偏位測定器
【課題】 架線の偏位を測定する従来技術に係る測定器では、支柱自身の重みにより撓みが生じるため、正確な偏位を測定することができなかった。
【解決手段】 本願発明は、基台上に設けられた支柱及び腕部を有し、レーザー放射部材、的板、および引き手を備え、的板に付された的印がレーザー放射部材に設けられたレーザー放射口の直上を示すことを特徴とする偏位測定器である。本願発明によれば、上端部分が撓んだ状態の支柱を、容易に基台に対して垂直に補正することを可能とし、正確な偏位測定作業を迅速に行なうことができる偏位測定器を提供する。
【解決手段】 本願発明は、基台上に設けられた支柱及び腕部を有し、レーザー放射部材、的板、および引き手を備え、的板に付された的印がレーザー放射部材に設けられたレーザー放射口の直上を示すことを特徴とする偏位測定器である。本願発明によれば、上端部分が撓んだ状態の支柱を、容易に基台に対して垂直に補正することを可能とし、正確な偏位測定作業を迅速に行なうことができる偏位測定器を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の軌道上方に設置された架線の偏位情報を測定するために用いられる偏位測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の軌道上方に設置された架線は、地面に対して水平に吊り下げられて設置された電気伝導性の金属線体であり、架線と鉄道車両の天井部に設けられたパンタグラフとが接触することによって、鉄道車両の動力部に電気エネルギーを伝達することができるものである。
そして、架線は、設置当初には軌道に沿った所定位置に設置(以下、当初設置位置という。)されるが、使用期間の経過と共に当初設置位置から異なった位置に偏位する。このように偏位した状態で架線を放置すると、架線がパンタグラフに対して負担をかける、又は架線がパンタグラフから脱離する等して事故を発生させる原因となる可能性がある。
そのため、架線の偏位を定期的に測定し、架線が規定を超えた偏位状態にないかどうかを調査する必要があった。
従来、当該測定には軌道の中央部に設置された支柱と、その上端部に設けた目盛付きの軸筒を備えた測定器が用いられ、軸筒の上端を架線の下端に接触させたときに架線に対応する目盛位置を軸筒の中央の原点から読み取ることによって架線の偏位を測定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2571130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術に係る測定器では、図8に示すように支柱自身の重みにより撓みが生じるため、正確な偏位を測定することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、上記課題を解決する手段として本願発明に係る偏位測定器は、軌道上方に設置された架線の軌道中心からの偏位を測定する偏位測定器であって、軌道に沿って敷設された左右一対のレールに掛け渡して戴置する基台と、基台から高さ方向上方に伸縮自在に設けられた支柱と、基台に取付けられ、レーザー光を放射可能なレーザー放射口を有するレーザー放射部材と、支柱の上端に取付けられ、基台と平行で左右両側に延出して形成された腕部と、腕部の下に設置された的板とからなり、基台の下面には前記一対のレールに対応する位置にそれぞれ位置決め部材が設けられ、支柱は、基台に対して垂直であって、位置決め部材から等距離の位置に設置され、レーザー部材は、左右の位置決め部材から等距離の位置に設置され、レーザー光をレーザー放射口から基台に対して垂直上方に放射可能に設けられ、的板の下面にはレーザー放射口の直上位置を示す的印が付され、支柱の上端部には、支柱から下方に垂れ下げた引き手を備えることを特徴とする。
【0006】
軌道は左右一対のレールが敷設された鉄道が走行するための構造物であり、一対のレールは軌道上に前後方向に沿って固定されている。軌道中心と一対のレール間の左右中心は一致するものとする。
【0007】
基台は、一対のレールに掛け渡して戴置するために、左右方向に長い鋼材であることが好ましい。より好ましくは、断面形状が矩形、若しくはコの字型を呈する鋼材がよい。コの字型を呈する鋼材は平坦面を備えるので、当該平坦面を上端面とすれば、支柱を基台の上端面に対して垂直方向に設置することが容易であるからである。
【0008】
基台の下面には、レールに掛け渡した基台がずれないようレール上に戴置できる位置決め部材を備えている。
【0009】
基台に設けられた支柱は、下端側から上端側になるに従って段階的に細い外径に形成された複数本の筒体からなり、上端側の筒体が下端側の筒体に挿し込まれて収納され、前記上端側の筒体を下端側の筒体から軸方向に引き出すことで伸長可能に形成された伸縮部材であることが好ましい。
【0010】
また支柱は絶縁性材料からなることが好ましく、特に筒体はグラスファイバー、若しくはグラスファイバーを含んだ絶縁性材料によって形成されることが好ましい。
【0011】
支柱が絶縁性材料によって形成され、特に筒体がグラスファイバーからなる絶縁性材料によって形成されることにより測定作業に伴う感電に対する安全性を確保することができる。
【0012】
また、腕部も絶縁性材料で形成されていることが好ましく、さらには偏位測定器全体が絶縁性材料で形成されても好ましい。本願発明を構成する構成部材のできるだけ多くが絶縁性材料で形成されることによって測定作業における感電に対する安全性をより高めることができるからである。
【0013】
但し、偏位測定器の構成部材が絶縁性材料で形成されることは、本考案に係る物品の一部に構造の強度の確保や部材の固定等を目的として金属材料を用いることを妨げるものではない。
【0014】
絶縁性材料にグラスファイバーを用いた場合は、絶縁性だけでなく軽量化及び所望の形状への成形の容易性の点において好ましい。
【0015】
レーザー放射部材は、レーザー光発振装置が組み込まれることによってレーザー光を放射可能に構成されており、レーザー光発振装置は半導体レーザー素子であることが好ましい。軽量かつ安価であり、取り扱いも容易であるからである。
【0016】
また、前記的印が、左右方向に形成された横線部と、前後方向に形成された縦線部とが交差した形状に形成されており、支柱が基台の上端面に対して垂直である場合に、前記横線部と縦線部との交差部がレーザー放射口の直上を示すこととしても好ましい。的印が横線部、縦線部、及び交差部とからなることにより、レーザー光照射時に横線部若しくは縦線部の一部分を探し出せば、その後レーザー光を的印に沿って移動させることで交差部にレーザー光を照射させることができる。これにより、交差部を容易にレーザー放射口の垂直方向の直上に位置させることができ、支柱を基台に対して垂直姿勢に補正することができる。
【0017】
ここで的印は、的板に直接印刷、若しくはテープを貼り付けることによって付されることが好ましく、また、的板表面を刻印することによって付してもよい。
【0018】
また、前記的印を構成する縦線部の前後端部のいずれかが、縦線部の中心部分よりも幅細な細線部に形成されていることとしても好ましい。交差部に照射されたレーザー光が正確に交差部の中心に照射されていることを視認により容易に確認できるからである。細線部は縦線部の左右中心と一致して付されていることが望ましい。
【0019】
ここで、前記引き手は支柱の上端部から垂れ下げられるが、引き手の上端は支柱に直接接続してもよく、又は、腕部若しくは的板に接続しても好ましい。さらに、引き手は棒体、板体、若しくは鎖によって構成することができるが、より好ましくは紐体によって構成するのが良い。紐体は軽量かつ柔軟であり、本願発明に係る偏位測定器の運搬を容易にすることができるからである。
【0020】
また、前記引き手の下端部が、引き手を巻取り式に収納可能な収納部材の巻取り部に接続されていることとしても好ましい。この際、引き手は鎖、若しくは紐体であることが好ましい。巻取り部によって、支柱を短く縮めた際には引き手を下端から巻き取り、引き手を収納部材内に収納することができるため、本願発明に係る偏位測定器の運搬を容易にできる。
【発明の効果】
【0021】
本願発明によれば、測定時に撓んだ状態の支柱をすばやく基台に対して垂直な状態に補正し、正確な架線の偏位を測定することができる。
【0022】
また、撓みの少ない剛性の高い支柱を開発するためのコストを削減することができるとともに、支柱を軽い素材で製造することもできるため、可搬性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】偏位測定器1の全体斜視図である。
【図2】偏位測定器1の正面図である。
【図3】偏位測定器1の背面図である。
【図4】腕部5及び的板6の組立前の状態を示した斜視図である。
【図5】腕部5及び的板6を示すA−A拡大断面図である。
【図6】腕部5及び的板6を示すB−B,C−C部分拡大図である。
【図7】偏位測定器1の使用状態を示す正面図である。
【図8】従来技術に係る測定器の概略を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本願発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0025】
本願発明に係る偏位測定器1は、図1〜3に示すように基台2、基台2の上端面に設置された支柱3、同じく基台2の上端面に設置されたレーザー放射部材4、支柱3の上端部に取付けられた腕部5、支柱3と腕部5との結合部分に取付けられた的板6、的板6の下面に付された的印7、的板6の後部から下方に垂れ下げられた引き手8を有し、架線の偏位を測定することができる装置である。
【0026】
なお、引き手8の下端は支柱3に取付けられた収納部材9に接続されており、不使用時に支柱3を短く縮めた際には引き手8が下端から巻き取られて、引き手8を収納部材9内に収納することができる。
【0027】
偏位測定器1は、図7に示すように軌道10上に敷設された一対のレール11,11の上に掛け渡して戴置し、支柱3を伸長させて腕部5の上端面を架線12の下端面と接触させた状態で架線12の偏位測定作業を行なうことができる。詳細な測定方法については後述する。
【0028】
基台2は、断面形状がコの字型を呈する細長の鋼材から構成されており、当該鋼材は凹部を下方に向けた状態で用いられている。断面形状がコの字型を呈する細長の鋼材を用いることにより角柱型の鋼材よりも軽量化することができる。さらに基台2の両端部には、基台2をレール11,11上に戴置した際に、基台2のずれ防止機能を発揮する一対の位置決め部材13,13を備える。
【0029】
位置決め部材13,13は断面形状がコの字型を呈する鋼材を、凹部を上方に向けた状態で基台2の凹部内に嵌め込まれて固定されている。また、位置決め部材13,13には、それぞれ下方に突出した当板14、14が形成されており、基台2がレール11,11上に戴置された際に当板14、14がそれぞれレール11,11の内側面に当接することによって、測定作業中での基台2のずれを防止できる。
【0030】
基台2の上端面に設置された支柱3は、基台2の上端面に対して垂直方向に設置されている。
【0031】
また支柱3は、下端側から上端側になるに従って段階的に細い外径に形成された複数本の筒体状の伸縮部15からなり、上端側の伸縮部15が下端側の筒体に挿し込まれて収納され、前記上端側の伸縮部15を下端側の筒体から軸方向に引き出すことで伸長可能に形成されている。
【0032】
支柱3の最も上端側を構成する伸縮部15は伸縮上端部16であり、伸縮上端部16の上端には腕部5が取付けられている。
【0033】
なお、伸縮部15はグラスファイバー、若しくはグラスファイバーを含んだ絶縁性材料によって形成されており、測定作業に伴う架線12からの感電に対する安全性を確保することができる。
【0034】
支柱3の下端部には、基台2と支柱3との連結強度を補強する補強部材17が設置されている。補強部材17は支柱3の周面を巻回してなる円筒状の胴巻部19と、基台2の上端面であって支柱3の周囲固定された平板状のベース部20と、胴巻部19の外周面とベース部20とを支柱3に対して傾斜方向に連接して固定された補強梁18とからなる。
【0035】
支柱3の外周面上には高さ目盛21が形成されており、伸縮部15を伸長させて腕部5を架線12に接触させたときの架線12高さを読み取ることができる。
【0036】
レーザー放射部材4には、図示しない半導体レーザー素子を有するレーザー光発振装置が組み込まれており、レーザー放射口22から基台2の上端面に対して垂直方向にレーザー光を放射することができる。また、レーザー放射口22は、左右の位置決め部材13,13から等距離の位置に設けられているため、偏位測定器1をレール上に戴置した状態で、レーザー光を軌道10の中心に沿って上方に放射することができる。
【0037】
腕部5は、図4に示すように、断面形状が楕円形を呈して左右に延出する楕円柱体部と、当該楕円柱体部の中心部から下方に延出した直方体部との相貫体からなる腕部本体23、及び前記直方体部から下方に突出して形成された円筒状の受筒24から構成される。
【0038】
受筒24は下方に開口しており、腕部5は、支柱3の伸縮上端部16を当該受筒24に挿入することによって着脱可能に取付けることができるものである。
【0039】
また図4、図5に示すように、前記楕円柱体部の下面には左右方向に間隔を有して配された複数の目盛り線からなる偏位測定目盛25が付されており、偏位測定時に、腕部5の上面に接した架線12の直下にある当該偏位測定目盛25を読み取ることによって、架線12の偏位を測定することができる。
【0040】
図4に示すように的板6は矩形平板状に形成されている。的板6の中央部には上下に貫通する矩形の嵌め込み孔26が形成されており、腕部5の直方体部を当該嵌め込み孔26に嵌め込むことによって、的板6設置後の軸回転を防止することができる。
【0041】
また、的板6の上面には腕部5の楕円柱体の側周面に即した表面形状を有する保持部が設けられている。保持部は、予め木ねじ27によって的板6に固定される固定保持部28と、長穴29を介してボルト30及び蝶ねじ31によって前後に摺動可能に設けられる可動保持部32とからなる。
【0042】
従って、図4、図6に示すように、的板6の設置は、腕部5を嵌め込み孔26に嵌めこんだ後、固定保持部28と可動保持部32とによって腕部5を側方から把持した状態で蝶ねじ31を締めて、可動保持部32を固定することにより行う。
【0043】
的板6の下面に付された的印7は、図5に示すように左右方向に形成された横線部33と、前後方向に形成された縦線部34とが交差した十字型状に形成されている。横線部33は縦線部34に対して対称に形成されている。的印7は的板6に印刷、若しくはテープを貼り付けて付されている。
【0044】
本実施の形態では、横線部33と縦線部34との交差部Pにレーザー放射口22から放射されたレーザー光を照射することによって、的印7がレーザー放射口の直上であることを知ることができる。
【0045】
また、図5に示すように前記縦線部34の後端部が、縦線部34の中心部分よりも幅細な細線部35に形成されている。細線部35の中心は、縦線部34の長手方向の軸中心上となるように形成されている。レーザー光照射時に細線部35を目印にすることによって、レーザー光を正確に横線部33と縦線部34との交差部Pに照射させることが容易にできる。
【0046】
一方、細線部35以外の縦線部34部分を細線部35よりも太い幅に形成することによって、周りが暗い夜の作業であっても的印7を見つけることが容易であり、レーザー光の照射位置調整を簡便に行なうことができる。
【0047】
引き手8は細長く柔軟に屈曲可能な紐体からなる。引き手8の上端部は、図4に示すように的板6の後部に下向きに取付けられた環状フックからなる係止部材36に係止され、図3、図6に示すように下方に垂れ下げられている。
【0048】
一方、支柱3の下端部には、支柱3の周面に把持部37によって取付けられ、径方向に突出して設置された収納部9が設置されており、引き手8の下端は当該収納部9の内部に接続されている。収納部9の内部には、引き手8を引き出す力に反発してバネの力で一方向に軸回転可能な巻取軸が設けられている。引き手8は、支柱3の伸縮に合わせて、自動的に収納部9から引き出す、若しくは収納することができる。ここで、把持部37は支柱3に対して軸方向に回動、若しくは高さ方向に移動可能に取付けられていることが好ましい。このような構成とすることにより、収納部9の支柱3の軸に対する角度位置及び高さ位置を作業者Hの作業姿勢に干渉しない位置に調節することができ、引き手8の位置を作業者Hが操作するために最適位置とすることができる。
【0049】
次に、本願発明に係る偏位測定器1の使用方法について説明する。
【0050】
架線12の偏位測定を行うために、偏位測定器1を図7に示すように軌道10に敷設されたレール11,11上に戴置する。このとき、レール11,11上に位置決め部材13,13を当接させることによって、偏位測定器1の左右中心を軌道10の左右中心に一致させることができる。
【0051】
偏位測定器1をレール11,11上に戴置した後、引き手8の上端が係止部材36固定されていることを確認し、支柱3を上方に伸長させ、腕部5の上端面が架線12に接触させる。
【0052】
引き手8は支柱3が伸ばされるにしたがって収納部材9から続々と引き出されるため、支柱3の伸長作業完了後においても引き手8が支柱上部から作業者Hの手元まで垂れ下がった状態となり、引き手8を容易に把持することができる。
【0053】
このとき、支柱3の上端部は自重により撓みを生じており、腕部5の左右中心が軌道10の左右中心に一致していない。したがって、腕部5の左右中心から架線12との接触点までの距離と、軌道10の左右中心から架線12までの偏位との間に誤差を生じている状態となる。特に軌道が水平に対して左右方向に傾斜している場所においては支柱3の撓みの程度が大きくなり、前記誤差も大きくなるため、そのままでは正確な偏位測定を行なうことができない。
【0054】
そこで正確な偏位測定を行うため、作業者Hは、レーザー放射部材4からレーザー光を放射させ、当該レーザー光を腕部5の下方に設置された的板6に付された的印7の中心に照射させることによって支柱3を基台2に対して垂直となるように補正する。ここで、本実施の形態では的印7は横線部33と縦線部34が交差してなる十字型に構成されており、的印7の中心は横線部33と縦線部34との交差部Pである。
【0055】
作業者Hは、支柱3の補正に際し、把持した引き手8を前後左右に引くことによって的板6の位置を操作することができる。引き手8の操作当初においてレーザー光が的印7の中心から大きく離れている場合であっても、作業者Hは横線部33若しくは縦線部34に沿ってレーザー光を誘導することによってレーザー光を交差部Pに容易に一致させることができる。
【0056】
さらに、レーザー光と細線部35との位置関係を比較することで、交差部Pに合わせたレーザー光が正確に的板6の中心であることを確認することができる。
【0057】
以上の操作により支柱3が基台2に対して垂直となったことを確認後、作業者Hは架線12が腕部5と接触している位置の偏位測定目盛25を読み取ることによって測定作業を完了する。
【0058】
本願発明によれば、上端部分が撓んだ支柱3を、レーザー放射部材4、的板6、および引き手8によって、基台2に対して垂直に補正することが容易であるため、正確な測定を行なうことができると共に、迅速な測定作業による作業の高効率化を図ることができる。さらに、例えばグラスファイバー等の軽い素材を用いて偏位測定器1を軽量化することができる。軽量化できれば偏位測定器1の運搬が容易になるため、測定の準備から測定作業、片付けまでを一人の作業者で行うことも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 偏位測定器
2 基台
3 支柱
4 レーザー放射部材
5 腕部
6 的板
7 的印
8 引き手
10 軌道
11 レール
12 架線
22 レーザー放射口
P 交差部
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の軌道上方に設置された架線の偏位情報を測定するために用いられる偏位測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の軌道上方に設置された架線は、地面に対して水平に吊り下げられて設置された電気伝導性の金属線体であり、架線と鉄道車両の天井部に設けられたパンタグラフとが接触することによって、鉄道車両の動力部に電気エネルギーを伝達することができるものである。
そして、架線は、設置当初には軌道に沿った所定位置に設置(以下、当初設置位置という。)されるが、使用期間の経過と共に当初設置位置から異なった位置に偏位する。このように偏位した状態で架線を放置すると、架線がパンタグラフに対して負担をかける、又は架線がパンタグラフから脱離する等して事故を発生させる原因となる可能性がある。
そのため、架線の偏位を定期的に測定し、架線が規定を超えた偏位状態にないかどうかを調査する必要があった。
従来、当該測定には軌道の中央部に設置された支柱と、その上端部に設けた目盛付きの軸筒を備えた測定器が用いられ、軸筒の上端を架線の下端に接触させたときに架線に対応する目盛位置を軸筒の中央の原点から読み取ることによって架線の偏位を測定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2571130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術に係る測定器では、図8に示すように支柱自身の重みにより撓みが生じるため、正確な偏位を測定することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、上記課題を解決する手段として本願発明に係る偏位測定器は、軌道上方に設置された架線の軌道中心からの偏位を測定する偏位測定器であって、軌道に沿って敷設された左右一対のレールに掛け渡して戴置する基台と、基台から高さ方向上方に伸縮自在に設けられた支柱と、基台に取付けられ、レーザー光を放射可能なレーザー放射口を有するレーザー放射部材と、支柱の上端に取付けられ、基台と平行で左右両側に延出して形成された腕部と、腕部の下に設置された的板とからなり、基台の下面には前記一対のレールに対応する位置にそれぞれ位置決め部材が設けられ、支柱は、基台に対して垂直であって、位置決め部材から等距離の位置に設置され、レーザー部材は、左右の位置決め部材から等距離の位置に設置され、レーザー光をレーザー放射口から基台に対して垂直上方に放射可能に設けられ、的板の下面にはレーザー放射口の直上位置を示す的印が付され、支柱の上端部には、支柱から下方に垂れ下げた引き手を備えることを特徴とする。
【0006】
軌道は左右一対のレールが敷設された鉄道が走行するための構造物であり、一対のレールは軌道上に前後方向に沿って固定されている。軌道中心と一対のレール間の左右中心は一致するものとする。
【0007】
基台は、一対のレールに掛け渡して戴置するために、左右方向に長い鋼材であることが好ましい。より好ましくは、断面形状が矩形、若しくはコの字型を呈する鋼材がよい。コの字型を呈する鋼材は平坦面を備えるので、当該平坦面を上端面とすれば、支柱を基台の上端面に対して垂直方向に設置することが容易であるからである。
【0008】
基台の下面には、レールに掛け渡した基台がずれないようレール上に戴置できる位置決め部材を備えている。
【0009】
基台に設けられた支柱は、下端側から上端側になるに従って段階的に細い外径に形成された複数本の筒体からなり、上端側の筒体が下端側の筒体に挿し込まれて収納され、前記上端側の筒体を下端側の筒体から軸方向に引き出すことで伸長可能に形成された伸縮部材であることが好ましい。
【0010】
また支柱は絶縁性材料からなることが好ましく、特に筒体はグラスファイバー、若しくはグラスファイバーを含んだ絶縁性材料によって形成されることが好ましい。
【0011】
支柱が絶縁性材料によって形成され、特に筒体がグラスファイバーからなる絶縁性材料によって形成されることにより測定作業に伴う感電に対する安全性を確保することができる。
【0012】
また、腕部も絶縁性材料で形成されていることが好ましく、さらには偏位測定器全体が絶縁性材料で形成されても好ましい。本願発明を構成する構成部材のできるだけ多くが絶縁性材料で形成されることによって測定作業における感電に対する安全性をより高めることができるからである。
【0013】
但し、偏位測定器の構成部材が絶縁性材料で形成されることは、本考案に係る物品の一部に構造の強度の確保や部材の固定等を目的として金属材料を用いることを妨げるものではない。
【0014】
絶縁性材料にグラスファイバーを用いた場合は、絶縁性だけでなく軽量化及び所望の形状への成形の容易性の点において好ましい。
【0015】
レーザー放射部材は、レーザー光発振装置が組み込まれることによってレーザー光を放射可能に構成されており、レーザー光発振装置は半導体レーザー素子であることが好ましい。軽量かつ安価であり、取り扱いも容易であるからである。
【0016】
また、前記的印が、左右方向に形成された横線部と、前後方向に形成された縦線部とが交差した形状に形成されており、支柱が基台の上端面に対して垂直である場合に、前記横線部と縦線部との交差部がレーザー放射口の直上を示すこととしても好ましい。的印が横線部、縦線部、及び交差部とからなることにより、レーザー光照射時に横線部若しくは縦線部の一部分を探し出せば、その後レーザー光を的印に沿って移動させることで交差部にレーザー光を照射させることができる。これにより、交差部を容易にレーザー放射口の垂直方向の直上に位置させることができ、支柱を基台に対して垂直姿勢に補正することができる。
【0017】
ここで的印は、的板に直接印刷、若しくはテープを貼り付けることによって付されることが好ましく、また、的板表面を刻印することによって付してもよい。
【0018】
また、前記的印を構成する縦線部の前後端部のいずれかが、縦線部の中心部分よりも幅細な細線部に形成されていることとしても好ましい。交差部に照射されたレーザー光が正確に交差部の中心に照射されていることを視認により容易に確認できるからである。細線部は縦線部の左右中心と一致して付されていることが望ましい。
【0019】
ここで、前記引き手は支柱の上端部から垂れ下げられるが、引き手の上端は支柱に直接接続してもよく、又は、腕部若しくは的板に接続しても好ましい。さらに、引き手は棒体、板体、若しくは鎖によって構成することができるが、より好ましくは紐体によって構成するのが良い。紐体は軽量かつ柔軟であり、本願発明に係る偏位測定器の運搬を容易にすることができるからである。
【0020】
また、前記引き手の下端部が、引き手を巻取り式に収納可能な収納部材の巻取り部に接続されていることとしても好ましい。この際、引き手は鎖、若しくは紐体であることが好ましい。巻取り部によって、支柱を短く縮めた際には引き手を下端から巻き取り、引き手を収納部材内に収納することができるため、本願発明に係る偏位測定器の運搬を容易にできる。
【発明の効果】
【0021】
本願発明によれば、測定時に撓んだ状態の支柱をすばやく基台に対して垂直な状態に補正し、正確な架線の偏位を測定することができる。
【0022】
また、撓みの少ない剛性の高い支柱を開発するためのコストを削減することができるとともに、支柱を軽い素材で製造することもできるため、可搬性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】偏位測定器1の全体斜視図である。
【図2】偏位測定器1の正面図である。
【図3】偏位測定器1の背面図である。
【図4】腕部5及び的板6の組立前の状態を示した斜視図である。
【図5】腕部5及び的板6を示すA−A拡大断面図である。
【図6】腕部5及び的板6を示すB−B,C−C部分拡大図である。
【図7】偏位測定器1の使用状態を示す正面図である。
【図8】従来技術に係る測定器の概略を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本願発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0025】
本願発明に係る偏位測定器1は、図1〜3に示すように基台2、基台2の上端面に設置された支柱3、同じく基台2の上端面に設置されたレーザー放射部材4、支柱3の上端部に取付けられた腕部5、支柱3と腕部5との結合部分に取付けられた的板6、的板6の下面に付された的印7、的板6の後部から下方に垂れ下げられた引き手8を有し、架線の偏位を測定することができる装置である。
【0026】
なお、引き手8の下端は支柱3に取付けられた収納部材9に接続されており、不使用時に支柱3を短く縮めた際には引き手8が下端から巻き取られて、引き手8を収納部材9内に収納することができる。
【0027】
偏位測定器1は、図7に示すように軌道10上に敷設された一対のレール11,11の上に掛け渡して戴置し、支柱3を伸長させて腕部5の上端面を架線12の下端面と接触させた状態で架線12の偏位測定作業を行なうことができる。詳細な測定方法については後述する。
【0028】
基台2は、断面形状がコの字型を呈する細長の鋼材から構成されており、当該鋼材は凹部を下方に向けた状態で用いられている。断面形状がコの字型を呈する細長の鋼材を用いることにより角柱型の鋼材よりも軽量化することができる。さらに基台2の両端部には、基台2をレール11,11上に戴置した際に、基台2のずれ防止機能を発揮する一対の位置決め部材13,13を備える。
【0029】
位置決め部材13,13は断面形状がコの字型を呈する鋼材を、凹部を上方に向けた状態で基台2の凹部内に嵌め込まれて固定されている。また、位置決め部材13,13には、それぞれ下方に突出した当板14、14が形成されており、基台2がレール11,11上に戴置された際に当板14、14がそれぞれレール11,11の内側面に当接することによって、測定作業中での基台2のずれを防止できる。
【0030】
基台2の上端面に設置された支柱3は、基台2の上端面に対して垂直方向に設置されている。
【0031】
また支柱3は、下端側から上端側になるに従って段階的に細い外径に形成された複数本の筒体状の伸縮部15からなり、上端側の伸縮部15が下端側の筒体に挿し込まれて収納され、前記上端側の伸縮部15を下端側の筒体から軸方向に引き出すことで伸長可能に形成されている。
【0032】
支柱3の最も上端側を構成する伸縮部15は伸縮上端部16であり、伸縮上端部16の上端には腕部5が取付けられている。
【0033】
なお、伸縮部15はグラスファイバー、若しくはグラスファイバーを含んだ絶縁性材料によって形成されており、測定作業に伴う架線12からの感電に対する安全性を確保することができる。
【0034】
支柱3の下端部には、基台2と支柱3との連結強度を補強する補強部材17が設置されている。補強部材17は支柱3の周面を巻回してなる円筒状の胴巻部19と、基台2の上端面であって支柱3の周囲固定された平板状のベース部20と、胴巻部19の外周面とベース部20とを支柱3に対して傾斜方向に連接して固定された補強梁18とからなる。
【0035】
支柱3の外周面上には高さ目盛21が形成されており、伸縮部15を伸長させて腕部5を架線12に接触させたときの架線12高さを読み取ることができる。
【0036】
レーザー放射部材4には、図示しない半導体レーザー素子を有するレーザー光発振装置が組み込まれており、レーザー放射口22から基台2の上端面に対して垂直方向にレーザー光を放射することができる。また、レーザー放射口22は、左右の位置決め部材13,13から等距離の位置に設けられているため、偏位測定器1をレール上に戴置した状態で、レーザー光を軌道10の中心に沿って上方に放射することができる。
【0037】
腕部5は、図4に示すように、断面形状が楕円形を呈して左右に延出する楕円柱体部と、当該楕円柱体部の中心部から下方に延出した直方体部との相貫体からなる腕部本体23、及び前記直方体部から下方に突出して形成された円筒状の受筒24から構成される。
【0038】
受筒24は下方に開口しており、腕部5は、支柱3の伸縮上端部16を当該受筒24に挿入することによって着脱可能に取付けることができるものである。
【0039】
また図4、図5に示すように、前記楕円柱体部の下面には左右方向に間隔を有して配された複数の目盛り線からなる偏位測定目盛25が付されており、偏位測定時に、腕部5の上面に接した架線12の直下にある当該偏位測定目盛25を読み取ることによって、架線12の偏位を測定することができる。
【0040】
図4に示すように的板6は矩形平板状に形成されている。的板6の中央部には上下に貫通する矩形の嵌め込み孔26が形成されており、腕部5の直方体部を当該嵌め込み孔26に嵌め込むことによって、的板6設置後の軸回転を防止することができる。
【0041】
また、的板6の上面には腕部5の楕円柱体の側周面に即した表面形状を有する保持部が設けられている。保持部は、予め木ねじ27によって的板6に固定される固定保持部28と、長穴29を介してボルト30及び蝶ねじ31によって前後に摺動可能に設けられる可動保持部32とからなる。
【0042】
従って、図4、図6に示すように、的板6の設置は、腕部5を嵌め込み孔26に嵌めこんだ後、固定保持部28と可動保持部32とによって腕部5を側方から把持した状態で蝶ねじ31を締めて、可動保持部32を固定することにより行う。
【0043】
的板6の下面に付された的印7は、図5に示すように左右方向に形成された横線部33と、前後方向に形成された縦線部34とが交差した十字型状に形成されている。横線部33は縦線部34に対して対称に形成されている。的印7は的板6に印刷、若しくはテープを貼り付けて付されている。
【0044】
本実施の形態では、横線部33と縦線部34との交差部Pにレーザー放射口22から放射されたレーザー光を照射することによって、的印7がレーザー放射口の直上であることを知ることができる。
【0045】
また、図5に示すように前記縦線部34の後端部が、縦線部34の中心部分よりも幅細な細線部35に形成されている。細線部35の中心は、縦線部34の長手方向の軸中心上となるように形成されている。レーザー光照射時に細線部35を目印にすることによって、レーザー光を正確に横線部33と縦線部34との交差部Pに照射させることが容易にできる。
【0046】
一方、細線部35以外の縦線部34部分を細線部35よりも太い幅に形成することによって、周りが暗い夜の作業であっても的印7を見つけることが容易であり、レーザー光の照射位置調整を簡便に行なうことができる。
【0047】
引き手8は細長く柔軟に屈曲可能な紐体からなる。引き手8の上端部は、図4に示すように的板6の後部に下向きに取付けられた環状フックからなる係止部材36に係止され、図3、図6に示すように下方に垂れ下げられている。
【0048】
一方、支柱3の下端部には、支柱3の周面に把持部37によって取付けられ、径方向に突出して設置された収納部9が設置されており、引き手8の下端は当該収納部9の内部に接続されている。収納部9の内部には、引き手8を引き出す力に反発してバネの力で一方向に軸回転可能な巻取軸が設けられている。引き手8は、支柱3の伸縮に合わせて、自動的に収納部9から引き出す、若しくは収納することができる。ここで、把持部37は支柱3に対して軸方向に回動、若しくは高さ方向に移動可能に取付けられていることが好ましい。このような構成とすることにより、収納部9の支柱3の軸に対する角度位置及び高さ位置を作業者Hの作業姿勢に干渉しない位置に調節することができ、引き手8の位置を作業者Hが操作するために最適位置とすることができる。
【0049】
次に、本願発明に係る偏位測定器1の使用方法について説明する。
【0050】
架線12の偏位測定を行うために、偏位測定器1を図7に示すように軌道10に敷設されたレール11,11上に戴置する。このとき、レール11,11上に位置決め部材13,13を当接させることによって、偏位測定器1の左右中心を軌道10の左右中心に一致させることができる。
【0051】
偏位測定器1をレール11,11上に戴置した後、引き手8の上端が係止部材36固定されていることを確認し、支柱3を上方に伸長させ、腕部5の上端面が架線12に接触させる。
【0052】
引き手8は支柱3が伸ばされるにしたがって収納部材9から続々と引き出されるため、支柱3の伸長作業完了後においても引き手8が支柱上部から作業者Hの手元まで垂れ下がった状態となり、引き手8を容易に把持することができる。
【0053】
このとき、支柱3の上端部は自重により撓みを生じており、腕部5の左右中心が軌道10の左右中心に一致していない。したがって、腕部5の左右中心から架線12との接触点までの距離と、軌道10の左右中心から架線12までの偏位との間に誤差を生じている状態となる。特に軌道が水平に対して左右方向に傾斜している場所においては支柱3の撓みの程度が大きくなり、前記誤差も大きくなるため、そのままでは正確な偏位測定を行なうことができない。
【0054】
そこで正確な偏位測定を行うため、作業者Hは、レーザー放射部材4からレーザー光を放射させ、当該レーザー光を腕部5の下方に設置された的板6に付された的印7の中心に照射させることによって支柱3を基台2に対して垂直となるように補正する。ここで、本実施の形態では的印7は横線部33と縦線部34が交差してなる十字型に構成されており、的印7の中心は横線部33と縦線部34との交差部Pである。
【0055】
作業者Hは、支柱3の補正に際し、把持した引き手8を前後左右に引くことによって的板6の位置を操作することができる。引き手8の操作当初においてレーザー光が的印7の中心から大きく離れている場合であっても、作業者Hは横線部33若しくは縦線部34に沿ってレーザー光を誘導することによってレーザー光を交差部Pに容易に一致させることができる。
【0056】
さらに、レーザー光と細線部35との位置関係を比較することで、交差部Pに合わせたレーザー光が正確に的板6の中心であることを確認することができる。
【0057】
以上の操作により支柱3が基台2に対して垂直となったことを確認後、作業者Hは架線12が腕部5と接触している位置の偏位測定目盛25を読み取ることによって測定作業を完了する。
【0058】
本願発明によれば、上端部分が撓んだ支柱3を、レーザー放射部材4、的板6、および引き手8によって、基台2に対して垂直に補正することが容易であるため、正確な測定を行なうことができると共に、迅速な測定作業による作業の高効率化を図ることができる。さらに、例えばグラスファイバー等の軽い素材を用いて偏位測定器1を軽量化することができる。軽量化できれば偏位測定器1の運搬が容易になるため、測定の準備から測定作業、片付けまでを一人の作業者で行うことも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 偏位測定器
2 基台
3 支柱
4 レーザー放射部材
5 腕部
6 的板
7 的印
8 引き手
10 軌道
11 レール
12 架線
22 レーザー放射口
P 交差部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道上方に設置された架線の軌道中心からの偏位を測定する偏位測定器であって、
軌道に沿って敷設された左右一対のレールに掛け渡して戴置する基台と、
基台から高さ方向上方に伸縮自在に設けられた支柱と、
基台に取付けられ、レーザー光を放射可能なレーザー放射口を有するレーザー放射部材と、
支柱の上端に取付けられ、基台と平行で左右両側に延出して形成された腕部と、
腕部の下に設置された的板とからなり、
基台の下面には前記一対のレールに対応する位置にそれぞれ位置決め部材が設けられ、
支柱は、基台に対して垂直であって、位置決め部材から等距離の位置に設置され、
レーザー部材は、左右の位置決め部材から等距離の位置に設置され、レーザー光をレーザー放射口から基台に対して垂直上方に放射可能に設けられ、
的板の下面にはレーザー放射口の直上位置を示す的印が付され、
支柱の上端部には、支柱から下方に垂れ下げた引き手を備える
ことを特徴とする偏位測定器。
【請求項2】
前記的印が、左右方向に形成された横線部と、前後方向に形成された縦線部とが交差した形状に形成されており、支柱が基台の上端面に対して垂直である場合に、前記横線部と縦線部との交差部がレーザー放射口の直上を示す
ことを特徴とする請求項1に記載の偏位測定器。
【請求項3】
前記的印を構成する縦線部の前後端部のいずれかが、縦線部の中心部分よりも幅細な細線部に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の偏位測定器。
【請求項4】
前記引き手が紐体である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の偏位測定器。
【請求項5】
前記引き手の下端部が、紐体を巻取り式に収納可能な収納部材の巻取り部に接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の偏位測定器。
【請求項1】
軌道上方に設置された架線の軌道中心からの偏位を測定する偏位測定器であって、
軌道に沿って敷設された左右一対のレールに掛け渡して戴置する基台と、
基台から高さ方向上方に伸縮自在に設けられた支柱と、
基台に取付けられ、レーザー光を放射可能なレーザー放射口を有するレーザー放射部材と、
支柱の上端に取付けられ、基台と平行で左右両側に延出して形成された腕部と、
腕部の下に設置された的板とからなり、
基台の下面には前記一対のレールに対応する位置にそれぞれ位置決め部材が設けられ、
支柱は、基台に対して垂直であって、位置決め部材から等距離の位置に設置され、
レーザー部材は、左右の位置決め部材から等距離の位置に設置され、レーザー光をレーザー放射口から基台に対して垂直上方に放射可能に設けられ、
的板の下面にはレーザー放射口の直上位置を示す的印が付され、
支柱の上端部には、支柱から下方に垂れ下げた引き手を備える
ことを特徴とする偏位測定器。
【請求項2】
前記的印が、左右方向に形成された横線部と、前後方向に形成された縦線部とが交差した形状に形成されており、支柱が基台の上端面に対して垂直である場合に、前記横線部と縦線部との交差部がレーザー放射口の直上を示す
ことを特徴とする請求項1に記載の偏位測定器。
【請求項3】
前記的印を構成する縦線部の前後端部のいずれかが、縦線部の中心部分よりも幅細な細線部に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の偏位測定器。
【請求項4】
前記引き手が紐体である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の偏位測定器。
【請求項5】
前記引き手の下端部が、紐体を巻取り式に収納可能な収納部材の巻取り部に接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の偏位測定器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−184945(P2012−184945A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46434(P2011−46434)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(390003779)宣真工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(390003779)宣真工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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