説明

偏光有機光電変換素子、偏光有機光電変換素子の製造方法、偏光光学素子、撮像装置および電子機器

【課題】偏光に対する感応性が高い偏光有機光電変換素子およびその製造方法ならびに偏光に対する感応性が高く、しかも2軸方位の偏光を受光して光電変換することができる偏光光学素子を提供する。
【解決手段】偏光有機光電変換素子は、第1の電極11と第2の電極12との間に、その面内で少なくともその一部が予め所定の方向に一軸配向された有機光電変換層13が挟まれた構造を有する。第1の電極11と第2の電極12との間に所定のバイアス電圧を印加した状態で偏光有機光電変換素子に光を入射させ、有機光電変換層13の配向軸に平行な方向の偏光を光電変換する。二つの偏光有機光電変換素子を上下に配置して偏光光学素子を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、偏光有機光電変換素子、偏光有機光電変換素子の製造方法、偏光光学素子、撮像装置および電子機器に関する。本開示は、例えば、有機光電変換層を用いた偏光有機撮像装置に適用して好適な偏光有機光電変換素子およびその製造方法ならびにこの偏光有機光電変換素子を用いた偏光光学素子ならびにこの偏光有機光電変換素子あるいは偏光光学素子を用いた撮像装置あるいは各種の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機光電変換層を用いた偏光有機光電変換素子としては、ラビング処理を施した配向膜上に形成されたフタロシアニン分子からなる薄膜を有する半導体素子が知られている(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−102660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来の偏光有機光電変換素子は、有機光電変換層となるフタロシアニン分子からなる薄膜は、ラビング処理を施した配向膜上に形成されることから、配向規制力が弱く、偏光性が低かった。このため、この偏光光電変換素子は、偏光に対する感応性が低かった。
【0005】
そこで、本開示が解決しようとする課題は、偏光に対する感応性が高い偏光有機光電変換素子およびその製造方法を提供することである。
【0006】
本開示が解決しようとする他の課題は、偏光に対する感応性が高く、しかも2軸方位の偏光を受光して光電変換することができる偏光光学素子を提供することである。
【0007】
本開示が解決しようとする他の課題は、上記の優れた偏光光電変換素子または偏光光学素子を用いた高性能の撮像装置および電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示は、
少なくとも一方が透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、
上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子である。
【0009】
また、本開示は、
少なくとも一方が透明な第1の電極と第2の電極との間に、その面内で少なくともその一部が予め一軸配向された有機光電変換層が挟まれた構造を形成するようにした偏光有機光電変換素子の製造方法である。
【0010】
また、本開示は、
それぞれ透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子が少なくとも二つ、それらの配向軸が互いに交差するように配置されている偏光光学素子である。
【0011】
また、本開示は、
少なくとも一方が透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子を有する撮像装置である。
【0012】
また、本開示は、
それぞれ透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子が少なくとも二つ、それらの配向軸が互いに交差するように配置されている偏光光学素子を有する撮像装置である。
【0013】
また、本開示は、
少なくとも一方が透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子を有する電子機器である。
【0014】
また、本開示は、
それぞれ透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子が少なくとも二つ、それらの配向軸が互いに交差するように配置されている偏光光学素子を有する電子機器である。
【0015】
上記の有機光電変換層は、好適には少なくともその大部分、最も好適にはその全体が予め一軸配向されたものである。この有機光電変換層は、例えば、ラビング、摩擦転写、光配向、無機蒸着配向、一軸引っ張り延伸、一軸摩擦延伸およびせん断からなる群より選ばれた少なくとも一つの方法により一軸配向されたものである。有機光電変換層は、種々の光電変換材料により形成することができ、必要に応じて選ばれる。有機光電変換層は、例えば、液晶性色素および/または二色性色素を含む。これらの液晶性色素および二色性色素としては従来公知のものを用いることができ、必要に応じて選ばれる。
【0016】
第1の電極および第2の電極の材料は必要に応じて選ばれるが、第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方、例えば受光面側の一方は、例えば可視光に対して透明な透明導電性金属酸化物からなる。第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方、例えば受光面側の一方がグラフェンからなるようにしてもよい。グラフェンの可視光領域の透過率は、使用するグラフェンの層数にもよるが、例えば80%から90%にもなる。このため、このグラフェンからなる電極を透過して有機光電変換層に入射する光の量を増加させることができる。また、グラフェンは化学気相成長(CVD)法により容易に成長させることができるため、グラフェンの成膜時に有機光電変換層にダメージが発生するおそれがない。
【0017】
有機光電変換層は、互いに連結された溶液蓄積領域およびこの溶液蓄積領域よりも幅が狭い溶液絞込領域を一主面に有する第1の電極または第2の電極の上記溶液蓄積領域および上記溶液絞込領域に、有機光電変換材料を溶媒に溶解させた有機溶液を、この有機溶液の温度を、この有機溶液に関する溶解度曲線よりも高温側に位置する第1の温度とし、かつ上記有機溶液の周辺環境の蒸気圧が上記第1の温度における飽和蒸気圧になるようにして供給し、上記有機溶液の温度を上記第1の温度から上記溶解度曲線とこの有機溶液に関する過溶解度曲線との間に位置する第2の温度まで低下させることにより形成されたものであってもよい。あるいは、有機光電変換層は、互いに連結された溶液蓄積領域およびこの溶液蓄積領域よりも幅が狭い溶液絞込領域を一主面に有する第1の電極または第2の電極の上記溶液蓄積領域および上記溶液絞込領域に、有機光電変換材料を溶媒に溶解させた有機溶液を、この有機溶液の温度を、この有機溶液に関する溶解度曲線とこの有機溶液に関する過溶解度曲線との間に位置する第3の温度とし、かつ上記有機溶液の周辺環境の蒸気圧が上記第3の温度における飽和蒸気圧になるようにして供給し、上記蒸気圧を低下させることにより形成されたものであってもよい。さらに、有機光電変換層は、光電変換材料とバインダーとの混合物からなる有機光電変換層形成用膜を形成した後、この有機光電変換層形成用膜を一軸引っ張り延伸、一軸摩擦延伸およびせん断からなる群より選ばれた少なくとも一つの方法により一軸配向させたものであってもよい。
【0018】
上記の偏光光学素子においては、典型的には、有機光電変換素子が二つ、それらの配向軸が互いに直交するように配置されている。
【0019】
偏光有機光電変換素子は、例えば、偏光有機撮像装置や測距機能素子などとして用いることができる。偏光有機光電変換素子あるいは偏光光学素子は、偏光を利用する各種の電子機器に用いることができる。この電子機器は、具体的には、例えば、偏光有機光電変換素子からなる偏光有機撮像装置を用いる3次元カメラなどである。
【0020】
本開示によれば、偏光有機光電変換素子および偏光光学素子は、有機光電変換層そのものが予め一軸配向されたものであるため、偏光性が高い。このため、これらの偏光有機光電変換素子および偏光光学素子は、偏光に対する感応性が高い。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、偏光に対する感応性が高い偏光有機光電変換素子および偏光光学素子を得ることができる。特に、この偏光光学素子によれば、2軸方位の偏光を受光して光電変換することができる。そして、これらの偏光有機光電変換素子または偏光光学素子を用いることにより、高性能の撮像装置あるいは電子機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態による偏光有機光電変換素子を示す斜視図およびこの偏光有機光電変換素子の一軸配向された有機光電変換層を示す平面図である。
【図2】第1の実施の形態による偏光有機光電変換素子にその有機光電変換層の配向軸に対して平行な偏光が入射する様子を示す略線図である。
【図3】第1の実施の形態による偏光有機光電変換素子にその有機光電変換層の配向軸に対して直交する偏光が入射する様子を示す略線図である。
【図4】第1の実施の形態による偏光有機光電変換素子にその有機光電変換層の配向軸に対して平行な偏光および直交する偏光が入射したときに得られる光電流の測定結果を示す略線図である。
【図5】第2の実施の形態による偏光有機光電変換素子の製造方法に用いる製膜装置を示す略線図である。
【図6】第2の実施の形態による偏光有機光電変換素子の製造方法を説明するための略線図である。
【図7】第2の実施の形態による偏光有機光電変換素子の製造方法において用いられる有機溶液に関する溶解度曲線および過溶解度曲線を示す略線図である。
【図8】第2の実施の形態による偏光有機光電変換素子の製造方法に用いる製膜装置を示す略線図である。
【図9】第2の実施の形態による偏光有機光電変換素子の製造方法を説明するための略線図である。
【図10】第2の実施の形態による偏光有機光電変換素子の製造方法を説明するための略線図である。
【図11】第2の実施の形態による偏光有機光電変換素子の製造方法を説明するための略線図である。
【図12】第4の実施の形態による偏光有機光電変換素子を示す断面図である。
【図13】第4の実施の形態による偏光有機光電変換素子の製造方法を説明するための斜視図である。
【図14】第4の実施の形態による偏光有機光電変換素子の製造方法を説明するための斜視図である。
【図15】第4の実施の形態による偏光有機光電変換素子の製造方法を説明するための斜視図である。
【図16】第5の実施の形態による偏光光学素子を示す斜視図である。
【図17】第5の実施の形態による偏光光学素子を構成する二つの偏光有機光電変換素子を示す斜視図である。
【図18】第5の実施の形態による偏光光学素子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(偏光有機光電変換素子およびその製造方法)
2.第2の実施の形態(偏光有機光電変換素子およびその製造方法)
3.第3の実施の形態(偏光有機光電変換素子およびその製造方法)
4.第4の実施の形態(偏光有機光電変換素子およびその製造方法)
5.第5の実施の形態(偏光光学素子およびその製造方法)
【0024】
〈1.第1の実施の形態〉
[偏光有機光電変換素子]
第1の実施の形態による偏光有機光電変換素子を図1Aに示す。
【0025】
図1Aに示すように、この偏光有機光電変換素子は、第1の電極11と第2の電極12との間に有機光電変換材料からなる有機光電変換層13が挟まれた構造を有する。有機光電変換層13は、その面内で少なくともその一部が予め所定の方向に一軸配向されたものである。例えば、図1Bに示すように、この有機光電変換層13は、その全体が同一の方向に一軸配向されたものである。第1の電極11および第2の電極12のうちの少なくとも受光面側の一方は、光電変換しようとする光、例えば可視光に対して透明であり、他方は光電変換しようとする光に対して透明であっても透明でなくてもよい。例えば、第1の電極11および第2の電極12のうちの一方はグラウンド電極(接地電極)、他方はバイアス印加電極として用いられる。第1の電極11および第2の電極12は、必要に応じて、基板上に形成されたものであってもよい。第1の電極11および第2の電極12のうちの少なくとも受光面側の一方を基板上に形成する場合、その基板としては光電変換しようとする光に対して透明なものが用いられる。この偏光有機光電変換素子においては、例えば第2の電極12側が受光面となる場合、入射光は、この第2の電極12を透過して、あるいはこの第2の電極12が基板上に形成されている場合にはこれらの基板および第2の電極12を透過して、有機光電変換層13に入射する。
【0026】
第1の電極11または第2の電極12を例えば可視光に対して透明に構成する場合、その材料としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、インジウム・ガリウムドープ酸化亜鉛(IGZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、二酸化チタン(TiO2 )などの透明導電性金属酸化物などの一種または二種類以上を混合したものや、グラフェンなどの炭素材料などを用いることができる。第1の電極11または第2の電極12の材料としてグラフェンを用いる場合、このグラフェンは一層であっても二層以上の複数層であってもよいが、一層増えるごとに可視光透過率が2.3%低下するため、グラフェンの層数は、第1の電極11および第2の電極12のうちの透明に構成するものに必要とされる透過率に応じて適宜決められる。第1の電極11または第2の電極12の材料としてグラフェンを用いることにより、第1の電極11または第2の電極12の可視光に対する透過率を、第1の電極11または第2の電極12の材料としてITOなどの透明導電性酸化物を用いた場合に比べて大幅に高くすることができる。また、グラフェンはCVD法により容易に形成することができるため、第1の電極11または第2の電極12を形成する際にスパッタリング法や真空蒸着法などを用いる必要がなくなり、第1の電極11または第2の電極12の形成時に有機光電変換層13にダメージが発生するのを防止することができる。また、グラフェンはガスバリア性に優れているため、第1の電極11または第2の電極12を通して酸素などが有機光電変換層13に拡散するのを防止することができことから、有機光電変換層13の特性の劣化を防止することができる。以上により、偏光性、光電変換特性、電気的特性および信頼性に優れた高性能かつ長寿命の偏光有機光電変換素子を実現することができる。また、第1の電極11または第2の電極12の材料として環境に優しい炭素材料の一種であるグラフェンを用いた場合には、ITOなどのレアメタルを含む材料を用いないため、地球資源の枯渇を抑えることができ、対環境面にも優れている。第1の電極12または第2の電極12を透明にする必要がない場合、その材料としては、具体的には、例えば、銅(Cu)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)などの各種の金属やそれらの合金などを用いることができる。第1の電極11および第2の電極12の厚さは必要に応じて選ばれ、特に限定されない。
【0027】
第1の電極11または第2の電極12を基板上に形成する場合、この基板の材料は従来公知の材料の中から必要に応じて選ばれる。具体的には、基板の材料は、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、プラスチック基板などが用いられる。プラスチック基板としては、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォンなどからなるものが用いられる。基板の厚さは必要に応じて選ばれ、特に限定されない。
【0028】
有機光電変換層13を構成する有機光電変換材料としては従来公知の各種のものを用いることができ、光電変換しようとする光の波長などに応じて適宜選ばれる。有機光電変換材料としては、具体的には、例えば、次のような各種の有機色素を用いることができるが、これらに限定されるものではない。使用する有機色素は、例えば、この有機色素の最高被占軌道(HOMO)および最低空軌道(LUMO)のバンド構造を考慮して第1の電極11および第2の電極12と仕事関数が揃うように選ばれるが、第1の電極11および第2の電極12と有機光電変換層13との間に中間層(バッファ層)を形成する場合には必ずしもそのようにする必要はない。有機光電変換層13は、一種類の有機光電変換材料で構成してもよいし、二種類以上の有機光電変換材料を組み合わせて、例えば二種類以上の有機光電変換材料を混合して構成してもよい。有機光電変換層13の厚さは必要に応じて選ばれるが、例えば、この偏光有機光電変換素子の動作時に印加される電界の強度や成膜安定性などを考慮して、好適には30nm以上500nm以下に得られる。
【0029】
・Vat Violet 1
イソビオラントロン
【化1】

・Vat Violet 2
Pigment Violent 36
・Vat Violet 3
4,4’,7,7’−テトラメチル−5,5’−ジクロロ−△2,2’(3H,3’H)−ビ[ベンゾ[b]チオフェン]−3,3’−ジオン
【化2】

・Vat Violet 4
・Vat Violet 5
5,7−ジクロロ−2−[5,6,7−トリクロロ−3−オキソベンゾ[b]チオフェン−2(3H)−イリデン]−1H−インドール−3(2H)−オン
【化3】

・Vat Violet 6
・Vat Violet 7
・Pigment Violet 1
キサンテン、ローダミンB
9-(2-carboxyphenyl)-3,6-bis(diethylamino)-xanthylium molybdatetungstatephosphate
【化4】

・Pigment Violet 3
4-[(4-Aminophenyl)(4-imino-2,5-cyclohexadien-1-ylidene)methyl]-benzenamine N-Me derivs
【化5】

・Pigment Violet 4
カルボニウム、マゼンタ
・Pigment Violet 5
アントラキノン、スルフォン化キニザリン、アリザリンバイオレット
・Pigment Violet 5:1
アントラキノンアルミニウムレーキ、スルフォン化キニザリンアルミニウムレーキ、アリザリンバイオレット
・Pigment Violet 19
無置換キナクリドン
・Pigment Violet 23
ジオキサジン、ジオキサジンカルバゾールバイオレット
8,18−ジクロロ−5,15−ジエチル−5,15−ジヒドロジインドロ[3,2−b:3’,2’−m]トリフェノジオキサジン
【化6】

・Pigment Violet 27
ferrate(4-),hexakis(cyano-c)-,methylated 4- [(4-aminophenyl)(4-imino-2,5-cyclohexadien-1-ylidene)methyl]benzenamine copper(2+)salts
【化7】

・Pigment Violet 29
3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド
【化8】

・Pigment Violet 31
ビオラントロン、ブリリアントバイオレットRR
ジクロロベンゾ[rst]フェナントロ[10,1,2−cde]ペンタフェン−9,10−ジオン;ピグメントバイオレット31;C.I.ピグメントバイオレット31
【化9】

・Pigment Violet 32
N-(2,3-dihydro-2-oxo-1H-benzimidazole-5-yl)-3-hydroxy-4-[[2,5-dimethoxy-4-[(methylamino)sulphonyl]phenyl]azo ]naphtalene-2-carboxamide
ジクロロベンゾ[rst]フェナントロ[10,1,2−cde]ペンタフェン−9,10−ジオン);ピグメントバイオレット31;C.I.ピグメントバイオレット31
【化10】

・Pigment Violet 33
bromobenzo[rst ]phenanthro[10,1,2-cde]pentaphene-9,18-dione
THRENE BRILLIANT VIOLET 3B
【化11】

・Pigment Violet 34
4−[(4−アミノフェニル)アゾ]−4’−[(2,4−ジヒドロキシフェニル)アゾ][1,1’−アゾビスナフタレン]−6’,7−ジスルホン酸二ナトリウム
【化12】

・Pigment Violet 35
【化13】

・Pigment Violet 36
チオインディゴ
5-chloro-2-(5-chloro-7-methyl-3-oxobenzo[b ]thien-2(3h)-ylidene)-7-methyl-
benzo [b ]thiophen-3(2h)-on
5−クロロ−2−(5−クロロ−7−メチル−3−オキソベンゾ[b]チオフェン−2(3H)−イリデン)−7−メチルベンゾ[b]チオフェン−3(2H)−オン
【化14】

・Pigment Violet 37
ジオキサジン
3−メチルブタン酸(2E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル
【化15】

・Pigment Violet 38
ALLYL 2-CHLORO-1,1,2-TRIFLUOROETHYL ETHER
【化16】

・Pigment Violet 40
オレイルアミン
【化17】

・Pigment Violet 42
4−(2,4−ジクロロフェノキシ)酪酸2−ブトキシエチル
【化18】

・Pigment Violet 42
キナクリドン、キナクリドン固溶体、キナクリドンマルーンB
【化19】

・Pigment Violet 43
4−[[4−(ベンゾイルアミノ)−2−メトキシ−5−メチルフェニル]アゾ]−N−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド
【化20】

・Pigment Violet 44
4−(4−メトキシフェニル)−2−ブタノン
【化21】

・Pigment Violet 50
4−[(4−(ベンゾイルアミノ−2−メトキシ−5−メチルフェニル)アゾ]−3−ヒドロキシ−N−フェニル−2−ナフタレンカルボアミド
【化22】

・Pigment Blue 1
カルボニウム、ビクトリアピュアブルー
【化23】

・Pigment Blue 5
2−メチル−4−[[4−[[4−[(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル][4−[(3−メチルフェニル)イミノ]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]メチル]フェニル]アミノ]ベンゼンスルホン酸
【化24】

・Pigment Blue 7
フタロシアニンコバルト(II)
【化25】

・Pigment Blue 15
無置換銅フタロシアニンα型結晶
【化26】

・Pigment Blue 15:1
低塩素化銅フタロシアニンα型結晶
・Pigment Blue 15:2
NF処理銅フタロシアニンα型結晶
(NF処理無置換銅フタロシアニンα型結晶、NF処理低塩素化銅フタロシアニンα型結晶)
・Pigment Blue 15:3
無置換銅フタロシアニンβ型結晶
・Pigment Blue 15:4
NF処理無置換銅フタロシアニンβ型結晶
・Pigment Blue 15:5
無置換銅フタロシアニンγ型結晶
・Pigment Blue 15:6
無置換銅フタロシアニンε型結晶
・Pigment Blue 16
無金属フタロシアニン、Pc
【化27】

・Pigment Blue 17
スルホン化銅フタロシアニンレーキ
・Pigment Blue 24
N−エチル−N−[4−[[4−[エチル[(3−スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](2−スルホナトフェニル)メチレン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]−3−スルホベンゼンメタンアミニウム/バリウム,(1:1)
・Pigment Blue 25
4,4’−[3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイルビス(アゾ)]ビス(3−ヒドロキシ−N−フェニル−2−ナフトアミド)
【化28】

・Pigment Blue 56
2−メチル−4−[[4−[[4−[(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル][4−[(3−メチルフェニル)イミノ]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]メチル]フェニル]アミノ]ベンゼンスルホン酸
【化29】

・Pigment Blue 57
3−メチル−4−[[4−[[4−[(2−メチルフェニル)アミノ]フェニル][4−[(2−メチルフェニル)イミノ]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]メチル]フェニル]アミノ]ベンゼンスルホン酸
・Pigment Blue 60
インダンスレン、アントラキノン、インダンスレン青
【化30】

・Pigment Blue 61
[[4−[[4−(フェニルアミノ)フェニル][4−(フェニルイミノ)−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]メチル]フェニル]アミノ]ベンゼンスルホン酸
【化31】

・Pigment Blue 63
C.I.アルミニウムレーキ
【化32】

・Pigment Blue 64
2812Cl2 2 4
【化33】

・Pigment Blue 65
ビオラントレン−5,10−ジオン
【化34】

・Pigment Blue 66
インジゴ、藍
【化35】

・Pigment Blue 75
コバルトフタロシアニンブルー、CoPc
・Pigment Blue 76
フタロシアニンブルーグリーン10GN(高塩素化フタロシアニンブルー)
・Pigment Blue 79
アルミニウムフタロシアニンブルー、AlPc
・Pigment Blue 80
ベンツイミダゾロンジオキサジンブルー
・Pigment Blue 82
インジゴとクレーの混成(マヤブルー)
・Pigment Red 1
βナフトール、モノアゾ、パラレッド
【化36】

・Pigment Red 2
ナフトールAS、モノアゾ
【化37】

・Pigment Red 3
【化38】

・Pigment Red 4
【化39】

・Pigment Red 5
【化40】

・Pigment Red 6
ナフトールAS、モノアゾ、カーミンFB
【化41】

・Pigment Red 7
【化42】

・Pigment Red 8
【化43】

・Pigment Red 9
ナフトールAS、モノアゾ、パーマネントレッドFRLL
【化44】

・Pigment Red 12
【化45】

・Pigment Red 13
【化46】

・Pigment Red 17
【化47】

・Pigment Red 21
【化48】

・Pigment Red 22
【化49】

・Pigment Red 23
ナフトールAS、モノアゾ、カーミンBS
【化50】

・Pigment Red 24
【化51】

・Pigment Red 31
【化52】

・Pigment Red 32
【化53】

・Pigment Red 38
【化54】

・Pigment Red 48
BONA、モノアゾ
【化55】

・Pigment Red 49
【化56】

・Pigment Red 50
・Pigment Red 51
【化57】

・Pigment Red 52
【化58】

・Pigment Red 53
βナフトール、モノアゾ、レーキッドC
【化59】

・Pigment Red 54
βナフトールカルシウムレーキ、モノアゾ
【化60】

・Pigment Red 64
【化61】

・Pigment Red 68
【化62】

・Pigment Red 88
チオインジゴ
【化63】

・Pigment Red 112
ナフトールAS、モノアゾ、パーマネントレッドFGR
【化64】

・Pigment Red 113
カドミウム水銀赤
・Pigment Red 114
ナフトールAS、モノアゾ、ブリリアントカーミンBS
【化65】

・Pigment Red 122
キナクリドン、ジメチルキナクリドン、キナクリドンマゼンタ
【化66】

・Pigment Red 123
【化67】

・Pigment Red 144
縮合ジアゾ
【化68】

・Pigment Red 146
ナフトールAS、モノアゾ、カーミンFBB
【化69】

・Pigment Red 147
【化70】

・Pigment Red 148
【化71】

・Pigment Red 149
ペリレン、ペリレンレッドBL
【化72】

・Pigment Red 150
【化73】

・Pigment Red 151
【化74】

・Pigment Red 168
アントラキノン、ジブロムアンサンスロンレッド
【化75】

・Pigment Red 170
ナフトールAS、モノアゾ、ナフトールカーバミドイエロー
・Pigment Red 171
【化76】

・Pigment Red 173
【化77】

・Pigment Red 174
【化78】

・Pigment Red 175
ベンツイミダゾロン系モノアゾ
【化79】

・Pigment Red 176
【化80】

・Pigment Red 177
アントラキノン
【化81】

・Pigment Red 178
【化82】

・Pigment Red 179
【化83】

・Pigment Red 181
【化84】

・Pigment Red 184
【化85】

・Pigment Red 185
【化86】

・Pigment Red 190
【化87】

・Pigment Red 195
【化88】

・Pigment Red 200
【化89】

・Pigment Red 202
キナクリドン、ジクロロキナクリドン、キナクリドンマゼンタ
【化90】

・Pigment Red 206
キナクリドン、キナクリドン固溶体、キナクリドンマルーン
・Pigment Red 207
キナクリドン、キナクリドン固溶体、キナクリドンスカーレット
・Pigment Red 208
【化91】

・Pigment Red 209
キナクリドン、キナクリドンスカーレット
・Pigment Red 214
【化92】

・Pigment Red 216
ピランスロンレッド
・Pigment Red 221
縮合ジアゾ
【化93】

・Pigment Red 224
【化94】

・Pigment Red 225
【化95】

・Pigment Red 242
縮合ジアゾ
【化96】

・Pigment Red 251
ピラゾロキナゾロン
・Pigment Red 254
塩素置換ジケトピロロピロール、ジケトピロロピロール、DPP
【化97】

・Pigment Red 255
無置換ジケトピロロピロール、ジケトピロロピロール、DPP
【化98】

・Pigment Red 259
ウルトラマリンピンク
・Pigment Red 264
ジケトピロロピロール、DPP
・Pigment Red 266
【化99】

・Pigment Red 268
【化100】

・Pigment Red 269
【化101】

・Pigment Yellow 1
モノアゾ、ハンザイエローG
【化102】

・Pigment Yellow 3
モノアゾ、ハンザイエロー10G
2−[(4−クロロ−2−ニトロフェニル)アゾ]−N−(2−クロロフェニル)−3−オキソブタンアミド
【化103】

・Pigment Yellow 4
2−[(4−ニトロフェニル)アゾ]−3−オキソ−N−フェニルブタンアミド
【化104】

・Pigment Yellow 5
2−[(2−ニトロフェニル)アゾ]−3−オキソ−N−フェニルブタンアミド
【化105】

・Pigment Yellow 6
モノアゾ、ハンザイエロー10G
1613ClN4 4
【化106】

・Pigment Yellow 14
ジアゾ、ジアゾイエローAAOT、ベンジジンイエロー5G、ベンジジンエロー
【化107】

・Pigment Yellow 17
ジアゾ、ジアゾイエローAAOA
4,4’−ビス[[1−(2−メトキシフェニルアミノ)−1,3−ジオキソブタン−2−イル]アゾ]−3,3’−ジクロロ−1,1’−ビフェニル
【化108】

・Pigment Yellow 24
フラバントロン
【化109】

・Pigment Yellow 55
ジアゾ、Pigment Yellow 2RN
【化110】

・Pigment Yellow 60
4−[(2−クロロフェニル)アゾ]−2,4−ジヒドロ−5−メチル−2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン
【化111】

・Pigment Yellow 62
ビス[4−[[1−[[(2−メチルフェニル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−30−ニトロベンゼンスルホン酸]カルシウム
【化112】

・Pigment Yellow 63
4,4’−ビス[[1−(2−クロロフェニルアミノ)−1,3−ジオキソブタン−2−イル]アゾ]−3,3’−ジクロロ−1,1’−ビフェニル
【化113】

・Pigment Yellow 64
・Pigment Yellow 65
モノアゾ
2−[(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)アゾ]−N−(2−メトキシフェニル)−3−オキソブタンアミド
【化114】

・Pigment Yellow 73
モノアゾ
2−[(4−クロロ−2−ニトロフェニル)アゾ]−N−(2−メトキシフェニル)−3−オキソブタンアミド
【化115】

・Pigment Yellow 74
モノアゾ、アジシニンイエロー、Permanent Yellow GX
2−[(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)アゾ]−N−(2−メトキシフェニル)−3−オキソブタンアミド
【化116】

・Pigment Yellow 75
N−(4−エトキシフェニル)−2−[(4−クロロ−2−ニトロフェニル)アゾ]−3−オキソブタンアミド
【化117】

・Pigment Yellow 81
ジアゾ
2,2’−[(2,2’,5,5’−テトラクロロ[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス(アゾ)]ビス[N−(2,4−ジメチルフェニル)−3−オキソブタンアミド]
【化118】

・Pigment Yellow 83
ジアゾ、ベンジジンイエロー
2,2’−[(3,3’−ジクロロ−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(アゾ)]ビス[N−(4−クロロ−2,5−ジトメキシフェニル)−3−オキソブタンアミド]
・Pigment Yellow 93
3,3’−[(2−クロロ−5−メチル−1,4−フェニレン)ビス(イミノ)ビス(1−アセチル−2−オキソ−2,1−エタンジイル)ビス(アゾ)]ビス[4−クロロ−N−(3−クロロ−2−メチルフェニル)ベンズアミド]
【化119】

・Pigment Yellow 94
3,3’−[(2,5−ジクロロ−1,4−フェニレン)ビス(イミノ)ビス(1−アセチル−2−オキソ−2,1−エタンジイル)ビス(アゾ)]ビス[4−クロロ−N−(5−クロロ−2−メチルフェニル)ベンズアミド]
【化120】

・Pigment Yellow 95
縮合ジアゾ、ポリアゾイエローGR
【化121】

・Pigment Yellow 97
モノアゾ
N−(4−クロロ−2,5−ジトメキシフェニル)−2−[[2,5−ジメトキシ−4−[(フェニルアミノ)スルホニル]フェニル]アゾ]−3−オキソブタンアミド
【化122】

・Pigment Yellow 98
4’−クロロ−2’−メチル−α−(4−クロロ−2−ニトロフェニルアゾ)アセトアニリド
【化123】

・Pigment Yellow 99
アントラキノン
・Pigment Yellow 100
タートラジンイエロー、レーキ型ピラゾロン
【化124】

・Pigment Yellow 101
1,2−ビス(2−ヒドロキシナフタレン−1−イルメチレン)ヒドラジン
【化125】

・Pigment Yellow 104
5−[(4−スルホフェニル)アゾ]−6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸/アルミニウム,(3:2)
【化126】

・Pigment Yellow 108
アントラピリミジン(Anthrapyrimidin)
・Pigment Yellow 109
イソインドリノン、Pigment Yellow 2GLT
3,3’−[(2−メチル−1,3−フェニレン)ジイミノ]ビス[4,5,6,7−テトラクロロ−1H−イソインドール−1−オン]
【化127】

・Pigment Yellow 110
イソインドリノン
4,5,6,7−テトラクロロ−3−[[4−[(1−オキソ−4,5,6,7−テトラクロロ−2H−イソインドール−3−イリデン)アミノ]フェニル]イミノ]−2H−イソインドール−1(3H)−オン
【化128】

・Pigment Yellow 111
モノアゾ、モノアゾイエロー7G
・Pigment Yellow 117
アゾメチン、銅アゾメチンイエロー、グリニッシュイエロー
・Pigment Yellow 120
ベンツイミダゾロン系モノアゾ
・Pigment Yellow 121
4,4’−ビス[[1−(2−クロロフェニルアミノ)−1,3−ジオキソブタン−2−イル]アゾ]−3,3’−ジクロロ−1,1’−ビフェニル
【化129】

・Pigment Yellow 122
4,4’−ビス[[1−(2,4−ジメチルフェニルアミノ)−1,3−ジオキソブタン−2−イル]アゾ]−3,3’−ジクロロ−1,1’−ビフェニル
・Pigment Yellow 138
キノフタロン
【化130】

・Pigment Yellow 139
イソインドリン
【化131】

・Pigment Yellow 142
1712CaN4 6
【化132】

・Pigment Yellow 147
37215 4
【化133】

・Pigment Yellow 148
39233 2
【化134】

・Pigment Yellow 150
アゾメチン、ニッケル錯塩アゾ
【化135】

・Pigment Yellow 151
ベンツイミダゾロン系モノアゾ
【化136】

・Pigment Yellow 152
ジアゾ
【化137】

・Pigment Yellow 154
ベンツイミダゾロン系モノアゾ
【化138】

・Pigment Yellow 155
ジアゾ
【化139】

・Pigment Yellow 168
【化140】

・Pigment Yellow 170
【化141】

・Pigment Yellow 174
【化142】

・Pigment Yellow 175
ベンツイミダゾロン系モノアゾ
【化143】

・Pigment Yellow 180
ベンツイミダゾロン系ジアゾ
【化144】

・Pigment Yellow 181
ベンツイミダゾロン系モノアゾ
【化145】

・Pigment Yellow 183
【化146】

・Pigment Yellow 184
バナジン酸ビスマス
・Pigment Yellow 185
【化147】

・Pigment Yellow 186
・Pigment Yellow 187
・Pigment Yellow 188
【化148】

・Pigment Yellow 193
【化149】

・Pigment Yellow 194
【化150】

【0030】
必要に応じて、第1の電極11と有機光電変換層13との間および/または第2の電極12と有機光電変換層13との間に中間層が設けられる。中間層には、光電変換により発生する電子および正孔を高効率で第1の電極11または第2の電極12に輸送することが重要であるため、場合によっては、注入層のほかに輸送層を形成することもある。加えて、中間層には、電子および正孔の移動を補助する機能を有する層のほかに、バンドダイアグラム的な電気的障壁を形成して、漏れ電流を防ぐ技術を用いることもある。正孔をストップさせる場合は、正孔障壁、電子をストップさせる場合には電子障壁と呼ぶことがある。
【0031】
[偏光有機光電変換素子の製造方法]
この偏光有機光電変換素子の製造方法について説明する。
まず、図1Aに示すように、第1の電極11上に、所定の方向に一軸配向した有機光電変換層13を形成する。この一軸配向した有機光電変換層13は、第1の電極11上に直接形成されたものであっても、第1の電極11上に一軸配向していない有機光電変換層を形成した後、この有機光電変換層を一軸配向させたものであっても、基板上に一軸配向した有機光電変換層13を形成した後、この有機光電変換層13をこの基板から第1の電極11上に転写したものであってよい。一軸配向していない有機光電変換層を形成した後、この有機光電変換層を一軸配向させる方法としては、有機光電変換層の表面にラビング布によりラビング処理を施したり、光配向処理を施したりする方法を用いることができる。このように有機光電変換層13に一軸配向処理を施し、あるいは最初から一軸配向した有機光電変換層13を用いていることにより、一軸配向性が高い。一軸配向した有機光電変換層13は無機蒸着配向により形成することもできる。一軸配向していない有機光電変換層を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、化学気相成長(CVD)法、塗布法、印刷法などの従来公知の方法を用いることができ、必要に応じて選ばれる。有機色素を用いて有機光電変換層13を形成する具体的な方法について説明すると次の通りである。すなわち、まず、第1の電極11の表面を清浄化する。次に、この第1の電極11上に、例えば、圧力1×10-3Pa以下、好適には1×10-4Pa以下、さらに好適には1×10-5Pa以下で、抵抗加熱、ランプ加熱、電子ビーム加熱、高周波誘導加熱、レーザー加熱などにより加熱された蒸発源から有機色素分子を昇華させて堆積させることにより、有機色素からなる有機光電変換層13を形成する。昇華温度については、有機色素分子が熱的に安定な範囲で高温の温度に選ぶことにより、成膜速度が高速となる。また、昇華温度の制御により成膜速度の制御が可能である。第1の電極11または第2の電極12と有機光電変換層13との間に上述の中間層を形成する場合、この中間層の形成には、上述の加熱蒸着法以外にCVD法や塗布法などを用いてもよい。
【0032】
次に、有機光電変換層13上に第2の電極12を形成する。この第2の電極12を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、化学気相成長(CVD)法、塗布法、印刷法などの従来公知の方法を用いることができ、有機光電変換層13の安定性や耐熱性などに応じて適宜選ばれる。この第2の電極12は、別の基板上に形成されたものを有機光電変換層13上に転写することにより形成してもよい。
以上により、目的とする偏光有機光電変換素子が製造される。
【0033】
[偏光有機光電変換素子の動作]
例えば、この偏光有機光電変換素子の第1の電極11をバイアス印加電極、第2の電極12をグラウンド電極(電位=0)として用い、第1の電極11にバイアス電圧を印加する。例えば、第2の電極12を透明に構成する。この状態で偏光有機光電変換素子の第2の電極12側に光が入射すると、この光は第2の電極12を透過して有機光電変換層13に入射する。この際、この入射光のうちの有機光電変換層13の配向軸に平行な方向の偏光成分だけが有機光電変換層13により光電変換される。すなわち、この有機光電変換層13への光の入射により電子および正孔が生成され、そのうち電子は第2の電極12に移動し、正孔は第1の電極11に移動してそれぞれ捕集される。これによって、第1の電極12と第2の電極15との間に外部回路を接続した場合、この外部回路に光電流が流れる。この光電流を測定することにより、偏光有機光電変換素子に入射した光のうちの有機光電変換層13の配向軸に平行な方向の偏光成分の検出を行うことができる。このとき、有機光電変換層13に入射する光の偏光の状態および波長に応じて光電流が得られる。
【0034】
〈実施例1〉
ガラス基板上にスパッタリング法により厚さ100nmのITO膜を形成して第1の電極11を形成した。
第1の電極11上に真空蒸着法により厚さ100nmのキナクリドン膜を形成した後、真空蒸着装置の真空チャンバーから試料を取り出した。次に、このキナクリドン膜の表面を、毛先0.5mm程度のレーヨンを用いて、深さ0.2mm程度となるようにして1回摺動させた。こうして、一軸配向したキナクリドン膜からなる有機光電変換層13を形成した。
次に、この有機光電変換層13上に真空蒸着法により厚さ100nmのAl膜を形成して第2の電極12を形成した。
以上により、偏光有機光電変換素子を製造した。
【0035】
この偏光有機光電変換素子に入射する光の偏光方向が有機光電変換層13の配向軸(光軸)に平行である場合と垂直である場合とについて光電変換特性を測定した。前者の場合の測定は、図2に示すように、第2の電極12側に偏光板14をその偏光軸が有機光電変換層13の配向軸と平行になるように配置し、この偏光板14の上方から光を入射させることにより、有機光電変換層13の配向軸と平行な偏光を得てこの偏光を有機光電変換層13に入射させる。後者の場合の測定は、図3に示すように、第2の電極12側に偏光板14をその偏光軸が有機光電変換層13の配向軸と垂直になるように配置し、この偏光板14の上方から光を入射させることにより、有機光電変換層13の配向軸と垂直な偏光を得てこの偏光を有機光電変換層13に入射させる。第1の電極11の電位を0とし、第2の電極12に対して+5Vを印加し、入射光の強度を100μW/cm2 としたときの波長分散の光電変換電流値を強度として特性評価を行った。測定結果を図4に示す。図4に示すように、偏光板14の偏光軸が有機光電変換層13の配向軸と平行な場合と垂直な場合とで光電変換電流値に差が見られ、一軸配向の光特性が得られていることがわかる。この特性を用いることにより、偏光板14を用いないでも、偏光方位を選択することが可能となることが示された。
【0036】
以上のように、この第1の実施の形態によれば、有機光電変換層13の一軸配向性が高いため、高い偏光性を得ることができる。このため、偏光に対する感応性が高い偏光有機光電変換素子を実現することができる。この偏光有機光電変換素子は、偏光板を用いる必要がないため、偏光板による入射光量の損失がなく、入射光量を最大限利用することができる。また、この偏光有機光電変換素子は一体的に形成されているため、小型かつ簡素に構成することができる。この偏光有機光電変換素子は、例えば、偏光有機撮像装置に適用して好適なものである。
【0037】
〈2.第2の実施の形態〉
[偏光有機光電変換素子の製造方法]
第1の電極11上に次のようにして溶液成長により有機光電変換層13を形成する。この溶液成長には溶液温度制御型と蒸気圧制御型とがある。
【0038】
・溶液温度制御型溶液成長による有機光電変換層13の形成
図5は、この有機光電変換層13の形成に用いられる製膜装置を示す。図5に示すように、この製膜装置は、チャンバー21と連結管22を介してこのチャンバー21と連結された溶媒タンク23とを有する。チャンバー21は溶媒タンク23と連結された状態において密閉可能となっている。チャンバー21には排気管24が設けられている。チャンバー21内には、温度制御可能なホルダー25が設けられており、このホルダー25上に製膜を行う基体として第1の電極11が載置される。
【0039】
溶媒タンク23には、有機光電変換層13の形成に用いられる有機溶液(有機光電変換材料を溶媒に溶解させたもの)中の溶媒と同じ種類の補助溶媒26が蓄積されている。この補助溶媒26の温度は、図示省略したオイルバスなどの加熱手段により調整可能になっている。この補助溶媒26には、溶媒タンク23の外部から内部に導入されたガス導入管27を通じてガスを導入可能になっている。溶媒タンク23は、連結管22を通じてチャンバー21に補助溶媒26の蒸気を含む蒸気を供給可能になっている。これにより、補助溶媒26の温度に応じて、有機溶液の周辺環境、すなわちチャンバー21の内部における蒸気の圧力(蒸気圧)Pが制御されるようになっている。なお、チャンバー21に供給された蒸気は、必要に応じて排気管24を通じて外部に排気可能である。
【0040】
図6に示すように、有機光電変換層13が形成される第1の電極11の一主面に、溶液蓄積領域41およびこの溶液蓄積領域41に連結された溶液絞込領域42を形成する。
【0041】
溶液蓄積領域41は、有機光電変換層13の形成ための有機溶液を蓄積するための領域であり、その面積は幅W1 および長さL1 により決定される。幅W1 および長さL1 は有機光電変換層13の形状および大きさに応じて適宜選ばれるが、有機溶液の量を確保するために、幅W1 および長さL1 は好適には十分に大きく選ばれ、例えば、幅W1 =1000〜10000μm、長さL1 =100〜800μmに選ばれる。
【0042】
溶液絞込領域42は、溶液蓄積領域41に供給された有機溶液を絞り込むための領域であり、その面積は幅W2 および長さL2 により決定される。この溶液絞込領域42の幅W2 は、溶液絞込領域42の幅W1 よりも狭くなっており、溶液蓄積領域41と溶液絞込領域42との連結位置43には、内側に向かって凸状の角部44が形成されている。溶液蓄積領域41から溶液絞込領域42に流入する有機溶液を絞り込むために、幅W2 は好適には十分に小さく選ばれ、例えば、幅W2 =5〜30μm、長さL2 =5〜200μmに選ばれる。ただし、幅W2 が幅W1 よりも狭くなっている限り、幅W2 および長さL2 は任意に変更可能である。
【0043】
第1の電極11の一主面に幅広の溶液蓄積領域41および幅狭の溶液絞込領域42を形成しているのは、気相(蒸気)と接する液相(有機溶液)の面積に差異を生じさせるためである。気相と接する面積が大きい(幅W1 が幅W2 よりも広い)溶液蓄積領域41では、有機溶液中の溶媒が蒸発しやすくなるのに対して、気相と接する面積が小さい(幅W2 が幅W1 よりも狭い)溶液絞込領域42では、有機溶液中の溶媒が蒸発しにくくなる。これにより、連結位置43の近傍において溶媒の蒸発速度が局所的に速くなるため、有機溶液の過飽和度が局所的に上昇する。ここでは、有機溶液を用いた溶液成長により有機光電変換層13を形成するために、この過飽和度の局所的上昇を利用して、有機溶液中の溶質、すなわち有機光電変換材料を結晶化させる。
【0044】
角部44の先端形状は、特に限定されないが、中でも、連結位置43において有機溶液を確実に絞り込むために、先鋭であることが好ましい。また、角部44の角度θは、特に限定されないが、中でも、角部44の先端形状と同様の理由により、直角であることが好ましい。
【0045】
好適には、第1の電極11は、例えば、図6に示すように、親液性領域45および撥液性領域46を一主面に有しており、上記の溶液蓄積領域41および溶液絞込領域42は好適には親液性領域45である。この場合には、溶液蓄積領域41および溶液絞込領域42が有機溶液に対して親液性(親液性領域45)になるのに対して、それ以外の領域が有機溶液に対して撥液性(撥液性領域46)になる。ここでは、親液性領域45の数(溶液蓄積領域41および溶液絞込領域42の組数)は、例えば、一つ(一組)である。
【0046】
親液性領域45は、有機溶液に対して濡れやすい領域であり、第1の電極11の一面において有機溶液を定着させる性質を有している。一方、撥液性領域46は、有機溶液に対して濡れにくい領域であり、第1の電極11の一面において有機溶液をはじく性質を有している。親液性領域45および撥液性領域46を有する第1の電極11は、例えば、親液性の第1の電極11の表面に撥液性の表面処理または膜形成処理が施されたものである。親液性の第1の電極11の表面を撥液性とするためには、例えば、アモルファスフッ素樹脂膜(旭硝子株式会社製サイトップ)を撥液性としたい領域に形成すればよい。
【0047】
第1の電極11の一主面が親液性領域45および撥液性領域46を有しているのは、濡れ性の違いを利用して有機溶液を所望の領域(親液性領域45)に定着させるためである。これにより、有機溶液の存在範囲が正確に制御される。なお、親液性領域45および撥液性領域46のそれぞれの濡れ性(表面エネルギー)は、親液性領域45および撥液性領域46を定着させることができる程度に異なっていればよい。
【0048】
[溶解度曲線および過溶解度曲線]
溶媒に有機光電変換材料を溶解させた有機溶液に関する溶解度曲線Y1 および過溶解度曲線Y2 を図7に示す。これらの溶解度曲線Y1 および過溶解度曲線Y2 は、溶媒に対する有機光電変換材料の溶解特性を表している。これらの溶解度曲線Y1 および過溶解度曲線Y2 は、有機光電変換層13を形成するために用いる有機光電変換材料およびそれを溶解させる溶媒について、有機光電変換層13を形成する前に予め準備(測定)されていることが好ましい。
【0049】
図7の領域R1 〜R3 は、有機溶液の状態を表している。溶解度曲線Y1 よりも高温側の領域R3 は、結晶が溶解する状態(溶液状態)である。溶解度曲線Y1 と過溶解度曲線Y2 との間の領域R2 は、結晶核を起点として結晶が成長する状態(結晶成長状態)である。過溶解度曲線Y2 よりも低温側の領域R1 は、結晶核が形成される状態(結晶核形成状態)である。なお、点A〜Cは、有機光電変換層13を形成する際の温度条件の一例を表す。
【0050】
有機光電変換層13を形成するには、最初に、有機溶液(任意の濃度C1 :図7)と、その有機溶液に関する溶解度曲線Y1 および過溶解度曲線Y2 (図7)と、溶液蓄積領域41および幅狭の溶液絞込領域42を一主面に有する第1の電極11とを準備する。
【0051】
有機溶液を調製するために用いる溶媒の種類は、溶質である有機光電変換材料を溶解させることができるものであれば特に限定されないが、中でも、多くの種類の有機光電変換材料を安定に溶解させやすく、しかも優れた揮発性を有する有機溶媒が好ましい。また、有機光電変換材料の種類は形成すべき有機光電変換層13に応じて適宜選ばれる。
【0052】
次に、図8に示すように、第1の電極11の一主面(親液性領域45である溶液蓄積領域41および溶液絞込領域42)に有機溶液47を供給する。この場合には、例えば、溶液蓄積領域41に有機溶液47を供給して、その溶液蓄積領域41から溶液絞込領域42に有機溶液47を流入させる。溶液蓄積領域41および溶液絞込領域42は有機溶液47に対して親液性(親液性領域45)であるため、その有機溶液47は溶液蓄積領域41および溶液絞込領域42を満たすように定着する。有機溶液47の供給量は任意であり、少なくとも溶液蓄積領域41および溶液絞込領域42を満たすことができる量であればよい。
【0053】
次に、排気管24を閉じてチャンバー21および溶媒タンク23を密閉した後、例えば、ガス導入管27から溶媒タンク23に窒素(N2 )などのガスを導入する。これにより、補助溶媒26を含む蒸気が溶媒タンク23から連結管22を通じてチャンバー21に供給されるため、そのチャンバー21の内部は蒸気が満たされた環境となる。
【0054】
この場合には、ホルダー25を用いて第1の電極11の温度をT1 に設定する。また、オイルバスなどを用いて補助溶媒26の温度もT1 に設定することが好ましい。これにより、チャンバー21の内部の蒸気圧Pが温度T1 における飽和蒸気圧になるため、液相(有機溶液47)と気相(蒸気)とが平衡状態になる。このことは、溶媒タンク23の内部における液相(補助溶媒26)と気相(蒸気)とにおいても同様である。
【0055】
ここで設定される温度T1 は、図7に示すように、溶解度曲線Y1 よりも高温側(領域R3 )に位置する温度であり、より具体的には、例えば、点Aに対応する温度である。これにより、有機溶液47の温度もT1 になるため、その有機溶液47は溶液状態になる。以降、有機溶液47の温度などは、ホルダー25などを用いて適宜設定される。
【0056】
続いて、有機溶液47の温度をT1 からT2 まで低下させる。この場合には、補助溶媒26の温度もT1 からT2 まで低下させることが好ましい。有機溶液47の温度だけでなく補助溶媒26の温度も一緒に低下させるのは、液相と気相との平衡状態を維持して蒸気圧Pが溶媒の蒸発に影響を及ぼすことを抑制するためであり、以降においても同様である。
【0057】
ここで設定される温度T2 は、図7に示すように、溶解度曲線Y1 と過溶解度曲線Y2 との間(領域R2 )に位置する温度であり、より具体的には、例えば、点Bに対応する温度である。これにより、有機溶液47は結晶成長状態になる。
【0058】
ここで、有機溶液47中には未だ結晶核が形成されていないため、その有機溶液47が結晶成長状態になっても、本来であれば、結晶核の形成も結晶の成長も生じないはずである。ところが、有機溶液47の温度もT2 になると、以下の理由により、図10および図11に示すように、有機溶液47中に結晶核が形成されるとともに、その結晶核を起点として結晶が成長する。
【0059】
有機溶液47は、幅広の溶液蓄積領域41および幅狭の溶液絞込領域42に存在しているため、溶液蓄積領域41よりも溶液絞込領域42において絞り込まれている。これによ、上述のように、溶液蓄積領域41に存在している有機溶液47と溶液絞込領域42に存在している有機溶液47とでは、気相(蒸気)と接する面積に差異が生じる。このため、気相と接する面積が大きい溶液蓄積領域41では、有機溶液47中の溶媒が蒸発しやすくなるのに対して、気相と接する面積が小さい溶液絞込領域42では、有機溶液47中の溶媒が蒸発しにくくなる。この気相と接する面積の違いに応じて蒸発速度に差異が生じ、有機溶液47中における連結位置43の近傍において溶媒の蒸発が局所的に速くなるため、その有機溶液47中の過飽和度が局所的に上昇する。これにより、過飽和度が局所的に上昇した領域では、有機溶液47が過溶解度曲線Y2 よりも低温側(領域R1 )の結晶核形成状態と同様の状態になるため、その有機溶液47中の溶質が結晶化する。この結果、有機溶液47中における狭い範囲(連結位置43の近傍)に結晶核が形成される。また、有機溶液47中における溶質の拡散現象により、その有機溶液47から溶質を供給されながら結晶核を起点として結晶が成長する。これにより、単結晶の有機光電変換層13が形成される。この場合には、溶液絞込領域42の幅W2 が十分に狭いと、実質的に単一の結晶核が形成される。
【0060】
この後、必要に応じて、有機溶液47の温度をT2 からそれよりも低い温度まで低下させてもよい。この場合には、補助溶媒26の温度も同様に低下させることが好ましい。この場合の目標温度は、温度T2 よりも低い温度であれば特に限定されないが、例えば、図7に示したように、過溶解度曲線Y2 よりも低温側(領域R1 )に位置する温度、より具体的には点Cに対応するT3 である。有機溶液47の温度をT2 よりも低下させると、結晶成長を進行させるための強い駆動力が生じるため、有機光電変換層13が大きく成長する。
【0061】
最後に、必要に応じて吸引などして第1の電極11の一主面から有機溶液47を除去することにより、図11に示すように、有機光電変換層13が得られる。
【0062】
ここでは、例えば、図11に示すように、ほぼ三角形の平面形状を有する有機光電変換層13が形成される。ただし、有機溶液47の滞留性(流れの有無および程度)などの条件によっては、矩形などの他の平面形状を有する有機光電変換層13が形成される場合もある。この場合には、必要に応じて、エッチング法などを用いて所望の平面形状となるように有機光電変換層13をパターニングしてもよい。
【0063】
なお、溶液蓄積領域41および溶液絞込領域42の構成と有機光電変換層13の構成との間には、以下のような関係がある。
【0064】
第1に、溶液蓄積領域41と溶液絞込領域42との連結位置43は、有機溶液47の過飽和度が局所的に上昇する位置を決定するため、結晶核が形成される位置を決定することになる。よって、連結位置43に応じて、結晶の成長開始位置および有機光電変換層13の形成位置を制御することができる。
【0065】
第2に、溶液蓄積領域41の長さL1 は、結晶核を起点として結晶が成長する際に、その結晶成長を継続的に進行させるために溶質を供給し続けることができる有機溶液47の量を決定することになる。よって、長さL1 に応じて、有機光電変換層13の大きさ(平面サイズ)を制御することができる。
【0066】
第3に、溶液絞込領域42の幅W2 は、結晶核の形成範囲および数に影響を及ぼす。幅W2 が十分に狭いと、結晶核の形成範囲が極狭い範囲に絞られるため、単一の結晶核が形成されやすくなる。なお、幅W2 が大きい場合には、角部44ごとに結晶核が形成されるため、各結晶核を起点として結晶が成長すると考えられる。よって、幅W2 が大きくても、その幅W2 が十分に狭い場合と同様に、角部44ごとに単結晶の有機光電変換層13を形成することができるはずである。ただし、角部44ごとに結晶核が形成される場合には、幅W2 が狭すぎると、結晶の成長途中において有機光電変換層13同士が衝突する可能性があるため、その衝突を回避するためには、むしろ幅W2 を十分に大きくすることが好ましい。
【0067】
この有機光電変換層13の形成方法(溶液温度制御型)では、有機溶液47の温度がT1 になるとともに、蒸気圧PがT1 における飽和蒸気圧になるようにして幅広の溶液蓄積領域41および幅狭の溶液絞込領域42に有機溶液47を供給した後、有機溶液47の温度をT1 からT2 まで低下させている。このT1 は、溶解度曲線Y1 よりも高温側(領域R3 )に位置する温度であり、T2 は、溶解度曲線Y1 と過溶解度曲線Y2 との間(領域R2 )に位置する温度である。
【0068】
この場合には、図5〜図11を参照して説明したように、有機溶液47の温度の低下に起因して、溶液蓄積領域41と溶液絞込領域42との連結位置43の近傍において有機溶液47の過飽和度が局所的に上昇する。これにより、有機溶液47中における狭い範囲に結晶核が形成されるとともに、その結晶核を起点として結晶が成長するため、有機分子が規則的に配列された単結晶の有機光電変換層13が形成される。よって、結晶核の形成位置および結晶の成長方向を制御して単結晶の有機光電変換層13を形成することができる。
【0069】
特に、単結晶の有機光電変換層13を形成するためには、蒸気圧Pが飽和蒸気圧である環境中において溶液蓄積領域41および溶液絞込領域42に有機溶液47を供給した後、その有機溶液47の温度を変化させるだけでよい。よって、減圧環境などの特別な環境を必要とせず、特殊な装置なども必要としないため、単結晶の有機光電変換層13を容易に形成することができる。
【0070】
また、有機溶液47の温度をさらにT2 よりも低下させれば、結晶成長を進行させるための強い駆動力が生じるため、有機光電変換層13の平面サイズを大きくすることができる。
【0071】
また、溶液蓄積領域41および溶液絞込領域42が有機溶液47に対して親液性(親液性領域45)であるとともに、それ以外の領域が有機溶液47に対して撥液性(撥液性領域46)であれば、濡れ性の違いを利用して有機溶液47が所望の範囲(親液性領域45)に定着しやすくなる。よって、上述の有機溶液47の過飽和度の上昇が確実に生じるため、有機光電変換層13の形成位置を正確に制御することができる。
【0072】
・蒸気圧制御型溶液成長による有機光電変換層13の形成
上述の溶液温度制御型溶液成長による有機光電変換層13の形成方法と同様に、有機溶液47と、溶解度曲線Y1 および過溶解度曲線Y2 (図7)と、製膜を行う基体として第1の電極11(図6)とを準備した後、図5および図8に示すように、チャンバー21の内部に蒸気Vが満たされた環境中において、第1の電極11の一主面(溶液蓄積領域41および溶液絞込領域42)に有機溶液47(任意の濃度C1:図7)を供給する。
【0073】
この場合には、第1の電極11の温度および補助溶媒26の温度をT2 に設定するとともに、蒸気圧Pを温度T2 における飽和蒸気圧にして液相と気相とを平衡状態にする。
【0074】
ここで設定される温度T2 は、図7に示すように、溶解度曲線Y1 と過溶解度曲線Y2 との間(領域R2 )に位置する温度であり、より具体的には、例えば、点Bに対応する温度である。これにより、有機溶液47は、結晶成長状態になる。
【0075】
続いて、有機溶液47の温度をT2 に維持したまま、蒸気圧Pを低下させる。この場合には、例えば、排気管24を僅かに開けて、チャンバー21内の蒸気を外部に排出すればよい。この場合における蒸気の排出量(目標蒸気圧)は任意である。ただし、有機溶液47中において結晶核がランダムに形成されることを防止するために、蒸気圧Pを急激に低下させすぎないことが好ましい。
【0076】
ここで、有機溶液47中には未だ結晶核が形成されていないため、蒸気圧Pを低下させても、本来であれば、結晶核の形成も結晶の成長も生じないはずである。ところが、蒸気圧Pが低下すると、以下の理由により、図10および図11に示すように、有機溶液47中に結晶核が形成されるとともに、その結晶核を起点として結晶が成長する。
【0077】
蒸気圧Pが低下すると、液相と気相との平衡状態が崩れるため、有機溶液47中の溶媒が蒸発しやすくなる。この場合には、幅広の溶液蓄積領域41および幅狭の溶液絞込領域42に有機溶液47が存在しているため、上述の溶液温度制御型溶液成長と同様に、連結位置43の近傍において有機溶液47の過飽和度が局所的に上昇する。よって、有機溶液47中における狭い範囲に結晶核が形成されるとともに、その結晶核を起点として結晶が成長するため、単結晶の有機光電変換層13が形成される。
【0078】
最後に、溶液温度制御型溶液成長と同様に、必要に応じて第1の電極11の一主面から有機溶液47を除去することにより、図11に示すように、有機光電変換層13が得られる。
【0079】
この蒸気圧制御型溶液成長による有機光電変換層13の形成方法では、有機溶液47の温度がT2 になるとともに、蒸気圧PがT2 における飽和蒸気圧になるようにして幅広の溶液蓄積領域41および幅狭の溶液絞込領域42に有機溶液47を供給した後、蒸気圧Pを低下させている。このT2 は、溶解度曲線Y1 と過溶解度曲線Y2 との間(領域R2 )に位置する温度である。
【0080】
この場合には、図5〜図11を参照して説明したように、蒸気圧Pの低下に起因して、溶液温度制御型溶液成長と同様に、溶液蓄積領域41と溶液絞込領域42との連結位置43の近傍において有機溶液47の過飽和度が局所的に上昇する。これにより、有機溶液47中における狭い範囲に結晶核が形成されるとともに、その結晶核を起点として結晶が成長するため、単結晶の有機光電変換層13が形成される。よって、結晶核の形成位置および結晶の成長方向を制御して単結晶の有機光電変換層13を形成することができる。
【0081】
特に、蒸気圧制御型溶液成長では、溶液温度制御型溶液成長よりも短時間で単結晶の有機光電変換層13を形成することができる。蒸気圧Pを低下させると、有機溶液47の温度を低下させる場合よりも溶媒が著しく蒸発しやすいため、その有機溶液47の過飽和度が短時間で上昇しやすいからである。
【0082】
第2の実施の形態においては、有機光電変換層13を溶液温度制御型溶液成長または蒸気圧制御型溶液成長により形成すること以外のことについては、第1の実施の形態と同様である。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0083】
〈3.第3の実施の形態〉
[偏光有機光電変換素子の製造方法]
この偏光有機光電変換素子の製造方法においては、予め一軸配向された有機光電変換層13を用意し、この有機光電変換層13を第1の電極11または第2の電極13上に配置する。この際、有機光電変換層13の配向軸がこの第1の電極11または第2の電極13に対して所定の方位となるようにする。この後、この有機光電変換層13上に第2の電極12または第1の電極11を形成することにより偏光有機光電変換素子を製造する。この場合、有機光電変換層13の化学的安定性が低い場合には、第1の電極11および第2の電極12のうちのより穏やかな条件で形成することができる方のものではない方のものの上に有機光電変換層13を配置した後、その上に穏やかな条件の方法、例えば輻射熱の少ない真空蒸着法や塗布法などにより、第1の電極11および第2の電極12のうちのより穏やかな条件で形成することができる他方を形成する。また、有機光電変換層13の化学的安定性が高く、ダメージに強い場合には、第1の電極11または第2の電極12のうちの一方の上に有機光電変換層13を配置した後、その上に例えばスパッタリング法などにより第1の電極11および第2の電極12のうちの他方を形成することができる。
【0084】
第3の実施の形態においては、上記以外のことについては、第1の実施の形態と同様である。
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0085】
〈4.第4の実施の形態〉
[偏光有機光電変換素子]
第4の実施の形態による偏光有機光電変換素子を図12に示す。
【0086】
図12に示すように、この偏光有機光電変換素子においては、基板51上に第1の電極52が設けられている。この第1の電極52上に、基板51に平行な一方向に一軸配向された有機光電変換層53が設けられている。この有機光電変換層53の周囲を覆うように絶縁層54が設けられている。そして、この絶縁層54上に延在するように有機光電変換層53上に第2の電極55が設けられている。これによって、第1の電極52と第2の電極55との間に有機光電変換層53が挟まれた構造が形成されている。
【0087】
有機光電変換層53の構造の詳細を図13に示す。図13に示すように、この有機光電変換層53は、バインダー53aと光電変換可能な色素53bとからなり、色素53bは配向軸方向に方位が揃っている。バインダー53aとしては、従来公知のものを用いることができ、必要に応じて選ばれる。バインダー53aとしては、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオルエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)などのフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)などのビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系フッ素ゴム(TFE−P系フッ素ゴム)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル系フッ素ゴム、熱可塑性フッ素ゴム(例えば、ダイキン工業製ダイエルサーモプラスチック)、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロースなどが挙げられる。色素53bとしては上述の種々のものを用いることができる。
【0088】
[偏光有機光電変換素子の製造方法]
この偏光有機光電変換素子の製造方法について説明する。
まず、図14に示すように、基板51上に第1の電極52を形成した後、この第1の電極52上に、延伸可能なバインダー53aと光電変換可能な色素53bとの混合物からなる有機光電変換層形成用膜56を塗布した後、固化させる。この有機光電変換層形成用膜56においては、各色素53bは種々の方位を取っている。
【0089】
次に、有機光電変換層形成用膜56を第1の電極52に平行な一方向に延伸させながら第1の電極52上に固定する。この延伸により、図15に示すように、色素53bの方位がこの延伸方向に揃い、一軸配向された有機光電変換層53が形成される。
【0090】
次に、こうして形成された有機光電変換層53の周囲に絶縁膜54を形成した後、この絶縁膜54上に延在するように、有機光電変換層53上に第2の電極52を形成する。
以上により、目的とする偏光有機光電変換素子が製造される。
【0091】
この第4の実施の形態においては、上記以外のことについては、第1の実施の形態と同様である。
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0092】
〈5.第5の実施の形態〉
[偏光光学素子]
第5の実施の形態による偏光光学素子を図16に示す。
図16に示すように、この偏光光学素子においては、第1の実施の形態による偏光有機光電変換素子と同様な構成を有する二つの偏光有機光電変換素子61、62が上下に配置されている。この場合、これらの偏光有機光電変換素子61、62の間には隙間が設けられている。図17Aに上側の偏光有機光電変換素子62の詳細を、図17Bに下側の偏光有機光電変換素子61の詳細を示す。図17Aおよび図17Bに示すように、これらの偏光有機光電変換素子61、62における有機光電変換層13の配向軸、従って偏光軸は互いに直交している。
【0093】
図16においては、偏光有機光電変換素子61、62の間に隙間が設けられているが、図18に示すように、偏光有機光電変換素子61、62が絶縁層63を介して積層された構成としてもよい。絶縁層63としては従来公知のものを用いることができ、有機膜であっても無機膜であってもよく、必要に応じて選ばれるが、例えば、二酸化シリコン(SiO2 )膜や正珪酸四エチル(TEOS)膜などが用いられる。この絶縁層63の厚さは必要に応じて選ばれるが、例えば数μm程度で足りる。
【0094】
[偏光光学素子の製造方法]
この偏光光学素子は次のようにして製造することができる。
まず、偏光有機光電変換素子61、62を第1〜第4の実施の形態のいずれかと同様にしてそれぞれ形成する。次に、これらの偏光有機光電変換素子61、62をそれらの間に隙間が形成されるように上下に配置して相互に固定する。これによって、図16に示す偏光光学素子が製造される。あるいは、例えば、偏光有機光電変換素子61の第2の電極12上に例えばCVD法により絶縁層63を形成する。次に、この絶縁層63上に、偏光有機光電変換素子62の第1の電極11が下側になるように積層して貼り合わせる。これによって、図18に示す偏光光学素子が製造される。
【0095】
この偏光光学素子は次のようにして製造してもよい。
まず、基板上に第1の電極11、有機光電変換層13および第2の電極12を順次形成して偏光有機光電変換素子61を形成する。引き続いて、この偏光有機光電変換素子61の第2の電極12上に絶縁層63を形成した後、この絶縁層63上に第1の電極11、有機光電変換層13および第2の電極12を順次形成して偏光有機光電変換素子62を形成する。これによって、図18に示す偏光光学素子が製造される。
【0096】
[偏光光学素子の動作]
例えば、この偏光光学素子の偏光有機光電変換素子61、62の第1の電極11をバイアス印加電極、第2の電極12をグラウンド電極(電位=0)として用い、第1の電極11にバイアス電圧を印加する。少なくとも上側の偏光有機光電変換素子62の第1の電極11および第2の電極12と下側の偏光有機光電変換素子62の第2の電極12とを透明に構成する。この状態で上側の偏光有機光電変換素子62の第2の電極12側に光が入射すると、この光はこの第2の電極12を透過して有機光電変換層13に入射する。この際、この入射光のうちの、図17Aに示すように、有機光電変換層13の配向軸に平行な方向の偏光成分だけが有機光電変換層13により光電変換される。続いて、上側の偏光有機光電変換素子62を透過した光が下側の偏光有機光電変換素子61の第2の電極12に入射すると、この光はこの第2の電極12を透過して有機光電変換層13に入射する。そして、この際、この入射光のうちの、図17Bに示すように、有機光電変換層13の配向軸に平行な方向の偏光成分だけが有機光電変換層13により光電変換される。こうして偏光有機光電変換素子61、62の第1の電極12と第2の電極15との間に流れる光電流を測定することにより、この偏光光学素子に入射した光のうちの偏光有機光電変換素子62の有機光電変換層13の配向軸に平行な方向の偏光成分および偏光有機光電変換素子61の有機光電変換層13の配向軸に平行な方向の偏光成分の検出を行うことができ、2軸の偏光成分の分光を行うことができる。
【0097】
この第5の実施の形態によれば、偏光有機光電変換素子61、62における有機光電変換層13の配向軸、従って偏光軸が互いに直交していることにより、2軸の偏光成分の分光が可能で光電変換可能なな新規な偏光光学素子を実現することができる。
【0098】
以上、実施の形態および実施例について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではない。
【0099】
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0100】
11…第1の電極、12…第2の電極、13……有機光電変換層、14…偏光板、47…有機溶液、基板、51…基板、52…第1の電極、53…有機光電変換層、53a…バインダー、53b…色素、54…絶縁層、55…第2の電極、56…有機光電変換層形成用膜、61…偏光光学素子、62…偏光光学素子、63…絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、
上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子。
【請求項2】
上記有機光電変換層は、ラビング、摩擦転写、光配向、無機蒸着配向、一軸引っ張り延伸、一軸摩擦延伸およびせん断からなる群より選ばれた少なくとも一つの方法により一軸配向されたものである請求項1記載の偏光有機光電変換素子。
【請求項3】
上記有機光電変換層は液晶性色素および/または二色性色素を含む請求項2記載の偏光有機光電変換素子。
【請求項4】
上記第1の電極および上記第2の電極が透明である請求項3記載の偏光有機光電変換素子。
【請求項5】
上記第1の電極および上記第2の電極のうちの少なくとも一方がグラフェンからなる請求項4記載の偏光有機光電変換素子。
【請求項6】
上記有機光電変換層は、互いに連結された溶液蓄積領域およびこの溶液蓄積領域よりも幅が狭い溶液絞込領域を一主面に有する上記第1の電極または上記第2の電極の上記溶液蓄積領域および上記溶液絞込領域に、有機光電変換材料を溶媒に溶解させた有機溶液を、この有機溶液の温度を、この有機溶液に関する溶解度曲線よりも高温側に位置する第1の温度とし、かつ上記有機溶液の周辺環境の蒸気圧が上記第1の温度における飽和蒸気圧になるようにして供給し、上記有機溶液の温度を上記第1の温度から上記溶解度曲線とこの有機溶液に関する過溶解度曲線との間に位置する第2の温度まで低下させることにより形成されたものである請求項1記載の偏光有機光電変換素子。
【請求項7】
上記有機光電変換層は、互いに連結された溶液蓄積領域およびこの溶液蓄積領域よりも幅が狭い溶液絞込領域を一主面に有する上記第1の電極または上記第2の電極の上記溶液蓄積領域および上記溶液絞込領域に、有機光電変換材料を溶媒に溶解させた有機溶液を、この有機溶液の温度を、この有機溶液に関する溶解度曲線とこの有機溶液に関する過溶解度曲線との間に位置する第3の温度とし、かつ上記有機溶液の周辺環境の蒸気圧が上記第3の温度における飽和蒸気圧になるようにして供給し、上記蒸気圧を低下させることにより形成されたものである請求項1記載の偏光有機光電変換素子。
【請求項8】
上記有機光電変換層は、光電変換材料とバインダーとの混合物からなる有機光電変換層形成用膜を形成した後、この有機光電変換層形成用膜を一軸引っ張り延伸、一軸摩擦延伸およびせん断からなる群より選ばれた少なくとも一つの方法により一軸配向させたものである請求項1記載の偏光有機光電変換素子。
【請求項9】
上記偏光有機光電変換素子は偏光有機撮像装置である請求項1記載の偏光有機光電変換素子。
【請求項10】
少なくとも一方が透明な第1の電極と第2の電極との間に、その面内で少なくともその一部が予め一軸配向された有機光電変換層が挟まれた構造を形成するようにした偏光有機光電変換素子の製造方法。
【請求項11】
互いに連結された溶液蓄積領域およびこの溶液蓄積領域よりも幅が狭い溶液絞込領域を一主面に有する上記第1の電極または上記第2の電極の上記溶液蓄積領域および上記溶液絞込領域に、有機光電変換材料を溶媒に溶解させた有機溶液を、この有機溶液の温度を、この有機溶液に関する溶解度曲線よりも高温側に位置する第1の温度とし、かつ上記有機溶液の周辺環境の蒸気圧が上記第1の温度における飽和蒸気圧になるようにして供給し、上記有機溶液の温度を上記第1の温度から上記溶解度曲線とこの有機溶液に関する過溶解度曲線との間に位置する第2の温度まで低下させることにより上記有機光電変換層を形成する請求項10記載の偏光有機光電変換素子の製造方法。
【請求項12】
互いに連結された溶液蓄積領域およびこの溶液蓄積領域よりも幅が狭い溶液絞込領域を一主面に有する上記第1の電極または上記第2の電極の上記溶液蓄積領域および上記溶液絞込領域に、有機光電変換材料を溶媒に溶解させた有機溶液を、この有機溶液の温度を、この有機溶液に関する溶解度曲線とこの有機溶液に関する過溶解度曲線との間に位置する第3の温度とし、かつ上記有機溶液の周辺環境の蒸気圧が上記第3の温度における飽和蒸気圧になるようにして供給し、上記蒸気圧を低下させることにより上記有機光電変換層を形成する請求項10記載の偏光有機光電変換素子の製造方法。
【請求項13】
それぞれ透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子が少なくとも二つ、それらの配向軸が互いに交差するように配置されている偏光光学素子。
【請求項14】
上記偏光有機光電変換素子が二つ、それらの配向軸が互いに直交するように配置されている請求項13記載の偏光光学素子。
【請求項15】
少なくとも一方が透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子を有する撮像装置。
【請求項16】
それぞれ透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子が少なくとも二つ、それらの配向軸が互いに交差するように配置されている偏光光学素子を有する撮像装置。
【請求項17】
少なくとも一方が透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子を有する電子機器。
【請求項18】
それぞれ透明な第1の電極と第2の電極との間に有機光電変換層が挟まれた構造を有し、上記有機光電変換層はその面内で少なくともその一部が予め一軸配向されたものである偏光有機光電変換素子が少なくとも二つ、それらの配向軸が互いに交差するように配置されている偏光光学素子を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−209486(P2012−209486A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75179(P2011−75179)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】