説明

傾斜している環境で方位角測定の可能なフラックスゲート地磁気センサー及びその測定方法

【課題】 ニューラルネットワークを用いて斜め状態でも正確な方位角値を測定すること
のできるフラックスゲート地磁気センサー及びその方法が開示される。
【解決手段】 本地磁気センサーは、パルス信号を生成して駆動信号として出力する駆動
パルス発生回路、相互直交するX軸及びY軸フラックスゲートを備え、駆動信号により発
生された磁気に対応するX軸及びY軸フラックスゲートそれぞれの電圧値を出力する2軸
フラックスゲートと、所定のニューラルネットワーク加重値行列(Neural Net
work weight matrix)が格納されたメモリと、X軸及びY軸フラック
スゲート電圧値が測定されれば、メモリに格納されたニューラルネットワーク加重値行列
値を用いて電圧値を補正し、補正された電圧値を用いて方位角を演算する制御部と、を含
む。これにより斜め状況においても正確な方位角を測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方位角(azimuth)を測定するフラックスゲート(flux−gate)センサー装置及び方位角測定方法に関し、詳細には、傾斜している環境でもニューラルネットワーク(Neural Network)を用いて補正された方位角値を得ることのできるフラックスゲートセンサー装置及びその方位角測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地磁気センサーとは、人が感じられない地球磁気の強さ及び方法を測定する装置のことを意味する。特に、フラックスゲートを用いた地磁気センサーのことをフラックスゲートセンサーと呼ぶ。係る地磁気センサーは、観測地点の地磁気を測定することによってその地点の方位が分かるので、車のナビゲーション(navigation)装置、携帯電話、携帯用端末装置などに表示されている地図情報を提供する、多様な用途で使用できる。
【0003】
一方、フラックスゲートセンサーは、パーマロイ(permalloy)のような材料を磁心として使用し駆動コイルにより励起磁場を加え、その磁心の磁気飽和及び非線形磁気特性を用いて外部磁場に比例する2次高調波成分を測定することにより、外部磁場のサイズ及び方向が測定できる。
【0004】
係るフラックスゲートセンサーは1930年代の末に開発されたもので、他の形態の地磁気センサーと比較すると、感度がよく、経済的であり、相対的に小型で製造できる長所を持つ。また、電力消耗が少なく、出力信号の安定度(long−term stability)をも優れているため、微弱磁界の検出、地球の絶対方向計測と共に鉱脈探査、標的探知、そして人工衛星の姿勢制御及び宇宙探査用に至る民需用及び軍事用まで幅広く使用されており、現在も性能効能のための研究がなされている。
【0005】
特に、最近ではMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術が目覚しく発展することにより、これを用いた低消費電力型の超小型フラックスゲートセンサーの開発も進んでおり、携帯用電話機や端末装置に適用することが有利になっている。しかし、係る携帯機器に適用するためには単に小型化のみならず、移動が容易な携帯機器の特性を考えて常に安定的な方位測定を可能にする課題が残っている。即ち、ユーザが携帯機器を握っている姿勢やその方法により携帯機器は一定の方向に向わず、全ての方向に向うことになる。つまり、携帯機器に搭載されている地磁気センサーは水平位置について全ての傾斜角を有するよう斜めになれるし、その傾斜角も常に変動される。従って、このような使用環境においては地磁気センサーの傾斜による影響をリアルタイムで排除し、その検出信号を自動に補正する技術が求められている。
【0006】
図1は、従来のフラックスゲートセンサーの構成を示したブロック図である。同図を参照すると、従来のフラックスゲートセンサー100は、駆動パルス発生回路101、コイル駆動用電流増幅回路102、2軸フラックスゲート103、チョッピング(chopping)回路104、1次増幅回路105、低周波フィルタ106、2次増幅回路107、A/Dコンバーター108、制御器110、傾斜検知装置120、及びメモリ130を含む。
【0007】
駆動パルス発生回路101では、2軸フラックスゲートを駆動させ得る駆動パルスを生成した後、これを選択的にスイッチングしてコイル駆動用電流増幅回路102に印加する役割をする。コイル駆動用電流増幅回路102は多数個の増幅器及び反転器を用いて駆動パルス発生回路101を介して出力されたパルスについて位相が相互反対であるパルス信号及び反転パルス信号を出力する。
【0008】
2軸フラックスゲート103は、互いに直交しているX軸及びY軸フラックスゲートを含み、X軸及びY軸フラックスゲートにそれぞれ伝達されたパルス信号及び反転パルス信号により駆動され、その駆動によって生じた起電力に対応される検出信号を出力する。図面にて、X軸及びY軸フラックスゲート103は四角リング状の2つの磁性体コアがそれぞれX軸及びY軸の2方向に長手方向を有するよう設けられており、磁性体コアそれぞれには駆動コイル及び検出コイルが捲線されている。駆動コイルに駆動パルスが印加されれば、X軸及びY軸フラックスゲートに磁気が発生し、これによる誘導気電力を、検出コイルを介して検出できるようにする。
【0009】
2軸フラックスゲート103から検出された電気的な信号はチョッピング回路104で内蔵された多数個のスイッチを制御しチョッピングさせる。チョッピングされた電気的な信号は1次増幅回路105にて差動増幅されたあと、低周波フィルタ106を介して一定範囲の信号のみをフィルタリングし、2次増幅回路107で最終的に増幅される。増幅された信号はA/Dコンバーター108においてデジタル電圧値に変換し出力される。
【0010】
一方、傾斜検知装置120は、3次元空間をX、Y、Z軸を用いて表す場合、xy表面にてX軸方向に設けられたX軸加速度センサーと、Y軸方向に設けられたY軸加速度センサーとを含む2軸加速度センサーで具現され、地球重力方向へと斜めになるとき得られる信号を用いて斜め姿勢のピッチ角及びロール角を計算する。即ち、一定の質量を有する錘を用いて重力による錘の動きを角度計、目盛り、または指示針を介して視覚的に、且つ電気回路的に検査することによって、ピッチ角及びロール角を測定できる。傾斜検知装置120にて測定されたピッチ角及びロール角はメモリ130に格納される。
【0011】
一方、制御器110は、2軸フラックスゲート103で測定された誘導起電力が所定の処理を行なってデジタル値に入力されれば、メモリ130に格納されたピッチ角、ロール角、及び現状態の伏角と入力されたデジタル値などを所定の演算式に代入し地磁気センサー200の方位角が演算される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、係る従来の方法によると、傾斜検知装置120は重力加速度を用いてピッチ角及びロール角を測定するので、現位置状態が素早く変化されれば、ピッチ角及びロール角の測定においてエラーが生じる恐れがある。携帯機器のように早く動いている装置に使用するにはその困難さがある。さらに、傾斜検知装置120をさらに備えなければならないので、そのサイズ及び製造コストが増加してしまい、消費電力も増大になる恐れもある。従って、現在の各企業の主な関心分野である携帯型機器にて適用するには限界がある。
【0013】
本発明は前述した問題点を解決するために案出されたもので、本発明の目的は傾斜している環境においても正しい方位角が測定できるフラックスゲート地磁気センサー及びその方位角測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するために、本願第1発明は、相互直交するX軸及びY軸フラックスゲートを備え、地磁気に対応する前記X軸及びY軸フラックスゲートそれぞれの電圧値を出力する2軸フラックスゲートと、前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値それぞれに対応する予め測定された傾斜環境におけるX軸及びY軸フラックスゲート電圧値をトレーニングし作成されたニューラルネットワーク加重直行列(Neural Network weight matrix)が格納されたメモリと、前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値が測定されれば、前記メモリに格納されたニューラルネットワーク加重値行列値を用いて前記電圧値を補正し、補正された電圧値を用いて方位角を演算する制御部と、を含むことを特徴とするフラックスゲート地磁気センサーを提供する。
【0015】
本願第2発明は、第1発明において、前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値は、制御部で次式(1)、(2)を用いて所定範囲の値にマッピングさせた正規化値であることを特徴とするフラックスゲート地磁気センサー
【0016】
【数1】

ただし、XfはX軸フラックスゲートの実際電圧値、YfはY軸フラックスゲートの実際電圧値、Xfnorm及びYfnormはそれぞれXf及びYfの正規化値、Xfmax及びXfminはそれぞれXfの最大値及び最小値、Yfmax及びYfminはそれぞれYfの最大値及び最小値、λは伏角。
【0017】
本願第3発明は、第1発明において、前記ニューラルネットワーク加重値行列値は、前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角、ロール角、及びヨー角の変化に対応される前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値を記録した所定のデータシートをニューラルネットワークソフトウェアに適用して、前記ニューラルネットワークをトレーニングさせることにより演算される。
【0018】
本願第4発明は、第3発明において、前記データシートは、前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角及びロール角が所定の角度固定された状態で、ヨー角が所定の角度変化されるように前記フラックスゲート地磁気センサーを1回転させながら前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定し格納する過程を経てから、前記ピッチ角及びロール角のいずれかを所定の角度変化させ、前記過程を繰り返すことによって製造されることができる。
【0019】
本願第5発明は、X軸及びY軸フラックスゲート及びメモリを含むフラックスゲート地磁気センサーの方位角測定方法であって、(a)前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角、ロール角、及びヨー角の変化に対応する前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定した後、正規化し所定のデータシート(data sheet)を作成するステップと、(b)前記データシートを適用し前記ニューラルネットワークをトレーニングさせることによって前記測定されたピッチ角、ロール角、及びヨー角の変化に対応するX軸及びY軸フラックスゲート電圧値をトレーニングさせてニューラルネットワーク加重値行列を作成するステップと、(c)前記ニューラルネットワーク加重値行列を前記メモリに格納するステップと、(d)前記フラックスゲート地磁気センサーの現X軸及びY軸フラックスゲートの正規化された電圧値を測定してから、前記ニューラルネットワーク加重値行列を用いて方位角を演算するステップと、を含むことを特徴とする方位角測定方法を提供する。
【0020】
本願第6発明は、第5発明において、前記(a)ステップは、(a1)前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角及びロール角を0に固定させ、ヨー角が所定の角度変化されるように前記フラックスゲート地磁気センサーを1回転させながら前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定し正規化するステップと、(a2)前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値の最大値、最小値、及び伏角を測定し格納するステップと、(a3)前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角及びロール角を所定の角度固定した状態で、ヨー角が所定の角度変化されるように前記フラックスゲート地磁気センサーを1回転させながら、前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定するステップと、(a4)各ヨー角に対するcos関数値及びsin関数値を演算して基準値として認識するステップと、(a5)前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角及びロール角のいずれかを所定の角度変化させてから、前記(a3)及び(a4)ステップを繰り返すステップと、(a6)ピッチ角、ロール角、及びヨー角のいずれか1つが変化するたび、測定され正規化された前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値及び前記基準値を格納してデータシートを作成するステップと、を含むことが好ましい。
【0021】
本願第7発明は、第6発明において、前記正規化は次式(1)及び(2)を用いることを特徴とする方位各測定方法
【0022】
【数2】

ただし、XfはX軸フラックスゲートの実際電圧値、YfはY軸フラックスゲートの実際電圧値、Xfnorm及びYfnormはそれぞれXf及びYfの正規化値、Xfmax及びXfminはそれぞれXfの最大値及び最小値、Yfmax及びYfminはそれぞれYfの最大値及び最小値、λは伏角。
【0023】
本願第8発明は、第5発明において、前記(b)ステップは、(b1)ニューラルネットワークソフトウェアを実行するステップと、(b2)前記データシートの中、X軸及びY軸フラックスゲート出力値を前記ニューラルネットワークの入力値として入力させ、所定の加重値を適用してそれぞれ所定のcos関数値及びsin関数値を出力するフォワードプロセシング(forward processing)ステップと、(b3)前記cos関数値及びsin関数値を前記データシートに記録された対応される基準値と比較してエラー値を求め、前記エラー値が所定の許容誤差範囲を超えれば前記cos関数値及びsin関数値が前記基準値に近づけるよう前記加重値を修正するバックワードプロセシング(backward processing)ステップと、(b4)前記エラー値が所定の許容誤差範囲内に属する時まで前記(b2)及び(b3)ステップを繰り返すステップと、(b5)前記エラー値が前記許容誤差範囲内に属すれば、その時の加重値を格納しニューラルネットワーク加重値行列を作成するステップと、を含むことができる。
【0024】
本願第9発明は、第5発明において、前記(d)ステップは、(d1)現のX軸及びY軸フラックスゲートの正規化された電圧値を測定するステップと、(d2)前記X軸フラックスゲート電圧値を入力値にし、前記メモリに格納されたニューラルネットワーク加重値行列の中で対応される加重値を適用し所定のcos関数値を演算するステップと、(d3)前記Y軸フラックスゲート電圧値を入力値にし、前記メモリに格納されたニューラルネットワーク加重値行列の中で対応される位置の加重値を適用し所定のsin関数値を演算するステップと、(d4)前記cos関数値及びsin関数値を用いて方位角を演算するステップと、を含むことが好ましい。これによって傾斜している環境で測定されたフラックスゲート電圧値を補正することにより正しい方位角を測定することができる。
【0025】
本願第10発明は、第9発明において、次式(3)を用いて方位角を演算することを特徴とする測定方法
Ψ= tan-1 (sin_out/cos_out) ・・・(3)
ここで、Ψは方位角、sin_outはsin関数値、cos_outはcos関数値。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、既存の技術とは異なり、傾斜測定センサーなしにフラックスゲートセンサーだけで斜め状態においての正しい方位角が測定できる。傾斜測定センサーが要らないので、低価格で小型の地磁気センサーが製造できると共に、消費電力をも低減できる。従って、携帯型機器の使用が容易になされる。また、既存の傾斜測定センサーは、位置が変動する動的の状況では地磁気センサー自体の傾斜度を正確に認識することができず、方位角を測定する時にエラー発生が生じたが、本発明によると、傾斜を直接に測定しないため動的な状況でも揺れることなく方位角の情報が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳述する。
【0028】
図2は本発明に係るフラックスゲート地磁気センサーの構成を示したブロック図である。同図によれば、図1の従来フラックスゲート地磁気センサの構成とほぼ類似している。即ち、駆動パルス発生回路201、コイル駆動用電流増幅回路202、2軸フラックスゲート203、チョッピング回路204、1次増幅回路205、低周波フィルタ206、2次増幅回路207、A/Dコンバーター208、制御器210、及びメモリ220を含む。
【0029】
制御器210、及びメモリ220を除いた残りの構成要素は2軸フラックスゲート地磁気センサーの一般的構成要素であって、各部分については前述と同様である。
【0030】
メモリ220は、本地磁気センサーで使用されるニューラルネットワーク加重値行列が格納された部分であり、制御器210はフラックスゲート地磁気センサーの各内部構成要素を制御する部分である。
【0031】
フラックスゲート地磁気センサーのユーザが現在位置を把握するために地磁気センサーをターンオンさせると、駆動パルス発生回路201で駆動パルスを出力し、コイル駆動用電流増幅回路202がこれを増幅して、2軸フラックスゲート202に駆動信号を印加するようになる。これによって2軸フラックスゲート202でX軸及びY軸フラックスゲート電圧値が誘導されれば、チョッピング回路204、1次増幅回路205、低周波フィルタ206、2次増幅回路207、及びA/Dコンバーター208を介して所定のデジタル値で出力される。
【0032】
制御器210はメモリ220に格納されたニューラルネットワーク加重値行列の中でX軸及びY軸フラックスゲートから出力されたデジタル電圧値に対応される加重値を用いてニューラルネットワークフォワードプロセスを行なうことによりX軸及びY軸フラックスゲート電圧値を基準値として補正する。それから、補正された電圧値を用いて現状態の方位角を演算することで現在の方位角を把握することができる。
【0033】
ニューラルネットワークとは、人の脳の動作に近づけるように製造されたプログラムやデータ構造システムを意味する。従って、人の脳の神経網を構成している生物学的なニューラルの活動をモデル化するために設計された基本的な単位から構成されている。各単位で入力される入力値は所定の結合関数を介して1つの出力値として統合される。本発明では、最も一般的な結合関数である加重値を考慮した合算(weighted sum)方式を用いて出力値を統合し、逆伝播(backpropagation)方式を経てから最適の加重値が得られる。係る最適の加重値を記録したのがメモリ220に格納された加重値行列である。ニューラルネットワーク及び加重値行列については後で詳説する。
【0034】
一方、メモリ220に格納された加重値行列は、本フラックスゲート地磁気センサー200の傾斜度を変化させながら測定されたフラックスゲート電圧値を、ニューラルネットワークソフトウェアに適用してトレーニングさせて得られたものであって、開発者が開発過程で演算を行い格納させることが好ましい。
【0035】
即ち、開発者はフラックスゲート地磁気センサー200をジグ(jig)上に装着し、ピッチ角、ロール角、及びヨー角を変化させながら様々な状態の出力値を測定し、所定範囲の値で正規化してデータシートを得てから、これをニューラルネットワークの入力値及び出力基準値として活用する。
【0036】
図3はフラックスゲート地磁気センサー200のピッチ角及びロール角を変化させる過程を示した図であり、図4は1ないし−1の範囲内で正規化されたX軸及びY軸フラックスゲートの電圧値を示したグラフである。
【0037】
図3(a)において、フラックスゲート地磁気センサー200上でピッチ角及びロール角を測定する基準軸となるX軸及びY軸が図示されている。この中X軸を基準にして回転する場合X−Y表面との差異角がロール角となり、Y軸を基準にして回転する場合、X−Y表面との差異角がピッチ角となる。即ち、X軸を基準とし地磁気センサー200を1回転させると、ロール角が0°から360°まで変化し、Y軸を基準として1回転させると、ピッチ角が0°から360°まで変化する。
【0038】
一方、図3(b)には、ユーザが任意のピッチ角を設定するためにY軸を基準にして回転させた状態の地磁気センサー200が示されている。
【0039】
尚、図示されてないが、X−Y表面に垂直なZ軸を基準にして1回転させるとヨー角が変化される。ジグ(jig)とは、その上部表面に所定の装置を装着した後、その傾斜度を自在に変更させることのできる測定用装備を指す。
【0040】
一方、図4はX軸及びY軸フラックスゲートの実際デジタル電圧値を正規化したグラフである。正規化(normalizing)とは、ある値を所定範囲の値でマッピングすることを意味する。係る正規化は次式(1)、(2)に基づいてなされる。
【0041】
【数3】

尚、XfはX軸フラックスゲートの実際電圧値、YfはY軸フラックスゲートの実際電圧値、Xfnorm及びYfnormはそれぞれXf及びYfの正規化値、Xfmax及びXfminはそれぞれXfの最大値及び最小値、Yfmax及びYfminはそれぞれYfの最大値及び最小値、λは伏角である。Xfmax及びXfmin、Yfmax及びYfminは地磁気センサーの準備過程で、ピッチ角及びロール角を0°に固定させた状態、即ち、水平状態でヨー角を変化させながら測定された最大値及び最小値を意味する。このように正規化されたX軸及びY軸フラックスゲート出力値はそれぞれcos(方位角)、sin(方位角)値を有する。図4は、このようにcos(方位角)の関数グラフ301で示されるX軸フラックスゲート電圧値、及びsin(方位角)の関数グラフ302で示されるY軸フラックスゲート電圧値を示す。
【0042】
一方、ニューラルネットワークを十分にトレーニングさせるために、開発者はできるだけ大量のデータが必要であるため、地磁気センサー200が装着されたジグの角度を多様に調整し、その度にX軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定して記録することで、データシートを作成する。
【0043】
図5は係るデータシートの一例を示した図表である。同図によると、ピッチ角30°である状態でロール角を5°ずつ変化させ、各ロールごとに地磁気センサー200を1回転させて電圧値を測定する。まず、ピッチ角30°、ロール角−10°の状態を見てみると、ヨー角(Ψ)を5°間隔に変化させながら地磁気センサー200を1回転させる。各ヨー角ごとにX軸フラックスゲートの出力値及びY軸フラックスゲートの出力値を測定して記録し、各ヨー角(Ψ)に対応されるcos(Ψ)及びsin(Ψ)を演算して記録するようになる。係るcos(Ψ)及びsin(Ψ)はX軸及びY軸フラックスゲート電圧値の基準値として定義して活用できる。
【0044】
図6は係るデータシートによって実際測定されたX軸フラックスゲート電圧値501及びY軸フラックスゲート電圧値601と、それぞれのその基準値502、602を示したグラフである。
【0045】
図7及び図8は図5のデータシートをニューラルネットワークに適用しニューラルネットワークをトレーニングさせる過程を説明するための概念図である。一方、図9はトレーニングされたニューラルネットワークの加重値行列を用いて、現在のX軸及びY軸フラックスゲート電圧値を基準値として補正したのを示したグラフである。これらの図面については後述する。
【0046】
図10は、本発明のフラックスゲート地磁気センサー200を用いて方位角を演算する方法を説明するための流れ図である。同図によると、まず、水平状態でフラックスゲートセンサーを回転させながらX軸及びY軸フラックスゲート電圧値の最大値及び最小値を測定し、正規化して方位角を演算する用意を行なう(S910)。この測定方法及び正規化数式についての詳説は前述した通りであり、その詳説は除く。
【0047】
次に、フラックスゲートセンサーのピッチ角、ロール角、及びヨー角を順に変化させながら、所定のデータシートを作成する(S920)。係るデータシートに記録されたデータはニューラルネットワークの入力値及び基準値となるため、なるべく大量のデータを記録することが好ましい。図5において係るデータシートの一例が図示されている。図5では、ヨー角を5°ずつ変化させながらX軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定し、再びロール角を5°変化させてから、X軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定する過程を繰り返す。ピッチ角、ロール角、及びヨー角それぞれについてこのような変化を与えて測定する一方、各ヨー角についてcos関数値、sin関数値を求めてデータシートに加える。係る関数値はニューラルネットワークの基準値となる。
【0048】
次に、このデータシートを用いてニューラルネットワークをトレーニングさせることによって、ニューラルネットワークの加重値行列を作成する(S930)。このニューラルネットワークのトレーニング過程は図7及び図8に示されている。
【0049】
前述のように、ニューラルネットワークは、ニューロンの活動をモデル化するために設計された基本的な単位からなっており、各単位で入力される入力値は所定の結合関数を介して1つの出力値として統合される。加重値を考慮した合算(weighted sum)方式によると、各単位に対する入力は加重値で乗じられてから、いっきに加えて出力値を演算する。この際、単位は3つの層、即ち、入力端、隠れたノード(hidden node)、出力端から構成される。左側の入力層は、外部から所定値が入力される部分である。尚、隠れたノード(hidden node or hidden layer)は、ネットワークの入力や出力に係わっていないので命名されたものであり、隠れたノードの各単位は、入力層の全ての単位に連結されている。ネットワークが標準単位を含んでいるので隠れたノードの単位は各入力の値に加重値を乗じて得られる。それからそれぞれを足して、シグモイド(sigmoid)関数に適用することで出力値を演算する。
【0050】
一方、ニューラルネットワークを用いるためには、データの係わりに関する大量のデータや規則を前もって供給すべきであるが、これをニューラルネットワークを「トレーニング」させるという。ニューラルネットワークをトレーニングさせることは単位の各入力について最も最適の加重値を与えるプロセスと言える。係るプロセスの目的はネットワークの結果、装置が可能である限り、願望する出力値に近づけるようにすることにある。今までこのようなプロセスを行なうために使用された最も一般的な技術は逆過程を行なうことで加重値を補正する逆伝播(backpropagation)方式であった。
【0051】
これは、まずネットワークで加重値を活用し出力値を算出した後、算出された結果と願望した実際の結果との差異を比較してエラーを算出する。エラーが所定の許容範囲を超えた場合、エラーはネットワークを介して逆に伝達され、これによってエラーを最小化するよう加重値を調節する方式である。係る方式で最適の加重値が得られると、これを記録することでニューラルネットワークの加重値行列が作成されるのである。
【0052】
図7はX軸フラックスゲート電圧値をトレーニングさせる過程を説明するための図である。同図で、h_c(j)はj番目隠れたノードを意味し、x_c(i)はi番目入力端の入力値を意味する。出力端はcos関数値で統合される。一方、w_c_ij(i、j)はi番目入力端とj番目隠れたノードとの間の加重値を意味し、w_c_jk(j、k)はj番目隠れたノードとk番目出力端との間の加重値を意味する。
【0053】
j番目隠れたノードのノード値は、i)x_c(i)に対応する重量を掛けること、ii)加重値を乗じた結果値を合算すること、そしてiii)シグモイド(sigmoid)関数を適用することにより得ることができる。シグモイド(sigmoid)関数はtanシグモイド関数を使用するため、 sigmoid() = (exp() = (exp()-1)/(exp()+1)のような関数を用いて隠れたノードを求めることができる。最終出力値cos関数値は、i)隠れたノードのノード値に隠れたノードと出力終了との間の加重値を掛けること、ii)加重値を乗じたものを合算すること;そしてiii)シグモイド(sigmoid)関数を適用することにより得ることができる。
一方、図8ではh_s(j)はsin関数値を求めるためのj番目隠れたノードを意味し、x_s(i)はi番目入力端の入力値を意味する。出力端はsin関数値で統合されるし、w_s_ij(i、j)はi番目入力端及びj番目隠れたノードとの間の加重値を意味し、w_s_jk(j、k)はj番目 隠れたノードとk番目出力端との間の加重値を意味する。sin関数値を求める方法は、cos関数値を求める方法と類似しているので以下では図7を参照してcos関数値を求める方法についてのみ詳説する。
【0054】
図5のデータシートの中X軸及びY軸それぞれのフラックスゲート電圧値を入力端へ順次入力させて加重値とシグモイド関数を適用し出力を求める過程のことをニューラルネットワークフォワードプロセス(forward process)という。係る過程から得た出力値は図5のデータシートのうち基準値と比較されるようになる。比較の結果、基準値と出力値との差が所定の許容誤差範囲を超えた場合、再び加重値の修正を行なうバックワードプロセス(backward process)過程を行なう。
【0055】
以上、フォワード過程とバックワード過程を交互に行なって予め測定された入力値と出力値を用いた演算を繰り返すことによりニューラルネットワークのトレーニングが行なわれる。予め設定された許容誤差範囲内に属するまでニューラルネットワークのトレーニングは続き、完了されれば得られた加重値を順次記録して加重値行列を格納する。従って、この際の加重値は、フラックスゲートから得られたX軸及びY軸フラックスゲート電圧値から理想的なcos関数値とsin関数値で補正できる最適の加重値となる。
【0056】
図9はこのようにトレーニングされた状態を用いて実際信号処理される結果グラフを示している。図面につき、710グラフは実際に測定されたX軸フラックスゲート電圧値をニューラルネットワークを用いて理想値に近づけるよう補償した値を示しており、720グラフは理想的なcos関数値、即ち基準値を示す。一方、810のグラフは、実際に測定されたY軸フラックスゲート電圧値をニューラルネットワークを用いて理想値に近くなるよう補償を行なった値を示しており、820のグラフは理想的なsin関数値、即ち、基準値を示している。
【0057】
再び図10を参照して詳説すると、このようにトレーニングされて得られた加重値行列は開発者のPCでフラックスゲート地磁気センサー200自体のメモリ220に格納される(S940)。ニューラルネットワークをトレーニングする過程は比較的に複雑な演算過程であるため、地磁気センサー200自体の制御器210で直接行なうには無理がある。よって、加重値行列を別に製造することができる。
【0058】
係る状態で、現位置が知りたいのであれば、ユーザは地磁気センサー200をターンオンさせ、現のX軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定する(S950)。制御器210は測定されたX軸及びY軸フラックスゲート電圧値に対応する加重値をメモリ220から読み取って前述したニューラルネットワークのフォワードプロセスを行なう(S960)。これによって理想的なcos関数値及びsin関数値(即ち、cosΨ及びsinΨ)で補正できる。得られたcosΨ及びsinΨを次式(4)に代入して方位角を演算する(S970)。
【0059】
【数4】

Ψは方位角、cosΨ及びsinΨは補正されたX軸及びY軸フラックスゲートの出力値を意味する。
【0060】
一方、図10には係る地磁気センサーの製造者によりなされるステップ(S910ないしS940)が図示されている。ユーザはこのような加重値行列がメモリに格納された地磁気センサー200を購買し、その次のステップ(S950ないしS970)を行なうことによって、ユーザの現位置を測定する。即ち、ユーザが地磁気センサー200をターンオンさせて現在の2軸フラックスゲート電圧値を測定すると、測定された電圧値を格納された加重値行列に補正することにより正確な方位角が得られるのである。
【0061】
これにより地磁気センサー200自体が斜めになっている環境においても、理想的な出力値で補正し正しい方位角値が得られることができる。
【0062】
以上、図面を参照して本発明の好適な実施形態を図示および説明してきたが本発明の保護範囲は、前述の実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物にまで及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は2軸フラックスゲート地磁気センサーに関し、相対的に低価格で、小型の地磁気センサーが製造でき、且つ消費電力も低減させ得る。よって、携帯型機器に使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】傾斜検知装置を備えた従来のフラックスゲート地磁気センサーの構成を示したブロック図である。
【図2】本発明に係るフラックスゲート地磁気センサーの構成を示したブロック図である。
【図3A】本フラックスゲート地磁気センサーでピッチ角及びロール角測定のためのX軸及びY軸を示した模式図である。
【図3B】本フラックスゲート地磁気センサーで方位角測定のために斜め状態を示した図である。
【図4】本フラックスゲート地磁気センサーで正規化(normalizing)されたX軸及びY軸フラックスゲート電圧値のグラフである。
【図5】本地磁気センサーの傾斜度を変化させながら測定したデータを記録したデータシート(data sheet)である。
【図6】図5に示したデータシートをグラフで示した図である。
【図7】X軸フラックスゲート電圧値についてニューラルネットワークをトレーニングさせる過程を説明するための図である。
【図8】Y軸フラックスゲート電圧値についてニューラルネットワークをトレーニングさせる過程を説明するための図である。
【図9】ニューラルネットワーク加重値行列を用いて実際のX軸及びY軸フラックスゲート電圧値を基準値にして補正を行なうことを示した図である。
【図10】本フラックスゲート地磁気センサーで方位角を測定する方法を説明するための流れ図である。
【符号の説明】
【0065】
101、201 駆動パルス発生回路
102、202 コイル駆動用電流増幅回路
103、203 2軸フラックスゲート
104、204 チョッピング(chopping)回路
105、205 1次増幅回路
106、206 低周波フィルタ
107、207 2次増幅回路
108、208 A/Dコンバーター(Converter)
110、210 制御器
120 傾斜検知装置
130、220 メモリ
200 フラックスゲート地磁気センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互直交するX軸及びY軸フラックスゲートを備え、地磁気に対応する前記X軸及びY軸フラックスゲートそれぞれの電圧値を出力する2軸フラックスゲートと、
前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値それぞれに対応する予め測定された傾斜環境におけるX軸及びY軸フラックスゲート電圧値をトレーニングし作成されたニューラルネットワーク加重直行列(Neural Network weight matrix)が格納されたメモリと、
前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値が測定されれば、前記メモリに格納されたニューラルネットワーク加重値行列値を用いて前記電圧値を補正し、補正された電圧値を用いて方位角を演算する制御部と、
を含むことを特徴とするフラックスゲート地磁気センサー。
【請求項2】
前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値は、前記制御部で次式(1)及び(2)を用いて所定範囲の値にマッピングさせた正規化値であることを特徴とする請求項1に記載のフラックスゲート地磁気センサー
【数1】

ただし、XfはX軸フラックスゲートの実際電圧値、YfはY軸フラックスゲートの実際電圧値、Xfnorm及びYfnormはそれぞれXf及びYfの正規化値、Xfmax及びXfminはそれぞれXfの最大値及び最小値、Yfmax及びYfminはそれぞれYfの最大値及び最小値、λは伏角。
【請求項3】
前記ニューラルネットワーク加重値行列値は、前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角、ロール角、及びヨー角の変化に対応される前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値を記録した所定のデータシートをニューラルネットワークソフトウェアに適用して、前記ニューラルネットワークをトレーニングさせることにより演算されることを特徴とする請求項1に記載のフラックスゲート地磁気センサー。
【請求項4】
前記データシートは、前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角及びロール角が所定の角度固定された状態で、ヨー角が所定の角度変化されるように前記フラックスゲート地磁気センサーを1回転させながら前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定し格納する過程を経てから、前記ピッチ角及びロール角のいずれかを所定の角度変化させ、前記過程を繰り返すことによって製造されたことを特徴とする請求項3に記載のフラックスゲート地磁気センサー。
【請求項5】
X軸及びY軸フラックスゲート及びメモリを含むフラックスゲート地磁気センサーの方位角測定方法であって、
(a)前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角、ロール角、及びヨー角の変化に対応する前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定した後、正規化し所定のデータシート(data sheet)を作成するステップと、
(b)前記データシートを適用し前記ニューラルネットワークをトレーニングさせることによって前記測定されたピッチ角、ロール角、及びヨー角の変化に対応するX軸及びY軸フラックスゲート電圧値をトレーニングさせてニューラルネットワーク加重値行列を作成するステップと、
(c)前記ニューラルネットワーク加重値行列を前記メモリに格納するステップと、
(d)前記フラックスゲート地磁気センサーの現X軸及びY軸フラックスゲートの正規化された電圧値を測定してから、前記ニューラルネットワーク加重値行列を用いて方位角を演算するステップと、
を含むことを特徴とする方位角測定方法。
【請求項6】
前記(a)ステップは、
(a1)前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角及びロール角を0に固定させ、ヨー角が所定の角度変化されるように前記フラックスゲート地磁気センサーを1回転させながら前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定し正規化するステップと、
(a2)前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値の最大値、最小値、及び伏角を測定し格納するステップと、
(a3)前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角及びロール角を所定の角度固定した状態で、ヨー角が所定の角度変化されるように前記フラックスゲート地磁気センサーを1回転させながら、前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値を測定するステップと、
(a4)各ヨー角に対するcos関数値及びsin関数値を演算して基準値として認識するステップと、
(a5)前記フラックスゲート地磁気センサーのピッチ角及びロール角のいずれかを所定の角度変化させてから、前記(a3)及び(a4)ステップを繰り返すステップと、
(a6)ピッチ角、ロール角、及びヨー角のいずれか1つが変化するたび、測定され正規化された前記X軸及びY軸フラックスゲート電圧値及び前記基準値を格納してデータシートを作成するステップと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の方位各測定方法。
【請求項7】
前記正規化は次式(1)及び(2)を用いることを特徴とする請求項6に記載の方位各測定方法
【数2】

ただし、XfはX軸フラックスゲートの実際電圧値、YfはY軸フラックスゲートの実際電圧値、Xfnorm及びYfnormはそれぞれXf及びYfの正規化値、Xfmax及びXfminはそれぞれXfの最大値及び最小値、Yfmax及びYfminはそれぞれYfの最大値及び最小値、λは伏角。
【請求項8】
前記(b)ステップは、
(b1)ニューラルネットワークソフトウェアを実行するステップと、
(b2)前記データシートの中、X軸及びY軸フラックスゲート出力値を前記ニューラルネットワークの入力値として入力させ、所定の加重値を適用してそれぞれ所定のcos関数値及びsin関数値を出力するフォワードプロセシング(forward processing)ステップと、
(b3)前記cos関数値及びsin関数値を前記データシートに記録された対応される基準値と比較してエラー値を求め、前記エラー値が所定の許容誤差範囲を超えれば前記cos関数値及びsin関数値が前記基準値に近づけるよう前記加重値を修正するバックワードプロセシング(backward processing)ステップと、
(b4)前記エラー値が所定の許容誤差範囲内に属する時まで前記(b2)及び(b3)ステップを繰り返すステップと、
(b5)前記エラー値が前記許容誤差範囲内に属すれば、その時の加重値を格納しニューラルネットワーク加重値行列を作成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の方位角測定方法。
【請求項9】
前記(d)ステップは、
(d1)現のX軸及びY軸フラックスゲートの正規化された電圧値を測定するステップと、
(d2)前記X軸フラックスゲート電圧値を入力値にし、前記メモリに格納されたニューラルネットワーク加重値行列の中で対応される加重値を適用し所定のcos関数値を演算するステップと、
(d3)前記Y軸フラックスゲート電圧値を入力値にし、前記メモリに格納されたニューラルネットワーク加重値行列の中で対応される位置の加重値を適用し所定のsin関数値を演算するステップと、
(d4)前記cos関数値及びsin関数値を用いて方位角を演算するステップと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の方位角測定方法。
【請求項10】
前記(d4)ステップは、次式(3)を用いて方位角を演算することを特徴とする請求項9に記載の測定方法

Ψ = tan-1(sin_out/cos_out) ・・・(3)

ただし、Ψは方位角、sin_outはsin関数値、cos_outはcos関数値。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−304105(P2007−304105A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163202(P2007−163202)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【分割の表示】特願2004−324899(P2004−324899)の分割
【原出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】