説明

信号出力装置及びロボットコントローラー

【課題】外部機器に応じてシンク型及びソース型の出力信号が出力可能であるとともに、出力信号の切替えに必要とされる構成部品の共通化を図ることの可能な信号出力装置及びロボットコントローラーを提供する。
【解決手段】出力電流をオンオフ制御するための制御信号が入力される制御端子23a,24aと、端子間の通電により一方の端子からシンク電流を出力する出力端子対であるシンク用出力端子28a及びシンク用共通端子28bと、端子間の通電により一方の端子からソース電流を出力する出力端子対であるソース用出力端子29b及びソース用共通端子29aと、一つの制御端子と一つの出力端子対との間に接続されて、該制御端子からの制御信号に基づき該出力端子対での通電をオンオフ制御するスイッチングデバイス15とを備え、制御端子23aに対する第1の出力端子対の相対位置と、制御端子24aに対する第2の出力端子対の相対位置とが互いに等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号出力装置、及び該信号出力装置を備えるロボットコントローラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、産業用ロボットを制御するロボットコントローラーには、接続された外部機器に対して信号を出力する信号出力装置が搭載されている(例えば、特許文献1)。
一方、こうした信号出力装置における出力タイプは、外部機器から信号出力装置へ流れるシンク電流を該外部機器に搭載された負荷への出力電流とするシンク型と、信号出力装置から外部機器へ流れるソース電流を該負荷への出力電流とするソース型とに分けられる。また、外部機器に搭載される負荷は、その一端が信号出力装置の出力端子に接続されており、その接続態様によって該負荷の入力タイプも上記シンク電流により動作するシンク型と、上記ソース電流により動作するソース型とに分けられる。そのため、信号出力装置の出力端子と負荷との接続に関し、信号出力装置の出力タイプと負荷の入力タイプとを統一する必要がある。なお、いずれの出力タイプが用いられるかは、通常、産業用ロボットが使用される地域やその用途に応じて選択される。
【0003】
ところで、非特許文献1には、下記シンク型及びソース型の信号出力装置が開示されている。まず、非特許文献1に記載のシンク型の信号出力装置について図4を参照して説明する。図4に示されるように、ロボットコントローラー100に搭載されたシンク型の信号出力装置101は、基板102に設けられた端子103,104,105を介してシンク型の外部機器110と接続されている。この外部機器110は、高電位側の出力端子が端子103に接続されて低電位側の出力端子が端子105に接続された直流電源111と、一端が直流電源111における高電位側の出力端子と端子103との間に接続されて他端が出力端子104に接続された負荷112とを有している。
【0004】
一方、信号出力装置101の基板102には、フォトカプラ115が実装されている。フォトカプラ115を構成する発光ダイオードは、基板102に設けられた端子116,117を介してロボットコントローラー100の制御部118に接続されている。フォトカプラ115を構成するNPN型のトランジスターは、コレクターが端子103に接続されており、エミッターが抵抗119を介してNPN型のトランジスター120のベースに接続されているとともにトランジスター120にダーリントン接続されたNPN型のトランジスター121のベースに抵抗119及び抵抗122を介して接続されている。各トランジスター120,121のコレクターは、抵抗123を介して出力端子104に接続されている。またトランジスター120のエミッターは、抵抗125を介してトランジスター121のエミッターに接続されており、該トランジスター121のエミッターは端子105に接続されている。
【0005】
そして、制御部118からの駆動信号によってフォトカプラ115が駆動されると、トランジスター120,121で増幅される電流が、負荷112を介して出力端子104に流れ込む。これによって、信号出力装置132から外部機器110に出力信号が出力される。
【0006】
次に、非特許文献1に記載のソース型の信号出力装置について図5を参照して説明する。図5に示されるように、ロボットコントローラー100に搭載されたソース型の信号出力装置131は、基板132に設けられた端子133,134,135を介してソース型の外部機器140と接続されている。この外部機器140は、高電位側の出力端子が端子
133に接続されて低電位側の出力端子が端子135に接続された直流電源141と、一端が直流電源141の低電位側の出力端子と端子135との間に接続されて他端が出力端子134に接続された負荷142とを有している。
【0007】
信号出力装置131の基板132には、フォトカプラ115が搭載されている。フォトカプラ115を構成する発光ダイオードは、基板132に設けられた端子136,137を介してロボットコントローラー100の制御部118に接続されている。フォトカプラ115を構成するNPN型のトランジスターは、コレクターが抵抗145,146,147を介して端子133に接続されており、エミッターが端子135に接続されている。また、該トランジスターのコレクターは、抵抗145を介してPNP型のトランジスター148のベースに接続されている。トランジスター148のエミッターは、抵抗147を介して端子133に接続されている。トランジスター148のコレクターは、該トランジスター148にダーリントン接続されたPNP型のトランジスター149のベースに接続されている。トランジスター149は、エミッターが端子133に接続されており、コレクターが抵抗150を介して出力端子134に接続されている。
【0008】
そして、制御部118からの駆動信号によってフォトカプラ115が駆動されると、トランジスター148,149で増幅された電流が、出力端子134を介して負荷142に流れ込む。これによって、信号出力装置132から外部機器140に出力信号が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−146464号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ヤマハ発動機株式会社、“ヤマハロボットコントローラーRCX240電機関連資料”、[平成23年3月12日検索]、インターネット(URL:http://www.yamaha-motor.jp/robot/controller/rcx/pdf/index/rcx_electricity.pdf )
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した構成の信号出力装置では、出力電流をシンク型からソース型に、あるいは出力電流をソース型からシンク型に切替える場合に、信号出力装置に搭載される基板を交換しなければならない。そのため、信号出力装置の出力電流をシンク型とソース型とに切替え可能にする上では、互いに異なる2種類の基板の各々を製造し、且つこれらの在庫の管理を個別に行う必要がある。それゆえに、上述した信号出力装置では、信号出力装置の製造コストや部品の管理コストを抑えることの困難な構成となっている。
【0012】
なお、上記基板に形成された回路を1つのスイッチングデバイスに内蔵させることも可能ではあるが、こうした構成であっても、2種類のスイッチングデバイスが必要になることに変わりはなく、結局のところ、上述した問題が再燃することとなる。
【0013】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、外部機器に応じてシンク型及びソース型の出力信号が出力可能であるとともに、出力信号の切替えに必要とされる構成部品の共通化を図ることの可能な信号出力装置及びロボットコントローラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の信号出力装置は、負荷への出力電流をシンク電流とソース電流とに切替可能な
信号出力装置であって、前記出力電流をオンオフ制御するための制御信号が入力される第1及び第2の制御端子と、端子間の通電により一方の端子から前記シンク電流を出力する第1の出力端子対と、端子間の通電により一方の端子から前記ソース電流を出力する第2の出力端子対と、一つの前記制御端子と一つの前記出力端子対との間に接続されて、該制御端子からの制御信号に基づき該出力端子対での通電をオンオフ制御するスイッチングデバイスとを備え、前記第1の制御端子に対する前記第1の出力端子対の相対位置と、前記第2の制御端子に対する前記第2の出力端子対の相対位置とが互いに等しい。
【0015】
この信号出力装置によれば、第1の制御端子に対する第1の出力端子対の相対位置と、第2の制御端子に対する第2の出力端子対の相対位置とが互いに等しいため、スイッチングデバイスがシンク用の出力端子対に接続される態様と、スイッチングデバイスがソース用の出力端子対に接続される態様とが選択可能となる。それゆえに、信号出力装置に要求される出力電流がシンク電流であれ、ソース電流であれ、共通する部品で信号出力装置を構成することができ、ひいては、信号出力装置に必要とされる部品の在庫管理が容易になるとともに信号出力装置の製造に必要とされるコストを抑えることができる。
【0016】
この信号出力装置は、前記負荷が搭載された外部機器に接続される第1の外部接続端子と第2の外部接続端子とを備え、前記第1の出力端子対では、前記シンク電流を出力する出力端子が前記第1の外部接続端子に接続され、該出力端子とは異なる他の出力端子が前記第2の外部接続端子に接続され、前記第2の出力端子対では、前記ソース電流を出力する出力端子が前記第1の外部接続端子に接続され、該出力端子とは異なる他の出力端子が前記第2の外部接続端子に接続されていることが好ましい。
【0017】
この信号出力装置によれば、第1の出力端子対と第2の出力端子対との双方において、出力電流を出力する出力端子は、第1の外部接続端子に接続され、他の出力端子は、第2の外部接続端子に接続されている。それゆえに、ソース電流あるいはシンク電流のいずれかが、第1の外部接続端子を介して外部機器に出力されることになるため、第1の出力端子対用の外部接続端子と第2の出力端子対用の外部接続端子とを各別に有する構成と比較して、外部機器に対するインターフェースの構造を簡素化することが可能である。
【0018】
この信号出力装置は、前記2つの制御端子が、一の方向に配列され、前記第1の出力端子対において前記第1の外部接続端子に接続される出力端子と前記第2の出力端子対において前記第2の外部接続端子に接続される出力端子とが前記一の方向に配列され、前記第1の出力端子対において前記第2の外部接続端子に接続される出力端子と前記第2の出力端子対において前記第1の外部接続端子に接続される出力端子とが前記一の方向に配列されていることが好ましい。
【0019】
この信号出力装置によれば、2つの制御端子の配列される方向に沿って、第1の出力端子対、第2の出力端子対が配列される。このような構成であれば、スイッチングデバイスの配置される位置を2つの制御端子が配列される方向に変えるという簡単な構成により、出力電流をシンク電流とソース電流とに切替えることが可能となる。
【0020】
この信号出力装置は、前記第1の外部接続端子に接続される2つの出力端子のうち、一方の出力端子は、他方の出力端子を介し、一つの配線で前記第1の外部接続端子に接続され、前記第2の外部接続端子に接続される2つの出力端子のうち、一方の出力端子は、他方の出力端子を介し、一つの配線で前記第2の外部接続端子に接続されていることが好ましい。
【0021】
この信号出力装置によれば、外部接続端子と該外部接続端子に接続される2つの出力端子とが、一方の出力端子を介して1つの配線によって接続される。それゆえに、出力端子
対と外部接続端子とを接続する配線の構造を簡素化することが可能である。
【0022】
この信号出力装置は、前記第1の出力端子対において前記第1の外部接続端子に接続される出力端子と前記第2の出力端子対において前記第1の外部接続端子に接続される出力端子とを接続する第1の接続配線と、前記第1の出力端子対において前記第2の外部接続端子に接続される出力端子と前記第2の出力端子対において前記第2の外部接続端子に接続される出力端子とを接続する第2の接続配線とを備え、前記第1の接続配線と前記第2の接続配線とが互いに交差することが好ましい。
【0023】
この信号出力装置によれば、第1の外部接続端子に接続される2つの出力端子が互いに第1の接続配線で接続され、第2の外部接続端子に接続される2つの出力端子が互いに第2の接続配線で接続され、これら第1の接続配線と第2の接続配線とが互いに交差する。第1の接続配線と第2の接続配線とが互いに交差しない構成では、一方の接続配線を迂回するように、他方の接続配線を引き回すという構成が余儀なくされる。そのため、このように2つの接続配線が互いに交差しない構成と比較して、1つの外部接続端子に接続される出力端子間の配線長を短くすることも可能である。
【0024】
本発明のロボットコントローラーは、産業用ロボットに対して信号出力装置を通じて出力信号を出力するロボットコントローラーであって、前記信号出力装置が上述した信号出力装置である。
【0025】
このロボットコントローラーでは、産業用ロボットの入力タイプに応じて信号出力装置におけるスイッチングデバイスの接続先を選択することで、ロボットコントローラーから産業用ロボットに対して、シンク電流あるいはソース電流を出力信号として出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる信号出力装置が搭載されたロボットコントローラーの概略構成を模式的に示す図であって、基板にスイッチングデバイスを実装する前の状態を模式的に示す図。
【図2】出力対象がシンク型の外部機器である場合の信号出力装置の作動態様を説明するための図。
【図3】出力対象がソース型の外部機器である場合の信号出力装置の作動態様を説明するための図。
【図4】従来において、出力対象がシンク型の外部機器である場合の信号出力装置の概略構成を模式的に示す図。
【図5】従来において、出力対象がソース型の外部機器である場合の信号出力装置の概略構成を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明にかかる信号出力装置及びロボットコントローラーの一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
図1に示されるように、本実施形態の信号出力装置10は、ロボットコントローラー11の制御部12からの制御信号を受けて作動するスイッチング素子としてフォトカプラ14を備えたスイッチングデバイス15と、該スイッチングデバイス15が実装される基板16と、外部機器に接続される外部出力端子35と共通端子36とを有している。なお、上記フォトカプラ14のトランジスターは、ダーリントン接続された複数のトランジスターで構成されている。
【0028】
スイッチングデバイス15は、いわゆるDIP型のデバイスであって、制御部12から
の制御信号が入力される一対の入力用接続ピン17a,17bと、該駆動信号に基づく出力信号を出力する一対の出力用接続ピン18a,18bとを有している。
【0029】
一方、基板16には、スイッチングデバイス15の入力用接続ピン17a,17bが着脱可能な一対の入力ソケットを構成する第1入力ソケット21と第2入力ソケット22とが並設されている。
【0030】
第1入力ソケット21には、第1の制御端子である雌型のシンク用制御端子23aと、同じく雌型のシンク用制御端子23bとが、交互に配列されている。また、第2入力ソケット22には、第2の制御端子である雌型のソース用制御端子24aと、同じく雌型のソース用制御端子24bとが、交互に配列されている。第1入力ソケット21と第2入力ソケット22とは、所定のピッチで雌型端子が配列されたSIP型のICソケットで構成され、各ソケットに配列された雌型端子が、互いに平行、且つ向い合うように並設されている。シンク用制御端子23a及びシンク用制御端子23bは、制御部12にそれぞれ接続されている。ソース用制御端子24aは、該ソース用制御端子24aと向い合うシンク用制御端子23aを介して制御部12に接続されている。ソース用制御端子24bは、該ソース用制御端子24bと向い合うシンク用制御端子23bを介して制御部12に接続されている。
【0031】
また、基板16には、スイッチングデバイス15の出力用接続ピン18a,18bが着脱可能な一対の出力ソケットを構成する第1出力ソケット26と第2出力ソケット27とが並設されている。
【0032】
第1出力ソケット26には、第1の出力端子対を構成する雌型のシンク用出力端子28aと、同じく雌型のシンク用共通端子28bとが、交互に配列されている。また、第2出力ソケット27は、第2の出力端子対としての雌型のソース用共通端子29aと、同じく雌型のソース用出力端子29bとが、交互に配列されている。第1出力ソケット26と第2出力ソケット27とは、所定のピッチで雌型端子が配列されたSIP型のICソケットで構成され、各ソケットに配列された雌型端子が、互いに平行、且つ向い合うように並設されている。
【0033】
上述した各端子28a,28b,29a,29bは、シンク用制御端子23aに対するシンク用出力端子28a及びシンク用共通端子28bの相対位置と、ソース用制御端子24aに対するソース用共通端子29a及びソース用出力端子29bの相対位置とが、互いに等しくなるように配置されている。そして、第1出力ソケット26を構成する各端子28a,28bは、第1入力ソケット21を構成する各端子23a,23bにスイッチングデバイス15が実装される際に、該スイッチングデバイス15の出力用接続ピン18a,18bが差し込まれる。また、第2出力ソケット27を構成する各端子29a,29bは、第2入力ソケット22を構成する各端子24a,24bにスイッチングデバイス15が実装される際に、該スイッチングデバイス15の出力用接続ピン18a,18bが差し込まれる。これにより、シンク用制御端子23a、シンク用制御端子23b、シンク用出力端子28a、及びシンク用共通端子28bから構成される端子群と、ソース用制御端子24a、ソース用制御端子24b、ソース用共通端子29a、及びソース用出力端子29bから構成される端子群とに、共通するスイッチングデバイス15が実装される。
【0034】
第1出力ソケット26を構成するシンク用出力端子28aと第2出力ソケット27を構成するソース用出力端子29bとは、第1の接続配線31で互いに接続され、該ソース用出力端子29bは、第1の外部接続端子としての外部出力端子35に配線37を介してそれぞれ接続されている。また、第1出力ソケット26を構成するシンク用共通端子28bと第2出力ソケット27を構成するソース用共通端子29aとは、第2の接続配線32で
互いに接続され、該ソース用共通端子29aは、第2の外部接続端子としての共通端子36に配線38を介して接続されている。これらの第1及び第2の接続配線31,32は、絶縁性のプリント基板を介して互いに積層され、且つ基板16の法線方向から見て互いに交差するように配置されている。
【0035】
そして、信号出力装置10が出力電流としてシンク電流を出力するべく、信号出力装置10にスイッチングデバイス15が実装される際には、スイッチングデバイス15の入力用接続ピン17a,17bが、シンク用制御端子23a及びシンク用制御端子23bに差し込まれる。また、スイッチングデバイス15の出力用接続ピン18a,18bが、シンク用出力端子28a及びシンク用共通端子28bに差し込まれる。
【0036】
一方、信号出力装置10が出力電流としてソース電流を出力するべく、信号出力装置10にスイッチングデバイス15が実装される際には、スイッチングデバイス15の入力用接続ピン17a,17bが、ソース用制御端子24a及びソース用制御端子24bに差し込まれる。また、スイッチングデバイス15の出力用接続ピン18a,18bが、ソース用共通端子29a及びソース用出力端子29bに差し込まれる。
【0037】
次に、上述した構成からなる信号出力装置10の作動態様について図2及び図3を参照して説明する。
まず、外部機器がシンク型である場合について図2を参照して説明する。図2に示されるように、出力対象がシンク型の外部機器40である場合、スイッチングデバイス15は、第1入力ソケット21を構成する各端子23a,23bと第1出力ソケット26を構成する各端子28a,28bに実装される。
【0038】
外部機器40は、スイッチングデバイス15のトランジスターのコレクターに正電圧を供給する直流電源41と、該トランジスターが導通状態であるときに動作する負荷42とを有している。直流電源41の高電位側の出力端子は、負荷42を介して外部出力端子35に接続されており、該外部出力端子35は、配線37、ソース用出力端子29b、第1の接続配線31、シンク用出力端子28aを介してトランジスターのコレクターに接続されている。また、直流電源41の低電位側の出力端子は、共通端子36に接続されており、該共通端子36は、配線38、ソース用共通端子29a、第2の接続配線32、シンク用共通端子28bを介してトランジスターのエミッターに接続されている。
【0039】
そして、制御部12からの制御信号を受けてフォトカプラ14が作動すると、シンク用出力端子28aとシンク用共通端子28bとの間が通電状態となり、図2中に矢印で示すように、外部出力端子35を介して外部機器40から信号出力装置10へシンク電流が流れる。こうしたシンク電流が負荷42への出力電流となって該負荷42が動作することで、ロボットコントローラー11からの出力信号が外部機器40に入力される。
【0040】
次に、外部機器がソース型である場合について図3を参照して説明する。図3に示されるように、出力対象がソース型の外部機器45である場合、スイッチングデバイス15は、第2入力ソケット22を構成する各端子24a,24bと第2出力ソケット27を構成する各端子29a,29bに実装される。
【0041】
ソース型の外部機器45には、スイッチングデバイス15のトランジスターのコレクターに正電圧を供給する直流電源46と、トランジスターが導通状態であるときに電流が流れて動作する負荷47とを有している。直流電源46の高電位側の出力端子は、共通端子36に接続されており、該共通端子36は、配線38、ソース用共通端子29aを介してトランジスターのコレクターに接続されている。また、直流電源46の低電位側の出力端子は、負荷47を介して外部出力端子35に接続されており、該外部出力端子35は、配
線37、ソース用出力端子29bを介してトランジスターのエミッターに接続されている。
【0042】
そして、制御部12からの制御信号を受けてフォトカプラ14が作動すると、ソース用共通端子29aとソース用出力端子29bとの間が通電状態となり、図3中に矢印で示すように、外部出力端子35を介して信号出力装置10から外部機器45へソース電流が流れる。こうしたソース電流が負荷47への出力電流となり該負荷47が動作することで、ロボットコントローラー11からの出力信号が外部機器45に入力される。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態に係る信号出力装置10、及びロボットコントローラーによれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)スイッチングデバイス15が実装される際に、該スイッチングデバイス15の接続先が変わることで、出力電流をシンク電流あるいはソース電流に切り替えることができる。すなわち、信号出力装置10に要求される出力電流がシンク電流であれ、ソース電流であれ、共通するスイッチングデバイス15及び基板16を用いて信号出力装置10を構成することができる。その結果、信号出力装置10に必要とされる部品の在庫管理が容易になるとともに信号出力装置10の製造に必要とされるコストを抑えることができる。
【0044】
(2)出力電流を出力するシンク用出力端子28a及びソース用出力端子29bは、外部出力端子35に接続され、他方のシンク用共通端子28b及びソース用共通端子29aは、共通端子36に接続されている。それゆえに、ソース電流とシンク電流のいずれかが共通する外部出力端子35から出力されることになるため、シンク用出力端子28a及びソース用出力端子29bの外部への接続先と、シンク用共通端子28b及びソース用共通端子29aの外部への接続先とを各別に有する構成と比較して、外部機器に対するインターフェースの構造を簡素化することが可能である。
【0045】
(3)ここで、各端子23a,23b,24a,24bを一列に配置し、これにともない、各端子28a,28b,29a,29bを一列に配置することも可能である。しかしながら、こうした構成では、入力ソケットからなる一つの列の中にシンク用とソース用の入力ソケットが混在しているとともに、出力ソケットからなる一つの列の中にもシンク用とソース用の出力ソケットが混在していることになる。そのため、例えばスイッチングデバイス15を実装する際に、シンク用の端子とソース用の端子とが区別しにくくなる。
【0046】
これに対して、上記実施形態では、シンク用の各端子23a,23bによって構成される第1入力ソケット21と、ソース用の各端子24a,24bによって構成される第2入力ソケット22とが、互いに平行となるように並設されている。同様に、シンク用の各端子28a,28bによって構成される第1出力ソケット26と、ソース用の各端子29a,29bによって構成される第2出力ソケット27とが、互いに平行となるように並設されている。こうした構成によれば、シンク用の各ソケットとソース用の各ソケットとを明確に区別することができるとともに、スイッチングデバイス15の実装位置をソケットの並設方向に変えるという簡単な構成により、出力電流を切り替えることが可能になる。
【0047】
(4)外部出力端子35、シンク用出力端子28a、及びソース用出力端子29bが、配線37及び第1の接続配線31で構成される1つの配線によって接続される。また、共通端子36、シンク用共通端子28b、及びソース用共通端子29aが、配線38及び第2の接続配線32で構成される1つの配線によって接続される。こうした構成によれば、外部出力端子35と出力ソケットとを接続する配線の構造、共通端子36と出力ソケットとを接続する配線の構造、これらを簡素化することができる。
【0048】
(5)第1の接続配線31と第2の接続配線32とは、互いに絶縁された状態で交差す
るように形成されている。第1の接続配線31と第2の接続配線32とが交差しない構成では、例えば第2の接続配線32を迂回するように第1の接続配線31を形成しなければならず、第1及び第2の接続配線31,32の経路が大幅に制約されることになる。そのため、第1及び第2の接続配線31,32が互いに絶縁された状態で交差するように形成することによって、第1及び第2の接続配線31,32の経路が向上するとともに、シンク用出力端子28aとソース用出力端子29bとの間の配線長、及びシンク用共通端子28bとソース用共通端子29aとの間の配線長を短くすることが可能である。
【0049】
(6)スイッチングデバイス15がソケットに対して着脱可能である。これにより、例えばフォトカプラ14の電気容量を変更したいときやスイッチングデバイス15が故障したときなどには、スイッチングデバイス15を付け替えるだけでよいことから、スイッチングデバイス15の交換を容易に行うことができる。
【0050】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することも可能である。
・上記実施形態の信号出力装置10は、ロボットを制御するロボットコントローラー11に搭載させている。これに限らず、信号出力装置10は、出力電流としてシンク電流あるいはソース電流を外部機器に出力する信号出力装置に適用可能である。
【0051】
・上記実施形態では、第1の接続配線31と第2の接続配線32とが互いに絶縁された状態で交差するように形成されている。これを変更して、例えば第1の接続配線31を迂回するように第2の接続配線32を形成することによって、第1の接続配線31と第2の接続配線32とが交差しないようしてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、外部出力端子35に接続されるシンク用出力端子28a及びソース用出力端子29bが、配線37及び第1の接続配線31で構成される1つの配線によって接続されている。これを変更して、シンク用出力端子28a及びソース用出力端子29bがそれぞれ別の配線で外部出力端子35に接続されてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、共通端子36に接続されるシンク用共通端子28b及びソース用共通端子29aが、配線38及び第2の接続配線32で構成される1つの配線によって接続されている。これを変更して、シンク用共通端子28b及びソース用共通端子29aがそれぞれ別の配線で共通端子36に接続されてもよい。
【0054】
・上記実施形態において、シンク用の各端子23a,23bとソース用の各端子24a,24bとが一列に並んで配置され、シンク用の各端子28a,28bとソース用の各端子29a,29bとが一列に並んで配置されてもよい。この際、例えばシンク用の端子とソース用の端子とが交互に並ぶよう配置してもよい。すなわち、スイッチングデバイス15の入力側では端子23a,24a,23b,24bというように配置され、且つ出力側では端子28a,29a,28b,29bというように配置されていてもよい。また例えばシンク用の端子とソース用の端子とが連続して並ぶように配置してもよい。すなわち、スイッチングデバイス15の入力側では、端子23a,23b,24a,24bというように配置され、且つ出力側では端子28a,28b,29a,29bというように配置されていてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、シンク電流を出力するシンク用出力端子28aとソース電流を出力するソース用出力端子29bとが、第1の外部接続端子である外部出力端子35に接続されている。同様に、シンク用共通端子28bとソース用共通端子29aとが第2の外部接続端子である共通端子36に接続されている。これを変更して、第1及び第2の外部接続端子をシンク用とソース用とで各別に設けてもよい。
【0056】
・上記実施形態において、外部出力端子35の数はその時々に応じて適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…信号出力装置、11…ロボットコントローラー、12…制御部、14…フォトカプラ、15…スイッチングデバイス、16…基板、17a…入力用接続ピン、17b…入力用接続ピン、18a…出力用接続ピン、18b…出力用接続ピン、21…第1入力ソケット、22…第2入力ソケット、23a,23b…シンク用制御端子、24a,24b…ソース用接続端子、26…第1出力ソケット、27…第2出力ソケット、28a…シンク用出力端子、28b…シンク用共通端子、29a…ソース用共通端子、29b…ソース用出力端子、31…第1の接続配線、32…第2の接続配線、35…外部出力端子、36…共通端子、37,38…配線、40…外部機器、41…直流電源、42…負荷、45…外部機器、46…電源、47…負荷、100…信号出力装置、100…ロボットコントローラー、101…信号出力装置、102…基板、103…端子、104…出力端子、105…端子、110…外部機器、111…電源、112…負荷、115…フォトカプラ、116…端子、117…端子、118…制御部、119…抵抗、120,121…トランジスター、122,123,125…抵抗、131…信号出力装置、132…基板、133,135,136,137…端子、134…出力端子、140…外部機器、141…電源、142…負荷、145,146,147…抵抗、148,149…トランジスター、150…抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷への出力電流をシンク電流とソース電流とに切替可能な信号出力装置であって、
前記出力電流をオンオフ制御するための制御信号が入力される第1及び第2の制御端子と、
端子間の通電により一方の端子から前記シンク電流を出力する第1の出力端子対と、
端子間の通電により一方の端子から前記ソース電流を出力する第2の出力端子対と、
一つの前記制御端子と一つの前記出力端子対との間に接続されて、該制御端子からの制御信号に基づき該出力端子対での通電をオンオフ制御するスイッチングデバイスとを備え、
前記第1の制御端子に対する前記第1の出力端子対の相対位置と、前記第2の制御端子に対する前記第2の出力端子対の相対位置とが互いに等しい
ことを特徴とする信号出力装置。
【請求項2】
前記負荷が搭載された外部機器に接続される第1の外部接続端子と第2の外部接続端子とを備え、
前記第1の出力端子対では、前記シンク電流を出力する出力端子が前記第1の外部接続端子に接続され、該出力端子とは異なる他の出力端子が前記第2の外部接続端子に接続され、
前記第2の出力端子対では、前記ソース電流を出力する出力端子が前記第1の外部接続端子に接続され、該出力端子とは異なる他の出力端子が前記第2の外部接続端子に接続されている
請求項1に記載の信号出力装置。
【請求項3】
前記2つの制御端子が、一の方向に配列され、
前記第1の出力端子対において前記第1の外部接続端子に接続される出力端子と前記第2の出力端子対において前記第2の外部接続端子に接続される出力端子とが前記一の方向に配列され、
前記第1の出力端子対において前記第2の外部接続端子に接続される出力端子と前記第2の出力端子対において前記第1の外部接続端子に接続される出力端子とが前記一の方向に配列されている
請求項2に記載の信号出力装置。
【請求項4】
前記第1の外部接続端子に接続される2つの出力端子のうち、一方の出力端子は、他方の出力端子を介し、一つの配線で前記第1の外部接続端子に接続され、
前記第2の外部接続端子に接続される2つの出力端子のうち、一方の出力端子は、他方の出力端子を介し、一つの配線で前記第2の外部接続端子に接続されている
請求項2又は3に記載の信号出力装置。
【請求項5】
前記第1の出力端子対において前記第1の外部接続端子に接続される出力端子と前記第2の出力端子対において前記第1の外部接続端子に接続される出力端子とを接続する第1の接続配線と、
前記第1の出力端子対において前記第2の外部接続端子に接続される出力端子と前記第2の出力端子対において前記第2の外部接続端子に接続される出力端子とを接続する第2の接続配線とを備え、
前記第1の接続配線と前記第2の接続配線とが互いに交差する
請求項4に記載の信号出力装置。
【請求項6】
産業用ロボットに対して信号出力装置を通じて出力信号を出力するロボットコントローラーであって、
前記信号出力装置が請求項1〜5のいずれか一項に記載の信号出力装置である
ことを特徴とするロボットコントローラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−205001(P2012−205001A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66384(P2011−66384)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】