説明

傾斜屋根構造

【課題】屋根面の下方に通気層を不存在としつつも、結露の発生を確実に防止し且つ断熱性能を確保することができる傾斜屋根構造を提供する。
【解決手段】屋根面を形成する野地板の裏面の全面に板状の気密性断熱材を密着させて形成される屋根パネルを敷設して形成される一対の傾斜屋根と、これら一対の傾斜屋根の気密性断熱材の間に架け渡される中継気密断熱材とを備え、前記一対の傾斜屋根の棟側端部側に形成される棟部と前記中継気密断熱材との間には棟下空間が設けられると共に、前記棟部には前記棟下空間に通じる開口が形成されていることを特徴とする傾斜屋根構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、傾斜屋根を有する建物においては、小屋裏に溜まる湿気を有効に防止する目的で該小屋裏に換気構造を設けるものが公知である。
例えば特許文献1には、野地板にルーフィングシートを敷設した屋根の屋根棟に換気孔を備えた換気枠を配置すると共に該換気枠を含めて屋根棟を防水シートで覆い、さらに該防水シート上に棟役物を被装する構成が開示されている。該防水シートには、換気枠の換気孔から外れた位置に開口を形成して、それら換気孔から開口を介して棟役物外部に通ずる換気通路が確保されている。
【0003】
該屋根構造は、換気通路を形成する開口と換気孔の平面的な位置をずらすことによって、該換気通路を通じて小屋裏空間に雨水等が吹き込むことを防止するための手法を示している。この種の屋根構造においては、小屋裏空間での結露の発生を防止する目的で屋根面を形成する野地板の裏面に通気層が形成されており、該通気層が上記換気通路に連通されるものとなっているのであるが、当該通気層を設けることによって屋根高が上昇することとなり、これによって斜線制限等により屋根高が法的に定められている地域等においては、係る屋根構造のために設計の自由度が著しく制限されてしまうという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献2に示す如く、野地板の裏面に気密性断熱材を密着させた屋根パネルにより傾斜屋根を形成することで野地板と通気層との間に通気層を不存在とし、当該傾斜屋根に上記特許文献1の換気構造を採用することが考えられる。
しかしながら、上記特許文献1の換気構造においては、屋根の桁行き方向に亘って棟に開口が形成されている一方、上述の如き換気枠が屋根の桁行き方向に断続的に設けられるのみであって、換気枠間の開口に対してはルーフィングシートが被装されているのみであり、これによって、当該換気枠間のルーフィングシート下方においては水蒸気を上手く屋外に排出することができず、これら換気枠間にて結露が生じかねないという問題があった。しかも、開口を介して小屋裏空間が外部空間と連通されることとなるので、野地板に密着させた断熱材により小屋裏空間の大部分を覆われているといえども、かかる小屋裏空間と外部空間との連通により断熱性能が低下してしまうという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平10−219948号公報
【特許文献2】特開2007−262850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、屋根面の下方に通気層を不存在としつつも、結露の発生を確実に防止し且つ断熱性能を確保することができる傾斜屋根構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題解決のための具体的手段として、本願発明に係る傾斜屋根構造は、
(1)屋根面を形成する野地板の裏面の全面に板状の気密性断熱材を密着させて形成される屋根パネルを敷設して形成される一対の傾斜屋根と、これら一対の傾斜屋根の気密性断熱材の間に架け渡される中継気密断熱材とを備え、前記一対の傾斜屋根の棟側端部側に形成される棟部と前記中継気密断熱材との間には棟下空間が設けられると共に、前記棟部には前記棟下空間に通じる開口が形成されていることを特徴としている。
これによれば、一対の傾斜屋根により形成される小屋裏空間は、気密性断熱材及び中継気密断熱材により気密性及び断熱性が確保された気密断熱層により覆われることとなり、該気密断熱層を通過して水蒸気が野地板裏面まで到達する虞は殆どなく、これによって、小屋裏空間での結露の発生を著しく抑制することができる。
また、この様に小屋裏空間に上がってくる水蒸気は、室内換気に伴って建物の外部空間に排出されて処理されることとなり、気密断熱層に入り込むことなく処理されるのである。
また、上記断熱気密層を形成する場合であっても、例えば小屋裏空間の妻面を形成する外壁部材や他の建材からの水分は、放散速度は遅いものの竣工後も長期にわたって発散され続け、当該水分による水蒸気が断熱気密層の外側を通過して野地板に沿って上昇することが考えられる。また、施工精度によっては、気密性断熱材と中継気密断熱材との間に僅かな隙間を生じることとなって、該隙間を通じて居室からの水蒸気が気密性断熱材の外方に抜けることも考えられる。上記構成は、これらの意図しない水蒸気が気密性断熱材の外方に抜けた場合であっても、屋根構造において結露の発生を防止するための次善対策であって、該構成によれば、上述の如き水蒸気は断熱材と野地板の間を上昇し、棟下空間に到達後、開口より外法へ放出されるものとなっているのである
【0008】
(2)また、該開口には、前記棟下空間に向けての風の吹き込みを防止する透湿性の防風透湿層が被装され、前記棟部には、前記開口を前記防風透湿層と共に覆う棟役物部材が設けられ、該棟役物部材と、該棟役物部材と前記棟部との間の何れか一方又は両方には、前記開口と外部空間とを連通させる通気口が形成されていることが好ましい。
【0009】
これによれば、棟下空間の開口に被装される防風透湿層は、透湿性を有しているため、棟下空間に到達した水蒸気は該棟下空間から開口、防風透湿層を通じて該防風透湿層の上方であって棟役物部材に包囲される空間に到達する。その後、該水蒸気は棟役物部材の通気口を通じて外方に排出されることとなり、これによって、上記水蒸気に起因する結露の発生も防止することができる。また、防風透湿層は、水蒸気を透過させる一方、水滴の透過を防止するものことができるため、これによって、風雨時に棟役者部材の通気口を通じての雨水が棟役物部材に包囲される空間に侵入する場合であっても、棟下空間への侵入も防止されることとなる。
【0010】
また、防風透湿層を通過した水蒸気が棟役物部材の裏面に接触することにより結露して該棟役物部材の裏面に水滴が付着する場合、該水滴が開口に向けて落下することが考えられるが、当該水滴も防水透湿層に受け止められることとなり、その後、通気口を通じて又は通気口から吹き込む横風等によって棟役物部材から排出されることとなるのである。
【0011】
また、前記中継気密断熱材は、前記一対の傾斜屋根の中途部に架け渡されており、各傾斜屋根棟側端部の断熱材は前記中央気密断熱材よりも上方に位置していることが好ましい。
【0012】
(削除)
【0013】
)また、前記防風透湿層は、0.10msPa/μg〜0.20msPa/μgを主材としてシート状に形成されていることが好ましい。
これにより、開口を通じて棟下空間の外方に有効に水蒸気を排出することができるのである。一方、水滴(液滴)の棟下空間への侵入を確実に遮断することができるのである。
【0014】
)また、前記防風透湿層は、前記棟役物部材の裏面に対向する面を白色又は銀色に着色されていることが好ましい。
上記構成によれば、棟役物部材からの輻射を有効に反射することができる。この結果、棟役物部材が冬季の外気等によって急冷却され、該棟役物部材からの冷輻射が防風透湿層に到達する場合であっても、当該冷輻射は反射される。このため、当該冷輻射によって防風透湿層まで露点温度を下回る程に急冷却される虞はない。この結果、防風透湿層に到達した水蒸気が当該防風透湿層に接することによって当該防風透湿層下で結露する虞はなく、冬季等屋内外の温度差が著しい場合であっても、当該開口から棟下空間の水蒸気を有効に排出することができるのである。
【0015】
)また、前記気密性断熱材及び中継断熱材は、フェノール樹脂発泡体を主材として形成されていることが好ましい。
これにより、気密性と断熱性のいずれにもきわめて優れた気密断熱層を形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の傾斜屋根構造によれば、屋根面の下方に通気層を不存在としつつも、結露の発生を確実に防止し且つ断熱性能を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明に係る傾斜屋根構造を2階建ての戸建て住宅に採用した実施形態につき、詳細に説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1〜図5は、本発明の第1実施形態に係る傾斜屋根構造を備えた建物を示すもので、図1に示す如く、基礎1と、該基礎1上に組み上げられる構造躯体2と、該構造躯体2に支持される外壁3と、該外壁3及び構造躯体2に沿って設けられる断熱層4とを備えると共に傾斜屋根構造5を備え、地上2階の上に小屋裏空間Aを備えた組立住宅である。
【0019】
基礎1は、外壁3や間仕切り壁の長さ方向に連続する同一断面の鉄筋コンクリート製の布基礎として形成されている。
構造躯体2は、1階と2階の躯体を形成する軸組構造6と、該軸組構造6の上方に形成される小屋組構造7とを備えている。
軸組構造6は、基礎1上に立設される鉄骨柱(図示省略)と、該鉄骨柱間に架け渡される鉄骨梁8と、基礎1や鉄骨梁8に支持される床スラブ9とを備えて形成される鉄骨の軸組構造である。また、鉄骨柱の間に耐震要素(図示省略)を設置することで形成される鉄骨軸組ブレース構造も採用可能である。
鉄骨柱は、鋼製の角パイプ又は該角パイプの端部に柱頭部材や柱脚部材を取り付けて形成されている。耐震要素は、一対の角パイプをブレースや制振フレームにより連結して形成される。
鉄骨梁8は、上下一対のフランジと、該上下一対のフランジの中央部間を連結するウェブとを備えて形成される所謂H型鋼により形成されており、同じく鋼製のジョイントピースを介して鉄骨柱に連結支持されている。
なお、これら鉄骨柱、ジョイントピース、鉄骨梁8間の接続は高力ボルト接合等の機械的手段によりなされており、これによって溶接接合を排することとして作業者の熟練によらず接合部位の品質を一定のものとしている。
【0020】
小屋組構造7は、切妻状に組み上げられており、軸組構造6の最上に設けられる鉄骨部材や床スラブ9にジョイント部材を介して立設される束部材と、該束部材を桁行き方向に連結する横架材10と、束部材の梁行き方向に連結して斜行上に保持される垂木部材11とを備えている。また、横架材10のうち、屋根の棟を形成する位置に設けられるものを棟木部材10aという。
束部材及び垂木部材11は、断面コ字状に形成された鋼製の長尺部材として形成されている。また、横架材10は、上記鉄骨梁8と同様に上下一対のフランジをウェブにより連結してなるI型鋼又はH型鋼により形成されている。
なお、これら束部材、垂木部材11、横架材10の間にも所定のジョイントピース等の金物が介在しており、これらの間の接続も高力ボルト接合等の機械的手段によりなされている。
【0021】
床スラブ9は、複数枚の平板状の軽量気泡コンクリート(ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concreteの略))製の床パネルを敷設することにより形成されている。
外壁3は、複数枚の平板状の軽量気泡コンクリート(ALC)製の外壁パネルを並べて配備することにより形成されている。
また、各外壁パネルは、当該階の床スラブ9の下面から鉄骨梁8の上フランジの上面に至る少なくとも各階の高さに相当する高さを有している。また、各階の外壁パネルは、鉄骨梁8から外壁パネルに向けて突出した状態に取り付けられる自重受け金具やイナズマプレート等の各種支持金物を適宜介して鉄骨梁8や基礎1に上下端部が支持されている。
上述の如く軽量気泡コンクリートにより形成される床スラブ9や外壁3は、軽量で且つ高い断熱性能・耐火性能を有するものとなる。
【0022】
本実施形態に係る傾斜屋根構造5は、上記小屋組構造7に支持されて該小屋組構造7を覆って設けられており、一対の妻面を塞ぐ妻外壁12と、屋根面を形成する野地板13の裏面に板状の気密性断熱材14を密着させて形成される一対の傾斜屋根15とを備えている。
図2に示す如く、妻外壁12は、上端部を屋根の傾斜に合わせて斜めに切断した軽量気泡コンクリートからなる外壁パネルを並べて配備することにより形成されており、該各外壁パネルの内側面に沿って平板状の気密性断熱材16が設けられている。
なお、該妻外壁12には、該妻外壁12と傾斜屋根15とによって形成される小屋裏空間Aを換気するための換気口等は設けられていない。
【0023】
図3に示す如く、各傾斜屋根15は、屋根面を形成する前記野地板13と、該野地板13の裏面に取り付けられる前記気密性断熱材14とに加えて、該気密性断熱材14の下面に設けられる枠体17を備える屋根パネル18を敷設することで形成されている。
また、図4に示す如く、屋根パネル18の野地板13は、耐火性を有する耐火野地板又は構造用合板により平板状に形成されている。また、野地板13は、気密性断熱材14と同じ平面形状と平面寸法を有しており、枠体17を覆う断熱材14の上面に野地板13を配置したとき、該断熱材14の全面が野地板13によって覆われることになる。
枠体17は、断面コ字状に形成された鋼製のフレーム部材19を四角枠状に連結して形成されている。
また、枠体17と、気密性断熱材14と、野地板13の小口面を互いに同一平面上になるように揃え、この状態で、野地板13の表面側からタッピングビス等の固定具20を締結することで、三者を一体化した屋根パネル18が形成されている。また、これにより、気密性断熱材14は、これら野地板13と枠体17に挟持された状態でこれら野地板13と枠体17との間に設けられている。
また、該枠体17には、気密性断熱材21が充填されている。該気密性断熱材21は、板状に形成されて且つ四周をフレーム部材19に嵌合させた状態で枠体17に充填されており、一方の面が前述の野地板13の裏面の気密性断熱材14に密着している。また、当該枠体17に充填される気密性断熱材21は、上記気密性断熱材14と同じ素材により形成されているが、所定の気密性能と断熱性能を確保できるのであれば、他の素材を採用することも可能である。
【0024】
また、上記の如く構成された屋根パネル18では、枠体17と野地板13の間には気密性断熱材14が介在することとなり、野地板13の直下に枠体17が位置付けられるものとはなっていない。このため、枠体17が鋼製であるにも関わらず、該枠体17が熱橋を形成する虞がなく、良好な断熱性を発揮することが可能である。また、野地板13と断熱材14との間に通気層を設けない構成であるので、屋根の厚さを従来よりも薄くすることが可能であり、ひいては、躯体構成によって規定されてしまう屋根高を低く抑えることが可能となって、設計の自由度が増大することとなる。
【0025】
上記において、屋根パネル18中や妻外壁12に沿って設けられる気密性断熱材14、16、21は、材質等を特に限定するものではなく、気密性と断熱性とを有する板状の硬質発泡断熱材であれば利用することが可能である。このような発泡断熱板としては、硬質ウレタンフォームや押出発泡ポリスチレン或いはフェノール樹脂発泡体等の成形体や発泡体を含む硬質プラスチック系断熱材があり、何れも利用することが可能である。また、上記の使用場所全てについて同種の断熱材を使用してもよいし、使用場所によって異なる種類の断熱材を使用しても構わない。
【0026】
硬質ウレタンフォームや押出発泡ポリスチレンは、高い硬度を有しており、厚さを選択することによって屋根に適用される断熱パネルとして充分な断熱性能を発揮することが可能である。しかし、硬質ウレタンフォームは経時的な断熱性能の低下や、火災時に爆燃性を有することや有害ガスを発生するという問題があり、発泡ポリスチレンでは耐薬品性に劣るため、気密処理材が限定されることや燃え易いという問題も有する。
このため、本発明の気密性断熱材14、21としては、フェノールフォーム断熱板を用いている。このフェノールフォーム断熱材としては、本件出願人が開発して既に国際出願(特願2000−558158)したフェノール樹脂発泡体からなる技術(ネオマフォーム(登録商標))がある。
【0027】
上記技術に係るフェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂基体部と、多数の微細気泡から形成される気泡部とを有する密度が10kg/m3 〜100kg/m3 のフェノールフォームであり、前記微細気泡が炭化水素を含有し且つ平均気泡径が5μm〜200μmの範囲にあり、大部分の微細気泡の気泡壁が滑らかなフェノール樹脂基体面で構成されている。
そして発泡剤が炭化水素であるにも関わらず、従来のフロン系発泡剤と遜色のない熱伝導率を持ち、且つ熱伝導率の経時的な変化もなく、圧縮強度等の機械的強度に優れ、脆性が改善される。
【0028】
上記フェノール樹脂発泡体では、高い断熱性と気密性とを有し、且つこれらの性能を長期間維持し得る性質を有している。フェノール樹脂発泡体に於ける断熱性は、気泡径が5μm〜200μmの範囲、好ましくは10μm〜150μmと小さく、且つ独立気泡率を80%以上と高く保持することによって確保することが可能である。またフェノール樹脂発泡体は高い耐燃焼性を有しており、火炎が作用したとき、表面が炭化することで、着火することがなく、且つガスが発生することがない。
例えば、フェノール樹脂発泡体の密度を27kg/m3 に設定した場合、20℃に於ける熱伝導率は0.02W/m・Kであり、圧縮強さは15N/cm2 、熱変形温度は200℃である。前記フェノール樹脂発泡体の性能は、押出発泡ポリスチレン3種が熱伝導率;0.028W/m・K、圧縮強さ;20N/cm2 、熱変形温度;80℃であることや、硬質ウレタンフォーム2種が熱伝導率;0.024W/m・K、圧縮強さ;8N/cm2 熱変形温度;100℃であることと比較して充分に高い性能である。
このため、フェノール樹脂発泡体からなる断熱材では、従来の押出発泡ポリスチレンや硬質ウレタンフォームの約2/3程度の厚さで略同等の断熱性能を発揮することが可能である。
【0029】
またフェノール樹脂発泡体は、比較的脆い材料であるため、少なくとも片面にクラフト紙や不織布からなる保護層を設けるのが一般的である。特に、本件出願人が開発して特許出願している特開平11−198332号公報に開示されたフェノール樹脂発泡体積層板は、保護層を形成する不織布を改良することによって接着性能を向上させたものであり、この不織布によってフェノール樹脂発泡体の強度を改善して、強度、断熱性共に優れた建築用断熱材として提供されるものである。
【0030】
図3〜図4に示す如く、上記構成の屋根パネル18は、野地板13が屋根側に配置されることで枠体17が屋内側に配置され垂木部材11と対向し、該枠体17を構成するフレーム部材19がボルト等の締結具を介して垂木部材11に固定されている。
垂木部材11には、屋根の梁行き方向となる棟側から棟側に亘って複数の屋根パネル18が連続して配置されると共に桁行き方向にも複数の屋根パネル18が配置されている。隣接して設けられる屋根パネル18の枠体17間にはシーリング材が充填されており、これによって、これら隣接する屋根パネル18間の隙間が埋められている。この様に、各屋根パネル18が垂木部材11に固定されることで屋根の下地が構成されている。
【0031】
また、各傾斜屋根15の最上位に位置して当該屋根構造5の棟部を形成する屋根パネル18は、ジョイント部材22を介して棟木部材10aに締結されている。また、該ジョイント部材22には、該屋根パネル18の棟側端部に連続する棟形成部材23が取り付けられている。該棟形成部材23は、平板状の野地板部材23aと該野地板部材23aの裏面に突設される固定金物23bとを備え、野地板部材23aの勾配を屋根パネル18の勾配に一致させた状態で固定金物23bがジョイント部材22に固定されている。これら一対の棟形成部材23により、棟部24が形成されている。該棟形成部材23の野地板部材23aの屋根勾配方向の長さは、最上位の屋根パネル18の棟側端部から棟木部材10aの中心軸となる軸心Xまでの長さよりも僅かに短く、これによって、棟部24には、一対の棟形成部材23間に開口25が形成されている。
【0032】
上記の如くして小屋組構造7を形成する垂木部材11に固定された屋根パネル18の野地板13及び棟形成部材23の野地板部材23aの上面に亘ってルーフィングシート26が施工され、該ルーフィングシート26の上面に屋根材27が敷設されることで傾斜屋根15が形成される。
【0033】
また、上記最上位に位置する一対の屋根パネル18の気密性断熱材14、21の間に中継気密断熱材28が架け渡されている。該中継気密断熱材28は、上記屋根パネル18の気密性断熱材14、21と同様にフェノール樹脂発泡体により板状に形成されており、棟木部材10aの下方にて一方の傾斜屋根15を形成する屋根パネル18の気密性断熱材14、21に密着すると共に、他方の傾斜屋根15を形成する屋根パネル18の気密性断熱材14、21に密着して設けられている。
また、中継気密断熱材28は、垂木部材11と対向する位置に溝部が凹設されており、これによって、垂木部材11との干渉を回避して屋根パネル18の気密性断熱材14、21に密着している。また、該中継気密断熱材28と屋根パネル18の気密性断熱材14、21及び枠体17との間の継目には、該中継気密断熱材28の下方から気密テープが貼着されている。
【0034】
上述の如く中継気密断熱材28を設けることにより、妻外壁12の気密性断熱材16、傾斜屋根15を形成する屋根パネル18の気密性断熱材14、21及び中継気密断熱材28により断熱気密層(断熱気密ライン)が形成されることとなり、これによって、小屋裏空間Aはこれら断熱気密層に覆われることとなる。一方、中継気密断熱材28の上方には、棟木部材10aの存する棟下空間Bが形成されることとなり、該棟下空間Bに前記開口25は通じている。
該開口25には、棟部24を形成する一対の屋根パネル18の野地板13上に設けられたルーフィングシート26を覆う複数枚の屋根材27の上方より防風透湿層29が被装されている。また、棟部24には、傾斜屋根15と対向する位置に通気口30を有して開口25を防風透湿層29と共に覆う棟役物部材31が設けられている。
【0035】
防風透湿層29は、透湿抵抗を0.10msPa/μg〜0.20msPa/μgとする素材を主材としてシート状に形成されている。かかる素材を主材として形成される防風透湿層29は、0.5μm〜1.0μmのポリエチレンの極細長繊維をランダムに積層し、高温高圧下で結合した不織布であって、水蒸気を透過させる一方、水滴の透過を遮断する。本実施形態においては、防風透湿層として、旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ株式会社製のタイベック(登録商標。商標権者:イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー)を用いているが、上記の特性を満たす素材としては、例えば、ジャパンゴアテックス社製のゴアテックス(登録商標)メンブレン又はファブリックも挙げられる。ゴアテックスメンブレンは、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)を特殊延伸加工して得られた多孔質層のフィルム、他方の側が特殊ポリマーからなる複合膜である。多孔質層には1平方センチメートルあたり約14億個の微細な穴があり、一つの穴の大きさ(約0.2ミクロン)は、水滴の約2万分の1、水蒸気の分子の約700倍である。そのため、水滴を通さず、水蒸気は透過するという特性を有する。ゴアテックスファブリックは、ゴアテックスメンブレンにナイロンやポリエステルなどの生地をラミネートした素材である。
また、該防風透湿層29の上面は、アルミニウムが蒸着されることで銀色に着色されている。
【0036】
棟役物部材31は、金属板をプレス加工等して桁行き方向に長尺状に形成される役物本体32と、該役物本体32を屋根に留め付けるための留付部材33とを備えている。役物本体32は、各傾斜屋根15の屋根面に平行となる一対の傾斜部32aと、各傾斜部32aの先端部に設けられて屋根面に向けて屈曲する小口部32bとを備えている。また、留付部材33は、役物本体32の傾斜部32aに接続される上下一対の本体連結部33a、33bと、これら一対の本体連結部33a、33bの下端部を連結すると共に下側の本体連結部33bから離間する方向に延設される屋根連結部33cとを備えている。各本体連結部33a、33bが役物本体32にボルト等の締結具を介して締結されると共に、屋根連結部33cが屋根材27及び棟形成部材23にボルト等の締結具を介して締結されており、これによって、棟役物部材31は、棟部24を覆った状態で屋根の最上位置に設けられることとなる。
【0037】
また、棟役物部材31の留付部材33の上下一対の本体連結部33a、33bには、桁行き方向に所定の間隔を設けて前述の通気口30a、30b(30)がそれぞれ形成されている。各本体連結部33a、33bの通気口30a、30bは、本体連結部33a、33bの高さ方向で互いに僅かに位置をずらして設けられており、上側の本体連結部33aの通気口30aは、下側の本体連結部33bの壁面に対向し、下側の本体連結部33bの通気口30bは上側の本体連結部33aに形成されている突出壁の壁面に対向する。これによって、当該通気口30a、30bを通じての風雨の吹き込みが防止されているのである。
また、当該建物には、24時間換気システム等、建物全体でに0.3回/h〜1.0回/h程度の換気を促すシステムが設けられている。当該換気システムは、法令等によって原則的に設置が義務付けられているものであるが、本願発明の実施においては、当該換気システムの設置により上記程度の換気能を建物に付与することもちろん、建物に設けられている開閉窓を開閉する又は開閉窓を適度に開放しておくことで上記程度の換気量を確保することとしても構わない。
【0038】
本実施形態の構成は以上からなるものであって、本実施形態によれば、小屋裏空間Aが、屋根パネル18の気密性断熱材14、21及び中継気密断熱材28により形成された気密断熱層により覆われることとなるので、小屋裏空間Aに上がってくる水蒸気が該気密断熱層を通過して野地板16の裏面まで達する虞は殆どなく、よって、小屋裏空間Aでの結露の発生を確実に抑制することができる。また、小屋裏空間Aに上がってくる水蒸気は、当該小屋裏空間Aの下方に位置する室の換気等によって建物の外部空間に排出されるため、気密断熱層中に入り込むことはない。また、気密性断熱材14、21及び中継気密断熱材28は、フェノール樹脂発泡体を主材として形成されているので、気密性と断熱性のいずれにもきわめて優れた気密断熱層を形成することができる。
【0039】
また小屋裏空間Aの妻外壁12や他の建材から水分が、放散速度は遅いものの竣工後も長期にわたって発散され続け、当該水分による水蒸気が断熱気密層の外側を通過して野地板13に沿って上昇することが考えられ、また施工精度によっては、気密性断熱材14、21と中継気密断熱材28との間に僅かな隙間が生じ、その隙間を通って居室からの水蒸気が気密性断熱材14、21の外方に抜けることも考えられる。
しかしながら、本実施形態においては、これらの意図しない水蒸気が気密性断熱材14、21の外方に抜け、棟下空間Bに到達した場合であっても、棟下空間Bの開口25に被装される防風透湿層29が透湿性を有しているため、水蒸気は該棟下空間Bから開口25、防風透湿層29を通じて該防風透湿層29の上方であって棟役物部材31に包囲される空間に到達し、棟役物部材31の通気口30を通じて外方に排出されることとなり、上記水蒸気に起因する結露の発生も防止することができる。また、防風透湿層29は、水蒸気を透過させる一方、水滴の透過を防止するものことができるため、棟役物部材31の通気口30を通じて雨水が棟役物部材31に包囲される空間に侵入しうる風雨時であっても、棟下空間Bへの雨水の侵入は確実に防止される。
【0040】
また、防風透湿層29を通過した水蒸気が棟役物部材31の裏面に接触することにより結露して該棟役物部材31の裏面に水滴が付着すると、該水滴が開口25に向けて落下することが考えられるが、当該水滴も防水透湿層29に受け止められることとなり、その後、通気口30を通じて又は通気口30から吹き込む横風等によって棟役物部材31から排出される。
【0041】
また、防風透湿層29は、棟役物部材31の裏面に対向する面を白色又は銀色に着色されているので、棟役物部材31からの輻射を有効に反射することができる。この結果、棟役物部材31が冬季の外気等によって急冷却され、該棟役物部材31からの冷輻射が防風透湿層29に到達する場合であっても、当該冷輻射は反射される。このため、当該冷輻射によって防風透湿層29まで露点温度を下回る程に急冷却される虞はない。この結果、防風透湿層29に到達した水蒸気が当該防風透湿層29に接することによって当該防風透湿層29下で結露する虞はなく、冬季等屋内外の温度差が著しい場合であっても、開口25から棟下空間Bの水蒸気を有効に排出することができる。
【0042】
<第2実施形態>
図6〜7に本発明の第2実施形態に係る傾斜屋根構造を示す。本実施形態においては、外壁と傾斜屋根とによって片流れの屋根構造が形成されている構成以外は上記第1実施形態と同様であるので、以下では当該構成についてのみ説明することとし、他の構成については上記第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図6に示す如く、本実施形態の傾斜屋根構造5は、屋根面を形成する野地板13の裏面に板状の気密性断熱材14を密着させて形成される傾斜屋根15と、外壁面を形成する外壁部材の裏面に板状の気密性断熱材41を沿設させて形成される起立状の外壁40とを備えている。
外壁40は、外壁パネルを敷き並べて形成されており、小屋組構造7の束部材及び棟木部材10aに沿って立設されており、該棟木部材10aよりも突出して傾斜屋根15の野地板13と同程度の高さまで延設されている。また、各外壁部材は、取付金物を介して棟木部材10a等に支持されている。
これによって、当該片流れの傾斜屋根構造5の棟部24を形成する外壁40の上端部と傾斜屋根15を形成する棟形成部材23との間には、開口25が形成されている。
また、該外壁40に沿って気密性断熱材41が設けられている。該気密性断熱材41は板状に形成されており、上端部が棟木部材10aの下フランジに当接している。
【0044】
図7に示す如く、傾斜屋根15を形成する屋根パネル18の気密性断熱部材14、21と外壁40の気密性断熱部材41との間に中継気密断熱材42が架け渡されている。
該中継気密断熱材42は、棟木部材10aの下フランジの下側から傾斜屋根に向かって延設された状態で設けられ、一方の端部を外壁に沿設される気密性断熱材41に密着させると共に、他方の端部を、傾斜屋根15を形成する屋根パネル18の気密性断熱材14、21とに密着させた状態で設けられている。また、中継気密断熱材42と気密性断熱材14、21との間の継目は、それぞれ気密テープが貼着されて目張りされている。
上述の如く中継気密断熱材42を設けることにより、妻外壁12の気密性断熱材16、傾斜屋根15の屋根パネル18の気密性断熱材14、21、外壁40の気密性断熱材41及び中継気密断熱材42により断熱気密層(断熱気密ライン)が形成されることとなり、これによって、小屋裏空間Aはこれら断熱気密層に覆われることとなる。一方、中継気密断熱材42の上方には、棟木部材10aの存する棟下空間Bが形成されることとなり、該棟下空間Bに前記開口25が通じることとなる。
【0045】
また、該開口25には、棟形成部材23の上方及び外壁40の上端部に亘って設けられる防風透湿層43が被装されている。また、該棟形成部材23と外壁40の上端部により形成される棟部24には、開口25と共に防風透湿層43を覆う棟役物部材44が設けられている。
棟役物部材44は、金属板をプレス加工等して桁行き方向に長尺状に形成される役物本体45と、該役物本体45を屋根に留め付けるための留付部材46とを備えている。役物本体45は、傾斜屋根15の屋根面に平行となる屋根側傾斜部45aと、外壁40の上端部を覆う外壁側傾斜部45bと、該外壁側傾斜部45bと屋根側傾斜部45aとを連結する連結傾斜部45cとを備えている。これら外壁側傾斜部45b及び連結傾斜部45cは、いずれも屋根側傾斜部45aに下り勾配状に傾斜している。また、屋根側傾斜部45aの先端部には屋根面に向けて屈曲する小口部45dを備えている。
【0046】
また、留付部材46は、役物本体45の屋根側傾斜部45aに接続される上下一対の本体連結部46a、46bと、これら一対の本体連結部46a、46bの下端部を連結すると共に下側の本体連結部46bから離間する方向に延設される屋根連結部46cとを備えている。各本体連結部46a、46bが役物本体45にボルト等の締結具を介して締結されると共に、屋根連結部46cが屋根材27及び棟形成部材23にボルト等の締結具を介して締結されており、これによって、棟役物部材44は、棟部24を覆った状態で設けられることとなる。
また、棟役物部材44の留付部材46の上下一対の本体連結部46a、46bには、桁行き方向に所定の間隔を設けて通気口47a、47bがそれぞれ形成されている。各本体連結部46a、46bの通気口47a、47bは、本体連結部46a、46bの高さ方向で互いに僅かに位置をずらして設けられており、上側の本体連結部46aの通気口47aは、下側の本体連結部46bの壁面に対向し、下側の本体連結部46bの通気口47bは上側の本体連結部46aに形成されている突出壁の壁面に対向する。これによって、当該通気口47a、47bを通じての風雨の吹き込みが防止されているのである。
【0047】
また、役物本体45の外壁側傾斜部45bには、化粧棟部材49が被装されている。該化粧棟部材49は、役物本体の屋根側傾斜部45aと同様の勾配を有して当該屋根傾斜部を覆う第1傾斜部49aと、該第1傾斜部49aの端部から沿設されて外壁40の上方から表面側に向けて下り勾配状に形成される第2傾斜部49bとを備えており、これによって、外壁40の上端部に注ぐ雨水は速やかに傾斜屋根側又は外壁表面側に排水される。
【0048】
本実施形態の構成は以上からなるものであって、本実施形態においても第1実施形態の場合と同様の作用効果を奏する。例えば、小屋裏空間Aが、傾斜屋根15の気密性断熱材14、21と中継気密性断熱材42と外壁40に沿う気密性断熱材41により形成された気密断熱層によって覆われるので、小屋裏空間Aに上がってくる水蒸気が野地板13に達することはなく、また棟下空間Bの開口25には防風透湿層43が設けられているので、水蒸気を棟役物部材49を通じて外方に排出できる一方、雨水が棟役物部材49を通過しても棟下空間B内に侵入することはない。
【0049】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本願発明の構成は、上記実施形態に限定されず、上記実施形態以外の構成も採用可能である。
例えば、屋根パネル18は、全表面をポリエチレンからなる不織布に金属膜を蒸着等して形成されるシートにより覆った真空断熱板を1枚又は複数枚敷き並べると共に該敷き並べた真空断熱板の両面に夫々硬質発泡断熱板を配置して構成した積層体を枠体の間に充填した構成を採用することも可能であり、さらには、枠体に積層体の端部を接続するに際し、積層体を構成する真空断熱板の端部と枠体を構成するフレームとの間に間隙を設ける構成を採用することも可能である。
また、屋根材27を表面凹凸を有するスレート瓦等により形成する場合には、当該屋根材47上に棟役物部材31を載置すると当該屋根材を備える傾斜屋根15の棟部24と棟役物部材31との間に不可避的に隙間が形成されることとなるので、当該隙間を上記通気口30として用い、棟役物部材31に通気口を設けない構成を採用することも可能である。もちろん、当該構成であっても棟役物部材31に通気口30を設ける構成も採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係る傾斜屋根構造を設けた建物の側断面図である。
【図2】図1の建物の屋根構造部分の縦断面図である。
【図3】図1の傾斜屋根構造部分を拡大して示す側断面図である。
【図4】図1の傾斜屋根構造に用いられている屋根パネルの断面図である。
【図5】傾斜屋根構造部分の棟部を拡大して示す側断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る傾斜屋根構造を設けた建物の側断面図である。
【図7】傾斜屋根構造部分を拡大して示す側断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 基礎
2 構造躯体
3 外壁
4 断熱層
5 傾斜屋根構造
6 軸組構造
7 小屋組構造
8 鉄骨梁
9 床スラブ
10 横架材
10a 棟木部材
11 垂木部材
12 妻外壁
13 野地板
14 気密性断熱材(野地板裏)
15 傾斜屋根
16 気密性断熱材(沿妻外壁)
17 枠体
18 屋根パネル
19 フレーム部材
20 固定具
21 気密性断熱材(枠体内)
22 ジョイント部材
23 棟形成部材
23a 野地板部材
23b 固定金物
24 棟部
25 開口
26 ルーフィングシート
27 屋根材
28 中継気密断熱材
29 防風透湿層
30 通気口
31 棟役物部材
32 役物本体
32a 傾斜部
32b 小口部
33 留付部材
33a 本体連結部
33b 支持部
33c 屋根連結部
40 外壁
41 気密性断熱材
42 中継気密断熱材
43 防風透湿層
44 棟役物部材
45 役物本体
45a 屋根側傾斜部
45b 外壁側傾斜部
45c 連結傾斜部
45d 小口部
46 留付部材
46a 本体連結部
46b 支持部
46c 屋根連結部
47 通気口
48 水仕舞部材
49 化粧棟部材
49a 第1傾斜部
49b 第2傾斜部
A 小屋裏空間
B 棟下空間
X 軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根面を形成する野地板の裏面の全面に板状の気密性断熱材を密着させて形成される屋根パネルを敷設して形成される一対の傾斜屋根と、これら一対の傾斜屋根の気密性断熱材の間に架け渡される中継気密断熱材とを備え、
前記一対の傾斜屋根の棟側端部側に形成される棟部と前記中継気密断熱材との間には棟下空間が設けられると共に、前記棟部には前記棟下空間に通じる開口が形成されている
ことを特徴とする傾斜屋根構造。
【請求項2】
前記開口には、前記棟下空間に向けての風の吹き込みを防止する透湿性の防風透湿層が被装され、前記棟部には、前記開口を前記防風透湿層と共に覆う棟役物部材が設けられ、該棟役物部材と、該棟役物部材と前記棟部との間の何れか一方又は両方には、前記開口と外部空間とを連通させる通気口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の傾斜屋根構造。
【請求項3】
前記中継気密断熱材は、前記一対の傾斜屋根の中途部に架け渡されており、各傾斜屋根棟側端部の断熱材は前記中央気密断熱材よりも上方に位置している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の傾斜屋根構造
【請求項4】
前記一対の傾斜屋根面の妻側端部は、上端部を前記傾斜屋根に合わせて斜めに切断した軽量気泡コンクリートからなる外壁パネルに塞がれている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の傾斜屋根構造
【請求項5】
前記防風透湿層は、透湿抵抗を0.10m2sPa/μg〜0.20m2sPa/μgとする素材を主材としてシート状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の傾斜屋根構造。
【請求項6】
前記防風透湿層は、前記棟役物部材の裏面に対向する面を白色又は銀色に着色されていることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の傾斜屋根構造。
【請求項7】
前記気密性断熱材及び中継気密断熱材は、フェノール樹脂発泡体を主材として形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の傾斜屋根構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−60806(P2013−60806A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257447(P2012−257447)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2008−205127(P2008−205127)の分割
【原出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】