説明

偽造防止用赤外線吸収インキ及び印刷物

【課題】耐耗性、耐光性を有し、さまざまな色彩を有する赤外線吸収インキを提供する。
【解決手段】偽造防止用赤外線吸収印刷インキは、アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つを無機赤外線吸収剤として含む。バリエーションに富んだ色彩とするため、偽造防止用赤外線吸収印刷インキには、アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムに加え、様々な色の顔料や染料が添加されている。偽造防止用赤外線吸収印刷インキに顔料や染料を添加して、バリエーションに富んだ色彩をつける場合には、アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの平均粒度を0.01μm〜100μmの範囲とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止用赤外線吸収インキに関する。さらに詳しくは、無機系の赤外線吸収剤を含有する偽造防止用赤外線吸収インキに関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣や有価証券等には、偽造防止を目的として赤外線を吸収する赤外線吸収インキを使用した印刷が施されている。
赤外線吸収インキは、一般に用いられる印刷用のインキに赤外線吸収剤が加えられて印刷用インキを構成する。赤外線吸収剤としては、無機色素のカーボンブラックや赤外領域に吸収を持つ有機色素が一般的に用いられている。赤外領域に吸収を持つ有機色素としては、例えばポリメチレン系、フタロシアニン系、ジチオール金属錯塩、ナフトキノン系、アントラキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系等の化合物を挙げることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、有機色素を含有した赤外線吸収インキは、多彩な色の赤外線吸収インキに調合することができるが、インキの耐光性の問題が指摘されている。
一方、赤外線吸収剤としてカーボンブラックを用いた赤外線吸収インキは、インキの耐光性は有機色素を含有した赤外線吸収インキより優れているものの、カーボンブラックが濃い暗色系の色調を有する顔料であるためインキの色は黒色系や明度の低いものに限られていた。このため、カーボンブラック含有赤外線吸収インキを用いた場合、他の色を有する顔料と混合して、バリエーションに富んだ色彩を有する赤外線吸収インキを調合することができなかった。仮に、カーボンブラックの色調を明るくするため、酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料を添加しても、白色顔料が赤外線反射顔料を混合することになるので、インキの赤外線吸収性が阻害されることになる。また、赤外線吸収顔料の粒子が粗いと、真贋判定機の読取ヘッドに負担をかけるので、真贋判定機の読取ヘッドの耐耗性に悪影響を及ぼさないようにすることが求められている。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑み、様々な色の顔料と組み合わせてバリエーションに富んだ色彩を呈し、耐光性に優れ、且つ、真贋判定機等の機械の耐耗性に悪影響を与えることのない赤外線吸収インキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明者らは無機系赤外線吸収剤を含有する赤外線吸収インキについて鋭意検討した結果、アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つを赤外線吸収剤として用いることにより、様々な色の顔料と組み合わせてバリエーションに富んだ色彩を呈することができ、且つ耐光性にも優れた赤外線吸収インキが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明はアンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つを含む、偽造防止用赤外線吸収印刷インキである。
また、本発明は、アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つと顔料又は染料とを含む偽造防止用赤外線吸収印刷インキを用いた印刷物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つを赤外線吸収剤として用いることにより、様々な色の顔料と組み合わせてバリエーションに富んだ色彩を呈する赤外線吸収インキを得ることが可能となる。
また、明度が高いアンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムでは、またインキ化した場合の透明度も高いため、淡色系の顔料と混合してインキ化することが可能である。すなわち、これまでカーボンブラックでは実現できなかった淡い色彩の赤外線吸収インキを作成することができ、デザイン性に富んだ紙幣や有価証券等を赤外線吸収インキで印刷することが可能になる。
さらに、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等の偽造防止に用いられる特殊顔料と組み合わせて使用しても、特殊顔料の効果を損なうことがないため、2つ以上の偽造防止効果を併せ持つ偽造防止用のインキとすることができる。
本発明の赤外線吸収インキは、赤外線反射インキ等の赤外線非吸収インキとの色合わせが容易にできる。赤外線吸収インキと赤外線非吸収インキとを組み合わせることにより、肉眼では判別し難いが、赤外線吸収度の違いによるコントラストをIR検知器により確実に検知することができるので、精度の高い偽造防止印刷物とすることが可能である。
なお、本発明の赤外線吸収インキは、パールインキ等の顔料とアンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つを混合しただけであるので、現行の紙幣や有価証券等の印刷ラインを変更せずとも、赤外線吸収による偽造防止効果を付与した印刷物を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の偽造防止用赤外線吸収印刷インキは、アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つを含むことを特徴とする。偽造防止用赤外線吸収印刷インキは、アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムに加え、バリエーションに富んだ色彩とするため、様々な色の顔料、特殊顔料(以下、「様々な色の顔料と特殊顔料」を単に「顔料」ということもある)や染料を添加することができる。
この偽造防止用赤外線吸収印刷インキは平均粒径0.01μm〜100μmのアンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つを含んでいる。平均粒径0.01μm〜100μmのアンチモンドープ酸化錫及び錫ドープ酸化インジウムは、明度が高いため様々な色の顔料や染料と組み合わせて、バリエーションに富んだ色に調合することができ、特に淡い色の赤外線吸収インキとすることもできる。
平均粒径が0.01μm以下の場合、赤外線吸収性の低下、凝集等の問題が生じ、100μmを超えると印刷に支障が生ずる。好ましくは、グラビア印刷用インキやフレキソ印刷用インキでは30μm以下、オフセット印刷用インキでは3μm以下、シルク印刷用インキでは100μm以下とする。
【0009】
アンチモンドープ酸化錫は、酸化錫と酸化アンチモンの焼成により得ることができる。すなわち、酸化錫、酸化アンチモンを水と混合した後、乾燥し、焼成することでアンチモンドープ酸化錫の粉体が得られる。そして、得られた粉体を粉砕して平均粒度を調整し、赤外線吸収剤とする。
酸化錫と酸化アンチモンの配合比は、アンチモンドープ酸化錫に含まれるアンチモンの量がモル比で0.02〜0.23である。
アンチモンの配合比率は、モル比で0.23を超えるとアンチモンドープ酸化錫の明度が低くなり、0.02より少なくするとアンチモンドープ酸化錫の赤外線吸収性が悪くなる。明度と赤外線吸収性のバランスの良い顔料とするには、好ましくは、0.02〜0.23の範囲である。さらに好ましくは、0.01〜0.15である。
【0010】
具体的には、例えば、配合比(アンチモンドープ酸化錫に含まれるアンチモンのモル比)0.02〜0.23の酸化錫と酸化アンチモンとを水に混合し、得られた混合物を約200℃で乾燥させた後、約1300℃で約5時間焼成してアンチモンドープ酸化錫を得ることができる。
【0011】
得られたアンチモンドープ酸化錫は、ややグレーがかった色に着色しているため、様々な色を有する赤外線吸収インキのベースとなるインキ(以下、ベースインキという)が暗色系を呈することになる。濃い暗色系の赤外線吸収インキを調合する場合には問題とならないが、明色系の赤外線吸収インキとするためには問題がある。特に、淡色系の赤外線吸収インキとすることはほとんど無理である。仮に、ベースインキの色調を明るくするため、酸化チタン、酸化亜鉛等の白い顔料を添加した場合には、赤外線吸収性が阻害されることになるので好ましくない。
【0012】
錫ドープ酸化インジウムは、次の方法によって得られる。まずインジウムと錫の水溶性化合物(例、塩化物、硝酸塩など)を水に溶解させた水溶液を、アルカリ水溶液(例、アルカリ金属又はアンモニウムの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などの水溶液)と反応させてインジウムと錫の共沈水酸化物を析出させる。錫ドープ酸化インジウムに対する錫の配合比は、モル比0.02〜0.20が好ましい。
これを脱水して部分的に酸化物とした混合酸化物を原料として用いる。得られた原料を、酸素を遮断した加圧不活性ガス雰囲気中で完全に酸化物になるまで焼成して、錫ドープ酸化インジウムが得られる。
このようにして得られた錫ドープ酸化インジウムを、ボールミルを用いて粉砕し粒径を細かくすることによって、透明度及び分散性の高い錫ドープ酸化インジウムが得られる。粒径は0.1μm〜100μmが好ましい。
【0013】
しかし、アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの平均粒径が、0.01μm〜100μmの範囲では、淡い白色をしたベースインキが得られる。ベースインキが適度に白色を帯びていることが重要である。ベースインキに色付けをする際には、ベースインキが無色透明であるよりも、適度に白色を帯びているほうが、色付けをする染料や顔料の発色がよいからである。この場合には、明色系の赤外線吸収インキをより容易に調合することができる。
前述したように、平均粒度が0.01μmより小さいと赤外線が透過してしまうので赤外線吸収性が低下するため好ましくなく、100μmを超えて大きくなるとベースインキが次第にグレー色を帯びるので好ましくない。
なお、平均粒度の測定は、レーザー回析・散乱法によって行えばよい。
【0014】
特に平均粒度が0.1〜3.0μmの範囲にあるアンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つを含むインキは、白色度(明度)が85以上を有する。
他の色の顔料や染料と混合する場合には、アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つを含むインキの白色度は70以上であればよいが、色彩のくすみを抑えてクリアな色に調合するためには75以上がさらに好ましい。特に白色度が85以上の場合には、アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つに淡い色(黒や灰色のダーク系以外の色)の顔料や染料を混合したインキとしても、そのインキで印刷した領域の白色度は、ほとんど変化が無く85以上の値を示す。
なお、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム又はそれらの少なくとも1つと他の色の顔料や染料を含む赤外線吸収インキの白色度は次のようにして測定したものである。すなわち、以下の組成のベースインキを普通紙(J、富士ゼロックス社製)にバーコーターNo.18を使用してインキを1回塗布し乾燥させた。得られた印刷物を分光光度計(U−4000自記分光光度計、日立製作所)を用いて、波長800〜350nm、光源D65、視野角2度でのL*値を測定して白色度(明度)の値とした。なお、普通紙(J、富士ゼロックス社製)をベースラインとして使用した。
樹脂:ポリエステル樹脂 100g
溶剤:メチルエチルケトン:トルエン=1:1混合物 100g
アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウム 10g
なお、L*値は0〜100で表現され、白色度が低いほど(明度が低いほど)値は小さくなる。
【0015】
平均粒径0.01μm〜100μmの範囲にあるアンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つを赤外線吸収インキとするためには高分子ポリマー、顔料や染料等の着色剤、溶剤等と配合して調合する。アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの配合割合は、グラビア印刷用インキの場合、重量比で、樹脂1に対して0.03〜0.40である。また、他の印刷方式では、以下の範囲が適切である。
フレキソ印刷用インキの場合は、重量比で、樹脂1に対して0.02〜0.40、
オフセット印刷用インキの場合は、重量比で、樹脂1に対して0.02〜0.30、
シルク印刷用インキの場合は、重量比で、樹脂1に対して0.01〜0.40
【0016】
高分子ポリマーは透明な単一の分子重合樹脂あるいは共重合樹脂である熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を成分とするものである。これらの樹脂は単独あるいは混合して用いてもよい。また、溶剤にはトルエン、キシレン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機溶媒を用いることができるが、これらに限定されるものではない。着色剤は、特に限定されるものではなく、一般的な顔料や染料を選択して用いることができる。希釈溶剤は、一般的に用いられるキシレン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等から適宜選択して用いればよい。なお、希釈溶剤は、赤外線吸収インキの印刷適正に応じて添加されるもので、印刷方法等の印刷条件に応じた量を使用すればよい。印刷は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法のほか、一般的に用いられる各種印刷法又はこれらの複数の印刷法を組み合わせて行うことができる。
【0017】
一般的に、磁気カード等の磁力を測定するヘッドは、磁力を測定する時に検査対象物に一定の圧力をかけながら測定・検査を行っている。真贋測定器においても、検査対象物に検出ヘッドで一定の圧力をかけて検査を行うことになる。
検出ヘッドに対して、この負荷を多少でも低減するためには、印刷物に使用される顔料の粒径を小さく、さらに顔料粒径を揃えるようにしたほうが良い。これは、小さい顔料に圧力を加えながら磁力を測定した場合のほうがヘッドに対しての接触面が小さくてすむ為である。粒径の大きい顔料では、粒径の小さい顔料に比べてヘッドに対する接触面が大きく、粒径の大きな顔料に圧力をかけながら測定することになるため、一点一点の接触面に大きな負荷がかかり、ヘッドの傷等が発生しやすくなる。
前述したように、赤外線吸収顔料を印刷した印刷物も、真贋を判定するとき色々なヘッドを通過する可能性があるため、顔料粒径が小さく、さらに顔料粒径が揃っていることが望ましい。
したがって、印刷材料とする赤外線吸収顔料は、赤外線吸収効果が高く、白色度及び、望ましくは透明度が高く、さらに、検査機器のヘッドに対して負荷がかかりにくい性質が必要とされている。
【実施例1】
【0018】
以下、実施例に従って本発明をさらに説明する。
錫とアンチモンの組成比(重量比)が、95:5のアンチモンドープ錫を粉砕し、平均粒径を0.7μm程度に調整した。得られたアンチモンドープ酸化錫の粒度分布を図1に示す。
なお、粒度分布は、レーザー回析・散乱法により、マイクロトラック粒度分析装置(Microtrac 9.0L MT3000 日機装株式会社製)で測定した。
得られたアンチモンドープ酸化錫を用い、以下に示す組成のベースインキを作成した。
樹脂:ポリエステル樹脂 100g
溶剤:MEK(メチルエチルケトン)とトルエンの1:1の混合物 100g
顔料:組成比(Sn:Sb=95:5)
平均粒径 0.7μm 10g
普通紙(J、富士ゼロックス社製)にバーコーダーNo.18を使用してインキを1回塗布し乾燥させた。得られた印刷物を分光光度計(U−4000自記分光光度計、日立製作所)を用いて、波長800〜350nm、光源D65、視野角2度でのL*値を測定して白色度(明度)の値とした。なお、普通紙(J、富士ゼロックス社製)をベースラインとして使用した。L*値は93であった。
次に、以下に示す染料を添加して赤外線吸収インキを作成し、普通紙に印刷して、L*値を測定したところ、L*値は90であった。染料を混合しても明度はほとんど低下しておらず、赤外線吸収インキは、淡色の染料の青色を呈していた。
樹脂:ポリエステル樹脂 100g
溶剤:MEK(メチルエチルケトン)とトルエンの1:1の混合物 100g
顔料:組成比(Sn:Sb=95:5)
平均粒径 0.7μm 10g
染料:マイクロリスブルー(桜宮化学製) 1g
【実施例2】
【0019】
以下、実施例に従って本発明をさらに説明する。
錫ドープ酸化インジウムに対する錫のモル比が0.05のアンチモンドープ錫を粉砕し、平均粒径を0.7μm程度に調整した。得られた錫ドープ酸化インジウムの最大粒度は、7.8μm、最小粒度は0.3μmであった。
なお、粒度分布は、レーザー回析・散乱法により、マイクロトラック粒度分析装置(Microtrac 9.0L MT3000 日機装株式会社製)で測定した。
得られた錫ドープ酸化インジウムを用い、以下に示す組成のベースインキを作成した。
樹脂:ポリエステル樹脂 100g
溶剤:MEK(メチルエチルケトン)とトルエンの1:1の混合物 100g
顔料:組成比(Sn/(Sn+In)=0.05)
平均粒径 0.7μm 10g
普通紙(J、富士ゼロックス社製)にバーコーダーNo.18を使用してインキを1回塗布し乾燥させた。得られた印刷物を分光光度計(U−4000自記分光光度計、日立製作所)を用いて、波長800〜350nm、光源D65、視野角2度でのL*値を測定して白色度(明度)の値とした。なお、普通紙(J、富士ゼロックス社製)をベースラインとして使用した。L*値は91であった。
次に、以下に示す染料を添加して赤外線吸収インキを作成し、普通紙に印刷して、L*値を測定したところ、L*値は90であった。染料を混合しても明度はほとんど低下しておらず、赤外線吸収インキは淡色の染料の青色を呈していた。
樹脂:ポリエステル樹脂 100g
溶剤:MEK(メチルエチルケトン)とトルエンの1:1の混合物 100g
顔料:組成比(Sn/(Sn+In)=0.05)
平均粒径 0.7μm 10g
染料:マイクロリスブルー(桜宮化学製) 1g
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】アンチモンドープ酸化錫の粒度分布を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つを含む、偽造防止用赤外線吸収印刷インキ。
【請求項2】
前記アンチモンドープ酸化錫に含まれるアンチモンの量がモル比0.02〜0.23である、請求項1記載の偽造防止用赤外線吸収インキ。
【請求項3】
前記錫ドープ酸化インジウムに含まれる錫の量がモル比で0.02〜0.20である、請求項1記載の偽造防止用赤外線吸収インキ。
【請求項4】
前記アンチモンドープ酸化錫又は前記錫ドープ酸化インジウムの平均粒径が0.01〜100μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の偽造防止用赤外線吸収印刷インキ。
【請求項5】
前記アンチモンドープ酸化錫又は前記錫ドープ酸化インジウムの少なくとも1つと顔料又は染料とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の偽造防止用赤外線吸収インキ。
【請求項6】
請求項5記載の偽造防止用赤外線吸収インキを用いて印刷した、印刷物。
【請求項7】
請求項5記載の偽造防止用赤外線吸収インキを用いて印刷した印刷物であって、白色度が85以上の印刷物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−84079(P2010−84079A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256785(P2008−256785)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】