説明

個別に最大電力点追尾を実行する太陽発電機及びその太陽電池

【課題】MPPTを個別に実行しシステム全体での最大出力電力を保証する太陽発電機を提供する。
【解決手段】
個別に最大電力点追尾を実行する太陽発電機は、複数の太陽電池に電気的に接続されて形成された複数の太陽電池モジュールと、該太陽電池モジュールの2つの出力端子に電気的に接続された電力変換伝達装置とを備える。各太陽電池は、2つのDC出力端子を有するソーラチップと、前記2つのDC出力端子に電気的に接続された2つの入力端子及び2つの出力端子を有するMPPTとを備える。太陽発電機は、各太陽電池に関連したMPPTを実行し、これによりシステム全体の出力電力を最大出力に保証する。従来のインバータでMPPTを実行すると、各太陽電池の最大電力が有効に得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽発電機及びその太陽電池に関し、特に個別に最大電力点追尾(MPPT)を実行する太陽発電機及びその太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、太陽エネルギーは、固体、液体又はガスの中に熱を直接蓄えることにより、又は電気エネルギーに変換するためにまた太陽電池に電気エネルギーを蓄えるために太陽光発電を使って、利用することができる。
【0003】
図3を参照するに、従来の太陽電池は、単結晶のシリコン太陽電池、多結晶のシリコン太陽電池、アモルファスシリコン薄膜太陽電池、CIS/CIS太陽電池、CdTe太陽電池、GaAs太陽電池等を含み、通常、基板(70)、該基板上に順次形成された下部電極(71)、光電子(オプトエレクトロニクス)半導体層(72)、反射防止膜(73)及び上部電極(74)から成る。例として、単結晶シリコン電池を仮定すると、光電子半導体層(72)は、p形半導体層(721)と、n形半導体層(722)と、その間のP−N接合とを有する。光がP−N接合上に照射されると、光起電力効果によって正孔ペアが光電子層(72)中に生成する。拡散及び光電子層(72)中の電界のために、正孔ペアの電子はn形半導体層(722)に向けて動き、ホールはp形半導体層(721)に向けて動く。従って、n形半導体層(722)及びp形半導体層(721)にそれぞれ電気的に接続された上部及び下部の電極(74、71)から、DC(直流)電力が出力される。各太陽電池は低圧DC電力を出力するだけなので、複数の太陽電池が太陽電池モジュールを形成するように結合され、次に複数の太陽電池モジュールが太陽電池サブアレイを形成するように配列され、所望の電圧のDC電力を提供するために、さらに複数の太陽電池サブアレイが一つの太陽電池アレイを形成すべく配列され得る。太陽電池モジュールのすべての太陽電池は、配線を通して互いと電気的に接続される。インバータは、MPPTの実行のために、太陽電池アレイから出力されるDC電力をAC(交流)電力に変換すべく用いられる。
【0004】
しかし、影、保護具(シェルター)、日光の入射角又は太陽電池の故障は、すべて太陽電池アレイでの太陽電池の発電効率に影響を与える。それゆえ、MPPTが、太陽電池によって発生させられた全電力に関して実行されると、各太陽電池の最大電力は、効果的に得られず、したがって、全システムの低下した最大出力が引き起こされることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、MPPTを個別に実行しシステム全体での最大出力電力を保証する太陽発電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成すべく、太陽発電機は、複数の太陽電池モジュールと、電力変換伝達装置とを備える。
【0007】
前記複数の太陽電池モジュールは、複数の太陽電池を電気的に接続することによって形成される。各太陽電池は、ソーラチップとMPPTユニットとを備える。
【0008】
ソーラチップは、2つのDC出力端子を有する。前記MPPTユニットは、前記2つのDC出力端子に電気的に接続される2つの入力端子と、2つ出力端子とを有する。
【0009】
前記電力変換伝達装置は、前記太陽電池モジュールの2つの出力端子に電気的に接続されている。
【0010】
本発明の他の目的は、MPPTの実行が可能な太陽電池を提供することにある。前記太陽電池は、基板と、マイクロ電子半導体層と、下部電極と、光電子半導体層、反射防止膜と、上部電極とを有する。
【0011】
前記マイクロ電子半導体層は、MPPTユニットを構成すべく前記基板上に形成されており、2つの入力端子及び2つの出力端子を有する。
【0012】
前記下部電極は、前記マイクロ電子半導体層上に形成されており、MPPTユニットの一方の入力端子に電気的に接続されている。
【0013】
前記光電子半導体層は、前記下部電極上に形成されており、上層と、前記下部電極に接しており該下部電極に電気的に接続された下層とを有する。
【0014】
前記反射防止膜は、前記光電子半導体層の上層上に形成されている。
【0015】
前記上部電極は、前記反射防止膜上に形成されており、前記光電子半導体層の前記上層に電気的に接続され、また前記MPPTユニットの前記他方の入力端子に電気的に接続されている。
【0016】
上記の構造を与えられると、MPPTユニットは、太陽電池の実際の出力電力を強化し、太陽電池モジュールまたは太陽電池配列の中での影、保護具、入射角又は故障によって引き起こされる全体出力電力の低下を防止するために、太陽電池に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る太陽発電機のブロック図であり、
【図2】本発明に係る太陽電池の概要図であり、
【図3】従来の太陽電池の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照するに、本発明の太陽発電機は、少なくとも1つの太陽電池モジュール(1)と、電力変換伝達装置(2)とを備える。
【0019】
少なくとも1つの太陽電池モジュール(1)は、複数の太陽電池(10)を備え、各太陽電池(10)は、ソーラチップ(11)及びMPPTユニット(12)を有する。ソーラチップ(11)は、2つのDC出力端子を有する。MPPTユニット(12)は、2つの入力端子及び2つの出力端子を有する。MPPTユニット(12)の前記2つの入力端子は、ソーラチップ(11)の前記2つのDC出力端子と電気的に接続されている。コンデンサ(13)は、MPPTユニット(12)の前記2つの出力端子間に接続されている。ソーラチップ(11)は、前記2つのDC出力端子からDC電力を出力し、MPPTユニット(12)は、ソーラチップ(11)から出力されたDC出力に関してMPPTを実行する。さらに、太陽電池モジュール(1)は、より高い電圧及びより大きな電力を有するDC電力を得るように、複数の太陽電池(10)を直列接続、並列接続又は直並列接続に形成することができる。太陽電池(10)は、MPPTユニット(12)の出力端子に配置されたコンデンサ(13)を介して連続的に接続され、該MPPTユニットでは、コンデンサ(13)がエネルギーの平衡すなわち補償のために使用されている。太陽電池(10)は、電力変換及び伝達のための電力変換伝達装置(2)の2つの入力端子に電気的に接続された太陽電池モジュール(1)の2つの出力端子を構成するように、連続して接続されている。電力変換伝達装置(2)は、太陽電池モジュール(1)から出力されたDC電力を変換又は伝達するように使われる。電力変換機能について、電力変換伝達装置(2)は、太陽電池モジュール(1)の出力電力に関連した直流(DC)を直流(DC)に変換するDC−DC変換器、又はDC−AC変換器すなわち太陽電池モジュール(1)からのDC電力出力を公的な電力ネットワークに供給するためにAC電力に変換する変換器であるかもしれない。
【0020】
本発明の太陽発電機は、各太陽電池(10)について、それぞれの実際の出力エネルギーを増強し、また従来の太陽発電機が統一的にMPPTを実行したときに生じる影、保護具、入射角又は故障によって引き起こされる総出力電力の降下の問題点を解決すべく、各太陽電池(10)にMPPTが導入されていることは、前述の説明から明らかである。
【0021】
図2を参照するに、前述の太陽電池(10)は、基板(100)、マイクロ電子回路層(101)、下部電極(102)、光電子(オプトエレクトロニクス)半導体層(103)、反射防止膜(104)及び上部電極(105)を備える。
【0022】
マイクロ電子回路層(101)は、前記のMPPTユニットを形成するために基板(100)上に形成される。前記MPPTユニットは、先に開示したように、2つの入力端子及び2つの出力端子を有する。
【0023】
下部電極(102)は、マイクロ電子半導体層(101)上に、蒸着、電気メッキ、印刷又は他の工程によって形成され、前記MPPTユニットの前記入力端子と電気的に接続される。
【0024】
光電子半導体層(103)は、下部電極(102)上に、気体拡散、固体拡散、イオン注入等によって形成される。光電子半導体層(103)によって形成される前記太陽電池は、単結晶のシリコン太陽電池、多結晶のシリコン太陽電池、アモルファスシリコン薄膜太陽電池、CIS/CIS太陽電池、CdTe太陽電池、GaAs太陽電池、色素増感電池及び他のタイプの電池であるかもしれない。例として、単結晶シリコン電池を仮定すると、光電子半導体層(103)は、p形半導体層(1031)及びn形半導体層(1032)を有する。P−N接合は、それらの間に形成され、p形半導体層(1031)は前記下部電極に接しており、該下部電極に電気的に接続されている。
【0025】
反射防止膜(104)は、PVD(物理気相成長法)またはCVD(化学気相成長法)又は他の方法で、前記光電子半導体層のn形半導体層(1032)上に形成される。
【0026】
上部電極(105)は、下部電極(102)に類似しており、反射防止膜(104)上に、蒸着、電気メッキ、印刷又は他の工程によって形成され、光電子半導体層(103)のn形半導体層(1032)と電気的に接続される。上部電極(105)は、ビアまたは他の電気接続手段などの層間接続手段を経て、前記MPPTユニットの他方の入力端子と電気的に接続される。
【0027】
要するに、MPPTユニット(12)は、太陽電池(10)に組み込まれ、太陽電池(10)と一体的に形成される。さらに、前記コンデンサは、マイクロ電子半導体層(101)上に形成され、平衡をとるためにMPPTユニット(12)の2つの出力端子間に接続されている。MPPTは、個々に各太陽電池に導入されており、すべての太陽電池は、太陽電池モジュールを形成するために統合することができる。このように、影、保護具、日光の入射角又は損傷による総出力電力の降下は、個別のMPPTアプローチによって解決することができる。
【0028】
本発明の多数の特徴及び利点が発明の構造及び作用の詳細とともに前述の説明に記述されたが、その開示は単に説明のために過ぎない。詳細について、添付の特許請求の範囲の広義の一般的な意味によって示される充分な範囲で、特に、形状、寸法及び各部の配置について変更することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 太陽電池モジュール
2 電力変換伝達装置
10 太陽電池
11 ソーラチップ(太陽電池チップ)
12 MPPTユニット
13 コンデンサ
100 基板
101 マイクロ電子半導体層(マイクロ電子回路層)
102 下部電極
103 光電子半導体層
104 反射防止膜
105 上部電極
1031 p形半導体層
1032 n形半導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池であって該太陽電池のそれぞれが2つのDC出力端子を有するソーラチップと前記2つのDC出力端子に電気的に接続された2つの入力端子及び2つの出力端子を有するMPPTユニットとを備える太陽電池が電気的に接続されて形成された複数の太陽電池モジュールと、
該太陽電池モジュールの前記2つの出力端子に電気的に接続された電力変換伝達装置とを含む、個別に最大電力点追尾(MPPT)を実行する太陽発電機。
【請求項2】
さらに、前記太陽電池のそれぞれは、対応する前記MPPTユニットの前記2つの出力端子間に電気的に接続され、また、他の前記太陽電池に電気的に接続されたコンデンサを含む、請求項1に記載の太陽発電機。
【請求項3】
前記電力変換伝達装置は、DC−DCコンバータである、請求項1に記載の太陽発電機。
【請求項4】
前記電力変換伝達装置は、DC−DCコンバータである、請求項2に記載の太陽発電機。
【請求項5】
前記電力変換伝達装置は、DC−ADコンバータである、請求項1に記載の太陽発電機。
【請求項6】
前記電力変換伝達装置は、DC−ADコンバータである、請求項2に記載の太陽発電機。
【請求項7】
前記電力変換伝達装置は、インバータである、請求項1に記載の太陽発電機。
【請求項8】
前記電力変換伝達装置は、インバータである、請求項2に記載の太陽発電機。
【請求項9】
前記太陽電池は、直列接続、並列接続及び直並列接続のうちの1つによって電気的に接続されている、請求項1に記載の太陽発電機。
【請求項10】
前記太陽電池は、直列接続、並列接続及び直並列接続のうちの1つによって電気的に接続されている、請求項2に記載の太陽発電機。
【請求項11】
基板と、
2つの入力端子と2つの出力端子を有するMPPTユニットを構成すべく前記基板上に形成されたマイクロ電子半導体層と、
該マイクロ電子半導体層上に形成され、前記MPPTユニットの一方の入力端子に電気的に接続された下部電極と、
前記下部電極上に形成され、上層と前記下部電極に接し該下部電極に電気的に接続された下層とを有する光電子半導体層と、
光電子半導体層の前記上層上に形成された反射防止膜と、
該反射防止膜上に形成され、前記光電子半導体層の前記上層に電気的に接続され、前記MPPTユニットの他方の入力端子に接続された上部電極とを含む、太陽電池。
【請求項12】
前記マイクロ電子半導体層は、さらに、該マイクロ電子半導体層上に形成され、前記MPPTユニットの前記2つの出力端子間に電気的に接続されたコンデンサを含む、請求項11に記載の太陽電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate