説明

信号処理回路

【課題】入力信号におけるリーダーコードの波形がノイズによって毀損される場合であっても、長押操作に相当する入力信号であるか否かの判断を的確にし得る信号処理回路を提供する。
【解決手段】照明機器100には、入力信号SGiに形成された起動信号毎に起動され、且つ、入力信号SGiに基づいてデジタルデータ化された入力情報を認識する信号認識処理(SP1)が実行されるプログラムを格納させた信号処理回路142が設けられ、
かかる入力信号は、頭出しを認識させると供に省略情報または非省略情報の何れか一方が形成されたリーダーコードとリーダーコードの直後に配列されるフォロワーコードとから構成され、
前記信号認識処理(SP1)では、省略情報または前記非省略情報の何れを認識した場合であっても、次回に起動される信号認識処理が前記フォロワーコードの認識処理を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光装置から供給される入力信号を認識する信号処理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、操作部(以下、リモコンという)を用いて被操作部を遠隔的に操作させる電器機器の商品化が広く行われている。かかる電器機器は、リモコンから送信される操作信号を被操作部の受光装置が受信し、これにより、被操作部では、操作信号が入力信号に変換され、当該入力信号が論理演算されることにより、適宜な駆動制御が実現される。また、かかる操作信号は、赤外線信号を用いる方式が広く採用されており、今日に至っては、被操作部とリモコンとの通信精度を改善させる種々の検討が成されている。
【0003】
例えば、特開平6−267661号公報(特許文献1)では、リモコンで遠隔操作される照明機器(特許請求の範囲における被操作部)の技術が紹介されている。かかる照明機器は、マイコン(特許請求の範囲における信号処理回路)と、赤外線リモコン信号(特許請求の範囲における赤外線信号)を受信する受光部と、受光部とマイコンとの間に光ノイズによるパルス継続時間を遅延させる遅延手段とを備える。そして、かかる構成を具備する照明機器では、赤外線信号に重畳される光ノイズの周波数を低下させ、マイコンが誤動作を行う周波数域の信号波形を改善させ、これにより、光ノイズに起因するマイコンの誤動作防止が図られている。
【0004】
また、近年の赤外線信号は、信号の頭出しを認識させるリーダーコードと、リモコン装置から送信される赤外線信号の属性を認識させるカスタムコードと、所定の指令情報を具備するデータコードと、信号の末尾を認識させるトレーラコードとを構成させることが義務付けられている。更に、操作者がリモコンの操作ボタンを押し続ける動作を行う場合(所謂、長押操作を行う場合)、図5(b)に示す如く、リーダーコードLCの所定箇所に長押情報Rpを形成させ、併せて、リーダーコードLCの後段の波形を省略させる。そして、信号処理回路では、長押情報Rpを認識することにより長押操作状態であるか否かが判定され、これにより、リモコンでは消費電力が抑制され、併せて、信号処理回路では信号認識処理の簡素化が図られる。
【0005】
【特許文献1】特開平6−267661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、長押情報を認識処理する構成とされた信号処理回路の場合、特許文献1の技術では、入力信号における光ノイズのピッチが変更されるだけであるため、リーダーコードには光ノイズが重畳されてしまう。このとき、信号処理回路では、光ノイズを長押情報であると誤認識する虞があり、リモコンから送信される実際の指令を認識できなくなるとの問題が生じる。
【0007】
また、照明機器に白熱灯が取り付けられる場合、高い赤外線スペクトルが白熱灯から受光装置に対して照射されるため、受光装置で変換された入力信号に光ノイズが重畳され、信号処理回路では、リーダーコードの光ノイズを長押情報であると誤認識し、リモコンから送信される実際の指令情報を認識できなくなるとの問題が生じる。
【0008】
更に、照明機器にインバータ回路によって駆動される放電灯が取り付けられる場合、インバータ回路で発生する高周波が入力信号に対して高周波ノイズを誘発させ、これにより、信号処理回路では、リーダーコードの高周波ノイズを長押情報であると誤認識し、リモコンから送信される実際の指令情報を認識できなくなるとの問題が生じる。そして、放電灯を点灯させた直後のリーダーコードでは、インバータ回路で発生する高周波が高まり、高周波ノイズの分布が更に顕在化されるとの問題も発生する。
【0009】
本発明は上記課題に鑑み、入力信号におけるリーダーコードの波形がノイズによって毀損される場合であっても、長押操作に相当する入力信号であるか否かの判断を的確にし得る信号処理回路の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では次のような信号処理回路の構成とする。すなわち、操作部から送信される操作信号を入力信号へと変換させる信号変換回路に接続され、前記信号変換回路を具備する被操作部に設けられ前記入力信号に基づき前記被操作部を駆動制御させ、前記入力信号に形成された起動信号毎に起動され前記入力信号に基づいてデジタルデータ化された入力情報を認識する信号認識処理(SP1)が実行されるプログラムを少なくとも備える信号処理回路において、前記入力信号は、頭出しを認識させると供に省略情報または非省略情報の何れか一方が形成されたリーダーコードと前記リーダーコードの直後に配列されるフォロワーコードとから構成され、前記信号認識処理(SP1)は、前記省略情報または前記非省略情報の何れを認識した場合であっても、次回に起動される信号認識処理が前記フォロワーコードの認識処理を実行させる。このとき、前記信号認識処理(SP1)は、前記省略情報を具備する省略型入力信号又は前記非省略情報を具備する非省略型入力信号の何れに該当するかを判定する省略情報判定処理(S117)を実行させるプログラムを備え、前記省略情報判定処理(S117)による判定結果が省略型入力信号判定又は非省略型入力信号判定の何れの場合であっても、次回に起動される信号認識処理(SP1)が前記フォロワーコードの認識処理を実行させるのが好ましい。また、前記入力信号は、赤外線信号に基づいて変換された電気信号であることが好ましい。更に、前記電器機器は、放電灯及び/又は白熱灯を具備する照明機器であることが好ましい。更に、前記信号認識処理(SP1)は、更に、前記フォロワーコードを構成する受信信号のうち先頭信号の後段に配列される非先頭信号に該当するか否かを判定する受信信号判定処理(S104)と、前記受信信号判定処理によって非先頭信号に該当しないと判定された場合に前記受信信号が前記先頭信号に該当するか否かを判定する先頭信号判定処理(S105)とを実行させ、前記受信信号判定処理(S104)及び/又は前記先頭信号判定処理(S105)の処理結果に基づいて前記省略情報判定処理(S117)を実行させるプログラムを備えることが好ましい。更に、前記信号処理回路は、前記指令情報に基づいて出力信号を選定させる出力信号処理(SP2)を備え、前記出力信号処理(SP2)は、メモリ回路に格納された前回受信データと前記信号認識処理(SP1)で新たに認識された受信データとを比較させる比較処理(S124)を実行させるプログラムを少なくとも備えることが好ましい。加えて、前記操作部は、前記赤外線信号を照射し、所定のボタンを長押しすることにより前記信号処理回路に対して前記省略情報を伝達させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る信号処理回路によれば、リーダーコードに形成される長押情報の有無に関わらず、フォロワーコードの信号を認識する処理を実行させるので、フォロワーコードの受信データに基づいて入力信号が解読され、これにより、被操作部の適正な動作制御の実現が図られる。
【0012】
また、本発明に係る信号処理回路を備える照明機器によれば、フォロワーコードに基づいて被操作部の指令情報を認識するので、赤外線スペクトルの強い白熱灯を用いる場合でも、高周波ノイズを誘発させる放電灯を用いる場合でも、リモコンから送信される赤外線信号に基づいて応答性良く調光制御が実施される。
【0013】
更に、本発明に係る信号処理回路を備える照明システムによれば、フォロワーコードに基づいて被操作部の指令情報を認識するので、前述した照明機器同様に、リモコンから送信される赤外線信号に基づいて応答性良く調光制御が実施される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態につき図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図2には、実施例1に係る照明機器(特許請求の範囲における被操作部)が示されている。また、当該照明機器100の動作を遠隔操作させるリモコンRC1が併せて示されている。図示の如く、照明機器100は、電装部110と白熱灯120と受光装置130と制御装置140とから構成される。電装部110は、受光装置130及び制御装置140を格納させる筐体と、筐体及び白熱灯120を覆う傘部と、白熱灯120を螺合させ電気的に接続させるソケット110aと、ソケット110aと電気的に接続されたケーブル110bと、設備電源及びケーブル110bを電気的に接続させる配電ボックス110cとから構成される。また、受光装置130は、内部にフォトダイオード及び信号変換回路130aを備え、受光部から侵入する赤外線信号を受信し制御装置140に供給する入力信号へと変換させる。制御装置140は、信号処理回路及びドライブ回路を主構成要素とし、受光装置130から供給される入力信号に基づいて白熱灯120を適宜に発光又は消灯させる。尚、信号処理回路及びドライブ回路の構成及び作用については追って詳述する。リモコンRC1は、電源ボタンB1a及びB1bと調光ボタンB2a及びB2bを備え、これらのボタンを操作することにより操作されたボタンに応じた赤外線信号を照射させる。かかるリモコン装置RC1は、電源ボタンB1aを短押しさせると白熱灯120を点灯させ、電源ボタンB1bを短押しさせると白熱灯120を消灯させ、電源ボタンB2aを長押しさせると白熱灯の光量を増加させ、電源ボタンB2bを長押しさせると光量を減少させる。ここで、「短押し」とは、ボタンを押し続ける時間が一定閾値未満とされる人為的操作状態をいい、「長押し」とは、ボタンを押し続ける時間が一定閾値以上とされる人為的操作状態をいう。かかる閾値は、操作者が「短押し」若しくは「長押し」と感じる時間の境界部に適宜に設定されている。
【0016】
図3には、本実施例に係る照明機器100の制御装置140を示す機能ブロック図が示されている。尚、同図には、照明機器100に設けられる白熱灯と設備電源ACとが便宜的に示されている。図示の如く、制御装置140は、発振回路141と信号処理回路142とドライブ回路143とから構成される。また、制御装置140は、信号処理回路142が信号変換回路130a及びドライブ回路143の入力部に接続され、ドライブ回路143の出力部が白熱灯120及び設備ACから成る直列回路に接続されている。そして、かかる構成により、照明機器100は、信号変換回路130aから供給される入力信号SGiに基づき駆動制御される。
【0017】
発振回路141は、水晶またはセラミック等の発振子を具備し、信号処理回路142に接続され当該信号処理回路142に対して基準クロックを提供する。
【0018】
信号処理回路142は、入力端子及び出力端子を適宜備え、メモリ及び演算回路及び制御回路から構成されるマイクロプロセッサを備える。そして、信号変換回路130aと発振回路141とが入力端子に接続され、ドライブ回路143が出力端子に接続される。かかる構成により、信号処理回路142は、信号変換回路130aから供給される入力信号と発振回路141から供給される基準クロックとに基づき、所定のルールに従って演算処理を行いドライブ回路143へ出力信号を出力させる。
【0019】
ドライブ回路143は、抵抗素子R1〜R4とコンデンサC1及びC2とトランジスタTrとトライアックTaと誘導コイルLとから構成される。図を参照すると、トランジスタTrは、ベース端子が抵抗素子R1を介して信号処理回路142へ接続され、エミッタ端子がグランドへアースされ、コレクタ端子が抵抗R3を介してトライアックTaへ接続されている。また、トランジスタTrでは、ベース端子とエミッタ端子との間に抵抗素子R2が接続されている。かかるトランジスタTrは、バイポーラトランジスタ又はMOSFET等この他電気的スイッチング素子が適宜に用いられる。トライアックTaは、白熱灯120及び設備電源ACより成る直列回路に対して並列に接続される。また、トライアックTaのゲート端子と白熱灯120との間には、コンデンサC2及び抵抗R4から成る並列回路が接続され、サージ対策が施されている。更に、トライアックTaと設備電源ACとの間に接続された誘導コイルLとトライアックTaに並列に接続されたコンデンサC1とによって、白熱灯120の保護回路が形成される。かかる構成により、ドライブ回路143は、信号処理回路142から供給された出力信号に基づいて、白熱灯120の点灯又は消灯又は光量調節を実現させる。尚、ドライブ回路143の構成は、同図に示した回路構成に限定するものでなく、フォトカプラを用いたSSR(Solid State Relay)又はこの他の電気的に操作し得るリレー回路を用いて構成させることが可能である。
【0020】
次に図4を参照して、赤外線信号が信号変換回路130aによって変換された入力信号SGiの構成について説明する。先ず図4(b)を参照すると、かかる入力信号SGiは、常時High状態とされ、0.56msecを単位パルス幅Tとする複数のパルス波によって構成される様子が示されている。具体的には、リーダーコードLCとフォロワーコードFCとトレーラコードTCとから入力信号が構成される。リーダーコードLCは、16TのLow値と8TのHigh値とから成り、信号の先頭を示すマーカー機能を担う。フォロワーコードFCは、リーダーコードLC後の隙間SCの後段に配され、1TのHigh値及び1TのLow値から成る0値信号と3TのHigh値及び1TのLow値から成る1値信号との組合せによって構成される。尚、隙間SCとは、本来カスタムコードの一部を構成するものであって、本実施例に係る処理に何ら影響を与える構成ではなく、説明の便宜上設けられたものである。図示の如く、フォロワーコードFCは、カスタムコードCCとデータコードDCとミラーコードMCとから構成され、0値信号若しくは1値信号の組合せによって16ビット若しくは8ビットの信号群を形成する。カスタムコードCCは、8ビットの信号群CC0及びCC1とから構成され、赤外線信号に格納された製造会社情報及び製品情報を識別させ、特定のリモコンRC1からの信号に対して指令の受け入れを許可させる。データコードDCは、予め割り当てられた出力情報に相当する信号群が形成される。本実施例では、出力情報が、消灯指令に対して「00(16進数」又は「00000000(2進数)」、点灯指令に対して「04」又は「00000100」、光量増加指令に対して「05」又は「00000101」、光量減少指令に対して「06」又は「00000110」に割り当てられている。尚、入力信号SGiには、2進数に対応する「0」又は「1」の値が0値信号又は1値信号にて構成される。ミラーコードMCは、データコードDCの信号を反転させた値によって構成され、データコードDCの誤認識を判定する際に用いられる。トレーラコードTCは、1TのLow信号と16TのHigh信号とから成り、信号の末尾を示すマーカー機能を担う。そして、信号処理回路142では、入力信号に表現された信号群が図4(a)に示される受信データDrとして認識される。尚、同図にて説明した入力信号の構成はリモコンRC1のボタンを「短押し」した際の波形が示されている。一方、ボタンを「長押し」する際には、信号波形を簡素化させ、これにより、リモコンRC1に設けられる電池の消耗低下が図られている。以下、リモコンRC1のボタンを「長押し」した場合における、入力信号SGiの構成について説明する。
【0021】
図5(a)には、短押情報(特許請求の範囲における、非省略情報)が表現された場合のリーダーコードLCに対応する拡大波形図が示されている。即ち、短押情報が表現された入力信号SGiとは、図4(b)に示す波形そのものを指し、リーダーコードLCに対応する波形に何ら付加的波形が形成されていない状態をいう。尚、リーダーコードLCの後段には、図4(b)に示す如くフォロワーコードFC及びトレーラコードTCが順次配置される。
【0022】
図5(b)には、長押情報Rp(特許請求の範囲における、省略情報)が表現された場合のリーダーコードLCに対応する拡大波形図が示されている。かかる場合には、リーダーコードLCのHigh信号部LCHに所定幅の長押情報Rpが形成されている。また、リーダーコードLCの後段(**部)では、波形がHigh状態に維持され、これにより、リモコンRC1及び信号処理回路142における動作の簡素化が図られる。
【0023】
図5(c)には、短押情報が表現された場合であってHigh信号部LCHにノイズが重畳された状態が示されている。かかる場合には、High信号部LCHに1箇所又は複数箇所のノイズNp1〜Np3が形成される。また、リモコンRC1の操作者は短押操作を行っているので、リーダーコードLCの後段では、フォロワーコードFC及びトレーラコードTCが順次配列されることとされる。かかる如く、長押情報Rpが表現されたリーダーコードLCとHigh信号部LCHにノイズNpが重畳されたリーダーコードLCとでは、酷似した波形とされる場合が有るので、従来の信号処理回路では、後者のリーダーコードLCを長押情報が表現されたリーダーコードLCとして誤処理してしまう場合があった。そこで、本実施例では、これを改善し、以下の如くリーダーコードLCの後段の信号を解読することにより、長押情報Rpが表現されたリーダーコードLCとHigh信号部LCHにノイズNpが重畳されたリーダーコードLCとの判別精度を向上させる工夫が成されている。
【0024】
先ず、図6を参照して、信号処理回路142で実行される処理ルーチンの構成について説明する。かかる処理ルーチンは、基幹動作の処理手順が規定されているメインルーチンMPと、所定の条件が整った時にメインルーチンMPの動作を一時中断させ優先的に所定の処理を実行させるサブルーチンSPとから構成される。メインルーチンMPは、電源の供給が開始された場合又はリセット動作を開始させる場合に主電源の供給を認識する電源認識処理MPaと、前段の電源認識処理MPaを受けてメモリ又はレジスタに記録された不要な記録をクリヤさせる初期化処理MPbと、前段の初期化処理MPbが完了した後、受光装置130から供給される入力信号から情報を抽出する入力処理MPcと、入力処理MPcによって得られた入力情報を基礎として出力信号を演算させる演算処理MPdと、演算処理MPdにて演算された出力信号を所望のタイミングで供給して照明機器を駆動制御させる出力制御処理MPeとから構成されるプログラムによって実行される。かかるメインルーチンMPは、一度起動されると、入力処理MPcを起点として演算処理MPdを介し出力処理MPeへと導引される一連の処理を反復的に循環処理させる。一方、サブルーチンSPは、少なくとも二つの割込処理を備え、具体的には、信号認識処理SP1と出力信号処理SP2とから構成される。このうち、信号認識処理SP1では、入力信号に形成された起動信号毎に起動され当該入力信号に基づいて受信データDrを指令情報として認識する。尚、本実施例において、起動信号は、リーダーコードLCの立ち下がりエッジEL、又は、フォロワーコードFC及びトレーラコードTCの立ち上がりエッジEC01〜EC08及びEC11〜EC18及びECD1〜ECD8及びECM1〜ECM8及びECT1を対象としているが、これに限らず、起動信号は、立ち下がりエッジのみを検出するようにしても良い。一方、出力信号処理SP2では、受信データを基礎とする指令情報に基づいて出力信号を選定させる。そして、かかる如く選定された出力信号は、メインルーチンMPの循環処理時に用いられ、出力処理MPeにおいてドライブ回路143へと出力される。以下、信号認識処理SP1及び出力信号処理SP2について詳述する。
【0025】
図1には、信号認識処理の処理手順を説明するフローチャートが示されている。先ず、短押情報が形成された際の処理手順について説明する。信号認識処理SP1は、リーダーコードLCの立ち下がりエッジEL又はフォロワーコードFC及びトレーラコードTCの立ち上がりエッジが検出された際に、起動が開始される。そして、信号認識処理が起動される毎に、先ず、入力信号SGiにおける立ち下がり信号ELがノイズによらない適正信号であるか否かを判定する(S101)。かかるS101の処理では、入力信号SGiにおけるトレーラコードTCの立ち上がりエッジECT1からリーダーコードLCの立ち下がりエッジELが現れる迄の最短時間がマスク期間として予め規定されており、かかるマスク期間と実際に検出したトレーラコードTCの立ち上がりエッジECT1からリーダーコードLCの立ち下がりエッジEL迄の実測期間とを比較し、当該実測期間がマスク期間よりも長期間の場合に今回の立ち下がりエッジを適正なトレーラコードTCの立下りエッジELであると判定し、当該実測期間がマスク期間よりも短期間の場合に今回の立下りエッジがノイズによるものであると判定する。このとき、具体的には、信号処理回路SP1では、メモリに記録されたREM_MASK30MS が「1」とされている情報を認識し、これにより、今回検出したエッジがノイズによるものであると判定する。この場合、リセット処理(S116)では、起動の起点とされたエッジからサンプリングエッジが所定回数以上計数されたかを記録するエッジカウンタ(CNT_EDGE_OK)と、レジスタ内に何ビット目まで記録されているかがカウントされたビットカウンタ(CNT_BIT)と、フォロワーコードの各構成コードに対応する番号が記録されたコードナンバー(CODE_NUM)と、現在検出されたエッジが、リーダーコードLCに配置されるか(REM_STATUS=1)、リーダーコードLCの末尾とフォロワーコードFCの先頭との間に配置されるか(REM_STATUS=2)、フォロワーコードFC内に配置されるか(REM_STATUS=3)の何れに分類されるかを認識させるシグナルステイタス(REM_STATUS)とを、全て「0」の状態にオールクリアさせる。前述の如く、信号認識処理SP1の起動を開始させたエッジがマスク期間を経過していない場合には、リセット処理(S116)の実行後、信号認識処理SP1の処理を終了させ、図6で示されるメインルーチンMPに戻される。尚、サンプリングエッジとは、タイマカウントに基づいて生成された数マイクロ秒毎に出力される単位エッジをいい、かかる単位エッジを基礎として各々のパルス幅が演算される。このとき、エッジカウンタ(CNT_EDGE_OK)は、例えば、起動の起点とされたエッジから起算してサンプリングエッジが何回出力されたかをカウントする処理である。そして、信号認識処理SP1では、サンプリングエッジが所定回数カウントされる迄に他のエッジが生じない場合に、起動の起点とされたエッジがノイズによらないエッジであると認識する。
【0026】
従って、S116マスク期間が経過した場合、メモリに記録されたREM_MASK30MS が「0」に書き換えられる。そして、次に立ち下がりエッジを検出した場合、マスク期間判定処理(S101)では、REM_MASK30MS が「0」とされている情報を認識し、マスク期間経過後の立ち下がりエッジであると判定する。即ち、入力信号SGiにおけるリーダーコードLCの先頭が受信されている状態であると認識する。この後、入力信号SGiの波形状態をサンプリングさせるために実行されるタイマカウントが開始される(S102)。かかる後、今回検出したエッジが「立ち下がりエッジ」であるか「立ち上がりエッジ」であるかを判定する(S103)。従って、今回受信されたエッジはリーダーコードLCの先頭の立ち下がりエッジであるため、S103の処理後、エッジカウンタ(CNT_EDGE_OK)及び受信カウンタ(CNT_REM)をクリアさせる省略未判定初期化処理が実行される(S107)。ここで、受信カウンタ(CNT_REM)とは、起動エッジを起点としてサンプリングエッジが計数され、当該計数値が入力信号のパルス幅を測定する際に用いられる。そして、省略未判定初期化処理(S107)後、信号認識処理SP1の処理を終了させメインルーチンMPに再び戻される。尚、リーダーコードLCの立ち下がりエッジを検出する際のシグナルステイタス(REM_STATUS)は、前回処理された入力信号SGiにおいてリセット処理(S116)が実行されているので、これにより、リセット状態が維持されて「0」とされている。
【0027】
かかる後、信号認識処理SP1が次の立ち上がりエッジEC01によって起動されると、S103では今回のエッジが「立ち上がり」であると認識され、このとき、シグナルステイタス(REM_STATUS)が「0」から「2」に書き換えられる。かかる処理の後、受信信号判定処理(S104)が実行される。受信信号判定処理(S104)では、今回受信した受信信号SGrがフォロワーコードFCのうち先頭信号SGaの後段に配列される非先頭信号SGbに該当するか否かを判定する処理を実行する。即ち、8ビットコードCC0の先頭エッジEC01を除く後段の立ち上がりエッジであるか否かを判定する。具体的に説明すると、受信信号判定処理(S104)では、シグナルステイタス(REM_STATUS)が「2」とされているか否かを判定する処理が実行され、これにより、今回受信されたエッジに対して先頭エッジEC01とされる可能性の有無が判定される。尚、ここで呼ばれる受信信号SGrとは、各々のパルス波形の状態を指し、パルス信号認識処理(S108)によってデジタルデータ化される前の状態を指す。また、受信データDrとは、各々のパルス波形がレジスタ又はメモリに格納され、デジタルデータ化された状態を指す。更に、信号認識処理SP1は、図5に示されるリーダーコードLCのLCLとLCHとの境界部近傍のエッジEL’を認識させないマスク期間が設けられているので、エッジEL’によって起動開始されることは無い。
【0028】
S104においてシグナルステイタス(REM_STATUS)が「2」であると判定されると、先頭信号判定処理(S105)が実行される。先頭信号判定処理(S105)では、受信信号判定処理(S104)において先頭コードEC01の可能性が有ると判定された受信信号SGrに対して、当該受信信号が先頭信号EC01に該当するか否かを最終的に判定する。ここでは、今回受信したエッジが閾値Y〜Z(図5参照)の範囲内にレイアウトされているか否か判定する処理を実行させる。仮に、今回受信したエッジがZよりもトレーラコードTC側にレイアウトされる場合には、当該エッジがフォロワーコードFCの先頭エッジEC01でないと判定され、リセット処理(S116)が実行される。但し、今回受信したエッジが閾値Y〜Zの範囲にレイアウトされる場合には、先頭立ち上がりエッジ受信処理(S106)が実行される。かかる先頭立ち上がりエッジ受信処理(S106)では、シグナルステイタス(REM_STATUS)が「2」から「3」へと書き換えられ、且つ、前述したビットカウンタ(CNT_BIT)及びコードナンバ(CODE_NUM)をクリアさせる。そして、かかる処理後、前述した省略未判定初期化処理(S107)を実行させ、次の立ち上がりエッジの受信準備を整え、信号認識処理SP1の処理を終了させメインルーチンMPに再び戻される。尚、図4(c)に示す如く閾値YとリーダーコードLCの立ち下がりエッジEeとの間にノイズNp3が生じた場合、ノイズNp3の立ち上がりエッジEn3を先頭エッジEC01と誤認してしまうとの不具合が懸念される。しかし、本実施例に係る技術では、閾値Yの位置をリーダーコードLCの立ち下がりエッジEeに接近させることによりノイズNp3の発生を排除させている。このとき更に、エッジカウンタ(CNT_EDGE_OK)のカウント値が「2」以下のパルスに対しては、受信したエッジがノイズであると判定する機能を採用しても良い。
【0029】
更に後、先頭エッジに隣接する次のエッジEC02が受信されると、今回の信号認識処理SP1における受信信号判定処理(S104)では、前回の信号認識処理SP1においてシグナルステイタス(REM_STATUS)が「3」に書き換えられているため、今回の受信信号SGrは必ず非先頭エッジであると判定される。かかる判定処理後、受信信号SGrが0値信号であるか1値信号であるかを判定するパルス信号認識処理が実行される(S108)。その後、受信信号SGrがレジスタ格納処理(S109)によって受信データDrとしてレジスタ内に格納され、全てのフォロワーコードFCが認識されない状態では(S110)、省略未判定初期化処理(S107)が実行され、再び、信号認識処理SP1の処理を終了させメインルーチンMPに戻される。かかる後、立ち上がりエッジが生じる毎に、レジスタ格納処理(S109)では、ビットカウンタ(CNT_BIT)のカウント値を更新させ、レジスタ内に受信データDrを8ビット分格納する迄繰り返される(S110)。そして、レジスタ内に受信データDrが8ビット分格納される毎に、コードナンバ(CODE_NUM)を読み出し、コードナンバ(CODE_NUM)と8ビットの受信データDrとを関連付ける。このとき、コードナンバ(CODE_NUM)では、コードデータCC0に対して「CODE_NUM =0」と、コードデータCC1に対して「CODE_NUM =1」と、データコードDCに対して「CODE_NUM =2」と、ミラーコードMCに対して「CODE_NUM =3」と割り当てさせる。そして、受信完了した8ビットの受信データDrは、コードナンバ「CODE_NUM =0」又は「CODE_NUM =1」とされる場合、会社名又は製品に応じて規定される参照データと比較照合され、互いに一致する場合にデータコードDCの読込が許可される。また、コードナンバ「CODE_NUM =2」とされる場合、これに対応する8ビットの受信データDrを反転させてメモリに記録させる(S112)。かかる処理において、「CODE_NUM =0」又は「CODE_NUM =1」に対応する受信データDrと参照データとが一致しない場合、受信データDrに誤りが存在するとしてリセット処理(S116)を実行させる。そして、「CODE_NUM =0」又は「CODE_NUM =1」に対応する受信データDrと参照データとが一致した場合、又は、「CODE_NUM =2」に対応する受信データDrを受信した場合には、コードナンバ(CODE_NUM)及びビットカウンタ(CNT_BIT)をクリアさせ(S113)、その後、省略未判定初期化処理(S107)を実行させ、信号認識処理SP1の処理を終了させる。一方、コードナンバ「CODE_NUM =3」に対応する受信データDrがレジスタへ格納完了されると(S111)、反転されたデータコードDCとミラーコードMCとを比較照合させる(S114)。このとき、反転されたデータコードDCとミラーコードMCとが一致しない場合には、データコードDCが誤りであるとしてリセット処理(S116)を実行させ、信号認識処理を終了させる。これに対し、反転されたデータコードDCとミラーコードMCとが一致する場合には、正確なデータコードDCが受信されたとして正規信号受信処理(S115)を実行させる。かかる正規信号受信処理(S115)では、マスク期間の経過を知らせるREM_MASK30MS を初期化させ、全てのフォロワーコードFCの受信完了を知らせる受信完了フラグ(F_REM_OK)を「0」から「1」へと書き換える。その後、反転されたデータコードDCとミラーコードMCとが一致する場合にあっても、次の入力信号に備えるためにリセット処理(S116)を実行させ、信号認識処理SP1を終了させる。
【0030】
次に、長押情報Rpが形成された入力信号SGiに対する処理手順について説明する。かかる場合にも、マスク期間経過判定処理(S101)及び立ち下がりエッジ検出処理(S103)及び受信信号判定処理(S104)を経て、先頭信号判定処理(S105)が実行される。このとき、図5(b)で説明した長押情報Rpの立ち上がりエッジErが受信されると、先頭信号判定処理(S105)では、前述した短押情報の入力信号SGiに対する処理と同じく、今回受信したエッジErが閾値Y〜Z(図5b参照)の範囲内にレイアウトされているか否か判定する処理を実行させる。このとき、今回受信したエッジErが、閾値YよりもリーダーコードLCの立ち下がりエッジEL側にレイアウトされる場合には、後段の省略情報判定処理(S117)が実行される。
【0031】
以下、省略情報判定処理(S117)によって省略情報または非省略情報の何れを認識した場合であっても、次回に起動される信号認識処理SP1がフォロワーコードFCの認識処理を実行させる処理工程について説明する。即ち、省略情報判定処理(S117)では、リーダーコードLCのLCH部に生じた立ち上がりエッジErに対して、省略情報Rpを具備する入力信号SGia(特許請求の範囲における省略型入力信号)又は非省略情報を具備する入力信号SGib(特許請求の範囲における非省略型入力信号)の何れに該当するかを判定する処理を実行させる。このとき併せて、LCH部に生じたエッジに対してノイズであるか否かの判定が行われる。具体的に説明すると、省略情報判定処理(S117)では、エッジErが図5に示される閾値X〜Yの範囲にレイアウトされるか否かを比較させる。このとき、受信されたエッジが閾値XよりもリーダーコードLCの立ち下がりエッジEL側へレイアウトされる場合に、受信したエッジがノイズNp2に相当するノイズエッジであるとして省略既判定初期化処理(S119)を実行させる。かかる省略既判定初期化処理(S119)では、エッジカウンタ(CNT_EDGE_OK)をクリアさせ、次に受信されるフォロワーコードFCの立ち上がりエッジに対する準備を整え、信号認識処理SP1の処理を終了させる。これに対し、受信されたエッジが閾値X〜Yの範囲にレイアウトされる場合、省略情報判定処理(S117)では、今回受信したエッジが省略情報Rpを構成するエッジErであるとして、省略信号受信処理(S118)を実行させ、省略既判定初期化処理(S119)を実行後、信号認識処理SP1を終了させる。かかる省略信号受信処理(S118)では、省略情報Rpを受信したことを報知させる省略受信フラグ(F_SYOURUAKU)を「0」から「1」へと書き換え、入力信号SGiの受信完了を知らせる受信完了フラグ(F_REM_OK)を「0」から「1」へと書き換える。そして、非省略情報を検出した場合と同様に、省略情報受信処理(S118)及び省略既判定初期化処理(S119)を順に実行させ、信号認識処理SP1を終了させる。かかる如く、省略情報判定処理(S117)を備える信号認識処理SP1では、省略型入力信号SGiaと判定されるか又は非省略型入力信号SGibと判定されるかに関わらず、省略既判定初期化処理(S119)によってフォロワーコードFCの受信準備を整えた状態にて信号認識処理SP1が終了されるので、非省略型入力信号がノイズNp1によって省略型入力信号と判定された場合であっても、後続するフォロワーコードFCの受信が可能とされ、入力信号の読み取り精度が向上する。尚、省略情報判定処理(S117)では、受信されたエッジが何れの閾値範囲に属するか判定する際、受信されたエッジの位置と閾値Xとの大小関係を以て、閾値判定の簡素化が図られる。具体的に説明すると、省略情報判定処理(S117)の前段に受信信号判定処理(S104)及び先頭信号判定処理(S105)が設けられているので、先頭信号判定処理(S105)で処理された処理結果は、閾値Yより大きい位置に配される受信エッジを事前に排除していることとされ、故に、省略情報判定処理(S117)では、閾値Xより大きい受信エッジに対して省略情報Rpの受信エッジであると判定することが可能とされる。即ち、不要な情報が受信信号判定処理(S103)及び先頭信号判定処理(S104)によって排除され、かかる処理工程を経て得られた処理結果に基づいて実行される省略情報判定処理(S117)は、プログラム上の簡素化が図られる。
【0032】
図7には、出力信号処理の処理手順を説明するフローチャートが示されている。かかる出力信号処理SP2は、メインルーチンMPを構成する演算処理MPdが実行される際に適宜なタイミングにて起動される。出力信号処理SP2が開始されると、信号受信完了判定処理が実行され入力信号が全て受信されたか否かが判定される(S121)。かかる処理では、受信完了フラグ(F_REM_OK)の値を認識し、「0」の場合には直ちに出力信号処理SP2を終了させ、「1」の場合には連続受信判定処理(S122)を実行させる。尚、受信完了フラグ(F_REM_OK)は信号認識処理SP1にて受信処理が終了された場合に「1」へ書き換えられる。連続受信判定処理(S122)では、前回における受信信号の末尾から今回における受信信号の先頭までの時間を計測し、今回の受信信号が一定時間を隔てて受信された受信信号であるか否かを判定する。このとき、今回の受信信号が一定間隔を隔てて受信された受信信号であると判定された場合、メモリに今回の受信データを記録させる書込処理を実行させ(S128)、その後、出力信号選択処理(S129)を実行させる。かかる出力信号選択処理(S129)では、データコードDCとイベントナンバー(EVENT_NUM)とから成るマップを記録させたメモリにアクセスして、今回の受信データに相当するイベントナンバー(EVENT_NUM)を取得する。その後、出力信号処理SP2が終了され、メインルーチンMPの処理が再開し、次の出力信号処理SP2が起動されるまで待機状態とされる。一方、連続受信判定処理(S122)において、比較的短い時間間隔又は連続して受信された受信信号であると判定された場合、受信信号が省略型入力信号であるか非省略型受信信号であるかを判定する(S123)。かかる処理では、省略受信フラグ(F_SYOURUAKU)にアクセスし、当該省略受信フラグ(F_SYOURUAKU)の値が「0」とされる場合には非省略型入力信号SGibの受信データと判定し、省略受信フラグ(F_SYOURUAKU)の値が「1」とされる場合には省略型入力信号SGiaの受信データと判定する。
【0033】
S123によって受信データが非省略型入力信号SGibの受信データと判定された場合、メモリに記録されている参照データと今回新たに認識された受信データとを比較させる比較処理を実行させる。(S126)。そして、前回の受信データと今回の受信データとが不一致とされる場合、書込処理(S128)及び出力信号選択処理(S129)を順に実行させ、出力信号処理SP2を終了させる。また、前回の受信データと今回の受信データとが一致される場合、前回の受信信号の受信データを認識し、これによって認識された受信データをメモリに格納させる書込処理(S128)を実行させ、これに基づいて出力信号選択処理(S129)を実行させた後、出力信号処理SP2を終了させる。
【0034】
これに対し、S123によって受信データが省略型入力信号の受信データと判定される場合、メモリに記録されている前回データDbと今回新たに認識された受信データとを比較させる比較処理を実行させる。(S124)。尚、前回データとは、メモリに格納され、前回の受信信号が認識された受信データをいう。前回データDbとは、入力信号SGiのフォロワーコードFCを構成する全ての受信データを指しても良く、入力信号のフォロワーコードFCの一部を構成する受信データを指しても良い。即ち、後者の場合、前回データDbは、例えば、データコードDCに対応する受信データのみによって構成させても良い。そして、前回データDbと今回の受信データとが不一致とされる場合、受信データに誤りが存在するとして直ちに出力信号処理SP2を終了させる。また、前回データDbと今回の受信データとが一致される場合、メモリにアクセスしてフォロワーコードの全部又は一部から成る前回データDbを認識し(S125)、これによって認識された前回データをそのまま次の前回データとしてメモリに格納させる書込処理(S128)を実行させ、これに基づいて出力信号選択処理(S129)を実行させた後、出力信号処理SP2を終了させる。そして、メインルーチンMPの出力処理MPeでは、出力信号処理SPで選択されたイベントナンバー(EVENT_MUN)に基づいて出力信号を出力させ、これにより、照明機器が適宜に制御される。
【0035】
上述の如く、本実施例に係る信号処理回路142では、リーダーコードLCに形成される長押情報Rpの有無に関わらず、フォロワーコードFCの信号を認識する処理を実行させるので、フォロワーコードFCの受信データに基づいて入力信号SGiが解読され、これにより、照明機器100の適正な動作制御の実現が図られる。特に、リーダーコードLCにノイズNpが重畳される場合、かかる判定精度が顕著に改善される。
【0036】
また、本実施例に係る照明機器100では、フォロワーコードFCに基づいて指令情報を認識するので、赤外線スペクトルの強い白熱灯を用いる場合でも、リモコンRC1から送信される赤外線信号に基づいて応答性良く調光制御が実施される。
【実施例2】
【0037】
図8には、実施例2に係る照明機器の構成が示されている。照明機器200は、実施例1にて説明した照明機器100の構成に加え、放電灯221aが追加されている。かかる放電灯221aは、リング状に湾曲されており、電位差を与えるソケット部221bと、当該ソケット部221b及び制御装置240を接続させるケーブル221cとから構成される。また、リモコン装置RC2には、放電灯221aを点灯させるボタンB3aと消灯させるボタンB3bとが新たに追加されている。
【0038】
図9には、本実施例に係る照明機器200の制御装置240を示す機能ブロック図が示されている。尚、同図には、照明機器200に設けられる信号変換回路230a及び白熱灯220及び放電灯装置221と、設備電源ACとが便宜的に示されている。尚、実施例1において説明した同一部分については説明を省略する。図示の如く、制御装置240は、発振回路241と信号処理回路242とドライブ回路243a及び243bとから構成される。また、新たに設けられたドライブ回路243bは、入力部が信号処理回路242に接続され、出力部が放電灯装置221と設備電源ACとの直列回路に接続されている。かかるドライブ回路243bは、白熱灯220のドライブ回路243aと同一構成とされる。
【0039】
放電灯装置221は、インバータ回路部221dと放電灯221aとから構成される。インバータ回路部221dは、図示されない内蔵ドライブ回路によって高周波駆動され、放電灯221aの光量を一定値に維持するように制御を行う。
【0040】
図10には、本実施例に係る出力信号処理の処理手順を示すフローチャートが示されている。かかる出力信号処理SP2’では、前述した実施例1の出力信号処理SP2のフローチャートにチャンネル認識処理(S229)が新たに追加されている。チャンネル認識処理(S229)は、メモリの受信データを書き換える書込処理(S228)の終了後に実行される。かかる処理では、リモコンRC2に配される操作ボタンのうち、白熱灯用の操作ボタン又は放電灯用の操作ボタンの何れが操作されたかを認識し、これによって、チャンネルナンバー(F_REM_CH)が「1」であるか「2」であるかを認識する。その後、出力信号選択処理(S230)では、チャンネルナンバー(F_REM_CH)を参照し、当該チャンネルナンバー(F_REM_CH)が「1」とされる場合には白熱灯の動作選択を行い、チャンネルナンバー(F_REM_CH)が「0」とされる場合には放電灯の動作選択を行う。そして、出力信号選択処理(S230)終了後、出力信号処理SP2’を終了させ、次回に起動される出力信号処理SP2’のタイミングを待つ。
【0041】
上述の如く、本実施例に係る信号処理回路242では、インバータ回路部211dによって高周波ノイズが誘発されて入力信号SGiにノイズが重畳され、リーダーコードLCの波形を毀損してしまう虞がある。しかし、かかる信号処理回路242では、リーダーコードLCに形成される長押情報の有無に関わらず、フォロワーコードFCの信号を認識する処理を実行させるので、フォロワーコードFCの受信データに基づいて入力信号が解読され、これにより、照明機器200の適正な動作制御の実現が図られる。特に、放電灯221aの点灯開始時にはリーダーコードLCに重畳されるノイズが顕著に現れるが、フォロワーコードFCの受信データを有効に活用することにより、かかるノイズによって誤動作することなく、照明機器200の適正な動作制御の実現が図られる。
【0042】
図11には、本実施例を発展させた変更例として、照明システム300の構成が示されている。図示の如く、照明システム300は、天井に埋設された放電灯322と壁面に固定された白熱灯321とが適宜に配列され、更に、受光装置330が天井に設けられている。白熱灯321には、信号処理回路を具備する制御装置321aが設けられ、送電ケーブルL2を介して受光装置330へ接続される。同様に、放電灯322には、信号処理回路を具備する制御装置322aが設けられ、送電ケーブルL1を介して同一の受信装置330へ接続される。かかる構成を具備する照明システム300では、赤外線信号に基づいて受光装置330で入力信号SGiに変換され、当該入力信号SGiが各々の制御装置321a及び322aへと送信される。これを受信した各々の制御装置321a及び322aでは、白熱灯用の操作ボタン又は放電灯用の操作ボタンの何れが操作されたかを認識し、リモコンRC3の操作状態に応じた出力信号を生成し、白熱灯321又は放電灯322を制御させる。
【0043】
かかる照明システム300にあっても、受光装置330に侵入する白熱灯321の赤外線スペクトル、又は、放電灯322で発生する高周波ノイズによって、入力信号SGiのリーダーコードLCが毀損される虞がある。しかし、かかる信号処理回路242は、リーダーコードLCに形成される長押情報の有無に関わらず、フォロワーコードFCの信号を認識する処理を実行させるので、フォロワーコードFCの受信データに基づいて入力信号SGiが解読され、これにより、照明システム300の適正な動作制御の実現が図られる。
【0044】
以上の如く記された実施の形態はあくまでも本発明の一つの実施形態であって、本発明はこれに限らず他の実施の形態を適用させることが可能である。例えば、実施例2の照明機器200では白熱灯の調光制御を実施させる構成としているが、これに限らず、放電灯に関しても同様に調光制御を実施させるようにしても良い。かかる場合には、インバータ回路部321dで生じる高周波ノイズを惹起させるため、長押状態の入力信号SGiであるか短押状態の入力信号SGiであるかの判定が有効に行われる。
【0045】
尚、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、上述した実施の形態に記載されたものに限られるものではない。例えば、電器機器の用語の意義は、単に照明機器に限定されることなく、この他、テレビ受像器又は携帯電話等を指し、赤外線信号を受信する構成とされる電気的装置を指すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1に係る信号認識処理の処理手順を示すフローチャート
【図2】実施例1に係る照明機器の構成を示す図
【図3】実施例1に係る照明機器の回路構成を示す機能ブロック図
【図4】実施例1に係る赤外線信号の波形を示す図
【図5】実施例1に係る赤外線信号のリーダーコードを示す図
【図6】実施例1に係る信号処理回路に格納されるプログラムの処理手順を示す図
【図7】実施例1に係る出力信号処理の処理手順を示すフローチャート
【図8】実施例2に係る照明機器の構成を示す図
【図9】実施例2に係る照明機器の回路構成を示す機能ブロック図
【図10】実施例2に係る出力信号処理の処理手順を示すフローチャート
【図11】実施例2に係る照明システムの構成を示す図
【符号の説明】
【0047】
SGi 入力信号
SGr 受信信号
Dr 受信データ
SP1 信号認識処理
SP2 出力信号処理
MPe 出力処理
SGia 省略型入力信号
SGib 非省略型入力信号
LC リーダーコード
FC フォロワーコード
120 白熱灯
220 放電灯
S104 受信信号判定処理
S105 先頭信号判定処理
S117 省略信号判定処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に形成された起動信号毎に起動され前記入力信号に基づいてデジタルデータ化された入力情報を認識する信号認識処理(SP1)が実行されるプログラムを少なくとも備え、操作部から送信される操作信号を前記入力信号へと変換させる信号変換回路に接続され、前記信号変換回路を具備する被操作部に設けられ前記入力信号に基づき前記被操作部を駆動制御させる信号処理回路において、
前記入力信号は、頭出しを認識させると供に省略情報または非省略情報の何れか一方が形成されたリーダーコードと前記リーダーコードの直後に配列されるフォロワーコードとから構成され、
前記信号認識処理(SP1)は、前記省略情報または前記非省略情報の何れを認識した場合であっても、次回に起動される信号認識処理が前記フォロワーコードの認識処理を実行することを特徴とする信号処理回路。
【請求項2】
前記信号認識処理(SP1)は、前記省略情報を具備する省略型入力信号又は前記非省略情報を具備する非省略型入力信号の何れに該当するかを判定する省略情報判定処理(S117)を実行させるプログラムを備え、前記省略情報判定処理(S117)による判定結果が省略型入力信号判定又は非省略型入力信号判定の何れの場合であっても、次回に起動される信号認識処理(SP1)が前記フォロワーコードの認識処理を実行させることを特徴とする請求項1に記載の信号処理回路。
【請求項3】
前記入力信号は、赤外線信号に基づいて変換された電気信号であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の信号処理回路。
【請求項4】
前記電器機器は、放電灯及び/又は白熱灯を具備する照明機器であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の信号処理回路。
【請求項5】
前記信号認識処理(SP1)は、更に、前記フォロワーコードを構成する受信信号のうち先頭信号の後段に配列される非先頭信号に該当するか否かを判定する受信信号判定処理(S104)と、前記受信信号判定処理によって非先頭信号に該当しないと判定された場合に前記受信信号が前記先頭信号に該当するか否かを判定する先頭信号判定処理(S105)とを実行させ、
前記受信信号判定処理(S104)及び/又は前記先頭信号判定処理(S105)の処理結果に基づいて前記省略情報判定処理(S117)を実行させるプログラムを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の信号処理回路。
【請求項6】
前記信号処理回路は、更に、前記指令情報に基づいて出力信号を選定させる出力信号処理(SP2)を備え、
前記出力信号処理(SP2)は、メモリ回路に格納された前回受信データと前記信号認識処理(SP1)で新たに認識された受信データとを比較させる比較処理(S124)を実行させるプログラムを少なくとも備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の信号処理回路。
【請求項7】
前記操作部は、前記赤外線信号を照射し、所定のボタンを長押しすることにより前記信号処理回路に対して前記省略情報を伝達させることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−38475(P2009−38475A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199257(P2007−199257)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000109093)ダイヤモンド電機株式会社 (387)
【Fターム(参考)】