説明

偏波切替可能な移動指向性アンテナ

【課題】 偏波切替可能な移動指向性アンテナを提供する。
【解決手段】 本発明は、高周波信号を送られ、且つ開口部(231)が、前記開口部から離れた平面内の支持手段(251a、251b)に配置された放射素子(252a、252b)を照射すべく穿設された複数の導波管(203a、203b)を含む偏波切替可能アンテナに関し、前記支持手段が少なくとも2種の異なる構成に従い構成可能であり、前記アンテナが同一の構成に従い照射される放射素子が隣接することを特徴とし、前記支持手段(251a、251b)は、第1の構成で照射される放射素子を、第2の構成で照射される放射素子とは異なる方向に向けるべく適合されている。本発明は、衛星、特に静止衛星との高速通信が求められる地上で移動する物体に搭載されたアンテナの切替に特に応用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏波切替可能な移動指向性平面アンテナに関する。本発明は、衛星、特に静止衛星との高速通信が求められる地上移動物体に搭載されたアンテナの切替に特に応用できる。
【背景技術】
【0002】
固定位置、例えば静止衛星と、移動している位置、例えば地上の車両との間で通信を提供すべく、固定位置を追跡可能にするアンテナが移動物体のレベルに配置されている。当該アンテナに付随する制約は厳しい。特に、隣接する衛星群が提供するサービスを妨げないよう、調整されたレベルを超える電力密度で信号を他の方向に発信しないように構成しなければならない。従って、この種のアンテナでは比較的高精度で衛星を追跡できることが保証されなければならない。例えば、ヨーロッパ大陸をカバーするために、地上(また航空機搭載)アンテナの反射器の仰角はスペインで約10°〜北ヨーロッパで60°の範囲で可能でなければならず、反射器の方位角は360°回転可能でなければならない。従って直径が約60〜70cmである反射器は、運動の自由度が大きく、制御システムの信頼性が高く且つ正確であるというメリットがあるものの、アンテナが巨大且つ高価になってしまう。更に、信号の偏波が線形である場合、例えば衛星が単一の信号発信源を有するアンテナを含んでいる場合、地上アンテナを常に偏波の方向と整合させなければならない。
【0003】
地上アンテナが満たすべき制約を減らし、従って製造を簡素化すべく、例えばKa帯において、前述の線形偏波に代えて円形偏波を利用することができる。一例として、衛星レベルでの受信において19.7GHz〜20.2GHzの周波数帯を用いることができ、一方、29.5GHz〜30GHzの周波数帯を発信に用いることができ、右または左回りに隣接するスポットの組によりカバレッジが提供される。
【0004】
マルチビーム衛星は、2個の隣接するスポットに向けて発信された信号が干渉しないように構成された複数のスポットによりエリアをカバーする。また、衛星のカバレッジは、各種の送信周波数および/または各種の偏波を有するスポットを含み、2個の隣接するスポットは、同一時刻において、同一の偏波および同一の送信周波数を共有しないように構成されている。スポットに向けて発信された信号の周波数特徴および偏波特徴は一般に「スポット色」という表現により指定され、従って、2個の隣接するスポットは異なる色を有している。一例として、2個の異なる偏波および2個の異なる送信周波数により、4色のスポットを生成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衛星との通信の実行が求められる移動乗物に搭載されたアンテナは、2個のスポット間の境界線を横切ることがある。これは、例えば、航空機または列車からのインターネット接続の提供を目的とするアンテナの場合である。アンテナが、第1の偏波(例えば右旋円)で構成された第1のスポットによりカバーされる領域から出て、第2の偏波(左旋円)で構成された第2のスポットによりカバーされる領域に入ったならば、当該アンテナは自身の発信および/または受信偏波を変更すべく素早く切替らなければならない。更に、ビーム形成アンテナの放射素子は、横方向の放射ローブが形成されないよう互いに十分近くなければならず、隣接する通信システムを混乱させがちである。
【0006】
「Proceedings of Asia−Pacific Microwave conference」で2006年に発行されたKwang−Seop Son他による「Waveguide Slot Array In−Motion Antennafor Receiving both RHCP and LHCP using Single Layer Polarizer」に、フィルム上に整列された偏波素子を励起する信号の発信源を含むアンテナ構造を開示している。偏波素子は逆方向に交互に配置されていて、発信源は、所与の時点で2個の偏波素子のうち1個が発信源により照射されるように、高周波絶縁層により偏波素子のフィルムから分離され、偏波素子に対向して配置された一連の空腔を備えている。フィルムは、以前に照射されていない偏波素子に対向して空腔が配置されるように、並列起動することができる。これらの偏波素子が第1の偏波素子とは異なる方向に向けられているため、アンテナから発信された信号の偏波は逆転する。このアンテナは従って、2個の異なる偏波間の切替を実行可能にする。しかし、これには短所もある。実際、その構造により放射素子間の距離が相対的に大きくなるため、放射パターン内に生じる横方向のローブが過大になる。
【0007】
本発明の目的は、偏波切替可能で指向性を有し、且つコンパクトな電子ビーム形成アンテナを提案することである。この目的のため、本発明の主題は、高周波信号が送られ、且つ開口部が、前記開口部から離れた平面内の移動支持手段に配置された放射素子を照射すべく穿設された複数の導波管を含む偏波切替可能アンテナであって、前記支持手段は少なくとも2種の異なる構成に従い構成可能であり、前記アンテナは同一の構成に従い照射される放射素子が隣接することを特徴とし、支持手段は、第1の構成で照射される放射素子を、第2の構成で照射される放射素子とは異なる方向に向けるべく適合されている。放射素子は、線形の形状であってよい。本発明によるアンテナは、放射スロット間に一切距離を設けないため、+/−40°の走査であっても、走査範囲外の配列ローブを排除する基準を遵守可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による偏波切替可能アンテナの一実施形態によれば、第1の構成に従い照射される放射素子と第2の構成に従い照射される放射素子は同一であり、支持手段は、開口部に関して自身の向きを変えるべく適合されている。従って、1個の開口部毎に放射素子を1個しか必要とせず、各々の放射素子は構成の如何に拘わらず同一の開口部を介して照射される。
【0009】
本発明による偏波切替可能アンテナの一実施形態によれば、導波管は矩形断面のガイドであり、開口部は、導波管の各々について、当該導波管の長手中心軸のいずれかの側の面に交互に分散配置されている。窪んだ導波管を使用することにより、アンテナの損失が小さくなり、最大限可能な抵抗効率が得られる。
【0010】
本発明による偏波切替可能アンテナの一実施形態によれば、開口部はスロットである。当該アンテナは、マイクロストリップパッチ等の他の平面アンテナよりも堅牢である。
【0011】
本発明による偏波切替可能アンテナの一実施形態によれば、スロットは導波管の長軸に平行である。本実施形態によりスペースが節約できる。
【0012】
本発明による偏波切替可能アンテナの一実施形態によれば、放射素子は双極子である。当該双極子は例えば直線状の金属部品で形成することができる。
【0013】
本発明による偏波切替可能アンテナの一実施形態によれば、放射素子は開口部の上方、導波管内を移動する高周波信号の波長の5分の1〜4分の1の高さに配置されている。
【0014】
本発明による偏波切替可能アンテナの一実施形態によれば、放射素子の支持手段は高周波を透過させる材料で作られている。
【0015】
本発明による偏波切替可能アンテナの一実施形態によれば、放射素子の支持手段は開口部の上方に保持されたいくつかの平行な細片を含み、前記細片は2種の構成に従い配置可能であり、前記細片は、第1の構成において当該細片の第1の面が開口部と向き合い、第2の構成において当該細片の反対側の面が開口部と向き合うように反転可能である。
【0016】
本発明による偏波切替可能アンテナの一実施形態によれば、放射素子は細片の長軸に対して非ゼロ且つ非直角な角度をなし、細片は反転するために前記長軸の回りに回転可能である。
【0017】
本発明による偏波切替可能アンテナの一実施形態によれば、放射素子の支持手段は、複数の列に合わせて整列配置されたピボット素子を含み、前記支持手段は前記列の各々について、前記列のピボット素子に隣接するロッドを含んでいて、前記ロッドおよび前記ピボット素子は、前記ロッドの並進運動が前記ピボット素子を回転させるべく構成されている。ロッドは例えばラックであってよく、ピボット素子は、前記ラックにより駆動可能であるよう自身の縁に条痕が付けられたシリンダーである。従って、1つの開口部につき1つの放射素子のみが必要とされ、放射素子の各々はその構成の如何に拘わらず同じ開口部を介して照射される。
【0018】
本発明の偏波切替可能アンテナの一実施形態によれば、放射素子の支持手段は、ローラーおよび前記ローラーの回りに巻き上げ可能なように配置された可撓性バンドを含み、当該可撓性バンドは、第1の方向に向けられた放射素子が隣接して固定された第1の部分、および前記第1の方向とは異なる方向に向けられた放射素子が隣接して固定された第2の部分を含んでいる。
【0019】
他の特徴は、例示的に且つ添付の図面に関して与える以下の非限定的な詳細説明を精査することにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるアンテナを示す基本的線図である。
【図2a】本発明によるアンテナの第1実施形態の透視図である。
【図2b】本発明によるアンテナの第1実施形態の側面図である。
【図2c】本発明によるアンテナの第1実施形態の上面図である。
【図2d−2f】本発明によるアンテナの第1実施形態の切替フェーズを示す透視図である。
【図3a−3c】本発明によるアンテナの第2の実施形態である。
【図4a−4c】本発明によるアンテナの第3の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1a、1bに、本発明によるアンテナを基本線図を示す。アンテナ100を上方から見ている。導波管101、102、103の各々はY軸に平行に延在し、高周波信号101a、102a、103aが送られる。導波管は、矩形の横断面を有するガイドであってもよい。各々の導波管101、102、103には、アンテナの寸法を小さくするため、開口部110が矩形スロットの形状で等間隔に、好適には導波管に平行に、穿設されている。例えば、アンテナは約6cm×6cmの面積を占有する。
【0022】
双極子の形状をなす放射素子120が各開口部110の上方で、開口部110が作られた平面に平行な平面上に配置されている。双極子が配置された平面は、開口部から生じる電場に摂動を生じさせるべく、大きさが等しく位相が90度ずれている2個の直交電場成分、すなわち円偏波場が得られるように、導波管内で伝達される信号の波長の5分の1〜4分の1の間で選択された値に等しい距離に有利に配置されている。距離の選択により90度の位相差が生じる。双極子120は、上方から見て、開口部110と非ゼロ且つ非直角な角度を導波管101、102、103に形成する。
【0023】
本発明によるアンテナは、少なくとも2種の構成をなすことができる。図1aに、各々の開口部110と双極子120の間に第1の角度が形成される、アンテナの第1の構成を示し、当該角度は例えば45°に等しい。当該第1の角度は理論的に、厳密には0°および90°を除く0°〜90°の間の任意の値を取り得る。選択された角度は、スロットと双極子の両方の長さと幅、およびそれらの間の選択された距離、並びに周囲媒体の誘電率を考慮した解析の結果得ることができる。図1bに、開口部110と双極子120の間に形成された角度が第1の角度の逆に等しいアンテナの第2の構成を示す。換言すれば、アンテナ100(図1b)の第2の構成における開口部110の上方に配置された双極子120は、第1の構成(図1a)の開口部110の上方に配置された双極子120と共に、第1の構成の双極子120と開口部110の間がなす角度の2倍に等しい角度をなす。
【0024】
図2a、2b、および2cに、本発明によるアンテナの第1実施形態を側面および上面から見た透視図として示す。アンテナ200は、導波管203a、203b、および導波管203a、203bの上方にある複数の剛性細片251a、251bを支持する2個のブラケット205a、205bが上に配置された支持手段201を含んでいる。
【0025】
導波管203aと203bは、互いに平行に延在している。これらには終端から信号が送られる。本例において、これらの導波管203a、203bは矩形の横断面を有している。これらは上部がスロット231を形成すべく穿設されている。有利に、これらのスロットは互いに平行に、且つ導波管203a、203bの長手方向に向けられている。本例では、これらのスロットは1個の導波管203aから他の導波管203bまで等間隔に配置されている。更に、各導波管203a、203bでは、スロット231は、これらのスロットに同位相で放射させるべく好適には導波管の長手中心軸233のいずれかの側に交互に配置されていることにより、アンテナ200の全領域にわたりスロット231の規則的な格子を形成する。
【0026】
ブラケット205a、205bは、導波管203a、203bに平行に、支持手段201の両側の縁の上で対向して配置されている。細片の保持要素253a、253bが各ブラケットに一対ずつ搭載されていて、第1の保持要素が第1のブラケット205aに搭載され、第2の保持要素が第2のブラケット205bに搭載され、当該2個の要素は細片251a、251bを所定の距離だけ導波管203a、203bの上方で保持すべく対向しており、これらの細片は導波管に垂直な方向に延在している。保持要素253a、253bは、同一の対の2個の保持要素253a、253b、すなわち同一の細片251aを支持する2個の保持要素を接合する軸の回りに回転可能に搭載されている。同一の対の保持要素253a、253bは従って、これらが細片251aの長軸の回りに回転可能に保持している細片を駆動すべく調整された方法で回転することができる。本例では、ある対の第1の保持要素253aは制御された回転手段により駆動され、第2の保持要素253bは軸の回りに自由回転可能であって細片251aの回転の影響下で駆動される。制御された回転手段は、アンテナ200の平面に垂直な軸の回りの回転運動をブラケット205aに平行な軸の回りの回転運動に変換可能にする2個のかさ歯車255、256の組を含んでいてよい。第1の歯車255は例えば、モーター(図示せず)により回転駆動されるロッド254に固定されている。第2の歯車256は、保持要素253a、253bに隣接するウォームねじ257を駆動することにより、回転運動をこれらに伝達可能にするものであり、これらの保持要素はブラケット205bの後部から突き出た条痕付き突出部258を含んでいる。
【0027】
双極子252a、252bは、導波管203a、203bに形成されたスロット231の上方に配置されるように細片251a、251bの上に配置されている。細片251a、251bは双極子252a、252bの放射効果を妨げないように高周波信号を透過させる。
【0028】
支持手段201は、支持手段201により形成される平面に垂直な軸に沿って移動すべく搭載された下側部分211および上側部分212を含んでいる。上記例では、下側部分211および上側部分212は、例えばロッド254、ラム、ウォームねじ、または2個の部分211、212の間の距離を変更可能にする他の任意の手段を含む摺動手段により、互いに遠ざかるかまたは近づく方向に移動可能な材料プレートである。上側部分212は、ブラケット205a、205bおよび細片251a、251bと一定の距離を維持し、ブラケット205a、205bは当該上側部分212に固定されている。下側部分211は、導波管203a、203bと一定の距離を維持し、導波管203a、203bは当該下側部分211に固定された垂直部材214に固定されている。従って、2個の部分211、212が互いから遠ざかる方向に移動した場合、ブラケット205a、205bおよび細片251a、251bは導波管203a、203bから遠ざかる方向に移動する。
【0029】
アンテナ200が正常に動作する間、下側部分211および上側部分212は隣接している。スロット231と細片251a、251bとの間の距離は、スロット231を通って移動する高周波信号が双極子を励起し、従って所与の偏波に従い放射素子の配列を生成可能にすべく選択される。
【0030】
細片251a、251bを回転させる必要がある場合、上側部分212を下側部分211から遠ざけて、細片251a、251bおよび/または保持要素253a、253bが導波管203a、203bと衝突するのを避けることにより、これらの要素が回転中に損傷しないようにする。また、アンテナの偏波の切替が必要な場合、細片251a、251bが損傷しないように回転させるべく上側部分212が下側部分211から外れて、2個の部分211、212が再び元の位置へ戻って合体する前に細片251a、251bの回転が進むようにする。このように合体するまでの移動は、回転が4分の1回転だけ進んでから徐々に実行することができる。
【0031】
図2d、2e、および2fに、本発明によるアンテナの第1実施形態の切替フェーズの透視図を示す。図2dに示すアンテナ200の第1の構成によれば、細片251a、251bは水平位置に保持され、全ての双極子252a、252bは所与の方向に向けられている。
【0032】
アンテナ200の切替が実行された場合、支持手段の上側部分212は下側部分211から遠ざかるように移動される。細片251a、251bが導波管203a、203bから十分遠くに離されたならば、ロッド254は回転すべく設定される。当該ロッド254は第1のかさ歯車255を回転させ、第1のかさ歯車255は回転運動を第2のかさ歯車256に伝達し、第2のかさ歯車256はブラケット205aに固定された保持要素253aを回転させるべくウォームねじ257の回転が生じ、その結果細片251aおよび反対側のブラケット205bに固定された保持要素253bの回転が生じる。図2eに、細片251a、251bの回転が進行中であるアンテナの第1実施形態を示す。細片251a、251bは反転処理の最中である。回転は、細片251a、251bの上面が下面と入れ替わるまで続く。有利に、双極子252a、252bは、自身の第1の構成における位置が第2の構成における位置と対称であるように、自身が固定された細片の回転軸の中心に配置されている。回転が完了したならば、アンテナ200は図2fに示す第2の構成になっている。次いで、双極子252a、252bの位置が細片251a、251bの回転軸により形成される対称軸に関して変換されるため、双極子252a、252bの向きが変更される。双極子が上方に配置されているスロットに対する当該双極子の位置が変更されたため、アンテナにより送信される信号の偏波が反転される。従って、円偏波信号の場合、アンテナの一方の構成から他方の構成への移行により、左旋円から右旋円への移行が可能になる。
【0033】
従来技術で公知の特定のアンテナとは対照的に、アンテナの構成の如何に拘わらず、双極子の間に素子が一切挿入されないため、双極子間の間隔を狭めることが可能になる。従ってスロットおよび双極子のこの配置により、偏波の切替機能を有しながら、高密度の放射素子を含むアンテナを得ることを可能になる。
【0034】
図3a、3b、および3cに、本発明によるアンテナの第2の実施形態を示す。アンテナ300は、互いに平行な導波管303を含んでいる。スロット331は、図2aに示す第1実施形態のものと同様に、導波管の上部に形成されている。例えば図3aに詳細を示すようにアンテナ300の平面に垂直な軸の回りに回転可能なピボット支持部310が各スロット331の上に配置されている。各ピボット支持部310には、スロット331内を通って移動する高周波信号により照射されるように双極子320が固定されている。ピボット支持部310は円筒状であって、高周波信号を透過させる材料で形成されていてよい。
【0035】
アンテナ300は少なくとも2種の構成、すなわち図3aに示すように双極子が第1の方向に向けられた第1の構成、および図3bに示すように双極子が第2の方向に向けられた第2の構成をなすことができる。アンテナ300の2種の構成は異なる偏波に対応する。
【0036】
一列に配置された双極子の向きは、当該列に沿って配置されたラック340により制御される。例えば、異なる導波管303a、303b、303cの上方に配置されたピボット支持部310を含む列350は、ピボット支持部に隣接して少なくともピボット支持部310のレベルに切欠を含むラックにより制御される。本例では円筒状であるピボット支持部310は、自身の壁に条痕が付けられているため、ラック340が列350に沿った並進運動により移動された場合、ピボット支持部310、およびその結果これらが固定された双極子320を回転させる。全てのピボット支持部を回転させ、従ってアンテナの偏波構成を変更するために、駆動手段が前記ラックの全ての並進を駆動させるように双極子の各列に異なるラックが割り当てられていてよい。有利に、アンテナ300は、ラック340の並進がピボット支持部310の半回転に対応するように構成されている。
【0037】
アンテナの別の実施形態によれば、ラック340を、ピボット支持部310に押し付けられたロッドで代替し、前記ロッドはピボット支持部310に接着することができ、前記ロッドおよび前記ピボット支持部は例えばゴム状材料で形成されている。
【0038】
図4a、4b、および4cに、本発明によるアンテナの第3の実施形態を示す。アンテナ400は、2個の別々の部分411、412を含む可撓性バンド401を含んでいる。第1の部分411および第2の部分は、2個の部分411、412に同数の双極子420を含んでいる。第2の部分412の双極子420は、各々の重心を第1の部分411の双極子420の重心に重ね合わせ可能なように配置されている。双極子の向きは、同一の部分411、412内では同じであるが、部分同士では異なる。
【0039】
アンテナ400はまた、スロット431の形状をなす開口部を含む導波管の組、および双極子420の位置とスロット431の位置を整合させながらスロット431の上方に可撓性バンド401を配置すべく可撓性バンド401の駆動手段を含んでいる。駆動手段は、導波管上方の可撓性バンド401を巻き上げるかまたは引き出すべく対向して配置された2個のローラー440(図4cにアンテナの上面図を示す)を含んでいてよい。2個のローラー440は、上述の第1実施形態におけるブラケット(図2a参照)の配置と同様に、アンテナ400の縁に配置されていてもよい。
【0040】
アンテナ400の第1の構成によれば、第1のアンテナ偏波を生成すべく、第1の部分411がスロット431の上方に配置されるようにローラー440が起動される。アンテナ400の第2の構成によれば、第2のアンテナ偏波を生成すべく、第2の部分412がスロット431の上方に配置されるようにローラー440が起動される。
【0041】
このように、ローラーをある方向または他の方向へモーターで起動させることによりアンテナの切替を生起させることにより、導波管のスロット内を通って移動する高周波信号により照射される双極子の向きを変えることができる。
【0042】
本発明によるアンテナの利点は、スロット間に一切の距離を置く必要が無いため、放射素子の配列を密にして指向性放射パターンが得れるようになることである。
【符号の説明】
【0043】
100 アンテナ
101,102,103 導波管
110 開口部
120 放射素子
101a,102a,103a 高周波信号
200 アンテナ
201 支持手段
203a,203b 導波管
205a,205b ブラケット
211 下側部分
212 上側部分
231 スロット
251a,251b 細片
252a,252b 双極子
253a,253b 保持要素
254 ロッド
255,256 かさ歯車
257 ウォームねじ
258 条痕付き突出部
300 アンテナ
303 導波管
303a,303b,303c 導波管
310 ピボット支持部
320 双極子
331 スロット
340 ラック
350 列
400 アンテナ
401 可撓性バンド
411,412 部分
420 双極子
431 スロット
440 ローラー
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を送られ、且つ開口部(231、331、431)が、前記開口部から離れた平面内の支持手段(251a、251b、310、401)に配置された放射素子(252a、252b、320、420)を照射すべく穿設された複数の導波管(203a、203b、303)を含む偏波切替可能アンテナであって、前記支持手段が少なくとも2種の異なる構成に従い構成可能であり、前記アンテナが同一の構成に従い照射される放射素子が隣接することを特徴とし、前記支持手段(251a、251b、310、401)が移動可能であって、第1の構成で照射される放射素子を、第2の構成で照射される放射素子とは異なる方向に向けるべく適合されている偏波切替可能アンテナ。
【請求項2】
前記第1の構成に従い照射される前記放射素子(252a、252b、320)と前記第2の構成に従い照射される前記放射素子(252a、252b、320)が同一であり、前記支持手段(251a、251b、310)が前記開口部(231、331)に関して自身の向きを変えるべく適合されている、請求項1に記載の偏波切替可能アンテナ。
【請求項3】
前記導波管(203a、203b、303)が矩形断面のガイドであり、前記開口部(231、331、431)が、前記導波管の各々について、前記導波管の長手中心軸(233)のいずれかの側の面に交互に分散配置されている、請求項1または2に記載の偏波切替可能アンテナ。
【請求項4】
前記開口部(231、331、431)がスロットである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏波切替可能アンテナ。
【請求項5】
前記スロットが前記導波管の前記長軸(233)に平行である、請求項4に記載の偏波切替可能アンテナ。
【請求項6】
前記放射素子が双極子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏波切替可能アンテナ。
【請求項7】
前記放射素子が、前記開口部(231、331、431)の上方、前記導波管(203a、203b、303)内を移動する前記高周波信号の波長の5分の1〜4分の1の高さに配置されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の偏波切替可能アンテナ。
【請求項8】
前記放射素子の前記支持手段(251a、251b、310、401)が高周波を透過させる材料で作られている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏波切替可能アンテナ。
【請求項9】
前記放射素子(252a、252b、320、420)の前記支持手段が前記開口部(231)の上方に保持されたいくつかの平行な細片(251a、251b)を含み、前記細片が2種の構成に従い配置可能であり、前記細片(251a、251b)が、前記第1の構成において前記細片(251a、251b)の第1の面が前記開口部(231)と向き合い、前記第2の構成において前記細片の反対側の面が前記開口部と向き合うように反転可能である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏波切替可能アンテナ。
【請求項10】
前記放射素子(252a、252b)が、前記細片(251a、251b)の長軸に対して非ゼロ且つ非直角な角度をなし、前記細片(251a、251b)が反転するために前記長軸の回りに回転可能である、請求項9に記載の偏波切替可能アンテナ。
【請求項11】
前記放射素子の前記支持手段が、複数の列に合わせて整列配置されたピボット素子(310)を含み、前記支持手段が前記列(350)の各々について、前記列(350)の前記ピボット素子(310)に隣接するロッド(340)を含んでいて、前記ロッドおよび前記ピボット素子(310)が、前記ロッド(340)の並進運動が前記ピボット素子(310)を回転させるべく構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏波切替可能アンテナ。
【請求項12】
前記放射素子の前記支持手段が、ローラー(440)および前記ローラー(440)の回りに巻き上げ可能なように配置された可撓性バンド(401)を含み、前記可撓性バンドが、第1の方向に向けられた放射素子(420)が隣接して固定された第1の部分(411)、および前記第1の方向と異なる方向に向けられた放射素子(420)隣接して固定された第2の部分を含んでいる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏波切替可能アンテナ。

【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公開番号】特開2013−110742(P2013−110742A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−252855(P2012−252855)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【出願人】(505157485)テールズ (231)
【Fターム(参考)】