説明

保護管固定構造

【課題】金属製の保護管を簡単に固定できる構成を提供する。
【解決手段】保護管固定構造は、端末保護キャップ30と、プロテクタ20と、を備える。端末保護キャップ30は、内部の電線11を保護するための金属製の保護管12の端部に配置される。プロテクタ20は、端末保護キャップ30が配置された保護管12の端部の近傍を少なくとも覆う。端末保護キャップ30の外周面には、保護管12の周方向に沿って凸部36,37が形成される。プロテクタ20は、端末保護キャップ30を受けるキャップ受け部24を備える。当該キャップ受け部24には、端末保護キャップ30の外周面に沿った形状の接触壁25が形成される。そしてキャップ受け部24は、端末保護キャップ30の凸部36,37の間に嵌合するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を保護する金属管を固定するための固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車における高圧電線は太いため、車体の外底面に配索されることが多い。ところが、このような電線が車体の底面に露出していると、車体走行中に飛散した石などによって破損する可能性がある。この点、従来から、配索された電線や配管を保護するためのプロテクタが各種提案されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)。上記特許文献に記載されているプロテクタは、電線(又は配管)の直線状の部分を保護するように構成されている。しかし、電気自動車において前記高圧電線は複雑な配索経路で張り巡らされるから、直線状の部分のみを保護するタイプのプロテクタでは電線全体を保護することができない。
【0003】
一方で従来から、コルゲート管や蛇腹管などの保護管に電線を内挿して、電線を保護する構成が知られている(例えば特許文献3、特許文献4)。コルゲート管等は容易に変形させることができるので、複雑な経路で配索された電線にも対応することができる。ところがコルゲート管は一般的に肉薄の合成樹脂製であるため、車体走行中に飛散する石などの衝撃に耐え得るものではない。
【0004】
そこで、コルゲート管や蛇腹管の代わりに、金属管によって電線を保護する構成が考えられている(例えば特許文献5、特許文献6)。金属管は、自由に曲げて配管でき、車体走行中に飛散する石などによって破損するおそれも少ない。また、金属管はシールド性を持たせることができるので、電気自動車の高圧電線に対して用いることが特に好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−182352号公報
【特許文献2】実開昭62−19459号公報
【特許文献3】特開2002−186131号公報
【特許文献4】特開2009−143326号公報
【特許文献5】特開2004−171952号公報
【特許文献6】特開2008−177115号公報
【特許文献7】実開昭62−11053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電線の保護管としてコルゲート管を用いる場合であっても、金属管を用いる場合であっても、当該保護管の位置がズレないように固定する必要がある。
【0007】
この点、特許文献3は、コルゲート管の外径に合致させた半円状の凹部をプロテクタの下カバーに形成しておき、当該凹部にコルゲート管を収めて、上カバーとの間で挟み付けて固定する構成を開示している。この構成によれば、半円状の凹部をコルゲート管の凹凸に嵌めるという簡単な構成で、当該コルゲート管を固定することができる。またこの構成によれば、上下のカバーで挟み込むだけでコルゲート管を固定することができるので、当該固定作業を簡単に行うことができる。
【0008】
ところが、金属管はコルゲート管のような凹凸を有しておらず、そのような凹凸を金属管の表面に形成するのも困難である。従って、上記特許文献3の構成を金属管の固定に採用することはできない。
【0009】
一方、特許文献7は、配管を保護するための保護管(プロテクタ)にコ字状の切欠き部を設けて、この切欠き部に平板状の係止部材を固着した構成を開示している。そして、上記係止部材を、配管を締め付けているホースクランプの締付ボルト軸に掛止することで、保護管を固定する構成である。しかし、この構成では、保護管に切欠きを形成して係止部材を固着するなどの加工が必要となってしまう。また、保護管を固定するためのホースクランプを配管に締め付けなければならず、保護管の固定作業が面倒なものとなってしまう。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、金属製の保護管を簡単に固定できる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の観点によれば、以下の構成の保護管固定構造が提供される。即ち、この保護管固定構造は、キャップと、プロテクタと、を備える。前記キャップは、内部の電線を保護するための金属製の保護管の端部に配置される。前記プロテクタは、前記キャップが配置された前記保護管の端部の近傍を少なくとも覆う。前記キャップ及び前記プロテクタには、互いに嵌合する凹凸が形成されている。
【0013】
この構成によれば、キャップとプロテクタの凹凸を嵌合させるだけで、当該キャップが取り付けられた金属製の保護管をプロテクタに対して簡単に固定することができる。
【0014】
上記の保護管固定構造においては、前記キャップが樹脂又はゴム製であることが好ましい。
【0015】
即ち、樹脂やゴムであれば、凹凸を有する形状を簡単に形成することができるので、キャップの素材として特に好適である。
【0016】
上記の保護管固定構造は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記キャップの外周面には、前記保護管の周方向に沿って凸部又は凹部が形成される。前記プロテクタは、前記キャップの凹部又は凸部に嵌合するように形成されたキャップ受け部を備える。前記キャップ受け部には、前記キャップの外周面に沿った形状の接触壁が形成される。
【0017】
この構成で、接触壁にキャップを接触させることで、当該キャップが半径方向で動かないように固定することができる。また、周方向に沿って形成された凹凸にキャップ受け部を嵌合させることにより、キャップが軸方向で動かないように固定することができる。
【0018】
上記の保護管固定構造において、前記プロテクタは、前記保護管の前記端部から引き出された電線の少なくとも一部を覆って保護することが好ましい。
【0019】
即ち、保護管から引き出された電線は剥き出しの状態であるから、プロテクタによって覆って保護するように構成すれば好適である。
【0020】
上記の保護管固定構造において、前記キャップは、保護管の端面によって電線が傷付くことを防止するための端末保護キャップを兼ねていることが好ましい。
【0021】
これにより、電線が傷付くことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】プロテクタ内部の様子を示す平面図。
【図2】端末保護キャップの近傍を拡大した斜視図。
【図3】端末保護キャップの斜視図。
【図4】端末保護キャップを取り付けた状態の保護管の側面断面図。
【図5】プロテクタの上下カバーによって端末保護キャップを挟み込む様子を示す一部断面斜視図。
【図6】保護管固定構造の側面断面図。
【図7】保護管と端末保護キャップをテープで固定した様子を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る保護管固定構造10は、電気自動車において、内部に電線11を挿通させた金属製の保護管12を、プロテクタ20に対して固定するためのものである。図1に示すように、本実施形態に係る保護管固定構造10は、プロテクタ20と、端末保護キャップ30と、を備えている。
【0024】
前記保護管12は、飛散する石などから内部の電線11を保護するためのものである。なお本実施形態では、軽量化や耐腐食性の観点から、アルミニウム製(又はアルミニウム合金製)の保護管(アルミ管)を採用している。なお、このように金属製の保護管12を用いることにより、シールド性を持たせることができる。
【0025】
ところで、このような金属製の保護管12に電線11を挿通させると、当該保護管12の端面のエッジによって電線11が傷付いてしまうおそれがある。そこで本実施形態では、図1及び図2に示すように、保護管12の端面をカバーする合成樹脂製の端末保護キャップ30を、当該保護管12の端部に配置している。図3及び図4に示すように、この端末保護キャップ30は、外周カバー部32と、端面カバー部31と、を有している。外周カバー部32は、略円筒状に形成され、保護管12の外周面よりも外側に配置される。端面カバー部31は、外周カバー部32から半径方向内側に向けて延伸され、保護管12の端面に対向するように配置される。端面カバー部31は、保護管12の端面に近接又は接触して配置されており、これにより当該端面に電線が直接触れることが無いようになっている。
【0026】
端末保護キャップ30は樹脂製とされているので、端面カバー部31に電線11が接触しても、当該電線11が傷付くおそれは無い。もっとも、端末保護キャップ30はゴム製であっても良い。以上の構成により、保護管12の端面のエッジに電線11が接触することがないので、当該電線11が傷付くことを防止できる。
【0027】
なお、端末保護キャップ30の端面カバー部31は、保護管12の端部を全て覆っている訳ではなく、保護管12内の電線11を外部に引き出すことができるように挿通孔33が形成されている。また、外周カバー部32には切欠き34(図3)が形成されており、当該外周カバー部32を外側に拡げるように弾性変形させることができるようになっている。これにより、外周カバー部32を拡げながら端末保護キャップ30を保護管12に取り付けることができるので、当該端末保護キャップ30の取り付けが容易になる。
【0028】
プロテクタ20は、比較的肉厚の合成樹脂により形成されており、車体底面に固定される。このプロテクタ20は、電線11や保護管12を外側から覆うことにより、エンジンの排熱や、走行時に飛散する石などから電線11を保護するためのものである。本実施形態の場合、電線11は金属製の保護管12によって保護されているが、エンジンの排熱等から電線11を保護するために一部をプロテクタ20で保護しなければならない場合があり、このような場合にプロテクタ20を配置する。
【0029】
また、プロテクタ20は、上記のように電線11を保護する機能に加えて、電線11の配線経路を規制する機能も有する(なお、経路規制のみを目的としたプロテクタも存在する)。即ち、図1に示すように、プロテクタ20の内部には、電線11及び保護管12の配索経路に沿って適宜の区画壁23が形成されており、プロテクタ20内で複数の電線(及び保護管)が適切に配索できるように構成されている。
【0030】
ところで、上記のように保護管12を適切に配索するためには、プロテクタ20に対して保護管12がズレないように固定されている必要がある。ところが前述のように、金属製の保護管12の表面には凹凸が無いため、そのままでは保護管12を固定することが難しい。従って、従来は、金属製の保護管をプロテクタに対して簡単に固定することができなかった。そもそも従来は、金属製の保護管のように凹凸の無いものをプロテクタに固定するという発想が無かったので、金属製の保護管とプロテクタは別々に固定していた。このため従来は、当該固定作業に手間がかかっていた。
【0031】
一方で、端末保護キャップ30は樹脂製であるから、例えば射出成形などによって成形することで前記凹凸を容易に形成することができる。この点に着目し、本実施形態の保護管固定構造10では、プロテクタ20に対して保護管12を固定するために、端末保護キャップ30の外周に凹凸が形成されている。そして、端末保護キャップ30の凹凸を、プロテクタ20に形成された適宜の凹凸に嵌合させることにより、当該端末保護キャップ30をプロテクタ20に固定することができる。これにより、端末保護キャップ30を取り付けた状態の保護管12をプロテクタ20に固定することができる。即ち、端末保護キャップ30を介して間接的に保護管12を固定することができるのである。
【0032】
以下、より具体的に説明する。
【0033】
端末保護キャップ30の外周カバー部32には、保護管12の周方向(以下、単に「周方向」と言う)に沿ったリング状の凸部が形成されている。本実施形態において凸部は複数形成されており、保護管の軸方向(以下、単に「軸方向」と言う)で挿通孔33側から順に、第1凸部35、第2凸部36、第3凸部37となっている。また、外周カバー部32の外周面において、第1凸部35と第2凸部36との間の部分を第1凹部38、第2凸部36と第3凸部37との間の部分を第2凹部39とする。なお前述のように、外周カバー部32には切欠き34が形成されているので、この部分に形成されている第3凸部37及び第2凹部39は周方向で不連続となっている。このように凸部及び凹部が周方向で不連続な場合であっても、キャップ受け部に嵌合して端末保護キャップ30を固定するという効果(後述)を損なうことはない。
【0034】
プロテクタ20は上下に分割可能に構成されており、図5及び図6に示すように、電線11(及び保護管12)の下半分をカバーする下部カバー21と、電線11(及び保護管12)の上半分をカバーする上部カバー22と、から構成されている。なお、図1及び図2には、プロテクタ20の内部の様子を示すために下部カバー21のみ図示している。そして、下部カバー21と上部カバー22との間に電線11(及び保護管12)を挟み込むように配置することで、電線11(及び保護管12)を、エンジンの排熱や、飛散する石などから保護するように構成されている。このように、下部カバー21と上部カバー22との間には、電線11及び保護管12等を配索できるスペースが形成されている。
【0035】
また、下部カバー21及び上部カバー22には、端末保護キャップ30と対応した位置に、当該端末保護キャップ30を受けるためのキャップ受け部24が形成されている。
【0036】
キャップ受け部24は、下部カバー21(及び上部カバー22)からプロテクタ20の内側に向けて突出した凸部として形成されている。キャップ受け部24の軸方向の長さは、第2凹部39の軸方向の長さよりも若干短くなっている。これにより、図6に示すように、キャップ受け部24が、第2凸部36と第3凸部37の間に嵌合可能となっている。また、図5に示すように、キャップ受け部24には、第2凹部39の外周面の形状に沿った形状に形成された接触壁25が形成されている。これにより、キャップ受け部24が第2凸部36及び第3凸部37の間に嵌合すると、第2凹部39の外周面に接触壁25が接触できるようになっている。
【0037】
そして前述のように、キャップ受け部24は、下部カバー21と上部カバー22の両方に形成されている。従って、下部カバー21と上部カバー22とを合わせることにより、下部カバー21側のキャップ受け部24と、上部カバー22側のキャップ受け部24と、によって端末保護キャップ30を挟み込むことができる(図6の状態)。以上の構成により、端末保護キャップ30をプロテクタ20に対して固定することができる。
【0038】
より具体的には、端末保護キャップ30の外周面に対して、当該外周面に沿った形状の接触壁25が外側から接触することにより、端末保護キャップ30が保護管12の半径方向(以下、単に「半径方向」と言う)に動くことを阻止する。また、第2凸部36と第3凸部37がキャップ受け部24の軸方向縁部に接触してストッパの役割を果たし、端末保護キャップ30が軸方向に動くことを阻止する。以上のように、端末保護キャップ30の凹凸をキャップ受け部24に嵌合させることにより、当該端末保護キャップ30を固定することができるので、当該端末保護キャップ30を取り付けた状態の保護管12をプロテクタ20に対して固定することができるのである。
【0039】
また、保護管12内部の電線11は、当該保護管12の端部から外部に引き出されることになるが、このように外部に引き出された電線は剥き出しの状態であるから、別途プロテクタで覆わなければならない場合がある。この点、本実施形態のプロテクタ20は、保護管12の端部に配置された端末保護キャップ30に嵌合する構成であるから、少なくとも保護管12の端部近傍を覆って保護するように構成されている。従って、本実施形態のプロテクタ20によれば、保護管12の前記端部から引き出された電線11を無理なく覆って保護することができる。このように、上記実施形態の保護管固定構造10の構成は、電線11を保護するという保護管12本来の目的からしても極めて優れているのである。
【0040】
以上のように構成された保護管固定構造10によって保護管12を固定する作業は、以下のようにして行う。
【0041】
即ち、まず保護管12の端部に端末保護キャップ30を配置する。
【0042】
次に、当該保護管12の内部に電線11を挿入する。このとき、端末保護キャップ30によって保護管12の端面がカバーされているので、当該端面のエッジによって電線11が傷付くことがない。
【0043】
続いて、下部カバー21又は上部カバー22のキャップ受け部24に端末保護キャップ30の位置を合わせるようにして、保護管12を設置する。
【0044】
最後に、下部カバー21と上部カバー22を合わせて、端末保護キャップ30、保護管12、及び電線11を挟み込む。これにより、端末保護キャップ30がプロテクタ20に固定される。従って、端末保護キャップ30を取り付けた状態の保護管12も、プロテクタ20に対して固定されることになる。
【0045】
以上のように、保護管12に端末保護キャップ30を嵌めてプロテクタ20の上下カバーで挟み込むだけという簡単な作業で、当該保護管12をプロテクタ20に固定することができる。
【0046】
以上で説明したように、本実施形態の保護管固定構造10は、端末保護キャップ30と、プロテクタ20と、を備える。端末保護キャップ30は、内部の電線11を保護するための金属製の保護管12の端部に配置される。プロテクタ20は、端末保護キャップ30が配置された保護管12の端部の近傍を少なくとも覆う。そして端末保護キャップ30及びプロテクタ20には、互いに嵌合する凹凸が形成されている。
【0047】
この構成により、端末保護キャップ30とプロテクタ20の凹凸を嵌合させだけで、当該端末保護キャップ30が取り付けられた金属製の保護管12をプロテクタ20に対して簡単に固定することができる。
【0048】
また、本実施形態の保護管固定構造10において、端末保護キャップ30は樹脂製である。
【0049】
即ち、合成樹脂であれば、凹凸を有する形状を簡単に形成することができるので、端末保護キャップの素材として特に好適である。
【0050】
また、本実施形態の保護管固定構造10は、以下のように構成されている。即ち、端末保護キャップ30の外周面には、保護管12の周方向に沿って凸部36,37が形成される。プロテクタ20は、端末保護キャップ30の凸部36,37の間に嵌合するように形成されたキャップ受け部24を備える。当該キャップ受け部24には、端末保護キャップ30の外周面に沿った形状の接触壁25が形成される。
【0051】
この構成で、接触壁25に端末保護キャップ30を接触させることで、当該端末保護キャップ30が半径方向で動かないように固定することができる。また、周方向に沿って形成された凸部36,37にキャップ受け部24を嵌合させることにより、端末保護キャップ30が軸方向で動かないように固定することができる。
【0052】
また、本実施形態の保護管固定構造10において、プロテクタ20は、保護管12の端部から引き出された電線11の一部を覆って保護している。
【0053】
即ち、保護管12から引き出された電線は剥き出しの状態であるから、プロテクタ20によって覆って保護するように構成すれば好適である。
【0054】
また、本実施形態の保護管固定構造10において、端末保護キャップ30は、保護管12の端面によって電線11が傷付くことを防止している。
【0055】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0056】
上記実施形態では、プロテクタ20は車体底面に固定されるとしたが、これに限らずプロテクタ20は車体の各部に配置することができる。そもそも、本発明の保護管固定構造は、電気自動車に限らず、保護管を固定する必要がある場合に広く適用することができる。
【0057】
保護管12が長い場合などは、当該保護管12の端末部に加えて、中間部も固定したほうが良い場合がある。このような場合は、保護管12の中間部の外周に、凹凸のある環状固定部材を設けても良い。この環状固定部材は、保護管12の中間部に対してクランプ等で固定することができる。この環状固定部材の凹凸を、プロテクタ等の車両側固定部品に適宜形成された凹凸と嵌合させることにより、保護管12の中間部を車両側固定部材に固定することができる。
【0058】
端末保護キャップ30の凸部(及び凹部)の形状や、キャップ受け部24の形状は、図示したものに限らない。要は、端末保護キャップ30の凸部(及び凹部)とキャップ受け部24が嵌合することにより、端末保護キャップ30を固定することができれば良い。
【0059】
なお、上記の説明では、端末保護キャップ30の凹凸とキャップ受け部24とが嵌合するとして説明したが、これは完全に嵌まり合っている場合に限らず、両者の間に若干の遊びがある場合も含む。例えば上記実施形態では、図6等に示すように、第2凸部36及び第3凸部37と、キャップ受け部24と、の間には、軸方向で若干の隙間が形成されている。同じく図6に示すように、上下のカバーを合わせた状態において、第2凹部39の外周面と、接触壁25との間には、保護管12の半径方向で若干の隙間が形成されている。このように、端末保護キャップ30の凹凸とキャップ受け部24との間に遊びを形成することで、保護管12の形状のバラつきに対応することができる。即ち、保護管12は、所定の形状に曲げ加工されたうえでプロテクタ20に固定されるが、金属管を精度良く曲げ加工することは難しいため、形状のバラつきが発生し易い。特に、電気自動車等に採用される保護管12は非常に長いので、曲げ部分での誤差が小さかったとしても、先端部分の位置ズレは大きくなってしまう。このように保護管12の先端部分の位置にズレがあった場合であっても、上記のように端末保護キャップ30の凹凸とキャップ受け部24との間に遊びを形成しているので、余裕を持ってプロテクタ20に対して保護管12を固定することができる。
【0060】
図面では、一本の太い電線11が保護管12によって保護されている様子が示されているが、保護管12で複数本の電線11を保護する構成であっても良いことは言うまでもない。
【0061】
端末保護キャップ30を保護管12に取り付ける際には、図7に示すように、外周カバー部32の外周(より正確には、第2凹部39の外周)にテープ40を巻き付けるようにしても良い。第2凹部39には切欠き34が形成されているので、この部分で保護管12の外周面にテープ40を接触させることができる。これにより、端末保護キャップ30と保護管12とを、テープ40によって確実に固定することができる。なお、この場合、第2凹部39の軸方向両端に形成された第2凸部36及び第3凸部37は、第2凹部39の外周に巻き付けられたテープ40の位置ズレ防止部材としての役割を兼ねる。
【0062】
なお、端末保護キャップ30には切欠き34が形成されているとして説明したが、切欠き34が無い場合であっても本発明の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 保護管固定構造
11 電線
12 保護管
20 プロテクタ
24 キャップ受け部
25 接触壁
30 端末保護キャップ(キャップ)
36,37 凸部
39 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の電線を保護するための金属製の保護管の端部に配置されるキャップと、
前記キャップが配置された前記保護管の端部の近傍を少なくとも覆うプロテクタと、
を備え、
前記キャップ及び前記プロテクタには、互いに嵌合する凹凸が形成されていることを特徴とする保護管固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の保護管固定構造であって、
前記キャップが樹脂又はゴム製であることを特徴とする保護管固定構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の保護管固定構造であって、
前記キャップの外周面には、前記保護管の周方向に沿って凸部又は凹部が形成され、
前記プロテクタは、前記キャップの凹部又は凸部に嵌合するように形成されたキャップ受け部を備え、
前記キャップ受け部には、前記キャップの外周面に沿った形状の接触壁が形成されていることを特徴とする保護管固定構造。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の保護管固定構造であって、
前記プロテクタは、前記保護管の前記端部から引き出された電線の少なくとも一部を覆うことを特徴とする保護管固定構造。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の保護管固定構造であって、
前記キャップは、保護管の端面によって電線が傷付くことを防止するための端末保護キャップを兼ねていることを特徴とする保護管固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−139001(P2012−139001A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288498(P2010−288498)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】