバーC5 は、基台V5 と、当該基台V5 に組み付けられる蓋体L5 と、当該基台V5 に取着される保持具S5 とから成る。保持具S5 は、上段に配管される2本の配管材P3 ,P4 を保持する左右一対の第2保持部61が一体に連結されて、当該連結部に差込板部62が前記第2保持部61と反対側に設けられて、当該差込板部62の延長線に対して前記一対の第2保持部61が対称配置された構成である。一対の第2保持部61は、円筒体の周方向の一部を欠落させて、配管材P3 ,P4 を嵌入させる開口63が形成された構成であって、当該開口63は、基台V5 に設けられた一対の第1保持部1の開口7と同一の方向である壁面Kと反対側を向いている。
【0051】
このため、基台V5 の一対の第1保持部1に配管材P1 ,P2 を収容保持した後に、一対の第2保持部61にそれぞれ配管材P3 ,P4 を収容保持させた状態の保持具S5 の差込板部62を、基台V5 の各内壁外側板部3の間に差し込むことにより、当該保持具S5 を基台V5 に取着させると、基台V5 に対して4本の配管材P1 〜P4 が二段並列配管される。また、保持具S5 の一対の第2保持部61に形成された開口63は、壁面K又は基台本体部1と反対側を向いているので、上段の2本の配管材P3 ,P4 は、基台V5 に保持具S5 を取着させた後に、当該保持具S5 の各第2保持部61に収容保持させることもできる。基台V5 に対して計4本の配管材P1 〜P4 を上記のようにして二段並列配管した後に、当該基台V5 に対して蓋体L5 を組み付ける。
【実施例6】
【0052】
次に、図12を参照して、本発明の実施例6の保護カバーC6 について説明する。図12(a)は、本発明の実施例6の保護カバーC6 の保持具S6 の斜視図であり、同(b)は、二段並列配管された4本の配管材P1 〜P4 が保護カバーC6 に収容保持された状態の断面図である。保護カバーC6 は、左右一対の第1保持部72を備えた基台V6 と、当該基台V6 に組み付けられる蓋体L6 と、前記基台V6 に取着される保持具S6 とから成る。保護カバーC6 の保持具S6 は、保護カバーC5 の保持具S5 と同一である。基台V6 の基台本体部71には、断面円弧状をした左右一対の第1保持部72が一体に形成され、各第1保持部72の基端部を構成する起立板部72aが基台本体部71に対して垂直に起立して形成され、当該起立板部72aに断面円弧状をしていて、弾性変形可能な保持板部72bが連結されることにより、各第1保持部72の各開口73は、いずれも側方を向いている。蓋体L6 は、所定間隔をおいて対向配置された各側板部74が天板部75で連結されて、各側板部74の内側面における開口に臨む部分に、基台V6 の幅方向の両端部に形成された嵌合溝76に嵌合される嵌合突部77が形成された構成である。
【0053】
このため、基台V6 の第1保持部72の保持板部72bを弾性変形させることにより、第1保持部72の開口73を拡開させ、拡開状態の当該開口73から第1保持部72の内部に配管材P1 (P2 )を嵌め込んで保持させる。これにより、基台V6 の一対の第1保持部72に2本の配管材P1 ,P2 が並列配管される。その後に、基台V6 の各第1保持部72の各起立板部72aの間に、保持具S6 の差込板部62を差し込んで、当該保持具S6 を基台V6 に取着させる。この状態で、保持具S6 の各第2保持部61に上段の2本の配管材P3 ,P4 を保持させると、基台V6 に計4本の配管材P1 〜P4 が二段並列配管される。最後に、基台V6 に対して蓋体L6 を組み付ける。なお、配管材P3 ,P4 の配管に際しては、基台V6 に保持具S6 を取着させた後に、当該保持具S6 の各第2保持部61に配管材P3 ,P4 を保持させることが可能であるのは、前記保護カバーC5 と同様である。
【実施例7】
【0054】
次に、図13を参照して、本発明の実施例7の保護カバーC7 について説明する。図13(a)は、本発明の実施例7の保護カバーC7 の保持具S7 の斜視図であり、(b)は、二段並列配管された3本の配管材P1 〜P3 が保護カバーC7 に収容保持された状態の断面図である。なお、保護カバーC7 を構成する基台V7 及び蓋体L7 は、前記保護カバーC6 の基台C6 及び蓋体L6 と同一である。保護カバーC7 は、基台V7 と、蓋体L7 と、前記基台V7 に取着される保持具S7 とから成る。保持具S7 は、単一の第2保持部61に差込板部62が一体に設けられた構成である。保持具S7 は、差込板部62の延長線に対して対称であって、基台V7 に取着した状態で、第2保持部61の開口63は、壁面K或いは基台本体部71と反対側を向いている。
【0055】
このため、基台V7 の各第1保持部72に2本の配管材P1 ,P2 を並列配管させた後に、当該基台V7 の各第1保持部72の各起立板部72aの間に、保持具S7 の差込板部62を差し込んで、当該保持具S7 を基台V7 に取着させ、この状態で、当該保持具S7 の第2保持部61に配管材P3 を保持させると、下段の2本の配管材P1 ,P2 が並列配管された状態で、計3本の配管材P1 〜P3 が保持具S7 を介して二段配管される。
【実施例8】
【0056】
次に、図14を参照して、本発明の実施例8の保護カバーC8 について説明する。図14(a),(b)は、それぞれ4本の配管材P1,P2,P3', P4'を二段並列配管できる本発明の実施例8の保護カバーC8 ,C8'の断面図である。保護カバーC8 は、4本の配管材P1,P2,P3', P4'を二段並列配管できる一対の第1保持部72及び一対の第2保持部78を備えた基台V8 と、当該基台V8 に組み付けられる蓋体L8 とから成る。なお、蓋体L8 は、保護カバーC6 の蓋体L6 と同一である。基台本体部71に左右一対の第1保持部72が一体に設けられた構成は、前記保護カバーC6 の基台V6 と同一であって、当該一対の第1保持部72の直上に左右一対の第2保持部78がそれぞれ一体に連結されている。一対の第2保持部78は、互いに分離されていて、その開口79は、下段の一対の第1保持部72の開口73と同様に横方向を向いている。
【0057】
このため、基台V8 の一対の第1保持部72及び一対の第2保持部78に対して計4本の配管材P1,P2,P3', P4'を二段並列配管するには、各保持部72,78に対する配管材P1,P2,P3', P4'の保持(配管順序)は、全く制限なく行えるが、一般的には、下段の一対の第1保持部72に2本の配管材P1 ,P2 を保持させた後に、上段の一対の第2保持部78に残りの2本の配管材P3', P4'を保持させる。
【0058】
また、保護カバーC8'は、前記保護カバーC8 と全く同様に、4本の配管材P1,P2,P3', P4'を二段並列配管できるにもかかわらず、一対の第1保持部72’の基端部の起立板部が一体化されていると共に、一対の第2保持部78’が互いに連結されているために、上記した保護カバーC8 に対して基台V8'の幅を狭くできる利点がある。
【0059】
ここで、上記した「並列型保護カバー」を使用して、給水及び給湯用の2本の配管材が配管されている状態において、リフォームにより追焚用の2本の配管材を追加配管したい場合が発生する。この場合には、「並列型保護カバー」の基台を共用して、保持具、及び二段配管用の蓋体を別途使用することにより、上記した需要に対応可能となり、以下、単段配管から二段配管に変更する観点のみから、保護カバー装置C9 ,C9', C9'',C10について説明する。
【実施例9】
【0060】
最初に、図15を参照して、単段配管から二段配管への変更を可能とする本発明の実施例9の保護カバー装置C9 について説明する。図15(a)は、それぞれ単段配管、及び二段配管における保護カバー装置C9 を左右に配置した断面図である。なお、保護カバー装置C9 を構成する基台V9 及び蓋体L9bは、保護カバーC1 を構成する基台V1 及び蓋体L1 と同一であり、使用される保持具S9 は、保護カバーC5 を構成する保持具S5 と同一である。保護カバー装置C9 は、基台V9 と、二段配管状態で当該基台V9 に組み付けられる二段配管用の蓋体L9bと、単段配管状態で当該基台V9 に組み付けられる単段配管用の蓋体L9aと、二段配管時に使用される保持具S9 とから成る。なお、単段配管用の蓋体L9aは、二段配管用の蓋体L9bに対して高さのみが低くなった構成である。
【0061】
従って、図15(a)の左図に示されるように、2本の配管材P1 ,P2 が単段並列配管されている状態において、保持具S9 を使用すると、上段に別の2本の配管材P3 ,P4 を並列配管させて、全体として計4本の配管材P1 〜P4 を二段並列配管できる。この状態で、単段配管用の蓋体L9aに替えて、二段配管用の蓋体L9bを基台V9 に組み付けると、図15(a)の右図に示されるように、追焚用の2本の配管材P3 ,P4 が追加配管されて、二段並列配管された計4本の配管材P1 〜P4 が、基台V9 と蓋体L9bとで形成される収容空間内に収容保持される。
【0062】
また、保護カバー装置C9 は、壁面Kに設置した状態で、基台V9 の嵌合溝8及び蓋体L9a,L9bの嵌合突部23が当該壁面Kに近接した部分に配置されて、蓋体L9a,L9bの開口端面が当該壁面Kに近接する構成であるので、当該壁面Kとの間に殆ど隙間が発生しないために、見栄えがよいと共に、設置状態において、蓋体L9a,L9bの開口端面と壁面Kとの間にシーラントを施すことにより、保護カバー装置C9 の密閉が図られる利点がある。
【0063】
また、図15(b),(c)に示される各保護カバー装置C9' (C9'')は、前記保護カバー装置C9 に対して、基台V9' (V9'')と蓋体L9a',L9b'(L9a'', L9b'') との嵌合部の高さ位置が異なるのみである。図15(b),(c)において、8’(8'')は、基台V9' (V9'')に設けられた嵌合溝を示し、23’(23'')は、蓋体L9a',L9b'(L9a'', L9b'') に設けられた嵌合突部を示す。なお、図15は、断面図であるが、図面の煩雑化を回避するために断面表示していない。
【実施例10】
【0064】
また、図16に示される本発明の実施例10の保護カバー装置C10は、前記保護カバーC6 を構成する基台V6 及び蓋体L6 と同一構成の基台V10及び蓋体L10b と、当該基台V10に組み付けられる単段配管用の蓋体L10a と、保持具S10とから成る。
【0065】
保持具S10は、図16(a)に示されるように、両側方に開口81を有する一対の第2保持部82の反開口側の部分が一体に連結されて、一体連結された一対の第2保持部82の連結部に差込板部83が一体に連結されて、当該差込板部83に延長線に対して対称な形状となっている。また、単段配管用の蓋体L10a は、二段配管用の蓋体L10b に対して高さのみが低くなった構成である。このため、図16(b)に示されるように、基台V10に保持具S10を取着して、計4本の配管材P1 〜P4 を二段並列配管して、当該基台V10に対して二段配管用の蓋体L10b を組み付けることにより、基台V10を共用して、追焚用の2本の配管P3 ,P4 を追加配管できる。なお、保護カバー装置C10と前記保護カバー装置C9 とは、下段となる第1保持部72(1)の開口73(7)及び上段となる第2保持部82(61)の開口81(63)の各向きがそれぞれ異なる。なお、図16(b)は、断面図であるが、図面の煩雑化の回避のために断面表示していない。
【0066】
また、上記実施例1〜10では、いずれも下段の第1配線・配管材を収容保持するために第1保持部に設けられた開口と、上段の第2配線・配管材を収容保持するために第2保持部に設けられた開口とは、別に形成されていて、第1実施例のように、配線・配管状態において、第1及び第2の各配線・配管材の各開口が対向配置される場合には、第1及び第2の配線・配管材がいずれも抜け出ない利点を有している。しかし、第1及び第2の各配線・配管材の開口が共通した一つである場合も本発明に含まれる。具体的には、配線・配管材を保持するために基台に設けられる一対の壁部(保持片)を上段にまで達する高さとして、当該一対の壁部の各端部の間に単に一つの開口を形成することにより、二段配管される第1及び第2の各配線・配管材の収容空間部を連通させて、共通の一つの開口から二段配管される第1及び第2の各配線・配管材を順次挿入する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 〜C8 :保護カバー
9 ,C10:保護カバー装置
K:壁面
1 〜L8,L9b, L10b :(二段配管用の)蓋体
9a, L10a :(単段配管用の)蓋体
1 ,P2 :配管材(第1配線・配管材)
3 ,P4 :配管材(第2配線・配管材)
1 〜S3 ,S5 〜S7 ,S9 ,S10:保持具
1 〜V10:基台
1,32,53,72:第1保持部
11,41,45,55,61,78,82:第2保持部
13,62,83:保持具の差込板部(取着部)
7,35,52,73,82:(第1配線・配管材の)開口
14,38b,47,54,63,79,81:(第2配線・配管材の)開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定される基台と、当該基台に組付けられて、当該基台との組付けにより配線・配管材の収容空間を形成する蓋体と、から成る長尺状の保護カバーであって、
前記基台は、第1配線・配管材を保持する第1保持部と、当該第1保持部で保持された第1配線・配管材に対して前記壁面と反対側に第2配線・配管材を保持する第2保持部とを備え、
前記基台は、前記第1及び第2の各配線・配管材を前記壁面に沿った方向に並列配管する場合よりも狭い幅を有していて、二段配管が可能であることを特徴とする保護カバー。
【請求項2】
前記第1及び第2の各保持部は、それぞれ別の開口を備えていることを特徴とする請求項1に記載の保護カバー。
【請求項3】
前記第2保持部は、基台とは別体の保持具に設けられて、当該保持具は、前記基台又は前記第1保持部に保持された第1配線・配管材に取着される取着部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー。
【請求項4】
前記保持具は、自身のみで配線・配管材を保持可能であることを特徴とする請求項3に記載の保護カバー。
【請求項5】
前記第1保持部の開口は、上段となる第2保持部の側を向いていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の保護カバー。
【請求項6】
前記保持具に設けられた上段の第2保持部の開口は、当該保持具の取着状態において下段の第1配線・配管材の側を向いていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の保護カバー。
【請求項7】
前記第1保持部は、2本の配線・配管材を壁面に沿った方向に並列配管させて保持可能であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の保護カバー。
【請求項8】
前記保持具の取着部は、壁面に沿った方向に並列配管された2つの第1保持部の間に差し込まれて取着可能であることを特徴とする請求項7に記載の保護カバー。
【請求項9】
上段となる前記保持具の第2保持部は、2本の配線・配管材を壁面の方向に沿って並列保持可能であって、当該保持具の取着部は、当該2本の配線・配管材の間に配置されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の保護カバー。
【請求項10】
請求項3に記載の保護カバーと、
前記保持具を基台に対して取着していない状態で当該基台に組み付けられて、当該基台との組付けにより、下段となる第1保持部に保持される配線・配管材のみが収容可能な収容空間を形成する単段配管用の蓋体と、
を備えていることを特徴とする保護カバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−219966(P2012−219966A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88747(P2011−88747)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】