説明

優れた滑車繰り返し曲げ性能をもつロープ

改良されたロープが、高靱性繊維、好ましくは高靱性ポリエチレン繊維とアラミド繊維及び/または液晶コポリエステル繊維とのブレンドから形成される。この繊維及び/またはロープは、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングされている。このロープは、深海揚重作業などの海洋用途で有用であり、滑車繰り返し曲げ耐疲労性が改善されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願に対するクロスリファレンス
本出願は、2006年2月24日出願の出願シリアル番号11/361,180号の一部継続出願であり、且つ2006年7月6日出願の出願シリアル番号11/481,872号の一部継続出願である。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、ロープの改良、特に海洋用途に適した高靱性合成ロープに関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術の説明
合成繊維のロープは、種々の海洋用途を含む様々な用途に使用されてきた。優れた特性のロープの一種は、高弾性率ポリオレフィン繊維及び/またはヤーン(yarn)から製造したロープである。高靱性ポリオレフィン繊維は、伸び切り鎖繊維又は高分子量繊維としても公知である。これらの繊維は、ハネウェル・インターナショナル社からSPECTRA(登録商標)伸び切り鎖ポリエチレン繊維及びヤーンとして市販されている。
【0004】
伸び切り鎖ポリエチレン繊維から製造したロープは海洋用途での使用が提案されてきた。たとえばいずれもRyanに付与された米国特許第5,901,632号及び同第5,931,076号が挙げられ、これらの開示は本開示と適合する範囲で本明細書に明示的に援用される。
【0005】
海洋用途によっては、伸び切り鎖ポリエチレンロープは、滑車、プーリーや柱を使用するときにこれらの上で繰り返し曲げられる。合成ロープには、滑車で繰り返し曲げられると早く擦り切れるものがあり、特に海洋工業用途で使用される合成ロープはこのような問題を抱えている。
【0006】
多くの海洋用途では、合成ロープがスチール製ワイヤにとって代わりつつある。合成ロープが多くの滑車繰り返し曲げ(cyclic bend-over sheave:CBOS)用途においてスチール製ワイヤの代替が進むにつれ、高性能合成ロープの疲労寿命(fatigue life)を改善する必要性がある。特に、高性能ポリオレフィン繊維及びヤーンから製造したロープの性能を改善する必要性がある。
【0007】
優れた特性を備えるロープを提供するために提案される一つの解決法は、Knudenらの米国特許第6,945,153号に開示されており、これらの開示は本開示と適合する範囲で本明細書に明示的に援用される。この特許は、伸び切り鎖ポリエチレン繊維と液晶ポリマー繊維とのブレンドから形成した大きな直径のロープを開示する。そのようなロープの特性を改良することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
他の優れた特性を維持しつつ、特に湿潤用途において、滑車などの上で繰り返し曲げられることに対して優れた耐摩耗性をもつ高靱性ポリオレフィン繊維のロープを提供することが望ましい。たとえば海底への及び海底からの揚重用途で使用するのに好適なロープを提供するのも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明は、滑車繰り返し曲げ(CBOS)耐疲労性が改善されたロープであって、前記ロープは高靱性繊維を含み、前記ロープ及び/または前記繊維は、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和(neutralized)低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングされていることを特徴とする前記ロープを提供する。
【0010】
さらに本発明は、CBOS耐疲労性が改善されたロープであって、前記ロープは、高靱性ポリオレフィン繊維と、ポリオレフィン繊維ではない他の高靱性繊維とのブレンドを含み、前記ロープ及び/または前記繊維は、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングされていることを特徴とする前記ロープを提供する。
【0011】
また本発明は、CBOS耐疲労性が改善されたロープであって、前記ロープは高靱性ポリオレフィン繊維と他の高靱性繊維とのブレンドを含み、前記他の高靱性繊維はアラミド繊維及び/または液晶コポリエステル繊維を含み、前記ロープ及び/または繊維は、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングされていることを特徴とする前記ロープを提供する。
【0012】
さらに本発明は、ロープのCBOS疲労寿命を改善する方法であって、高靱性繊維から前記ロープを製造する工程、及び前記ロープ及び/または前記ロープを形成している前記繊維を、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングする工程を含む前記方法を提供する。
【0013】
また本発明は、合成繊維ロープを使用して重い物体を海底から引き上げ及び/又は海底に設置したりする方法において、そのようなロープとして高靱性繊維を含むロープを使用することを含み、前記ロープ及び/または繊維は、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングされている、前記方法を提供する。
【0014】
高靱性繊維を、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングしてロープを形成するか、又は、そのようなコーティングがされていない繊維から製造したロープを前記組成物でコーティングすると、意外にもロープの滑車上での繰り返し曲げ耐性が改善されることが見出された。また、高靱性繊維を他の高靱性繊維とブレンドし、ブレンド繊維をアミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングしてロープを形成するか、又は、そのようなブレンド繊維から製造したロープを前記組成物でコーティングすると、意外にもそのようなロープの滑車繰り返し曲げ耐性が改善されることが見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明の目的のため、繊維は、その長さ方向の寸法が、幅及び厚さの横寸法よりもはるかに大きい細長い物体である。従って、「繊維」なる用語としては、モノフィラメント、マルチフィラメント、リボン、ストリップ、ステープル並びに、規則正しいかまたは不規則な断面をもつ短繊維、切断繊維又は不連続繊維などの他の形態も含まれる。「繊維」なる用語の例としては、上記のものの中の任意の複数のもの、又は、それら組み合わせが挙げられる。ヤーン(yarn)は多くの繊維またはフィラメントから構成される連続ストランドである。繊維は、リボン、ストリップまたはスプリット(split)フィルム若しくはテープの形状であってもよい。
【0016】
本明細書において有用な繊維の断面は広範囲を変動し得る。これらの断面は円形、平坦又はは楕円形であってもよい。これらは、繊維の直線軸または縦軸から突出する一つ以上の規則的または不規則な突出物をもつ不規則または規則的な多葉性(multi-lobal)断面であってもよい。実質的に円形、平坦または楕円形の断面、最も好ましくは実質的に円形の繊維であるのが好ましい。
【0017】
上記のように、伸び切り鎖ポリエチレン繊維などの高弾性率ポリオレフィン繊維と該繊維から製造したヤーンを含むロープは、海洋用途で使用するために提案されてきた。ロープのそのような用途の一つとしては、海底で重い物体を持ち上げたり、物体を係留することがある。他の用途としては、沖合の石油及びガス探索、海洋学、地震探査及びその他の工業用途が挙げられる。本発明のロープの最も好ましい用途としては、深海での揚重作業及び設置が挙げられる。
【0018】
本発明のロープ構造物で使用する繊維は高靱性繊維である。本明細書中で使用する「高靱性繊維」なる用語は、約7g/d以上の靱性をもつ繊維を意味する。好ましくは、これらの繊維はASTM D2256により測定して少なくとも約150g/dの初期引っ張り弾性率と、少なくとも約8J/gの破断エネルギー(energy-to-break)を有する。本明細書中で使用するように、「初期引っ張り弾性率」、「引っ張り弾性率」及び「弾性率」なる用語は、ヤーンに関してASTM 2256により測定した弾性のモジュラス(弾性率:modulus)を意味する。
【0019】
好ましくは、高靱性繊維は約10g/d以上、より好ましくは約16g/d以上、さらに好ましくは約22g/d以上、最も好ましくは約28g/d以上の靱性をもつ。
【0020】
高靱性繊維はロープ構造物中で単独で使用することができるか、ロープ構造物中で異なる化学組成の二種以上の高靱性繊維のブレンドとして使用することがより好ましい。
【0021】
本明細書中で使用する高靱性繊維としては、高配向高分子量ポリオレフィン繊維、特に高弾性率ポリエチレン繊維及びポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾール繊維(たとえばポリベンゾオキサゾール(PBO)及びポリベンゾチアゾール(PBT))、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、液晶コポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維または玄武岩または他の鉱物繊維、並びに硬質ロッドポリマー繊維、そして更にこれらの混合物及びブレンドが挙げられる。本発明で有用な好ましい高強度繊維としては、ポリオレフィン繊維、アラミド繊維及び液体コポリエステル繊維並びにこれらの混合物及びブレンドが挙げられる。高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維及び液体コポリエステル繊維、並びにこれらのブレンドび混合物が最も好ましい。ロープを形成するヤーンはそのような高靱性繊維の二種以上のブレンドから製造することができるが、ロープを製造するヤーンは単一の高靱性繊維種から形成され、異なる繊維種の二種以上のヤーンを使用してロープを形成するのが好ましい。
【0022】
好ましいブレンドは、高靱性ポリエチレン繊維とアラミド繊維とのブレンド、高靱性繊維と液晶コポリエステル繊維とのブレンド、並びにアラミド繊維と液晶コポリエステル繊維とのブレンドである。
【0023】
ロープ構造物で使用する繊維としては、好ましくは伸び切り鎖ポリオレフィン繊維(高分子量、高靱性または高弾性率ポリエチレンとしても公知)、特に高弾性率ポリエチレン繊維及びポリプロピレン繊維が挙げられる。
【0024】
米国特許第4,457,985号は、大体そのような高分子量ポリエチレン及びポリプロピレン繊維について議論しているが、この特許の開示は、本開示と一致する範囲で本明細書に援用される。ポリエチレンの場合には、好適な繊維は、少なくとも約150,000、好ましくは少なくとも約100万、より好ましくは約200万〜約500万の重量平均分子量のものである。そのような高分子量ポリエチレン繊維は、溶液中で紡糸するか(米国特許第4,137,394号及び同第4,356,138号参照)、溶液からフィラメント紡糸してゲル構造を形成するか(米国特許第4,413,110号、ドイツ第3,004,699号及び英国特許第2051667号参照)、またはポリエチレン繊維は圧延または延伸プロセスにより製造することができる(米国特許第5,702,657号参照)。本明細書中で使用するポリエチレンなる用語は、少量の鎖分岐または主に100個の主鎖炭素原子当たり約5個を超えない変性単位(modifying unit)のコモノマーを含有することができ、且つ、一種以上のポリマー添加剤(たとえばアルケン-1-ポリマー類、特に低密度ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリブチレン、主モノマーとしてモノオレフィン類を含むコポリマー類、酸化ポリオレフィン類、グラフトポリオレフィンコポリマー類及びポリオキシメチレン類)、又は低分子量添加剤(たとえば、通常配合される酸化防止剤、潤滑剤、紫外線遮蔽剤、着色剤など)を最高約50重量%で更に含有することができる大部分が線状のポリエチレン材料を意味する。
【0025】
高靱性ポリエチレン繊維については、たとえば商標名SPECTRA(登録商標)繊維及びヤーンの商品名でハネウェル・インターナショナル社(アメリカ合衆国ニュージャージー州モーリスタウン)から市販されている。
【0026】
製造方法、延伸倍率及び温度、並びに他の条件に応じて、種々の特性をこれらの繊維に付与することができる。ポリエチレン繊維の靱性は少なくとも約7g/d、好ましくは少なくとも約15g/d、より好ましくは少なくとも約20g/d、さらに好ましくは少なくとも約25g/d、最も好ましくは少なくとも約30g/dである。同様に、Instron引っ張り試験機で測定した繊維の初期引っ張り弾性率は、好ましくは少なくとも約300g/dであり、より好ましくは少なくとも約500g/dであり、さらに好ましくは少なくとも約1,000g/dであり、最も好ましくは少なくとも約1,200g/dである。初期引っ張り弾性率及び靱性に関するこれらの最高値は通常、溶液成長またはゲル紡糸プロセスを使用することによってのみ得ることができる。フィラメントの多くは、これらを形成したポリマーの融点よりも高い融点をもつ。従って、たとえば約150,000、約100万及び約200万の分子量の高分子量ポリエチレンは通常、バルクで138℃の融点をもつ。これらの材料から製造された高配向ポリエチレンフィラメントは、約7℃〜約13℃高い融点をもつ。融点が少し上昇したということは、バルクポリマー(bulk polymer)と比べた場合の結晶の完全性及びフィラメントの高結晶配向を反映する。
【0027】
好ましくは、使用するポリエチレンは、1000個の炭素原子当たり1個未満のメチル基、より好ましくは1000個の炭素原子当たり約0.5個未満のメチル基と、他成分が約1重量%未満を有するポリエチレンである。
【0028】
同様に、重量平均分子量が少なくとも約200,000、好ましくは約100万及びより好ましくは少なくとも約200万の高配向高分子量ポリプロピレン繊維を使用することができる。そのような伸び切り鎖ポリプロピレンは、以上に参照された種々の文献に記載の方法により、特に米国特許第4,413,110号に記載の方法により十分に配向したフィラメントに製造することができる。ポリプロピレンはポリエチレンよりもはるかに低い結晶質の材料で、ペンダントメチル基を含んでいるので、ポリプロピレンで達成可能な靱性は通常、ポリエチレンの対応する値よりも実質的に低い。従って、好適な靱性は少なくとも約8g/dであり、より好ましくは少なくとも約11g/dである。ポリプロピレンの初期引っ張り弾性率は好ましくは少なくとも約160g/dであり、より好ましくは少なくとも約200g/dである。ポリプロピレンの融点は通常、配向プロセスによって数度上昇させられ、その結果ポリプロピレンフィラメントの融点は、好ましくは少なくとも168℃、より好ましくは少なくとも170℃である。上記パラメーターの特に好ましい範囲は、好都合には最終製品に優れた性能を提供することができる。好ましい範囲の上記パラメーター(弾性率及び靱性)に加え、少なくとも約200,000の重量平均分子量を有する繊維を使用すると、最終製品で好都合に優れた性能を提供することができる。
【0029】
伸び切り鎖ポリエチレン繊維の場合には、ゲル紡糸ポリエチレン繊維の製造及び延伸は、米国特許第4,413,110号;同第4,430,383号;同第4,436,689号;同第4,536,536号;同第4,545,950号;同第4,551,296号;同第4,612,148号;同第4,617,233号;同第4,663,101号;同第5,032,238号;同第5,246,657号;同第5,286,435号;同第5,342,567号;同第5,578,374号;同第5,736,244号;同第5,741,451号;同第5,958,582号;同第5,972,498号;同第6,448,359号;同第6,969,553号;及び米国特許出願第2005/0093200号などの種々の出願に記載されており、これらの開示は本開示と適合する範囲で本明細書に明示的に援用される。
【0030】
アラミド繊維の場合には、芳香族ポリアミドから製造した好適な繊維は、米国特許第3,671,542号に記載されており、この特許の開示は、本開示と一致する範囲で本明細書に援用される。好ましいアラミド繊維は、少なくとも約20g/dの靱性、少なくとも約400g/dの初期引っ張り弾性率及び少なくとも約8J/gの破断エネルギーをもち、特に好ましいアラミド繊維は少なくとも約20g/dの靱性と少なくとも約20J/gの破断エネルギーをもつ。最も好ましいアラミド繊維は、少なくとも約23g/dの靱性、少なくとも約500g/dの弾性率及び少なくとも約30J/gの破断エネルギーをもつ。例えば、適度に高い弾性率と靱性値を有するポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)フィラメントは、弾道抵抗性複合体の製造に特に有用である。例としてはTwaron(登録商標)T2000(テイジン製)があり、1000デニールである。他の例としてはKevlar(登録商標)29であり、それぞれ初期引っ張り弾性率と靱性は500g/dと22g/dであり、Kevlar(登録商標)129とKM12はdu Pontから400、640及び840デニールが市販されている。他の製造業者製のアラミド繊維も本発明で使用することができる。ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)のコポリマー、たとえばコ-ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド3,4’オキシジフェニレンテレフタルアミド)なども使用することができる。本発明の実施のために有用なものは、商標名Nomex(登録商標)のもとデュポン社より市販されているポリ(m-フェニレンイソフタルアミド)である。
【0031】
高引っ張り弾性率をもつポリビニルアルコール(PV-OH)繊維は、Kwonらの米国特許第4,440,711号に記載されており、この特許の開示は、本開示と一致する範囲で本明細書に援用される。高分子量PV-OH繊維は、少なくとも約200,000の重量平均分子量をもつ必要がある。特に有用なPV-OH繊維は、少なくとも約300g/dの弾性率、好ましくは少なくとも約10g/d、より好ましくは少なくとも約14g/d、最も好ましくは少なくとも約17g/dの靱性と、少なくとも約8J/gの破断エネルギーをもつ必要がある。そのような特性をもつPV-OH繊維は、たとえば米国特許第4,599,267号に記載のプロセスによって製造することができる。
【0032】
ポリアクリロニトリル(PAN)の場合には、PAN繊維は少なくとも約400,000の重量平均分子量をもつ必要がある。特に有用なPAN繊維は、好ましくは少なくとも約10g/dの靱性と少なくとも約8g/dの破断エネルギーをもつ必要がある。少なくとも約400,000の分子量、少なくとも約15〜20g/dの靱性と少なくとも約8J/gの破断エネルギーをもつPAN繊維が最も有用であり、そのような繊維は、米国特許第4,535,027号に開示されている。
【0033】
本発明の実施に好適な液晶コポリエステル繊維は、たとえば米国特許第3,975,487号;同第4,118,372号及び同第4,161,470号に開示されている。液晶コポリエステル繊維は、クラレ・アメリカ社よりVectran(登録商標)繊維として市販されている。
【0034】
本発明の実施に好適なポリベンズアゾール繊維は、たとえば米国特許第5,286,833号;同第5,296,185号;及び同第5,356,584号;同第5,534,205号及び同第6,040,050号に開示されている。ポリベンズアゾール繊維は、東洋紡よりZylon(登録商標)繊維として市販されている。
【0035】
硬質ロッド繊維は、たとえば米国特許第5,674,969号;同第5,939,553号;同第5,945,537号及び同第6,040,478号に開示されている。そのような繊維はマゼラン・システムズ・インターナショナル社よりM5(登録商標)繊維として市販されている。
【0036】
二種以上の高靱性繊維を本発明のロープで使用するとき、好ましくは高靱性繊維の一種はポリオレフィン繊維、より好ましくはポリエチレン繊維である。ロープにおける高靱性ポリエチレン繊維の割合は、使用する他方の種類の高靱性繊維と繊維の所望の特性に応じて広範囲を変動し得る。高靱性ポリエチレン繊維は、ロープ中の高靱性繊維の総重量を基準として、約20〜約80重量パーセント、より好ましくは約30〜約70重量パーセント、最も好ましくは約40〜約60重量パーセントを構成することができる。たとえばロープは、高靱性ポリエチレン繊維約80〜約20重量パーセント、及びアラミド繊維約20〜約80重量パーセントから形成することができ;より好ましくは高靱性ポリエチレン繊維約70〜約30重量パーセント、及びアラミド繊維約30〜約70重量パーセント;最も好ましくは高靱性ポリエチレン繊維約40〜約60重量パーセント、及びアラミド繊維約60〜約40重量パーセントから製造することができる。特に好ましい態様では、ロープは、ロープの高靱性繊維の総重量を基準として、アラミド繊維約70〜55重量パーセント、及び高靱性ポリエチレン繊維約30〜約45重量パーセントを含むことができる。本発明の別の態様では、ロープ中の繊維の全て又は実質的に全てをアラミド繊維から形成する。
【0037】
液晶コポリエステル繊維を高靱性ポリエチレン繊維と併用するとき、ロープは、高靱性ポリエチレン繊維約80〜約20重量パーセント、及び液晶コポリエステル繊維約20〜約80重量パーセントから製造することができ;より好ましくは高靱性ポリエチレン繊維約70〜約30重量パーセント、及び液晶コポリエステル繊維約30〜約70重量パーセント;最も好ましくは高靱性ポリエチレン繊維約60〜約40重量パーセント、及び液晶コポリエステル繊維約60〜約40重量パーセントから製造することができる。特に好ましい態様では、ロープは、ロープの高靱性繊維の総重量を基準として、液晶コポリエステル繊維約70〜55重量パーセント、及び高靱性ポリエチレン繊維約30〜約45重量パーセントを含むことができる。本発明の別の態様では、ロープ中の繊維の全て又は実質的に全てを液晶コポリエステル繊維から製造する。
【0038】
所望により、他の種類の繊維を上記高靱性繊維に加えて使用することができる。本発明のロープ構造物中に高靱性繊維と一緒に配合し得る別のタイプの繊維は、フルオロポリマーから製造した繊維である。そのようなフルオロポリマー繊維としては、ポリテトラフルオロエチレン(好ましくは発泡ポリテトラフルオロエチレン)、ポリクロロトリフルオロエチレン(ホモポリマーとコポリマーの両方。ターポリマーを含む)、フッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー、フッ化エチレン-プロピレンコポリマー、パーフルオロアルコキシポリマーなど、並びに上記の二種以上のブレンドから製造した繊維が挙げられる。特に好ましいフルオロポリマー繊維は、ポリテトラフルオロエチレンから製造したもの、特に発泡ポリテトラフルオロエチレン繊維である。そのような繊維は、Lenzing Plastics GmbH&Co. KG及びWL Gore&Associatesより市販されている。
【0039】
高靱性繊維と配合させるフルオロポリマー繊維の割合は、フルオロポリマーの種類及び最終用途に応じて広範囲を変動し得る。たとえば、ブレンド中のフルオロポリマー繊維の量は、配合された繊維の総重量を基準として、約1〜約40重量パーセント、より好ましくは約5〜約25重量パーセント、最も好ましくは約10〜約20重量パーセントを変動し得る。相応して高靱性繊維の量は、ブレンドした繊維の総重量を基準として、約60〜約99重量パーセント、より好ましくは約75〜約95重量パーセント、最も好ましくは約80〜約90重量パーセントを変動し得る。
【0040】
本発明のロープで有用な種々の繊維は、任意の好適な方法でブレンドすることができる。たとえば、一つの種類の繊維ストランドを別の種類の繊維ストランドと一緒に絡ませて、一体化ストランドを形成し、次いでこれをロープに編む。あるいは、繊維を、シースとコアとをもつ二成分繊維として組み合わせることができる。他の構造物も使用することができる。種々の繊維をロープ中の所望の位置に配置することができる。
【0041】
本発明のロープは、二種以上の高靱性繊維のブレンドを含むか、又は、任意的にフルオロポリマー繊維とともに、二種以上の高靱性繊維とのブレンドから本質的になる。これらのロープは、編みロープ(braided rope)、ねじりロープ(twisted rope)、ワイヤ-層ロープ(wire-lay rope)、パラレル・コア・ロープ(parallel core rope)などの任意の構造物であってもよい。最も好ましくは、ロープは編みロープである。ロープは任意の好適な直径を有することができ、所望の繊維及び/またはヤーンから任意の好適な方法で製造することができる。例えば編みロープを製造する際、複数のヤーンボビンをもつ慣用の編み機を使用することができる。当業界で公知のとおり、ボビンが動くにつれて、ヤーンが互いに上下するように編まれて、最終的にはロールに集められる。編み機の詳細及びそこからロープを形成する方法は当業界で公知であり、本明細書では詳細を開示しない。
【0042】
一種類の高靱性繊維からのヤーンはサブロープ(subrope)に形成され、次いで他の種類の高靱性繊維からのヤーンで形成したサブロープと一緒に(編むことなどによって)ロープに形成される。あるいは、サブロープは高靱性繊維のブレンドから製造することができ、そのようなサブロープは、編み上げ作業によって又は任意の他の所望の方法によって、そのような他のサブロープまたは種々の種類のサブロープを使用してロープを形成することができる。
【0043】
ロープを形成する高靱性繊維は、任意の好適なデニールを有することができ、フルオロポリマー繊維のヤーンは、高靱性繊維のヤーンと同じまたは異なるデニールであってもよい。たとえば、高靱性ヤーンは約50〜約5000デニール、より好ましくは約75〜約2000デニール、さらに好ましくは約200〜約2000デニール、最も好ましくは約650〜約1500デニールであってもよい。フルオロポリマーヤーンは、約50〜約2500、より好ましくは約400〜約1600デニールであってもよい。
【0044】
本発明では、特定のコーティング組成物をロープ構造物に塗布する。それぞれの繊維若しくはヤーン、または複数の繊維またはヤーンのブレンドをこのコーティング組成物でコーティングし、次いでこのコーティングした繊維若しくはヤーンでこのロープを形成するか、最初にロープを形成し、次いでコーティング組成物でコーティングする。このコーティング組成物は、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む。この二種の成分は、約1〜約99重量パーセントの中和低分子量ポリエチレンと相当する量のアミノ官能性シリコーン樹脂などを所望の割合で混合することができる。特に断りのないかぎり、パーセントはすべて、組成物の総重量を基準とする。好ましくは、中和低分子量ポリエチレンは、約30〜約90重量パーセントの量で配合し、アミノ官能性シリコーン樹脂は約10〜約70重量パーセントの量で配合する。より好ましくは、中和低分子量ポリエチレンはコーティングの主成分、たとえばコーティング組成物の約55〜約85重量パーセントであり、アミノ官能性シリコーン樹脂は約15〜約45重量パーセントの量である。組成物は、所望の最終特性に応じて、種々の他の添加剤を含むことができる。
【0045】
高弾性率ポリオレフィン繊維などの高靱性繊維の中には、通常、形成されたときにスピン仕上げがされているものがあるので、本発明において使用するコーティング組成物はオーバーフィニッシュ(overfinish)組成物と言われる。
【0046】
アミノ官能性シリコーンは好ましくはエマルションの形状である。好ましくは、このエマルションはシリコーン樹脂約20〜約40重量パーセントを含み、約4.5〜約6.5の範囲のpHである。このエマルションは非イオン性乳化剤を含むことが好ましい。
【0047】
同様に、中和低分子量ポリエチレンはエマルションの形状である。好ましくは、ポリエチレンは完全に中和されている。低分子量ポリエチレンはポリエチレンワックスとしても公知であり、ワックス分散液と呼ばれることもある。当業界で公知のように、これらのポリエチレンワックス(樹脂とも呼ばれる)は、通常、約6000ダルトン未満、より好ましくは約5000ダルトン未満、より好ましくは約3500ダルトン未満、最も好ましくは約300〜約3000ダルトンの分子量をもつ。
【0048】
コーティング成分は任意の好適な方法で混合することができる。たとえばアミノ官能性シリコーンエマルションは、ステンレススチールまたは他の不活性容器中で、中和低分子量ポリエチレンに添加することができる。容器は、低剪断条件(層流)下で好適に混合するための攪拌機を備えているのが好ましい。アミノ官能性シリコーンエマルションを中和低分子量ポリエチレンに添加することによって、系のpHは塩基性側のままにできる。あるいは低分子量ポリエチレンをアミノ官能性シリコーンエマルションに添加することができる。この混合は任意の好適な温度、好ましくは約15〜約45℃、より好ましくは約20〜約30℃の間で実施することができる。コーティング組成物は、少なくとも約25重量パーセント、より好ましくは少なくとも約30重量パーセントのオーダーなどで比較的多い固体含有量であるのが好ましい。最も好ましくは、コーティング組成物の固体含有量は、約33〜約35重量パーセントである。高固体含有量のコーティング組成物を使用すると、繊維/ヤーンまたはロープにコーティング組成物を多く付着させることができる。
【0049】
組成物を繊維またはヤーンに直接コーティングする場合、任意の好適なコーティング装置を使用することができる。そのようなコーティング装置の例としては、潤滑油ロール(lube roll)、キスロール(kiss roll)、浸漬浴及び仕上げアプリケーターが挙げられる。系の粘度は温度差によって影響を受けるので、均一な適用及び優れた性能を提供するには、一定温度が望ましい。組成物をロープに塗布する場合には、ロープはコーティング組成物を含む浴中に浸漬することができ、余分の組成物を絞り出し、続いて空気乾燥を行うか、またはロープをコーティングし、次いで加熱装置内を通して加速を促進して、続いて空気乾燥を行うことができる。
【0050】
繊維/ヤーンまたはロープ上にコーティング固体を比較的多く最終的に付着させることが望ましい。好ましくは最終の付着量(pick up)は、少なくとも約0.5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約5重量パーセント、最も好ましくは約10〜約30重量パーセントである。
【0051】
以下の非限定的な実施例は、本発明をより完全に理解するために提供するものである。本発明の本質を説明するための具体的な方法、条件、材料、割合及び報告されたデータは、例示的なものであって、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。他に記載しないかぎり、全ての部は重量である。
【実施例】
【0052】
実施例
実施例1
高靱性ポリエチレンヤーンと液晶コポリエステルヤーンとから、編みロープを製造した。使用したポリエチレンヤーンは、1300デニール、靱性35g/d及び弾性率1150g/dをもつハネウェル・インターナショナル社製SPECTRA(登録商標)1000ヤーンであった。液晶コポリエステルヤーンは、1500デニール、靱性約25g/d及び約600g/dの弾性率をもつクラレ・アメリカ社.製Vectran(登録商標)HT Type97ヤーンであった。このヤーンをオーバーフィニッシュ組成物でコーティングした。
【0053】
このオーバーフィニッシュ組成物は、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとから製造した。アミノ官能性シリコーン樹脂は35重量パーセントのシリコーン含有量、pH4.5〜6.5のエマルションであり、ダウ・コーニング社製非イオン乳化剤(2-8818エマルション)を含んでいた。中和低分子量ポリエチレンは、固体含有量29%〜31%及び9.0〜11の範囲のpHの中和非イオン性ポリエチレンワックスエマルション(Fluftone(登録商標)1566、アポロ・ケミカル社製)であった。
【0054】
コーティング組成物は、中和低分子量ポリエチレンをアミノ官能性シリコーン樹脂エマルション中にブレンドすることにより製造し、得られた組成物は中和低分子量ポリエチレンを70重量パーセント含んでいた。室温でオーバーフィニッシュ組成物中に繊維を浸漬することによってこのヤーンをコーティングした。コーティングのヤーン上の付着量は、約15パーセントであった。
【0055】
コーティングしたヤーンを、約5mm直径で12-ストランドロープに編んだ。このヤーンを、最初に三本のコーティングしたヤーンを1インチ当たり0.5送り(run)でねじってロープに編んだ。コードを「S」方向と「Z」方向にねじった。12本のコードを交互に(S、Z、S、Zなど)12-ストランド編み機に充填した。次いで三本のコードを一緒に編んで、12-ストランド編みロープとした。ロープは約63重量%のポリエチレン繊維と、約37重量%の液晶コポリエステル繊維から構成されていた。
【0056】
ロープを滑車繰り返し曲げ(CBOS)耐性について試験した。この試験において、ロープは、自由回転する滑車またはプーリーの上で約180℃曲げられる。ロープは荷重下に設置され、ロープが破損するまで滑車上でサイクルにかけた。この試験は、D:d比10で1.3インチ(3.3cm)プーリーで75サイクル/分、滑車への荷重100kg(ロープの各側で50kgの張力)で実施した。サイクル数は、ロープが破損する前に5つの位置の平均に基づいて測定した。結果を以下の表1に示す。
【0057】
実施例2(比較例)
実施例の比較対照として、編みロープを同様に製造したが、オーバーフィニッシュ組成物は使用しなかった。このロープをCBOS耐性について試験した。結果を以下の表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
表1のデータは、本発明のコーティング組成物でコーティングした高靱性ポリエチレン繊維と液晶コポリエステル繊維とのブレンドから製造したロープが顕著に高いCBOS耐性をもつことを示している。
【0060】
実施例3
ロープを高靱性ポリエチレン繊維40重量%と液晶コポリエステル繊維60重量%から製造し、約40mmの直径である以外は、実施例1を繰り返す。同様の結果であることがわかる。
【0061】
実施例4
ロープを高靱性ポリエチレン繊維40重量%とアラミド繊維60重量%から製造し、約40mmの直径である以外は、実施例1を繰り返す。同様の結果であることがわかる。
【0062】
実施例5
ロープをコーティングなしのヤーンから製造し、製造後にロープを室温でオーバーフィニッシュ組成物中に浸漬することによってオーバーフィニッシュ組成物でロープをコーティングする以外は、実施例1を繰り返す。同様の結果であることがわかる。
【0063】
本発明が、顕著に優れたCBOS耐疲労性をもつロープを提供することは明らかである。結果として、これらのロープは、海底から重い荷物を持ち上げたり、おろしたりするような海洋用途などの多くの厳しい用途で使用することができる。
【0064】
本発明を詳細に記載してきたが、そのような詳細を厳格に順守する必要はなく、当業者であれば更なる変更及び改変を思いつくであろうが、それらは請求の範囲によって限定される本発明の範囲内に全て包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑車繰り返し曲げ(CBOS)の耐疲労性が改善されたロープであって、前記ロープは高靱性繊維を含み、且つ、前記ロープ及び/または前記繊維が、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングされていることを特徴とする、前記ロープ。
【請求項2】
前記高靱性繊維が、高分子量ポリオレフィン類、アラミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリベンザゾール、ポリアミド、ポリエステル、液晶ポリエステル類、ガラス、カーボン、玄武岩、鉱物繊維及び硬質ロッド繊維、並びにこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項1に記載のロープ。
【請求項3】
前記高靱性繊維が、高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維、液晶コポリエステル繊維及びこれらのブレンドから選択される、請求項1に記載のロープ。
【請求項4】
前記高靱性繊維が、高靱性ポリエチレン繊維と、ポリオレフィン繊維ではない他の高靱性繊維とのブレンドを含み、前記他の繊維はアラミド繊維及び/または液晶コポリエステル繊維である、請求項1に記載のロープ。
【請求項5】
前記高靱性ポリエチレン繊維が、前記ロープ中の前記高靱性繊維の総重量を基準として、約40〜約60重量パーセントの量で存在し、且つ前記他の繊維が約60〜約40重量パーセントの量で存在する、請求項4に記載のロープ。
【請求項6】
前記高靱性繊維が、高靱性ポリエチレン繊維とアラミド繊維とのブレンドを含む、請求項4に記載のロープ。
【請求項7】
前記高靱性繊維が、高靱性ポリエチレン繊維と液晶コポリエステル繊維とのブレンドを含む、請求項4に記載のロープ。
【請求項8】
前記組成物は、前記ロープの重量を基準として少なくとも約5重量パーセントの量で前記ロープ中に存在する、請求項4に記載のロープ。
【請求項9】
前記低分子量ポリエチレンが前記組成物の主成分である、請求項4に記載のロープ。
【請求項10】
前記低分子量ポリエチレンが、前記組成物の総重量を基準として約55重量パーセント〜約85重量パーセントの量で存在する、請求項4に記載のロープ。
【請求項11】
前記低分子量ポリエチレンが完全に中和されている、請求項10に記載のロープ。
【請求項12】
さらにフルオロポリマー繊維を含む、請求項4に記載のロープ。
【請求項13】
前記ロープが編みロープである、請求項4に記載のロープ。
【請求項14】
前記高靱性繊維が、少なくとも約16g/dの靱性をもつ、請求項1に記載のロープ。
【請求項15】
前記高靱性繊維が本質的にアラミド繊維からなる、請求項1に記載のロープ。
【請求項16】
CBOS耐疲労性が改善されたロープであって、前記ロープは、高靱性ポリオレフィン繊維と、ポリオレフィン繊維ではない他の高靱性繊維とのブレンドを含み、且つ、前記ロープ及び/または前記繊維が、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングされている、前記ロープ。
【請求項17】
前記の他の高靱性繊維が、アラミド繊維及び/または液晶コポリエステル繊維を含む、請求項16に記載のロープ。
【請求項18】
前記高靱性ポリエチレン繊維が、前記ロープ中の前記高靱性繊維の総重量を基準として、約40〜60重量パーセントの範囲の量で存在し、且つ前記他の高靱性繊維が、約60〜40重量%の範囲の量で存在する、請求項17に記載のロープ。
【請求項19】
前記低分子量ポリエチレンが、前記組成物の総重量を基準として約55〜約85重量パーセントの量で存在し、且つ前記低分子量ポリエチレンが完全に中和されている、請求項18に記載のロープ。
【請求項20】
CBOS耐疲労性が改善されたロープであって、前記ロープは高靱性ポリオレフィン繊維と他の高靱性繊維とのブレンドを含み、前記他の高靱性繊維はアラミド繊維及び/または液晶コポリエステル繊維を含み、前記ロープ及び/または繊維は、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングされていることを特徴とする、前記ロープ。
【請求項21】
前記低分子量ポリエチレンは前記組成物の総重量を基準として約55〜約85重量%の量で存在し、且つ前記低分子量ポリエチレンは完全に中和されている、請求項20に記載のロープ。
【請求項22】
ロープの滑車繰り返し曲げ(CBOS)の疲労寿命を改善する方法であって、高靱性繊維から前記ロープを製造する工程、及び前記ロープ及び/または前記ロープを形成している前記繊維を、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングする工程、を含む前記方法。
【請求項23】
前記高靱性繊維は、高靱性ポリエチレン繊維と他の高靱性繊維とのブレンドを含み、前記他の高靱性繊維はアラミド繊維及び/または液晶コポリエステル繊維を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ロープを前記組成物でコーティングすることを含む請求項23に記載の方法であって、前記低分子量ポリエチレンは前記組成物の総重量を基準として、約55〜約85重量%の量で存在し、且つ前記低分子量ポリエチレンは完全に中和されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物の固体含有量が少なくとも約25重量%である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記アミノ官能性シリコーン樹脂が、約9〜11のpHをもつエマルションの形態である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記繊維を前記組成物でコーティングすることを含む請求項23に記載の方法であって、前記低分子量ポリエチレンは、前記組成物の総重量を基準として約55〜約85重量パーセントの量で存在し、且つ前記低分子量ポリエチレンは完全に中和されている、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
合成繊維ロープを使用して重い物体を海底から重い物体を引き上げ、及び/又は、海底に設置する方法であって、該ロープとして高靱性繊維を含むロープを使用し、且つ、前記ロープ及び/または繊維が、アミノ官能性シリコーン樹脂と中和低分子量ポリエチレンとを含む組成物でコーティングされていることを特徴とする、前記方法。
【請求項29】
前記ロープが、高靱性ポリエチレン繊維とアラミド繊維とのブレンドを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ロープが、高靱性ポリエチレン繊維と液晶ポリエステル繊維とのブレンドを含む、請求項28に記載の方法。

【公表番号】特表2009−527661(P2009−527661A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556524(P2008−556524)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/062494
【国際公開番号】WO2007/101035
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】