説明

充填バルブ

【課題】ベントチューブの無い充填バルブ1で、充填開始前のガス置換率を向上させる。
【解決手段】バルブハウジング2の内部に、充填液供給配管8に連通する充填液通路4が形成されている。充填液通路4内に操作ロッド12が昇降可能に挿通され、エアシリンダ18によって昇降される。操作ロッド12の下端に弁体14が形成され、この弁体14と充填液通路4の下端部内面に設けられた弁座16とにより液バルブ10が形成される。弁体14を貫通して操作ロッド12の内部に置換用通路80が形成され、置換用ガスを供給できるようになっている。バルブハウジング2の外周にびん口パッキンユニット40が昇降可能に嵌合している。このユニット40に設けられたびん口パッキン42または44を容器の口部に圧接させて容器内を密封し、置換用ガスを容器内に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス詰め充填など容器内の雰囲気を置換した後充填を行う充填装置に設けられた充填バルブに係り、特に、ハウジング内に設けられた充填液通路の吐出口を、容器内の充填液面よりも上方に位置させて充填を行う口上充填用の充填バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内に炭酸ガス等の置換用の気体を供給して容器内の雰囲気を置換した後、液バルブを開放して充填ノズルから容器内に液体を充填しつつ、前記容器内に充満している置換用のガスを排気通路から排出するようにした充填バルブは従来から知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された充填装置は、充填液通路を有する充填バルブ内に設けられ、内部にガス通路を有し、かつ、充填液通路を開閉する液バルブとしても機能する中空弁と、容器のセンタリングを行うセンタリングベルと、センタリングベルの内側に装着され、容器の口部をシールするパッキンと、容器内と連通可能なリターンガス通路、スニフトガス通路およびこれらの通路を開閉する切換弁と、タンク内と前記中空弁のガス通路とを連通するカウンタガス通路およびこのカウンタガス通路を開閉するカウンタ切換弁等を備えている。
【0004】
この発明に係る充填装置では、炭酸ガス入り飲料を充填する場合には、搬入された容器を昇降台の上昇によって上昇させ、パッキンを当接させて口部をシールする。このとき容器の上昇に伴い、中空弁の先端部が容器内に入り込む。続いて、フィラボウル内のカウンタガスを、中空弁のガス通路を通して容器内に送り、容器内からエアを追い出してカウンタガスに置き換えた後、液バルブを開放する。すると、フィラーボウル内の炭酸ガス飲料が充填液通路を経て、容器内に流下し、充填されていくようになっている。
【0005】
前記特許文献1に開示された充填装置は、中空弁の先端部(充填バルブのベントチューブに相当する)を容器内に挿入して充填を行うようになっている。そのため異なるサイズの容器に兼用しようとする場合には、容器のサイズに応じて前記ベントチューブを交換しなければならないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の出願人は、ベントチューブを無くし、充填ノズルの先端の吐出口を容器の上方に位置させて充填を行う充填バルブの発明について特許出願をした(特許文献2)。この特許文献2に開示された発明に係る充填バルブは、バルブハウジングの内部に充填液通路が形成され、充填液タンクから送られた充填液がこの充填液通路を通って容器内に充填される。
【0007】
前記充填液通路内に昇降可能に挿通されたロッドの下端に弁体が形成され、この弁体と充填液通路の下部内面に設けられた弁座とにより液バルブが形成されており、前記ロッドをバルブ開閉用エアシリンダで昇降させることにより液バルブを開閉する。バルブハウジングの外周には、容器の口部をシールするシール部材を備えた容器口パッキンユニットが昇降自在に嵌合している。さらに、バルブハウジングの内部には、カウンタ通路およびスニフト通路が設けられており、また、これら通路をそれぞれ開閉する開閉弁が設けられている。
【0008】
前記充填バルブでガス詰め充填を行う場合には、容器口パッキンユニットを下降させて容器内を密封し、カウンタ通路とスニフト通路の開閉弁を開放して、カウンタ通路から充填液タンク内の炭酸ガスを容器内に導入するとともに、容器内の空気をスニフト通路を介して排出し容器内をガス置換する。続いて、スニフト通路を閉じて、液バルブを開放し、充填液タンクから送られた充填液を充填液通路を通って容器内に充填するとともに、容器内の炭酸ガスをカウンタ通路(排気通路)から充填液タンクに戻すようにしている。
【特許文献1】特開平11−342994号公報(第4−6頁、図1)
【特許文献2】特開2004−136927号公報(第4−7頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献2に記載された発明では、バルブハウジングの壁面内を通るカウンタ通路(排気通路)を設けて、充填液タンクのヘッドスペースに接続しているので、従来の充填バルブが備えていたベントチューブを無くすことができ、容器を兼用する際にアタッチメントの交換をする必要が無いという効果が得られる。しかしながら、充填開始前に容器内に炭酸ガスを吹き込んでガス置換を行うカウンタ通路が、バルブハウジングの壁面内、つまり充填ノズルの開口部の外に配置されているので、置換用のガスが容器の底面まで到達しにくいため置換効率が悪く、ビールの充填のように高い置換率を要求される充填液には適していないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、内部に充填液通路が形成された筒状のハウジングと、このハウジング内に挿通され、昇降手段によって昇降される操作ロッドと、この操作ロッドに設けられた弁体および前記ハウジングの下端内面に形成された弁座から成る液バルブと、前記ハウジングに設けられ、容器の口部をシールするシール手段と、このシール手段と容器とを相対的に昇降させるシール用昇降手段と、容器内に充填される充填液量を検出する充填量検出手段と、前記ハウジングに形成され、その開口部がハウジングの吐出口の外側に位置する排気通路とを備え、前記ハウジングの吐出口を容器内の充填液の入味高さよりも上方に位置させて充填を行う充填バルブにおいて、前記弁体を貫通して操作ロッドに置換用気体の通路を形成するとともに、この置換用気体の通路を開閉する開閉バルブを設け、前記置換用気体通路から容器内に置換用気体を供給することにより、容器内の空気を置換用気体と置換した後、液バルブを開放し、前記排気通路から置換用気体を排気しつつ充填を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の充填バルブは、ベントチューブを無くして各種サイズ、形状の容器に対する兼用性を向上させるとともに、換気用気体通路を、弁体を貫通して操作ロッド内に設けているので、充填前に行う容器内のガス置換の効率を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
筒状のハウジング内に挿通され、液バルブの弁体が設けられている操作ロッドの内部を貫通して置換用気体の通路を形成するとともに、この置換用気体の通路を開閉する開閉バルブを設け、置換用気体通路から容器内に置換用気体を供給した後、容器内に液体を充填しつつ排気通路から置換用気体を排出するという構成で、ガス置換効率を向上させるという目的を実現した。
【実施例1】
【0013】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係る充填バルブを備えた充填装置の縦断面図である。この実施例に係る充填バルブ(全体として符号1で示す)は、いわゆるリフタレスタイプの充填装置に設けられているもので、容器(図示せず)を水平搬送し、後に説明するびん口パッキンを下降させて、この容器の口部に密着させることにより容器内部をシールした後、この充填バルブ1によって容器内へ液体の充填を行うようになっている。
【0014】
充填バルブ1のバルブハウジング2は、上部側に大径部2aが、そして、下部側に小径部2bが形成されている。このバルブハウジング2の内部に充填液通路4が形成されており、充填液タンク6から充填液供給配管8を通って送られた充填液が、この充填液通路4を通り下端の吐出口から容器内に充填される。この実施例では、バルブハウジング2全体が充填ノズルを構成している。
【0015】
バルブハウジング2内に、前記充填液通路4の吐出口を開閉する液バルブ10が設けられている。この液バルブ10は、充填液通路4内に昇降可能に挿通された操作ロッド12の下端に形成されている弁体14と、前記充填液通路4の下端部内面に設けられた弁座16とによって構成されている。この弁体14の、弁座16に着座する部分の外周面には、シール部材14aが嵌着されて液密を保持するようになっている。前記弁体14を有する操作ロッド12は、バルブハウジング2の上部に設けられたバルブ開閉用エアシリンダ(操作ロッド昇降手段)18によって昇降する。
【0016】
このバルブ開閉用エアシリンダ18の構成について簡単に説明する。前記バルブハウジング2の上部にシリンダハウジング20が設けられており、このシリンダハウジング20の内部に、上部が大径で、下部が小径の空間が形成されている。前記操作ロッド12の上端部に小径の第1ピストン21が設けられ、前記空間の下部側の小径部内に摺動自在に嵌合している。また、前記空間の上部側の大径部内には、前記第1ピストン21よりも大径の第2ピストン22が摺動自在に嵌合している。この第2ピストン22のロッド24は、前記シリンダハウジング20の上方に突出しており、その突出した上端部に、第2ピストン22の下降限を規制するストッパ26が設けられている。前記第1ピストン21と第2ピストン22の間に、スプリング28が介装されて両ピストン20、22を互いに離隔する方向に付勢している。
【0017】
シリンダハウジング20内に形成された空間は、前記第1および第2ピストン20、22により、上方から順に第1圧力室30、第2圧力室32および第3圧力室34の3つの圧力室に区画されている。これら各圧力室30、32、34は、それぞれエア通路30a、32a、34aを介して圧縮エア供給源(図示せず)に接続されており、バルブの切換によりエアを給排できるようになっている。
【0018】
これらのエア通路30a、32a、34aを介して、上方の第1圧力室30と下方の第3圧力室34を大気に開放し、中間の第2圧力室32に圧縮エアを導入すると、上方の第2ピストン22が上昇されるとともに、下方の第1ピストン21が下降され、操作ロッド12の下端に形成されている弁体14が、弁座16に着座して前記液バルブ10が閉じるようになっている。また、上方の第1圧力室30および中間の第2圧力室32を大気に開放し、下方の第3圧力室34に圧縮エアを導入すると、下方の第1ピストン21が上昇するとともに上方の第2ピストン22も押し上げて、下方の第1ピストン21が最も高い位置まで上昇する。このときには操作ロッド12の下端の弁体14が弁座16から大きく離れて、液バルブ10が大きい開度で開放し、大流量での充填が行われる。さらに、上方の第1圧力室30と下方の第3圧力室34に圧縮エアを導入し、中間の第2圧力室32を大気に開放すると、上方の第2ピストン22が下降し、下方の第1ピストン21が上昇するが、下方の第1ピストン21は受圧面積が小さく、第2ピストン22の下降位置で上昇限が規制されるため、液バルブ10は小さい開度で開放することになり、小流量で充填が行われる。
【0019】
なお、バルブハウジング2内の充填液通路4側の上面と、操作ロッド12の上部との間にベローズ36が装着されており、飲料等の液体が流通する充填液通路4側とバルブ開閉用エアシリンダ18との間が完全に遮断されている。
【0020】
バルブハウジング2内に形成された充填液通路4の上端部と前記充填液タンク6の底面との間が、前記充填液供給配管8により接続されている。この充填液供給配管8にはフローメータ38が設けられており、充填液供給配管8を介して供給され、充填液通路4をおよび液バルブ10を通って容器内に充填される充填液の流量を検出している。なお、充填量を検出する充填量検出手段は、このようなフローメータ38に限定されるものではなく、例えば、容器の外から充填液のレベルを検出する非接触式のレベルセンサを用いるようにしてもよい。
【0021】
バルブハウジング2の下部の小径部2b外周面に、円筒状のびん口パッキンユニット40が昇降可能に嵌合している。このびん口パッキンユニット40の内周面にはシール部材42が嵌着され、前記バルブハウジング2の小径部2bの外周面との間の気密を保持している。
【0022】
びん口パッキンユニット40の下面には、この充填バルブ1を備えた充填装置によって充填される容器の口径とほぼ一致する径を有するびん口パッキン(シール部材)42、44が取り付けられている。この実施例では、口径の大きい容器と口径の小さい容器に兼用できるように、大径のびん口パッキン42と小径のびん口パッキン44が取り付けられている。
【0023】
バルブ開閉用エアシリンダ18のハウジング20の上端に、垂直なガイドロッド46を介して、びん口パッキンユニット40昇降用のエアシリンダ(シール用昇降手段)48が取り付けられている。前記ガイドロッド46の上端には水平なベース50が固定され、このベース50上に前記昇降用エアシリンダ48のハウジング52が固定されている。このハウジング52内にピストン54が昇降可能に嵌合しており、ハウジング52内を上下二つの圧力室56、58に区画している。これら上下の圧力室56、58は、ハウジング52に設けられたエア通路56a、58aを介して図示しない圧縮エア供給源に接続されており、両圧力室56、58にそれぞれエアを給排できるようになっている。前記圧縮エア供給源から上方の圧力室56に圧縮エアを導入するとピストン54が下降し、下方の圧力室58に圧縮エアを導入するとピストン54が上昇する。前記びん口パッキンユニット40は、昇降ロッド60を介して、前記昇降用エアシリンダ48のピストン54側に連結されており、通常の運転時には上方の圧力室56にエアを導入することにより、このびん口パッキンユニット40を下方へ付勢している。
【0024】
前記昇降用エアシリンダ48のピストンロッド54aには、ブラケット62を介してびん口パッキンユニット昇降用のカムフォロア64が取り付けられており、図示しないカムに係合してこのカムフォロア64が押し上げられると、前記びん口パッキンユニット40が上昇する。なお、ブラケット62の他端側に形成された筒状部62aが前記ガイドロッド46に嵌合してカムフォロア64の昇降を案内するようになっている。
【0025】
前記バルブハウジング2の内部には、気体通路66が設けられている。この気体通路66は、バルブハウジング2の内部に形成された充填液通路4の出口(吐出口)の外側に、出口側の開口部を臨ませている。この気体通路66はカウンター通路(排気通路)とスニフト通路および大気開放通路との兼用であり、バルブハウジング2の外部で三つの通路68、70、71に分岐している。第1の通路68はカウンタ通路(排気通路)であり、カウンタバルブ(排気バルブ)72を介して、充填液タンク6のヘッドスペース(貯留された充填液の上方の気相部)74に接続されている。また、第2の通路70はスニフト通路であり、スニフトバルブ76を介してスニフトチャンバー78に連通している。さらに第3の通路71は大気開放通路であり、大気開放バルブ73を開放すると前記気体通路66が大気に連通する。なお、この実施例のようにバルブハウジング2内の一本の気体通路66をカウンター通路とスニフト通路および大気開放通路に兼用する必要はなく、それぞれ独立した通路を設けるようにしても良い。
【0026】
また、下端に液バルブ10の弁体14が設けられている操作ロッド12内に、置換用のガスを容器内に供給する置換用気体通路80が設けられている。この置換用気体通路80は、前記充填液タンク6上に取り付けられ、内部に置換用の気体が貯留されている置換ガスチャンバー82に、置換用配管84を介して接続されている。置換用配管84は、操作ロッド12が昇降できるように弾性を有する材質のチューブからなっており、置換用の開閉バルブ86によって開閉される。
【0027】
以上の構成に係る充填バルブ1を備えた充填装置の作動について説明する。先ず、炭酸飲料等の充填液を加圧充填するガス詰め充填を行う場合について説明する。ガス詰め充填の場合には、充填液タンク6内に充填液を収容し、その上部の空間74に加圧した炭酸ガスを封入する。
【0028】
この実施の形態に係る充填装置は、前述のようにリフタレスタイプの充填装置であり、水平搬送された容器が、前記充填バルブ1の下方に供給される時点では、びん口パッキンユニット40は、図示しないカムによってカムフォロア64が押し上げられることにより上昇した状態になっており、容器がこの充填バルブ1の下方に供給された後に、カムフォロア64がカムの上昇区間を通過して、昇降用エアシリンダ48の付勢力によりこのびん口パッキンユニット40が下降される。びん口パッキンユニット40が下降されると、その下面側に取り付けられているびん口パッキン42または44が容器の口部に圧着されてこの容器内を密封する。
【0029】
充填の開始時には、先ず、容器内の空気を置換用のガスに置換する。このときには、置換用バルブ86を開放するとともに、排気バルブ72およびスニフトバルブ76を閉鎖し、さらに大気開放バルブ73を開放する。すると、置換用ガスが、置換ガスチャンバー82から置換用配管84および操作ロッド12内の置換用通路80を通って容器内に導入されるとともに、容器内の空気が、バルブハウジング2内の気体通路66から大気開放通路71を通って排出される。なお、この実施例では、置換動作の最初から最後までの間、容器をびん口パッキン42または44によってシールして置換動作を行ったが、最初の段階では容器をシールせずに置換用ガスを導入し、その後容器をシールして置換を行うこともできる。
【0030】
容器内に所定時間置換用ガスを導入してガス置換を行った後、置換用バルブ86を開放したまま、排気バルブ72とスニフトバルブ76を閉じるとともに、大気開放バルブ73も閉鎖してカウンター工程を行う。カウンター工程では、密封した容器内にさらに置換用ガスを導入して加圧する。所定時間経過後、置換用バルブ86を閉鎖するとともに、排気バルブ72を開放することにより、容器内と充填液タンク6の気相部74とを連通して、容器内の圧力を気相部74の圧力とほぼ同じ圧力にする。なお、カウンター工程では、置換用ガスを導入する代わりに、排気バルブ72を開放して充填液タンク6の気相部74に封入されている気体を供給するようにしても良い。
【0031】
その後、各バルブは前記状態のまま、つまり、置換用バルブ86は閉鎖、スニフトバルブ76および大気開放バルブ73も閉鎖、排気バルブ72は開放した状態のまま、液バルブ開閉用のエアシリンダ18を作動させて、操作ロッド12およびこの操作ロッド12と一体の弁体14を上昇させ、弁体14を弁座16から離座させて液バルブ10を開放し充填を開始する。
【0032】
液バルブ10が開放されると、充填液タンク6から充填液供給配管8を通って供給された充填液が、バルブハウジング2内の充填液通路4およびバルブハウジング2の下端部の吐出口を通って容器内に充填されるとともに、容器内の炭酸ガスは、バルブハウジング2内の気体通路66および外部に接続された排気通路68から排出されて充填液タンク6内の気相部74に戻される。この充填装置では、大流量で充填液を容器内に投入する大投充填と小流量で充填液を投入する小投充填を切り換えるようになっており、例えば、最初に大投充填により、容器内への全充填量の85パーセントの充填を行い、その後、小投充填に切り換えて残りの充填液を投入する。
【0033】
従って、充填の開始時には、大投充填を行うために、液バルブ開閉用エアシリンダ18の第1圧力室30および第2圧力室32を大気に開放するとともに、第3圧力室34に圧縮エアを導入する。すると、第1ピストン21および第2ピストン22が最も高い位置まで上昇して、第1ピストン21に連結されている操作ロッド12の弁体14が大きく上昇して、液バルブ10が最大限に開放する。充填バルブ1に充填液を供給する充填液供給配管6にはフローメータ38が設けられており、所定量(例えば、前記のように設定された充填量の85パーセント)の充填液が充填されたことを検出すると、前記液バルブ開閉用エアシリンダ18を作動させて液バルブ10を小投に切り換える。
【0034】
この場合には、第3圧力室34に圧縮エアを導入し、また、開閉用エアシリンダ18の第2圧力室32を大気に開放したまま、第1圧力室30に圧縮エアを導入する。すると、第1ピストン21には上昇する力が作用し、第2ピストン22に下降する力が加えられ、両ピストン20、22の受圧面積差によって、操作ロッド12が大投充填時よりも押し下げられて液バルブ10が小さく開放した位置で停止し、小流量の充填に切り換えられる。前記フローメーター38が残りの量の充填液が充填されたことを検出すると、開閉用エアシリンダ18の第1圧力室30と第3圧力室34を大気に開放し、中間の第2圧力室32に圧縮エアを導入して第1ピストン21および操作ロッド12を下降させ、液バルブ10を閉じて充填を終了する。
【0035】
充填終了後、排気バルブ72を閉じるとともに、スニフトバルブ76を開き、後にびん口パッキン42または44を容器から離したときに充填液が急激に発泡しないように、容器のヘッドスペース内から圧力ガスを徐々に放出して大気圧と同圧にする。その後、カムによってびん口パッキンユニット40を上昇させてびん口パッキン42、44を容器から離し、この容器を充填装置から排出する。
【0036】
前記充填バルブ1は、ガス詰め充填を行う場合だけでなく、ノンガス充填にも適用することができる。ノンガス充填を行う場合には、びん口パッキン42、44によって容器の口部を密封する必要はなく、開放したままで充填することができる。また、前記装置をそのまま兼用する場合には、例えば、充填液タンク6の気相部74を大気に開放するとともに、排気通路68の排気バルブ72を開放して排気通路68を大気に開放した状態にして、置換用配管84の置換用バルブ86と、スニフト通路70のスニフトバルブ76を閉鎖しておく。この状態で容器が供給された後、上昇していたびん口パッキンユニット40を昇降用エアシリンダ48によって下降させ、びん口パッキン42または44を容器の口部に密着させた後、液バルブ開閉用エアシリンダ18によって液バルブ10を開放して充填を行う。
【0037】
前記構成の充填バルブ1では、ベントチューブがないので、アタッチメントの交換をせずに各種サイズの容器に兼用可能であり、しかも、置換用ガスを容器の中央部から吹き込むことができるので、容器の底部までガスを吹き込み置換率を向上させることができる。従って、ビールのように酸化にデリケートな液体にも適用可能である。なお、前記実施例では、リフタレスタイプの充填装置について説明したが、びん台により容器を昇降させるタイプの充填装置にも適用可能である。この場合には、びん口パッキンユニット40側は昇降させなくとも良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】充填バルブの縦断面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0039】
1 充填バルブ
2 バルブハウジング(充填ノズル)
4 充填液通路
10 液バルブ
12 操作ロッド
14 弁体
16 弁座
18 昇降手段(液バルブ昇降用エアシリンダ)
42 シール手段(びん口パッキン)
44 シール手段(びん口パッキン)
48 シール用昇降手段(昇降用エアシリンダ)
80 置換用気体通路
86 置換用バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に充填液通路が形成された筒状のハウジングと、このハウジング内に挿通され、昇降手段によって昇降される操作ロッドと、この操作ロッドに設けられた弁体および前記ハウジングの下端内面に形成された弁座から成る液バルブと、前記ハウジングに設けられ、容器の口部をシールするシール手段と、このシール手段と容器とを相対的に昇降させるシール用昇降手段と、容器内に充填される充填液量を検出する充填量検出手段と、前記ハウジングに形成され、その開口部がハウジングの吐出口の外側に位置する排気通路とを備え、前記ハウジングの吐出口を容器内の充填液の入味高さよりも上方に位置させて充填を行う充填バルブにおいて、
前記弁体を貫通して操作ロッドに置換用気体の通路を形成するとともに、この置換用気体の通路を開閉する開閉バルブを設け、前記置換用気体通路から容器内に置換用気体を供給することにより、容器内の空気を置換用気体と置換した後、液バルブを開放し、前記排気通路から置換用気体を排気しつつ充填を行うことを特徴とする充填バルブ。

【図1】
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【公開番号】特開2006−62660(P2006−62660A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243986(P2004−243986)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】