説明

充填材付き充填補助具

【課題】マーキングテープの使用を不要とし、目地が立体的に湾曲したり屈曲しながら延在したりする場合であっても充填材の目地への充填作業を容易に行うことができる画期的な充填補助具を提供する。
【解決手段】目地に充填材を充填するのに用いられる充填材付き充填補助具1であって、可撓性の帯状シート3の一方の面に、充填材5を該帯状シート3の延在方向に沿って剥離可能に接合してなる充填材付き充填補助具1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物における壁面や床面等に形成される目地(隙間)にコーキング材やシーリング材等の充填材を充填する際に、マスキングテープやコーキングガン等の充填器具の使用を不要として充填作業を容易に行うことができるようにした画期的な充填材付き充填補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴槽や洗面所、台所まわり、キッチン、外装サイディング等の施工工事においては、目地止めあるいは防水のためにシーリング材やコーキング材等の充填材が広く使用されている。
【0003】
ところで、このような充填材を目地に充填する場合には通常、予め目地の両側にマスキングテープを貼り付け、充填作業中に充填材が周囲の壁面材に付着して汚れるのを防止することが行われるが、マスキングテープを目地の両側に正確に貼り付けるには熟練を要し、作業に不慣れな人には上手く貼り付けることができず、何度もやり直しを行っているのが実情であって、この問題に鑑み、特許文献1には、マスキングテープを円筒状の巻芯に巻回したテープロールを回転自在に保持するとともに、該テープロールを引き出して目地の両側に貼付け可能としたマーキングテープの貼付け器具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−19263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マスキングテープを広範にわたって貼り付けるならまだしも、ほんのわずかな距離しか貼り付けないのに上述したような大掛かりな貼付け器具を用いるのは却って作業が煩雑となるし、とくに、マスキングテープを貼り付ける面が立体的に湾曲したり、マスキングテープを屈曲させながら貼り付けたりする場合には、上述の貼り付け器具ではもはや対応することはできない。
【0006】
それゆえ、この発明は、マーキングテープの使用を不要とし、目地が立体的に湾曲したり屈曲しながら延在したりする場合であっても充填材の目地への充填作業を容易に行うことができる画期的な充填補助具を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、この発明の充填材付き充填補助具は、目地に充填材を充填するのに用いられる充填材付き充填補助具であって、可撓性の帯状シートの一方の面に、前記充填材を該帯状シートの延在方向に沿って剥離可能に接合してなることを特徴とするものである。
【0008】
なお、この発明の充填材付き充填補助具にあっては、前記帯状シートは、前記充填材の幅を超えて延びる側方翼を有し、前記帯状シートとの間に前記充填材を挟みこんだ状態で前記側方翼に剥離可能に密着される可撓性の密封シートを具えることが好ましい。
【0009】
また、この発明の充填材付き充填補助具にあっては、前記充填材付き充填補助具の長手方向の一端部および他端部においてそれぞれ、前記帯状シートと前記密封シートとの間を剥離可能に密着してなることが好ましく、これによれば、内部に収容された充填材を密封状態に保持して充填材の乾燥固化を防止することができる。
【0010】
さらに、この発明の充填材付き充填補助具にあっては、前記充填材付き充填補助具は、ロール芯に巻き取られた巻物品としてもよく、短冊状としてもよい。あるいは、充填材付き充填補助具は、帯状シートの幅方向断面でみてL字形状に形成してもよい。
【0011】
しかも、この発明の充填材付き充填補助具にあっては、前記帯状シートの、前記充填材が接合される面に離型処理を施してなることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明の充填材付き充填補助具を用いて充填材を目地に埋め込むにあたっては、先ず、充填材付き充填補助具を目地(隙間)に沿ってその一端から順次挿入していき、帯状シートの表面を手またはヘラ等で押圧する。これにより充填材が押し潰されて目地の側面および底面に密着する。次いで、帯状シートを充填材から剥離することで施工が完了する。
【0013】
したがって、この発明の充填材付き充填補助具によれば、充填材付き充填補助具自体を目地に沿って挿入し、その後、帯状シートを充填材から剥離するだけで施工が完了するため、従来のようにマスキングテープを目地の周囲に貼り付ける作業やコーキングガンの使用を不要とすることができて施工作業を容易なものとすることができるとともに、目地が立体的に湾曲したり屈曲しながら延在したりする場合であっても、充填材付き充填補助具を目地の形状に合わせて簡単に変形させることができるので施工が困難になることもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明にしたがう第1実施形態の充填材付き充填補助具を示す斜視図である。
【図2】図1に示した充填材付き充填補助具をロール芯に巻き取って巻物状とした充填材付き充填補助具の斜視図である。
【図3】(a),(b)は、図1に示した充填材付き充填補助具の使用状態を示す概略図である。
【図4】この発明にしたがう第2実施形態の充填材付き充填補助具を示しており、(a)は斜視図であり、(b)は図4(a)中のA−A線に沿う断面図である。
【図5】(a),(b)は、図4に示した充填材付き充填補助具の使用状態を示す概略図である。
【図6】この発明にしたがう第3実施形態の充填材付き充填補助具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0016】
図1は、この発明の第1実施形態に係る充填材付き充填補助具(以下、単に「充填補助具」ともいう。)1を示しており、図1に示すように、この充填補助具1は、建築構造物の床面や壁面、天井を形成する板材の側端同士の間に設けられる目地(隙間)を、シーリング材やコーキング材として知られる充填材で埋めるのに用いられるものであって、可撓性の帯状シート3の一方の面(裏面)に、帯状シート3よりも肉厚のストリップ状の充填材5を該帯状シート3の延在方向に沿って剥離可能に接合してなるものである。
【0017】
帯状シート3は、紙製、合成樹脂製または金属箔製の帯状シート3の、上記充填材5が貼り付けられる面(裏面)に剥離剤を塗布、コーティングしてなる剥離紙もしくは剥離フィルムで構成することができる。剥離剤としては、シリコン系剥離剤やピーロイル等の非シリコン系剥離剤を用いることができるがこれに限定されない。なお、剥離剤を帯状シート3の裏面にコーティングするのに代えて、帯状シート3と充填材5との間に剥離セパレータ(図示省略)を介挿させてもよい。帯状シート3の厚さtは、特に限定はなく、帯状シート3を目地の形状(立体的形状を含む)に合わせて変形させることができる程度の可撓性を有するとともに所定の耐久性を有するものが好ましい。また、帯状シート3の幅wも特に限定はなく、目地(隙間)の幅に概ね合致する幅とすることが好ましい。
【0018】
充填材5としては、シリコン樹脂、変成シリコン樹脂、ポリサルファイド系樹脂、ポリウレタン樹脂、またはブチルゴムを主成分とするものであり、従来のコーキング材またはシーリング材として使用されているものを例として挙げることができるが、これらに限定されない。充填材5の硬化前の粘度は、帯状シート3から容易に引き剥がすことができる程度の粘度とすることが好ましい。すなわち、充填材5の硬化前の粘度が低すぎると充填材の流動性が高くなり過ぎて充填材5を目地に挿入、充填した後に帯状シート3を充填材5から剥離し難くなる場合があり、逆に充填材5の硬化前の粘度が高すぎると目地の側面および底面に充填材5を十分に密着させることができなくなる場合があるからである。充填材5の厚さおよび幅は、目地を埋めるのに必要な充填材の量に応じて適宜に設定してもよい。
【0019】
なお、図1では、充填補助具1は長手方向に沿って平坦に延びる構成としているが、図2に示すように、充填補助具1をロール芯7に巻き取って巻物状(巻物品)としてもよい。
【0020】
このようになる充填補助具1を用いて充填材5を目地に埋め込むにあたっては、先ず、図3(a)に示すように充填補助具1を目地Gに沿ってその一端から順次挿入していき、帯状シート3の表面を手またはヘラ等で押圧する。これにより充填材5が押し潰されて目地Gの側面および底面に密着する。なお、目地Gの深さが深い場合には、予めバックアップ材を目地Gに充填しておいてもよい。次いで、図3(b)に示すように、帯状シート3を充填材5から剥離することで施工が完了する。
【0021】
したがって、この充填補助具1によれば、充填補助具1自体を目地Gに沿って挿入し、その後、帯状シート3を充填材5から剥離するだけで施工が完了するため、従来のようにマスキングテープを目地の周囲に貼り付ける作業を不要とすることができて施工作業を容易なものとすることができるとともに、目地Gが立体的に湾曲したり屈曲しながら延在したりする場合(図2参照)であっても、充填補助具1を目地Gの形状に合わせて簡単に変形させることができるので施工が困難になることもない。
【0022】
次いで、この発明の第2の実施形態の充填補助具について図4(a),(b)および図5を参照しつつ説明する。ここで図4は、この発明にしたがう第2実施形態の充填材付き充填補助具を示しており、(a)は斜視図であり、(b)は図4(a)中のA−A線に沿う断面図である。
【0023】
第2実施形態の充填補助具10では、帯状シート13は、前述の実施形態における帯状シート3と同様の構成を有するものの、充填材15の幅を超えて延びる側方翼13a,13bを有している。また、充填補助具10は、帯状シート13との間に充填材15を挟みこんだ状態で側方翼13a,13bに剥離可能に密着される可撓性の密封シート16を具えている。よって、充填材15は、帯状シート13と密封シート16との間に密封状態で収納、保持されている。なお、充填材15は前述の実施形態において説明したものと同様の構成を有する。密封シート16は、帯状シート13と同様の材料を用いて形成することができ、また、密封シート16の、帯状シート13に対向する面にも上述した剥離処理を施しておくことが好ましい。
【0024】
また、この実施形態の充填補助具10にあっては、充填補助具10の長手方向の一端部10aおよび他端部10bにおいてそれぞれ、帯状シート13と密封シート16との間を剥離可能に密着している。
【0025】
さらに、この実施形態の充填補助具10にあっては、帯状シート13または密封シート16のいずれか一方(ここでは帯状シート13)の少なくとも一箇所の角部を除去して、密封シート16を帯状シート13から剥がす際に摘むことができる摘み部18を形成している。
【0026】
このようになる充填補助具10を用いて充填材15を目地Gに埋め込むにあたっては、先ず、図5(a)に示すように密封シート16を摘み部18を摘んで帯状シート13から引き剥がしながら、帯状シート13の側方翼13a,13bを目地Gの周囲に貼り付けるとともに充填材15を目地に沿って一端から順次挿入していき、帯状シート13の表面を手またはヘラ等で押圧する。これにより充填材15が押し潰されて目地Gの側面および底面に密着する。次いで、図5(b)に示すように、帯状シート13を充填材15から剥離することで施工が完了する。
【0027】
この実施形態の充填補助具10によれば、帯状シート13と密封シート16との間に充填材15を密封状態で収容する構成としたことから、内部の充填材15に含まれる水分等が蒸発するのを防止することができ、充填補助具10の未使用期間が長期にわたっても内部の充填材15を使用可能な状態に保持しておくことができる。また、使用時に帯状シート13の側方翼13a,13bを目地Gの周囲に貼り付けることで、帯状シート13の表面を手またはヘラで押圧した際に充填材15が目地Gの周囲にはみ出るのを確実に防止ることができるので、より綺麗な仕上がりで施工を行うことが可能となる。
【0028】
なお、この実施形態の充填補助具10においても、図2に示す実施形態のように、ロール芯に巻き取って巻物状としてもよい(図示省略)。
【0029】
以上、図示例に基づきこの発明を説明したが、この発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜に変更、改良することができる。例えば、図示は省略するが、予め帯状シートの側縁部の一方または双方に幅方向に延びる切れ込みを、長手方向における所定の間隔毎に形成しておいてもよく、これによれば、帯状シートをより変形(屈曲)させ易くできるので、屈曲した目地への充填材の埋め込み作業をより一層容易に行うことが可能となる。また、図6に示すように、充填補助具3を、帯状シート3の幅方向断面でみて、予め略L字形状に形成しておいてもよく、これによれば、とくに充填材5をコーナーの目地に充填する際に帯状シート3を貼付け壁面に追従させることができて容易な施工を可能とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明より、マーキングテープの使用を不要とし、目地が立体的に湾曲したり屈曲しながら延在したりする場合であっても充填材の目地への充填作業を容易に行うことができる画期的な充填補助具を提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0031】
1,10 充填材付き充填補助具
3,13 帯状シート
5,15 充填材
7 ロール芯
13a,13b 側方翼
16 密封シート
18 密封シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地に充填材を充填するのに用いられる充填材付き充填補助具であって、
可撓性の帯状シートの一方の面に、前記充填材を該帯状シートの延在方向に沿って剥離可能に接合してなることを特徴とする充填材付き充填補助具。
【請求項2】
前記帯状シートは、前記充填材の幅を超えて延びる側方翼を有し、
前記帯状シートとの間に前記充填材を挟みこんだ状態で前記側方翼に剥離可能に密着される可撓性の密封シートを具える、請求項1に記載の充填材付き充填補助具。
【請求項3】
前記充填材付き充填補助具の長手方向の一端部および他端部においてそれぞれ、前記帯状シートと前記密封シートとの間を剥離可能に密着してなる、請求項2に記載の充填材付き充填補助具。
【請求項4】
前記充填材付き充填補助具は、ロール芯に巻き取られた巻物品である、請求項1〜3の何れか一項に記載の充填材付き充填補助具。
【請求項5】
前記充填材付き充填補助具は、帯状シートの幅方向断面でみてL字形状に形成されてなる、請求項1〜4の何れか一項に記載の充填材付き充填補助具。
【請求項6】
前記帯状シートの、前記充填材が接合される面に離型処理を施してなる、請求項1〜5の何れか一項に記載の充填材付き充填補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−7244(P2013−7244A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142229(P2011−142229)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(511156564)株式会社ノーザンライトストーブ (1)
【Fターム(参考)】