説明

信号記憶装置、通信制御装置及び画像形成装置

【課題】予め定めた期間に生じる信号を、期間の長さと間隔の短さとを両立させた時刻とともに記憶する。
【解決手段】ローカルCPU50は、ミリ秒間隔で刻んだ年月日時分を含む時刻信号を生成する。時刻レジスタ562は、ローカルCPU50が出力するミリ秒間隔の時刻信号を受け入れ、1ミリ秒毎にカウントし、10ビットデータとして記憶する。ハードウェアカウンタ564は、マイクロ秒間隔で刻む時刻信号を生成するようカウントアップする10ビットのカウンタである。ログ格納メモリ58は、通信信号のいずれかが変化する毎に、通信信号が変化した時刻に対応する第1の時刻情報及び第2の時刻情報と、変化した通信信号とをハードウェアログとして記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号記憶装置、通信制御装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、印字速度を落とすことなく、各画素毎にLEDの発光量を変えて濃淡を実現するLEDプリンタを開示する。
【0003】
【特許文献1】特開2000−141752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、予め定めた期間に生じる信号を、期間の長さと間隔の短さとを両立させた時刻とともに記憶することができる信号記憶装置、通信制御装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、信号を取得する信号取得手段と、第1の時間間隔で刻む第1の時刻情報を生成する第1の時刻情報生成手段と、前記第1の時間間隔内を第2の時間間隔で刻む第2の時刻情報を生成する第2の時刻情報生成手段と、前記第1の時刻情報及び前記第2の時刻情報を対にした時刻対情報とともに、前記信号取得手段が取得する信号を前記第2の時間間隔で記憶する記憶手段とを有する信号記憶装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記第1の時刻情報生成手段は、前記第1の時間間隔を1ミリ秒として前記第1の時刻情報を生成し、前記第2の時刻情報生成手段は、前記第2の時間間隔を1マイクロ秒以下として前記第2の時刻情報を生成する請求項1記載の信号記憶装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記第2の時刻情報生成手段は、前記第1の時刻情報生成手段が第1の時刻情報を生成するごとに、前記第2の時刻情報の生成を開始する請求項1又は2記載の信号記憶装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、信号を送受する通信手段と、第1の時間間隔で刻む第1の時刻情報を生成する第1の時刻情報生成手段と、前記第1の時間間隔内を第2の時間間隔で刻む第2の時刻情報を生成する第2の時刻情報生成手段と、前記第1の時刻情報及び前記第2の時刻情報を対にした時刻対情報とともに、前記通信手段が送受する信号を前記第2の時間間隔で記憶する記憶手段とを有する通信制御装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、画像形成手段と、この画像形成手段に関する信号を送受する通信手段と、第1の時間間隔で刻む第1の時刻情報を生成する第1の時刻情報生成手段と、前記第1の時間間隔内を第2の時間間隔で刻む第2の時刻情報を生成する第2の時刻情報生成手段と、前記第1の時刻情報及び前記第2の時刻情報を対にした時刻対情報とともに、前記通信手段が送受する信号を前記第2の時間間隔で記憶する記憶手段とを有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る本発明によれば、予め定めた期間に生じる信号を、期間の長さと間隔の短さとを両立させた時刻とともに記憶することができる。
【0011】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、本構成を有しない場合に比較して、構成を簡易にすることができる。
【0012】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る本発明の効果に加えて、本構成を有しない場合に比較して、信号を記憶する時刻を正確にすることができる。
【0013】
請求項4に係る本発明によれば、予め定めた期間に生じる信号を、期間の長さと間隔の短さとを両立させた時刻とともに記憶し、信号を送受することができる。
【0014】
請求項5に係る本発明によれば、予め定めた期間に生じる信号を、期間の長さと間隔の短さとを両立させた時刻とともに記憶し、画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る画像形成システム1の概要が示されている。画像形成システム1は、画像形成装置2がチャネルインターフェース3を介してホスト装置(ホストコンピュータ)4に接続されることにより構成されている。
【0016】
画像形成装置2は、ユーザインターフェイス(UI)装置20、画像形成部24、制御部26及び通信制御部5を有する。UI装置20は、例えばLCDパネルなどの表示装置及びキーボードなどの入力装置を含むユーザインターフェイスである。画像形成部24は、例えば、用紙送り装置、ゼログラフィ装置および定着装置などを含む印刷装置及びスキャナ装置など(いずれも図示せず)を含む。制御部26は、図示しないメインCPU及び主記憶装置などを含み、画像形成装置2を構成する各部を制御する。通信制御部5は、チャネルインターフェース3を介してホスト装置4と制御部26とを接続する。
つまり、画像形成装置2は、コンピュータとしての機能を含み、通信制御部5を介して受け入れたプログラムを実行することにより、印刷などの処理を行う。
【0017】
次に、通信制御部5について詳述する。
図2は、通信制御部5の詳細及びその周辺を示すブロック図である。通信制御部5は、例えばPCIカード内に収容される通信制御装置であり、画像形成装置2内でPCIバス6を介して制御部26の図示しないメインCPUに接続され、チャネルインターフェース3を介してホスト装置4に接続される。また、通信制御部5は、ローカルCPU50、システムメモリ52、PCIインターフェイス(I/F)54、通信制御回路56及びログ格納メモリ58を有し、通信制御部5を構成する各部がローカルバス59を介して信号を相互に送受可能にされている。
【0018】
ローカルCPU50は、通信制御部5を構成する各部を制御するとともに、例えばミリ秒間隔(第1の時間間隔)で刻んだ年月日時分を含む時刻信号(第1の時刻情報:STIME)を生成する。
【0019】
システムメモリ52は、ローカルCPU50が実行するプログラムと、プログラムの実行により生成されたデータとを記憶する。また、システムメモリ52は、ローカルCPU50の制御により、ローカルCPU50とホスト装置4とが行う通信シーケンスの予め決められたポイントにおいて、イベントが発生した時刻を示す時刻情報とイベントコードとを第1のログ(ソフトウェアログ)として記憶するソフトウェアログ格納部520を有する。第1のログには、図3に例示されるように、例えば日、時、分、秒及びミリ秒を含む時刻情報、及び発生したイベントを示すイベントコードなどが含まれる。なお、第1のログに含まれるミリ秒の時刻情報は、後述する時刻レジスタ562にも記憶される。
【0020】
図4は、ローカルCPU50がソフトウェアログ格納部520に第1のログを書き込むシーケンスを示すシーケンス図である。
ステップ100(S100)に示すように、通信制御回路56がホスト装置4からコマンドを受けてローカルCPU50へコマンド受信割込みを送信すると、ローカルCPU50は、ソフトウェアログ格納部520に第1のログを書き込む。
【0021】
ステップ102(S102)に示すように、ローカルCPU50は、通信制御回路56に初期ステータス送信指令を送信すると、ソフトウェアログ格納部520に第1のログを書き込む。通信制御回路56は、初期ステータス送信指令を受信すると、ホスト装置4へ初期ステータスを送信するようにされている。
【0022】
ステップ104(S104)に示すように、通信制御回路56がホスト装置4から初期ステータス受信応答を受けてローカルCPU50へステータス送信完了割り込みを送信すると、ローカルCPU50は、ソフトウェアログ格納部520に第1のログを書き込む。
【0023】
ステップ106(S106)に示すように、ローカルCPU50は、通信制御回路56にデータ受信開始指令を送信すると、ソフトウェアログ格納部520に第1のログを書き込む。通信制御回路56は、データ受信開始指令を受信すると、ホスト装置4へデータ要求を送信するようにされている。
【0024】
ステップ108(S108)に示すように、通信制御回路56がホスト装置4からデータ送信を受けてローカルCPU50へデータ受信完了割り込みを送信すると、ローカルCPU50は、ソフトウェアログ格納部520に第1のログを書き込む。
【0025】
ステップ110(S110)に示すように、ローカルCPU50は、通信制御回路56に終了ステータス送信指令を送信すると、ソフトウェアログ格納部520に第1のログを書き込む。通信制御回路56は、終了ステータス送信指令を受信すると、ホスト装置4へ終了ステータスを送信するようにされている。
【0026】
ステップ112(S112)に示すように、通信制御回路56がホスト装置4から終了ステータス受信応答を受けてローカルCPU50へステータス送信完了割り込みを送信すると、ローカルCPU50は、ソフトウェアログ格納部520に第1のログを書き込む。
【0027】
PCIインターフェイス54(図2)は、PCIバス6とローカルバス59とを接続するインターフェイスである。
【0028】
通信制御回路56は、信号制御回路560、時刻レジスタ562及びハードウェアカウンタ564を有し、通信信号(制御信号及びデータ)をホスト装置4及びログ格納メモリ58に対して出力するよう制御する制御回路である。信号制御回路560は、通信制御回路56内で信号の生成と送受とを行う回路であり、通信制御部5を構成する各部及びホスト装置4との間で信号を送受する。時刻レジスタ562は、ローカルCPU50が出力するミリ秒間隔の時刻信号を受け入れ、例えば1ミリ秒(mS)毎にカウントし、10ビットデータとして記憶する。ハードウェアカウンタ564は、通信制御回路56が通信信号を送受するか否かにかかわらず、例えば1マイクロ秒(μS)毎にカウントアップする10ビットのカウンタである。ハードウェアカウンタ564は、ローカルCPU50が出力するミリ秒間隔の時刻信号毎にクリアされて、新たに1マイクロ秒毎にカウントアップするようにされてもよい。このように、ハードウェアカウンタ564は、マイクロ秒間隔(第2の時間間隔)で刻む時刻信号(第2の時刻情報:HC)を生成する。
【0029】
ログ格納メモリ58は、通信制御回路56がチャネルインターフェース3を介してホスト装置4との間で通信信号を送受する間に、通信制御回路56の制御により、通信信号のいずれかが変化する毎に、通信信号が変化した時刻に対応する第1の時刻情報(STIME)のミリ秒単位の時刻分及び第2の時刻情報(HC)と、変化した通信信号とを第2のログ(ハードウェアログ)として記憶する。ここで、ログ格納メモリ58は、予め定めた期間(設定される動作期間)に生じる変化した通信信号を時刻情報とともに第2のログとして再帰的に書き込まれるようにされている。
【0030】
図5は、データフォーマット図であって、(A)はログ格納メモリ58が第2のログを記憶する場合の実施例のデータフォーマット図であり、(B)は比較例のデータフォーマット図である。
図5(A)に示すように、ログ格納メモリ58は、ローカルCPU50の制御により、第1の時刻情報(ミリ秒単位の時刻情報の10ビット分)及び第2の時刻情報(10ビット)を対にした20ビットの時刻対情報と、通信信号(制御信号及びデータ)を示す44ビットの波形情報・ステート情報とから構成される合計64ビットのデータフォーマットで示される第2のログを記憶するようにされている。
一方、比較例として、本発明を適用しない場合、年月日からマイクロ秒までの時刻情報を示すために例えばハードウェアカウンタで時刻情報を生成すると、ハードウェアカウンタは52ビットになってしまい、時刻情報に44ビットの波形情報・ステート情報を加えるとデータフォーマットは96ビットになってしまう。
【0031】
図6は、ソフトウェアログ格納部520が記憶する第1のログと、ログ格納メモリ58が記憶する第2のログとを用いて、例えば画像形成装置2のUI装置20(又はホスト装置4)が表示するログ表示画面例である。
画像形成装置2(又はホスト装置4)は、第2のログを用いて図6に示した通信信号(制御信号及びデータ)の波形情報と、第1の時刻情報及び第2の時刻情報とを表示させることができる。
また、時刻レジスタ562が記憶するミリ秒単位の時刻情報を用いて、制御部26の図示しないメインCPUが第1のログと第2のログとを対応させることにより、画像形成装置2(又はホスト装置4)は、図6に示すように例えば8月19日11時23分11秒123ミリ秒にイベントが発生した(信号が変化した)ことを表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの概要を示す構成図である。
【図2】通信制御部の詳細及びその周辺を示すブロック図である。
【図3】第1のログ例である。
【図4】ローカルCPUがソフトウェアログ格納部に第1のログを書き込むシーケンスを示すシーケンス図である。
【図5】データフォーマット図であって、(A)はログ格納メモリが第2のログを記憶する場合の実施例のデータフォーマット図であり、(B)は比較例のデータフォーマット図である。
【図6】ソフトウェアログ格納部が記憶する第1のログと、ログ格納メモリが記憶する第2のログとを用いて、画像形成装置のUI装置(又はホスト装置)が表示するログ表示画面例である。
【符号の説明】
【0033】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
20 UI装置
24 画像形成部
26 制御部
3 チャネルインターフェース
4 ホスト装置
5 通信制御部
50 ローカルCPU
52 システムメモリ
520 ソフトウェアログ格納部
54 PCIインターフェイス
56 通信制御回路
560 信号制御回路
562 時刻レジスタ
564 ハードウェアカウンタ
58 ログ格納メモリ
59 ローカルバス
6 PCIバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を取得する信号取得手段と、
第1の時間間隔で刻む第1の時刻情報を生成する第1の時刻情報生成手段と、
前記第1の時間間隔内を第2の時間間隔で刻む第2の時刻情報を生成する第2の時刻情報生成手段と、
前記第1の時刻情報及び前記第2の時刻情報を対にした時刻対情報とともに、前記信号取得手段が取得する信号を前記第2の時間間隔で記憶する記憶手段と
を有する信号記憶装置。
【請求項2】
前記第1の時刻情報生成手段は、
前記第1の時間間隔を1ミリ秒として前記第1の時刻情報を生成し、
前記第2の時刻情報生成手段は、
前記第2の時間間隔を1マイクロ秒以下として前記第2の時刻情報を生成する
請求項1記載の信号記憶装置。
【請求項3】
前記第2の時刻情報生成手段は、
前記第1の時刻情報生成手段が第1の時刻情報を生成するごとに、前記第2の時刻情報の生成を開始する
請求項1又は2記載の信号記憶装置。
【請求項4】
信号を送受する通信手段と、
第1の時間間隔で刻む第1の時刻情報を生成する第1の時刻情報生成手段と、
前記第1の時間間隔内を第2の時間間隔で刻む第2の時刻情報を生成する第2の時刻情報生成手段と、
前記第1の時刻情報及び前記第2の時刻情報を対にした時刻対情報とともに、前記通信手段が送受する信号を前記第2の時間間隔で記憶する記憶手段と
を有する通信制御装置。
【請求項5】
画像形成手段と、
この画像形成手段に関する信号を送受する通信手段と、
第1の時間間隔で刻む第1の時刻情報を生成する第1の時刻情報生成手段と、
前記第1の時間間隔内を第2の時間間隔で刻む第2の時刻情報を生成する第2の時刻情報生成手段と、
前記第1の時刻情報及び前記第2の時刻情報を対にした時刻対情報とともに、前記通信手段が送受する信号を前記第2の時間間隔で記憶する記憶手段と
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−48563(P2010−48563A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210402(P2008−210402)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】