説明

信号処理装置

【課題】メモリの必要記憶容量を抑えつつ、回転信号の角度分解能よりも小さい一定角度毎のデータをメモリに記憶可能な信号処理装置の提供。
【解決手段】装置1には、クランク軸が10度回転する毎にタイミングエッジが生じるクランク信号と、センサ信号の一定時間Ts毎のA/D変換データが入力される。装置1では、タイミングエッジが発生する毎に、計測部15が、そのエッジの発生間隔であるパルス間隔の時間Tiを算出し、演算部17が、その算出された時間Tiと、目標データ保存数Naと、上記一定時間Tsとを用いて、「Ti/(Na×Ts)」の値を整数化処理した整数値(Nb)を求め、そのNbをレジスタ19に書き込む。また、一定時間Ts毎に更新されるデータがDMAコントローラ21に入力され、タイミング制御器25が、上記データがNbの回数だけ更新される毎に1回の割合で、DMAコントローラ21にメモリ6へのデータ転送を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定時間毎に更新されるデータをメモリに記憶するための信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エンジンを制御する装置においては、シリンダ内の圧力を検出する燃焼圧センサからの燃焼圧信号や、インジェクタに供給される燃料の圧力を検出する燃料圧センサからの燃料圧信号等、エンジンの制御に使用されるアナログセンサ信号を、A/D変換器によりA/D変換し(デジタルデータに変換し)、その変換後のデータをエンジン制御用の制御処理に用いている。
【0003】
また例えば、エンジンを制御する装置においては、エンジンのクランク軸の回転に同期してインジェクタや点火装置等を動作させるために、クランク軸が所定角度回転する毎にそのことを示すタイミングエッジが発生する回転信号が入力される。そして、回転信号としては、例えば、クランクセンサから出力されるクランク信号が知られており、そのクランク信号では、例えば10°CA毎に特定方向のタイミングエッジが発生する。尚、「CA」とは、クランクアングル(クランク軸の回転角度)を意味している。
【0004】
更に、例えば上記燃焼圧信号や燃料圧信号等、クランク軸の回転角度に関連性がある物理量を表す所定のセンサ信号については、回転信号の角度分解能(即ち、上記所定角度であり、回転信号にタイミングエッジが発生する間隔分のクランク角度)よりも小さい一定角度毎のデータを取得して処理することが要求されている。
【0005】
ここで、その要望を実現するための技術として、例えば、特許文献1には、所定のクランク角度分の処理対象区間(期間)において、クランク信号のパルス間隔(即ち、クランク信号に所定角度毎のタイミングエッジが発生してから該タイミングエッジが次に発生するまでの間隔)の最小時間よりも短い一定時間毎に、センサ信号のデータをメモリに順次記憶していき、上記処理対象区間が終了した後、メモリ内の各データが記憶されたときのクランク角度を特定する技術が記載されている。そして、この技術によれば、クランク角度を特定する処理が終了した後に、メモリから、クランク信号の角度分解能よりも小さい所望の一定角度毎のデータを選択し、その選択した各データを用いて目的の制御処理を行えば良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−220796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の技術では、一定時間毎のデータを全てメモリに記憶するため、そのメモリの必要記憶容量が大きくなってしまう。
こうした背景から、本発明は、メモリの必要記憶容量を抑えつつ、回転信号の角度分解能よりも小さい一定角度毎のデータをメモリに記憶可能な信号処理装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の信号処理装置には、回転軸が所定角度回転する毎に、そのこと(即ち、回転軸が所定角度回転したこと)を示すタイミングエッジが発生する回転信号と、その回転信号にタイミングエッジが発生してから該タイミングエッジが次に発生するまでのパルス間隔の最小時間よりも短い一定時間毎に所定の機器により更新されるデータとが、入力される。そして、この信号処理装置は、割合情報設定手段と、転送制御手段とを備えている。
【0009】
割合情報設定手段は、所定回数分の前記パルス間隔である単位間隔が終了する毎に、今回終了した単位間隔において一定時間毎に更新されたデータの総数と、前記パルス間隔当たりの目標データ保存数を前記所定回数倍した単位間隔毎目標データ保存数との関係を表す情報として、前記総数に対する前記単位間隔毎目標データ保存数の割合を表す割合情報を設定する。
【0010】
そして、転送制御手段は、一定時間毎に更新されるデータを、割合情報設定手段により設定された割合情報が表す割合の頻度でメモリに転送する。例えば、設定された割合情報が表す割合が「1/W」であるとすると、転送制御手段は、一定時間毎に更新されるデータを、W個に1個の頻度(割合)でメモリに転送する。
【0011】
ここで、回転信号の角度分解能である前記所定角度を「A」とし、パルス間隔当たりの目標データ保存数を「B」とすると、割合情報設定手段により設定される割合情報が表す割合は、機器から入力される一定時間毎のデータ(詳しくは、一定時間毎に更新されるデータ)のうち、回転軸が「A/B」度回転する毎のタイミングで更新されたと考えられるデータの、発生頻度を表すこととなる。
【0012】
このため、転送制御手段により、メモリには、機器からの一定時間毎のデータのうち、回転軸が「A/B」度回転する毎のタイミングで更新されたと考えられるデータが転送されることとなる。
【0013】
そして、この信号処理装置によれば、下記〈1〉,〈2〉の効果が得られる。
〈1〉機器からの一定時間毎のデータを全てメモリに記憶するのではなく、その一定時間毎のデータを間引いて、回転軸が「A/B」度回転する毎のタイミングで更新されたと考えられるデータをメモリに転送するため、データを記憶するためのメモリの必要記憶容量を抑えることができる。
【0014】
〈2〉前記所定回数を「C」とすると、割合情報設定手段は、単位間隔が終了する毎であって、回転軸が「C×A」度回転する毎に割合情報を設定する(つまり、更新する)ため、回転軸の回転速度が変わっても、連続する単位間隔の長さが急変しなければ、回転信号の角度分解能よりも小さい「A/B」度毎のデータをメモリに記憶することができると共に、単位間隔当たりに(即ち、回転軸が「C×A」度回転する期間当たりに)メモリに記憶されるデータの数を、概ね単位間隔毎目標データ保存数に抑えることができる。
【0015】
ところで、請求項2に記載のように、割合情報設定手段は、以下の計測手段と設定手段とを備えた構成にすることができる。即ち、計測手段は、単位間隔が終了する毎に、今回終了した単位間隔の時間を計測し、設定手段は、計測手段による時間の計測値から、「該計測値/(単位間隔毎目標データ保存数×一定時間)」の演算結果を整数化処理した整数値を、割合情報として設定する。そして、この場合、転送制御手段は、機器からのデータが、前記設定手段により設定された整数値の回数だけ更新される毎に1回の割合で、機器からのデータをメモリに転送すればよい。
【0016】
この構成によれば、転送制御手段を簡単な構成のものにすることができる。
例えば、転送制御手段は、請求項3に記載のように、転送手段と転送要求出力手段とから構成することができる。即ち、転送手段は、機器からのデータが入力されると共に、転送要求が与えられたときに入力されているデータを前記メモリに転送する。そして、転送要求出力手段は、機器からのデータの更新回数を計数し、その計数値が設定手段により設定された整数値と一致する毎に、転送手段に対して転送要求を与えると共に、更新回数の計数値を初期化する。
【0017】
また、請求項4に記載のように、転送要求出力手段は、回転信号にタイミングエッジが発生したときにも、転送手段に対して転送要求を与えると共に、更新回数の計数値を初期化するようになっていることが好ましい。タイミングエッジが発生したとき毎のデータであって、回転軸が所定角度(A度)回転したとき毎のデータを、確実にメモリに転送することができるからである。
【0018】
また、整数化処理としては、例えば、小数点以下を切り上げる切り上げ処理と、小数点以下を切り捨てる切り捨て処理と、小数点以下を四捨五入する四捨五入処理との何れかが考えられるが、請求項5に記載のように、切り上げ処理を採用すれば、他の整数化処理を採用した場合よりも前記整数値が大きめになるため、メモリに記憶されるデータ数を少なめにすることができ、メモリの必要記憶容量を抑えるという面で有利である。
【0019】
一方、前記所定回数(C)は、1回でも2回以上(複数回)でも良いが、特に1回ならば、回転信号の角度分解能よりも小さい「A/B」度毎のデータをメモリに記憶することに関して、回転軸の回転速度変動の影響を受けにくくなるという利点がある。尚、所定回数(C)が1回であるということは、前記単位間隔がパルス間隔であると共に、単位間隔毎目標データ保存数がパルス間隔当たりの目標データ保存数であるということである。
【0020】
また、請求項2〜5の信号処理装置において、所定回数(C)が1回であると共に、回転信号に欠歯部が発生するのであれば、請求項6に記載のように構成することで対応することができる。尚、その欠歯部とは、回転軸の回転位置が基準位置に来たときに、タイミングエッジの発生間隔(パルス間隔)が、前記所定角度の所定数倍の角度だけ回転軸が回転するのに要する時間になる部分である。
【0021】
即ち、請求項6の信号処理装置では、欠歯部判定手段が、回転信号にタイミングエッジが発生する毎に、今回発生したタイミングエッジが欠歯部の終了に該当する欠歯終了エッジであるか否かを判定する。そして、設定手段は、欠歯部判定手段によりタイミングエッジが欠歯終了エッジであると判定された場合には、前記演算結果を前記所定数分の1にして整数化処理した整数値を、前記割合情報として設定する。
【0022】
このように構成すれば、回転信号における欠歯部の次のパルス間隔(即ち、欠歯終了エッジから次のタイミングエッジまでのパルス間隔であり、以下、欠歯部直後パルス間隔という)の期間において、転送制御手段が用いる整数値が、他のパルス間隔の期間で用いる整数値と比べて過大(具体的には、回転軸の回転速度が一定ならば所定数倍)になってしまうことが防止される。よって、欠歯部直後パルス間隔の期間においても、回転軸が「A/B」度回転する毎のタイミングで更新されたと考えられるデータをメモリに転送することができる。
【0023】
また例えば、欠歯部判定手段は、請求項7に記載のように、回転信号にタイミングエッジが発生する毎に動作して、計測手段により今回計測された時間(尚、計測手段により計測される時間は、所定回数が1回であるため、パルス間隔の時間である)と、計測手段により前回計測された時間とを比較することにより、今回発生したタイミングエッジが欠歯終了エッジであるか否かを判定するように構成することができる。
【0024】
そして、この構成によれば、割合情報設定手段が備える計測手段を利用して、今回発生したタイミングエッジが欠歯終了エッジであるか否かを判定することができるため、追加構成が少なくて済む。
【0025】
一方、回転軸としては、例えば、エンジンのクランク軸やモータの回転軸が考えられる。そして、回転軸がエンジンのクランク軸であれば、メモリに記憶されるデータを、例えばエンジンを制御するために使用することができ、回転軸がモータの回転軸であれば、メモリに記憶されるデータを、例えばモータを制御するために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態の信号処理装置の構成を表す構成図である。
【図2】タイミング制御器の動作内容を表すフローチャートである。
【図3】第1実施形態の作用の一例を説明する説明図である。
【図4】クランク信号の欠歯部の説明図である。
【図5】第2実施形態の信号処理装置の構成を表す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明が適用された実施形態の信号処理装置について説明する。
[第1実施形態]
図1に示す本実施形態の信号処理装置1は、自動車のエンジンを制御するエンジン制御装置に設けられる。そして、この信号処理装置1には、エンジンを制御するために使用されるアナログセンサ信号の電圧値を表す検出対象のデータが、一定時間Ts毎に更新されて入力される。
【0028】
本実施形態においては、アナログセンサ信号がA/D変換器(ADC)3により一定時間Ts毎にA/D変換され、そのA/D変換器3から一定時間Ts毎に出力されるデータがデジタルフィルタ(DF)5に順次入力される。そして、デジタルフィルタ5にてフィルタ処理された後のデータであって、一定時間Ts毎に更新されるデータが、そのデジタルフィルタ5から当該信号処理装置1に入力される。つまり、A/D変換器3からデジタルフィルタ5を介して一定時間Ts毎に出力されるアナログセンサ信号のA/D変換データが、信号処理装置1に入力される。
【0029】
尚、A/D変換器3からのデータが、デジタルフィルタ5を介さずに信号処理装置1に入力されるようになっていても良い。また、アナログセンサ信号は、例えば、シリンダ内の圧力を検出する燃焼圧センサからの燃焼圧信号であるが、インジェクタに供給される燃料の圧力を検出する燃料圧センサからの燃料圧信号等でもよい。また、デジタルフィルタ5のフィルタ処理としては、例えば、ローパスフィルタの処理が考えられるが、ハイパスフィルタやバンドパスフィルタ等の処理でも良い。
【0030】
一方、この信号処理装置1が設けられるエンジン制御装置には、デジタルフィルタ5からのデータが当該信号処理装置1によって記憶されるバッファとしてのメモリ6が備えられている。また、そのエンジン制御装置には、エンジンを制御するための様々な制御処理を行うCPU7や、その制御処理に用いられるデータ等が記憶されるRAM9や、CPU7が実行するプログラムが記憶されたROM(図示省略)等からなるマイコンが搭載されている。尚、信号処理装置1は、上記マイコンの一部として(マイコンと同じチップ内に)構成されていても良い。
【0031】
また更に、信号処理装置1には、回転信号として、エンジンのクランク軸の回転角度を表すクランクセンサからのクランク信号も入力される。そのクランク信号は、クランク軸が所定角度回転する毎に、そのことを示すタイミングエッジが発生する信号である。
【0032】
尚、本実施形態において、上記所定角度は、例えば10度(10°)である。また、タイミングエッジは、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとのうちの、一方であるのが一般的であるが、両方であっても良い。また、上記一定時間Tsは、クランク信号のパルス間隔(即ち、クランク信号にタイミングエッジが発生してから該タイミングエッジが次に発生するまでの10°CA分の間隔)の最小時間よりも、短い時間に設定されており、例えば10μsである。また、以下では、クランク信号のパルス間隔のことを、単に「パルス間隔」ともいい、クランク信号におけるタイミングエッジのことを、単に「クランクエッジ」ともいう。
【0033】
そして、信号処理装置1は、上記一定時間(データの更新間隔)Tsよりも十分に短い一定時間(本実施形態では例えば0.1μs)Tc毎の内部クロックによってカウントアップされるフリーランタイマ(FRT)11と、当該装置1に入力されるクランク信号にクランクエッジが発生する毎に、そのときの時刻情報として、フリーランタイマ11の値(以下、フリーランタイマ値という)を記憶するインプットキャプチャ部13と、計測部15、演算部17及びレジスタ19とを備えている。
【0034】
計測部15は、クランクエッジが発生する毎に、インプットキャプチャ部13から該インプットキャプチャ部13に更新記憶されたフリーランタイマ値を読み出すと共に、そのインプットキャプチャ部13から今回読み出したフリーランタイマ値(即ち、クランクエッジが今回発生したときの時刻)と、インプットキャプチャ部13から前回読み出したフリーランタイマ値(即ち、クランクエッジが前回発生したときの時刻)との差分を、パルス間隔時間(パルス間隔の時間)Tiとして算出する。
【0035】
演算部17は、クランクエッジが発生して計測部15により新たなパルス間隔時間Tiが算出される毎に、その算出されたパルス間隔時間Tiと、予め設定されたパルス間隔当たりの目標データ保存数Naと、データの更新間隔である上記一定時間Tsとを用いて、下記式1の演算を行うと共に、その演算結果Wを整数化処理した整数値を求め、その求めた整数値を、間引き回数Nbとしてレジスタ19に書き込む(設定する)。
【0036】
W=「Ti/(Na×Ts)」…式1
尚、パルス間隔当たりの目標データ保存数Naは、パルス間隔当たりにメモリ6に記憶するデータの数の目標数である。また、本実施形態では、上記整数化処理として、例えば、小数点以下を切り上げる切り上げ処理を行っている。一方、計測部15は、パルス間隔時間を、内部クロックの周期Tcを分解能として計測するものであるため、式1において、実際には、「Tiの値」として、計測部15により算出されたパルス間隔時間Tiの値に上記周期Tcを乗じた値(=Ti×Tc)を使用するか、あるいは逆に、「Tsの値」として、一定時間Tsを上記周期Tcで割った値(=Ts/Tc)を使用する。
【0037】
また、演算部17は、間引き回数Nbとしての整数値を、式1の演算を実施せずに、マップから求めるように構成することもできる。つまり、目標データ保存数Naと一定時間Tsは既知の値であることから、例えば、様々な値のパルス間隔時間Tiの各々と、そのパルス間隔時間Tiについて求められるべき整数値とを、対応付けて記録したデータマップを、所定のマップ記憶部に予め記憶しておき、演算部17は、そのデータマップから、計測部15により算出されたパルス間隔時間Tiに対応する整数値を、読み出して求めるようにしても良い。
【0038】
そして更に、信号処理装置1は、デジタルフィルタ5からのデータが入力されると共に、転送要求が与えられたときに入力されているデータをメモリ6に転送するDMA(Direct Memory Access)コントローラ21を備えており、そのDMAコントローラ21に転送要求を与えるための手段として、カウンタ23、タイミング制御器25及び転送要求生成器27も備えている。
【0039】
カウンタ23は、デジタルフィルタ5からのデータの更新回数を計数する。
具体的に説明すると、デジタルフィルタ5は、新たなデータを出力する一定時間Ts毎に、処理完了信号を出力するようになっており、カウンタ23は、その処理完了信号によってカウントアップされる。
【0040】
尚、処理完了信号は、A/D変換器3から出力されるようになっていても良い。また、A/D変換器3やデジタルフィルタ5としては、出力データを更新する毎に、マイコンに対して割り込み要求信号を出力するものがあるため、例えば、その割り込み要求信号を処理完了信号として用いることができる。
【0041】
タイミング制御器25は、図2に示すように、カウンタ23の値(以下、単に「カウンタ値」ともいう)と、レジスタ19内の間引き回数Nbとを比較し(S120)、カウンタ値が間引き回数Nbと一致したならば(S120:YES)、転送要求生成器27に転送要求の指令信号を出力する(S130)。更に、タイミング制御器25は、図2に示すように、クランク信号にクランクエッジが発生したときにも(S110:YES)、転送要求生成器27に転送要求の指令信号を出力する(S130)。
【0042】
そして、転送要求生成器27は、タイミング制御器25からの上記指令信号を受けると、DMAコントローラ21に転送要求を出力する。また、カウンタ23には、タイミング制御器25からの上記指令信号が、リセット信号として入力されるようになっている。
【0043】
このため、クランクエッジが発生するか、カウンタ値がレジスタ19内の間引き回数Nbと一致する毎に、タイミング制御器25から指令信号が出力されて、転送要求生成器27からDMAコントローラ21に対して転送要求が与えられると共に、カウンタ値が0に戻される(初期化される)こととなる。
【0044】
よって、クランクエッジが発生すると、そのときにデジタルフィルタ5から出力されているデータが、DMAコントローラ21を介しメモリ6に転送される。そして、その後、次のクランクエッジが発生するまでのパルス間隔の期間(本実施形態では10°CA分の期間)においては、デジタルフィルタ5からのデータが、前回のパルス間隔の時間Tiを基にして設定された間引き回数Nbに1回の割合で、DMAコントローラ21を介しメモリ6に転送されることとなる。
【0045】
このように、信号処理装置1において、DMAコントローラ21と、カウンタ23、タイミング制御器25及び転送要求生成器27とからなる転送制御用の回路は、クランクエッジが発生したときに、デジタルフィルタ5からのデータをメモリ6に転送すると共に、クランクエッジの発生タイミングを起点として、デジタルフィルタ5からのデータが、レジスタ19内の間引き回数Nbだけ更新される毎に1回の割合で、そのデジタルフィルタ5からのデータをメモリ6に転送するようになっている。
【0046】
尚、カウンタ値が間引き回数Nbの1つ前の値(Nb−1)になっている状態で、デジタルフィルタ5から処理完了信号が出力された時点から、カウンタ値が間引き回数Nbに変化してDMAコントローラ21によるメモリ6へのデータ転送が完了するまでの所要時間は、上記一定時間Tsよりも十分に短い時間である。
【0047】
次に、以上のような信号処理装置1の動作例について、図3を用い説明する。
尚、図3は、クランクエッジが時刻t1で発生し、その時刻t1のクランクエッジを終点とするパルス間隔(前回のパルス間隔)の時間Tiが例えば100μsで、パルス間隔当たりの目標データ保存数Naが例えば“4”である場合を例示している。また図3において、上から3段目の「ADC,DFタイミング」は、一定時間Ts毎のA/D変換器3によるA/D変換タイミングであり、デジタルフィルタ5からのデータが更新されるタイミングでもある。
【0048】
図3に示すように、時刻t1でクランクエッジが発生すると、演算部17は、「Ti/(Na×Ts)」=「100μs/(4×10μs)」の演算結果である“2.5”の、小数点以下を切り上げた整数値(=3)を、間引き回数Nbとしてレジスタ19に書き込む。
【0049】
また、時刻t1でクランクエッジが発生すると、タイミング制御器25が転送要求の指令信号を出力するため、そのときにデジタルフィルタ5から出力されているデータ(D0)が、DMAコントローラ21を介してメモリ6に転送されると共に、カウンタ値が0になる。
【0050】
そして、その後、次のクランクエッジが発生するまでの間は、デジタルフィルタ5からのデータが更新される毎にカウンタ値が1ずつ増加し、カウンタ値が間引き回数Nbである“3”になる毎に、タイミング制御器25が転送要求の指令信号を出力して、そのときにデジタルフィルタ5から出力されているデータが、DMAコントローラ21を介してメモリ6に転送されると共に、カウンタ値が0に戻る。このため、デジタルフィルタ5からのデータは、3回に1回の割合でメモリ6に転送されることとなる。図3の例では、時刻t1でデータ(D1)が転送されてから次のクランクエッジが発生するまでの間に、3番目に更新されたデータ(D3)と、6番目に更新されたデータ(D6)と、9番目に更新されたデータ(D9)とが、メモリ6に転送される。
【0051】
尚、クランクエッジが発生してから、メモリ6への最初のデータ転送が実施されるまでの間(具体的には、例えばタイミング制御器25が転送要求の指令信号を出力するまでの間)に、メモリ6からRAM9へ、そのメモリ6内のデータを転送するように構成すれば、メモリ6の記憶容量は、1つのパルス間隔分(10°CA期間分)のデータを記憶可能な容量で済む。そして、その場合、連続するパルス間隔の長さの最大増加率が「R」(例えば1.5)ならば、メモリ6の記憶容量は、パルス間隔当たりの目標データ保存数NaをR倍(例えば1.5倍)した数のデータが記憶可能な容量であればよい。
【0052】
また、この信号処理装置1が設けられるエンジン制御装置において、CPU7は、メモリ6から、あるいは、メモリ6からRAM9にデータが転送されるのであればRAM9から、データを読み出してエンジン制御用の処理を行うことができる。例えば、その処理としては、A/D変換対象のアナログセンサ信号が燃焼圧信号であれば、燃焼割合の算出処理や失火検出処理やノック検出処理等が考えられる。
【0053】
以上のような信号処理装置1において、演算部17によりレジスタ19に書き込まれる間引き回数Nbは、クランク信号のパルス間隔において一定時間Ts毎に更新されたデータの総数ΣDに対する目標データ保存数Naの割合(=Na/ΣD)を表す割合情報としての数値であり、詳しくは、その割合を逆数にして整数化した値である。
【0054】
つまり、本実施形態において、演算部17は、計測部15により算出されたパルス間隔時間Tiを一定時間Tsで割った値(=Ti/Ts)を、パルス間隔におけるデータ総数ΣDとして扱っている。尚、このため、変形例として、例えば、計測部15の代わりに、パルス間隔において更新されたデータの数(ΣD)を計測するデータ数計測部を設け、演算部17は、式1における「Ti/Ts」の代わりに、そのデータ数計測部によって計測されたデータ数を用いて、間引き回数Nbを求めるようになっていても良い。
【0055】
そして、信号処理装置1では、前述したように、デジタルフィルタ5からのデータが、レジスタ19内の間引き回数Nbだけ更新される毎に1回の割合で、そのデジタルフィルタ5からのデータをメモリ6に転送するようになっている。つまり、デジタルフィルタ5からの一定時間Ts毎のデータを、Nb個に1個の頻度でメモリ6に転送している。
【0056】
更に、そのNb個に1個という頻度は、デジタルフィルタ5からの一定時間Ts毎のデータのうち、クランク軸が「10/Na」度回転する毎のタイミングで更新されたと考えられるデータの、発生頻度を表すこととなる。
【0057】
このため、メモリ6には、デジタルフィルタ5からの一定時間Ts毎のデータのうち、クランク軸が「10/Na」度回転する毎のタイミングで更新されたと考えられるデータが転送される。
【0058】
よって、この信号処理装置1によれば、デジタルフィルタ5からの一定時間Ts毎のデータを間引いて、クランク軸が「10/Na」度回転する毎のタイミングで更新されたと考えられるデータをメモリ6に転送することとなり、メモリ6の必要記憶容量を抑えることができる。
【0059】
また、演算部17は、パルス間隔が終了する毎(即ち、クランクエッジが発生する毎)に、今回終了したパルス間隔の時間Tiに基づいて、次のパルス間隔において使用される間引き回数Nbを更新するようになっている。このため、クランク軸の回転速度が変わっても、連続するパルス間隔の長さが急変しなければ、クランク信号の角度分解能よりも小さい「10/Na」度毎のデータをメモリ6に記憶することができると共に、パルス間隔当たりに(即ち、10°CA当たりに)メモリ6に記憶されるデータの数を、概ね目標データ保存数Naに抑えることができる。
【0060】
更に、タイミング制御器25は、カウンタ値と間引き回数Nbとが一致したときだけではなく、クランクエッジが発生したときにも、転送要求の指令信号を出力して、そのときのデータをメモリ6に転送すると共にカウンタ値を初期化するため、クランクエッジが発生したとき毎のデータであって10°CA毎のデータを、確実にメモリ6に転送することができる。
【0061】
また、整数化処理としては、切り上げ処理以外(例えば、小数点以下の切り捨て処理や四捨五入処理等)でも良いが、本実施形態では、切り上げ処理を採用しているため、他の処理を行う場合よりも、間引き回数Nbが大きめになり、メモリ6に記憶されるデータ数を少なめにすることができるため、メモリ6の必要記憶容量を抑えるという面で有利である。
【0062】
尚、本実施形態では、エンジンのクランク軸が、回転軸の一例に相当し、A/D変換器3とデジタルフィルタ5が、データを一定時間毎に更新する機器の一例に相当している。
また、本実施形態では、パルス間隔が、所定回数分のパルス間隔である単位間隔の一例になっており、パルス間隔当たりの目標データ保存数Naが、そのパルス間隔当たりの目標データ保存数Naを所定回数倍した単位間隔毎目標データ保存数の一例になっている。つまり、上記実施形態は、所定回数の一例として、1回を例示した実施形態である。
【0063】
そして、本実施形態では、計測部15と演算部17が、割合情報設定手段の一例に相当し、そのうちで、計測部15が、計測手段の一例に相当し、演算部17が、設定手段の一例に相当している。そして、計測部15により算出されるパルス間隔時間Tiが、計測手段による時間の計測値の一例に相当している。また、レジスタ19が、割合情報の設定先である設定部の一例に相当している。
【0064】
また、DMAコントローラ21、カウンタ23、タイミング制御器25及び転送要求生成器27が、転送制御手段の一例に相当し、そのうちで、DMAコントローラ21が、転送手段の一例に相当し、カウンタ23、タイミング制御器25及び転送要求生成器27が、転送要求出力手段の一例に相当している。また、カウンタ23の値(カウンタ値)が、データの更新回数を計数した計数値の一例に相当している。
【0065】
[変形例]
一方、上記実施形態においては、割合情報としての間引き回数Nbを、パルス間隔毎に更新するようになっていたが、間引き回数Nbを、M回(Mは2以上の整数)分のパルス間隔毎に更新するように構成しても良い。
【0066】
その場合、下記2点の変形をすれば良い。
第1に、信号処理装置1には、クランク信号のクランクエッジがM回に1回の割合で入力されるようにする。つまり、クランク信号をM分周して信号処理装置1に入力させる。
【0067】
第2に、式1における、「Na」に代えて、「Na×M」を用いる。
そして、この変形例の場合、M個分のパルス間隔が、単位間隔の一例に相当し、「Na×M」が、単位間隔毎目標データ保存数の一例に相当することとなる。
【0068】
但し、パルス間隔毎に間引き回数Nbを更新する構成の方が、クランク信号の角度分解能よりも小さい「10/Na」度毎のデータをメモリ6に記憶することに関して、クランク軸の回転速度変動の影響を受けにくくなるため、有利である。
【0069】
[第2実施形態]
上記第1実施形態において、クランク信号に、いわゆる欠歯部が発生するのであれば、次の第2実施形態のように構成することで対応することができる。
【0070】
尚、クランク信号の欠歯部とは、クランク軸の回転位置が1回転中における基準位置に来たときに、クランクパルスが所定の数だけ欠落する部分であり、クランクエッジの発生間隔(パルス間隔)が、前述の所定角度を所定数(n)倍した角度分の回転所要時間になる部分である。
【0071】
一例として、本第2実施形態では、欠歯部でのクランクパルスの欠落数が“2”であって、上記所定数nが“3”であるとする。
このため、図4に示すように、クランク信号には、10°CA毎(クランク軸が所定角度としての10度回転する毎)に、0番から33番までの34個のクランクエッジが発生し、34個目である33番のクランクエッジが発生してから次の0番のクランクエッジが発生するまでの30°CA分の時間が、欠歯部となる。また、以下では、欠歯部の終了に該当する0番のクランクエッジを、「欠歯終了エッジ」という。
【0072】
図5に示す第2実施形態の信号処理装置31は、第1実施形態の信号処理装置1と比較すると、まず、欠歯判定部33が追加されている。
その欠歯判定部33は、クランクエッジが発生して計測部15により新たなパルス間隔時間Tiが算出される毎に動作し、その計測部15により今回算出されたパルス間隔時間Ti(以下「Ti1」と記す)と、計測部15により前回算出されたパルス間隔時間Ti(以下「Ti0」と記す)とを比較することにより、今回発生したクランクエッジが欠歯終了エッジであるか否かを判定する。つまり、欠歯判定部33は、「Ti1」と「TiO」との比率から、今回のクランクエッジが欠歯終了エッジであるか否か(換言すれば、今回終了したパルス間隔が欠歯部であるか否か)を判定する。
【0073】
具体的には、欠歯判定部33は、「Ti1/Ti0」の値が所定の欠歯判定値以上であれば、今回のクランクエッジが欠歯終了エッジであると判定するように構成することができる。尚、欠歯判定値は、クランク軸の回転速度変動を考慮して、10°CA分のパルス間隔と30°CA分のパルス間隔とが識別可能な値に設定しておけば良い。
【0074】
そして更に、この信号処理装置31において、演算部17は、欠歯判定部33によって今回のクランクエッジが欠歯終了エッジであると判定された場合には、計測部15により今回算出されたパルス間隔時間Tiが「10×n」°CA(30°CA)分の時間であることから、式1の演算結果Wをn分の1にし、そのn分の1にした値(=W/n)を整数化処理した整数値を、間引き回数Nbとしてレジスタ19に書き込む。
【0075】
尚、演算部17が演算を行うことにより間引き回数Nbとしての整数値を求めるのであれば、演算部17は、式1の演算結果Wをnで割れば良いが、その演算に限らず、例えば、式1における「Na」又は「Ts」をn倍にしたり、「Ti」をn分の1にしたりする補正を行うことにより、整数化対象の「W/n」を求めても良い。つまり、結果が同じであれば、演算自体は、どのような順序で行っても良い。
【0076】
また、演算部17が、演算を実施せずに、間引き回数Nbとしての整数値をマップから求めるのであれば、前述したデータマップを、第1データマップとしてマップ記憶部に記憶させておき、更に、様々な値のパルス間隔時間Tiの各々と、そのパルス間隔時間Tiについて「Ti/(Na×Ts)/n」の値を整数化処理した整数値とを、対応付けて記録した第2データマップも、マップ記憶部に予め記憶しておき、演算部17は、欠歯判定部33によってクランクエッジが欠歯終了エッジであると判定された場合には、上記第2データマップの方から、計測部15により算出されたパルス間隔時間Tiに対応する整数値を、読み出して求めるようになっていれば良い。つまり、欠歯判定部33の判定結果に応じて、使用するデータマップを切り替えれば良い。
【0077】
以上のような第2実施形態によれば、クランク信号における欠歯部の次のパルス間隔である欠歯部直後パルス間隔(図4参照)の期間において、タイミング制御器25がカウンタ値と比較するのに用いる間引き回数Nbが、他のパルス間隔の期間で用いられる間引き回数Nbと比べて過大(具体的には、クランク軸の回転速度が一定ならばn倍)になってしまうことが防止され、その欠歯部直後パルス間隔の期間においても、クランク軸が「10/Na」度回転する毎のタイミングで更新されたと考えられるデータをメモリ6に転送することができる。
【0078】
また、欠歯判定部33は、例えば、それと同様の判定機能を有する他の装置からの判定結果信号に基づいて、今回発生したクランクエッジが欠歯終了エッジであるか否かを判定するようになっていても良いが、本第2実施形態では、信号処理装置31に備えられている計測部15を利用して、クランクエッジが欠歯終了エッジであるかの判定を行うため、上記判定結果信号を入力するための回路(例えば通信回路等)を追加しなくても済むという利点がある。尚、本第2実施形態では、欠歯判定部33が、欠歯部判定手段の一例に相当している。
【0079】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0080】
例えば、回転信号としては、クランクセンサからのクランク信号以外でも良い。例えば、エンジンのカム軸は、クランク軸と連動して回転するため、回転信号としては、そのカム軸の回転に応じてパルスを発生させるカムセンサ(カム軸センサ)からの信号であっても良い。
【0081】
また、回転軸も、クランク軸やカム軸に限らず、他の回転する軸でも良く、例えば、モータの回転軸や発電機の回転軸であっても良い。
【符号の説明】
【0082】
1,31…信号処理装置、3…A/D変換器(ADC)
5…デジタルフィルタ(DF)、6…メモリ、7…CPU、9…RAM
11…フリーランタイマ(FRT)、13…インプットキャプチャ部、15…計測部
17…演算部、19…レジスタ、21…DMAコントローラ、23…カウンタ
25…タイミング制御器、27…転送要求生成器、33…欠歯判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸が所定角度回転する毎に、そのことを示すタイミングエッジが発生する回転信号と、該回転信号に前記タイミングエッジが発生してから該タイミングエッジが次に発生するまでのパルス間隔の最小時間よりも短い一定時間毎に所定の機器により更新されるデータとが、入力される信号処理装置であって、
所定回数分の前記パルス間隔である単位間隔が終了する毎に、今回終了した前記単位間隔において前記一定時間毎に更新された前記データの総数と、前記パルス間隔当たりの目標データ保存数を前記所定回数倍した単位間隔毎目標データ保存数との関係を表す情報として、前記総数に対する前記単位間隔毎目標データ保存数の割合を表す割合情報を設定する割合情報設定手段と、
前記一定時間毎に更新される前記データを、前記割合情報設定手段により設定された割合情報が表す割合の頻度でメモリに転送する転送制御手段と、
を備えていることを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号処理装置において、
前記割合情報設定手段は、
前記単位間隔が終了する毎に、今回終了した前記単位間隔の時間を計測する計測手段と、
前記計測手段による前記時間の計測値から、「該計測値/(前記単位間隔毎目標データ保存数×前記一定時間)」の演算結果を整数化処理した整数値を、前記割合情報として設定する設定手段とを備え、
前記転送制御手段は、前記機器からのデータが、前記設定手段により設定された前記整数値の回数だけ更新される毎に1回の割合で、該機器からのデータを前記メモリに転送すること、
を特徴とする信号処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の信号処理装置において、
前記転送制御手段は、
前記機器からのデータが入力されると共に、転送要求が与えられたときに入力されている前記データを前記メモリに転送する転送手段と、
前記機器からのデータの更新回数を計数し、該計数値が前記設定手段により設定された前記整数値と一致する毎に、前記転送手段に対して前記転送要求を与えると共に、前記計数値を初期化する転送要求出力手段とを備えていること、
を特徴とする信号処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の信号処理装置において、
前記転送要求出力手段は、前記回転信号に前記タイミングエッジが発生したときにも、前記転送手段に対して前記転送要求を与えると共に、前記計数値を初期化すること、
を特徴とする信号処理装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4の何れか1項に記載の信号処理装置において、
前記整数化処理は、小数点以下を切り上げる処理であること、
を特徴とする信号処理装置。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5の何れか1項に記載の信号処理装置において、
前記所定回数は、1回であり、
前記回転信号には、前記回転軸の回転位置が基準位置に来たときに、前記タイミングエッジの発生間隔が、前記所定角度の所定数倍の角度だけ前記回転軸が回転するのに要する時間になる欠歯部が発生するようになっており、
前記回転信号に前記タイミングエッジが発生する毎に、今回発生した前記タイミングエッジが前記欠歯部の終了に該当する欠歯終了エッジであるか否かを判定する欠歯部判定手段を備え、
前記設定手段は、前記欠歯部判定手段により前記タイミングエッジが前記欠歯終了エッジであると判定された場合には、前記演算結果を前記所定数分の1にして整数化処理した整数値を、前記割合情報として設定すること、
を特徴とする信号処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の信号処理装置において、
前記欠歯部判定手段は、
前記回転信号に前記タイミングエッジが発生する毎に動作して、前記計測手段により今回計測された時間と、前記計測手段により前回計測された時間とを比較することにより、今回発生した前記タイミングエッジが前記欠歯終了エッジであるか否かを判定すること、
を特徴とする信号処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の信号処理装置において、
前記所定回数は、1回であること、
を特徴とする信号処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の信号処理装置において、
前記回転軸は、エンジンのクランク軸であること、
を特徴とする信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−104338(P2013−104338A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247723(P2011−247723)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】