説明

倉庫の運用方法及び倉庫運用装置

【課題】物品を保管可能な自動倉庫の運用方法及び装置において、保管される物品及びその保管位置を識別情報に頼ることなく目視により容易に特定しやすくする。
【解決手段】倉庫運用装置は、複数の物品を保管可能な倉庫の運用装置であって、演算処理部40は、撮像命令出力手段52と、記憶手段54と、入力受付手段56と、表示手段58と、を備えている。撮像命令出力手段は、撮像面と交差する奥行き方向の寸法が撮像面に予め書き込まれた少なくとも一つの物品を撮像部に撮像させる撮像命令を出力する。記憶手段は、撮像された物品の属性情報に関連付けて、撮像した画像と、物品の倉庫での保管位置と、を記憶部46に記憶する。入力受付手段は、属性情報の入力を受け付ける。表示手段は、属性情報の入力が受け付けられると、受け付けた属性情報に関連付けられた画像を表示部44に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品を保管可能な倉庫の運用方法及び倉庫運用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の物品が保管される自動倉庫では、物品固有の識別情報や名称やサイズ等の情報で物品を管理している(例えば、特許文献1参照)。従来の倉庫運用システムでは、トレーに載置された物品を倉庫に保管する際にバケットに積み替えている。このトレー及びバケット上の物品を上方から入出庫時に撮像装置で撮像してトレー及びバケット上の物品の二次元的な配置を確認し、積み卸し用のハンドで物品を荷揚げする位置や物品を荷下ろしする位置を定めている。
【特許文献1】WO2006/059676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の倉庫運用システムでは、識別情報を元に在庫を管理している。しかし、素材等の原材料を扱う倉庫では使用した残りである残材等の物品が発生することがある。このような物品は、同じ材質であっても異なる大きさのものが多数存在する場合がある。このような大きさが異なるものが生じる物品毎に固有の識別情報を付与するのは困難である。また、識別情報を物品毎に付与したとしても、識別情報により保管された物品を特定するのが困難である。
【0004】
本発明の課題は、物品を保管可能な倉庫の運用方法及び装置において、保管される物品を識別情報に頼ることなく目視により容易に特定しやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一見地に係る倉庫の運用方法は、複数の物品を保管可能な倉庫の運用方法であって、書込ステップと、撮像ステップと、記憶ステップと、を含んでいる。書込ステップは、物品の奥行き方向の寸法を物品の奥行き方向と交差する撮像面に書き込むステップである。撮像ステップは、撮像面を撮像するステップである。記憶ステップは、撮像された物品の属性情報に関連付けて、撮像された画像と、物品の倉庫での保管位置と、を記憶するステップである。
この倉庫の運用方法では、書込ステップで撮像面と交差する奥行き方向の物品の寸法を撮像面に書き込む。この寸法の書込は、計測結果によりプリンタ等の適宜の書込手段により撮像面に書き込んでも良いし、人手で撮像面に書き込んでも良い。そして、この撮像面を撮像し、撮像された物品の属性情報に関連付けて、撮像された画像と、物品の倉庫での保管位置と、を記憶する。
ここでは、物品に奥行き方向の寸法(例えば物品の厚さや長さ)が書き込まれた画像が物品の属性情報と物品の保管位置とともに記憶される。このため、物品の固有の識別情報ではなく、例えば材質や形状等の物品の属性情報に関連付けて記憶された画像を見ることにより物品の三次元的な大きさを容易に把握することができる。これにより、保管される物品を識別情報に頼ることなく目視により容易に特定しやすくなる。
【0006】
属性情報の入力に応じて撮像された画像を表示する画像表示ステップと、画像の表示時に、表示された物品の画面上の大きさを認識するための縦線及び横線を画像に重ねて表示する線表示ステップと、をさらに含めても良い。
この場合、作業者は、属性情報が同じ物品の画像と縦線及び横線を見ることにより物品の撮像面の二次元的な大きさを精度良く認識できる。このため、作業者は、保管された物品の中に、所望の形状及び大きさの物品が存在するかを容易に把握できる。
【0007】
本発明の別の見地に係る倉庫運用方法は、複数の物品を保管可能な倉庫の運用方法であって、質量計測ステップと、撮像ステップと、記憶ステップと、を含んでいる。質量計測ステップは、物品の質量を計測するステップである。撮像ステップは、物品の撮像面を撮像するステップである。記憶ステップは、撮像された物品の属性情報に関連付けて、計測された質量と、撮像された画像と、物品の倉庫での保管位置と、を記憶するステップである。
この倉庫運用方法では、最初に物品の質量が計測される。そして、物品の撮像面が撮像され、撮像された物品の属性情報に関連付けて、計測された質量と、撮像された画像と、物品の倉庫での保管位置と、を記憶する。
ここでは、物品の質量が計測されるので、撮像された二次元の画像により撮像面の面積を算出することにより撮像面と交差する方向の寸法を算出することが可能になる。このため、物品の固有の識別情報ではなく、例えば材質や形状等の物品の属性情報を付しただけでも、属性情報に関連付けて記憶された画像を見ることにより物品の三次元的な大きさを把握することができる。これにより、物品毎に固有の識別情報を付与しなくても保管された物品を特定しやすくなる。
【0008】
撮像ステップの後に計測された質量と撮像された画像により撮像面の面積を算出する面積算出ステップと、算出された面積と計測された質量と物品の比重とにより、撮像面と交差する奥行き方向の物品の寸法を算出する寸法算出ステップと、をさらに含み、記憶ステップでは、算出された寸法をさらに記憶するようにしても良い。
この場合、物品の質量から奥行き方向の寸法を算出しているので、物品の奥行き方向の寸法を物品に書き込むことなく物品の三次元的な大きさを容易に把握することができる。
【0009】
本発明のさらに別の見地に係る倉庫の運用装置は、複数の物品を保管可能な倉庫の運用装置であって、撮像命令出力手段と、記憶手段と、入力受付手段と、表示手段と、を備えている。撮像命令出力手段は、撮像面と交差する奥行き方向の寸法が撮像面に予め書き込まれた少なくとも一つの物品を撮像部に撮像させる撮像命令を出力する。記憶手段は、撮像された物品の属性情報に関連付けて、撮像した画像と、物品の倉庫での保管位置と、を記憶部に記憶する。入力受付手段は、属性情報の入力を受け付ける。表示手段は、属性情報の入力が受け付けられると、受け付けた属性情報に関連付けられた画像及び保管位置を記憶部から読み出して、表示部に表示する。
この倉庫の運用装置では、物品の入庫時などに、撮像命令が出力されて撮像部により物品の撮像面が撮像される。この撮像面には、撮像面と交差する奥行き方向の寸法が予め書き込まれている。撮像された画像は、属性情報に関連付けて保管位置とともに記憶部に記憶される。入力受付手段により属性情報が受け付けられると、受け付けた属性情報に関連付けられた画像及び保管位置が記憶部から読み出されて、表示部に表示される。
ここでは、物品に奥行き方向の寸法(例えば物品の厚さや長さ)が書き込まれた画像が物品の保管位置とともに属性情報に関連付けられて記憶部に記憶される。このため、作業者は、物品の固有の識別情報ではなく、例えば材質や形状等の物品の属性情報に関連付けて記憶された画像を見ることにより物品の三次元的な大きさを容易に把握することができる。これにより、作業者は、保管される物品を識別情報に頼ることなく目視により容易に特定しやすくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業者は、属性情報に関連付けて記憶された画像を見ることにより物品の三次元的な大きさを容易に把握することができる。これにより、保管される物品を識別情報に頼ることなく目視により容易に特定しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(1)自動倉庫全体
以下、本発明に係る一実施形態が採用された自動倉庫1を説明する。なお、この実施形態において、図1の上下方向が自動倉庫1の前後方向であり、図1の左右方向が自動倉庫1の左右方向である。
【0012】
自動倉庫1は、主に、物品を保管可能な一対のラック2と、ラック2との間で物品Wを入庫・出庫するスタッカークレーン3と、スタッカークレーン3との間で物品Wを移載する入庫コンベア4及び出庫コンベア5と、から構成されている。
【0013】
物品Wは、例えば、炭素材料や合金材料等の比較的高価な素材やその残材であり、自動倉庫1に保管されて利用される。物品Wは、物品Wの材質及び板材や棒材等の物品Wの形状に応じてパレットPに積載されて保管される。パレットPは、この実施形態では、保管位置が予め設定されており、その識別情報により定められた保管位置に収納される。
【0014】
また、自動倉庫1は、図5に示すように、在庫管理等を行う自動倉庫管理システム10と、自動倉庫管理システム10と連動してスタッカークレーン3を制御するクレーン制御部12と、自動倉庫管理システム10と連動して入出庫コンベア4,5を制御するコンベア制御部14と、を有している。
【0015】
(2)ラック
一対のラック2は、図1の左右方向に延びるスタッカークレーン通路6を挟むように配置されている。ラック2は、所定間隔で左右に並ぶ多数の前側支柱7と、前側支柱7の後方にそれとの間に所定間隔をあけて並ぶ後側支柱9と、これら前後の支柱7,9に設けられた多数の物品支承部材11とを有している。左右一対の物品支承部材11によって、物品保管棚13が構成されている。各物品保管棚13には、図から明らかなように、パレットPに載置された複数の物品Wを保管可能である。なお、各物品Wは、パレットP(図4を参照。)上に載置され、パレットPと共に移動させられる。なお、左右一対の物品支承部材11間は、後述するスライドフォーク29の上下方向の移動を許容するフォーク通過間隙15となっている。
【0016】
(3)スタッカークレーン
スタッカークレーン通路6に沿って、上下一対のガイドレール21が設けられており、これらガイドレール21にスタッカークレーン3が左右に移動可能に案内されている。スタッカークレーン3は、図2及び図3に示すように、走行台車23と、昇降台27と、スライドフォーク29とを有している。昇降台27は、走行台車23に設けられた左右一対のマスト25に昇降自在に装着されている。スライドフォーク29は、昇降台27に設けられた進退機構(図示せず)によって前後方向に摺動自在である。
昇降台27は、スライドフォーク29が装着される載置部27aと、そこから上方に延びる左右両側の壁部27bと、を有している。スライドフォーク29は、図4に示すパレットPに形成されたフォーク挿入口P1に挿入可能である。
【0017】
(4)入出庫コンベア
入庫コンベア4は、左右のいずれにもパレットPを搬送可能な、例えば、ローラコンベアである。なお、入庫コンベア4はローラコンベアに限定されず、チェーンコンベアやベルトコンベア等のパレットPを移動な移動手段であればどのような形態でも良い。
【0018】
入庫コンベア4の左端と右端とには、入庫時のパレットPが始点位置(図1左端)及び終点位置(図1右端)に到達したことを検出するための入庫始点センサ31及び入庫終点センサ32が設けられている。
【0019】
入庫コンベア4の始点位置には、パレットPに載置された状態で入庫した物品Wを撮影するための撮像部36が設けられている。撮像部36は、パレットP全体を撮像できる視野を有する、例えばデジタルカメラであり、片持ちのアーム部材38に位置調整可能に支持されている。
【0020】
出庫コンベア5は、左右のいずれにもパレットPを搬送可能な、例えば、入庫コンベアと同様なローラコンベアである。なお、出庫コンベア5も入庫コンベア4と同様にローラコンベアに限定されない。出庫コンベア5の右端と左端とには、出庫時のパレットPの始点位置(図1右端)及び終点位置(図1左端)を検出するための出庫始点センサ33及び出庫終点センサ34が設けられている。
【0021】
(5)自動倉庫管理システム
自動倉庫管理システム10は、自動倉庫1の在庫や運用を管理するためのシステムである。自動倉庫管理システム10は、図5に示すように、CPUやメモリ等のコンピュータ・ハードウェアで実現されているが、図5においてはコンピュータ・ハードウェアとソフトウェアの協働によって実現される機能構成で表現している。
【0022】
自動倉庫管理システム10は、コンピュータ・ハードウェアで構成された演算処理部(倉庫運用装置の一例)40を有している。演算処理部40には、キーボードやマウス等から構成される入力部42と、液晶ディスプレイ等のモニタで構成される表示部と、ハードディスクや不揮発メモリで構成される記憶部46と、外部インターフェース(IF)48とが接続されている。また、演算処理部40は、ネットワーク接続部50を介してローカルエリアネットワーク(LAN)60と接続されている。外部インターフェース48には、クレーン制御部12と、コンベア制御部14と、撮像部36とが接続されている。
【0023】
演算処理部40は、機能構成として図6に示すように、撮像命令出力手段52と、記憶手段54と、入力受付手段56と、表示手段58とを有している。撮像命令出力手段52は、下記の撮像命令を、外部インターフェース48を介してコンベア制御部14に出力する。この撮像命令は、撮像面と交差する(直交する)方向(奥行き方向の一例)の寸法(例えば、板材の場合は厚み、棒材の場合は軸方向長さであり、以下、奥行き長さと記す)が撮像面に予め書き込まれた少なくとも一つの物品を後述する撮像部36に撮像させる命令である。記憶手段54は、撮像された物品Wの属性情報に関連付けて、撮像した画像と、物品Wの自動倉庫1での保管位置(物品保管棚)と、を記憶部46に記憶する。入力受付手段56は、属性情報等の入力部42で入力された情報を受け付ける。表示手段58は、入庫時には、属性情報の入力が受け付けられると、受け付けた属性情報に関連付けられた画像及び保管位置を記憶部46から読み出して表示部44に表示する。
【0024】
クレーン制御部12は、スタッカークレーン3に搭載され、自動倉庫管理システム10と通信可能である。
【0025】
コンベア制御部14は、入出庫の始点センサ31,33及び終点センサ32,34からの出力により入出庫コンベア4,5を制御するとともに、入庫始点センサ31の出力を演算処理部40に送る。コンベア制御部14は、入庫始点センサ31の状態により演算処理部40から出力される撮像命令により、撮像部36にパレットP上の物品Wの撮像を行わせる。
【0026】
(6)倉庫運用方法
この実施形態では、自動倉庫1において、物品Wの入出荷を図7に示す手順で行う。なお、棒状の物品WをパレットP上に載置する場合、原則として撮像面は軸方向と直交する横断面である。
【0027】
まず、図7のステップP1で入庫前に作業者が物品Wの撮像面に奥行き長さを書き込む。炭素材料の場合は物品Wの表面が黒色であるため、白色の油性マーカーで例えばセンチメートルの単位で奥行き長さを書き込む。なお、奥行き長さは予め計測されたものが書き込まれている。また、物品WをパレットPに載置する前に奥行き長さを自動計測し、計測結果をインクジェットプリンタ等の適宜の印刷手段により自動的に撮像面に印刷するようにしても良い。
なお、パレットP上への物品Wの載置は、出来る限り奥向き方向に同一断面が連続する方向に載置するのが好ましい。これにより、上方からの撮影した物品Wの全体の形状を把握しやすくなる。
【0028】
ステップP2では、パレットP上に載置された物品Wの撮像面を撮像部36で撮像する。撮像された画像は、演算処理部40に送られる。ステップP3では、演算処理部40に接続された入力部42で物品Wの材質や板状・円柱状・角柱状などの形状の属性情報を作業者が入力する。ステップP4では、入力された属性情報、受け取った画像、及び物品Wの保管位置を記憶する。なお、物品Wの保管位置は、演算処理部40が空いている棚を選択して設定するが、作業員が手入力しても良い。
【0029】
また、出庫時には、ステップP5において入力部42で属性情報を入力する。ここでは、物品W固有の識別情報ではなく、物品Wの大まかな特徴を示す属性情報により出庫する必要がある物品Wを把握できる。ステップP6では、入力された属性情報を有するパレットP上の物品の画像を表示部44に表示する。このとき属性情報が同じものが複数あった場合は、複数の画像を一覧表示し、それから選択するようにしても良いし、頁めくりできるように、一つずつ画像を順に表示するようにしても良い。ステップP6では、物品Wの撮像面の大きさを認識するための縦線と横線とで構成されたグリッド線を画像に重ねて表示する。この表示の一例を図9に示す。図9では、板材の物品Wが表示され、その撮像面の大きさを認識しやすくするためのグリッド線Gが画像に重ねて表示されている。グリッド線Gは、例えば10cm毎の升目の破線で表示されている。また、物品Wの保管位置(例えば物品保管棚13の位置の一例である103列の8段目)が例えば画面右下に表示されている。
【0030】
(7)演算処理部の処理の流れ
次に演算処理部40による自動倉庫1の運用処理の流れを図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0031】
図8のステップS1では、作業者が入庫処理を選択したか否かを判断する。作業者は、パレットPが入庫コンベア4の始点位置に載置されると、入庫処理を選択する。ステップS2では、作業者が入庫処理を選択したか否かを判断する。作業者は所望の物品Wを出荷したい場合は出庫処理を選択する。ステップS2で出庫処理でもないと判断するとステップS1に戻る。
【0032】
入庫処理が選択されるとステップS1からステップS10に移行する。ステップS10では、コンベア制御部14を介して得られた入庫始点センサ31からの信号によりパレットPが始点位置にあるか否かを判断する。始点位置にない場合はステップS2に移行する。始点位置にある場合は、ステップS11に移行し、外部インターフェース48を介してコンベア制御部14に撮像命令を出力する。すると、コンベア制御部14が撮像部36を制御してパレットPに載置された物品Wの撮像面を撮像し、それを演算処理部40に送信する。物品Wの撮像面には予め作業者により物品Wの奥行き長さが書き込まれている。この撮像画像の一例が前述した図9の画像である。図9では、例えば、物品Wとして炭素材料の板材が入荷され、その撮像面と奥行き長さとして板材の厚みを示す数字がcmで表示されている。例えば図8に物品の代表としてWの符号を付した物品の厚みは20cmである。
【0033】
ステップS12では、作業者が入力部42を使用して入力された物品Wの属性情報、及び設定された保管位置を受け付ける。なお、この実施形態では、演算処理部40が空いている棚を選択して保管位置が設定されるが、保管位置の設定はこれに限定されない。例えば、空いている棚位置を表示部44に表示し、作業者がそれを見て保管位置を選択しても良いし、手入力で保管位置を設定しても良い。
【0034】
属性情報及び保管位置を受け付けるとステップS13に移行する。ステップS13では、受け付けた属性情報、及び保管位置と、受け取った画像とを記憶部46に記憶する。ステップS14では、受け付けた保管位置にパレットPを搬送する入庫処理を行い、ステップS2に移行する。
【0035】
出庫処理が選択されるとステップS2からステップS20に移行する。ステップS20では、作業者が入力部42を使用した物品Wの属性情報の入力を受け付ける。属性情報を受け付けるとステップS21に移行する。ステップS21では、受け付けた属性情報に応じた画像を記憶部46から読み出し、図9に示した画像を表示部44に表示する。ステップS22では、作業者が入力部42を使用して表示された画像を選択するのを受け付ける。画像選択を受け付けるとステップS23に移行する。ステップS23では、選択された画像が保管されている物品保管棚13からパレットPを出庫コンベア5に搬出する出庫する出庫処理を行い。ステップS1に戻る。
【0036】
(8)特徴
倉庫の運用方法は、複数の物品Wを保管可能な倉庫の運用方法であって、書込ステップP1と、撮像ステップP2と、記憶ステップP4と、を含んでいる。書込ステップP1は、物品Wの奥行き長さを物品Wの撮像面に書き込むステップである。撮像ステップP2は、撮像面を撮像するステップである。記憶ステップP4は、撮像された物品Wの属性情報に関連付けて、撮像された画像と、物品Wの倉庫での保管位置と、を記憶するステップである。
【0037】
この倉庫の運用方法では、書込ステップP1で撮像面と交差する奥行き方向の物品Wの奥行き長さを撮像面に書き込む。この奥行き長さの書込は、計測結果によりプリンタ等の適宜の書込手段により撮像面に書き込んでも良いし、人手で撮像面に書き込んでも良い。そして、この撮像面を撮像し、撮像された物品Wの属性情報に関連付けて、撮像された画像と、物品Wの自動倉庫1での保管位置と、を記憶する。
【0038】
ここでは、物品Wに奥行き長さ(例えば物品Wの厚みや長さ)が書き込まれた画像が物品Wの属性情報と物品Wの保管位置とともに記憶される。このため、物品Wの固有の識別情報ではなく、例えば材質や形状等の物品Wの属性情報に関連付けて記憶された画像を見ることにより物品Wの三次元的な大きさを容易に把握することができる。これにより、保管される物品W及びその保管位置を識別情報に頼ることなく目視により容易に特定しやすくなる。
【0039】
属性情報の入力に応じて撮像された画像を表示する画像表示ステップP6と、画像の表示時に、表示された物品Wの画面上の大きさを認識するための縦線及び横線を画像に重ねて表示する線表示ステップP7と、をさらに含めても良い。
【0040】
この場合、属性情報が同じ物品Wの画像と縦線及び横線で表されたグリッド線Gを見ることにより物品Wの撮像面の二次元的な大きさを精度良く認識できる。このため、保管された物品Wの中から属性情報が同じ複数の画像を見比べて求めている物品Wをより特定しやすくなる。
【0041】
自動倉庫管理システム10は、複数の物品Wを保管可能な複数の物品保管棚13を有する自動倉庫1の運用装置であって、演算処理部40を備えている。演算処理部40は、機能構成として、撮像命令出力手段52と、記憶手段54と、入力受付手段56と、表示手段58とを有している。撮像命令出力手段52は、撮像面と交差する物品Wの奥行き長さが撮像面に予め書き込まれた少なくとも一つの物品Wを撮像部に撮像させる撮像命令を、外部インターフェース48を介してコンベア制御部14に出力する。記憶手段54は、撮像された物品Wの属性情報に関連付けて、撮像した画像と、物品かの自動倉庫1での保管位置(物品保管棚)と、を記憶部46に記憶する。入力受付手段56は、属性情報等の入力部42で入力された情報を受け付ける。表示手段58は、入庫時には、属性情報の入力が受け付けられると、受け付けた属性情報に関連付けられた画像及び保管位置を記憶部46から読み出して表示部44に表示する。
なお、入庫時に、撮像と同時に重量を測定して記憶部46に記憶させ、物品Wの重量管理情報として活用するようにしてもよい。
【0042】
この自動倉庫の運用装置では、物品Wの入庫時などに、撮像部36により物品の撮像面が撮像される。この撮像面には、奥行き長さが予め書き込まれている。撮像された画像は、属性情報に関連付けて保管位置とともに記憶部46に記憶される。入力部42により属性情報が受け付けられると、受け付けた属性情報に関連付けられた画像が表示される。
【0043】
ここでは、物品Wに奥行き方向の寸法(例えば物品の厚さや長さ)が書き込まれた画像が物品Wの保管位置とともに属性情報に関連付けられて記憶部46に記憶される。このため、物品Wの固有の識別情報ではなく、例えば材質や形状等の物品の属性情報に関連付けて記憶された画像を見ることにより物品Wの三次元的な大きさを容易に把握することができる。これにより、保管される物品W及びその保管位置を識別情報に頼ることなく目視により容易に特定しやすくなる。
【0044】
(9)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0045】
(a)前記実施形態では、奥行き長さを作業者が書き込んでいるが、撮像面に自動的に書き込むようにしても良い。この場合、パレットPに物品Wを載置する前に奥行き長さを測定して書き込んでも良いし、パレットPに物品Wを載置してから奥行き長さを書き込んでも良い。ただし、パレットPに載置してから奥行き長さを書き込む場合は、パレットPに物品Wを一つだけ載置するのが好ましい。
【0046】
(b)前記実施形態では、撮像面と交差する方向の物品Wの奥行き長さを撮像面に書き込んでいるが、物品Wの奥行き長さを算出してそれを記憶部46に属性情報に関連付けて記憶しても良い。この場合、物品Wの画像に合わせて記憶部46から読み出した奥行き長さを表示しても良い。例えば、物品Wの画像の上に奥行き長さを表示したりその周囲に奥行き長さを表示したりしても良い。
【0047】
図10において、倉庫運用方法では、入庫の際には、ステップQ1で物品Wの質量を測定する。例えば、入庫コンベア4に秤量部を設け、パレットPとともに物品Wの質量を秤量し、パレットPの質量を減算して物品Wの質量を算出することができる。ステップQ2では、物品Wを撮像部36で撮像する。ステップQ3では、撮像された物品Wの属性情報を入力する。ステップQ4では、属性情報に関連付けて、撮像された画像と、計測された質量と、保管位置と、を記憶部46に記憶する。
【0048】
出庫時には、ステップQ5で属性情報を入力する。ステップQ6では、入力された属性情報で記憶部46から読み出した画像を画像処理して撮像面の面積を算出する。ステップQ7では、算出された面積と物品Wの比重とから物品Wの奥行き長さ、つまり奥行き方向の寸法を算出する。ステップQ8では、入力された属性情報に関連付けられた画像を表示する。このとき、画像に奥行き長さと、パレットPの保管位置とが表示される。ステップQ9では、画像にグリッド線Gを表示する。
【0049】
この場合には、パレットPに載置する物品を1つだけにすると処理が簡単になる。パレットPに複数の物品Wを載置する場合は、画像処理により複数の物品Wの載置位置を算出してそれぞれの物品の面積を算出する必要がある。
【0050】
この倉庫運用方法では、最初に物品Wの質量が計測される。そして、物品Wの撮像面が撮像され、撮像された物品のか属性情報に関連付けて、計測された質量と、撮像された画像と、物品の倉庫での保管位置と、を記憶する。
ここでは、物品の質量が計測されるので、撮像された二次元の画像により撮像面の面積を算出することにより比重を考慮すると撮像面と奥行き長さを算出することが可能になる。このため、物品の固有の識別情報ではなく、例えば材質や形状等の物品の属性情報を付しただけでも、属性情報に関連付けて記憶された画像を見ることにより物品の三次元的な大きさを把握することができる。また、物品Wの奥行き長さを撮像面に書き込むことなく物品Wの三次元的な大きさを把握できる。これにより、保管される物品及びその保管位置を識別情報に頼ることなく目視により容易に特定しやすくなる。
【0051】
なお、質量を計測する代わりに、物品Wの奥行き長さを直接計測するようにしても良い。この場合、質量に代えて奥行き長さを属性情報に関連付けて記憶部46に記憶すれば良い。
【0052】
(c)前記実施形態では、属性情報として物品の材質及び形状を例示したが、属性情報はこれらに限定されない。これらの一つでも良いし、さらに別の情報を属性情報に加えても良い。例えば、属性情報に仕向け先の情報を加えても良い。また、奥行き長さを含むサイズの情報(例えば奥行き長さの範囲)を属性情報に加えても良い。
【0053】
(d)前記実施形態では、物品WをパレットP上に平面的に載置しているが、物品Wを立体的に載置しても良い。この場合、書き込まれた奥行き長さを撮像部36が撮像できるように載置すれば良い。しかし、物品の二次元的な構造を把握できるように立体的に載置するのが好ましい。
【0054】
(e)前記実施形態では、画面上の縦線及び横線としてグリッド線を例示したが、本発明はこれに限定されない。画面上の縦線及び横線は、表示された物品Wの縦方向及び横方向の大きさを把握可能な線であればどのような形態でも良い。例えば、画面の隅に所定長さを縦線及び横線を一端が交差するように配置し、それらの長さを数値表示しても良い。また、グリッドの間隔を数値表示しても良いし、グリッドに代えて、数値が記載された定規を画像表示しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、撮像された画像で運用される倉庫運用方法及び倉庫運用装置に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態が採用された自動倉庫の概略平面図。
【図2】図1のII−II矢視図。
【図3】図1のIII−III矢視図。
【図4】入庫コンベアの始点位置周辺の概略側面図。
【図5】自動倉庫管理システムを含む全体ブロック図。
【図6】演算処理部の機能構成を示すブロック図。
【図7】倉庫運用方法の一例を示すフローチャート。
【図8】演算処理部の処理内容を示すフローチャート。
【図9】撮像され表示される画像の一例を示す模式図。
【図10】他の実施例の図6に相当する図。
【符号の説明】
【0057】
1 自動倉庫
2 ラック
3 スタッカークレーン
4 コンベア
5 コンベア
6 通路
7 前側支柱
9 後側支柱
11 物品支承部材
12 制御部
13 物品保管棚
14 制御部
15 通過間隙
21 ガイドレール
23 走行台車
25 マスト
27 昇降台
27a 載置部
27b 壁部
29 スライドフォーク
31 センサ
32 センサ
33 センサ
34 センサ
36 撮像部
38 部材
40 演算処理部
42 入力部
44 表示部
46 記憶部
48 インターフェース
50 接続部
52 撮像命令出力手段
54 記憶手段
56 入力受付手段
58 表示手段
G 線
P パレット
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を保管可能な倉庫の運用方法であって、
前記物品の奥行き方向の寸法を前記物品の前記奥行き方向と交差する撮像面に書き込む寸法書込ステップと、
前記撮像面を撮像する撮像ステップと、
撮像された前記物品の属性情報に関連付けて、前記撮像された画像と、前記物品の前記倉庫での保管位置と、を記憶する記憶ステップと、
を含む倉庫の運用方法。
【請求項2】
前記属性情報の入力に応じて前記撮像された画像を表示する画像表示ステップと、
前記画像の表示時に、表示された前記物品の画面上の大きさを認識するための縦線及び横線を前記画像に重ねて表示する線表示ステップと、をさらに含む、請求項1に記載の倉庫の運用方法。
【請求項3】
複数の物品を保管可能な倉庫の運用方法であって、
前記物品の質量を計測する質量計測ステップと、
前記物品の撮像面を撮像する撮像ステップと、
前記撮像された前記物品の属性情報に関連付けて、前記計測された質量と、前記撮像された画像と、前記物品の前記倉庫での保管位置と、を記憶する記憶ステップと、
を含む倉庫の運用方法。
【請求項4】
前記撮像ステップの後に前記計測された質量と前記撮像された画像により前記撮像面の面積を算出する面積算出ステップと、
前記算出された面積と前記計測された質量と前記物品の比重とにより、前記撮像面と交差する奥行き方向の前記物品の寸法を算出する寸法算出ステップと、をさらに含み、
前記記憶ステップでは、前記算出された前記寸法をさらに記憶する、請求項3に記載の倉庫の運用方法。
【請求項5】
複数の物品を保管可能な倉庫の運用装置であって、
撮像面と交差する奥行き方向の寸法が前記撮像面に予め書き込まれた少なくとも一つの前記物品を撮像部に撮像させる撮像命令を出力する撮像命令出力手段と、
撮像された前記物品の属性情報に関連付けて、前記撮像した画像と、前記物品の前記倉庫での保管位置と、を記憶部に記憶する記憶手段と、
前記属性情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記属性情報の入力が受け付けられると、受け付けた属性情報に関連付けられた前記画像及び前記保管位置を前記記憶部から読み出して表示部に表示する表示手段と、
を備えた倉庫の運用装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−150015(P2010−150015A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331700(P2008−331700)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000222842)東洋炭素株式会社 (198)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】