説明

充填機

【課題】ストリップテープを包材に安定させて貼着することができ、包装容器の品質を向上させることができるようにする。
【解決手段】ストリップテープ貼(ちょう)着装置37と、包材11の搬送方向におけるストリップテープ貼着装置37より上流側に配設された加熱装置71と、包材11の搬送方向における加熱装置71より下流側に配設され、包材11の温度を検出する温度検出部と、検出された温度及び目標温度に基づいて加熱源を駆動し、包材11の温度を目標温度にする温度制御処理手段とを有する。この場合、温度検出部によって検出された温度及び目標温度に基づいて加熱源が駆動され、包材11の温度が目標温度にされるので、ストリップテープ38を包材11に安定させて貼着することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填(てん)機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品、例えば、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動性を有する食品、すなわち、流動性食品を収容する包装容器を製造する場合、ウェブ状、板状等の包材が使用され、該包材の所定の箇所がヒートシール、超音波シール等の手法によってシールされることにより、包装容器が形成されるようになっている。例えば、ウェブ状の包材を使用する場合、充填機において、前記包材をチューブ状にし、縦シール装置によって縦方向にシールした後、チューブ状の包材の中に液体食品を充填しながら、所定の間隔で横シール装置によって横方向にシールして切断し、枕(まくら)状の原型容器を形成し、該原型容器を更に所定の形状に成形して包装容器を完成させるようにしている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図2は従来の充填機の要部を示す斜視図である。
【0004】
図に示されるように、ウェブ状の包材11は、リール31の状態で充填機の図示されない送出部にセットされる。該送出部から繰り出された包材11は、搬送手段としての図示されない送り装置によって間欠的に搬送され、ストリップテープ貼(ちょう)着装置17によってストリップテープ18が包材11の縁部に貼着される。
【0005】
前記ストリップテープ18を包材11に貼着する場合、包材11はあらかじめ加熱装置19に送られて加熱され、加熱された包材11にストリップテープ18が貼着される。この場合、加熱装置19として、ホットエア式の加熱装置、誘導加熱方式の加熱装置等を使用することができる。前記ホットエア式の加熱装置を使用する場合、ホットエアの温度を設定することによって包材11の温度を調整することができ、誘導加熱方式の加熱装置を使用する場合、ジェネレータの出力をポテンショメータによって設定することにより、包材11の温度を調整することができる。
【特許文献1】特開2001−18909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の加熱装置19においては、環境温度、包材11の加熱前における初期温度、包材11の構造(例えば、水分率、紙厚、アルミ箔(はく)厚等)にばらつきが発生すると、加熱装置19によって包材11を加熱したときの温度にばらつきが発生してしまう。その結果、ストリップテープ18を包材11に安定させて貼着することができず、包装容器のシール性が低下し、包装容器の品質を低下させてしまう。
【0007】
本発明は、前記従来の加熱装置19の問題点を解決して、ストリップテープを包材に安定させて貼着することができ、包装容器の品質を向上させることができる充填機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の充填機においては、搬送される包材にストリップテープを貼着するストリップテープ貼着装置と、前記包材の搬送方向におけるストリップテープ貼着装置より上流側において、包材と対向させて配設された加熱装置と、前記包材の搬送方向における加熱装置より下流側に、該加熱装置と隣接させて配設され、包材の温度を検出する温度検出部と、該温度検出部によって検出された温度及び目標温度に基づいて加熱源を駆動し、包材の温度を目標温度にする温度制御処理手段とを有する。
【0009】
本発明の他の充填機においては、さらに、前記加熱装置内に配設され、加熱媒体の温度を検出する媒体温度検出部と、該媒体温度検出部によって検出された温度及び目標温度に基づいて前記加熱源を駆動し、加熱媒体の温度を目標温度にする予熱温度制御処理手段とを有する。
【0010】
本発明の更に他の充填機においては、さらに、前記予熱温度制御処理手段は、充填機の停止中に加熱媒体の温度を目標温度にする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、充填機においては、搬送される包材にストリップテープを貼着するストリップテープ貼着装置と、前記包材の搬送方向におけるストリップテープ貼着装置より上流側において、包材と対向させて配設された加熱装置と、前記包材の搬送方向における加熱装置より下流側に、該加熱装置と隣接させて配設され、包材の温度を検出する温度検出部と、該温度検出部によって検出された温度及び目標温度に基づいて加熱源を駆動し、包材の温度を目標温度にする温度制御処理手段とを有する。
【0012】
この場合、温度検出部によって包材の温度が検出され、検出された温度及び目標温度に基づいて加熱源が駆動され、包材の温度が目標温度にされるので、ストリップテープを包材に安定させて貼着することができ、包装容器のシール性を向上させ、包装容器の品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図3は本発明の実施の形態における充填機の概念図である。
【0015】
図に示されるように、ウェブ状の包材11は、リール31の状態でカセット32に収容され、該カセット32を介して充填機の図示されない送出部にセットされる。前記包材11は、紙基材、及び該紙基材の両面に樹脂としてのポリエチレン樹脂のフィルムが被覆された可撓性の積層体から成り、必要に応じて紙基材とフィルムとの間にアルミニウム箔、ガスバリヤ性樹脂等から成るバリヤ層が形成され、包装容器33の表面に相当する部分にあらかじめ外装用の印刷が施される。
【0016】
前記送出部から繰り出された包材11は、搬送手段としての図示されない送り装置によって間欠的に搬送され、ベンディングローラr1、ダンパローラr2、ベンディングローラr3、r4を経て用紙テンショナ35に送られた後、ベンディングローラr5に送られる。その間に、包材11の一方の縁部にストリップテープ貼着装置37によってストリップテープ38が貼着される。
【0017】
続いて、包材11は、用紙テンショナ43及びベンディングローラr6、r7を経て殺菌槽61に送られ、該殺菌槽61において過酸化水素等の殺菌液によって殺菌される。なお、62は殺菌槽61の底部トレイである。
【0018】
その後、包材11は、カレンダローラr8を介してエヤナイフ45に送られ、該エヤナイフ45によって乾燥させられた後、ベンディングローラr9、クリースローラr10及びベンディングローラr11を介してアッパ成形リング48に送られる。そして、該アッパ成形リング48、可動成形リング49、分割成形リング50及びロワ成形リング51によって徐々に変形させられてチューブ状にされ、その間に、包材11は縦シール装置55によって縦方向にシールされ、包材11の縦シール部分の合せ面及びストリップテープ38を密着させ、充填パイプ52を介して供給された流動性食品がチューブ状の包材11内に充填される。
【0019】
そして、前記流動性食品が充填された前記包材11は押圧案内装置64に送られる。該押圧案内装置64は、包材11の内側に配設された第1の回転体としての図示されないプレッシャローラ、及び包材11の外側に配設された第2の回転体としてのカウンタローラ66を備え、包材11の搬送に伴って、前記縦シール部分の合せ面及びストリップテープ38を強く挟む。
【0020】
続いて、包材11は、チューブ支持ローラr12によって案内され、シール・切断部p1に送られ、該シール・切断部p1において、図示されないシール・切断装置によって挟まれ、所定の間隔ごとに横方向にシールされ、切断されて一定量の流動性食品を収容する枕状の原型容器23が形成される。そして、該原型容器23は、最終成形搬送装置58に送られ、該最終成形搬送装置58よって搬送されるとともに、所定の形状に成形され、包装容器33が完成する。
【0021】
ところで、ストリップテープ貼着装置37によってストリップテープ38を包材11に貼着するに当たり、包材11は図示されない加熱装置によって加熱される。そして、包材11の温度は図示されない加熱制御装置によって制御される。
【0022】
図1は本発明の実施の形態における加熱制御装置の概念図である。
【0023】
図において、11は矢印A方向に搬送される包材、37は包材11にストリップテープ38を貼着するためのストリップテープ貼着装置、71は、包材11の搬送方向におけるストリップテープ貼着装置37より上流側に配設され、包材11を加熱する加熱装置である。前記ストリップテープ貼着装置37は包材11を挟んで回転自在に配設され、ストリップテープ38を供給する供給ローラ37a及び圧着ローラ37bを備える。また、前記加熱装置71は、ホットエア式の加熱装置から成り、包材11と対向させてホットエアノズル72を備える。該ホットエアノズル72は、包材11と対向する面に複数の穴が形成され、加熱源としての高温空気発生源77と接続され、該高温空気発生源77から供給された加熱媒体としての高温空気を、前記各穴を介して包材11の表面に吹き付ける。また、前記包材11の搬送方向における加熱装置71より下流側に、該加熱装置71と隣接させて、包材11の温度を検出する第1の温度検出部としての温度センサ75が配設され、検出された温度t1は制御部74に送られる。前記温度センサ75は赤外線放射温度計によって構成される。そして、ホットエアノズル72内には、高温空気の温度を検出する第2の温度検出部としての、かつ、媒体温度検出部としての温度センサ73が配設され、検出された温度t2は制御部74に送られる。
【0024】
ところで、本実施の形態においては、環境温度、包材11の加熱前における初期温度、包材11の構造(例えば、水分率、紙厚、アルミ箔厚等)にばらつきが発生しても、加熱装置71によって包材11を加熱したときの温度にばらつきが発生することがないように、制御部74によって包材11の温度が制御される。そのために、制御部74に設定器76が接続され、包材11の温度が、設定器76によって設定された第1の目標となる温度を表す目標温度ts1になるようにフィードバック制御が行われる。すなわち、制御部74の図示されない温度制御処理手段は、温度制御処理を行い、温度センサ75によって検出された温度t1及び目標温度ts1を読み込み、温度t1と目標温度ts1との偏差Δt1を算出し、該偏差Δt1に基づいて前記高温空気発生源77を駆動する。その結果、包材11の温度を目標温度ts1にすることができる。
【0025】
このように、前記温度t1及び目標温度ts1に基づいて高温空気発生源77が駆動されるので、環境温度、包材11の加熱前における初期温度、包材11の構造にばらつきが発生しても、加熱装置71によって包材11を加熱したときの温度にばらつきが発生することがなくなる。したがって、ストリップテープ38を包材11に安定させて貼着することができ、包装容器33のシール性を向上させ、包装容器33の品質を向上させることができる。
【0026】
ところで、充填機を停止させたときに、加熱装置71を停止させると、ホットエアノズル72に高温空気が供給されなくなり、充填機の運転を再開したときに、ホットエアノズル72の温度の立上りが悪くなり、充填機の運転効率が低下してしまう。
【0027】
そこで、本実施の形態においては、充填機の停止中においても、加熱装置71が駆動され、ホットエアノズル72に高温空気が供給されるようになっている。そして、その間、前記制御部74によって高温空気の温度が制御される。そのために、前記高温空気の温度が、設定器76によって設定された第2の目標となる温度を表す目標温度ts2になるようにフィードバック制御が行われる。すなわち、制御部74の図示されない予熱温度制御処理手段は、予熱温度制御処理を行い、温度センサ73によって検出された温度t2及び目標温度ts2を読み込み、温度t2と目標温度ts2との偏差Δt2を算出し、該偏差Δt2に基づいて前記高温空気発生源77を駆動する。その結果、高温空気の温度を目標温度ts2にすることができるので、ホットエアノズル72の温度の立上りが良くなり、充填機の運転効率を向上させることができる。
【0028】
本実施の形態においては、加熱装置71としてホットエア式の加熱装置が使用されるようになっているが、加熱装置71として誘導加熱式の加熱装置を使用することもできる。
【0029】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態における加熱制御装置の概念図である。
【図2】従来の充填機の要部を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における充填機の概念図である。
【符号の説明】
【0031】
11 包材
37 ストリップテープ貼着装置
38 ストリップテープ
71 加熱装置
73、75 温度センサ
74 制御部
77 高温空気発生源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)搬送される包材にストリップテープを貼着するストリップテープ貼着装置と、
(b)前記包材の搬送方向におけるストリップテープ貼着装置より上流側において、包材と対向させて配設された加熱装置と、
(c)前記包材の搬送方向における加熱装置より下流側に、該加熱装置と隣接させて配設され、包材の温度を検出する温度検出部と、
(d)該温度検出部によって検出された温度及び目標温度に基づいて加熱源を駆動し、包材の温度を目標温度にする温度制御処理手段とを有することを特徴とする充填機。
【請求項2】
(a)前記加熱装置内に配設され、加熱媒体の温度を検出する媒体温度検出部と、
(b)該媒体温度検出部によって検出された温度及び目標温度に基づいて前記加熱源を駆動し、加熱媒体の温度を目標温度にする予熱温度制御処理手段とを有する請求項1に記載の充填機。
【請求項3】
前記予熱温度制御処理手段は、充填機の停止中に加熱媒体の温度を目標温度にする請求項2に記載の充填機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−168813(P2006−168813A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366749(P2004−366749)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】