説明

偏光解消板

【課題】400〜700nmの広帯域な波長範囲において、1/4波長板として機能する偏光解消板を提供することを目的とする。
【解決手段】偏光解消板4は、第一の波長板5と、第二の波長板6と、第三の波長板7とを所定の面内方位角で積層したものであり、偏光解消板4が、400〜700nmの広帯域な波長範囲において、1/4波長板として機能するよう各パラメータを、第一の波長板5の位相差Γ1=220deg(λ=405nm)、面内方位角θ1=−13deg、第二の波長板6の位相差Γ2=210deg(λ=405nm)、面内方位角θ2=−53deg、第三の波長板7の位相差Γ3=100deg(λ=405nm)、面内方位角θ3=45degのように設定したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は偏光解消板に関し、特にデジタルスチルカメラ等に使用される光学ローパスフィルタ(以降、OLPFと称す)の構成要素であり、水晶等の旋光能を有する材料で構成して可視光領域に渡って機能する偏光解消板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ等の電子光学機器には、その光学ヘッドにOLPFが広く用いられ、固体撮像素子(以降、CCDと称す)や撮像管で生じる擬似色信号をカットすることが出来ることから、入射光線の反射の防止や色補正を行い画像品質の改善に寄与している。
OLPFは、一般的には配置順に、光線を水平方向の常光線と異常光線に分離する水平方向分離複屈折板と、赤外線を吸収する赤外線吸収ガラスと、直線偏光を円偏光に変換する偏光解消板と、光線を垂直方向の常光線と異常光線に分離する垂直方向複屈折板とを貼り合わせて構成する。そこで、このように構成したOLPFをCCDや撮像管の前に設けると、モアレによる縞のちらつきや、太陽光の海面での反射によるギラツキを大幅に改善することが出来る。
【0003】
OLPFの構成要素である偏光解消板は、複屈折性を有する材料を用いた位相変調を行う光学素子であり、入射する直線偏光の光線を円偏光の光線に変換することから、1/4波長板として機能する。一方、波長板の位相差は波長の関数であるため、使用する波長が変化すると位相差も変化するという波長依存性を有しているので、広帯域な可視光で使用した際に位相差が変化してしまい、所望の位相差を維持できないという問題が生じていた。
【0004】
そこで、この問題を解決するため、特開平10−68816号公報には広帯域で機能する1/4波長板が提案されている。
図8に、特開平10−68816号公報により開示された従来の広帯域1/4波長板の外観構造例を示し、(a)は正面図(透過面)を示し、(b)は側面図を示す。この広帯域1/4波長板は、二枚の波長板を積層して構成するもので、1/4波長板と1/2波長板とを所定の角度で貼り合わせ、広帯域1/4波長板としての性能を得ている。図8に示す如く広帯域1/4波長板1は、第一の波長板2と第二の波長板3とを、第一の波長板2の光学軸方位角(以降、面内方位角と称す)θ1を15degに、第二の波長板3の面内方位角θ2を75degとして積層したものである。
【0005】
そこで、以下に、特開平10−68816号公報により開示された従来の広帯域1/4波長板の設計方法について説明する。
第一の波長板2の位相差を180deg、面内方位角をθ1、第二の波長板3の位相差を90deg、面内方位角をθ2とし、図9に示したポアンカレ球を用いて説明する。
図9は、従来の1/4波長板のポアンカレ球を示す。図9において、入射光がポアンカレ球の赤道の所定の位置P0に入射されると、この入射光が、第一の波長板2により変調されてP1に到達し、更に第二の波長板3により変調されてポアンカレ球の極P2に到達すれば 1/4波長板1を出射する光線は円偏光となる。ここで、P2がポアンカレ球の極であるためには、θ1及びθ2が次の関係式を満足することが望ましい。
θ2=2θ1+45 ・・・・(1)
【0006】
入射光の波長がλ1〜λ2間で変化すると、第一の波長板2及び第二の波長板3の位相差が夫々180deg及び90degより変化する。第一の波長板2に於ける変化量をΔΓ1、第二の波長板3における変化量をΔΓ2とする。ここで、入射光が第一の波長板2により変調されて到達するポアンカレ球上の位置P1が、入射光の波長が変化することにより波長板の位相量が変化し、P1’にずれたとすると、前記変化量ΔΓ1及びΔΓ2がポアンカレ球上のP1とP1’を結ぶ球面上の同一の線分となる条件であれば、P2は常にポアンカレ球の極に到達することが出来る。
【0007】
そこで、近似的にP1とP1’を直線で結び、余弦定理を用いてΔΓ1、ΔΓ2、θ1の関係を表すと、
cosΔΓ2=1−2(1−2cos2θ1)(1−cosΔΓ1) ・・・・(2)
となる。第一の波長板2と第二の波長板3とが同じ波長分散の材料とすれば、各々の位相差が180deg及び90degであることから、ΔΓ1及びΔΓ2は、
ΔΓ1=2ΔΓ2 ・・・・(3)
の関係を満足する。これを(1)式、(2)式に代入すると、θ1とθ2は下記値を得る。
θ1≒15deg、θ2≒75deg
【0008】
以上の結果より1/4波長板1を広帯域1/4波長板として機能させるためには、下記の条件が必須である。
第一の波長板2 位相差 180deg
面内方位角 15deg
第二の波長板3 位相差 90deg
面内方位角 75deg
但し、上記条件は近似を含むため、ミューラ行列、ジョーンズ行列等を用い実際に使用する上で最適な特性となるようにシミュレーションを行い、最適化を行う。
【0009】
図10は、従来の広帯域1/4波長板の楕円率特性例を示す。図10は、所定の波長範囲で最も楕円率が1に近づくよう最適化して、その結果をグラフに示したものであり、特性例1は、波長600〜850nmの範囲で最適化した例を示し、特性例2は、波長400〜500nmの範囲で最適化した例を示し、夫々所定の波長範囲で1/4波長板として機能していることが判る。
【特許文献1】特開平10−68816号公報
【特許文献2】特開2003−248198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、光学材料は一般的に波長が短くなる程、屈折率の波長に対する変化が大きくなるという特性を有している。従って、波長が短いほど1/4波長板として機能する波長範囲が狭くなり、図10に示した特性例においても判るように、波長400〜550nmの波長範囲を最適化出来ても、600nm以上の波長範囲まで最適化することは困難である。
【0011】
一方、デジタルスチルカメラに用いられる偏光解消板は、可視光域である400〜700nmの波長範囲において1/4波長板として機能することが必要である。そこで、従来は、偏光解消板として機能しない波長範囲を補償するため、デジタルスチルカメラに内蔵している電子回路の演算機能を用いて演算処理することによりモアレや偽色の発生を防止していた。
本発明は上述したような問題を解決するためになされたものであって、400〜700nmの広帯域な波長範囲において、1/4波長板として機能する偏光解消板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明に係わる広帯域位相補償偏光解消板は、以下の構成をとる。
請求項1に記載の偏光解消板は、第一の波長板と第二の波長板と第三の波長板とを順に結晶光学軸の面内方位角を所定の角度に設定した上で積層して構成する偏光解消板において、前記第一の波長板に入射する入射偏光のポアンカレ球上の入射位置をP0、前記第一の波長板において変調された光のポアンカレ球上の位置をP1、前記第二の波長板において変調された光のポアンカレ球上の位置をP2とした際に、400〜700nmのある波長における前記P0、P1、及びP2の三つの位置により囲まれる三角形と、400〜700nmの他の波長におけるP0、P1、及びP2の三つの位置により囲まれる三角形とが互いに相似であり、常に第三の波長板において変調された光のポアンカレ球上の位置P3が、ポアンカレ球の北極の座標、又は、南極の座標に到達するよう構成し、前記第一の波長板の位相差をΓ1、面内方位角をθ1、前記第二の波長板の位相差をΓ2、面内方位角をθ2、及び、前記第三の波長板の位相差をΓ3、面内方位角をθ3とした際に、各パラメータが、
位相差Γ1=220deg、面内方位角θ1=−13deg、
位相差Γ2=210deg、面内方位角θ2=−53deg、
位相差Γ3=100deg、面内方位角θ3=45deg
となるよう構成する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明は、偏光解消板として所定の位相差と面内方位角を有する3枚の波長板を積層して構成し、400〜700nmの広帯域な波長範囲において、1/4波長板として機能するように設定したものであり、偏光解消板をデジタルスチルカメラ等の電子光学機器に使用されるOLPFの構成要素として用いた際に必要な性能を発揮して、デジタルスチルカメラ等の電子光学機器の性能を向上させる上で大きな効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
本発明による偏光解消板は、可視光域にわたって1/4波長板としての機能を発揮するように、所定の位相差と面内方位角を有する3枚の波長板を積層したものである。
図1に、本発明に係わる偏光解消板の実施例を示す外観構造図を示し、(a)は正面図(透過面)を示し、(b)は側面図を示す。偏光解消板4は、いずれも水晶からなる第一の波長板5と、第二の波長板6と、第三の波長板7とを夫々所定の面内方位角で積層したものであり、後述する設計方法により偏光解消板4が、400〜700nmの広帯域な波長範囲において、1/4波長板として機能するよう各パラメータを下記のように設定したものである。又、各波長板の光学軸は、図1(b)に示す如く光線の入射面に対して平行である。
【0015】
第一の波長板5 位相差Γ1 220deg(λ=405nm)
面内方位角θ1 −13deg
第二の波長板6 位相差Γ2 210deg(λ=405nm)
面内方位角θ2 −53deg
第三の波長板7 位相差Γ3 100deg(λ=405nm)
面内方位角θ3 45deg
【0016】
次に、本発明に係わる偏光解消板の設計方法について、ポアンカレ球を用いて説明する。
図2は、本発明に係わる偏光解消板のポアンカレ球を示す図である。図2(a)は、S3軸(北極側)より見た図を示し、図2(b)から(d)は、夫々第一の波長板5の光学軸R1、第二の波長板6の光学軸R2、及び第三の波長板7の光学軸R3の各方向に三角法により図2(a)を展開したものである。
図2において、赤道上の座標(1、0、0)をP0としてこの座標に入射偏光が入射されたものとし、第一の波長板5において変調された位置をP1、第二の波長板6において変調された位置をP2、更に第三の波長板7において変調された位置をP3とする。
【0017】
この時、P3が北極の座標である(0、0、1)、又は、南極の座標である(0、0、−1)に到達するように第一の波長板5、第二の波長板6、及び第三の波長板7のパラメータを設定すれば、三枚の波長板を透過した光線は円偏光となる。
【0018】
又、偏光解消板が400〜700nmの広帯域な波長範囲において、1/4波長板として機能するためには、入射光の波長が変化することで第一の波長板5、第二の波長板6、及び第三の波長板7の夫々の位相差Γ1、Γ2、及びΓ3が変化しても、第三の波長板7において変調された位置であるP3が前記北極、南極の座標である(0、0、1)、又は、(0、0、−1)に到達するようにすればよい。
【0019】
このためには、第一の波長板5、第二の波長板6、及び第三の波長板7の夫々のパラメータを最適なものに設定し、400〜700nmのある波長における前記入射偏光の入射位置P0、第一の波長板5において変調された位置P1、及び第二の波長板6において変調された位置P2の三つの位置により囲まれる三角形と、400〜700nmの他の波長におけるP0,P1,P2により囲まれる三角形とが互いに相似の関係になるようにすれば、常に第三の波長板7において変調された位置P3が、北極の座標である(0、0、1)、又は、南極の座標である(0、0、−1)に到達することが出来る。
【0020】
そこで、以降数式を用いて本発明に係わる偏光解消板の設計方法について説明する。
ポアンカレ球の半径を1とすると、前記三角形の一辺であるP0―P1(以降L1と称す)は、各波長板のパラメータを用いて下式で表すことが出来る。
L1=sin2θ1・(1−cosΓ1) ・・・・(4)
【0021】
一方、前記三角形の一辺であるP1―P2(以降L2と称す)は、各波長板のパラメータを用いて下式で表すことが出来る。
L2=cos2θ2・{cos(cosα−cos(Γ2−α))} ・・・・(5)
但し、α=sin−1(sin2θ1・sinΓ1)/cos2θ2 ・・・・(6)
【0022】
又、前記三角形の辺L1とL2のなす角度をbとすると、bは、下式で表すことが出来る。
∠b=180−2θ1+2θ2 ・・・・(7)
ここで余弦定理を用いると、前記三角形の一辺であるP2―P0(以降L3と称す)は、下式で表すことが出来る。
L3=L1+L2−L1・L2・cos2b ・・・・(8)
【0023】
そこで、式(4)、(5)、(6)、(7)を式(8)に代入してL3を求めると、下式で表すことが出来る。
L3=sin2θ1・(1−cosΓ1)
+cos2θ2・{cosα−cos(Γ2+α)}
+2sin2θ1・(1−cosΓ1)
・cos2θ2・{cosα−cos(Γ2+α)}・cos(2θ1−2θ2) ・・・・(9)
【0024】
一方、前記三角形の一辺であるL3は、第三の波長板7のパラメータであるΓ3を用いて表すことが出来、これをL3’とすると下式で表すことが出来る。
L3’=1+sinΓ3 ・・・・(10)
【0025】
以上の結果より、第一の波長板5と第二の波長板6のパラメータから得られる式(9)で表されるL3と、第三の波長板7のパラメータから得られる式(10)で表されるL3’が等しければ、辺L1、L2、及びL3で囲まれた三角形は、400〜700nmの広帯域な波長範囲において相似の関係となる。
【0026】
ここで、
L=L3−L3’ ・・・・(11)
とし、L≒0となるように第一の波長板5、第二の波長板6、及び第三の波長板7のパラメータを夫々設定すれば、第一の波長板5と第二の波長板6における波長による位相差変化を、第三の波長板7における波長による位相差変化により相殺することが出来、常に第三の波長板7において変調された位置であるP3が、前記北極の座標である(0、0、1)に到達することが可能となる。従って、本発明に係わる偏光解消板は、400〜700nmの広帯域な波長範囲において、1/4波長板として機能し、入射する直線偏光の光線を円偏光に変換する。
【0027】
次に、上述したような設計方法を用い、パラメータを変化させてシミュレーションを行い、それらの結果をグラフによりまとめた。
そこで、第1の設計例として、光線の波長が400nm近辺でL≒0となるように各波長板のパラメータを設定した。
図3は、本発明に係わる偏光解消板の第1の設計例において、前述した三角形の一辺であるL3及びL3’とLの波長特性を示すグラフである。
本第1の設計例は、前述した実施例について説明するものであって、この時、シミュレーションの結果求めた第一の波長板、第二の波長板、及び第三の波長板のパラメータは前述したように下記の通りとなる。
第一の波長板5 位相差Γ1 220deg(λ=405nm)
面内方位角θ1 −13deg
第二の波長板6 位相差Γ2 210deg(λ=405nm)
面内方位角θ2 −53deg
第三の波長板7 位相差Γ3 100deg(λ=405nm)
面内方位角θ3 45deg
【0028】
図4は、本発明に係わる偏光解消板において、第1の設計例によりパラメータを設定した際の楕円率の波長特性を示すグラフである。尚、図4は、特性の比較をするため、従来の特性例1と特性例2についての楕円率も記載した。図4に示す如く、第1の設計例においては、楕円率0.8以上を基準として有効波長範囲とすると、375〜730nmの広帯域な波長範囲に渡って1/4波長板として機能している。従って、400〜700nmの可視光域において、直線偏光を円偏光に変換することが出来、偏光解消板として有効であり、デジタルスチルカメラにおいて発生するモアレや偽色の原因を解消した。
【0029】
次に、第2の設計例として、第1の設計例より更に高波長帯域において広帯域波長板として機能させた場合について、上述した設計方法を用い、各波長板のパラメータを設定してシミュレーションを行なった。
図5は、本発明に係わる偏光解消板の第2の設計例において、前述した三角形の一辺であるL3及びL3’とLの波長特性を示すグラフである。図5は、光線の波長が650nm近辺でL≒0となるように各波長板のパラメータを設定した第2の設計例について示す。その具体的な各波長板のパラメータは以下の通りである。
第一の波長板5 位相差Γ1 180deg(λ=650nm)
面内方位角θ1 −13deg
第二の波長板6 位相差Γ2 180deg(λ=650nm)
面内方位角θ2 −53deg
第三の波長板7 位相差Γ3 90deg(λ=650nm)
面内方位角θ3 45deg
【0030】
図6に、本発明に係わる偏光解消板の第2の設計例を示す外観構造図を示し、(a)は正面図(透過面)を示し、(b)は側面図を示す。偏光解消板8は、いずれも水晶からなる第一の波長板9と、第二の波長板10と、第三の波長板11とを所定の面内方位角で積層したものである。
【0031】
図7は、本発明に係わる偏光解消板において、第2の設計例によりパラメータを設定した際の楕円率の波長特性を示すグラフである。尚、図7は、特性の比較をするため、従来の特性例1と特性例2についての楕円率も記載した。図7に示す如く、第2の設計例においては、楕円率0.8以上を基準として有効波長範囲とすると、510〜850nmの広帯域な波長範囲に渡って1/4波長板として機能しており、従来の1/4波長板と比べて広帯域化が図られている。
【0032】
以上説明したように本発明によれば、所定の位相差と面内方位角を有する3枚の波長板を積層した積層波長板を構成することにより、400〜700nmの広帯域な可視光波長範囲において、1/4波長板として機能する偏光解消板が得られると共に、他の波長帯域においても広帯域で機能する1/4波長板を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係わる偏光解消板の実施例を示す外観構造図を示す。
【図2】本発明に係わる偏光解消板のポアンカレ球を示す図である。
【図3】本発明に係わる偏光解消板の第1の設計例において、前述した三角形の一辺であるL3及びL3’とLの波長特性を示すグラフである。
【図4】本発明に係わる偏光解消板において、第1の設計例によりパラメータを設定した際の楕円率の波長特性を示すグラフである。
【図5】本発明に係わる偏光解消板の第2の設計例において、前述した三角形の一辺であるL3及びL3’とLの波長特性を示すグラフである。
【図6】本発明に係わる偏光解消板の第2の設計例を示す外観構造図を示す。
【図7】本発明に係わる偏光解消板において、第2の設計例によりパラメータを設定した際の楕円率の波長特性を示すグラフである。
【図8】特開平10−68816号公報により開示された従来の広帯域1/4波長板の外観構造例を示す。
【図9】従来の1/4波長板のポアンカレ球を示す。
【図10】従来の広帯域1/4波長板の楕円率特性例を示す。
【符号の説明】
【0034】
1・・広帯域1/4波長板、 2・・第一の波長板、
3・・第二の波長板、 4・・偏光解消板、
5・・第一の波長板、 6・・第二の波長板、
7・・第三の波長板、 8・・偏光解消板、
9・・第一の波長板、 10・・第二の波長板、
11・・第三の波長板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の波長板と第二の波長板と第三の波長板とを順に結晶光学軸の面内方位角を所定の角度に設定した上で積層して構成する偏光解消板において、
前記第一の波長板に入射する入射偏光のポアンカレ球上の入射位置をP0、前記第一の波長板において変調された光のポアンカレ球上の位置をP1、前記第二の波長板において変調された光のポアンカレ球上の位置をP2とした際に、400〜700nmのある波長における前記P0、P1、及びP2の三つの位置により囲まれる三角形と、400〜700nmの他の波長におけるP0、P1、及びP2の三つの位置により囲まれる三角形とが互いに相似であり、常に第三の波長板において変調された光のポアンカレ球上の位置P3が、ポアンカレ球の北極の座標、又は、南極の座標に到達するよう構成し、
前記第一の波長板の位相差をΓ1、面内方位角をθ1、前記第二の波長板の位相差をΓ2、面内方位角をθ2、及び、前記第三の波長板の位相差をΓ3、面内方位角をθ3とした際に、各パラメータが、
位相差Γ1=220deg、面内方位角θ1=−13deg、
位相差Γ2=210deg、面内方位角θ2=−53deg、
位相差Γ3=100deg、面内方位角θ3=45deg
となるよう構成したことを特徴とする偏光解消板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−113123(P2006−113123A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297672(P2004−297672)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】