説明

個体認証用ドアノブシステム

【課題】 既存のドアやドアノブを交換することなく、追加でしかも手軽に個体認証ができる個体認証ドアノブシステムを構成する。
【解決手段】 既存の第1のノブ3を覆うように取り付けられるノブカバー4と、このノブカバー4に一体的に取り付けられる第2のノブ6と、ドアのロックを制御するロック制御部27を設け、一体化された第2のノブ6を操作すると、第1のノブ3が作動してドアを開閉できるようにする。この第2のノブ6に、導電性の外部パイプ18と内部パイプ19とが所定間隔で対向する電極部17を組み込み、この電極部17に触ることによって触った人の個体認証がなされ、ロック制御部27によるドアのロック制御がなされるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界通信を通じてドアおよびドアノブのロックを制御等するような装置において、既存のドアでも容易に適用できるようにするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、認証を必要とする箇所に入退場する際、入退場の認証を受けた人がRFIDタグを携帯し、ドアノブに触ることによって認証が行われるような技術が知られており(例えば、特許文献1参照)、この技術では、ドアノブを導電性のあるステンレス製にし、このドアノブとリーダライターとを被覆した導線で接続するとともに、ドアの必要箇所を樹脂製にすることで本体システムと周囲とを絶縁し、RFIDタグを携帯した人がドアノブに触ると、リーダライターから導線を通じてドアノブに供給される高周波搬送波により人体近傍に交流電界を発生させ、RFIDタグのアンテナに起電力を発生させ、記憶部に書き込まれた情報をリーダライターに送り、個人を認証するようにしている。
また、人が入退場口を通過することに伴う複数の通過途中状態のそれぞれにおいて電界通信による複数の個人認証を行うような技術も知られており(例えば、特許文献2参照)、この技術では、例えばエントランス門扉や、メッセージポストや、エレベータホールドア等を通過する時に、認証タグを携帯する人がノブやメッセージポストやドアなどを手で触りながら通過することでセキュリティ性を確保するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−27095号公報
【特許文献2】特開2007−255076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような技術はいずれも既存のドアに適用しようとすると、ドアやノブを大幅に改修したり、関連するドア部品等を交換するような必要性が生じるためコストや時間がかかるという問題があった。しかも、例えば電磁シールド機能を有するドアや隔離壁などは、ドアノブ自体を取り替えることができない場合もあった。
一方、ドアノブ自体に個体認証用の電極を設けるようにすれば、例えば、ドアノブから離れた近傍の壁パネル等に電極を設けることによって生じる認証のためだけの動作等を不要にすることができ、また、床マット等に電極を設けたりするような、ドアを開ける意思を持たない場合にもドアが開くような不具合を防止することができ、ドアを開けるため必要な動作を行うだけで余分な操作を行うことなく認証が行われるため便利であった。またこの際、装置構成を簡素に且つコンパクトに纏めることができれば、施工箇所が集中することで迅速にシステムを構築できるため、好ましかった。
【0005】
そこで本発明は、既存のドアやドアノブを交換することなく、追加でしかも手軽に個体認証ができる個体認証用ドアノブシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、既存のドアに追加で取付け可能な個体認証用ドアノブシステムにおいて、既存の第1のドアノブに取り付けられるノブカバーと、このノブカバーに一体的に取り付けられる第2のノブと、ドアのロックを制御するロック制御手段を設け、前記第2のノブを操作すると、第1のドアノブが作動してドアを開閉できるようにし、また、この第2のノブには、個体認証用の電極部を組み込み、この電極部に触ることによって触った人の認証がなされ、前記ロック制御手段によるロック制御がなされるようにしたものである。
【0007】
このように、第1のドアノブに対してノブカバーを介して第2のノブを一体に取り付け、第2のノブを操作することによって既存の第1のドアノブが作動するようにすれば、ドアに対する新たな改修等が不要であり、施工が簡単である。また、追加で取り付けられる第2のノブに電極部を設けることで、第2のノブに触って開扉動作をするだけで認証がなされるようにすれば、認証を受けるための特別の操作等が不要となり便利である。この際、既存のノブの形状や、第2のノブの形状等は任意である。また、ノブカバーの素材等は、例えば、金属や十分な強度のある樹脂等が適用可能である。
また、第2のノブに組み込まれる電極部の構成は任意であるが、例えば二枚の電極を所定間隔で対向させ、キャパシタに流れ込む電荷を利用する電界通信によって個体認証を行うような構成等が適用できる。
【0008】
また本発明では、前記個体認証用ドアノブシステムに、第2のノブの操作自体をロックするノブロック機構を設けるようにした。
このようにノブの操作自体をロックするノブロック機構を設ければ、例えば既存のドアにロック機構が装備されていない場合でも、簡単にロック機構を設けることができる。なお、第2のノブはドアの片側もしくは両側に取り付け可能であるが、以下においては説明を簡略化するため、所定の区域に入場時にドアノブを操作する側にのみ第2のノブを設置しているものとし、所定の区域に入場する側をドアの外側、退場する側をドアの内側とする記述を行う。
【0009】
また本発明では、前記第2のノブの近傍に、前記第2のノブを設置した側と反対側(ドアの内側)からドアノブを操作すると、自動的にロック制御手段によるロックが外れるようなロック解除手段を設けるようにした。
ここで、ドアの開閉を制御するにあたり、ドアの入退場ともに個体認証を必要とする場合もあるが、入場方向などの一方向だけに個体認証を必要とし、退場方向などの一方向には認証が不要であることがある。このように、一方向だけに認証が必要とされる場合において、例えば、入場した後にドアがロック状態になると、退場時にドアノブを操作してドアを開けようとしてもドアがロックされていればドアを開くことができない。
また、入場などの一方向だけに認証を必要とする場合に、退場時に操作するドアノブにも個体認証用ドアノブシステムの第2のノブを装着しようとすると、無駄な設備になりやすく費用も嵩む。
そこで、このような場合に、第2のノブを設置した側と反対側のドア(内側)から既存のドアノブを操作すると、ある条件を満足することでロックが外れるようにする。
【0010】
この際、ドアのロックの方式などは任意であり、例えばドアの開閉自体をロックするような形式のものでも良く、ドアノブの動きをロックするような形式もののでもよいが、ロック解除手段の一例として、例えば、ドアロックがドアノブの動作自体をロックするようなタイプの場合、退場側のドアノブを操作すると入場側のドアノブも連動して動くような構造のものが多いため、例えば、入場側に取り付けた第2のノブの近傍に、第2のノブを手で握ったことを検知する握りセンサを設け、ロック手段によるドアロックの解除は、基本的に握りセンサによる手の検知と、電極部に触った人が認証を受けた人であることをその要件として構成するとともに、退場側のドアノブはそのまま既存のドアノブを使用するようにし、退場側のドアから操作すれば、認証を受けない人であっても、しかも握りセンサが手の存在を検知しない場合でも、ある条件を満足する(例えば、ノブが一定量動く)ことが検知されると、ドアロックが解除されるようにすることができる。
【0011】
また本発明では、前記第2のノブの近傍に、少なくともドアのロック状態や認証OK・NG状態を知らせる通知部を配設するようにした。
このように、第2のノブの近傍に通知部を設け、操作する人が第2のノブを見ながら、同時に錠の状態や認証状態を簡単に確認できるようにすれば便利であるとともに、取り付け部品が第2のノブ周辺に集中するため施工が容易で迅速に行える。
なお、通知部としては、ドアのロック状態や認証状態だけでなく、その他のシステム状態のエラー等を通知できるようにしてもよく、また、通知の方法としては、目視によるものに限られず、例えばブザー等の音で知らせるようにしても良い。
【0012】
また本発明では、前記第2のノブの電極部を、所定の間隔で対向する第1電極と第2電極から構成し、また、第2のノブの内部には、第1電極と第2電極により構成されるキャパシタと組み合わせる同調回路基板を組み込むようにした。なお、リーダライターと人が携帯するRFIDタグの間の電界通信においては、必要なバイアス電位を与えて行うが、以下においては説明を簡略化するため、第1電極を正、第2電極を負とする記述を行う。そして、一方側の電極を人が手で触る正電極とし、他方側の電極を負電極にして電界通信用の電界通信用電極とする。
この際、第1電極や第2電極の形状等は任意であり、例えば二枚の導電板を平行に配置するようにしてもよく、または導電性のある円管や角管などを二重管構造にしたものでもよい。なお、第2のノブを取り付ける代わりに、既存のドアノブの周囲を取り囲むように第1電極筒と第2電極筒の二つの電極を二重筒構造にし、所定間隔で対向させて配置するような方法も考えられるが、この場合は、既存のドアノブの形状やサイズ等によって、第1電極と第2電極で構成されるキャパシタ容量が変化し、それぞれに応じた同調回路を設ける必要が生じてその場で簡単に施工するのが困難になる。このため、例えば、既存の第1のドアノブにノブカバーを介して別途準備した第2のノブを取り付けるようにすることで、第2のノブ側の電極部のキャパシタ容量を一定にできて適切な同調回路予め組み込んでおくことが可能となり、施工が容易となる。
【0013】
また、第1電極と第2電極とで構成されるキャパシタの特性を安定させるための同調回路基板を第2のノブの外部に配置しようとすると、各電極と同調回路基板の間に接続される導線が長く位置関係も不安定になるため、導線間に不安定な寄生インダクタや寄生キャパシタ成分が発生し特性が変化する。このため、同調回路基板を第2のノブの内部に組み付けることにより、第1電極と第2電極とで構成されるキャパシタの特性を安定させることができる。
【発明の効果】
【0014】
既存の第1のノブに対してノブカバーを介して第2のノブを取り付け、この第2のノブを操作すると第1のドアノブが作動してドアを開閉できるようにするとともに、この第2のノブに個体認証用の電極部を組み込むことで、第2のノブに触って開扉動作をするだけで認証がなされ、認証を受けるための特別の操作等が不要となり便利である。
この際、個体認証用ドアノブシステムに、第2のノブの操作自体をロックするノブロック機構を設ければ、既存のドアにロック機構が設けられていない場合でも簡単にロック機構を設けることができ、また、ドアの内側からドアノブを操作する際、自動的にロックが外れるようなロック解除手段を設ければ、内側のドアノブを改造することなく、既存のドアノブを使用できるため便利である。
また、第2のノブの近傍に、ロックの状態等を知らせる通知部を設ければ容易に確認することができ、また、第2のノブの内部に、第1、第2電極間のキャパシタと組み合わせる同調回路基板を組み込むことで、キャパシタ特性を安定させることができ、装置のコンパクト化も図れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る個体認証用ドアノブシステムが採用されるドアを操作する際の認証の概要を説明するための説明図である。
【図2】個体認証用ドアノブシステムのうち、既存の第1のノブに取り付けられる部品構成図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】個体認証用ドアノブシステムのうち、ドア側に取り付けられる部品構成図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】個体認証用ドアノブシステムの第2のノブがロック状態になった状態を示す説明図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】第2のノブに組み込まれる電極部の構成概要を説明するための説明図である。
【図6】第2のノブの内部に組み付けられる同調回路基板の取付け状態を説明する説明図である
【図7】個体認証用ドアノブシステムの作動の概要を説明するため不正操作防止カバーを取り外した状態の説明図であり、(a)はロック状態、(b)はロック状態でありながら、既存の第1のノブが遊びの範囲で動いた状態の説明図、(c)はロックが外れた状態の説明図である。
【図8】個人が携帯する携帯タグの回路概要を示すブロック図である。
【図9】認証装置側の回路概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
本発明に係る個体認証用ドアノブシステム1は、例えば、既存のドア2に新たに認証を受けた人だけが入退場できるようにするための認証システムを採用する場合でも、ドア2や既存の第1のノブ3を交換することなく、追加でしかも手軽で安価に構成することができ、携帯タグ30を所持する人が後述する第2のノブ6の電極部に直接接触することで電界通信により認証やロック・アンロックを行うことを特徴としている。
【0017】
すなわち、図1に示すように、例えば部屋の入退室のドアとか、ロッカーのドア等において、認証を受けた人しか開閉できないようなドア2において、本個体認証ドアノブシステム1は、携帯タグ30を所持する人が第2のノブ6を操作すると、自動的に認証が行われてロック状態が解除になるようにされ、携帯タグ30を所持しない人が第2のノブ6を操作してもロック状態が維持されたままになるようにされている。
【0018】
この個体認証用ドアノブシステム1は、図2、図3に示すように、既存の揺動式の第1のノブ3を上下に挟み込むように取り付けられるノブカバー4と、このノブカバー4に一体的に取り付けられる絶縁性素材からなる一対のステー5と、このステー5によって両端が保持される第2のノブ6と、ノブカバー4の下面に取り付けられるノブロック機構の一部品としての電子錠プレート7と、以下に述べる不正操作防止カバー12に近接することを検知する近接センサ8と、第2のノブ6の近傍に設けられる赤外線センサ等の一対の握りセンサ9と、ドア2側に取り付けられるドア取付けプレート10と、ノブロック機構の一部品としての電子錠本体11と、略L字型の不正操作防止カバー12を備えており、この不正操作防止カバー12の前面側には、LED等の表示灯14やブザー15から構成される通知部13が設けられている。
本実施例の場合、ノブカバー4は上下のカバー4a、4bで第1のノブ3を挟み込み、上下のカバー4a、4bの周辺のフランジ部を複数本の結合部材16で結合し、一体化するようにしている。なお、第2のノブ6は、ノブカバー4から充分距離をとった位置に設定している。
【0019】
前記のように、本実施例では、第1のノブ3は、揺動中心P周りに揺動自在にされており、第1のノブ3が略水平な姿勢になると、ドアのロックが外れて入退場が可能となり、図1に示すような斜め方向になると、図4(第1のノブ3を水平にして図示している)に示されるように、ドアがロックされると同時に、本個体認証用ドアノブシステム1の電子錠本体11と電子錠プレート7が磁力で吸着し、第2のノブ6の操作自体をロックできるようにされている。
【0020】
前記第2のノブ6は、図5及び図6に示すように、第1電極となる導電性の外部パイプ18と第2電極となる導電性の内部パイプ19がスポンジなどの絶縁体物20を挟んで所定距離で対峙する二重管構造とされ、外部パイプ18と内部パイプ19によってコンデンサ構造となる電極部17を形成している。
そして、この外部パイプ18内部の一端側には、図6に示すように、外部パイプ18と内部パイプ19とで構成されるキャパシタと組み合わせ、電界通信の信号を選択的に送受信する同調回路基板21が組み込まれている。
この同調回路基板21は、外部パイプ18の内部に組み込むことで、外部パイプ18や内部パイプ19に接続される導線22の間に生じやすい不安定な寄生インダクタやキャパシタ成分が発生することを抑制することができるが、本実施例では、この同調回路基板21の形状を凸型にし、凸部分を内部パイプ19内に嵌合させることにより、同調回路を極力電極部17の近くに配置し、導線22の長さを短くしている。
また、この同調回路基板21の同調回路21aから延出する同軸ケーブル23を、図1に示すような、リーダライター24や認証制御部26側に接続している。
【0021】
以上のような電極部17やリーダライター24や認証制御部26などの電気的構成の概要について図9に基づき説明する。
図9に示すように、第2のノブ6に設けられる電極部17は、外部パイプ18と内部パイプ19とが所定間隔で対向しておりキャパシタが形成されるとともに、外部パイプ18と内部パイプ19の間には、同調回路基板21の同調回路21aが接続され、電界通信に用いられる信号波を選択的に取り出すことができるようにされている。また、第1電極となる外部パイプ18は、ドア2を開閉操作しようとする場合に人が手で触る箇所である。
【0022】
このため、第2のノブ6を人が操作しようとする場合、リーダライター24から送信される認証信号は、電極部17に接触する人体近傍に発生する電界の変化信号として後述する携帯タグ30に伝達され、携帯タグ30に記憶される識別ID等が電極部17に送り返され、リーダライター24を経由して認証制御部26に送られ認証が行われる。
【0023】
認証制御部26は、CPUなどを備えた一般的なコンピュータなどにより構成され、予め入力されたソフトプログラム等によってロック制御部27による電子錠のロック制御を行う。そして、本実施例では、ロック状態にする際は、ノブロック機構としての電子錠本体11と電子錠プレート7を磁力で吸着させ、ロックを解除する場合は、電子錠本体11と電子錠プレート7間の磁力を切断するようにすることで、第2のノブ6の操作自体をロックするようにしているが、予めドア2に電子錠等が設けられている場合には、このドア2の電子錠を制御するようにしてもよい。
【0024】
また、第2のノブ6の近傍に握りセンサ9を設け、外部パイプ18を人が握ったことを検知できるようにしているため、この握りセンサ9の検知(オン)を、個体認証に加えてロック解除の要件としている。このように第2のノブ6に意図的に触れることでしか握りセンサ9がオン状態にならないようにすることで、例えば、ドア2を開ける意思がないにも拘らず、誤って外部パイプ18に触れてしまったような場合に、ドア2が開くのを防止することができる。
なお、この握りセンサ9の用途は、後述するように、ドア2の内側からドアノブを操作する際、ドアロックを解除するためにも利用するようにしている。
【0025】
そして、上記のようなドアロック状態や、ドアロック解除状態や、認証OK/NG状態や、その他エラー発生等の状態は不正操作防止カバー12前面の通知部13の表示灯やブザーで通知するようにしている。このため、操作する人は容易に確認できるとともに、取付け部品等が第1のノブ3付近に集中するため、施工も容易である。
【0026】
次に、携帯タグ30の構成概要について説明する。図8は携帯タグ30の電気的回路を示すブロック図であるが、この携帯タグ30の電極部31と同調回路32は、基本的に前記第2のノブ6の電極部17と同調回路21aの構成と同様であり、電極部31は、所定間隔で対向配置される一対の導電板から構成されて、お互いに静電容量結合するとともに、一方側の導電板が人体側に近くて浮遊容量を介して人体と静電容量結合し、他方側の導電板が人体から遠ざかって浮遊容量を介して大地アースなどと静電容量結合するように保持され、この結果、人体と大地とが交流的に接続されるように構成されている。
【0027】
そして、電極部31を通して受信された信号が、送受信回路33を通して認証制御部34に送られると、予め記憶部で記憶された識別ID等が出力され、この認証信号が、今度は逆の経路を辿って送受信回路33を通して電極部31から出力される。
【0028】
以上のような構成により、携帯タグ30を携帯した人が、第2のノブ6を操作すると、第2のノブ6の電極部17を手で触るだけで自動的に認証がなされ、電子錠の吸着ロックを解除するよう制御が行われるが、以上のような制御方式では、ドア2の内側から操作するときに、同じような第2のノブ6を内側の既存のドアノブに装着しないと、ドアノブを動かすことはできなくなる。しかしながら、一旦、ドア2の内側に入った人が退場するときは認証が不要という、入場方向のみの認証で事足りることがある。
【0029】
本発明では、ドア2の内側のドアノブはそのまま既存のドアノブを使用できるようにしているため、以下、その構成について説明する。なお、このドア2の内側のドアノブはドア外側の第1のノブ3と連動しており、第1のノブ3を操作すると、内側のドアノブも連動して同じ動きをし、内側のドアノブを操作すると、外側の第1のノブ3も連動して同じ動きをするようなタイプのものである。
【0030】
図7に示すように、第2のノブ6の作動については、遊びを持たせており、図7(a)に示す状態から、図7(b)に示す状態まで、ノブ側をクリアランスcが生じるまで僅かに揺動させた状態までは、電子錠プレート7と電子錠本体11が吸着した状態でも遊びとして自由に動かすことができ、遊びの最大付近では、それまで不正操作防止カバー12の近接を検知していた近接センサ8の検知がオフになるようにしている。
【0031】
電子錠プレート7と電子錠本体11の吸着によるロックは、前記第2のノブ6近傍の握りセンサ9がオフで、しかも近接センサ8がオフのときは、個体認証の如何に拘らず、吸着ロックが解除されるようにしている。
【0032】
このため、電子錠プレート7と電子錠本体11が吸着したロック状態にあるとき、ドア2の内側のドアノブを操作すると、既存の第1のノブ3も連動して遊びの範囲で自由に動き、近接センサ8がオフになると、電子錠プレート7と電子錠本体11の吸着ロックが解かれる。すなわち、握りセンサ9や近接センサ8やドアノブの遊び等によって、ドアの内側から操作したときのロック解除手段が形成されている。
【0033】
因みに、握りセンサ9がオフの状態であれば、ドア2の外側からノブカバー4等を掴んで第2のノブ6を遊びの範囲内で揺動させ、近接センサ8をオフにすれば電子錠プレート7と電子錠本体11の吸着ロックが解かれるため、前記不正操作防止カバー12を設けることにより、ドア2の入場側では第2のノブ6を握って操作することを強要している。
【0034】
なお、電子錠の吸着ロック状態からロック解除する際の制御については上記の通りであり、逆に吸着ロック解除状態からロック状態にするタイミングは、近接センサ8のオンをトリガにしてもよいし、外部センサなどによりドア状態を検出してもよい。
【0035】
以上のような構成により、既存のドアに対して極めて簡単で安価な追加施工で個体認証システムを採用することができ、また、例えば電磁シールド用ドアとか、放射線シールド用ドアのように、ドアに穴等を開けるとシールド特性が変化するような場合でも、充分な面積を持つドア取付けプレート10をドア2に接着、もしくは粘着することにより適用できるので便利である。
【0036】
なお、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えば、ドアノブのタイプ等は一例であり、揺動部を持たないドアノブへ適用することができる。ドアのタイプ等は一例であり、スライドドアなどへも適用することができる。ドアの開閉をロックする機構についても、電子錠以外にノブの揺動をロックするもの、ドア自体の開閉をロックするものを含む。また、ドア開閉のロックタイミングおよびロック解除タイミング等は一例である。また、入退場方向による認証の必要性の有無などは一例であり、退場方向を認証必須、入場方向を認証不要、もしくは入退場とも認証必須などとすることも任意である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
既存のドアノブに対して追加施工により極めて簡単に個体認証システムを適用できるため、会社や研究所や学校など広い分野でのドアシステムとして普及が期待される。
【符号の説明】
【0038】
1…個体認証用ドアノブシステム、2…ドア、3…第1のノブ、4…ノブカバー、4a…上ノブカバー、4b…下ノブカバー、5…ステー、6…第2のノブ、7…電子錠プレート、8…近接センサ、9…握りセンサ、10…ドア取付けプレート、11…電子錠本体、12…不正操作防止カバー、13…通知部、14…表示灯、15…ブザー、16…結合部材、17…電極部、18…外部パイプ、19…内部パイプ、20…絶縁体物、21…同調回路基板、21a…同調回路、22…導線、23…同軸ケーブル、24…リーダライター、26…認証制御部、27…ロック制御部、30…携帯タグ、31…電極部(タグ側)、32…同調回路(タグ側)、33…送受信回路(タグ側)、34…認証制御部(タグ側)、P…揺動中心、c…クリアランス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の第1のノブに重ねて取付け可能な個体認証のためのシステムであって、このシステムは、前記第1のノブを覆うように取り付けられるノブカバーと、このノブカバーに一体的に取り付けられる第2のノブと、ドアのロックを制御するロック制御手段を備え、前記第2のノブを操作すると、第1のノブが作動してドアが開閉でき、また、この第2のノブには、個体認証用の電極部が組み込まれ、この電極部に触ることによって触った人の認証がなされ、前記ロック制御手段によるドアのロック制御がなされるようにしたことを特徴とする個体認証用ドアノブシステム。
【請求項2】
前記個体認証用ドアノブシステムは、第2のノブの操作自体をロックするノブロック機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の個体認証用ドアノブシステム。
【請求項3】
前記第2のノブの近傍には、前記第2のノブを設置した側と反対側からドアノブを操作すると、自動的にロック制御手段によるロックが外れるようなロック解除手段が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の個体認証用ドアノブシステム。
【請求項4】
前記第2のノブの近傍には、少なくともドアのロック状態や認証OK・NG状態を知らせる通知部が配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の個体認証用ドアノブシステム。
【請求項5】
前記第2のノブの電極部は、所定の間隔で対向する第1電極と第2電極から構成され、また、第2のノブの内部には、第1電極と第2電極により構成されるキャパシタと組み合わせる同調回路基板が組み込まれることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の個体認証用ドアノブシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−94460(P2011−94460A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252418(P2009−252418)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(503362463)アドソル日進株式会社 (18)
【出願人】(599041606)三菱電機プラントエンジニアリング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】