説明

信号処理装置、信号処理方法、表示装置及び電子機器

【課題】焼き付き補正の精度を上げる。
【解決手段】測定部2131は、複数レベルの階調値をダミー画素回路609に設定して輝度値を測定し、階調値と対応付けて測定情報保持部2132で保持する。変換効率値算出部2133は、階調値と輝度値との関係から、変換効率値を算出する。電流量劣化値算出部2134は、変換効率値と測定情報保持部2132が保持する輝度値とを用いて階調値に対応する駆動電流値を算出し、補正の基準状態における階調値と駆動電流値の関係と比較して電流量劣化値を算出し、電流量劣化特性情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示に用いる発光素子の劣化成分を補正する信号処理装置、信号処理方法、表示装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置には、複数の画素をマトリックス状に配置した画素部を有し、表示すべき画像情報に応じて画素部を制御することによって画像を表示するものがある。近年、この画素部に自発光素子、例えば有機EL(Electroluminescence)素子を用いた表示装置が注目されている。このような表示装置では、有機EL素子を含む画素回路をマトリックス状に配置し、表示画面を構成する。しかし、この有機EL素子は表示対象となる画像データに応じて発光量を変えることにより階調を表現するため、有機EL素子の劣化の度合いが画素回路ごとに異なる。このため、時間の経過に応じて劣化の度合いが大きい画素と、劣化の度合いが少ない画素とが表示画面上に混在する。このとき、劣化の大きい画素が周辺の画素よりも暗くなることによって直前に表示されていた画像が残っているように見える現象(いわゆる、焼き付き)が生じる。
【0003】
このような焼き付き現象を防止するため、未使用期間中に劣化の度合いの小さい発光素子の劣化を進行させて、劣化の度合いの大きい発光素子の劣化の度合いと均一にする表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−176274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、未使用期間中に劣化の度合いの小さい発光素子の劣化を進行させて、劣化の度合いの大きい発光素子の劣化の度合いと均一にする表示装置では、発光素子全体の劣化を進行させる恐れがある。また、表示装置の未使用期間に焼き付きの補正を行うため、表示装置の使用中には補正できないという問題点もある。そこで、表示装置の使用中に発光素子自体の劣化を考慮して、映像信号の階調値を変更することにより、焼き付きを補正する方法が考えられる。
例えば、映像信号を表示させる画素回路の劣化の度合いに合わせて映像信号の階調値を指定し、その変更した映像信号を用いて発光素子を発光させる方法が考えられる。例えば、予め一般的な画素回路の駆動時間と輝度の劣化の度合いとを対応付けた劣化情報を装置に内蔵しておき、駆動時間の経過に応じてその劣化情報に基づいて推定される各画素の輝度劣化量に合わせて映像信号の階調値を変更することが考えられる。しかし、画素の劣化は画素回路ごとに異なるとともに、画素回路に供給される映像信号も表示対象ごとに異なる。このため、一般的な劣化情報を用いて精度よく焼き付き補正を行うことは、容易ではなかった。
【0006】
このような点に鑑み、精度の高い劣化情報を得ることによって、焼き付きを精度よく補正することが可能な信号処理装置、信号処理方法、表示装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、測定部、変換効率値算出部及び電流量劣化値算出部を有する信号処理装置が提供される。測定部は、発光素子を有する所定の画素回路に対し、発光素子の発光の度合いを指示する階調値を複数レベルに設定して実際の輝度を測定する。そして、測定した輝度値を階調値に対応付けた測定情報を生成する。変換効率値算出部は、測定した輝度値と、この輝度値に対応する階調値との関係に基づき、所定の画素回路の発光素子が階調値に応じて供給される駆動電流を輝度に変換する変換効率値を算出する。電流量劣化値算出部は、変換効率値を用いて測定した輝度値に対応する駆動電流を算出する。次に、駆動電流と輝度値に対応する階調値との関係を、この所定の画素回路が補正の基準状態にあったときの駆動電流と階調値との関係と比較し、この所定の画素回路の駆動電流の劣化に関する電流量劣化値を算出する。そして、電流量劣化値から所定の画素回路に関する電流量劣化特性情報を生成する。
【0008】
このような信号処理装置によれば、測定部は、所定の画素回路に複数レベルの階調値を設定し、輝度を測定する。変換効率値算出部は、測定された輝度値と、そのときの階調値との関係に基づいて、所定の画素回路の変換効率値を算出する。電流量劣化値算出部は、算出された変換効率値に基づいて、測定した輝度値に対応する駆動電流を算出する。そして、階調値と駆動電流値を所定の画素回路が補正の基準状態にあったとき階調値と駆動電流値との関係と比較し、所定の画素回路の駆動電流の劣化に関する電流量劣化値を算出する。そして、求めた電流量劣化値を電流量劣化特性情報に設定する。
【0009】
また、上記課題を解決するために、上記の信号処理装置と同様の信号処理を行う信号処理方法、表示装置及び電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0010】
開示の信号処理装置、信号処理方法、表示装置及び電子機器によれば、実際の画素回路を用いて測定した測定情報に基づいて、画素回路の駆動電流の劣化に関する電流量劣化特性情報を更新する。これにより、実際の測定値に基づく精度の高い電流量劣化値を得ることができる。また、精度の高い電流量劣化値に基づいて焼き付き補正を行うことによって、焼き付き補正を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態の表示装置の構成例を示した概念図である。
【図2】画素回路の構成例を模式的に示す回路図である。
【図3】画素回路の経時輝度変化の一例を示した図である。
【図4】映像信号の階調値と輝度値との関係を示した図である。
【図5】焼き付き補正部のハードウェア構成の一例を示した図である。
【図6】焼き付き補正部の機能構成の一例を示した図である。
【図7】劣化特性情報生成部の機能構成の一例を示した図である。
【図8】画素回路の電流特性と駆動電流減少量との関係を示した図である。
【図9】劣化特性情報の生成例を示した図である。
【図10】電流量劣化特性情報に基づく電流量劣化曲線の一例を示した図である。
【図11】変換効率劣化補正パターンの生成例を示した図である。
【図12】電流量劣化補正パターンの生成例を示した図である。
【図13】焼き付き補正部の焼き付き補正処理の手順例を示したフローチャートである。
【図14】劣化特性情報生成部の劣化特性情報生成処理の手順例を示したフローチャートである。
【図15】実施の形態の表示装置を備えたテレビジョンセットを示す斜視図である。
【図16】実施の形態の表示装置を備えたデジタルスチルカメラを示す斜視図である。
【図17】実施の形態の表示装置を備えたノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図18】実施の形態の表示装置を備えた携帯端末装置を示す模式図である。
【図19】実施の形態の表示装置を備えたビデオカメラを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、実施の形態の表示装置の構成例を示した概念図である。表示装置100は、焼き付き補正部200と、ライトスキャナ(WSCN;Write SCaNner)410、水平セレクタ(HSEL;Horizontal SELector)420、電源スキャナ(DSCN;Drive SCaNner)430及び画素アレイ部500を有する。
【0013】
画素アレイ部500は、n×m(n,mは2以上の整数)個の2次元マトリックス状に配列された画素回路600〜608を有する。図1では、便宜上、1行目、2行目及びm行目における1列目、2列目及びn列目に配置された9個の画素回路600〜608が示されている。画素回路600〜608は、それぞれ走査線(WSL;Write Scan Line)411を介してライトスキャナ(WSCN)410に接続する。また、データ線(DTL;DaTa Line)421を介して水平セレクタ(HSEL)420、電源線(DSL;Drive Scan Line)431を介して電源スキャナ(DSCN)430に接続する。図1では、便宜上、走査線(WSL)411、データ線(DTL)421、電源線(DSL)431には、接続する画素回路の列番号(1,・・・,n)または行番号(1,・・・,m)が振られている。例えば、1行目、1列目に配置されている画素回路600には、走査線WSL1、データ線DTL1及び電源線DSL1が接続している。
【0014】
焼き付き補正部200は、映像信号の階調値を入力し、画素回路600〜608のそれぞれの劣化の度合いに合わせて映像信号の階調値を変更することによって焼き付きを補正する信号処理回路である。また、信号処理装置として構成することもできる。ここで、階調値とは、画素回路600〜608が所定の輝度で発光するように駆動を指示する駆動信号であり、発光の輝度の大きさのレベル(段階)を指定する。例えば、発光の輝度の大きさを256段階(階調)で表現することができる。階調値の信号レベルが大きくなるほど、発光の輝度が大きくなるとする。なお、映像信号の階調値は、表示用の映像信号として焼き付き補正部200に入力する階調値を言う。ここで、画素回路600が初期状態のときに発光の輝度が200nitとなる映像信号の階調値を「階調値200」とする。所定の時間経過後では、画素回路600の劣化により、「階調値200」を出力しても発光の輝度が100nitしか得られなくなるとする。同様に、「階調値300」のときの発光の輝度が初期状態の300nitから200nitに劣化したとする。この場合、焼き付き補正部200は、「階調値200」の初期状態の輝度(200nit)を得るため、例えば、出力する映像信号の階調値を「階調値400」に変更する。焼き付き補正部200は、この変更した映像信号を、信号線209を介して水平セレクタ(HSEL)420に供給する。これにより、画素回路600は、200nitの輝度で発光することになり、焼き付きを補正することができる。
【0015】
ライトスキャナ(WSCN)410は、行単位により画素回路600〜608を順次走査する線順次走査を行う。水平セレクタ(HSEL)420は、ライトスキャナ(WSCN)410による線順次走査に合わせて、画素回路600〜608における発光輝度の大きさを設定するためのデータ信号を、各列の画素回路600〜608に供給する。電源スキャナ(DSCN)430は、ライトスキャナ(WSCN)410による線順次走査に合わせて、画素回路600〜608を駆動させるための電源信号を行単位に生成する。そして、画素回路600〜608は、走査線(WSL)411からの操作信号に基づいて、データ線(DTL)421からの映像信号の電位を保持して、その保持した電位に応じて所定の期間発光する。
【0016】
図2は、画素回路の構成例を模式的に示す回路図である。図2は、画素回路600について示したが、他の画素回路も同様の構成である。
【0017】
画素回路600は、書込みトランジスタ610と、駆動トランジスタ620と、保持容量630と、発光素子640と、を有する。図2の例では、書込みトランジスタ610及び駆動トランジスタ620がそれぞれnチャンネル型トランジスタである場合を想定している。なお、書込みトランジスタ610及び駆動トランジスタ620は、この組み合わせに限定されない。例えば、pチャンネル型トランジスタを適用することもできるし、トランジスタは、エンハンスメント型、デプレション型やデュアルゲート型であってもよい。
【0018】
この画素回路600において、書込みトランジスタ610のゲート端子及びドレイン端子には、走査線(WSL)411及びデータ線(DTL)421がそれぞれ接続されている。また、書込みトランジスタ610のソース端子には、駆動トランジスタ620のゲート端子(g)及び保持容量630の一方の電極(一端)が接続されている。図2では、この接続電位を第1ノード(ND1)650とする。また、駆動トランジスタ620のドレイン端子(d)には、電源線(DSL)431が接続され、ソース端子(s)には保持容量630の他方の電極(他端)及び発光素子640のアノード電極が接続されている。図2では、この接続電位を第2ノード(ND2)660とする。
【0019】
書込みトランジスタ610は、走査線(WSL)411からの走査信号に従って、データ線(DTL)431からのデータ信号を第1ノード(ND1)650に供給するトランジスタである。この書込みトランジスタ610は、画素回路600の駆動トランジスタ620の閾値のバラつきを取り除くために、データ信号の基準電位を保持容量630の一端に供給する。ここにいう基準電位とは、駆動トランジスタ620の閾値電圧に相当する電圧を保持容量630の保持させるための基準となる固定電位のことである。また、書込みトランジスタ610は、駆動トランジスタ620の閾値電圧に相当する電圧が保持容量630に保持された後に、データ信号の信号電位を保持容量630の一端に順次書き込む。
【0020】
駆動トランジスタ620は、発光素子640を発光させるために、信号電位に応じて保持容量630に保持された信号電圧に基づいて、駆動電流を発光素子640に出力する。この駆動トランジスタ620は、駆動トランジスタ620を駆動させるための電源電位が電源線(DSL)431から印加されている状態において、保持容量630に保持された信号電圧に応じた駆動電流を発光素子640に出力する。
【0021】
保持容量630は、書込みトランジスタ610によって供給されたデータ信号に応じた電圧を保持する。すなわち、保持容量630は、書込みトランジスタ610によって書き込まれた信号電位に応じた信号電圧を保持する役割を果たす。
【0022】
発光素子640は、駆動トランジスタ620から出力された駆動電流の大きさに応じて発光する。また、発光素子640は、出力端子がカソード線680に接続されている。このカソード線680からは、発光素子640の基準電位としてカソード電位(Vcat)が供給されている。この発光素子640は、例えば、有機ELにより実現することができる。
【0023】
なお、画素回路600の構成は、図2に示した回路構成に限定されない。すなわち、駆動トランジスタ620及び発光素子640を含むものであれば、画素回路600に適用できる。例えば、3つ以上のトランジスタで発光を制御するとしてもよい。
【0024】
以上、説明したように、表示装置100の画素回路600は、データ線(DTL)421を介して供給される信号電位に応じた駆動電流が発光素子640に供給されることにより、駆動電流に応じた輝度で発光する。したがって、画素回路600を構成する駆動トランジスタ620や発光素子640等が劣化すると、駆動電流の量や発光の量の変化により、信号電位に対する輝度の値が初期の状態からズレてしまう。全ての画素回路において同じ量のズレが発生するのであれば、いわゆる焼き付き現象が生じることはない。しかしながら、有機EL素子は表示する画像データに応じて発光する量を変えることにより階調を表現するため、有機EL素子の劣化の度合いが表示画面の画素回路ごとに異なる。このため、劣化の大きい画素回路の表示が周辺の画素回路の表示より暗くなることによって、焼き付き現象が生じる。
【0025】
図3は、画素回路の経時輝度変化の一例を示した図である。図3は、発光素子として有機EL素子を有する画素回路に対し、発光素子640を200nitの輝度で発光させる階調値を出力して駆動したときの経過時間に応じた発光の輝度の値(輝度値)の変化を示している。図3の横軸は初期状態からの経過時間を表わしている。図3の縦軸は、経過時間に応じた経時輝度を補正の基準の基準輝度「200nit」に対する比で表わしている。ここで、初期状態は、対象の画素回路が補正の基準状態にある状態を指し、初期状態にあるときを経過時間「0」としている。累積の経過時間が「0」の初期状態では、経時輝度の基準輝度に対する比は「1.0」、すなわち、経時輝度は200nitである。図3からは、画素回路の駆動時間が経過するに従って輝度が低下していることがわかる。例えば、4000時間経過すると、画素回路に初期状態と同じ階調値を出力しても、得られる輝度は初期状態の「0.8」、すなわち160nitになる。そこで、4000時間経過後の画素回路で200nitの輝度を得るには、輝度劣化量に相当する補正量を映像信号の階調値に加える補正を行えばよい。これにより、この画素回路は、見かけ上、200nitで発光することになる。
【0026】
図4は、映像信号の階調値と輝度値との関係を示した図である。図4の横軸は、焼き付き補正部200に入力される映像信号の階調値、縦軸は、画素回路600〜608における輝度値をそれぞれ表わしている。また、画素特性曲線(初期)710は、初期状態の画素回路における入力階調値と輝度値との関係を表わし、画素特性曲線(劣化)720は、初期状態から所定の時間が経過した画素回路における入力階調値と輝度値との関係を表わしている。
【0027】
画素特性曲線(初期)710について説明する。この画素特性曲線(初期)710は、例えば、次に示す二次関数により表現される。
L= A×S2 ・・・(1)
【0028】
ここで、Lは輝度値である。Aは、発光素子640に供給される駆動電流を輝度に変換するときの変換の効率に応じて定まる係数(以下、変換効率とする)である。またS2は、駆動トランジスタ620の二乗特性を用いて算出した値であって、発光素子640に供給される駆動電流に相当する値である。このように、輝度値Lは、駆動電流S2に発光素子640の変換効率Aを乗算することによって算出することができる。
【0029】
画素特性曲線(劣化)720は、時間の経過によって発光素子640が劣化し、駆動電流を輝度に変換する変換効率に劣化が生じるため、画素特性曲線(初期)710よりも曲線の傾きが緩やかになっている。また、この画素特性曲線(劣化)720は、画素特性曲線(初期)710と比較して、横軸方向に駆動電流量減少成分D1の分だけ右側へシフトしている。この駆動電流量減少成分D1は、駆動電流の減少した量(駆動電流減少量)を示す成分であり、駆動トランジスタ620及び発光素子640の劣化に起因して生じる。すなわち、駆動トランジスタ620が劣化すると、信号電圧に応じて発光素子640に供給する駆動電流が減少する。また、発光素子640が劣化すると、発光素子640の閾値電圧が増加するため、信号電圧が減少し、駆動電流の電流量が減少する。このように、駆動電流量減少成分D1は、信号電圧に応じて供給される駆動電流量の減少と、信号電圧の減少とに起因して生じる。
【0030】
式(1)で表わされる画素特性曲線(初期)710に対し、駆動トランジスタ620及び発光素子640が劣化した状態の画素特性曲線(劣化)720は、次に示す二次関数により表現される。
Ld= Ad×(S−ΔS)2 ・・・(2)
【0031】
ここで、Ldは、補正対象となる画素回路の輝度値である。Adは、補正対象となる画素回路の発光素子640に供給される駆動電流を輝度に変換するときの変換の効率に応じて定まる係数(変換効率値)である。ΔSは、図4では駆動電流量減少成分D1である。また(S−ΔS)2は、駆動電流量減少成分D1が考慮された発光素子640に供給される駆動電流を示す。このように、劣化した輝度値Ldは、劣化した変換効率値Adと駆動電流量減少成分D1が考慮された駆動電流(S−ΔS)2によって算出することができる。
【0032】
以上説明したように、表示装置100の使用に伴って画素回路が劣化すると、変換効率の劣化と、駆動電流の減少とが同時に進行し、映像信号の階調値に対する輝度値が低下する。以下、画素回路の使用時間の経過によって変換効率が劣化する現象を変換効率劣化、駆動電流が減少する現象を電流量劣化とする。なお、図4に示した画素特性曲線の図において、変換効率劣化は画素特性曲線の傾きの低下に相当し、電流量劣化は画素特性曲線の階調方向のシフトに相当する。
【0033】
表示装置100の焼き付き補正部200では、補正の基準状態、例えば劣化が起きていない初期状態の画素特性曲線(初期)710を基準とし、劣化が起きた画素回路の画素特性曲線(劣化)720がその基準(画素特性曲線710)と一致するように映像信号の階調値を補正する。詳細は後述するが、焼き付き補正部200では、変換効率劣化を補正する変換効率劣化補正パターンと、電流量劣化を補正する電流量劣化補正パターンとを用意し、劣化が起きた画素回路の映像信号の階調値を補正する。このように、劣化成分を効率劣化と電流量劣化とに分けて補正することにより、より精度の高い補正が可能となる。
【0034】
ここで、変換効率劣化成分の補正について説明する。変換効率劣化成分の補正は、次の式に基づいて映像信号の階調を変更する。式(1),(2)に基づき、補正後の階調値Goutは、次の式で求められる。
Gout=(ΔA)-1/2×Gin ・・・(3)
ΔA=Ad/A ・・・(4)
【0035】
ここで、Goutは、焼き付き補正部200により補正された映像信号の階調値である。また、Ginは、焼き付き補正部200により補正される前の映像信号の階調値である。また、ΔAは、補正対象画素回路の変換効率値Adを分子とし、初期状態の画素回路の変換効率Aを分母とした変換効率の比を表わす分数の値(変換効率劣化値)である。なお、式(3),(4)では、駆動電流減少量ΔSは考慮していない。言い換えると、駆動電流減少量ΔSを考慮しないときに、初期状態の画素回路において階調値Ginを入力したときに得られる輝度値Lを得るために、変換効率値がAdに劣化した画素回路で必要な階調値がGoutである。
【0036】
この式(3)に基づいて映像信号の階調値を変更するために、焼き付き補正部200は、画素回路600〜608のそれぞれの劣化についての情報を保持し、その劣化の情報から画素回路600〜608のそれぞれの変換効率値を算出する。そして、焼き付き補正部200は、ΔAを算出し、算出したΔAに基づいて映像信号の階調を変更することによって、映像信号の補正された階調の値(補正階調値)を生成する。このように、式(3)に基づき、変換効率劣化値(ΔA)に基づく補正を変換効率劣化補正とする。変換効率劣化補正は、画素特性曲線の傾きの補正に相当する。
【0037】
しかし、変換効率劣化補正では、まだ駆動電流減少量ΔSの影響が考慮されていない。そこで、焼き付き補正部200では、さらに、ΔSの影響を考慮して補正を行う。ΔSは、図4の画素特性曲線の例では駆動電流量減少成分D1に相当する。そこで、電流量劣化補正後の階調値Goutは、式(3)に基づいて、次の式で求めることができる。
Gout=(ΔA)-1/2×Gin+ΔS ・・・(5)
【0038】
すなわち、変換効率劣化補正による画素特性曲線の傾きの補正の後、補正階調値をΔSだけシフトさせることにより、補正後の画素特性曲線が画素特性曲線(初期)710と同じになるようにする。このような駆動電流減少量ΔSに基づく補正を電流量劣化補正とする。電流量劣化補正は、画素特性曲線の階調のシフトに相当する。
【0039】
以下、焼き付き補正部の構成について詳細に説明する。
【0040】
[焼き付き補正部の構成例]
まず、焼き付き補正部200のハードウェア構成例を説明する。図5は、焼き付き補正部のハードウェア構成の一例を示した図である。
【0041】
焼き付き補正部200は、補正パターン生成部210、補正演算部220、補正パターン保持部230及びDRAM(Dynamic Random Access Memory)240を有し、入力した映像信号の階調値を補正し、焼き付き補正映像データとして画素アレイ部500に出力する。
【0042】
補正パターン生成部210は、CPU(Central Processing Unit)210aによって、変換効率劣化及び電流量劣化を補正する補正パターンの生成処理を行う。CPU210aには、内部バスを介して、ROM(Read Only Memory)210b及びRAM(Random Access Memory)210cと、補正演算部220及び補正パターン保持部230等の周辺機器が接続されている。
【0043】
RAM210cには、CPU210aによる処理に必要な各種データが格納される。ROM210bには、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、及び各種データが格納される。
【0044】
補正演算部220は、映像信号の階調値を取得し、焼き付き補正処理を行う。処理を高速に行うため、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などで構成される。
【0045】
補正パターン保持部230は、補正パターン生成部210が生成した補正パターンを保持する記憶部である。例えば、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置により構成される。
【0046】
DRAM240は、補正演算部220が参照するための補正パターンを保持する記憶部である。例えば、DDR SDRAM(Double-Data-Rate Synchronous DRAM)など、比較的高速処理が可能なメモリで構成される。
【0047】
次に、焼き付き補正部200の機能構成例を説明する。図6は、焼き付き補正部の機能構成の一例を示した図である。
【0048】
図5に示した焼き付き補正部200の補正パターン生成部210、補正演算部220及び補正パターン保持部230は、それぞれ、変換効率劣化の補正を行う処理部と、電流量劣化の補正を行う処理部と、が設けられている。補正パターン生成部210は、変換効率劣化補正パターンを生成する変換効率劣化補正パターン生成部210aと、電流量劣化補正パターンを生成する電流量劣化補正パターン生成部210bとを有する。補正演算部220は、変換効率劣化の補正を行う変換効率劣化補正演算部221と、電流量劣化の補正を行う電流量劣化補正演算部222とを有する。補正パターン保持部230は、変換効率劣化補正パターンを保持する変換効率劣化補正パターン保持部231と、電流量劣化補正パターンを保持する電流量劣化補正パターン保持部232とを有する。
【0049】
ここで、図6に示した焼き付き補正部200は、劣化が起きていない初期状態の画素回路における画素特性を補正の基準として、劣化が起きた画素回路600〜608の画素特性がその基準と一致するように入力された映像信号の階調値を補正することを想定する。また、焼き付き補正部200は、画素別変換効率劣化量積算部211及び画素別電流減少量積算部214によって保持されている情報を、各フレームの補正された映像信号の階調値を1分間隔で取得することによって更新するものとする。さらに、画素別変換効率劣化量積算部211及び画素別電流減少量積算部214に保持されている情報が更新されるごとに、画素別変換効率劣化値算出部212及び画素別電流量劣化値算出部215は、新たな補正パターンを生成するものとする。
【0050】
以下、変換効率劣化補正パターン生成部210a及び電流量劣化補正パターン生成部210bの各部について説明する。
【0051】
変換効率劣化補正パターン生成部210aは、画素別変換効率劣化量積算部211、画素別変換効率劣化値算出部212を有し、変換効率劣化補正パターンを生成する。ここで、変換効率劣化補正パターンは、画素回路600〜608のそれぞれに対する変換効率劣化の補正値(変換効率劣化値)により構成される補正パターンであり、変換効率劣化を補正するための補正情報である。
【0052】
画素別変換効率劣化量積算部211は、画素回路600〜608の変換効率の劣化に関する情報(変換効率劣化情報)を保持し、予め決められた更新時間ごとに、この変換効率劣化情報を順次更新する。変換効率劣化情報とは、例えば、画素回路600〜608の変換効率劣化の量を特定の階調値における発光時間に換算した値である。換算した値は、特定の階調値で画素を発光させたときに、この変換効率劣化の量と同等の劣化が生じるまでにかかる発光時間に相当する。画素別変換効率劣化量積算部211では、更新時間ごとに、画素回路600〜608の変換効率の新たな劣化量を算出する。新たな劣化量とは、前回の更新時間から今回の更新時間までの間に各画素回路に生じた劣化量を言う。例えば、補正演算部220から供給された補正後の映像信号に基づいて、画素回路600〜608の変換効率の新たな劣化量を、効率劣化換算係数を用いて算出する。ここで、効率劣化換算係数とは、例えば、時間の経過に応じた発光素子640の劣化量を、発光時間及び発光時に画素回路に設定された階調値に基づいて変換するための係数である。こうして、変換効率劣化情報に新たな劣化量を加算し、変換効率劣化情報を更新する。更新した変換効率劣化情報は、画素別変換効率劣化値算出部212に供給する。このように、更新時間ごとに算出した画素回路600〜608の新たな劣化量をその変換効率劣化情報に順次加算することにより、その経過時間に到るまでの画素回路600〜608の変換効率の総劣化量を求める。
【0053】
画素別変換効率劣化値算出部212は、変換効率劣化補正パターンを生成し、変換効率劣化補正パターン保持部231に供給する。画素別変換効率劣化値算出部212は、画素回路600〜608に関する変換効率劣化情報を順次取得し、係数変換情報を用いてその画素回路の変換効率を算出し、算出した変換効率を対象変換効率値とする。ここで、係数変換情報とは、例えば、特定の階調値の映像信号による発光時間に換算した値が変換効率劣化情報である場合には、その発光時間と変換効率との間の相関関係を示す情報である。また、補正の基準状態、例えば、劣化が起きていない初期状態の画素回路の変換効率を基準変換効率値とする。そして、算出した対象変換効率値と、基準変換効率値とを式(4)に適用し、変換効率劣化値ΔAを算出する。同様の手順で画素回路600〜608の全てについて変換効率劣化値を算出し、変換効率劣化補正パターンを生成する。
【0054】
電流量劣化補正パターン生成部210bは、劣化特性情報生成部213、画素別電流減少量積算部214及び画素別電流量劣化値算出部215を有し、電流量劣化補正パターンを生成する。ここで、電流量劣化補正パターンは、画素回路600〜608のそれぞれに対する駆動電流減少量の補正値(電流量劣化値)により構成される補正パターンであり、電流量劣化を補正するための補正情報である。
【0055】
劣化特性情報生成部213は、所定の更新周期でダミー画素回路609に、複数レベルの入力階調値を設定してダミー画素回路609を駆動し、そのときのダミー画素回路609の輝度値を測定する。そして、測定結果に基づいて、駆動電流の減少による輝度値の劣化に関する劣化特性情報を更新する。なお、ダミー画素回路609は、画素アレイ部500に含まれる画素回路であるが、表示画面には含まれない画素回路であるとする。ダミー画素回路609を用いることにより、表示装置100が稼働中であっても、表示画面に影響することなく、測定処理を行うことができる。なお、出荷前の検査や調整などを行う場合には、表示画面を構成する画素回路を対象として画素回路ごとの特性を取得するようにしてもよい。また、所定の更新周期は、画素別電流減少量積算部214が電流減少量を算出する更新周期(この例では1分間)、または、それより長い時間を設定する。画素回路の劣化はゆっくり進行するので、例えば、数時間、1日といった周期で行えば十分である。
【0056】
画素別電流減少量積算部214は、画素回路600〜608の駆動電流の電流量の減少に関する情報を電流量減少情報として保持し、画素回路600〜608の駆動電流の新たな減少量をその電流量減少情報に積算して電流量減少情報を更新する。ここで、電流量減少情報とは、例えば、画素回路600〜608の駆動電流の減少量を、特定の階調値の映像信号による発光時間に換算した値である。画素別電流減少量積算部214では、更新時間ごとに、画素回路600〜608の駆動電流の新たな減少量を算出する。新たな減少量とは、前回の更新時間から今回の更新時間までの間に各画素回路に生じた駆動電流の減少量を言う。例えば、補正演算部220から供給された補正後の映像信号の階調値に基づいて、画素回路600〜608の新たな減少量に関する情報を、減少量換算係数を用いて算出する。ここで、減少量換算係数とは、例えば、時間の経過に応じた駆動電流の電流量の減少量を、発光時間及び発光時に画素回路に設定された階調値に基づいて変換するための係数である。減少量換算係数は、劣化特性情報生成部213から供給される駆動電流の減少量に関する劣化特性情報に基づいて求める。そして、電流量減少情報に新たな劣化量を順次加算することにより、電流量減少情報を更新する。更新した電流量減少情報は、画素別電流量劣化値算出部215に供給する。
【0057】
画素別電流量劣化値算出部215は、電流量劣化補正パターンを生成する。画素別電流量劣化値算出部215は、画素回路600〜608に関する電流量減少情報を順次取得する。そして、減少量変換情報を用いて、取得した電流量減少情報からその画素回路の駆動電流減少量を算出する。駆動電流減少量は、式(2)のΔSに相当する。ここで、減少量変換情報とは、例えば、特定の階調値の映像信号による発光時間の換算した値が電流量減少情報である場合には、その発光時間と電流量減少情報との間の相関関係を示す情報である。電流量減少情報を用いて対象画素回路について算出した駆動電流減少量を対象電流量減少値とする。そして、電流量劣化補正パターンを生成するため、対象電流量減少値に基づいて、画素回路600〜608ごとの電流量劣化値を算出する。例えば、駆動電流減少量が対象電流量減少値として供給された場合には、その駆動電流減少量を電流量劣化値として供給する。ここで、電流量劣化値とは、駆動電流の減少量の補正対象となる画素回路に供給される映像信号の階調値を変更することによって、補正対象の画素回路と補正基準の画素回路との間の駆動電流の減少量の差をなくすための値である。同様の手順で画素回路600〜608の全てに関して電流量劣化値を算出し、電流量劣化補正パターンに供給する。
【0058】
次に、補正演算部220について説明する。補正演算部220は、入力された映像信号を補正し、信号線209を介して水平セレクタ(HSEL)420に供給する。また、補正後の映像信号を画素別変換効率劣化量積算部211と、画素別電流減少量積算部214に供給する。以下、補正演算部220の各部について説明する。
【0059】
変換効率劣化補正演算部221は、変換効率劣化補正パターン保持部231から供給された変換効率劣化補正パターンに基づいて、信号線を介して入力された映像信号の階調値を変更することによって、変換効率劣化を補正する。また、この変換効率劣化補正演算部221は、その補正した映像信号を電流量劣化補正演算部222に供給する。
【0060】
電流量劣化補正演算部222は、電流量劣化補正パターン保持部232から供給された電流量劣化補正パターンに基づいて、変換効率劣化補正演算部221から出力された映像信号の階調値を変更することによって、駆動電流減少量を補正する。また、この電流量劣化補正演算部222は、その補正した映像信号の階調値を、信号線209を介して画素別変換効率劣化量積算部211及び画素別電流減少量積算部214と、水平セレクタ(HSEL)420とに供給する。
【0061】
補正パターン保持部230について説明する。補正パターン保持部230は、変換効率劣化補正パターン保持部231と、電流量劣化補正パターン保持部232とを有する。変換効率劣化補正パターン保持部231は、画素別変換効率劣化値算出部212が生成した各画素回路の変換効率劣化値で構成される変換効率劣化補正パターンを保持し、変換効率劣化補正演算部221に供給する。電流量劣化補正パターン保持部232は、画素別電流量劣化値算出部215が生成した各画素回路の電流量劣化値で構成される電流量劣化補正パターンを保持し、電流量劣化補正演算部222に供給する。
【0062】
このように、変換効率劣化補正パターン生成部210a及び変換効率劣化補正演算部221を設けることにより、画素回路600〜608の変換効率劣化を補正することができる。また、電流量劣化補正パターン生成部210b及び電流量劣化補正演算部222を設けることによって、画素回路600〜608の駆動電流の減少に関する補正を行うことができる。このとき、電流量劣化値の算出に用いる減少量換算係数は、ダミー画素回路609を複数レベルの階調値で発光させ、その発光によるダミー画素回路609の劣化を測定して求めている。これにより、表示装置100の実際の使用状況を反映した精度の高い焼き付き補正処理を行うことができる。また、上記の説明では、減少量換算係数を測定結果に基づいて求めるとしたが、効率劣化換算係数も劣化特性情報生成部213による測定結果に基づいて算出するとしてもよい。この場合、効率劣化換算係数も実際の状態を表わすものとなるので、さらに精度の高い焼き付き補正処理が可能となる。
【0063】
なお、ここでは、映像信号を1分間隔で取得し、画素別変換効率劣化量積算部211及び画素別電流減少量積算部214に保持される情報を更新するとしたが、本発明はこれに限定されない。映像信号を取得する間隔は、適宜決めることができる。例えば、補正された映像信号を10分間隔で取得し、その取得した映像信号によって10分間発光するものと想定して変換効率劣化情報を更新するようにしてもよい。このように変換効率劣化情報の更新間隔を比較的長くすることにより、演算量をさらに軽減することができる。また、取得間隔を短くすることにより、さらに精度よく情報を更新することも考えられる。また、変換効率劣化補正パターン生成部210a及び電流量劣化補正パターン生成部210bによる補正パターンの更新周期は、画素別変換効率劣化量積算部211及び画素別電流減少量積算部214に保持されている情報の更新周期と同じでなくてもよい。輝度が画素回路ごとにバラついたとしても、画素回路の劣化はゆっくり進行するので、変換効率劣化補正パターン及び電流量劣化補正パターンは、急激に異なるパターンに更新されるものではない。そこで、例えば、変換効率劣化情報及び電流量減少情報を1時間間隔で取得し、その取得した情報に基づいて補正パターンを1時間間隔で更新するなどにより、演算量を軽減することが考えられる。
【0064】
次に、劣化特性情報生成部213の構成例について説明する。劣化特性情報生成部213では、ダミー画素回路609を用いて画素回路の劣化を測定する。
【0065】
[劣化特性情報生成部の構成例]
図7は、劣化特性情報生成部の機能構成の一例を示した図である。劣化特性情報生成部213は、測定部2131、測定情報保持部2132、変換効率値算出部2133、電流量劣化値算出部2134及び劣化特性情報保持部2135を有する。劣化特性情報生成部213は、予め決められた所定の更新周期でダミー画素回路609の電流量劣化特性を算出する。画素回路の劣化はゆっくり進行するので、更新周期を短く設定する必要はない。画素別電流減少量積算部214及び画素別電流量劣化値算出部215よりもさらに長い更新周期をとることもできる。しかし、ここでは画素別電流減少量積算部214及び画素別電流量劣化値算出部215と同じ周期で処理を行うとする。
【0066】
測定部2131は、更新周期になると、ダミー画素回路609に大きさの異なる複数レベルの階調値を設定し、それぞれの階調値を設定したときのダミー画素回路609の輝度を測定する。ここでダミー画素回路609に設定される階調値は、映像信号の階調値によらない、予め設定された階調値パターンであるとする。そして、測定した輝度値を階調値に対応付けた測定情報を生成し、測定情報保持部2132に供給する。なお、測定部2131は、測定を行う期間を除き、予め決められた階調値をダミー画素回路609に設定しておく。こうして、測定部2131による測定期間を除き、劣化特性を求めたい階調値でダミー画素回路609を駆動させ、所定の階調値で画素回路を継続して使用したときの劣化特性を得る。測定部2131による測定時間は、ダミー画素回路609を所定の階調値で駆動する期間に比べて非常に短いので、測定がダミー画素回路609の劣化に与える影響は無視することができる。
【0067】
測定情報保持部2132は、測定部2131から供給された複数レベルの階調値に対応する輝度値が登録された測定情報を保持する。測定情報は、変換効率値算出部2133及び電流量劣化値算出部2134に供給する。
【0068】
変換効率値算出部2133は、測定情報保持部2132が保持する測定情報を取得し、ダミー画素回路609の変換効率値を算出する。式(2)より、画素回路の変換効率値Adは、輝度値Ldと駆動電流(S−ΔS)2とによって、次の式で求めることができる。
Ad=Ld/(S−ΔS)2 ・・・(6)
【0069】
そこで、測定情報保持部2132から、測定された輝度値(Ld)と、駆動電流に対応する階調値(Gin)を読み出し、式(6)を適用する。そして、ダミー画素回路609の現時点の変換効率値Adを算出する。例えば、測定された複数の階調値について変換効率を算出し、平均値をとるなどの統計処理を行って、ダミー画素回路609の変換効率値を求めるとしてもよい。
【0070】
また、上記の算出方法ではΔSを考慮していないが、ΔSを考慮して変換効率値Adを求めることもできる。例えば、測定部2131は、複数レベルの階調値について輝度値L1,L2,・・・Lnを測定している。このとき、輝度値L1,L2,・・・Lnに対応する駆動電流値S1,S2,・・・Snには同じ大きさの駆動電流減少量ΔSが含まれている。そこで、複数レベル間の駆動電流値S1,S2,・・・Snの変化量と、これに対応する輝度値L1,L2,・・・Lnの変化量とに基づいて、駆動電流値の変化量に対する輝度値変化量の傾き(輝度値変化量/駆動電流値変化量)を算出する。こうして算出した変換効率値には、駆動電流減少量ΔSによる影響が含まれておらず、精度の高い変換効率値を得ることができる。算出した変換効率値は、電流量劣化値算出部2134に供給する。
【0071】
電流量劣化値算出部2134は、変換効率値算出部2133から取得した変換効率値に基づき、電流量劣化値として、画素回路の劣化に伴って減少する駆動電流に関する駆動電流減少量ΔSを求める。このため、電流量劣化値算出部2134は、ダミー画素回路609に対して設定された階調値に対応して測定された輝度値と、効率変換値との相対関係に基づいて、この階調値に対応する駆動電流値を算出する。例えば、式(2)より、劣化後の画素回路の駆動電流は、次の式で表わすことができる。
(S−ΔS)2=Ld/Ad ・・・(7)
【0072】
測定情報保持部2132が保持する階調値に対応付けられた輝度値と、変換効率値算出部2133が算出した変換効率値とを式(7)に適用し、それぞれの輝度値に対応する駆動電流値を算出する。この駆動電流値は、輝度値に対応する階調値に対応付けることができる。こうして、現時点のダミー画素回路609について、階調値と駆動電流値(実際には、輝度/変換効率)との関係が得られる。この階調値との関係によって表わされる駆動電流の特性を劣化後電流特性とする。同様に、ダミー画素回路609が補正の基準状態である初期状態にあったときの階調値と駆動電流値との関係を取得する。この関係によって表わされる駆動電流の特性を初期電流特性とする。上記と同様に、式(1)を用いてダミー画素回路609の初期状態における変換効率値と輝度値とから階調値に対応する駆動電流値を算出するとしてもよい。また、予め初期電流特性情報として、階調値と駆動電流値のデータを登録しておくとしてもよい。
【0073】
次に、電流量劣化値算出部2134は、算出した現時点のダミー画素回路609の劣化後電流特性と、初期状態のダミー画素回路609の初期電流特性とを比較し、駆動電流減少量を求める。以下、詳細な手順を説明する。
【0074】
図8は、画素回路の電流特性と駆動電流減少量との関係を示した図である。図8は、横軸は階調値、縦軸は輝度/変換効率によって算出される駆動電流値を示している。
【0075】
電流特性曲線(初期)711は、対象の画素回路に劣化が生じていない初期状態における初期電流特性を表わしたグラフである。一方、電流特性曲線(劣化)721は、対象の画素回路に電流劣化が生じた状態における劣化後電流特性を表わしたグラフである。電流量劣化値算出部2134では、同じ階調値における電流特性曲線(初期)711の駆動電流値と、電流特性曲線(劣化)721の駆動電流値とを比較する。例えば、同じ階調値について、対象の画素回路が初期状態における駆動電流値711aと、対象の画素回路が劣化状態における駆動電流値721aとを比較すると、初期状態の駆動電流値711aに対し、劣化状態の駆動電流値721aの駆動電流が減少している。これは、駆動電流の劣化による駆動電流量減少成分である。この値を算出し、駆動電流減少量d1とする。複数レベルの階調値で測定が行われているので、複数の階調値において駆動電流減少量d1を算出し、統計処理を行うことにより、駆動電流減少量d1の精度を上げる。算出した駆動電流減少量は、電流量劣化値として劣化特性情報保持部2135に供給する。
【0076】
劣化特性情報保持部2135は、劣化特性情報を保持するものであり、ダミー画素回路609を測定した測定結果に基づくダミー画素回路609の劣化特性情報を保持する。ここでは、劣化特性情報として、所定の経過時間ごとのダミー画素回路609の測定値に基づいて算出した電流量劣化値が、経過時間に対応付けて登録されている。
【0077】
このように、実際にダミー画素回路609を用いて測定した輝度値に基づいて電流量劣化値を算出することにより、精度の高い電流量劣化特性情報を得ることができる。そして、この電流量劣化特性情報を用いて電流量劣化補正を行えば、焼き付き補正を精度よく補正することが可能となる。なお、上記の説明では、算出した変換効率値は、駆動電流値の算出にしか用いられていないが、算出した変換効率値から変換効率劣化特性情報を生成するとしてもよい。変換効率値についても、実際にダミー画素回路609を用いて測定した輝度値に基づいて算出することから、実際の測定値に基づく精度の高い変換効率劣化値を得ることができる。そして、この変換効率劣化値に基づく変換効率劣化特性情報を用いて電流量劣化補正を行えば、焼き付き補正をさらに精度よく補正することが可能となる。
【0078】
以下、上記の構成の焼き付き補正部200における劣化特性情報の生成例について、図面を参照して説明する。
【0079】
図9は、劣化特性情報の生成例を示した図である。図9は、測定部2131が測定し、測定情報保持部2132が保持する測定情報730に基づき、劣化特性情報保持部2135が保持する電流量劣化特性情報(階調値200)740が生成されるまでの流れを模式的に説明している。ここでは、ダミー画素回路609を階調値200で駆動し、階調値200の劣化特性情報を生成する場合について説明する。
【0080】
測定情報保持部2132は、ダミー画素回路609を初期状態から階調値200で駆動し、t時間経過したときに測定部2131が測定した測定情報(t)730を保持する。測定部2131は、測定期間を除き、ダミー画素回路609を階調値200で駆動している。そして、所定の更新周期になると、ダミー画素回路609に複数レベルの階調値G1,G2,・・・Gnを設定し、そのときの輝度を測定する。こうして、階調値G1,G2,・・・Gnと、輝度値L1,L2,・・・Lnと、が対応付けられた測定情報(t)730を測定情報保持部2132に供給する。
【0081】
変換効率値算出部2133は、測定情報保持部2132から測定情報(t)730を読み出し、階調値と輝度値とから変換間効率値を算出する。例えば、式(2)を用いて、階調値の変化量(G2−G1)に対する輝度値の変化量(L2−L1)を算出し、変換効率値Adを算出する。算出した変換効率値Adは、電流量劣化値算出部2134に供給する。
【0082】
電流量劣化値算出部2134は、変換効率値算出部2133が算出した変換効率値と、輝度値とを用いて階調値に対応する駆動電流値を算出する。例えば、階調値G1について、輝度値L1と変換効率値Adとを式(7)に適用し、階調値G1に対応する駆動電流値(L1/Ad)を算出する。他の測定が行われた階調値G2,・・・Gnについて同様の手順で駆動電流値(Ln/Ad)を算出する。こうして得られた駆動電流値(Ln/Ad)と階調値G1,G2,・・・Gnとを対応付けた劣化後電流特性と、予め保持している初期電流特性731とを比較し、電流量劣化値を算出する。そして、算出した電流値劣化情報を劣化特性情報保持部2135が保持する電流量劣化特性情報(階調値200)740に登録する。電流量劣化特性情報(階調値200)740には、経過時間に対応付けて算出された電流量劣化値が設定されている。ここでは、t時間に対応する欄に算出した電流量劣化値を登録する。なお、電流量劣化特性情報は、画素回路の一般的な劣化特性に応じて予め経過時間に対応する電流量劣化値を登録しておく。そして、ダミー画素回路609を用いて測定した輝度値に基づいて電流量劣化値を算出したときは、該当する欄を算出した電流量劣化値で更新する。また、電流劣化値として、電流劣化量を階調値に置き換えた値を用いるとしてもよい。この場合、電流量劣化特性情報(階調値200)740の電流量劣化値には、初期状態から減少した駆動電流値に相当する階調値の変化量が登録される。
【0083】
劣化特性情報保持部2135が保持する電流量劣化特性情報(階調200)740は、所定の更新時間ごとに、測定値に基づいて算出された電流量劣化値によって更新される。
【0084】
なお、変換効率値算出部2133が算出した変換効率値から、変換効率の劣化に関する変換効率劣化情報を生成し、劣化特性情報保持部2135に格納しておくとしてもよい。例えば、算出した変換効率値と、ダミー画素回路609が初期状態のときの変換効率値とを、式(4)に適用して変換効率劣化値を算出し、経過時間tに対応付けて変換効率劣化情報に登録する。
【0085】
こうして劣化特性情報保持部2135が保持する電流量劣化特性情報(階調200)740は、画素別電流減少量積算部214による各画素回路600〜608の電流量の減少量算出に用いられる。また、同時に変換効率劣化情報が生成されるときは、変換効率劣化情報は、画素別変換効率劣化量積算部211の画素回路別の変換効率劣化量の算出に用いられる。
【0086】
次に、上記の手順で生成された電流量劣化特性情報について説明する。図10は、電流量劣化特性情報に基づく電流量劣化曲線の一例を示した図である。図10の横軸は、ダミー画素回路609を駆動したときの初期状態からの経過時間表わしている。また、縦軸は電流量劣化値算出部2134が算出した電流量劣化値に相当する階調値の変化量(Δ階調値)を表わしている。
【0087】
電流量劣化曲線(階調値100)751は、ダミー画素回路609を階調値100で駆動させたときの経過時間と、電流量劣化値に相当するΔ階調値との関係を表わしている。階調値100とは、初期状態においてダミー画素回路609を100nitで発光させる階調値である。
【0088】
電流量劣化曲線(階調値200)752は、ダミー画素回路609を階調値200で駆動させたときの経過時間と、電流量劣化値に相当するΔ階調値との関係を表わしている。階調値200とは、初期状態においてダミー画素回路609を200nitで発光させる階調値である。
【0089】
電流量劣化曲線(階調値400)753は、ダミー画素回路609を階調値400で駆動させたときの経過時間と、電流量劣化値に相当するΔ階調値との関係を表わしている。階調値400とは、初期状態においてダミー画素回路609を400nitで発光させる階調値である。
【0090】
例えば、図9に示した電流量劣化特性情報の生成処理で説明したように、階調値200について電流量劣化特性情報を生成する場合、電流量劣化値算出部2134によって、経過時間t1,t2,・・・において電流量劣化値が算出される。この電流量劣化値は、図9に示した生成処理手順によって、ダミー画素回路609において実測された測定データに基づくものである。このため、経過時間t1,t2,・・・において算出した電流量劣化値を用いて電流量劣化曲線(階調値200)752を補正すれば、実際の表示装置100の動作状態に合った正確な電流量劣化曲線を得ることができる。
【0091】
なお、電流量劣化曲線(階調値100)751、電流量劣化曲線(階調値200)752、電流量劣化曲線(階調値400)753には、相関関係がある。例えば、「階調値200」において電流量劣化値が所定の割合(例えば、10パーセント)劣化するのに要する時間と、「階調値100」において10パーセント電流量劣化値が同様に所定の割合劣化するのに要する時間と、には比例関係がある。劣化特性情報保持部2135に1つの階調値の電流量劣化特性情報をマスタカーブとして保持しておけば、他の階調値の電流量劣化値を算出することができる。例えば、電流量劣化曲線(階調値200)752をマスタカーブとして保持しておけば、階調値間の比例関係に基づいて、他の電流量劣化曲線の電流量劣化値を算出することができる。
【0092】
次に、上記の構成の焼き付き補正部200における変換効率劣化補正パターンの生成例と、電流量劣化補正パターンの生成例とについて、図面を参照して説明する。
【0093】
[変換効率劣化補正パターンの生成例]
図11は、変換効率劣化補正パターンの生成例を示した図である。図11は、変換効率劣化情報保持部211aが保持する変換効率劣化情報(n−1)760に基づき、変換効率劣化補正パターン保持部231が保持する変換効率劣化補正パターン(n)770が生成されるまでの流れを模式的に説明している。また、図11では、図6に示した画素別変換効率劣化量積算部211及び画素別変換効率劣化値算出部212に加え、変換効率劣化情報を保持する記憶手段を変換効率劣化情報保持部211aとして記載している。なお、便宜上、表示装置100に備えられている画素回路を1〜mにより識別する。ここで、変換効率劣化補正パターンは、補正演算部220が映像信号の処理周期と同じ周期、またはそれよりも長い周期で生成することができる。これは、輝度が画素回路ごとにバラついたとしても、劣化はゆっくり進行するためである。例えば、変換効率劣化補正パターンを1時間間隔で更新することにより、焼き付き補正部200の演算量を軽減することができる。しかし、以下では、補正された映像信号が画素回路に出力されるごとに変換効率劣化補正パターンを更新する場合について説明する。
【0094】
画素別変換効率劣化量積算部211は、変換効率劣化情報保持部211aに保持されている変換効率劣化情報(n−1)760を、画素回路1〜mの変換効率の新たな劣化量を加算することによって更新する。ここで、変換効率劣化情報(n−1)760とは、例えば、画素1〜mの変換効率劣化の量を、特定の階調値における発光時間に換算した値である。画素別変換効率劣化量積算部211は、例えば、補正演算部220から供給された補正後の映像信号の階調値に基づいて、画素回路1〜mの変換効率の新たな劣化に関する情報を、効率劣化換算係数を用いて算出する。ここで、効率劣化換算係数とは、例えば、時間の経過に応じた発光素子640の変換効率の劣化量を、発光時間及び発光時における階調に基づいて算出するための係数である。
【0095】
変換効率劣化情報保持部211aは、画素別変換効率劣化量積算部211が供給する画素回路1〜mの輝度の変換効率の劣化に関する変換効率劣化情報を画素回路ごとに保持する。変換効率劣化情報(n−1)760は、変換効率劣化情報として、n−1(nは2以上の整数)回目の更新周期の表示に基づいて変換効率劣化情報保持部211aに保持されている。この変換効率劣化情報(n−1)760は、n回目の更新周期の表示を補正する変換効率劣化補正パターン(n)770を生成するために用いられる。変換効率劣化情報(n−1)760の左欄には画素回路の番号である画素番号、右欄にはその画素回路の変換効率劣化情報(劣化情報)が保持されている。例えば、ここでは、変換効率劣化値を、階調値200の発光時間(経過時間)に換算した値とする。例えば、画素番号「i」に対応する変換効率劣化情報として「160」時間が保持され、画素番号「1」、「2」、「m」に対応する変換効率劣化情報として「100」時間が保持されている。
【0096】
このような変換効率劣化情報(n−1)760が変換効率劣化情報保持部211aに保持されている状態で、画素別変換効率劣化値算出部212は、n回目の変換効率劣化補正パターンを更新する。まず、補正対象となる画素回路に関する変換効率劣化情報を取得し、この画素回路の変換効率を算出し、対象変換効率値とする。例えば、画素番号「1」の対象変換効率値が画素別変換効率劣化値算出部212に供給される過程について説明する。まず、画素別変換効率劣化値算出部212は、変換効率劣化情報(n−1)760から画素番号「1」の劣化情報「100」を取得し、係数変換情報を用いて変換効率を算出する。係数変換情報は、予め保持しているとする。そして、算出した画素番号「1」の画素回路の変換効率と、補正の基準となる基準効率劣化値から、この画素回路の変換効率劣化値を算出し、変換効率劣化補正パターン保持部231に供給する。これにより、変換効率劣化補正パターン(n)770のc1に対応する変換効率劣化値が変換効率劣化補正パターン保持部231に保持される。
【0097】
こうして、変換効率劣化補正パターン保持部231に保持される変換効率劣化補正パターン(n)770について説明する。
【0098】
変換効率劣化補正パターン(n)770は、画素別変換効率劣化値算出部212により生成される変換効率劣化補正パターンを模式的に示すものである。図11の例では、画素別変換効率劣化値算出部212により生成された画素回路ごとの変換効率劣化値を、表示画面を構成する画素の配置に合わせて配置した場合に終える変換効率劣化パターンを模式的に表わしている。具体的には、変換効率劣化補正パターン(n)770は、変換効率劣化情報(n−1)760に基づいて生成された変換効率劣化値により構成される補正パターンの一例であり、n回目の更新周期(1分間)の間に表示される各フレームに関する映像信号を補正するための補正パターンである。
【0099】
この変換効率劣化補正パターン(n)770における変換効率劣化値c1は、変換効率劣化情報(n−1)760において示した画素番号「1」に対応する画素回路を補正するための変換効率劣化値である。また、変換効率劣化値c2,ci及びcmも変換効率劣化値c1と同様に、変換効率劣化情報(n−1)760において示した画素番号「2」、「i」及び「m」に対応する画素回路に供給される映像信号を補正するための変換効率劣化値である。
【0100】
補正演算部220では、変換効率劣化補正演算部221が、この変換効率劣化補正パターン(n)770に基づいて映像信号の階調値を補正する。例えば、画素番号「i」の画素回路の変換効率劣化値ciは、他の画素番号「1」、「2」及び「m」の変換効率劣化値c1、c2及びcmよりも大きいとする。この場合、変換効率劣化補正演算部221は、画素番号「i」に対応する画素回路の映像信号の階調値の補正量(増分)は、他の画素番号「1」、「2」及び「m」の画素回路の映像信号の階調値の補正量(増分)よりも大きくする。このように、階調値を補正することによって、焼き付きを補正することができる。
【0101】
以上説明したように、変換効率劣化補正パターン生成部210aによって、画素回路ごとの変換効率の劣化値の度合いに応じてその画素回路で表示される映像信号の階調値を変更するための、変換効率劣化補正パターンが生成される。変換効率劣化補正パターンに、全ての画素回路について変換効率劣化値が設定されることによって、表示画面を構成する各画素の焼き付き補正を適切に行うことができる。
【0102】
[電流量劣化補正パターンの生成例]
次に、電流量劣化補正パターン生成部210bによる電流量劣化補正パターンの生成例について説明する。図12は、電流量劣化補正パターンの生成例を示した図である。図12は、電流量減少情報保持部214aが保持する電流量減少情報(n−1)780に基づき、電流量劣化補正パターン保持部232が保持する電流量劣化補正パターン(n)790が生成されるまでの流れを模式的に説明している。また、図12では、図6に示した画素別電流減少量積算部214及び画素別電流量劣化値算出部215に加え、電流量減少情報を保持する記憶手段を電流量減少情報保持部214aとして記載している。なお、ここでは、図11に示した変換効率劣化補正パターン生成部210aと同様に、表示装置100に備えられている画素回路を、1〜mにより識別するものとする。また、補正された映像信号が画素回路に出力されるごとに電流量劣化補正パターンを更新する場合について説明する。
【0103】
電流量減少情報(n−1)780は、電流量減少情報保持部214aに保持される各画素回路の駆動電流の減少量を示す情報である。図12に示す例では、電流量減少情報としてn−1回目の更新周期の間の表示に基づいて電流量減少情報保持部214aに保持される電流量減少情報を示す。この電流量減少情報(n−1)780は、n回目の更新周期の表示を補正する電流量減少補正パターン(n)を生成するために用いられる。電流量減少情報(n−1)780の左欄には画素回路の番号である画素番号、右欄にはその画素回路の電流量減少情報が保持されている。
【0104】
画素別電流減少量積算部214は、電流量減少情報保持部214aに保持されている電流量減少情報(n−1)780に、画素回路1〜mの新たな駆動電流の減少量を加算することによって各画素回路の駆動電流減少量を更新する。ここで、電流量減少情報(n−1)780とは、例えば、画素1〜mの駆動電流の減少量を、特定の階調値の映像信号による発光時間に換算した値である。画素別電流減少量積算部214は、例えば、補正演算部220から供給された補正後の映像信号に基づいて、画素回路1〜mの駆動電流の新たな減少量に関する情報を、減少量換算係数を用いて算出する。ここで、減少量換算係数とは、例えば、時間の経過に応じた発光素子640の駆動電流の減少量を、発光時間及び発光時の設定した階調値に基づいて算出するための係数である。減少量換算係数は、劣化特性情報生成部213が生成した電流量劣化特性情報(階調200)740に基づいて算出する。電流量劣化特性情報(階調200)740には、階調200で画素回路を駆動したときの経過時間に応じた電流量劣化値がマスタカーブとして登録されている。このマスタカーブに基づいて、対象画素回路の発光時間と発光時の階調値とに応じた駆動電流減少量を算出する。
【0105】
電流量減少情報保持部214aは、画素別電流減少量積算部214が供給する画素回路1〜mの駆動電流減少量に関する電流量減少情報を画素回路ごとに保持する。電流量減少情報(n−1)780は、n−1回目の更新周期の表示に基づいて電流量減少情報保持部214aに保持されている。
【0106】
このような電流量減少情報(n−1)780が電流量減少情報保持部214aに保持されている状態で、画素別電流量劣化値算出部215は、n回目の電流量劣化補正パターンを更新する。まず、補正対象となる画素回路に関する電流量減少情報を取得し、この画素回路の新たな駆動電流の減少量を算出し、対象電流量減少値とする。例えば、画素番号「1」の対象電流量減少値が画素別電流量劣化値算出部215に供給される過程について説明する。まず、画素別電流量劣化値算出部215は、電流量減少情報(n−1)780から画素番号「1」の減少情報「100」を取得し、係数変換情報を用いて電流減少値を算出する。係数変換情報は、予め保持しているとする。そして、算出した画素番号「1」の画素回路の電流減少値と、補正の基準となる基準電流減少値から、この画素回路の電流量劣化値を算出し、電流量劣化補正パターン保持部232に供給する。これにより、電流量劣化補正パターン(n)790のj1に対応する電流量劣化値が電流量劣化補正パターン保持部232に保持される。
【0107】
こうして、電流量劣化補正パターン保持部232に保持される電流量劣化補正パターン(n)790について説明する。
【0108】
電流量劣化補正パターン(n)790は、画素別電流量劣化値算出部215により生成される電流量劣化補正パターンを模式的に示すものである。図12の例では、画素別電流量劣化値算出部215により生成された画素回路ごとの電流量劣化値を、表示画面を構成する画素の配置に合わせて配置した場合における電流量劣化補正パターンを模式的に表わしている。具体的には、電流量劣化補正パターン(n)790は、電流量減少情報(n−1)780に基づいて生成された電流量劣化値により構成される補正パターンの一例であり、n回目の処理期間に表示される各フレームに関する映像信号を補正するための補正パターンである。
【0109】
この電流量劣化補正パターン(n)790における電流量劣化値j1は、電流量減少情報(n−1)780において示した画素番号「1」に対応する画素回路を補正するための電流量劣化値である。また、電流量劣化値j2,ji及びjmも電流量劣化値j1と同様に、電流量減少情報(n−1)780において示した画素番号「2」、「i」及び「m」に対応する画素回路に供給される映像信号を補正するための電流量劣化値である。
【0110】
補正演算部220では、電流量劣化補正演算部222が、この電流量劣化補正パターン(n)790に基づいて映像信号の階調値を補正する。例えば、画素番号「i」の画素回路の電流量劣化値jiは、他の画素番号「1」、「2」及び「m」よりも電流量劣化値j1、j2及びjmよりも大きいとする。この場合、電流量劣化補正演算部222は、画素番号「i」に対応する画素回路の映像信号の階調値の補正量(増分)は、他の画素番号「1」、「2」及び「m」の画素回路の映像信号の階調値の補正量(増分)よりも大きくする。このように、階調値を補正することによって、焼き付きを補正することができる。
【0111】
以上説明したように、電流量劣化補正パターン生成部210bによって、画素回路ごとの駆動電流の減少量の度合いに応じてその画素回路で表示される映像信号の階調値を変更するための、電流量劣化補正パターンが生成される。電流量劣化補正パターンに、全ての画素回路について電流量劣化値が設定されることによって、表示画面を構成する各画素の焼き付き補正を適切に行うことができる。
【0112】
[焼き付き補正部の動作例]
次に、焼き付き補正部200の動作について図面を参照して説明する。図13は、焼き付き補正部の焼き付き補正処理の手順例を示したフローチャートである。なお、図13の例では、映像信号の処理周期と同じ周期で補正パターンの生成処理が行われるとする。また、劣化特性情報の生成処理は、映像信号の処理周期の整数倍の更新周期で行うとする。
【0113】
映像信号の処理周期で、焼き付き補正部200が起動される。
【0114】
[ステップS01] 劣化特性情報生成部213は、劣化特性情報の更新周期に到達したかどうかを判定する。更新周期であれば、処理をステップS02に進める。更新周期でなければ、処理をステップS03に進める。
【0115】
[ステップS02] 劣化特性情報生成部213は、劣化特性情報の更新周期であれば、ダミー画素回路609を用いて、駆動電流に関する電流量劣化特性情報を更新する。処理の詳細は後述する。
【0116】
[ステップS03] 変換効率劣化補正パターン生成部210a及び電流量劣化補正パターン生成部210bは、前回の映像信号の処理周期で補正演算部220から出力された補正された映像信号を取得し、それぞれの処理を開始する。
【0117】
[ステップS04] 変換効率劣化補正パターン生成部210aの画素別変換効率劣化量積算部211は、補正された映像信号の階調値を用いて、変換効率の新たな劣化量を算出し、変換効率劣化情報を更新する。例えば、補正された映像信号の階調値と、効率劣化換算係数とを用いて、前回の処理周期から今回の周期までの経過時間における画素回路の新たな変換効率劣化量を算出する。そして、新たな変換効率劣化量を対象画素回路の変換効率劣化情報に加算し、変換効率劣化情報を更新する。
【0118】
[ステップS05] 変換効率劣化補正パターン生成部210aの画素別変換効率劣化値算出部212は、画素別変換効率劣化量積算部211によって更新された変換効率劣化情報に基づき、各画素の変換効率劣化補正パターンを生成し、変換効率劣化補正パターン保持部231に格納する。
【0119】
[ステップS06] 電流量劣化補正パターン生成部210bの画素別電流減少量積算部214は、補正された映像信号の階調値を用いて、駆動電流の新たな減少量を算出し、電流量減少情報を更新する。例えば、補正された映像信号の階調値と、減少量換算係数とを用いて、前回の処理周期から今回の周期までの経過時間における画素回路の新たな駆動電流の減少量を算出する。ここで、減少量換算係数は、劣化特性情報生成部213が生成した電流量劣化特性情報に基づいて算出しておく。そして、新たな駆動電流の減少量を対象画素回路の電流量減少情報に加算し、電流量減少情報を更新する。
【0120】
[ステップS07] 電流量劣化補正パターン生成部210bの画素別電流量劣化値算出部215は、画素別電流減少量積算部214によって更新された電流量減少情報に基づき、各画素の電流量劣化補正パターンを生成し、電流量劣化補正パターン保持部232に格納する。
【0121】
[ステップS08] 補正演算部220は、変換効率劣化補正演算部221が、入力した映像信号の階調値を、変換効率劣化補正パターンを用いて補正する。そして、補正した映像信号の階調値を、電流量劣化補正演算部222が、電流量劣化補正パターンを用いて補正する。
【0122】
以上の処理手順が実行されることにより、それぞれの画素回路について変換効率劣化補正パターンと電流量劣化補正パターンが生成され、変換効率劣化補正と、電流量劣化補正とが行われる。なお、上記のフローチャートでは、変換効率劣化補正パターン生成部210aの処理の後、電流量劣化補正パターン生成部210bが処理を行うとしたが、双方の処理を並行して行わせるとしてもよい。
【0123】
[劣化特性情報生成部の動作例]
次に、焼き付き補正部200の劣化特性情報生成部213の動作について図面を参照して説明する。図14は、劣化特性情報生成部の劣化特性情報生成処理の手順例を示したフローチャートである。
【0124】
[ステップS101] 測定部2131は、予め決められた階調値パターンに基づき、階調値(i)をダミー画素回路609に設定する。階調値(i)は、階調値パターンのi番目の階調値であるとする。
【0125】
[ステップS102] 測定部2131は、階調値(i)をダミー画素回路609に設定したときの輝度を測定し、輝度値(i)とする。そして、輝度値(i)を階調値(i)に対応付けて測定情報保持部2132に供給し、測定情報を保持させる。
【0126】
[ステップS103] 測定部2131は、予め決められた階調パターンに設定されている全階調値について測定を行ったかどうかを判定する。全階調値の測定が終了していないときは、iを次に進め、ステップS101に戻って次の階調値で測定を行う。全階調値の測定が終了したときは、処理をステップS104に進める。
【0127】
[ステップS104] 測定部2131は、測定処理の開始前にダミー画素回路609に設定されていた元の階調値を設定する。これにより、ダミー画素回路609によって、所定の階調値の電流量劣化特性を得ることができる。測定部2131は、測定情報を測定情報保持部2132に供給し、測定情報は測定情報保持部2132によって保持される。
【0128】
[ステップS105] 変換効率値算出部2133は、測定情報保持部2132が保持する測定情報に基づき、測定時のダミー画素回路609の変換効率値を算出する。例えば、測定情報に登録されている複数レベルの階調値と、階調値に対応する輝度値とに基づいて、輝度変化量/階調値変化量を算出し、変換効率値を算出する。算出した変換効率値は、電流量劣化値算出部2134に供給する。また、ダミー画素回路609が初期状態にあったときの変換効率値(初期)に基づいて、初期状態からの変換効率の劣化量を算出してもよい。算出した変換効率の劣化量を変換効率劣化特性情報として劣化特性情報保持部2135に格納しておく。
【0129】
[ステップS106] 電流量劣化値算出部2134は、変換効率値算出部2133が算出した測定時のダミー画素回路609の変換効率値と、測定情報の輝度値とを用いて、駆動電流値に相当する輝度値/変換効率値を算出する。そして、算出した駆動電流値(輝度値/変換効率値)を、輝度値に応じた階調値に対応付け、劣化後の電流特性を算出する。
【0130】
[ステップS107] 電流量劣化値算出部2134は、算出した劣化後の電流特性をダミー画素回路609が初期状態のときの初期電流特性と比較し、駆動電流の減少量を算出する。算出した駆動電流の減少量を電流量劣化値とする。
【0131】
[ステップS108] 電流量劣化値算出部2134は、算出した電流量劣化値と、測定時刻とに基づき、ダミー画素回路609の駆動時間と、電流量劣化値とを対応付けた電流量劣化特性情報を更新する。更新した電流量劣化特性情報は、劣化特性情報保持部2135に供給し、劣化特性情報保持部2135が電流量劣化特性情報を保持する。
【0132】
上記の処理手順が実行されることにより、ダミー画素回路609に対して複数レベルの階調値を設定して測定した輝度値に基づいて、電流量劣化特性情報が更新される。このように、実際に測定した測定値に基づく、精度の高い電流量劣化特性情報を得ること可能となる。また、精度の高い電流量劣化情報に基づいて映像信号の階調値を補正することにより、焼き付き補正を精度よく補正することが可能となる。
【0133】
以上説明した表示装置100は、フラットパネル形状を有し、様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、ビデオカメラ等、電子機器に入力された、もしくは、電子機器内で生成した映像信号を画像もしくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器のディスプレイに適用することが可能である。以下この様な表示装置100が適用された電子機器の例を示す。
【0134】
[電子機器への適用例]
図15は、実施の形態の表示装置を備えたテレビジョンセットを示す斜視図である。図15に示したテレビジョンセットは、フロントパネル12、フィルターガラス13等から構成される映像表示画面11を含み、表示装置100をその映像表示画面11に用いることにより作製される。
【0135】
図16は、実施の形態の表示装置を備えたデジタルスチルカメラを示す斜視図である。図16は、上段がデジタルスチルカメラの正面図を示し、下段がデジタルスチルカメラの背面図を示す。図16に示したデジタルスチルカメラは、撮像レンズ、フラッシュ用の発光部15、表示部16、コントロールスイッチ、メニュースイッチ、シャッター19等を含み、実施の形態の表示装置100をその表示部16に用いることにより作製される。
【0136】
図17は、実施の形態の表示装置を備えたノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。図17に示したノート型パーソナルコンピュータは、本体20には文字等を入力するとき操作されるキーボード21を含み、本体カバーには画像を表示する表示部22を含み、実施の形態の表示装置100をその表示部22に用いることにより作製される。
【0137】
図18は、実施の形態の表示装置を備えた携帯端末装置を示す模式図である。図18では、左側に携帯端末装置が開いた状態を示し、右側に携帯端末装置が閉じた状態を示している。図18に示した携帯端末装置は、上側筐体23、下側筐体24、連結部(ここではヒンジ部)25、ディスプレイ26、サブディスプレイ27、ピクチャーライト28、カメラ29等を含み、実施の形態の表示装置100をそのディスプレイ26やサブディスプレイ27に用いることにより作製される。
【0138】
図19は、実施の形態の表示装置を備えたビデオカメラを示す斜視図である。図19に示したビデオカメラは、本体部30、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ34、撮影時のスタート/ストップスイッチ35、モニター36等を含み、実施の形態の表示装置100をそのモニター36に用いることにより作製される。
【0139】
上記の電子機器によれば、特に、変換効率の劣化成分を高い精度で得ることができるので、焼き付きを精度よく解消することができる。
【0140】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、信号処理装置、表示装置及び電子機器が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RWなどがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0141】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0142】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0143】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現することもできる。
【符号の説明】
【0144】
100・・・表示装置、 200・・・焼き付き補正部、 210・・・補正パターン生成部、 210a・・・変換効率劣化補正パターン生成部、 210b・・・電流量劣化補正パターン生成部、 211・・・画素別変換効率劣化量積算部、 212・・・画素別変換効率劣化値算出部、 213・・・劣化特性情報生成部、 214・・・画素別電流減少量積算部、 215・・・画素別電流量劣化値算出部、 220・・・補正演算部、 221・・・変換効率劣化補正演算部、 222・・・電流量劣化補正演算部、 230・・・補正パターン保持部、 231・・・変換効率劣化補正パターン保持部、 232・・・電流量劣化補正パターン保持部、 500・・・画素アレイ部、 600・・・画素回路、 610・・・書込みトランジスタ、 620・・・駆動トランジスタ、 630・・・保持容量、 640・・・発光素子、 2131・・・測定部、 2132・・・測定情報保持部、 2133・・・変換効率値算出部、 2134・・・電流量劣化値算出部、 2135・・・劣化特性情報保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の更新時間ごとに、発光素子を有する所定の画素回路に対し、該発光素子の発光の度合いを指示する階調値を複数レベルに設定して実際の輝度を測定し、測定した輝度値を階調値に対応付けた測定情報を生成する測定部と、
前記測定した輝度値と該輝度値に対応する階調値との関係に基づき、前記所定の画素回路の発光素子が階調値に応じて供給される駆動電流を輝度に変換する変換効率値を算出する変換効率値算出部と、
該変換効率値を用いて前記測定した輝度値に対応する駆動電流を算出し、該駆動電流と該輝度値に対応する階調値との関係を該所定の画素回路が補正の基準状態にあったときの駆動電流と階調値との関係と比較して該所定の画素回路の駆動電流の劣化に関する電流量劣化値を算出し、該所定の画素回路に関する電流量劣化特性情報を生成する電流量劣化値算出部と、
を有する信号処理装置。
【請求項2】
前記電流量劣化値算出部は、前記所定の画素回路について算出した劣化後の画素特性と、該所定の画素回路が補正の基準状態にあったときの基準画素特性とに基づいて、同じ階調値で発生する前記所定の更新時間における該所定の画素回路の駆動電流値と、該所定の画素回路が基準状態にあったときの基準駆動電流値との差を算出して前記電流量劣化値を求める、
請求項1記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記電流量劣化値算出部は、前記所定の画素回路が前記補正の基準状態にあったときを起点として該所定の画素回路を一定の階調値で駆動し、前記補正の基準状態から累積した経過時間と、前記所定の更新時間における電流量劣化値の予測値とを対応付けた電流量劣化特性情報を予め劣化特性情報保持部に保持しておき、算出した前記電流量劣化値に基づいて、前記劣化特性情報保持部に保持されている前記電流量劣化特性情報を該電流量劣化値に合わせて更新する、
請求項1記載の信号処理装置。
【請求項4】
任意の大きさの階調値を設定して駆動させることができるダミー画素回路を有し、
前記測定部は、該ダミー画素回路を前記所定の画素回路として用いる、
請求項1記載の信号処理装置。
【請求項5】
所定の更新時間ごとに、発光素子を有する所定の画素回路に対し、該発光素子の発光の度合いを指示する階調値を複数レベルに設定して実際の輝度を測定し、測定した輝度値を階調値に対応付けた測定情報を生成する手順と、
前記測定した輝度値と該輝度値に対応する階調値との関係に基づき、前記所定の画素回路の発光素子が階調値に応じて供給される駆動電流を輝度に変換する変換効率値を算出する手順と、
該変換効率値を用いて前記測定した輝度値に対応する駆動電流を算出し、該駆動電流と該輝度値に対応する階調値との関係を該所定の画素回路が補正の基準状態にあったときの駆動電流と階調値との関係と比較して該所定の画素回路の駆動電流の劣化に関する電流量劣化値を算出し、該所定の画素回路に関する電流量劣化特性情報を生成する手順と、
を有する信号処理方法。
【請求項6】
それぞれが発光素子を有する複数の画素回路と、
所定の更新時間ごとに、発光素子を有する所定の画素回路に対し、該発光素子の発光の度合いを指示する階調値を複数レベルに設定して実際の輝度を測定し、測定した輝度値を階調値に対応付けた測定情報を生成する測定部と、
前記測定した輝度値と該輝度値に対応する階調値との関係に基づき、前記所定の画素回路の発光素子が階調値に応じて供給される駆動電流を輝度に変換する変換効率値を算出する変換効率値算出部と、
該変換効率値を用いて前記測定した輝度値に対応する駆動電流を算出し、該駆動電流と該輝度値に対応する階調値との関係を該所定の画素回路が補正の基準状態にあったときの駆動電流と階調値と比較して該所定の画素回路の駆動電流の劣化に関する電流量劣化値を算出し、該所定の画素回路に関する電流量劣化特性情報を生成する電流量劣化値算出部と、
前記電流量劣化特性情報に基づき、前記複数の画素回路の電流量劣化量を算出し、該電流量劣化量に基づいて、前記複数の画素回路に対して指示された映像信号の階調値を補正する補正演算部と、
を有する表示装置。
【請求項7】
それぞれが発光素子を有する複数の画素回路と、
所定の更新時間ごとに、発光素子を有する所定の画素回路に対し、該発光素子の発光の度合いを指示する階調値を複数レベルに設定して実際の輝度を測定し、測定した輝度値を階調値に対応付けた測定情報を生成する測定部と、
前記測定した輝度値と該輝度値に対応する階調値との関係に基づき、前記所定の画素回路の発光素子が階調値に応じて供給される駆動電流を輝度に変換する変換効率値を算出する変換効率値算出部と、
該変換効率値を用いて前記測定した輝度値に対応する駆動電流を算出し、該駆動電流と該輝度値に対応する階調値との関係を該所定の画素回路が補正の基準状態にあったときの駆動電流と階調値との関係と比較して該所定の画素回路の駆動電流の劣化に関する電流量劣化値を算出し、該所定の画素回路に関する電流量劣化特性情報を生成する電流量劣化値算出部と、
前記電流量劣化特性情報に基づき、前記複数の画素回路の電流量劣化量を算出し、該電流量劣化量に基づいて、前記複数の画素回路に対して指示された映像信号の階調値を補正する補正演算部と、
を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−141334(P2012−141334A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291842(P2010−291842)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】