説明

偏心バルーンレーザーカテーテル

偏心バルーンカテーテルの様々な実施形態を開示する。ある実施形態では、偏心バルーンカテーテルは、偏心して配置されたガイドワイヤチューブと、カテーテル本体の長さの少なくとも一部にわたって延在する内管とを備える。光ファイバは、カテーテル本体の長さにわたって延在し、カテーテル本体内に偏心して配置されていてもよい。膨張可能なバルーンが、カテーテル本体の遠位端付近の窓内に配置されてもよい。バルーンが膨らまされると、バルーンとカテーテルが互いに相対的に移動する。血管内で使用される場合には、膨らまされたバルーンは、血管壁に押し付けられて、カテーテルを反対側の血管壁へと付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実施形態は、概して、レーザーエネルギー伝送のための改良された装置及び方法を対象とし、これに限定するわけではないが、レーザー伝送カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
動脈は、心筋に血液及び酸素を供給する役割を担う主要な血管である。プラーク(例えば、動脈硬化性プラーク又はその他の堆積物)が蓄積されることによって、動脈が狭窄又は閉塞されると、動脈疾患が発生する。閉塞が重度である場合には、心筋への血液及び酸素の流れが低下し、胸の痛みを引き起こす。体内で形成された血栓による動脈閉塞を、従来の様々な方法で、緩和可能である場合がある。動脈を拡張させる硝酸塩、β遮断薬及び周辺血管拡張薬、並びに血栓を溶解する血栓溶解薬を含む薬物療法が、効果的であると考えられる。薬物治療が効を奏さなかった場合には、血管形成術を適用して、血管中の動脈硬化性プラーク又はその他の堆積物を取り除き、血管を再形成する。
【0003】
従来のバルーン血管形成術では、腕や脚の動脈にバルーンを有する細い可撓性チューブを挿入することにより、閉塞に対する処置を施すことがある。所望の治療部位にバルーンを通し、ゆっくりとある程度まで膨らませることにより、動脈の閉塞部位を伸ばし分離させることができる。薬物療法が有効でない、又は血管形成術はリスクが高い(多くの場合、閉塞動脈へのバルーンの導入により、動脈硬化性物質の一部が剥がれ、患者の血管の下流のある点で完全閉塞を引き起こす可能性があり、その場合には、緊急手術が必要となる)場合、いわゆるエキシマレーザー血管形成術を行うことを提案する場合がある。
【0004】
エキシマレーザー血管形成術は、従来の冠動脈バルーン血管形成術と幾つかの点で類似する。細く可撓性を有する管である、レーザーカテーテルを、腕又は脚の動脈に挿入する。レーザーカテーテルは、レーザーエネルギーを伝達することのできる1つ以上の光ファイバを含む。レーザーカテーテルを動脈の内部で、所望の治療部位に位置する標的の閉塞まで進ませる。レーザーカテーテルが目的の位置に配置された後、レーザーを励起して、閉塞を取り除く。
【0005】
手術では、多くの場合、従来のバルーン血管形成術と同様に、ガイドワイヤを閉塞に交差させて病変部を固定する。レーザーカテーテルに、薄く可撓性を有する光ファイバを使用することによって、カテーテルを所望の位置に配置及び配列させることができる。エキシマレーザーを使用し、医師は、カテーテルを介して、バースト状の紫外光を送信し、閉塞部に照射する"焼灼(アブレーション)"と呼ばれるプロセスを実行し、制御された閉塞の除去を行う。そして、カテーテルをゆっくりと閉塞部を通過させて、動脈を開通させる。複数の閉塞部が存在する場合には、次の閉塞部へと進み、上記のステップを繰り返す。示されていた閉塞部が全て取り除かれたと判断された場合には、カテーテルを引き抜く。
【0006】
しかしながら、従来のレーザーカテーテルの光ファイバー構成では、医師は、カテーテルの遠位端部の真正面に位置する物質しか焼灼することができなかった。したがって、減量(デバルク)できる組織の面積は、およそカテーテルの遠位端部分の光ファイバのサイズになっていた。このことから、一般的に、追加の血管形成術が薦められる。
【0007】
したがって、レーザーカテーテルの遠位端を所望の方向に付勢することができ、医師が、カテーテルの遠位端部よりも大きな面積を焼灼できるような装置及び方法を提供することが望まれている。また、プラークは、血管内で偏心して位置しており、目的とする領域を適切に焼灼するには、方向を制御する必要があることから、目的の領域の周りを回転して移動可能な程度にフレキシブルな装置を提供できれば有益であり、それにより医師は、焼灼する領域を制御できると考えられる。
【発明の概要】
【0008】
一実施形態に係るレーザーカテーテルは、カテーテル本体、導光部、インナーチューブ及びバルーンを備える。カテーテル本体は、中心軸、遠位端、近位端、及び遠位端に近接して設けられた空洞を有してもよい。インナーチューブは、カテーテル本体の遠位端においてポートを有し、カテーテル本体の中心軸に対して偏心して配置されてもよい。導光部は、カテーテル本体内に配置され、近位端から遠位端まで延在してもよい。バルーンは、空洞内に配置され、カテーテル本体と滑動可能に結合され、カテーテル本体は、バルーンに対して移動可能であり、バルーンはカテーテル本体に対して移動可能である。
【0009】
別の実施形態に係るレーザーカテーテルは、カテーテル本体と、ガイドワイヤチューブと、導光チューブと、少なくとも1つの光ファイバとを備える。カテーテル本体は、中心軸(例えば、長手方向の中心軸)、遠位端、近位端、及び窓を有してもよく、窓は、カテーテル本体の外周部に遠位端に近接して設けられている。ガイドワイヤチューブは、カテーテル本体内に偏心して位置する内管を有し、カテーテル本体の遠位端に開口部を有してもよい。導光チューブは、カテーテル本体内に偏心して位置する内管を有してもよい。また、カテーテル本体の遠位端に開口部を有してもよい。導光チューブは、カテーテル本体の近位端から遠位端まで延在してもよい。少なくとも1つの光ファイバは、導光チューブの内管内に配置され、導光チューブの長さにわたって延在する。膨張可能なバルーンは、カテーテル本体の窓内に配置されてもよい。
【0010】
ある実施形態では、レーザーカテーテルは、カテーテル本体に空洞に近接して結合された矯正スタイレットを備えてもよい。ある実施形態では、バルーンは、インナーチューブを囲む。ある実施形態では、バルーンレールが、バルーン及びカテーテル本体と結合されていてもよい。バルーンレールは、バルーンが、カテーテル本体に対して相対的に移動することを可能にする。ある実施形態では、レーザーカテーテルは、カテーテル本体に配置され、バルーンと結合し、バルーンに空気を供給するバルーンチューブを備えてもよい。ある実施形態では、カテーテル本体の外周部内に空洞が設けられてもよい。ある実施形態では、インナーチューブが少なくとも一部空洞から露出するように、空洞が、インナーチューブに近接して設けられていてもよい。ある実施形態では、導光部は、少なくとも1つの光ファイバを有してもよい。ある実施形態では、インナーチューブは、前記カテーテル本体の前記近位端から前記遠位端に向かって延在していてもよい。
【0011】
本開示を適用可能な更なる領域については、以下に記載する詳細な説明から明らかとなるであろう。様々な実施形態が示されている以下の詳細な説明及び特定の例は、例示することのみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルシステムを示した図である。
【図2】ある実施形態に係る偏心バルーンカテーテルを示した図である。
【図3A】ある実施形態に係るバルーンを膨らました状態の偏心バルーンカテーテルを示した図である。
【図3B】ある実施形態に係るバルーンを収縮させた状態の偏心バルーンカテーテルを示した図である。
【図4A】ある実施形態に係る偏心バルーンカテーテルのスライド性(滑動性)を示した図である。
【図4B】ある実施形態に係る偏心バルーンカテーテルのスライド性(滑動性)を示した図である。
【図5A】ある実施形態に係る収縮させた状態の偏心バルーンカテーテルの遠位端部の端面を示した図である。
【図5B】ある実施形態に係る膨らませた状態の偏心バルーンカテーテルの遠位端部の端面を示した図である。
【図6】ある実施形態に係るカテーテル内に含まれる矯正スタイレット(探針)を有する偏心バルーンカテーテルを示した図である。
【図7】ある実施形態に係るスタイレット管を有する偏心バルーンカテーテルを示した図である。
【図8】ある実施形態に係るガイドワイヤチューブを囲む偏心バルーンの斜め切断図である。
【図9A】ある実施形態に係る血管内のある位置に位置する偏心バルーンカテーテルを示した図である。
【図9B】ある実施形態に係る血管内の異なる位置に位置する偏心バルーンカテーテルを示した図である。
【図9C】ある実施形態に係る血管内の異なる位置に位置する偏心バルーンカテーテルを示した図である。
【図10】ある実施形態に係るバルーンカテーテルを使用する方法を示したフローチャートである。
【図11】ある実施形態に係るバルーンカテーテルを使用する方法を示した別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面において、同様な構成要素及び/又は特徴には、同じ参照番号が付与されている。参照番号が明細書で使用されている箇所において、その説明は、同じ参照番号を有する同様な構成要素のいずれか1つに対して適用可能である。また、添付の図面は実寸で描かれていない。例えば、ある構成要素は、他の構成要素に対して相対的に実寸で描かれていない。
【0014】
以下に記す説明には、本発明の様々な実施形態のみが提供されており、開示の範囲、適応性、又は構成を限定することを意図していない。また、以下に記す実施形態の説明は、当業者が実施形態を実施可能なように記載されている。添付の特許請求の範囲に記載された精神及び範囲を逸脱することなく、要素の機能及び配置について様々な変更が可能であることは明らかである。
【0015】
本明細書に記載する実施形態は、偏心バルーンカテーテルを提供する。提供されるカテーテルは、細長いカテーテル本体と、カテーテルの本体の遠位端付近の外周部に空洞(又は窓)を備える。空洞からカテーテル本体の内部の一部が露出し、及び/又は空洞はカテーテル本体の周辺部に沿って伸びている。バルーンは、カテーテル本体内であって空洞の中に配置され、バルーンが収縮したとき又はほぼ収縮した時に、バルーンが、カテーテル本体の内径に収容されるようになっている。バルーンが膨らまされると、バルーンは、空洞を通過して拡大し、更にカテーテル本体の外周部の一部を超えてバルーンが膨張する。ある実施形態では、バルーンは、カテーテル本体内に偏心して配置されていてもよく、このバルーンが膨らまされると通常、カテーテル本体の軸から一つの方向に外側に向かって膨張する。ある実施形態では、バルーンは、カテーテル本体と結合されていてもよく、バルーン及び細長いハウジングは、互いに相対的に動くように構成されていてもよい。
【0016】
偏心バルーンカテーテルは、少なくともカテーテルの遠位端まで伸びカテーテルの遠位端において開口部を有する偏心ガイドワイヤチューブを備えてもよい。偏心ガイドワイヤチューブは、カテーテル本体の中心軸に対して偏心して配置されていてもよい。さらに、ガイドワイヤチューブは、内管を有してもよい。ガイドワイヤチューブは、カテーテルの近位端にまで延在していてもよいし、近位開口部を有する細長いカテーテル本体に沿って、いずれかの点で終端していてもよい。ガイドワイヤチューブは、例えば、外径0.024インチ及び内径0.018インチを有する。ガイドワイヤチューブは、多くの場合、ガイドワイヤを受容し、ガイドワイヤが、ガイドワイヤ管内を滑動可能となるように構成されている。ガイドワイヤは、カテーテル本体内部に、偏心して配置されていてもよい。すなわち、ガイドワイヤチューブは、カテーテル本体の長手方向の中心軸に沿っていなくてもよく、替わりに、カテーテル本体の中心軸とカテーテル本体の外周部との間で中心からずれた位置に配置されてもよい。ある実施形態では、ガイドワイヤチューブは、外周部の空洞と同じ場所付近に、偏心して配置されていてもよい。すなわち、ガイドワイヤチューブは、カテーテル本体の長さの一部に沿って、カテーテル本体の中心軸と並行であって中心軸の軸外に延在してもよい。ある実施形態では、空洞内のガイドワイヤチューブは、細長いハウジングの外側に露出してもよい。カテーテル本体はまた、1以上の導光部を備えてもよく、例えば、カテーテルの近位端からカテーテルの遠位端に向かって光を導くように配置された複数の光ファイバを備えてもよい。
【0017】
実際の使用時には、ガイドワイヤ管を通じて前もって配置されたガイドワイヤを辿って、偏心バルーンカテーテルを体内の血管に挿入してもよい(図9A参照)。カテーテルの遠位端が血管内の標的物の近くに配置された後、カテーテルは、標的物の一部をレーザー光で焼灼してもよい。焼灼可能なサイズは、最大で、光ファイバ束の遠位端開口部の直径となる。標的物内で、大きな断面積を焼灼するために、バルーンを膨らませてもよい。バルーンが膨らまされると、バルーンによって、血管の内壁に対して圧力が印加され、カテーテルを血管内で側方に動かすことが可能となる(図9B参照)。カテーテルを側方に移動させると、導光部の出射孔を、標的物の未だ焼灼されていない部分に位置させることができ、その部分を焼灼することができる。また、バルーンを収縮させて、カテーテルを中心軸に沿って回転させ後、バルーンを膨らませて、導光部の出射孔を、標的物の別の未焼灼部分の近くに位置させてもよい。導光部の出射孔が、標的物に十分近接していない又は近接し過ぎている場合には、カテーテルを、バルーンに対して長手方向にスライドさせて、より理想的な位置に移動させてもよい。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る偏心バルーンカテーテル100の使用時の状態を示した図である。レーザー105は、ユーザーインターフェース110と接続されている。本発明の別の実施形態では、レーザー105及びユーザーインターフェース110は、1つのシステムに接続されていてもよい。レーザー105は、人体130の血管に挿入されるカテーテル120と接続されている。レーザー105及びカテーテル120を、レーザ・カプラを使用して、結合してもよい。カテーテル120は、複数の要素を含む細長いチューブを備えてもよい。カテーテル120は、好適な長さAであり、長さAは、約50cmから390cmの間である。例えば、カテーテルの直径は、0.04インチから0.16インチであってもよい。カテーテル120は、レーザー105からの光を少なくともカテーテルの一部分にまで伝達する少なくとも1つの光ファイバ、又は光ファイバの束を含んでもよい。光ファイバの一部は、反射された光をレーザー105に戻してもよい。
【0019】
カテーテル内の光ファイバは、レーザーから光を受け取り、その光をカテーテルの近位端から、カテーテルの遠位端へと導光して、標的物に照射させてもよい。また、液体又は光ファイバと液体の組み合わせを使用して、遠位端へと光を導光してもよい。カテーテル内の光ファイバを使用して、血管内の標的物にレーザーからの光を向ける。様々な生物の血管内の標的物としては、例えば、血管、動脈、毛細血管、臓器等である。非医療アプリケーションでは、例えば、管は、非破壊撮像が必要となる、チューブ、チャンバ、配管等のあらゆる種類の奥行きの空洞を含む。
【0020】
図2は、空洞215を有するカテーテル本体200を備える偏心バルーンカテーテルを、カテーテル本体の外周部の一部を切断して示した図である。カテーテル本体200は、遠位端225を備えてもよい。空洞200は、細長い本体の外周部に沿って、約1cm、5cm、10cm又はそれより大きな長さで、長手方向に延在していてもよい。空洞215は、カテーテル本体の外周部を単純に切断したものであり、及び/又はカテーテル本体200内に位置するカテーテルの一部を露出させてもよい。空洞215は、カテーテル本体200の一方の面に位置している。ガイドワイヤチューブ205は、内部にガイドワイヤ管を有し、カテーテル本体200内に配置されていてもよい。ガイドワイヤチューブ205は、例えば、カテーテル本体200の遠位端225まで延在してもよい。遠位端225において、ガイドワイヤチューブ205は、ガイドワイヤを導入して、ガイドワイヤ管内をスライドさせるための挿通孔を有してもよい。遠位端225はまた、近位端から遠位端へとカテーテル本体を貫通して延在する複数の光ファイバの遠位端も示している。光ファイバは、カテーテル本体内にガイドワイヤチューブと対向するように配置されていてもよい。光ファイバは、近位端から遠位端へとレーザー光を伝達するあらゆる部材と置き換えることができる。例えば、液体導光剤を単独で使用してもよいし、光ファイバと組み合わせて使用してもよい。
【0021】
バルーン220が膨らまされ、空洞215内に拡張している状態が示されている。バルーン220は、一実施形態によれば、膨らんだ状態で、約2mmから4mmの直径を有してもよい。ある実施形態では、バルーン220は、膨らんだ状態で、最大約6mmから最小で1mmの直径を有してもよい。また、幾つかの実施形態では、バルーン220は、密封された遠位端部を有するチューブを有してもよい。ある実施形態では、バルーンのチューブの遠位端は、薄い壁部を有してもよく、及び/又は、遠位端が圧力下でも膨らむように大きな直径を有していてもよい。バルーン220は、例えば、あらゆる種類のプラスチックで構成されていてもよく、バルーン220は、ナイロン、テフロン(登録商標)、ウレタン、ポリウレタン又はこれらの混合材料によって形成されていてもよい。ある実施形態では、バルーン220の長さは、10cm、9cm、8cm、7cm、6cm、5cm、4cm、3cm、2cm、又は1cmであってもよい。幾つかの実施形態では、バルーン220は、部分的に膨らまされてもよいし、完全に膨らまされてもよいし、完全に収縮させてもよいし、又は、これらの間の拡張/収縮のレベルであってもよい。また、ある実施形態では、バルーン220は、完全に膨らまさなくても膨張直径を変化させることができるコンプライアントバルーンであってもよい。別の実施形態では、バルーン220は、ノンコンプライアントバルーンであってもよい。
【0022】
バルーン220は、バルーンの近位部分からカテーテル本体を通過して、ガイドワイヤハウジングの近位端に向かって延在するバルーン管(又は、内管を有するバルーンチューブ)と結合されていてもよい。バルーン管は、バルーンポートで終端していてもよい。バルーン管は、バルーンポートにおいてルアー継手と結合していてもよい。ある実施形態では、バルーン管は、カテーテル本体から分岐して、カテーテル本体から離れた場所に位置してもよい。バルーン管は、小さな直径を有する管を含んでもよい。例えば、バルーン管の内径は、およそ0.007インチである。幾つかの実施形態では、バルーン管の内径は、0.005インチから0.015インチの間であってもよい。バルーン管の外径は、0.016インチであってもよい。ある実施形態では、バルーン管の外径は、0.05インチから0.007インチであってもよい。バルーンポート又はルアーにおいて、バルーン管は、注入器具又はインデフレータと結合されていてもよい。注入器具又はインデフレータを使用してバルーン管を通じて流体を注入することによって、バルーン220を膨張させてもよい。幾つかの実施形態では、造影剤又は食塩水を使用して、バルーンを膨張させてもよい。バルーン管は、当技術分野でよく知られたあらゆる種類のプラスチックチューブを含んでもよい。例えば、バルーン管は、ナイロン、ウレタン、テフロン(登録商標)、ポリウレタン等で形成されていてもよい。
【0023】
図3Aには、膨らまされた状態のバルーン220を有する偏心バルーンカテーテルが示されている。幾つかの実施形態では、バルーン220が膨らまされると、空洞215(窓)を通過し、カテーテルのカテーテル本体200の外周部を超えて拡張する。図3Bには、収縮された状態のバルーン220を有する偏心バルーンカテーテルが示されている。幾つかの実施形態では、バルーン220が収縮されると、バルーンがカテーテルのカテーテル本体200の外周部内の空洞215内に留まる及び/又は収容されてもよい。バルーン220は、バルーン管と結合されていてもよい。バルーン220のインフレーションチューブは、空気ポンプ又は液体ポンプと接続されていてもよい。気体又は液体をポンプによってバルーン内へと汲み上げて、バルーンを膨らましてもよい。幾つかの実施形態では、ポンプを使用して、バルーン220から気体又は液体を取り除くことにより、バルーン220を収縮させてもよい。ある実施形態では、バルーン220は膨らまされる時に加圧されるため、ポンプを使用するかしないかに関わらず、バルーンから液体又は気体をパージすることによって、バルーン220を収縮させてもよい。例えば、パージバルブをバルーン管と結合させて、パージバルブが開放された時に、膨張したバルーンから気体又は液体が開放されるようにすることができる。
【0024】
ある実施形態では、バルーン220は、ガイドワイヤチューブ205を囲んでもよい。別の実施形態では、バルーン220は、ガイドワイヤチューブ205と結合され、ガイドワイヤチューブ205を囲まなくてもよい。
【0025】
図4A及び図4Bは、ある実施形態に係る偏心バルーンカテーテルのスライド性(滑動性)を示した図である。図4Aには、空洞215の遠位端付近の第1ポジションに位置するバルーン220が示されている。図4Bには、空洞215の真ん中付近の第2ポジションに位置するバルーン220が示されている。図に示すように、バルーン220は、カテーテル本体200に対して、滑動してもよい。また、内部に配置された導光部及び/又はガイドワイヤチューブ205を含むカテーテル本体200は、バルーン220に対して可動であってもよい。したがって、バルーン220が膨らまされ、相対的に配置されている間に、導光部を有するカテーテル本体200を標的に向かってガイドワイヤ上で進めてもよい。
【0026】
幾つかの実施形態では、バルーン220は、バルーン220及びカテーテル本体200が互いに相対的にスライドすることを可能とするレース又はトラックシステムと結合される。例えば、図8に示すように、ガイドワイヤチューブ205は、硬く及び/又は滑らかな外表面を、少なくとも空洞215内に有してもよい。バルーン220は、ガイドワイヤチューブ205上を滑動する内管221を含んでもよい。幾つかの実施形態では、ガイドワイヤチューブ205は、滑らかな又は潤滑な表面有してもよく、バルーン管221を、ガイドワイヤチューブ205に対して滑動させることができる。幾つかの実施形態では、バルーン220及びカテーテル本体200は、バネ入りプランジャのようなプランジャと、偏心バルーンカテーテルの近位端と結合されていてもよく、カテーテル本体200に対してバルーン220を作動するのに使用することができる。
【0027】
図5Aには、ある実施形態に係る収縮した状態の偏心バルーンカテーテルの遠位端が示されている。実施形態に示すように、バルーン220が収縮している状態では、バルーン220は、カテーテル本体200の外周部内に収容されている。幾つかの実施形態では、バルーン220は、ガイドワイヤチューブ205を囲んでいる。図5Bには、膨張した状態の偏心バルーンカテーテルの遠位端が示されている。実施形態に示すように、バルーン220は膨らまされた時に、カテーテル本体200の外周部の外側にまで膨張する。両方の図面では、束ねられた複数の光ファイバ250の遠位端が示されている。ある実施形態では、光ファイバ250は、導光管256内に収容されていてもよく、光ファイバは、導光内管によってキャビティ215及び/又はガイドワイヤチューブ205から分離されている。幾つかの実施形態では、光ファイバ250は、管内に収容されていなくてもよく、光ファイバ250の一部が空洞215から露出されていてもよい。
【0028】
図6は、ある実施形態に係るカテーテル内に含まれる矯正スタイレット(探針)又はリブ260を有する偏心バルーンカテーテルを示した図である。矯正スタイレット260は、空洞205の付近で、カテーテル本体200の一部を補助的に支持してもよい。さらに、矯正スタイレット260は、構造的な強度、堅牢性を提供し、及び/又は、カテーテル本体205の遠位端及びカテーテルが曲がってしまうのを防いでいる。矯正スタイレット260は、バルーン220が膨らんだ時に、カテーテルの遠位端が正しく付勢されるのを確かにする。幾つかの実施形態では、矯正スタイレット260は、カテーテル本体200に結合されていてもよい。ある実施形態では、矯正スタイレット260は、使用時には、カテーテル内に挿入されていてもよい。幾つかの実施形態では、矯正スタイレット260は、バルーン220が膨らんだ後に、カテーテル本体200内に挿入された状態であってもよい。
【0029】
ある実施形態では、偏心バルーンカテーテルは、例えば、図7に示すように、カテーテル本体200及び/又は導光部内に配置されたスタイレット管270を含んでもよい。例えば、スタイレット管270は、光ファイバの束の中に配置されてもよい。矯正スタイレット260は、使用前には、スタイレット管270の近位端内に位置していてもよい。使用時には、矯正スタイレット260は、偏心バルーンカテーテルの遠位端に向かって、例えば、空洞215の近くに移動され、空洞215の付近のカテーテル本体200の部分に堅牢性を付与してもよい。スタイレット管270及び/又は矯正スタイレット260は、プランジャと結合され、矯正スタイレット260をカテーテルの遠位端に向かって移動させてもよい。
【0030】
図9Aには、血管900内の標的物910の近くに位置する偏心バルーンカテーテルが、収縮状態のバルーン905と共に示されている。ガイドワイヤ915を使用して、偏心バルーンカテーテルを配置させてもよい。適切な位置に配置されると、標的物910の少なくとも一部が、偏心バルーンカテーテルによって焼灼される。図9Bには、標的物910の真ん中を横断するように焼灼が行われ、2つの標的部分911、912が残った様子が示されている。また、図9Bには、膨らまされた偏心バルーン905が、血管900の壁に押し付けられて、血管900内で、偏心バルーンレーザーカテーテルが移動する様子が示されている。適切な位置に配置されると、偏心バルーンレーザーカテーテルによって、標的部分912を焼灼する。バルーン905を収縮させ、偏心バルーンレーザーカテーテルを、例えば、約180°回転させてもよく、その後、図9Cに示すようにバルーン905を膨らませる。適切な位置に配置した後、標的部分911を焼灼してもよい。ある実施形態では、カテーテル又は導光部を、バルーン905に対して相対的に前進させてもよい。
【0031】
図10には、一実施形態に係る偏心バルーンレーザーカテーテルを使用する方法のフローチャートが示されている。図10に示す段階及び/又は以下の説明に記載する段階の一部を省略してもよいし、その他の段階を追加してもよい。ブロック1005において、ガイドワイヤの近位端が、例えば、ガイドワイヤポートから開始するガイドワイヤ管を通じて、挿入される。ガイドワイヤは、予め血管内に配置されていてもよい。次いで、ブロック1010及び1015において、カテーテルをガイドワイヤチューブに送り込むことによってカテーテルを血管内に挿入し、カテーテルを標的物に又はその近くに配置する。標的物に配置されたら、ブロック1016において、レーザーを起動し、ブロック1018において、偏心バルーンレーザーカテーテルを病変部を通過させ、標的物の一部分を焼灼して、誘導路を形成する。誘導路が焼灼によって形成されたら、レーザーカテーテルを非アクティブ化及び/又は再配置してもよい。標的部の外周部及び/又は誘導路を焼灼するために、ブロック1020において、例えば、偏心バルーンを膨らませて、カテーテルを血管内で軸方向に移動させる。この軸方向のシフトにより、カテーテルの遠位端部が、血管壁の近くの物質を焼灼してしまう位置に配置されるのを防ぐ。そして、ブロック1025において、補強スタイレットを、カテーテルに挿入して、バルーンが圧力を加える場所の付近に横方向のサポートを提供してもよい。補強スタイレットは、手術の間いつでも挿入可能である。そして、ブロック1030において、レーザーを起動して、標的物を焼灼し、必要であれば、ブロック1035において、バルーンが相対的に適切な位置に位置している間に、さらにカテーテルを前進させてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸、遠位端、近位端、及び前記遠位端に近接して設けられた空洞を有するカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記遠位端においてポートを有し、前記カテーテル本体の前記中心軸に対して偏心して配置されるインナーチューブと、
前記カテーテル本体内に配置され、前記近位端から前記遠位端まで延在する導光部と、
前記空洞内に配置され、前記カテーテル本体と滑動可能に結合されるバルーンと
を備え、
前記カテーテル本体は、前記バルーンに対して移動可能であり、前記バルーンは前記カテーテル本体に対して移動可能であるレーザーカテーテル。
【請求項2】
前記カテーテル本体に前記空洞に近接して結合された矯正スタイレットを更に備える請求項1に記載のレーザーカテーテル。
【請求項3】
前記バルーンは、前記インナーチューブの少なくとも一部を囲む請求項1に記載のレーザーカテーテル。
【請求項4】
前記バルーンは、内管を有し、
前記内管の少なくとも一部は、前記インナーチューブの少なくとも一部を囲む請求項1に記載のレーザーカテーテル。
【請求項5】
前記カテーテル本体内に配置され、前記バルーンと結合して、前記バルーンに空気を供給するよう構成されたバルーンチューブを更に備える請求項1に記載のレーザーカテーテル。
【請求項6】
前記空洞は、前記カテーテル本体の外周部内に設けられる請求項1に記載のレーザーカテーテル。
【請求項7】
前記インナーチューブが少なくとも一部前記空洞から露出するように、前記空洞が、前記インナーチューブに近接して設けられている請求項1に記載のレーザーカテーテル。
【請求項8】
前記導光部は、少なくとも1つの光ファイバを有する請求項1に記載のレーザーカテーテル。
【請求項9】
前記インナーチューブは、前記カテーテル本体の前記近位端から前記遠位端に向かって延在している請求項1に記載のレーザーカテーテル。
【請求項10】
前記導光部の前記近位端に接続されたレーザーを更に備える請求項1に記載のレーザーカテーテル。
【請求項11】
中心軸、遠位端、近位端、及び窓を有するカテーテル本体であって、前記窓は、前記カテーテル本体の外周部に前記遠位端に近接して設けられている前記カテーテル本体と、
前記カテーテル本体内に偏心して位置する内管を有し、前記カテーテル本体の前記遠位端に開口部を有するガイドワイヤチューブと、
前記カテーテル本体内に偏心して位置する内管を有し、前記カテーテル本体の前記遠位端に開口部を有し、前記カテーテル本体の前記近位端から前記遠位端まで延在する導光チューブと、
前記導光チューブの前記内管内に配置され、前記導光チューブの長さにわたって延在する少なくとも1つの光ファイバと、
前記カテーテル本体の前記窓内に配置された膨張可能なバルーンと
を備えるレーザーカテーテル。
【請求項12】
前記バルーンと結合し、前記カテーテル本体の一部を少なくとも貫通して延在するバルーン膨張管を更に備える請求項11に記載のレーザーカテーテル。
【請求項13】
前記バルーンは、滑動可能に前記カテーテル本体と接続されている請求項11に記載のレーザーカテーテル。
【請求項14】
前記バルーンは、滑動可能に前記ガイドワイヤチューブと結合されている請求項11に記載のレーザーカテーテル。
【請求項15】
前記ガイドワイヤチューブは、前記窓を通過して延在し、前記窓から露出している請求項11に記載のレーザーカテーテル。
【請求項16】
前記窓に近接して、細長い部材内に配置される前記細長い部材を更に備える請求項11に記載のレーザーカテーテル。
【請求項17】
前記バルーンが実質的に収縮した時に、前記バルーンが実質的に前記窓内に収まる請求項11に記載のレーザーカテーテル。
【請求項18】
前記バルーンが実質的に膨らむ時に、前記バルーンが前記窓の境界を超えて膨張する請求項11に記載のレーザーカテーテル。
【請求項19】
前記バルーンが実質的に膨らむ時に、前記バルーンが前記窓を通過して、前記カテーテル本体の半径を超えて膨張する請求項11に記載のレーザーカテーテル。
【請求項20】
前記バルーンが実質的に収縮した時に、前記バルーンが実質的に前記カテーテル本体の半径内に配置される請求項11に記載のレーザーカテーテル。
【請求項21】
偏心バルーンカテーテルを使用する方法であって、
偏心バルーンカテーテルは、遠位端、導光部、及び前記カテーテルに偏心して結合されるバルーンを含むカテーテル本体を有し、
前記偏心バルーンカテーテルを血管に挿入する段階と、
前記偏心バルーンカテーテルを前記血管内で標的物の近くに位置させる段階と、
前記バルーンに生体適合性材料を注入することにより前記バルーンを膨らませる段階と
を備え、
膨らんだ前記バルーンで前記血管の内壁に押し付け、前記カテーテルの前記遠位端を前記血管内で軸方向に移動させる方法。
【請求項22】
前記カテーテル本体を、膨らんだ前記バルーンに対して前進させる段階をさらに備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】
矯正スタイレットを前記カテーテル本体に挿入する段階を更に備える請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記偏心バルーンカテーテル内のガイドワイヤチューブに、ガイドワイヤを挿入する段階を更に備える請求項21に記載の方法。
【請求項25】
レーザーを起動し、前記標的物の少なくとも一部を焼灼する段階を更に備える請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記バルーンを収縮させる段階と、
前記カテーテルを軸方向に回転させる段階と、
前記バルーンを膨らませる段階と
を更に備える請求項21に記載の方法。
【請求項27】
中心軸、遠位端、近位端、及び前記遠位端に近接して設けられた空洞を有するカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記遠位端において開口部を有し、前記カテーテル本体の前記中心軸に対して偏心して配置されるインナーチューブと、
前記カテーテル本体内に配置され、前記近位端から前記遠位端まで延在する導光部と、
前記空洞内に配置され、前記カテーテル本体と滑動可能に結合されるバルーンと、
前記導光部と結合されるレーザーと
を備え、
前記カテーテル本体は、前記バルーンに対して移動可能であり、前記バルーンは前記カテーテル本体に対して移動可能であるレーザーカテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−512002(P2012−512002A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542194(P2011−542194)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/065557
【国際公開番号】WO2010/071726
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(511113671)ザ スペクトラネティクス コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】