説明

健康補助食品

【課題】本願発明は、人間の身体にストレスが掛かっている場合であっても2型糖尿病に対して予防効果がある健康補助食品を提供する。
【解決手段】
本発明によれば、γ-オリザノール及びGABA(γ-アミノ酪酸)を主成分としたサプリメントを提供するものであり、このサプリメントを経口摂取することにより、2型糖尿病への予防効果があり、例えば、ストレスを受けている状況であってもその予防効果はそれほど低下することなく効果が期待できるものである。また、本発明によるサプリメントは、そのほとんどを植物性由来の材料から製造してあるので、健康や食品の安全性に敏感な利用客に安心感を与えるものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康維持や成人病予防に有用な健康補助食品(サプリメント)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、健康維持や成人病予防に有用な健康補助食品(サプリメント)としては、例えば、特許文献1のものが知られている。このものは、高齢化社会における健康維持や成人病予防などへの関心の高まりを背景に、米糠又は米胚芽に含まれた健康維持や成人病予防などに効果のある人間の代謝において有効成分を複数含ませた健康補助食品である。すなわち、この健康補助食品は、米糠又は米胚芽から得られるビタミンE群、ステロイド類、スクワレン、γ−オリザノール、スフィンゴ脂質、フィンゴ糖脂質、精製米由来炭化水素油、レシチンの高濃度含有画分から選ばれる少なくとも3成分以上を配合し、更に、これに加えて、米糠又は米胚芽等から得られるGABA(γ-アミノ酪酸)、フェルラ酸、フィチン酸、イノシトール、アントシアニジンおよびそのオリゴマー、アントシアニンおよびそのオリゴマー、高度精製ポリフェノール類、ビタミンB群の高濃度含有両分から選ばれる少なくとも1成分以上を配合したものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−245419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のものは、健康維持や成人病予防などに効果を奏するものとの記載はあるものの、例えば、人間の身体に精神的緊張感や気分障害などのストレスを感じている場合においても2型糖尿病に効果を奏する成分等についての示唆や開示はされていないものであった。また、現代社会においては、精神的緊張感や気分障害などのストレスを感じている人が多い。そこで、本発明者らは、人間の身体に蓄積等されたストレスが2型糖尿病の予防効果を阻害しているという課題を見出し、これに着目して、前記ストレスが掛かっている場合であっても2型糖尿病への予防効果のある健康補助食品を提供することが望まれると考え、本発明に至った。
そこで、本願発明は、上記問題点にかんがみ、人間の身体にストレスが掛かっている場合であっても2型糖尿病に対して予防効果がある健康補助食品を提供することを技術的課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1により、
人間の代謝において有効なγ-オリザノール及びγ-アミノ酪酸を主成分とした健康補助食品を提供する。
【0006】
また、請求項2により、前記健康補助食品は、前記γ-オリザノールを濃縮した米胚芽油と、前記γ-アミノ酪酸を濃縮した米胚芽発酵粉末とを主成分としてなるものとするとよい。
【0007】
さらに、請求項3により、前記健康補助食品は、前記γ-オリザノールを濃縮した米胚芽油及びγ-アミノ酪酸を濃縮した米胚芽発酵粉末のほか、米油、植物性由来の造粘剤及び植物性由来のソフトカプセル皮膜素材の材料からなるソフトカプセル状とするとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、人間の代謝において有効なγ-オリザノール及びγ-アミノ酪酸(GABA)を主成分とした健康補助食品(サプリメント)を提供するものであり、このサプリメントを経口摂取することにより、2型糖尿病への予防効果があり、例えば、人間の身体にストレスが掛かっている場合であってもその予防効果は、それほど低下・阻害されることなく期待できる。また、本発明によるサプリメントは、そのほとんどが植物性由来の材料から製造してあるので、健康や食品の安全性に敏感な利用客に安心感を与えるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】マウス実験による、γ-オリザノール成分及び/又はγ-アミノ酪酸成分の飼料摂取による血中のアディポネクチンレベルの変化の相違を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の健康補助食品について説明する。
【0011】
本発明の健康補助食品は、人間の代謝において有効な成分であるγ-オリザノール及びGABA(γ-アミノ酪酸)を主成分としたサプリメントであり、人間が身体にストレスを受けている状況であっても2型糖尿病にかかる予防効果があるものである。
【0012】
γ-オリザノール:
本発明に用いるγ-オリザノールとしては、米胚芽から抽出した米油に含まれるγ-オリザノールの濃縮物を使用する。γ-オリザノールは、人間の体内に経口摂取すると腸管から吸収され、この後、直接あるいは肝臓を介して内蔵脂肪組織に届き、そこで白色脂肪細胞のアディポネクチン分泌を促進させる作用がある。アディポネクチンは、健常成人においては、約5〜10μg/mlの濃度で血中に存在するが、前述のようにγ-オリザノールを摂取すると血中のアディポネクチンの分泌が促進され、これにより、筋肉や肝臓で脂肪が燃焼されて、コレステロールの低減や脳の機能劣化防止などの生理作用を奏し、2型糖尿病の改善予防作用や抗動脈硬化作用を奏する。一方、肥満を来たす高脂肪食や運動不足などの生活習慣を送っていると、脂肪細胞が肥大化や増加してアディポネクチンの量が減少するが、前記γ-オリザノールの体内への摂取により、アディポネクチンの量の減少を抑制することができる。
【0013】
GABA(γ-アミノ酪酸):
本発明に用いるγ-アミノ酪酸としては、γ-アミノ酪酸によって濃度を高めた米胚芽発酵粉末(天然素材)を使用する。γ-アミノ酪酸は、人間の体内に経口摂取すると、脳血流の活発化や脳細胞の代謝機能促進などを介して高血圧の改善、記憶障害の改善、意欲低下の改善などの生理作用効果がある。
【0014】
マウス実験:
マウス実験により、ストレスを与えたときと、ストレスを与えてないときの2型糖尿病の予防効果を確認した。マウスは、c57BL/6jを用いた。飼料は、γ-アミノ酪酸を含んだ胚芽抽出物に、γ-オリザノールを任意量混合したものとした。そして、このγ-アミノ酪酸とγ-オリザノールとを含んだ飼料を数匹の前記マウスに与えながら、ストレスを掛けた状態での飼育と、ストレスを掛けない状態での飼育とを行い、3週間後の2型糖尿病の予防効果を確認した。マウスへのストレスの与え方は過密飼育とし、マウスにストレスを与えない方は、一匹のマウスで単独飼育することとした。また、効果の比較を行うため、γ-オリザノール単独の飼料とγ-アミノ酪酸単独の飼料とをそれぞれ準備し、飼育を行った。
【0015】
上記マウス実験による効果の確認の結果を図1に示した。2型糖尿病の予防効果の確認は、血中のアディポネクチンの量(レベル)の対比によって行った。これについて、図1に示したように、基準(コントロール)は、上記本願発明の飼料を与えないで通常の飼料で飼育した場合でのマウスの血中におけるアディポネクチンの量(レベル)において、ストレスを与えないときの値1.0をストレスなしの基準値(コントロール)とし、ストレスを与えたときの値0.78をストレスありの基準値(コントロール)とした。そして、まず、γ-オリザノール単独飼料での飼育の場合、ストレスを与えない場合のアディポネクチンのレベルは1.75で、ストレスを与えた場合のアディポネクチンのレベルは0.96と低下している。また、γ-アミノ酪酸単独飼料での飼育の場合、ストレスを与えない場合のアディポネクチンのレベルは1.21で、ストレスを与えた場合のアディポネクチンのレベルは1.12と低下している。さらに、本願発明であるγ-オリザノールとγ-アミノ酪酸との混合飼料での飼育の場合、ストレスを与えない場合のアディポネクチンのレベルは3.14で、ストレスを与えた場合のアディポネクチンのレベルは2.78と低下している。
【0016】
以上の結果から判るように、γ-オリザノールとγ-アミノ酪酸とを混合した飼料での飼育では、ストレスを与えた場合のアディポネクチンのレベルは、ストレスを与えなかった場合のレベルよりも低下しているものの、γ-オリザノール単独飼料で飼育した場合及びγ-アミノ酪酸単独飼料で飼育した場合(ストレスの有無に関らず)のアディポネクチンのレベルよりも高いことが判る。これは、飼料に、γ-オリザノールとγ-アミノ酪酸とを混合させたことによる相乗効果であって、γ-アミノ酪酸にストレスを緩和させる作用があり、アディポネクチンのレベル低下を防いでいるものと推測される。よって、γ-オリザノールとγ-アミノ酪酸とを混合した飼料は、マウス実験において2型糖尿病に対する予防効果がある有効な成分の組合せであることを意味している。
【0017】
以上のマウス実験の結果から、人体の場合においても、γ-オリザノール及びGABA(γ-アミノ酪酸)を主成分としたサプリメントを経口摂取することにより、2型糖尿病の予防効果があり、ストレスを受けている状況であってもその予防効果は、それほど低下することなくγ-オリザノール又はγ-アミノ酪酸を単独摂取するよりも効果が期待される。
【0018】
以下、本発明の健康補助食品の実施例を示す。
【0019】
1日の摂取量について:
人間におけるγ-オリザノールの経口摂取量に関しては、成人病予防の立場からマウスの飼育試験結果を基に推定した。具体的には、マウスにおいて1日当り、約20〜30μg摂取すれば体重減やコレステロールの低下が認められた。この結果を人間に置き換える場合、一般的に重量(体重)換算する方法が取られるため、以下のような計算を行った。
計算式:マウスの摂取量20μg〜30μg×成人の体重60kg/マウスの体重20g=60mg〜90mg
一方、γ-アミノ酪酸の経口摂取量に関しては、上記マウス実験の結果を考慮して20mgを1日の摂取量として設定した。
【0020】
ソフトカプセル(健康補助食品)の設計:
前述で設定した1日の摂取量に基づいて、以下の材料配合によってソフトカプセルを製造した。ソフトカプセルの製造方法は、一般的な製造方法でよい。

γ-オリザノール濃度30%の米胚芽油:112mg

米油:100mg

γ-アミノ酪酸濃度10%の米胚芽発酵粉末:67mg

ビタミンCパルミテート:21mg

植物仕様のソフトカプセル皮膜素材:220mg
なお、ソフトカプセル皮膜の素材は、植物性由来の素材とし、例えば、とうもろこし由来の澱粉、海藻由来の多糖類及びグリセリンを混合したものとする。
【0021】
ソフトカプセルの材料配合成分の均一化:
ソフトカプセルの中に充填された配合物は、製品化するにあたり必ず均一な状態とする必要がある。しかしながら、水溶性物質である米胚芽発酵粉末と脂溶性物質である米胚芽油及び米油は、互いに溶け合わないため、以下の順序で検証しながらそれぞれの配合比率を決めた。配合物の均一化のため乳化剤(界面活性)の仕様は後述する植物性由来に反するので、これの代替として造粘剤(ビタミンCパルミテート)を仕様した。また、米胚芽油など他の配合品がある中で、全体の粘度、γ-オリザノールやγ-アミノ酪酸の各濃度や量との関係を保ちながら造粘剤の配合量を特定した。
【0022】
植物性由来の材料の採用:
上記ソフトカプセル(健康補助食品)の材料はそのほとんどを植物性由来の材料を採用しているので、健康や食品の安全性に敏感な利用客に経口摂取による安心感を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
2型糖尿病の予防効果があり、ストレスを受けている状況であってもその予防効果に期待ができる人体の健康維持や成人病予防の健康補助食品(サプリメント)に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の代謝において有効なγ-オリザノール及びγ-アミノ酪酸を主成分とした健康補助食品。
【請求項2】
前記γ-オリザノールを濃縮した米胚芽油と、前記γ-アミノ酪酸を濃縮した米胚芽発酵粉末とを主成分としてなる請求項1に記載の健康補助食品。
【請求項3】
前記γ-オリザノールを濃縮した米胚芽油及びγ-アミノ酪酸を濃縮した米胚芽発酵粉末のほか、米油、植物性由来の造粘剤及び植物性由来のソフトカプセル皮膜素材の材料からなるソフトカプセル状の健康補助食品。

【図1】
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【公開番号】特開2010−227034(P2010−227034A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79066(P2009−79066)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年10月20日 美味技術研究会発行の「美味技術研究会誌(第12号 October 2008)」に発表
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】