保護フィルム剥離装置
【課題】保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離するとともに、剥離後の保護フィルムを可及的に小形の形状にまとめ、周囲の装置へ付着しにくくして廃棄することのできる保護フィルム剥離装置を提供する。
【解決手段】保護フィルム剥離装置は、第1剥離手段と、第2剥離手段と、フィルム巻取り手段とを含み、第1および第2剥離手段は、保護フィルムのうち第1剥離手段によって剥離された第1部分と、保護フィルムのうち第2剥離手段によって剥離された第2部分との一部分を、粘着層を介して互いに接着させ、フィルム巻取り手段は、第1および第2剥離手段によって前記粘着層が接着された後に保護フィルムを巻取りながら剥離する。
【解決手段】保護フィルム剥離装置は、第1剥離手段と、第2剥離手段と、フィルム巻取り手段とを含み、第1および第2剥離手段は、保護フィルムのうち第1剥離手段によって剥離された第1部分と、保護フィルムのうち第2剥離手段によって剥離された第2部分との一部分を、粘着層を介して互いに接着させ、フィルム巻取り手段は、第1および第2剥離手段によって前記粘着層が接着された後に保護フィルムを巻取りながら剥離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶パネルなどの板状体において、その板状体の表面における微細な傷および塵埃などによる品位の低下を防止する必要がある場合には、表面を保護するための保護フィルムを貼着している。しかし、保護フィルムが必要でなくなった場合には、その表面から保護フィルムを剥離する必要がある。たとえば、液晶パネルを搭載する液晶テレビでは、液晶パネルを製造する工程においてはその表面に保護フィルムを貼着しているが、製品としての液晶テレビにおいては保護フィルムが不必要である。そこで、その表面から保護フィルムを剥離する工程が必ず存在する。このような保護フィルム剥離工程は、剥離装置によって自動化されている。(たとえば特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開平6−48633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、板状体から剥離された保護フィルムは、片面側に粘着性を有していることから、廃棄する際に、周囲の装置と接触して貼りつくことによる装置の停止が発生してしまうという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離するとともに、剥離後の保護フィルムを可及的に小形の形状にまとめ、周囲の装置へ付着しにくくして廃棄することのできる保護フィルム剥離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、厚み方向の一表面部に粘着性を有する粘着層が形成される保護フィルムが、その粘着層を介して一表面に貼着されている被貼着体から、前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置であって、
前記保護フィルムのうち前記被貼着体の前記一表面に沿う予め定める方向の一端部を保持して、前記被貼着体から前記保護フィルムのうち前記一端部を含む所定の範囲を剥離する第1剥離手段と、
前記保護フィルムの前記予め定める方向の他端部を保持して、前記被貼着体から前記保護フィルムのうち前記他端部を含む所定の範囲を剥離する第2剥離手段と、
前記保護フィルムを挟持する挟持部を有し、前記保護フィルムを前記挟持部によって挟持した状態で、前記挟持部を予め定める軸線まわりに回転駆動させて、前記保護フィルムを巻取るフィルム巻取り手段とを含み、
前記第1および第2剥離手段は、前記保護フィルムのうち前記第1剥離手段によって剥離された第1部分と、前記保護フィルムのうち前記第2剥離手段によって剥離された第2部分との一部分を、前記粘着層を介して互いに接着させ、
前記フィルム巻取り手段は、前記第1および第2剥離手段によって前記粘着層が接着された後に前記保護フィルムを巻取ることを特徴とする保護フィルム剥離装置である。
【0007】
また本発明は、前記第1および第2剥離手段は、
前記保護フィルムに接着して前記被貼着体から前記保護フィルムを巻取る剥離ローラと、
前記剥離ローラに対し近接および離間する方向に移動可能な可動体とを有し、
前記剥離ローラによって巻取られた保護フィルムに対し、前記可動体を移動させて、前記剥離ローラと前記可動体との間で挟むことによって、保護フィルムを保持することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記挟持部は、前記剥離ローラに設けられ、前記剥離ローラを回転駆動させることによって、回転駆動されることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記被貼着体の一部を載置可能な載置面を有し、載置された被貼着体を吸着することによって固定可能な複数の保持手段をさらに有することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記フィルム巻取り手段によって巻取られた保護フィルムをフィルム巻取り手段から受け取るフィルム受取手段をさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、保護フィルム剥離装置は、第1剥離手段と、第2剥離手段と、フィルム巻取り手段とを含み、第1および第2剥離手段は、保護フィルムのうち第1剥離手段によって剥離された第1部分と、保護フィルムのうち第2剥離手段によって剥離された第2部分との一部分を、粘着層を介して互いに接着させ、フィルム巻取り手段は、第1および第2剥離手段によって前記粘着層が接着された後に保護フィルムを巻取りながら剥離する。このとき、自らの粘着層によって粘着しながら巻取られていくので、保護フィルムを小形の筒状にまとめることができる。したがって、周囲の装置へ付着しにくくして廃棄することができるため、周囲の装置に付着することによる装置の停止の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態の保護フィルム剥離装置1を概略的に示す平面図である。本実施の形態の保護フィルム剥離装置1は、たとえば板状体である矩形状の液晶パネル11の表面にある偏光板の損傷を防ぐために、偏光板表面を保護することを目的として貼着されている矩形状の保護フィルムを剥離するための装置である。
【0013】
液晶パネル11の断面図を図2に示す。液晶パネル11は、矩形状であり、ガラス基板などの光透過基板12,13の一方の表面に所定の形状の電極14,15を形成し、この電極14,15が形成された面同士を向かい合わせた2枚の光透過基板12,13を、基板間距離が均一となるようにスペーサ16を介在させてシール21によって平行に貼り合わせる。そして、この基板12,13間に液晶材料17を封入し、さらに光透過基板12,13の電極14,15が形成された面と反対側の面に偏光板18,19を貼り付けて構成されている。さらに上記の構成に、カラー表示を可能にするためのカラーフィルター20、たとえばRGB(Red Green Blue)のフィルターなどが設けられても良い。
【0014】
また、偏光板18,19の表面には、液晶パネル11の製造時の作業における偏光板18,19の表面の損傷を防ぐために、一方の面が粘着面である矩形状の保護フィルム22a,22b(総称する場合は保護フィルム22と記す)が貼着されている。なお、保護フィルム22bが貼着されている側を液晶パネル11の上面側とする。
【0015】
液晶パネル11の寸法は、特に限定されるものではないが、大形のもので平面寸法が長辺約1500mm、短辺約900mmであり、小形のもので平面寸法が長辺約900mm、短辺約600mmである。
【0016】
以下、図1を参照して、本実施の形態の保護フィルム剥離装置1について説明する。本実施の形態の保護フィルム剥離装置1は、保護フィルム22が貼着された液晶パネル11から保護フィルム22を剥離する処理装置2と、保護フィルム22が貼着された液晶パネル11を処理装置2近傍まで搬送するパネル供給コンベア3と、保護フィルム22剥離後の液晶パネル11が搭載されるバックライトモジュール23を処理装置2近傍まで搬送し、さらに液晶パネル11搭載後のバックライトモジュール23(以下、液晶パネルが搭載されたバックライトモジュールを「ワーク」と記す)を搬送するモジュール供給コンベア4と、処理装置2において剥離された保護フィルム22を受け取り、廃棄コンベア6まで移送するフィルム廃棄ロボット5と、フィルム廃棄ロボット5によって移送された保護フィルム22を搬送する廃棄コンベア6と、液晶パネル11をパネル供給コンベア3から処理装置2へ供給し、さらに処理装置2からモジュール供給コンベア4へ供給するパネル搬送装置7とを含んで構成される。
【0017】
パネル供給コンベア3は、たとえばパレット式の搬送機構であり、パネル供給コンベア3の上部において、保護フィルム22が貼着されている液晶パネル11が上載されたパレットを水平に矢符A方向に搬送する。
【0018】
モジュール供給コンベア4は、パネル供給コンベア3に近接して配置され、バックライトモジュール23およびワーク24を水平に、A方向と平行な矢符B方向に搬送する。
【0019】
パネル搬送装置7は、処理装置2、パネル供給コンベア3、およびモジュール供給コンベア4の上方に配置され、水平に延びる平行な2本のガイドレール31a,31bと、各ガイドレール31a,31bに沿って移動方向D1,D2(総称する場合は移動方向Dと記す)に移動可能な各搬送ハンド33a,33b(総称する場合は搬送ハンド33と記す)と、各搬送ハンド33a,33bをそれぞれ上下方向に昇降駆動させる昇降駆動機構を備え、各ガイドレール31a,31bに連結される各搬送アーム32a,32b(総称する場合は搬送アーム32と記す)と、各搬送アーム32a,32bをそれぞれ水平方向に駆動させる水平駆動機構(図示せず)とを有する。各搬送ハンド33a,33bは、その下部において複数の吸盤(図示せず)が設けられており、各吸盤は、吸着用エア回路(図示せず)に接続されて個別に吸引力が導かれ、適度な吸引力によって液晶パネル11を吸着することができるように構成される。
【0020】
パネル搬送装置7は、このような構成によって、パネル供給コンベア3によって位置P1まで搬送された液晶パネル11を吸着把持して処理装置2内の所定の位置まで搬送し、さらに保護フィルム22が剥離された液晶パネル11を吸着把持して処理装置2内からモジュール供給コンベア4の位置P2まで搬送し、予め位置P2において位置決めされているバックライトモジュール23に対し液晶パネル11を上載することができる。
【0021】
また、パネル搬送装置7は、大形の液晶パネル11の場合は1台、小形の液晶パネル11の場合は2台を搬送することができる。
【0022】
なお、2つの搬送ハンド33a,33bによって、1台の大型の液晶パネル11を搬送することを可能にするために、各搬送ハンド33a,33bによる搬送動作を協調制御することが可能である。
【0023】
フィルム廃棄ロボット5は、処理装置2および後述する廃棄コンベア6の近傍に配置され、処理装置2において剥離された保護フィルム22を受け取り、廃棄コンベア6まで移送する。フィルム廃棄ロボット5は、廃棄アーム41と廃棄アーム41の先端に設けられる廃棄ハンド42とを有する。このようなフィルム廃棄ロボット5は、たとえば7軸垂直多関節ロボットによって実現されても良い。
【0024】
廃棄ハンド42は、基部45に対して固定して設けられる固定片43と、固定片43に対し離間する方向(矢符E1方向)および近接する方向(矢符E2方向)に変位可能に基部45に設けられる可動片44と、可動片44を変位駆動する駆動装置(図示せず)とを有する。ハンド42は、空間を空けて離間している状態の固定片43と可動片44との間に保護フィルム22を介在させ、可動片44をE2方向に変位駆動させて、固定片43と可動片44とによって挟持させることによって、保護フィルム22を保持することができるように構成されている。このような構成により、フィルム廃棄ロボット5は、処理装置2から受け渡された保護フィルム22を保持し、廃棄コンベア6まで搬送し、廃棄コンベア6上に載置する。
【0025】
廃棄コンベア6は、フィルム廃棄ロボット5によって載置された保護フィルム22を矢符C方向に搬送する。搬送された保護フィルム22は、図示しない廃棄ボックス内に収容された後、廃棄される。
【0026】
図3は、処理装置2を概略的に示す側面図である。処理装置2は、複数のロボットを含み、各ロボットの果たす機能に応じて、各ロボットを階層的に配置して構成されている。処理装置2は、パネル供給コンベア3とモジュール供給コンベア4との間に配置され、より詳細には、位置P1と位置P2との間に配置される。処理装置2は、床面に固定して設けられる4本の支柱51と、上下方向に並設され、支柱に対し固定して設けられる3つの枠体52,53,54とを有し、各枠体52,53,54の内面にそれぞれロボットが設置される。図3において上から下に向かって、第1層、第2層、第3層という順に、階層構造が形成されているものとする。
【0027】
処理装置2に設置されるロボットによって、液晶パネル11から保護フィルム22を剥離することを可能とするために、平面視における枠体52,53,54の寸法は、液晶パネル11の寸法よりも充分に大きくなるように設定され、たとえば長辺側寸法が約2500mmであり、短辺側寸法が1700mmである。
【0028】
図4は、処理装置2の第1層の構成を概略的に示す平面図である。図5は、処理装置2の第2層の構成を概略的に示す平面図であり、1台の大形の液晶パネル11を保持する場合の状態を示す。図6は、処理装置2の第3層の構成を概略的に示す平面図である。また図14は、処理装置2の第2層の構成を概略的に示す平面図であり、2台の小形の液晶パネル11を保持する場合の状態を示す。
【0029】
第1層には、2基の剥離ロボットR1,R2が、枠体52における長辺側に、略対角の位置に配置されるようにそれぞれ設置される。この第1層では、剥離ロボットR1,R2によって、後述するように第2層において保持されている液晶パネル11の上面側に貼着されている保護フィルム22bの剥離が行われる。
【0030】
第2層には、4基のパネル保持ロボットR3〜R6が、枠体53における長辺側に、それぞれ2基ずつ設置される。この第2層では、パネル保持ロボットR3〜R6によって、パネル搬送装置7によって搬送された液晶パネル11が保持され、保護フィルム22の剥離時に液晶パネル11が位置ずれしないように固定される。
【0031】
第3層には、2基の剥離ロボットR7,R8が、枠体54における長辺側に、略対角の位置に配置されるようにそれぞれ設置される。この第3層では、剥離ロボットR7,R8によって、第2層において保持されている液晶パネル11の下面側に貼着されている保護フィルム22aの剥離が行われる。
【0032】
図7は、剥離ロボットR1に設けられる剥離ハンドH1の構成を概略的に示す図であり、図7(a)は平面図であり、図7(b)は正面図である。なお、剥離ロボットR1,R2,R7,R8は同様に構成されるため、代表して剥離ロボットR1を用いて説明する。
【0033】
剥離ロボットR1は、鉛直軸線まわりの3つの旋回自由度を有するアーム結合の先端に、鉛直軸線方向の1つの伸縮自由度を持たせた4自由度の水平多関節ロボットとして構成されている。より詳細には、第1リンクである基部と第2リンクとの間には第1関節が介在され、第2リンクと第3リンクとの間には第2関節が介在され、第3リンクと剥離ハンドH1との間には第3関節および第4関節が介在される。基部は枠体52に固定して設けられる。第1〜第3関節は、鉛直軸線まわりに回転可能に構成され、第4関節は鉛直軸線方向に伸縮可能に構成されている。したがって、第1〜第3関節を駆動させることによって、剥離ハンドH1を水平方向に移動させることができ、第4関節を駆動させることによって、剥離ハンドH1を上下方向に移動させることができる。以下、基部から第4関節までの部分、すなわち枠体と剥離ハンドとを連結している部分、を剥離アームと記す場合がある。
【0034】
第1層に設けられる剥離ロボットR1,R2において、剥離ハンドH1,H2は、第3および第4関節を介して、第3リンクの先端部の下方に設けられており、第2層に固定される液晶パネル11の上面に貼着されている保護フィルム22bを剥離する。これに対し、第3層に設けられる剥離ロボットR7,R8において、剥離ハンドH7,H8は、第3および第4関節を介して、第3リンクの先端部の上方に設けられており、第2層に固定される液晶パネル11の下面に貼着されている保護フィルム22aを剥離する。
【0035】
剥離ハンドH1の構成について以下に詳細に説明する。剥離ハンドH1は、基体61と、ローラ62と、円柱部材63と、第1押え片64と、第2押え片65とを含んで構成される。基体61は、略直方体状に形成され、上面61aにおいて剥離アームK1の第4関節に連結される。
【0036】
ローラ62は、基体61の一側面61bに設けられ、前記一側面61bの法線に平行に延びる軸線J1に沿って延びる円柱状の部材である。ローラ62は、前記軸線J1まわりに回転可能に構成され、図示しない駆動装置によって回転駆動させることができる。また、ローラ62の下部が、基体61の下面61cよりも下方に位置するように配置されている。さらに、ローラ62の外周面62aは、粘着性を有するように構成されている。この外周面62aの粘着力は、液晶パネル11から保護フィルム22を初期剥離するために、液晶パネル11に貼着している保護フィルム22の粘着面の粘着力よりも強くしておく必要がある。
【0037】
第1押え片64は、基体61の一側面61bにおいてローラ62に近接して設けられ、軸線J1に平行な方向に沿って延びる直方体状の部材である。第1押え片64とローラ62とは、一側面61bにおいて、鉛直な軸線J2に沿って並設され、さらに第1押え片64は、鉛直方向に沿って移動可能に構成され、図示しない駆動装置によって駆動される。すなわち、第1押え片64は、ローラ61に離反する方向(F1方向)および近接する方向(F2方向)に移動可能に構成されている。また、第1押え片64が、軸線J1に沿って延びる寸法は、ローラ62が軸線J1に沿って延びる寸法と略同一である。
【0038】
剥離ハンドH1は、このように構成されるローラ62と第1押え片64とを備えることによって、保護フィルム22の角部を剥離し、その角部を保持することができる。すなわち、ローラ62の下部の外周面62aを保護フィルム22の角部に当接するように剥離ハンドH1を移動させて、ローラ62と保護フィルム22とを接着させる。このとき、第1押え片64は、ローラ62と間を空けて離間している。そして、剥離アームK1によって剥離ハンドH1を軸線J1およびJ2に垂直な方向に移動させると、剥離ハンドH1の移動に伴ってローラ62が回転する。ローラ62の回転に伴って、保護フィルム22の角部が剥離され、外周面62aに沿って巻取られる。保護フィルム22の角部が半周以上巻取られたところで、第1押え片64をF2方向に移動するように駆動させる。ローラ62と第1押え片64とによって保護フィルム22が挟持されることによって、保護フィルム22を保持することができる。
【0039】
円柱部材63は、ローラ62の頂面62bに固定して設けられ、軸線J1に沿って延びる円柱状の部材である。したがって、ローラ62の回転に伴って、円柱部材63も回転するように構成されている。円柱部材63は、その外周面63aにおいて、摩擦係数が低く、非粘着性となるように構成されている。また、円柱部材63の半径は、ローラ62の半径よりも小さく、円柱部材63が軸線J1に沿って延びる寸法は、ローラ62が軸線J1に沿って延びる寸法よりも長くなるように、円柱部材63は形成されている。
【0040】
第2押え片65は、ローラ62の頂面62bにおいて円柱部材63に近接して設けられ、軸線J1に平行な方向に沿って延びる直方体状の部材である。第2押え片65と円柱部材63とは、頂面62bにおいて、円柱部材63の一半径方向に沿って並設され、さらに第2押え片65は、前記一半径方向に沿って移動可能に構成され、図示しない駆動装置によって駆動される。すなわち、第2押え片65は、円柱部材63に離反する方向(G1方向)および近接する方向(G2方向)に移動可能に構成されている。
【0041】
剥離ハンドH1は、このように構成される円柱部材63と第2押え片65とを備えることによって、保護フィルム22を挟持することができる。すなわち、剥離アームK1によって剥離ハンドH1を移動させ、円柱部材63と第2押え片65との間に保護フィルム22を介在させる。このとき、第2押え片65は、円柱部材63と間を空けて離間している。そして、第2押え片65をG2方向に移動するように駆動させると、円柱部材63と第2押え片65とによって保護フィルム22を挟持することができる。
【0042】
本実施の形態では、ローラ62が軸線J1に沿って延びる寸法L1は、たとえば30mmであり、円柱部材63が軸線J1に沿って延びる寸法L2は、たとえば150mmであり、第2押え片64が軸線J1に平行な方向に沿って延びる寸法L3は、たとえば
35mmである。また、ローラ62の半径は、たとえば80mmであり、円柱部材63の半径は、たとえば30mmである。
【0043】
また、ローラ62の外周面62aは、ゴム材によって構成されても良く、たとえばブチルゴムを用いても良い。また、円柱部材63、第1押え片64、および第2押え片65は、たとえば表面をテフロン(登録商標)によって被覆したアルミ材によって形成される。
【0044】
次に、保持ロボットR3〜R6について、以下に説明する。なお、保持ロボットR3〜R6は同様に構成されるため、代表して保持ロボットR3を用いて説明する。
【0045】
保持ロボットR3は、鉛直軸線まわりの2つの旋回自由度を有するアーム結合の先端に保持ハンドH3が設けられ、基部側において枠体53の長辺方向に沿う方向の1つの直動自由度を持たせた3自由度の多関節ロボットとして構成されている。より詳細には、枠体53と第1リンクとの間には第1関節が介在され、第1リンクと第2リンクとの間には第2関節が介在され、第2リンクと保持ハンドH3との間には第3関節が介在される。第1関節は、枠体53の長辺方向、すなわち図5および図14における左右方向、に沿って直動可能に構成され、第2,第3関節は鉛直軸線まわりに回転可能に構成されている。したがって、第1関節を駆動させることによって、第1リンクから保持ハンドH3までの部分を一体的に、枠体53の長辺方向に沿って移動させることができ、第2,第3関節を駆動させることによって、保持ハンドH3を水平方向に移動させることができる。以下、第1関節から第3関節までの部分、すなわち枠体と保持ハンドとを連結している部分、を保持アームと記す場合がある。
【0046】
保持ハンドH3の構成について以下に詳細に説明する。保持ハンドH3は、基体と、載置部とを含んで構成される。基体は、保持アームK3の第3関節に連結される。載置部は基体に固定して設けられ、載置面を有する。載置面は、上方を臨む面であり、略矩形状の平坦な面である。この載置面が水平となるように、保持ハンドH3は保持ロボットR3に設けられている。また、各保持ロボットR3〜R6は、各保持ハンドH3〜H6における各載置面が、同一平面上となるように設置されている。載置部は、さらに複数の吸盤を有し、吸盤の吸着面が上方に臨むように設けられている。各吸盤は、吸着用エア回路(図示せず)に接続されて個別に吸引力が導かれ、適度な吸引力によって液晶パネル11を吸着することができるように構成される。
【0047】
保持ハンドH3〜H6は、このような構成によって、パネル搬送装置7によって搬送される液晶パネル11が各載置面に上載され、吸盤によって真空吸着することによって、液晶パネル11を固定する。このとき、図2に示すように、液晶パネル11において保護フィルム22が貼着されていない光透過基板13の下面の周縁部が、保持ハンドH3〜H6の各載置面に載置されるように、予め定める位置に各載置部が移動されている。このように、光透過基板13の周縁部において液晶パネル11が固定されているので、液晶パネル11の下面側に貼着されている保護フィルム22aを、剥離ロボットR7,R8によって剥離することができる。
【0048】
本実施の形態では、1台の大形の液晶パネル11に対し保護フィルム22の剥離が行われる場合には、図5に示すように、保持ハンドH3〜H6の載置面の延びる方向が、枠体53の長辺方向と平行となるように各載置部が移動され、各載置面には、液晶パネル11の長辺側の周縁部が載置される。
【0049】
また、2台の小形の液晶パネル11に対し保護フィルム22の剥離が行われる場合には、図14に示すように、保持ハンドH3〜H6の載置面の延びる方向が、枠体53の短辺方向と平行となるように各載置部が移動され、各載置面には、各液晶パネル11の長辺側の周縁部が載置される。
【0050】
図8は、保護フィルム剥離装置1の制御系を説明するためのブロック図である。フィルム剥離装置1全体の制御を行う主制御装置CU1は、第1制御装置CU2および第2制御装置CU3との間で、動作指令用および制御対象の状態認識用の通信を行うことによって、後述するフィルム剥離工程の制御を行う。第1制御装置CU2は、主制御装置CU1からの動作指令に従って、パネル搬送装置7およびフィルム廃棄ロボット5の動作を直接制御するほか、第3制御装置CU4との間で、動作指令用および制御対象の状態認識用の通信を行う。第2制御装置CU3は、主制御装置CU1からの動作指令に従って、パネル供給コンベア3、モジュール供給コンベア4、および廃棄コンベア6の動作を制御する。第3制御装置CU4は、第1制御装置CU2からの動作指令に従って、剥離ロボットR1,R2,R7,R8および保持ロボットR3〜R6の動作を制御する。
【0051】
このように主制御装置CU1は、第1、第2、および第3制御装置CU2〜CU4を介して、各ロボットおよび各コンベアの制御を行っているが、制御系の詳細な説明は本発明の主目的から離れるので、以下では等価的に1つの集中管理制御装置CU1が各ロボットおよび各コンベアを直接に制御しているものとして説明を行う。
【0052】
図9は、保護フィルム剥離装置1全体の処理手順を示すフローチャートである。
処理開始時において、各ロボットおよび各コンベアは待機位置で待機状態にあるものとする(ステップS0)。この待機状態では、パネル供給コンベア3は、保護フィルム22が貼着された液晶パネル11が位置P1まで搬送されて停止されている。また、モジュール供給コンベア4は、バックライトモジュール23が位置P2まで搬送されて停止されている。また、パネル搬送装置7は、位置P1の上方まで移動して停止されている。
【0053】
また、処理装置2の保持ロボットR3〜R6は、後工程においてパネル搬送装置7によって搬送される液晶パネル11の寸法に応じて、液晶パネル11をその周縁部において保持ハンドH3〜H6の各載置面に上載することができるように、各載置部が予め定める位置まで移動されている。
【0054】
ステップS1で、各搬送アーム32を伸長する方向に駆動させることによって、各搬送ハンド33を下降させ、搬送ハンド33の下部側にある各吸盤を液晶パネル11に当接させる。そして、各吸盤に吸引力を導くことによって、液晶パネル11を真空吸着させ、各搬送ハンド33に固定させる。
【0055】
ステップS2で、各搬送アーム32を短縮する方向に駆動させることによって、各搬送ハンド33を上昇させ、さらに水平駆動機構によって各搬送アーム32をD2方向に駆動させて、液晶パネル11を処理装置2の上方まで移動させる。ステップS3で、各搬送ハンド33を液晶パネル11が載置面に当接するまで下降させ、各吸盤に導かれていた吸引力を停止させることによって、液晶パネル11を保持ハンドH3〜H6の各載置面に上載させる。
【0056】
前述するように、パネル搬送装置7は、2列に分かれている搬送ハンド33a,33bによって、液晶パネル11を吸着把持するように構成されているので、1台の大形の液晶パネル11の搬送だけでなく、2台の小形の液晶パネル11を搬送することができる。
【0057】
ステップS4で、各保持ハンドH3〜H6に設けられる各吸盤に吸引力を導くことによって、液晶パネル11を保持ハンドH3〜H6に吸着させて固定する。また、各搬送ハンド33は、剥離処理の妨げとならないように上昇され、処理装置2の上方で待機する。
【0058】
ステップS5で、剥離ハンドH1,H2によって保護フィルム22bが剥離され、剥離ハンドH7,H8によって保護フィルム22aが剥離される。なお、この剥離工程ついては、後に詳細に説明する。
【0059】
ステップS6で、保持ハンドH3〜H6の各吸盤に導かれていた吸引力を停止させることによって、液晶パネル11の固定を解除させる。ステップS7で、上方で待機している各搬送ハンド33を下降させて、搬送ハンド33の各吸盤によって液晶パネル11を吸着把持させる。ステップS8で、搬送ハンド33を上昇させ、搬送アーム33をD2方向に駆動させ、位置P2の上方まで液晶パネル11を移動させる。
【0060】
ステップS9で、搬送ハンド33を液晶パネル11がバックライトモジュール23に当接するまで下降させ、各吸盤に導かれていた吸引力を停止させることによって、液晶パネル11をバックライトモジュール23に上載させる。これにより、ワーク24が完成する。ステップS10で、各ロボットおよび各コンベアを、待機位置で待機するように駆動させる。このとき、バックライトモジュール23の位置P2への搬送と同時に、完成したワーク24は、モジュール供給コンベア4によってB方向に搬送される。以上により、一連の処理手順が終了する。
【0061】
次に、剥離処理手順について説明する。図10は、保護フィルム剥離装置1の処理装置2における剥離処理手順を示すフローチャートである。なお、図10に示すフローチャートは、2つのフロー(S21〜S31およびS32〜S41のフロー)に分岐しているが、左側のフロー(S21〜S31のフロー)は第1層の剥離ロボットR1または第3層の剥離ロボットR7の動作を示し、右側のフロー(S32〜S41のフロー)は第1層の剥離ロボットR2または第3層の剥離ロボットR8の動作を示す。また、第1層の剥離ロボットR1,R2と第3層の剥離ロボットR7,R8とは、液晶パネル11の上面側の保護フィルム22bを剥離するか下面側の保護フィルム22aを剥離するかの差異のみであり、略同様の動作を行うので、第1層の剥離ロボットR1,R2で代表させて剥離処理について説明する。また、図10において、上下位置の同じ処理ステップ(例えば、ステップS21とステップS32、ステップS26とステップS36)は、処理開始を同期させて行っているものとする。
【0062】
剥離処理開始時において、剥離ロボットR1,R2は、待機位置で待機状態にあるものとする(ステップS20)。ステップS21およびS32では、剥離ハンドH1,H2それぞれのローラ62の外周面62aを、保護フィルム22bの一角部と一角部の対角位置にある他角部にそれぞれ当接させて接着させる。なお、2台の小形液晶パネル11の場合は、一方の保護フィルム22bの一角部と他方の保護フィルム22bにおいて前記一角部から最も離れた他角部に、ローラ62の外周面62aをそれぞれ当接させて接着させる。
【0063】
このとき、後述する剥離ハンドH1,H2の移動経路T11,T21に沿って各ローラ62が回転するように、剥離ハンドH1,H2は配置されている。接着後、移動経路T11,T21に沿って各剥離ハンドH1,H2を液晶パネル11の表面に沿って移動させることによって、保護フィルム22bの一角部および他角部がローラ62の外周面62aに沿って初期剥離される。
【0064】
ステップS22およびS33で、保護フィルム22bの一角部および他角部がそれぞれローラ62と第1押え片64との間に介在されるまで剥離された時点で、各第1押え片64をF2方向に駆動させて、ローラ62と第1押え片64とで挟持させることによって、保護フィルム22bの一角部および他角部をそれぞれ剥離ハンドH1,H2に保持させる。
【0065】
図11は、ステップS23およびS34における剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの剥離動作を示す平面図である。図15は、ステップS23およびS34における剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの剥離動作を示す平面図である。
【0066】
ステップS23およびS34で、剥離ハンドH1,H2をそれぞれ位置I11,I21から位置I12,I22に向かって移動経路T11,T21に沿って移動させる。このとき、各剥離ハンドH1,H2は、保護フィルム22bの剥離した部分が液晶パネル11と接触しないように、液晶パネル11から離間する方向、すなわち上方にも移動するように駆動される。
【0067】
図12は、ステップS24およびS35における剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの折り返し動作を示す平面図である。図16は、ステップS24およびS35における剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの折り返し動作を示す平面図である。
【0068】
ステップS24およびS35で、剥離ハンドH1,H2をそれぞれ位置I12,I22から位置I13,I23に向かって、平面視略4分の1円の円周である移動経路T12,T22に沿って移動させる。これによって、保護フィルム22bの剥離部分を折り返すことができる。このとき、剥離ハンドH1は、液晶パネル11から離間する方向、すなわち上方にも移動するように駆動される。逆に、剥離ハンドH2は、液晶パネル11に近接する方向、すなわち下方にも移動するように駆動される。
【0069】
これによって、図12または図16に示すように、剥離ハンドH1によって剥離された部分22c(以下、折り返し部分22cという)が剥離ハンドH2によって剥離された部分22d(以下、折り返し部分22dという)を上方から覆うことができる。
【0070】
ステップS25で、剥離ハンドH1を液晶パネル11に近接する方向に下降移動させる。折り返し部分22dは、ステップS35による折り返しによって、粘着面が上方を臨んでいるので、剥離ハンドH1をこのように下降移動させることによって、折り返し部分22cと折り返し部分22dとを接着させることができる。
【0071】
なお、図12に示すように、剥離ハンドH1の移動位置I13をもう一方の剥離ハンドH2によって剥離した保護フィルム22bの折り返し部22dと重複しない位置とすることで、すなわち剥離ハンドH1を液晶パネル11よりも外方まで移動させることで、剥離ハンドH1のローラ62と折り返し部22dの粘着面とが接触することを防止することができる。
【0072】
ステップS25が完了した時点で、一角部および他角部から剥離を始めた保護フィルム22bは、液晶パネル11の中央付近において、折り返し部22cと22dとが接着された状態になっており、残余の部分の保護フィルム22bは液晶パネル11に貼着している状態になっている。すなわち、図12において矢符M方向から見た場合、保護フィルム22bは筒状になっている。また、図16において矢符M方向から見た場合、2枚の保護フィルム22bの折り返し部22c,22dは、互いに接着してアーチ状になっている。
【0073】
したがって、このとき剥離ハンドH1,H2の各第1押え片64をF1方向に駆動させて保護フィルム22bの挟持を解除しても、保護フィルム22bは筒状またはアーチ状の状態を安定して維持することができ、以下の巻取り工程を行うことができる。
【0074】
ステップS26およびS36で、剥離ハンドH1,H2の各第1押え片64をF1方向に駆動させることによって、次工程のために剥離ハンドH1,H2による保護フィルム22bの挟持を解除させる。ステップS27およびS37で、剥離ハンドH1,H2をそれぞれ保護フィルム22bの巻取り開始位置まで移動させる。ここで、巻取り開始位置とは、剥離ハンドH1,H2の各円柱部材63を筒状またはアーチ状の保護フィルム22bに対して挿入させることが可能な予め定める位置のことである。
【0075】
ステップS28およびS38で、剥離ハンドH1,H2を移動させて、円柱部材63を筒状またはアーチ状の保護フィルム22bに挿入させる。このとき、筒状またはアーチ状の内部に挿入された円柱部材63に対し、挿入時に第2押え片65が筒状またはアーチ状の外部に配置されるように、予めローラ62が回転駆動されている。このようにして、円柱部材63と第2押え片65との間に保護フィルム22bが介在されるようになるまで、円柱部材63が挿入される。なお、筒状またはアーチ状の保護フィルム22bの内面は非粘着面であるので、円柱部材63と保護フィルム22bとは接着されることなく、スムーズに挿入することができる。なお、剥離ハンドH1,H2の挿入位置をそれぞれI14,I24とする。
【0076】
図13は、ステップS29およびS39における剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの巻取り動作を示す平面図である。図17は、ステップS29およびS39における剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの巻取り動作を示す平面図である。
【0077】
ステップS29およびS39で、剥離ハンドH1,H2の各第2押え片65をG2方向に駆動させて、円柱部材63と第2押え片65とで保護フィルム22bを挟持させる。
【0078】
ステップS30およびS40で、剥離ハンドH1,H2をそれぞれI14,I24からI15,I25に向かって移動経路T13,T23に沿って移動させる。このとき、剥離ハンドH1,H2における各ローラ62の上部がそれぞれI15,I25側に回転するように回転駆動される。このようにして保護フィルム22bの巻取り作業が行われる。巻取り作業が完了すると、保護フィルム22bは、細い筒状にまとめられる。またこのとき、剥離ハンドH1,H2をそれぞれ液晶パネル11から離間する方向にも移動させることにより、前述する保護フィルム22bの残余の貼着部分を液晶パネル11から剥離しながら巻取ることができる。
【0079】
ステップS41で、剥離ハンドH2の第2押え片65をG1方向に駆動させることによって、保護フィルム22bの挟持を解除させる。ステップS31で、剥離ハンドH1を移動させて、細い筒状にまとめられた保護フィルム22bを処理装置2から外方まで移動させる。このとき、剥離ハンドH2の第2押え片65と保護フィルム22bの粘着面とが接着している可能性があるが、剥離ハンドH1において保護フィルム22bを挟持しているため、剥離ハンドH2の第2押え片65から容易に剥離させて、保護フィルム22bを処理装置2の外方まで移動させることができる。
【0080】
以上で処理装置2内における液晶パネル11からの保護フィルム22bの剥離処理が完了する。なお、液晶パネル11の裏面側に貼着されている保護フィルム22aに対しても、剥離ロボットR7,R8によって同様の剥離処理が行われ、液晶パネル11から保護フィルム22aが剥離される。
【0081】
再び図9に戻って、液晶パネル11から剥離され、剥離ロボットR1,R7によって処理装置2の外方まで移動された保護フィルム22は、ステップS11で、廃棄ロボット5によって受け取られる。
【0082】
ステップS12で、フィルム廃棄ロボット5によって受け取られた保護フィルム22を、廃棄コンベア6まで移動させて、廃棄コンベア6に上載させる。ここで、廃棄される保護フィルム22bではその外周面側が粘着面になるが、保護フィルム22bは細い筒状にまとまっているため、廃棄ハンド42の固定片43および可動片44を充分に薄くしておくことによって、廃棄ハンド42が保護フィルム22bを固定片43と可動片44との間に挟持した場合であっても、保護フィルム22bの粘着面と廃棄ハンド42との接触面積が小さくなるために、保護フィルム22bを廃棄ハンド42に付着させることなく、廃棄コンベア6に上載することが可能となる。廃棄コンベア6に上載された保護フィルム22は、C方向に搬送され、図示しない廃棄ボックス内に収容された後、廃棄される。
【0083】
このように本実施の形態の保護フィルム剥離装置は、保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離するとともに、剥離後の保護フィルムを可及的に小形の形状にまとめ、周囲の装置への付着をなくして廃棄することができる。また、1台の大形液晶パネルに対してだけでなく、2台の小形液晶パネルに対しても適用することができるので、サイズの異なる複数の液晶パネルに対し段取り替えを行う必要なく保護フィルムの剥離処理を行うことができる。したがって、段取り替えによる生産効率の低下をなくすことができる。
【0084】
以上に説明した保護フィルムの剥離処理では、同一平面内の2基の剥離ロボットによる保護フィルム剥離時の連携動作であったが、連携動作は必ずしも同一平面内である必要はなく、例えば液晶パネルの表裏に貼着されている保護フィルムの剥離に対して行っても良い。
【0085】
図18は、表裏両面に保護フィルム22a,22bが貼着された液晶パネル11を側面から見た模式図である。ここで、表側の保護フィルム22bを剥離するための剥離ハンドをH11とし、裏側の保護フィルム22aを剥離するための剥離ハンドをH12とする。剥離ハンドH11,H12は、図7に示される剥離ハンドH1と同様に構成され、保護フィルム22の初期剥離および巻取りが可能な剥離ハンドである。その他の保護フィルム剥離装置の構成要素は、略保護フィルム剥離装置1と同様であるため重複する説明は省略する。
【0086】
図18に示す剥離開始位置において保護フィルム22を初期剥離した剥離ハンドH11,H12を、図19に示す位置、すなわち液晶パネル11の端部の外方付近まで移動させる。そして、表側の保護フィルム22bの上に裏側の保護フィルム22aを重ねることによって、表裏両面の保護フィルム22a,22bを一体化して固定することができる。
【0087】
その上で図20に示すように保護フィルム22a,22bの非粘着面側に剥離ハンドH11,H12の円柱部材を挿入する。そして、保護フィルム22a,22bを液晶パネル11の表裏から同時に巻取っていくことによって、表裏の保護フィルム22a,22bを一体化して処理できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態の保護フィルム剥離装置1を概略的に示す平面図である。
【図2】液晶パネル11の断面図である。
【図3】処理装置2を概略的に示す側面図である。
【図4】処理装置2の第1層の構成を概略的に示す平面図である。
【図5】処理装置2の第2層の構成を概略的に示す平面図であり、1台の大形の液晶パネル11を保持する場合の状態を示す図である。
【図6】処理装置2の第3層の構成を概略的に示す平面図である。
【図7】剥離ロボットR1に設けられる剥離ハンドH1の構成を概略的に示す図であり、図7(a)は平面図であり、図7(b)は正面図である。
【図8】保護フィルム剥離装置1の制御系を説明するためのブロック図である。
【図9】保護フィルム剥離装置1全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】保護フィルム剥離装置1の処理装置2における剥離処理手順を示すフローチャートである。
【図11】剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの剥離動作を示す平面図である。
【図12】剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの折り返し動作を示す平面図である。
【図13】剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの巻取り動作を示す平面図である。
【図14】処理装置2の第2層の構成を概略的に示す平面図であり、2台の小形の液晶パネル11を保持する場合の状態を示す図である。
【図15】剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの剥離動作を示す平面図である。
【図16】剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの折り返し動作を示す平面図である。
【図17】剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの巻取り動作を示す平面図である。
【図18】表裏両面に保護フィルム22a,22bが貼着された液晶パネル11を側面から見た模式図である。
【図19】剥離ハンドH11,H12によって保護フィルム22a,22bの端部を接着させる状態を示す側面図である。
【図20】保護フィルム22a,22bの非粘着面側に剥離ハンドH11,H12の円柱部材を挿入した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0089】
1 保護フィルム剥離装置
2 処理装置
3 パネル供給コンベア
4 モジュール供給コンベア
5 フィルム廃棄ロボット
6 廃棄コンベア
7 パネル搬送装置
11 液晶パネル
22 保護フィルム
23 バックライトモジュール
R1,R2,R7,R8 剥離ロボット
R3〜R6 保持ロボット
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶パネルなどの板状体において、その板状体の表面における微細な傷および塵埃などによる品位の低下を防止する必要がある場合には、表面を保護するための保護フィルムを貼着している。しかし、保護フィルムが必要でなくなった場合には、その表面から保護フィルムを剥離する必要がある。たとえば、液晶パネルを搭載する液晶テレビでは、液晶パネルを製造する工程においてはその表面に保護フィルムを貼着しているが、製品としての液晶テレビにおいては保護フィルムが不必要である。そこで、その表面から保護フィルムを剥離する工程が必ず存在する。このような保護フィルム剥離工程は、剥離装置によって自動化されている。(たとえば特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開平6−48633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、板状体から剥離された保護フィルムは、片面側に粘着性を有していることから、廃棄する際に、周囲の装置と接触して貼りつくことによる装置の停止が発生してしまうという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離するとともに、剥離後の保護フィルムを可及的に小形の形状にまとめ、周囲の装置へ付着しにくくして廃棄することのできる保護フィルム剥離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、厚み方向の一表面部に粘着性を有する粘着層が形成される保護フィルムが、その粘着層を介して一表面に貼着されている被貼着体から、前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置であって、
前記保護フィルムのうち前記被貼着体の前記一表面に沿う予め定める方向の一端部を保持して、前記被貼着体から前記保護フィルムのうち前記一端部を含む所定の範囲を剥離する第1剥離手段と、
前記保護フィルムの前記予め定める方向の他端部を保持して、前記被貼着体から前記保護フィルムのうち前記他端部を含む所定の範囲を剥離する第2剥離手段と、
前記保護フィルムを挟持する挟持部を有し、前記保護フィルムを前記挟持部によって挟持した状態で、前記挟持部を予め定める軸線まわりに回転駆動させて、前記保護フィルムを巻取るフィルム巻取り手段とを含み、
前記第1および第2剥離手段は、前記保護フィルムのうち前記第1剥離手段によって剥離された第1部分と、前記保護フィルムのうち前記第2剥離手段によって剥離された第2部分との一部分を、前記粘着層を介して互いに接着させ、
前記フィルム巻取り手段は、前記第1および第2剥離手段によって前記粘着層が接着された後に前記保護フィルムを巻取ることを特徴とする保護フィルム剥離装置である。
【0007】
また本発明は、前記第1および第2剥離手段は、
前記保護フィルムに接着して前記被貼着体から前記保護フィルムを巻取る剥離ローラと、
前記剥離ローラに対し近接および離間する方向に移動可能な可動体とを有し、
前記剥離ローラによって巻取られた保護フィルムに対し、前記可動体を移動させて、前記剥離ローラと前記可動体との間で挟むことによって、保護フィルムを保持することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記挟持部は、前記剥離ローラに設けられ、前記剥離ローラを回転駆動させることによって、回転駆動されることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記被貼着体の一部を載置可能な載置面を有し、載置された被貼着体を吸着することによって固定可能な複数の保持手段をさらに有することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記フィルム巻取り手段によって巻取られた保護フィルムをフィルム巻取り手段から受け取るフィルム受取手段をさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、保護フィルム剥離装置は、第1剥離手段と、第2剥離手段と、フィルム巻取り手段とを含み、第1および第2剥離手段は、保護フィルムのうち第1剥離手段によって剥離された第1部分と、保護フィルムのうち第2剥離手段によって剥離された第2部分との一部分を、粘着層を介して互いに接着させ、フィルム巻取り手段は、第1および第2剥離手段によって前記粘着層が接着された後に保護フィルムを巻取りながら剥離する。このとき、自らの粘着層によって粘着しながら巻取られていくので、保護フィルムを小形の筒状にまとめることができる。したがって、周囲の装置へ付着しにくくして廃棄することができるため、周囲の装置に付着することによる装置の停止の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態の保護フィルム剥離装置1を概略的に示す平面図である。本実施の形態の保護フィルム剥離装置1は、たとえば板状体である矩形状の液晶パネル11の表面にある偏光板の損傷を防ぐために、偏光板表面を保護することを目的として貼着されている矩形状の保護フィルムを剥離するための装置である。
【0013】
液晶パネル11の断面図を図2に示す。液晶パネル11は、矩形状であり、ガラス基板などの光透過基板12,13の一方の表面に所定の形状の電極14,15を形成し、この電極14,15が形成された面同士を向かい合わせた2枚の光透過基板12,13を、基板間距離が均一となるようにスペーサ16を介在させてシール21によって平行に貼り合わせる。そして、この基板12,13間に液晶材料17を封入し、さらに光透過基板12,13の電極14,15が形成された面と反対側の面に偏光板18,19を貼り付けて構成されている。さらに上記の構成に、カラー表示を可能にするためのカラーフィルター20、たとえばRGB(Red Green Blue)のフィルターなどが設けられても良い。
【0014】
また、偏光板18,19の表面には、液晶パネル11の製造時の作業における偏光板18,19の表面の損傷を防ぐために、一方の面が粘着面である矩形状の保護フィルム22a,22b(総称する場合は保護フィルム22と記す)が貼着されている。なお、保護フィルム22bが貼着されている側を液晶パネル11の上面側とする。
【0015】
液晶パネル11の寸法は、特に限定されるものではないが、大形のもので平面寸法が長辺約1500mm、短辺約900mmであり、小形のもので平面寸法が長辺約900mm、短辺約600mmである。
【0016】
以下、図1を参照して、本実施の形態の保護フィルム剥離装置1について説明する。本実施の形態の保護フィルム剥離装置1は、保護フィルム22が貼着された液晶パネル11から保護フィルム22を剥離する処理装置2と、保護フィルム22が貼着された液晶パネル11を処理装置2近傍まで搬送するパネル供給コンベア3と、保護フィルム22剥離後の液晶パネル11が搭載されるバックライトモジュール23を処理装置2近傍まで搬送し、さらに液晶パネル11搭載後のバックライトモジュール23(以下、液晶パネルが搭載されたバックライトモジュールを「ワーク」と記す)を搬送するモジュール供給コンベア4と、処理装置2において剥離された保護フィルム22を受け取り、廃棄コンベア6まで移送するフィルム廃棄ロボット5と、フィルム廃棄ロボット5によって移送された保護フィルム22を搬送する廃棄コンベア6と、液晶パネル11をパネル供給コンベア3から処理装置2へ供給し、さらに処理装置2からモジュール供給コンベア4へ供給するパネル搬送装置7とを含んで構成される。
【0017】
パネル供給コンベア3は、たとえばパレット式の搬送機構であり、パネル供給コンベア3の上部において、保護フィルム22が貼着されている液晶パネル11が上載されたパレットを水平に矢符A方向に搬送する。
【0018】
モジュール供給コンベア4は、パネル供給コンベア3に近接して配置され、バックライトモジュール23およびワーク24を水平に、A方向と平行な矢符B方向に搬送する。
【0019】
パネル搬送装置7は、処理装置2、パネル供給コンベア3、およびモジュール供給コンベア4の上方に配置され、水平に延びる平行な2本のガイドレール31a,31bと、各ガイドレール31a,31bに沿って移動方向D1,D2(総称する場合は移動方向Dと記す)に移動可能な各搬送ハンド33a,33b(総称する場合は搬送ハンド33と記す)と、各搬送ハンド33a,33bをそれぞれ上下方向に昇降駆動させる昇降駆動機構を備え、各ガイドレール31a,31bに連結される各搬送アーム32a,32b(総称する場合は搬送アーム32と記す)と、各搬送アーム32a,32bをそれぞれ水平方向に駆動させる水平駆動機構(図示せず)とを有する。各搬送ハンド33a,33bは、その下部において複数の吸盤(図示せず)が設けられており、各吸盤は、吸着用エア回路(図示せず)に接続されて個別に吸引力が導かれ、適度な吸引力によって液晶パネル11を吸着することができるように構成される。
【0020】
パネル搬送装置7は、このような構成によって、パネル供給コンベア3によって位置P1まで搬送された液晶パネル11を吸着把持して処理装置2内の所定の位置まで搬送し、さらに保護フィルム22が剥離された液晶パネル11を吸着把持して処理装置2内からモジュール供給コンベア4の位置P2まで搬送し、予め位置P2において位置決めされているバックライトモジュール23に対し液晶パネル11を上載することができる。
【0021】
また、パネル搬送装置7は、大形の液晶パネル11の場合は1台、小形の液晶パネル11の場合は2台を搬送することができる。
【0022】
なお、2つの搬送ハンド33a,33bによって、1台の大型の液晶パネル11を搬送することを可能にするために、各搬送ハンド33a,33bによる搬送動作を協調制御することが可能である。
【0023】
フィルム廃棄ロボット5は、処理装置2および後述する廃棄コンベア6の近傍に配置され、処理装置2において剥離された保護フィルム22を受け取り、廃棄コンベア6まで移送する。フィルム廃棄ロボット5は、廃棄アーム41と廃棄アーム41の先端に設けられる廃棄ハンド42とを有する。このようなフィルム廃棄ロボット5は、たとえば7軸垂直多関節ロボットによって実現されても良い。
【0024】
廃棄ハンド42は、基部45に対して固定して設けられる固定片43と、固定片43に対し離間する方向(矢符E1方向)および近接する方向(矢符E2方向)に変位可能に基部45に設けられる可動片44と、可動片44を変位駆動する駆動装置(図示せず)とを有する。ハンド42は、空間を空けて離間している状態の固定片43と可動片44との間に保護フィルム22を介在させ、可動片44をE2方向に変位駆動させて、固定片43と可動片44とによって挟持させることによって、保護フィルム22を保持することができるように構成されている。このような構成により、フィルム廃棄ロボット5は、処理装置2から受け渡された保護フィルム22を保持し、廃棄コンベア6まで搬送し、廃棄コンベア6上に載置する。
【0025】
廃棄コンベア6は、フィルム廃棄ロボット5によって載置された保護フィルム22を矢符C方向に搬送する。搬送された保護フィルム22は、図示しない廃棄ボックス内に収容された後、廃棄される。
【0026】
図3は、処理装置2を概略的に示す側面図である。処理装置2は、複数のロボットを含み、各ロボットの果たす機能に応じて、各ロボットを階層的に配置して構成されている。処理装置2は、パネル供給コンベア3とモジュール供給コンベア4との間に配置され、より詳細には、位置P1と位置P2との間に配置される。処理装置2は、床面に固定して設けられる4本の支柱51と、上下方向に並設され、支柱に対し固定して設けられる3つの枠体52,53,54とを有し、各枠体52,53,54の内面にそれぞれロボットが設置される。図3において上から下に向かって、第1層、第2層、第3層という順に、階層構造が形成されているものとする。
【0027】
処理装置2に設置されるロボットによって、液晶パネル11から保護フィルム22を剥離することを可能とするために、平面視における枠体52,53,54の寸法は、液晶パネル11の寸法よりも充分に大きくなるように設定され、たとえば長辺側寸法が約2500mmであり、短辺側寸法が1700mmである。
【0028】
図4は、処理装置2の第1層の構成を概略的に示す平面図である。図5は、処理装置2の第2層の構成を概略的に示す平面図であり、1台の大形の液晶パネル11を保持する場合の状態を示す。図6は、処理装置2の第3層の構成を概略的に示す平面図である。また図14は、処理装置2の第2層の構成を概略的に示す平面図であり、2台の小形の液晶パネル11を保持する場合の状態を示す。
【0029】
第1層には、2基の剥離ロボットR1,R2が、枠体52における長辺側に、略対角の位置に配置されるようにそれぞれ設置される。この第1層では、剥離ロボットR1,R2によって、後述するように第2層において保持されている液晶パネル11の上面側に貼着されている保護フィルム22bの剥離が行われる。
【0030】
第2層には、4基のパネル保持ロボットR3〜R6が、枠体53における長辺側に、それぞれ2基ずつ設置される。この第2層では、パネル保持ロボットR3〜R6によって、パネル搬送装置7によって搬送された液晶パネル11が保持され、保護フィルム22の剥離時に液晶パネル11が位置ずれしないように固定される。
【0031】
第3層には、2基の剥離ロボットR7,R8が、枠体54における長辺側に、略対角の位置に配置されるようにそれぞれ設置される。この第3層では、剥離ロボットR7,R8によって、第2層において保持されている液晶パネル11の下面側に貼着されている保護フィルム22aの剥離が行われる。
【0032】
図7は、剥離ロボットR1に設けられる剥離ハンドH1の構成を概略的に示す図であり、図7(a)は平面図であり、図7(b)は正面図である。なお、剥離ロボットR1,R2,R7,R8は同様に構成されるため、代表して剥離ロボットR1を用いて説明する。
【0033】
剥離ロボットR1は、鉛直軸線まわりの3つの旋回自由度を有するアーム結合の先端に、鉛直軸線方向の1つの伸縮自由度を持たせた4自由度の水平多関節ロボットとして構成されている。より詳細には、第1リンクである基部と第2リンクとの間には第1関節が介在され、第2リンクと第3リンクとの間には第2関節が介在され、第3リンクと剥離ハンドH1との間には第3関節および第4関節が介在される。基部は枠体52に固定して設けられる。第1〜第3関節は、鉛直軸線まわりに回転可能に構成され、第4関節は鉛直軸線方向に伸縮可能に構成されている。したがって、第1〜第3関節を駆動させることによって、剥離ハンドH1を水平方向に移動させることができ、第4関節を駆動させることによって、剥離ハンドH1を上下方向に移動させることができる。以下、基部から第4関節までの部分、すなわち枠体と剥離ハンドとを連結している部分、を剥離アームと記す場合がある。
【0034】
第1層に設けられる剥離ロボットR1,R2において、剥離ハンドH1,H2は、第3および第4関節を介して、第3リンクの先端部の下方に設けられており、第2層に固定される液晶パネル11の上面に貼着されている保護フィルム22bを剥離する。これに対し、第3層に設けられる剥離ロボットR7,R8において、剥離ハンドH7,H8は、第3および第4関節を介して、第3リンクの先端部の上方に設けられており、第2層に固定される液晶パネル11の下面に貼着されている保護フィルム22aを剥離する。
【0035】
剥離ハンドH1の構成について以下に詳細に説明する。剥離ハンドH1は、基体61と、ローラ62と、円柱部材63と、第1押え片64と、第2押え片65とを含んで構成される。基体61は、略直方体状に形成され、上面61aにおいて剥離アームK1の第4関節に連結される。
【0036】
ローラ62は、基体61の一側面61bに設けられ、前記一側面61bの法線に平行に延びる軸線J1に沿って延びる円柱状の部材である。ローラ62は、前記軸線J1まわりに回転可能に構成され、図示しない駆動装置によって回転駆動させることができる。また、ローラ62の下部が、基体61の下面61cよりも下方に位置するように配置されている。さらに、ローラ62の外周面62aは、粘着性を有するように構成されている。この外周面62aの粘着力は、液晶パネル11から保護フィルム22を初期剥離するために、液晶パネル11に貼着している保護フィルム22の粘着面の粘着力よりも強くしておく必要がある。
【0037】
第1押え片64は、基体61の一側面61bにおいてローラ62に近接して設けられ、軸線J1に平行な方向に沿って延びる直方体状の部材である。第1押え片64とローラ62とは、一側面61bにおいて、鉛直な軸線J2に沿って並設され、さらに第1押え片64は、鉛直方向に沿って移動可能に構成され、図示しない駆動装置によって駆動される。すなわち、第1押え片64は、ローラ61に離反する方向(F1方向)および近接する方向(F2方向)に移動可能に構成されている。また、第1押え片64が、軸線J1に沿って延びる寸法は、ローラ62が軸線J1に沿って延びる寸法と略同一である。
【0038】
剥離ハンドH1は、このように構成されるローラ62と第1押え片64とを備えることによって、保護フィルム22の角部を剥離し、その角部を保持することができる。すなわち、ローラ62の下部の外周面62aを保護フィルム22の角部に当接するように剥離ハンドH1を移動させて、ローラ62と保護フィルム22とを接着させる。このとき、第1押え片64は、ローラ62と間を空けて離間している。そして、剥離アームK1によって剥離ハンドH1を軸線J1およびJ2に垂直な方向に移動させると、剥離ハンドH1の移動に伴ってローラ62が回転する。ローラ62の回転に伴って、保護フィルム22の角部が剥離され、外周面62aに沿って巻取られる。保護フィルム22の角部が半周以上巻取られたところで、第1押え片64をF2方向に移動するように駆動させる。ローラ62と第1押え片64とによって保護フィルム22が挟持されることによって、保護フィルム22を保持することができる。
【0039】
円柱部材63は、ローラ62の頂面62bに固定して設けられ、軸線J1に沿って延びる円柱状の部材である。したがって、ローラ62の回転に伴って、円柱部材63も回転するように構成されている。円柱部材63は、その外周面63aにおいて、摩擦係数が低く、非粘着性となるように構成されている。また、円柱部材63の半径は、ローラ62の半径よりも小さく、円柱部材63が軸線J1に沿って延びる寸法は、ローラ62が軸線J1に沿って延びる寸法よりも長くなるように、円柱部材63は形成されている。
【0040】
第2押え片65は、ローラ62の頂面62bにおいて円柱部材63に近接して設けられ、軸線J1に平行な方向に沿って延びる直方体状の部材である。第2押え片65と円柱部材63とは、頂面62bにおいて、円柱部材63の一半径方向に沿って並設され、さらに第2押え片65は、前記一半径方向に沿って移動可能に構成され、図示しない駆動装置によって駆動される。すなわち、第2押え片65は、円柱部材63に離反する方向(G1方向)および近接する方向(G2方向)に移動可能に構成されている。
【0041】
剥離ハンドH1は、このように構成される円柱部材63と第2押え片65とを備えることによって、保護フィルム22を挟持することができる。すなわち、剥離アームK1によって剥離ハンドH1を移動させ、円柱部材63と第2押え片65との間に保護フィルム22を介在させる。このとき、第2押え片65は、円柱部材63と間を空けて離間している。そして、第2押え片65をG2方向に移動するように駆動させると、円柱部材63と第2押え片65とによって保護フィルム22を挟持することができる。
【0042】
本実施の形態では、ローラ62が軸線J1に沿って延びる寸法L1は、たとえば30mmであり、円柱部材63が軸線J1に沿って延びる寸法L2は、たとえば150mmであり、第2押え片64が軸線J1に平行な方向に沿って延びる寸法L3は、たとえば
35mmである。また、ローラ62の半径は、たとえば80mmであり、円柱部材63の半径は、たとえば30mmである。
【0043】
また、ローラ62の外周面62aは、ゴム材によって構成されても良く、たとえばブチルゴムを用いても良い。また、円柱部材63、第1押え片64、および第2押え片65は、たとえば表面をテフロン(登録商標)によって被覆したアルミ材によって形成される。
【0044】
次に、保持ロボットR3〜R6について、以下に説明する。なお、保持ロボットR3〜R6は同様に構成されるため、代表して保持ロボットR3を用いて説明する。
【0045】
保持ロボットR3は、鉛直軸線まわりの2つの旋回自由度を有するアーム結合の先端に保持ハンドH3が設けられ、基部側において枠体53の長辺方向に沿う方向の1つの直動自由度を持たせた3自由度の多関節ロボットとして構成されている。より詳細には、枠体53と第1リンクとの間には第1関節が介在され、第1リンクと第2リンクとの間には第2関節が介在され、第2リンクと保持ハンドH3との間には第3関節が介在される。第1関節は、枠体53の長辺方向、すなわち図5および図14における左右方向、に沿って直動可能に構成され、第2,第3関節は鉛直軸線まわりに回転可能に構成されている。したがって、第1関節を駆動させることによって、第1リンクから保持ハンドH3までの部分を一体的に、枠体53の長辺方向に沿って移動させることができ、第2,第3関節を駆動させることによって、保持ハンドH3を水平方向に移動させることができる。以下、第1関節から第3関節までの部分、すなわち枠体と保持ハンドとを連結している部分、を保持アームと記す場合がある。
【0046】
保持ハンドH3の構成について以下に詳細に説明する。保持ハンドH3は、基体と、載置部とを含んで構成される。基体は、保持アームK3の第3関節に連結される。載置部は基体に固定して設けられ、載置面を有する。載置面は、上方を臨む面であり、略矩形状の平坦な面である。この載置面が水平となるように、保持ハンドH3は保持ロボットR3に設けられている。また、各保持ロボットR3〜R6は、各保持ハンドH3〜H6における各載置面が、同一平面上となるように設置されている。載置部は、さらに複数の吸盤を有し、吸盤の吸着面が上方に臨むように設けられている。各吸盤は、吸着用エア回路(図示せず)に接続されて個別に吸引力が導かれ、適度な吸引力によって液晶パネル11を吸着することができるように構成される。
【0047】
保持ハンドH3〜H6は、このような構成によって、パネル搬送装置7によって搬送される液晶パネル11が各載置面に上載され、吸盤によって真空吸着することによって、液晶パネル11を固定する。このとき、図2に示すように、液晶パネル11において保護フィルム22が貼着されていない光透過基板13の下面の周縁部が、保持ハンドH3〜H6の各載置面に載置されるように、予め定める位置に各載置部が移動されている。このように、光透過基板13の周縁部において液晶パネル11が固定されているので、液晶パネル11の下面側に貼着されている保護フィルム22aを、剥離ロボットR7,R8によって剥離することができる。
【0048】
本実施の形態では、1台の大形の液晶パネル11に対し保護フィルム22の剥離が行われる場合には、図5に示すように、保持ハンドH3〜H6の載置面の延びる方向が、枠体53の長辺方向と平行となるように各載置部が移動され、各載置面には、液晶パネル11の長辺側の周縁部が載置される。
【0049】
また、2台の小形の液晶パネル11に対し保護フィルム22の剥離が行われる場合には、図14に示すように、保持ハンドH3〜H6の載置面の延びる方向が、枠体53の短辺方向と平行となるように各載置部が移動され、各載置面には、各液晶パネル11の長辺側の周縁部が載置される。
【0050】
図8は、保護フィルム剥離装置1の制御系を説明するためのブロック図である。フィルム剥離装置1全体の制御を行う主制御装置CU1は、第1制御装置CU2および第2制御装置CU3との間で、動作指令用および制御対象の状態認識用の通信を行うことによって、後述するフィルム剥離工程の制御を行う。第1制御装置CU2は、主制御装置CU1からの動作指令に従って、パネル搬送装置7およびフィルム廃棄ロボット5の動作を直接制御するほか、第3制御装置CU4との間で、動作指令用および制御対象の状態認識用の通信を行う。第2制御装置CU3は、主制御装置CU1からの動作指令に従って、パネル供給コンベア3、モジュール供給コンベア4、および廃棄コンベア6の動作を制御する。第3制御装置CU4は、第1制御装置CU2からの動作指令に従って、剥離ロボットR1,R2,R7,R8および保持ロボットR3〜R6の動作を制御する。
【0051】
このように主制御装置CU1は、第1、第2、および第3制御装置CU2〜CU4を介して、各ロボットおよび各コンベアの制御を行っているが、制御系の詳細な説明は本発明の主目的から離れるので、以下では等価的に1つの集中管理制御装置CU1が各ロボットおよび各コンベアを直接に制御しているものとして説明を行う。
【0052】
図9は、保護フィルム剥離装置1全体の処理手順を示すフローチャートである。
処理開始時において、各ロボットおよび各コンベアは待機位置で待機状態にあるものとする(ステップS0)。この待機状態では、パネル供給コンベア3は、保護フィルム22が貼着された液晶パネル11が位置P1まで搬送されて停止されている。また、モジュール供給コンベア4は、バックライトモジュール23が位置P2まで搬送されて停止されている。また、パネル搬送装置7は、位置P1の上方まで移動して停止されている。
【0053】
また、処理装置2の保持ロボットR3〜R6は、後工程においてパネル搬送装置7によって搬送される液晶パネル11の寸法に応じて、液晶パネル11をその周縁部において保持ハンドH3〜H6の各載置面に上載することができるように、各載置部が予め定める位置まで移動されている。
【0054】
ステップS1で、各搬送アーム32を伸長する方向に駆動させることによって、各搬送ハンド33を下降させ、搬送ハンド33の下部側にある各吸盤を液晶パネル11に当接させる。そして、各吸盤に吸引力を導くことによって、液晶パネル11を真空吸着させ、各搬送ハンド33に固定させる。
【0055】
ステップS2で、各搬送アーム32を短縮する方向に駆動させることによって、各搬送ハンド33を上昇させ、さらに水平駆動機構によって各搬送アーム32をD2方向に駆動させて、液晶パネル11を処理装置2の上方まで移動させる。ステップS3で、各搬送ハンド33を液晶パネル11が載置面に当接するまで下降させ、各吸盤に導かれていた吸引力を停止させることによって、液晶パネル11を保持ハンドH3〜H6の各載置面に上載させる。
【0056】
前述するように、パネル搬送装置7は、2列に分かれている搬送ハンド33a,33bによって、液晶パネル11を吸着把持するように構成されているので、1台の大形の液晶パネル11の搬送だけでなく、2台の小形の液晶パネル11を搬送することができる。
【0057】
ステップS4で、各保持ハンドH3〜H6に設けられる各吸盤に吸引力を導くことによって、液晶パネル11を保持ハンドH3〜H6に吸着させて固定する。また、各搬送ハンド33は、剥離処理の妨げとならないように上昇され、処理装置2の上方で待機する。
【0058】
ステップS5で、剥離ハンドH1,H2によって保護フィルム22bが剥離され、剥離ハンドH7,H8によって保護フィルム22aが剥離される。なお、この剥離工程ついては、後に詳細に説明する。
【0059】
ステップS6で、保持ハンドH3〜H6の各吸盤に導かれていた吸引力を停止させることによって、液晶パネル11の固定を解除させる。ステップS7で、上方で待機している各搬送ハンド33を下降させて、搬送ハンド33の各吸盤によって液晶パネル11を吸着把持させる。ステップS8で、搬送ハンド33を上昇させ、搬送アーム33をD2方向に駆動させ、位置P2の上方まで液晶パネル11を移動させる。
【0060】
ステップS9で、搬送ハンド33を液晶パネル11がバックライトモジュール23に当接するまで下降させ、各吸盤に導かれていた吸引力を停止させることによって、液晶パネル11をバックライトモジュール23に上載させる。これにより、ワーク24が完成する。ステップS10で、各ロボットおよび各コンベアを、待機位置で待機するように駆動させる。このとき、バックライトモジュール23の位置P2への搬送と同時に、完成したワーク24は、モジュール供給コンベア4によってB方向に搬送される。以上により、一連の処理手順が終了する。
【0061】
次に、剥離処理手順について説明する。図10は、保護フィルム剥離装置1の処理装置2における剥離処理手順を示すフローチャートである。なお、図10に示すフローチャートは、2つのフロー(S21〜S31およびS32〜S41のフロー)に分岐しているが、左側のフロー(S21〜S31のフロー)は第1層の剥離ロボットR1または第3層の剥離ロボットR7の動作を示し、右側のフロー(S32〜S41のフロー)は第1層の剥離ロボットR2または第3層の剥離ロボットR8の動作を示す。また、第1層の剥離ロボットR1,R2と第3層の剥離ロボットR7,R8とは、液晶パネル11の上面側の保護フィルム22bを剥離するか下面側の保護フィルム22aを剥離するかの差異のみであり、略同様の動作を行うので、第1層の剥離ロボットR1,R2で代表させて剥離処理について説明する。また、図10において、上下位置の同じ処理ステップ(例えば、ステップS21とステップS32、ステップS26とステップS36)は、処理開始を同期させて行っているものとする。
【0062】
剥離処理開始時において、剥離ロボットR1,R2は、待機位置で待機状態にあるものとする(ステップS20)。ステップS21およびS32では、剥離ハンドH1,H2それぞれのローラ62の外周面62aを、保護フィルム22bの一角部と一角部の対角位置にある他角部にそれぞれ当接させて接着させる。なお、2台の小形液晶パネル11の場合は、一方の保護フィルム22bの一角部と他方の保護フィルム22bにおいて前記一角部から最も離れた他角部に、ローラ62の外周面62aをそれぞれ当接させて接着させる。
【0063】
このとき、後述する剥離ハンドH1,H2の移動経路T11,T21に沿って各ローラ62が回転するように、剥離ハンドH1,H2は配置されている。接着後、移動経路T11,T21に沿って各剥離ハンドH1,H2を液晶パネル11の表面に沿って移動させることによって、保護フィルム22bの一角部および他角部がローラ62の外周面62aに沿って初期剥離される。
【0064】
ステップS22およびS33で、保護フィルム22bの一角部および他角部がそれぞれローラ62と第1押え片64との間に介在されるまで剥離された時点で、各第1押え片64をF2方向に駆動させて、ローラ62と第1押え片64とで挟持させることによって、保護フィルム22bの一角部および他角部をそれぞれ剥離ハンドH1,H2に保持させる。
【0065】
図11は、ステップS23およびS34における剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの剥離動作を示す平面図である。図15は、ステップS23およびS34における剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの剥離動作を示す平面図である。
【0066】
ステップS23およびS34で、剥離ハンドH1,H2をそれぞれ位置I11,I21から位置I12,I22に向かって移動経路T11,T21に沿って移動させる。このとき、各剥離ハンドH1,H2は、保護フィルム22bの剥離した部分が液晶パネル11と接触しないように、液晶パネル11から離間する方向、すなわち上方にも移動するように駆動される。
【0067】
図12は、ステップS24およびS35における剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの折り返し動作を示す平面図である。図16は、ステップS24およびS35における剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの折り返し動作を示す平面図である。
【0068】
ステップS24およびS35で、剥離ハンドH1,H2をそれぞれ位置I12,I22から位置I13,I23に向かって、平面視略4分の1円の円周である移動経路T12,T22に沿って移動させる。これによって、保護フィルム22bの剥離部分を折り返すことができる。このとき、剥離ハンドH1は、液晶パネル11から離間する方向、すなわち上方にも移動するように駆動される。逆に、剥離ハンドH2は、液晶パネル11に近接する方向、すなわち下方にも移動するように駆動される。
【0069】
これによって、図12または図16に示すように、剥離ハンドH1によって剥離された部分22c(以下、折り返し部分22cという)が剥離ハンドH2によって剥離された部分22d(以下、折り返し部分22dという)を上方から覆うことができる。
【0070】
ステップS25で、剥離ハンドH1を液晶パネル11に近接する方向に下降移動させる。折り返し部分22dは、ステップS35による折り返しによって、粘着面が上方を臨んでいるので、剥離ハンドH1をこのように下降移動させることによって、折り返し部分22cと折り返し部分22dとを接着させることができる。
【0071】
なお、図12に示すように、剥離ハンドH1の移動位置I13をもう一方の剥離ハンドH2によって剥離した保護フィルム22bの折り返し部22dと重複しない位置とすることで、すなわち剥離ハンドH1を液晶パネル11よりも外方まで移動させることで、剥離ハンドH1のローラ62と折り返し部22dの粘着面とが接触することを防止することができる。
【0072】
ステップS25が完了した時点で、一角部および他角部から剥離を始めた保護フィルム22bは、液晶パネル11の中央付近において、折り返し部22cと22dとが接着された状態になっており、残余の部分の保護フィルム22bは液晶パネル11に貼着している状態になっている。すなわち、図12において矢符M方向から見た場合、保護フィルム22bは筒状になっている。また、図16において矢符M方向から見た場合、2枚の保護フィルム22bの折り返し部22c,22dは、互いに接着してアーチ状になっている。
【0073】
したがって、このとき剥離ハンドH1,H2の各第1押え片64をF1方向に駆動させて保護フィルム22bの挟持を解除しても、保護フィルム22bは筒状またはアーチ状の状態を安定して維持することができ、以下の巻取り工程を行うことができる。
【0074】
ステップS26およびS36で、剥離ハンドH1,H2の各第1押え片64をF1方向に駆動させることによって、次工程のために剥離ハンドH1,H2による保護フィルム22bの挟持を解除させる。ステップS27およびS37で、剥離ハンドH1,H2をそれぞれ保護フィルム22bの巻取り開始位置まで移動させる。ここで、巻取り開始位置とは、剥離ハンドH1,H2の各円柱部材63を筒状またはアーチ状の保護フィルム22bに対して挿入させることが可能な予め定める位置のことである。
【0075】
ステップS28およびS38で、剥離ハンドH1,H2を移動させて、円柱部材63を筒状またはアーチ状の保護フィルム22bに挿入させる。このとき、筒状またはアーチ状の内部に挿入された円柱部材63に対し、挿入時に第2押え片65が筒状またはアーチ状の外部に配置されるように、予めローラ62が回転駆動されている。このようにして、円柱部材63と第2押え片65との間に保護フィルム22bが介在されるようになるまで、円柱部材63が挿入される。なお、筒状またはアーチ状の保護フィルム22bの内面は非粘着面であるので、円柱部材63と保護フィルム22bとは接着されることなく、スムーズに挿入することができる。なお、剥離ハンドH1,H2の挿入位置をそれぞれI14,I24とする。
【0076】
図13は、ステップS29およびS39における剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの巻取り動作を示す平面図である。図17は、ステップS29およびS39における剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの巻取り動作を示す平面図である。
【0077】
ステップS29およびS39で、剥離ハンドH1,H2の各第2押え片65をG2方向に駆動させて、円柱部材63と第2押え片65とで保護フィルム22bを挟持させる。
【0078】
ステップS30およびS40で、剥離ハンドH1,H2をそれぞれI14,I24からI15,I25に向かって移動経路T13,T23に沿って移動させる。このとき、剥離ハンドH1,H2における各ローラ62の上部がそれぞれI15,I25側に回転するように回転駆動される。このようにして保護フィルム22bの巻取り作業が行われる。巻取り作業が完了すると、保護フィルム22bは、細い筒状にまとめられる。またこのとき、剥離ハンドH1,H2をそれぞれ液晶パネル11から離間する方向にも移動させることにより、前述する保護フィルム22bの残余の貼着部分を液晶パネル11から剥離しながら巻取ることができる。
【0079】
ステップS41で、剥離ハンドH2の第2押え片65をG1方向に駆動させることによって、保護フィルム22bの挟持を解除させる。ステップS31で、剥離ハンドH1を移動させて、細い筒状にまとめられた保護フィルム22bを処理装置2から外方まで移動させる。このとき、剥離ハンドH2の第2押え片65と保護フィルム22bの粘着面とが接着している可能性があるが、剥離ハンドH1において保護フィルム22bを挟持しているため、剥離ハンドH2の第2押え片65から容易に剥離させて、保護フィルム22bを処理装置2の外方まで移動させることができる。
【0080】
以上で処理装置2内における液晶パネル11からの保護フィルム22bの剥離処理が完了する。なお、液晶パネル11の裏面側に貼着されている保護フィルム22aに対しても、剥離ロボットR7,R8によって同様の剥離処理が行われ、液晶パネル11から保護フィルム22aが剥離される。
【0081】
再び図9に戻って、液晶パネル11から剥離され、剥離ロボットR1,R7によって処理装置2の外方まで移動された保護フィルム22は、ステップS11で、廃棄ロボット5によって受け取られる。
【0082】
ステップS12で、フィルム廃棄ロボット5によって受け取られた保護フィルム22を、廃棄コンベア6まで移動させて、廃棄コンベア6に上載させる。ここで、廃棄される保護フィルム22bではその外周面側が粘着面になるが、保護フィルム22bは細い筒状にまとまっているため、廃棄ハンド42の固定片43および可動片44を充分に薄くしておくことによって、廃棄ハンド42が保護フィルム22bを固定片43と可動片44との間に挟持した場合であっても、保護フィルム22bの粘着面と廃棄ハンド42との接触面積が小さくなるために、保護フィルム22bを廃棄ハンド42に付着させることなく、廃棄コンベア6に上載することが可能となる。廃棄コンベア6に上載された保護フィルム22は、C方向に搬送され、図示しない廃棄ボックス内に収容された後、廃棄される。
【0083】
このように本実施の形態の保護フィルム剥離装置は、保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離するとともに、剥離後の保護フィルムを可及的に小形の形状にまとめ、周囲の装置への付着をなくして廃棄することができる。また、1台の大形液晶パネルに対してだけでなく、2台の小形液晶パネルに対しても適用することができるので、サイズの異なる複数の液晶パネルに対し段取り替えを行う必要なく保護フィルムの剥離処理を行うことができる。したがって、段取り替えによる生産効率の低下をなくすことができる。
【0084】
以上に説明した保護フィルムの剥離処理では、同一平面内の2基の剥離ロボットによる保護フィルム剥離時の連携動作であったが、連携動作は必ずしも同一平面内である必要はなく、例えば液晶パネルの表裏に貼着されている保護フィルムの剥離に対して行っても良い。
【0085】
図18は、表裏両面に保護フィルム22a,22bが貼着された液晶パネル11を側面から見た模式図である。ここで、表側の保護フィルム22bを剥離するための剥離ハンドをH11とし、裏側の保護フィルム22aを剥離するための剥離ハンドをH12とする。剥離ハンドH11,H12は、図7に示される剥離ハンドH1と同様に構成され、保護フィルム22の初期剥離および巻取りが可能な剥離ハンドである。その他の保護フィルム剥離装置の構成要素は、略保護フィルム剥離装置1と同様であるため重複する説明は省略する。
【0086】
図18に示す剥離開始位置において保護フィルム22を初期剥離した剥離ハンドH11,H12を、図19に示す位置、すなわち液晶パネル11の端部の外方付近まで移動させる。そして、表側の保護フィルム22bの上に裏側の保護フィルム22aを重ねることによって、表裏両面の保護フィルム22a,22bを一体化して固定することができる。
【0087】
その上で図20に示すように保護フィルム22a,22bの非粘着面側に剥離ハンドH11,H12の円柱部材を挿入する。そして、保護フィルム22a,22bを液晶パネル11の表裏から同時に巻取っていくことによって、表裏の保護フィルム22a,22bを一体化して処理できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態の保護フィルム剥離装置1を概略的に示す平面図である。
【図2】液晶パネル11の断面図である。
【図3】処理装置2を概略的に示す側面図である。
【図4】処理装置2の第1層の構成を概略的に示す平面図である。
【図5】処理装置2の第2層の構成を概略的に示す平面図であり、1台の大形の液晶パネル11を保持する場合の状態を示す図である。
【図6】処理装置2の第3層の構成を概略的に示す平面図である。
【図7】剥離ロボットR1に設けられる剥離ハンドH1の構成を概略的に示す図であり、図7(a)は平面図であり、図7(b)は正面図である。
【図8】保護フィルム剥離装置1の制御系を説明するためのブロック図である。
【図9】保護フィルム剥離装置1全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】保護フィルム剥離装置1の処理装置2における剥離処理手順を示すフローチャートである。
【図11】剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの剥離動作を示す平面図である。
【図12】剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの折り返し動作を示す平面図である。
【図13】剥離ロボットR1,R2による大形液晶パネル11の保護フィルム22bの巻取り動作を示す平面図である。
【図14】処理装置2の第2層の構成を概略的に示す平面図であり、2台の小形の液晶パネル11を保持する場合の状態を示す図である。
【図15】剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの剥離動作を示す平面図である。
【図16】剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの折り返し動作を示す平面図である。
【図17】剥離ロボットR1,R2による小形液晶パネル11の保護フィルム22bの巻取り動作を示す平面図である。
【図18】表裏両面に保護フィルム22a,22bが貼着された液晶パネル11を側面から見た模式図である。
【図19】剥離ハンドH11,H12によって保護フィルム22a,22bの端部を接着させる状態を示す側面図である。
【図20】保護フィルム22a,22bの非粘着面側に剥離ハンドH11,H12の円柱部材を挿入した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0089】
1 保護フィルム剥離装置
2 処理装置
3 パネル供給コンベア
4 モジュール供給コンベア
5 フィルム廃棄ロボット
6 廃棄コンベア
7 パネル搬送装置
11 液晶パネル
22 保護フィルム
23 バックライトモジュール
R1,R2,R7,R8 剥離ロボット
R3〜R6 保持ロボット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向の一表面部に粘着性を有する粘着層が形成される保護フィルムが、その粘着層を介して一表面に貼着されている被貼着体から、前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置であって、
前記保護フィルムのうち前記被貼着体の前記一表面に沿う予め定める方向の一端部を保持して、前記被貼着体から前記保護フィルムのうち前記一端部を含む所定の範囲を剥離する第1剥離手段と、
前記保護フィルムの前記予め定める方向の他端部を保持して、前記被貼着体から前記保護フィルムのうち前記他端部を含む所定の範囲を剥離する第2剥離手段と、
前記保護フィルムを挟持する挟持部を有し、前記保護フィルムを前記挟持部によって挟持した状態で、前記挟持部を予め定める軸線まわりに回転駆動させて、前記保護フィルムを巻取るフィルム巻取り手段とを含み、
前記第1および第2剥離手段は、前記保護フィルムのうち前記第1剥離手段によって剥離された第1部分と、前記保護フィルムのうち前記第2剥離手段によって剥離された第2部分との一部分を、前記粘着層を介して互いに接着させ、
前記フィルム巻取り手段は、前記第1および第2剥離手段によって前記粘着層が接着された後に前記保護フィルムを巻取ることを特徴とする保護フィルム剥離装置。
【請求項2】
前記第1および第2剥離手段は、
前記保護フィルムに接着して前記被貼着体から前記保護フィルムを巻取る剥離ローラと、
前記剥離ローラに対し近接および離間する方向に移動可能な可動体とを有し、
前記剥離ローラによって巻取られた保護フィルムに対し、前記可動体を移動させて、前記剥離ローラと前記可動体との間で挟むことによって、保護フィルムを保持することを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項3】
前記挟持部は、前記剥離ローラに設けられ、前記剥離ローラを回転駆動させることによって、回転駆動されることを特徴とする請求項2に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項4】
前記被貼着体の一部を載置可能な載置面を有し、載置された被貼着体を吸着することによって固定可能な複数の保持手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項5】
前記フィルム巻取り手段によって巻取られた保護フィルムをフィルム巻取り手段から受け取るフィルム受取手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項1】
厚み方向の一表面部に粘着性を有する粘着層が形成される保護フィルムが、その粘着層を介して一表面に貼着されている被貼着体から、前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置であって、
前記保護フィルムのうち前記被貼着体の前記一表面に沿う予め定める方向の一端部を保持して、前記被貼着体から前記保護フィルムのうち前記一端部を含む所定の範囲を剥離する第1剥離手段と、
前記保護フィルムの前記予め定める方向の他端部を保持して、前記被貼着体から前記保護フィルムのうち前記他端部を含む所定の範囲を剥離する第2剥離手段と、
前記保護フィルムを挟持する挟持部を有し、前記保護フィルムを前記挟持部によって挟持した状態で、前記挟持部を予め定める軸線まわりに回転駆動させて、前記保護フィルムを巻取るフィルム巻取り手段とを含み、
前記第1および第2剥離手段は、前記保護フィルムのうち前記第1剥離手段によって剥離された第1部分と、前記保護フィルムのうち前記第2剥離手段によって剥離された第2部分との一部分を、前記粘着層を介して互いに接着させ、
前記フィルム巻取り手段は、前記第1および第2剥離手段によって前記粘着層が接着された後に前記保護フィルムを巻取ることを特徴とする保護フィルム剥離装置。
【請求項2】
前記第1および第2剥離手段は、
前記保護フィルムに接着して前記被貼着体から前記保護フィルムを巻取る剥離ローラと、
前記剥離ローラに対し近接および離間する方向に移動可能な可動体とを有し、
前記剥離ローラによって巻取られた保護フィルムに対し、前記可動体を移動させて、前記剥離ローラと前記可動体との間で挟むことによって、保護フィルムを保持することを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項3】
前記挟持部は、前記剥離ローラに設けられ、前記剥離ローラを回転駆動させることによって、回転駆動されることを特徴とする請求項2に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項4】
前記被貼着体の一部を載置可能な載置面を有し、載置された被貼着体を吸着することによって固定可能な複数の保持手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項5】
前記フィルム巻取り手段によって巻取られた保護フィルムをフィルム巻取り手段から受け取るフィルム受取手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−274838(P2009−274838A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128935(P2008−128935)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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