説明

偏光板の製造装置、偏光板の製造方法、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置

【課題】 偏光素子の両面に保護フィルムを接着剤で均一に貼り合わせることができ、かつ次の接着剤の乾燥または硬化工程へ案内させる際に方向を変換させても、保護フィルムの剥離やしわが生じることを防ぐ。
【解決手段】 偏光素子の帯状フィルムを鉛直方向上から下へ移動させ、その左右から第1及び第2の保護フィルムを接着剤によって同時に偏光素子に貼り合わせて積層フィルムを形成し、この積層フィルムを2段階以上に分けて移動方向を鉛直方向から水平方向に方向変換させて、この積層フィルムに乾燥または硬化を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板の製造装置、偏光板の製造方法に関する。また、本発明は当該製造方法により得られた偏光板、及び当該偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型で低消費電力のため、テレビをはじめ、コンピュータ、携帯電話、カーナビゲーションシステムなどの表示装置として、広い用途に用いられている。このような液晶表示装置は、主としてバックライトシステムと液晶パネルから構成される。液晶パネルはさらに、液晶セルと、その前面(視認側の面)および背面(バックライトシステム側の面)に、それぞれ粘着剤層を介して設けられた偏光板とで構成される。
【0003】
このような液晶表示装置に用いられる偏光板は、偏光性能を有する偏光素子と、偏光素子の両面にそれぞれ接着剤層を介して設けられ偏光素子を保護する保護フィルムとから構成される。偏光素子は、一般に、ヨウ素で染色され一軸延伸されたポリビニルアルコール(以下、PVAと称する場合がある)系樹脂で形成される。保護フィルムは、たとえばトリアセチルセルロース(以下、TACと称す場合がある)系樹脂で形成される。
【0004】
このような偏光板の製造にあたっては、一般に、帯状の長尺フィルム状にて連続的に形成される。この連続的な製造において、偏光素子と保護フィルムを接着させる工程は、たとえば特許文献1(特開2008−90271)に開示されているように、水平方向に移動する帯状の長尺フィルム状の偏光素子の上下から、それぞれ帯状の長尺フィルム状の保護フィルムを供給して接近させ、それらを重ね合わせる前に偏光素子と保護フィルムとの間に接着剤を塗布し、偏光素子の上下に接着剤層を介して保護フィルムを重ね合わせ、ピンチロールを通過させることにより圧力を加え、貼り合わせる。次いで、貼り合わせられた積層フィルムに乾燥処理をして接着剤層を乾燥させることによって、接着工程が完了される。接着剤の種類によっては、乾燥処理に変えて、UV処理などの活性エネルギー先処理を施すことにより接着剤層を硬化させる場合もある。
【0005】
また、このような偏光素子と保護フィルムを貼り合わせる工程は、特許文献2(特開平11−179871)に開示されているように、帯状の長尺フィルム状の偏光素子を垂直方向、つまり鉛直方向に上から下の方向に案内し、その左右から、接着剤を塗布しつつ保護フィルムを同時に接近させ貼り合わせる場合もある。このようにすることによって、特許文献1に示される両面の保護フィルムを偏光素子の上下で貼り合わせる場合に比べ、接着剤の塗布が左右で偏光素子に対して対称的に施されるため、保護フィルムの接着の均一性が向上する。
【0006】
このように、偏光素子を鉛直方向に案内させてその左右から保護フィルムを貼り合わせた場合、鉛直方向の作業スペースには限りがあるため、保護フィルムの貼り合わせ後、次の接着剤層を乾燥または硬化させる工程では、貼り合わせられた積層フィルムを鉛直方向の移動から水平方向の移動に向きを変える必要がある。
【0007】
その例を図面を用いて説明する。図6は、従来の偏光板の製造装置の一例である。図6に示すように、すでにヨウ素で染色され一軸延伸されたPVA系樹脂からなる帯状の長尺フィルム状の偏光素子111が、ガイドロール155によって鉛直方向に上から下の方向に案内され、その向かって左側から第1の保護フィルム114、右側から第2の保護フィルム115が同時に接近され、貼り合わせる直前の偏光素子111と第1の保護フィルム114との間、偏光素子111と第2の保護フィルム115との間にそれぞれ、第1のノズル151、第2のノズル152によって第1の接着剤112a、第2の接着剤113aが塗布され、1対のピンチロール158a、158bによって、偏光素子111に、第1の保護フィルム114、第2の保護フィルム115が左右同時に貼り合わされる。
【0008】
貼り合わされた積層フィルム110aは、1つのガイドロール161によって、移動方向が、鉛直方向上から下への方向から、向かって右から左への方向つまり水平方向に、1回で90度(直角)方向変換される。その後、乾燥チャンバー171の中を積層フィルム110aを水平方向に通過させて積層フィルム110aに乾燥処理を施して、第1の接着剤112a、第2の接着剤113aによって形成された第1の接着剤層、第2の接着剤層に乾燥処理を施し、偏光素子111と第1、第2の保護フィルム114、115の接着工程が完了し、これによって、積層フィルム110aの膜構成である偏光板が得られる。なお、図6では、積層フィルム110aの膜構成の図示は省略している。
【0009】
このような例として、たとえば、特許文献3(特開2008−276136)では、偏光素子を鉛直方向に案内させてその左右から保護フィルムを貼り合わせた後、貼り合わせられた積層フィルムを、1つのガイドロールによって90度向きをかえ、水平方向の案内して、接着剤を硬化させる工程に送ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】 特開2008−90271号 公報
【特許文献2】 特開平11−179871号 公報
【特許文献3】 特開2008−276136号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、偏光素子に保護フィルムを貼り合わせた後、接着剤層を乾燥または硬化させる工程の前に、この積層フィルムを1つのガイドロールで90度方向転換をすると、保護フィルムが、偏光素子から剥離したり、しわが生じる現象が、発明者らによって見出された。とくに、方向変換して曲げる方向の内側の保護フィルム、図6の例では第1の保護フィルム114に剥離が起こりやすい。とくに、生産効率を上げるためフィルムの搬送速度を増大させると、さらにこの現象が起こりやすくなる。これは、偏光素子に保護フィルムを貼り合わせた直後は、接着剤層の乾燥や硬化が施されていないため接着性が不充分であり、そのような状態で、1つのガイドロールで1回で90度(直角)のような急な角度で積層フィルムを曲げたためであると発明者らは推察した。
【0012】
偏光素子に保護フィルムを貼り合わせる工程から、接着剤層を乾燥または硬化させる工程まで、すべて水平方向に案内させて施せば、このような問題は生じない。しかし、特許文献1のように、偏光素子に保護フィルムを貼り合わせる工程を、偏光素子を水平方向に案内させ、上下から保護フィルムを近接させる方法で施すと、接着剤の塗布を偏光素子に対し上下で重力の影響により対称的に均等にできないため、偏光素子の両面の保護フィルムの接着の均一性が悪化する。そのため、偏光素子に保護フィルムを貼り合わせる工程は、偏光素子を鉛直方向に上から下に案内して、左右から保護フィルムを貼り合わせることが望ましい。
【0013】
しかしながら、このように偏光素子を鉛直方向に上から下に案内し左右から保護フィルムを貼り合わせて、この貼り合わせた積層フィルムを1つのガイドロールで90度方向転換して次の接着剤層の乾燥または硬化工程に案内すると、上述のように保護フィルムが偏光素子から剥離したりしわが生じ、偏光板が不良となってしまう。
【0014】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、偏光素子と保護フィルムの接着を鉛直方向に上から下に案内し左右から保護フィルムを貼り合わせ、この貼り合わせた積層フィルムを、次の接着剤層の乾燥または硬化工程へ案内させるために、水平方向に向きを変換させても、保護フィルムの剥離やしわが生じないように方向変換させることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の偏光板の製造装置は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光素子の帯状フィルムを鉛直方向上から下へ移動させ、その左右からそれぞれ供給された第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムを接着剤によって同時に前記偏光素子に貼り合わせる貼り合わせ部と、前記第1の保護フィルム、前記偏光素子、及び前記第2の保護フィルムが貼り合わされた積層フィルムの移動を、前記鉛直方向上から下への移動から、水平方向の移動に方向変換させる方向変換部と、前記積層フィルムに前記水平方向の移動への方向変換を施した後、前記積層フィルムの前記接着剤に乾燥または硬化を施す乾燥部とを少なくとも有する偏光板の製造装置であって、前記方向変換部は複数のガイドロールが設けられ、前記複数のガイドロールによって前記積層フィルムの方向変換が2段階以上に分けて施されるように構成したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の偏光板の製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光素子の帯状フィルムを鉛直方向上から下へ移動させて供給し、その左右から第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムをそれぞれ供給して、前記第1の保護フィルム及び前記第2の保護フィルムを接着剤によって同時に前記偏光素子に貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記第1の保護フィルム、前記偏光素子、及び前記第2の保護フィルムが貼り合わされた積層フィルムの移動を、前記鉛直方向上から下への移動から、水平方向の移動に方向変換する方向変換工程と、前記積層フィルムに前記水平方向の移動への方向変換を施した後、前記積層フィルムの前記接着剤に乾燥または硬化を施す乾燥工程とを少なくとも有する偏光板の製造方法であって、前記方向変換工程は、前記積層フィルムの方向変換を2段階以上に分けて施すことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の偏光板は、上述の製造方法によって製造された偏光板である。
【0018】
また、本発明の液晶表示装置は、上述の偏光板が用いられた液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、偏光素子に保護フィルムを貼り合わせる際は、偏光素子を鉛直方向に上から下に案内して、左右から保護フィルムを貼り合わせるため、左右で重力の影響が均等のため均一に貼り合わせることができ、この貼り合わせた積層フィルムを、次の接着剤の乾燥または硬化工程へ案内させるために水平方向に向きを変換させても、複数のガイドロールによって2段階以上に分けて方向変換させるため、保護フィルムの剥離やしわが発生することを防ぎ、生産効率を上げるためフィルムの搬送速度を増大させても、安定して偏光板を製造することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 本発明の製造方法によって製造された偏光板の一例の断面図である。
【図2】 本発明の偏光板の製造装置の一例の断面図である。
【図3】 本発明の偏光板の製造装置の方向変換部の一例の断面図である。
【図4】 本発明の偏光板の製造装置の方向変換部の他の例の断面図である。
【図5】 本発明の偏光板が用いられた液晶表示装置の一例の断面図である。
【図6】 従来の偏光板の製造装置の一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の偏光板の製造装置、偏光板の製造方法によって製造された偏光板の例の断面図である。偏光板10は、偏光性能を有する偏光素子11と、偏光素子11の各面に、それぞれ第1の接着剤層12、第2の接着剤層13を介して設けられ偏光素子11の各面を保護する第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15とから構成される。偏光素子11は、ヨウ素で染色され一軸延伸されたPVA系樹脂で形成されている。第1、第2の保護フィルム14、15は、TAC系樹脂で形成されている。また、第1の接着剤層12、第2の接着剤層13を形成するための第1の接着剤、第2の接着剤はPVA系接着剤が用いられている。偏光素子11の膜厚は、たとえば、10μm〜40μmであり、第1、第2の保護フィルム14、15の膜厚は、たとえば、それぞれ20μm〜120μmである。
【0022】
図2は本発明の偏光板の製造装置の一例の断面外略図である。図2は、偏光板の製造装置の一部であり、偏光素子11と第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15を第1の接着剤12a、第2の接着剤13aによって貼り合わせる工程のための貼り合わせ部50と、貼り合わせ部50にて偏光素子11と第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15との間に形成された第1の接着剤層12、第2の接着剤層13を乾燥させる工程に用いる乾燥部70、および貼り合わせ部50と乾燥部70の間に設けられ、偏光素子11と第1、第2の保護フィルム14、15が貼り合わされた偏光板10の構成となる積層フィルム10aを案内し積層フィルム10aの移動方向を変換する方向変換部60で構成される。また、以下の説明で、右、右側、左、左側とは、向かって右、右側、左、左側を示すものとする。
【0023】
偏光素子11と、第1、第2の保護フィルム14、15とを貼り合わせる貼り合わせ部50は、図2に示すように、偏光素子11を鉛直方向に上から下に供給するよう案内する第1のガイドロール55と、偏光素子11の左側から第1の保護フィルム14、右側から第2の保護フィルム15を供給して、偏光素子11に接近するように案内する第2のガイドロール56、第3のガイドロール57と、偏光素子11と左右の接近された第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15とのそれぞれの間に設けられ、第1の接着剤12a、第2の接着剤13aを供給する第1のノズル51、第2のノズル52、第1の接着剤12a、第2の接着剤13aが塗布された偏光素子11と第1、第2の保護フィルム14、15とを左右から圧力をかけて同時に貼り合わせる1対のピンチロール58a、58bとからなる。第1、第2のノズル51、52は、上から下に案内される偏光素子11に対し左右それぞれ対称の位置に設けられ、偏光素子11と、その左右にそれぞれ供給される第1、第2の保護フィルム14、15との間に第1、第2の接着剤12a、13aが塗布されるように、噴出し口が鉛直方向ほぼ下向きに配置される。さらに、貼り合わせ部50には、1対のピンチロール58a、58bと方向変換部60との間に、予備乾燥装置59が設けられていることが望ましい。予備乾燥装置59は、図2では概略のみ示すが、たとえば、温熱ヒータ、遠赤外線ヒータ、又は高温の空気の送風による乾燥装置が例示される。
【0024】
貼り合わせ部50に供給される偏光素子11は、帯状のPVA系樹脂のフィルムからなり、この貼り合わせの前工程にて、ヨウ素など二色性染料で染色され一軸延伸されている。この延伸されたPVA系樹脂フィルムの膜厚は、たとえば、10μm〜40μmであり、その幅は、たとえば、500mm〜2000mmである。この前工程については既知の装置、製法を用いて作製することができ、図示や詳細な説明は省略するが、以下にその一例を簡単に説明する。
【0025】
ロール状に巻かれた帯状の長尺のPVA系樹脂フィルム原反からPVA系樹脂フィルムを引き出し、純水中で膨潤させる。ついで、ヨウ素のヨウ化カリウム水溶液中に浸漬し、PVA系樹脂フィルムをヨウ素で染色する。ついで、ヨウ素で染色されたPVA系樹脂フィルムをホウ酸が含有された水溶液に浸漬して架橋処理を施す。ついで、このPVA系樹脂フィルムを所定の倍率で一軸延伸する。延伸倍率は、たとえば、4倍〜7倍である。延伸は2段階以上にわけて施してもよく、染色前あるいは染色と同時に施してもよく、架橋処理工程で施してもよい。この際、架橋処理は染色と同時、又は染色後に施してもよい。その後PVA系樹脂フィルムを乾燥させ、偏光性能を有する偏光素子11を得て、貼り合わせ部50に供給される。
【0026】
貼り合わせ部50に供給された帯状の長尺フィルム状である偏光素子11は、第1のガイドロール55によって、鉛直方向下向きに案内される。偏光素子11の移動速度は、たとえば、10m/分〜50m/分である。その左右から供給される第1、第2の保護フィルム14、15は、いずれもTAC系樹脂からなり、それぞれ、帯状の長尺フィルムとして供給され、その幅はいずれも偏光素子11の幅に対応しており、その膜厚は、たとえば、20μm〜120μmであり、またその移動速度も偏光素子11の移動速度に合わせられている。それぞれのTAC系樹脂のPVA系樹脂との接着面は、接着性を向上させるため、ケン化処理やコロナ放電処理が施されていてもよい。
【0027】
貼り合わせ部50にて偏光素子11とその左右の第1、第2の保護フィルム14、15を貼り合わせる工程では、鉛直方向上から下方向に移動する偏光素子11に対し、その左斜め上方向から第1の保護フィルム14が、右斜め上方向から第2の保護フィルム15が、それぞれ対称的に偏光素子11に徐々に近接して移動して供給される。そして、その貼り合わされる直前に、偏光素子11と第1保護フィルム14との間、偏光素子11と第2の保護フィルム15との間に、それぞれ、第1、第2のノズル51、52から、第1、第2の接着剤12a、13aが供給され、塗布される。第1、第2剤の接着剤12a、13aは、第1、第2のノズル51、52から鉛直方向ほぼ下方向むけて滴下され、偏光素子11の表面、もしくは第1、第2の保護フィルム14、15のそれぞれの表面、または近接して接触した時点での偏光素子11と第1、第2保護フィルム14、15のそれぞれとの間に塗布される。第1、第2の接着剤12a、13aの塗布は、偏光素子11と左側の第1の保護フィルム14、偏光素子11と右側の第2の保護フィルム15で実質的に偏光素子11に対し左右対称に施されるため、塗布の左右での均一性は良好である。
【0028】
第1、第2の接着剤12a、13aは、いずれもPVA系樹脂の接着剤が用いられる。PVA系樹脂は親水性が高いため、溶媒は主として水が用いられる。つまり、PVA系樹脂の水溶液からなる接着剤が、第1、第2のノズル51、52から滴下される。この第1、第2の接着剤12a、13aによって、偏光素子11と、第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15のそれぞれとの間に第1の接着剤層12、第2の接着剤層13が形成される。つまり、この貼り合わせ工程によって、偏光素子11と、その各面にそれぞれ第1の接着剤層12、第2の接着剤層13を介して、第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15が貼り合わされた、偏光板10の膜構成となる積層フィルム10aが形成される。なお、図2では積層フィルム10aの膜構成の図示は省略している。貼り合わせ工程では、予備乾燥装置59による予備乾燥工程が含まれることが望ましい。予備乾燥工程は、一対のピンチロール58a、58bによって積層フィルム10aが形成された後、方向変換部60による方向変換の前に施され、第1の接着剤層12、第2の接着剤層13の乾燥の一部を、乾燥部70の乾燥工程に先立って、予備的に施すものである。予備乾燥工程は、予備乾燥装置59内を積層フィルム10aが鉛直方向に通過させて施すものであり、その乾燥方式としては、温熱乾燥方式、遠赤外線による乾燥方式、又は高温の空気による乾燥方式が例示される。
【0029】
この貼り合わせ工程の後、この積層フィルム10a中の第1の接着剤層12、第2の接着剤層13を乾燥させて溶媒を揮発させる。それが乾燥工程で、図2の乾燥部70によって施される。図2では概略のみ示すが、乾燥部70は、第1の接着剤層12、第2の接着剤層13中の溶媒を気化させて乾燥させるための乾燥チャンバー71からなり、たとえば、乾燥チャンバーの内部に、図示は省略するが、温熱ヒータ、遠赤外線ヒータ、又は高温の空気を送風する乾燥装置が配置されており、積層フィルム10aが、乾燥チャンバー71内を水平方向に通過するように構成される。乾燥方式としては、温熱乾燥方式、遠赤外線による乾燥方式、又は高温の空気による乾燥方式が例示される。この乾燥部70によって、PVA系樹脂による第1の接着剤層12、第2の接着剤層13中の溶媒である水分が揮発して除去されて乾燥され、接着が完了する。すなわち、前述の貼り合わせ工程とこの乾燥工程によって、偏光素子11と第1、第2の保護フィルム14、15との接着工程が達成され、偏光板10である積層フィルム10aが得られる。この後、図示は省略するが、帯状の積層フィルム10aは偏光板10として所定の形状に切断される。なお、図2では乾燥チャンバー71内を積層フィルム10aが水平方向に移動する場合を例示したが、乾燥効率を上げるために、乾燥チャンバー71内で上下や斜め上下などに移動を繰り返すなど、移動方向を変化させてもよい。
【0030】
前述のように、貼り合わせ部50は、偏光素子11の両面への第1、第2の接着剤12a、13aの塗布が均一に行われるよう、偏光素子11を鉛直方向上から下へ移動させることが好ましい。また、このようにすることにより、偏光板の製造装置の水平方向の設置面積を節約できる。しかしながら、鉛直方向に設置できる距離にも限りがあるため、次の乾燥部70では、積層フィルム10aは水平方向に移動させる。乾燥部70では、重力による溶媒成分の液の不均一を防ぎ、また、しわなどの外観不良の発生を防ぐため、水平方向の移動が望ましい。また、通常、建物の高さにも制限があるため、乾燥部70では積層フィルム10aは水平方向に移動させることが好ましい。
【0031】
そのため、貼り合わせ工程の後、乾燥工程の前に、方向変換部60によって、積層フィルム10aの移動方向を鉛直方向から水平方向に向きを変える必要がある。これを方向変換工程とする。本発明による偏光板の製造装置の方向変換部60では、積層フィルム10aの方向を変更させるための方向変換ガイドロールが少なくとも2本、配置される。
【0032】
図2での方向変換部60では、本発明の方向変換ガイドロールの配置の一例を示している。図2では、乾燥部70は、貼り合わせ部50の左側に配置された場合を示すので、本発明の方向変換部60は、積層フィルム10aを向かって左側に方向変換させる例で説明するが、乾燥部70が向かって右側に配置され、積層フィルム10aを向かって右側に方向変換させる場合でも、左右を対称的に解釈することによって、全く同様に説明される。
【0033】
図2では、方向変換部60に、方向変換ガイドロールが2本配置された例を示す。これを第1の方向変換ガイドロール61、第2の方向変換ガイドロール62とする。第1の方向変換ガイドロール61は、貼り合わせ部50の下方、積層フィルム10aの鉛直方向の移動方向に沿って左面に配置される。第2の方向変換ガイドロール62は、第1の方向変換ガイドロール61の斜め左側下方、水平方向に方向変化される積層フィルム10aの上面に配置される。積層フィルム10aは、この2つの方向変換ガイドロールによって、順次方向変換されて案内されるが、トータルでは鉛直方向から水平方向に、つまり実質的に90度方向変換される。ただし、このように2段階に分けて方向変換が行われるため、それぞれの方向変換ガイドロールでの積層フィルム10aの曲がり角度を90度(直角)より大きい角度にすることができ、つまり1つの方向変換ガイドロールでの積層フィルム10aの曲げを和らげることができる。そのため、従来技術のように積層フィルムを1回で90度曲げる際に発生する保護フィルムの偏光素子からの剥離を防ぐことができる。ここで、曲がり角度とは、該当する方向変換ガイドロールを通過する前の積層フィルム10aの移動方向の直線と、通過後の積層フィルム10aの移動方向の直線のなす、方向変換ガイドロール側の角度とする。
【0034】
ここで、第1の方向変換ガイドロール61、第2の方向変換ガイドロール62は、通常のガイドロールを用いることができ、表面の材質は樹脂製でも金属製でもよい。その断面は円形でその直径は、たとえば100mm〜450mmであり、より好ましくは200mm〜300mmであり、その幅は、積層フィルム10aの幅より大きいものである。また、第1の方向変換ガイドロール61、第2の方向変換ガイドロール62は、回転駆動機構を有するものが好ましく、また、温度制御機構を有するものが好ましい。たとえば、第1の方向変換ガイドロール61、第2の方向変換ガイドロール62の温度は、それぞれ、好ましくは35℃〜45℃の範囲のいずれかの温度に、さらに好ましくは40℃に制御されている。第1の方向変換ガイドロール61、第2の方向変換ガイドロール62は、同じ直径、材質、機構のものを用いてもよく、異なる直径、材質、機構のものを用いてもよい。
【0035】
本発明者らは、さらにこの2つの方向変換ガイドロールのより好ましい配置を研究した。これを、図3で説明する。図3は、図2の方向変換部60のみを抜きだして図示したものである。本発明者らは、保護フィルムの剥離を防ぐためには、特に第1の方向変換ガイドロール61による曲がり角度θが重要であることを見出した。その好ましい範囲を、わかりやすくするため、曲がり角度θの補角θ´(θ+θ´=180°)で示す。すなわち、θ´は、第1の方向変換ガイドロール61によって積層フィルム10aが方向変換される鉛直方向からの角度をあらわす。第1の方向変換ガイドロール61にて保護フィルムの剥離を発生させないようにするにはθ´は限りなく0°に近いほうがよいが、その場合、第2の方向変換ガイドロール62での曲がり角度が急になってそこで保護フィルムの剥離が発生する。このような要因を鑑みて本発明者らが研究調査した結果、保護フィルムの剥離を発生させないθ´は、35°<θ´<70°であり、より好ましくは 40°<θ´<65°である。たとえば、θ´=30°のときには剥離が発生し、θ´=45°、θ´=60°のときには剥離やしわの発生は無かった。また、第1の方向変換ガイドロール61、第2の方向変換ガイドロール62の中心間の距離は、鉛直方向であらわすと、250mm〜1000mmの範囲が好ましく、より好ましくは300mm〜500mmである。
【0036】
上述の実施の形態では、方向変換部60に、2本の方向変換ガイドロールを配置した場合を説明したが、本発明では、3本以上の方向変換ガイドロールを配置してもよい。前述の図3の例に、さらに第3の方向変換ガイドロール63を加えて3本の方向変換ガイドロールを配置した方向変換部60の一例を図4に示す。図4は、方向変換部60のみを抜きだして図示した別の例である。図3の例と同様に、第1の方向転換ガイドロール61が積層フィルム10aの鉛直方向の移動方向に沿って左面に配置され、第2の方向変換ガイドロール62が第1の方向変換ガイドロール61の斜め左側下方、水平方向に方向変化された積層フィルム10aの上面に配置される。そして、第3の方向変換ガイドロール63が、第1の方向変換ガイドロール61と第2の方向変換ガイドロール62の間に配置される。3つの方向変換ガイドロールのそれぞれの曲がり角はいずれも、90度より大きく、180度より小さい。第2の方向変換ガイドロール62によって、積層フィルム10aの移動方向が水平方向に変換される。このように、方向変換ガイドロールを3本配置することによって、図3の方向変換ガイドロールを2本配置した場合に比べて、それぞれの方向変換ガイドロールによる積層フィルム10aの曲げをさらに和らげることができ、保護フィルムの剥離をさらに防ぐことができる。
【0037】
本発明では、方向変換部60でさらに4本以上の方向変換ガイドロールを配置してもよい。このように3本以上配置した場合でも、最初の方向変換ガイドロールつまり第1の方向変換ガイドロール61による積層フィルム10aの曲がり角θが重要で、前述と同様、θの補角θ´(θ+θ´=180°)で示すと、好ましくは35°<θ´<70°であり、より好ましくは 40°<θ´<65°である。方向変換ガイドロールを3本以上配置した場合も、いずれの方向変換ガイドロールも、前述の第1、第2のガイドロール61、62と同様のものを用いることができる。それぞれのガイドロールの直径、材質、機構は同じでも、異ならせてもよい。なお、図3、図4においても、積層フィルム10aの膜構成の図示は省略している。
【0038】
第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15は、TAC系樹脂である場合を説明したが、本発明は、これに限定されず、第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15の一方または両方に、TAC系樹脂のほか、ノルボルネンなどシクロオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、アクリル系樹脂を用いてもよく、これらの積層膜を用いてもよい。また、第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15に同じ材質のものを用いても、異なる材質のものを用いてもよい。また、第1、第2の保護フィルム14、15の一方または両方が位相差フィルムであってもよい。また、第1、第2の保護フィルム14、15の一方または両方に、防眩性、反射防止機能や光学的むらの緩和のために、その表面にAG(アンチグレア)層が設けられていてもよく、AG処理が施されていてもよく、またフィルムの内部にヘイズを持たせてもよい。また、第1、第2の保護フィルム14、15の一方または両方に帯電防止処理が施されていてもよい。
【0039】
また、第1の接着剤12a、第2の接着剤13aは、親水性のPVA系樹脂の場合について説明したが、これに限定されず、第1の保護フィルム14と第2の保護フィルム15の材質に応じて任意のもの、たとえばアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤などを用いることができ、それぞれの接着剤に応じて有機溶媒などの適切な溶媒を用いることができる。また、第1の接着剤12a、第2の接着剤13aは同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
【0040】
さらに、第1の接着剤12a、第2の接着剤13aとして、紫外線などの活性エネルギー線硬化型の接着剤を用いることができる。この場合、図示は省略するが、図2の偏光板の製造装置において、乾燥部70の乾燥チャンバー71にかえて、紫外線などの活性エネルギー線により接着剤を硬化させる活性エネルギー線硬化装置を配置させ、乾燥処理にかえて接着剤に硬化処理を施すものとする。すなわち、乾燥部70は接着剤を硬化させる硬化装置で構成されてもよく、また、接着剤の乾燥工程は、接着剤を硬化させる工程とすることができる。活性エネルギー線硬化型の接着剤の例として、紫外線(UV)硬化型エポキシ系接着剤が挙げられ、活性エネルギー線硬化装置の例として、紫外線硬化装置が挙げられる。紫外線(UV)硬化型接着剤は接着がはやいため、もともと方向変換による保護フィルムの剥離はおこりにくいが、本発明を適用することにより保護フィルムの剥離の発生をさらに抑制することができる。なお、このように活性エネルギー線硬化型の接着剤を用いた場合は、予備乾燥装置59は省略することができる。
【0041】
次に、本発明の偏光板の製造装置、偏光板の製造方法を用いて製造された本発明の偏光板10を用いた本発明の液晶表示装置について説明する。図5は、本発明の液晶表示装置を構成する液晶パネル20を示す。液晶表示装置は、このほか、液晶パネル20の背面側に配置されたバックライトシステムからなるが、公知の構成をとることができるため、図示及び説明を省略する。
【0042】
液晶パネル20は、液晶セル21と、液晶セル21の前面側(視認側、つまりバックライトシステムとは反対側)の面に第1の粘着剤層22fを介して貼合された第1の偏光板10f,液晶セル21の背面側(つまりバックライトシステム側)の面に第2の粘着剤層22rを介して貼合された第2の偏光板10rで構成される。
【0043】
第1の偏光板10f,第2の偏光板10rは、その偏光軸が、クロスニコルに配置されている。液晶セル21はTN型、STN型、VA型、IPS型のいずれでもよく、公知のものを用いることができ、その説明及び内部構造の図示を省略する。本発明の液晶表示装置の液晶パネル20では、第1の偏光板10f,第2の偏光板10rのいずれか一方、または両方に、本発明による偏光板10が用いられていればよい。なお、図5では、第1の偏光板10f,第2の偏光板10rの膜構成を省略している。第1の粘着剤層22f、第2の粘着剤層22r(以下、第1の粘着剤層22f、第2の粘着剤層22rを区別せず、粘着剤層として説明する)を構成するそれぞれの粘着剤についても、公知のものを用いることができる。たとえばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。また、紫外線(UV)カット機能を有する粘着剤を用いてもよい。
【0044】
粘着剤層は、製造上は、一般的には、偏光板メーカーによって予め形成されていることが多い。つまり、偏光素子11と第1、第2の保護フィルム14、15の接着が完了して偏光板10の膜構成の帯状の長尺の積層フィルム10aを得た後、切断する前に、この積層フィルム10aの液晶セル21に貼合されるべき面に粘着剤層を塗布によって形成し、粘着剤層の表面に剥離フィルム(図示せず)を貼合し、その後、貼合されるべき液晶セル21の形状に応じて、粘着剤層と剥離フィルムもあわせて切断して、偏光板10の一方の面に粘着剤層と剥離フィルムの形成されたシート状の偏光板製品を得る。これを液晶パネル製造ラインに納入して、そこにおいて、偏光板10の表面上に形成された粘着剤層によって偏光板10と液晶セル21との貼合が実施される。ここで、剥離フィルムは粘着剤層の表面を保護するために設けられたものであり、液晶セル21に偏光板10を貼合する直前に剥離除去される。また、帯状の長尺の積層フィルム10aの液晶セル21に貼合されるべき面に粘着剤層と剥離フィルムを形成したのち、完全に切断することなく、たとえば、剥離フィルムおよび粘着剤層の部分のみに貼合すべき液晶セル21の形状に応じて切断面を形成しておき(ハーフカット)、帯状の長尺フィルムのままロール状にした偏光板製品として液晶パネル製造ラインに供給して、そこにおいて、液晶セル21に貼合する直前にロールから引き出して剥離フィルムを除去して、液晶セル21の形状に応じて完全に切断して貼合してもよい。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれ限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 偏光板
10a 積層フィルム
10f 第1の偏光板
10r 第2の偏光板
11 偏光素子
12 第1の接着剤層
12a 第1の接着剤
13 第2の接着剤層
13a 第2の接着剤
14 第1の保護フィルム
15 第2の保護フィルム
20 液晶パネル
21 液晶セル
22f 第1の粘着剤層
22r 第2の粘着剤層
50 貼り合わせ部
51 第1のノズル
52 第2のノズル
55 第1のガイドロール
56 第2のガイドロール
57 第3のガイドロール
58a ピンチロール
58b ピンチロール
59 予備乾燥装置
60 方向変換部
61 第1の方向変換ガイドロール
62 第2の方向変換ガイドロール
63 第3の方向変換ガイドロール
70 乾燥部
71 乾燥チャンバー
110a 積層フィルム
111 偏光素子
112a 第1の接着剤
113a 第2の接着剤
114 第1の保護フィルム
115 第2の保護フィルム
151 第1のノズル
152 第2のノズル
155 ガイドロール
158a ピンチロール
158b ピンチロール
161 ガイドロール
171 乾燥チャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光素子の帯状フィルムを鉛直方向上から下へ移動させ、その左右からそれぞれ供給された第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムを接着剤によって同時に前記偏光素子に貼り合わせる貼り合わせ部と、
前記第1の保護フィルム、前記偏光素子、及び前記第2の保護フィルムが貼り合わされた積層フィルムの移動を、前記鉛直方向上から下への移動から、水平方向の移動に方向変換させる方向変換部と、
前記積層フィルムに前記水平方向の移動への方向変換を施した後、前記積層フィルムの前記接着剤に乾燥または硬化を施す乾燥部と
を少なくとも有する偏光板の製造装置であって、
前記方向変換部は複数のガイドロールが設けられ、前記複数のガイドロールによって前記積層フィルムの方向変換が2段階以上に分けて施されるように構成したことを特徴とする偏光板の製造装置。
【請求項2】
前記複数のガイドロールのそれぞれは、回転駆動機構が備えられている請求項1に記載の偏光板の製造装置。
【請求項3】
前記複数のガイドロールのそれぞれは、温度制御機構が備えられている請求項1又は2に記載の偏光板の製造装置。
【請求項4】
前記複数のガイドロールは、前記鉛直方向上から下へ移動する前記積層フィルムを斜め方向に方向変換させる第1のガイドロールと、前記第1のガイドロールによって斜め方向に方向変換された前記積層フィルムを前記水平方向に方向変換する第2のガイドロールとで構成され、前記積層フィルムの方向変換が2段階に分けて施されるように構成した請求項1乃至3のいずれかに記載の偏光板の製造装置。
【請求項5】
前記複数のガイドロールは、前記鉛直方向上から下へ移動する前記積層フィルムを斜め方向に方向変換させる第1のガイドロールと、前記積層フィルムを前記水平方向に方向変換する第2のガイドロールと、前記第1のガイドロールと前記第2のガイドロールとの間に設けられたさらに別の1つ又は複数のガイドロールとで構成され、前記積層フィルムの方向変換が3段階以上に分けて施されるように構成した請求項1乃至3のいずれかに記載の偏光板の製造装置。
【請求項6】
前記第1のガイドロールによる前記積層フィルムの方向変換される前記鉛直方向からの角度は、35°乃至70°である請求項4又は5に記載の偏光板の製造装置。
【請求項7】
ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光素子の帯状フィルムを鉛直方向上から下へ移動させて供給し、その左右から第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムをそれぞれ供給して、前記第1の保護フィルム及び前記第2の保護フィルムを接着剤によって同時に前記偏光素子に貼り合わせる貼り合わせ工程と、
前記第1の保護フィルム、前記偏光素子、及び前記第2の保護フィルムが貼り合わされた積層フィルムの移動を、前記鉛直方向上から下への移動から、水平方向の移動に方向変換する方向変換工程と、
前記積層フィルムに前記水平方向の移動への方向変換を施した後、前記積層フィルムの前記接着剤に乾燥または硬化を施す乾燥工程と
を少なくとも有する偏光板の製造方法であって、
前記方向変換工程は、前記積層フィルムの方向変換を2段階以上に分けて施すことを特徴とする偏光板の製造方法。
【請求項8】
前記方向変換工程は、前記積層フィルムの方向変換を2段階に分けて施す工程であり、前記鉛直方向上から下へ移動する前記積層フィルムを斜め方向に方向変換する第1の方向変換と、前記第1の方向変換によって斜め方向に方向変換された前記積層フィルムを前記水平方向に方向変換する第2の方向変換とからなる請求項7に記載の偏光板の製造方法。
【請求項9】
前記方向変換工程は、前記積層フィルムの方向変換を3段階以上に分けて施す工程であり、前記鉛直方向上から下へ移動する前記積層フィルムを斜め方向に方向変換する第1の方向変換と、前記積層フィルムを前記水平方向に方向変換する第2の方向変換と、前記第1の方向変換と前記第2の方向変換との間で前記積層フィルムに施すさらに別の1回又は複数回の方向変換とからなる請求項7に記載の偏光板の製造方法。
【請求項10】
前記第1の方向変換による前記積層フィルムの方向変換される前記鉛直方向からの角度は、35°乃至70°である請求項8又は9に記載の偏光板の製造方法。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれかに記載の偏光板の製造方法で製造された偏光板。
【請求項12】
請求項11に記載の偏光板を用いた液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−189968(P2012−189968A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68774(P2011−68774)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000177232)株式会社サンリッツ (9)
【Fターム(参考)】