健康状態監視用の参照電極を備えたリチウム充電式セル
バッテリ管理システムは、電気接続された1つ又はそれ以上のリチウムイオンセルを含む。各セルは、第1および第2作動電極と、1つ又はそれ以上の参照電極とを備える。各参照電極は作動電極から電気絶縁されており、セルから出て、電気的測定用の追加端子を提供する分離タブまたは電流コレクタを有する。バッテリ管理システムは、バッテリ充電状態モニタを備え、前記モニタは、作動電極の電位差および1つ又はそれ以上の作動電極−参照電極の電位に関する情報を受け取るように動作可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、バッテリの充電状態及び/又は健康状態の監視に関する。詳細には、本願は、バッテリ、バッテリ監視システム、バッテリの充電状態及び/又は健康状態を監視することによってバッテリ性能を改善する方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許出願第60/993802号(2007年9月14日出願)および米国特許出願第60/994089号(2007年9月17日出願)の出願日の利益を請求するものであり、これらの内容は参照により全体としてここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
充電状態(SOC: state of charge)監視は、ワイヤレス通信装置やラップトップコンピュータなどの携帯エレクトロニクス製品、電動工具、電気自動車(ハイブリッド式、プラグインハイブリッド式、オール電気式の自動車を含む)、バックアップ電源システム、ソーラーまたは風力コレクタ、燃料セル、従来の火力電源などの発電装置用のエネルギー貯蔵など、多くのバッテリ用途で望ましいか、あるいは必要なものである。バッテリ、またはバッテリパックを形成するバッテリ列は、SOCの制限範囲、またはバッテリから利用可能な全容量を含む広い範囲に渡って使用してもよい。
【0004】
バッテリの充電状態(SOC)および健康状態(SOH: state of health)の正確な知識は、多くの用途、特に、長寿命で高い充電レートまたは高い放電レートの用途、例えば、ハイブリッド式電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド式電気自動車(PHEV)、電気自動車(EV)などにとって重要である。ハイブリッド式電気自動車では、バッテリの充電状態を監視することが特に望ましい。理由は、動作が、典型的にはSOCの全範囲を使用せず、典型的には約50% SOC付近を中心としたSOC範囲、例えば、SOCの約10〜90%または約40〜60%の範囲を使用するためである。もしバッテリ電圧がSOCに対してほとんど変化しない場合、電圧が一定のSOCで時間に依存している場合、または、電圧ヒステリシスが生じてセル電圧が充電/放電履歴に依存している場合は、SOCおよびSOHの監視が困難になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気化学セル内の各電極の電位を、ある正確さで知ることが望ましい多くの状況がある。バッテリ内の何れか1つの電極での電位は、損傷を生じさせたり、性能や寿命を劣化させる電位に接近するような通常動作中の逸脱を受けることがある。例えば、正極において電位が高過ぎると、電解質の劣化または過充電された正の活性材料を生じさせることがある。リチウムイオンバッテリの場合、負極において電位が低過ぎると、リチウム金属メッキを生じさせることがある。
【0006】
電極電位の詳細な知識が実用的なバッテリにおいて必要になる他の具体的な例として、リチウムイオンバッテリが高いレートの充電を受けることを検討する。高過ぎる充電レートまたはセルの劣化は、負極での電位をリチウム金属のものよりも降下させ、負極でリチウムメッキを引き起こすことがあり、これは寿命を劣化させ、安全性の懸念を生じさせる。しかしながら、負極での電位を正確に把握していれば、著しいリチウムメッキが生ずる前にセルの充電を停止させるように、バッテリ管理システムを設計できるであろう。
【0007】
SOCを正確に監視する他の理由は、バッテリの寿命または安全性を改善することである。高過ぎる充電電圧では、幾つかのバッテリ化学反応が危険になり、極めて高いまたは極めて低いSOCでは多くの化学反応がより急速に劣化する。従って、正確なSOC推測は、安全性または寿命についてシステムを最適化するために有用である。
【0008】
従って、各電極での電位を正確に知ることは重大になるであろう。しかしながら、セル電圧は、測定が容易であるが、絶対電位というより電位差を与え、正極と負極の間で大きさが異なることがあるいろいろな分極関与を含み、これにより電極電位の測定を困難なものにする。HEVなどの新しい性能要求は、より良好なSOC/SOH監視の必要性を生じさせている。リチウム金属などの既存の参照電極は、不充分な安定性および寿命(例えば、基準電位のドリフト)または不適切な基準電位に起因して、上記の要求条件下で使用されるリチウムイオンバッテリシステムにとって適切でないかもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(概要)
バッテリ寿命に関して改善した充電状態(SOC)および健康状態(SOH)の監視を提供するために、材料、セル設計、バッテリ内に組み込まれた参照電極の使用方法が提供される。参照電極端子用にセル缶(cell can)またはキャップ蓋に追加ポートの必要性なしで参照電極を有する、簡素化したセル設計が提供される。
【0010】
参照電極は、一般に、電気化学研究用に用いられているが、高レート充電時のLi堆積を低減または防止したり、寿命セル監視のために、負極電位を監視することを目的としては設計されていない。1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を組み込んだバッテリおよびバッテリシステムは、パワー、充電/放電レート、サイクル寿命、カレンダー寿命の点でHEV、PHEVおよびEVシステムが有する動作条件に適合させる際に、有用な情報を提供する。
【0011】
一態様において、少なくとも1つのセパレータで分離された第1および第2作動電極を備え、第1作動電極は第1端子と電気接続され、第2作動電極は第2端子と電気接続されており、さらに、1つ又はそれ以上の参照電極と、作動電極および1つ又はそれ以上の参照電極を収容する缶とを備え、缶は、第1端子および第2端子から電気絶縁され、1つ又はそれ以上の参照電極と電気接続されて1つ又はそれ以上の参照電極用の端子を提供するようにしたバッテリが開示されている。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施形態において、バッテリはリチウムイオンバッテリであり、作動電極は、リチウム取り込みおよび放出が可能な電気活性材料を含む。1つ又はそれ以上の実施形態において、バッテリは、巻き構造の円柱セルを備える。1つ又はそれ以上の実施形態において、バッテリは、巻き構造または積層構造の角柱セルを備える。
【0013】
リチウムイオンバッテリの1つ又はそれ以上の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、Li/Li+に関して約1V〜約4Vのほぼ一定電圧を供給する多相存在(multiphase existence)が可能な電気活性材料で構成される。リチウムイオンバッテリの他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、バッテリの充電および充電状態の監視のためのバッテリ管理システムとの相互接続が可能である。リチウムイオンバッテリのさらに他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極のクーロン容量の約0.001%足らずから、約20%と同程度までのクーロン容量を有する。さらに他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、置換元素ありまたは置換元素無しの、チタン酸リチウム、リン酸遷移金属リチウム、リチウムマンガンスピネル、および、リチウムと金属、例えば、スズ、アルミニウム、アンチモンなどとの合金、からなるグループから選択される。更なる実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、チタン酸リチウムを含む。幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、リン酸鉄リチウムを含む。他の実施形態において、バッテリは、バッテリパックを含む複数のバッテリのうちの1つである。追加の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、充電中のリチウムメッキに最も敏感である、バッテリ内のある場所に位置決めされる。さらに他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極の間に配置される。他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、負極の端部にほぼ近接しており、多孔性の電気絶縁層によって負極との接触が防止されている。幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極のための活性材料は、缶の壁の少なくとも一部にコートされている。
【0014】
幾つかの実施形態において、缶は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタンを含むグループからの金属で構成でき、缶は、参照電極および参照電極端子の両方を提供する。幾つかの実施形態において、缶の露出した金属表面は、無孔性の電気絶縁コーティングでコートされる。追加の実施形態において、第1および第2端子は、上側および下側カバープレートにそれぞれ配置される。
【0015】
幾つかの実施形態において、第1および第2端子は、ガスケットを介して缶から電気絶縁されている。他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、電気化学的に不活性な多孔性の電気絶縁材料に包まれている。これらの実施形態の幾つかにおいて、多孔性の電気絶縁材料は、バッテリ電解質によって濡れている。
【0016】
リチウムイオンバッテリの幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、繰り返し電圧測定の間に、電圧測定時に流れる電流を補償することによって、二相化学量論(two-phase stoichiometry)の範囲内に維持されている。
【0017】
他の態様は、電力を供給する方法であって、該方法は、上述したリチウムイオンバッテリを設置することを含む。幾つかの実施形態において、該方法は、1つ又はそれ以上の参照電極をバッテリ管理システムと相互接続すること、バッテリを充電すること、バッテリの充電状態を監視することをさらに含む。
【0018】
リチウムイオンバッテリの幾つかの実施形態において、補償は、参照電極−負極と正極−参照電極との間の測定を交替させることによって生ずる。他の実施形態において、補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と1つ又はそれ以上の作動電極との間の電圧リード(lead)の接続を周期的にスイッチングすることによって生ずる。さらに他の実施形態において、補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と正極または負極との間に、電圧測定時に流れる電流の量によって決定される電流の方向および量で、電流を周期的に流すことによって生ずる。
【0019】
他の実施形態において、電力を供給する方法は、繰り返し電圧測定の間に、1つ又はそれ以上の参照電極を二相化学量論の範囲内に維持することをさらに含み、この維持は、電圧測定時に流れる電流を補償することによって生ずる。該方法の幾つかの実施形態において、補償は、参照電極−負極と正極−参照電極との間で測定を切り換えることによって生ずる。該方法の他の実施形態において、補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と1つ又はそれ以上の作動電極との間の電圧リード(lead)の接続を周期的にスイッチングすることによって生ずる。該方法のさらに他の実施形態において、補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と正極または負極との間に、電圧測定時に流れる電流の量によって決定される電流の方向および量で、電流を周期的に流すことによって生ずる。
【0020】
リチウムイオンバッテリの幾つかの実施形態において、正極及び/又は負極は、1mVより大きい固有のヒステリシスを有する材料で構成される。
【0021】
他の態様は、リチウムイオンバッテリシステムを開示しており、該システムは、(a)電気接続された1つ又はそれ以上のリチウムイオンセルと、(b)バッテリ管理システムとを備えたリチウムイオンバッテリシステムであって、
各セルは、セパレータ膜で分離された第1および第2作動電極を備え、作動電極は、リチウム取り込みおよび放出が可能であり、第1作動電極は、第1電流コレクタ上の第1電気活性層を含み、第2作動電極は、第2電流コレクタ上の第2電気活性層を含み、
各セルは、1つ又はそれ以上の参照電極を備え、各参照電極は、作動電極から電気絶縁されており、セルから出て、電気的測定用の追加端子を提供する分離タブまたは電流コレクタを有しており、
バッテリ管理システムは、バッテリ充電状態モニタを備え、前記モニタは、作動電極の電位差および、1つ又はそれ以上の作動電極と1つ又はそれ以上の参照電極の間の電位に関する情報を受け取るように動作可能である。
【0022】
該システムの幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、Li/Li+に関して約1V〜約4Vのほぼ一定電圧を供給する多相存在が可能な電気活性材料で構成される。該システムの他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、チタン酸リチウム、リン酸遷移金属リチウム、リチウムマンガンスピネル、および、リチウムと金属、例えば、スズ、アルミニウム、アンチモンなどとの合金、からなるグループから選択される。さらに他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、充電中のリチウムメッキに最も敏感であるセル位置に位置決めされる。追加の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極の間に配置される。他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、負極の端部に直接近接しており、多孔性の電気絶縁層によって負極との接触が防止されている。さらに他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、多孔性のポリオレフィンセパレータによって封入されている。
【0023】
該システムの他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、セラミック粒子とバインダとの混合物からなる多孔性の絶縁コーティングによってコートされている。前記セラミック粒子は、SiO2,Al2O3,MgO,TiO2または他の電気絶縁セラミック材料からなり、前記バインダは、ポリ(二フッ化ビニリデン),ポリ(テトラフルオロエチレン),ポリ(エチレン),ポリ(エチレンオキシド),ポリ(メチルメタクリレート),ラテックスゴム,カルボキシメチルセルロース,または他のポリマーからなる。幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極に接続された全ての金属は、活性参照電極材料で直接覆われた金属を除いて、無孔性の電気絶縁コーティングを用いて絶縁されている。他の実施形態において、多孔性絶縁層は、5〜100マイクロメータの厚さを有する。
【0024】
該システムの1つ又はそれ以上の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、1つ又はそれ以上の参照電極周りの絶縁層の表面が正極および負極を分離するセパレータと接触するように、作動電極と近接して配置される。追加の実施形態において、バッテリは、円柱状、角柱状または袋状(pouch)のバッテリである。他の実施形態は、温度及び/又は電流を監視するためのセンサを含む。幾つかの実施形態において、充電状態モニタは、過充電、過放電、過剰な充電電流、過剰な放電電流を含むグループから選択される1つ又はそれ以上のパラメータが監視可能である。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態は、バランス化(balancing)モジュールも含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、1つ又はそれ以上のリチウムイオンセルは、セル対を備え、バランス化モジュールは、隣接するセル対の相対電圧レベルを評価することができ、隣接セル対の間で電荷を再配分して、対のセル電圧の差を緩和する。
【0026】
該システムの幾つかの実施形態は、コントローラも含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、コントローラは、1つ又はそれ以上のセルの充電レートを増加及び/又は低下できる。
【0027】
該システムの1つ又はそれ以上の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極により、個々のセルの充電状態をバッテリ管理システムへほぼ瞬時にフィードバックすることが可能になる。これらの幾つかにおいて、バッテリ管理システムは、少なくとも1つのセルの充電プロトコルをほぼリアルタイムで調整可能である。
【0028】
該システムの幾つかの実施形態において、システムは充電状態を推測できる。これらの実施形態の幾つかにおいて、システムは、推測した充電状態を目標の充電状態と比較することができ、バッテリ管理システムは、少なくとも1つのセルの充電レートを上向きまたは下向きに調整できる。
【0029】
他の態様は、リチウムイオンバッテリ内のリチウムメッキを回避する方法であり、該方法は、リチウムイオンバッテリの充電中に、参照電極に対する負極の電位を測定すること、測定した電位とリチウム金属のメッキに関連した臨界電位とを比較すること、リチウムイオンバッテリの充電条件を調整して、負極でのリチウムメッキを防止またはリスクを低減することとを含む。この方法の幾つかの実施形態は、充電の終了により充電を調整すること、あるいは充電レートを変更することを含む。
【0030】
他の態様は、充電の際、いずれか特定のSOCで印加される充電電流を最大化することによって、リチウムイオンバッテリの充電時間を最小化する方法であって、該方法は、バッテリの充電中に、参照電極に対する負極の電位を測定すること(前記充電は、ある充電レートを有する)、バッテリの充電状態を決定すること、測定した充電状態と充電状態プロファイルとを比較すること、充電レートを上向きまたは下向きに調整して、実際の充電レートを、最適安全動作および最適充電レートの1つ又はそれ以上を提供する所定の範囲内に維持して、充電時間を最小化することを含む。
【0031】
他の態様は、缶とセルの何れかの端子との間の電気接続が存在するか否かを決定する方法であって、該方法は、缶の内側に、何れかの端子とは異なる酸化還元(redox)電位を有する材料を塗布すること(電位差は0.2Vより大きい)、少なくとも1つの端子と缶との間の電圧を測定することを含む。
【0032】
他の態様は、電力を供給する方法であって、該方法は、先に開示したリチウムイオンバッテリシステムからなるグループから選択されたリチウムイオンバッテリシステムを実装することを含む。これらの方法の幾つかにおいて、リチウムイオンバッテリは、過充電、過放電、過剰な充電電流、過剰な放電電流を含むグループから選択される1つ又はそれ以上のパラメータを監視する。1つ又はそれ以上の実施形態において、該方法は、隣接するセル対の相対電圧レベルを推測すること、隣接セル対の間で電荷を再配分して、対のセル電圧での差を緩和することを含む。他の実施形態において、該方法は、1つ又はそれ以上のセルの充電レートを増加及び/又は低下させることを含む。さらに他の実施形態において、該方法は、少なくとも1つのセルの充電プロトコルをほぼリアルタイムで調整することを含む。さらに他の実施形態において、該方法は、充電状態を推測することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明およびその利点の大部分のより完全な認識が、本発明の説明を参照して、下記図面と関連して考慮した場合に理解されよう。図面は、説明目的だけで提示したものであって、限定することは意図していない。当業者の届く範囲内にある他の実施形態および変形例は、本発明に含まれることを意図している。
【0034】
【図1】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を含む例示の電気化学セルである。
【図2】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、例示のバッテリパックである。
【図3】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、バッテリまたはバッテリパックを監視する方法を示すフロー図である。
【図4】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、バッテリまたはバッテリパックを監視する方法を示すフロー図である。
【図5】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を含む例示の電気化学セルである。
【図6】充電および放電の際、参照電極を含む例示の電気化学セルの電圧プロファイルを示す。グラフは、参照電極に対して測定した負極の電位、およびセル電圧(正極−負極)を示す。リチウムメッキを防止するために、参照電極は、充電を終了させる時期を決定するために用いられる。
【図7】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、典型的なスパイラル電極の二次電池の斜視図である。
【図8】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を含む円柱セルの斜視図である。
【図9】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、セルエンドキャップを通る参照電極を設けた円柱セルの斜視図である。
【図10】円柱セルからの充電時の電圧プロファイルを示す。端子はアルミニウム缶から電気絶縁されており、缶は疑似参照電極として使用する。
【図11】HPPCテストの際、LTO参照電極を含むセルからの電圧プロファイルを示す。電流の変化時に、セル電圧の電圧降下を負極−参照電極間電圧と比較することによって、全体セルのインピーダンスは、負極と対比して比較できる。
【図12】リチウム参照電極を含むセルの電圧プロファイルを示すものであり、完全充電からスタートして、5% SOCの増分で0% SOCまで放電し、そして、5% SOCの増分で100% SOCまで充電し、各電流イベント間は2時間休みを設けている。
【図13A】負極端子および参照電極端子を絶縁するためのガスケットを含む、負(アノード)エンドキャップアセンブリで用いられるコンポーネントの分解斜視図である。
【図13B】負極端子および参照電極端子を絶縁するためのガスケットを含む、負(アノード)エンドキャップアセンブリで用いられるコンポーネントの分解斜視図である。
【図13C】負極端子および参照電極端子を絶縁するためのガスケットを含む、負(アノード)エンドキャップアセンブリで用いられるコンポーネントの分解斜視図である。
【図14A】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を含む円柱セルの斜視図である。
【図14B】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を含む円柱セルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
三電極セルは、電気化学セルの状態を監視して、セル特性に関する情報を取得する手段を提供する。この情報は、バッテリの充電状態および他の重要なセル特性を決定するために用いられる。こうした情報は、例えば、PHEVにおいて見られるように、厳しい動作パラメータを持つ多重セルを含む複雑なバッテリシステムを監視し最適化するためにますます必要になる。
【0036】
三電極セルは、セル性能を監視し最適化するのに有用であるが、こうしたシステムは、ある挑戦をもたらすことになる。例えば、追加電極の使用は、セル設計の複雑さを増加させる。特に、第3の電極およびその端子を収容するために、セル構造の再設計を必要とし、典型的にはセル容器内に追加ポートが必要になる。例えば、EP1577914を参照。追加ポートは、セル設計を不必要に複雑にする。また、ポートは破裂および漏洩の追加箇所であるため、追加の安全リスクをもたらす。
【0037】
一態様において、三電極バッテリおよびバッテリシステムには、改善した性能、および第3電極を収容するためにセル缶設計の追加変更を要しない簡素化した設計が提供される。
【0038】
動作方法、監視方法およびセル性能の最適化方法も提供される。
【0039】
(電気化学セルおよびバッテリ)
1つ又はそれ以上の参照電極を含む電気化学セルについて図1を参照して説明する。電気化学セルは、巻き構造の円柱セルや巻き構造または積層構造の角柱セルなどの任意の幾何形状のものにできる。電気化学セルは、容積が1cm3未満から1リットル超までの範囲で小型または大型のものでもよく、0.1Ah未満から100Ah超までの範囲の電荷容量を有してもよい。
【0040】
1つ又はそれ以上の電気化学セルは、1つ又はそれ以上のバッテリに形成できる。バッテリは、任意の幾何形状のものにできる。例えば、バッテリは、角柱バッテリや円柱バッテリなどにできる。例えば、リチウムイオンバッテリは、典型的にはバッテリパックに包含され、直列及び/又は並列に電気接続された複数の電気化学セルを含む。リチウムイオンバッテリパックは、バッテリパックの意図する用途に依存して、全ての形状、サイズ、エネルギー容量および出力定格がある。バッテリパックは、典型的には、多数のリチウムイオンセルおよびバッテリ管理システムを含むことになる。
【0041】
電気化学セルおよびこのバッテリ/バッテリパックの種々のタイプ全てが、本発明の範囲内である。しかしながら、簡素化のため、ここでは簡単な袋状の電気化学セルを参照して説明する。
【0042】
図1に示すように、電気化学セルは、セパレータ126によって電気絶縁された負極122および正極124を含む。負極および正極(122,124)は、外部回路との電気コンタクトのための端子として機能する分離タブ(130,132)を有する。セルは、作動電極(122,124)から電気絶縁された参照電極134と、セルから出て、電気的測定および参照電極の制御のための追加端子を提供する分離タブ136とを含む。ここでより詳しく説明する一定の実施形態において、参照電極用の端子は、セルを収容する導電缶であり、これによりバッテリに追加ポートを持つ必要性を回避している。ある実施形態では、参照電極は、電気化学的に不活性で、電解質によって濡れている多孔性の電気絶縁材料(不図示)、例えば、マイクロ多孔性ポリエチレン、あるいは、バインダを有する絶縁セラミック粒子の混合物、例えば、PVDFや他のポリマーバインダを有するTiO2またはAI2O3、あるいは、バッテリセパレータに広く使用される他の材料に包まれている。
【0043】
(正極)
作動電極は、従来の何れの正極および負極でもよい。例として、リチウムイオンバッテリの正極に適切な材料は、LiCoO2,LiNiO2,LiMnO2,LiMn2O4,LiFePO4,V2O5、あるいは、当業者に広く知られた他のカソード、例えば、バインダおよび必要に応じて導電添加剤、例えばカーボンと混合したLixMO2(Mは、Ni,Co,Mn,Al,Mg,Crまたは他の金属を含む)などである。
【0044】
金属リン酸リチウム化合物(例えば、リチウム−遷移金属−リン酸化合物)も電気活性材料として使用でき、これに限定されないが、ポリアニオン化合物、例えば、オリビン(olivine)化合物、NASICON化合物などである。金属リン酸リチウム化合物は、必要に応じて金属、半金属(metalloid)またはハロゲンでドープしてもよい。
【0045】
具体的な例は、ドープしたナノリン酸塩材料、あるいは、オリビン構造化合物LiMPO4(Mは、V,Cr,Mn,Fe,CoおよびNiのうちの1つ又はそれ以上)を含み、化合物は、必要に応じてLi,MまたはOのサイトにドープされる。Liサイトの欠陥は、金属または半金属の添加によって補償できる。Oサイトの欠陥は、ハロゲンの添加によって補償できる。
【0046】
適切な正極材料に関する更なる情報は、米国特許第7338734号(発明の名称"CONDUCTIVE LITHIUM STORAGE ELECTRODE"、米国特許公開第2007/0031732号(発明の名称"NANOSCALE ION STORAGE MATERIALS")で見つけられ、これらは参照により全体として組み込まれる。
【0047】
例えば、Pb−酸またはニッケル−カドミウムバッテリなどの水成電解質を備えたバッテリ用の適切な正極材料は、二酸化鉛、オキシ水酸化ニッケル、二酸化マンガンを含む。
【0048】
(負極)
リチウムイオンバッテリの負極に適切な材料は、カーボン、例えば、黒鉛状または非晶質または部分的に無秩序なカーボン、Liと、Sn,Si,Sb,Al,ZnおよぴAgのうちの1つ又はそれ以上を含む金属合金との間で形成される合金または化合物、あるいは当業者に知られた他のアノード材料を含む。
【0049】
例えば、Pb−酸またはニッケル−カドミウムバッテリなどの水成電解質を備えたバッテリ用の適切な負極材料は、鉛、水酸化カドミウム、金属−水素化物合金、亜鉛およびカーボンを含む。
【0050】
(参照電極)
参照電極用の材料選択は、種々の二次バッテリ、例えば、鉛−酸またはPb−Aバッテリ、アルカリマンガンバッテリ、ニッケル−カドミウムまたは「NiCad」バッテリ、ニッケル−金属水素化物または「NiMH」バッテリ、およびリチウムイオンまたは「Li−ion」バッテリなどにおいて変化するであろう。
【0051】
ある実施形態において、参照電極は、作動電極、例えば、電気化学セルのクーロン容量を供給するアノードおよびカソードと比べて、小さいクーロン容量を有することができる。クーロン容量は、電極間で交換可能なクーロン量(電流×時間)である。1つ又はそれ以上の実施形態において、参照電極は、作動電極のクーロン容量の約0.001%足らずから、約20%と同程度までのクーロン容量を有する。幾つかの実施形態において、参照電極は、全体容積の小さな区画(section)を占めることができ、セルの容積エネルギー密度が実質的に減少するのを回避している。
【0052】
参照電極材料は、多くの選択肢の1つでもよい。ある実施形態において、参照電極は、セル環境において長期間安定した参照電位を提供する材料を含むことができる。参照電極は、セルの電気化学環境において熱力学的に安定したものにできる。
【0053】
例えば、カーボネイト、エステル、エーテル、ラクトンまたは類似の溶媒を含むリチウムイオンバッテリでは、安定した参照電位が、電解質還元に起因した表面反応(例えば、周知の「固体−電解質界面(SEI: solid-electrolyte interface)」)が発生しない充分に高い絶対電位になる。これは、リチウム金属(Li/Li+)に対して約0.8Vより大きい電位、より好ましくは約1.0Vより大きい電位を持つ参照電極を有することによって達成できる。さらに、電位は、約4V vs.Liより低くすると、電解質成分との酸化反応を回避できる。水成電解質を含むバッテリでは、参照電極は、約0V vs.H2/H+より大きく、約1.2V vs.H2/H+より小さい電位に、即ち、水の安定性ウインドウ(これはpHの関数)の範囲内に選択できる。
【0054】
他の例では、参照電極が、使用の際に部分的にリチウム化(lithiated)または脱リチウム化(delithiated)されていても、参照電極は、電位が比較的一定である材料を含むことができる。例えば、化学電位がリチウム化(lithiation)の程度に対して一定である参照電極。リチウム化の程度に対してほぼ一定の化学電位を有する材料は、リチウム活性相と共存するもの、例えば、リチウムの挿入または除去の際に二相反応を受ける化合物など、より多くを有する材料を含むことができる。こうした化合物は、ギブスの位相則によって決定されるように、一定の熱力学的に決定される電位を有する。こうした材料は、いろいろな電位で利用可能であり、所望の参照電極を作製できる。
【0055】
Liイオンバッテリ用の例示(非限定)の参照電極材料は、チタン酸リチウム(LTO)、リン酸遷移金属リチウム、リチウムマンガンスピネル(組成LiMn2O4とLiMnO2の間での〜3Vの電圧平坦域(plateau)において)、および、リチウムと金属、例えば、スズ、アルミニウム、アンチモンなどとの合金を含む。他の実施形態において、リチウム金属を用いてもよい。LixRuO2、LixTiO2を含むルチル型構造化合物、純粋またはドープした組成の化合物LixMPO4,LixMP2O7,LixMPO4F,LixM2(SO4)3およびLixM2(PO4)3(Mは、Ti,V,Cr,Fe,Mn,NiまたはCoのうちの1つ又はそれ以上)を含むアルカリ遷移金属ポリアニオン化合物、ここで他のアルカリ金属は、Liと部分的に置換してもよく、全てが、参照電極に適切な電気活性材料である。参照電極活性材料は、バッテリの作動電極のいずれかに使用するものと同じであっても、あるいは異なるものでもよい。リチウム充電可能バッテリでは、リチウム金属は、使用可能な参照電極材料の1つである。
【0056】
1つ又はそれ以上の実施形態において、安定した一定の電位を供給する多相リチウム活性材料は、参照電極として使用できる。チタン酸リチウム(LTO)は、例示の参照電極材料であり、これに限定されないが、組成Li4+xTi5O12で、スピネル構造を有する化合物などを含む。リチウム挿入の際、この組成は二相反応を受けて、室温、一定の1.55V vs.Li/Li+の電位を供給でき、これはSEI形成を回避するために充分に高い。この化合物は、酸化状態で準備できる。代替として、Li含有量を増加させ、還元性雰囲気、またはLi,TiおよびOの相対量が制約された閉じた系の焼成において焼成することによって二相材料を準備してもよい。酸化した形態を用いた場合、参照電極をリチウムイオンセルに組み込むと、LTOは、一定電位の二相材料ではなくなるであろう。しかしながら、ある実施形態において、参照電極は、リチウムの挿入によって電気化学的にリチウム化でき、参照電極として使用する前に一定電位の二相状態を形成する。
【0057】
他の例示の参照電極材料は、リン酸塩材料、例えば、ドープしたナノリン酸塩材料、あるいは、オリビン構造LiMPO4(Mは、Fe,Mn,CoおよびNiのうちの1つ又はそれ以上を含む)を含んでもよい。上記のリン酸塩は、リチウム化でき、一定電位の二相状態を形成する。こうした実施形態において、参照電極は、参照電極の大きなサイクルを回避するように動作可能であり、参照電極の化学量論をその二相領域内に維持し、幾つかの相変化材料で固有のヒステリシスに起因した参照電極の電位変化の誘発を回避できる。出発原料として二相リン酸塩が準備でき、あるいは、出発参照電極を電気化学的にリチウム化または脱リチウム化して、二相材料を形成できる。非限定の例として、約3.45V vs.Li/Li+の電位を持つ二相LiFePO4−FePO4混合物が、全体組成Li1−xFePO4(xは、約0.05より大きい)で出発し、熱処理して2つの共存する相を作成することによって準備できる。代替として、参照電極は、集合後、その場(in-situ)で脱リチウム化して二相混合物を作成するようにしたLiFePO4とすることができる。さらに他の例では、参照電極は、集合後、その場(in-situ)でリチウム化して、組成LiyFePO4(yは約0.05より大きい)にするようにしたFePO4とすることができる。
【0058】
電圧測定では、拡張した電圧測定に渡って幾つかの少量の電流の通過を必要とするため、参照電極の化学量論は、参照電極の容量全てが消費されるポイントまで変化することがあり、その後、参照電極の電位が変化することになる。
【0059】
長期間動作のためのシステム設計では、参照電極の消耗を回避するように、電圧測定を運用する。参照電極の化学量論が実質的に変化するのを回避する運用モードの例は、電圧を測定する際の時間を減少させること、電圧測定中に流れる電流の方向を交替させること(即ち、リードの極性を切り換える)、及び/又は、参照電極と作動電極の一方との間に補償電流を周期的に流すことを含む。
【0060】
参照電極用の活性材料は、金属電流コレクタの上に直接堆積できる。あるいは、活性材料の粒子をバインダと混合可能であり、カーボンなどの導電性添加剤を混合物に添加してもよく、金属箔の上にコートしてもよい。金属箔は、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタンまたは、参照電極の動作電位ウインドウの下で合金化したり腐食したりしない他の金属でもよい。
【0061】
参照電極の機能は、セル内の特定の場所において安定した電位測定を提供することであるため、その電位に影響を及ぼす要因を最小化することが重要である。例えば、活性参照材料を参照端子と接続する金属リードは、活性参照材料の周辺領域を除いた全ての領域において、電解質とのイオンコンタクトから絶縁すべきである。さらに、参照電極は、電位に関心のある場所に可能な限り接近して配置すべきであり、関心のある場所と参照電極との間には連続したイオン経路が存在するべきである。例えば、目標がリチウムメッキを検出することであれば、参照電極は、負極タブ、詳細には、負極タブに隣接した、セパレータ−負極活性材料界面に可能な限り接近して配置すべきである。
【0062】
1つ又はそれ以上の実施形態において、参照電極は、それ自体の端子を有し、電圧計と接続される。1つ又はそれ以上の実施形態において、参照電極活性材料を参照電極と接続する参照電極リードは、セル壁または、セル缶の上側キャップまたは下側キャップの一方を通るフィードスルー(貫通接続(feedthrough))またはポートを通過する。セルを通るフィードスルーは、密閉する必要がある。こうしたシールは、ガスケット、ガラス−金属シール、ラミネーションまたは他の公知技術によって、密閉にできる。
【0063】
1つ又はそれ以上の実施形態において、参照電極は、セル壁または上側キャップまたは下側キャップの1つと一体化しており、追加ポートまたはフィードスルーを必要としない。1つ又はそれ以上の参照電極端子を備えたバッテリでは、セル壁またはエンドキャップへの参照電極端子の一体化は、フィードスルーまたはポートを経由した参照端子を収容するバッテリに対して幾つかの著しい利点を提供する。参照端子用のフィードスルーのセル設計は、複雑になり、費用がかかり、耐久性が低くなることがある。参照端子用のフィードスルーに必要な密閉シールは、電位漏れ経路をシステムに追加する。こうした密閉シールの不良は、電解質を漏らすバッテリとなって、バッテリ全体の故障を引き起こすであろう。こうした参照端子フィードスルーに必要な構造は、バッテリ内で追加のスペースを必要とする。さらに、こうした参照端子フィードスルーは、余分の重量をバッテリに追加する。
【0064】
セル壁またはエンドキャップへの参照電極端子の一体化は、追加のフィードスルーを不要にする。その結果、新しい電位漏れ経路が生成されず、追加のフィードスルーを収容するのに要するスペースが節約され、追加のフィードスルーの重量も節減される。セル壁またはエンドキャップに一体化した参照電極端子を備えたバッテリの1つの結果は、バッテリがより軽量に、より小型になり、そして、追加の電位漏れ経路が無いため、より耐久性のあるものになる。
【0065】
セル壁またはエンドキャップに一体化した参照電極端子を有する実施形態の他の利点は、電圧を測定するのに必要な構造の追加のフレキシビリティーである。これらの実施形態の参照端子は缶に電気接続されており、缶およびエンドキャップは導電性であるため、実際、缶またはエンドキャップでの何れのポイントも参照電極の電位を測定するために使用可能である。この特徴は、セル設計において著しいフレキシビリティーを提供する。実際、缶またはエンドキャップの表面のどこででも参照電極での電位が測定可能であるからである。
【0066】
ある実施形態は、缶と一体化した1つ又はそれ以上の参照電極を有する。参照電極が缶と電気接続されている実施形態において、缶全体が有効に参照端子になることができる。缶が有効に参照端子となる場合、缶はエンドキャップから電気絶縁して、電極を異なる電位に維持する必要がある。ガスケットは、セルエンドキャップと缶830との間の電気絶縁を提供する。適切なガスケットに関する更なる情報は、係属中の米国特許出願番号第11/515597号(発明の名称"BATTERY CELL DESIGN AND METHOD OF ITS CONSTRUCTION")で見つけられ、これは参照により全体として組み込まれる。
【0067】
図13は、正端子及び/又は負端子を缶から電気絶縁するために、本発明の1つ又はそれ以上の実施形態に従って使用可能なガスケットを含むエンドキャップの図である。図13A〜図13Cは、中心に位置する充填孔(40)を含む負側エンドキャップ(5)を示す。いったん組み立てられ、電力端子を構成する中空の孔リベット(45)によって少なくとも部分的に形状が定まると、充填孔はセルを活性化するために使用される。
【0068】
充填孔および電力端子の両方として、負側エンドキャップの中心位置の共用は、スペースの効率的な使用を提供し、バッテリ動作を妨害しない。充填孔(40)は、エンドキャップ面の中心に配置される。中心に配置された充填孔は、孔内に嵌め合いで配置され、セルの内部と連結するフィードスルー注入口(inlet)を提供する。電解質は、活性化の際、このフィードスルー注入口を通じて導入される。
【0069】
負側エンドキャップは、図13Aの分解図に示すように、構成部品を組み立てることによって構築される。上側ガスケット(44)は、エンドキャップ本体(43)の中に置かれ、これはガスケットを受け入れるための凹みを有してもよい。電力端子(45)として機能する中空の孔リベットは、上側ガスケット(44)の中に組み込まれる。リベット(45)のステム(45a)は、上側ガスケット(44)およびエンドキャップ本体(43)の両方の中心開口を通って延びている。このアセンブリを裏返して、シールガスケット(47)をガスケット(44)の上に挿入し、本体(43)の上に置く。図4Aに示すように、下側ガスケット(42)、シールガスケット(47)およびリベット裏当て円板(46)が組み立てられ、位置決めされる。延長タブ(41)がリベット(45)のステムに挿入される。圧着前の組み立て状態の構成部品を図13Bに示す。
【0070】
リベット(45)は、良好な耐食性および良好な溶接性のためにNiメッキ鋼でもよく、セル用の電力端子として機能する。リベット(45)の平坦ヘッドは、エンドキャップの外側面のある位置に延びており、中空ステム(45a)はセルの内側に延びている。それは、封止に役立つように加工した出っ張り(ledge)を備えた、その中心を通る充填孔と、対称的な形状と、バッテリ端子と充填孔との間のスペースと対称性を共有する中心配置のリベットステムとを含む。延長タブ(41)は、電力端子(45)をセルの内部活性アノード材料と接続する。下側ガスケット(42)は、延長タブ(41)を、異なる電位にあるエンドキャップ本体(43)との接触から保護する。本体(43)は、これに限定されないが、圧着および溶接の上記方法などの多くの方法によって、バッテリチューブ(不図示)またはセルのメイン本体に対して密閉封止される。上側ガスケット(44)は、電力端子(45)を、異なる電位にあるエンドキャップ本体(43)から絶縁している。リベット裏当て円板(46)は、強い押圧リベット取り付け力を本体(43)に作用させるのに役立つ。シールガスケット(47)は、押圧リベットの下で頑丈な封止を達成するのに役立つ。
【0071】
アセンブリ全体は、図13Cに示すように、リベット(45)のステムを押圧して変形させることによって一緒に圧着してもよく、部品の全てを一緒に締め付けて押圧リベット(48)を形成し、延長タブ(41)と電力端子(45)との間の良好な電気コンタクトを生成する。
【0072】
同じテクニックがセルの正端子を作成するために応用できる。しかしながら、セルの正端子では、リベット(45)、延長タブ(41)およびリベット裏当て円板(46)は、好ましくは、アルミニウム、アルミニウム合金または、正側セル電位で耐食性のある材料で構成される。こうした材料は、ステンレス鋼、モリブデン、ハステロイ(hastelloy)、または他の知られた耐食性合金を含んでもよい。
【0073】
当業者に容易に明らかなように、他の方法およびガスケットを採用してもよい。
【0074】
参照端子を缶と一体化する幾つかの実施形態において、缶から作動電極を電気絶縁するためのガスケット付きエンドキャップの追加は、一体化した参照端子に起因する節約を骨抜きにしない。ガスケット付きエンドキャップの重量、スペース要求、漏れ電位は、全て参照電極端子を収容する追加フィードスルーのものより小さく、これらの実施形態において一体化した参照端子の利益を保持できる。
【0075】
参照電極をバッテリに追加する場合の他の懸念は、参照電極は、作動セルから絶縁する必要がある点である。これは、典型的には、絶縁材料を、参照電極の周りまたは参照電極と作動電極との間に配置し、バッテリ内の構成部品を絶縁することを必要とする。缶壁またはエンドキャップの少なくとも一部にコートされた参照電極用の活性材料を有することによって、参照端子を缶またはエンドキャップと一体化した実施形態において、参照電極の活性材料を絶縁するプロセスは簡略化される。コートされた活性材料は、絶縁によって覆われている必要があるためである。
【0076】
参照端子を缶またはエンドキャップと一体化した実施形態における他の利点は、参照電極とバッテリ電解質との間のコンタクトを維持することである。これは、電解質は、缶およびエンドキャップの内側と流体接触しているためであり、ある実施形態において参照電極と接触することになる。
【0077】
さらに他の実施形態において、缶自体が疑似参照電極として機能してもよく、セル設計をさらに簡略化する。缶がアルミニウム、銅、ステンレス鋼またはチタンなどの金属である場合、缶は、参照電極として機能することが可能である。缶の内壁表面は、作動電極から缶の電気絶縁を提供するように、保護絶縁材料でコート可能である。缶の内壁をコートするのに使用できる例示の保護絶縁材料は、ポリイソブチレン、ポリオレフィン、エポキシなどのポリマー、またはアルミナ、ジルコニアなどのセラミックを含む。適切な接続は、缶の外壁に沿った何れのポイントでも可能であり、参照電極−負極の電位を測定できる回路を生成する。
【0078】
(参照電極の利点)
特定の参照電極の組み込みは、電気化学セルに対してある範囲の監視能力を提供する。参照電極によって得られる情報は、バッテリ監視システムに提供できる。電極電位の正確な測定は、セルの充電状態の正確な決定を可能にする。充電状態は、何れかの作動電極と参照電極との間の電位差に直接に相関があるためである。さらに、インピーダンスがSOCに依存するシステムでは、電極電位の正確な測定は、電極インピーダンスに関する情報も提供する。バッテリ監視システムは、これと他の情報、例えば、セル電圧、電流、温度などを使用して、個々の電気化学セルおよび全体のバッテリシステムの種々の機能を制御できる。従って、バッテリ管理システムは、充電状態を正確に監視し、この情報に基づいてバッテリの健康状態の管理を行うように発展可能である。1つ又はそれ以上の実施形態において、バッテリ管理システムは、負極電位を監視し、高レートの充電時にLi堆積を防止するように設けられる。他の実施形態において、バッテリ監視システムは、何れかの特定のSOCで印加される充電電流を最大化することによって、充電時間を最小化するように設けられる。
【0079】
(1.充電状態の決定)
充電状態(SOC)は、容量の百分率として定義され、バッテリは、バッテリが平衡状態で完全に放電された電圧下限と、バッテリが平衡状態で完全に充電された電圧上限との間を示す。こうして0% SOCは、完全放電状態に対応し、100% SOCは、完全充電状態に対応する。健康状態(SOH)は、電力およびエネルギーを配給するバッテリの現在の能力の指標であり、典型的には、セルインピーダンスおよび容量の変化に関連した情報を含む。
【0080】
2つの端子130,132の間に回路150または電気接続を生成することによって、ある電圧を正極と負極に印加できる。電圧は、正極の電位と負極の電位との間の差である。差は得られるが、単一電極の絶対値は測定できない。一般に、電極の一方または両方がSOCとともに電位の変化を示す場合、セル電圧は、電気化学セルのSOCを決定するのに適している。実際、SOCは、従来からこの方法で決定していいる。しかしながら、セル電圧は、セルの充電状態について貧弱な指標であるという状況がある。例えば、両方の電極が充電状態とともに電位変動を示し、セルは、一方または両方の電極の化学量論を時間とともに変化させる分解反応を受ける場合、セル電圧はもはや、電極の充電状態について信頼性のある指標ではない。一方または両方の作動電極における固有のヒステリシスは、セル電圧と充電状態との間の関係に不確実さをもたらすことがある。最後に、電流の通過によって誘導される分極は、セル電圧を変化させる。参照電極により、どの程度の分極が一方または他方の電極に帰属しているかを識別するのを可能にする。
【0081】
一方または両方の作動電極における固有のヒステリシスは、SOCを監視するために電圧を用いるという問題を生じさせ得る。これは、高いヒステリシスを持つ材料において、所定電圧でのSOCが充電及び/又は放電の履歴の関数となることがあるからである。参照電極の使用により、固有のヒステリシスを持つシステムは、参照電極に対して正極及び/又は負極の電位を別々に監視することによって、SOCをより正確に監視できる。これは、負極−参照電極または正極−参照電極の電位では全体のセル電圧よりもヒステリシスが少ないためであり、これは負極および正極の両方からヒステリシスへの関与を含んでいる。
【0082】
従って、ある実施形態では、正極及び/又は負極の電位は、参照電極を用いて決定または制御できる。ある実施形態では、参照電極においてその化学量論の関数としての電位変動が、負極または正極での電位変動よりはるかに安定しているように、参照電極を選択できる。幾つかの他の実施形態において、一方または両方の作動電極におけるSOCの関数としての電位変動は、参照電極における電位変動よりはるかに安定している。
【0083】
例えば、回路152を参照電極134と負極122の間に作成してもよく、参照電極は、負極よりも、その化学量論の関数としての電位変動がはるかに安定している。参照電極は、その安定性で選択されるため、電位の測定および変化が負極での状態を示すことができ、SOCは、この差を測定することによって決定できる。
【0084】
他の非限定の例として、回路を参照電極134と正極124の間に作成してもよく、参照電極は、正極よりも、SOCの関数としての電位変動がはるかに安定している。参照電極は、その安定性で選択されるため、電位の測定および変化が正極での状態を示すことができ、SOCは、この差を測定することによって決定できる。
【0085】
ある実施形態において、参照電極は、セル内部に、電位が最大で変化する場所、あるいは、望ましくない電位逸脱の結果が最も重大であるような場所に配置できる。例えば、電位、分極および温度が場所によって変化するような大型セルでは、参照電極は、こうした変動が最も極端である場所に配置してもよい。例えば、参照電極は、急速充電時にリチウムメッキが発生することがある、負極の活性エリアのすぐ外側に配置できる。
【0086】
幾つかの他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、電解質内での電気化学電位の空間変動を監視するために、単一セル内部のいろいろな場所に分布することができる。各参照電極は、独立した端子を有することになるであろう。
【0087】
(2.バッテリ管理システム)
上述のように、バッテリパックは、多数の電気化学セルと、バッテリ管理システムとを含むことができる。バッテリ管理システムは、温度、電流および電圧を監視するためのセンサと、安全なレベルの電圧および電流を維持する電圧コンバータおよびレギュレータ回路と、電力および情報をバッテリパックから出し入れする電気コネクタと、バッテリの現在の充電状態を推測するバッテリ充電状態モニタとを含むことができる。バッテリモニタは、バッテリパラメータに関連したデータを蓄積して、これをホストコンピュータへ送信することができる。バッテリモニタは、例えば、バッテリデータを保持するための1つ又はそれ以上のタイプのデジタルメモリおよび特殊なレジスタなど、アナログ回路およびデジタル回路の両方を組み込んだ混合信号集積回路を含むことができる。
【0088】
バッテリ管理システムによって監視可能な幾つかの例示のパラメータは、過充電(過電圧)、過放電(電圧不足)、過剰な充電電流および放電電流(過電流、短絡)、Liイオンバッテリシステムにおける特に重要な情報を含む。ある実施形態において、バッテリモニタは、有害な過充電および電流条件からバッテリを保護することによって、保護回路の幾つかの機能を持つことがてきる。
【0089】
図2は、バッテリシステムによって提供される一般的な機能性と、バッテリパックを監視し、バランスさせる方法を示す例示のブロック図である。バッテリパック102は、直列及び/又は並列で電気接続された、1つ又はそれ以上のエネルギー配給素子104(例えば、リチウムセル)を含むことができる。
【0090】
電圧監視モジュール106は、各エネルギー配給素子104と関連した電圧情報、状態を受け取って、電圧情報を分離し、電圧情報を、出力ポートを介してシステムコントローラ108に提供する。システムコントローラ108は、充電および放電時に各エネルギー配給素子104を評価して、何れか個々のエネルギー配給素子104に損傷状態の可能性があるか否かを決定する。例えば、充電の際、全体パック電圧が安全レベルを下回っている場合でも、個々のセルが安全電圧レベルに到達または超過しているかもしれない。同様に、放電の際、全体パック電圧が、その最小安全閾値を超えている場合でも、個々のセルが最小安全閾値より降下しているかもしれない。このような場合、システムコントローラ108が、個々のセル電圧が望ましくない値にあることを検出すると、システムコントローラ108は、バッテリパック102(または個々のセル)の充電または放電を中止することができる。
【0091】
バランス化モジュール110は、隣接セル対の相対電圧レベルを評価でき、隣接セル間の電荷を再配分して、対のセル電圧での差を緩和することができる。より詳細に後述するように、バランス化モジュール110は、セル対の他方が除去されたり切断した場合、一方のセルの過剰なセル放電を防止するための機能性を含むことができる。
【0092】
温度監視モジュール112は、バッテリパック102の温度に対応した情報を受け取る。温度情報は、バッテリパック内に配置された熱電対によって出力される電気信号の形態とすることができるが、温度情報は公知の他の形態をとってもよい。温度監視モジュール112は、温度情報をシステムコントローラ108へ提供する。温度監視モジュールは、他のバッテリパック(不図示)からの温度情報を受け取ってもよく、複数のバッテリパックからの温度情報をシステムコントローラ108へ提供する。本説明は、例示の目的だけであり、本発明を限定することは意図していない。
【0093】
(3.バッテリ充電監視)
図3は、充電の際にバッテリ(単一セルまたはバッテリパック)を監視するときの参照電極の使用を示す。バッテリを充電する際、正極は脱リチウム化され、負アノードはリチウム化され、所望の充電状態をセルに提供する。上述のように、所望の充電状態は、完全充電状態(100%)であったり、ある中間値(HEVの場合、40〜60%)であったり、バッテリ用途に依存する。
【0094】
特定の実施形態において、セルは、参照電極と、一対の作動電極とを含むことができ、ステップ310に示すように、負極と参照電極の電位差を測定するように構成できる。
【0095】
この情報は、コントローラに提供されて、情報は所定の電圧と比較できる。例えば、ステップ320に示すように、電圧センサは、負極と参照電極との間の電位差をコントローラに提供でき、この値は、アノードでリチウムメッキが発生する臨界閾値電圧と比較できる。ある実施形態において、臨界閾値は、ゼロ vs.Li/Li+より大きい値に設定される。作動電極と参照電極との間の抵抗が作動電極と参照電極との間の電位差の測定に影響を与えることがあるからである。このより高い閾値は、電解質と接触する負極表面での電位が、リチウム金属メッキを許容するほど充分に低くならないことを確保するのに役立つ。例として、比較的控えめな基準は、参照電極と負側電流コレクタの間の電圧が、0.01ボルト引く参照電極−Liの平衡電位に到達する前に、充電を終了させるかもしれない。他の例では、リチウムメッキが発生しない、参照電極と負側電流コレクタの間の電圧の下限が、実験的に決定できる。
【0096】
電位差が臨界閾値を超えている場合、何もせずに、システムは、負極での電位を監視続ける(矢印325)。
【0097】
電位差が臨界閾値またはそれより下回っている場合、コントローラは、セルの充電状態を点検し(ステップ330)、目標の充電状態に到達したか否かを決定する(ステップ340)。
【0098】
推測したSOCが目標のSOCと一致した場合、充電は完了したと考えられ、充電は終了できる(ステップ350)。
【0099】
一方、推測したSOCが目標のSOCより小さい場合、充電は続行できる。
【0100】
ある実施形態において、負極電位の更なる減少を回避して、リチウムメッキを回避するように、充電レートは下げることができる(ステップ360)。より高い充電レートは、電解質でのより大きな抵抗降下(ohmic drop)を生じさせ、リチウムメッキが発生する場合より電位を下げることがある。このことは、米国特許第7262979号により詳細に記載されおり、この内容は参照により全体としてここに組み込まれる。
【0101】
従って、充電しながら、負極と参照電極との間の電位差を監視することにより、リチウムメッキが発生する前に充電プロセスを終了させることが可能になる。
【0102】
(4.バッテリ充電時間の最適化)
図4は、充電時間を最小化するために参照電極を利用した本発明の他の実施形態を示す。何れか特定のSOCでバッテリを充電するために印加される充電電流は、リアルタイムで最適化でき、充電プロファイルは基本的に瞬時に調整可能である。参照電極は、バッテリ監視システムへ個々のセルのSOCについての瞬時のフィードバックを可能にし、充電プロトコルのリアルタイム調整を可能にする。これに対して従来の充電プロトコルは、電極での電位を測定することによって、充電の際、リアルタイムでは調整できない。
【0103】
ステップ410に示すように、電気化学セルは、負極と参照電極との間の電位差を測定するように構成できる。ステップ420に示すように、測定した電位差はコントローラへ提供され、この情報は他の情報と組み合わせられてセルの充電状態を推測する。推測した充電状態は、ステップ430において、予め保存した充電状態プロファイルと比較できる。充電状態(SOC)プロファイルは、コントローラ(または他の適切な媒体)の中に保存でき、所定の充電状態において最大許容充電レートを示すデータを含むことができる。最大許容充電レートは、多くの因子、例えば、負極で到達する電位、セル温度(過熱を回避するため)および他の安全因子などから決定できる。SOCプロファイルは、実験データ、例えば、SOCに伴う測定しまたは既知の負極での変動などを用いて生成してもよく、あるいは、負極でのリチウム拡散など、プロセスモデルを用いて計算してもよい。推測したSOCが目標SOCとほぼ等しい場合(ステップ440)、バッテリ充電は終了できる(ステップ450)。推測したSOCが目標SOCより小さい場合、充電レートは、上方または下方に調整してもよく、最適な安全動作および最適な充電レートの1つ又はそれ以上を提供する充電レートを維持して、充電時間を最小化する(ステップ460)。充電電流は、間欠的に上昇または低下させてもよく(パルス化)、異なる電流を生じさせるようにセル電位を決定する。
【0104】
従って、本発明のある実施形態は、充電ステップのリアルタイム調整を提供し、バッテリ充電時間を最小化している。例えば、PHEVパック用の充電時間は、充電電源へ連続的なフィードバックを行うことによって最小化できるであろう。最大許容充電レート(最大値は、種々の因子、例えば、安全性、分極などに基づいて決定してもよい)を全てのSOCで用いているため、最小充電時間は達成されるであろう。バッテリパック内の各セルを監視することによって、システムは、セルの製造ばらつきおよび製品使用中の変化を補償することが可能であろう。他の実施形態において、電位を望ましくない大きさに接近させるような、電解質または電極での濃度勾配の発生を回避するために、パルス充電および間欠的な電流反転を行ってもよい。このように参照電極により、最大許容充電レートの境界に接近させた動作が可能になる。
【0105】
(実施例)
本発明を下記の実施例で説明するが、これは例として提示するだけであって、本発明の限定を意図するものでない。
【0106】
(実施例1.Li参照電極を用いたLiイオン角柱セル)
角柱セルは、図5に示すように、負極522、セパレータ526、正極524を積み重ねることによって製作した。銅ワイヤ536は、先端を除いて絶縁されており、負極522に接近して(電気接触せずに)配置した。それは、アノード530の活性エリアとカソード532の間を除いて、セパレータ526で覆れていた。
【0107】
そして、リチウム金属534を銅ワイヤの露出端部で巻き付けた。セルは、電解質(カーボネイト溶媒の混合物中のLiPF6)で充填し、密閉封止した。セルは、室温で幾つかの条件付け(conditioning)サイクルを施して、テニー(Tenney)温度チャンバ内に置いて、−20℃にした。セルは、アービン(Arbin)バッテリ・サイクラー(cycler)でサイクル試験を行った。
【0108】
図6は、50%充電状態から異なる充電レート(0.3C,0.5C,0.7C,1C,1.5C)で充電し、続いて0.7Cのレートで50% SOCまで放電した時の、こうしたセルの電圧プロファイルを示す。グラフは、参照電極に対して測定した負極の電位(下側カーブ)と、セル電圧(正極−負極、上側カーブ)を示す。充電動作および放電動作時の電流は中央に示す。セルの充電を制御する参照電極の能力が実証されている。負極−参照電極の電位が、所定の限界(ここでは5mV)より低下した場合、バッテリ監視システムは、充電を終了させて、リチウムメッキを防止する。図6に示すように、初期の充電は、最大電位3.9Vを有していたが、連続的な放電/充電サイクルは、次第に小さい最大電位を示す。これは、そのポイント前に参照電極−負極が5mVに到達して、充電が終了したためである。
【0109】
図12は、充電状態を監視するための参照電極の利点を示す。セルは、完全に充電し、そして5%充電状態だけ放電した。各放電は2時間休み後である。セルが完全に放電した後、この手順を逆にして、セルは、5%充電状態の増分で充電した。2時間休みが間にある。図12は、セル電圧および参照電極−負極と時間の関係を示す(セルは、図の左側で100%充電状態、時間=160000秒で0%充電状態、そして、図の右側で100%充電状態である)。負極の電位は、充電状態に対して明確な関係を有する。参照電極の使用は、2つの利点を有する。第1に、負極での分極は、負極においてより速い拡散時定数のため、全体セル電圧よりも迅速に緩和する。従って、負極の分極は、その真の開放回路電圧により迅速に回復し、そして、電位と充電状態を相互に関連付けようした場合、分極の緩和からの誤差が小さい。第2の利点は、この特定の場合に、負極材料および正極材料の両方からヒステリシスへの関与を含む全体セル電圧よりも、負極−参照電極の電位でのヒステリシスが小さいことである。従って、ヒステリシスからの誤差は、充電状態を決定するために負極−参照電極電圧を用いた場合より低い。
【0110】
(実施例2.Li4Ti5O12(LTO)参照電極を用いたLiイオン角柱セル)
サンプルA:
Li4Ti5O12(LTO)、バインダーおよび導電添加剤のスラリーを、銅箔片のある領域にコートし、そして、スラリーを乾燥して、コーティングをカレンダー加工し、箔を狭いストリップに切断して、ストリップの一端がLTOでそれぞれコートされるようにして、参照電極を準備した。銅ストリップの未コート部分はテープで絶縁して、電解質接触に対するバリアを生成した。角柱セルは、実施例1に記載したように組み立てて、追加のステップとして、LTO参照電極と一致するサイズのリン酸鉄リチウムのパッチを備えたAl箔からなる第4電極を、LTO参照電極を覆うセパレータの上部に置いた。セルを電解質で充填し、密閉封止した後、補助リン酸鉄リチウム電極とLTO参照電極の間に電流を流して、LTO参照電極をその二相プラトー(plateau)に活性化した。Li4Ti5O12参照電極を活性化するために、参照端子と外部端子の間に閉じた回路を形成し、充分な電流が流れるようにすると、参照電極は、例えば、Li4Ti5O12に対して5〜150mAh/gの容量にリチウム化される。
【0111】
セルは、USABC(T. Q. Duong, J. Power Sources vol. 89 #2, 244 (2000))によって開発されたHPPC手順の下で試験した。この手順は、10%充電状態ごとに、バッテリの放電および充電インピーダンスを測定する。セル電圧および参照電極と負極との間の電圧(参照電極−負極)を図11に示す。セル電圧は、セパレータおよび正極からのインピーダンスを含み、一方、参照電極−負極電圧は、負極からのインピーダンスだけを含む。図11は、この特定セルにおいて、正極およびセパレータのインピーダンスが負極のインピーダンスよりかなり大きいことを示す。充電時の電圧変化は、参照電極−負極電圧よりもセル電圧においてかなり大きいためである。
【0112】
図14Aに示すように、円柱セル1410は、実施例2Aで説明したように、金属箔1425の上にLTO1420をコートすることによって準備した参照電極1415を用いて組み立てられる。金属箔1425の未コート部分はテープ1430で絶縁して、電解質接触に対するバリアを生成している。図14Bは、幾つかの実施形態に従って、缶1410の内面に直接堆積した参照電極1440を示す。
【0113】
サンプルB:
実施例1で説明したように、負極、セパレータおよび正極の多重繰り返しユニットを積み重ねることによって、角柱セルを製作する。実施例2Aで説明したように、LTOを金属箔、例えば、Ni,Cuまたはステンレス鋼の箔の上にコートすることによって、参照電極を準備する。LTOでコートされていない箔は、電解質、例えば、ポリウレタンに対して不浸透性の材料を用いて、それをコートすることによって絶縁される。参照電極のLTOコート領域は、電解質を毛管作用で運ぶ多孔性の絶縁材料、例えば、マイクロ多孔性のポリエチレン、絶縁セラミック粒子とバインダの混合物、例えば、Al2O3とPVDF、あるいは、バッテリセパレータに広く用いられる他の材料などで覆われる。そして、参照電極は、下部アノード層の端部に近接して配置される。セルは、電解質で充填され、密閉封止される。Li4Ti5O12参照電極を活性化するために、参照端子と外部端子の間に閉じた回路を形成し、充分な電流が流れるようにすると、参照電極は、例えば、Li4Ti5O12に対して5〜150mAh/gの容量にリチウム化される。
【0114】
(実施例3.参照電極端子としてセル缶を用いた円柱セル)
円柱セルは、図7に示すように、負極、セパレータ、正極の多重繰り返しユニットを巻くことによって製作される。
【0115】
例示のリチウムイオンバッテリは、カソードおよびアノードを有するバッテリエレメントを含み、これらは、バッテリ缶の中に一緒に堅く巻かれて配置されたマイクロ多孔性のセパレータによって絶縁される。典型的なスパイラル電極二次セルを図7に示す。二次セル715は、アノード電流コレクタの両面にコートされたアノード材料を含むアノードシート701と、セパレータ702と、カソード電流コレクタの両面にコートされたカソード材料を含むカソードシート703とを含む、これらはこの順序で積み重ねられ、スパイラル形態709を作成する。カソードシート703は、電流コレクタリード705を含み、アノードシート701は、電流コレクタリード707を含む。電解液が缶に追加される。
【0116】
参照電極を含む円柱セルは、図7と図8を参照して説明したように、組み立てられる。スパイラル巻きセル709は、バッテリ缶80の中に挿入される。バッテリセル缶は、上側および下側の溶接したエンドキャップを含む。セルの1次パッケージ(缶とエンドキャップ)缶は、アルミニウム合金からなる。溶接シールは、典型的には、レーザ溶接、または必要に応じて、超音波溶接、抵抗溶接、MIG溶接、TIG溶接などの他の金属接合法によって得られる。二重(上端および下端)溶接容器のエンドキャップは、缶壁より厚くてもよく、例えば、エンドキャップは、缶壁より約50%厚くてもよい。アノードリード705は、負極820と接続される。円柱セルは、一端部に配置された正極810と、他端部にある負極820と、浮遊電位(即ち、両方の電極から電気絶縁されている)にある鋼またはアルミニウムの円柱缶830とを含む。カソードリード705は、正端子810との電気コンタクトを提供し、アノードリード707は、負極820との電気コンタクトを提供する。
【0117】
第3端子をセルから出す必要のない参照電極を設けるには、参照電極材料840が缶の内壁に塗布され、缶の外側は参照端子として用いられ、これはもはや浮遊電位ではない。一例として、実施例2で説明したようなLi4Ti5O12(LTO)のスラリーをアルミニウム缶の内面に塗布し、缶の長さまたは外周の一部または全部に延びるラインの形状にする。他の例として、スラリーの小さい「パッチ」を、負端子近くの缶の内面に付着させる。参照電極は、電解質透過性のポリマーまたはファイバーのセパレータによって、巻き電極から電気絶縁される。これは、一例として、巻き電極上にある電気絶縁性の外側ラップでもよく、他の例では、参照電極の上に設けられた分離膜でもよい。Li4Ti5O12参照電極は、実施例2bで説明したように活性化される。ガスケット850は、端子810,820を缶830から電気絶縁する。
【0118】
第3端子をセルから出す必要のない参照電極を設けることは、上述したように、幾つかの利点がある。追加の密閉フィードスルーが参照電極用に必要としない。こうした追加のフィードスルーは、潜在的な電解質漏れ経路をシステムに追加し、追加スペースを要し、バッテリ重量を増加させであろう。参照電極材料を導電缶の内壁に設けた場合、参照端子としての缶の外部の使用は、セル設計を簡略化できる。
【0119】
(実施例4.参照電極/参照電極端子としてセル缶を用いた円柱セル)
円柱セルを、実施例3に説明したように製造した。正端子、負端子および缶は全て、端子と缶の間にある絶縁性ポリマーガスケットによって、互いに電気絶縁される。缶は、アルミニウムからなる。アルミニウムは、疑似参照電極として機能するものであり、疑似参照電極に達する正味電荷(net charge)がない限り、一定の電位を維持する。セル電圧は、負端子と正端子の間で測定される。さらに、缶と負端子の間の電圧は監視される。正端子と缶との間の電圧を監視することによって、あるいは、リード接続を切り換えることによって(最初に缶−負端子電圧を測定し、続いて負端子−缶電圧を測定する)、ゼロの正味電荷が維持できる。図10は、定格セル容量の0.2倍のレートで充電した時の測定した電圧を示す。缶は、疑似参照電極として機能し、充電の終わりでセル電圧の増加が正極の電位の増加によって引き起こされるが、負極の電位は、この低レート充電の終わりで一定であることを検出可能である。
【0120】
(実施例5.参照電極としてセルキャップ内の追加の第3端子を用いたセル)
図9に示すように、円柱セル910は、セルエンドキャップ930を通る参照電極端子920を用いて組み立てられる。この端子920は、エンドキャップ930およびエンドキャップを通過する端子から電気絶縁されている。セルの内側では、参照電極端子は、参照電極と電気接続される。一例として、参照電極は、Li4Ti5O12であり、実施例2,3に説明したように、組み立てられ電気絶縁され、アノードタブに近接したゼリーロール(jellyroll)の活性エリアに直接近接して位置決めされる。
【0121】
(実施例6.3つの電極セルを用いたバッテリ監視システム)
バッテリパックは、並列に接続された多重モジュールを含み、各モジュールは、一連の直列接続された円柱リチウムイオンセルからなり、前記セルは、ドープしたナノスケールのリン酸鉄リチウム・カソードと、カーボン・アノードと、実施例3で説明したようなチタン酸リチウム参照電極とを有する。各モジュールでの電気回路が、個々のセルのバランス化、故障検出、温度監視を実施するために用いれる。パック用のメイン監視システムは、モジュール故障信号集約、DCバス電圧および電流監視、パックの充電状態推測、モジュール・イネーブルと外部故障とステータスの報告、を実施する。チタン酸リチウム参照電極とカーボン負極の間の電圧V1、およびセル電圧は、各セルにおいて監視される。
【0122】
バッテリパックは、定電圧の電流制限DC電源を用いて各モジュールにつき10Aの電流上限で充電される。最大充電電流は、各モジュールにおいてセルのV1出力を用いて監視される。
【0123】
パックの充電の際、モジュール監視システムがモジュール内の全セルの初期SOCが85%未満であることを示す限り、バッテリパック内の各モジュールは、最初に10Aの電流で充電される。初期の充電状態は、セル開放回路条件下で特定の充電状態を特定のV1値で定義するルックアップテーブルに従って決定される。セルのSOCは、開放回路条件下で、電圧V1から定期的に決定される。モジュール内の何れか1つのセルのSOCが85%に到達すると、モジュールへの充電電流は7.5Aに減少する。90% SOCでは、モジュールへの電流は5Aに減少し、95% SOCでは、電流は1Aに減少する。モジュール充電電流は、直接接続セルの何れか1つのV1が1.55V(リチウムの正1.56VであるLTO参照電極の場合)を超えると、遮断される。
【0124】
過充電保護について、モジュール内の何れか1つのセルのV1が、充電中に10秒間、1.55Vを超えると、エラー条件がモジュールからメイン監視システムへ報告される。そして、システムは、モジュール故障を報告し、後の診断用に出来事を記録する。
【0125】
セルのバランス化も、出力V1を用いて行われる。各モジュール内の制御回路は、各セルのV1値を相互にバランスさせるように動作する。バランス回路は、26650型式の円柱セルの場合、各セルごとに約250mAの過剰充電電流を消費するように設計される。セルが同じV1を有する場合、バランス回路は、ゼロに落ち着く。
【0126】
各セルでのインピーダンス増加が定期的に監視され、データはモジュールまたはメイン監視システムで記録される。個々のセルインピーダンスは、電流パルスを用いて、直列接続セルの各モジュールを充電または放電し、セルのV1およびセル電圧の測定から正極および負極での電位降下を決定することによって監視される。充電電流または放電電流によって分割された電位降下は、各セルでの両電極に関するインピーダンス値を提供する。このデータは、パックの寿命期間に渡って定期的に記録される。
【0127】
パック診断について、診断読取機からの質問が下記情報を問い合わせて、バッテリパックから受け取る。
【0128】
・10秒 V1>1.55Vの基準に基づいた、現時点の故障モジュールの数(もしあれば)。
・他の警報または問題(バッテリインピーダンス、高温、高い充電電流など)
・温度履歴
・セル電圧履歴
・動作時間
・推測したインピーダンス(Ω)および、製造日からの増加(%)
【0129】
そして、下記のコマンドをバッテリパックに送信できる。
【0130】
・バランス化の許可(enable)
・バランス化の禁止(disenable)
・モジュール故障状態のリセット
・診断データ(履歴)のリセット
【0131】
(他の実施形態)
本発明について、その詳細な説明と関連して説明したが、上記説明は例示であって、添付の請求項の範囲によって定義される本発明の範囲を限定することを意図していないと理解すべきである。他の態様、利点および変形は、下記請求項の範囲内である。
【技術分野】
【0001】
本願は、バッテリの充電状態及び/又は健康状態の監視に関する。詳細には、本願は、バッテリ、バッテリ監視システム、バッテリの充電状態及び/又は健康状態を監視することによってバッテリ性能を改善する方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許出願第60/993802号(2007年9月14日出願)および米国特許出願第60/994089号(2007年9月17日出願)の出願日の利益を請求するものであり、これらの内容は参照により全体としてここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
充電状態(SOC: state of charge)監視は、ワイヤレス通信装置やラップトップコンピュータなどの携帯エレクトロニクス製品、電動工具、電気自動車(ハイブリッド式、プラグインハイブリッド式、オール電気式の自動車を含む)、バックアップ電源システム、ソーラーまたは風力コレクタ、燃料セル、従来の火力電源などの発電装置用のエネルギー貯蔵など、多くのバッテリ用途で望ましいか、あるいは必要なものである。バッテリ、またはバッテリパックを形成するバッテリ列は、SOCの制限範囲、またはバッテリから利用可能な全容量を含む広い範囲に渡って使用してもよい。
【0004】
バッテリの充電状態(SOC)および健康状態(SOH: state of health)の正確な知識は、多くの用途、特に、長寿命で高い充電レートまたは高い放電レートの用途、例えば、ハイブリッド式電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド式電気自動車(PHEV)、電気自動車(EV)などにとって重要である。ハイブリッド式電気自動車では、バッテリの充電状態を監視することが特に望ましい。理由は、動作が、典型的にはSOCの全範囲を使用せず、典型的には約50% SOC付近を中心としたSOC範囲、例えば、SOCの約10〜90%または約40〜60%の範囲を使用するためである。もしバッテリ電圧がSOCに対してほとんど変化しない場合、電圧が一定のSOCで時間に依存している場合、または、電圧ヒステリシスが生じてセル電圧が充電/放電履歴に依存している場合は、SOCおよびSOHの監視が困難になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気化学セル内の各電極の電位を、ある正確さで知ることが望ましい多くの状況がある。バッテリ内の何れか1つの電極での電位は、損傷を生じさせたり、性能や寿命を劣化させる電位に接近するような通常動作中の逸脱を受けることがある。例えば、正極において電位が高過ぎると、電解質の劣化または過充電された正の活性材料を生じさせることがある。リチウムイオンバッテリの場合、負極において電位が低過ぎると、リチウム金属メッキを生じさせることがある。
【0006】
電極電位の詳細な知識が実用的なバッテリにおいて必要になる他の具体的な例として、リチウムイオンバッテリが高いレートの充電を受けることを検討する。高過ぎる充電レートまたはセルの劣化は、負極での電位をリチウム金属のものよりも降下させ、負極でリチウムメッキを引き起こすことがあり、これは寿命を劣化させ、安全性の懸念を生じさせる。しかしながら、負極での電位を正確に把握していれば、著しいリチウムメッキが生ずる前にセルの充電を停止させるように、バッテリ管理システムを設計できるであろう。
【0007】
SOCを正確に監視する他の理由は、バッテリの寿命または安全性を改善することである。高過ぎる充電電圧では、幾つかのバッテリ化学反応が危険になり、極めて高いまたは極めて低いSOCでは多くの化学反応がより急速に劣化する。従って、正確なSOC推測は、安全性または寿命についてシステムを最適化するために有用である。
【0008】
従って、各電極での電位を正確に知ることは重大になるであろう。しかしながら、セル電圧は、測定が容易であるが、絶対電位というより電位差を与え、正極と負極の間で大きさが異なることがあるいろいろな分極関与を含み、これにより電極電位の測定を困難なものにする。HEVなどの新しい性能要求は、より良好なSOC/SOH監視の必要性を生じさせている。リチウム金属などの既存の参照電極は、不充分な安定性および寿命(例えば、基準電位のドリフト)または不適切な基準電位に起因して、上記の要求条件下で使用されるリチウムイオンバッテリシステムにとって適切でないかもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(概要)
バッテリ寿命に関して改善した充電状態(SOC)および健康状態(SOH)の監視を提供するために、材料、セル設計、バッテリ内に組み込まれた参照電極の使用方法が提供される。参照電極端子用にセル缶(cell can)またはキャップ蓋に追加ポートの必要性なしで参照電極を有する、簡素化したセル設計が提供される。
【0010】
参照電極は、一般に、電気化学研究用に用いられているが、高レート充電時のLi堆積を低減または防止したり、寿命セル監視のために、負極電位を監視することを目的としては設計されていない。1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を組み込んだバッテリおよびバッテリシステムは、パワー、充電/放電レート、サイクル寿命、カレンダー寿命の点でHEV、PHEVおよびEVシステムが有する動作条件に適合させる際に、有用な情報を提供する。
【0011】
一態様において、少なくとも1つのセパレータで分離された第1および第2作動電極を備え、第1作動電極は第1端子と電気接続され、第2作動電極は第2端子と電気接続されており、さらに、1つ又はそれ以上の参照電極と、作動電極および1つ又はそれ以上の参照電極を収容する缶とを備え、缶は、第1端子および第2端子から電気絶縁され、1つ又はそれ以上の参照電極と電気接続されて1つ又はそれ以上の参照電極用の端子を提供するようにしたバッテリが開示されている。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施形態において、バッテリはリチウムイオンバッテリであり、作動電極は、リチウム取り込みおよび放出が可能な電気活性材料を含む。1つ又はそれ以上の実施形態において、バッテリは、巻き構造の円柱セルを備える。1つ又はそれ以上の実施形態において、バッテリは、巻き構造または積層構造の角柱セルを備える。
【0013】
リチウムイオンバッテリの1つ又はそれ以上の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、Li/Li+に関して約1V〜約4Vのほぼ一定電圧を供給する多相存在(multiphase existence)が可能な電気活性材料で構成される。リチウムイオンバッテリの他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、バッテリの充電および充電状態の監視のためのバッテリ管理システムとの相互接続が可能である。リチウムイオンバッテリのさらに他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極のクーロン容量の約0.001%足らずから、約20%と同程度までのクーロン容量を有する。さらに他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、置換元素ありまたは置換元素無しの、チタン酸リチウム、リン酸遷移金属リチウム、リチウムマンガンスピネル、および、リチウムと金属、例えば、スズ、アルミニウム、アンチモンなどとの合金、からなるグループから選択される。更なる実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、チタン酸リチウムを含む。幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、リン酸鉄リチウムを含む。他の実施形態において、バッテリは、バッテリパックを含む複数のバッテリのうちの1つである。追加の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、充電中のリチウムメッキに最も敏感である、バッテリ内のある場所に位置決めされる。さらに他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極の間に配置される。他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、負極の端部にほぼ近接しており、多孔性の電気絶縁層によって負極との接触が防止されている。幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極のための活性材料は、缶の壁の少なくとも一部にコートされている。
【0014】
幾つかの実施形態において、缶は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタンを含むグループからの金属で構成でき、缶は、参照電極および参照電極端子の両方を提供する。幾つかの実施形態において、缶の露出した金属表面は、無孔性の電気絶縁コーティングでコートされる。追加の実施形態において、第1および第2端子は、上側および下側カバープレートにそれぞれ配置される。
【0015】
幾つかの実施形態において、第1および第2端子は、ガスケットを介して缶から電気絶縁されている。他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、電気化学的に不活性な多孔性の電気絶縁材料に包まれている。これらの実施形態の幾つかにおいて、多孔性の電気絶縁材料は、バッテリ電解質によって濡れている。
【0016】
リチウムイオンバッテリの幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、繰り返し電圧測定の間に、電圧測定時に流れる電流を補償することによって、二相化学量論(two-phase stoichiometry)の範囲内に維持されている。
【0017】
他の態様は、電力を供給する方法であって、該方法は、上述したリチウムイオンバッテリを設置することを含む。幾つかの実施形態において、該方法は、1つ又はそれ以上の参照電極をバッテリ管理システムと相互接続すること、バッテリを充電すること、バッテリの充電状態を監視することをさらに含む。
【0018】
リチウムイオンバッテリの幾つかの実施形態において、補償は、参照電極−負極と正極−参照電極との間の測定を交替させることによって生ずる。他の実施形態において、補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と1つ又はそれ以上の作動電極との間の電圧リード(lead)の接続を周期的にスイッチングすることによって生ずる。さらに他の実施形態において、補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と正極または負極との間に、電圧測定時に流れる電流の量によって決定される電流の方向および量で、電流を周期的に流すことによって生ずる。
【0019】
他の実施形態において、電力を供給する方法は、繰り返し電圧測定の間に、1つ又はそれ以上の参照電極を二相化学量論の範囲内に維持することをさらに含み、この維持は、電圧測定時に流れる電流を補償することによって生ずる。該方法の幾つかの実施形態において、補償は、参照電極−負極と正極−参照電極との間で測定を切り換えることによって生ずる。該方法の他の実施形態において、補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と1つ又はそれ以上の作動電極との間の電圧リード(lead)の接続を周期的にスイッチングすることによって生ずる。該方法のさらに他の実施形態において、補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と正極または負極との間に、電圧測定時に流れる電流の量によって決定される電流の方向および量で、電流を周期的に流すことによって生ずる。
【0020】
リチウムイオンバッテリの幾つかの実施形態において、正極及び/又は負極は、1mVより大きい固有のヒステリシスを有する材料で構成される。
【0021】
他の態様は、リチウムイオンバッテリシステムを開示しており、該システムは、(a)電気接続された1つ又はそれ以上のリチウムイオンセルと、(b)バッテリ管理システムとを備えたリチウムイオンバッテリシステムであって、
各セルは、セパレータ膜で分離された第1および第2作動電極を備え、作動電極は、リチウム取り込みおよび放出が可能であり、第1作動電極は、第1電流コレクタ上の第1電気活性層を含み、第2作動電極は、第2電流コレクタ上の第2電気活性層を含み、
各セルは、1つ又はそれ以上の参照電極を備え、各参照電極は、作動電極から電気絶縁されており、セルから出て、電気的測定用の追加端子を提供する分離タブまたは電流コレクタを有しており、
バッテリ管理システムは、バッテリ充電状態モニタを備え、前記モニタは、作動電極の電位差および、1つ又はそれ以上の作動電極と1つ又はそれ以上の参照電極の間の電位に関する情報を受け取るように動作可能である。
【0022】
該システムの幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、Li/Li+に関して約1V〜約4Vのほぼ一定電圧を供給する多相存在が可能な電気活性材料で構成される。該システムの他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、チタン酸リチウム、リン酸遷移金属リチウム、リチウムマンガンスピネル、および、リチウムと金属、例えば、スズ、アルミニウム、アンチモンなどとの合金、からなるグループから選択される。さらに他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、充電中のリチウムメッキに最も敏感であるセル位置に位置決めされる。追加の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極の間に配置される。他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、負極の端部に直接近接しており、多孔性の電気絶縁層によって負極との接触が防止されている。さらに他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、多孔性のポリオレフィンセパレータによって封入されている。
【0023】
該システムの他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、セラミック粒子とバインダとの混合物からなる多孔性の絶縁コーティングによってコートされている。前記セラミック粒子は、SiO2,Al2O3,MgO,TiO2または他の電気絶縁セラミック材料からなり、前記バインダは、ポリ(二フッ化ビニリデン),ポリ(テトラフルオロエチレン),ポリ(エチレン),ポリ(エチレンオキシド),ポリ(メチルメタクリレート),ラテックスゴム,カルボキシメチルセルロース,または他のポリマーからなる。幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極に接続された全ての金属は、活性参照電極材料で直接覆われた金属を除いて、無孔性の電気絶縁コーティングを用いて絶縁されている。他の実施形態において、多孔性絶縁層は、5〜100マイクロメータの厚さを有する。
【0024】
該システムの1つ又はそれ以上の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、1つ又はそれ以上の参照電極周りの絶縁層の表面が正極および負極を分離するセパレータと接触するように、作動電極と近接して配置される。追加の実施形態において、バッテリは、円柱状、角柱状または袋状(pouch)のバッテリである。他の実施形態は、温度及び/又は電流を監視するためのセンサを含む。幾つかの実施形態において、充電状態モニタは、過充電、過放電、過剰な充電電流、過剰な放電電流を含むグループから選択される1つ又はそれ以上のパラメータが監視可能である。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態は、バランス化(balancing)モジュールも含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、1つ又はそれ以上のリチウムイオンセルは、セル対を備え、バランス化モジュールは、隣接するセル対の相対電圧レベルを評価することができ、隣接セル対の間で電荷を再配分して、対のセル電圧の差を緩和する。
【0026】
該システムの幾つかの実施形態は、コントローラも含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、コントローラは、1つ又はそれ以上のセルの充電レートを増加及び/又は低下できる。
【0027】
該システムの1つ又はそれ以上の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極により、個々のセルの充電状態をバッテリ管理システムへほぼ瞬時にフィードバックすることが可能になる。これらの幾つかにおいて、バッテリ管理システムは、少なくとも1つのセルの充電プロトコルをほぼリアルタイムで調整可能である。
【0028】
該システムの幾つかの実施形態において、システムは充電状態を推測できる。これらの実施形態の幾つかにおいて、システムは、推測した充電状態を目標の充電状態と比較することができ、バッテリ管理システムは、少なくとも1つのセルの充電レートを上向きまたは下向きに調整できる。
【0029】
他の態様は、リチウムイオンバッテリ内のリチウムメッキを回避する方法であり、該方法は、リチウムイオンバッテリの充電中に、参照電極に対する負極の電位を測定すること、測定した電位とリチウム金属のメッキに関連した臨界電位とを比較すること、リチウムイオンバッテリの充電条件を調整して、負極でのリチウムメッキを防止またはリスクを低減することとを含む。この方法の幾つかの実施形態は、充電の終了により充電を調整すること、あるいは充電レートを変更することを含む。
【0030】
他の態様は、充電の際、いずれか特定のSOCで印加される充電電流を最大化することによって、リチウムイオンバッテリの充電時間を最小化する方法であって、該方法は、バッテリの充電中に、参照電極に対する負極の電位を測定すること(前記充電は、ある充電レートを有する)、バッテリの充電状態を決定すること、測定した充電状態と充電状態プロファイルとを比較すること、充電レートを上向きまたは下向きに調整して、実際の充電レートを、最適安全動作および最適充電レートの1つ又はそれ以上を提供する所定の範囲内に維持して、充電時間を最小化することを含む。
【0031】
他の態様は、缶とセルの何れかの端子との間の電気接続が存在するか否かを決定する方法であって、該方法は、缶の内側に、何れかの端子とは異なる酸化還元(redox)電位を有する材料を塗布すること(電位差は0.2Vより大きい)、少なくとも1つの端子と缶との間の電圧を測定することを含む。
【0032】
他の態様は、電力を供給する方法であって、該方法は、先に開示したリチウムイオンバッテリシステムからなるグループから選択されたリチウムイオンバッテリシステムを実装することを含む。これらの方法の幾つかにおいて、リチウムイオンバッテリは、過充電、過放電、過剰な充電電流、過剰な放電電流を含むグループから選択される1つ又はそれ以上のパラメータを監視する。1つ又はそれ以上の実施形態において、該方法は、隣接するセル対の相対電圧レベルを推測すること、隣接セル対の間で電荷を再配分して、対のセル電圧での差を緩和することを含む。他の実施形態において、該方法は、1つ又はそれ以上のセルの充電レートを増加及び/又は低下させることを含む。さらに他の実施形態において、該方法は、少なくとも1つのセルの充電プロトコルをほぼリアルタイムで調整することを含む。さらに他の実施形態において、該方法は、充電状態を推測することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明およびその利点の大部分のより完全な認識が、本発明の説明を参照して、下記図面と関連して考慮した場合に理解されよう。図面は、説明目的だけで提示したものであって、限定することは意図していない。当業者の届く範囲内にある他の実施形態および変形例は、本発明に含まれることを意図している。
【0034】
【図1】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を含む例示の電気化学セルである。
【図2】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、例示のバッテリパックである。
【図3】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、バッテリまたはバッテリパックを監視する方法を示すフロー図である。
【図4】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、バッテリまたはバッテリパックを監視する方法を示すフロー図である。
【図5】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を含む例示の電気化学セルである。
【図6】充電および放電の際、参照電極を含む例示の電気化学セルの電圧プロファイルを示す。グラフは、参照電極に対して測定した負極の電位、およびセル電圧(正極−負極)を示す。リチウムメッキを防止するために、参照電極は、充電を終了させる時期を決定するために用いられる。
【図7】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、典型的なスパイラル電極の二次電池の斜視図である。
【図8】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を含む円柱セルの斜視図である。
【図9】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、セルエンドキャップを通る参照電極を設けた円柱セルの斜視図である。
【図10】円柱セルからの充電時の電圧プロファイルを示す。端子はアルミニウム缶から電気絶縁されており、缶は疑似参照電極として使用する。
【図11】HPPCテストの際、LTO参照電極を含むセルからの電圧プロファイルを示す。電流の変化時に、セル電圧の電圧降下を負極−参照電極間電圧と比較することによって、全体セルのインピーダンスは、負極と対比して比較できる。
【図12】リチウム参照電極を含むセルの電圧プロファイルを示すものであり、完全充電からスタートして、5% SOCの増分で0% SOCまで放電し、そして、5% SOCの増分で100% SOCまで充電し、各電流イベント間は2時間休みを設けている。
【図13A】負極端子および参照電極端子を絶縁するためのガスケットを含む、負(アノード)エンドキャップアセンブリで用いられるコンポーネントの分解斜視図である。
【図13B】負極端子および参照電極端子を絶縁するためのガスケットを含む、負(アノード)エンドキャップアセンブリで用いられるコンポーネントの分解斜視図である。
【図13C】負極端子および参照電極端子を絶縁するためのガスケットを含む、負(アノード)エンドキャップアセンブリで用いられるコンポーネントの分解斜視図である。
【図14A】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を含む円柱セルの斜視図である。
【図14B】1つ又はそれ以上の実施形態に係る、参照電極を含む円柱セルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
三電極セルは、電気化学セルの状態を監視して、セル特性に関する情報を取得する手段を提供する。この情報は、バッテリの充電状態および他の重要なセル特性を決定するために用いられる。こうした情報は、例えば、PHEVにおいて見られるように、厳しい動作パラメータを持つ多重セルを含む複雑なバッテリシステムを監視し最適化するためにますます必要になる。
【0036】
三電極セルは、セル性能を監視し最適化するのに有用であるが、こうしたシステムは、ある挑戦をもたらすことになる。例えば、追加電極の使用は、セル設計の複雑さを増加させる。特に、第3の電極およびその端子を収容するために、セル構造の再設計を必要とし、典型的にはセル容器内に追加ポートが必要になる。例えば、EP1577914を参照。追加ポートは、セル設計を不必要に複雑にする。また、ポートは破裂および漏洩の追加箇所であるため、追加の安全リスクをもたらす。
【0037】
一態様において、三電極バッテリおよびバッテリシステムには、改善した性能、および第3電極を収容するためにセル缶設計の追加変更を要しない簡素化した設計が提供される。
【0038】
動作方法、監視方法およびセル性能の最適化方法も提供される。
【0039】
(電気化学セルおよびバッテリ)
1つ又はそれ以上の参照電極を含む電気化学セルについて図1を参照して説明する。電気化学セルは、巻き構造の円柱セルや巻き構造または積層構造の角柱セルなどの任意の幾何形状のものにできる。電気化学セルは、容積が1cm3未満から1リットル超までの範囲で小型または大型のものでもよく、0.1Ah未満から100Ah超までの範囲の電荷容量を有してもよい。
【0040】
1つ又はそれ以上の電気化学セルは、1つ又はそれ以上のバッテリに形成できる。バッテリは、任意の幾何形状のものにできる。例えば、バッテリは、角柱バッテリや円柱バッテリなどにできる。例えば、リチウムイオンバッテリは、典型的にはバッテリパックに包含され、直列及び/又は並列に電気接続された複数の電気化学セルを含む。リチウムイオンバッテリパックは、バッテリパックの意図する用途に依存して、全ての形状、サイズ、エネルギー容量および出力定格がある。バッテリパックは、典型的には、多数のリチウムイオンセルおよびバッテリ管理システムを含むことになる。
【0041】
電気化学セルおよびこのバッテリ/バッテリパックの種々のタイプ全てが、本発明の範囲内である。しかしながら、簡素化のため、ここでは簡単な袋状の電気化学セルを参照して説明する。
【0042】
図1に示すように、電気化学セルは、セパレータ126によって電気絶縁された負極122および正極124を含む。負極および正極(122,124)は、外部回路との電気コンタクトのための端子として機能する分離タブ(130,132)を有する。セルは、作動電極(122,124)から電気絶縁された参照電極134と、セルから出て、電気的測定および参照電極の制御のための追加端子を提供する分離タブ136とを含む。ここでより詳しく説明する一定の実施形態において、参照電極用の端子は、セルを収容する導電缶であり、これによりバッテリに追加ポートを持つ必要性を回避している。ある実施形態では、参照電極は、電気化学的に不活性で、電解質によって濡れている多孔性の電気絶縁材料(不図示)、例えば、マイクロ多孔性ポリエチレン、あるいは、バインダを有する絶縁セラミック粒子の混合物、例えば、PVDFや他のポリマーバインダを有するTiO2またはAI2O3、あるいは、バッテリセパレータに広く使用される他の材料に包まれている。
【0043】
(正極)
作動電極は、従来の何れの正極および負極でもよい。例として、リチウムイオンバッテリの正極に適切な材料は、LiCoO2,LiNiO2,LiMnO2,LiMn2O4,LiFePO4,V2O5、あるいは、当業者に広く知られた他のカソード、例えば、バインダおよび必要に応じて導電添加剤、例えばカーボンと混合したLixMO2(Mは、Ni,Co,Mn,Al,Mg,Crまたは他の金属を含む)などである。
【0044】
金属リン酸リチウム化合物(例えば、リチウム−遷移金属−リン酸化合物)も電気活性材料として使用でき、これに限定されないが、ポリアニオン化合物、例えば、オリビン(olivine)化合物、NASICON化合物などである。金属リン酸リチウム化合物は、必要に応じて金属、半金属(metalloid)またはハロゲンでドープしてもよい。
【0045】
具体的な例は、ドープしたナノリン酸塩材料、あるいは、オリビン構造化合物LiMPO4(Mは、V,Cr,Mn,Fe,CoおよびNiのうちの1つ又はそれ以上)を含み、化合物は、必要に応じてLi,MまたはOのサイトにドープされる。Liサイトの欠陥は、金属または半金属の添加によって補償できる。Oサイトの欠陥は、ハロゲンの添加によって補償できる。
【0046】
適切な正極材料に関する更なる情報は、米国特許第7338734号(発明の名称"CONDUCTIVE LITHIUM STORAGE ELECTRODE"、米国特許公開第2007/0031732号(発明の名称"NANOSCALE ION STORAGE MATERIALS")で見つけられ、これらは参照により全体として組み込まれる。
【0047】
例えば、Pb−酸またはニッケル−カドミウムバッテリなどの水成電解質を備えたバッテリ用の適切な正極材料は、二酸化鉛、オキシ水酸化ニッケル、二酸化マンガンを含む。
【0048】
(負極)
リチウムイオンバッテリの負極に適切な材料は、カーボン、例えば、黒鉛状または非晶質または部分的に無秩序なカーボン、Liと、Sn,Si,Sb,Al,ZnおよぴAgのうちの1つ又はそれ以上を含む金属合金との間で形成される合金または化合物、あるいは当業者に知られた他のアノード材料を含む。
【0049】
例えば、Pb−酸またはニッケル−カドミウムバッテリなどの水成電解質を備えたバッテリ用の適切な負極材料は、鉛、水酸化カドミウム、金属−水素化物合金、亜鉛およびカーボンを含む。
【0050】
(参照電極)
参照電極用の材料選択は、種々の二次バッテリ、例えば、鉛−酸またはPb−Aバッテリ、アルカリマンガンバッテリ、ニッケル−カドミウムまたは「NiCad」バッテリ、ニッケル−金属水素化物または「NiMH」バッテリ、およびリチウムイオンまたは「Li−ion」バッテリなどにおいて変化するであろう。
【0051】
ある実施形態において、参照電極は、作動電極、例えば、電気化学セルのクーロン容量を供給するアノードおよびカソードと比べて、小さいクーロン容量を有することができる。クーロン容量は、電極間で交換可能なクーロン量(電流×時間)である。1つ又はそれ以上の実施形態において、参照電極は、作動電極のクーロン容量の約0.001%足らずから、約20%と同程度までのクーロン容量を有する。幾つかの実施形態において、参照電極は、全体容積の小さな区画(section)を占めることができ、セルの容積エネルギー密度が実質的に減少するのを回避している。
【0052】
参照電極材料は、多くの選択肢の1つでもよい。ある実施形態において、参照電極は、セル環境において長期間安定した参照電位を提供する材料を含むことができる。参照電極は、セルの電気化学環境において熱力学的に安定したものにできる。
【0053】
例えば、カーボネイト、エステル、エーテル、ラクトンまたは類似の溶媒を含むリチウムイオンバッテリでは、安定した参照電位が、電解質還元に起因した表面反応(例えば、周知の「固体−電解質界面(SEI: solid-electrolyte interface)」)が発生しない充分に高い絶対電位になる。これは、リチウム金属(Li/Li+)に対して約0.8Vより大きい電位、より好ましくは約1.0Vより大きい電位を持つ参照電極を有することによって達成できる。さらに、電位は、約4V vs.Liより低くすると、電解質成分との酸化反応を回避できる。水成電解質を含むバッテリでは、参照電極は、約0V vs.H2/H+より大きく、約1.2V vs.H2/H+より小さい電位に、即ち、水の安定性ウインドウ(これはpHの関数)の範囲内に選択できる。
【0054】
他の例では、参照電極が、使用の際に部分的にリチウム化(lithiated)または脱リチウム化(delithiated)されていても、参照電極は、電位が比較的一定である材料を含むことができる。例えば、化学電位がリチウム化(lithiation)の程度に対して一定である参照電極。リチウム化の程度に対してほぼ一定の化学電位を有する材料は、リチウム活性相と共存するもの、例えば、リチウムの挿入または除去の際に二相反応を受ける化合物など、より多くを有する材料を含むことができる。こうした化合物は、ギブスの位相則によって決定されるように、一定の熱力学的に決定される電位を有する。こうした材料は、いろいろな電位で利用可能であり、所望の参照電極を作製できる。
【0055】
Liイオンバッテリ用の例示(非限定)の参照電極材料は、チタン酸リチウム(LTO)、リン酸遷移金属リチウム、リチウムマンガンスピネル(組成LiMn2O4とLiMnO2の間での〜3Vの電圧平坦域(plateau)において)、および、リチウムと金属、例えば、スズ、アルミニウム、アンチモンなどとの合金を含む。他の実施形態において、リチウム金属を用いてもよい。LixRuO2、LixTiO2を含むルチル型構造化合物、純粋またはドープした組成の化合物LixMPO4,LixMP2O7,LixMPO4F,LixM2(SO4)3およびLixM2(PO4)3(Mは、Ti,V,Cr,Fe,Mn,NiまたはCoのうちの1つ又はそれ以上)を含むアルカリ遷移金属ポリアニオン化合物、ここで他のアルカリ金属は、Liと部分的に置換してもよく、全てが、参照電極に適切な電気活性材料である。参照電極活性材料は、バッテリの作動電極のいずれかに使用するものと同じであっても、あるいは異なるものでもよい。リチウム充電可能バッテリでは、リチウム金属は、使用可能な参照電極材料の1つである。
【0056】
1つ又はそれ以上の実施形態において、安定した一定の電位を供給する多相リチウム活性材料は、参照電極として使用できる。チタン酸リチウム(LTO)は、例示の参照電極材料であり、これに限定されないが、組成Li4+xTi5O12で、スピネル構造を有する化合物などを含む。リチウム挿入の際、この組成は二相反応を受けて、室温、一定の1.55V vs.Li/Li+の電位を供給でき、これはSEI形成を回避するために充分に高い。この化合物は、酸化状態で準備できる。代替として、Li含有量を増加させ、還元性雰囲気、またはLi,TiおよびOの相対量が制約された閉じた系の焼成において焼成することによって二相材料を準備してもよい。酸化した形態を用いた場合、参照電極をリチウムイオンセルに組み込むと、LTOは、一定電位の二相材料ではなくなるであろう。しかしながら、ある実施形態において、参照電極は、リチウムの挿入によって電気化学的にリチウム化でき、参照電極として使用する前に一定電位の二相状態を形成する。
【0057】
他の例示の参照電極材料は、リン酸塩材料、例えば、ドープしたナノリン酸塩材料、あるいは、オリビン構造LiMPO4(Mは、Fe,Mn,CoおよびNiのうちの1つ又はそれ以上を含む)を含んでもよい。上記のリン酸塩は、リチウム化でき、一定電位の二相状態を形成する。こうした実施形態において、参照電極は、参照電極の大きなサイクルを回避するように動作可能であり、参照電極の化学量論をその二相領域内に維持し、幾つかの相変化材料で固有のヒステリシスに起因した参照電極の電位変化の誘発を回避できる。出発原料として二相リン酸塩が準備でき、あるいは、出発参照電極を電気化学的にリチウム化または脱リチウム化して、二相材料を形成できる。非限定の例として、約3.45V vs.Li/Li+の電位を持つ二相LiFePO4−FePO4混合物が、全体組成Li1−xFePO4(xは、約0.05より大きい)で出発し、熱処理して2つの共存する相を作成することによって準備できる。代替として、参照電極は、集合後、その場(in-situ)で脱リチウム化して二相混合物を作成するようにしたLiFePO4とすることができる。さらに他の例では、参照電極は、集合後、その場(in-situ)でリチウム化して、組成LiyFePO4(yは約0.05より大きい)にするようにしたFePO4とすることができる。
【0058】
電圧測定では、拡張した電圧測定に渡って幾つかの少量の電流の通過を必要とするため、参照電極の化学量論は、参照電極の容量全てが消費されるポイントまで変化することがあり、その後、参照電極の電位が変化することになる。
【0059】
長期間動作のためのシステム設計では、参照電極の消耗を回避するように、電圧測定を運用する。参照電極の化学量論が実質的に変化するのを回避する運用モードの例は、電圧を測定する際の時間を減少させること、電圧測定中に流れる電流の方向を交替させること(即ち、リードの極性を切り換える)、及び/又は、参照電極と作動電極の一方との間に補償電流を周期的に流すことを含む。
【0060】
参照電極用の活性材料は、金属電流コレクタの上に直接堆積できる。あるいは、活性材料の粒子をバインダと混合可能であり、カーボンなどの導電性添加剤を混合物に添加してもよく、金属箔の上にコートしてもよい。金属箔は、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタンまたは、参照電極の動作電位ウインドウの下で合金化したり腐食したりしない他の金属でもよい。
【0061】
参照電極の機能は、セル内の特定の場所において安定した電位測定を提供することであるため、その電位に影響を及ぼす要因を最小化することが重要である。例えば、活性参照材料を参照端子と接続する金属リードは、活性参照材料の周辺領域を除いた全ての領域において、電解質とのイオンコンタクトから絶縁すべきである。さらに、参照電極は、電位に関心のある場所に可能な限り接近して配置すべきであり、関心のある場所と参照電極との間には連続したイオン経路が存在するべきである。例えば、目標がリチウムメッキを検出することであれば、参照電極は、負極タブ、詳細には、負極タブに隣接した、セパレータ−負極活性材料界面に可能な限り接近して配置すべきである。
【0062】
1つ又はそれ以上の実施形態において、参照電極は、それ自体の端子を有し、電圧計と接続される。1つ又はそれ以上の実施形態において、参照電極活性材料を参照電極と接続する参照電極リードは、セル壁または、セル缶の上側キャップまたは下側キャップの一方を通るフィードスルー(貫通接続(feedthrough))またはポートを通過する。セルを通るフィードスルーは、密閉する必要がある。こうしたシールは、ガスケット、ガラス−金属シール、ラミネーションまたは他の公知技術によって、密閉にできる。
【0063】
1つ又はそれ以上の実施形態において、参照電極は、セル壁または上側キャップまたは下側キャップの1つと一体化しており、追加ポートまたはフィードスルーを必要としない。1つ又はそれ以上の参照電極端子を備えたバッテリでは、セル壁またはエンドキャップへの参照電極端子の一体化は、フィードスルーまたはポートを経由した参照端子を収容するバッテリに対して幾つかの著しい利点を提供する。参照端子用のフィードスルーのセル設計は、複雑になり、費用がかかり、耐久性が低くなることがある。参照端子用のフィードスルーに必要な密閉シールは、電位漏れ経路をシステムに追加する。こうした密閉シールの不良は、電解質を漏らすバッテリとなって、バッテリ全体の故障を引き起こすであろう。こうした参照端子フィードスルーに必要な構造は、バッテリ内で追加のスペースを必要とする。さらに、こうした参照端子フィードスルーは、余分の重量をバッテリに追加する。
【0064】
セル壁またはエンドキャップへの参照電極端子の一体化は、追加のフィードスルーを不要にする。その結果、新しい電位漏れ経路が生成されず、追加のフィードスルーを収容するのに要するスペースが節約され、追加のフィードスルーの重量も節減される。セル壁またはエンドキャップに一体化した参照電極端子を備えたバッテリの1つの結果は、バッテリがより軽量に、より小型になり、そして、追加の電位漏れ経路が無いため、より耐久性のあるものになる。
【0065】
セル壁またはエンドキャップに一体化した参照電極端子を有する実施形態の他の利点は、電圧を測定するのに必要な構造の追加のフレキシビリティーである。これらの実施形態の参照端子は缶に電気接続されており、缶およびエンドキャップは導電性であるため、実際、缶またはエンドキャップでの何れのポイントも参照電極の電位を測定するために使用可能である。この特徴は、セル設計において著しいフレキシビリティーを提供する。実際、缶またはエンドキャップの表面のどこででも参照電極での電位が測定可能であるからである。
【0066】
ある実施形態は、缶と一体化した1つ又はそれ以上の参照電極を有する。参照電極が缶と電気接続されている実施形態において、缶全体が有効に参照端子になることができる。缶が有効に参照端子となる場合、缶はエンドキャップから電気絶縁して、電極を異なる電位に維持する必要がある。ガスケットは、セルエンドキャップと缶830との間の電気絶縁を提供する。適切なガスケットに関する更なる情報は、係属中の米国特許出願番号第11/515597号(発明の名称"BATTERY CELL DESIGN AND METHOD OF ITS CONSTRUCTION")で見つけられ、これは参照により全体として組み込まれる。
【0067】
図13は、正端子及び/又は負端子を缶から電気絶縁するために、本発明の1つ又はそれ以上の実施形態に従って使用可能なガスケットを含むエンドキャップの図である。図13A〜図13Cは、中心に位置する充填孔(40)を含む負側エンドキャップ(5)を示す。いったん組み立てられ、電力端子を構成する中空の孔リベット(45)によって少なくとも部分的に形状が定まると、充填孔はセルを活性化するために使用される。
【0068】
充填孔および電力端子の両方として、負側エンドキャップの中心位置の共用は、スペースの効率的な使用を提供し、バッテリ動作を妨害しない。充填孔(40)は、エンドキャップ面の中心に配置される。中心に配置された充填孔は、孔内に嵌め合いで配置され、セルの内部と連結するフィードスルー注入口(inlet)を提供する。電解質は、活性化の際、このフィードスルー注入口を通じて導入される。
【0069】
負側エンドキャップは、図13Aの分解図に示すように、構成部品を組み立てることによって構築される。上側ガスケット(44)は、エンドキャップ本体(43)の中に置かれ、これはガスケットを受け入れるための凹みを有してもよい。電力端子(45)として機能する中空の孔リベットは、上側ガスケット(44)の中に組み込まれる。リベット(45)のステム(45a)は、上側ガスケット(44)およびエンドキャップ本体(43)の両方の中心開口を通って延びている。このアセンブリを裏返して、シールガスケット(47)をガスケット(44)の上に挿入し、本体(43)の上に置く。図4Aに示すように、下側ガスケット(42)、シールガスケット(47)およびリベット裏当て円板(46)が組み立てられ、位置決めされる。延長タブ(41)がリベット(45)のステムに挿入される。圧着前の組み立て状態の構成部品を図13Bに示す。
【0070】
リベット(45)は、良好な耐食性および良好な溶接性のためにNiメッキ鋼でもよく、セル用の電力端子として機能する。リベット(45)の平坦ヘッドは、エンドキャップの外側面のある位置に延びており、中空ステム(45a)はセルの内側に延びている。それは、封止に役立つように加工した出っ張り(ledge)を備えた、その中心を通る充填孔と、対称的な形状と、バッテリ端子と充填孔との間のスペースと対称性を共有する中心配置のリベットステムとを含む。延長タブ(41)は、電力端子(45)をセルの内部活性アノード材料と接続する。下側ガスケット(42)は、延長タブ(41)を、異なる電位にあるエンドキャップ本体(43)との接触から保護する。本体(43)は、これに限定されないが、圧着および溶接の上記方法などの多くの方法によって、バッテリチューブ(不図示)またはセルのメイン本体に対して密閉封止される。上側ガスケット(44)は、電力端子(45)を、異なる電位にあるエンドキャップ本体(43)から絶縁している。リベット裏当て円板(46)は、強い押圧リベット取り付け力を本体(43)に作用させるのに役立つ。シールガスケット(47)は、押圧リベットの下で頑丈な封止を達成するのに役立つ。
【0071】
アセンブリ全体は、図13Cに示すように、リベット(45)のステムを押圧して変形させることによって一緒に圧着してもよく、部品の全てを一緒に締め付けて押圧リベット(48)を形成し、延長タブ(41)と電力端子(45)との間の良好な電気コンタクトを生成する。
【0072】
同じテクニックがセルの正端子を作成するために応用できる。しかしながら、セルの正端子では、リベット(45)、延長タブ(41)およびリベット裏当て円板(46)は、好ましくは、アルミニウム、アルミニウム合金または、正側セル電位で耐食性のある材料で構成される。こうした材料は、ステンレス鋼、モリブデン、ハステロイ(hastelloy)、または他の知られた耐食性合金を含んでもよい。
【0073】
当業者に容易に明らかなように、他の方法およびガスケットを採用してもよい。
【0074】
参照端子を缶と一体化する幾つかの実施形態において、缶から作動電極を電気絶縁するためのガスケット付きエンドキャップの追加は、一体化した参照端子に起因する節約を骨抜きにしない。ガスケット付きエンドキャップの重量、スペース要求、漏れ電位は、全て参照電極端子を収容する追加フィードスルーのものより小さく、これらの実施形態において一体化した参照端子の利益を保持できる。
【0075】
参照電極をバッテリに追加する場合の他の懸念は、参照電極は、作動セルから絶縁する必要がある点である。これは、典型的には、絶縁材料を、参照電極の周りまたは参照電極と作動電極との間に配置し、バッテリ内の構成部品を絶縁することを必要とする。缶壁またはエンドキャップの少なくとも一部にコートされた参照電極用の活性材料を有することによって、参照端子を缶またはエンドキャップと一体化した実施形態において、参照電極の活性材料を絶縁するプロセスは簡略化される。コートされた活性材料は、絶縁によって覆われている必要があるためである。
【0076】
参照端子を缶またはエンドキャップと一体化した実施形態における他の利点は、参照電極とバッテリ電解質との間のコンタクトを維持することである。これは、電解質は、缶およびエンドキャップの内側と流体接触しているためであり、ある実施形態において参照電極と接触することになる。
【0077】
さらに他の実施形態において、缶自体が疑似参照電極として機能してもよく、セル設計をさらに簡略化する。缶がアルミニウム、銅、ステンレス鋼またはチタンなどの金属である場合、缶は、参照電極として機能することが可能である。缶の内壁表面は、作動電極から缶の電気絶縁を提供するように、保護絶縁材料でコート可能である。缶の内壁をコートするのに使用できる例示の保護絶縁材料は、ポリイソブチレン、ポリオレフィン、エポキシなどのポリマー、またはアルミナ、ジルコニアなどのセラミックを含む。適切な接続は、缶の外壁に沿った何れのポイントでも可能であり、参照電極−負極の電位を測定できる回路を生成する。
【0078】
(参照電極の利点)
特定の参照電極の組み込みは、電気化学セルに対してある範囲の監視能力を提供する。参照電極によって得られる情報は、バッテリ監視システムに提供できる。電極電位の正確な測定は、セルの充電状態の正確な決定を可能にする。充電状態は、何れかの作動電極と参照電極との間の電位差に直接に相関があるためである。さらに、インピーダンスがSOCに依存するシステムでは、電極電位の正確な測定は、電極インピーダンスに関する情報も提供する。バッテリ監視システムは、これと他の情報、例えば、セル電圧、電流、温度などを使用して、個々の電気化学セルおよび全体のバッテリシステムの種々の機能を制御できる。従って、バッテリ管理システムは、充電状態を正確に監視し、この情報に基づいてバッテリの健康状態の管理を行うように発展可能である。1つ又はそれ以上の実施形態において、バッテリ管理システムは、負極電位を監視し、高レートの充電時にLi堆積を防止するように設けられる。他の実施形態において、バッテリ監視システムは、何れかの特定のSOCで印加される充電電流を最大化することによって、充電時間を最小化するように設けられる。
【0079】
(1.充電状態の決定)
充電状態(SOC)は、容量の百分率として定義され、バッテリは、バッテリが平衡状態で完全に放電された電圧下限と、バッテリが平衡状態で完全に充電された電圧上限との間を示す。こうして0% SOCは、完全放電状態に対応し、100% SOCは、完全充電状態に対応する。健康状態(SOH)は、電力およびエネルギーを配給するバッテリの現在の能力の指標であり、典型的には、セルインピーダンスおよび容量の変化に関連した情報を含む。
【0080】
2つの端子130,132の間に回路150または電気接続を生成することによって、ある電圧を正極と負極に印加できる。電圧は、正極の電位と負極の電位との間の差である。差は得られるが、単一電極の絶対値は測定できない。一般に、電極の一方または両方がSOCとともに電位の変化を示す場合、セル電圧は、電気化学セルのSOCを決定するのに適している。実際、SOCは、従来からこの方法で決定していいる。しかしながら、セル電圧は、セルの充電状態について貧弱な指標であるという状況がある。例えば、両方の電極が充電状態とともに電位変動を示し、セルは、一方または両方の電極の化学量論を時間とともに変化させる分解反応を受ける場合、セル電圧はもはや、電極の充電状態について信頼性のある指標ではない。一方または両方の作動電極における固有のヒステリシスは、セル電圧と充電状態との間の関係に不確実さをもたらすことがある。最後に、電流の通過によって誘導される分極は、セル電圧を変化させる。参照電極により、どの程度の分極が一方または他方の電極に帰属しているかを識別するのを可能にする。
【0081】
一方または両方の作動電極における固有のヒステリシスは、SOCを監視するために電圧を用いるという問題を生じさせ得る。これは、高いヒステリシスを持つ材料において、所定電圧でのSOCが充電及び/又は放電の履歴の関数となることがあるからである。参照電極の使用により、固有のヒステリシスを持つシステムは、参照電極に対して正極及び/又は負極の電位を別々に監視することによって、SOCをより正確に監視できる。これは、負極−参照電極または正極−参照電極の電位では全体のセル電圧よりもヒステリシスが少ないためであり、これは負極および正極の両方からヒステリシスへの関与を含んでいる。
【0082】
従って、ある実施形態では、正極及び/又は負極の電位は、参照電極を用いて決定または制御できる。ある実施形態では、参照電極においてその化学量論の関数としての電位変動が、負極または正極での電位変動よりはるかに安定しているように、参照電極を選択できる。幾つかの他の実施形態において、一方または両方の作動電極におけるSOCの関数としての電位変動は、参照電極における電位変動よりはるかに安定している。
【0083】
例えば、回路152を参照電極134と負極122の間に作成してもよく、参照電極は、負極よりも、その化学量論の関数としての電位変動がはるかに安定している。参照電極は、その安定性で選択されるため、電位の測定および変化が負極での状態を示すことができ、SOCは、この差を測定することによって決定できる。
【0084】
他の非限定の例として、回路を参照電極134と正極124の間に作成してもよく、参照電極は、正極よりも、SOCの関数としての電位変動がはるかに安定している。参照電極は、その安定性で選択されるため、電位の測定および変化が正極での状態を示すことができ、SOCは、この差を測定することによって決定できる。
【0085】
ある実施形態において、参照電極は、セル内部に、電位が最大で変化する場所、あるいは、望ましくない電位逸脱の結果が最も重大であるような場所に配置できる。例えば、電位、分極および温度が場所によって変化するような大型セルでは、参照電極は、こうした変動が最も極端である場所に配置してもよい。例えば、参照電極は、急速充電時にリチウムメッキが発生することがある、負極の活性エリアのすぐ外側に配置できる。
【0086】
幾つかの他の実施形態において、1つ又はそれ以上の参照電極は、電解質内での電気化学電位の空間変動を監視するために、単一セル内部のいろいろな場所に分布することができる。各参照電極は、独立した端子を有することになるであろう。
【0087】
(2.バッテリ管理システム)
上述のように、バッテリパックは、多数の電気化学セルと、バッテリ管理システムとを含むことができる。バッテリ管理システムは、温度、電流および電圧を監視するためのセンサと、安全なレベルの電圧および電流を維持する電圧コンバータおよびレギュレータ回路と、電力および情報をバッテリパックから出し入れする電気コネクタと、バッテリの現在の充電状態を推測するバッテリ充電状態モニタとを含むことができる。バッテリモニタは、バッテリパラメータに関連したデータを蓄積して、これをホストコンピュータへ送信することができる。バッテリモニタは、例えば、バッテリデータを保持するための1つ又はそれ以上のタイプのデジタルメモリおよび特殊なレジスタなど、アナログ回路およびデジタル回路の両方を組み込んだ混合信号集積回路を含むことができる。
【0088】
バッテリ管理システムによって監視可能な幾つかの例示のパラメータは、過充電(過電圧)、過放電(電圧不足)、過剰な充電電流および放電電流(過電流、短絡)、Liイオンバッテリシステムにおける特に重要な情報を含む。ある実施形態において、バッテリモニタは、有害な過充電および電流条件からバッテリを保護することによって、保護回路の幾つかの機能を持つことがてきる。
【0089】
図2は、バッテリシステムによって提供される一般的な機能性と、バッテリパックを監視し、バランスさせる方法を示す例示のブロック図である。バッテリパック102は、直列及び/又は並列で電気接続された、1つ又はそれ以上のエネルギー配給素子104(例えば、リチウムセル)を含むことができる。
【0090】
電圧監視モジュール106は、各エネルギー配給素子104と関連した電圧情報、状態を受け取って、電圧情報を分離し、電圧情報を、出力ポートを介してシステムコントローラ108に提供する。システムコントローラ108は、充電および放電時に各エネルギー配給素子104を評価して、何れか個々のエネルギー配給素子104に損傷状態の可能性があるか否かを決定する。例えば、充電の際、全体パック電圧が安全レベルを下回っている場合でも、個々のセルが安全電圧レベルに到達または超過しているかもしれない。同様に、放電の際、全体パック電圧が、その最小安全閾値を超えている場合でも、個々のセルが最小安全閾値より降下しているかもしれない。このような場合、システムコントローラ108が、個々のセル電圧が望ましくない値にあることを検出すると、システムコントローラ108は、バッテリパック102(または個々のセル)の充電または放電を中止することができる。
【0091】
バランス化モジュール110は、隣接セル対の相対電圧レベルを評価でき、隣接セル間の電荷を再配分して、対のセル電圧での差を緩和することができる。より詳細に後述するように、バランス化モジュール110は、セル対の他方が除去されたり切断した場合、一方のセルの過剰なセル放電を防止するための機能性を含むことができる。
【0092】
温度監視モジュール112は、バッテリパック102の温度に対応した情報を受け取る。温度情報は、バッテリパック内に配置された熱電対によって出力される電気信号の形態とすることができるが、温度情報は公知の他の形態をとってもよい。温度監視モジュール112は、温度情報をシステムコントローラ108へ提供する。温度監視モジュールは、他のバッテリパック(不図示)からの温度情報を受け取ってもよく、複数のバッテリパックからの温度情報をシステムコントローラ108へ提供する。本説明は、例示の目的だけであり、本発明を限定することは意図していない。
【0093】
(3.バッテリ充電監視)
図3は、充電の際にバッテリ(単一セルまたはバッテリパック)を監視するときの参照電極の使用を示す。バッテリを充電する際、正極は脱リチウム化され、負アノードはリチウム化され、所望の充電状態をセルに提供する。上述のように、所望の充電状態は、完全充電状態(100%)であったり、ある中間値(HEVの場合、40〜60%)であったり、バッテリ用途に依存する。
【0094】
特定の実施形態において、セルは、参照電極と、一対の作動電極とを含むことができ、ステップ310に示すように、負極と参照電極の電位差を測定するように構成できる。
【0095】
この情報は、コントローラに提供されて、情報は所定の電圧と比較できる。例えば、ステップ320に示すように、電圧センサは、負極と参照電極との間の電位差をコントローラに提供でき、この値は、アノードでリチウムメッキが発生する臨界閾値電圧と比較できる。ある実施形態において、臨界閾値は、ゼロ vs.Li/Li+より大きい値に設定される。作動電極と参照電極との間の抵抗が作動電極と参照電極との間の電位差の測定に影響を与えることがあるからである。このより高い閾値は、電解質と接触する負極表面での電位が、リチウム金属メッキを許容するほど充分に低くならないことを確保するのに役立つ。例として、比較的控えめな基準は、参照電極と負側電流コレクタの間の電圧が、0.01ボルト引く参照電極−Liの平衡電位に到達する前に、充電を終了させるかもしれない。他の例では、リチウムメッキが発生しない、参照電極と負側電流コレクタの間の電圧の下限が、実験的に決定できる。
【0096】
電位差が臨界閾値を超えている場合、何もせずに、システムは、負極での電位を監視続ける(矢印325)。
【0097】
電位差が臨界閾値またはそれより下回っている場合、コントローラは、セルの充電状態を点検し(ステップ330)、目標の充電状態に到達したか否かを決定する(ステップ340)。
【0098】
推測したSOCが目標のSOCと一致した場合、充電は完了したと考えられ、充電は終了できる(ステップ350)。
【0099】
一方、推測したSOCが目標のSOCより小さい場合、充電は続行できる。
【0100】
ある実施形態において、負極電位の更なる減少を回避して、リチウムメッキを回避するように、充電レートは下げることができる(ステップ360)。より高い充電レートは、電解質でのより大きな抵抗降下(ohmic drop)を生じさせ、リチウムメッキが発生する場合より電位を下げることがある。このことは、米国特許第7262979号により詳細に記載されおり、この内容は参照により全体としてここに組み込まれる。
【0101】
従って、充電しながら、負極と参照電極との間の電位差を監視することにより、リチウムメッキが発生する前に充電プロセスを終了させることが可能になる。
【0102】
(4.バッテリ充電時間の最適化)
図4は、充電時間を最小化するために参照電極を利用した本発明の他の実施形態を示す。何れか特定のSOCでバッテリを充電するために印加される充電電流は、リアルタイムで最適化でき、充電プロファイルは基本的に瞬時に調整可能である。参照電極は、バッテリ監視システムへ個々のセルのSOCについての瞬時のフィードバックを可能にし、充電プロトコルのリアルタイム調整を可能にする。これに対して従来の充電プロトコルは、電極での電位を測定することによって、充電の際、リアルタイムでは調整できない。
【0103】
ステップ410に示すように、電気化学セルは、負極と参照電極との間の電位差を測定するように構成できる。ステップ420に示すように、測定した電位差はコントローラへ提供され、この情報は他の情報と組み合わせられてセルの充電状態を推測する。推測した充電状態は、ステップ430において、予め保存した充電状態プロファイルと比較できる。充電状態(SOC)プロファイルは、コントローラ(または他の適切な媒体)の中に保存でき、所定の充電状態において最大許容充電レートを示すデータを含むことができる。最大許容充電レートは、多くの因子、例えば、負極で到達する電位、セル温度(過熱を回避するため)および他の安全因子などから決定できる。SOCプロファイルは、実験データ、例えば、SOCに伴う測定しまたは既知の負極での変動などを用いて生成してもよく、あるいは、負極でのリチウム拡散など、プロセスモデルを用いて計算してもよい。推測したSOCが目標SOCとほぼ等しい場合(ステップ440)、バッテリ充電は終了できる(ステップ450)。推測したSOCが目標SOCより小さい場合、充電レートは、上方または下方に調整してもよく、最適な安全動作および最適な充電レートの1つ又はそれ以上を提供する充電レートを維持して、充電時間を最小化する(ステップ460)。充電電流は、間欠的に上昇または低下させてもよく(パルス化)、異なる電流を生じさせるようにセル電位を決定する。
【0104】
従って、本発明のある実施形態は、充電ステップのリアルタイム調整を提供し、バッテリ充電時間を最小化している。例えば、PHEVパック用の充電時間は、充電電源へ連続的なフィードバックを行うことによって最小化できるであろう。最大許容充電レート(最大値は、種々の因子、例えば、安全性、分極などに基づいて決定してもよい)を全てのSOCで用いているため、最小充電時間は達成されるであろう。バッテリパック内の各セルを監視することによって、システムは、セルの製造ばらつきおよび製品使用中の変化を補償することが可能であろう。他の実施形態において、電位を望ましくない大きさに接近させるような、電解質または電極での濃度勾配の発生を回避するために、パルス充電および間欠的な電流反転を行ってもよい。このように参照電極により、最大許容充電レートの境界に接近させた動作が可能になる。
【0105】
(実施例)
本発明を下記の実施例で説明するが、これは例として提示するだけであって、本発明の限定を意図するものでない。
【0106】
(実施例1.Li参照電極を用いたLiイオン角柱セル)
角柱セルは、図5に示すように、負極522、セパレータ526、正極524を積み重ねることによって製作した。銅ワイヤ536は、先端を除いて絶縁されており、負極522に接近して(電気接触せずに)配置した。それは、アノード530の活性エリアとカソード532の間を除いて、セパレータ526で覆れていた。
【0107】
そして、リチウム金属534を銅ワイヤの露出端部で巻き付けた。セルは、電解質(カーボネイト溶媒の混合物中のLiPF6)で充填し、密閉封止した。セルは、室温で幾つかの条件付け(conditioning)サイクルを施して、テニー(Tenney)温度チャンバ内に置いて、−20℃にした。セルは、アービン(Arbin)バッテリ・サイクラー(cycler)でサイクル試験を行った。
【0108】
図6は、50%充電状態から異なる充電レート(0.3C,0.5C,0.7C,1C,1.5C)で充電し、続いて0.7Cのレートで50% SOCまで放電した時の、こうしたセルの電圧プロファイルを示す。グラフは、参照電極に対して測定した負極の電位(下側カーブ)と、セル電圧(正極−負極、上側カーブ)を示す。充電動作および放電動作時の電流は中央に示す。セルの充電を制御する参照電極の能力が実証されている。負極−参照電極の電位が、所定の限界(ここでは5mV)より低下した場合、バッテリ監視システムは、充電を終了させて、リチウムメッキを防止する。図6に示すように、初期の充電は、最大電位3.9Vを有していたが、連続的な放電/充電サイクルは、次第に小さい最大電位を示す。これは、そのポイント前に参照電極−負極が5mVに到達して、充電が終了したためである。
【0109】
図12は、充電状態を監視するための参照電極の利点を示す。セルは、完全に充電し、そして5%充電状態だけ放電した。各放電は2時間休み後である。セルが完全に放電した後、この手順を逆にして、セルは、5%充電状態の増分で充電した。2時間休みが間にある。図12は、セル電圧および参照電極−負極と時間の関係を示す(セルは、図の左側で100%充電状態、時間=160000秒で0%充電状態、そして、図の右側で100%充電状態である)。負極の電位は、充電状態に対して明確な関係を有する。参照電極の使用は、2つの利点を有する。第1に、負極での分極は、負極においてより速い拡散時定数のため、全体セル電圧よりも迅速に緩和する。従って、負極の分極は、その真の開放回路電圧により迅速に回復し、そして、電位と充電状態を相互に関連付けようした場合、分極の緩和からの誤差が小さい。第2の利点は、この特定の場合に、負極材料および正極材料の両方からヒステリシスへの関与を含む全体セル電圧よりも、負極−参照電極の電位でのヒステリシスが小さいことである。従って、ヒステリシスからの誤差は、充電状態を決定するために負極−参照電極電圧を用いた場合より低い。
【0110】
(実施例2.Li4Ti5O12(LTO)参照電極を用いたLiイオン角柱セル)
サンプルA:
Li4Ti5O12(LTO)、バインダーおよび導電添加剤のスラリーを、銅箔片のある領域にコートし、そして、スラリーを乾燥して、コーティングをカレンダー加工し、箔を狭いストリップに切断して、ストリップの一端がLTOでそれぞれコートされるようにして、参照電極を準備した。銅ストリップの未コート部分はテープで絶縁して、電解質接触に対するバリアを生成した。角柱セルは、実施例1に記載したように組み立てて、追加のステップとして、LTO参照電極と一致するサイズのリン酸鉄リチウムのパッチを備えたAl箔からなる第4電極を、LTO参照電極を覆うセパレータの上部に置いた。セルを電解質で充填し、密閉封止した後、補助リン酸鉄リチウム電極とLTO参照電極の間に電流を流して、LTO参照電極をその二相プラトー(plateau)に活性化した。Li4Ti5O12参照電極を活性化するために、参照端子と外部端子の間に閉じた回路を形成し、充分な電流が流れるようにすると、参照電極は、例えば、Li4Ti5O12に対して5〜150mAh/gの容量にリチウム化される。
【0111】
セルは、USABC(T. Q. Duong, J. Power Sources vol. 89 #2, 244 (2000))によって開発されたHPPC手順の下で試験した。この手順は、10%充電状態ごとに、バッテリの放電および充電インピーダンスを測定する。セル電圧および参照電極と負極との間の電圧(参照電極−負極)を図11に示す。セル電圧は、セパレータおよび正極からのインピーダンスを含み、一方、参照電極−負極電圧は、負極からのインピーダンスだけを含む。図11は、この特定セルにおいて、正極およびセパレータのインピーダンスが負極のインピーダンスよりかなり大きいことを示す。充電時の電圧変化は、参照電極−負極電圧よりもセル電圧においてかなり大きいためである。
【0112】
図14Aに示すように、円柱セル1410は、実施例2Aで説明したように、金属箔1425の上にLTO1420をコートすることによって準備した参照電極1415を用いて組み立てられる。金属箔1425の未コート部分はテープ1430で絶縁して、電解質接触に対するバリアを生成している。図14Bは、幾つかの実施形態に従って、缶1410の内面に直接堆積した参照電極1440を示す。
【0113】
サンプルB:
実施例1で説明したように、負極、セパレータおよび正極の多重繰り返しユニットを積み重ねることによって、角柱セルを製作する。実施例2Aで説明したように、LTOを金属箔、例えば、Ni,Cuまたはステンレス鋼の箔の上にコートすることによって、参照電極を準備する。LTOでコートされていない箔は、電解質、例えば、ポリウレタンに対して不浸透性の材料を用いて、それをコートすることによって絶縁される。参照電極のLTOコート領域は、電解質を毛管作用で運ぶ多孔性の絶縁材料、例えば、マイクロ多孔性のポリエチレン、絶縁セラミック粒子とバインダの混合物、例えば、Al2O3とPVDF、あるいは、バッテリセパレータに広く用いられる他の材料などで覆われる。そして、参照電極は、下部アノード層の端部に近接して配置される。セルは、電解質で充填され、密閉封止される。Li4Ti5O12参照電極を活性化するために、参照端子と外部端子の間に閉じた回路を形成し、充分な電流が流れるようにすると、参照電極は、例えば、Li4Ti5O12に対して5〜150mAh/gの容量にリチウム化される。
【0114】
(実施例3.参照電極端子としてセル缶を用いた円柱セル)
円柱セルは、図7に示すように、負極、セパレータ、正極の多重繰り返しユニットを巻くことによって製作される。
【0115】
例示のリチウムイオンバッテリは、カソードおよびアノードを有するバッテリエレメントを含み、これらは、バッテリ缶の中に一緒に堅く巻かれて配置されたマイクロ多孔性のセパレータによって絶縁される。典型的なスパイラル電極二次セルを図7に示す。二次セル715は、アノード電流コレクタの両面にコートされたアノード材料を含むアノードシート701と、セパレータ702と、カソード電流コレクタの両面にコートされたカソード材料を含むカソードシート703とを含む、これらはこの順序で積み重ねられ、スパイラル形態709を作成する。カソードシート703は、電流コレクタリード705を含み、アノードシート701は、電流コレクタリード707を含む。電解液が缶に追加される。
【0116】
参照電極を含む円柱セルは、図7と図8を参照して説明したように、組み立てられる。スパイラル巻きセル709は、バッテリ缶80の中に挿入される。バッテリセル缶は、上側および下側の溶接したエンドキャップを含む。セルの1次パッケージ(缶とエンドキャップ)缶は、アルミニウム合金からなる。溶接シールは、典型的には、レーザ溶接、または必要に応じて、超音波溶接、抵抗溶接、MIG溶接、TIG溶接などの他の金属接合法によって得られる。二重(上端および下端)溶接容器のエンドキャップは、缶壁より厚くてもよく、例えば、エンドキャップは、缶壁より約50%厚くてもよい。アノードリード705は、負極820と接続される。円柱セルは、一端部に配置された正極810と、他端部にある負極820と、浮遊電位(即ち、両方の電極から電気絶縁されている)にある鋼またはアルミニウムの円柱缶830とを含む。カソードリード705は、正端子810との電気コンタクトを提供し、アノードリード707は、負極820との電気コンタクトを提供する。
【0117】
第3端子をセルから出す必要のない参照電極を設けるには、参照電極材料840が缶の内壁に塗布され、缶の外側は参照端子として用いられ、これはもはや浮遊電位ではない。一例として、実施例2で説明したようなLi4Ti5O12(LTO)のスラリーをアルミニウム缶の内面に塗布し、缶の長さまたは外周の一部または全部に延びるラインの形状にする。他の例として、スラリーの小さい「パッチ」を、負端子近くの缶の内面に付着させる。参照電極は、電解質透過性のポリマーまたはファイバーのセパレータによって、巻き電極から電気絶縁される。これは、一例として、巻き電極上にある電気絶縁性の外側ラップでもよく、他の例では、参照電極の上に設けられた分離膜でもよい。Li4Ti5O12参照電極は、実施例2bで説明したように活性化される。ガスケット850は、端子810,820を缶830から電気絶縁する。
【0118】
第3端子をセルから出す必要のない参照電極を設けることは、上述したように、幾つかの利点がある。追加の密閉フィードスルーが参照電極用に必要としない。こうした追加のフィードスルーは、潜在的な電解質漏れ経路をシステムに追加し、追加スペースを要し、バッテリ重量を増加させであろう。参照電極材料を導電缶の内壁に設けた場合、参照端子としての缶の外部の使用は、セル設計を簡略化できる。
【0119】
(実施例4.参照電極/参照電極端子としてセル缶を用いた円柱セル)
円柱セルを、実施例3に説明したように製造した。正端子、負端子および缶は全て、端子と缶の間にある絶縁性ポリマーガスケットによって、互いに電気絶縁される。缶は、アルミニウムからなる。アルミニウムは、疑似参照電極として機能するものであり、疑似参照電極に達する正味電荷(net charge)がない限り、一定の電位を維持する。セル電圧は、負端子と正端子の間で測定される。さらに、缶と負端子の間の電圧は監視される。正端子と缶との間の電圧を監視することによって、あるいは、リード接続を切り換えることによって(最初に缶−負端子電圧を測定し、続いて負端子−缶電圧を測定する)、ゼロの正味電荷が維持できる。図10は、定格セル容量の0.2倍のレートで充電した時の測定した電圧を示す。缶は、疑似参照電極として機能し、充電の終わりでセル電圧の増加が正極の電位の増加によって引き起こされるが、負極の電位は、この低レート充電の終わりで一定であることを検出可能である。
【0120】
(実施例5.参照電極としてセルキャップ内の追加の第3端子を用いたセル)
図9に示すように、円柱セル910は、セルエンドキャップ930を通る参照電極端子920を用いて組み立てられる。この端子920は、エンドキャップ930およびエンドキャップを通過する端子から電気絶縁されている。セルの内側では、参照電極端子は、参照電極と電気接続される。一例として、参照電極は、Li4Ti5O12であり、実施例2,3に説明したように、組み立てられ電気絶縁され、アノードタブに近接したゼリーロール(jellyroll)の活性エリアに直接近接して位置決めされる。
【0121】
(実施例6.3つの電極セルを用いたバッテリ監視システム)
バッテリパックは、並列に接続された多重モジュールを含み、各モジュールは、一連の直列接続された円柱リチウムイオンセルからなり、前記セルは、ドープしたナノスケールのリン酸鉄リチウム・カソードと、カーボン・アノードと、実施例3で説明したようなチタン酸リチウム参照電極とを有する。各モジュールでの電気回路が、個々のセルのバランス化、故障検出、温度監視を実施するために用いれる。パック用のメイン監視システムは、モジュール故障信号集約、DCバス電圧および電流監視、パックの充電状態推測、モジュール・イネーブルと外部故障とステータスの報告、を実施する。チタン酸リチウム参照電極とカーボン負極の間の電圧V1、およびセル電圧は、各セルにおいて監視される。
【0122】
バッテリパックは、定電圧の電流制限DC電源を用いて各モジュールにつき10Aの電流上限で充電される。最大充電電流は、各モジュールにおいてセルのV1出力を用いて監視される。
【0123】
パックの充電の際、モジュール監視システムがモジュール内の全セルの初期SOCが85%未満であることを示す限り、バッテリパック内の各モジュールは、最初に10Aの電流で充電される。初期の充電状態は、セル開放回路条件下で特定の充電状態を特定のV1値で定義するルックアップテーブルに従って決定される。セルのSOCは、開放回路条件下で、電圧V1から定期的に決定される。モジュール内の何れか1つのセルのSOCが85%に到達すると、モジュールへの充電電流は7.5Aに減少する。90% SOCでは、モジュールへの電流は5Aに減少し、95% SOCでは、電流は1Aに減少する。モジュール充電電流は、直接接続セルの何れか1つのV1が1.55V(リチウムの正1.56VであるLTO参照電極の場合)を超えると、遮断される。
【0124】
過充電保護について、モジュール内の何れか1つのセルのV1が、充電中に10秒間、1.55Vを超えると、エラー条件がモジュールからメイン監視システムへ報告される。そして、システムは、モジュール故障を報告し、後の診断用に出来事を記録する。
【0125】
セルのバランス化も、出力V1を用いて行われる。各モジュール内の制御回路は、各セルのV1値を相互にバランスさせるように動作する。バランス回路は、26650型式の円柱セルの場合、各セルごとに約250mAの過剰充電電流を消費するように設計される。セルが同じV1を有する場合、バランス回路は、ゼロに落ち着く。
【0126】
各セルでのインピーダンス増加が定期的に監視され、データはモジュールまたはメイン監視システムで記録される。個々のセルインピーダンスは、電流パルスを用いて、直列接続セルの各モジュールを充電または放電し、セルのV1およびセル電圧の測定から正極および負極での電位降下を決定することによって監視される。充電電流または放電電流によって分割された電位降下は、各セルでの両電極に関するインピーダンス値を提供する。このデータは、パックの寿命期間に渡って定期的に記録される。
【0127】
パック診断について、診断読取機からの質問が下記情報を問い合わせて、バッテリパックから受け取る。
【0128】
・10秒 V1>1.55Vの基準に基づいた、現時点の故障モジュールの数(もしあれば)。
・他の警報または問題(バッテリインピーダンス、高温、高い充電電流など)
・温度履歴
・セル電圧履歴
・動作時間
・推測したインピーダンス(Ω)および、製造日からの増加(%)
【0129】
そして、下記のコマンドをバッテリパックに送信できる。
【0130】
・バランス化の許可(enable)
・バランス化の禁止(disenable)
・モジュール故障状態のリセット
・診断データ(履歴)のリセット
【0131】
(他の実施形態)
本発明について、その詳細な説明と関連して説明したが、上記説明は例示であって、添付の請求項の範囲によって定義される本発明の範囲を限定することを意図していないと理解すべきである。他の態様、利点および変形は、下記請求項の範囲内である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセパレータで分離された第1および第2作動電極を備え、第1作動電極は第1端子と電気接続され、第2作動電極は第2端子と電気接続されており、
さらに、1つ又はそれ以上の参照電極と、
作動電極および1つ又はそれ以上の参照電極を収容する缶とを備え、
缶は、第1端子および第2端子から電気絶縁され、1つ又はそれ以上の参照電極と電気接続されて1つ又はそれ以上の参照電極用の端子を提供するようにしたバッテリ。
【請求項2】
バッテリは、リチウムイオンバッテリであり、作動電極は、リチウム取り込みおよび放出が可能な電気活性材料を含む請求項1記載のバッテリ。
【請求項3】
バッテリは、巻き構造の円柱セルを備える請求項1記載のバッテリ。
【請求項4】
バッテリは、巻き構造または積層構造の角柱セルを備える請求項1記載のバッテリ。
【請求項5】
1つ又はそれ以上の参照電極は、Li/Li+に関して約1V〜約4Vのほぼ一定電圧を供給する多相存在が可能な電気活性材料で構成される請求項2記載のバッテリ。
【請求項6】
1つ又はそれ以上の参照電極は、バッテリの充電および充電状態の監視のためのバッテリ管理システムとの相互接続が可能である請求項2記載のバッテリ。
【請求項7】
1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極のクーロン容量の約0.001%足らずから、約20%と同程度までのクーロン容量を有する請求項2記載のバッテリ。
【請求項8】
1つ又はそれ以上の参照電極は、置換元素ありまたは置換元素無しの、チタン酸リチウム、リン酸遷移金属リチウム、リチウムマンガンスピネル、および、リチウムと金属、例えば、スズ、アルミニウム、アンチモンなどとの合金、からなるグループから選択される請求項2記載のバッテリ。
【請求項9】
1つ又はそれ以上の参照電極は、チタン酸リチウムを含む請求項2記載のバッテリ。
【請求項10】
1つ又はそれ以上の参照電極は、リン酸鉄リチウムを含む請求項2記載のバッテリ。
【請求項11】
バッテリは、バッテリパックを含む複数のバッテリのうちの1つである請求項2記載のバッテリ。
【請求項12】
1つ又はそれ以上の参照電極は、充電中のリチウムメッキに最も敏感である、バッテリ内のある場所に位置決めされる請求項2記載のバッテリ。
【請求項13】
1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極の間に配置される請求項2記載のバッテリ。
【請求項14】
1つ又はそれ以上の参照電極は、負極の端部にほぼ近接しており、多孔性の電気絶縁層によって負極との接触が防止されている請求項2記載のバッテリ。
【請求項15】
1つ又はそれ以上の参照電極のための活性材料は、缶の壁の少なくとも一部にコートされている請求項2記載のバッテリ。
【請求項16】
缶は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタンを含むグループからの金属で構成でき、缶は、参照電極および参照電極端子の両方を提供する請求項15記載のバッテリ。
【請求項17】
缶の露出した金属表面は、無孔性の電気絶縁コーティングでコートされる請求項15記載のバッテリ。
【請求項18】
第1および第2端子は、上側および下側カバープレートにそれぞれ配置される請求項2記載のバッテリ。
【請求項19】
第1および第2端子は、ガスケットを介して缶から電気絶縁されている請求項18記載のバッテリ。
【請求項20】
1つ又はそれ以上の参照電極は、電気化学的に不活性な多孔性の電気絶縁材料に包まれている請求項2記載のバッテリ。
【請求項21】
多孔性の電気絶縁材料は、バッテリ電解質によって濡れている請求項20記載のバッテリ。
【請求項22】
請求項2記載のリチウムイオンバッテリを設置することを含む電力供給方法。
【請求項23】
1つ又はそれ以上の参照電極をバッテリ管理システムと相互接続することと、
バッテリを充電することと、
充電状態を監視することとをさらに含む請求項22記載の方法。
【請求項24】
繰り返し電圧測定の間に、1つ又はそれ以上の参照電極を二相化学量論の範囲内に維持することをさらに含み、
この維持は、電圧測定時に流れる電流を補償することによって生ずる請求項22記載の方法。
【請求項25】
補償は、参照電極−負極と正極−参照電極との間で測定を切り換えることによって生ずる請求項24記載の方法。
【請求項26】
補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と1つ又はそれ以上の作動電極との間の電圧リードの接続を周期的にスイッチングすることによって生ずる請求項24記載の方法。
【請求項27】
補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と正極または負極との間に、電圧測定時に流れる電流の量によって決定される電流の方向および量で、電流を周期的に流すことによって生ずる請求項24記載の方法。
【請求項28】
正極及び/又は負極は、1mVより大きい固有のヒステリシスを有する材料で構成される請求項2記載のバッテリ。
【請求項29】
(a)電気接続された1つ又はそれ以上のリチウムイオンセルと、
(b)バッテリ管理システムとを備えたリチウムイオンバッテリシステムであって、
各セルは、セパレータ膜で分離された第1および第2作動電極を備え、作動電極は、リチウム取り込みおよび放出が可能であり、第1作動電極は、第1電流コレクタ上の第1電気活性層を含み、第2作動電極は、第2電流コレクタ上の第2電気活性層を含み、
各セルは、1つ又はそれ以上の参照電極を備え、各参照電極は、作動電極から電気絶縁されており、セルから出て、電気的測定用の追加端子を提供する分離タブまたは電流コレクタを有しており、
バッテリ管理システムは、バッテリ充電状態モニタを備え、前記モニタは、作動電極の電位差および、1つ又はそれ以上の作動電極と1つ又はそれ以上の参照電極の間の電位に関する情報を受け取るように動作可能である、リチウムイオンバッテリシステム。
【請求項30】
1つ又はそれ以上の参照電極は、Li/Li+に関して約1V〜約4Vのほぼ一定電圧を供給する多相存在が可能な電気活性材料で構成される請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項31】
1つ又はそれ以上の参照電極は、チタン酸リチウム、リン酸遷移金属リチウム、リチウムマンガンスピネル、および、リチウムと金属、例えば、スズ、アルミニウム、アンチモンなどとの合金、からなるグループから選択される請求項30記載のバッテリシステム。
【請求項32】
1つ又はそれ以上の参照電極は、充電中のリチウムメッキに最も敏感であるセル位置に位置決めされる請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項33】
1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極の間に配置される請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項34】
1つ又はそれ以上の参照電極は、負極の端部に直接近接しており、多孔性の電気絶縁層によって負極との接触が防止されている請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項35】
1つ又はそれ以上の参照電極は、多孔性のポリオレフィンセパレータによって封入されている請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項36】
1つ又はそれ以上の参照電極は、セラミック粒子とバインダとの混合物からなる多孔性の絶縁コーティングによってコートされており、
前記セラミック粒子は、SiO2,Al2O3,MgO,TiO2または他の電気絶縁セラミック材料からなり、
前記バインダは、ポリ(二フッ化ビニリデン),ポリ(テトラフルオロエチレン),ポリ(エチレン),ポリ(エチレンオキシド),ポリ(メチルメタクリレート),ラテックスゴム,カルボキシメチルセルロース,または他のポリマーからなる請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項37】
1つ又はそれ以上の参照電極に接続された全ての金属は、活性参照電極材料で直接覆われた金属を除いて、無孔性の電気絶縁コーティングを用いて絶縁されている請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項38】
多孔性絶縁層は、5〜100マイクロメータの厚さを有する請求項34記載のバッテリシステム。
【請求項39】
1つ又はそれ以上の参照電極は、1つ又はそれ以上の参照電極周りの絶縁層の表面が正極および負極を分離するセパレータと接触するように、作動電極と近接して配置される請求項34記載のバッテリシステム。
【請求項40】
バッテリは、円柱状、角柱状または袋状のバッテリである請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項41】
温度及び/又は電流を監視するためのセンサをさらに含む請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項42】
充電状態モニタは、過充電、過放電、過剰な充電電流、過剰な放電電流を含むグループから選択される1つ又はそれ以上のパラメータが監視可能である請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項43】
バランス化モジュールをさらに備える請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項44】
1つ又はそれ以上のリチウムイオンセルは、セル対を備え、
バランス化モジュールは、隣接するセル対の相対電圧レベルを評価することができ、隣接セル対の間で電荷を再配分して、対のセル電圧の差を緩和するものである請求項43記載のバッテリシステム。
【請求項45】
コントローラをさらに備える請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項46】
コントローラは、1つ又はそれ以上のセルの充電レートを増加及び/又は低下できるものである請求項45記載のバッテリシステム。
【請求項47】
1つ又はそれ以上の参照電極により、個々のセルの充電状態をバッテリ管理システムへほぼ瞬時にフィードバックすることが可能である請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項48】
バッテリ管理システムは、少なくとも1つのセルの充電プロトコルをほぼリアルタイムで調整可能である請求項47記載のバッテリシステム。
【請求項49】
システムは、充電状態を推測可能である請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項50】
システムは、推測した充電状態を目標の充電状態と比較可能であり、
バッテリ管理システムは、少なくとも1つのセルの充電レートを上向きまたは下向きに調整可能である請求項49記載のバッテリシステム。
【請求項51】
リチウムイオンバッテリ内のリチウムメッキを回避する方法であって、
リチウムイオンバッテリの充電中に、参照電極に対する負極の電位を測定することと、
測定した電位とリチウム金属のメッキに関連した臨界電位とを比較することと、
リチウムイオンバッテリの充電条件を調整して、負極でのリチウムメッキを防止またはリスクを低減することとを含む方法。
【請求項52】
充電を調整することは、充電を終了させることを含む請求項51記載の方法。
【請求項53】
充電を調整することは、充電レートを変更することを含む請求項51記載の方法。
【請求項54】
充電の際、いずれか特定のSOCで印加される充電電流を最大化することによって、リチウムイオンバッテリの充電時間を最小化する方法であって、
ある充電レートを有するバッテリ充電中に、参照電極に対する負極の電位を測定すること、
バッテリの充電状態を決定することと、
測定した充電状態と充電状態プロファイルとを比較することと、
充電レートを上向きまたは下向きに調整して、実際の充電レートを、最適安全動作および最適充電レートの1つ又はそれ以上を提供する所定の範囲内に維持して、充電時間を最小化することとを含む方法。
【請求項55】
缶とセルの何れかの端子との間の電気接続が存在するか否かを決定する方法であって、
缶の内側に、何れかの端子とは異なる酸化還元電位を有し、電位差は0.2Vより大きい材料を塗布することと、
少なくとも1つの端子と缶との間の電圧を測定することとを含む方法。
【請求項56】
電力を供給する方法であって、
請求項29記載のリチウムイオンバッテリシステム、請求項43記載のリチウムイオンバッテリシステム、請求項45記載のリチウムイオンバッテリシステム、および請求項47記載のリチウムイオンバッテリシステムからなるグループから選択されたリチウムイオンバッテリシステムを実装することを含む方法。
【請求項57】
リチウムイオンバッテリは、請求項29記載のリチウムイオンバッテリシステムであって、
過充電、過放電、過剰な充電電流、過剰な放電電流を含むグループから選択される1つ又はそれ以上のパラメータを監視することをさらに含む請求項56記載の方法。
【請求項58】
リチウムイオンバッテリは、請求項43記載のリチウムイオンバッテリシステムであって、
隣接するセル対の相対電圧レベルを評価することと、
隣接セル対の間で電荷を再配分して、対のセル電圧の差を緩和することとをさらに含む請求項56記載の方法。
【請求項59】
リチウムイオンバッテリは、請求項45記載のリチウムイオンバッテリシステムであって、
1つ又はそれ以上のセルの充電レートを増加及び/又は低下させることをさらに含む請求項56記載の方法。
【請求項60】
リチウムイオンバッテリは、請求項47記載のリチウムイオンバッテリシステムであって、
少なくとも1つのセルの充電プロトコルをほぼリアルタイムで調整することをさらに含む請求項56記載の方法。
【請求項61】
リチウムイオンバッテリは、請求項29記載のリチウムイオンバッテリシステムであって、
充電状態を推測することをさらに含む請求項56記載の方法。
【請求項1】
少なくとも1つのセパレータで分離された第1および第2作動電極を備え、第1作動電極は第1端子と電気接続され、第2作動電極は第2端子と電気接続されており、
さらに、1つ又はそれ以上の参照電極と、
作動電極および1つ又はそれ以上の参照電極を収容する缶とを備え、
缶は、第1端子および第2端子から電気絶縁され、1つ又はそれ以上の参照電極と電気接続されて1つ又はそれ以上の参照電極用の端子を提供するようにしたバッテリ。
【請求項2】
バッテリは、リチウムイオンバッテリであり、作動電極は、リチウム取り込みおよび放出が可能な電気活性材料を含む請求項1記載のバッテリ。
【請求項3】
バッテリは、巻き構造の円柱セルを備える請求項1記載のバッテリ。
【請求項4】
バッテリは、巻き構造または積層構造の角柱セルを備える請求項1記載のバッテリ。
【請求項5】
1つ又はそれ以上の参照電極は、Li/Li+に関して約1V〜約4Vのほぼ一定電圧を供給する多相存在が可能な電気活性材料で構成される請求項2記載のバッテリ。
【請求項6】
1つ又はそれ以上の参照電極は、バッテリの充電および充電状態の監視のためのバッテリ管理システムとの相互接続が可能である請求項2記載のバッテリ。
【請求項7】
1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極のクーロン容量の約0.001%足らずから、約20%と同程度までのクーロン容量を有する請求項2記載のバッテリ。
【請求項8】
1つ又はそれ以上の参照電極は、置換元素ありまたは置換元素無しの、チタン酸リチウム、リン酸遷移金属リチウム、リチウムマンガンスピネル、および、リチウムと金属、例えば、スズ、アルミニウム、アンチモンなどとの合金、からなるグループから選択される請求項2記載のバッテリ。
【請求項9】
1つ又はそれ以上の参照電極は、チタン酸リチウムを含む請求項2記載のバッテリ。
【請求項10】
1つ又はそれ以上の参照電極は、リン酸鉄リチウムを含む請求項2記載のバッテリ。
【請求項11】
バッテリは、バッテリパックを含む複数のバッテリのうちの1つである請求項2記載のバッテリ。
【請求項12】
1つ又はそれ以上の参照電極は、充電中のリチウムメッキに最も敏感である、バッテリ内のある場所に位置決めされる請求項2記載のバッテリ。
【請求項13】
1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極の間に配置される請求項2記載のバッテリ。
【請求項14】
1つ又はそれ以上の参照電極は、負極の端部にほぼ近接しており、多孔性の電気絶縁層によって負極との接触が防止されている請求項2記載のバッテリ。
【請求項15】
1つ又はそれ以上の参照電極のための活性材料は、缶の壁の少なくとも一部にコートされている請求項2記載のバッテリ。
【請求項16】
缶は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタンを含むグループからの金属で構成でき、缶は、参照電極および参照電極端子の両方を提供する請求項15記載のバッテリ。
【請求項17】
缶の露出した金属表面は、無孔性の電気絶縁コーティングでコートされる請求項15記載のバッテリ。
【請求項18】
第1および第2端子は、上側および下側カバープレートにそれぞれ配置される請求項2記載のバッテリ。
【請求項19】
第1および第2端子は、ガスケットを介して缶から電気絶縁されている請求項18記載のバッテリ。
【請求項20】
1つ又はそれ以上の参照電極は、電気化学的に不活性な多孔性の電気絶縁材料に包まれている請求項2記載のバッテリ。
【請求項21】
多孔性の電気絶縁材料は、バッテリ電解質によって濡れている請求項20記載のバッテリ。
【請求項22】
請求項2記載のリチウムイオンバッテリを設置することを含む電力供給方法。
【請求項23】
1つ又はそれ以上の参照電極をバッテリ管理システムと相互接続することと、
バッテリを充電することと、
充電状態を監視することとをさらに含む請求項22記載の方法。
【請求項24】
繰り返し電圧測定の間に、1つ又はそれ以上の参照電極を二相化学量論の範囲内に維持することをさらに含み、
この維持は、電圧測定時に流れる電流を補償することによって生ずる請求項22記載の方法。
【請求項25】
補償は、参照電極−負極と正極−参照電極との間で測定を切り換えることによって生ずる請求項24記載の方法。
【請求項26】
補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と1つ又はそれ以上の作動電極との間の電圧リードの接続を周期的にスイッチングすることによって生ずる請求項24記載の方法。
【請求項27】
補償は、1つ又はそれ以上の参照電極と正極または負極との間に、電圧測定時に流れる電流の量によって決定される電流の方向および量で、電流を周期的に流すことによって生ずる請求項24記載の方法。
【請求項28】
正極及び/又は負極は、1mVより大きい固有のヒステリシスを有する材料で構成される請求項2記載のバッテリ。
【請求項29】
(a)電気接続された1つ又はそれ以上のリチウムイオンセルと、
(b)バッテリ管理システムとを備えたリチウムイオンバッテリシステムであって、
各セルは、セパレータ膜で分離された第1および第2作動電極を備え、作動電極は、リチウム取り込みおよび放出が可能であり、第1作動電極は、第1電流コレクタ上の第1電気活性層を含み、第2作動電極は、第2電流コレクタ上の第2電気活性層を含み、
各セルは、1つ又はそれ以上の参照電極を備え、各参照電極は、作動電極から電気絶縁されており、セルから出て、電気的測定用の追加端子を提供する分離タブまたは電流コレクタを有しており、
バッテリ管理システムは、バッテリ充電状態モニタを備え、前記モニタは、作動電極の電位差および、1つ又はそれ以上の作動電極と1つ又はそれ以上の参照電極の間の電位に関する情報を受け取るように動作可能である、リチウムイオンバッテリシステム。
【請求項30】
1つ又はそれ以上の参照電極は、Li/Li+に関して約1V〜約4Vのほぼ一定電圧を供給する多相存在が可能な電気活性材料で構成される請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項31】
1つ又はそれ以上の参照電極は、チタン酸リチウム、リン酸遷移金属リチウム、リチウムマンガンスピネル、および、リチウムと金属、例えば、スズ、アルミニウム、アンチモンなどとの合金、からなるグループから選択される請求項30記載のバッテリシステム。
【請求項32】
1つ又はそれ以上の参照電極は、充電中のリチウムメッキに最も敏感であるセル位置に位置決めされる請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項33】
1つ又はそれ以上の参照電極は、作動電極の間に配置される請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項34】
1つ又はそれ以上の参照電極は、負極の端部に直接近接しており、多孔性の電気絶縁層によって負極との接触が防止されている請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項35】
1つ又はそれ以上の参照電極は、多孔性のポリオレフィンセパレータによって封入されている請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項36】
1つ又はそれ以上の参照電極は、セラミック粒子とバインダとの混合物からなる多孔性の絶縁コーティングによってコートされており、
前記セラミック粒子は、SiO2,Al2O3,MgO,TiO2または他の電気絶縁セラミック材料からなり、
前記バインダは、ポリ(二フッ化ビニリデン),ポリ(テトラフルオロエチレン),ポリ(エチレン),ポリ(エチレンオキシド),ポリ(メチルメタクリレート),ラテックスゴム,カルボキシメチルセルロース,または他のポリマーからなる請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項37】
1つ又はそれ以上の参照電極に接続された全ての金属は、活性参照電極材料で直接覆われた金属を除いて、無孔性の電気絶縁コーティングを用いて絶縁されている請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項38】
多孔性絶縁層は、5〜100マイクロメータの厚さを有する請求項34記載のバッテリシステム。
【請求項39】
1つ又はそれ以上の参照電極は、1つ又はそれ以上の参照電極周りの絶縁層の表面が正極および負極を分離するセパレータと接触するように、作動電極と近接して配置される請求項34記載のバッテリシステム。
【請求項40】
バッテリは、円柱状、角柱状または袋状のバッテリである請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項41】
温度及び/又は電流を監視するためのセンサをさらに含む請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項42】
充電状態モニタは、過充電、過放電、過剰な充電電流、過剰な放電電流を含むグループから選択される1つ又はそれ以上のパラメータが監視可能である請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項43】
バランス化モジュールをさらに備える請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項44】
1つ又はそれ以上のリチウムイオンセルは、セル対を備え、
バランス化モジュールは、隣接するセル対の相対電圧レベルを評価することができ、隣接セル対の間で電荷を再配分して、対のセル電圧の差を緩和するものである請求項43記載のバッテリシステム。
【請求項45】
コントローラをさらに備える請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項46】
コントローラは、1つ又はそれ以上のセルの充電レートを増加及び/又は低下できるものである請求項45記載のバッテリシステム。
【請求項47】
1つ又はそれ以上の参照電極により、個々のセルの充電状態をバッテリ管理システムへほぼ瞬時にフィードバックすることが可能である請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項48】
バッテリ管理システムは、少なくとも1つのセルの充電プロトコルをほぼリアルタイムで調整可能である請求項47記載のバッテリシステム。
【請求項49】
システムは、充電状態を推測可能である請求項29記載のバッテリシステム。
【請求項50】
システムは、推測した充電状態を目標の充電状態と比較可能であり、
バッテリ管理システムは、少なくとも1つのセルの充電レートを上向きまたは下向きに調整可能である請求項49記載のバッテリシステム。
【請求項51】
リチウムイオンバッテリ内のリチウムメッキを回避する方法であって、
リチウムイオンバッテリの充電中に、参照電極に対する負極の電位を測定することと、
測定した電位とリチウム金属のメッキに関連した臨界電位とを比較することと、
リチウムイオンバッテリの充電条件を調整して、負極でのリチウムメッキを防止またはリスクを低減することとを含む方法。
【請求項52】
充電を調整することは、充電を終了させることを含む請求項51記載の方法。
【請求項53】
充電を調整することは、充電レートを変更することを含む請求項51記載の方法。
【請求項54】
充電の際、いずれか特定のSOCで印加される充電電流を最大化することによって、リチウムイオンバッテリの充電時間を最小化する方法であって、
ある充電レートを有するバッテリ充電中に、参照電極に対する負極の電位を測定すること、
バッテリの充電状態を決定することと、
測定した充電状態と充電状態プロファイルとを比較することと、
充電レートを上向きまたは下向きに調整して、実際の充電レートを、最適安全動作および最適充電レートの1つ又はそれ以上を提供する所定の範囲内に維持して、充電時間を最小化することとを含む方法。
【請求項55】
缶とセルの何れかの端子との間の電気接続が存在するか否かを決定する方法であって、
缶の内側に、何れかの端子とは異なる酸化還元電位を有し、電位差は0.2Vより大きい材料を塗布することと、
少なくとも1つの端子と缶との間の電圧を測定することとを含む方法。
【請求項56】
電力を供給する方法であって、
請求項29記載のリチウムイオンバッテリシステム、請求項43記載のリチウムイオンバッテリシステム、請求項45記載のリチウムイオンバッテリシステム、および請求項47記載のリチウムイオンバッテリシステムからなるグループから選択されたリチウムイオンバッテリシステムを実装することを含む方法。
【請求項57】
リチウムイオンバッテリは、請求項29記載のリチウムイオンバッテリシステムであって、
過充電、過放電、過剰な充電電流、過剰な放電電流を含むグループから選択される1つ又はそれ以上のパラメータを監視することをさらに含む請求項56記載の方法。
【請求項58】
リチウムイオンバッテリは、請求項43記載のリチウムイオンバッテリシステムであって、
隣接するセル対の相対電圧レベルを評価することと、
隣接セル対の間で電荷を再配分して、対のセル電圧の差を緩和することとをさらに含む請求項56記載の方法。
【請求項59】
リチウムイオンバッテリは、請求項45記載のリチウムイオンバッテリシステムであって、
1つ又はそれ以上のセルの充電レートを増加及び/又は低下させることをさらに含む請求項56記載の方法。
【請求項60】
リチウムイオンバッテリは、請求項47記載のリチウムイオンバッテリシステムであって、
少なくとも1つのセルの充電プロトコルをほぼリアルタイムで調整することをさらに含む請求項56記載の方法。
【請求項61】
リチウムイオンバッテリは、請求項29記載のリチウムイオンバッテリシステムであって、
充電状態を推測することをさらに含む請求項56記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【公表番号】特表2010−539657(P2010−539657A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525072(P2010−525072)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/076427
【国際公開番号】WO2009/036444
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(505239219)エイ 123 システムズ,インク. (24)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/076427
【国際公開番号】WO2009/036444
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(505239219)エイ 123 システムズ,インク. (24)
【Fターム(参考)】
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