説明

充填レベル検出のための容量測定方法及び装置、並びにそれに応じて装備された実験機器

【課題】充填レベルを決定するための、又は媒体の量、例えば複数の密接に隣接した容器内の液体の量を検出するための装置及び方法を提供する。
【解決手段】同一寸法の規則的に配置された容器からなる群(10)の個別容器(5.1、5.2)内の充填レベルの容量決定のための装置(100)であって、送信電極(201.1)及び受信電極(201.2、201.3)並びに容量測定を実行するための送信回路(57)及び受信回路(58)を回路を有する。ベースプレート(200)によって規定される水平面に対して一方向に突出し、同一寸法の複数の作業地帯が形成されるように相互に均一に間隔をあけて離れて配置される複数の電極(201.1、201.2、201.3)を備えている。接続部202をそれぞれ用いてこれらの2つの電極の一方(201.1)が送信器として使用され、2つの電極の他方(201.2、201.3)が受信器として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填レベル検出のための容量測定方法及び装置、並びにそれに応じて装備された実験機器に関する。特に、本発明は、複数の容器内の充填レベルを決定するように設計される実験機器に関連する。
【背景技術】
【0002】
容量センサは、例えば圧力、充填レベル、容積、又は比誘電率などの物理量を測定するためにある場合に使用される。これらのセンサは、測定されるべき物理量に対する応答として得られる個別キャパシタ又は全体のキャパシタ回路網の容量の変化を検出する。従って、測定されるべき物理量は、センサの容量を測定することによって観測することができる。容量センサは、個別に、又は多数の空間的に密接に隣接するセンサの配置において使用される。容量単一センサは、例えば圧力、加速度、及び位置測定のために使用される。それぞれ多数のセンサシステムを有する容量配置は、例えば容量タッチパッド又は容量指紋センサにおいて使用される。
【0003】
図1は、多数の容量(測定)センサを有する容量センサ配置1の概略図の一例を示し、前記容量(測定)センサはここでは共通送信電極Sと複数の受信電極E1、E2、・・・によって形成されている。共通送信電極Sは、全てのセンサのために使用される。受信電極E1、E2、・・・は、送信電極Sから間隔をあけて離れて位置している。信号源2は、センサ配置1を作動させるために又は動作させるために設けられている。多数の容量センサを有するそのようなセンサ配置1を使用して、三次元誘電又は導電構造が検出され走査され得る。例えば、コインのエンボス画像(導電構造の例)又は例えば分注自動販売機に使用されるようなマイクロプレート(誘電構造の例)の充填レベルが、検出され走査され得る。この解決法についての詳細は、国際公開第2008/064500A2号公報から得ることができる。
【0004】
試験管、マイクロプレート、又は同種のものにおいて内容物又は充填レベルを決定することが重要である多数の実験システム及び医療装置並びに製薬装置が存在する。そのような決定は、測定自動化又は連続実験が含まれる場合に特に重要である。充填レベルは、一般に液面の検出によって決定される、すなわち空気と液体との間の界面の位置が決定される。このプロセスはまた、液体レベル検出(LLD)と表される。液体到達検査(LAC)では、液体が容器に到達したか、あるいは液体の容積又は量が変化したかが決定される。
【0005】
ここ数年、実験機器は、ますます正確になるとともにより複雑になってきた。高集積化、自動化、及び並列処理という傾向にある。これは、個別構成要素の高空間圧縮を引き起こす。この圧縮は、クロストーク及び他の態様によって隣接測定チャネルの相互影響が問題を引き起こし得るので、実験装置に機械的及び他の技術的問題だけでなく電子評価の精度ももたらす。
【0006】
非常に限定された空間に多数の液体容器を有するプレート又は容器を備えて動作する種々の装置が存在する。ここでは特に、例えば96の密接に隣接して位置づけられた(「ウェル」と呼ばれる)液体容器を有するマイクロプレート、マルチウェルプレート又はマイクロタイタープレート(ANSI/SBS規格、1−2004、参照)に言及され得る。時には、これらのマイクロプレートは、マイクロプレートの後側が固体であるように設計されるか、マイクロプレートの取扱安定性を付与するために多数のウェブ及び他の要素を有するので、後側からアクセスすることができない。それにも関わらず、本発明は、非接触充填レベル測定を実現するために意図的に後側に配置された電極対の方法に向かっている。
【0007】
例えば超音波に基づいて動作する充填レベルを決定するための従来の解決法は、一般にマイクロプレートを測定するために数分必要とする。また、超音波による解決法は、比較的正確ではなく、わずか25マイクロリットルについての解決を提供する。泡、メニスカス効果及び他の幾何学的効果は、そのような超音波による解決法によって確実に決定又は識別することができない。
【0008】
電極を用いて容器の充填レベルの容量測定を行う解決法が存在する。例示的解決法は、例えば英国特許出願公開第2040464A号の文献から知られている。この解決法では、2つの平行電極プレートが、容器にしっかりと固定されている。前記文献は、例えば水タンクなどのタンクにおける充填レベル測定に関連している。容器内の充填レベルを決定するための別の容量測定方法は、未審査の独国特許出願公開第19645970A1号から知られている。この未審査の出願公開によれば、送信電極及び受信電極は、互いに反対に位置づけられている。電極は、測定回路を用いて接続されている。容器と電極のしっかりとした接続を提供するまた別の解決法は、例えば特許出願公開番号第11014430A号(出願番号第1997−0166153号)の文献から知られている。特許出願公開番号第11014430A号による解決法は、容器内の液体表面の位置を決定することに関連している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの解決法は、複雑な実験システム及び医療機器並びに製薬機器における状況に適合させることができない、あるいは努力して適合させることができるのみである。特に、これらの解決法は、密接に隣接した容器内の充填レベルの個別決定のために十分な解決をもたらすものではない。また、示された解決は、それらが多数の容器からなる群に適用される場合には非常に高価になる。さらに達成可能測定精度は十分ではない。
【0010】
実験機器の自動化度が増加するにつれて、ほんの少しの手動介入のみを必要とする対応連続処理を構成することが望ましい。それと同時に、例えば、自動実験機器において、従来の自動実験機器によって自動的に解決することができない状況が生じ得ることを認識しなければならない。
【0011】
国際公開第2008/064500A2号の文献は、最も近い従来技術と考えられる。
【0012】
従って、充填レベルを決定するための、又は媒体の量、例えば複数の密接に隣接した容器内の液体の量を検出するための装置及び方法を提供することを目的とする。前記装置又は方法は、容器からなる群において充填レベルを測定するときでさえ、いつでも信頼できる正確な結果を提供する必要がある。また、対応実験装置を提供することに関連する。
【0013】
前記方法、装置又は実験機器は好ましくは、手動介入を必要としないように設計される必要がある。
【0014】
前記装置は、他の(実験)機器のモジュール又は構成要素として一体的にされ得る、又はこれに取り付けられ得るようにできる限り設計される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的は、請求項1に記載される装置、請求項13に記載される方法、及び請求項12に記載される実験機器によって本発明に従って実現される。
【0016】
本発明に係る装置は、請求項1の特徴部によって特徴づけられる。本発明に係る方法は、請求項13の特徴部によって特徴づけられ、本発明に係る実験機器は、請求項12の特徴部によって特徴づけられる。
【0017】
本発明は、複数の電極からなる容量網又はネットワークを用いた測定に基づいている。ある実施形態では、電極は、容器に接続されていない、又は容器に一体的にされない個別電極として設計される。別の実施形態では、電極は、容器内又は容器上にしっかりと配置され得る。全ての実施形態において、容量網又はネットワークは好ましくは、例えば電極の配線を適合させることによって測定方法の実行前や実行中に構成することができる。
【0018】
全ての実施形態において、本発明は、送信電極と受信電極の間に入る各媒体が受信信号に影響を与えるという原理に基づいている。信号への影響の強度は、媒体に蓄積され得る又は移動され得る電荷の数に依存する。これらの電荷は、例えば蒸留水又はプラスチックの場合によくある誘電体媒体(拘束分極電荷)から生じる。電荷は、自由表面電荷の形で導電媒体に生じる。これは、例えば塩水、血、金属などの場合である。非導電媒体において、容量増加は、対応する誘電率によって得られる。この容量増加の作用は、電極間の媒体の容積と相関する。一方、導電媒体においては、前述した表面電荷のみが存在する。従って、ここでは容積だけでなく媒体の幾何学(例えば全体表面のサイズ)の問題がある。さらに、導電媒体が(マックスウェル周波数と呼ばれる)特定周波数を超えると非導電になることに注目すべきである。
【0019】
好適な実施形態では、本発明はさらに、少なくとも一部の電極が、必要に応じて配線の適用を通じて種々の所定電位を得ることができること、及び結果として電極の容量ネットワークの種々の寄生容量が無効にされ得ることという解決法に基づいている。
【0020】
本発明はまた、容量充填レベル測定において受信信号が液体の抵抗又は容量、すなわち誘電率に、従って液体の量に直接的に依存するという発見に基づいている。また、容器及び電極の幾何学的配置がここでは影響を及ぼす。
【0021】
本発明の結果として、最も多様な状況において信頼できる検出結果を供給し、最も多様な要求を受ける普遍的装置及び実験機器を提供することが可能である。
【0022】
以下、本発明に係る装置、本発明に係る実験機器、及び本発明に係る方法を、本発明の範囲を限定するものではない例示的実施形態の概略図を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術に係る実験装置の一部の概略側面図を示す。
【図2A】本発明に係る2つの正反対にある電極を有する単一容器の概略平面図を示す。
【図2B】本発明に係る3つの電極を備えた2つの容器からなる線形群の概略平面図を示す。
【図2C】本発明に係る4つの電極を備えた3つの容器からなる線形群の概略平面図を示す。
【図2D】本発明に係る5つの電極を備えた4つの容器からなる平面群の概略平面図を示す。
【図2E】本発明に係る8つの電極を備えた9つの容器からなる平面群の概略平面図を示す。
【図3】本発明に係る10の電極を備えた7つの容器からなる更なる平面群の概略平面図を示す。
【図4A】本発明に係る第1の電極の概略側面図を示す。
【図4B】図4Aに係る第1の電極の概略断面図を示す。
【図5A】本発明に係る第2の電極の概略側面図を示す。
【図5B】図5Aに係る第2の電極の概略断面図を示す。
【図6A】本発明に係る第3の電極の概略側面図を示す。
【図6B】図6Aに係る第3の電極の概略側面図を示す。
【図7A】更なる電極の概略断面図を示す。
【図7B】更なる電極の概略断面図を示す。
【図7C】更なる電極の概略断面図を示す。
【図8】本発明に係るベースプレートとともにある更なる電極の概略断面図を示す。
【図9】本発明に係る一体化した電極を備えたベースプレートの概略断面図を示す。
【図10】本発明に係る3つの電極及び2つの容器からなる群を備えるとともに電気配線を備えたベースプレートの概略側面図を示す。
【図11】本発明に係る3つの電極及び3つの容器からなる群を備えたベースプレートの概略側面図を示す。
【図12】本発明に係る電気配線とともにある図2Aに係る容器の概略平面図を示す。
【図13】本発明に係る8つの電極、9つの容器とともに電気配線を備えた群の概略平面図を示す。
【図14】本発明に係る4つの電極、5つの容器とともに電気配線を備えた群の概略等価回路図を示す。
【図15】本発明に係る好ましい実施形態の概略等価回路図を示す。
【図16A】本発明に係る117の電極と8×12の容器を備えた群の概略平面図を示す。
【図16B】本発明に係る59の電極と8×12の容器を備えた群の概略平面図を示す。
【図17A】本発明に係る8×12の容器と電極を備えたベースプレートとを備えた群の平面図を示す。
【図17B】図17Aに係る群の断面図を示す。
【図18】本発明に係る4×5の容器と電極配置を備えた群の平面図を示す。
【図19】本発明に係る4×5の容器と更なる電極配置を備えた群の平面図を示す。
【図20】本発明に係る4×5の容器と更なる電極配置を備えた群の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の有利な実施形態が以下に説明され、これらは例示的実施形態を含んでいる。これらは、発明全体の種々の形態と本発明の組立体及び個別部品とを有している。原則的に、記載される種々の実施形態の組立体及び個別部品は互いの内部において結合される、あるいは、個々の実施形態の組立体及び個別部品は、別の実施形態の組立体及び個別部品によって置き換えられ得る。これによって形成される組合せは、例えば組立体及び個別部品の協働又はかみ合いを可能にするために、当業者によく知られ、それによってさらに説明されていない小さな適用を必然的に伴うことができる。
【0025】
以下、指標又は付加を用いることなく対応する参照番号を使用することによって、全体として多数の構造要素又は構成要素に言及する。例えば、電極は、全体として参照番号201を用いて指定される。一方、個別電極は、201.1から201.K(ここで、Kは3以上の整数である)を用いて指定される。別の参照番号が同様に使用される。
【0026】
本発明に関連して、実験機器400について種々の話が存在する。これは、例えば液体検出のための手段を装備した機器、システム、設備、装置、(「ワークステーション」又は「液体取扱プラットフォーム」としてまた指定され、例えばテカン・トレーディングAGから商標名Freedom EVO(登録商標)の下で入手可能である)取扱センタなどを有している。本発明に係る装置100は、そのような実験機器400の要素、組立体又は構成要素である。実験機器アイテム400は、例えば複数の同一装置100又は複数の別の装置100を有し得る。しかしながら、本発明に係る装置100は、液体を検出するためだけでなく他の媒体(例えば粉末、顆粒、フレーク又は同種のもの)を検出するためにも使用することができる。
【0027】
ここでは、モジュールという用語は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組合せにより実行される機能群を記載するために使用される。
【0028】
ここでは、「群」10という用語は、同一である又は同一タイプである複数の容器の規則的配置を記載するために使用される。容器5は、互いに隣接して水平に密接した規則的配置において配置されている、すなわち容器5は、平面上に均等に分布して配置されている。容器5は全て好ましくは、同一の形状及びサイズを有し、直立している。1つの群10の容器5は好ましくは、複数の行Rと列Spを有する格子状ネットワークに配置される。行Rと列Spの交差領域に、(作業地帯と呼ばれる)空位置が存在し、空位置は全て、十分に占有された格子においてそれぞれ1つの容器5によって占有される。しかしながら、空位置が全て占有されていない群もまた可能である。
【0029】
同時に格子状ネットワークは作業地帯を規定する。本発明の意味においてこれらの作業地帯は、いずれの場合にも送信器Sとして機能する電極201と受信器として機能する間隔をあけて配置される(隣接)電極201の間の中間空間を有する。電極201の実施形態に応じて、作業地帯は、(ベースプレート200によって規定される水平面に対して)円形断面を有し、該断面は、容器5の外側断面におよそ対応する。作業地帯の三次元形状は、例えば、円筒形状を有し得る、又は(例えば図11に係る実施形態では)円錐又は円錐台の形状を有し得る。好ましい場合には、作業地帯の形状は、容器5の外側形状(シェル形状)に対応する。
【0030】
図2A−図2E、図3、図12、図13、図14、図15、図17A、図17B、図18、図19A、図20、図21及び図22において、水平面Eは、図面の平面にある。
【0031】
図2Aは、本発明に係る群10の基本モジュール20を示す。図2Aは、1つの行R.1(R=1)と1つの列Sp.1(Sp=1)を有する格子を示し、該格子は、ただ1つの単一空位置を規定する。単一容器5は、この1つの空位置に位置づけられる。ここでは、互いに正反対にある2つの柱のような電極201.1、201.2が示されている。第1の電極201.1が左上に位置づけられ、第2の電極201.2が右下に位置づけられる。
【0032】
図2Bから図2Eは、本発明に係る群10の幾つかの実施例を示し、該群はそれぞれ、柱のような電極201を有している。しかしながら、電極201はまた、以下にさらに説明されるように別の形状を有し得る。
【0033】
前記群10の表現及び説明のために以下の名称が使用される、すなわち、Rは、行の数を付与し、Spは、列の数を付与し、格子は、互いに垂直であるとともに列の幅(列間隔ASと呼ばれる)と行の高さ(行間隔ARと呼ばれる)が好ましくは同一である列と行を有する。AS=ARである場合には従って、正方形が空位置として得られる。Nは、容器5の総数を付与し、Kは、電極201の総数を付与する。個別の列は、以下のように区別される、すなわち、Sp.1は第1の列を規定し、Sp.2は第2の列を規定するなどのように規定する。個別の行は、以下のように区別される、すなわち、R.1は第1の行を規定し、R.2は第2の行を規定するなどのように規定する。
【0034】
図2Bは、第1の線形群10を示し、該第1の線形群は、以下のように、すなわちR=2、Sp=2、N=2、K=3と規定される。従って、これは全ての空位置が占有されるものではない群10を有している。
【0035】
図2Cは、第2の線形群10を示し、該第2の線形群は、以下のように、すなわちR=3、Sp=3、N=3、K=4と規定される。従って、これは全ての空位置が占有されるものではない別の群を有している。
【0036】
より大きい線形群10の数値例はまた、以下の表1から推定される。ここでは、活性電極と不活性電極201の間の区別がなされる。活性電極は、送信器(S)及び/又は受信器(R)及び/又は仮想接地として機能する。不活性電極は接地される、すなわちそれらは接地電位にある。
【0037】
表1:線形群10

【0038】
図2D及び図2Eは、2つのいわゆる平面群10を示している。
【0039】
図2Dは、第1の平面群10を示し、該第1の平面群は、以下のように、すなわちR=2、Sp=2、N=4、K=5と規定される。これは4つの空位置が全て占有される群10を有している。従って、このタイプの群は、完全な平面群10として示される。図2Dに係るこの群10において、電極が角部に配置されるのではなく外周における中心に配置される場合、K=4の電極だけで処理することができる。
【0040】
図2Eは、第2の完全な平面群10を示し、該第2の平面群は、以下のように、すなわちR=3、Sp=3、N=9、K=8と規定される。従って、これは全ての空位置が占有される群10を有している。
【0041】
より大きい平面群10の数値は、以下の表2から推定され得る。群の外周における電極の配置に応じて、必要な電極の総数において1つの電極の違いを得ることができる。しかしながら、更なる電極の節約は十分に占有された群10の偶数の行及び列を有する群において実現される。これは、例えば4からなる、64からなる、96からなる及び348からなる群10の場合に示される。
【0042】
表2:空位置のない平面群10

【0043】
表1及び表2並びに例示的図面を参照して、多数の異なる置換が可能であることが明らかである。実際の適用のためには、装置全体が適用性を失うことなしに必要電極201の数Kをできるだけ少なく保つ試みが常に行われるであろう。当然、各容器5において、例えば相互に90度の角距離離れて4つの電極201が存在する非常に多くの電極201を設けることができる。しかしながら、表1及び表2並びに前記実施形態は、かなり少ない電極201で処理することができることを示している。従って、活性電極201で信号を誘発する又は取り出すために必要とされる接続ライン202の数がまた低減される。
【0044】
特に、受信器は電極201を送信器として機能することを実行するより非常に高価/非常に複雑であるので、受信器として機能する電極201の数をできるだけ少なく保つ実施形態が好ましい。
【0045】
全ての実施形態において、容器5ごとに少なくとも2つの反対の活性電極201が設けられるという条件がいずれの場合にも満たされる。電極201は好ましくは、この場合に最も大きな可能な対称が得られるので、各容器5において正反対にある。しかしながら、個別容器5に関する電極201の別の位置決めもまた可能である。実施形態に応じて、電極の一部は、隣接容器5によって共有される又は共同で使用される。電極(例えば、図16B参照)は好ましくは、ジグザグの経路又はジグザグの線21(図16B参照)に沿って配置される。
【0046】
「反対にある」という用語はここでは、いずれの場合にも少なくとも2つの電極201が、電極201の1つによって放出された電界が、受信器として機能する電極201によって受信される前に少なくとも容器5の一部を通過するように、容器5又は容器5を受容するための作業地帯に対して配置されるという事実を表現するために使用される。好ましくは、全ての実施形態において電極201は、各容器5において互いに正反対にある。
【0047】
本発明は、電極201の容量結合されたネットワークを用いた(液体)測定に基づいている。この原理は、全ての実施形態に使用される。前記ネットワークは、固定して、すなわち配線で接続される、部分的に固定して、すなわち部分的に配線で接続される、又は、完全に柔軟性のある、あるいは構成可能である、すなわち配線で接続されていないように設計され得る。例えば、無線接続(例えば赤外線又は無線周波数接続)もまた使用され得る。
【0048】
本発明に係る装置100は、図10に概略的に示すように、特に容器5内の液体の検出のために設計されているが、それはまた、他の媒体を検出するために容易に使用され得る。検出するために、装置100は、容器5.1、5.2から5.N(Nは、本発明によれば常に2以上の整数である)からなる群10を有し、該容器は、行R及び/又は列Spにおいて互いに隣接して規則的な相互間隔で水平に配置される。装置100はさらに、水平ベースプレート200を有し、該ベースプレートは、容器5の下に配置される。また、装置100は、電極201.1、201.2から201.K(例えば、柱のような電極)を有し、該電極は、ベースプレート200によって支持される、又はベースプレート200の一部である。電極201は、ベースプレート200から群10の容器5間の中間空間101の方へ上方へ延びる。複数の電気接続ライン202が設けられ、該接続ラインを通じて、電極の一部が個別に選択的に誘発され得る。
【0049】
本発明によれば、水平面Eの各容器5において、少なくとも2つの電極201.1、201.2は、例えば図2Aの概略平面図に示されるように、互いに反対にある。活性電極201の個別の選択的誘発のために、例えば図12に示すように、それぞれこれら2つの電極の一方201.1が送信器(S)として機能し、2つの電極の他方201.2が受信器(R)として機能する。
【0050】
96の(「ウェル」と呼ばれる)容器5を有するマイクロプレート(群10)の場合には、最大96の送信器/受信器の対(すなわち、合計で最大192の電極201)が電極201として必要である。しかしながら、96の容器5を有するマイクロプレートを測定することを可能とするために、例えば、9×13=117の電極201がまた十分である。しかしながら、非常に優れた測定結果がまた、8×12の容器5を有するそのような群10のために、(9×13)−6=111の電極201を使用することによって実現され得る。表2は、8×12の容器5を有する群10を用いて、58又は59の電極201のみで処理することもできることを示している。
【0051】
図3は、本発明に係る10の電極210を備えた7の容器5からなる別の平面群の概略平面図を示している。ここでは個別容器5は隙間に動けないようにある。ここでは、例えば、電極201は、円形断面を有している。
【0052】
「柱のような電極」という用語は、特にポスト又はロッドの形をした要素201のために使用される。しかしながら、電極はベースプレート200から上方へ延びるので、電極はより一般的には突出した又は隆起した電極として示され得る。電極は、例えば、図11に示すように、円錐形状又は円錐台形状を有し得る。電極201の断面は、多角形状(例えば正方形)を有し得る、あるいは楕円形又は円形であり得る。
【0053】
前記実施形態又は配置に応じて、柱のような電極201が中間空間101に挿入され得るか(例えば、図10参照)、あるいは、例えば、円錐台形の電極201が中間空間101の中に挿入され得る(例えば、図11参照)。
【0054】
電極201は、どんな形状を有していても、少なくとも部分的に導電性であるように設計される又はコーティングされる。図4A、図4B、図5A、図5B、図6A、図6C、図7A−図7C、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14、図15、図17A、図17B、図18、図19A、図19B及び図20−図22は、本発明に係る電極201の幾つかの可能な実施例を示している。これらの電極201は、全ての実施形態において使用することができる。そのような電極201の導電部分204は、送信器(S)又は受信器(R)としての電極201の使用に従って放出及び/又は受信表面として機能する。
【0055】
電極201は好ましくは、水平ベースプレート200に垂直に立っている。しかしながら、電極201はまた、例えば容器5の外壁の形状に従うために傾斜し得る。
【0056】
電極201は好ましくは、例えば図10に示すように、容器5の深さTにほぼ対応する(ベースプレート200に垂直に測定される)長さLを有する。長さLは好ましくは、深さTより少し長い。図11は、深さTより少し短い電極201を示している。
【0057】
特に好ましい実施形態では、容器5からなる群10を有するマイクロプレートは、電極201の上側において上部にある。2つの容器5.1、5.2を備えたマイクロプレートの断面が図10に示され、該2つの容器は、例えばウェブ12、接続部又は表面によってその上側において相互接続されている。これらのウェブ12、接続部又は表面の領域において、マイクロプレートは電極201上にある。
【0058】
図4Aは、側面図で柱のような電極201の概略詳細を示している。ここでは、ケーブルの形をした電気接続ライン202がベースプレート200の下に示されている。図4Bは、図4Aの柱のような電極201の(水平ベースプレート200に平行な)断面を示している。柱のような電極201はここでは正方形断面を有している。
【0059】
図5Aは、側面図で柱のような電極201の概略詳細を示している。ここでは、電極20の上部領域のみが導電領域204として示されている。ケーブルの形をした電気接続ライン202は、ベースプレート200の下に示されている。図5Bは、図5Aの柱のような電極201の導電領域204の(水平ベースプレート200に平行な)断面を示している。導電領域204はここでは、図4Bのように固体であるように構成されている。柱のような電極201はここでは、正方形断面を有している。電気接続ライン202に代えて、例えば無線接続(例えば赤外線又は無線周波数接続)もまた使用可能である。
【0060】
図6Aは、側面図で柱のような電極201の概略詳細を示している。ここでは、電極201の2つの(あるいはそれ以上の)ストリップ形状領域のみが導電領域204として示されている。ケーブルの形をした電気接続ライン202は、ベースプレート200の下に示されている。図6Bは、図6Aの柱のような電極201の(水平ベースプレート200に平行な)断面を示している。導電領域204はここでは、柱のような電極201にはめ込まれている。柱のような電極201はここでは、全体として正方形断面を有している。
【0061】
しかしながら、全ての実施形態において、導電領域204はまた、(例えば外側層として蒸着された又はスパッタされた)金属化層の形で設計され得る。
【0062】
図7Aから図7Cは同様の電極201の断面を示し、該断面はいずれの場合にも円形である。図7Aに関して図4A、図4Bの記載に言及される。図7Bに関して図5A、図5Bの記載に言及される。図7Cに関して図6A、図6Bの記載に言及される。
【0063】
電極201は、例えば図9に示すように、ベースプレート200の一体構成要素とすることができる。図9は概略側面図である。ポスト、又は図11に係る円錐台と共にあるベースプレート200は、例えばプラスチック材料から成形される。導電コアをポスト又は円錐台の内部に設けることができ、このコアは電極201の導電領域204として機能する。導電コアはここでは、ベースプレート200の後側(下側)の範囲まで延び、そこで導体経路の形をした電気接続ライン202に接続される。導電コアはここでは、準カプセル化される。このカプセル化は、不適切に扱われるときに短絡を防止するのに役立つ。例えば、導電性液体3が偶然にポストの一部を濡らす場合、あるいは2つのポスト間の接触が偶然に金属性物体を用いてなされる場合でさえ、感度性を有する送信器S又は受信器Rの短絡が生じない。
【0064】
ここでは示されていない別の実施形態では、ポストは同様に、ベースプレート200の一体構成要素である。この場合には、しかしながら、導電領域204は、ポストの表面に適用される(例えば蒸着される又はスパッタされる)。この実施形態はまた、図11による電極に適用することができる。
【0065】
しかしながら、電極201はまた、例えば図8に示すように、個別構成要素として作られ、ベースプレート200に接続されることも可能である。電極201は好ましくは、ベースプレート200にネジ止めされる及び/又ははんだ付けされる。電気接続ライン202への接続はまた、例えばはんだ付けによってなされ得る。
【0066】
電気接続ライン202はまた、ベースプレート200内に組み込まれ得る、又はベースプレート200の上側又は下側に導体経路の形で配置され得る。
【0067】
ベースプレート200は、例えば図8に示すように、非導電材料から作られ、導電表面206を備えることも可能である。しかしながら、ベースプレート200はまた、金属を有し得る、又は金属から構成され得る。
【0068】
ベースプレート200は、好ましくは接地される、すなわち接地電位に位置づけられる。この場合は、ベースプレート200は、接地電位にある導電表面206を有する。対応する実施形態の断面が図8に示されている。この概略断面図を参照すると、電極201が、導電性であるとともにベースプレート200の貫通孔207を通じてその下側まで延びる下部ピン205を有することを識別することができる。ベースプレート200の下側において、電気接続ライン202は、導体経路の形で設けられ、導電する方法でピン205に接続される。導電表面206はここでは、電極201と導電表面206の間の短絡が生じないように貫通孔207の領域に開口部を有している。そのような短絡は、送信器(S)及び/又は受信器(R)として使用される活性電極201において回避される必要がある。一方、不活性電極は意図的に接地される。このタイプの配置が好ましい。
【0069】
好ましくは、少なくとも(充填レベル)測定の時点において、その時点において活性電極201として使用されていない電極はすべて、それぞれ1つの送信電極Sと1つの受信電極Rのみが活性であるように接地される。この原理は、図13に概略的に示されている。示される時点において、電極201.1は送信器Sとして機能し、電極201.2は受信器Rとして機能する。その他の電極201は全て瞬時に又は永久に接地される。実際には、複素インピーダンスZは、2つの活性電極201.1及び201.2の間で得られる。複素インピーダンスZは、図13において概略的に示されている。電極201.1は、仮想的に(virtually)接地され、従って完全に又は実質的に電圧がない。
【0070】
純粋に数学的に考えられる場合、群10全体は、例えばいくつかの複素インピーダンス値の行列によって記載することができる。いずれの場合にも送信器Sと受信器Rとからなる電極対の間で実行される各測定において、異なる複素インピーダンス値を有する行列が得られる。現在の場合において測定される別の容器5.1、5.2、5.3、5.4、5.6、5.7、5.8及び5.9並びに電極201との容器5.5の相互作用又は充填の程度(図13のスナップショット参照)によって異なる複素インピーダンス値が各測定において得られる。
【0071】
図14は、複素インピーダンスの対応ネットワークを示している。以下のインピーダンスモデルはここでは、電極配置のために使用される。容器5.Nと電極201.Kの間に複素インピーダンスが存在し、該複素インピーダンスはまたここでは、結合インピーダンスとして示される。簡単にするために、図14の複素インピーダンスは、離れたインピーダンス要素(交差抵抗記号)として結合される。容器5.Nの内部に容器インピーダンスZが位置づけられ、各容器インピーダンスは、容器容量Cと容器抵抗Rとから構成される。水平面E(図面の平面)において8方向を区別することを可能にするために、各容器5.Nの分散される全インピーダンスは、8つの部分インピーダンスに分割され、該部分インピーダンスは、回転対称容器5.Nの中心に共通結節点をもたらす。容器5.N内の導電性に乏しい液体3又は媒体の場合には、並列抵抗(容器抵抗R)が無視され得る。各容器5.N(ここでは容器5.3)と4つの隣接電極201(ここでは電極201.1、201.2、201.3、201.4)との間に、4つの接地インピーダンスZが表示され、各接地インピーダンスは実質的に容量Cからなる。隣接容器5.Nの間に(ここでは、例えば容器5.3と5.1の間に)、それぞれ1つの直接クロストークインピーダンスZxが存在し、それは容量Cとして表され得る。
【0072】
現在のインピーダンスZ又は容量Cは、いずれの場合にも送信器Sとして瞬時に機能する電極201(ここでは電極201.1)と反対の受信電極201(ここでは電極201.2)の間において決定される。
【0073】
図14の図形を参照すると、インピーダンスZのネットワークが著しく幾何学的で対称な回路を示すことを見ることができる。対称の結果として、クロストークの影響が、相互に補償するように、好ましくは完全に打ち消すように部分的に重ね合わせられる、又は、クロストークの影響がより容易に数学的に決定され得る。
【0074】
このことは、数学的計算及びクロストークのコンピュータによる(補償という意味の)「フェードアウト」のための対応アルゴリズムの使用をより簡単にする。
【0075】
個別電極201のそれぞれの幾何学的配置及び配線は、その配置及び配線の結果として重ね合わせ領域によってクロストークがすでに完全に又は大いに低減される又は取り除かれるように選択され得る。この説明は、少なくとも群10の内側領域に位置づけられる容器5のために適用される。周囲の容器5は、わずかに非対称の環境を有し、それはクロストークがここでより著しく生じる結果を有する。
【0076】
調査及びシミュレーションは、不活性電極201を接地することによってクロストークを数%まで低減することができることを明らかにした。群10に応じて、全ての電極201の最大50%まで永久に又は一時的に接地され得る。すなわち、電極201の約50%のみが、活性電極201として設計される必要がある。従って、回路の費用はかなり低減される。
【0077】
ベースプレート200は、連続プレートとすることができ、そのサイズは、群10の表面延在部又は群10の格子におよそ対応する。しかしながら、ベースプレート200は、複数の要素、例えば個別ストリップから構成することができる。ベースプレート200は好ましくは、電気的接地又は遮蔽として機能するように設計される。そのような接地又は遮蔽はまた、ベースプレート200が1つの部品でない場合にも実現され得る。
【0078】
好ましくは、受動又は能動駆動遮蔽が全ての実施形態において使用される。その遮蔽はここでは示されていない。
【0079】
活性及び不活性電極201が存在することはすでに言及された。不活性電極201は、永久に又は一時的に接地される、あるいはそれらは異なる所定電位に位置づけられる。活性電極201は、送信器としてのみあるいは受信器としてのみ使用されるか、又は一時的に送信器として一時的に受信器として使用される。実施形態に応じて、活性電極201はまた、一時的に接地され得る。活性電極201は、それらが送信回路57によって個別に又は共同で誘発され得る、及び/又は、それらが受信回路58によって個別に又は共同で読み取られ得ることを特徴とする。各活性送信電極201は、それらが送信回路57の出力56に少なくとも一時的に接続され得るように接続ライン202を有する(例えば図10参照)。各活性受信電極201は、それらが受信回路58の入力59に少なくとも一時的に接続され得るように接続ライン202を有する。回路原理が、図12に概略形態で示されている。送信増幅器51は、発生器55の入力信号s(t)を増幅し、それを送信電極201.1に適用するために送信回路57の一部として使用される。この時点において、正反対の電極201.2は、受信電極として機能し、このために受信増幅器52に接続される。受信増幅器52は、出力信号r(t)を提供し、該出力信号は、瞬時に2つの電極201.1、201.2間の容器5内に位置づけられる液体の量又は媒体の量について言及することができる。
【0080】
本発明によれば、好ましい実施形態は、受信電極201又は受信電極201として一時的に機能するそれらの電極201が仮想的に接地されるように設計される。結果として、隣接電極間の容量クロストークは、完全に又はほとんどゼロに設定される。容器5から容器5(ウェルからウェル)へのクロストークから得られるわずかな信号部分のみが残る。
【0081】
好ましくは、電極201の一部は、言及したように、永久に又は一時的に接地される。従って、クロストークの著しい低減が実現され得る。クロストークは、電極201の事前に計算された(サイズ、間隔、位置調整などの)幾何学的寸法及び/又は配線を用いて最小にされるか完全にゼロに設定され得る。最適化/最小化のこの形態は、群10が、相互間隔、幾何学的形状、導電率及び他の特性が知られている規則的に配置された容器5とまた電極201とを有する群10から構成されるので可能である。
【0082】
状況に応じて、隣接容器5はまた、クロストークに悪く寄与し得る。例えば、液体3で充填された直接隣接する容器5.1は、現在測定される容器5.2に良くないクロストークを生じさせ得る(例えば図10参照)。
【0083】
図10は、装置100の一部の断面を示している。2つの直接隣接する容器5.1及び5.2が、この概略断面図において識別することができる。1つの電極201.1は、2つの容器5.1及び5.2の間において中央に位置する。さらなる電極201.2が、左に位置し、また別の電極201.3が右に位置する。示される実施例では、中央の電極201.1は、例えば入力信号s(t)を有する送信増幅器51によって誘発され得る送信電極として使用される。ここで示される時点において、2つの電極201.2及び201.3は、受信電極として機能する。受信電極201.2は、受信電極201.3によって受信される信号r2(t)とは異なる信号r1(t)を受信する。2つの信号r1(t)及びr2(t)の間の相違は、異なる充填レベルの状況から得られる。容器5.1で
は、少量の液体3又は他の媒体が存在する。一方、容器5.2は空である。両方の容器5.1及び5.2が同一液体又は同一媒体で等しく充填された場合は、2つの信号r1(t)及びr2(t)は、対称の結果として同一となる。
【0084】
装置100の電極配置は、計時電気信号(いわゆる計時動作)を用いて作動され得るか、正弦波信号(いわゆる線形又はアナログ動作)を用いて作動され得る。受信電極201は、電気信号r(t)を受信して提供し、該電気信号は、図面に示される受信回路58の1つが使用される場合には、ここでは好ましくは電流を有する。電流強度は、瞬時に測定される(ここでは複素インピーダンスZtotとして示される)容量の大きさであり、従って、容器5内の充填レベルである。線形動作中、有利に調和が起こることなく、その結果、望ましくない干渉が作り出されることがない。さらに、(図示されていない)狭帯域フィルタが、信号処理のために受信回路58において使用され得る。これは、簡単な方法で信号対雑音比及び装置100の感度、又は電極配置の改善を引き起こす。従って、電極配置の容量のかなり小さい変化が決定され得る又は測定され得る。
【0085】
本発明は特に、線形モードにおいて正弦波信号で動作される充填レベルの測定のための装置100に関する。
【0086】
周期的入力信号s(t)は好ましくは、種々の実施形態において使用される。特に100kHzから5MHzの間の周波数を有する正弦波信号s(t)が好ましい。送信回路57は発生器を有する。正弦波信号s(t)が使用される場合、正弦発生器55が送信回路57の一部として使用される。そのような正弦発生器55は、例えば図10、図11及び図13に示されている。
【0087】
送信器Sとして機能する電極201は、測定時に接地されていないが、信号電圧源に(すなわち対応送信増幅器の出力に)接続される。他方、受信器Rとして機能する電極201は仮想接地に置かれる。
【0088】
図15は、装置100の電極配置の配線の好ましい実施形態を示している。この実施形態では、単一送信回路57が使用され、該送信回路は、(正弦波)入力信号s(t)を多重化装置71に送信する。多重化装置71は、合計Nの出力を有し、入力信号s(t)を段階的にNの出力のそれぞれに切り換える。5.1から5.NのNの容器が測定される場合、入力信号s(t)は従って、送信器Sとして機能する各電極201に連続的に適用される。各測定チャネル1からNをそれぞれ特徴づける個別複素インピーダンスはそれぞれ、参照数字Z1totからZNtotを有するただ1つのインピーダンス記号によって図15に示されている。この実施形態では、受信回路58.1から58.Nの1つがチャネルごとに使用される。受信回路58.1から58.Nのそれぞれは、出力信号r1(t)からrN(t)を供給し、それは、瞬時に測定されるインピーダンスZ1totからZNtotについて言及されることを可能にする。出力側では、中央評価モジュール70が設けられ、該中央評価モジュールは、出力信号r1(t)からrN(t)を処理する。(図15に示されていない)活性送信電極はすべて、所定時間に信号電圧源に(すなわち対応送信増幅器に)接続されている又は接続される。図15に係る配線は、全ての実施形態に適用することができる。
【0089】
図14に係るネットワークモジュールは、例えば個別複素インピーダンスZ1totからZNtotを決定するために使用され得る。ネットワークモデルを形成するときに考慮される(寄生容量及び抵抗からの)インピーダンスZ、Z、Zの数は、モデルがどれほど正確であるかに依存する。図14では、他の要素の効果又は影響は空間が増加するとともに大幅に低減されるので、直接的に隣接する要素のみを含む。当然、ただ1つ以上の直接的に隣接する要素をまた含むことができる。
【0090】
空間的にかなり離れて配置される受信電極201間のクロストークインピーダンス(クロストーク容量)は、モデルの残存インピーダンスに比べて通常小さく、従って頻繁に無視され得る。通常、(数学的)モデルにおいて隣とのクロストークインピーダンスを、(図14のように)空間的に見られる場合には隣ではあるが1つの受信電極とのクロストークインピーダンスを考慮すれば十分である。
【0091】
寄生容量は、測定結果に悪影響を与える以下の影響を有する。送信器Sと受信器Rの間の関連容量とともに並列容量はそれぞれ、受信電極Rに流れる電流の低減を引き起こす電圧分配器を形成し、電流電圧変換器58を介して低減された出力信号r(t)を引き起こし、従って信号対雑音比及び測定精度の低減を引き起こす。クロストークインピーダンスCは、隣接容器5.N間の結合を表している。従って、送信電極から発生する電流は、測定される容器を介してだけでなく、隣接容器を介しても受信電極に達し、該隣接容器は、これらの隣接容器によって出力信号r(t)の望ましくない影響を引き起こす。容量Cは、隣接容器の充填レベルに依存するので、受信電流は、測定される容器の充填レベルに依存するだけでなく、隣接容器の充填レベルにも依存し、それはクロストークとして表され、装置100の分解能の空間損失を引き起こす。
【0092】
本発明に係る個別要素(電極201及び容器5)の幾何学的配置が正確に知られているので、図14に示されるモデルのインピーダンス値は、有限要素法(FEM)を用いて計算することができる。前記インピーダンス値及び受信回路58.1−58.Nの構造を備えたモデルが知られている場合、受信回路58.1−58.Nによって準備される信号r1(t)からrN(t)は分析的に又は回路シミュレータを用いて計算することができる。この分析的決定又は計算は、評価モジュール70において行うことができる。好ましくは、これらの決定又は計算の少なくとも一部は、ソフトウェアを用いて実行される
【0093】
好ましくは、種々の受信回路58.1−58.Nによって(事前に)処理される信号r1(t)からrN(t)は、評価モジュール70によって互いに比較される。
【0094】
実施形態に応じて、例えば別の形成によって、例えば環境外乱変数(温度、空気湿度、圧力)を無効にすることを可能にするために、測定センサとして機能する電極対に加えて参照センサが設けられ得る。この場合は、送信側信号発生器55は、瞬時活性電極対の送信器及びまた参照センサの送信器の両方を供給する。この解決法は、全ての実施形態に適用することができる。
【0095】
受信回路58の出力信号r(t)はさらに、例えば図15に係る評価モジュール70によって処理される。
【0096】
好ましくは、全ての実施形態の送信器はマックスウェル周波数以下の周波数で作動する。
【0097】
本発明に係る装置100は、極めて感度がよく、非常に正確な充填レベル測定を実行することを可能にする。前記測定のあらゆる障害を防止するために、好ましくは、全ての実施形態において、充填レベル測定を行う前に、導電要素(例えば分注針)は容器5の領域から取り除かれる。
【0098】
全ての実施形態において本発明に係る装置100は好ましくは、評価モジュール70を備え、該評価モジュールは、隣接容器5の影響を最小にするためにアルゴリズムを使用する。好ましくは、測定状況及び状態に応じて全ての望ましくない影響を「無効にする」ことを可能にするために、いわゆる(部分群という意味である)「クラスタ」がこの場合に形成される。
【0099】
容器5及び/又は電極201の配置の結果として、隣接容器の電界(交流電界)の重ね合わせによって引き起こされる相互干渉影響(クロストーク)が部分的に打ち消される。また、記載されるように、対応アルゴリズムを使用することによって数学的補償を使用することができる。
【0100】
対応アルゴリズムは、測定結果の知的評価及び/又は摂動影響のための数学的補償を可能にする。
【0101】
好ましい実施形態では、前記アルゴリズムは、個別状況に適合させられる。このために、例えば、比較値又は較正値が、評価モジュール70に接続され得るオプショナルメモリ72(図15参照)から読み出され得る。
【0102】
装置100が特定の容器5を識別すると同時に(例えばメモリ72から)対応するアルゴリズムを選択することができるように、機械可読コードを用いて全ての実施形態の容器5を特徴づけることも可能である。容器5に応じて、異なる測定方法又はトリガスキームをまた使用することができる。
【0103】
例えば、バーコード(例えば容量バーコード)、RFID(無線周波数識別)、又は群10のまた別のマークを機械可読コードとして使用することができる。
【0104】
好ましい実施形態では、測定前に、群10が実際に配置されているか、及び/又は、群10が正確に配置されているか、すなわち、電極201が、例えば中間空間101に正確に位置しているか、決定される。これらのステップは、全ての実施形態に適用することができる。
【0105】
好ましい実施形態では、空で乾いた容器5からなるマイクロプレート又は群10の影響を決定するためにいわゆる基線測定が測定前に又は装置100を較正するときに実行される。このようにして記録された情報は次に、測定中に差し引かれ得る。そのような基線測定は、例えば、理想形状から極めて小さいずれによって引き起こされ得る影響を除くことができる。基線測定の結果は、例えばオプショナルメモリ72に蓄えられ得る。これらのステップは、全ての実施形態に適用することができる。
【0106】
全ての実施形態において、本発明は、空容器5が、液体充填容器5とは異なる容量を有するという事実を利用する。空容器5は送信電極Sと受信電極Rの間の低い容量を引き起こし、充填容器5は高い容量を引き起こす。
【0107】
増幅器52は好ましくは、本発明に係る装置100の一部として使用され、前記増幅器は、電流値を評価することができるが、増幅器入力52において電圧がゼロ又はほとんどゼロ(仮想接地)であるように設計される又は配線される。これは、例えば、好適に配線された演算増幅器52を使用して実現することができる。
【0108】
好ましくは、回路58の一部としてのロックイン増幅器は、受信電極201によって供給される信号r(t)を評価するために、本発明に係る装置100の一部として使用される。接続ライン202からの雑音は、そのようなロックイン増幅器によって共に増幅されることはない。従って、雑音は最小になる。正弦信号を用いて動作されるロックイン増幅器が好ましくは使用される。
【0109】
同期復調器又は振幅復調のためのロックイン増幅器は、受信電極201によって供給される信号r(t)を評価するために、好ましくは本発明に係る装置100の一部として使用される。測定信号の位相シフトは、そのような位相ロックループによって補償することができる。
【0110】
受信増幅器52によって供給される電流値をさらに処理するために、A/D変換器は、好ましくは評価モジュール70において使用される。これらの場合は、中央評価モジュール70は、信号r1(t)からrN(t)をデジタル値に変換するA/D変換器を装備しており、この場合は、全体処理はデジタル回路を用いて行われる。
【0111】
実施形態に応じて、専用の受信増幅器52又は専用の受信回路58が受信電極201ごとに設けられ得る。この場合は、測定が同時に行われるときにクロストークの結果として生じ得る影響にここでは特に注目する必要があるけれども、測定を部分的に平行して行うことができる。この解決法は、非常に多くの受信増幅器52又は受信回路58が使用される必要があるという点で不利である。
【0112】
しかしながら、これに代えて、受信増幅器52又は受信回路58の数はまた、出力側の多重化によって低減することができる。全てのチャネル、すなわち全ての充填レベル測定を時間的に連続して実行することが可能である。この場合は、活性化されることとなる送信電極201と受信電極201に一時的に接続される1つの送信回路57と1つの受信回路58のみが使用される。
【0113】
電極201の電極ネットワークのトリガは好ましくは、図15に示すように、入力側の多重化装置71を介して実現される。
【0114】
図16Aは、本発明に係る9×13の電極201と8×12の容器を備えた群の概略平面図を示している。図16Bは、本発明に係る59のみの電極201と8×12の容器を備えた群の概略平面図を示している。2つの図面17A及び17Bの直接比較すると、必要に応じて電極の数を大幅に低減することができることを示している。この図面では、ジグザグの線21は、電極201が好ましくはそのようなジグザグの線21に沿って配置されることを示すために引かれている。図16A又は図16Bに係る群10のために、最適配置では、58の電極210でさえ十分である(表2参照)。
【0115】
別の実施形態の群10は好ましくは、それらが電極201を備えたベースプレート200上に上方から挿入され得る又は配置され得るように設計される。
【0116】
図17Aは、本発明に係る58の活性電極201(ここでは白丸として示される)と8×12の容器(ここでは黒丸として示される)と49の永久に接地された電極(ここでは白菱形として示される)を備えた群の概略平面図を示している。図17Bは、この群10の断面を示している。この断面を参照すると、ここではいずれの場合にも活性電極(例えば電極201.6)が接地電極(例えば電極201.15)に続いていることを見ることができる。接地電極は、活性電極と比較してここでは異なる断面を有する。接地電極は、例えば正方形断面を有する一方、活性電極は、例えば円形断面を有することができる。別の実施形態によれば、電極201の形態はまた異なる形状を有し得る。接地電極の正方形断面は、幅BGと奥行きTGを有し、TG=BGである。幅BGと奥行きTGは、1mmから10mmの間であり得る。均一な格子構造を有する格子では、列間隔ASは、行間隔ARに等しい。列間隔ASと行間隔ARは、5mmから20mmの間であり得る。活性電極の直径は好ましくは、2mmから10mmの間であり得る。
【0117】
図17Aでは、送信器はSによって特徴づけられ、受信器はRによって特徴づけられている。送信機能又は受信機能は、いずれの場合にもこれらの電極に固定して割り当てられる、すなわち配線又は接続は固定して設計され得る。全体として、ここでは28の受信器Rと30の送信器Sが存在する。
【0118】
しかしながら、電極201はまた、それらが中間空間101(図17には示されていない)に適合する限りあらゆる他の形状を有し得る。
【0119】
送信器と受信器はまた、反対に分配され得る。そのときは、全体として28の送信器Sと30の受信器Rが存在する。
【0120】
図18は、20の活性電極201(ここでは白丸として示される)と3×4の容器(ここでは黒丸として示される)を備えた群10の概略平面図を示している。ここでは、接地電極は設けられていない。この実施形態は、肯定的なクロストークを有するが、同時に容器内の充填レベルについての信号へより著しく依存する。そのような実施形態において、クロストークは、(好適なアルゴリズムを使用して)数学的に大いに補償され得る。一連の試験は好ましくは、較正値を得るために行われる。このようにして決定される較正値は次に、「真の」測定における補償のために使用され得る。この原理は、全ての実施形態に適用することができる。それは主として、図18のように、接地電極なしに処理する実施形態において好適である。
【0121】
接地電極のサイズ及び/又は形状及び/又は位置決めは、クロストークに影響を及ぼすので、接地電極の好適な選択、寸法、及び位置決めによってクロストークを最小にすることができる。図19は、15の活性電極201(ここでは白丸として示される)と3×4の容器(ここでは黒丸として示される)を備えた群10の概略平面図を示している。接地電極は、小さい白丸によって示されている。接地電極の直径はここでは、クロストークが最小となるように決定される。しかしながら、この配置は、有用な信号r(t)が図18に係る配置のものより小さいという点で不利である。
【0122】
図20は、15の活性電極201(ここでは白丸として示される)と3×4の容器(ここでは黒丸として示される)を備えた群10の概略平面図を示している。接地電極は、少し大きい白丸によって示されている。接地電極の直径はここでは、図19のものより大きい。その結果、クロストークは否定的である。しかしながら、この配置は、有用な信号r(t)が図19に係る配置のものより小さいという点で不利である。
【0123】
更に好ましい実施形態では、ベースプレート200の下に配置され得る又はベースプレート200内に組み込まれ得る2つの平面が使用される。これらの平面の1つは、電極201を送信回路57又は受信回路58に接続するための導体経路202を有し得る一方、電子部品、増幅器、(例えば評価モジュール70の)プロセッサ、及び電圧源は第2の平面に設けられる。この場合は、1つの組立体にベースプレート200と前記平面とを供給することができ、該組立体は、充填レベルを決定するために必要である装置100の要素を全て有する。この場合は、充填レベル決定の結果を装置の別の組立体又は別のモジュールに送信するために、ただ1つのインターフェースが設けられる。この原理は、全ての実施形態に適用することができる。
【0124】
更に好ましい実施形態では、特性が正確に知られている環境影響を「無効にする」ことを可能にするために参照構造が使用される。参照構造は好ましくは、例えば現在の空気湿度を決定し、それを差し引くことを可能にするために参照電極対を有する。時効効果や温度ドリフトは、例えばそのような参照構造によって補償することができる。
【0125】
種々の実施形態において、永久に接地された電極の形態は、クロストークができる限り低減されるように選択することができる。
【0126】
種々の実施形態において、反転測定は、非対称を識別する及び/又は取り除くことを可能にするために各電極対において使用され得る。反転測定方法では、第1ステップにおいて、第1の電極201.1が送信器Sとして使用され、第2の正反対の電極201.2が受信器Rとして使用される。入力信号s(t)が第1の電極201.1に適用され、信号r(t)が第2の電極201.1において取り出された後に、第2ステップにおいて、配線が反対にされ、入力信号s(t)が第2の電極201.2に適用される。第2ステップの間に、信号r(t)が次に第1の電極201.2において取り出される。重ね合わせを用いて又は異なる形成を用いて、非対象を識別する及び/又は取り除くことができる。
【0127】
全ての実施形態において、並列容量は、抵抗RAに並列に配置することができ、該抵抗は、増幅器52の負の入力を増幅器52の出力に接続する。並列容量は、周波数応答を補償し、振動を回避するために使用される。(並列容量の有無に関わらず)抵抗RAは、フィードバック、すなわち負のフィードバックを形成する。
【0128】
全ての実施形態において、増幅器52は好ましくは、図面に示すように反転増幅器として設計される。この場合は、増幅器52の反転入力(すなわちマイナス記号で示される入力)は、仮想接地を形成する。
【0129】
複数の隣接容器5が同時に測定される場合、受信側においてフィルタリング又は同期復調、あるいは両方の測定を用いて2つの信号の寄与を別々に決定することができるように、2つの測定のために異なる周波数の信号を使用することが有利であり、クロストークが最小にされる。異なる周波数に代えて、異なる位相位置を有する同一周波数を使用することができ、あるいは変調方式を使用することができ、それらは2つの信号寄与を分離することができる。これらの解決法は、全ての実施形態に適用することができる。
【0130】
好ましい装置100は、2つ若しくはそれ以上の実質的に直立した容器5内の媒体の充填レベルの個別測定のために設計される。この装置100は、少なくとも1つの容器5の外側に配置される電極201を有する。装置100は、群に配置される又は位置づけられ得る複数の容器5内の充填レベルの測定のために特に構成されている。これは、実質的に水平に配置されるベースプレート200と複数の均一に配置される電極201を有し、該電極は、ベースプレート200によって規定される水平面Eに実質的に直立して立っており、各電極は、それぞれ群10の1つの容器5を受容するための1つの作業地帯がそれぞれ2つの電極201間に得られるように互いから所定距離に配置される。これらの電極201の一部は、送信要素として動作され得るように構成される及び/又は配線され、これらの電極201の一部は、受信要素として動作され得るように構成される及び/又は配線される。各容器5は、2つの電極201間の作業地帯にそれぞれ導入又は配置され得る。電気接続ライン202は、送信要素として選択される電極201を誘発するために及び/又は受信要素として選択される電極を読み出すために設けられる。(例えば送信回路57を備えた)トリガモジュールは、接続ライン202を介して送信要素Sとして機能する電極201に信号s(t)で信号を送るように設計される。評価モジュール(例えばモジュール70)は、接続ライン202を介して受信要素Rとして機能する電極201からの信号r(t)を受信して評価するように設計される。
【0131】
好ましくは、受信側において、例えば評価モジュール70の一部として、クロストークモジュール73(図15参照)は、クロストークのコンピュータによる除去のために使用される。対応モジュール73は、アルゴリズムのクロストークの補償又は除去に基づいている。クロストークは好ましくは、アルゴリズムを用いてクロストークモジュール73によってコンピュータ的に抑制され、アルゴリズムは参照測定の蓄えられた参照値を含む。これらの参照値は、例えばオプショナルメモリ72(図15参照)から得ることができる。
【0132】
本発明は、実験プレート、マイクロプレート、ストリップラック(striprack)、管列(例えば図2B又は図2Cに係る容器5のストリップ形状の配置)、及び他の最初に特定された群10に適用することができる。容器5の形状に応じて、少ない充填量の場合には測定中に不正確が生じ得る。
【0133】
特に好ましい実施形態では、電極201と共にベースプレート200は、記載されるように充填レベルの容量測定のために使用されるだけでなく、測定される個別小管又は管(容器5)のためのホルダとしても使用される。この「保持機能」は、全ての実施形態に適用することができ、その群10は個別容器5から構成される。
【0134】
本発明の全ての実施形態において、電極201は、容器5から独立している。すなわち、それらは、容器にしっかりと固定されることもなく、例えば容器5内に組み込まれることもない。
【0135】
共通の大面積アンテナ又は電極プレートは、本発明のあらゆる実施形態では設けられていないが、本発明は、共通のベースプレート20において個別の、少なくとも部分的に個別の誘発可能な電極201を使用する。
【0136】
V形状ベース又は円形ベースを有する容器5を備えた群は、特によく適している。
【0137】
本発明はまた、容器5の深さTに対する容器5の直径の割合が非常に小さい、いわゆる「深ウェル」に適用することができる。
【0138】
容器5の形状は、決定される出力信号r(t)の特性がより良く分類され得る又は割り当てられ得るように、例えば評価モジュール70によって評価中に考慮に入れることができる。このために、言及されたように群10の機械可読コードが適切であり得る。
【0139】
電極201が、全ての位置に必ず配置される必要がないという事実の結果、本発明はまた、ウェブ又は同種のものの形をしたある程度の非対称を有するプレートに有利に適用することができる。そのような非対称は、必要に応じて、コンピュータによる方法で取り除くことができる、あるいは完全に補償することができる。しかしながら、このための要件は、装置100が、現在の場合において測定される群10のタイプを正確に認識することである。コードはまた、ここでは対応情報を提供することができる。
【0140】
測定される液体3又は媒体の特性がより正確に知られていればいるほど、充填レベル測定をより正確に行うことができる。このため、前記装置は、対応する値のプリセットの手動又は自動調整のための手段を有し得る。
【0141】
本発明は、多数Nの容器5を有する群10(例えばマイクロプレート)全体が数百ミリ秒で測定することができるという利点を有する。超音波に基づいて作業する従来の解決法は、例えば、このために一般に数分必要である。
【0142】
本発明は、非接触な方法で作業し、容器5内の液体3又は媒体に入れられるセンサ、針、又は同種のものがないので汚染がないという利点を有する。
【0143】
本発明の更なる利点は、装置費が比較的安いことである。
【0144】
本発明は、付随(同時)充填レベル測定を用いて正確な吸引及び/又は分配を評価することができるだけでなく、液体の絶対量も測定することができる。
【0145】
装置100の要素は、群10の下に配置されるので、群10の上の空間10は完全に他の組立体及び構成要素のために使用可能である。
【0146】
本発明に係る装置100又は本発明に係る方法は、種々の機器及び装置において使用することができる。環境に応じて、ある程度の適用が必要であることは明らかである。
【0147】
本発明は、群10の各個別容器5内の充填レベル測定を可能にする、すなわち個別測定を可能にする。
【0148】
本発明はまた、個別容器5内の充填レベルのリアルタイム監視を可能にする。
【0149】
本発明は、液量で約1μlの分解能を提供し、従来周知の解決法によるものより著しく良くなっている。例えば分注に適用するときにおける現実の容量変化の場合には、これらの容量変化は、数フェントファラドの範囲内にあり得る。装置100は、全ての要素の直接的に近接した空間的に密接に詰められた配置であるにも関わらず、そのようなわずかな変化を確実に測定することができる。
【0150】
本発明は、フィルタが場合によって破裂し得る又は塞がれ得る溶出/固相抽出の監視において特に有利に使用することができる。充填レベルを検出又は観測することによって、抽出が要求通りに処理しているか監視することができる。本発明に係る装置100を用いて充填レベルを観測することによって、例えば、この場合はごく少量又はゼロの液体3が容器5に達したあとにフィルタが塞がれるかを監視することができる。フィルタが破裂する場合は、これは、容器5内の液体の量が突然増加したあとに装置100によって決定することができる。
【0151】
更に好ましい実施形態では、後側電極201を用いて実行される充填レベル検出は、導電針を供給して浸すことにより補われる。この針が容器5内の液体3の充填レベルに達する場合、これは次に、明らかに測定され得る場の乱れを引き起こす。そのような組合せは、必要に応じて他の方法でどうしても利用することができない更なる言及を得るために使用され得る。
【符号の説明】
【0152】
1 センサ配置
2 信号源
3 液体
5、5.1、5.2−5.N 容器
6 周辺液体容器
10 群
11 (マイクロ)プレート
12 ウェブ
20 基本モジュール
21 ジグザグ線
51 送信器
52、52.1−52.N 受信器
53 有効送信器
54 有効受信器
55 (正弦)発生器
56 出力
57 送信回路
58、58.1−58.N 受信回路
60 容量液体検出手段
70 評価モジュール
71 多重化装置
72 メモリ
73 クロストークモジュール
100 装置
101 中間空間
200 水平ベースプレート
201、201.1、201.2 柱のような電極
202 電気接続ライン
203 非導電領域
204 導電領域
205 栓
206 導電表面
207 貫通孔
400 実験機器
AR 行間隔
AS 列間隔
BG 矩形接地ポストの幅
C 容量
容量
容器容量
容量
φDE 円形電極の直径
容器抵抗
E1、E2、・・・ 受信電極
G 接地
K 電極の総数
L 長さ
N 容器の数
N1 有効使用可能容器の数
R 行
RA 抵抗
r(t)、r1(t)−rN(t)、出力信号
S 送信電極
Sp 列
s(t) 入力信号
T 深さ
TG 矩形接地ポストの奥行き
X+ 正電源電圧
接地インピーダンス
容器インピーダンス
クロストークインピーダンス
tot,Z1tot−ZNtot 複素インピーダンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一寸法の規則的に配置された容器(5)からなる群(10)の個別容器(5)内の充填レベルの容量決定のための装置(100)であって、
前記装置(100)は、送信電極(S)及び受信電極(R)並びに容量測定を実行するための回路を有し、前記測定回路が、送信回路(57)及び受信回路(58)を有し、
前記装置(100)は、
水平ベースプレート(200)であって、該ベースプレート(200)によって規定される水平面(E)に対して一方向に突出し、同一寸法の複数の作業地帯が形成されるように相互に均一に間隔をあけて離れて配置される複数の電極(201)を備えた水平ベースプレート(200)と、
多数の接続部(202)であって、該接続部を通じて、電極(201)の一部が送信回路(57)と接続可能であるとともにそれを用いて制御可能であり、且つ、電極(201)の一部が受信回路(58)と接続可能であるとともにそれによって読み出され得る多数の接続部(202)と、
を有し、
水平面(E)の各作業地帯の1つの領域において、少なくともそれぞれ2つの電極(201)が互いに反対にあり、接続部(202)をそれぞれ用いてこれらの2つの電極(201)の一方が送信器として使用可能であり、2つの電極(201)の他方が受信器として使用可能である、
ことを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
前記測定回路は、隣接電極(201)間のクロストークを補償する又は最小にするためのモジュールを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記電極(201)の少なくとも一部は常に送信器(S)として機能し、前記電極(201)の別の一部は常に受信器(R)として機能する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記電極(201)は前記ベースプレート(200)の一体的部分である、又は、前記電極(201)は前記ベースプレート(200)に固定される、
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の装置(100)。
【請求項5】
これは、受信器(R)として機能する電極(201)の信号(r(t))を評価するように配置される評価モジュール(70)を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の装置(100)。
【請求項6】
隣接容器(10)の電極(201)に関して従来知られている規則的幾何学的配置に基づいてクロストークの幾何学的抑制が電界の重ね合わせを通じて生じるように、一時的に容器(10)ごとに1つの電極(201)が送信器(S)として制御可能であるとともに1つの電極(201)が受信器(R)として読み出し可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の装置(100)。
【請求項7】
少なくとも1つの電極(201)が一時的に又は永久に接地される、
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記評価モジュール(70)において、コンピュータによる方法において隣接容器(5)間のクロストークを抑制することを可能にするためにアルゴリズムが実行される、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記モジュールにおいて、コンピュータによる方法において隣接容器(5)の電極(201)間のクロストークを抑制することを可能にするためにアルゴリズムが実行される、
ことを特徴とする請求項2に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記作業地帯のサイズ及び形状は、各作業地帯が実験プレート、マイクロプレート、ストリップラック、マルチウェルプレート、又はマイクロタイタープレートからなる容器(5)を受容し得るように配置される、
ことを特徴とする請求項1から請求項9の何れか1項に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記装置(100)に配置され得る実験プレート、マイクロプレート、ストリップラック、マルチウェルプレート、又はマイクロタイタープレートを有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項10の何れか1項に記載の装置(100)。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れか1項に記載の少なくとも1つの装置(100)を有する実験機器(400)。
【請求項13】
複数の行(R)及び/又は列(Sp)において互いに隣接して規則的な相互距離において水平に配置される容器(5)からなる群(10)における個別充填レベル測定を実行するための容量測定方法であって、
前記方法は、以下のステップ、すなわち、
a)第1の容器(5.1)に隣接して位置づけられる第1の電極(201.1)を伝達信号(s(t))を用いて制御するステップと、
b)前記第1の電極(201.1)に関して所定距離に位置づけられ、前記第1の容器(5.1)に関して柱のような前記第1の電極(201.1)の反対に位置づけられる第2の電極(201.2)を介して受信される受信信号(r(t))を評価するステップと、
c)それぞれ個別容器(5.x)に隣接する1つの電極(201.1)は送信器(S)として機能し、同一容器(5.x)に隣接する反対の電極(201.1)は受信器(R)として機能する前記群(10)の各容器(5.x)のためにa)及びb)ステップを繰り返すステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
送信器(S)又は受信器(R)として機能するそれらの電極(201.1、201.2)に加えて、一時的に又は永久に接地される更なる電極(201)が設けられる、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電極(201.1、201.2)の少なくとも1つは、1つのステップにおいて送信器(S)として使用され、別のステップにおいて受信器(R)として使用される、
ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
準備ステップにおいて、容器(5)からなる群(10)は、電極(201)を備えた装置(100)に上方から配置され、電極(201)は、取り付けるときに容器(5)間の中間空間(101)につけられる、
ことを特徴とする請求項13から請求項15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
多重化方法は、送信器(S)として機能する全ての電極(201.1)に伝達信号(s(t))を連続的にロードすることを可能にするために使用される、
ことを特徴とする請求項13から請求項16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
多重化方法は、受信器(R)として機能する全ての電極(201.2)を連続的に読み出すことを可能にするために使用される、
ことを特徴とする請求項13から請求項17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
アルゴリズムを用いて、コンピュータによる方法においてクロストークが最小にされ又は補償され、前記アルゴリズムは、参照測定の蓄えられた参照値を計算に入れる、
ことを特徴とする請求項13から請求項18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記電極の一部は、所定電位を受け取ることができ、それによって寄生容量を無効にすることができる、
ことを特徴とする請求項13から請求項18の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
一方の電極対(201)が他方のものの後に活性化される、又は、2つ若しくはそれ以上の電極対(201)が同時に活性化され、この場合は直接隣接していない電極対(201)が選択される、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−215146(P2011−215146A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−79179(P2011−79179)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(501442699)テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】TECAN Trading AG
【Fターム(参考)】