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偽造防止用紙
説明

偽造防止用紙

【課題】複数の階調を持った透かし用紙を、透かし法とは異なる方法で作製可能とし、強度や表面の平滑性が高く、漉き込んだ中間層を用紙の一部分で露出させ、更にはその露出部に光学変化を発現させる構造を有する事から改竄や偽造が困難となる偽造防止用紙を提供する。
【解決手段】透明な高分子樹脂フィルムからなる中間層2を用紙基材1の紙層中に漉き込んでなる透かし用紙であり、中間層2の全体、または一部の厚さが6μm〜200μmの範囲で変化し、且つ、中間層2の一部が用紙基材1の片面側、または両面側に露出している偽造防止用紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、株券、債券、商品券、宝くじ券等の紙からなる有価証券類の偽造防止に関するもので、更に詳しくは、電子複写機による偽造や改竄をしようとした時にそれらの行為が極めて困難となる偽造防止用紙に関するものである。
【0002】
現在、紙は紙幣をはじめ、株券、債券、商品券、宝くじ券等々金銭的価値を有する有価証券として幅広く使用されており、その様な有価証券類に用いられている用紙には容易に偽造又は変造出来ない様に、紙自身に透かしを施したり、あるいはマイクロ文字や凹版、隠し文字、蛍光印刷等の特殊な印刷を施したり、金箔や銀箔のような金属光沢を有する箔、もしくは光の干渉を用いて立体画像や特殊な装飾画像を表現し得るホログラムや回折格子のような回折構造を有する箔を転写またはシールで施しているのが一般的である(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
この内、透かしを施す方法や構成としては、特殊な抄紙機を用いて用紙の厚みを変化させる事によって模様を形成する白透かし法や黒透かし法などの方法や、予め透かし模様を印刷した基材を作成してその基材の表裏に紙基材を接着した構成、基材に予め発色材を塗布してその基材の表裏に紙基材を接着し、最後にレーザを照射する事により透かし画像を得る方法などが過去に提案されている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。
以下に、前記先行技術文献を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第1615000号公報
【特許文献2】特開平4−149585号公報
【特許文献3】特開2002−67470号公報
【特許文献4】特許第4391287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記のような偽造防止策としての回折構造物は、ステッカーや転写箔などに加工されてから被貼付物に貼付されるため、剥離して偽造物に再貼付して改竄したり、偽造した回折構造物を貼付するなどの偽造が増加しており、最近ではその偽造防止効果が薄れつつあるという問題がある。
【0006】
また、一般大衆が有価証券や紙幣の真贋判定を行う際には、現在でも用紙の透かしが有効であるため、透かしは実際の偽造防止用紙に用いられているが、日本国内においては、民間企業が製造する透かし用紙は白透かし法と呼ばれる2階調のみに制限されており、複数の階調を持つ黒透かし法を用いた透かし用紙は紙幣だけに用いられる。
【0007】
更に、このような透かし用紙は、用紙基材の厚さの変化による光透過度の変化を利用して透かしを構成するため、明るい透かしとするためには用紙基材を薄くしなければならず、強度が低下したり、透かしのコントラスト効果を向上させるためには、透かし部分の表層紙厚の差を大きくしなければならず、結果、透かし用紙自体に凹凸が出来てしまい、透かし部分の印刷適性が悪いという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、係る従来技術の問題点を解決するものであり、その課題は、複数の階調を持った透かし用紙を、透かし法とは異なる方法で作製可能とし、強度や表面の平滑性が高く、漉き込んだ中間層を用紙の一部分で露出させ、更にはその露出部に光学変化を発現させる構造を有する事から改竄や偽造が困難となる偽造防止用紙を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明において、前記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、透明な高分子樹脂フィルムからなる中間層を紙層中に漉き込んでなる透かし用紙であり、この中間層の全体、または一部の厚さが6μm〜200μmの範囲で変化し、且つ、中間層の一部が用紙基材の片面、または両面に露出している事を特徴とする偽造防止用紙としたものである。
【0010】
次に、請求項2の発明では、前記中間層の一部または全面に、光学多層干渉膜の多層薄膜やコレステリック液晶の層、観察する角度に応じて異なる色彩を見る事ができる粉末を含有するインキによる印刷層等を積層した事を特徴とする、請求項1に記載の偽造防止用紙としたものである。
【0011】
また、請求項3の発明では、前記中間層の一部または全面に凹凸形成層を積層し、中間層の一部または全体の厚さが6μm〜200μmの範囲で変化し、且つ、中間層の一部が用紙基材の片面、または両面に露出している事を特徴とする請求項1に記載の偽造防止用紙としたものである。
【0012】
また、請求項4の発明では、前記中間層の一部に光反射層を設けた事を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の偽造防止用紙としたものである。
【0013】
また、請求項5の発明では、前記凹凸形成層の一部または全面に、0.01μm〜5μmの微細な凹凸が形成されている事を特徴としたものである。
【0014】
また、請求項6の発明では、前記凹凸形成層の一部または全面に回折構造が形成されている事を特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の偽造防止用紙としたものである。
【0015】
また、請求項7の発明では、前記光反射層が、中間層が用紙基材から露出している部分にのみ設けられている事を特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の偽造防止用紙としたものである。
【0016】
また、請求項8の発明では、前記光反射層が任意のパターンで設けられている事を特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の偽造防止用紙としたものである。
【0017】
また、請求項9の発明では、前記光反射層が、可視光線透過率30%〜90%である事を特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の偽造防止用紙としたものである。
【0018】
また、請求項10の発明では、前記中間層に積層、または形成される多層薄膜やコレステリック液晶の層、観察する角度に応じて異なる色彩を見る事ができる粉末を含有するインキによる印刷層、回折構造、光反射層が、用紙基材から露出している部分にのみ設けられている事を特徴とする請求項4乃至9のいずれかに記載の偽造防止用紙としたものである。
【0019】
また、請求項11の発明では、前記中間層の少なくとも片面の一部、または全体に印刷層が設けられている事を特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の偽造防止用紙としたものである。
【0020】
また、請求項12の発明では、前記中間層の片面、または両面に、紙基材と中間層との密着を強固にするための接着層を設けた事を特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の偽造防止用紙としたものである。
【0021】
また、請求項13の発明では、前記中間層と紙基材との密着を更に強固にするため、接着層及び密着補助層の2層を、中間層の少なくとも片面に設けた事を特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の偽造防止用紙としたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す効果がある。
【0023】
即ち、前記請求項1に係る発明によれば、文字や絵柄、図形などを6μm〜200μmの凹凸を透明な高分子樹脂フィルムに直接形成したものを中間層とし、この中間層を紙層中に漉き込む事で、この用紙を透過光で観察すると、中間層の厚い部分は用紙基材が薄くなって明るくなり、反対に中間層が薄い部分では用紙基材が厚くなって暗くなるため、連続した階調を持つ透かし画像を得る事が可能となる。
【0024】
また、中間層がある事で、透かしの明暗によらず、強度の高い偽造防止用紙とする事が可能となり、中間層の厚みが変化しても中間層が漉き込まれた部分の厚さは一定(露出している部分は若干薄くなる)となるため、用紙表面全体が平滑であり、更に、中間層の一部が用紙の片面、または両面に露出している事で、偽造防止効果の高い偽造防止用紙とする事ができる。
【0025】
次に、前記請求項2に係る発明によれば、光学多層干渉膜の多層薄膜やコレステリック液晶の層、粉末を含有するインキによる印刷層を積層した中間層の一部が用紙の片面または両面に露出する事で、透かし効果を有しつつ、観察する角度に応じて異なる色彩を見たり、特殊なフィルム越しに見る事で色彩や絵柄が変化する偽造防止用紙とする事ができる。
【0026】
前記請求項3に係る発明によれば、中間層が透明な高分子樹脂フィルムからなる基材と透明な凹凸形成層の2層からなり、この中間層を紙層中に漉き込んでなる透かし用紙であり、この中間層が2層である事から、厚さを6μm〜200μmの範囲でより容易に大きく変化させる事が可能な、透かし効果を持つ偽造防止用紙とする事ができる。
【0027】
前記請求項4に係る発明によれば、中間層の一部に光反射層を設ける事で、透かしの明暗における暗色の色域が広がるため、より一層透かしのコントラストを高めた偽造防止用紙とする事ができる。
【0028】
前記請求項5に係る発明によれば、凹凸形成層の一部、または全面に0.01〜5μmの微細な凹凸を形成する事で、より滑らかな階調の透かしを持った偽造防止用紙とする事ができる。
【0029】
前記請求項6に係る発明によれば、前記凹凸形成層の一部または全面を、ある一定の範囲の角度にて色彩や画像、もしくは観察する角度に応じて複数の異なる色彩や画像パターンとして観察する事が可能で、且つ、透かし効果を有する偽造防止用紙とする事ができる。
【0030】
前記請求項7に係る発明によれば、中間層の用紙基材から露出している部分に光反射層を設ける事で、中間層が用紙基材から露出している部分は光学的変化を発現させる効果を持ち、中間層が用紙基材に漉き込まれている部分は透かしの効果を持つ偽造防止用紙とすることができる。
【0031】
前記請求項8に係る発明によれば、前記光反射層が任意のパターンで設けられている事から、請求項4や7に記載の偽造防止効果を更に高めた偽造防止用紙とすることができる。
【0032】
前記請求項9に係る発明によれば、前記光反射層の可視光透過率を30%〜90%とする事で、用紙基材から露出した中間層において、透明性を保持したまま光学的変化を発現させる効果を持つ偽造防止用紙とする事ができる。
【0033】
前記請求項10に係る発明によれば、前記多層薄膜やコレステリック液晶の層、観察する角度に応じて異なる色彩を見る事ができる粉末を含有するインキによる印刷層、回折構造、光反射層の何れかの単層、もしくは複数層が、用紙基材から露出している中間層にのみ設けられている事から、用紙基材がある部分は階調豊かな透かし効果を有しつつ、一般的な透かしが無い用紙と同様の印刷適性を持ち、また、用紙基材から中間層が露出している窓開き部分を光学的変化を発現させるOVDとする事ができ、更に、このOVD部は中間層として用紙と一体化している事から、改竄が困難な偽造防止用紙とする事ができる。
【0034】
前記請求項11に係る発明によれば、前記中間層の少なくとも片面の一部、または全体に印刷層が設けられている事から、用紙基材の厚さによる透かし効果に加え、印刷による意匠性が付与され、印刷の濃淡による透かし効果も得る事が可能な偽造防止用紙とする事ができる
前記請求項12に係る発明によれば、前記中間層の少なくとも片面に、用紙基材と中間層との密着を強固にするための接着層を有する事から、中間層と用紙基材との密着が良好で改竄が困難な偽造防止用紙とする事ができる。
【0035】
前記請求項13に係る発明によれば、前記中間層と用紙基材との密着をより強固にするため、接着層及び密着補助層の2層を中間層の少なくとも片面に有する事から、中間層と紙基材との密着がより強固で改竄が困難な偽造防止用紙とする事ができる。
【0036】
従って本発明は、紙層中に漉き込まれる中間層の厚さを制御する事で任意の連続した階調を持つ透かしを得る事が可能となり、透かしの明度によらず強度や平滑性が高く、印刷や転写の加工適性を向上させ、更に中間層の一部が紙層から露出し、且つ、その露出部分に光学的変化を発現させる事が可能である事から、真贋判定のし易さと偽造防止効果の高さを高度に両立できる用紙となっている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る偽造防止用紙を通常の順光環境下で観察した時の状態を示す平面図。
【図2】その偽造防止用紙を逆光環境下で観察した時の状態を示す平面図。
【図3】図2中のA−A線に沿う断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る偽造防止用紙を通常の順光環境下で観察した時の状態を示す平面図。
【図5】その偽造防止用紙を逆光環境下で観察した時の状態を示す平面図。
【図6】図5中のB−B線に沿う断面図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る偽造防止用紙を通常の順光環境下で観察した時の状態を示す平面図。
【図8】その偽造防止用紙を逆光環境下で観察した時の状態を示す平面図。
【図9】図8中のC−C線に沿う断面図。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る偽造防止用紙を通常の順光環境下で観察した時の状態を示す平面図。
【図11】その偽造防止用紙を逆光環境下で観察した時の状態を示す平面図。
【図12】図11中のD−D線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の偽造防止媒体と偽造防止用紙の構造等について、その実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0039】
図1乃至図3には、本発明の第1の実施形態に係る偽造防止用紙11を示してあり、図1は、偽造防止用紙11を通常の順光環境下で観察した時の状態を示す平面図、図2は偽造防止用紙11を逆光環境下で観察した時の状態を示す平面図、図3は図2中のA−A線に沿う断面図である。
【0040】
この偽造防止用紙11は、図3に示すように、用紙基材1の紙層中に中間層2として、透明な高分子樹脂フィルムからなる中間層基材3が漉き込まれた透かし用紙となっている。中間層基材3の一部は、用紙基材1に形成された例えば楕円形の窓開きの開口を通して用紙基材1の表裏面側に露出する中間層露出部21となっている。
【0041】
図1に示すように、偽造防止用紙11を通常の順光環境下で観察した時には、用紙基材1の厚みの差による透かしは見えない。
【0042】
一方、図2に示すように、逆光環境下で見た時には、用紙基材1の厚みの差による光透過濃度の差が、縞模様の透かしパターンとなって発現しているのが観察出来る。
【0043】
そして、図1および図2に示すように、用紙基材1に形成された楕円形の窓開きの開口部分では、中間層基材3の一部が中間層露出部21として露出し、その中間層基材3が透明であることから、順光状態でも逆光状態でも中間層露出部21の向こう側が透けて見える状態にある。
【0044】
図3に示すように、用紙基材1には中間層基材3が漉き込まれているが、偽造防止用紙11の全体の厚さは一定のまま中間層基材3の厚さが紙層中でなだらかに変化する事で用紙基材1の厚さも変化し、このため、偽造防止用紙11の光透過濃度も部分的になだらかに変化するものとなる。尚、図3では用紙基材1の表裏をともに窓開き状態とした場合を示しているが、本発明においては、中間層露出部21が用紙基材1の表裏のどちらか一方だけに露出する場合であってもよい。
【0045】
図4乃至図6には、本発明の第2の実施形態に係る偽造防止用紙12を示してあり、図4は、通常の順光環境下で偽造防止用紙12を観察した時の状態を示す平面図、図5は偽造防止用紙12を逆光環境下で観察した時の状態を示す平面図、図6は図5中のB−B線に沿う断面図である。
【0046】
この偽造防止用紙12は、図6に示すように、用紙基材1の紙層中に中間層2として、透明な高分子樹脂フィルムからなる中間層基材3の片面に凹凸形成層4が積層された状態で漉き込まれた透かし用紙となっている。用紙基材1の一部には、例えば楕円形の窓開きの開口が形成され、中間層基材3および凹凸形成層4の一部が前記開口を通して用紙基材1の表裏面側に露出する中間層露出部21となっている。中間層露出部21の部分において、凹凸形成層4には微細な凹凸パターン33が形成されている。この微細凹凸パターン33は用紙基材1の裏面側に露出している。
【0047】
図4に示すように、この偽造防止用紙12を通常の順光環境下で観察した時には、用紙基材1の厚みの差による透かしは見えないが、中間層露出部21上に設けた微細凹凸パターン33により、見る角度により光学的に変化する絵柄を薄く観察する事ができる。
【0048】
一方、図5に示すように、偽造防止用紙12を逆光環境下で見た時には、用紙基材1の厚みの差による光透過濃度の差が透かし模様となって発現しているのがはっきりと観察できるが、中間層露出部21の微細凹凸パターン33による絵柄はほとんど見えない。
【0049】
図6に示すように、用紙基材1に中間層基材3と凹凸形成層4とからなる中間層2が漉き込まれているが、中間層露出部21の部分における中間層基材3は厚みがほぼ一定で、且つ、凹凸形成層4に0.01μm〜5μmの微細な凹凸からなる回折構造32が形成されているため、見る角度で光学的な変化を観察する事ができる。尚、図6では表裏ともに窓開き状態とした場合を示しているが、本発明においては、中間層露出部21が用紙基材1の表裏のどちらか一方だけに露出していてもよい。
【0050】
図7乃至図9には、本発明の第3の実施形態に係る偽造防止用紙13を示してあり、図7は通常の順光環境下で偽造防止用紙13を観察した時の状態を示す平面図、図8は偽造防止用紙13を逆光環境下で観察した時の状態を示す平面図、図9は図8中のC−C線に沿う断面図である。
【0051】
この偽造防止用紙13は、図9に示すように、用紙基材1の紙層中に中間層2として、透明な高分子樹脂フィルムからなる中間層基材3の片面に凹凸形成層4を積層した状態で漉き込まれた透かし用紙となっている。用紙基材1の一部には、例えば楕円形の窓開きの開口が形成され、中間層基材3および凹凸形成層4の一部が前記開口を通して用紙基材1の表裏面側に露出する中間層露出部21となっている。中間層露出部21の部分では、中間層基材3は厚みがほぼ一定で、凹凸形成層4に微細な凹凸からなる回折構造32が形成されている。更に回折構造32に接するように光反射層5が積層されている。光反射層5は用紙基材1の裏面側に露出している。
【0052】
図7に示すように、この偽造防止用紙13を通常の順光環境下で観察した時には、用紙基材1の厚みの差による透かしは見えないが、中間層露出部21上に設けた回折構造32による回折光画像33が、見る角度で変化するのを観察する事ができる。
【0053】
一方、図8に示すように、逆光環境下で見た時には、用紙基材1の厚みの差による光透過濃度の差が横縞の透かし模様となって発現しているのがはっきりと観察できるが、中間層露出部21の回折構造32は、裏面に回折光画像33と同じ形状からなる光反射層5が設けられているから、その光反射層5の陰となって絵柄はほとんど見えない。
【0054】
図9に示すように、用紙基材1に中間層基材3と凹凸形成層4とからなる中間層2が漉き込まれているが、中間層露出部21の部分における中間層基材3は厚みがほぼ一定で、凹凸形成層4に微細な凹凸からなる回折構造32が形成され、更に回折構造32に接するように光反射層5が積層されているため、用紙基材1の表面側から中間層露出部21を見たときには、見る角度で光学的に変化する回折光画像33を観察する事ができる。尚、図9では表裏ともに窓開き状態とした場合を示しているが、本発明においては、中間層2の光反射層5が積層されている面の反対面だけが用紙基材1から露出していてもよい。
【0055】
図10乃至図12には、本発明の第4の実施形態に係る偽造防止用紙14を示してあり、図10は、通常の順光環境下で偽造防止用紙14を観察した時の状態を示す平面図、図11は偽造防止用紙14を逆光環境下で観察した時の状態を示す平面図で、図12は図11中のD−D線に沿う断面図である。
【0056】
偽造防止用紙14は、図12に示すように、用紙基材1の紙層中に中間層2として透明な高分子樹脂フィルムからなる中間層基材3および凹凸形成層4と、印刷層6、接着層7が漉き込まれた透かし用紙となっている。用紙基材1の一部には、例えば楕円形の窓開きの開口が形成され、中間層基材3、凹凸形成層4、接着層7の一部が前記開口を通して用紙基材1の表裏面側に露出する中間層露出部21となっている。中間層露出部21の部分では、中間層基材3は厚みがほぼ一定で、凹凸形成層4には微細な凹凸からなる回折構造32が形成され、更に回折構造32に接するように光反射層5が積層されており、接着層7は光反射層5を設けた後に中間層2の表裏の全面に形成されており、中間層2は用紙基材1と強固に密着している。
【0057】
図10に示すように、偽造防止用紙14を通常の順光環境下で観察した時には、用紙基材1の厚みの差による透かしは見えないが、用紙基材1に漉き込まれた中間層2上には印刷層6があるため、印刷層6による文字パターン「○△□GIFTCARD」が薄く見え、また、楕円形の中間層露出部21上に設けた回折構造32により、見る角度で光学的に変化する回折光画像33を観察する事ができる。
【0058】
一方、図11に示すように、偽造防止用紙14を逆光環境下で観察した時には、用紙基材1の厚みの差による光透過濃度の差が横縞の透かし模様や印刷層6による「○△□GIFTCARD」の文字パターンがはっきりと観察できるが、中間層露出部21の回折構造32がその裏面に設けられた同じ形状からなる光反射層5の陰となってしまうため、回折光画像33は見る事ができない。
【0059】
図9に示すように、用紙基材1に中間層基材3と凹凸形成層4とからなる中間層2が漉き込まれているが、中間層露出部21の部分における中間層基材3は厚みがほぼ一定で、凹凸形成層4に微細な凹凸からなる回折構造32が形成され、更に回折構造32に接するように光反射層5が積層されているため、中間層露出部21の表面側からは、見る角度で光学的に変化する回折光画像33を観察する事ができる。尚、図12では表裏ともに窓開き状態を示しているが、本発明においては、中間層2が、光反射層5が積層されている面の反対面だけが用紙基材1から露出していてもよく、また、接着層7も、中間層2の表裏のどちらか一方の面にのみ形成されていてもよい。
【0060】
以下に、本発明の偽造防止用紙を構成する各層の材質と形成方法などについて説明する。
【0061】
(用紙基材)
本発明の用紙基材1の原料としては、針葉樹や広葉樹、コットン、イネ、エスパルト、バガス、麻、亜麻、ケナフ、カンナビス等の植物パルプや、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックから作られた合成繊維が用いられる。
【0062】
用紙基材1の形成にあたっては、植物パルプまたは合成繊維を水中にて叩解して水稀薄原料としたものを漉いて絡ませた後、脱水・乾燥させて作られる。この時、紙は原料であるセルロースの水酸基間の水結合で繊維間の強度が得られる。また、紙に用いる填料としてはクレイ、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン等があり、サイズ剤としてはロジン、アルキル・ケテン・ダイマー、無水ステアリン酸、アルケニル無水こはく酸、ワックス等があり、紙力増強剤には変性デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、ポリエチレンイミン等があり、これらの材料は必要に応じて適宜水稀薄原料に加えられる。
【0063】
本発明の偽造防止用紙の抄紙方法は既存の植物繊維紙の漉き合わせ法でよく、原料濃度を0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の水稀薄原料で十分に膨潤させた繊維をよく混練し、スダレ・網目状のワイヤーパート上に流して並べ、搾水後加温により水分を蒸発させて作られるが、この時、搾水前に用紙基材1の上側、及び用紙基材1の下側との間に中間層2を配置し、3層を重ね合わせながら搾水して加熱する事で、3層が密着しながら中間層2の漉き合わせが行われる。
【0064】
植物繊維以外の例えば合成繊維を混入した紙の場合は合成繊維間に水素結合などの結合力を持たないため結着剤を必要とする事が多いので、合成繊維比率と結着剤量は、紙の強度を落とさない程度に適宜決めるのが望ましい。
【0065】
(中間層)
中間層2は、透明な高分子樹脂フィルムからなる中間層基材3を含み、必要に応じてその中間層基材3に凹凸形成層4や光反射層5、印刷層6、接着層7あるいは密着補助層などを順次積層してなる。
【0066】
(中間層基材)
中間層基材3としては、透明性に優れ、機械的に強く柔軟性や可撓性を有するポリエチレンテレフタレートやポリ塩化ビニル、ポリアクリレート等の高分子材料からなるフィルム状のプラスチックが必要に応じて用いられる。本発明の場合、中間層基材3が薄過ぎると強度が低下して凹凸加工時に破断したり、凹凸の差が少な過ぎて透かしの階調が無くなってしまったりする。一方、あまり厚いと偽造防止用紙としての適性を損なってしまうため、偽造防止用紙としての厚さも考慮すると、本発明において中間層基材3の厚さは6μm〜100μmの間である事が好ましい。
【0067】
(凹凸形成層)
中間層2において、凹凸を精密に形成する場合には、中間層基材3に凹凸形成層4を積層し、熱や圧力などによって微細凹凸構造31が成型される。また、微細凹凸構造31がレリーフ型回折格子や体積型回折格子等によって形成されている場合には、回折構造32となる。
【0068】
前記回折構造32に利用できるレリーフ型回折格子は、その表面に微細な凹凸パターンの形態で回折格子を記録したもので、例えば、二光束干渉法を使用して感光性樹脂の表面に互いに可干渉の2本の光線を照射してこの感光性樹脂表面に干渉縞を生成させ、この干渉縞を凹凸の形態で感光性樹脂に記録する事で形成できる。尚、この二光束性干渉法によって形成された干渉縞も回折格子であり、前記2本の光線の選択によって任意の立体画像を回折格子パターンとして記録する事が可能である。また、観察する角度に応じて異なる画像(以下チェンジング画像と言う)が見られるように記録する事も可能である。
【0069】
本発明に用いられる回折格子構造物となる画像パターンを記録する方法については、前記二光束干渉法の他にもイメージホログラムやリップマンホログラム、レインボーホログラム、インテグラルホログラムなど、従来から知られているホログラムの製造方法により作製が可能である。
【0070】
レリーフ型回折格子の凹凸パターンは、電子線硬化型樹脂の表面に電子線を照射して、回折格子となる縞状パターンに露光する事によって回折構造物を形成する事も可能である。この場合には、その干渉縞を1本ごとに制御する事ができるため、ホログラムと同様に任意の立体画像やチェンジング画像を記録する事ができる。また、画像をドット状の画素領域に分割し、この画素領域ごとに異なる回折格子を記録し、これら画素の集合で全体の画像を表現する事も可能である。画素は円形のドットの他、星形のドットでも良い。
【0071】
誘起表面レリーフ形成法によって、前記凹凸パターンを形成する事も可能である。すなわち、アゾベンゼンを鎖側に持つポリマーのアモルファス薄膜に対して、青色〜緑色に渡る範囲の或る波長を有した数十mW/cm程度の比較的弱い光を照射する事によって、数μmスケールでポリマー分子の移動を起こし、結果、薄膜表面に凹凸によるレリーフを形成する事ができる。
【0072】
そして、このように形成された凹凸パターンを有するレリーフ型のマスター版の表面に電気メッキ法で金属膜を形成する事によって、レリーフ型マスター版の凹凸パターンを複製し、これをプレス版とする。そして、凹凸形成層4にこのプレス版を熱圧着し、この樹脂層の表面に微細な凹凸パターンを転写することにより、回折構造32とすることができる。
【0073】
前記凹凸形成層4に適用される樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂等が使用できる。例えば、熱可塑性樹脂では、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等が挙げられる。また、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネートを架橋剤として添加して架橋させたウレタン樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等が使用できる。また、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂としては、エポキシ(メタ)アクリル、ウレタン(メタ)アクリレート等が使用できる。
【0074】
中間層2には、多層薄膜である光学多層干渉膜、コレステリック液晶の層、観察する角度に応じて異なる色彩を見る事ができる粉末を含有するインキ等も積層可能である。
【0075】
前記光学多層干渉膜は、金属薄膜、セラミックス薄膜、又は、それらを併設してなる複合薄膜として、各層の光学特性と層の組み合わせの関係による適当な数の層が積層されていれば良い。例えば、屈折率の異なる薄膜を積層する場合、高屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜とを組み合わせても良く、また特定の組み合わせを交互に積層するようにしても、いずれでもよい。それらの層による光学的条件を満たす適当な組み合わせにより、所望の光学的効果(ここでは構造色)を発現する光学多層干渉薄膜を得ることができる。
【0076】
このような光学多層干渉膜に用いられる材料の例を以下に挙げる。尚、化学式の後ろに続くカッコ内の数値は、それぞれの屈折率nを示す。
【0077】
まず、セラミックスとしては、Sb23(3.0)、Fe23(2.7)、TiO2(2.6)、CdS(2.6)、CeO2(2.3)、ZnS(2.3)、PbCl2(2.3)、CdO(2.2)、Sb23(2.0)、WO3(2.0)、SiO(2.0)、Si23(2.5)、In23(2.0)、PbO(2.6)、Ta23(2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2(2.0)、MgO(1.6)、Si22(1.5)、MgF2(1.4)、CeF3(1.6)、CaF2(1.3〜1.4)、AlF3(1.6)、Al23(1.6)、GaO(1.7)、等があり、また、金属系の材料としては、Al、Fe、Mg、Zn、Au、Ag、Cr、Ni、Cu、Si、等の金属単体もしくは合金が挙げられる。
【0078】
また、低屈折率の材料としては、例えば有機ポリマーのうち、ポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフロロエチレン(1.35)、ポリメチルメタアクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.60)等がある。但し、ここでカッコ内の数値はそれぞれの屈折率nを示す。これらの高屈折率材料もしくは20〜70%の光透過率とした金属薄膜より少なくとも一種、低屈折率材料より少なくとも一種をそれぞれ選択し、所定の厚さで交互に積層させる事により、可視光における特定の波長だけを吸収あるいは反射するようになる。
【0079】
前記の各材料から屈折率、反射率、透過率等の光学特性や耐候性、層間密着性などに基づき適宜選択され、薄膜として積層される事によって光学的な波長干渉を発生させる多層薄膜を形成する。形成方法は、膜厚、成膜速度、積層数、あるいは光学膜厚等の制御が可能な公知の方法が使用できる。例えば真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法等である。尚、前記光学膜厚とはn・dで与えられる量であり、nは屈折率、またdは膜厚である。
【0080】
また、コレステリック液晶の層は、その構成分子が光学活性を有し、薄層内ではネマッティック一軸配向しているが、隣接層間では相互に一定方向に一定角のねじれを起こしている螺旋構造を有している。そのピッチは数百nmから無限大まで分布する。この螺旋構造のため、コレステリック液晶は螺旋ピッチに相応した波長の光を選択的に反射し、青から赤まで煌びやかな色彩を持つ。
【0081】
次に、観察する角度に応じて異なる色彩を見る事ができる粉末としては、例えば、雲母などの層状物質が挙げられる。この雲母を還元二酸化チタンや酸化鉄で被覆した粉末を利用する事ができる。これらは、いわゆるフリップフロップ効果によって、波長分散性能を発揮する。これら粉末をインキ化して公知の印刷法または塗布法により、波長分散性能を有する層を形成する事ができる。
【0082】
(光反射層)
光反射層5としては、反射輝度が高いのと、その製膜厚さが制御しやすく、除去もし易い点で金属薄膜が好ましく利用できる。このような金属としては、例えば、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、真鍮等が挙げられる。そして、真空製膜法を利用してこの金属薄膜を形成する事ができる。真空製膜法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等が適用でき、厚みが5〜1000nmの間で制御できれば良く、可視光の反射率や真空製膜の形成性の点で20nm〜100nmの厚みが好ましい。
【0083】
また、光反射層5として、高屈折率の透明薄膜を利用する事もできる。この透明薄膜は、回折構造形成層2や5の屈折率より0.2以上大きい屈折率を有するものが望ましく、例えば、屈折率2.0以上の透明材料から構成される薄膜からなり、可視光透過率が20%〜90%である事が望ましい。これは、可視光透過率が20%未満の場合は、可視光が透過する量が少なすぎるため、透明薄膜としての透明効果が弱くなってしまい、一方、可視光透過率が90%よりも大きい場合には、光反射の効果が弱くなってしまうためである。
【0084】
光反射層5の透明材料としては、例えば、Sb23(屈折率n=3.0)、Fe23(n=2.7)、TiO2(n=2.6)、Cds(n=2.6)、CeO2(n=2.3)、ZnS(n=2.3)、PbCl2(n=2.3)、CdO(n=2.2)、Sb23(n=2.0)、WO3(n=2.0)、SiO(n=2.0)、Si23(n=2.5)、In23(n=2.0)、PbO(n=2.6)、Ta23(n=2.4)、ZnO(n=2.1)、ZrO2(n=2.0)、等が挙げられる。そして、真空製膜法を利用してその薄膜を形成する事ができる。薄膜の厚みは5〜1000nmの間で制御できれば良い。
【0085】
また、金属粉末や透明材料の粉末を含むインキを印刷して光反射層5としても良い。この場合、粉末としては粒子径500nm以下のものが好ましく、その厚さは0.1〜20μmが好ましく、印刷方式として、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等、公知の印刷方法が利用できる。
【0086】
そして、この光反射層5は、次のような方法により、画像パターンに加工する事ができる。
【0087】
すなわち、第1の方法は、前述の印刷方式を利用する方法である。第2の方法は、凹凸形成層4に画像パターン状の開口部を有するマスクを重ねて光反射層5を真空製膜することにより、画像パターン状に光反射層5を製膜する方法である。
【0088】
第3の方法は、まず、溶剤溶解性の樹脂層をネガパターン状に設け、この溶剤溶解性樹脂層を被覆して全面一様に反射層5を形成した後、溶剤で前記の溶剤溶解性樹脂層を溶解して除去すると同時に、この溶剤溶解性樹脂層上に重ねられた反射層5を除去する事によって、残存する反射層5が画像パターン状に形成される方法である。
【0089】
第4の方法は、まず、凹凸形成層4の上に剥離しやすい樹脂層をネガパターン状に設け、この樹脂層を被覆して全面一様に光反射層5を形成した後、粘着ロールや粘着紙等に押し当てる事によって粘着ロールや粘着紙等にネガパターン状に転写させて除去し、結果、光反射層5が画像パターン状に残存される方法である。
【0090】
第5の方法は、全面一様に光反射層5を形成し、この光反射層5上に耐薬品性の樹脂層を画像パターン状に設け、アルカリ性または酸性のエッチング液を適用して露出している光反射層5を溶解して除去する方法である。この場合、光反射層5を画像パターン状に加工したした後、前記耐薬品性樹脂層を除去しても良いが、そのまま残存させて、耐薬品性を持たせるための保護層として利用する事もできる。
【0091】
第6の方法は、全面一様に形成された光反射層5上に感光性樹脂層を形成し、画像パターン状に露光・現像した後、アルカリ性または酸性のエッチング液を適用して露出した光反射層5を溶解して除去する方法である。この場合も、残存する感光性樹脂層をそのまま残存させて、耐薬品性を持たせる保護層として利用する事ができる。
第7の方法は、全面一様に形成された光反射層5にレーザ光を照射して直接除去する事により、残存する光反射層5が画像パターン状となる方法である。
【0092】
また、光反射層5の膜厚を連続的に変化させながらパターン状に形成する方法としては、全面一様に金属薄膜層を形成し、この金属薄膜層上に耐薬品性の樹脂層をパターン状に設け、アルカリ性または酸性のエッチング液を適用して露出している金属薄膜層を溶解して除去する方法である。但し、この場合の樹脂層の耐薬品性は、アルカリ性または酸性のエッチング液に浸漬されている間に、徐々に金属薄膜層から剥離する程度の耐薬品性であり、前記エッチング液に浸漬しても金属薄膜層から全く剥離しない樹脂層は使用できない。
【0093】
光反射層5の膜厚を連続的に変化させながらパターン状に形成する第2の方法は、凹凸形成層4上に形成した微細凹凸31の構造深さや構造幅を任意に変化させて形成した後に金属薄膜層を真空製膜法で形成する。この方法では微細構造31の構造深さや構造幅に準じて金属薄膜層の膜厚が変化する。
【0094】
尚、本発明では、光反射層5をパターン状に形成したり、その厚みを連続的に変化させたりする方法については、前記方法に限定するものではない。また、これらのパターンとしては、明確な意味を持たないランダムなパターンでも良いが、絵柄、図形、模様、文字、数字、記号等のパターンとして、観察者に認知可能な情報を付与させてもよい。
【0095】
(印刷層)
印刷層6は公知の印刷法、例えば、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法など、どのような印刷法でもよく、本発明では、印刷される場所も、中間層2のどの層に印刷してもよい。
【0096】
(接着層)
接着層7として、中間層2の樹脂と用紙基材1との接着には、澱粉系、メチルセルロース系、カルボキシル化セルロース系、ヒドロキシエチルセルロース系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルピロリドン系、ビニルエチルエーテル−無水マレイン酸共重合体系、ポリアクリル酸系ポリエチレンオキサイド系等が使用可能である。但し、透かし用紙としての適性が必要であるため、接着層7は、光透過性が高いものが望ましい。
【0097】
(密着補助層)
密着補助層は、各層間同士の密着を向上させるものであれば公知の材料や形成方法が使用可能であり、例えば、樹脂同士の接着には、密着性が良い塩酢ビ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの樹脂材料をベースとした接着材料や粘着材料、熱もしくは光硬化性樹脂材料など使用可能である。但し、密着補助層も、透かし用紙としての適性が必要であるため、光透過性が高いものが望ましい。
【0098】
尚、本発明の偽造防止用紙への印刷加工は、従来の紙の場合と同じ方法、すなわち、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法等の印刷法で文字や絵柄を印刷する事が可能であり、断裁機を用いての小切れ加工、後からや転写箔を用いての転写加工、貼付加工なども可能である。
【実施例】
【0099】
次に、実施例によって本発明を説明する。
【0100】
(実施例1)
まず、前述の第1の実施形態である、中間層基材3になだらかな凹凸加工を施して厚みが連続的に変化する中間層2を漉き込んだ偽造防止用紙11について説明する。
【0101】
中間層基材3として、厚さ50μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、所望の凹凸を有した金属ロールを180℃に熱して中間層基材3の表から押し当てると同時に、反対側には平滑な金属ロールを押し当てる事で、凹凸のある中間層2を形成した。
【0102】
次に、針葉樹パルプを水中で叩解して原料濃度を1.5%とした後、部分的に楕円形の窓開きの開口となるように金属で加工された透き網と手漉き装置を用いて一度漉き、漉いた針葉樹パルプの上に中間層2を配置して更にもう一度漉き合わせを行い、脱水、乾燥させる事で、秤量100g/mと同程度の厚み(約0.1mm)を持った本発明の偽造防止用紙11を作製した(図1〜図3に示した偽造防止用紙に対応する)。
【0103】
こうして作製された偽造防止用紙11は、連続的に厚みが変化する透明な中間層2が用紙基材1の中に漉き込まれ、その中間層2の一部が窓開き状の開口を通して用紙基材1の外側に露出しているため、偽造防止用紙11を順光状態で観察した時には、中間層露出部21が透明で偽造防止用紙11の向こう側が透けて見る事ができ、また、中間層露出部21以外の部分は全て表面が平滑であり、透かしによる凹凸がないために用紙の全面で印刷適性が良好であり、また、用紙に印刷した文字や絵柄が透かしに邪魔される事がなかった。一方、逆光環境下では、階調豊かな透かし模様を観察する事が出来た。
【0104】
(実施例2)
前述の第2の実施形態である、中間層基材3の片面に凹凸形成層4を積層し、更に凹凸形成層4の一部に回折構造32を形成して中間層2としたものを、用紙基材1の中に漉き込んだ偽造防止用紙12について説明する。
【0105】
中間層基材3として厚さ50μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、所望の凹凸を有した金属ロールを180℃に熱して中間層基材3の表から押し当てると同時に、反対側には平滑な金属ロールを押し当てる事でなだらかな凹凸を形成した。
【0106】
次に、この中間層基材3の片面に下記組成からなるインキを、ナイフコーターを使用して塗布した後、100℃に保温された熱風乾燥機に40秒間入れて乾燥し、膜厚5μmの凹凸形成層4を形成した後、ロールエンボス法により回折格子形成用のプレス版を熱圧してその表面に回折構造32を形成し、中間層2とした。
【0107】
アクリル樹脂 30.0重量部
シリコン添加剤 0.2重量部
メチルエチルケトン 70.0重量部
次に、針葉樹パルプを水中で叩解して原料濃度を1.5%とした後、金属で加工され、部分的に円形に窓開きになるように金属で加工された透き網と手漉き装置を用いて一度漉き、漉いた針葉樹パルプの上に中間層2を所望の位置に配置して更にもう一度漉き合わせを行い、脱水、乾燥させる事で、秤量100g/mと同程度の厚み(約0.1mm)を持った本発明の偽造防止用紙12を作製した(図4〜図6に示した偽造防止用紙に対応する)。
【0108】
こうして作製された偽造防止用紙12は、中間層基材3と凹凸形成層4からなる透明な中間層2が用紙基材1の中に漉き込まれているため、偽造防止用紙12を順光状態で観察した時には、透かしが無い紙と同様に表裏の用紙表面が平滑で、中間層露出部21には回折構造32が形成されているため、見る角度によって光学的に変化する回折光画像33が発現したが、反射層がないため薄い画像として観察された。
一方、逆光環境下では、用紙基材1には階調豊かな透かし模様を観察する事ができ、中間露出部21は明るい透過光を観察する事ができた。
【0109】
(実施例3)
前述の第3の実施形態である、中間層基材3の片面に凹凸形成層4を積層し、更に凹凸形成層4の一部に回折構造32を形成した後、回折構造32上の一部に金属光沢を持った光反射層5を設けて中間層2としたものを、用紙基材1の中に漉き込んだ偽造防止用紙13について説明する。
【0110】
中間層基材3として、厚さ50μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、所望の凹凸を有した金属ロールを180℃に熱して中間層基材3の表から押し当てると同時に、反対側には平滑な金属ロールを押し当てる事でなだらかな凹凸を形成した。
【0111】
次に、この中間層基材3の片面に下記組成からなるインキを、ナイフコーターを使用して塗布した後、100℃に保温された熱風乾燥機に40秒間入れて乾燥し、膜厚5μmの凹凸形成層4を形成した後、ロールエンボス法により回折格子形成用のプレス版を熱圧してその表面に回折構造32を形成した。
【0112】
アクリル樹脂 30.0重量部
シリコン添加剤 0.2重量部
メチルエチルケトン 70.0重量部
次に、凹凸形成層4を表にした上に円形に窓開きになっているマスク板を載せた状態で真空蒸着加工を行い、凹凸形成層4上で回折構造32が形成されている所望の位置に、膜厚40nmのアルミ蒸着膜を光反射層5として形成し、中間層2を作製した。
【0113】
次に、針葉樹パルプを水中で叩解して原料濃度を1.5%とした後、金属で加工され、部分的に円形に窓開きになるように金属で加工された透き網と手漉き装置を用いて一度漉き、漉いた針葉樹パルプの上に中間層2を所望の位置に配置して更にもう一度漉き合わせを行い、脱水、乾燥させる事で、秤量100g/mと同程度の厚み(約0.1mm)を持った本発明の偽造防止用紙13を作製した(図7〜図9に示した偽造防止用紙に対応する)。
【0114】
こうして作製した偽造防止用紙13では、回折構造32に光反射層5を設けた事により、順光状態で中間層露出部21に形成された回折構造32を観察すると、観察する角度によって、絵柄や色彩が変化する回折光画像33をはっきりと観察する事ができ、中間層露出部21以外の部分では、透かしがない用紙のように表面が平滑であった。一方、逆光状態では、光反射層の陰になって回折光画像33の絵柄や色彩は見えなくなるが、用紙基材1内部に漉き込まれた透明な中間層2により、階調豊かな透かし模様を観察する事ができた。
【0115】
(実施例4)
前述の第4の実施形態である、中間層基材3の片面に凹凸形成層4を積層し、更に凹凸形成層4の一部に回折構造32を形成した後、回折構造32上の一部に金属光沢を持った光反射層5を設け、更に、凹凸形成層4上に印刷層6を設けてから表裏に接着層7を積層して中間層2としたものを、用紙基材1の中に漉き込んだ偽造防止用紙14について説明する。
【0116】
中間層基材3として、厚さ50μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、所望の凹凸を有した金属ロールを180℃に熱して中間層基材3の表から押し当てると同時に、反対側には平滑な金属ロールを押し当てる事でなだらかな凹凸を形成した。
【0117】
次に、この中間層基材3の片面に下記組成からなるインキを、ナイフコーターを使用して塗布した後、100℃に保温された熱風乾燥機に40秒間入れて乾燥し、膜厚5μmの凹凸形成層4を形成した後、ロールエンボス法により回折格子形成用のプレス版を熱圧してその表面に回折構造32を形成した。
【0118】
アクリル樹脂 30.0重量部
シリコン添加剤 0.2重量部
メチルエチルケトン 70.0重量部
次に、凹凸形成層4を表にした上に、円形に窓開きになっているマスク板を載せた状態で真空蒸着加工を行い、凹凸形成層4上で回折構造32が形成されている所望の位置に、膜厚40nmのアルミ蒸着膜を光反射層5として形成した。
【0119】
次に、凹凸形成層4上に印刷層6として「○△□GIFTCARD」の文字を薄い灰色でグラビア印刷法で印刷し、その後、表面と裏面の両面に、下記組成からなるインキをグラビア印刷法にて塗布・乾燥して膜厚5μmの接着層7を形成した。
【0120】
ポリビニルアルコール樹脂 20.0重量部
イソプロピルアルコール 40.0重量部
蒸留水 40.0重量部
次に、針葉樹パルプを水中で叩解して原料濃度を1.5%とした後、金属で加工され、部分的に円形に窓開きになるように金属で加工された透き網と手漉き装置を用いて一度漉き、漉いた針葉樹パルプの上に中間層2を所望の位置に配置して更にもう一度漉き合わせを行い、脱水、乾燥させる事で、秤量100g/mと同程度の厚み(約0.1mm)を持った本発明の偽造防止用紙14を作製した(図10〜図12に示した偽造防止用紙に対応する)。
【0121】
こうして作製した偽造防止用紙14では、中間層2上に印刷層6を設けた事により、前記偽造防止用紙13の効果に加え、用紙基材1越しに印刷層6が順光状態でも逆光状態でも透けて見え、更に中間層2の表裏に接着層7を設けた事から、中間層2と用紙基材1がより強固に密着しており、改竄のために用紙基材1と中間層2とを剥離しようとすると用紙基材1が破断し、中間層2と用紙基材1の改竄が困難な偽造防止用紙である事が分かった。
【0122】
このように、本発明の偽造防止用紙は、従来国内では紙幣用紙のみに使用されていた偽造防止技術である『階調を持った透かし』の効果を、偽造防止用紙自体の厚みの変化や表面の凹凸ではなく、漉き込まれた透明な中間層の凹凸によって達成している事が確認でき、また、従来の透かし用紙の表裏には紙の厚さの変化による凹凸が発生していたが、本発明の偽造防止用紙では用紙の表裏が共に平滑であり、用紙の加工性や印刷適性にも優れており、また、用紙基材に窓開き部を設けて中間層を露出させ、その中間層露出部に光学的変化を発現させる構造を形成する事により偽造防止効果も高い事から、本発明の偽造防止用紙が、真贋判定が従来の黒透かしと同様でありながらも、より偽造や改竄を困難なものとなっている事が分かった。
【符号の説明】
【0123】
1…用紙基材
2…中間層
3…中間層基材
4…凹凸形成層
5…光反射層
6…印刷層
7…接着層
11,12,13,14…偽造防止用紙
21…中間層露出部
31…微細凹凸構造
32…回折構造
33…回折光画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な高分子樹脂フィルムからなる中間層を用紙基材の紙層中に漉き込んでなる透かし用紙であり、前記中間層の全体、または一部の厚さが6μm〜200μmの範囲で変化し、且つ、前記中間層の一部が前記用紙基材の片面側、または両面側に露出している事を特徴とする偽造防止用紙。
【請求項2】
前記中間層の一部または全面に、光学多層干渉膜の多層薄膜やコレステリック液晶の層、観察する角度に応じて異なる色彩を見る事ができる粉末を含有するインキによる印刷層等が積層されている事を特徴とする請求項1に記載の偽造防止用紙。
【請求項3】
前記中間層は中間層基材および凹凸形成層を有し、その中間層基材の一部または全面に前記凹凸形成層が積層され、前記中間層の一部または全体の厚さが6μm〜200μmの範囲で変化し、且つ、前記中間層の一部が用紙基材の片面側、または両面側に露出している事を特徴とする請求項1に記載の偽造防止用紙。
【請求項4】
前記中間層の一部に光反射層が設けられている事を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の偽造防止用紙。
【請求項5】
前記凹凸形成層の一部または全面に、0.01μm〜5μmの微細な凹凸が形成されている事を特徴とする請求項3乃至4のいずれかに記載の偽造防止用紙。
【請求項6】
前記凹凸形成層の一部または全面に回折構造が形成されている事を特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の偽造防止用紙。
【請求項7】
前記光反射層が、前記中間層の前記用紙基材から露出する部分にのみ設けられている事を特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の偽造防止用紙。
【請求項8】
前記光反射層が、任意のパターンで設けられている事を特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の偽造防止用紙。
【請求項9】
前記光反射層が、可視光線透過率20%〜90%である事を特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の偽造防止用紙。
【請求項10】
前記中間層に積層、または形成される多層薄膜やコレステリック液晶の層、観察する角度に応じて異なる色彩を見る事ができる粉末を含有するインキによる印刷層、回折構造、光反射層が、前記中間層の前記用紙基材から露出する部分にのみ設けられている事を特徴とする請求項4乃至9のいずれかに記載の偽造防止用紙。
【請求項11】
前記中間層の少なくとも片面の一部、または全体に印刷層が設けられている事を特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の偽造防止用紙。
【請求項12】
前記中間層の片面、または両面に、前記用紙基材と前記中間層との密着を強固にするための接着層が設けられている事を特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の偽造防止用紙。
【請求項13】
前記中間層と前記用紙基材との密着を更に強固にするために、接着層及び密着補助層の2層が、前記中間層の少なくとも片面に設けられている事を特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の偽造防止用紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−104141(P2013−104141A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247533(P2011−247533)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】