個数検査装置
【課題】 パック袋2内に透明な液体が一緒に充填されている鶉卵3の個数を正確に自動計数する。
【解決手段】 複数の鶉卵3を包装したパック袋2を、間隔を開けて搬送する複数の搬送ベルトを備え、直列に配置する複数の搬送ベルトの間に搬送方向とは直交する方向に直線状の所定間隙の空隙Tが形成される搬送装置4と、搬送装置4の上方にパック袋2を投光する投光装置15と、搬送装置4の下方にパック袋2をスキャニングするラインセンサカメラ16を備える撮像装置5と、当該スキャニングした画像を基に、鶉卵3の個数を計数し、パック袋2内に正確な個数の鶉卵3が包装されていないと、パック袋2を搬送装置4のラインから排出するようにした。
【解決手段】 複数の鶉卵3を包装したパック袋2を、間隔を開けて搬送する複数の搬送ベルトを備え、直列に配置する複数の搬送ベルトの間に搬送方向とは直交する方向に直線状の所定間隙の空隙Tが形成される搬送装置4と、搬送装置4の上方にパック袋2を投光する投光装置15と、搬送装置4の下方にパック袋2をスキャニングするラインセンサカメラ16を備える撮像装置5と、当該スキャニングした画像を基に、鶉卵3の個数を計数し、パック袋2内に正確な個数の鶉卵3が包装されていないと、パック袋2を搬送装置4のラインから排出するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送ベルト等にて搬送される包装物内の検査対象物の個数を計数する画像計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示す通り、X線を使用することで、検査対象物の個数を計数する個数検査装置がある。これは、確度の高い方式で、オペレータの五感に頼ることなく、しかも、最終的に出荷する製品の形態で確実に不良品を検査することが強く望まれていた。本発明の目的は、製品に添付されるべき添付品の有無を、包装密封された最終的な製品の形態で検査することができる添付品有無検査方法及び装置を提供する。また、特許文献2に示す通り、アルミニウムパック等で包装された検査対象物をX線で個数を計数することを可能とする発明がなされている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−159770号公報
【特許文献2】特開2002−22675公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、X線検査では、包装物内の検査対象物が液体(水等)の中に浸かっている場合は、液体にX線が吸収されてしまい、検査対象物の個数を計数することが困難であった。これにより、検査対象物と一緒に液体が充填されたものについては、目視により個数を計数する以外方法がなかった。また、特許文献2の発明のX線検査にはX線検査装置と、余分な工数が必要であり簡便な発明が要望されていた。
【0005】
目視検査による場合、例えば、包装物内の検査対象物が10個入りのものであった場合、一つ一つの包装物内に検査対象物が10個入っているのかを人間が目視で確認するのは非常に手間や時間を要していた。また、搬送装置においては、一定の短い時間で多数の包装物が運ばれてくるので、その運ばれてくる包装物に遅れを取らないように人間が目視で確認する必要が生じ、その結果、急ぎの作業になり、検査対象物の個数を数え間違えてしまうおそれもあった。このように、検査対象物の個数が合っていない包装物が納品されることにより、消費者からクレームが来ることも度々あった。
本発明は上記問題点に鑑み提案されたものであって、X線検査ができない包装物内の検査対象物でも正確に個数の自動計数をすることが可能であり、簡便な構成により個数検査が実施できる個数検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、複数の検査対象物を透光性包装で包装した包装物を、間隔を開けて搬送する複数の直列に配置する搬送部を備え、前記複数の搬送部間に線状の空隙が形成されるよう配置される搬送装置と、前記搬送装置の前記空隙を通過する包装物に投光する投光装置と、前記包装物及び空隙を通過した光を受光するラインセンサカメラと、を備える撮像装置と、前記ラインセンサカメラで撮像された画像を受信し、該画像を合成した合成画像に基づいて、前記包装物内の前記検査対象物の個数を計数し、前記計数された計数値が許容個数範囲内であるか否かを判定する画像計数装置と、前記計数値が前記許容個数範囲外であると判定されると、該判定された包装物を前記搬送装置のラインから排出する排出装置と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1における「包装物」の包装素材としては、ポリプロピレン、ビニル等を使用することが挙げられる。「線状の空隙」は、搬送方向と直交する方向に形成されることが好ましい。「投光装置」が投光する光としては、ハロゲン光を使用することが挙げられる。投光方向は上下方向のいずれでもよいが、上方から下方への投光が好ましい。「ラインセンサカメラ」とは、前記空隙に運ばれた包装物の表面を線視野で捉え、一定ピッチ毎に平均したスキャニングを行い、1つの包装物について複数の画像信号を出力するものである。「合成画像」は、線視野で出力された画像を一つの画像として合成したものであり、当該一つの合成画像は、少なくとも一つの包装物を情報として含んでいる。画像計数装置は、合成画像の光の濃淡を基に、包装物内の検査対象物に対応する画素値を参照することで、包装物内に含まれている検査対象物の個数を計数する構成が好ましい。
【0008】
「許容個数範囲」には1つの正整数値(例えば10)である場合も含むし、正整数の範囲(例えば10〜12)の場合も含む。画像計数装置が、計数値が許容個数範囲内であるか否かを判定し、計数値が許容個数範囲外であると判定されると、排出装置が、許容個数範囲外であると判定された包装物を搬送装置のラインから排出するので、これにより、例えば、10個入りの検査対象物を包む包装物を製造するラインにおいて、10個を許容数値として画像計数装置に記憶させておけば、10個以外の検査対象物が内装された包装物は、排出装置により、ライン外に排出されることになるので、正確な個数の検査対象物が含まれた包装物を正確に市場に納品することが出来るのである。「排出装置」が、包装物をライン外に排出する方法の一例を次に挙げる。即ち、複数の搬送部(例えばコンベアベルト)のうち、一つの搬送部の一端を上方向に可動な構成とし、ライン外に排出される包装物が当該搬送部に差し掛かかる直前に、当該搬送部の一端を上方向に移動させることにより、包装物を搬送部の下部に排出する方法が考えられる(図2参照)。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記画像計数装置は、前記合成画像の濃淡を検出し、該濃淡により、前記検査対象物に対応する画素値の参照処理を行う画像識別手段と、当該画像識別手段により参照した画素値を基に、前記包装物内の検査対象物の個数を識別する対象物個数識別手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2においては、検査対象物の個数の計数を画像の濃淡を基に行っているので、包装物内に複数の対象物が縦に重なりあっている場合は、個数の計数を正確に行うことが難しくなる。この問題に対処する為に、包装物がラインセンサカメラ上部に差し掛かる前に、包装物をローラで押さえ、包装物の平面部の形状を平たくすることにより、検査対象物同士の縦の重なりを防止することが好ましい。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記包装物に複数種類の検査対象物が包装されたものに適用する個数検査装置において、前記画像計数装置は、前記合成画像を基に、前記検査対象物の形状を識別することにより、前記検査対象物の種類を特定する種類識別手段を備え、前記複数種類の検査対象物のそれぞれについて、個数を計数し、少なくとも1種類の検査対象物の計数値が前記許容範囲外であると判定されると、該判定された包装物を前記排出装置で排出することを特徴とする。
【0012】
「前記合成画像を基に、前記検査対象物の形状を識別することにより、前記検査対象物の種類を特定する種類識別手段」とは、例えば複数種類のおでんが包装された包装物を製造するラインにおいて、合成画像を基に、特定の丸い形を識別したら「卵」、特定の三角形の形を識別すると「こんにゃく」、特定の円形状の形を識別すると「大根」といったように、特定の形状により、その形状のものがなにかを識別する手段である。「複数種類の検査対象物のそれぞれについて、個数を計数し、少なくとも1種類の検査対象物の計数値が許容範囲外であると判定されると、該判定された包装物を前記排出装置で排出する」とあるが、例えば、複数種類の具材を含むおでん、即ち、「ちくわ」、「卵」、「こんにゃく」、「大根」の4種類の具が液体に浸った状態で市場に納品される包装物を製造するラインにおいて、画像計数装置が、種類識別手段により、「ちくわ」、「卵」、「こんにゃく」、「大根」の計4種類について、形状認識によってその種類を識別し、それぞれの種類の具の計測数が、設定された個数分、包装物に含まれていることを識別しない限り、包装物は排出装置により、ライン外に排出されることになる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、X線を使用せずに、ラインセンサカメラで撮像された画像を合成した合成画像に基づいて、検査対象物の個数を計数するので、包装物内に透明な液体が充填された検査対象物についても、自動計数をすることが可能である。従来、包装物内に透明な液体が一緒に充填されている検査対象物は、目視で確認する以外方法がなかったので、人件費の削減にもなる。また、画像計数装置は、計数値が許容個数範囲内であるか否かを判定し、計数値が許容個数範囲外であると判定すると、排出装置により判定された包装物を搬送装置のラインから排出するので、これにより、正確な個数の検査対象物が含まれた包装物のみを市場に納品することが出来る。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、画像計数装置は、合成画像の濃淡を検出し、その濃淡により、検査対象物に対応する画素値を参照する画像識別処理手段を行うので、画像計数装置に予め検査対象物に対応する画素値を記憶させ、当該画像識別手段により参照した画素値を基に対象物個数識別手段を行うことにより、包装物内の検査対象物の個数の識別を容易に行うことが出来る。また、包装物は、透光性包装が為されているので、包装物内部にある検査対象物でも、投光装置により投光した包装物をラインセンサカメラでスキャニングすることによって、特定の画素値として識別することが可能であり、また、包装物に装飾が施されている場合でも、その装飾も透光性である限り、包装物内部の対象物の個数を計数することが出来るのである。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、合成画像を基に、前記検査対象物の形状を識別することにより、検査対象物の種類を特定する種類識別手段を備えているので、例えば、包装物に様々な形状を持つ検査対象物が内装されている場合でも、様々な形状を持つ検査対象物の各々について個数の自動計数をすることが可能となる。そして、この自動計数により、少なくとも1種類の検査対象物の計数値が許容範囲外であると判定されると、判定された包装物が排出装置で排出されるので、様々な形状を持つ各々の検査対象物のうち、正確でない個数のものがあれば、ライン外に排出することができ、その結果、検査対象物の個数が正確に含まれていない包装物が納品されることを防止することが出来る。全部の種類の検査対象物の計数値が許容範囲外であると判定される場合、ライン外に排出する場合も含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態)
以下、図1〜図14を用いて本発明の実施形態の個数検査装置1について説明する。より具体的には、この個数検査装置1は、パック袋2内に水とともに密閉され、殻が除去されて茹でられた鶉卵3の個数が正確か否かを検査する装置である。図1は、鶉卵3入りの透光性のパック袋2(ここでは横100mm×縦160mm)を表している。本実施形態では、パック袋2は、1袋に鶉卵3が10個入りとなっているが、この個数は限定されるものではない。
【0017】
個数検査装置1は、大きくは、搬送装置4と、撮像装置5と、供給機6とを備え、毎秒2個の検査速度でパック袋2の検査を行うものである。
【0018】
この搬送装置4は、図2、図3に示す通り、パック袋2を一定の間隔又は任意間隔を置いて搬送するものであり、パック袋2が下方に落ちない所定の間隔の隙間が形成された1対のローラ6a,6bを備えた供給機6と、供給機6と直列に配置され複数(4本)のベルト7a,7bを備え直列に配置される複数(2本)の撮像用コンベア8a,8bと、撮像用コンベア8a,8bと直列に配置され複数(2本)のベルト9を備えた排出用コンベア10を備えている。供給機6、撮像用コンベア8a,8b、排出用コンベア10は搬送速度が同期するように制御されている。1対のローラ6a,6bは角度が傾斜して配置されてパック袋2が中央に寄せられて一列になるようにし、また、ローラ間隙は比較的狭く形成し、供給機6上ではパック袋2が転動、揺動し難くするように供給するようになっている。パック袋2は、供給機6、撮像用コンベア8a,8b、排出用コンベア10の順番に搬送されることになる。
【0019】
撮像用コンベア8a,8bは、前コンベア8aと後コンベア8bの2本のコンベアから構成されている。前コンベア8a、後コンベア8bは4本のベルトを備えている。前コンベア8aと後コンベア8bの間には、搬送方向と直交する方向に線状の空隙Tが設定されている。この空隙Tは、3mm〜5mmの範囲で設定されることが好ましい。5mmより大きくなるとパック袋2の搬送時に振動が生じ、撮影された画像にぶれが生じる。これらの前コンベア8a、後コンベア8b共に、光が反射しない無光沢な構成で形成することが好ましい。前コンベア8a、後コンベア8b、及び排出用コンベア10の両端部には、それぞれ、複数(一対)のプーリ11が設けられている。前コンベア8aの中央部に追加のプーリ11aを設け、パック袋2の通過の際、ベルトがへこんでしまうことを防止している。前コンベア8aの左端のプーリ11及び後コンベア8bの右端のプーリ11は、即ち、空隙Tに近いプーリ11は、他端のプーリに対して小口径に設定され、パック袋2の乗り移りのショックを軽減している。
【0020】
搬送装置4は、図2及び図3に示す通り、複数のプーリ11を備えた複数の駆動軸12、駆動モータ13a、駆動モータ13bを備えている。駆動モータ13aはチェーン13cを介して撮像用コンベア前コンベア8a及び後コンベア8bを駆動するものであり、駆動モータ13bはチェーン13dを介して排出用コンベア10を駆動するものである。図8に示す通り、駆動モータ13a及び駆動モータ13bは、電気制御盤14により制御されている。
【0021】
図2に示す通り、撮像装置5は、空隙Tの上方にハロゲン光を投光する投光装置15と、空隙Tの下方に設けられ投光装置15により垂直下方に投光されパック袋2を通過した光を受光し、一定ピッチで画像を撮像するラインセンサカメラ16(ここでは白黒ラインセンサカメラ)を備えている。ラインセンサカメラ16は、空隙Tをパック袋2が通過するときに、画像を撮像するように制御される。ラインセンサカメラ16の視野は0.3mm×150mmに設定されている。投光装置15の下位部にはハロゲン光を拡散する為の拡散板17が設けられている。投光装置15、ラインセンサカメラ16は共に、防塵ケース18、19に収容されている。また、投光装置15の左上部には、冷却ファン20が設けられている。
【0022】
個数検査装置1には、鶉卵3をパック袋2に包装する工程を行う包装装置(図示略)が接続されており、この包装装置(図示略)から、パック袋2が供給機6に運びこまれる。包装装置(図示略)は、鶉卵3を同時に2つのパック袋2に包装するものであり、その結果、2つのパック袋2が供給機6に同時に運び込まれることになる。供給機6は、図7に示す通り、同時に運ばれてくる2つのパック袋2を一定の間隔を置いて1列に整列させる整列装置としての役割も備えている
【0023】
個数検査装置1は、ラインセンサカメラ16でパック袋2をスキャニングした画像を受信し、その画像の合成処理を行い、合成画像21(図14参照)に基づいて、パック袋2内に内装された鶉卵3の個数を計数し、計数された個数が所定個数(ここでは10個)であるか否かを判定する画像計数装置22と、前記した合成画像21を表示するディスプレイ23と、を設けている。
【0024】
個数検査装置1は、前コンベア8aの上部には、スポンジローラー24が備えている。このスポンジローラー24は、駆動モータ13eによりチェーン13fを介して駆動され、撮像用コンベア8aの搬送速度と同じ速度になるような回転速度に設定されて、パック袋2内の鶉卵3の重なりによって、一定以上の高さを持ったパック袋2を押さえこみ、鶉卵3の重なりを解消するものである。図8に示す通り、駆動モータ13eは、電気制御盤14により制御されている。また、前コンベア8aの横部には、パック袋2が通過したことを検出するセンサであるロータリーエンコーダ25が設けられている。ロータリエンコーダ25からの信号に同期して撮像装置5が640×550画素の画像を撮像する。尚、排出用コンベア10の両端部のうち、一端部は、図2及び図6に示す通り、他端部を揺動軸として上方向に可動し、この可動により形成される開口部26aに、搬送装置4のラインから搬送されるパック袋2を、排出口26bに排出するようにしている。尚、この上方向への移動は、シリンダ13gにより行われる。
【0025】
前記した画像計数装置22は、図8の通り、ラインセンサカメラ16からの画像信号の処理を司るマイクロコンピュータを備え、CPU27、RAM28、ROM29、カウンタ30、タイマ31、ハードディスク等から構成された記憶装置32、入出力インタフェース33をバス34により相互に接続したものである。入出力インタフェース33には、電気制御盤14、ラインセンサカメラ16、ディスプレイ23、ロータリーエンコーダ25等が接続され、各種の入力信号や出力信号が入出力されるようになっている。
【0026】
次に撮像装置5及び画像計数装置22が行う動作について説明する。供給機6、撮像用コンベアの前コンベア8aを通過したパック袋2は、次に空隙Tに差し掛かる。空隙Tに差し掛かったパック袋2は、上部から投光装置15でハロゲン光により照射される。そして、投光装置15により投光されたパック袋2は、空隙Tの下部からラインセンサカメラ16によりスキャニングされる。パック袋2が空隙Tに差し掛かる前に、ロータリーエンコーダ25上をパック袋2が通過すると、ロータリーエンコーダ25が、当該通過を検出して、ラインセンサカメラ16に検出信号を送信し、ライセンサカメラ16は、この検出信号を基にパック袋2が空隙Tに差し掛かったタイミングでスキャニングすることが出来る。ラインセンサカメラ16は、パック袋2の表面を線視野で捉え、一定ピッチ毎に平均したスキャニングを行い、画像信号として出力するものであり、本実施形態においては、空隙Tにパック袋2が差し掛かると、パック袋2を0.2mm毎にスキャニングする構成にすると好適である。このようにラインセンサカメラ16は、パック袋2を0.2mm毎にスキャニングするので、空隙Tの幅は0.2mm以上とするのが好ましい。仮に、空隙Tの幅が0.1mmであったとすると、パック袋2と一緒にベルトの端部もスキャニングされることになってしまい、これにより、画像計数装置22がパック袋2内の鶉卵3を計数する際に邪魔になるからである。前記したラインセンサカメラ16でスキャニングすることにより、水平方向において、画素値が多く高分解能な画像取り込みができる。尚、ラインセンサカメラ16は、前記したように、一定ピッチ毎に平均したスキャニングを行うものなので、ラインセンサカメラ16上ではパック袋2を安定した姿勢で一定速度で進ませる必要がある。ここでは、ラインセンサカメラ16が、0.2mm毎にスキャニングする構成としたが、この数値は限定されるものではない。
【0027】
次に、画像計数装置22のCPU27により行われる画像処理について図9のフローチャートにて説明する。画像処理は、空隙Tを1袋のパック袋2が通過する毎に1回行われる処理である。画像処理が開始されると、先ず、ラインセンサカメラ16のシャッターを切る距離が0.2mm毎に設定されていて、1つのパック袋2についてスキャニングした複数の画像をラインセンサカメラ16から受信する(S100)。次に、S100によりラインセンサカメラ16から受信した複数の画像を基に、1つのパック袋2に対応する1つの画像である合成画像21を作成する(S110)。図14は、合成画像21の1例を示す図である。図14に示す通り、1つの合成画像21には、1袋のパック袋2内の情報が含まれるようにする。この合成画像21の画素値は、1000画素の画像である。尚、合成画像21の前記画素値は限定されるものではない。次に、画像計数装置22は、S110により作成した合成画像21を基に、画像の明度の濃淡を検出し、濃淡により、鶉卵3に対応する画素値の参照処理を行う(S120)。S120による参照処理を行う為には、予め、画像計数装置22に、鶉卵3に対応する画素値を記憶しておく必要がある。S120の参照処理を行った後、1袋のパック袋2内に何個の鶉卵3が包装されているかを識別する個数識別処理を行う(S130)。S130の処理を終えると、リターンに抜ける。画像計数装置22による画像処理によれば、毎秒約2袋のパック袋2内の鶉卵3の個数を識別することが出来る。
【0028】
パック袋2がスタンドパック構造で、内部で鶉卵3が重なり易い状態で、ラインセンサカメラ16にスキャニングされると、S130によりパック袋2内の複数の鶉卵3が1個の鶉卵として認識されてしまう可能性があるので、前記したスポンジローラー24により、鶉卵3の重なりを防止しているのである。また、ラインセンサカメラ16を空隙Tの下部に設けている理由は、ハロゲン光による光を下部から上部に向けて投光して、ラインセンサカメラ16により上部でスキャニングする構成であると、パック袋2内の液体の上部に浮力で浮き上がった気泡が支障となり、S130により、正確に鶉卵3の個数を認識し難くなるという問題が生じる可能性があるからである。
【0029】
パック袋2の外表面には、図1に示すような活字を含む装飾が印刷されているが、投光装置15により投光された光がその装飾を透過するので、S120により鶉卵3の画素値を参照する際に、装飾が支障になることはない。色の濃い装飾が為されている場合には、ある一定以上の光量でないと、投光装置15により投光された光が装飾を透過せずに、装飾自体が影として認識されてしまい、パック袋2内の鶉卵3の画素値を認識することができないといった事態が生じる場合がある。その場合には、投光装置15が発する光量を適宜調整可能にすると好適である。本実施形態においては、投光装置15としてのハロゲン光を発する発光体を3個有しており、光量を調整する為には、この発光体の点灯数により調整することが出来る。
【0030】
図9で説明した画像処理が行われると、画像計数装置22のCPU27による図10に示す排出処理のフローチャートを行う。排出処理が開始されると、前述のS130により識別した1袋のパック袋2内に内装されている鶉卵3の個数が10個であるか否か判定する(S200)。ここで肯定判定が為されると、リターンに抜ける。S200にて否定判定が為されると、排出用コンベア10の移動処理が行なわれる(S210)。排出用コンベア10移動処理とは、駆動モータ13bにより、図6の点線で示す通り、排出用コンベア10を一時的に1端部を軸として上方向に揺動し、規格数である10個ではない個数、例えば、数個多いもの或いは少ないものである鶉卵3が包装されたパック袋2を排出口26bに収容し、排出用コンベア10を元の位置に復帰させる処理である。排出口26bに収容され誤った個数が収容されたパック袋2内の鶉卵3は、再度、包装装置により包装される工程に戻され、鶉卵3が廃棄されるわけではなく、製品の無駄になることはない。尚、S200により肯定判定が為されたパック袋2、即ち、正確な個数の鶉卵3が含まれたパック袋2については、撮像用コンベア8a,8bを通過した後、そのまま、排出用コンベア10を揺動させずに通常の位置にある図6の実線で示す排出用コンベア10上を通過し、市場に提供されることになる。
【0031】
画像計数装置22での検査パラメータについて図11を参照して説明する。ディスプレイ23上で「2値化レベル%」,「袋底オフセットmm」を指定することができる。値を変更すると「ランク更新」ボタンが赤色に変わる。「ランク更新」ボタンを押すと変更された値が測定に反映される。検査パラメータは電気制御盤14で変更することもできる。「ランクロード」,「ランクセーブ」は検査パラメータをパラメータファイルとしてファイリングすることができる。「測定テスト」ボタンはスタッフモードで選択することができる。「測定テスト」ボタンはディスプレイ23に表示されているパック袋2の測定テストを行うことができる。このボタンにより検査パラメータの効果を確認することができる。「2値化レベル%」は鶉卵3の輪郭を検出するレベルを指定する。0.1から99.9%の値を指定することができる。値を小さくすると鶉卵3の輪郭を分離する効果が上がるが、濃淡が薄い鶉卵3の画像は検出することができなくなる。値を大きくすると、濃淡が薄い鶉卵3を検出する効果が上がるが、隣同士の鶉卵3の画像がくっついて1個として数えてしまうことがあるので、適宜の値で調整できるようになっている。「袋底オフセットmm」はパック袋2の底部の幅を指定する。パック袋2の画像ではディスプレイ23右側の暗く表示される部分の幅を示す。パック袋2の底部は表面印刷が濃く黒っぽく撮像されるために鶉卵3の誤検出の原因になる。底部の幅を指定して誤検出を防いでいる。パック袋2の全体が透明に撮像される場合は、0mmに指定する。
【0032】
画像設定メニューの表示画面について図12を参照して説明する。
「測定」パネルは自動運転におけるパック袋2の測定の画像処理パラメータを詳細に設定するものである。
「測定テスト」ボタンはディスプレイ23に表示されているパック袋2のテストを行うことができる。このボタンにより測定パラメータや検査パラメータの効果を確認することができる。
「外形検出2値化レベル%」はパック袋2の外形を認識するための閾値を指定する。パック袋2の外形を認識してパック袋2の回転補正と鶉卵3の個数の測定範囲を限定する。
「画像保存」ボタンを押して所定色表示のON状態にすると、測定したパック袋2の画像をすべてファイルに保存する。
「NG保存」ボタンを押して所定色表示のON状態にすると、パック袋2の測定結果で本ボタン下の個数で指定した値と異なる測定個数の時にのみファイルに保存する。
「結果固定」ボタンを押して緑色表示のON状態にすると、パック袋2の測定結果にかかわらず本ボタン右で指定した個数を結果として表示出力する。電気制御盤14のコンベア制御の調整に使用することができる。
「画像」パネルはカメラ画像の制御を行うものである。
「ライブ」ボタンを押すと、「ポーズ」ボタンに切り替わり、「ポーズ」ボタンを押すと、「ライブ」ボタンに切り替わり、この「ライブ」,「ポーズ」ボタンは、カメラ入力画像の表示を静止画/動画に切り替えることができる。
「ロード」,「セーブ」は画像ファイルの画像をロード、表示画像のファイルセーブを行うことができる。
「露光時間」はラインセンサカメラ16の画像取込時間を調整することができる。ボタンの右側の[msec]時間で露光時間を変更して「露光時間」ボタンを押すと変更が更新される。露光時間を短くすると取込画像は暗くなり、長くすると明るくなる。長くし過ぎると画像取込時間が間に合わなくなって正常な画像を取り込めなくなる。
「表示」パネルは画像の評価を行うものである。
「画面印刷」,「画面セーブ」は表示画像のグラフィック表示も含めて印刷や画像ファイリングすることができる。印刷を行うにはパソコンのプリンタ設定を正しく行う必要がある。
「2Dプロフ」は表示画像に水平,垂直の罫線を表示して罫線上の輝度データを波形表示することができる。マウスで画像をクリックすると罫線を移動することができる。
「寸法」ボタンを選択すると「距離測定メニュー」が表示されて、画像の寸法測定を行うことができる。
「エンハンス」パネルはカメラ画像表示のコントラストを調整するものである。運転中は必ずOFFとする。
「エンハンス」ボタンを選択すると「ゲイン」,「オフセット」の調整が有効になってコントラストを手動調整することができる。
「オート」ボタンを選択すると「範囲」で指定した矩形内の輝度を調べてコントラストが最大になるように「ゲイン」,「オフセット」を自動設定する。
「範囲」ボタンを選択すると「領域設定メニュー」が表示されて「オート」による自動エンハンスの対象範囲矩形を指定することができる。
【0033】
図13は、ディスプレイ23の表示例である。パック袋2の輪郭及び計数される鶉卵3の画像は黒色で表示され、計数される範囲は測定範囲枠41で囲まれる通り表示されている。鶉卵3を認識する為の画素値、及び大きさは、メニュー35の各種メニューボタン36により設定可能となっている。また、測定範囲枠41の範囲もメニューボタン36により調整可能である。これにより、どのような形状のパック袋2内も計数することが可能となるのである。パック袋2のうち、鶉卵3の画素値と近い画素値として検出される可能性のある部位を、ディスプレイ23上で計数しない範囲として設定することにより、鶉卵3の画像でない箇所を誤検出してしまうことを防ぎ、より正確に鶉卵3の個数を判断することが出来る。パック袋2内の上端部(図では左側領域)は、鶉卵3と近い画素値で検出される可能性があるので、計数する範囲として設定していない。また、パック袋2の底は、鶉卵3が入ることはないので、この間はオフセットOFFということで計測しない領域である。
【0034】
上記メニューボタン36により、合成画像21の鶉卵3の画像の輪郭を検出するレベルの「閾値」を指定することが出来る。この閾値の値を小さくし過ぎると、多少、鶉卵3同士が重なっていても、鶉卵3の輪郭を検出することができ、それにより、一つ一つの卵を分離して認識できる効果が上がるが、画素値が小さい鶉卵3は検出することができなくなる。一方、閾値を大きくし過ぎると、画素値が小さい卵は検出することができるが、多少重なった鶉卵3を分離して認識する能力が下がり、複数の鶉卵3を1個として数えてしまうことがある。この閾値は、ディスプレイ23に表示される合成画像21を確認しながら、適切な値に適宜調整する必要がある。
【0035】
図13に示すメニュー37の「測定中」とあるのは、画像計数装置22の動作状態を示すメニューである。画像計数装置22が非作動の場合には、メニュー37には「停止中」と表示される。
【0036】
ラインセンサカメラ16からの取込画像は合成画像21としてディスプレイ23の右下のカメラ取込画像38に表示される(図14参照)。コンベア進行方向は左から右になる。パック袋2の裏側から撮像しているために、ディスプレイ23上側は進行方向に向かって右側、ディスプレイ23下側は左側になる。パック袋2の底面はディスプレイ23の右側、頭部はディスプレイ23の左側になる。メニュー39には、画像計数装置22により計数されたパック袋2内の鶉卵3の個数が表示される。ディスプレイ23の中央40には回転補正してセンタリングされたパック袋2の画像が表示される。測定結果は「個数判定結果」として画面右下のメニュー39に表示される。測定された鶉卵3の画像の個々に、測定された画像について点線円(黒に白抜きの点線円)で表示される。鶉卵3の測定範囲は測定範囲枠41で矩形表示される。
【0037】
ディスプレイ23に表示された合成画像21は、保存や印刷も可能である。これにより、後で計数に関する問題が生じたときに、保存、印刷した画像を参照することで、問題点を探るのが容易に可能となる。更に、マウスで操作可能なポインタを操作することにより、合成画像21からパック袋2或いはパック袋2内の鶉卵3の画像の寸法や実寸を測ること出来るようにすると好適である。
【0038】
以上説明した本実施形態によれば、画像計数装置22により、合成画像21を基に、鶉卵3に対応する画素値を参照し、参照結果を基にパック袋2内の鶉卵3の個数を正確に識別することが出来る。また、X線を使用せずに、個数を計数するので、パック袋2内に透光性の液体(水)が充填された鶉卵3についても、自動計数をすることが可能である。これにより、パック袋2内の鶉卵3を目視で確認する必要がなくなり、個数の数え間違いを解消し人件費の削減にもなる。
【0039】
パック袋2は、透光性包装が為されているので、パック袋2内部にある鶉卵3でも、投光装置15によりパック袋2を投光し、更にパック袋2を当該ラインセンサカメラ16でスキャニングすることによって、特定の画素値として識別することが可能であり、また、パック袋2に装飾が施されている場合でも、その装飾が透光性である限り、パック袋2内部の鶉卵3を特定の画素値として識別し、個数を計数することが出来る。
【0040】
パック袋2内に鶉卵3が10個以外の正確でない個数含まれたパック袋2については、図10に示す排出処理で、排出用コンベア10を上方向に移動させ、ライン外に排出することにより、鶉卵3の個数が合っていないパック袋2が納品されることを防止出来る。
【0041】
図7に示す供給機6は、1袋毎にパック袋2を間隔を開けて搬送するので、ラインセンサカメラ16により線視野で捉えた一つの画像に、2つのパック袋2が含まれることはなく、画像計数装置22が1袋毎正確に鶉卵3の個数を計数することが出来る。
【0042】
以上、本実施形態の好適な実施の形態を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではないことは無論であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で多くの変更などをし得ることは当業者であれば当然である。
(1)本実施形態の個数検査装置1では、鶉卵3を例に挙げたが、パック袋2内に内装された各種の野菜類、果実類、農産物等にも適用が可能である。また、パック袋2内の内装物の種類に応じて適宜な設定変更が可能である。パック袋2内に充填される液体についても、その液体が透光性であれば、水以外でも含まれる。
(2)本実施形態では、画像計数装置22により、パック袋2内の鶉卵3の個数を識別可能としたが、例えば、パック袋2内におでんの具(例えば、大根、こんにゃく、ちくわ)等の複数種類の形状のものが含まれたものについては、各々の形状毎の個数の識別が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態におけるパック袋2を示す図である。
【図2】実施形態における個数検査装置1の正面図である。
【図3】同平面図である。
【図4】同右側面図である。
【図5】同撮像用コンベアの拡大平面図である。
【図6】同撮像用コンベアの拡大右側面図である。
【図7】個数検査装置1のうち、供給機6の平面図である。
【図8】画像計数装置22のブロック図である。
【図9】画像計数装置22による画像処理を示すフローチャートである。
【図10】画像計数装置22による排出処理を示すフローチャートである。
【図11】検査パラメータの表示例を示す説明図である。
【図12】画像設定の表示例を示す説明図である。
【図13】ディスプレイ23の表示例を示す画面図である。
【図14】画像計数装置22により合成された合成画像21を示す画面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…個数検査装置 2…包装物 3…鶉卵 4…搬送装置 5…撮像装置
6…供給機 8…撮像用コンベア 10…排出用コンベア 15…投光装置
16…ラインセンサカメラ 21…合成画像 22…画像計数装置
23…ディスプレイ 26…排出口 T…空隙
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送ベルト等にて搬送される包装物内の検査対象物の個数を計数する画像計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示す通り、X線を使用することで、検査対象物の個数を計数する個数検査装置がある。これは、確度の高い方式で、オペレータの五感に頼ることなく、しかも、最終的に出荷する製品の形態で確実に不良品を検査することが強く望まれていた。本発明の目的は、製品に添付されるべき添付品の有無を、包装密封された最終的な製品の形態で検査することができる添付品有無検査方法及び装置を提供する。また、特許文献2に示す通り、アルミニウムパック等で包装された検査対象物をX線で個数を計数することを可能とする発明がなされている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−159770号公報
【特許文献2】特開2002−22675公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、X線検査では、包装物内の検査対象物が液体(水等)の中に浸かっている場合は、液体にX線が吸収されてしまい、検査対象物の個数を計数することが困難であった。これにより、検査対象物と一緒に液体が充填されたものについては、目視により個数を計数する以外方法がなかった。また、特許文献2の発明のX線検査にはX線検査装置と、余分な工数が必要であり簡便な発明が要望されていた。
【0005】
目視検査による場合、例えば、包装物内の検査対象物が10個入りのものであった場合、一つ一つの包装物内に検査対象物が10個入っているのかを人間が目視で確認するのは非常に手間や時間を要していた。また、搬送装置においては、一定の短い時間で多数の包装物が運ばれてくるので、その運ばれてくる包装物に遅れを取らないように人間が目視で確認する必要が生じ、その結果、急ぎの作業になり、検査対象物の個数を数え間違えてしまうおそれもあった。このように、検査対象物の個数が合っていない包装物が納品されることにより、消費者からクレームが来ることも度々あった。
本発明は上記問題点に鑑み提案されたものであって、X線検査ができない包装物内の検査対象物でも正確に個数の自動計数をすることが可能であり、簡便な構成により個数検査が実施できる個数検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、複数の検査対象物を透光性包装で包装した包装物を、間隔を開けて搬送する複数の直列に配置する搬送部を備え、前記複数の搬送部間に線状の空隙が形成されるよう配置される搬送装置と、前記搬送装置の前記空隙を通過する包装物に投光する投光装置と、前記包装物及び空隙を通過した光を受光するラインセンサカメラと、を備える撮像装置と、前記ラインセンサカメラで撮像された画像を受信し、該画像を合成した合成画像に基づいて、前記包装物内の前記検査対象物の個数を計数し、前記計数された計数値が許容個数範囲内であるか否かを判定する画像計数装置と、前記計数値が前記許容個数範囲外であると判定されると、該判定された包装物を前記搬送装置のラインから排出する排出装置と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1における「包装物」の包装素材としては、ポリプロピレン、ビニル等を使用することが挙げられる。「線状の空隙」は、搬送方向と直交する方向に形成されることが好ましい。「投光装置」が投光する光としては、ハロゲン光を使用することが挙げられる。投光方向は上下方向のいずれでもよいが、上方から下方への投光が好ましい。「ラインセンサカメラ」とは、前記空隙に運ばれた包装物の表面を線視野で捉え、一定ピッチ毎に平均したスキャニングを行い、1つの包装物について複数の画像信号を出力するものである。「合成画像」は、線視野で出力された画像を一つの画像として合成したものであり、当該一つの合成画像は、少なくとも一つの包装物を情報として含んでいる。画像計数装置は、合成画像の光の濃淡を基に、包装物内の検査対象物に対応する画素値を参照することで、包装物内に含まれている検査対象物の個数を計数する構成が好ましい。
【0008】
「許容個数範囲」には1つの正整数値(例えば10)である場合も含むし、正整数の範囲(例えば10〜12)の場合も含む。画像計数装置が、計数値が許容個数範囲内であるか否かを判定し、計数値が許容個数範囲外であると判定されると、排出装置が、許容個数範囲外であると判定された包装物を搬送装置のラインから排出するので、これにより、例えば、10個入りの検査対象物を包む包装物を製造するラインにおいて、10個を許容数値として画像計数装置に記憶させておけば、10個以外の検査対象物が内装された包装物は、排出装置により、ライン外に排出されることになるので、正確な個数の検査対象物が含まれた包装物を正確に市場に納品することが出来るのである。「排出装置」が、包装物をライン外に排出する方法の一例を次に挙げる。即ち、複数の搬送部(例えばコンベアベルト)のうち、一つの搬送部の一端を上方向に可動な構成とし、ライン外に排出される包装物が当該搬送部に差し掛かかる直前に、当該搬送部の一端を上方向に移動させることにより、包装物を搬送部の下部に排出する方法が考えられる(図2参照)。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記画像計数装置は、前記合成画像の濃淡を検出し、該濃淡により、前記検査対象物に対応する画素値の参照処理を行う画像識別手段と、当該画像識別手段により参照した画素値を基に、前記包装物内の検査対象物の個数を識別する対象物個数識別手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2においては、検査対象物の個数の計数を画像の濃淡を基に行っているので、包装物内に複数の対象物が縦に重なりあっている場合は、個数の計数を正確に行うことが難しくなる。この問題に対処する為に、包装物がラインセンサカメラ上部に差し掛かる前に、包装物をローラで押さえ、包装物の平面部の形状を平たくすることにより、検査対象物同士の縦の重なりを防止することが好ましい。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記包装物に複数種類の検査対象物が包装されたものに適用する個数検査装置において、前記画像計数装置は、前記合成画像を基に、前記検査対象物の形状を識別することにより、前記検査対象物の種類を特定する種類識別手段を備え、前記複数種類の検査対象物のそれぞれについて、個数を計数し、少なくとも1種類の検査対象物の計数値が前記許容範囲外であると判定されると、該判定された包装物を前記排出装置で排出することを特徴とする。
【0012】
「前記合成画像を基に、前記検査対象物の形状を識別することにより、前記検査対象物の種類を特定する種類識別手段」とは、例えば複数種類のおでんが包装された包装物を製造するラインにおいて、合成画像を基に、特定の丸い形を識別したら「卵」、特定の三角形の形を識別すると「こんにゃく」、特定の円形状の形を識別すると「大根」といったように、特定の形状により、その形状のものがなにかを識別する手段である。「複数種類の検査対象物のそれぞれについて、個数を計数し、少なくとも1種類の検査対象物の計数値が許容範囲外であると判定されると、該判定された包装物を前記排出装置で排出する」とあるが、例えば、複数種類の具材を含むおでん、即ち、「ちくわ」、「卵」、「こんにゃく」、「大根」の4種類の具が液体に浸った状態で市場に納品される包装物を製造するラインにおいて、画像計数装置が、種類識別手段により、「ちくわ」、「卵」、「こんにゃく」、「大根」の計4種類について、形状認識によってその種類を識別し、それぞれの種類の具の計測数が、設定された個数分、包装物に含まれていることを識別しない限り、包装物は排出装置により、ライン外に排出されることになる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、X線を使用せずに、ラインセンサカメラで撮像された画像を合成した合成画像に基づいて、検査対象物の個数を計数するので、包装物内に透明な液体が充填された検査対象物についても、自動計数をすることが可能である。従来、包装物内に透明な液体が一緒に充填されている検査対象物は、目視で確認する以外方法がなかったので、人件費の削減にもなる。また、画像計数装置は、計数値が許容個数範囲内であるか否かを判定し、計数値が許容個数範囲外であると判定すると、排出装置により判定された包装物を搬送装置のラインから排出するので、これにより、正確な個数の検査対象物が含まれた包装物のみを市場に納品することが出来る。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、画像計数装置は、合成画像の濃淡を検出し、その濃淡により、検査対象物に対応する画素値を参照する画像識別処理手段を行うので、画像計数装置に予め検査対象物に対応する画素値を記憶させ、当該画像識別手段により参照した画素値を基に対象物個数識別手段を行うことにより、包装物内の検査対象物の個数の識別を容易に行うことが出来る。また、包装物は、透光性包装が為されているので、包装物内部にある検査対象物でも、投光装置により投光した包装物をラインセンサカメラでスキャニングすることによって、特定の画素値として識別することが可能であり、また、包装物に装飾が施されている場合でも、その装飾も透光性である限り、包装物内部の対象物の個数を計数することが出来るのである。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、合成画像を基に、前記検査対象物の形状を識別することにより、検査対象物の種類を特定する種類識別手段を備えているので、例えば、包装物に様々な形状を持つ検査対象物が内装されている場合でも、様々な形状を持つ検査対象物の各々について個数の自動計数をすることが可能となる。そして、この自動計数により、少なくとも1種類の検査対象物の計数値が許容範囲外であると判定されると、判定された包装物が排出装置で排出されるので、様々な形状を持つ各々の検査対象物のうち、正確でない個数のものがあれば、ライン外に排出することができ、その結果、検査対象物の個数が正確に含まれていない包装物が納品されることを防止することが出来る。全部の種類の検査対象物の計数値が許容範囲外であると判定される場合、ライン外に排出する場合も含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態)
以下、図1〜図14を用いて本発明の実施形態の個数検査装置1について説明する。より具体的には、この個数検査装置1は、パック袋2内に水とともに密閉され、殻が除去されて茹でられた鶉卵3の個数が正確か否かを検査する装置である。図1は、鶉卵3入りの透光性のパック袋2(ここでは横100mm×縦160mm)を表している。本実施形態では、パック袋2は、1袋に鶉卵3が10個入りとなっているが、この個数は限定されるものではない。
【0017】
個数検査装置1は、大きくは、搬送装置4と、撮像装置5と、供給機6とを備え、毎秒2個の検査速度でパック袋2の検査を行うものである。
【0018】
この搬送装置4は、図2、図3に示す通り、パック袋2を一定の間隔又は任意間隔を置いて搬送するものであり、パック袋2が下方に落ちない所定の間隔の隙間が形成された1対のローラ6a,6bを備えた供給機6と、供給機6と直列に配置され複数(4本)のベルト7a,7bを備え直列に配置される複数(2本)の撮像用コンベア8a,8bと、撮像用コンベア8a,8bと直列に配置され複数(2本)のベルト9を備えた排出用コンベア10を備えている。供給機6、撮像用コンベア8a,8b、排出用コンベア10は搬送速度が同期するように制御されている。1対のローラ6a,6bは角度が傾斜して配置されてパック袋2が中央に寄せられて一列になるようにし、また、ローラ間隙は比較的狭く形成し、供給機6上ではパック袋2が転動、揺動し難くするように供給するようになっている。パック袋2は、供給機6、撮像用コンベア8a,8b、排出用コンベア10の順番に搬送されることになる。
【0019】
撮像用コンベア8a,8bは、前コンベア8aと後コンベア8bの2本のコンベアから構成されている。前コンベア8a、後コンベア8bは4本のベルトを備えている。前コンベア8aと後コンベア8bの間には、搬送方向と直交する方向に線状の空隙Tが設定されている。この空隙Tは、3mm〜5mmの範囲で設定されることが好ましい。5mmより大きくなるとパック袋2の搬送時に振動が生じ、撮影された画像にぶれが生じる。これらの前コンベア8a、後コンベア8b共に、光が反射しない無光沢な構成で形成することが好ましい。前コンベア8a、後コンベア8b、及び排出用コンベア10の両端部には、それぞれ、複数(一対)のプーリ11が設けられている。前コンベア8aの中央部に追加のプーリ11aを設け、パック袋2の通過の際、ベルトがへこんでしまうことを防止している。前コンベア8aの左端のプーリ11及び後コンベア8bの右端のプーリ11は、即ち、空隙Tに近いプーリ11は、他端のプーリに対して小口径に設定され、パック袋2の乗り移りのショックを軽減している。
【0020】
搬送装置4は、図2及び図3に示す通り、複数のプーリ11を備えた複数の駆動軸12、駆動モータ13a、駆動モータ13bを備えている。駆動モータ13aはチェーン13cを介して撮像用コンベア前コンベア8a及び後コンベア8bを駆動するものであり、駆動モータ13bはチェーン13dを介して排出用コンベア10を駆動するものである。図8に示す通り、駆動モータ13a及び駆動モータ13bは、電気制御盤14により制御されている。
【0021】
図2に示す通り、撮像装置5は、空隙Tの上方にハロゲン光を投光する投光装置15と、空隙Tの下方に設けられ投光装置15により垂直下方に投光されパック袋2を通過した光を受光し、一定ピッチで画像を撮像するラインセンサカメラ16(ここでは白黒ラインセンサカメラ)を備えている。ラインセンサカメラ16は、空隙Tをパック袋2が通過するときに、画像を撮像するように制御される。ラインセンサカメラ16の視野は0.3mm×150mmに設定されている。投光装置15の下位部にはハロゲン光を拡散する為の拡散板17が設けられている。投光装置15、ラインセンサカメラ16は共に、防塵ケース18、19に収容されている。また、投光装置15の左上部には、冷却ファン20が設けられている。
【0022】
個数検査装置1には、鶉卵3をパック袋2に包装する工程を行う包装装置(図示略)が接続されており、この包装装置(図示略)から、パック袋2が供給機6に運びこまれる。包装装置(図示略)は、鶉卵3を同時に2つのパック袋2に包装するものであり、その結果、2つのパック袋2が供給機6に同時に運び込まれることになる。供給機6は、図7に示す通り、同時に運ばれてくる2つのパック袋2を一定の間隔を置いて1列に整列させる整列装置としての役割も備えている
【0023】
個数検査装置1は、ラインセンサカメラ16でパック袋2をスキャニングした画像を受信し、その画像の合成処理を行い、合成画像21(図14参照)に基づいて、パック袋2内に内装された鶉卵3の個数を計数し、計数された個数が所定個数(ここでは10個)であるか否かを判定する画像計数装置22と、前記した合成画像21を表示するディスプレイ23と、を設けている。
【0024】
個数検査装置1は、前コンベア8aの上部には、スポンジローラー24が備えている。このスポンジローラー24は、駆動モータ13eによりチェーン13fを介して駆動され、撮像用コンベア8aの搬送速度と同じ速度になるような回転速度に設定されて、パック袋2内の鶉卵3の重なりによって、一定以上の高さを持ったパック袋2を押さえこみ、鶉卵3の重なりを解消するものである。図8に示す通り、駆動モータ13eは、電気制御盤14により制御されている。また、前コンベア8aの横部には、パック袋2が通過したことを検出するセンサであるロータリーエンコーダ25が設けられている。ロータリエンコーダ25からの信号に同期して撮像装置5が640×550画素の画像を撮像する。尚、排出用コンベア10の両端部のうち、一端部は、図2及び図6に示す通り、他端部を揺動軸として上方向に可動し、この可動により形成される開口部26aに、搬送装置4のラインから搬送されるパック袋2を、排出口26bに排出するようにしている。尚、この上方向への移動は、シリンダ13gにより行われる。
【0025】
前記した画像計数装置22は、図8の通り、ラインセンサカメラ16からの画像信号の処理を司るマイクロコンピュータを備え、CPU27、RAM28、ROM29、カウンタ30、タイマ31、ハードディスク等から構成された記憶装置32、入出力インタフェース33をバス34により相互に接続したものである。入出力インタフェース33には、電気制御盤14、ラインセンサカメラ16、ディスプレイ23、ロータリーエンコーダ25等が接続され、各種の入力信号や出力信号が入出力されるようになっている。
【0026】
次に撮像装置5及び画像計数装置22が行う動作について説明する。供給機6、撮像用コンベアの前コンベア8aを通過したパック袋2は、次に空隙Tに差し掛かる。空隙Tに差し掛かったパック袋2は、上部から投光装置15でハロゲン光により照射される。そして、投光装置15により投光されたパック袋2は、空隙Tの下部からラインセンサカメラ16によりスキャニングされる。パック袋2が空隙Tに差し掛かる前に、ロータリーエンコーダ25上をパック袋2が通過すると、ロータリーエンコーダ25が、当該通過を検出して、ラインセンサカメラ16に検出信号を送信し、ライセンサカメラ16は、この検出信号を基にパック袋2が空隙Tに差し掛かったタイミングでスキャニングすることが出来る。ラインセンサカメラ16は、パック袋2の表面を線視野で捉え、一定ピッチ毎に平均したスキャニングを行い、画像信号として出力するものであり、本実施形態においては、空隙Tにパック袋2が差し掛かると、パック袋2を0.2mm毎にスキャニングする構成にすると好適である。このようにラインセンサカメラ16は、パック袋2を0.2mm毎にスキャニングするので、空隙Tの幅は0.2mm以上とするのが好ましい。仮に、空隙Tの幅が0.1mmであったとすると、パック袋2と一緒にベルトの端部もスキャニングされることになってしまい、これにより、画像計数装置22がパック袋2内の鶉卵3を計数する際に邪魔になるからである。前記したラインセンサカメラ16でスキャニングすることにより、水平方向において、画素値が多く高分解能な画像取り込みができる。尚、ラインセンサカメラ16は、前記したように、一定ピッチ毎に平均したスキャニングを行うものなので、ラインセンサカメラ16上ではパック袋2を安定した姿勢で一定速度で進ませる必要がある。ここでは、ラインセンサカメラ16が、0.2mm毎にスキャニングする構成としたが、この数値は限定されるものではない。
【0027】
次に、画像計数装置22のCPU27により行われる画像処理について図9のフローチャートにて説明する。画像処理は、空隙Tを1袋のパック袋2が通過する毎に1回行われる処理である。画像処理が開始されると、先ず、ラインセンサカメラ16のシャッターを切る距離が0.2mm毎に設定されていて、1つのパック袋2についてスキャニングした複数の画像をラインセンサカメラ16から受信する(S100)。次に、S100によりラインセンサカメラ16から受信した複数の画像を基に、1つのパック袋2に対応する1つの画像である合成画像21を作成する(S110)。図14は、合成画像21の1例を示す図である。図14に示す通り、1つの合成画像21には、1袋のパック袋2内の情報が含まれるようにする。この合成画像21の画素値は、1000画素の画像である。尚、合成画像21の前記画素値は限定されるものではない。次に、画像計数装置22は、S110により作成した合成画像21を基に、画像の明度の濃淡を検出し、濃淡により、鶉卵3に対応する画素値の参照処理を行う(S120)。S120による参照処理を行う為には、予め、画像計数装置22に、鶉卵3に対応する画素値を記憶しておく必要がある。S120の参照処理を行った後、1袋のパック袋2内に何個の鶉卵3が包装されているかを識別する個数識別処理を行う(S130)。S130の処理を終えると、リターンに抜ける。画像計数装置22による画像処理によれば、毎秒約2袋のパック袋2内の鶉卵3の個数を識別することが出来る。
【0028】
パック袋2がスタンドパック構造で、内部で鶉卵3が重なり易い状態で、ラインセンサカメラ16にスキャニングされると、S130によりパック袋2内の複数の鶉卵3が1個の鶉卵として認識されてしまう可能性があるので、前記したスポンジローラー24により、鶉卵3の重なりを防止しているのである。また、ラインセンサカメラ16を空隙Tの下部に設けている理由は、ハロゲン光による光を下部から上部に向けて投光して、ラインセンサカメラ16により上部でスキャニングする構成であると、パック袋2内の液体の上部に浮力で浮き上がった気泡が支障となり、S130により、正確に鶉卵3の個数を認識し難くなるという問題が生じる可能性があるからである。
【0029】
パック袋2の外表面には、図1に示すような活字を含む装飾が印刷されているが、投光装置15により投光された光がその装飾を透過するので、S120により鶉卵3の画素値を参照する際に、装飾が支障になることはない。色の濃い装飾が為されている場合には、ある一定以上の光量でないと、投光装置15により投光された光が装飾を透過せずに、装飾自体が影として認識されてしまい、パック袋2内の鶉卵3の画素値を認識することができないといった事態が生じる場合がある。その場合には、投光装置15が発する光量を適宜調整可能にすると好適である。本実施形態においては、投光装置15としてのハロゲン光を発する発光体を3個有しており、光量を調整する為には、この発光体の点灯数により調整することが出来る。
【0030】
図9で説明した画像処理が行われると、画像計数装置22のCPU27による図10に示す排出処理のフローチャートを行う。排出処理が開始されると、前述のS130により識別した1袋のパック袋2内に内装されている鶉卵3の個数が10個であるか否か判定する(S200)。ここで肯定判定が為されると、リターンに抜ける。S200にて否定判定が為されると、排出用コンベア10の移動処理が行なわれる(S210)。排出用コンベア10移動処理とは、駆動モータ13bにより、図6の点線で示す通り、排出用コンベア10を一時的に1端部を軸として上方向に揺動し、規格数である10個ではない個数、例えば、数個多いもの或いは少ないものである鶉卵3が包装されたパック袋2を排出口26bに収容し、排出用コンベア10を元の位置に復帰させる処理である。排出口26bに収容され誤った個数が収容されたパック袋2内の鶉卵3は、再度、包装装置により包装される工程に戻され、鶉卵3が廃棄されるわけではなく、製品の無駄になることはない。尚、S200により肯定判定が為されたパック袋2、即ち、正確な個数の鶉卵3が含まれたパック袋2については、撮像用コンベア8a,8bを通過した後、そのまま、排出用コンベア10を揺動させずに通常の位置にある図6の実線で示す排出用コンベア10上を通過し、市場に提供されることになる。
【0031】
画像計数装置22での検査パラメータについて図11を参照して説明する。ディスプレイ23上で「2値化レベル%」,「袋底オフセットmm」を指定することができる。値を変更すると「ランク更新」ボタンが赤色に変わる。「ランク更新」ボタンを押すと変更された値が測定に反映される。検査パラメータは電気制御盤14で変更することもできる。「ランクロード」,「ランクセーブ」は検査パラメータをパラメータファイルとしてファイリングすることができる。「測定テスト」ボタンはスタッフモードで選択することができる。「測定テスト」ボタンはディスプレイ23に表示されているパック袋2の測定テストを行うことができる。このボタンにより検査パラメータの効果を確認することができる。「2値化レベル%」は鶉卵3の輪郭を検出するレベルを指定する。0.1から99.9%の値を指定することができる。値を小さくすると鶉卵3の輪郭を分離する効果が上がるが、濃淡が薄い鶉卵3の画像は検出することができなくなる。値を大きくすると、濃淡が薄い鶉卵3を検出する効果が上がるが、隣同士の鶉卵3の画像がくっついて1個として数えてしまうことがあるので、適宜の値で調整できるようになっている。「袋底オフセットmm」はパック袋2の底部の幅を指定する。パック袋2の画像ではディスプレイ23右側の暗く表示される部分の幅を示す。パック袋2の底部は表面印刷が濃く黒っぽく撮像されるために鶉卵3の誤検出の原因になる。底部の幅を指定して誤検出を防いでいる。パック袋2の全体が透明に撮像される場合は、0mmに指定する。
【0032】
画像設定メニューの表示画面について図12を参照して説明する。
「測定」パネルは自動運転におけるパック袋2の測定の画像処理パラメータを詳細に設定するものである。
「測定テスト」ボタンはディスプレイ23に表示されているパック袋2のテストを行うことができる。このボタンにより測定パラメータや検査パラメータの効果を確認することができる。
「外形検出2値化レベル%」はパック袋2の外形を認識するための閾値を指定する。パック袋2の外形を認識してパック袋2の回転補正と鶉卵3の個数の測定範囲を限定する。
「画像保存」ボタンを押して所定色表示のON状態にすると、測定したパック袋2の画像をすべてファイルに保存する。
「NG保存」ボタンを押して所定色表示のON状態にすると、パック袋2の測定結果で本ボタン下の個数で指定した値と異なる測定個数の時にのみファイルに保存する。
「結果固定」ボタンを押して緑色表示のON状態にすると、パック袋2の測定結果にかかわらず本ボタン右で指定した個数を結果として表示出力する。電気制御盤14のコンベア制御の調整に使用することができる。
「画像」パネルはカメラ画像の制御を行うものである。
「ライブ」ボタンを押すと、「ポーズ」ボタンに切り替わり、「ポーズ」ボタンを押すと、「ライブ」ボタンに切り替わり、この「ライブ」,「ポーズ」ボタンは、カメラ入力画像の表示を静止画/動画に切り替えることができる。
「ロード」,「セーブ」は画像ファイルの画像をロード、表示画像のファイルセーブを行うことができる。
「露光時間」はラインセンサカメラ16の画像取込時間を調整することができる。ボタンの右側の[msec]時間で露光時間を変更して「露光時間」ボタンを押すと変更が更新される。露光時間を短くすると取込画像は暗くなり、長くすると明るくなる。長くし過ぎると画像取込時間が間に合わなくなって正常な画像を取り込めなくなる。
「表示」パネルは画像の評価を行うものである。
「画面印刷」,「画面セーブ」は表示画像のグラフィック表示も含めて印刷や画像ファイリングすることができる。印刷を行うにはパソコンのプリンタ設定を正しく行う必要がある。
「2Dプロフ」は表示画像に水平,垂直の罫線を表示して罫線上の輝度データを波形表示することができる。マウスで画像をクリックすると罫線を移動することができる。
「寸法」ボタンを選択すると「距離測定メニュー」が表示されて、画像の寸法測定を行うことができる。
「エンハンス」パネルはカメラ画像表示のコントラストを調整するものである。運転中は必ずOFFとする。
「エンハンス」ボタンを選択すると「ゲイン」,「オフセット」の調整が有効になってコントラストを手動調整することができる。
「オート」ボタンを選択すると「範囲」で指定した矩形内の輝度を調べてコントラストが最大になるように「ゲイン」,「オフセット」を自動設定する。
「範囲」ボタンを選択すると「領域設定メニュー」が表示されて「オート」による自動エンハンスの対象範囲矩形を指定することができる。
【0033】
図13は、ディスプレイ23の表示例である。パック袋2の輪郭及び計数される鶉卵3の画像は黒色で表示され、計数される範囲は測定範囲枠41で囲まれる通り表示されている。鶉卵3を認識する為の画素値、及び大きさは、メニュー35の各種メニューボタン36により設定可能となっている。また、測定範囲枠41の範囲もメニューボタン36により調整可能である。これにより、どのような形状のパック袋2内も計数することが可能となるのである。パック袋2のうち、鶉卵3の画素値と近い画素値として検出される可能性のある部位を、ディスプレイ23上で計数しない範囲として設定することにより、鶉卵3の画像でない箇所を誤検出してしまうことを防ぎ、より正確に鶉卵3の個数を判断することが出来る。パック袋2内の上端部(図では左側領域)は、鶉卵3と近い画素値で検出される可能性があるので、計数する範囲として設定していない。また、パック袋2の底は、鶉卵3が入ることはないので、この間はオフセットOFFということで計測しない領域である。
【0034】
上記メニューボタン36により、合成画像21の鶉卵3の画像の輪郭を検出するレベルの「閾値」を指定することが出来る。この閾値の値を小さくし過ぎると、多少、鶉卵3同士が重なっていても、鶉卵3の輪郭を検出することができ、それにより、一つ一つの卵を分離して認識できる効果が上がるが、画素値が小さい鶉卵3は検出することができなくなる。一方、閾値を大きくし過ぎると、画素値が小さい卵は検出することができるが、多少重なった鶉卵3を分離して認識する能力が下がり、複数の鶉卵3を1個として数えてしまうことがある。この閾値は、ディスプレイ23に表示される合成画像21を確認しながら、適切な値に適宜調整する必要がある。
【0035】
図13に示すメニュー37の「測定中」とあるのは、画像計数装置22の動作状態を示すメニューである。画像計数装置22が非作動の場合には、メニュー37には「停止中」と表示される。
【0036】
ラインセンサカメラ16からの取込画像は合成画像21としてディスプレイ23の右下のカメラ取込画像38に表示される(図14参照)。コンベア進行方向は左から右になる。パック袋2の裏側から撮像しているために、ディスプレイ23上側は進行方向に向かって右側、ディスプレイ23下側は左側になる。パック袋2の底面はディスプレイ23の右側、頭部はディスプレイ23の左側になる。メニュー39には、画像計数装置22により計数されたパック袋2内の鶉卵3の個数が表示される。ディスプレイ23の中央40には回転補正してセンタリングされたパック袋2の画像が表示される。測定結果は「個数判定結果」として画面右下のメニュー39に表示される。測定された鶉卵3の画像の個々に、測定された画像について点線円(黒に白抜きの点線円)で表示される。鶉卵3の測定範囲は測定範囲枠41で矩形表示される。
【0037】
ディスプレイ23に表示された合成画像21は、保存や印刷も可能である。これにより、後で計数に関する問題が生じたときに、保存、印刷した画像を参照することで、問題点を探るのが容易に可能となる。更に、マウスで操作可能なポインタを操作することにより、合成画像21からパック袋2或いはパック袋2内の鶉卵3の画像の寸法や実寸を測ること出来るようにすると好適である。
【0038】
以上説明した本実施形態によれば、画像計数装置22により、合成画像21を基に、鶉卵3に対応する画素値を参照し、参照結果を基にパック袋2内の鶉卵3の個数を正確に識別することが出来る。また、X線を使用せずに、個数を計数するので、パック袋2内に透光性の液体(水)が充填された鶉卵3についても、自動計数をすることが可能である。これにより、パック袋2内の鶉卵3を目視で確認する必要がなくなり、個数の数え間違いを解消し人件費の削減にもなる。
【0039】
パック袋2は、透光性包装が為されているので、パック袋2内部にある鶉卵3でも、投光装置15によりパック袋2を投光し、更にパック袋2を当該ラインセンサカメラ16でスキャニングすることによって、特定の画素値として識別することが可能であり、また、パック袋2に装飾が施されている場合でも、その装飾が透光性である限り、パック袋2内部の鶉卵3を特定の画素値として識別し、個数を計数することが出来る。
【0040】
パック袋2内に鶉卵3が10個以外の正確でない個数含まれたパック袋2については、図10に示す排出処理で、排出用コンベア10を上方向に移動させ、ライン外に排出することにより、鶉卵3の個数が合っていないパック袋2が納品されることを防止出来る。
【0041】
図7に示す供給機6は、1袋毎にパック袋2を間隔を開けて搬送するので、ラインセンサカメラ16により線視野で捉えた一つの画像に、2つのパック袋2が含まれることはなく、画像計数装置22が1袋毎正確に鶉卵3の個数を計数することが出来る。
【0042】
以上、本実施形態の好適な実施の形態を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではないことは無論であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で多くの変更などをし得ることは当業者であれば当然である。
(1)本実施形態の個数検査装置1では、鶉卵3を例に挙げたが、パック袋2内に内装された各種の野菜類、果実類、農産物等にも適用が可能である。また、パック袋2内の内装物の種類に応じて適宜な設定変更が可能である。パック袋2内に充填される液体についても、その液体が透光性であれば、水以外でも含まれる。
(2)本実施形態では、画像計数装置22により、パック袋2内の鶉卵3の個数を識別可能としたが、例えば、パック袋2内におでんの具(例えば、大根、こんにゃく、ちくわ)等の複数種類の形状のものが含まれたものについては、各々の形状毎の個数の識別が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態におけるパック袋2を示す図である。
【図2】実施形態における個数検査装置1の正面図である。
【図3】同平面図である。
【図4】同右側面図である。
【図5】同撮像用コンベアの拡大平面図である。
【図6】同撮像用コンベアの拡大右側面図である。
【図7】個数検査装置1のうち、供給機6の平面図である。
【図8】画像計数装置22のブロック図である。
【図9】画像計数装置22による画像処理を示すフローチャートである。
【図10】画像計数装置22による排出処理を示すフローチャートである。
【図11】検査パラメータの表示例を示す説明図である。
【図12】画像設定の表示例を示す説明図である。
【図13】ディスプレイ23の表示例を示す画面図である。
【図14】画像計数装置22により合成された合成画像21を示す画面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…個数検査装置 2…包装物 3…鶉卵 4…搬送装置 5…撮像装置
6…供給機 8…撮像用コンベア 10…排出用コンベア 15…投光装置
16…ラインセンサカメラ 21…合成画像 22…画像計数装置
23…ディスプレイ 26…排出口 T…空隙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査対象物を透光性包装で包装した包装物を、間隔を開けて搬送する複数の直列に配置する搬送部を備え、前記複数の搬送部間に線状の空隙が形成されるよう配置される搬送装置と、
前記搬送装置の前記空隙を通過する包装物に投光する投光装置と、前記包装物及び空隙を通過した光を受光するラインセンサカメラと、を備える撮像装置と、
前記ラインセンサカメラで撮像された画像を受信し、該画像を合成した合成画像に基づいて、前記包装物内の前記検査対象物の個数を計数し、前記計数された計数値が許容個数範囲内であるか否かを判定する画像計数装置と、
前記計数値が前記許容個数範囲外であると判定されると、該判定された包装物を前記搬送装置のラインから排出する排出装置と、
を備えたことを特徴とする個数検査装置。
【請求項2】
前記画像計数装置は、
前記合成画像の濃淡を検出し、該濃淡により、前記検査対象物に対応する画素値の参照処理を行う画像識別手段と、
当該画像識別手段により参照した画素値を基に、前記包装物内の検査対象物の個数を識別する対象物個数識別手段と、を備えることを特徴とする請求項1の個数検査装置。
【請求項3】
前記包装物に複数種類の検査対象物が包装されたものに適用する個数検査装置において、
前記画像計数装置は、前記合成画像を基に、前記検査対象物の形状を識別することにより、前記検査対象物の種類を特定する種類識別手段を備え、
前記複数種類の検査対象物のそれぞれについて、個数を計数し、少なくとも1種類の検査対象物の計数値が前記許容範囲外であると判定されると、該判定された包装物を前記排出装置で排出することを特徴とする請求項1又は2の個数検査装置。
【請求項1】
複数の検査対象物を透光性包装で包装した包装物を、間隔を開けて搬送する複数の直列に配置する搬送部を備え、前記複数の搬送部間に線状の空隙が形成されるよう配置される搬送装置と、
前記搬送装置の前記空隙を通過する包装物に投光する投光装置と、前記包装物及び空隙を通過した光を受光するラインセンサカメラと、を備える撮像装置と、
前記ラインセンサカメラで撮像された画像を受信し、該画像を合成した合成画像に基づいて、前記包装物内の前記検査対象物の個数を計数し、前記計数された計数値が許容個数範囲内であるか否かを判定する画像計数装置と、
前記計数値が前記許容個数範囲外であると判定されると、該判定された包装物を前記搬送装置のラインから排出する排出装置と、
を備えたことを特徴とする個数検査装置。
【請求項2】
前記画像計数装置は、
前記合成画像の濃淡を検出し、該濃淡により、前記検査対象物に対応する画素値の参照処理を行う画像識別手段と、
当該画像識別手段により参照した画素値を基に、前記包装物内の検査対象物の個数を識別する対象物個数識別手段と、を備えることを特徴とする請求項1の個数検査装置。
【請求項3】
前記包装物に複数種類の検査対象物が包装されたものに適用する個数検査装置において、
前記画像計数装置は、前記合成画像を基に、前記検査対象物の形状を識別することにより、前記検査対象物の種類を特定する種類識別手段を備え、
前記複数種類の検査対象物のそれぞれについて、個数を計数し、少なくとも1種類の検査対象物の計数値が前記許容範囲外であると判定されると、該判定された包装物を前記排出装置で排出することを特徴とする請求項1又は2の個数検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−347584(P2006−347584A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175814(P2005−175814)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(500125881)有限会社新選技研 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(500125881)有限会社新選技研 (3)
【Fターム(参考)】
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