説明

充電リッド制御装置

【課題】車両の車体側コネクタと充電スタンドの充電用コネクタとの収容室を開閉する開閉蓋のロック機構の開錠操作を1度で済ませるようにして開錠操作性を改善できる充電リッド制御装置を提供する。
【解決手段】車両側コンセント24と充電装置側コンセント11とを充電ケーブル5で接続することで車両に電力を供給する充電装置2と、車両側コンセントの収容室35を開閉する車両側リッド36と、車両側リッドを制御する車両側リッド施錠制御手段28と、車両側リッドの開錠を検知する車両側リッド開錠検知手段28s1と、一方のプラグ34の車両側コンセントからの取り外しを検知するプラグ取外し検知手段28s2と、充電装置側コンセントの収容室13の充電装置側リッド14と、リッド14の施錠を制御する充電装置側リッド施錠制御手段16を備え、施錠制御手段は一方のプラグ34が車両側コンセント24から取り外された後で充電装置側リッドを開錠する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の充電を行う充電システム、特に、充電器とその前の充電位置に停車する車両を充電ケーブルで接続し、充電器より車両の車載バッテリに給電して充電を行なう際にリッドの開閉を制御する充電リッド制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータで駆動される電動車両(電気自動車やハイブリット車)の車載バッテリを充電する場合、外部電力、たとえば、商用電源100Vあるいは200Vを電源とした充電器を用い、その充電器とその充電位置に停車する車両を充電ケーブルで接続し、充電器より車両の車載バッテリに給電して充電を行なっている。
この充電器として急速充電器を用いると、比較的短時間でフル充電を行えるが、大型の設備を必要とするため、一般家庭で採用するには難がある。そこで、一般家庭で充電システムを装備する場合、比較的充電時間が長くなるが、外部電力として供給が容易な200Vの商用電源を用いた普通充電器の採用が進んでいる。
【0003】
普通充電器を充電スタンドとして用いる場合、車両側の車載バッテリより延びる充電回路側の車体側コネクタと普通充電器の充電用コネクタとに車両に装備されていた充電ケーブルの両端の差込プラグをそれぞれ挿し込み接続し、車載バッテリの充電完了後には充電ケーブルの接続を解除して、車両に戻している。
このような、充電スタンドで電動車両を充電する場合、待ち時間の経過を待つ間、充電スタンドよりユーザが離れることが多い。この充電中に第三者により故意に車両側の車体側コネクタと充電スタンドの充電用コネクタを接続する充電ケーブルの差込プラグが抜き取り等のいたずらをされてしまうと、充電が不十分となる。
更に、外部に装備される充電スタンドでは、その充電スタンドの使用許可がなされていない第三者が勝手に充電を行なうことを防止する必要もある。
【0004】
そこで、このような充電スタンドでのいたずらや不正使用を防止するため、例えば、充電スタンド側の充電用コネクタと車体側コネクタを収容する各収容ボックスにケーブルと干渉しない凹部を設けた蓋を取り付けると共に、各蓋にはロック機構を設ける。これにより、充電中には各蓋をロックして充電ケーブルの不正な取り外しやいたずらを防止し、不使用時には第3者の不正使用を防止するという防御機能を発揮するようにしている。
更に、特許文献1に開示のように、充電装置に設けたカードリーダによりユーザーが所持するICカードからカード識別データを読み取り、同データが予め登録されているデータと一致するか否かをチェックし、予め登録されたデータと一致の場合は本人確認(認証)がなされ充電可能となり、不一致の場合にはエラー表示を行なうようにして、予め登録されていない者が勝手に充電することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−161899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、外部に設置される充電スタンドは、不使用時には第3者の不正使用を防止する必要があり、充電中には、充電スタンド側の充電用コネクタと車両側の車体側コネクタ間を接続する充電ケーブルのいたずらを受けないように保護する必要がある。
そこで、引用文献1に開示されるように、充電装置に設けたカードリーダにより車両の所有者が提示したICカードのカード識別データを読み込み、データが一致すると充電を許容し、不一致では登録されていない者が充電することを防止するようにしているが、充電中の充電ケーブルのいたずらを防止することはできない。更に、充電中の充電ケーブルのいたずらを防止するため、充電用コネクタと車体側コネクタを収容する各収容ボックスの開閉蓋をロック機構によりロックする場合、充電中の充電ケーブルのいたずらを防止できる。しかし、この場合、充電用コネクタと車体側コネクタを覆う各収容ボックスの開閉蓋のロック機構が2つあり、充電ケーブルの接続操作をする際と、充電ケーブルの取り外しをする際とにそれぞれロック機構の解除操作とロック操作を行なう必要があり、これら2回のロック操作はわずらわしく、容易化する必要がある。
【0007】
本発明は以上のような課題に基づきなされたもので、目的とするところは、車両側の車体側コネクタと充電スタンド側の充電用コネクタとをカバーする各収容ボックスの開閉蓋のロック機構の開錠操作を1度で済ませるようにして、開錠操作性を改善でき、更に、予め登録されたユーザにのみ充電可能とすることができる充電リッド制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1の発明は、車両に設けられた車両側コンセントと外部充電装置に設けられた充電装置側コンセントとに充電ケーブルの両端プラグを差込セットすることで前記外部充電装置から前記車両に電力を供給する充電装置と、前記充電ケーブルの一方のプラグが前記車両側コンセントに差込まれた状態で前記車両側コンセントの収容室を開閉する車両側リッドと、前記車両側リッドの施錠状態を制御する車両側リッド施錠制御手段と、前記車両側リッドの開錠を検知する車両側リッド開錠検知手段と、前記一方のプラグが前記車両側コンセントから取り外されたことを検知するプラグ取外し検知手段と、前記充電ケーブルの他方のプラグが前記充電装置側コンセントに差込まれた状態で前記充電装置側コンセントの収容室を開閉する充電装置側リッドと、前記充電装置側リッドの施錠状態を制御する充電装置側リッド施錠制御手段と、を備え、前記充電装置側リッド施錠制御手段は、前記車両側リッドの開錠が検知され、且つ、前記一方のプラグが前記車両側コンセントから取り外されたことが検知された後に、前記充電装置側リッドを開錠することを特徴とする。
【0009】
本願請求項2の発明は、請求項1記載の充電リッド制御装置において、前記車両側リッド施錠制御手段は、ユーザが前記車両に固有のIDコードを開錠信号として送信したことを検知して、前記車両側リッドの閉施錠を解除することを特徴とする。
【0010】
本願請求項3の発明は、請求項2記載の充電リッド制御装置において、前記車両は、前記固有のIDコードを受信するIDコード受信手段と、受信した前記IDコードと所定記憶部に記憶されたマスターコードとを照合する照合手段とを備え、前記車両側リッド施錠制御手段は、前記IDコードの照合の一致に基づいて、前記車両側リッドの閉施錠を解除することを特徴とする。
【0011】
本願請求項4の発明は、請求項3記載の充電リッド制御装置において、前記IDコード送信手段は携帯機であることを特徴とする。
【0012】
本願請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の充電リッド制御装置において、前記外部充電装置は、前記車両の情報を無線により受信する無線受信手段を備え、前記無線受信手段が、前記車両側リッドの閉施錠が解除され、且つ、前記充電ケーブルの前記一方のプラグが前記車両側コンセントから取り外されたという情報を受信した際に、前記充電装置側リッド施錠制御手段は、前記充電装置側リッドの閉施錠を解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明は、車両側コンセントからのプラグ取外しがプラグ取外し検知手段で検出されてから、充電装置側施錠制御手段が充電装置側リッドを開錠作動させるので、車両側コンセントより充電ケーブルの差込プラグを引き出してから、充電装置側コンセントから差込プラグを引き出すこととなり、充電操作時の電流に対する安全性を向上させることができる。
【0014】
請求項2の発明は、車両側リッド施錠制御手段は、ユーザが所持しているIDコード送信手段からの車両制御ユニット固有のIDコードを受信することにより車両側リッドを開錠作動させることができ、開錠操作性がよい。
【0015】
請求項3の発明は、IDコードとマスターコードが一致の場合に車両制御リッド施錠制御手段は車両側リッドを開錠作動させることができるので更に開錠操作性を向上できる。
【0016】
請求項4の発明は、ユーザが所持している携帯機をIDコード送信手段とした場合も操作性よく、車両側リッドを開錠作動させることができる。
【0017】
請求項5の発明は、外部充電装置が、車両と無線で送受信でき、車両から送信された固有のIDコードを受信し、マスターコードと一致した場合に充電装置側リッド施錠制御手段は充電装置側リッドを開錠作動させることができ、車両側と充電スタンド側の2つの開錠操作を1つの開錠操作にでき、開錠操作性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態としての充電リッド制御装置の全体図である。
【図2】図1の充電リッド制御装置で用いる充電装置の要部正面図である。
【図3】図1の充電リッド制御装置で充電される車両側の充電リッド部分の要部切欠側面図である。
【図4】図1の充電リッド制御装置の車両側コントローラが行う充電制御ルーチンのフローチャートである。
【図5】図1の充電リッド制御装置の充電装置側コントローラが行う充電制御ルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1の実施の形態である充電リッド制御装置について説明する。
図1は本発明による充電リッド制御装置の一実施例を示す構成図である。なお、この充電リッド制御装置は充電所、自宅、勤務先、或いは駐車場などに設置され、ここでは駐車場に配備されているものとする。
この充電リッド制御装置1は、例えば、家庭用の200Vの商用電源に接続された充電装置(外部充電装置)2とその前側の自宅の駐車場3に停車する駆動部4で駆動する電気自動車(以後単に車両と記す)Cとこれらの間を接続する充電ケーブル5とを用いて、車載バッテリ6を充電制御するという構成を採る。
【0020】
この充電リッド制御装置1で用いる充電装置2はユーザにより入力部(制御盤)7に入力される入力データ(フル充電、目標走行距離または充電時間)に応じた充電制御を行なう。なお、本実施例における充電ケーブル5は車両Cと充電装置2との間の通信線としても利用されている。
図1に示すように、充電装置2は不図示の建物の縦壁wr1に設置された開閉蓋付きの筐体8と、この充電装置2の本体である筐体8内に設けられる充電器側コネクタ11と、家庭用商用電源(200V)よりの電力を充電電流に変換して充電器側コネクタ11に供給する充電回路12と、筐体側面に設けられた入力部(制御盤)7と、充電状態情報を表示する表示部9と、筐体8の内室13を開閉する充電装置側リッド14と、充電装置側リッド14を開閉する減速機構を備えたリッド駆動部15(車両側施錠手段をなす)と、充電回路12と表示部9及びリッド駆動部15を制御する充電装置制御ユニット(充電装置側リッド施錠制御手段)16と、同ユニット16に接続された通信部17とを備え、全体が駐車場3に設置の充電スタンドを構成する。
【0021】
入力部7と表示部9が制御盤18をなす。充電ケーブル6の接続時に、制御盤18は充電制御を行なうため車両側の充電データを取り込み、入力データ(フル充電、目標走行距離または充電時間)の表示や、入力に応じて充電状態を表示するためのタッチパネル方式の液晶パネルである表示部9を備える。更に、充電を開始する前に、フル充電、目標走行距離、または充電時間を入力するためのテンキー、距離(km)キー、時間(分)キー、キャンセル(C)キーなどが設けられている入力部7を備える。運転者は、充電を行なう前に各キーを押圧操作して充電制御に必要なデータを入力する。
また、表示部9には、現在のバッテリ6の残量による走行可能距離(例えば、10km)が表示される。そして、表示部70には、入力部72の各キーの入力操作により入力された距離(充電後の走行可能距離、例えば、30km)が表示される。また、表示部70は、メイン制御100において、入力された距離に基づいて演算された充電時間(充電にかかる所要時間、例えば、2分)を表示する。
【0022】
充電装置2は充電装置本体である筐体8の開口縁近傍に充電装置側リッド14を開閉操作するリッドモータ19を備え、その回転力が回転減速機構21を介して充電装置側リッド14に伝達され、その開閉制御が充電装置制御ユニット16により行なわれる。
ここで、充電装置側リッド14は開度をリッドモータ19に制御され、全開位置p2より全閉位置p1に切換え保持される際に、充電ケーブル5の接続状態を離脱不可に、いたずら防止状態を維持することができ、その際のリッドモータ19と充電装置側リッド14がロック手段として機能する。
図2に示すように、充電装置側リッド14はその下端縁中央に凹状部141が形成され、ここが充電ケーブル5を嵌合することで、この充電ケーブル5と干渉することなく全閉状態を維持できるように構成される。
【0023】
充電装置2の内室13に設けられた充電器側コネクタ11は充電ケーブル5の一端の差込プラグ22が差し込まれることで、充電ケーブル5に充電回路12を接続し、充電電流の供給を可能とする。
なお、充電器側コネクタ11にはコネクタロック機構111が取り付けられ、このコネクタロック機構の解除操作が成されない間は充電ケーブルの離脱を阻止するよう構成される。
図1に示すように、充電装置制御ユニット16は、その主要構造として、演算・信号処理を行うCPU161,プログラムを記憶するROM162,記憶・作業領域であるRAM163を備え、これらがバス165で接続された周知のコンピュータとして構成される。また、通信部17と通信可能に接続するための通信I/F164も備えている。なお、CPU161が本発明の照合手段に相当する。
【0024】
充電装置制御ユニット16に接続された通信部17は、送信部171,受信部172,ケーブル通信部173およびこれらが接続された充電装置制御ユニット16を含んで構成される。ここで、充電ケーブル5の非装着時において送信部171,受信部172が機能し、充電ケーブル5の装着時においはケーブル通信部173が機能する。
ここで、通信部17のケーブル通信部173は充電ケーブル5の装着時においては、充電装置2側の通信部17との間でリッド開情報(ユーザ確認信号)、リッド閉情報を無線で送受信する。
【0025】
この場合、送信部171は、図示しない送信用アンテナを有して構成されており、送信用アンテナから照合作業のためのリクエスト信号を例えばLF(長波)帯域の電磁波で駐車場3へ停車する車両Cに送信する。他方、受信部172は、図示しない受信用アンテナを有して構成されており、駐車場3へ停車する車両Cから送信される信号を受信する。
【0026】
このようにして、充電装置制御ユニット16と車両Cとの間では、送信部171,受信部172を介した信号の送受信がなされ、これにより充電を許容された登録済みの車両Cを特定するIDコードの照合が行われる。
充電装置制御ユニット16の不図示の記憶手段には、車両Cに対応する照合用のマスターコード(マスターID)や、後述するような各種プログラムが格納されている。
【0027】
ここで、通信部17は車両Cの通信部29より、適時に充電開始情報(IDコードを含む開信号)、充電終了情報(IDコードを含む閉信号)を受信する。これに応じて充電装置制御ユニット16は充電開始情報(IDコードを含む開信号)が登録済みのマスターID(識別データ)と一致するか対比し、認証結果が正常に得られた場合に充電装置側リッド14の開制御を行い、充電を許容する。
一方、通信部17は充電ケーブル5の装着時においては、充電ケーブル5内の信号回線を介して車両側制御ユニット28の通信部29とリッド開情報(ユーザ確認信号)、リッド閉情報、充電情報を送受信する。
【0028】
次に、車両Cは、車載バッテリ6と、車載バッテリ6に接続される車両側コネクタ24と、駆動輪wを駆動する電動モータを備えた駆動部4と、車載バッテリ6に接続された充電回路25と、充電量等の計測をする計測部26と、充電ケーブル5内の通信回線(不図示)と接続された通信部17と、この通信部17やスマートエントリ手段27と接続された車両側制御ユニット28と、充電装置2側の通信部17およびユーザが所持する携帯機33との間で情報の授受を行なう通信部29と、制御盤(入力部)32を有する。
【0029】
車両Cはその車体側壁Wr2の一部に、車両側コネクタ24を収容するコネクタ室35と、コネクタ室35を開閉する車両側リッド36と、車両側リッド36を開閉操作するリッドモータ37に接続され減速機構を備えたリッド駆動部38(車両側施錠手段をなす)を介して接続され、その開閉制御が充電器側コントローラ28により行なわれる。ここで、車両側リッド36は開度をリッドモータ37に制御され、全開位置p2より全閉位置p1に切換え保持される際に、充電ケーブル5の接続状態を離脱不可に、いたずら防止状態を維持することができ、その際のリッドモータ37と車両側リッド36がロック手段として機能する。
【0030】
図3に示すように、車両側リッド36はその下端縁中央に凹状部361が形成され、ここが充電ケーブル5を嵌合することで、充電ケーブル5と干渉することなく全閉位置p1状態を維持できるように構成される。
車両Cのコネクタ室35に設けられた車両側コネクタ24は充電ケーブル5の一端の差込プラグ34が差し込まれることで、充電ケーブル5に充電回路25を接続し、充電電流の供給を可能とする。
なお、車両側コネクタ24にはコネクタロック機構241が取り付けられ、このコネクタロック機構241の解除操作が成されない間は充電ケーブルの離脱を阻止するよう構成される。
【0031】
充電回路25は充電装置2から電力供給され、受けた電力を車載バッテリ6を充電する際の最適な充電電圧、充電電流となるように制御する。車両側制御ユニット28は車両Cのボディーコントローラ31やスマートエントリ手段27との間でドアロック信号の授受を行なう。更に、車両側制御ユニット28は車両側リッド施錠制御手段としての機能を備え、更に、後述の充電制御機能とそれに伴う車両のリッド開閉制御(ロック制御)機能を備える。また、車両側制御ユニット28は、車両側リッド36の開錠を検知する車両側リッド開錠検知手段28s1と、差込プラグ34が車両側コネクタ24(車両側コンセント)から取り外されたことを検知するプラグ取外し検知手段28s2とを含む。
【0032】
車両側制御ユニット28は、その主要構造として、演算・信号処理を行うCPU281、プログラムを記憶するROM282、記憶・作業領域であるRAM283を備え、これらがバス285で接続された周知のコンピュータとして構成される。また、通信部29や携帯機33と通信可能に接続するための通信I/F284も備えている。なお、CPU281が本発明の照合手段の機能を備える。
ユーザが所持する携帯機33は開錠指示を発する開錠指示手段であり、車両Cの通信部29の送信部291,受信部291と通信可能な受信部331,発信部332と、IDコード等が記憶されたメモリ333とを含んで構成される。しかも操作部には、後述のリッド開ボタン33a、リッド閉ボタン33bや、ドア開閉スイッチ33c、33dが装備される。なお、ドア開閉スイッチ33c、33dはスマートエントリ手段27にドア開閉指令を発するよう構成されている。
【0033】
車両Cの通信部29は、送信部291,受信部292,ケーブル通信部293およびこれらが接続された車両側制御ユニット28を含んで構成される。
送信部291は、図示しない送信用アンテナを有して構成されており、送信用アンテナから照合作業のためのリクエスト信号を例えばLF(長波)帯域の電磁波でユーザが所持する携帯機33へ送信する。他方、受信部292は、図示しない受信用アンテナを有して構成されており、携帯機33から送信される信号を受信するものである。
このようにして、車両側制御ユニット28と携帯機33との間では、送信部291,受信部292を介した信号の送受信がなされ、これによりIDコードの照合が行われる。
【0034】
車両側制御ユニット28の不図示の記憶手段には、携帯機33に対応する照合用のマスターコード(マスターID)や、後述するような各種プログラムが格納されている。
ここで、通信部29は携帯機33のリッド開ボタン33a、リッド閉ボタン332の操作により、適時にリッド開情報(IDコードを含む開信号)、リッド閉情報(IDコードを含む閉信号)を受信する。これに応じて車両側制御ユニット28はリッド開情報(IDコードを含む開信号)と登録済みのマスターID(識別データ)とを対比し、認証結果が正常に得られた場合に充電装置側リッド14の開制御を行う。
更に、通信部29の送信部291,受信部292は充電ケーブル5の非装着時においては、充電装置2側の通信部17との間でリッド開情報(ユーザ確認信号)、リッド閉情報を無線で送受信する。これにより、車両Cの通信部29が充電装置2側の通信部17に停車中の車両Cが登録車両であり、充電のため停車中であるとの情報を送信できる。
【0035】
更に、通信部29は充電ケーブル5の装着時にはケーブル通信部293により、充電ケーブル5内の信号回線を介して充電装置2側の通信部17とリッド開情報(ユーザ確認信号)、リッド閉情報、充電情報を送受信する。
計測部26は、車載バッテリ6から駆動部4に供給された電気量を計測し、その充電量計測データを車両側制御ユニット28に出力する。車両側制御ユニット28は、計測部26から得られた充電量計測データに基づいて充電回路25を制御する。車両側制御ユニット28はその不図示の記憶部に演算処理を行なうための制御プログラムやパラメータを格納している。
車内の制御盤(入力部)32は、充電状態を表示すると共に、入力データ(フル充電、目標走行距離または充電時間)に応じた充電状態を表示する。
【0036】
次に、車両側制御ユニット28のROM(記憶部)に格納されている充電制御ルーチンを図4に沿って説明する。なお、このルーチンは車両側制御ユニット28の不図示のデータ読み取りやチェック機能を備えたメインルーチンに対して、適時の割り込み処理によりステップs1に達するとする。
駐車場3に車両Cが停車し、メインスイッチ・オフでステップs1よりs2に進む。ここで、不図示の充電スイッチがオンされ充電指令が入力されるまでメインルーチンに戻り、入力すると、ステップs3に進む。ここで、携帯機33のリッド開ボタン33aが操作され、リッド開情報(IDコードを含む開信号)を受信すると、これに応じて車両側制御ユニット28がリッド開情報(IDコードを含む開信号)と登録済みのマスターID(識別データ)とを対比し、一致でステップs4に、不一致ではメインルーチンに戻り、充電処理を拒否する。
【0037】
ステップs4では認証結果が正常に得られた場合であり、充電装置側リッド14のアンロック、ここでは車両側リッド36を全開位置p2に切換え、更に、送信部291より充電装置2の受信部172にリッド開情報(IDコードを含む開信号)を送信する。
リッド開情報(IDコードを含む開信号)を受信部172で受けた充電装置制御ユニット16は、後述の充電装置2側の充電制御ルーチンで、充電装置側リッド14を全開位置p1に開き、筐体8の内室13を開放する。
次いでステップs5では、携帯機33のリッド閉ボタン33bが操作され、リッド閉情報(IDコードを含む閉信号)が受信されるのを待つ。
【0038】
その間にユーザは車両Cより充電ケーブル5を取り出し、コネクタ室35の車両側コネクタ24に充電ケーブル5の一端の差込プラグ34を差し込み、内室13の充電器側コネクタ11に充電ケーブル5の他端の差込プラグ22を差し込む。これにより、充電ケーブル5及びその内部に保持される信号回線が車両側の通信部29と充電装置側の通信部17とを接続し、充電電流の供給と通信回路の通信とを可能とする。
この処理の後で、ステップs5において、携帯機33のリッド閉ボタン33bが操作され、リッド閉情報(IDコードを含む閉信号)を通信部29が受信すると、これに応じて車両側制御ユニット28がリッド閉情報(IDコードを含む閉信号)と登録済みのマスターID(識別データ)とを対比し、一致でステップs6に、不一致ではメインルーチンに戻る。
【0039】
ステップs6では認証結果が正常であり、車両側リッド36のロック、ここでは車両側リッド36を全閉位置p2に切換える。更に、充電ケーブル5の装着時であり、ケーブル通信部293により、充電装置2側のケーブル通信部173にリッド閉情報を送信する。
リッド閉情報を受けた充電装置制御ユニット16は、後述の充電装置2側の充電制御ルーチンで、充電装置側リッド14を全閉位置p1に切換える。これにより、コネクタ室35を閉鎖しロック状態とする。
ステップs7では充電処理に入り充電回路12と充電回路25の働きでバッテリ6の適正な充電処理が成され、その間充電ケーブル5の両端部の差込プラグ34、22と車両側、充電器側コネクタ24、11とは車両側リッド36、充電装置側リッド14及びリッド駆動部38、15の働きでロック状態に保持され、いたずらによる解除操作は阻止され、確実に充電処理が成される。
【0040】
この後、メインルーチン側で指定された目標充電量(目標時間でも良い)にバッテリの現充電量が達したとして充電終了が検知され、充電装置の表示灯が点灯したとする。
これに応じて、ステップs8でユーザが車両Cに戻り、充電装置2の充電解除スイッチ(図2に示す入力部7に配備される)701をオンしたとする。この信号を受け、ステップs9で充電装置2の充電回路12が充電停止モードに切り換えられ、更に、信号回線を介して充電終了信号を車両側制御ユニット28に出力する。
これに応じて、車両側制御ユニット28はステップs10で車両の充電回路25を充電終了モードに切換え、更に、車両側リッド36をアンロックである全開位置p2に切換える。これにより、ユーザがコネクタ室35の車両側コネクタ24より充電ケーブル5の一端の差込プラグ34を抜き取り、ステップs11で車両側制御ユニット28が充電ケーブル5の車両側コネクタ24よりの抜き取り信号を充電装置側コントローラ16(充電スタンド側)に送信する。
【0041】
これにより、充電装置側コントローラ16では充電装置2側の後述の充電制御ルーチンで充電装置側リッド14を全開位置p2に切換える。これにより、内室13の充電器側コネクタ11より充電ケーブル5の他端の差込プラグ22を抜き取り、次いで、充電ケーブル5を車両に収容する。
このように、車両側コネクタ24より充電ケーブル5の差込プラグ34を抜き取り、その後で、充電器側コネクタ11より充電ケーブル5の他端の差込プラグ22を抜き取るので、充電電流に対する安全性が向上する。
【0042】
この後、ステップs12では、携帯機33のリッド閉ボタン33bが操作され、リッド閉情報を通信部29が受信し、これに応じて車両側制御ユニット28がリッド閉情報に沿って、車両側リッド36のロック、ここでは車両側リッド36を全閉位置p2に切換える。更に、充電ケーブル5の非装着時であり、送信部291より、充電装置2側の受信部172にリッド閉情報を送信する。リッド閉情報を受けた充電装置制御ユニット16(充電スタンド側)は、後述のリッド開閉制御ルーチンで、充電装置側リッド14を全閉位置p1に切換える。これにより、コネクタ室35を閉鎖しロック状態とする。この充電装置側リッド14の閉処理により、充電装置2がいたずらされたり、登録されていない不正使用者により充電処理が行なわれることを確実に防止できる。
【0043】
次に、充電装置側コントローラ16が行なう充電制御ルーチンを図5を参照して説明する。
充電装置側コントローラ16は充電ケーブル5の非装着時において、車両側制御ユニット28の送信部291からのリッド開情報(IDコードを含む開信号)の入力を待つ。ここで車両側が受信部292でリッド開情報(IDコードを含む開信号)を受信すると、これに応じて車両側制御ユニット28がその送信部291から充電装置側の受信部172にリッド開情報(IDコードを含む開信号)を送信する。リッド開情報の入力時にはステップa2に、そうでないと、充電装置側コントローラ16が行なうデータ取り込やチェック処理を行なうメインルーチンに戻る。入力時にステップa2に達すると、ここで、車両側制御ユニット28から送信されたリッド開情報(IDコードを含む開信号)が登録済みのマスターID(車両識別データ)とを対比され、一致するとステップa3に、不一致ではメインルーチンに戻り、充電処理を拒否する。
【0044】
ステップa3では認証結果が正常に得られた場合であり、充電装置側リッド14のアンロック、ここでは充電装置側リッド14を全開位置p2に切換える。
ここで、ユーザは車両Cよりの充電ケーブル5の他端の差込プラグ22を内室13の充電器側コネクタ11に差し込む。これにより、充電ケーブル5及びその内部に保持される信号回線が車両側の通信部29と充電装置側の通信部17とを接続し、充電電流の供給と通信回路の通信とを可能とする。
この後、ステップa4で充電処理の準備が完了して充電ケーブル5の信号回線を介し車両側よりリッド閉情報(IDコードを含む閉信号)が通信部17に入力されるのを待ち、受信すると、ステップa5に進む。
【0045】
これに応じて充電装置側コントローラ16が充電装置側リッド14のロック、ここでは充電装置側リッド14を全閉位置p2に切換える。更に、充電ケーブル5の装着時であり、ケーブル通信部173により、車両Cのケーブル通信部293にリッド閉情報を送信する。これに応じて、車両側制御ユニット28が充電待機に入る。
次いで、ステップa6に進み、充電装置側コントローラ16が充電制御に入り充電回路12と充電回路25の働きでバッテリ6の適正充電が成される。
この後、不図示のメインルーチン側で指定された目標充電量(目標時間でも良い)にバッテリの現充電量が達したとして充電終了が検知され、充電装置2の表示灯(図2の符号901)が点灯したとする。
【0046】
これに応じて、ユーザが充電解除スイッチ(図2の符号702)をオンし、メインルーチン側でこの信号を受け、充電装置2の充電回路12が充電停止モードに切り換えられ、更に、信号回線を介して充電停止信号が車両側制御ユニット28に出力される(不図示のメインルーチン側での処理)。
この後、ステップa7で車両側制御ユニット28より、ユーザがコネクタ室35の車両側コネクタ24より充電ケーブル5の差込プラグ34を抜き取ったとの抜き取り信号を充電装置側コントローラ16に送信する。この信号を受けると、ステップa8で充電装置側コントローラ16は充電装置側リッド14を全開位置p2に切換える。これに応じてユーザは内室13の充電器側コネクタ11より充電ケーブル5の他端の差込プラグ22を抜き取り、充電ケーブル5を車両に収容する。
【0047】
この後、ステップa9で車両側制御ユニット28からリッド閉情報の入力を待ち、ステップa10で沿って、リッド13のロック、ここではリッド13を全閉位置p2に切換える。これにより、コネクタ室13を閉鎖しロック状態とする。この充電装置側リッド14の閉処理により、充電装置2がいたずらされたり、登録されていない不正使用者が充電処理を行なうことを確実に防止できる。
【0048】
このように、図1の充電リッド制御装置では、車両側制御ユニット28がリッド開情報(IDコードを含む開信号)である車両認識信号を発し、これに応じて車両側施錠手段である車両側リッド36を全開位置p2に切換えて開錠作動させ、更に、この車両認識信号(IDコードを含む開信号)を充電装置制御ユニットが受け該車両認識信号IDコードを含む開信号)が登録されている車両認識信号(マスターコード)と一致すると、充電装置側施錠手段を開錠作動させ、即ち、充電装置側リッド14を全開位置p2に切換えて開錠作動させるので、指定車両のみに給電することができる。更に、車両側リッド36と充電装置側リッド14の両開錠操作を携帯機33のリッド開ボタン33aの1度の操作で順次リッドを開操作でき、2度行なうことなく1度で済ませるので開錠操作性がよい。
【0049】
更に、充電ケーブル5の両端プラグ34、22のうち車両側コンセント24からのプラグ取外しが車両側制御ユニット28で検出されてから、充電ケーブル5の取外し検出信号を充電装置制御ユニット16が受け、この充電装置制御ユニットが充電装置側リッド14を全開位置p2に切換え、開錠作動させ、その上で充電装置側コンセント11から差込プラグ22を引き出し操作するので、充電操作中の電流に対する安全性を向上させることができる。
【0050】
図1の充電リッド制御装置では携帯機33のリッド開ボタン33aの操作でリッドを開操作していたが、場合により車室に設けた開錠スイッチ(不図示)により開錠指示を発っして車両側制御ユニットや充電装置制御ユニットに開錠指示しても良く、この場合、装置の簡素化を図れる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1 充電リッド制御装置
2 充電装置(外部充電装置)
5 充電ケーブル
6 バッテリ(電池)
11 充電装置側コンセント
13,35 収容室
14 充電装置側リッド
15 リッド駆動部(充電装置側施錠手段)
16 充電装置制御ユニット(充電装置側リッド施錠制御手段)
22、34 両端プラグ
24 車両側コンセント
28 車両側リッド施錠制御手段
28s1 車両側リッド開錠検知手段
28s2 プラグ取外し検知手段
36 車両側リッド
38 リッド駆動部(車両側施錠手段)
C 車両
P1 全開位置
P2 閉鎖位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた車両側コンセントと外部充電装置に設けられた充電装置側コンセントとに充電ケーブルの両端プラグを差込セットすることで前記外部充電装置から前記車両に電力を供給する充電装置と、
前記充電ケーブルの一方のプラグが前記車両側コンセントに差込まれた状態で前記車両側コンセントの収容室を開閉する車両側リッドと、
前記車両側リッドの施錠状態を制御する車両側リッド施錠制御手段と、
前記車両側リッドの開錠を検知する車両側リッド開錠検知手段と、
前記一方のプラグが前記車両側コンセントから取り外されたことを検知するプラグ取外し検知手段と、
前記充電ケーブルの他方のプラグが前記充電装置側コンセントに差込まれた状態で前記充電装置側コンセントの収容室を開閉する充電装置側リッドと、
前記充電装置側リッドの施錠状態を制御する充電装置側リッド施錠制御手段と、を備え、
前記充電装置側リッド施錠制御手段は、前記車両側リッドの開錠が検知され、且つ、前記一方のプラグが前記車両側コンセントから取り外されたことが検知された後に、前記充電装置側リッドを開錠する
ことを特徴とする充電リッド制御装置。
【請求項2】
前記車両側リッド施錠制御手段は、
ユーザが前記車両に固有のIDコードを開錠信号として送信したことを検知して、前記車両側リッドの閉施錠を解除する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電リッド制御装置。
【請求項3】
前記車両は、
前記固有のIDコードを受信するIDコード受信手段と、
受信した前記IDコードと所定記憶部に記憶されたマスターコードとを照合する照合手段とを備え、
前記車両側リッド施錠制御手段は、前記IDコードの照合の一致に基づいて、前記車両側リッドの閉施錠を解除する
ことを特徴とする請求項2記載の充電リッド制御装置。
【請求項4】
前記IDコード送信手段は携帯機である、
ことを特徴とする請求項3記載の充電リッド制御装置。
【請求項5】
前記外部充電装置は、前記車両の情報を無線により受信する無線受信手段を備え、
前記無線受信手段が、前記車両側リッドの閉施錠が解除され、且つ、前記充電ケーブルの前記一方のプラグが前記車両側コンセントから取り外されたという情報を受信した際に、
前記充電装置側リッド施錠制御手段は、前記充電装置側リッドの閉施錠を解除する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の充電リッド制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−9460(P2013−9460A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138594(P2011−138594)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】