説明

偽輪郭軽減装置、表示装置、偽輪郭軽減方法及びプログラム

【課題】 偽輪郭の発生、並びに、画質の劣化を最低限に軽減することが可能な偽輪郭軽減装置を提供する。
【解決手段】 入力画像信号のうち偽輪郭を発生する偽輪郭発生画像信号を検出する偽輪郭発生画像信号検出部4a〜4nを備える。偽輪郭発生画像信号検出部4a〜4nにより検出された偽輪郭発生画像信号のうち特定の色範囲の特定色偽輪郭発生画像信号を検出する特定色偽輪郭発生画像信号検出部6を備える。特定色偽輪郭発生画像信号検出部6により検出された特定色偽輪郭画像信号に対し、偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減処理部3を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽輪郭軽減装置、表示装置、偽輪郭軽減方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、入力された画像信号を画素単位で表示する。すなわち、図12に示すように、表示装置においては、画素Pi−4→画素Pi−3→画素Pi−2→画素Pi−1→画素Pi→画素Pi+1→画素Pi+2→画素Pi+3と順次走査して画像表示を行う。
【0003】
また、表示装置は、入力された画像信号を、相互に異なる階調レベルに設定された(相互に輝度の重み付けがなされた)複数のサブフィールド、すなわち発光時間が相互に異なるサブフィールドへと時系列において展開し、1映像フィールド期間中に発光するサブフィールドの組み合わせを階調に応じて選択することにより、各画素の階調表現を行う。
【0004】
図12では、例えば、1フィールドを第1サブフィールドから第8サブフィールドまでの8つのサブフィールドに分割する例を示している。
【0005】
このように階調表現を行う表示装置において、動画像が表示されている場合、もしくは静止画像が表示されているときに観測者が図12に矢印で示すような視線移動を行う場合に、図12に示すような想定されていない階調変化が視認される。つまり、偽輪郭が観測される。
【0006】
これは、各サブフィールドの発光が時系列において順次行われる為、各サブフィールドの画像が、時系列において隣接する階調のサブフィールドや1つ後の映像フィールドのサブフィールドとの区別無しに観測者の眼で残像検知されてしまうことによる。
【0007】
特に、展開された各サブフィールドの重み付けが大きく変化する箇所で、この偽輪郭が顕著に発生する。
【0008】
偽輪郭についての説明は非特許文献1に記載されている。
【非特許文献1】内池平樹、御子柴茂生,「プラズマディスプレイのすべて」,工業調査会,1997年5月1日,p.164−165
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
偽輪郭発生箇所では、観測者は画像を本来想定されている階調として検知できず、グレースケールの場合には階調反転として検知する一方で、カラー表示の場合には全く異なる色として検知するため、入力された映像に比して著しく劣化した映像を体感することになってしまう。
【0010】
従って、プラズマディスプレイなどのサブフィールドの発光時間で階調を表現する表示装置においては、この偽輪郭を軽減することが必須となる。
【0011】
本発明が解決しようとする課題としては、プラズマ表示装置或いはその他のサブフィールド駆動により映像を表示する表示装置における偽輪郭の発生、並びに、画質の劣化を最低限に軽減することが、一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、表示装置の表示画面における偽輪郭の発生を軽減する偽輪郭軽減装置において、入力画像信号のうち、偽輪郭を発生する画像信号であり、且つ、特定の色範囲の画像信号である特定色偽輪郭発生画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減処理部を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12の何れか一項に記載の偽輪郭軽減装置と、前記表示画面を有し、該表示画面にて、前記偽輪郭軽減処理部による処理後の画像信号に基づく画像表示を行う表示部と、を備えることを特徴としている。
【0014】
請求項14に記載の発明は、表示装置の表示画面における偽輪郭の発生を軽減する方法において、入力画像信号のうち偽輪郭を発生する偽輪郭発生画像信号を検出する偽輪郭発生画像信号検出工程と、前記偽輪郭発生画像信号のうち特定の色範囲の特定色偽輪郭発生画像信号を検出する特定色偽輪郭発生画像信号検出工程と、前記特定色偽輪郭画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減工程と、を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項15に記載の発明は、表示装置の表示画面における偽輪郭の発生を軽減する方法において、入力画像信号のうち偽輪郭を発生する偽輪郭発生画像信号を検出する偽輪郭発生画像信号検出工程と、入力画像信号のうち特定の色範囲の特定色画像信号を検出する特定色画像信号検出工程と、前記偽輪郭発生画像信号であり且つ前記特定色画像信号である特定色偽輪郭発生画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減処理工程と、を備えることを特徴としている。
【0016】
請求項16に記載の発明は、表示装置の表示画面における偽輪郭の発生を軽減する方法において、入力画像信号のうち特定の色範囲の特定色画像信号を検出する特定色画像信号検出工程と、前記特定色画像信号のうち偽輪郭が発生する特定色偽輪郭発生画像信号を検出する特定色偽輪郭発生画像信号検出工程と、前記特定色偽輪郭発生画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減工程と、を備えることを特徴としている。
【0017】
請求項17に記載の発明は、請求項1乃至12の何れか一項に記載の偽輪郭軽減装置による処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、実施形態について説明する。
【0019】
本実施形態に係る偽輪郭軽減装置は、表示装置の表示画面における偽輪郭の発生を軽減する偽輪郭軽減装置において、入力画像信号のうち、偽輪郭を発生する画像信号であり、且つ、特定の色範囲の画像信号である特定色偽輪郭発生画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減処理部を備えることを特徴としている。
【0020】
本実施形態に係る偽輪郭軽減装置によれば、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行うので、偽輪郭の発生を軽減することができ、画質の劣化を最低限に軽減することができる。
【0021】
しかも、偽輪郭を発生する画像信号のうち、特定の色範囲の画像信号である特定色偽輪郭発生画像信号に対してのみ偽輪郭軽減処理を行うので、偽輪郭が目立ちにくい色の場合には偽輪郭軽減処理を行わないようにすることができる。よって、偽輪郭源現処理に起因する画質の劣化を軽減することができる。
【実施例1】
【0022】
図1は実施例1に係る偽輪郭軽減回路(偽輪郭軽減装置)1を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、偽輪郭軽減回路1は、該偽輪郭軽減回路1に入力される画像信号(入力画像信号)に基づいて、画像に含まれる画素のうち、偽輪郭が発生し、且つ、特定の色範囲である画素を判定する(偽輪郭を発生する画像信号であり、且つ、特定の色範囲の画像信号である特定色偽輪郭発生画像信号を判定する)判定部2と、判定部2により偽輪郭が発生し、且つ特定の色範囲であると判定された画素の表示に用いられる画像信号(特定色偽輪郭発生画像信号)に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減処理部3と、判定部2が偽輪郭が発生し、且つ、特定の色範囲であると判定する画素(偽輪郭を発生する画像信号であり、且つ、特定の色範囲の画像信号である特定色偽輪郭発生画像信号)の設定を変更する処理を行う設定変更処理部41と、該設定変更処理部41に設定変更処理を行わせる操作を行うための設定変更操作部42と、を備えている。
【0024】
このうち判定部2は、例えば、n個(nは正の整数)の階調検出部(偽輪郭発生画像信号検出部)4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4i、・・・、4nと、n個(すなわち階調検出部4a〜4nと同数)の面積検出部5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i・・・、5nと、特定色検出部(特定色偽輪郭発生画像信号検出部)6と、を備えている。
【0025】
このうち各階調検出部4a〜4nは、所定の階調範囲内の画素を偽輪郭が発生する画素(候補画素)であると判定し、該候補画素の表示に用いられる画像信号のみを後段の面積検出部5a〜5nに出力する。
【0026】
すなわち、各階調検出部4a〜4nは、入力画像信号のうち、偽輪郭を発生する偽輪郭発生画像信号を検出し、該偽輪郭発生画像信号のみを後段の面積検出部5a〜5nに出力する。
【0027】
ここで、図2は、1フィールドを第1〜第8の8つのサブフィールドで形成し各サブフィールドの発光輝度比を1:2:4:8:16:32:64:128とする場合において、各階調(各階調レベル)に応じた各サブフィールドの点灯/非点灯状態を、一部の階調についてのみ示す図である。
【0028】
図2の例では、各サブフィールドの点灯/非点灯の組み合わせを適宜に設定することにより、輝度が低い方から順に、階調0から階調255までの256階調を表現できる。
【0029】
サブフィールド法により階調表現を行う場合、輝度が相互に隣接する階調どうしであっても、例えば図2の例では、階調127と階調128のように各サブフィールドの点灯/非点灯の状態が相互にほぼ反転している階調が存在することとなる。
【0030】
このように各サブフィールドの点灯/非点灯の状態が相互にほぼ反転している階調、並びに、それに近い階調の画素が表示画面上で隣接する場合、視線の動きによって偽輪郭を生じてしまう。
【0031】
そこで、本実施例の場合、階調検出部4a〜4nは、偽輪郭が発生するような階調変化の境界を挟んで相互に輝度が隣接する階調(例えば階調127と階調128、階調63と階調64、階調31と階調32、階調15と階調16など)の画素と、それらと近い階調(具体的には、例えば、それらの階調の前後3階調)の画素と、を偽輪郭が発生する階調として検出する。すなわち、例えば、階調124〜階調131、階調60〜階調67、階調28〜階調35、階調12〜階調19などの各階調範囲内の画素を検出する。
【0032】
ここで、各階調検出部4a〜4nは、各階調範囲毎に割り当てられているとともに、カラー表示を行うための各原色(具体的には、例えば、赤、緑、青)の画像信号(色画像信号)毎に割り当てられ、且つ、検出対象となる表示領域毎に割り当てられている。
【0033】
すなわち、具体的には、例えば、階調検出部4aは、所定の表示領域A(図示略)内における赤色の画素の表示用の画像信号(色画像信号)で、且つ、階調124〜階調131の画像の表示用の画像信号を検出し、後段に出力する(図3参照)。
【0034】
同様に、階調検出部4bは、例えば、階調検出部4aが検出対象とする表示領域A内における緑の画素の表示用の画像信号(色画像信号)で、且つ、階調124〜階調131の画像の表示用の画像信号を検出し、階調検出部4cは、例えば、階調検出部4a及び4bが検出対象とする表示領域A内における青の画素の表示用の画像信号(色画像信号)で、且つ、階調124〜階調131の画像の表示用の画像信号を検出し、それぞれ後段に出力する。
【0035】
また、階調検出部4dは、階調検出部4a〜4cが検出対象とする表示領域Aとは別の表示領域B(表示領域AとBとは、一部が重複しても良いし、或いは、完全に別の領域であっても良い)内における赤色の画素の表示用の画像信号で、且つ、階調124〜階調131の画像の表示用の画像信号を検出し、階調検出部4eは、例えば、階調検出部4dが検出対象とする表示領域B内における緑の画素の表示用の画像信号で、且つ、階調124〜階調131の画像の表示用の画像信号を検出し、階調検出部4fは、例えば、階調検出部4d及び4eが検出対象とする表示領域B内における青の画素の表示用の画像信号で、且つ、階調124〜階調131の画像の表示用の画像信号を検出し、それぞれ後段に出力する。
【0036】
同様に、表示領域A及びB以外の表示領域についても、階調124〜階調131の階調範囲内の画素の検出用の階調検出部(図示せず)を、赤、緑、青の画像信号用にそれぞれ備え、これら階調検出部の協働により、表示画面の全体について階調124〜階調131の階調範囲内の画素を検出できるようになっている。
【0037】
更に、階調検出部4gは、階調検出部4a〜4cが検出対象とする表示領域A内における赤色の画素の表示用の画像信号で、且つ、階調60〜階調67の画像の表示用の画像信号を検出し、後段に出力する。
【0038】
また、階調検出部4hは、例えば、階調検出部4gが検出対象とする表示領域A内における緑の画素の表示用の画像信号で、且つ、階調60〜階調67の画像の表示用の画像信号を検出し、階調検出部4iは、例えば、階調検出部4g及び4hが検出対象とする表示領域A内における青の画素の表示用の画像信号で、且つ、階調が階調60〜階調67の画像の表示用の画像信号を検出し、それぞれ後段に出力する。
【0039】
同様に、階調124〜階調131及び階調60〜階調67以外の偽輪郭が発生する各階調範囲についても、各表示領域毎に、赤、緑、青の画像信号用にそれぞれ階調検出部を備え(図示せず)、これら階調検出部の協働により、判定部2が検出対象とする各階調範囲内の画素を検出できるようになっている。
【0040】
このように、各階調検出部4a〜4nは、各々に割り当てられた表示領域における表示用の、各々に割り当てられた色の画像信号について、各々に割り当てられた階調範囲内の画素の画像信号が含まれている場合にのみ、該画像信号を候補画素信号として後段の面積検出部5a〜5nに出力する。
【0041】
このように、判定部2は、相互に異なる複数種類の階調範囲内の画素を偽輪郭が発生する画素であると判定するとともに、カラー表示画像を形成する複数の原色の各々について、偽輪郭が発生する画素を判定する。
【0042】
なお、各階調検出部4a〜4nは、偽輪郭が発生する階調範囲の上限値(例えば、図3に示す階調131など)以下の階調を検出する第1の比較器(図示略)と、各階調範囲の下限値(例えば、図3に示す階調124など)以上の階調を検出する第2の比較器(図示略)と、第1及び第2の比較器の出力の論理積を出力する論理積回路(図示略)と、を備えて構成され、第1の比較器、第2の比較器及び論理積回路により、偽輪郭が発生する階調範囲内の画素を判定するようになっている。
【0043】
次に、各面積検出部5a〜5nは、各階調検出部4a〜4nに対して1対1で対応づけられている。
【0044】
各面積検出部5a〜5nは、対応する階調検出部4a〜4nにより判定された候補画素が所定の面積範囲以上の表示領域において連続的に存在するか否かを判定し、連続的に存在する場合のみ、その候補画素を後段の特定色検出部6に出力する(図4参照)。
【0045】
具体的には、面積検出部5a〜5nは、例えば、画像の水平走査方向又は垂直走査方向にて連続する3画素以上の表示領域において階調検出部4a〜4nにより判定された候補画素が存在するか否かを判定する。
【0046】
従って、例えば図4に示すように、画像の水平走査方向にて連続する3画素分(画素Pi、画素Pi+1及び画素Pi+2)の表示領域において候補画素が存在するような場合にも、その候補画素を後段の特定色検出部6に出力する。
【0047】
なお、各面積検出部5a〜5nは、対応する階調検出部4a〜4nにより判定された候補画素が画像の水平走査及び垂直走査のうちの少なくともいずれか一方において所定数以上連続していることを検出するカウンタ及び論理積回路(何れも図示略)を備えて構成され、これらカウンタ及び論理積回路により、対応する階調検出部4a〜4nにより判定された候補画素が所定面積以上の表示領域において連続的に存在するか否かを判定するようになっている。
【0048】
次に、特定色検出部6は、面積検出部5a〜5nから出力された候補画素のうち、偽輪郭が発生するような特定の色範囲の表示色(換言すれば、偽輪郭が目立ちやすい表示色)を構成する階調の画素のみを偽輪郭が発生する画素として偽輪郭軽減処理部3に出力する。
【0049】
すなわち、特定色検出部6は、階調検出部4a〜4nにより検出された偽輪郭発生画像信号のうち、面積検出部5a〜5nから出力された偽輪郭発生画像信号のなかから、特定の色範囲の特定色偽輪郭発生画像信号を検出し、該検出した特定色偽輪郭発生画像信号のみを偽輪郭軽減処理部3に出力する。
【0050】
ここで、「偽輪郭が発生するような特定の色範囲」には、例えば、肌色(人の顔など)、白色(雲など)が該当する。このような色範囲を構成する階調の例としては、図2に例示するサブフィールド表示を行う場合には、例えば、赤色の画素は階調222±30、緑色の画素は階調180±30、青色の画素は階調164±30であることが挙げられる。
【0051】
従って、特定色検出部6は、面積検出部5a〜5nから出力された候補画素のうち、赤色の画素については階調222±30の範囲の画素のみを偽輪郭が発生する画素として偽輪郭軽減処理部3に出力し、緑色の画素については階調180±30の範囲の画素のみを偽輪郭が発生する画素として偽輪郭軽減処理部3に出力し、青色の画素については階調164±30の範囲の画素のみを偽輪郭が発生する画素として偽輪郭軽減処理部3に出力する。
【0052】
なお、ここでは、特定色検出部6が偽輪郭が発生すると判定する特定の色範囲として、(赤、緑、青)=(階調222±30、階調180±30、階調164±30)の1つのみを例示したが、該特定の色範囲の指定は、複数種類の色範囲について設定できるものとする。従って、特定色検出部6は、これら複数種類の色範囲のうちの何れか1つに含まれる階調の画素を偽輪郭が発生すると判定する。
【0053】
更に、各色範囲の設定は、赤、緑、青の各原色毎に行うことができるものとする。
【0054】
次に、設定変更処理部41は、各階調検出部4a〜4nにより偽輪郭が発生すると判定される階調範囲の上限値及び下限値の設定を変更する階調範囲変更処理を行う階調変更処理部(階調範囲変更手段)411と、各面積検出部5a〜5nにより偽輪郭が発生すると判定される面積範囲の大きさの設定を変更する面積変更処理を行う面積変更処理部(面積変更手段)412と、特定色検出部6により偽輪郭が発生する画素と判定される色範囲の設定を変更する処理を行う特定色変更処理部(特定色変更手段)413と、を備えている。
【0055】
また、設定変更操作部42は、階調変更処理部411に階調範囲変更処理を行わせる操作を行うための階調変更操作部421と、面積変更処理部412に面積変更処理を行わせる操作を行うための面積変更操作部422と、特定色変更処理部413に特定色変更処理を行わせる操作を行うための特定色変更操作部423と、を備えている。
【0056】
次に、偽輪郭軽減処理部3は、中間階調処理部7と切替部8とを備えて構成されている。
【0057】
このうち中間階調処理部7は、偽輪郭軽減回路1に入力される画像信号に対して、例えば、擬似中間階調処理を行うことにより偽輪郭を軽減する(偽輪郭軽減処理)。より具体的には、中間階調処理部7は、擬似中間階調処理として誤差拡散処理を行うことにより、偽輪郭を軽減する。
【0058】
切替部8は、偽輪郭軽減回路1に入力される画像信号(第1画像信号)、すなわち中間階調処理部7による処理を経ていない画像信号と、中間階調処理部7による処理後の画像信号(第2画像信号)と、を入力とし、これら2つの画像信号のうち何れか一方のみを出力とする。
【0059】
すなわち、切替部8は、判定部2により偽輪郭が発生すると判定された画素の表示に用いられる画像信号としては第2画像信号を選択する一方で、それ以外の画素の表示に用いられる画像信号としては第1画像信号を選択し、それぞれ表示部(図6のプラズマディスプレイパネル50を含むパネル部32(後述)に相当)へ出力する。
【0060】
換言すれば、切替部8は、判定部2により偽輪郭が発生すると判定された画素の表示に用いられる画像信号は、該画像信号に対して予め偽輪郭軽減処理を施しておいた画像信号に置き換えて出力する。
【0061】
表示部の表示画面(プラズマディスプレイパネル50の表示画面)では、偽輪郭軽減処理部3による偽輪郭軽減処理後の画像信号に基づく画像表示を行うこととなる。
【0062】
よって、表示画面における偽輪郭の発生を軽減することができるとともに、該表示画面に表示される画質の劣化を最低限に軽減することができる。
【0063】
次に、図5のフローチャートを参照して、図1の偽輪郭軽減回路1が行う動作を説明する。
【0064】
先ず、ステップS1では、入力された画像信号に基づいて、所定の階調範囲内の画素の表示用の画像信号、赤、緑、青の各画像信号毎に抽出する処理を行う(階調検出処理)。
【0065】
すなわち、ステップS1の処理は、判定部2の各階調検出部4a〜4nが行う処理である。
【0066】
次に、ステップS2では、ステップS1にて抽出された画像信号のうち、所定の面積範囲以上の表示領域において連続的に存在する画素の表示用の画像信号のみを抽出する処理を行う(面積検出処理)。すなわち、ステップS2の処理は、判定部2の各面積検出部5a〜5nが行う処理である。
【0067】
次に、ステップS3では、ステップS2にて抽出された画像信号のうち、偽輪郭が発生するような特定の色範囲の表示色を構成する階調の画素の表示用の画像信号のみを抽出する処理を行う(特定色検出処理)。すなわち、ステップS3の処理は、判定部2の特定色検出部6が行う処理である。
【0068】
次に、ステップS4では、ステップS3にて抽出された画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う。なお、具体的には、予め全ての画像信号に対して偽輪郭軽減処理を施しておき、ステップS3にて抽出された画像信号については偽輪郭軽減処理が施された画像信号を出力する一方で、ステップS3にて抽出された画像信号以外の画像信号については偽輪郭軽減処理が施されないままの画像信号を出力することにより、結果的に、ステップS3にて抽出された画像信号に対してのみ偽輪郭を軽減する(中間階調処理)。すなわち、ステップS4の処理は、偽輪郭軽減処理部3が行う処理である。
【0069】
次に、図6は、本実施例に係るプラズマ表示装置10を示すブロック図である。
【0070】
図6に示すように、本実施例に係るプラズマ表示装置10は、モジュール構造を有するものとして設計されており、具体的には、アナログインターフェース20とプラズマディスプレイパネルモジュール30とから構成されている。
【0071】
アナログインターフェース20は、クロマ・デコーダを備えるY/C分離回路21と、A/D変換回路22と、PLL回路を備える同期信号制御回路23と、画像フォーマット変換回路24と、逆γ(ガンマ)変換回路25と、システム・コントロール回路26と、から構成されている。
【0072】
概略的には、アナログインターフェース20は、受信したアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換した後、そのディジタル映像信号をプラズマディスプレイパネルモジュール30に供給する。
【0073】
例えば、テレビチューナーから発信されたアナログ映像信号はY/C分離回路21において輝度信号と色差信号に分解された後、A/D変換回路22においてRGBのディジタル信号に変換される。
【0074】
その後、プラズマディスプレイパネルモジュール30の画素構成と映像信号の画素構成が異なる場合には、画像フォーマット変換回路24において必要な画像フォーマットの変換が行われる。
【0075】
プラズマディスプレイパネルの入力信号に対する表示輝度の特性は線形的に比例するが、通常の映像信号はCRTの特性に合わせて、予め補正(γ変換)されている。このため、A/D変換回路22において映像信号のA/D変換を行った後、逆γ変換回路25において、映像信号に対して逆γ変換を施し、線形特性に復元されたディジタル映像信号を生成する。このディジタル映像信号はRGB映像信号としてプラズマディスプレイパネルモジュール30に出力される。
【0076】
アナログ映像信号には、A/D変換用のサンプリングクロック及びデータクロック信号が含まれていないため、同期信号制御回路23が、アナログ映像信号と同時に供給される水平同期信号を基準として、サンプリングクロック及びデータクロック信号を生成し、プラズマディスプレイパネルモジュール30に出力する。
【0077】
システム・コントロール回路26は、各種制御信号をプラズマディスプレイパネルモジュール30に対して出力する。
【0078】
プラズマディスプレイパネルモジュール30は、ディジタル信号処理・制御回路31と、パネル部32と、から構成されている。
【0079】
ディジタル信号処理・制御回路31は、入力インターフェース信号処理回路34と、フレームメモリ35と、メモリ制御回路36と、ドライバ制御回路37と、から構成されている。
【0080】
入力インターフェース信号処理回路34は、システム・コントロール回路26から発信される各種制御信号、逆γ変換回路25から発信されるRGB映像信号、同期信号制御回路23から発信される同期信号、PLL回路から発信されるデータクロック信号を受信する。
【0081】
ディジタル信号処理・制御回路31は、入力インターフェース信号処理回路34において、これらの各種信号を処理した後、制御信号をパネル部32に送信する。同時に、メモリ制御回路36及びドライバ制御回路37はメモリ制御信号及びドライバ制御信号をパネル部32に送信する。
【0082】
なお、上記の偽輪郭軽減回路1は、入力インターフェース信号処理回路34に含まれている。
【0083】
パネル部(表示部)32は、プラズマディスプレイパネル50と、走査電極を駆動する走査ドライバ38と、データ電極を駆動するデータドライバ39と、プラズマディスプレイパネル50及び走査ドライバ38にパルス電圧を供給する高圧パルス回路40と、から構成されている。
【0084】
プラズマディスプレイパネル50は1365個×768個に配列された画素を有するものとして構成されている。プラズマディスプレイパネル50においては、走査ドライバ38が走査電極を制御し、データドライバ39がデータ電極を制御することにより、これらの画素のうちの所定の画素の点灯または非点灯が制御され、所望の表示が行われる。
【0085】
以上のような実施例1によれば、入力画像信号のうち、偽輪郭を発生する画像信号であり、且つ、特定の色範囲の画像信号である特定色偽輪郭発生画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減処理部3を備えるので、サブフィールド駆動により画像表示を行うに際しての偽輪郭発生を軽減することができ、画質の劣化を最低限に軽減することができる。すなわち、観測者が画像を階調反転として検知したり、異なる色として検知したりしてしまうことを軽減することができる。
【0086】
しかも、判定部2は、特定色検出部6を含んで構成されているので、偽輪郭を発生する画像信号のうち、特定の色範囲の画像信号である特定色偽輪郭発生画像信号に対してのみ偽輪郭軽減処理を行うことができる。よって、偽輪郭が目立ちにくい色の場合には偽輪郭軽減処理を行わないようにすることができるため、偽輪郭軽減処理に起因する画質の劣化を軽減することができる。
【0087】
また、判定部2は、面積検出部5a〜5nを含んで構成されているので、偽輪郭が発生するような階調範囲の表示領域の面積が狭い場合には偽輪郭軽減処理を行わないようにすることができる。よって、偽輪郭源現処理に起因する画質の劣化を更に軽減することができる。
【実施例2】
【0088】
図7は、実施例2に係る偽輪郭軽減回路100を示すブロック図である。
【0089】
実施例2に係る偽輪郭軽減回路100は、以下に説明する点の他は上記の実施例1に係る偽輪郭軽減回路1と同様に構成されているため、同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
実施例2では、偽輪郭軽減処理部3は、判定部2により偽輪郭が発生し、且つ、特定の色範囲であると判定された画素の表示に用いられる画像信号(特定色偽輪郭発生画像信号)よりも遅れて入力され、該画像信号と同一の表示箇所の表示に用いられる画像信号に対しても、偽輪郭軽減処理を行う。
【0091】
そのような動作を実現するために、実施例2に係る偽輪郭軽減回路100は、実施例1に係る偽輪郭軽減回路1の各構成に加えて、偽輪郭軽減処理部3への画像信号の入力を遅延させる遅延部9を更に備えている。
【0092】
この遅延部9は、例えば、判定部2により偽輪郭が発生すると判定された画素の表示に用いられる画像信号の偽輪郭軽減処理部3への入力を1乃至mフィールド遅延させる第1乃至第mのフィールド遅延部9a、9b、・・・、9mを備えて構成されている(mは正の整数)。ここで、フィールド遅延部9a〜9mは、所望のフィールド遅延量に応じた数だけ用意する。
【0093】
更に、実施例2に係る偽輪郭軽減回路100の偽輪郭軽減処理部3は、実施例1に係る偽輪郭軽減回路1の偽輪郭軽減処理部3の各構成に加えて、第1乃至第mのフィールド遅延部9a〜9m及び判定部2からそれぞれ入力される画像信号の論理和を求め、該求めた論理和を切替部8に出力する合成部11を備えている。
【0094】
ここで、各フィールド遅延部9a〜9mは、それぞれ1フィールド期間だけ遅延させて画像信号を出力するように構成され、各フィールド遅延部9a〜9mは、相互に直列に接続されている。また、各フィールド遅延部9a〜9mからの出力は、それぞれ次段のフィールド遅延部9b〜9m及び合成部11に入力されるようになっている。
【0095】
加えて、実施例2に係る偽輪郭軽減回路100の設定変更処理部41は、実施例1に係る偽輪郭軽減回路1の設定変更処理部41の各構成に加えて、フィールド遅延部9a〜9mのうち何れのフィールド遅延部から偽輪郭軽減処理部3への入力を有効とするかの設定を変更するフィールド遅延数変更処理を行うフィールド遅延数変更処理部414を備えている。
【0096】
また、実施例2に係る偽輪郭軽減回路100の設定変更操作部42は、実施例1に係る偽輪郭軽減回路1の設定変更操作部42の各構成に加えて、フィールド遅延数変更処理部414にフィールド遅延数変更処理を行わせる操作を行うためのフィールド遅延数変更操作部424を備えている。
【0097】
次に、本実施例の場合の動作について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0098】
本実施例の場合、図8に示すように、実施例1(図5)の場合と比べて、ステップS5のフィールド遅延処理と、ステップS6の合成処理とが追加されている。
【0099】
次に、フィールド遅延処理について説明する。
【0100】
フィールド遅延処理は、遅延部9により行われる処理である。
【0101】
遅延部9を構成する各フィールド遅延部9a〜9mのうち、初段のフィールド遅延部9aは、判定部2から入力される画像信号を1フィールド期間遅延させて次段のフィールド遅延部9b及び合成部11に出力する。
【0102】
同様に、フィールド遅延部9bは、前段のフィールド遅延部9aから入力される画像信号を1フィールド期間遅延させて次段のフィールド遅延部9c(図示略)及び合成部11に出力する。
【0103】
以下、同様に、フィールド遅延部9c〜9m−1(図示略)は、前段のフィールド遅延部9b〜9m−2(図示略)からそれぞれ入力される画像信号を1フィールド期間遅延させて次段のフィールド遅延部9d(図示略)〜9m及び合成部11に出力する。
【0104】
これにより、遅延部9の第1乃至第mのフィールド遅延部9a〜9mは、判定部2により偽輪郭が発生すると判定された画素の表示に用いられる画像信号の偽輪郭軽減処理部3への入力を1乃至mフィールド遅延させる。
【0105】
次に、合成処理について説明する。
【0106】
合成処理は、偽輪郭軽減処理部3の合成部11により行われる処理である。
【0107】
合成部11は、判定部2及び第1乃至第mのフィールド遅延部9a〜9mからそれぞれ入力される画像信号の論理和を求め、該求めた論理和を切替部8に出力する。
【0108】
このため、切替部8は、判定部2から偽輪郭軽減処理部3に画像信号が入力される場合に、画像信号を偽輪郭軽減処理を行った画像信号に置き換えて表示部に出力するだけでなく、第1乃至第mのフィールド遅延手段のうち少なくとも何れか1つから画像信号が入力される場合にも、該画像信号を偽輪郭軽減処理を行った画像信号に置き換えて表示部に出力する。
【0109】
以上のような実施例2によれば、上記の実施例1と同様の効果が得られる他に、遅延部9及び合成部11を備えているので、偽輪郭軽減処理部3は、判定部2により偽輪郭が発生すると判定された画素の表示に用いられる画像信号よりも1乃至mフィールド期間遅れて入力され、該画像信号と同一の表示箇所の表示に用いられる画像信号に対しても、偽輪郭軽減処理を行って表示部に出力することとなる。よって、偽輪郭が発生するタイミングと近いフィールド期間の画像に対しても、偽輪郭を軽減することができる。
【実施例3】
【0110】
図9は実施例3に係る偽輪郭軽減回路200を示すブロック図である。
【0111】
図9に示すように、偽輪郭軽減回路200は、該偽輪郭軽減回路200に入力される画像信号(入力画像信号)に基づいて、画像に含まれる画素のうち偽輪郭が人間の目に目立ちやすい特定の色範囲の画素の画像信号(特定色画像信号)を検出する特定色画像信号検出部206と、特定色画像信号検出部206により検出された画像信号のうち偽輪郭が発生する画素の画像信号(特定色偽輪郭発生画像信号)を検出する特定色偽輪郭発生画像信号検出部202と、特定色偽輪郭発生画像信号検出画像部202により偽輪郭が発生すると判定された画素の表示に用いられる画像信号(特定色偽輪郭発生画像信号)に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減処理部203と、を備えている。
【0112】
特定色画像信号検出部206は、上記の実施例1、2における特定色検出部6と同様の構成要素であり、偽輪郭が目立ちやすい特定の色範囲の表示色を構成する階調の画素のみを偽輪郭が発生する画素として特定色偽輪郭発生画像信号検出部202に出力する。各画素は赤色R、緑色G、青色Bの3原色から構成されるため、特定の色範囲をRの範囲、Gの範囲、Bの範囲で予め設定しておき、この色範囲の入力画像信号を検出する。特定の色範囲としては前述のように肌色、白色など複数の色範囲が考えられる。
【0113】
図11に横(X軸)10ドット、縦(Y軸)10ラインの100画素から構成される表示画面の例を示す。各画素はR、G、Bの3セル構成になっている。この100画素の表示信号に対応する入力画像信号が入力され、その入力画像信号のうち偽輪郭が目立ちやすい特定の色範囲の表示色に相当する画像信号を検出する。その検出された画像信号に対応する表示領域を図11に太線で囲んで示す。
【0114】
特定色偽輪郭発生画像信号検出画像部202は、上記の実施例1、2の判定部2と同様の構成要素であり、特定色画像信号検出部206により検出された特定の色範囲の表示色に相当する画像信号(特定色画像信号)のなかから、以下に説明する2つのステップにより偽輪郭が発生する画像信号(特定色偽輪郭発生画像信号)を検出する。
【0115】
先ず、第1のステップでは、所定の階調範囲内の画素を偽輪郭が発生する画素の候補(候補画素)であると判定する。すなわち、図11の太線により特定される特定の色範囲の画素のR、G、Bの各色信号について所定の階調範囲内にあるかどうかを判定する。R、G、Bの何れかの色信号が所定の階調範囲のとき、その色信号を有する画素は偽輪郭が発生する画素の候補(候補画素)であると判定する。図11の太線により特定される特定の色範囲の画素の例では、Rの色信号が所定の階調範囲内にある画素をX、Y座標で示すと、(1,2)、(2,1)、(2,2)、(3,1)、(3,2)、(4,1)、(4,2)の各画素である。Gの色信号が所定の階調範囲内にある画素は(2,3)、(2、4)、(2,5)、(3,4)、(3,5)、(7,8)、(8,8)の各画素である。Bの色信号が所定の階調範囲内にある画素は(5,9)、(4,10)、(5,10)の各画素である。なお、図11においては、所定の階調範囲内にある画素(セル)を網掛けで示している。太線により特定される特定の色範囲の画素であり、かつ所定の階調範囲内にある画素(セル)が上記のX,Y座標で示した画素である。
【0116】
第2のステップでは、第1ステップで検出した候補画素が所定の数以上連続的に存在するか否かを判定し、連続的に存在する場合のみ、その候補画素を特定色偽輪郭発生画像であると判断する。すなわち、第1ステップで検出した候補画素が、所定面積以上の表示領域において連続的に存在する場合に、該表示領域内の画素と対応する画像信号を特定色偽輪郭発生画像信号であると判定する。
【0117】
具体的には、例えば、候補画素が水平走査方向ないしは垂直走査方向の合計で連続して3画素以上存在するかどうかを判定する。図11の例では、候補画素(1,2)、(2,1)、(2,2)、(2,3)、(2,4)、(2,5)、(3,1)、(3,2)、(3,4)、(3,5)、(4,1)、(4,2)が3画素以上連続する。また、候補画素(5,9)、(4,10)、(5,10)も3画素以上連続する。しかし候補画素(7,8)、(8,8)は2画素連続するが3画素は連続しないため特定色偽輪郭発生画素とは判断しない。なお、ここでは候補画素(5,9)、(4,10)、(5,10)のように候補画素が水平走査方向ないしは垂直走査方向の合計で連続して3画素以上存在するかどうかにより判断したが、候補画素が水平走査方向又は垂直走査方向の何れかで連続して3画素以上存在するかどうかにより判断することもできる。その場合は候補画素(5,9)、(4,10)、(5,10)は候補画素が水平走査方向に連続して2画素、垂直走査方向に連続して2画素存在するが、何れも3画素は連続しないので、特定色偽輪郭発生画素とは判断しないことになる。
【0118】
以上のように特定色偽輪郭発生画像信号検出部202において特定色偽輪郭発生画素として判定された画素と対応する画像信号(特定色偽輪郭発生画像信号)は偽輪郭軽減処理部203に出力される。偽輪郭軽減処理部203は、実施例1と同様に中間調階調処理部207(中間階調処理部7と同様)と切替部208(切替部8と同様)とを備えて構成されている。偽輪郭軽減処理部203の動作は実施例1の偽輪郭軽減処理部3と同様なので説明を省略する。
【0119】
次に、図10のフローチャートを参照して、図9の偽輪郭軽減回路200が行う動作を説明する。
【0120】
先ず、ステップS101では、入力された画像信号について、特定色画像信号検出部206にて特定色検出処理を行う。
【0121】
次に、ステップ102では、ステップ101で検出された特定色画像信号のうち、偽輪郭発生画像信号検出部202にてR、G、Bの各色信号毎に所定の階調範囲内の画像信号(特定色偽輪郭発生画像信号)を抽出する処理を行う(階調検出処理)。
【0122】
次に、ステップS103では、ステップS102にて抽出された画像信号(特定色偽輪郭発生画像信号)のうち、所定数以上が連続的に存在する画素と対応する画像信号のみを抽出する処理を行う(画素数検出処理、図8の面積検出処理S2に相当)。
【0123】
次に、ステップS104では、ステップS103にて抽出された特定色偽輪郭発生画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理としての中間階調処理を行う。なお、具体的には、予め全ての画像信号に対して偽輪郭軽減処理を施しておき、ステップS103にて抽出された画像信号については偽輪郭軽減処理が施された画像信号を出力する一方で、ステップS103にて抽出された画像信号以外の画像信号については偽輪郭軽減処理が施されないままの画像信号を出力することにより、結果的に、ステップS103にて抽出された画像信号に対してのみ偽輪郭を軽減する(中間調階調処理)。
【0124】
なお、図10のフローチャートにおいて、特定色検出処理(ステップS101)と階調検出処理(ステップS102)の順序を入れ替ることもできる。また、入力された画像信号について特定色検出処理(ステップS101)と階調検出処理(ステップS102)を並行して実行し、ステップS101にて検出された画像信号(特定色画像信号)であり、且つ、ステップS102にて検出された画像信号(偽輪郭発生画像信号)である特定色偽輪郭発生画像信号を検出し、この特定色偽輪郭発生画像信号に対して、画素数検出処理S103を実行した後で、偽輪郭軽減処理を行うこともできる。なお、いずれの方法を用いても結果が同一になることは言うまでもない。実際に採用する特定色検出処理と階調検出処理の特性、ハードウエアにより処理するときはそのハードウエア規模、さらに処理速度、処理効率等を考慮して何れの方法を実施するかを決めることができる。
【0125】
図9には階調変更処理部、面積変更処理部、特定色変更処理部、階調変更操作部、面積変更操作部、特定色変更操作部は設けていないが、図1と同様にこれらを設けることができることは言うまでもない。
【0126】
また、実施例2と同様に、偽輪郭軽減処理部203は、特定色偽輪郭発生画像信号検出部202により偽輪郭が発生すると判定された画素の表示に用いられる画像信号よりも遅れて入力され、該画像信号と同一の表示箇所の表示に用いられる画像信号に対しても、偽輪郭軽減処理を行うこともできる。この場合は、図10のフローチャートの中間階調処理(ステップS104)の後に、図8に示すフィールド遅延処理と、合成処理と、をこの順に追加すれば良い。
【0127】
以上のような実施例3によれば、上記の実施例1、実施例2と同様の効果が得られる。
【0128】
なお、上記の各実施例では、表示画面においてカラー表示画像を表示する場合についてのみ説明したが、表示画面において単色の画像を表示する場合にも適用可能である。この場合、判定部2は、階調検出部4a〜4i及び面積検出部5a〜5iを各色毎に備える必要がない。
【0129】
また、上記の各実施例では、所定の階調範囲内の画素が所定画素数以上の表示領域において連続的に存在する場合にのみ偽輪郭軽減処理を行う例について説明したが、個々の画素が所定の階調範囲内である場合にも偽輪郭軽減処理を行うようにしても良い。この場合の判定部2は面積検出部5a〜5iを備える必要がない。
【0130】
また、上記の各実施例では偽輪郭軽減処理として擬似中間階調処理を行っているが、偽輪郭軽減処理はこれに限定されるものではない。例えば、特開2003−157045に記載されているように偽輪郭発生画像信号の画素列の画素値を所定の規則に従って入れ換えることによりに偽輪郭を軽減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】実施例1に係る偽輪郭軽減回路を示すブロック図である。
【図2】画素の階調レベルと各サブフィールドの点灯状態との関係の一例を示す図である。
【図3】偽輪郭が発生すると判定する階調範囲の上限値と下限値の設定の一例を示す図である。
【図4】偽輪郭が発生すると判定する表示領域の大きさの一例を示す図である。
【図5】図1の偽輪郭軽減回路が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図1の偽輪郭軽減回路を備える表示装置の一例を示すブロック図である。
【図7】実施例2に係る偽輪郭軽減回路を示すブロック図である。
【図8】図7の偽輪郭軽減回路が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例3に係る表示装置を示すブロック図である。
【図10】図9の偽輪郭軽減回路が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】表示画面における表示の例を示す図である。
【図12】偽輪郭を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0132】
1 偽輪郭軽減回路(偽輪郭軽減装置)
3 偽輪郭軽減処理部
4a〜4n 階調検出部(偽輪郭発生画像信号検出部)
6 特定色検出部(特定色偽輪郭発生画像信号検出部)
7 中間階調処理部(処理部)
8 切替部
10 プラズマ表示装置(表示装置)
32 パネル部(表示部)
100 偽輪郭軽減回路(偽輪郭軽減装置)
9a〜9m フィールド遅延部
200 偽輪郭軽減回路(偽輪郭軽減装置)
206 特定色画像信号検出部
202 特定色偽輪郭発生画像信号検出部
203 偽輪郭軽減処理部
207 中間階調処理部(処理部)
208 切替部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示画面における偽輪郭の発生を軽減する偽輪郭軽減装置において、
入力画像信号のうち、偽輪郭を発生する画像信号であり、且つ、特定の色範囲の画像信号である特定色偽輪郭発生画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減処理部を備えることを特徴とする偽輪郭軽減装置。
【請求項2】
入力画像信号のうち偽輪郭を発生する偽輪郭発生画像信号を検出する偽輪郭発生画像信号検出部と、
前記偽輪郭発生画像信号検出部により検出された偽輪郭発生画像信号のうち特定の色範囲の特定色偽輪郭発生画像信号を検出する特定色偽輪郭発生画像信号検出部と、
を備え、
前記偽輪郭軽減処理部は、前記特定色偽輪郭発生画像信号検出部により検出された特定色偽輪郭画像信号に対し、前記偽輪郭軽減処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の偽輪郭軽減装置。
【請求項3】
入力画像信号のうち偽輪郭を発生する偽輪郭発生画像信号を検出する偽輪郭発生画像信号検出部と、
入力画像信号のうち特定の色範囲の特定色画像信号を検出する特定色画像信号検出部と、
を備え、
前記偽輪郭軽減処理部は、前記偽輪郭発生画像信号検出部により検出された偽輪郭発生画像信号であり、且つ、前記特定色画像信号検出部により検出された特定色画像信号である特定色偽輪郭発生画像信号に対し、前記偽輪郭軽減処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の偽輪郭軽減装置。
【請求項4】
前記偽輪郭発生画像信号検出部は、前記入力画像信号を形成する複数の色画像信号のうちの何れかの色画像信号が所定の階調範囲内の場合に、前記入力画像信号を偽輪郭発生画像信号と判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の偽輪郭軽減装置。
【請求項5】
前記偽輪郭発生画像信号検出部は、複数の色画像信号のうちの何れかの色画像信号が所定の階調範囲内となる前記入力画像信号と対応する画素が、所定面積以上の表示領域において連続的に存在する場合に、該表示領域内の画素と対応する前記入力画像信号を偽輪郭発生画像信号と判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の偽輪郭軽減装置。
【請求項6】
入力画像信号のうち特定の色範囲の特定色画像信号を検出する特定色画像信号検出部と、
前記特定色画像信号検出部により検出された特定色画像信号のうち偽輪郭が発生する特定色偽輪郭発生画像信号を検出する特定色偽輪郭発生画像信号検出部と、
を備え、
前記偽輪郭軽減処理部は、前記特定色偽輪郭発生画像信号検出部により検出された特定色偽輪郭画像信号に対し、前記偽輪郭軽減処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の偽輪郭軽減装置。
【請求項7】
前記特定色偽輪郭発生画像信号検出部は、前記特定色画像信号を形成する複数の色画像信号のうちの何れかの色画像信号が所定の階調範囲内の場合に、前記特定色画像信号を特定色偽輪郭発生画像信号と判定することを特徴とする請求項6に記載の偽輪郭軽減装置。
【請求項8】
前記偽輪郭発生画像信号検出部は、複数の色画像信号のうちの何れかの色画像信号が所定の階調範囲内となる前記特定色画像信号と対応する画素が、所定面積以上の表示領域において連続的に存在する場合に、該表示領域内の画素と対応する前記特定色画像信号を特定色偽輪郭発生画像信号と判定することを特徴とする請求項7に記載の偽輪郭軽減装置。
【請求項9】
前記偽輪郭軽減処理部は、前記偽輪郭軽減処理として、擬似中間階調処理を行うことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の偽輪郭軽減装置。
【請求項10】
前記偽輪郭軽減処理部は、
入力画像信号である第1画像信号に対し前記偽輪郭軽減処理を行う処理部と、
前記第1画像信号と、前記処理部による処理後の画像信号である第2画像信号と、が入力され、これら2つの画像信号のうちの何れか一方を選択的に出力する切替部と、
を具備し、
前記切替部は、
対応する前記入力画像信号が前記特定色偽輪郭発生画像信号と判定された画素の表示に用いられる画像信号としては前記第2画像信号を選択する一方で、
対応する前記入力画像信号が前記特定色偽輪郭発生画像信号と判定された画素以外の表示に用いられる画像信号としては前記第1画像信号を選択することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の偽輪郭軽減装置。
【請求項11】
前記偽輪郭軽減処理部は、前記特定色偽輪郭発生画像信号よりも遅れて入力され、該入力画像信号と同一の表示箇所の表示に用いられる入力画像信号に対しても、前記偽輪郭軽減処理を行うことを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の偽輪郭軽減装置。
【請求項12】
前記特定色偽輪郭発生画像信号の前記偽輪郭軽減処理部への入力を1乃至mフィールド遅延させる第1乃至第mのフィールド遅延部を更に備え、
前記偽輪郭軽減処理部は、
前記第1乃至第mのフィールド遅延部のうち少なくとも何れか1つから前記特定色偽輪郭発生画像信号が入力される場合にも、前記偽輪郭軽減処理を行うことによって、
前記特定色偽輪郭発生画像信号よりも遅れて入力され、該特定色偽輪郭発生画像信号と同一の表示箇所の表示に用いられる入力画像信号に対しても、前記偽輪郭軽減処理を行うことを特徴とする請求項11に記載の偽輪郭軽減装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の偽輪郭軽減装置と、
前記表示画面を有し、該表示画面にて、前記偽輪郭軽減処理部による処理後の画像信号に基づく画像表示を行う表示部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項14】
表示装置の表示画面における偽輪郭の発生を軽減する方法において、
入力画像信号のうち偽輪郭を発生する偽輪郭発生画像信号を検出する偽輪郭発生画像信号検出工程と、
前記偽輪郭発生画像信号のうち特定の色範囲の特定色偽輪郭発生画像信号を検出する特定色偽輪郭発生画像信号検出工程と、
前記特定色偽輪郭画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減工程と、
を備えることを特徴とする偽輪郭軽減方法。
【請求項15】
表示装置の表示画面における偽輪郭の発生を軽減する方法において、
入力画像信号のうち偽輪郭を発生する偽輪郭発生画像信号を検出する偽輪郭発生画像信号検出工程と、
入力画像信号のうち特定の色範囲の特定色画像信号を検出する特定色画像信号検出工程と、
前記偽輪郭発生画像信号であり且つ前記特定色画像信号である特定色偽輪郭発生画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減処理工程と、
を備えることを特徴とする偽輪郭軽減方法。
【請求項16】
表示装置の表示画面における偽輪郭の発生を軽減する方法において、
入力画像信号のうち特定の色範囲の特定色画像信号を検出する特定色画像信号検出工程と、
前記特定色画像信号のうち偽輪郭が発生する特定色偽輪郭発生画像信号を検出する特定色偽輪郭発生画像信号検出工程と、
前記特定色偽輪郭発生画像信号に対し、偽輪郭を軽減する偽輪郭軽減処理を行う偽輪郭軽減工程と、
を備えることを特徴とする偽輪郭軽減方法。
【請求項17】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の偽輪郭軽減装置による処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−3881(P2006−3881A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143706(P2005−143706)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】