説明

偽造防止媒体

【課題】偽造防止機能を向上させ、かつ、真贋判別を容易に効率よく実施できる偽造防止媒体を提供する。
【解決手段】偽造防止ラベル10は、基材11と、基材11の表面に設けられ、光の選択反射特性を有する光選択反射層12と、基材11の裏面に設けられ、干渉縞を厚さ方向に記録している体積型ホログラム層13と、体積型ホログラム層13の基材11とは反対側の面に設けられた着色層14と、着色層14の体積型ホログラム層13とは反対側の面に設けられ、強磁性材料によって形成される強磁性材層15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光選択反射層、体積型ホログラム層及び強磁性体層を備えた偽造防止媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品券、ギフト券などの金券は、その価値から偽造防止機能が必要とされており、基材(金券)上にさまざまな対策が施されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、真贋判定を容易に行なえるように、表面にホログラム層を設けた金券を開示している。このような金券は、ホログラム層として主に、表面に微細な凹凸が設けられることにより干渉縞が記録されるレリーフ型ホログラムが用いられているが、昨今のホログラム技術の普及や偽造技術の高度化に伴い、レリーフ型ホログラムそのものが偽造されてしまい、本来の偽造判定、偽造防止としての機能が有効に果たせなくなる場合があった。
【特許文献1】特開平07−285286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、偽造防止機能を向上させ、かつ、真贋判別を容易に効率よく実施できる偽造防止媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を括弧内に付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、基材(11)と、前記基材(11)の少なくとも一方の面に設けられ、光の選択反射特性を有する光選択反射層(12)と、前記基材(11)の片面側に設けられ、干渉縞を厚さ方向に記録している体積型ホログラム層(13)と、前記体積型ホログラム層(13)の前記基材(11)とは反対側の面に設けられた着色層(14)と、前記着色層(14)の前記体積型ホログラム層(13)とは反対側の面に設けられ、強磁性材料によって形成される強磁性材層(15)と、を備える偽造防止媒体(10)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の偽造防止媒体(10)において、前記光選択反射層(12)は、パターン状に形成されていること、を特徴とする偽造防止媒体(10)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の偽造防止媒体(10)において、前記光選択反射層(12)は、光の選択反射特性が円偏光性であること、を特徴とする偽造防止媒体(10)である。
請求項4の発明は、請求項3に記載の偽造防止媒体(10)において、前記光選択反射層(12)は、コレステリック液晶によって形成されること、を特徴とする偽造防止媒体(10)である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の偽造防止媒体(10)において、前記強磁性材層(15)は、特定の磁化特性を有したアモルファス強磁性材料によって形成されること、を特徴とする偽造防止媒体(10)である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の偽造防止媒体(10)において、前記強磁性材層(15)は、パターン状(15a)に形成されていること、を特徴とする偽造防止媒体(10)である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の偽造防止媒体(10)において、前記着色層(14)は、暗色材料によって形成されること、を特徴とする偽造防止媒体(10)である。
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の偽造防止媒体(10)において、前記強磁性材層(15)の前記着色層(14)とは反対側の面に接着層(17)を備えること、を特徴とする偽造防止媒体(10)である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、以下のような効果がある。
(1)偽造防止媒体は、基材の少なくとも一方の面に光選択反射層が設けられ、また、基材の片面側に体積型ホログラム層、着色層、強磁性材層が順に設けられているので、体積型ホログラム層及び光選択反射層の視認による確認と、強磁性材層の磁気の情報による確認とによって、偽造防止媒体の真贋判別を実行することができる。また、着色層によって、強磁性材層を偽造防止媒体の外観から視認されるのを防止し、強磁性材層の存在を隠蔽することができる。
【0006】
(2)光選択反射層は、パターン状に形成されているので、パターンに基づいて光を選択反射させることができる。
(3)光選択反射層の光の選択反射特性は、円偏光性であるので、簡易な構成で真贋判別をすることができる。
(4)光選択反射層は、コレステリック液晶により形成されているので、円偏光性を備えた層を容易に形成することができる。
【0007】
(5)強磁性材層は、アモルファス強磁性材料によって形成されているので、一般の磁性材料が示す磁気特性とは異なるアモルファス強磁性材料固有の磁気特性(大バルクハウゼン効果)を利用することによって、偽造防止媒体の真贋判別を容易にするとともに強磁性材層の偽造を困難にすることができる。
【0008】
(6)強磁性材層は、パターン状に形成されているので、そのパターンに基づいた磁気情報を記録することができ、偽造防止媒体の偽造を困難にすることができる。
(7)着色層は、暗色材料によって形成されているので、体積型ホログラム層の着色層との接触面を暗色にすることができ、体積型ホログラム層のホログラム像を鮮明にすることができる。
(8)偽造防止媒体は、強磁性材層の着色層とは反対側の面に接着層を備えているので、偽造防止媒体をラベルとして使用することができ、商品などに貼付することによって、商品の偽造品の判別をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、偽造防止機能を向上させ、かつ、真贋判別を容易に効率よく実施できる偽造防止媒体を提供するという目的を、基材の少なくとも一方の面に光選択反射層を設け、体積型ホログラム層、着色層、強磁性材層を基材の片面に順に設けることにより実現する。
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、薬品の包装箱に貼付された偽造防止ラベルを示す模式図である。図2は、本発明による偽造防止媒体の第1実施形態である偽造防止ラベルの模式図であり、図2(a)に平面図を示し、図2(b)に図2(a)のA−A断面の断面図を示す。ここで、説明を明確にするために、図2(b)の上方を偽造防止ラベルの表面とし、下方を裏面とする。
薬品1は、図1に示すように、薬の小売店などの店先に陳列される薬であり、不図示の薬を内包した包装箱2と、その表面に偽造防止ラベル10とを備えている。
包装箱2は、直方体状の箱であり、表面に薬の効能や製薬メーカ名などが印刷されている。
【0011】
偽造防止ラベル10は、薬品1の偽造防止及び真贋判定を行うために包装箱2の表面に貼付される矩形状に形成されたラベルである。偽造防止ラベル10は、図2(a)及び図2(b)に示すように、基材11の表面に光選択反射層12及び保護層16を順に積層し、また、基材11の裏面に体積型ホログラム層13、着色層14、強磁性材層15及び接着層17を順に積層しており、接着層17によって薬品1の包装箱2の表面に貼付される。ここで、接着層17は、偽造防止ラベル10が包装箱2に貼付される前は、不図示の剥離紙によってその接着面が保護されている。
【0012】
基材11は、偽造防止ラベル10の基礎となる厚さ50μmの透明又は略透明な樹脂製(例えば、PET:PolyEthylene Terephthalate)のシートである。
光選択反射層12は、見る角度によって色彩が可変する円偏光性を有したコレステリック液晶を、基材11の表面に印刷した厚さ3μmの略透明な層であり、本実施形態では、左円偏光性の「SECURITY」という文字列12aが記録されている。コレステリック液晶の印刷は、他に、重合成コレステリック液晶溶液を用いてグラビア印刷して紫外線を照射する手法など、基材11の種類や用途に応じて種々の方法を用いることができる。
【0013】
体積型ホログラム層13は、少なくとも一種の光重合性化合物と光重合開始剤などとを有した樹脂組成物から形成される厚さ10μmの略透明な層であり、別名リップマンホログラムとも呼ばれている。体積型ホログラム層13は、波長の等しい物体光と参照光とを干渉させて物体光の波面を干渉縞として樹脂組成物に記録しており、参照光と同一条件の光が当てられると干渉縞で回折現象を生じ、物体光と同じ波面が再生される。例えば、特定の図柄などを干渉縞として樹脂組成物に記録している場合、参照光と同一条件の光が当てられたときに、その特定の図柄を偽造防止ラベル10の表面から視認することができる。
【0014】
また、体積型ホログラム層13は、レリーフ型のホログラムと異なり、光の干渉によって画像を生じさせる干渉縞を、屈折率の異なる縞として層の厚さ方向に三次元的に記録している。体積型ホログラム層13は、リアルな立体的な画像表現や、赤、青、緑の三原色とそれらの重ね合わせの発色によりフルカラーの画像表現などが可能となり、レリーフ型ホログラムとは視覚効果が異なり真贋判別を容易にする。本実施形態では、図2(a)に示すように、物体光として立体的な星形の画像13a(ホログラム像)を記録している。このように、体積型ホログラム層13は、複雑な立体形状などを表現することができるように設けられた干渉縞の特性が把握されにくいので、レリーフ型のホログラムよりも偽造が困難になる。
ここで、体積型ホログラム層13に使用される光重合性化合物は、例えば、光ラジカル重合性化合物や光カチオン重合性化合物などであり、光重合開始剤は、例えば、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤などが使用される。また、本願の体積型ホログラム層は、ホログラフィ法で求めたホログラム以外の体積型の光回折構造も含むものとする。
【0015】
着色層14は、体積型ホログラム層13の裏面を特定の色インキで印刷した厚さ2μmの印刷層である。本実施形態では、着色層14は、黒インキが使用されており、体積型ホログラム層13の裏面を黒色にすることができ、偽造防止ラベル10の表面から視認できる体積型ホログラム層13の星形の画像13aを鮮明にすることができる。
【0016】
ここで、体積型ホログラム層13の星型の画像13aは、体積型ホログラム層13の裏面に着色層14が設けられても、図2(a)に示すように、視認することができるが、仮に、従来技術で使用されていたレリーフ型ホログラム層の裏面に着色層14を同様に設けた場合、レリーフ型ホログラム層と着色層14とが重なった部位では星型の画像13aは視認できなくなる。これは、レリーフ型ホログラム層と着色層14の色インキとの屈折率が近似しているため、レリーフ型ホログラム層に設けられた微細な凹凸に着色層14の印刷インキが入り込むことで、凹凸による光の反射がなくなってしまうからである。
【0017】
強磁性材層15は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)を主材料としたアモルファス強磁性材料から形成される厚さ100nmの薄膜層であり、蒸着、スパッタ、イオンプレーティング法などの真空成膜法によって着色層14の裏面にパターン状に形成されている。本実施形態では、強磁性材層15は、図2(a)に示すように、パターンとして6本の帯からなる縞模様15aが形成されている。ここで、強磁性材層15は、図2(b)に示すように、着色層14の裏面にあるので、強磁性材層15の縞模様15aが偽造防止ラベル10の表面から視認されるのを防止することができ、偽造防止ラベル10の外部から強磁性材層15の存在と、強磁性材層15が縞模様15aであることを隠蔽することができる。
【0018】
図3は、アモルファス強磁性材料及び一般の磁性材料のB−H磁化特性曲線を示す図である。
強磁性材層15のアモルファス強磁性材料は、加熱、切断などにより、透磁率や飽和磁化特性が変化する性質を有した磁性材料である。アモルファス強磁性材料は、図3(a)に示すように、矩形に近いヒステリシス曲線の磁気特性を有し、低強度の振動磁界によって急峻に磁化反転を繰り返す性質(大バルクハウゼン現象)を備えている。これに対し、鉄などの一般の磁性材料は、図3(b)に示すように、略S字型のヒステリシス曲線の磁気特性を備えている。
【0019】
強磁性材層15は、アモルファス強磁性材料の上述の特異な性質を用いて真贋判定に用いる情報などを記録し、記録した情報を読み出すことによって精巧な偽造品に対する判別を容易にしている。また、強磁性材層15は、アモルファス強磁性材料に配合する材料を変化させることによって、その磁気特性を自在に変更することができ、さらに、その材料に一般市場における入手が困難な材料を用いることによって、強磁性材層15の形成自体を困難にすることができ、偽造防止の効果を高めることができる。
保護層16は、図2(b)に示すように、偽造防止ラベル10の表面に位置し、光選択反射層12を保護する透明な層である。
接着層17は、強磁性材層15の裏面に設けられた接着剤であり、偽造防止ラベル10を薬品1の包装箱2に剥離不可能に貼付している。
【0020】
図4は、光選択反射層の真贋判定に使用する真贋判別具を示す図であり、図4(a)に、真贋判別具の概略図を示し、図4(b)及び(c)に、真贋判別具の使用方法を説明する図を示す。
真贋判別具20は、光選択反射層12の円偏光性を有した文字列12aによって偽造防止ラベル10の真贋判別を行う道具であり、図4(a)に示すように、判別基材21、右円偏光フィルム22a及び左円偏光フィルム22bを備えている。
判別基材21は、真贋判別具20を形成する矩形状の樹脂製の板部材であり、その板部材の短辺の中心線より右側に右円偏光フィルム22aを、左側に左円偏光フィルム22bを備えている。
【0021】
右円偏光フィルム22aは、右円偏光は透過するが、左円偏光は透過しないという右円偏光性の特性を持つようにコレステリック液晶配向を固定化した高分子フィルムである。この高分子フィルムは、例えば、特定の低分子液晶をコレステリック配向させて、光又は熱反応させることにより配向状態を固定化したり、サーモトロピック高分子液晶を液晶状態でコレステリック配向させ、液晶の転移点以下の温度で冷却することにより、配向状態を固定化したりして作製することができる。
左円偏光フィルム22bは、左円偏光は透過するが、右円偏光は透過しないという左円偏光性の特性を持つようにコレステリック液晶配向を固定化した高分子フィルムであり、右円偏光フィルム22aと同様の製法によって作製されている。
【0022】
次に、薬品1の包装箱2に貼付された偽造防止ラベル10によって、薬品1の真贋を判別する方法について説明する。
薬品1を扱う薬の小売店などの店員は、体積型ホログラム層13に記録された真正のホログラム像として星形の画像13aと、光選択反射層12に記録された文字列12aの円偏光性の特性(左円偏光性)とが予め知らされており、仕入れ業者から薬品1を入荷したときに、薬品1の包装箱2に貼付された偽造防止ラベル10の星形の画像13aと文字列12aとを確認し、薬品1の真贋判別を実施する。
【0023】
具体的には、薬品1を入荷したとき、店員は、包装箱2に貼付された偽造防止ラベル10の星形の画像13aが適正であるか否かを確認する。薬品1を適正なものであると確認した場合、店員は、偽造防止ラベル10の光選択反射層12に記録された文字列12aを、真贋判別具20を用いて確認する。このとき、薬品1が真正なものである場合、図4(b)に示すように、左円偏光性で記録された文字列12aの像は、真贋判別具20の右円偏光フィルム22aでは透過せずに視認できないが、左円偏光フィルム22bでは透過して視認できる。そのため、店員は、確認した文字列12aが左円偏光性で記録されていることを確認できる。光選択反射層12の真贋判別具20による真贋判別は、文字列12aが右円偏光フィルム22aに透過するか否かで薬品1の真贋を判別できるので、体積型ホログラム層13の星型の画像13aによる確認よりも正確に行うことできる。
【0024】
仮に、薬品が偽造品である場合、「SECURITY」の文字列は円偏向性を有していないので、図4(c)に示すように、真贋判別具20の右円偏光フィルム22a及び左円偏光フィルム22bのいずれにも文字列の像が透過し、視認されてしまい、薬品が偽造品であることが即座に判明する。
また、体積型ホログラム層13と光選択反射層12とが精巧に偽造されていたとしても、縞模様15aが形成された強磁性材層15の固有の磁気特性を後述の磁気ヘッドで検出することにより、確実に偽造品を発見することができる。
【0025】
次に、本実施形態の偽造防止ラベル10の強磁性材層15を検出する磁気ヘッド100について説明する。図5は、強磁性材層の磁気特性を読み取る磁気ヘッドの概略図である。
磁気ヘッド100は、図5に示すように、検出コイル部101、励磁コイル部102、制御部103及び表示部104を備えており、偽造防止媒体10の強磁性材層15の磁気情報を非接触で読み取る検出器である。
検出コイル部101は、強磁性材層15から発生する磁束の変化を検出するソレノイドコイル101−Aと、その検出データを増幅して出力する増幅器101−Bとを備えている。
励磁コイル部102は、強磁性材層15に交番励磁磁界を印加するソレノイドコイル102−Aと、ソレノイドコイル102−Aに交番励磁磁界を発生させる交番励磁電流を流すアンプ102−Bとを備えている。
【0026】
制御部103は、励磁コイル部102のソレノイドコイル102−Aに所定の交番励磁電流を流すための指令信号をアンプ102−Bに出力し、強磁性材層15から発生する磁束の変化を検出した検出コイル部101のソレノイドコイル101−Aの検出結果を増幅器101−Bを介して入力する磁気ヘッド100の各部を統括制御する制御回路である。
表示部104は、検出コイル部101により検出した結果が、制御部103の指示により表示される液晶ディスプレイである。
【0027】
次に、本実施形態の磁気ヘッド100による偽造防止ラベル10の強磁性材層15の検出方法について説明する。
磁気ヘッド100の制御部103は、電源が投入されると、励磁コイル部102のソレノイドコイル102−Aにアンプ102−Bを介して高調波の交番励磁電流を流し、ソレノイドコイル102−Aに保磁力Hc以上の交番励磁磁界を発生させる。続いて、包装箱2の表面に貼付された偽造防止ラベル10の強磁性材層15に磁気ヘッド100を近づけると、保磁力Hc以上の交番励磁磁界により大バルクハウゼン現象を起こし、制御部103は、強磁性材層15から発生する磁束の変化を、検出コイル部101のソレノイドコイル101−Aに検出させる。このとき、磁気ヘッド100を偽造防止ラベル10の全域に移動(矢印B)させることによって、強磁性材層15のパターンに合わせた磁気特性を検出することができる。制御部103は、検出した結果を増幅器101−Bを介して入力し、表示部104に表示する。
【0028】
磁気ヘッド100で検出されたデータは、特定の材料を配合させたアモルファス強磁性材料が有する固有の特性がパターン状に表示部104に表示されるので、仮に薬品1の偽造品の偽造防止ラベルが強磁性材層を有していたとしても、検出した磁気特性のデータまでは同一にすることができず、精巧な偽造品を判別することができる。
【0029】
以上より、本実施形態の偽造防止ラベル10には以下のような効果がある。
(1)偽造防止ラベル10は、基材の表面に光選択反射層12が設けられ、また、基材の裏面に体積型ホログラム層13、着色層14、強磁性材層15が順に設けられているので、体積型ホログラム層13及び光選択反射層12の視認による確認と、強磁性材層15の磁気の情報による確認とによって、偽造防止ラベル10の真贋判別を実行することができる。また、着色層14によって、強磁性材層15を偽造防止ラベル10の外観から視認されるのを防止し、強磁性材層15の存在を隠蔽することができる。
【0030】
(2)光選択反射層12は、光の選択反射特性が円偏光性であるので、簡易な構成で真贋判別をすることができる。
(3)光選択反射層12は、コレステリック液晶により形成されているので、円偏光性を備えた層を容易に形成することができる。
(4)強磁性材層15は、アモルファス強磁性材料によって形成されているので、一般の磁性材料が示す磁気特性とは異なるアモルファス強磁性材料固有の磁気特性(大バルクハウゼン効果)を利用することによって、偽造防止ラベル10の真贋判別を容易にするとともに強磁性材層15の偽造を困難にすることができる。
【0031】
(5)強磁性材層15は、着色層14の裏面にパターン状に形成されているので、パターンに基づいた磁気情報を記録することができ、偽造防止ラベル10の偽造を困難にすることができる。
(6)着色層14は、黒色インキによって形成されているので、体積型ホログラム層13の着色層14との接触面を暗色にすることができ、体積型ホログラム層13の星型の画像13aを鮮明にすることができる。
(7)偽造防止ラベル10は、強磁性材層15の着色層14とは反対側の面に接着層17を備えているので、薬品1の包装箱2に貼付することによって、薬品1の偽造品を容易に判別することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図6は、本発明による偽造防止媒体の第2実施形態である偽造防止ラベルを示す模式図であり、図6(a)に平面図を、図6(b)に図6(a)のB−B断面図を示す。ここで、以下の実施形態の説明では、前述した第1実施形態と同様な機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に統一した符号を付して、重複する説明や図面を適宜省略する。
【0033】
本実施形態の偽造防止ラベル10−2と第1実施形態の偽造防止ラベル10との相違点は、図6に示すように、本実施形態の光選択反射層12−2がパターン状に形成されている点である。
光選択反射層12−2は、見る角度によって色彩が可変する円偏光性を有したコレステリック液晶を、パターン印刷により基材11の表面に印刷した略透明な層であり、本実施形態では、パターンとして、文字列12a−2のみを基材11の表面に形成している。
【0034】
以上より、光選択反射層12−2は、パターン状に形成されているので、そのパターンに基づいて光を選択反射させることができ、また、基材11上の必要な箇所にのみ光選択反射層12−2を設ければよく、光選択反射層12−2の材料費を低減することができる。
【0035】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態では、基材11の表面に光選択反射層12を設けたが、基材11の裏面又は両面に設けてもよい。
(2)各実施形態では、着色層14を黒色に形成する例で説明したが、黒色以外の暗色(例えば、紺色、濃緑色など)で形成してもよい。このようにすれば、黒色と略同等に星形の画像13aを鮮明にすることができる。
【0036】
(3)各実施形態の強磁性材層15は、着色層14の裏面に縞模様15aをパターンとして形成したが、模様だけでなく、文字列や、模様と文字列の組み合わせで形成してもよい。また、着色層14の裏面の全面に形成してもよい。
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は、以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による偽造防止媒体の第1実施形態である偽造防止ラベルを薬品の包装箱に貼付した状態を示す模式図である。
【図2】第1実施形態の偽造防止ラベルの模式図である。
【図3】アモルファス強磁性材料及び一般の磁性材料のB−H磁化特性曲線を示す図である。
【図4】光選択反射層の真贋判定に使用する真贋判別具を示す図である。
【図5】強磁性材層の磁気特性を読み取る磁気ヘッドの概略図である。
【図6】本発明による偽造防止媒体の第2実施形態である偽造防止ラベルの模式図である。
【符号の説明】
【0038】
1 薬品
2 包装箱
10、10−2 偽造防止ラベル
11 基材
12、12−2 光選択反射層
13 体積型ホログラム層
14 着色層
15 強磁性材層
16 保護層
17 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面に設けられ、光の選択反射特性を有する光選択反射層と、
前記基材の片面側に設けられ、干渉縞を厚さ方向に記録している体積型ホログラム層と、
前記体積型ホログラム層の前記基材とは反対側の面に設けられた着色層と、
前記着色層の前記体積型ホログラム層とは反対側の面に設けられ、強磁性材料によって形成される強磁性材層と、
を備える偽造防止媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の偽造防止媒体において、
前記光選択反射層は、パターン状に形成されていること、
を特徴とする偽造防止媒体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の偽造防止媒体において、
前記光選択反射層は、光の選択反射特性が円偏光性であること、
を特徴とする偽造防止媒体。
【請求項4】
請求項3に記載の偽造防止媒体において、
前記光選択反射層は、コレステリック液晶によって形成されること、
を特徴とする偽造防止媒体。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の偽造防止媒体において、
前記強磁性材層は、特定の磁化特性を有したアモルファス強磁性材料によって形成されること、
を特徴とする偽造防止媒体。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の偽造防止媒体において、
前記強磁性材層は、パターン状に形成されていること、
を特徴とする偽造防止媒体。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の偽造防止媒体において、
前記着色層は、暗色材料によって形成されること、
を特徴とする偽造防止媒体。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の偽造防止媒体において、
前記強磁性材層の前記着色層とは反対側の面に接着層を備えること、
を特徴とする偽造防止媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−3182(P2009−3182A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164120(P2007−164120)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】