説明

信号処理装置およびそれを用いた撮像装置

【課題】 正確な利得制御が可能な信号処理装置を提供する。
【解決手段】 オーディオ信号処理装置100において、可変利得増幅器10は、アナログのオーディオ信号SIG12を増幅する。A/D変換器12は、可変利得増幅器10により増幅されたオーディオ信号SIG14をアナログデジタル変換する。利得制御部14はデジタル回路により構成され、A/D変換器12から出力されるデジタルのオーディオ信号SIG16にもとづき、可変利得増幅器10の利得を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ入力信号の信号レベルを調節し、デジタル出力信号に変換する信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオ信号などの信号処理を行う信号処理装置は、入力されるアナログ信号を増幅する増幅部と、増幅部により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器(以下、A/D変換器という)を含んでおり、A/D変換器によりデジタル信号に変換された信号をさまざまな信号処理を行うデジタル信号処理部(Digital Signal Processor、以下DSPという)に出力する。
【0003】
ここで、オーディオのように、広いダイナミックレンジを有する信号を扱う場合には、入力アナログ信号を増幅する増幅器の利得を、入力アナログ信号の振幅に応じて変化させる手法がとられている。
たとえば特許文献1には、A/D変換器に入力されるアナログ信号の信号レベル、すなわち振幅を検出回路によって検出し、検出された信号レベルが所定の信号レベルに達したときに、そのアナログ信号を増幅する増幅器の利得を低下させることにより、A/D変換器に入力されるアナログ信号の信号レベルが所定の値以上とならないように制御する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−86943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の図1あるいは図6に記載の技術によれば、信号処理装置に入力されるアナログ入力信号、あるいは増幅器による増幅後のアナログ信号の信号レベルを検出している。ここで、アナログ信号の信号レベルを検出するためには、検出回路をアナログ回路で構成する必要がある。したがって、検出回路を構成する抵抗などの素子特性がばらついた場合には、検出される信号レベルがばらつくことになるため、増幅器の利得制御の精度が悪化する場合がある。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、正確な利得制御が可能な信号処理装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の信号処理装置は、アナログ入力信号を増幅する可変利得増幅器と、可変利得増幅器により増幅されたアナログ入力信号をデジタル出力信号にアナログデジタル変換するアナログデジタル変換器と、アナログデジタル変換器から出力されるデジタル出力信号にもとづき、アナログ入力信号の信号レベルを検出し、可変利得増幅器の利得を制御する利得制御部と、を備える。
【0008】
この態様によると、利得制御部において、デジタル変換された後のデジタル出力信号に対して信号レベルの検出を行う。そのため、アナログ信号の信号レベル検出を行う場合に比べて、回路素子特性などのばらつきが生じても、可変利得増幅器の利得を正確に制御することができる。
【0009】
アナログデジタル変換器は、ΔΣ変調器とデジタルフィルタを含むΔΣ変調型のアナログデジタル変換器であってもよい。
【0010】
アナログデジタル変換器は、ΔΣ変調器の後段に多段接続された複数のデジタルフィルタを含み、利得制御部は、ΔΣ変調器または多段接続された複数のデジタルフィルタのいずれかから出力されるデジタル信号にもとづき、可変利得増幅器の利得を制御してもよい。
【0011】
利得制御部は、アナログ入力信号が信号処理装置に入力されてからアナログ入力信号の信号レベルを検出するまでの遅延時間がアナログ入力信号のサンプリング周期時間以下となるように、ΔΣ変調器または多段接続された複数のデジタルフィルタのいずれかから出力されるデジタル信号にもとづき、可変利得増幅器の利得を制御してもよい。
【0012】
この態様によれば、ΔΣ変調器およびデジタルフィルタにより生ずる遅延によって可変利得増幅器の利得制御のタイミングが遅れないように、多段接続される複数のデジタルフィルタの途中から出力されるデジタル信号の信号レベルを検出することによって、信号処理装置の応答性を高めることができる。
【0013】
信号処理装置に入力されるアナログ入力信号は、オーディオ信号であってもよい。
【0014】
本発明の別の態様もまた、信号処理装置である。この装置は、複数チャンネルのアナログオーディオ信号をアナログデジタル変換する信号処理装置であって、各チャンネルごとに入力されたアナログオーディオ信号を増幅する複数の可変利得増幅器と、複数の可変利得増幅器により増幅されたアナログオーディオ信号をアナログデジタル変換する複数のアナログデジタル変換器と、複数のアナログデジタル変換器から出力される複数のデジタル信号にもとづき、複数の可変利得増幅器の利得を制御する利得制御部と、を備える。利得制御部は、複数のデジタル信号のいずれかの信号レベルが所定のしきい値に達したとき、複数の可変利得増幅器の利得をともに低下させる。
【0015】
この態様によると、複数のチャンネルに入力されたオーディオ信号のうち、もっとも信号レベルの高いオーディオ信号にもとづいて可変利得増幅器の利得制御が行いつつ、すべてのチャンネルの利得をそろえることができる。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、撮像装置である。この装置は、撮像部と、マイクと、マイクから出力されるオーディオ信号をアナログデジタル変換して出力する上記信号処理装置と、撮像部から出力される画像データおよび信号処理装置から出力されるオーディオ信号を処理するデジタル信号処理部と、を備える。
【0017】
音声信号を録音できるデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置に上述の信号処理装置を搭載することにより、入力される音声信号のレベル信号に応じた利得制御を正確に行い、信号処理を行うことができる。
【0018】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る信号処理装置によれば、入力されるアナログ入力信号の信号レベルに応じて正確な利得制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る撮像装置2000の構成を示すブロック図である。撮像装置2000は、マイク200、オーディオ信号処理装置100、DSP300、撮像部310を含む。
【0021】
撮像部310は、レンズ、CCD(Charge Coupled Device)などを含み、映像データを電気信号に変換し、アナログデジタル変換してDSP300に出力する。
【0022】
マイク200にはオーディオ信号AUDが入力され、アナログの電気信号であるオーディオ信号SIG10に変換される。マイク200により電気信号に変換されたオーディオ信号SIG10は、オーディオ信号処理装置100へと出力される。
【0023】
オーディオ信号処理装置100は、アナログのオーディオ信号SIG10をデジタル変換し、DSP300に対しデジタル出力信号SIG20を出力する。
【0024】
DSP300は、撮像部310から出力される画像データを記録し、オーディオ信号処理装置100から出力されるデジタル出力信号SIG20を録音するために、フォーマット変換や圧縮などさまざまな信号処理を行い、あるいは図示しないメモリに対してデータの書き込み処理を行う。
【0025】
図2は、図1のオーディオ信号処理装置100および周辺回路を含む録音装置1000のブロック図である。録音装置1000は、マイク200、オーディオ信号処理装置100、DSP300を含む。
【0026】
オーディオ信号処理装置100は、入出力端子としてアナログ入力端子102、デジタル出力端子104を備え、アナログ入力端子102に入力されるアナログのオーディオ信号SIG10をデジタル変換し、デジタル出力端子104からデジタル出力信号SIG20を出力する。
【0027】
本実施の形態に係るオーディオ信号処理装置100は、可変利得増幅器10、A/D変換器12、利得制御部14、プリアンプ16、インターフェース部18を含む。
アナログ入力端子102から入力されるアナログのオーディオ信号SIG10は、プリアンプ16によって増幅され、後段の可変利得増幅器10へと出力される。
【0028】
可変利得増幅器10は、プリアンプ16により増幅されたオーディオ信号SIG12をさらに増幅し、あるいは減衰させて、後段のA/D変換器12へと出力する。この可変利得増幅器10は、マイク200から入力されるオーディオ信号の信号レベルに応じて利得が制御される。
【0029】
A/D変換器12は、可変利得増幅器10から出力されたアナログのオーディオ信号SIG14をアナログデジタル変換し、デジタルのオーディオ信号SIG16を出力する。たとえば、A/D変換器12は16ビット、サンプリング周波数fsは48kHzでアナログデジタル変換を行う。
A/D変換器12から出力されるオーディオ信号SIG16は、利得制御部14およびインターフェース部18に入力される。
【0030】
インターフェース部18は、A/D変換器12から出力されるデジタルのオーディオ信号SIG16の信号形式などの変換を行い、デジタル出力信号SIG20としてDSP300へと出力する。
【0031】
利得制御部14は、A/D変換器12から出力されるアナログデジタル変換されたデジタルのオーディオ信号SIG16にもとづき、A/D変換器12に入力されるアナログのオーディオ信号SIG14の信号レベルを検出し、可変利得増幅器10の利得を制御する。この利得制御部14は、デジタル回路として構成されている。利得制御部14は、オーディオ信号SIG16にもとづいて利得制御信号SIG22を生成し、可変利得増幅器10へ出力する。すなわち、利得制御部14は、可変利得増幅器10から出力されるアナログデジタル変換前のオーディオ信号SIG14の信号レベルを検出するのと同等の機能を、A/D変換器12の出力であるデジタルのオーディオ信号SIG16を検出することにより行っている。
【0032】
利得制御部14は、オーディオ信号SIG14の信号レベルの検出を、オーディオ信号SIG16にもとづいて毎サンプリングごとに行う。利得制御部14は、デジタルのオーディオ信号SIG16が、所定の値を超えると可変利得増幅器10の利得を下げる。たとえば、利得制御部14は、オーディオ信号SIG16がフルスケールの1/2のレベルに達したとき、可変利得増幅器10の利得を0.5dB低下させる。以下、オーディオ信号SIG16が所定のレベルに達したときに可変利得増幅器10の利得を低下させる動作をアタック動作という。
【0033】
また、利得制御部14は、アタック動作により可変利得増幅器10の利得を低下させるタイミングを制御する。本実施の形態において、利得制御部14は、サンプリング周波数fsの逆数で与えられるサンプリング周期時間Ts=1/fs程度の時間内に可変利得増幅器10の利得を0.5dB低下させる。
【0034】
利得制御部14によるアタック動作が連続すると、可変利得増幅器10の利得が低下し続ける。そこで、利得制御部14は、可変利得増幅器10の利得をサンプリング周期時間Tsよりも十分に長い時間スケールで、徐々に上昇させていくリカバリー動作を行う。
たとえば、利得制御部14は、サンプリング周期時間Ts=1/fsの1000倍程度の時間で可変利得増幅器10を0.5dB増加させる。このように、利得制御部14によって可変利得増幅器10の利得を緩やかに上昇させることによって、アタック動作により利得が低く設定された後に、オーディオ信号AUDの音量が小さくなった場合に、適切な利得に戻すことができる。
【0035】
以上のように構成された録音装置1000の動作について説明する。
図3は、利得制御部14における利得制御の様子を示すタイムチャートである。図3において、1段目にはマイク200から出力されるオーディオ信号SIG10の信号レベルが示されている。図3の2段目には可変利得増幅器10から出力されるオーディオ信号SIG14の信号レベルが示されている。図3の3段目には、可変利得増幅器10の利得αが示されている。
【0036】
時刻T0〜T1において、マイク200に入力されるオーディオ信号AUDの音量が増加し、オーディオ信号SIG10の信号レベルが徐々に上昇している。この時刻T0〜T1においては、可変利得増幅器10の利得はα1に設定されている。したがって、オーディオ信号SIG14の信号レベルは、オーディオ信号SIG10にともない上昇する。
時刻T1に、オーディオ信号SIG14の信号レベルがしきい値SIGmaxに達すると、利得制御部14は、利得制御信号SIG22により可変利得増幅器10の利得を0.5dB下げ、α2に設定する。
【0037】
時刻T1に可変利得増幅器10の利得が下げられた結果、オーディオ信号SIG14の信号レベルは低下する。時刻T1以降、しばらくの間、オーディオ信号SIG10の信号レベルは上昇を続けるため、このオーディオ信号SIG10の信号レベルの上昇にともない、オーディオ信号SIG14の信号レベルも上昇し、その後ほぼ一定値をとる。
【0038】
このように、利得制御部14においてA/D変換器12の出力であるデジタルのオーディオ信号SIG16を監視し、オーディオ信号SIG14が所定の信号レベルSIGmaxに達すると、可変利得増幅器10の利得を低下させることにより、オーディオ信号SIG14、すなわちA/D変換器12の入力信号が一定値以上となるのを防止することができる。可変利得増幅器10から出力されるアナログデジタル変換前のアナログのオーディオ信号SIG14の信号レベルが一定値以上となるのを防止することにより、A/D変換器12に所定の信号レベル以上の信号が入力されなくなるため、A/D変換器12に要求されるダイナミックレンジを狭めることができる。
【0039】
図4は、図2のA/D変換器12の構成を示すブロック図である。A/D変換器12は、ΔΣ変調型のAD変換器であって、ΔΣ変調器20とデジタルフィルタ22を含む。
ΔΣ変調器20は、入力されるアナログのオーディオ信号SIG14を64倍でオーバーサンプリングしてデジタル変換したパルス信号を出力する。
デジタルフィルタ22は高周波成分を除去するためのデシメーションフィルタであって、64倍でオーバーサンプリングされた信号をダウンサンプリングし、オーディオ信号帯域を透過させる。このデジタルフィルタ22は、6つのデジタルフィルタ22a〜22fが直列に多段接続されており、1段ごとに1/2倍にダウンサンプリングされて出力される。
【0040】
以上のように構成されるA/D変換器12では、ΔΣ変調器20およびデジタルフィルタ22において遅延が発生する。ΔΣ変調器20における遅延時間をτ1、デジタルフィルタ22a〜22fにおける遅延時間をそれぞれτ2a〜τ2fとすると、最終段のデジタルフィルタ22fから出力されるオーディオ信号SIG16は、オーディオ信号SIG14に対して遅延時間τ=τ1+τ2a+τ2b+τ2c+τ2d+τ2e+τ2f遅れることになる。
【0041】
この遅延時間τは、ΔΣ変調器20に入力されたオーディオ信号SIG14が、アナログデジタル変換されてオーディオ信号SIG16aとして出力されるまでに要する時間である。この遅延時間τが長いと、利得制御部14によりオーディオ信号SIG16aの信号レベルを検出して可変利得増幅器10の利得を設定するまでに要する時間が長くなるため、正確な利得設定が困難となる。
【0042】
そこで、図4に示すように、本実施の形態に係るオーディオ信号処理装置100においては、多段接続されるデジタルフィルタ22a〜22fのうち、中段のデジタルフィルタ22dから出力されるオーディオ信号SIG16bを利得制御部14へと出力し、オーディオ信号SIG16bの信号レベルを検出して利得制御を行っている。
多段接続されるデジタルフィルタ22のうち、何段目から出力されるオーディオ信号を利得制御部14へ出力するかは、ΔΣ変調器20および各デジタルフィルタ22a〜22fの遅延時間と、利得制御部14に要求される応答速度にもとづいて決めればよい。
たとえば、遅延時間τ=τ1+Στ2が、サンプリング周期時間Ts以下となるように設定しても良い。
【0043】
このように、デジタルフィルタが複数、多段接続される場合には、利得制御部14は、途中のデジタルフィルタの出力信号を監視することにより遅延時間を短くし、オーディオ信号の信号レベルが急激に変動した場合にも、可変利得増幅器10の利得制御を追従させることができる。
【0044】
以上のように、本実施の形態に係るオーディオ信号処理装置100によれば、可変利得増幅器10の利得を制御する利得制御部14をA/D変換器12の後段に配置し、デジタル変換されたオーディオ信号SIG16にもとづいて、可変利得増幅器10から出力されるオーディオ信号SIG14の信号レベルの検出を行う。そのため、利得制御部14における信号処理をデジタル化することができ、デジタル回路として構成することができる。その結果、利得制御部14をアナログ回路で構成した場合に比べて、回路を構成するトランジスタや抵抗などの特性がばらついた場合にも、信号レベルの検出に影響をおよぼさないため、マイク200に入力されるオーディオ信号AUDの音量に応じて、可変利得増幅器10の利得を適切に設定することができる。
【0045】
また、利得制御部14をデジタル回路にて構成することにより、可変利得増幅器10の利得制御のパラメータの設定およびその変更が容易となる。たとえば一回のアタック動作による可変利得増幅器10の利得の低下量、アタック動作およびリカバリー動作に要する時間などをデジタル回路では自由に変更することができる。
【0046】
また、増幅および減衰を行う可変利得増幅器10をアナログ回路で構成するため、高性能なA/D変換器を必要としないため、回路規模および消費電流を抑えることができる。
【0047】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る2チャンネルのオーディオ信号処理装置110および周辺回路を含む録音装置1010の構成を示すブロック図である。図5において図2と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
録音装置1010は、ステレオ入力に対応しており、2つのマイク200R、200Lから出力されるオーディオ信号SIG10R、SIG10Lをアナログデジタル変換し、DSP300へと出力する。
録音装置1010は、2つのマイク200R、200L、オーディオ信号処理装置110、DSP300を含む。
【0048】
オーディオ信号処理装置110は、RチャンネルとLチャンネルごとに、オーディオ入力信号を増幅する可変利得増幅器10、A/D変換器12を備える。各チャンネルは添え字R、Lによって区別される。
利得制御部14は、各チャネルのA/D変換器12R、12Lから出力されるオーディオ信号SIG16R、SIG16Lにもとづいて、A/D変換器12R、12Lに入力されるオーディオ信号SIG14R、SIG14Lの信号レベルを検出する。その結果、オーディオ信号SIG14R、SIG14Lのいずれかがしきい値SIGmaxに達すると、利得制御信号SIG22により可変利得増幅器10R、10Lの利得を0.5dB低下させる。すなわち、本実施の形態に係るオーディオ信号処理装置110において、チャンネルごとに設けられた可変利得増幅器10R、10Lの利得αは同時に制御される。
【0049】
本実施の形態に係るオーディオ信号処理装置110によれば、ステレオなどの複数のチャンネルを有するオーディオ信号処理装置においても、第1の実施の形態と同様に、利得制御部14をデジタル回路で構成することができる。その結果、利得制御部14をアナログ回路で構成した場合に比べて、回路を構成するトランジスタや抵抗などの特性がばらついた場合にも、正確な振幅検出を行うことができるため、マイク200に入力されるオーディオ信号AUDの音量に応じて、可変利得増幅器10R、10Lの利得を適切に設定することができる。
さらに、利得制御部14をデジタル回路にて構成することにより、可変利得増幅器10R、10Lの利得制御のパラメータの設定およびその変更が容易となる。
【0050】
上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
本実施の形態において、A/D変換器12はΔΣ変調型のA/D変換器の場合について説明したが、これには限定されず、ステップフラッシュ型、2ステップフラッシュ型などのA/D変換器を用いても良い。ステップフラッシュ型などのA/D変換器では、遅延はほとんど発生しないため、A/D変換器12から出力されるオーディオ信号SIG16を利得制御部14に入力することができる。
【0052】
本実施の形態において、信号処理装置に入力される信号がオーディオ信号である場合について説明したが、これには限定されず、本発明は、アナログ信号をアナログデジタル変換して出力する信号処理装置に広く適用することができる。
【0053】
本実施の形態において、オーディオ信号処理装置100は、すべて一体集積化されていてもよく、あるいはアナログ信号処理を行うブロックとデジタル信号処理を行うブロックが分けて集積化されてもよい。どの部分を集積化するかは、コストや占有面積などによって決めればよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のオーディオ信号処理装置および周辺回路を含む録音装置のブロック図である。
【図3】図2の利得制御部における利得制御の様子を示すタイムチャートである。
【図4】図2のA/D変換器の構成を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態に係るオーディオ信号処理装置および周辺回路を含む録音装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
10 可変利得増幅器、 12 A/D変換器、 14 利得制御部、 16 プリアンプ、 18 インターフェース部、 20 ΔΣ変調器、 22 デジタルフィルタ、 100 オーディオ信号処理装置、 110 オーディオ信号処理装置、 102 アナログ入力端子、 104 デジタル出力端子、 200 マイク、 300 DSP、 310 撮像部、 1000 録音装置、 1010 録音装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ入力信号を増幅する可変利得増幅器と、
前記可変利得増幅器により増幅されたアナログ入力信号をデジタル出力信号にアナログデジタル変換するアナログデジタル変換器と、
前記アナログデジタル変換器から出力される前記デジタル出力信号にもとづき、前記アナログ入力信号の信号レベルを検出し、前記可変利得増幅器の利得を制御する利得制御部と、
を備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
前記アナログデジタル変換器は、ΔΣ変調器とデジタルフィルタを含むΔΣ変調型のアナログデジタル変換器であることを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記アナログデジタル変換器は、前記ΔΣ変調器の後段に多段接続された複数のデジタルフィルタを含み、
前記利得制御部は、前記ΔΣ変調器または前記多段接続された複数のデジタルフィルタのいずれかから出力されるデジタル信号にもとづき、前記可変利得増幅器の利得を制御することを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記利得制御部は、前記アナログ入力信号が前記信号処理装置に入力されてから前記アナログ入力信号の信号レベルを検出するまでの遅延時間が前記アナログ入力信号のサンプリング周期時間以下となるように、前記ΔΣ変調器または前記多段接続された複数のデジタルフィルタのいずれかから出力されるデジタル信号にもとづき、前記可変利得増幅器の利得を制御することを特徴とする請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記アナログ入力信号は、オーディオ信号であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の信号処理装置。
【請求項6】
複数チャンネルのアナログオーディオ信号をアナログデジタル変換する信号処理装置であって、
各チャンネルごとに入力されたアナログオーディオ信号を増幅する複数の可変利得増幅器と、
前記複数の可変利得増幅器により増幅されたアナログオーディオ信号をアナログデジタル変換する複数のアナログデジタル変換器と、
前記複数のアナログデジタル変換器から出力される複数のデジタル信号にもとづき、前記複数の可変利得増幅器の利得を制御する利得制御部と、を備え、
前記利得制御部は、前記複数のデジタル信号のいずれかの信号レベルが所定のしきい値に達したとき、前記複数の可変利得増幅器の利得をともに低下させることを特徴とする信号処理装置。
【請求項7】
撮像部と、
マイクと、
前記マイクから出力されるオーディオ信号をアナログデジタル変換して出力する請求項5に記載の信号処理装置と、
前記撮像部から出力される画像データおよび前記信号処理装置から出力されるオーディオ信号を処理するデジタル信号処理部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−165912(P2006−165912A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353308(P2004−353308)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】