説明

修飾デンプン組成物

デンプンをポリマーと化合させ、前記デンプンとポリマーとが化合した組成物を酸性条件下で蒸解することによって修飾デンプン組成物を製造する。ここで、前記蒸解によってポリマーにはアニオン性基が形成される。デンプンを蒸解し、前記蒸解デンプンを蒸解ポリマーと化合させることによって別の修飾デンプン組成物を製造する。ここで、前記蒸解によってポリマーにはアニオン性基が形成され、前記ポリマーは前記デンプンとは別個に蒸解されたものである。前記組成物は、水性分散液から固形分およびその他の懸濁質を除去するための清澄化剤として使用することができ、特に製紙において歩留まり向上剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年2月27日提出の、米国特許仮出願番号第60/450277号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に、水性分散液から固形物およびその他の懸濁質を除去する清澄化剤として使用するのに好適な種類の修飾デンプン組成物に関し、特に、製紙において歩留まり向上剤として使用するのに好適な種類の修飾デンプン組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
製紙は、セルロース系繊維、填料粒子、場合によってはその他の物質などの水性分散液すなわち「完成紙料」を調製することと、次いでその完成紙料を金網で水切りしシートを調製することとを伴う。填料粒子およびセルロース系短繊維のシート上における保持向上のために、従来、完成紙料には種々の物質が添加されている。例えば、修飾デンプンなどがこの目的でよく使用されている。
【0004】
米国特許第5,859,128号および同第6,048,929号(Moffett,R.)には、完成紙料中の歩留まり向上剤として使用するための修飾デンプンが開示されている。この修飾デンプンは、少なくとも1種類の両性またはカチオン性デンプンを少なくとも1種類のポリアクリルアミドと共にアルカリ条件下で蒸解することによって調製される。米国特許第5,482,693号(Rushmere,J.、Moffett,R.)、同第5,176,891号(Rushmere,J.)および同第4,954,220号(Rushmere,J.)には、水溶性ポリアルミノケイ酸塩多粒子ミクロゲルの製造方法が記載されている。
【0005】
米国特許第5,178,730号(Bixler,H.、 Peats,S.)には、保持向上は、完成紙料に中/高分子量カチオン性ポリマーを添加するまたは天然のヘクトライトを添加することによって達成できることが開示されている。
【0006】
米国特許第4,643,801号(Johnson,K.)では、アニオン性高分子量ポリマーと結合しているカチオン性デンプンと分散シリカとを含み、それによって保持を向上させるバインダーが明らかにされている。同様に、米国特許第4,388,150号(Sunden,O.他)には、コロイドケイ酸とカチオン性デンプンとを使用すると向上が見いだせることが開示されている。
【0007】
米国特許第4,066,495号(Voight,J.、Pender H.)には、製紙ステップにおいてパルプにカチオン性デンプンとアニオン性ポリアクリルアミドポリマーとを添加し保持を向上させる方法が記載されている。
【0008】
米国特許第5,294,301号(Kumar他)には、水性パルプ完成紙料から紙を製造する方法であって、その保持向上が、前記水性パルプ完成紙料にデンプンのグラフトコポリマーを少なくとも1種類、前記パルプの重量に対して少なくとも約0.1%添加することを含んでおり、前記グラフトコポリマーが含浸量のポリメタクリル酸またはポリアクリル酸を有しているような方法が開示されている。
【0009】
本発明は、水性分散液から固形物およびその他の懸濁質を除去するための清澄化剤として使用することができ、特に製紙において歩留まり向上剤として使用することができる修飾デンプン組成物に関する。本発明はまた、前記修飾デンプン組成物を製造する方法に関する。
【0010】
本発明によれば、デンプンをポリマーと化合させ、前記デンプンとポリマーとが化合した組成物を酸性条件下で蒸解することによって製造される修飾デンプン組成物であって、前記蒸解によって前記ポリマーにはアニオン性基が形成されている修飾デンプン組成物が提供される。
【0011】
本発明によれば、デンプンを蒸解し、前記蒸解デンプンを蒸解ポリマーと化合させることによって製造される修飾デンプン組成物であって、前記蒸解によって前記ポリマーにアニオン性基が形成され、前記ポリマーは前記デンプンと別個に蒸解されている修飾デンプン組成物も提供される。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態においては、前記アニオン性基は酸性基および/または酸性基の塩である。個別の一実施形態においては、前記ポリマーはポリアクリルアミドであり、前記蒸解によって前記ポリマーにアクリル酸基が形成されている。
【0013】
本発明によれば、修飾デンプン組成物を製造する方法も提供される。ここで前記方法は、デンプンとポリマーとを化合させてデンプン組成物を調製するステップと、そのデンプン組成物を酸性条件下で蒸解するステップとを含み、前記蒸解によって前記ポリマーはアニオン性基が形成される。
【0014】
本発明によれば、修飾デンプン組成物を製造する方法も提供される。ここで、前記方法は、デンプンを蒸解することと、ポリマーを前記デンプンとは別個に蒸解することと、前記蒸解デンプンを前記蒸解ポリマーと化合させることとを含み、前記蒸解によって前記ポリマーにはアニオン性基が形成される。
【0015】
本発明の一実施形態においては、前記アニオン性基は酸性基であり、前記修飾デンプン組成物のpHは前記酸性基のpKaを上回っている。別の実施形態においては、前記修飾デンプン組成物のpHは前記酸性基のpKaを下回っており、前記方法は前記修飾デンプン組成物のpHを前記酸性基のpKa以上のレベルまで高める追加ステップを含む。
【0016】
本発明によれば、酸性、塩基性または中性条件下で蒸解し得るデンプンとポリアクリルアミドの乾燥混合物を含む乾燥配合物も提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明による修飾デンプン組成物は、デンプンをポリマーと化合させ、次いで前記デンプンとポリマーとが化合した組成物を酸性条件下で蒸解することによって製造される。前記蒸解によって前記ポリマーにはアニオン性基が形成される。
【0018】
前記デンプンは、従来製紙において使用されているデンプン、またはその他の好適なデンプンのいずれかであるカチオン性または両性デンプンであってもよい。好ましくは、前記デンプンはカチオン性デンプンである。カチオン性デンプンは、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプンおよびコムギデンプンなどの一般的なデンプン産出物から得ることができる。カチオン化は、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを添加するなどの好適な方法によって達成することができ、窒素置換度がそれぞれ異なるカチオン性デンプンを得ることができる。デンプンのカチオン置換度(wt%窒素/デンプン)は、好ましくは約0.01〜約0.30、より好ましくは約0.02〜約0.15とすることができる。ジャガイモデンプンなどの天然の両性デンプン、または合成の両性デンプンを選択することもできる。
【0019】
蒸解前の前記ポリマーは、カチオン性、アニオン性、非イオン性または両性ポリマーであり、好ましくはカチオン性ポリマーである。前記カチオン性または両性ポリマーは、そのカチオン置換度が約1重量%〜約80重量%であることが好ましい。前記ポリマーは潜在的にアニオン性の基を含有しており、ここで潜在的にアニオン性の基とは、蒸解ステップの間にアニオン性基に変換し得る基をいう。潜在的にアニオン性の基の例としては、アミド、エステル、ニトリル、ハロゲン化アシル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アルキル、酸ハライド、アルデヒド、アルコール、アルキルベンゼン、ケトンおよび無水物などの基が挙げられるが、これに限定されるものではない。蒸解前のポリマーの代表例としては、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ならびにカルボキシメチルセルロース、セルロース、デンプン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(ポリDADMAC)、ポリエチルイミン、ポリエピクロロヒドリンおよびポリエチレンオキシドなどを含めた、修飾されて前述した基を含有するようなポリマーが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0020】
蒸解後の前記ポリマーはアニオン性基を含む。場合によっては、この反応を、1つまたは複数の試薬(例えば、グリニャール試薬)などの1つまたは複数の添加剤を加えることによって促進してもよい。幾つかの実施形態においては、蒸解の間に形成されるアニオン性基は、酸性基、酸性基の塩、またはそれらの組み合わせである。前記ポリマーが含有し得る酸性官能基の例としては、カルボキシル、硫酸、スルホン酸、リン酸、phosphuric、ホスホン酸および硝酸などの酸性基ならびにそれら基の塩が含まれるが、これに限定されるものではない。前記ポリマーはホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。例えば、一実施形態においては、蒸解前の前記ポリマーはポリアクリルアミドであり、蒸解ステップによってアクリルアミド構成単位の一部がアクリル酸構成単位に変換され、その結果ポリアクリル酸とポリアクリルアミドのコポリマーとなる。
【0021】
前記デンプンとポリマーとが化合した組成物は、酸性pH条件下(pH6.99またはそれ以下)で蒸解される。幾つかの好ましい実施形態においては、前記組成物はpH約4.5〜約6.5で蒸解される。その他の実施形態においては、前記組成物はpH約3〜約6.99で蒸解される。好ましいpH範囲によって、デンプンの加水分解が最小に抑えられると同時に、ポリマーにはアニオン性基が形成されることになる。
【0022】
前記デンプンとポリマーとが化合した組成物の蒸解には、任意の好適な蒸解ステップを使用することができる。噴射蒸解釜などの回分式蒸解釜または連続式蒸解釜を使用することができる。前記組成物は、通常、水溶液中約60℃以上で蒸解される。回分式蒸解は一般に、約60℃〜約100℃の範囲内の温度で行われ、好ましくは大気圧下で行われる。大気圧を上回る圧力下での回分式蒸解も行うことができ、したがってより高い蒸解温度が可能となる。連続式蒸解は一般に、約60℃〜約130℃の範囲内の温度で行われ、好ましくは1気圧以上の圧力下で行われる。デンプンの分解を防御しさえすれば、より高い蒸解温度を採用できる。蒸解時間は、選択される成分、蒸解装置および温度によって変わるが、通常1秒未満〜約1時間の範囲内である。蒸解の間の固形分は好ましくは約15%未満であるが、適切に混合が達成されさえすれば、比較的高固形分濃度であっても使用することができる。
【0023】
水性蒸解溶液のpHは、硫酸、硝酸、塩酸、二酸化炭素生成性炭酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの従来の酸、塩基、または酸もしくは塩基の塩などを用いて調整することができる。みょうばん、ポリ塩化アルミニウム、ならびにアルミン酸ナトリウムおよびアルミン酸カリウムなどのアルミン酸塩などのアルミニウム化合物を使用してpHを変化させることおよび/またはそれらを添加してその他の利益を得ることもできる。
【0024】
前記蒸解溶液のpHが前記ポリマーの酸性基のpKaを上回っていれば、蒸解ステップの結果、歩留まり向上剤としてまたはその他の意図する用途に直ちに使用され得るゼラチン状の産物が得られるである。あるいは、前記蒸解溶液のpHが前記ポリマーの酸性基のpKaを下回っていれば、蒸解ステップの結果、引き続きpHを前記酸性基のpKaを上回るかまたはそれと等しいレベルまで高めることによってゲルに変換され得るような液体が得られるである。前記酸性基のpKaは、溶液のpHで言えば、そのpHおよびそれより低いpHで前記酸性基の大部分がプロトン化されるようなpHとみなすことができる。そのpKaは、式pKa=−log10Kaに従って、酸性基の解離定数Kaの底が10の対数にマイナスを付けたものとして表すことができる。例えば、ポリアクリル酸のアクリル酸基のpKaは、個々のポリマーによって決まるが、通常約3.5〜約7の範囲内である。
【0025】
本発明の別の実施形態においては、修飾デンプン組成物は、デンプンを蒸解し、次いで前記蒸解デンプンを蒸解ポリマーと化合させることによって製造され、前記ポリマーは前記デンプンとは別個に蒸解されている。前記蒸解によって前記ポリマーにはアニオン性基が形成される。前記デンプンおよび前記ポリマーは先に記載のデンプンおよびポリマーのいずれであってもよい。
【0026】
前記ポリマーは任意のpH条件下(酸性、中性または塩基性)で蒸解することができ、それによって潜在的にアニオン性の基の少なくとも一部が酸性基へと変換するのを誘発することができる。例えば、ポリアクリルアミドポリマーのアクリルアミド基の一部がアクリル酸基へと変換するのを誘発することができる。蒸解ステップは先に記載したように実施することができる。本ステップで得られるポリマー溶液を、その後蒸解デンプン溶液と化合させる。前記デンプンもまた、加水分解が避けられさえすれば、任意のpH条件下で蒸解することができる。
【0027】
前記ポリマー/デンプン化合溶液のpHを、前記ポリマーの酸性基のpKaを下回るように選択することができ、それによって、そのpHを前記酸性基のpKaを上回るかまたは等しくなるまで高める前の混合が容易になり、ゲル化が誘発される。あるいはまた、前記ポリマー/デンプン化合溶液のpHを、前記アクリル酸基のpKaを上回るように選択することができ、それによって、直接ゲル化が誘発される。ゲル化産物は意図する用途に直ちに使用することができる。
【0028】
前記修飾デンプン組成物は、それらが好適な用途であればいかなる用途にも使用することができる。それらは通常、水性分散液から固形分またはその他の懸濁質を除去するための清澄化剤として使用され、特に製紙において歩留まり向上剤として使用される。前記修飾デンプン組成物を、任意の好適な完成紙料に添加し、微粉、填料およびその他の懸濁質の保持を向上させることができる。前記完成紙料は、種々の木材パルプおよび無機填料を含有していてよく、通常そのpHは約3〜約10の範囲内にある。したがって、化学パルプ、機械パルプ、化学機械パルプおよび半化学パルプを、所望であればクレー、沈降または重質炭酸カルシウム、二酸化チタン、シリカ、タルクおよびその他の無機填料と共に使用することができる。このような填料は通常、総紙重量に対して重量パーセントで5%〜30%の充填レベルで使用されるが、一部の特殊用途では35%あるいはそれ以上の高充填レベルで使用されることもある。
【0029】
前記修飾デンプン組成物、または前記修飾デンプン組成物を含有する完成紙料は、内添サイズ剤、湿潤および乾燥紙力増強剤、殺生剤、アルミニウム化合物(みょうばん、アルミン酸塩、ポリ塩化アルミニウムなど)、カチオン性ポリマー(歩留まり向上剤および凝集剤)、アニオン性ポリマー、ならびに/または別のデンプンの添加剤などの、その他の典型的な添加剤を含有していてもよい。特に有利な結果は、例えばモンモリオナイト、ベントナイト、シリカゾル、アルミニウム修飾シリカゾル、ケイ酸アルミニウムゾル、ポリケイ酸、ポリケイ酸塩ミクロゲルまたはポリアルミノケイ酸塩ミクロゲルなどのアニオン性、カチオン性または両性コロイドを、それぞれ独立にまたは組み合わせて添加することによって得られる。
【0030】
本発明はまた、デンプンとポリアクリルアミドの乾燥混合物を含む乾燥配合物にも関わる。前記乾燥配合物は、pH調整剤および/またはアルミニウム化合物を含むこともできる。前記乾燥配合物は、乾燥混合物として調製、輸送および貯蔵することができる。前記乾燥配合物に水などの任意の好適な液体を添加して、蒸解および歩留まり向上剤としての完成紙料への添加に好適な湿潤溶液とすることができる。
実施例
【0031】
全実施例に対する灰分保持試験は、塗被上質紙を生産する工場の混合槽からの完成紙料サンプルを用いて行った。前記完成紙料は、漂白硬木クラフト43.7%、漂白軟材クラフト18.8%、コート損紙12.5%および沈降炭酸カルシウム25.0%を含んでいた。その用量をポンド/1トン繊維で示す。
【0032】
灰分保持能を試験するために、メーン大学が開発した排水/保持装置を使用した。使用手順は、TAPPI標準T−261に記載されている手順と同様の手順であった。
【実施例1】
【0033】
本実施例は、カチオン性デンプンとカチオン性ポリアクリルアミドとを酸性条件下で共に蒸解することによって、前記2種の化学薬品を別々に、但し同時に完成紙料に添加した場合より良い保持値が得られる次第を明らかにするものである。A.E.Staley社製のStalok 160カチオン性デンプンを乾燥状態で12グラムと、Ciba Specialty Chemicals社製のPercol−182カチオン性ポリアクリルアミド(PAM)0.125%溶液を120グラム(乾燥状態PAM0.15グラム)とを含む配合物を調製した。次いで、前記配合物に蒸留水1868グラムを加え、そのスラリーのpHを水酸化ナトリウムと塩酸を用いて特定のレベルに調整した。次いで前記配合物を、Sensors and Simultations自動回分式デンプン蒸解釜を用い、ウォームアップサイクル20分、蒸解サイクル30分、温度96℃で蒸解した。蒸解後サンプルを冷却し、次いで水酸化ナトリウムを用いて、蒸解配合物のpHを形成されたアクリル酸基のpKaを上回るレベルに調整した。これらの実験において、調整したpHは約8.4〜8.5の範囲であった。
【0034】
比較のため、Stalok 160を0.6重量%溶液として調製し、前記と同様の手順で蒸解した。PAM1グラムと水799グラムとを10分間攪拌して配合し、Percol 182を調製し、次いでその調整溶液を1時間静置した。
【0035】
本実施例の全実験用に、Ondeo Nalco社製4nmコロイドシリカ製品を使用し、乾燥状態シリカ1グラムに相当する量を水799グラムに混合して調製した(0.125%溶液)。シリカの用量は0.5ポンド/トンとした。
【0036】
対照実験として、前記デンプンとPAMを別々に但し同時に、それぞれ20ポンド/トンおよび0.25ポンド/トンの用量で完成紙料に添加した。デンプン/PAM配合物を、20ポンド/トンの割合で完成紙料に添加した。灰分保持の結果を下記表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
上記結果から、カチオン性デンプンとカチオン性PAMを酸性条件下で共に蒸解することによって灰分保持が著しく向上することは明らかである。
【実施例2】
【0039】
実施例2は、本発明の灰分保持能が、製紙完成紙料にアルミン酸ナトリウムなどのアルミニウム含有化合物を添加することによって向上し得ることを明らかにするものである。Stalok 160カチオン性デンプンを乾燥状態で12グラムとPercol−182カチオン性ポリアクリルアミドの0.125%溶液120グラム(乾燥状態でPAM0.15グラム)を化合させることによってデンプン/PAM配合物を調整した。次いで、前記配合物に蒸留水1868グラムを添加し、そのスラリーのpHを水酸化ナトリウムで5.01に調整した。前記配合物を、回分式蒸解釜を用い、ウォームアップサイクル20分、蒸解サイクル30分、温度96℃で蒸解した。蒸解後、サンプルを冷却し、蒸解配合物のpHを、水酸化ナトリウムを用いて形成されたアクリル酸基のpKaを上回るレベルに調整した(この実験において、最終pHは8.24であった)。
【0040】
比較のため、Stalok 160を0.6重量%溶液として調製し、前記と同様の手順で蒸解した。P−182を1グラムと水799グラムとを10分間攪拌して配合してPercol 182を調製し、次いでその調整溶液を1時間静置した。
【0041】
本実施例の全実験用に、Ondeo Nalco社製4nmコロイドシリカ製品を使用し、乾燥状態シリカ1グラムに相当する量を水799グラムに混合して調製した(0.125%溶液)。シリカの用量は0.5ポンド/トンとした。
【0042】
対照実験として、前記デンプンとPAMを別々に但し同時に、それぞれ20ポンド/トンおよび0.25ポンド/トンの用量で完成紙料に添加した。デンプン/PAM配合物を、20ポンド/トンの割合で完成紙料に添加した。灰分保持の結果を下記表2に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
上記結果から、完成紙料にアルミン酸ナトリウムを添加することによって灰分保持が向上することが分かる。また表2から、デンプンおよびPAMを共に蒸解すると、デンプンおよびPAMを別々に但し同時に添加する場合に比べてより高い配分保持値が達成されることも分かる。
【実施例3】
【0045】
実施例3は、無機コロイドであるベントナイトを、酸性の蒸解カチオン性デンプン/カチオン性PAM配合物と共に使用した場合、その用量の変化が灰分保持に及ぼす影響を明らかにするものである。Stalok 160カチオン性デンプンを乾燥状態で12グラムとPercol−182カチオン性ポリアクリルアミド0.15グラムとを乾燥状態で配合して、デンプン/PAM配合物を調製した。次いで、前記配合物に蒸留水1987.85グラムを添加し、そのスラリーのpHを水酸化ナトリウムで5.43に調整した。前記スラリーを10分間攪拌し、次いで2時間静置した。前記配合物を回分式蒸解釜を用い、ウォームアップサイクル20分、蒸解サイクル30分、温度96℃で蒸解した。蒸解後、サンプルを冷却し、蒸解配合物のpHを、水酸化ナトリウムを用いて形成されたアクリル酸基のpKaを上回るレベルに調整した(この実験において、最終pHは7.6であった)。
【0046】
比較のため、Stalok 160を0.6重量%溶液として調製し、前記と同様の手順で蒸解した。PAM1グラムと水799グラムとを10分間の攪拌下で配合してPercol 182を調製し、次いでその調整溶液を1時間静置した。
【0047】
本実験に使用するベントナイト、Ciba Specialty Chemicals社製のHydrocol 2D6、を、前記ベントナイト粉末15グラムと水235グラムとを混合して6%固形分のスラリーに調製した。ベントナイトの用量は0〜6ポンド/トンとした。
【0048】
対照実験として、前記デンプンとPAMを別々に但し同時に、それぞれ20ポンド/トンおよび0.25ポンド/トンの用量で完成紙料に添加した。デンプン/PAM配合物を、20ポンド/トンの割合で完成紙料に添加した。灰分保持の結果を下記表3に示す。
【0049】
【表3】

【0050】
上記結果から、完成紙料にベントナイトを添加することによって灰分保持が向上すること、また、ベントナイトをデンプン/PAM配合物と一緒に使用した時に保持能向上が最大となることが分かる。また表3から、デンプンおよびPAMを共に蒸解すると、デンプンおよびPAMを別々に但し同時に添加する場合に比べてより高い配分保持値が達成されることも分かる。
【実施例4】
【0051】
実施例4は、カチオン性デンプンとカチオン性PAMの配合物を酸性蒸解した後にpH調整することの重要性を明らかにするものである。本実施例において、1つのカチオン性デンプン/カチオン性PAM配合物を、形成されたアクリル酸基のpKaを下回る酸性条件下で蒸解し、もう1つの配合物を形成されたアクリル酸基のpKaを上回る酸性条件下で蒸解した。蒸解後は、各配合物のpH調整は行わなかった。
【0052】
Stalok 160カチオン性デンプンを乾燥状態で12グラムとPercol−182カチオン性ポリアクリルアミドの0.125%溶液120グラム(乾燥状態でPAM0.15グラム)を含むデンプン/PAM配合物を調整した。次いで、前記配合物に蒸留水1868グラムを添加し、そのスラリーのpHを塩酸で4.45に調整した。前記配合物を、回分式蒸解釜を用い、ウォームアップサイクル20分、蒸解サイクル30分、温度96℃で蒸解した。蒸解後、前記デンプン/PAM配合物のpHは4.75であった。第2のデンプン/PAM配合物を同様に調製した。但し、その配合物のpHは、蒸解前に水酸化ナトリウムで6.54に調整した。蒸解後のpHを測定すると7.57であった。
【0053】
比較のため、Stalok 160を0.6重量%溶液として調製し、前記と同様の手順で蒸解した。P−182を1グラムと水799グラムとを10分間攪拌して配合してPercol 182を調製し、次いでその調整溶液を1時間静置した。
【0054】
対照実験として、前記デンプンとPAMを別々に但し同時に、それぞれ20ポンド/トンおよび0.25ポンド/トンの用量で完成紙料に添加した。デンプン/PAM配合物を、20ポンド/トンの割合で完成紙料に添加した。本実施例ではコロイドシリカまたはベントナイト微粒子は使用しなかった。灰分保持の結果を下記表7に示す。
【0055】
【表4】

【0056】
上記表から、カチオン性デンプンとカチオン性PAMとの配合物を酸性蒸解すると、蒸解配合物の最終pHが修飾PAMのアクリル酸基のpKaを上回っているか、またはそれを上回るように調整されている場合には、完成紙料に各化学薬品を別々に添加する場合よりも配分保持が向上することが分かる。
【実施例5】
【0057】
実施例5は、カチオン性デンプン/カチオン性PAM配合物を酸性蒸解した後に、pH調整のために従来の塩基とアルミニウム化合物を使用することの効果を明らかにするものである。Stalok 160カチオン性デンプンを乾燥状態で12グラムとPercol−182カチオン性ポリアクリルアミドの0.125%溶液120グラム(乾燥状態でPAM0.15グラム)を含むデンプン/PAM配合物を調整した。次いで、前記配合物に蒸留水1868グラムを添加し、そのスラリーのpHを水酸化ナトリウムで5.02に調整した。前記配合物を、回分式蒸解釜を用い、ウォームアップサイクル20分、蒸解サイクル30分、温度96℃で蒸解した。蒸解後、前記デンプン/PAM配合物を冷却し、2つのサンプルに分けた。前記2つのサンプルのpHを、PAMのアクリル酸基のpKaを上回るレベルに調整した。すなわち、一方は水酸化ナトリウムを用いてpH9.55に、他方はアルミン酸ナトリウムを用いてpH9.45に調整した。
【0058】
比較のため、Stalok 160を0.6重量%溶液として調製し、前記と同様の手順で蒸解した。P−182を1グラムと水799グラムとを10分間攪拌して配合してPercol 182を調製し、次いでその調整溶液を1時間静置した。
【0059】
対照実験として、前記デンプンとPAMを別々に但し同時に、それぞれ20ポンド/トンおよび0.25ポンド/トンの用量で完成紙料に添加した。デンプン/PAM配合物を、20ポンド/トンの割合で完成紙料に添加した。本実施例ではコロイドシリカまたはベントナイト微粒子は使用しなかった。
【0060】
【表5】

【0061】
表5に示される結果から、カチオン性デンプンとカチオン性PAMの酸性蒸解配合物のpH調整に水酸化ナトリウムまたはアルミン酸ナトリウムのいずれかを使用すると、デンプンとPAMを別々に添加するより灰分保持が向上することが分かる。
【実施例6】
【0062】
実施例6は、カチオン性デンプン/カチオン性PAM配合物を酸性蒸解する前に、pH調整のために従来の塩基とアルミニウム化合物を使用することの効果を明らかにするものである。Stalok 160カチオン性デンプンを乾燥状態で12グラムとPercol−182カチオン性ポリアクリルアミドの0.125%溶液120グラム(乾燥状態でPAM0.15グラム)を含むデンプン/PAM配合物を調整した。次いで、前記配合物に蒸留水1868グラムを添加し、そのスラリーのpHを水酸化ナトリウムで5.50に調整した。前記配合物を、回分式蒸解釜を用い、ウォームアップサイクル20分、蒸解サイクル30分、温度96℃で蒸解した。前記蒸解配合物のpHを、水酸化ナトリウムを用いてpH7.34に調整した。
【0063】
第2のデンプン/PAM配合物を同様に調製した。但し、その配合物のpHは、蒸解前にアルミン酸ナトリウムで5.61に調整した。次いで、この配合物を前記したように蒸解した。蒸解後、デンプン/PAM配合物を冷却し、2つのサンプルに分けた。前記2つのサンプルのpHを、修飾PAMのアクリル酸基のpKaを上回るレベルに調整した。すなわち、一方は水酸化ナトリウムを用いてpH7.18に、他方はアルミン酸ナトリウムを用いてpH7.46に調整した。
【0064】
比較のため、Stalok 160を0.6重量%溶液として調製し、前記と同様の手順で蒸解した。PAMを1グラムと水799グラムとを10分間攪拌して配合してPercol 182を調製し、次いでその調整溶液を1時間静置した。
【0065】
対照実験として、前記デンプンとPAMを別々に但し同時に、それぞれ20ポンド/トンおよび0.25ポンド/トンの用量で完成紙料に添加した。デンプン/PAM配合物を、20ポンド/トンの割合で完成紙料に添加した。本実施例ではコロイドシリカまたはベントナイト微粒子は使用しなかった。
【0066】
【表6】

【0067】
表6に示される結果から、カチオン性デンプン/カチオン性PAM配合物を蒸解する前のpH調整に水酸化ナトリウムまたはアルミン酸ナトリウムのいずれかを使用すると、PAMとデンプンを別々に添加するより灰分保持が向上することが分かる。
【実施例7】
【0068】
実施例7は、アクリル酸基を形成するためにカチオン性PAMを酸性、中性およびアルカリ性条件下で独立に蒸解し、次いでその修飾PAMを蒸解カチオン性デンプンに添加すると、灰分保持が向上することを明らかにするものである。前記修飾PAMは、2つの方法のいずれかを使ってデンプンに導入される。第1の方法は、蒸解PAMと蒸解デンプンとを、その混合物のpHがアクリル酸基のpKaを上回るような中性またはアルカリ性条件下で混合することを含む。第2の方法は、修飾PAMと蒸解デンプンとを、その混合物のpHが前記PAMのアクリル酸基のpKaを下回るような酸性条件下で混合することを含む。混合後は直ちに、その配合物のpHを、アクリル酸基のpKaを上回るレベルまで高める。
【0069】
カチオン性デンプン(Stalok 160)を0.6重量%固形分として調製し、実施例1に記載のように蒸解した。前記蒸解デンプンを冷却し、次いで2つのサンプルに分けた。第1のバッチのpHは水酸化ナトリウムを用いて9.05に、第2のサンプルのpHは塩酸を用いて3.45に調整した。
【0070】
乾燥状態で1.875グラムのPAMを水1498.125グラム中で10分間攪拌して水和させることによってPercol 182のサンプル3つを調製し、次いでそれら調整溶液を1時間静置した。PAMサンプルの1つは、塩酸を用いてpHを4.95に調整した。残りの2つのPAMサンプルのpHは、水酸化ナトリウムを用いてそれぞれ7.14および8.60に調整した。前記3つのPAMサンプルのそれぞれを、実施例1に記載したように回分式蒸解釜で蒸解した。蒸解後、各PAMサンプルをそれぞれの蒸解pHごとに2つのサンプルに分けた。
【0071】
各PAM蒸解pH実験として、蒸解サンプルの1/2は、塩酸を用いてpH約3.5に調整した。蒸解PAMサンプルの残りの1/2はpH調整を行わなかった。0.6%蒸解デンプン400グラムと0.125%蒸解PAM24グラムを配合して蒸解デンプン/蒸解PAM配合物を調製した。合計5個の配合物を調製した。表7に調製した配合物をまとめて示す。前記配合物のうち3つは、pH9.05の蒸解デンプンを、pH調製しなかった蒸解ポリアクリルアミドと混合して調製した。他の2つの配合物は、pH3.45の蒸解デンプンを、酸性pHの蒸解ポリアクリルアミドと混合して調製した。次いで、酸性条件下で混合した各配合物を、水酸化ナトリウムを用いて、前記PAMのアクリル酸基のpKaを上回るレベルまで高めた。
【0072】
比較のため、P−182を1グラムと水799グラムとを10分間攪拌して配合してPercol 182を調製し、次いでその調整溶液を1時間静置した。
【0073】
対照実験として、前記デンプンとPAMを別々に但し同時に、それぞれ20ポンド/トンおよび0.25ポンド/トンの用量で完成紙料に添加した。前記デンプン/PAM配合物を、20ポンド/トンの割合で完成紙料に添加した。本実施例ではコロイドシリカまたはベントナイト微粒子は使用しなかった。灰分保持の結果を表8に示す。
【0074】
【表7】

【0075】
【表8】

【0076】
表8に示された結果から、蒸解デンプンと酸性、アルカリ性または中性蒸解PAMとを酸性またはアルカリ性いずれかの条件下で混合することにより、PAMとデンプンを別々に添加するより高い灰分保持が得られることが分かる。
【実施例8】
【0077】
実施例8は、カチオン性デンプンと、カチオン性ポリアクリルアミドと、場合によって種々の乾燥酸性または塩基性種とを含む乾燥混合産物から調製されたデンプン/PAMスラリーを蒸解すると、前記2つの化学薬品を別々に但し同時に完成紙料に添加するより良好な保持値が得られることを明らかにするものである。前記デンプン/PAM配合物は、酸性、中性およびアルカリ性条件下で蒸解した。本実施例はまた、前記デンプン/PAM配合物は、工業条件で使用される温度よりも高い温度で蒸解し得ることも明らかにする。
【0078】
第1の一連の実験では、それぞれStalok 160を乾燥状態で60グラムとPAM0.75グラムとを混合することによって、2つのデンプン/PAM乾燥混合物を調製した。前記乾燥混合物の一方には炭酸ナトリウム0.5グラムを添加してpHを調整した。Stalok 160を乾燥状態で60グラムのサンプルを対照用に計りとった。3つの乾燥混合物それぞれを十分量の蒸留水中で水和させて等しく6%固形分とした。このスラリーを10分間混合し、次いで2時間静置した。前記デンプン/PAM配合物およびデンプン/PAM/NaCO配合物のpHはそれぞれ4.09および9.09であった。前記対照のデンプンと2つの配合物を120℃のベンチトップ噴射蒸解釜で蒸解した。蒸解後、アルミン酸ナトリウムを用いて酸性配合物のpHを7.61に調整した。アルカリ性配合物のpHは、蒸解後追加のpH調整は行わず、8.96であった。
【0079】
第2の一連の実験の場合、それぞれStalok 160を乾燥状態で12グラムとPAM0.15グラムとを混合することによって、2つのデンプン/PAM乾燥混合物を調製した。前記乾燥混合物の一方には炭酸水素ナトリウム0.04グラムを添加してpHを調整し、他の混合物には炭酸ナトリウム0.025グラムを添加した。Stalok 160を乾燥状態で12グラムのサンプルを対照用に計りとった。3つの乾燥混合物それぞれを十分量の蒸留水中で水和させて等しく0.6%固形分とした。このスラリーを10分間混合し、次いで2時間静置した。前記デンプン/PAM/NaHCO配合物およびデンプン/PAM/NaCO配合物のpHはそれぞれ6.45および6.87であった。前記3つのスラリーを、Sensors and Simultaionsの自動回分式蒸解釜中、ウォームアップサイクル20分、蒸解サイクル30分、96℃で蒸解した。蒸解後、デンプン/PAM/NaHCO配合物およびデンプン/PAM/NaCO配合物のpHはそれぞれ7.23および7.41であった。対照として、P−182を1グラムと水799グラムとを10分間攪拌して配合してPercol 182を調製し、次いでその調整溶液を1時間静置した。
【0080】
対照実験として、前記デンプンとPAMを別々に但し同時に、それぞれ20ポンド/トンおよび0.25ポンド/トンの用量で完成紙料に添加した。前記デンプン/PAM配合物を、20ポンド/トンの割合で完成紙料に添加した。本実施例ではコロイドシリカまたはベントナイト微粒子は使用しなかった。灰分保持の結果を表9に示す。
【0081】
【表9】

【0082】
表9に示された結果から、種々の乾燥混合物から調整されるカチオン性デンプン/カチオン性PAM配合物を蒸解することにより、PAMとデンプンを別々に添加するより高い灰分保持が得られることが分かる。また上記結果から、前記デンプン/PAM配合物は、種々のpH、蒸解温度で、かつ種々の乾燥pH調整剤と共に首尾よく調製し得ることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプンをポリマーと化合させ、次いで前記デンプンとポリマーとが化合した組成物を酸性条件下で蒸解することによって製造される修飾デンプン組成物であって、前記蒸解によって前記ポリマーにはアニオン性基が形成されている修飾デンプン組成物。
【請求項2】
前記アニオン性基が、酸性基、酸性基の塩、および酸性基と酸性基の塩の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の修飾デンプン組成物。
【請求項3】
蒸解前の前記ポリマーが、カチオン性、アニオン性、両性または非イオン性ポリアクリルアミドであり、前記蒸解によって前記ポリマーにアクリル酸基が形成されている、請求項2に記載の修飾デンプン組成物。
【請求項4】
前記デンプン組成物の蒸解前に、前記デンプン組成物と結合しているアルミニウム化合物をさらに含んでいる、請求項1に記載の修飾デンプン組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の修飾デンプン組成物を含む完成紙料。
【請求項6】
無機および/または有機コロイドをさらに含む、請求項5に記載の完成紙料。
【請求項7】
アルミニウム化合物をさらに含む、請求項5に記載の完成紙料。
【請求項8】
デンプンを蒸解し、前記蒸解デンプンを蒸解ポリマーと化合させることによって製造される修飾デンプン組成物であって、前記蒸解によって前記ポリマーにアニオン性基が形成され、前記ポリマーは前記デンプンと別個に蒸解されている修飾デンプン組成物。
【請求項9】
前記アニオン性基が、酸性基、酸性基の塩、および酸性基と酸性基の塩の組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の修飾デンプン組成物。
【請求項10】
蒸解前の前記ポリマーが、カチオン性、アニオン性、両性または非イオン性ポリアクリルアミドであり、前記蒸解によって前記ポリマーにアクリル酸基が形成されている、請求項9に記載の修飾デンプン組成物。
【請求項11】
前記デンプンの蒸解前に、前記デンプンと化合しているアルミニウム化合物をさらに含んでいる、請求項8に記載の修飾デンプン組成物。
【請求項12】
請求項8に記載の修飾デンプン組成物を含む完成紙料。
【請求項13】
無機および/または有機コロイドをさらに含む、請求項12に記載の完成紙料。
【請求項14】
アルミニウム化合物をさらに含む、請求項12に記載の完成紙料。
【請求項15】
デンプンとポリマーとを化合させてデンプン組成物を形成するステップと、前記デンプン組成物を酸性条件下で蒸解するステップとを含む修飾デンプン組成物の製造方法であって、前記蒸解によって前記ポリマーにアニオン性基が形成されている方法。
【請求項16】
前記アニオン性基が酸性基であり、前記修飾デンプン組成物のpHが前記酸性基のpKaを下回っており、前記修飾デンプン組成物のpHを前記酸性基のpKa以上のレベルに高める追加ステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アニオン性基が酸性基であり、前記修飾デンプン組成物のpHが前記酸性基のpKaを上回っている、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記デンプン組成物を蒸解する前に、アルミニウム化合物を前記デンプン組成物と化合させる追加ステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
デンプンを蒸解するステップと、ポリマーを前記デンプンと別個に蒸解するステップと、前記蒸解デンプンを前記蒸解ポリマーと化合させるステップとを含む修飾デンプン組成物の製造方法であって、前記蒸解によって前記ポリマーにアニオン性基が形成されている方法。
【請求項20】
前記アニオン性基が酸性基であり、前記修飾デンプン組成物のpHが前記酸性基のpKaを下回っており、前記修飾デンプン組成物のpHを前記酸性基のpKa以上のレベルに高める追加ステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アニオン性基が酸性基であり、前記修飾デンプン組成物のpHが前記酸性基のpKaを上回っている、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記デンプンを蒸解する前に、アルミニウム化合物を前記デンプンと化合させる追加ステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
酸性、塩基性または中性条件下で蒸解し得るデンプンとポリアクリルアミドの乾燥混合物を含む乾燥配合物。
【請求項24】
pH調整剤をさらに含む、請求項23に記載の乾燥配合物。
【請求項25】
アルミニウム化合物をさらに含む、請求項23に記載の乾燥配合物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維、填料粒子および修飾デンプン組成物の水性分散液を含む完成紙料であって、前記修飾デンプン組成物が、デンプンをポリマーと化合させ、前記デンプンとポリマーとが化合した組成物を酸性条件下で蒸解することによって製造され、前記蒸解によって前記ポリマーにアニオン性基が形成されている完成紙料。
【請求項2】
前記アニオン性基が、酸性基、酸性基の塩、および酸性基と酸性基の塩の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の完成紙料。
【請求項3】
蒸解前の前記ポリマーが、カチオン性、アニオン性、両性または非イオン性ポリアクリルアミドであり、前記蒸解によって前記ポリマーにアクリル酸基が形成されている、請求項2に記載の完成紙料。
【請求項4】
前記デンプン組成物の蒸解前に、前記デンプン組成物と結合しているアルミニウム化合物をさらに含んでいる、請求項1に記載の完成紙料。
【請求項5】
無機および/または有機コロイドをさらに含む、請求項1に記載の完成紙料。
【請求項6】
アルミニウム化合物をさらに含む、請求項1に記載の完成紙料。
【請求項7】
セルロース繊維、填料粒子および修飾デンプン組成物の水性分散液を含む完成紙料であって、前記修飾デンプン組成物が、デンプンを蒸解し、前記蒸解デンプンを蒸解ポリマーと化合させることによって製造され、前記蒸解によって前記ポリマーにアニオン性基が形成され、前記ポリマーが前記デンプンとは別個に蒸解されている完成紙料。
【請求項8】
前記アニオン性基が、酸性基、酸性基の塩、および酸性基と酸性基の塩の組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の完成紙料。
【請求項9】
蒸解前の前記ポリマーが、カチオン性、アニオン性、両性または非イオン性ポリアクリルアミドであり、前記蒸解によって前記ポリマーにアクリル酸基が形成されている、請求項7に記載の完成紙料。
【請求項10】
前記デンプンの蒸解前に、前記デンプンと化合しているアルミニウム化合物をさらに含んでいる、請求項7に記載の完成紙料。
【請求項11】
無機および/または有機コロイドをさらに含む、請求項7に記載の完成紙料。
【請求項12】
アルミニウム化合物をさらに含む、請求項7に記載の完成紙料。
【請求項13】
デンプンとポリマーとを化合させてデンプン組成物を形成するステップと、前記デンプン組成物を酸性条件下で蒸解するステップとを含む修飾デンプン組成物の製造方法であって、前記蒸解によって前記ポリマーにアニオン性基が形成されている方法。
【請求項14】
前記アニオン性基が酸性基であり、前記修飾デンプン組成物のpHが前記酸性基のpKaを下回っており、前記修飾デンプン組成物のpHを前記酸性基のpKa以上のレベルに高める追加ステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アニオン性基が酸性基であり、前記修飾デンプン組成物のpHが前記酸性基のpKaを上回っている、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記デンプン組成物を蒸解する前に、アルミニウム化合物を前記デンプン組成物と化合させる追加ステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
デンプンを蒸解するステップと、ポリマーを前記デンプンと別個に蒸解するステップと、前記蒸解デンプンを前記蒸解ポリマーと化合させるステップとを含む修飾デンプン組成物の製造方法であって、前記蒸解によって前記ポリマーにアニオン性基が形成されている方法。
【請求項18】
前記アニオン性基が酸性基であり、前記修飾デンプン組成物のpHが前記酸性基のpKaを下回っており、前記修飾デンプン組成物のpHを前記酸性基のpKa以上のレベルに高める追加ステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アニオン性基が酸性基であり、前記修飾デンプン組成物のpHが前記酸性基のpKaを上回っている、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記デンプンを蒸解する前に、アルミニウム化合物を前記デンプンと化合させる追加ステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
酸性、塩基性または中性条件下で蒸解し得るデンプンとポリアクリルアミドの乾燥混合物を含む乾燥配合物。
【請求項22】
pH制御添加剤をさらに含む、請求項21に記載の乾燥配合物。
【請求項23】
アルミニウム化合物をさらに含む、請求項21に記載の乾燥配合物。

【公表番号】特表2006−526080(P2006−526080A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503917(P2006−503917)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/006042
【国際公開番号】WO2004/076552
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(505323817)ズィ、ユーニヴァーサティ、アヴ、メイン、ボード、アヴ、トラスティーズ (3)
【Fターム(参考)】