説明

個別画像データ生成装置および個別画像データ生成プログラム

【課題】複数バージョンの画像の出力において、特定の出力物を、手間をかけずに再度出力できる個別画像データ生成装置および個別画像データ生成プログラムを提供する。
【解決手段】共通に用いられて配置されるマスタ要素と、個別に用いられて配置される複数のバリアブル要素とを取得する要素取得部と、マスタ要素および複数のバリアブル要素に基づいて複数バージョンの画像を個別に表わした複数の個別画像データを生成する個別画像データ生成部と、画像出力装置に、個別画像データを出力する画像出力部と、出力された個別画像データが表す画像に用いられたバリアブル要素を記憶する要素記憶部と、記憶されているバリアブル要素のなかから検索を行う要素検索部と、検索されたバリアブル要素のいずれかを操作に応じて指定する要素指定部と、指定されたバリアブル要素に対応した個別画像データを画像出力装置に再度出力する再出力部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバリアブル要素に基づいて複数バージョンの画像を個別に表わした複数の個別画像データを生成するための個別画像データ生成装置および個別画像データ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷物の作成にあたり、データベースなどに保存された情報を取り出し、取り出した情報と、所定の文章や絵や写真などを組みあわせて印刷用データを作成する技術が、コンピュータ技術の発展とともに急速に進んでいる。この技術は、ダイレクトメイルや年賀状のように、送り先の住所や名前といった、所定箇所の印刷内容に関しては個々の印刷物で印刷内容が異なり、その箇所以外の印刷内容に関しては複数の印刷物で印刷内容が共通するような印刷物の作成の際に頻繁に用いられている。このように、所定箇所の印刷内容だけが個々の印刷物で異なるような印刷物の印刷はバリアブル印刷と呼ばれており、現在では、データベース等から、上記所定箇所の互いに異なる印刷内容を与える情報を読み出して、共通部分となる画像データや文字データと組み合わせるソフトウェアとして、様々なバリアブルアプリケーションソフトウェアが知られている。
【0003】
バリアブル印刷では、個々の印刷物で印刷内容が異なる印刷物が、大量に作成されることが多く、印刷作業の後で、必要部数の印刷物が得られたか(すなわち印刷落ちがないか、ダブリがないか)を、個々の印刷物について人間がいちいち検査するのは、非常に手間がかかる。そこで、最近では、個々の印刷物に、それぞれの印刷物の印刷内容を識別するための識別マークを印刷作業時につけておき、印刷後に読取装置がその識別マークの読取を行うことで、必要部数の印刷物が得られたかを検査する方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−301813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の方式では、印刷後に印刷物が紛失した場合や、印刷ミスにより識別マークが印刷されなかった場合のように、識別情報が失われた特定の印刷物について再度印刷することが必要となったときには、参照できる識別マークが存在しないため、個々の印刷物について識別情報が記載されたデータベース等から、再印刷の対象となる特定の印刷物についての識別情報を人間が探し出した上で、バリアブルアプリケーションを使って、その特定の印刷物の印刷内容を表したデータを再度生成しなければならない。バリアブル印刷の印刷物には、上述したように個々の印刷物に応じて印刷内容が異なる箇所があるので、印刷部数が多いと、個々の印刷物の内容を表したデータ量も非常に大きくなり、上記のような作業を人間が行うのは、大変手間がかかる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、複数バージョンの画像の出力において、特定の出力物を、手間をかけずに再度出力できる個別画像データ生成装置および個別画像データ生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の個別画像データ生成装置は、
それぞれに少なくとも1つの要素が配置される複数バージョンの画像に共通に用いられて配置されるマスタ要素と、該複数バージョンの画像それぞれで個別に用いられて配置される複数のバリアブル要素とを取得する要素取得部と、
上記マスタ要素および上記複数のバリアブル要素に基づいて上記複数バージョンの画像を個別に表わした複数の個別画像データを生成する個別画像データ生成部と、
上記個別画像データが表した画像を該個別画像データに基づいてプリント出力する画像出力装置に、上記個別画像データ生成部で生成された複数の個別画像データを出力する画像出力部と、
上記画像出力部によって出力された複数の個別画像データが表す複数バージョンの画像に用いられた複数のバリアブル要素を記憶する要素記憶部と、
上記記憶部に記憶されている複数のバリアブル要素のなかから、操作で与えられる条件に該当するバリアブル要素を検索する要素検索部と、
上記要素検索部による検索で見つかったバリアブル要素のうち1つ以上のバリアブル要素を操作に応じて指定する要素指定部と、
上記複数の個別画像データのうち、上記要素指定部で指定されたバリアブル要素に対応した個別画像データを上記画像出力装置に再度出力する再出力部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の個別画像データ生成装置には、複数バージョンの画像それぞれについてのバリアブル要素が記憶されており、ユーザは、それら複数のバリアブル要素の中から所望のバリアブル要素を検索し、その所望のバリアブル要素に対応した個別画像データを画像出力装置に再度出力させることができる。このため、本発明の個別画像データ生成装置は、特定の出力物を、手間をかけずに再度出力できる。
【0008】
また、本発明の個別画像データ生成装置において、「上記バリアブル要素が文字からなる要素であって、上記要素検索部が、上記条件として検索文字を与えられ、該検索文字と一部又は全部が一致するバリアブル要素を検索するものである」という形態は好ましい形態である。
【0009】
バリアブル要素が絵であっても、形や色に基づいた検索技術は存在するので検索は可能であるが、バリアブル要素が文字であると、検索情報の入力に手間がかからず、検索アルゴリズムも単純であるので検索が容易である。
【0010】
また、本発明の個別画像データ生成装置において、「上記複数のバリアブル要素それぞれに付属情報が対応付けられているテーブルを取得するテーブル取得部を備え、上記要素検索部が、上記条件として上記付属情報を与えられ、該付属情報に対応したバリアブル要素を検索するものである」という形態も好ましい形態である。
【0011】
例えば、個人のID情報等は、その個人用の印刷物を指定するのに有用な情報であるが、美感や個人情報保護を考慮するとバリアブル要素に含めるのは望ましくないことが多い。付属情報を用いる上記の形態によれば、印刷されていないID情報等に基づいた検索が可能となり有用性が高い。
【0012】
上記目的を達成するための本発明の個別画像データ生成プログラムは、
コンピュータシステムに組み込まれ、そのコンピュータシステム上に、
それぞれに少なくとも1つの要素が配置される複数バージョンの画像に共通に用いられて配置されるマスタ要素と、該複数バージョンの画像それぞれで個別に用いられて配置される複数のバリアブル要素とを取得する要素取得部と、
上記マスタ要素および上記複数のバリアブル要素に基づいて上記複数バージョンの画像を個別に表わした複数の個別画像データを生成する個別画像データ生成部と、
上記個別画像データが表した画像を該個別画像データに基づいてプリント出力する画像出力装置に、上記個別画像データ生成部で生成された複数の個別画像データを出力する画像出力部と、
上記画像出力部によって出力された複数の個別画像データが表す複数バージョンの画像に用いられた複数のバリアブル要素を記憶する要素記憶部と、
上記記憶部に記憶されている複数のバリアブル要素のなかから、操作で与えられる条件に該当するバリアブル要素を検索する要素検索部と、
上記要素検索部による検索で見つかったバリアブル要素のうち1つ以上のバリアブル要素を操作に応じて指定する要素指定部と、
上記複数の個別画像データのうち、上記要素指定部で指定されたバリアブル要素に対応した個別画像データを上記画像出力装置に再度出力する再出力部とを構築することを特徴とする。
【0013】
この本発明の個別画像データ生成プログラムをコンピュータシステム内で実行することによって、本発明の個別画像データ生成装置を容易に実現することができる。
【0014】
なお、本発明にいう個別画像データ生成プログラムについては、ここではその基本形態のみを示すにとどめるが、これは単に重複を避けるためであり、本発明にいう個別画像データ生成プログラムには、上記の基本形態のみでなく、前述した個別画像データ生成装置の各形態に対応する各種の形態が含まれる。
【0015】
さらに、本発明の個別画像データ生成プログラムがコンピュータシステム上に構築する要素検索部などといった要素は、1つの要素が1つのプログラム部品によって構築されるものであってもよく、1つの要素が複数のプログラム部品によって構築されるものであってもよく、複数の要素が1つのプログラム部品によって構築されるものであってもよい。また、これらの要素は、そのような作用を自分自身で実行するものとして構築されていてもよく、あるいは、コンピュータシステムに組み込まれている他のプログラムやプログラム部品に指示を与えて実行するものとして構築されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特定の出力物を、手間をかけずに再度出力できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態が適用されるバリアブル印刷システムの構成図である。
【0019】
このバリアブル印刷システムは、パーソナルコンピュータ100および出力装置2170を有しており、このバリアブル印刷システムでは、パーソナルコンピュータ100によって、バリアブル印刷を実行するための実行データが作成され、作成された実行データに基いて出力装置2170により用紙上への出力が行われて、さらに出力装置2170により出力物の折りたたみ加工等も行われる。ここでいうバリアブル印刷とは、宛先などのように互いに異なる印刷内容と、年賀状のあいさつ文や広告の内容のように互いに共通の印刷内容とを組み合わせて複数の印刷物を作成する印刷形態を指し、互いに異なる印刷内容は、レコードと呼ばれる。以下では、このバリアブル印刷システムで行われるバリアブル印刷の一例として、送り先となる郵便番号、住所、氏名が記載され、さらにメッセージ文と画像が組みあわされて記載されているダイレクトメイル210を、所定の複数の送り先それぞれについて一部ずつ作成する場合について説明する。このダイレクトメイル210には、送り先についての情報である、郵便番号、住所、氏名を除けば、どの送り先に送られるダイレクトメイル210にも共通のメッセージ文と画像が記載されている。従って、この例では、郵便番号、住所、氏名が、レコードに相当する。
【0020】
ダイレクトメイル210に記載される、郵便番号、住所、氏名についての情報は、パーソナルコンピュータ100にあらかじめ入力されている1つのエクセルファイル220中に、一覧となって記載されている。このエクセルファイル220の中から、郵便番号、住所、氏名の情報を表したデータがバリアブルアプリケーション10aにより取り出されて、画像210aやメッセージ文210bといった、いずれの送り先についても共通の記載事項のデータと組みあわされて、上述した実行データが作成される。この実行データは、
レコードの内容がレコードごとに区分されて記載された、PPML(Personalized Print Markup Language)形式のデータであり、このPPML形式の実行データ(以下、PPMLデータと略す)には、各レコードの印刷位置、色、フォント等も規定されている。このPPMLデータに基づいて、個々の印刷物ごとに印刷内容を表した印刷用のラスターデータが、RIP(Raster Image Processor)10によって生成され、このラスターデータに基づき出力装置2170において出力が行われ、さらに、出力装置2170により出力物の折りたたみ処理が行われる。
【0021】
なお、ここでは、出力装置2170は、1台で出力機能と出力物の折りたたみ機能との両方を備えているものとして説明するが、上記のバリアブル印刷システムにおいて出力装置2170に代えて、出力装置と出力物の折りたたみ装置とがそれぞれ独立の装置となっているものを代わりに用いても、同様のバリアブル印刷が実行される。また、ここでは、実行データのフォーマットとしてPPML形式が採用されているが、本発明は、PPML形式以外のフォーマットも採用可能である。
【0022】
図では、作成されたダイレクトメイル210として、ダイレクトメイル210の紙が広げられた時の状態が示されているが、実際には、出力装置2170における折りたたみ処理により、中央の点線2170aのところで、宛先を外側に向けて2つ折りに折りたたまれた状態のダイレクトメイル210が作成される。ダイレクトメイル210は、このように折りたたまれた状態で封筒2100に入れられる。このとき、ダイレクトメイル210に記載された送り先が、封筒2100の透明部分2100aを通して外部から判読できる様態で封筒2100に入れられ、この状態でそれぞれの送り先に配達される。
【0023】
このバリアブル印刷システムでは、配達過程でのダイレクトメイル210の紛失や、宛先部分が印刷落ちしている等の理由で、特定のレコードについて、ダイレクトメイル210を再度印刷することが必要となったときのために、ダイレクトメイル210の再印刷が必要なレコードを手早く特定して再印刷するための機能がRIP10に備えられている。このレコードの特定のために、RIP10には、エクセルファイル220内に備えられ、各レコードの相異点となっている、郵便番号、住所、氏名についての情報を含む、送り先についての詳細な情報を表したエクセルデータが入力される。
【0024】
図1のバリアブル印刷システムにおいては、パーソナルコンピュータ100が、本発明の個別画像データ生成装置の一実施形態として動作する。以下では、このパーソナルコンピュータ100について説明する。
【0025】
図2は、本発明の個別画像データ生成装置の一実施形態として動作するパーソナルコンピュータの外観斜視図、図3は、そのハードウェア構成図である。
【0026】
このパーソナルコンピュータ100は、後述するCPU、RAMメモリ、ハードディスク等を内蔵した本体部110、本体部110からの指示により表示画面121に画面表示を行なう画像表示装置120、このパーソナルコンピュータ100内にユーザの指示や文字情報を入力するためのキーボード130、表示画面121上の任意の位置を指定することによりその位置に応じた指示を入力するマウス140を備えている。
【0027】
本体部110は、さらにフレキシブルディスク(以下FDと略す)が装填されるFD装填口111、CD−ROMが装填されるCD−ROM装填口112を有しており、その内部には、装填されたFDやCD−ROMをドライブする、後述するFDドライブ、CD−ROMドライブも内蔵されている。
【0028】
本体部110の内部には、図3に示すように、各種プログラムを実行するCPU211、ハードディスク装置213に格納されたプログラムが読み出されCPU211での実行のために展開される主メモリ212、各種プログラムやデータ等が保存されたハードディスク装置213、FD2140が装填され、その装填されたFD2140にアクセスするFDドライブ214、CD−ROM2150が装填され、その装填されたCD−ROM2150にアクセスするCD−ROMドライブ215が内蔵されている。これらの各種要素と、さらに、図2にも示す画像表示装置120、キーボード130、マウス140は、バス1200を介して相互に接続されている。また、パーソナルコンピュータ100の外部には、上述したように、バリアブル印刷物の出力および出力物の折りたたみ処理等の後処理のための出力装置2170が備えられており、パーソナルコンピュータ100から出力データを送るために、パーソナルコンピュータ100には入出力インタフェース216が内蔵されている。この入出力インタフェース216も、パーソナルコンピュータ100内部のハードウェアを構成する上述の各種要素と、バス1200を介して相互に接続されている。
【0029】
次に本発明の個別画像データ生成プログラムの一実施形態について説明する。
【0030】
本発明の個別画像データ生成プログラムの一実施形態が、例えばCD−ROM2150に記憶されている場合には、このCD−ROM2150がCD−ROM装填口112から本体110内に装填されると、そのCD−ROM2150に記憶された個別画像データ生成プログラムがCD−ROMドライブ215によりこのパーソナルコンピュータ100のハードディスク装置213内にインストールされる。そして、このハードディスク装置213内にインストールされた個別画像データ生成プログラムが起動されると、このパーソナルコンピュータ100は、本発明の個別画像データ生成装置の一実施形態として動作する。
【0031】
図4は、本発明の個別画像データ生成プログラムの一実施形態を示す図である。
【0032】
ここでは、この個別画像データ生成プログラム900は、CD−ROM2150に記憶されている。なお、本発明にいう個別画像データ生成プログラム900が記憶される記憶媒体としては、図4に示すCD−ROM2150のみならず、図3に示すハードディスク装置213やFD2140、図3および図4には不図示のDVDやMO等といった種々の記憶媒体が採用されうる。
【0033】
この個別画像データ生成プログラム900は、図2および図3に示すパーソナルコンピュータ100内で実行され、上述したように、そのパーソナルコンピュータ100を本発明の一実施形態として動作させるものであり、記憶部21、抽出部22、表示制御部23,および印刷制御部24を有している。
【0034】
この個別画像データ生成プログラム900の各要素の詳細な内容については、後で、パーソナルコンピュータ100内の各部の作用と一緒に説明する。
【0035】
図5は、図2および図3に示すパーソナルコンピュータを本発明の個別画像データ生成装置の一実施形態として動作させるためにこのパーソナルコンピュータ上に構築される要素と、それらの要素による作用の概略を表す図である。
【0036】
図4に示す個別画像データ生成プログラム900が図2および図3に示すパーソナルコンピュータ100にインストールされると、記憶部11、抽出部12、表示制御部13,および印刷制御部14の各要素がパーソナルコンピュータ100上に構築されて、図1に示すRIP10が構成される。このRIP10の機能によって、パーソナルコンピュータ100が本発明の個別画像データ生成装置の一実施形態として動作する。記憶部11、抽出部12、表示制御部13,および印刷制御部14は、図4に示す個別画像データ生成プログラム900における、記憶部21、抽出部22、表示制御部23,および印刷制御部24それぞれによってパーソナルコンピュータ100上に構築されるものである。従って図4の各要素は図5の各要素に対応するが、この図5の各要素は、図2および図3に示すパーソナルコンピュータ100のハードウェアとそのパーソナルコンピュータ100で実行されるOSやアプリケーションプログラムとの組合せで構成されているのに対し、図4に示す個別画像データ生成プログラム900の各要素はそれらのうちのアプリケーションプログラムのみにより構成されている点が異なる。なお、図1に示すバリアブルアプリケーション10aについては、上述した、個別画像データ生成プログラム900によるインストールとは別に、あらかじめ、バリアブルアプリケーションインストール用の記録媒体を用いてインストールされる。
【0037】
以下では、図5に示す各要素と、各要素による作用の概略について説明する。
【0038】
バリアブルアプリケーション10aによりPPMLデータが作成され、作成されたPPMLデータが、記憶部11に入力されて記憶される。ここで、このPPMLデータは、各送り先について共通する印刷内容(マスタ要素)を表すデータと、各送り先について互いに異なる印刷内容(レコード)をレコードごとに区分して表しているデータとで構成されている。印刷制御部14は、このPPMLデータに基づいて、個々の印刷物ごとに印刷内容を表した印刷用のラスターデータを生成して出力装置2170に送り、所定の複数の送り先それぞれについてのダイレクトメイル210が印刷される。ここで、記憶部11には、エクセルファイル220が有する、送り先についての詳細な情報を表したエクセルデータも入力されている。抽出部12は、複数のレコードのうちの特定のレコードについてダイレクトメイル210を再印刷することが必要になった際に、その特定のレコードについての検索情報の入力をユーザから受けて、記憶部11に記憶されているエクセルデータから、その検索情報に該当する全てのレコードについて、送り先の情報を抽出する。表示制御部13は、抽出部12によって抽出された送り先の情報を、図2および図3に示す画像表示装置120に一覧表示させる。印刷制御部14は、ユーザから、再印刷の対象となるレコードの指定(レコード指定情報の入力)を受けて、そのレコードについて印刷用のラスターデータを生成して出力装置2170に送り、再印刷が実現する。
【0039】
ここで、記憶部11が、本発明にいう要素取得部と要素記憶部とテーブル取得部とを兼ねた一例に相当し、抽出部12が、本発明にいう要素検索部の一例に相当し、印刷制御部14が、本発明にいう個別画像データ生成部と画像出力部と要素指定部と再出力部とを兼ねた一例に相当する。
【0040】
ここで、記憶部11に記憶されているエクセルデータとPPMLデータについて説明する。
【0041】
図6は、図5のエクセルファイルの内容を表した図、図7は、図5の記憶部に記憶されているPPMLデータの構造を表した図である。
【0042】
図6に示すように、エクセルファイル220には、それぞれの送り先について、会員番号、郵便番号、住所、苗字、名前、および電話番号の情報が一覧となって記載されており、記憶部11に記憶されているエクセルデータは、これらの情報を表したデータである。この一覧のうち、点線で囲まれた、郵便番号、住所、苗字、名前の情報が、図1に示すように、ダイレクトメイル210上に記載される内容である。
【0043】
図5のRIP10においては、各レコードの識別子として、上記の送り先についての情報のうち、図6の一点鎖線で囲まれた会員番号が用いられている。例えば、図6の点線内の一番上に位置する、郵便番号「330−0845」、住所「埼玉県…」、苗字「相川」、名前「奈々」となっている送り先の人物については、会員番号が「00101」であるので、この一番上の、郵便番号「330−0845」、住所「埼玉県…」、苗字「相川」、名前「奈々」のレコードは、「00101」のレコードとして認識される。具体的には、各レコードの識別子は、PPMLデータ中において、各レコードを表すデータの先頭において定義されている。
【0044】
図7に示すように、PPMLデータの先頭には、図1の画像210aやメッセージ文210bやレイアウトの情報といった、いずれの送り先についても共通の事項を表したマスタ要素のデータが記載されており、その下に、各レコードの内容を表すデータがレコードごとに区分され記載されている。
【0045】
上述した、レコードの識別子は、例えば、「00101」のレコードについては、図7の一番上に示す、「〈DOCUMENT_SET Label = ”00101”〉」のように、「〈DOCUMENT_SET Label =」の後の、2つの引用符「”」「”」の間の数字として定義される。また、この図に示すように、「〈DOCUMENT_SET Label = ”00101”〉」という文の後には、「00101」のレコードを表したデータが続いており、「〈/DOCUMENT_SET〉」という文によって、この「00101」のレコードを表したデータの記載が終了する。この「00101」のレコードを表したデータの中に、図6の、郵便番号「330−0845」、住所「埼玉県…」、苗字「相川」、名前「奈々」の情報が記載されている。同様のデータ構成で他のレコードも記載されている。このように、図7のPPMLデータでは、各レコードについて、識別子の定義の後にそのレコードを表したデータが順番に続くという構造が備えられることで、それぞれのレコードが、PPMLデータ中で、それぞれのレコードの識別子によって識別できるようになっている。
【0046】
なお、ここでは、レコードの識別子として、会員番号が採用されているが、レコードの識別子は、会員番号以外の、例えば、「名前」や「電話番号」であってもよく、また、エクセルファイル中に記載されている順番(例えば、10番目)をそのまま識別子として用いてもよい。このように、どの情報を識別子として採用するかは、ユーザによるバリアブルアプリケーション10aの設定によって決定される。ただし、識別子としては、レコードを互いに識別する上で識別力のあるものが好ましく、ここで識別子として用いられている会員番号は、送り先ごとに異なるものであるとして説明を行う。
【0047】
次に、複数のレコードのうちの特定のレコードについて再印刷を行う際の図5の各部の動作について詳しく説明する。
【0048】
図8は、特定のレコードについて再印刷を行う際の図5の各部の動作を表したフローチャ−トである。
【0049】
印刷したダイレクトメイルのうち、例えば印刷後の印刷物の紛失等により、特定の送り先のダイレクトメイルを再印刷することが必要になったときは、多くの場合、紛失したことは認識されていても、その特定の送り先について、郵便番号、住所、苗字、名前の全ての情報までは把握されていないことが多い。そこで、図5の抽出部12は、ユーザから再印刷の対象となるレコードを特定するのに手がかりとなる検索情報を取得し、その検索情報を基に、記憶部11に記憶されているエクセルデータの中から、該当するレコード全てについての情報を抽出する(ステップS1)。以下では、例を挙げて具体的に説明する。
【0050】
図9は、特定のレコードについて再印刷を行う際に表示される再印刷設定ウィンドウである。
【0051】
例えば、紛失したダイレクトメイルの送り先の人物について、ユーザが、その人物の正確な住所は覚えていないが、その人物の住所が存在する地域名(県名、都市名、町名など)やその人物の苗字だけは覚えている場合には、ユーザは、図2および図3に示すキーボード130やマウス140を用いて、再印刷設定ウィンドウ300中の検索項目選択欄302に「苗字」を表示させ、さらに検索ワード入力欄301にその人物の名前を書き入れる。例えば、その人物の名前が「石田」であれば、図9に示すように「石田」という苗字が入力される。ここで、この図では不図示であるが、検索項目選択欄302では、マウス140を用いて検索項目表示ボタン302aがクリックされることにより、図6に示す、会員番号、郵便番号、住所、苗字、名前、および電話番号の全項目が表示され、表示された項目の中からユーザが、検索する項目を選択できるようになっている。
【0052】
ユーザは、このように検索項目選択欄302に送り先の人物について知っている情報を入力すると、検索実行ボタン303をクリックする。このユーザのクリック操作により、抽出部12は、苗字が「石田」であるという検索情報を取得し、図6の一覧の中に記載されている、苗字が「石田」というレコードの情報を、記憶部11に記憶されているエクセルデータの中から抽出する。
【0053】
表示制御部13は、抽出部12によって抽出されたレコードの情報を、表示画面上に一覧表示させる(図8のステップS2)。例えば、苗字が「石田」である送り先の人物は、図6の一覧においては、名前が「さやか」である人物と、名前が「ひろみ」である人物の2人だけだとすると、表示制御部12の制御により、検索結果表示欄304に、図9に示すように、この2人のレコードに関する情報が表示される。この検索結果表示欄304
の左端には、再印刷対象となる送り先を選択するためのチェックボックス304aが送り先ごとに設けられている。ユーザは、表示された住所と、自分の記憶の中にある、再印刷対象の人物の住所が存在する地域名とを照合して再印刷対象の送り先を選び出し、その送り先のチェックボックス304aをクリックする。図9では、上から2番目の、会員番号が「00102」の送り先が選択されている様子が示されている。チェックボックス304aのクリックで送り先が選択された後、ユーザは、再印刷設定ウィンドウ300の右下にあるOKボタン306をクリックする。なお、ユーザは、再印刷対象の送り先が選び出せず、苗字以外の他の検索項目で検索したくなった場合などには、キャンセルボタン305をクリックすることで検索を続けることも可能である。
【0054】
ユーザにより会員番号が「00102」の送り先が選択されてOKボタン306がクリックされると、図5の印刷制御部14は、再印刷の対象として、識別子の数字が「00102」のレコードが指定されたというレコード指定情報を認識する。そして、印刷制御部14は、図7のPPMLデータの中から、識別子の数字が「00102」のレコードについて印刷用のラスターデータを生成して出力装置2170に送り、このレコードについての再印刷が実現する(図8のステップS3)。
【0055】
このように、図5に示すRIP10では、特定のレコードについて再度印刷することが必要となったときでも、バリアブルアプリケーションを使わずにその目的のレコードについて簡単に再印刷を実行することができるので、再印刷にかける人間の手間が少なくてすむ。
【0056】
なお、以上の説明では、図9の検索結果表示欄304には、図6のエクセルファイルに記載されている全ての項目について検索結果が表示されているが、本発明では、表示される内容は、ユーザが再印刷の対象となるレコードを特定できるのに十分な情報量を有するものであればよく、検索の際に参照されるデータの一部が表示されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態が適用されるバリアブル印刷システムの構成図である。
【図2】本発明の個別画像データ生成装置の一実施形態として動作するパーソナルコンピュータの外観斜視図である。
【図3】本発明の個別画像データ生成装置の一実施形態として動作するパーソナルコンピュータのハードウェア構成図である。
【図4】本発明の個別画像データ生成プログラムの一実施形態を示す図である。
【図5】図2および図3に示すパーソナルコンピュータを本発明の個別画像データ生成装置の一実施形態として動作させるためにこのパーソナルコンピュータ上に構築される要素と、それらの要素による作用の概略を表す図である。
【図6】図5のエクセルファイルの内容を表した図である。
【図7】図5の記憶部に記憶されているPPMLデータの構造を表した図である。
【図8】特定のレコードについて再印刷を行う際の図5の各部の動作を表したフローチャ−トである。
【図9】特定のレコードについて再印刷を行う際に表示される再印刷設定ウィンドウである。
【符号の説明】
【0058】
10 RIP
10a バリアブルアプリケーション
11 記憶部
12 抽出部
13 表示制御部
14 印刷制御部
21 記憶部
22 抽出部
23 表示制御部
24 印刷制御部
100 パーソナルコンピュータ
110 本体部
111 FD装填口
112 CD−ROM装填口
120 画像表示装置
121 表示画面
130 キーボード
140 マウス
1200 バス
210 ダイレクトメイル
210a 画像
210b メッセージ文
220 エクセルファイル
2100 封筒
2100a 透明部分
2170a 点線
211 CPU
212 主メモリ
213 ハードディスク装置
214 FDドライブ
2140 FD
215 CD−ROMドライブ
2150 CD−ROM
216 入出力インタフェース
2170 出力装置
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900 個別画像データ生成プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに少なくとも1つの要素が配置される複数バージョンの画像に共通に用いられて配置されるマスタ要素と、該複数バージョンの画像それぞれで個別に用いられて配置される複数のバリアブル要素とを取得する要素取得部と、
前記マスタ要素および前記複数のバリアブル要素に基づいて前記複数バージョンの画像を個別に表わした複数の個別画像データを生成する個別画像データ生成部と、
前記個別画像データが表した画像を該個別画像データに基づいてプリント出力する画像出力装置に、前記個別画像データ生成部で生成された複数の個別画像データを出力する画像出力部と、
前記画像出力部によって出力された複数の個別画像データが表す複数バージョンの画像に用いられた複数のバリアブル要素を記憶する要素記憶部と、
前記記憶部に記憶されている複数のバリアブル要素のなかから、操作で与えられる条件に該当するバリアブル要素を検索する要素検索部と、
前記要素検索部による検索で見つかったバリアブル要素のうち1つ以上のバリアブル要素を操作に応じて指定する要素指定部と、
前記複数の個別画像データのうち、前記要素指定部で指定されたバリアブル要素に対応した個別画像データを前記画像出力装置に再度出力する再出力部とを備えたことを特徴とする個別画像データ生成装置。
【請求項2】
前記バリアブル要素が文字からなる要素であって、
前記要素検索部が、前記条件として検索文字を与えられ、該検索文字と一部又は全部が一致するバリアブル要素を検索するものであることを特徴とする請求項1記載の個別画像データ生成装置。
【請求項3】
前記複数のバリアブル要素それぞれに付属情報が対応付けられているテーブルを取得するテーブル取得部を備え、
前記要素検索部が、前記条件として前記付属情報を与えられ、該付属情報に対応したバリアブル要素を検索するものであることを特徴とする請求項1記載の個別画像データ生成装置。
【請求項4】
コンピュータシステムに組み込まれ、そのコンピュータシステム上に、
それぞれに少なくとも1つの要素が配置される複数バージョンの画像に共通に用いられて配置されるマスタ要素と、該複数バージョンの画像それぞれで個別に用いられて配置される複数のバリアブル要素とを取得する要素取得部と、
前記マスタ要素および前記複数のバリアブル要素に基づいて前記複数バージョンの画像を個別に表わした複数の個別画像データを生成する個別画像データ生成部と、
前記個別画像データが表した画像を該個別画像データに基づいてプリント出力する画像出力装置に、前記個別画像データ生成部で生成された複数の個別画像データを出力する画像出力部と、
前記画像出力部によって出力された複数の個別画像データが表す複数バージョンの画像に用いられた複数のバリアブル要素を記憶する要素記憶部と、
前記記憶部に記憶されている複数のバリアブル要素のなかから、操作で与えられる条件に該当するバリアブル要素を検索する要素検索部と、
前記要素検索部による検索で見つかったバリアブル要素のうち1つ以上のバリアブル要素を操作に応じて指定する要素指定部と、
前記複数の個別画像データのうち、前記要素指定部で指定されたバリアブル要素に対応した個別画像データを前記画像出力装置に再度出力する再出力部とを構築することを特徴とする個別画像データ生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−217446(P2008−217446A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54281(P2007−54281)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】