充填装置、充填バルブおよびバルブ用部品
【課題】 充填時間を短縮でき、その上で、構造が簡素で低コスト化が図れ、優れた洗浄性を確保できる充填装置、充填バルブおよびバルブ用部品を提供することを目的とする。
【解決手段】 液体を貯留させる液タンク12と、容器85に挿入可能とされ、液タンク12に連通されて液体を容器85に導く充填通路60と容器85内を液タンク12の気相部(主に大気)に連通させる排気通路75とが内側に設けられるとともに充填通路60を開閉させる充填弁部81および排気通路75を開閉させる排気弁部82を有する充填バルブ15とを備え、充填バルブ15が、容器85への液充填時に排気弁部82を開いた後に充填弁部81を開く。
【解決手段】 液体を貯留させる液タンク12と、容器85に挿入可能とされ、液タンク12に連通されて液体を容器85に導く充填通路60と容器85内を液タンク12の気相部(主に大気)に連通させる排気通路75とが内側に設けられるとともに充填通路60を開閉させる充填弁部81および排気通路75を開閉させる排気弁部82を有する充填バルブ15とを備え、充填バルブ15が、容器85への液充填時に排気弁部82を開いた後に充填弁部81を開く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に液体を充填させる際に用いられる充填装置、充填バルブおよびバルブ用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の口栓を閉塞させた状態で容器内に液体を充填しつつ容器内の空気を液タンクの気相部(主に大気)に排気させるグラビティ方式の充填装置として、例えば、容器に挿入可能とされ、液タンクに連通されて液体を容器に導く充填通路と容器内を液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに充填通路を開閉させる充填弁部および排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブを備えたものがある。このような充填装置においては、充填バルブを容器に挿入させた状態で充填弁部および排気弁部を開くことで充填通路を介して液体を容器に充填しつつ排気通路を介して容器内から空気を排気させるようになっており、最終的に排気通路に入り込んだ液体が、タンクの液面と同じ高さになったところでバランスして液の充填が終了するようになっている。そして、その後、充填弁部および排気弁部を閉じた状態で充填バルブを容器から抜き、次の容器に挿入させて、上記と同様にして液の充填を行うことになる。
【0003】
ところで、上記のように容器への液の充填を終了した後、充填弁部および排気弁部を閉じると、排気通路内にも液が残留した状態となり、次の容器への液充填時に充填弁部および排気弁部を開いても、排気通路内の残留液が排気通路を閉塞させていることから容器内の空気が良好に排気されず、その結果、充填通路から液体を円滑に容器内に充填できず、いわゆる息付きと呼ばれる脈動現象を生じてしまう。つまり、基本的には排気通路内に残留した液が排気通路内で空気と入れ替わりながら容器内に少なくとも一部が流下した後に充填通路からの円滑な充填が開始されることになるが、他方で、次の充填のために充填通路から液が容器に注入されようとしており、その圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害してしまう。その結果、充填時間が長くなってしまうという問題があった。
【0004】
このため、排気通路の上部に負圧を生じさせる負圧発生室を設けて残留液を強制的に排出させるもの(例えば特許文献1参照)や、充填開始時に容器の口栓を一旦開放し、排気通路からの残留液の流下を円滑にするもの(例えば特許文献2参照)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特公昭58−52914号公報
【特許文献2】特開平7−187291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように別途の負圧発生室を設けると、構造が複雑化し、高コストとなり、また洗浄性が低下してしまうという問題があった。また、充填開始時に容器の口栓を一旦開放するものであっても、このために別途の装置が必要となり、構造が複雑化し、高コストになってしまうという問題があった。
したがって、本発明は、充填時間を短縮でき、その上で、構造が簡素で低コスト化が図れ、優れた洗浄性を確保できる充填装置、充填バルブおよびバルブ用部品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の充填装置は、液体を貯留させる液タンクと、容器に挿入可能とされ、液タンクに連通されて液体を容器に導く充填通路と容器内を液タンクの気相部(主に大気、加圧されていることもある)に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに充填通路を開閉させる充填弁部および排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブとを備えた充填装置において、充填バルブは、容器への液充填時に排気弁部を開いた後に充填弁部を開くことを特徴としている。
これにより、充填バルブが、容器への液充填時に、まず充填弁部を閉じた状態で排気弁部を先に開くことになり、充填通路からの液体の圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害せず、よって、排気通路から円滑に残留液が容器に流下する。その後、充填弁部を開くことで円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。
【0008】
充填バルブは、外筒体と、外筒体の内側に相対移動可能に設けられた有底の内筒体とを有しており、内筒体は、下部が外筒体に嵌合する嵌合部とされ、嵌合部よりも上側が外筒体との間に充填通路を形成する充填通路形成部とされるとともに、内側が側方に開口する開口部を有する排気通路とされており、充填通路形成部が外筒体から突出することで充填弁部が開かれ、開口部が外筒体から突出することで排気弁部が開かれる構成とすることができる。これにより、充填バルブが、容器への液充填時に、まず、内筒体の嵌合部より上側の充填通路形成部が外筒体内にあって充填弁部を閉じた状態で、内筒体において側方に開口する排気通路の開口部が外筒体から突出して排気弁部を開くことになり、充填通路からの液体の圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害せず、よって、排気通路から円滑に残留液が容器に流下する。その後、内筒体の嵌合部より上側の充填通路形成部が外筒体から突出して充填弁部を開くことで円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。
【0009】
また、充填通路形成部の下端部よりも開口部の下端部が下側に設けられているのが好ましい。充填通路形成部の下端部よりも開口部の下端部を下側に設けることで、内筒体の充填通路形成部が外筒体内にあって充填弁部を閉じた状態で、内筒体において側方に開口する排気通路の開口部を外筒体から突出させて排気弁部を先に開くことができる。
【0010】
さらに、開口部は、嵌合部に位置する下部が上部よりも幅広とされているのが好ましい。このように、開口部の嵌合部に位置する下部が上部よりも幅広となっているため、排気通路から一層速く残留液が容器に流下することになる。
【0011】
加えて、充填通路形成部と開口部とが相反位置に配置されており、外筒体の下端縁部は、充填通路形成部側よりも開口部側が高く傾斜させられている構成とするのも有効である。外筒体の下端縁部の充填通路形成部側よりも開口部側を高く傾斜させることで、内筒体の充填通路形成部が外筒体内にあって充填弁部を閉じた状態で、内筒体において側方に開口する排気通路の開口部を外筒体から突出させて排気弁部を先に開くことができる。
【0012】
本発明は、液体を貯留させる液タンクと、容器に挿入可能とされ、液タンクに連通されて液体を容器に導く充填通路と容器内を液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに充填通路を開閉させる充填弁部および排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブとを備えた充填装置において、充填バルブは、容器への液充填時に排気弁部を開く前に充填通路を閉じ排気弁部を開いた後に充填通路を開く中間弁部を有することを特徴とすることができる。
これにより、容器への液充填時に、排気弁部を開く前に中間弁部が充填通路を閉じ、その後排気弁部が開かれるため、充填通路からの液体の圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害せず、よって、排気通路から円滑に残留液が容器に流下する。その後、中間弁部が充填通路を開くことで円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。
【0013】
本発明の充填バルブは、容器に挿入可能とされ、液体を貯留させる液タンクに連通されて液体を容器に導く充填通路と容器内を液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに充填通路を開閉させる充填弁部および排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブにおいて、容器への液充填時に排気弁部を開いた後に充填弁部を開くことを特徴とすることもできる。
これにより、容器への液充填時に、まず充填弁部を閉じた状態で排気弁部を先に開くことになり、充填通路からの液体の圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害せず、よって、排気通路から円滑に残留液が容器に流下する。その後、充填弁部を開くことで円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。
【0014】
本発明は、外筒体の内側に相対移動可能に設けられ、有底の筒状をなすとともに、下部が外筒体に嵌合する嵌合部とされ、嵌合部よりも上側が外筒体との間に液タンクに連通する充填通路を形成する充填通路形成部とされるとともに、内側が側方に開口する開口部を有し液タンクの気相部に連通する排気通路とされたバルブ用部品とすることもでき、充填通路形成部の下端部よりも開口部の下端部が下側に設けられていることを特徴としている。
このように、充填通路形成部の下端部よりも開口部の下端部を下側に設けることによって、容器への液充填時に、まず充填通路形成部の下端部が外筒体から突出することで開く充填弁部を閉じた状態で、開口部が外筒体から突出することで開く排気弁部を先に開くことになり、充填通路からの液体の圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害せず、よって、排気通路から円滑に残留液が容器に流下する。その後、充填弁部を開くことで円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低コストかつ簡素な構造で充填時間を短縮することができ、しかも洗浄性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の第1実施形態を図1〜図7を参照して以下に説明する。
図1に示す充填装置11は、充填用の液体を貯留させる液タンク12と、液タンク12の底部13の穴部14に取り付けられる充填バルブ15とを有している。
【0017】
充填バルブ15は、底部18側から液タンク12の穴部14に挿入された状態で外側のフランジ部19で液タンク12の下面に当接させられる略有底筒状のベース筒状体20と、このベース筒状体20を一端側の内側に嵌合させた状態で液タンク12の下面に当接させられる略円筒状の外側筒状体22と、外側筒状体22の他端側に螺合される略円筒状の支持筒状体24とを有している。
【0018】
また、充填バルブ15は、ベース筒状体20の開口側の内側に一側が、支持筒状体24の内側に逆側がそれぞれ摺動可能に嵌合させられるスライド筒状体26と、スライド筒状体26の中間位置に形成されたフランジ部27とベース筒状体20のフランジ部19との間に介装されるスプリング29とを有している。
【0019】
さらに、充填バルブ15は、一端側の大径円筒部31においてスライド筒状体26の下端側に嵌合させられるとともにこの大径円筒部31よりも外径が小径で全周にわたって同一長さである小径円筒部32をスライド筒状体26よりも下方に延出させる段付き円筒状の外筒体33と、外筒体33の小径円筒部32を内側に嵌合させるとともに外筒体33の大径円筒部31に当接させられる円筒状のスペーサ35と、外筒体33の小径円筒部32を内側に嵌合させるとともにスペーサ35の下部に嵌合させられる円環状の支持リング36と、外筒体33の小径円筒部32を内側に嵌合させるとともに支持リング36の下部に嵌合させられる円環状の口栓シールリング37とを有している。
【0020】
また、充填バルブ15は、外筒体33の内側に設けられた図2にも示す有底の内筒体(バルブ用部品)40を有している。この内筒体40は、その下部が、図3〜図5にも示すように、外筒体33の下端側に全周にわたって嵌合する嵌合外周部41を有する嵌合部42と、嵌合部42の上側にあって嵌合部42から半径方向一側に偏りながら上方に窄まる形状の窄形状部44と、嵌合部42における半径方向一側に偏りながらこの窄形状部44から上方に延出する筒状の下部筒部45とを有しており、この下部筒部45からさらに上方に延出する筒部46を有している。
【0021】
筒部46が、図1に示すように、外筒体33からスライド筒状体26およびベース筒状体20の内側を通ってベース筒状体20の底部18の一側に偏って形成された穴部48に挿通されて液タンク12内に突出する状態でベース筒状体20に固定されている。ここで、筒部46の上部には、ベース筒状体20の底部18を筒部46の当接部51とで上下から挟持する取付部材49,50が設けられており、これら取付部材49,50によって内筒体40がベース筒状体20に固定される。なお、内筒体40の上端部つまり筒部46の上端部は液タンク12の液面よりも上側に突出させられている。
【0022】
ここで、図5に示すように、下部筒部45は、偏心方向の面が嵌合外周部41と同軸同径の円筒面からなる案内面52とされており、下部筒部45には、この案内面52とは反対に突出する突起部53が形成されていて、この突起部53の先端も嵌合外周部41と同軸同径の円筒面からなる案内面54となっている。そして、上記のように内筒体40がベース筒状体20に取り付けられた状態で両側の案内面52,54が外筒体33の内周面に接触する。
【0023】
図2および図4に示すように、嵌合部42よりも上側にある窄形状部44の上面は、平面状をなしており、下部筒部45から離れるほど下側に位置するように傾斜する傾斜面56となっている。また、窄形状部44の側面は嵌合外周部41と同軸同径の円筒面からなる案内面57となっている。ここで、図1に示すように、ベース筒状体20には、液タンク12内とベース筒状体20の内側とを連通させる連通穴59が形成されており、これにより、充填バルブ15のベース筒状体20、スライド筒状体26および外筒体33と、内筒体40の嵌合部42よりも上側の窄形状部44の傾斜面56、下部筒部45の外面および筒部46の外面との間とが、液タンク12内と連通する充填通路60となっている。つまり、内筒体40の嵌合部42よりも上側の窄形状部44の傾斜面56、下部筒部45の案内面52を除く外面および筒部46の外面が外筒体33等との間に充填通路60を形成する充填通路形成部61となっている。
【0024】
ここで、ベース筒状体20のフランジ部19の上端面側には、液タンク12の底部13との隙間をシールするシールリング63が連通穴59よりも外側に保持されており、また、ベース筒状体20のフランジ部19の外周側には外側筒状体22との隙間をシールするシールリング64が保持されている。加えて、ベース筒状体20の内周側には、スライド筒状体26との隙間をシールするシールリング65が保持されている。また、支持筒状体24の外周側には外側筒状体22との隙間をシールするシールリング66が保持されており、外側筒状体22の内周側にもスライド筒状体26との隙間をシールするシールリング67が保持されている。さらに、スライド筒状体26の内周側には外筒体33との隙間をシールするシールリング68が保持されており、支持リング36の内周側にも外筒体33との隙間をシールするシールリング69が保持されている。なお、外側筒状体22の上部には、ベース筒状体20およびスライド筒状体26との間の空間部71からエアを給排する連通管72が接続されており、外側筒状体22の下部にも連通管73が接続されている。
【0025】
また、内筒体40の筒部46および下部筒部45の内側が外気に連通する排気通路75とされている。この排気通路75は、内筒体40において下部筒部45から窄形状部44および嵌合部42の上部まで形成されており、図3に示すように、下部に側方に開口させられる開口部76を有している。つまり、この開口部76は嵌合部42から下部筒部45にかけて形成されている。この開口部76は略一定幅で上下方向に長い長穴状に形成されており、充填通路形成部61に対し180度相反する位置に配置されている。
【0026】
そして、スライド筒状体26がスプリング29を伸縮させながらベース筒状体20および支持筒状体24に支持されて上下に摺動することで、スライド筒状体26、外筒体33、スペーサ35、支持リング36および口栓シールリング37が一体に昇降する。ここで、外筒体33が最も下側に位置するとき、位置固定の内筒体40の嵌合部42の嵌合外周部41に嵌合させられることになる。なお、嵌合外周部41には外筒体33との隙間をシールするスリッパシールリング78が保持されており、その下側には外筒体33よりも大径の大径部79が形成されている。
【0027】
他方、外筒体33が上側に移動し、内筒体40の充填通路形成部61の下端部を構成する傾斜面56が外筒体33から下方に突出すると充填通路60を開放する。これにより、充填通路形成部61と外筒体33の下端縁部とで充填通路60を開閉させる充填弁部81が構成される。また、外筒体33が上側に移動し、開口部76が外筒体33から下方に突出すると排気通路75を開放する。これにより、開口部76と外筒体33の下端縁部とで排気通路75を開閉させる排気弁部82が構成される。なお、外筒体33よりも嵌合部42が突出した状態では、下部筒部45の案内面52および突起部53の案内面54で内筒体40の下部と外筒体33との同軸を維持する。
【0028】
以上に述べた充填バルブ15は、図6に示すように、外筒体33と内筒体40とが容器85にその口栓86側から挿入可能とされ、挿入状態で容器85の口栓86が口栓シールリング37に当接すると口栓86をシールする。この状態で容器85が上側に移動すると、容器85に押し上げられて、口栓シールリング37、支持リング36、スペーサ35、外筒体33およびスライド筒状体26が一体に上昇することで閉状態にあった充填弁部81および排気弁部82が開状態となる。
【0029】
以上により、充填バルブ15は、液タンク12に連通されて液体を容器85に導く充填通路60と容器85内を液タンク12の気相部に連通させる排気通路75とが内側に設けられるとともに充填通路60を開閉させる充填弁部81および排気通路75を開閉させる排気弁部82を有しており、内筒体40は、外筒体33の内側に外筒体33に対し相対移動可能に設けられている。
【0030】
そして、第1実施形態においては、図7に示すように充填通路形成部61の下端部である傾斜面56の下端部よりも排気通路75の開口部76の下端部が下側に設けられており、その結果、充填バルブ15は、容器85への液充填時に排気弁部82を開いた後に充填弁部81を開く。
【0031】
つまり、上記したように、容器85が、充填装置11の充填バルブ15の充填弁部81および排気弁部82を閉塞させた状態の外筒体33および内筒体40を挿入させ、その口栓86で口栓シールリング37に当接することで口栓86が封止された状態で、さらに口栓シールリング37を押し上げると、外筒体33がスプリング29の付勢力に抗して一体に上昇して、位置固定の内筒体40との間の充填弁部81および排気弁部82が開状態となる。これにより、充填通路60を介して液タンク12の液体を容器85に充填しつつ封止された容器85内から排気通路75を介して空気を排気させるようになっており、最終的に排気通路75に入り込んだ液体が、液タンク12の液面と同じ高さになったところでバランスして液の充填が終了する。そして、その後、容器85を下降させることで外筒体33をスプリング29の付勢力で一体に下降させて充填弁部81および排気弁部82を閉じた状態で、さらに下降する容器85が充填バルブ15から離れる。このとき、排気弁部82が閉じられることで排気通路75には残留液が残る。なお、容器85の昇降は図示略のカムやエアシリンダ等で行われる。
【0032】
次に、別の容器85が、充填装置11の充填バルブ15の外筒体33および内筒体40を挿入させ、その口栓86において口栓シールリング37に当接し、さらに口栓シールリング37を押し上げて、外筒体33をスプリング29の付勢力に抗して一体に上昇させる。すると、上記したように、内筒体40の充填通路形成部61の下端部よりも排気通路75の開口部76の下端部が下側に設けられていることから、まず、充填通路形成部61が外筒体33内にあって充填弁部81を閉じた状態で、内筒体40において側方に開口する排気通路75の開口部76が外筒体33から突出して排気弁部82を開くことになり、充填通路60からの液体の圧力で排気通路75からの残留液の容器85内への流下を阻害せず、よって、排気通路75から円滑に残留液が容器85に流下する。その後、内筒体40の嵌合部42より上側の充填通路形成部61が外筒体33から突出して充填弁部81を開くことで充填通路60を介しての液タンク12からの液体の円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。なお、排気弁部82の開作動のタイミングに対する充填弁部81の開作動のタイミングの遅れ時間は、例えば排気通路75からの残留液の容器85内への流下を阻害しないレベルまで液充填を停止できる時間とする。また、この排気通路75からの残留液の流下を確実にするために、充填弁部81を閉じ排気弁部82を開いた状態で容器85の上昇を一時停止させても良い。
【0033】
以上に述べた第1実施形態によれば、充填バルブ15内に設けられた排気通路75を開閉させる排気弁部82および充填バルブ15内に設けられた充填通路60を開閉させる充填弁部81の開作動のタイミングをずらすだけで、充填時間を短縮することができるため、構造を簡素にでき、低コスト化が図れ、洗浄性を確保することができる。
【0034】
しかも、内筒体40において側方に開口する排気通路75の開口部76の外筒体33からの突出と、内筒体40の嵌合部42よりも上側の充填通路形成部61の外筒体33からの突出とのタイミングをずらすだけで、充填時間を短縮することができるため、確実に構造を簡素にでき、確実に低コスト化が図れる。
【0035】
加えて、充填通路形成部61の下端部よりも開口部76の下端部を下側に設けることで、充填時間を短縮することができるため、さらに確実に構造を簡素にでき、さらに確実に低コスト化が図れる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態を主に図8および図9を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0037】
第2実施形態においては、内筒体40の排気通路75の開口部76の形状が第1実施形態と相違している。つまり、第2実施形態では、開口部76が下部筒部45の案内面52にその形状に合わせて形成された一定幅の定幅部88と、この定幅部88の下端に連続するように窄形状部44の案内面57にその形状に合わせて形成された下側ほど幅が広がる形状の幅拡大部89と、この幅拡大部89の下端に連続するように嵌合部42の嵌合外周部41に形成された幅広部90とを有している。その結果、開口部76は、嵌合部42に位置する下部の幅広部90が上部の定幅部88よりも幅広とされている。
【0038】
このような第2実施形態によれば、充填バルブ15による容器85への液充填時に、まず、充填通路形成部61が外筒体33内にあって充填弁部81を閉じた状態で、内筒体40において側方に開口する排気通路75の開口部76が外筒体33から突出して排気弁部82を開く状態になると、幅広部90から突出することになり、排気通路75から幅広部90を介して一層速く残留液が容器85に流下することになる。したがって、充填時間をさらに短縮できる。
【0039】
なお、排気弁部82および充填弁部81の開作動のタイミングをずらさずに、開口部76を第2実施形態のように下部が幅広の形状としても効果は得られるが、より好ましくは、第2実施形態のようにした方が効果的である。
【0040】
次に、本発明の第3実施形態を主に図10を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0041】
第3実施形態においては、外筒体33の下端縁部の形状が第1実施形態と相違している。つまり、第3実施形態では、外筒体33の下端縁部が、内筒体40における充填通路形成部61側よりもこれと相反する開口部76側が高く傾斜するように、つまり外筒体33の長さが充填通路形成部61側が開口部76側よりも長くなるように平面状に斜めに切断された傾斜面93となっている。
【0042】
このような第3実施形態によれば、外筒体33の下端縁部の傾斜面93を充填通路形成部61側よりも開口部76側を高く傾斜させることで、内筒体40の充填通路形成部61が外筒体33内にあって充填弁部81を閉じた状態で、内筒体40において側方に開口する排気通路75の開口部76を一層速く外筒体33から突出させて排気弁部82を一層先に開くことができる。このように、外筒体33の下端縁部の充填通路形成部61側よりも開口部76側を高く傾斜させることで、充填時間を一層短縮することができるため、確実に構造を簡素にでき、確実に低コスト化が図れる。
【0043】
なお、第3実施形態の外筒体33を用いれば、内筒体40の充填通路形成部61の下端部と排気通路75の開口部76の下端部の高さが例えば同じであっても、容器85への液充填時に排気弁部82を開いた後に充填弁部81を開くことができる。
【0044】
また、第3実施形態の外筒体33を第2実施形態に用いれば、充填時間をより一層短縮することができる。
【0045】
次に、本発明の第4実施形態を主に図11を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0046】
第4実施形態においては、外筒体33と内筒体40との間に中間弁部95を設けた点が第1実施形態と相違している。つまり、第4実施形態では内筒体40の筒部46の途中位置から上側が外筒体33と同軸をなすように下部の所定位置で曲げられており、内筒体40の筒部46の外筒体33に対し同軸をなす部分と、これに対応する外筒体33とに中間弁部95が設けられている。
【0047】
この中間弁部95は、外筒体33の内周面に固定される円筒状の外弁体96と、内筒体40の筒部46の外周面に固定される、外弁体96の内径とほぼ同径の外径を有する円筒状の内弁体97とで構成されている。外弁体96および内弁体97は例えば樹脂製となっている。
【0048】
外弁体96の上面は外径側ほど上側に位置するように傾斜するテーパ面98とされており、外弁体96の下面は外径側ほど下側に位置するように傾斜するテーパ面99とされている。逆に、内弁体97の上面は外径側ほど下側に位置するように傾斜するテーパ面100とされており、内弁体97の下面は外径側ほど上側に位置するように傾斜するテーパ面101とされている。なお、中間弁部95は、容器85への液充填時に排気弁部82を開く前に充填通路60を閉じ、排気弁部82を開いた後であって充填弁部81を開く時点以降に充填通路60を開くように外弁体96および内弁体97の位置関係が設定されている。
【0049】
このような第4実施形態においては、前の容器85に液が充填された後、充填バルブ15の充填弁部81および排気弁部82を閉じた状態で、別の容器85が、充填装置11の充填バルブ15の外筒体33および内筒体40を挿入させ、その口栓86において口栓シールリング37に当接し、さらに口栓シールリング37を押し上げて、外筒体33をスプリング29の付勢力に抗して一体に上昇させる。すると、充填バルブ15は、排気弁部82を開く前のタイミングで中間弁部95が図11(a)に示すように外弁体96の上部の内側に内弁体97が嵌合して充填通路60を閉じ、図11(b)に示すように外弁体96の下部に内弁体97が重なるタイミングで充填通路60を閉じた状態のまま、内筒体40において側方に開口する排気通路75の開口部76が外筒体33から突出して排気弁部82を開くことになり、充填通路60からの液体の圧力で排気通路75からの残留液の容器85内への流下を阻害せず、よって、排気通路75から円滑に残留液が容器85に流下する。その後、図11(c)に示すように、外弁体96から内弁体97が抜け出し充填通路60を開くと、すでに、内筒体40の充填通路形成部61が外筒体33から突出して充填弁部81を開いており、充填通路60を介しての液タンク12からの液体の円滑な充填を開始させ、充填時間を短縮できる。
【0050】
このような第4実施形態によれば、排気弁部82を開く前に充填通路60を閉じ排気弁部82を開いた後に開く中間弁部95を設けるだけで、充填時間を短縮することができるため、構造を簡素にでき、低コスト化が図れ、洗浄性を確保することができる。
【0051】
なお、第4実施形態では、中間弁部95、排気弁部82および充填弁部81を上記したタイミングで開閉させることができれば、第1実施形態のように内筒体40の充填通路形成部61および開口部76の高さを異ならせたり、第3実施形態のように外筒体33の下端縁部を傾斜させたりする必要はない。ただし、第2実施形態のような開口部76の形状を適用すれば、排気通路75からの残留液の流下を速く行うことができる。
【0052】
以上の実施形態においてはノンガスの液体を容器に充填させる場合を例にとり説明したが、ガス入りの液体にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態による充填装置を示す正断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による充填バルブの内筒体を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による充填バルブの内筒体の下部を示す部分拡大斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態による充填バルブの内筒体の下部を示す部分拡大斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態による充填バルブの下部の断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態による充填装置を示す液充填時の正断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による充填バルブの下部の部分拡大断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態による充填バルブの内筒体の下部を示す部分拡大斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態による充填バルブの内筒体の下部を示す部分拡大正面図である。
【図10】本発明の第3実施形態による充填バルブの下部の部分拡大断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態による充填バルブの中間弁部周辺の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0054】
11…充填装置、12…液タンク、15…充填バルブ、33…外筒体、40…内筒体(バルブ用部品)、41…嵌合外周部、42…嵌合部、60…充填通路、61…充填通路形成部、75…排気通路、76…開口部、81…充填弁部、82…排気弁部、85…容器、95…中間弁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に液体を充填させる際に用いられる充填装置、充填バルブおよびバルブ用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の口栓を閉塞させた状態で容器内に液体を充填しつつ容器内の空気を液タンクの気相部(主に大気)に排気させるグラビティ方式の充填装置として、例えば、容器に挿入可能とされ、液タンクに連通されて液体を容器に導く充填通路と容器内を液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに充填通路を開閉させる充填弁部および排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブを備えたものがある。このような充填装置においては、充填バルブを容器に挿入させた状態で充填弁部および排気弁部を開くことで充填通路を介して液体を容器に充填しつつ排気通路を介して容器内から空気を排気させるようになっており、最終的に排気通路に入り込んだ液体が、タンクの液面と同じ高さになったところでバランスして液の充填が終了するようになっている。そして、その後、充填弁部および排気弁部を閉じた状態で充填バルブを容器から抜き、次の容器に挿入させて、上記と同様にして液の充填を行うことになる。
【0003】
ところで、上記のように容器への液の充填を終了した後、充填弁部および排気弁部を閉じると、排気通路内にも液が残留した状態となり、次の容器への液充填時に充填弁部および排気弁部を開いても、排気通路内の残留液が排気通路を閉塞させていることから容器内の空気が良好に排気されず、その結果、充填通路から液体を円滑に容器内に充填できず、いわゆる息付きと呼ばれる脈動現象を生じてしまう。つまり、基本的には排気通路内に残留した液が排気通路内で空気と入れ替わりながら容器内に少なくとも一部が流下した後に充填通路からの円滑な充填が開始されることになるが、他方で、次の充填のために充填通路から液が容器に注入されようとしており、その圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害してしまう。その結果、充填時間が長くなってしまうという問題があった。
【0004】
このため、排気通路の上部に負圧を生じさせる負圧発生室を設けて残留液を強制的に排出させるもの(例えば特許文献1参照)や、充填開始時に容器の口栓を一旦開放し、排気通路からの残留液の流下を円滑にするもの(例えば特許文献2参照)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特公昭58−52914号公報
【特許文献2】特開平7−187291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように別途の負圧発生室を設けると、構造が複雑化し、高コストとなり、また洗浄性が低下してしまうという問題があった。また、充填開始時に容器の口栓を一旦開放するものであっても、このために別途の装置が必要となり、構造が複雑化し、高コストになってしまうという問題があった。
したがって、本発明は、充填時間を短縮でき、その上で、構造が簡素で低コスト化が図れ、優れた洗浄性を確保できる充填装置、充填バルブおよびバルブ用部品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の充填装置は、液体を貯留させる液タンクと、容器に挿入可能とされ、液タンクに連通されて液体を容器に導く充填通路と容器内を液タンクの気相部(主に大気、加圧されていることもある)に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに充填通路を開閉させる充填弁部および排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブとを備えた充填装置において、充填バルブは、容器への液充填時に排気弁部を開いた後に充填弁部を開くことを特徴としている。
これにより、充填バルブが、容器への液充填時に、まず充填弁部を閉じた状態で排気弁部を先に開くことになり、充填通路からの液体の圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害せず、よって、排気通路から円滑に残留液が容器に流下する。その後、充填弁部を開くことで円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。
【0008】
充填バルブは、外筒体と、外筒体の内側に相対移動可能に設けられた有底の内筒体とを有しており、内筒体は、下部が外筒体に嵌合する嵌合部とされ、嵌合部よりも上側が外筒体との間に充填通路を形成する充填通路形成部とされるとともに、内側が側方に開口する開口部を有する排気通路とされており、充填通路形成部が外筒体から突出することで充填弁部が開かれ、開口部が外筒体から突出することで排気弁部が開かれる構成とすることができる。これにより、充填バルブが、容器への液充填時に、まず、内筒体の嵌合部より上側の充填通路形成部が外筒体内にあって充填弁部を閉じた状態で、内筒体において側方に開口する排気通路の開口部が外筒体から突出して排気弁部を開くことになり、充填通路からの液体の圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害せず、よって、排気通路から円滑に残留液が容器に流下する。その後、内筒体の嵌合部より上側の充填通路形成部が外筒体から突出して充填弁部を開くことで円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。
【0009】
また、充填通路形成部の下端部よりも開口部の下端部が下側に設けられているのが好ましい。充填通路形成部の下端部よりも開口部の下端部を下側に設けることで、内筒体の充填通路形成部が外筒体内にあって充填弁部を閉じた状態で、内筒体において側方に開口する排気通路の開口部を外筒体から突出させて排気弁部を先に開くことができる。
【0010】
さらに、開口部は、嵌合部に位置する下部が上部よりも幅広とされているのが好ましい。このように、開口部の嵌合部に位置する下部が上部よりも幅広となっているため、排気通路から一層速く残留液が容器に流下することになる。
【0011】
加えて、充填通路形成部と開口部とが相反位置に配置されており、外筒体の下端縁部は、充填通路形成部側よりも開口部側が高く傾斜させられている構成とするのも有効である。外筒体の下端縁部の充填通路形成部側よりも開口部側を高く傾斜させることで、内筒体の充填通路形成部が外筒体内にあって充填弁部を閉じた状態で、内筒体において側方に開口する排気通路の開口部を外筒体から突出させて排気弁部を先に開くことができる。
【0012】
本発明は、液体を貯留させる液タンクと、容器に挿入可能とされ、液タンクに連通されて液体を容器に導く充填通路と容器内を液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに充填通路を開閉させる充填弁部および排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブとを備えた充填装置において、充填バルブは、容器への液充填時に排気弁部を開く前に充填通路を閉じ排気弁部を開いた後に充填通路を開く中間弁部を有することを特徴とすることができる。
これにより、容器への液充填時に、排気弁部を開く前に中間弁部が充填通路を閉じ、その後排気弁部が開かれるため、充填通路からの液体の圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害せず、よって、排気通路から円滑に残留液が容器に流下する。その後、中間弁部が充填通路を開くことで円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。
【0013】
本発明の充填バルブは、容器に挿入可能とされ、液体を貯留させる液タンクに連通されて液体を容器に導く充填通路と容器内を液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに充填通路を開閉させる充填弁部および排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブにおいて、容器への液充填時に排気弁部を開いた後に充填弁部を開くことを特徴とすることもできる。
これにより、容器への液充填時に、まず充填弁部を閉じた状態で排気弁部を先に開くことになり、充填通路からの液体の圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害せず、よって、排気通路から円滑に残留液が容器に流下する。その後、充填弁部を開くことで円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。
【0014】
本発明は、外筒体の内側に相対移動可能に設けられ、有底の筒状をなすとともに、下部が外筒体に嵌合する嵌合部とされ、嵌合部よりも上側が外筒体との間に液タンクに連通する充填通路を形成する充填通路形成部とされるとともに、内側が側方に開口する開口部を有し液タンクの気相部に連通する排気通路とされたバルブ用部品とすることもでき、充填通路形成部の下端部よりも開口部の下端部が下側に設けられていることを特徴としている。
このように、充填通路形成部の下端部よりも開口部の下端部を下側に設けることによって、容器への液充填時に、まず充填通路形成部の下端部が外筒体から突出することで開く充填弁部を閉じた状態で、開口部が外筒体から突出することで開く排気弁部を先に開くことになり、充填通路からの液体の圧力で排気通路からの残留液の容器内への流下を阻害せず、よって、排気通路から円滑に残留液が容器に流下する。その後、充填弁部を開くことで円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低コストかつ簡素な構造で充填時間を短縮することができ、しかも洗浄性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の第1実施形態を図1〜図7を参照して以下に説明する。
図1に示す充填装置11は、充填用の液体を貯留させる液タンク12と、液タンク12の底部13の穴部14に取り付けられる充填バルブ15とを有している。
【0017】
充填バルブ15は、底部18側から液タンク12の穴部14に挿入された状態で外側のフランジ部19で液タンク12の下面に当接させられる略有底筒状のベース筒状体20と、このベース筒状体20を一端側の内側に嵌合させた状態で液タンク12の下面に当接させられる略円筒状の外側筒状体22と、外側筒状体22の他端側に螺合される略円筒状の支持筒状体24とを有している。
【0018】
また、充填バルブ15は、ベース筒状体20の開口側の内側に一側が、支持筒状体24の内側に逆側がそれぞれ摺動可能に嵌合させられるスライド筒状体26と、スライド筒状体26の中間位置に形成されたフランジ部27とベース筒状体20のフランジ部19との間に介装されるスプリング29とを有している。
【0019】
さらに、充填バルブ15は、一端側の大径円筒部31においてスライド筒状体26の下端側に嵌合させられるとともにこの大径円筒部31よりも外径が小径で全周にわたって同一長さである小径円筒部32をスライド筒状体26よりも下方に延出させる段付き円筒状の外筒体33と、外筒体33の小径円筒部32を内側に嵌合させるとともに外筒体33の大径円筒部31に当接させられる円筒状のスペーサ35と、外筒体33の小径円筒部32を内側に嵌合させるとともにスペーサ35の下部に嵌合させられる円環状の支持リング36と、外筒体33の小径円筒部32を内側に嵌合させるとともに支持リング36の下部に嵌合させられる円環状の口栓シールリング37とを有している。
【0020】
また、充填バルブ15は、外筒体33の内側に設けられた図2にも示す有底の内筒体(バルブ用部品)40を有している。この内筒体40は、その下部が、図3〜図5にも示すように、外筒体33の下端側に全周にわたって嵌合する嵌合外周部41を有する嵌合部42と、嵌合部42の上側にあって嵌合部42から半径方向一側に偏りながら上方に窄まる形状の窄形状部44と、嵌合部42における半径方向一側に偏りながらこの窄形状部44から上方に延出する筒状の下部筒部45とを有しており、この下部筒部45からさらに上方に延出する筒部46を有している。
【0021】
筒部46が、図1に示すように、外筒体33からスライド筒状体26およびベース筒状体20の内側を通ってベース筒状体20の底部18の一側に偏って形成された穴部48に挿通されて液タンク12内に突出する状態でベース筒状体20に固定されている。ここで、筒部46の上部には、ベース筒状体20の底部18を筒部46の当接部51とで上下から挟持する取付部材49,50が設けられており、これら取付部材49,50によって内筒体40がベース筒状体20に固定される。なお、内筒体40の上端部つまり筒部46の上端部は液タンク12の液面よりも上側に突出させられている。
【0022】
ここで、図5に示すように、下部筒部45は、偏心方向の面が嵌合外周部41と同軸同径の円筒面からなる案内面52とされており、下部筒部45には、この案内面52とは反対に突出する突起部53が形成されていて、この突起部53の先端も嵌合外周部41と同軸同径の円筒面からなる案内面54となっている。そして、上記のように内筒体40がベース筒状体20に取り付けられた状態で両側の案内面52,54が外筒体33の内周面に接触する。
【0023】
図2および図4に示すように、嵌合部42よりも上側にある窄形状部44の上面は、平面状をなしており、下部筒部45から離れるほど下側に位置するように傾斜する傾斜面56となっている。また、窄形状部44の側面は嵌合外周部41と同軸同径の円筒面からなる案内面57となっている。ここで、図1に示すように、ベース筒状体20には、液タンク12内とベース筒状体20の内側とを連通させる連通穴59が形成されており、これにより、充填バルブ15のベース筒状体20、スライド筒状体26および外筒体33と、内筒体40の嵌合部42よりも上側の窄形状部44の傾斜面56、下部筒部45の外面および筒部46の外面との間とが、液タンク12内と連通する充填通路60となっている。つまり、内筒体40の嵌合部42よりも上側の窄形状部44の傾斜面56、下部筒部45の案内面52を除く外面および筒部46の外面が外筒体33等との間に充填通路60を形成する充填通路形成部61となっている。
【0024】
ここで、ベース筒状体20のフランジ部19の上端面側には、液タンク12の底部13との隙間をシールするシールリング63が連通穴59よりも外側に保持されており、また、ベース筒状体20のフランジ部19の外周側には外側筒状体22との隙間をシールするシールリング64が保持されている。加えて、ベース筒状体20の内周側には、スライド筒状体26との隙間をシールするシールリング65が保持されている。また、支持筒状体24の外周側には外側筒状体22との隙間をシールするシールリング66が保持されており、外側筒状体22の内周側にもスライド筒状体26との隙間をシールするシールリング67が保持されている。さらに、スライド筒状体26の内周側には外筒体33との隙間をシールするシールリング68が保持されており、支持リング36の内周側にも外筒体33との隙間をシールするシールリング69が保持されている。なお、外側筒状体22の上部には、ベース筒状体20およびスライド筒状体26との間の空間部71からエアを給排する連通管72が接続されており、外側筒状体22の下部にも連通管73が接続されている。
【0025】
また、内筒体40の筒部46および下部筒部45の内側が外気に連通する排気通路75とされている。この排気通路75は、内筒体40において下部筒部45から窄形状部44および嵌合部42の上部まで形成されており、図3に示すように、下部に側方に開口させられる開口部76を有している。つまり、この開口部76は嵌合部42から下部筒部45にかけて形成されている。この開口部76は略一定幅で上下方向に長い長穴状に形成されており、充填通路形成部61に対し180度相反する位置に配置されている。
【0026】
そして、スライド筒状体26がスプリング29を伸縮させながらベース筒状体20および支持筒状体24に支持されて上下に摺動することで、スライド筒状体26、外筒体33、スペーサ35、支持リング36および口栓シールリング37が一体に昇降する。ここで、外筒体33が最も下側に位置するとき、位置固定の内筒体40の嵌合部42の嵌合外周部41に嵌合させられることになる。なお、嵌合外周部41には外筒体33との隙間をシールするスリッパシールリング78が保持されており、その下側には外筒体33よりも大径の大径部79が形成されている。
【0027】
他方、外筒体33が上側に移動し、内筒体40の充填通路形成部61の下端部を構成する傾斜面56が外筒体33から下方に突出すると充填通路60を開放する。これにより、充填通路形成部61と外筒体33の下端縁部とで充填通路60を開閉させる充填弁部81が構成される。また、外筒体33が上側に移動し、開口部76が外筒体33から下方に突出すると排気通路75を開放する。これにより、開口部76と外筒体33の下端縁部とで排気通路75を開閉させる排気弁部82が構成される。なお、外筒体33よりも嵌合部42が突出した状態では、下部筒部45の案内面52および突起部53の案内面54で内筒体40の下部と外筒体33との同軸を維持する。
【0028】
以上に述べた充填バルブ15は、図6に示すように、外筒体33と内筒体40とが容器85にその口栓86側から挿入可能とされ、挿入状態で容器85の口栓86が口栓シールリング37に当接すると口栓86をシールする。この状態で容器85が上側に移動すると、容器85に押し上げられて、口栓シールリング37、支持リング36、スペーサ35、外筒体33およびスライド筒状体26が一体に上昇することで閉状態にあった充填弁部81および排気弁部82が開状態となる。
【0029】
以上により、充填バルブ15は、液タンク12に連通されて液体を容器85に導く充填通路60と容器85内を液タンク12の気相部に連通させる排気通路75とが内側に設けられるとともに充填通路60を開閉させる充填弁部81および排気通路75を開閉させる排気弁部82を有しており、内筒体40は、外筒体33の内側に外筒体33に対し相対移動可能に設けられている。
【0030】
そして、第1実施形態においては、図7に示すように充填通路形成部61の下端部である傾斜面56の下端部よりも排気通路75の開口部76の下端部が下側に設けられており、その結果、充填バルブ15は、容器85への液充填時に排気弁部82を開いた後に充填弁部81を開く。
【0031】
つまり、上記したように、容器85が、充填装置11の充填バルブ15の充填弁部81および排気弁部82を閉塞させた状態の外筒体33および内筒体40を挿入させ、その口栓86で口栓シールリング37に当接することで口栓86が封止された状態で、さらに口栓シールリング37を押し上げると、外筒体33がスプリング29の付勢力に抗して一体に上昇して、位置固定の内筒体40との間の充填弁部81および排気弁部82が開状態となる。これにより、充填通路60を介して液タンク12の液体を容器85に充填しつつ封止された容器85内から排気通路75を介して空気を排気させるようになっており、最終的に排気通路75に入り込んだ液体が、液タンク12の液面と同じ高さになったところでバランスして液の充填が終了する。そして、その後、容器85を下降させることで外筒体33をスプリング29の付勢力で一体に下降させて充填弁部81および排気弁部82を閉じた状態で、さらに下降する容器85が充填バルブ15から離れる。このとき、排気弁部82が閉じられることで排気通路75には残留液が残る。なお、容器85の昇降は図示略のカムやエアシリンダ等で行われる。
【0032】
次に、別の容器85が、充填装置11の充填バルブ15の外筒体33および内筒体40を挿入させ、その口栓86において口栓シールリング37に当接し、さらに口栓シールリング37を押し上げて、外筒体33をスプリング29の付勢力に抗して一体に上昇させる。すると、上記したように、内筒体40の充填通路形成部61の下端部よりも排気通路75の開口部76の下端部が下側に設けられていることから、まず、充填通路形成部61が外筒体33内にあって充填弁部81を閉じた状態で、内筒体40において側方に開口する排気通路75の開口部76が外筒体33から突出して排気弁部82を開くことになり、充填通路60からの液体の圧力で排気通路75からの残留液の容器85内への流下を阻害せず、よって、排気通路75から円滑に残留液が容器85に流下する。その後、内筒体40の嵌合部42より上側の充填通路形成部61が外筒体33から突出して充填弁部81を開くことで充填通路60を介しての液タンク12からの液体の円滑な充填が開始され、その結果、充填時間を短縮できる。なお、排気弁部82の開作動のタイミングに対する充填弁部81の開作動のタイミングの遅れ時間は、例えば排気通路75からの残留液の容器85内への流下を阻害しないレベルまで液充填を停止できる時間とする。また、この排気通路75からの残留液の流下を確実にするために、充填弁部81を閉じ排気弁部82を開いた状態で容器85の上昇を一時停止させても良い。
【0033】
以上に述べた第1実施形態によれば、充填バルブ15内に設けられた排気通路75を開閉させる排気弁部82および充填バルブ15内に設けられた充填通路60を開閉させる充填弁部81の開作動のタイミングをずらすだけで、充填時間を短縮することができるため、構造を簡素にでき、低コスト化が図れ、洗浄性を確保することができる。
【0034】
しかも、内筒体40において側方に開口する排気通路75の開口部76の外筒体33からの突出と、内筒体40の嵌合部42よりも上側の充填通路形成部61の外筒体33からの突出とのタイミングをずらすだけで、充填時間を短縮することができるため、確実に構造を簡素にでき、確実に低コスト化が図れる。
【0035】
加えて、充填通路形成部61の下端部よりも開口部76の下端部を下側に設けることで、充填時間を短縮することができるため、さらに確実に構造を簡素にでき、さらに確実に低コスト化が図れる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態を主に図8および図9を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0037】
第2実施形態においては、内筒体40の排気通路75の開口部76の形状が第1実施形態と相違している。つまり、第2実施形態では、開口部76が下部筒部45の案内面52にその形状に合わせて形成された一定幅の定幅部88と、この定幅部88の下端に連続するように窄形状部44の案内面57にその形状に合わせて形成された下側ほど幅が広がる形状の幅拡大部89と、この幅拡大部89の下端に連続するように嵌合部42の嵌合外周部41に形成された幅広部90とを有している。その結果、開口部76は、嵌合部42に位置する下部の幅広部90が上部の定幅部88よりも幅広とされている。
【0038】
このような第2実施形態によれば、充填バルブ15による容器85への液充填時に、まず、充填通路形成部61が外筒体33内にあって充填弁部81を閉じた状態で、内筒体40において側方に開口する排気通路75の開口部76が外筒体33から突出して排気弁部82を開く状態になると、幅広部90から突出することになり、排気通路75から幅広部90を介して一層速く残留液が容器85に流下することになる。したがって、充填時間をさらに短縮できる。
【0039】
なお、排気弁部82および充填弁部81の開作動のタイミングをずらさずに、開口部76を第2実施形態のように下部が幅広の形状としても効果は得られるが、より好ましくは、第2実施形態のようにした方が効果的である。
【0040】
次に、本発明の第3実施形態を主に図10を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0041】
第3実施形態においては、外筒体33の下端縁部の形状が第1実施形態と相違している。つまり、第3実施形態では、外筒体33の下端縁部が、内筒体40における充填通路形成部61側よりもこれと相反する開口部76側が高く傾斜するように、つまり外筒体33の長さが充填通路形成部61側が開口部76側よりも長くなるように平面状に斜めに切断された傾斜面93となっている。
【0042】
このような第3実施形態によれば、外筒体33の下端縁部の傾斜面93を充填通路形成部61側よりも開口部76側を高く傾斜させることで、内筒体40の充填通路形成部61が外筒体33内にあって充填弁部81を閉じた状態で、内筒体40において側方に開口する排気通路75の開口部76を一層速く外筒体33から突出させて排気弁部82を一層先に開くことができる。このように、外筒体33の下端縁部の充填通路形成部61側よりも開口部76側を高く傾斜させることで、充填時間を一層短縮することができるため、確実に構造を簡素にでき、確実に低コスト化が図れる。
【0043】
なお、第3実施形態の外筒体33を用いれば、内筒体40の充填通路形成部61の下端部と排気通路75の開口部76の下端部の高さが例えば同じであっても、容器85への液充填時に排気弁部82を開いた後に充填弁部81を開くことができる。
【0044】
また、第3実施形態の外筒体33を第2実施形態に用いれば、充填時間をより一層短縮することができる。
【0045】
次に、本発明の第4実施形態を主に図11を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0046】
第4実施形態においては、外筒体33と内筒体40との間に中間弁部95を設けた点が第1実施形態と相違している。つまり、第4実施形態では内筒体40の筒部46の途中位置から上側が外筒体33と同軸をなすように下部の所定位置で曲げられており、内筒体40の筒部46の外筒体33に対し同軸をなす部分と、これに対応する外筒体33とに中間弁部95が設けられている。
【0047】
この中間弁部95は、外筒体33の内周面に固定される円筒状の外弁体96と、内筒体40の筒部46の外周面に固定される、外弁体96の内径とほぼ同径の外径を有する円筒状の内弁体97とで構成されている。外弁体96および内弁体97は例えば樹脂製となっている。
【0048】
外弁体96の上面は外径側ほど上側に位置するように傾斜するテーパ面98とされており、外弁体96の下面は外径側ほど下側に位置するように傾斜するテーパ面99とされている。逆に、内弁体97の上面は外径側ほど下側に位置するように傾斜するテーパ面100とされており、内弁体97の下面は外径側ほど上側に位置するように傾斜するテーパ面101とされている。なお、中間弁部95は、容器85への液充填時に排気弁部82を開く前に充填通路60を閉じ、排気弁部82を開いた後であって充填弁部81を開く時点以降に充填通路60を開くように外弁体96および内弁体97の位置関係が設定されている。
【0049】
このような第4実施形態においては、前の容器85に液が充填された後、充填バルブ15の充填弁部81および排気弁部82を閉じた状態で、別の容器85が、充填装置11の充填バルブ15の外筒体33および内筒体40を挿入させ、その口栓86において口栓シールリング37に当接し、さらに口栓シールリング37を押し上げて、外筒体33をスプリング29の付勢力に抗して一体に上昇させる。すると、充填バルブ15は、排気弁部82を開く前のタイミングで中間弁部95が図11(a)に示すように外弁体96の上部の内側に内弁体97が嵌合して充填通路60を閉じ、図11(b)に示すように外弁体96の下部に内弁体97が重なるタイミングで充填通路60を閉じた状態のまま、内筒体40において側方に開口する排気通路75の開口部76が外筒体33から突出して排気弁部82を開くことになり、充填通路60からの液体の圧力で排気通路75からの残留液の容器85内への流下を阻害せず、よって、排気通路75から円滑に残留液が容器85に流下する。その後、図11(c)に示すように、外弁体96から内弁体97が抜け出し充填通路60を開くと、すでに、内筒体40の充填通路形成部61が外筒体33から突出して充填弁部81を開いており、充填通路60を介しての液タンク12からの液体の円滑な充填を開始させ、充填時間を短縮できる。
【0050】
このような第4実施形態によれば、排気弁部82を開く前に充填通路60を閉じ排気弁部82を開いた後に開く中間弁部95を設けるだけで、充填時間を短縮することができるため、構造を簡素にでき、低コスト化が図れ、洗浄性を確保することができる。
【0051】
なお、第4実施形態では、中間弁部95、排気弁部82および充填弁部81を上記したタイミングで開閉させることができれば、第1実施形態のように内筒体40の充填通路形成部61および開口部76の高さを異ならせたり、第3実施形態のように外筒体33の下端縁部を傾斜させたりする必要はない。ただし、第2実施形態のような開口部76の形状を適用すれば、排気通路75からの残留液の流下を速く行うことができる。
【0052】
以上の実施形態においてはノンガスの液体を容器に充填させる場合を例にとり説明したが、ガス入りの液体にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態による充填装置を示す正断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による充填バルブの内筒体を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による充填バルブの内筒体の下部を示す部分拡大斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態による充填バルブの内筒体の下部を示す部分拡大斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態による充填バルブの下部の断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態による充填装置を示す液充填時の正断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による充填バルブの下部の部分拡大断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態による充填バルブの内筒体の下部を示す部分拡大斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態による充填バルブの内筒体の下部を示す部分拡大正面図である。
【図10】本発明の第3実施形態による充填バルブの下部の部分拡大断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態による充填バルブの中間弁部周辺の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0054】
11…充填装置、12…液タンク、15…充填バルブ、33…外筒体、40…内筒体(バルブ用部品)、41…嵌合外周部、42…嵌合部、60…充填通路、61…充填通路形成部、75…排気通路、76…開口部、81…充填弁部、82…排気弁部、85…容器、95…中間弁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留させる液タンクと、
容器に挿入可能とされ、前記液タンクに連通されて前記液体を前記容器に導く充填通路と前記容器内を前記液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに前記充填通路を開閉させる充填弁部および前記排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブとを備えた充填装置において、
前記充填バルブは、前記容器への液充填時に前記排気弁部を開いた後に前記充填弁部を開くことを特徴とする充填装置。
【請求項2】
前記充填バルブは、外筒体と、該外筒体の内側に相対移動可能に設けられた有底の内筒体とを有しており、
前記内筒体は、下部が前記外筒体に嵌合する嵌合部とされ、該嵌合部よりも上側が前記外筒体との間に前記充填通路を形成する充填通路形成部とされるとともに、内側が側方に開口する開口部を有する前記排気通路とされており、
前記充填通路形成部が前記外筒体から突出することで前記充填弁部が開かれ、前記開口部が前記外筒体から突出することで前記排気弁部が開かれることを特徴とする請求項1記載の充填装置。
【請求項3】
前記充填通路形成部の下端部よりも前記開口部の下端部が下側に設けられていることを特徴とする請求項2記載の充填装置。
【請求項4】
前記開口部は、前記嵌合部に位置する下部が上部よりも幅広とされていることを特徴とする請求項2または3記載の充填装置。
【請求項5】
前記充填通路形成部と前記開口部とが相反位置に配置されており、
前記外筒体の下端縁部は、前記充填通路形成部側よりも前記開口部側が高く傾斜させられていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の充填装置。
【請求項6】
液体を貯留させる液タンクと、
容器に挿入可能とされ、前記液タンクに連通されて前記液体を前記容器に導く充填通路と前記容器内を前記液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに前記充填通路を開閉させる充填弁部および前記排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブとを備えた充填装置において、
前記充填バルブは、前記容器への液充填時に前記排気弁部を開く前に前記充填通路を閉じ前記排気弁部を開いた後に前記充填通路を開く中間弁部を有することを特徴とする充填装置。
【請求項7】
容器に挿入可能とされ、液体を貯留させる液タンクに連通されて前記液体を前記容器に導く充填通路と前記容器内を前記液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに前記充填通路を開閉させる充填弁部および前記排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブにおいて、
前記容器への液充填時に前記排気弁部を開いた後に前記充填弁部を開くことを特徴とする充填バルブ。
【請求項8】
外筒体の内側に相対移動可能に設けられ、有底の筒状をなすとともに、下部が前記外筒体に嵌合する嵌合部とされ、該嵌合部よりも上側が前記外筒体との間に液タンクに連通する充填通路を形成する充填通路形成部とされるとともに、内側が側方に開口する開口部を有し前記液タンクの気相部に連通する排気通路とされたバルブ用部品であって、
前記充填通路形成部の下端部よりも前記開口部の下端部が下側に設けられていることを特徴とするバルブ用部品。
【請求項1】
液体を貯留させる液タンクと、
容器に挿入可能とされ、前記液タンクに連通されて前記液体を前記容器に導く充填通路と前記容器内を前記液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに前記充填通路を開閉させる充填弁部および前記排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブとを備えた充填装置において、
前記充填バルブは、前記容器への液充填時に前記排気弁部を開いた後に前記充填弁部を開くことを特徴とする充填装置。
【請求項2】
前記充填バルブは、外筒体と、該外筒体の内側に相対移動可能に設けられた有底の内筒体とを有しており、
前記内筒体は、下部が前記外筒体に嵌合する嵌合部とされ、該嵌合部よりも上側が前記外筒体との間に前記充填通路を形成する充填通路形成部とされるとともに、内側が側方に開口する開口部を有する前記排気通路とされており、
前記充填通路形成部が前記外筒体から突出することで前記充填弁部が開かれ、前記開口部が前記外筒体から突出することで前記排気弁部が開かれることを特徴とする請求項1記載の充填装置。
【請求項3】
前記充填通路形成部の下端部よりも前記開口部の下端部が下側に設けられていることを特徴とする請求項2記載の充填装置。
【請求項4】
前記開口部は、前記嵌合部に位置する下部が上部よりも幅広とされていることを特徴とする請求項2または3記載の充填装置。
【請求項5】
前記充填通路形成部と前記開口部とが相反位置に配置されており、
前記外筒体の下端縁部は、前記充填通路形成部側よりも前記開口部側が高く傾斜させられていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の充填装置。
【請求項6】
液体を貯留させる液タンクと、
容器に挿入可能とされ、前記液タンクに連通されて前記液体を前記容器に導く充填通路と前記容器内を前記液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに前記充填通路を開閉させる充填弁部および前記排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブとを備えた充填装置において、
前記充填バルブは、前記容器への液充填時に前記排気弁部を開く前に前記充填通路を閉じ前記排気弁部を開いた後に前記充填通路を開く中間弁部を有することを特徴とする充填装置。
【請求項7】
容器に挿入可能とされ、液体を貯留させる液タンクに連通されて前記液体を前記容器に導く充填通路と前記容器内を前記液タンクの気相部に連通させる排気通路とが内側に設けられるとともに前記充填通路を開閉させる充填弁部および前記排気通路を開閉させる排気弁部を有する充填バルブにおいて、
前記容器への液充填時に前記排気弁部を開いた後に前記充填弁部を開くことを特徴とする充填バルブ。
【請求項8】
外筒体の内側に相対移動可能に設けられ、有底の筒状をなすとともに、下部が前記外筒体に嵌合する嵌合部とされ、該嵌合部よりも上側が前記外筒体との間に液タンクに連通する充填通路を形成する充填通路形成部とされるとともに、内側が側方に開口する開口部を有し前記液タンクの気相部に連通する排気通路とされたバルブ用部品であって、
前記充填通路形成部の下端部よりも前記開口部の下端部が下側に設けられていることを特徴とするバルブ用部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−232310(P2006−232310A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47808(P2005−47808)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】
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