充電制御装置
【課題】低電圧バッテリを充電する際の電力変換による損失を抑制する充電制御装置を提供する。
【解決手段】太陽電池1と、電力変換器を介して太陽電池1からの電力で充電される高電圧バッテリ5と、電力変換器を介さず太陽電池1からの電力で充電される高電圧バッテリ5より低い定格電圧の低電圧バッテリ10と、を備える。
【解決手段】太陽電池1と、電力変換器を介して太陽電池1からの電力で充電される高電圧バッテリ5と、電力変換器を介さず太陽電池1からの電力で充電される高電圧バッテリ5より低い定格電圧の低電圧バッテリ10と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行用電動機を駆動するための主バッテリと、補機類を駆動するための補機用バッテリと、各バッテリを充電すべく各バッテリに切替えスイッチを介して選択的に接続されたソーラーセルと、該ソーラーセルをその出力電力が最大となる動作点で作動させる作動制御手段と、該ソーラーセルの出力電力があらかじめ設定された所定値以上であるときには該ソーラーセルを前記主バッテリに接続して該主バッテリの充電を行うべく前記切替えスイッチを制御すると共に、該ソーラーセルの出力電力が前記所定値以下であるときには該ソーラーセルを前記補機用バッテリに接続して該補機用バッテリの充電を行うべく前記切替えスイッチを制御する充電制御手段とを備えた電気走行車が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−111112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ソーラーセルの出力電力により補機用バッテリを充電する際には、作動制御手段に含まれる電力変換回路により電力を変換しなければならないため、変換により損失が大きくなる、という可能性があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、低電圧バッテリを充電する際の電力変換による損失を抑制する充電制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、太陽電池から出力される電力を、高電圧バッテリの充電電力に変換する電力変換器を介さずに、低電圧バッテリに供給することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低電圧バッテリを太陽電池により充電する際に、電力変換による変換損失が発生しないため、低電圧バッテリを高効率で充電することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。
【図2】図1の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。
【図4】図3の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。
【図6】図5の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。
【図8】図7の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。
【図10】図9の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は、発明の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。以下、本例の充電制御装置を電気自動車に適用した例を挙げて説明するが、本例の充電制御装置は、例えばハイブリッド自動車等の電気自動車以外の車両にも適用可能である。
【0011】
図1に示すように、本例の車両は、太陽電池1と、出力切替回路2と、PCS4と、バッテリ5と、充電ポート6と、充電器7と、インバータ8と、モータ9と、バッテリ10と、DC/DCコンバータ11と、コントローラ20とを備えている。太陽電池1は、例えば車両のルーフパネルに設けられ、太陽エネルギーを電力に変換する電力機器である。
【0012】
出力切替回路2は、スイッチ2a、2b、2c、2dを備え、太陽電池1と、低電圧バッテリ10及びPCS4との間に接続されている。スイッチ2aとスイッチ2b、及び、スイッチ2cとスイッチ2dにより、それぞれリレースイッチを構成している。スイッチ2a及びスイッチ2bがオンになると、太陽電池1から出力される電力は出力切替回路2を介してPCS4に入力され、スイッチ2c及びスイッチ2dがオンになると、太陽電池1から出力される電力は出力切替回路2を介してバッテリ10に入力される。また後述するように、PCS4はバッテリ5と接続されているため、スイッチ2a及びスイッチ2bがオンになると、太陽電池1a、1bから出力される電力はPCS4を介してバッテリ5へ供給可能な状態となる。また、太陽電池1及びバッテリ10は、出力切替回路2を介して、直接接続されているため、スイッチ2c及びスイッチ2dがオンになると、太陽電池1からの電力はバッテリ10に直接供給される。出力切替回路2は、コントローラ20からの制御信号に基づき、スイッチ2a〜2dのオン及びオフを切り替えることで、太陽電池1からの出力をPCS4介してバッテリ5に供給する回路と、太陽電池1からの出力をバッテリ10に供給する回路とを選択的に切り替える。
【0013】
PCS(Power Conversion System)4は、太陽電池1から出力される電力を変換する変換回路を含む電力変換システム(パワーコンディショナー)であり、太陽電池1の最大電力点を追従するMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力追従制御)制御を行う回路である。PCS4は、出力切替回路2とバッテリ5との間に接続され、太陽電池1から出力される電力を昇圧して、バッテリ5の充電電力として、バッテリ5に供給する。PCS4には、例えば、昇圧チョッパ、整流回路及びDC/DCコンバータ等が設けられている。昇圧チョッパに含まれるトランジスタは、コントローラ20からのスイッチング信号に基づきオン及びオフを切り替える。そして、トランジスタのスイッチング波形のデューティ比がコントローラ20により設定されることで、PCS4は、変換回路からの出力電圧をほぼ一定に維持しつつ、PCS4の入力電圧の動作点を操作し、太陽電池1の発電電力を制御する。また、PCS4は、バッテリ5を含む高電圧回路と、低電圧回路とを絶縁可能な絶縁型の回路である。
【0014】
バッテリ5は、複数の二次電池により構成され、車両の駆動源となり、後述するバッテリ10と比較して、定格電圧が高い高電圧バッテリである。バッテリ5は、PCS4に接続され、またインバータ8を介してモータ9に接続されている。またバッテリ5は、外部電源からの電力により充電可能なバッテリであり、充電器7を介して、充電ポート6に接続されている。充電ポート6は、外部からの充電コネクタと接続可能な充電口であり、充電器7と配線を介して接続されている。また当該充電コネクタは、家庭用の交流電源等の商用電力系統の電源等に接続される。
【0015】
充電器7は、入力側を充電ポート6に接続され、出力側をバッテリ5に接続されている。充電器3は、外部電源からの電力を、バッテリ5を充電するための充電電力に変換し、バッテリ5に供給しバッテリ5を充電する。充電器7の充電制御は、コントローラ20により行われる。また充電器7は、DC/DCコンバータ11を介して、バッテリ10に接続され、コントローラ20の制御信号に基づいて、バッテリ10を充電する。
【0016】
インバータ8は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のスイッチング素子を複数備え、平滑用のコンデンサ等を備え、バッテリ5とモータ9との間に接続されている。インバータ8は、コントローラ20から送信されるスイッチング信号に基づき、当該スイッチング素子をPWM制御することで、バッテリ5から供給される直流電力を交流電力に変換し、モータ9の各相に提供する。また、インバータ8は、モータ9の回生によりモータ9から供給される電力を変換して、バッテリ5に供給する。モータ9は、例えば三相交流モータであり、インバータ8に接続されている。
【0017】
バッテリ10は、複数の二次電池により構成され、車両のヘッドライトやオーディオ機器などの補機類を運転させるための電力源となり、バッテリ5と比較して、定格電圧が低い低電圧バッテリである。バッテリ10は、DC/DCコンバータ11及び出力切替回路2に接続されている。バッテリ10は、太陽電池1から供給される電力及び外部電源からの電力により充電される。太陽電池1の電力でバッテリ10を充電する際には、太陽電池1の電力は、PCS4を介さず、かつ、電力変換されず、バッテリ10に供給されることでバッテリ10が充電され、言い換えると、電力変換されていない、太陽電池1からの電力で、バッテリ10は充電される。
【0018】
バッテリ10は、DC/DCコンバータ11を介してバッテリ5に接続され、バッテリ5の電力をバッテリ10に供給することで充電される。DC/DCコンバータ11は、バッテリ5とバッテリ10との間、及び、充電器7とバッテリ10との間に接続され、バッテリ5からの電力を変換してバッテリ10へ供給し、充電器7からの電力を変換してバッテリ10へ供給する。DC/DCコンバータ11は、コントローラ20から送信される制御信号に基づいて、バッテリ10と、バッテリ5及び充電器7との間の導通状態を切り替える。
【0019】
電圧センサ12及び電流センサ13は、太陽電池1の出力電流及び出力電圧を検出するセンサであり、太陽電池1に接続されている。電圧センサ12及び電流センサ13の検出値は、コントローラ20に送信される。電圧センサ14はバッテリ5の電圧を検出するセンサであり、バッテリ5に接続されている。電圧センサ15はバッテリ10の電圧を検出するセンサであり、バッテリ10に接続されている。そして、電圧センサ14、15の検出値は、コントローラ20に送信される。
【0020】
コントローラ20は、車両状態判定部21を備えている。コントローラ20は、本例の電力変換装置の全体を制御する回路であり、太陽電池1によるバッテリ5及びバッテリ10の充電制御、外部電源からのバッテリ5及びバッテリ10の充電制御、バッテリ5とバッテリ10との間における電力受給制御、及び、モータ9の駆動制御等を行い、スイッチ2a〜2dのオン及びオフを切り替える制御を行う。
【0021】
コントローラ20は、電圧センサ14及び電圧センサ15の検出値からバッテリ5及びバッテリ10の状態を管理し、電圧センサ12及び電流センサ13の検出値から太陽電池1の発電電力を算出する。また、コントローラ20は、バッテリ10の電力により動作する補機類の状態を管理し、補機類の動作状況からバッテリ10の消費電力を算出する。
【0022】
車両状態判別部21は、車両の車速、アクセル開度等を含む車両情報から、車両の走行状態を判別する。本例では、車両状態判別部21は、車両のシフト情報から車両状態を判別し、具体的にはシフトポジジョンがP(パーキング)レンジにある時には、車両が駐車していると判別し、シフトポジションがPレンジ以外のR(リーバース)、N(ニュートラル)またはD(ドライブ)レンジにある時には、車両が走行していると判別する。コントローラ20は、車両状態判別部21の判別結果に基づいて、出力切替回路2のスイッチ2a〜2dを制御して、太陽電池1と、バッテリ5及びバッテリ10との間の電力ラインを制御する。
【0023】
次に、図1を用いて、本例の充電制御装置の制御内容について説明する。まず、コントローラ20は車両情報を取得し、車両情報判別部21は当該車両情報に含まれるシフト情報からシフトポジションを検出し、車両が駐車しているか、車両が走行しているか判別する。シフトポジションがPレンジである場合には、車両情報判別部21は、車両が駐車中である、と判別し、コントローラ20は、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにすることで、太陽電池1からの電力を、PCS4を介してバッテリ5に供給する回路に切り替える。一方、シフトポジションがPレンジでない場合には、車両情報判別部21は、車両が走行中である、と判別し、コントローラ20は、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにすることで、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。また、車両走行中、太陽電池1の電力はPCS4に入力されないため、コントローラ20はPCS4を動作させない。
【0024】
車両の駐車中には、太陽電池1の発電電力を、PCS4により昇圧させることで電力変換させて、バッテリ5に供給することでバッテリ5を充電し、車両の航続距離を延ばすことができる。
【0025】
車両の走行中には、バッテリ5は主に車両を駆動されるために消費され、バッテリ10は補機類の使用により消費されている。コントローラ20は、車両走行中、補機類を動作させることで消費するバッテリ10を、太陽電池1の発電電力で充電する。コントローラ20は、車両走行中、バッテリ10の消費電力及び太陽電池1の発電電力を管理しているため、当該消費電力及び当該発電電力に応じて、出力切替回路を制御してバッテリ10を充電する。
【0026】
ここで、バッテリ5とバッテリ10との間には、DC/DCコンバータ11が接続されているため、バッテリ5の電力をバッテリ10の電力に供給した場合には、DC/DCコンバータ11の電力変換で電力損失が生じてしまう。そのため、本例では、車両の走行中、太陽電池1の電力をバッテリ10に直接供給してバッテリ10を充電することで、バッテリ5からバッテリ10に供給される電力を低減させる。これにより、バッテリ5の電力がバッテリ10に流れることが抑制されるため、バッテリ5の電力消費を低減させて、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【0027】
さらに、太陽電池1とバッテリ10との間には、スイッチ2c、2dが接続されているのみであり、PCS4のような電力変換回路が接続されていないため、太陽電池1とバッテリ10との間では、上記のような電力変換による電力損失が生じない。そのため、バッテリ10に対して、太陽電池1の発電電力を高効率で供給させることができる。さらにPCS4を動作しなくてもよいため、PCS4を動作させるためのバッテリ5の消費電力を抑制することができる。
【0028】
次に、図2を用いて、本例の充電制御装置の制御手順を説明する。図2は、本例の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。ステップS1にて、車両状態判別部21は、車両情報に含まれるシフト情報を取得する。ステップS2にて車両状態判別部21は、シフトポジションがPレンジであるか否かを判別する。シフトポジジョンがPレンジである場合には、車両状態判別部21は、車両が駐車していると判別し、コントローラ20は、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにする(ステップS3)。ステップS4にて、コントローラ20は、PCS4を動作させて、MPPT制御を行い、太陽電池1の電力によりバッテリ5を充電する。
【0029】
ステップS2に戻り、シフトポジジョンがPレンジではない場合には、車両状態判別部21は、車両が走行していると判別し、コントローラ20は、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにする(ステップS5)。ステップS6にて、コントローラ20はPCS4を動作させずに、太陽電池1の電力によりバッテリ10を充電する。
【0030】
上記のように、本例は、PCS4を介して太陽電池1からの電力で充電されるバッテリ5と、PCS4を介さず、太陽電池1からの電力で充電されるバッテリ10とを備えている。これにより、太陽電池1とバッテリ10との間は、PCS4等の電力変換回路を介さずに接続されており、太陽電池1の電力をバッテリ10に供給する際に、電力変換による変換損失が発生しないため、太陽電池1の電力でバッテリ10を効率よく充電することができる。また、本例では、太陽電池1の電力でバッテリ10を充電する際に、太陽電池1の電力をPCS4で電力変換してバッテリ5に供給し、バッテリ5の電力をDC/DCコンバータ11で電力変換してバッテリ10に供給する必要がないため、PCS4の変換損失及びDC/DCコンバータ11の変換損失を発生させず、太陽電池1の電力でバッテリ10を充電することができる。
【0031】
また本例は、出力切替回路2により、太陽電池1からの電力をバッテリ5に供給する回路と、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路とを選択的に切り替える。これにより、本例は、太陽電池1の電力をバッテリ5及びバッテリ10のいずれか一方のバッテリに供給した場合に、他方のバッテリには供給されないため、太陽電池1の出力電力を充電させたいバッテリに効率よく供給し、充電させることができる。また、出力切替回路2により、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替えた場合には、太陽電池1からの電力はPCS4に供給されないため、PCS4における変換損失が発生せず、充電効率を高めることができる。
【0032】
また本例は、車両状態判別部21により車両が駐車していると判別した場合には、太陽電池1からの電力をバッテリ5に供給する回路に切り替え、車両が走行していると判別した場合には、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、車両の走行状態に応じた太陽電池1の出力電力の供給先を選択することができ、電力変換損失を低減させることができ、電気自動車の一充電走行距離を増加させることが可能となる。また、走行中には、太陽電池1の出力電力をバッテリ10に直接供給し、バッテリ5からDC/DCコンバータ11を介してバッテリ10に繋がる電力変換回路に電力を通過させないため、電力変換による損失を低減させることができ、その結果として、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【0033】
上記のPCS4が本発明の「電力変換器」に相当し、出力切替回路2が本発明の「切替回路」に、コントローラ20が本発明の「制御手段」に、車両状態判別部21が本発明の「判別手段」に相当する。
【0034】
《第2実施形態》
図3は、発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。本例では上述した第1実施形態に対して、消費電力演算部22の演算結果に基づいて、出力切替回路2を制御する点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、第1実施形態及び第2実施形態の記載を適宜、援用する。
【0035】
コントローラ20は消費電力演算部22を備えている。消費電力演算部22は、バッテリ10の電力で動作している補機類の使用電力から、バッテリ10の消費電力を演算する。補機類に含まれる、オーディオやエアコンなどの使用電力は動作状況に応じて予め決まっているため、消費電力演算部22は、補機類の使用状況からバッテリ10の消費電力を演算することができる。
【0036】
コントローラ20には、補機類が利用されてバッテリ10の消費電力が高くなっていることを示す消費電力閾値(Pth)が設定されている。消費電力閾値には、例えば、車両の駐車中において、補機類等の待機電力によりバッテリ10で消費される電力より高い消費電力が設定される。そして、コントローラ20は、消費電力演算部22により演算された消費電力(Pn)と消費電力閾値(Pth)とを比較する。消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)より高い場合には、車両が駐車中でも、コントローラ20は、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにし、太陽電池1の電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、車両の走行中、例えばオーディオ、TV、ライト等の機器を動作させて、バッテリ10の消費電力が高くなった場合でも、太陽電池1の発電電力を、バッテリ10を介して、当該機器を含む低電圧回路に供給することができる。
【0037】
次に、図4を用いて、本例の充電制御装置の制御手順を説明する。図4は、本例の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。なお、図4のステップS1〜ステップS6の制御処理は、図2のステップS1〜S6の制御処理と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
ステップS1の後、ステップS41にて、消費電力演算部22は、バッテリ10が消費する消費電力(Pn)を演算し、ステップS2に遷る。ステップS2にて、シフトポジジョンがPレンジである場合には、ステップS42にて、コントローラ20は、消費電力演算部22により演算された消費電力(Pn)と消費電力閾値(Pth)とを比較する。消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)より高い場合には、ステップS5にて、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにして、太陽電池1からバッテリ10への電力ラインを導通させる。一方、消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)以下である場合には、ステップS3にて、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにして、太陽電池1からPCS4を介してバッテリ5へ繋がる電力ラインを導通させる。
【0039】
上記のように、本例は、消費電力演算部22により演算された消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)より高い場合には、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、バッテリ10の電力により動作する補機類等の回路における消費電力が高いときに、太陽電池1の出力電力を当該回路に直接供給することができ、バッテリ10の充電容量の低下を抑制することができる。また、本例では、バッテリ10の電力を消費させる回路に電力を供給する際に、バッテリ5とバッテリ10との間における電力変換の変換損失を発生させることなく、太陽電池1の出力電力を当該回路に供給するため、太陽電池1の発電電力の使用効率を高めることができる。
【0040】
また本例は、車両の駐車中、消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)より高くなった場合に、太陽電池1からの電力をバッテリ5に供給する回路に切り替えるため、車両駐車中であっても、バッテリ10の電力を消費させる補機類等を動作させることができる。
【0041】
なお、本例において、消費電力演算部22は、バッテリ10の出力電流を検出電流センサ(図示しない)及び電圧センサ15の検出値から、バッテリ10の消費電力を演算してもよい。
【0042】
上記消費電力演算部22は本発明の「消費電力演算手段」に相当し、消費電力閾値(Pth)が「所定の電力閾値」に相当する。
《第3実施形態》
図5は、発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。本例では上述した第2実施形態に対して、SOC推定部23の演算結果に基づいて、出力切替回路2を制御する点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、第1実施形態及び第2実施形態の記載を適宜、援用する。
【0043】
コントローラ20はSOC推定部23を備えている。SOC推定部23は、電圧センサ15の検出電圧からバッテリ10の充電状態(State of Charge:SOC)を推定する。SOC推定部23には、バッテリ10の開放電圧とバッテリ10のSOCとの関係を示すマップが予め格納されている。電圧センサ15はDC/DCコンバータ11を動作する前のバッテリ10の電圧を検出し、SOC推定部23は、当該マップを参照して、電圧センサ15の検出電圧に対応するSOCを抽出することで、バッテリ10のSOCを推定する。
【0044】
コントローラ20には、バッテリ10の充電容量の下限値を示すSOCである下限SOC閾値が設定されている。バッテリ10のSOCが当該下限SOC閾値(SOCth)より低くなるとバッテリ10が過放電になる可能性が高くなるため、バッテリ10の充電を必要とする。そして、コントローラ20は、SOC推定部23により推定されたバッテリ10の推定SOCと、下限SOC閾値(SOCth)とを比較する。推定SOCが下限SOC閾値(SOCth)より低い場合には、車両が駐車中であっても、コントローラ20は、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにし、太陽電池1の電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、車両の駐車中、例えばオーディオ、TV、ライト等の機器を動作させて、バッテリ10の充電容量が低くなった場合でも、太陽電池1の発電電力を、バッテリ10に供給し、バッテリ10を充電することができる。
【0045】
次に、図6を用いて、本例の充電制御装置の制御手順を説明する。図6は、本例の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。なお、図6のステップS1〜ステップS6の制御処理は図2のステップS1〜S6の制御処理と同様であり、図6のステップS41、42の制御処理は、図4のステップS41、42の制御処理と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
ステップS41の後、ステップS61にて、SOC推定部23は、電圧センサ15の検出電圧からマップを参照して、バッテリ10のSOCを推定し、ステップSに遷る。ステップS2にてシフトポジジョンがPレンジである場合で、ステップS42にて消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)以下である場合には、ステップS62にて、コントローラ20は、推定されたSOCと下限SOC閾値(SOCth)とを比較する。推定SOCが下限SOC閾値(SOCth)より低い場合には、ステップS5にて、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにして、太陽電池1からバッテリ10への電力ラインを導通させる。一方、推定SOCが下限SOC閾値(SOCth)以上である場合には、ステップS3にて、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにして、太陽電池1からPCS4を介してバッテリ5へ繋がる電力ラインを導通させる。
【0047】
上記のように、SOC推定部23により推定されたSOCが下限SOC閾値(SOCth)より低い場合には、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、バッテリ10の充電容量が低い時に、太陽電池1の出力電力をバッテリ10に直接供給して、バッテリ10を充電することができるため、バッテリ10の過放電を防ぐことができる。また、本例では、バッテリ5とバッテリ10との間における電力変換の変換損失を発生させることなく、太陽電池1の発電電力をバッテリ10に供給するため、太陽電池1の発電電力の使用効率を高めることができる。また、バッテリ10を充電する際に、太陽電池1の発電電力を用いるため、バッテリ5の容量低下を抑制し、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【0048】
なお本例において、SOC推定部23はマップを用いてSOCを推定したが、バッテリ10に接続された電流センサ(図示しない)により、バッテリ10の充放電電流を検出し、検出電流の積算値からSOCを演算することで、SOCを推定してもよい。
【0049】
また本例において、コントローラ20は、SOC推定部23により推定されるSOCと下限SOC閾値とを比較したが、電流センサ15の検出電圧とバッテリ10の下限電圧閾値とを比較して、出力切替回路2を制御してもよい。すなわち、上記のようにバッテリ10の開放電圧とバッテリ10のSOCとの間には関連性があるため、SOCとSOC閾値とを比較することは、バッテリ10の開放電圧と電圧閾値とを比較することに対応している。そのため、コントローラ20にバッテリ10の充電容量の下限値を示す開放電圧の閾値(下限電圧閾値)を予め設定する。コントローラ20は、DC/DCコンバータ11を動作する前のバッテリ10の検出電圧(開放電圧)と、下限電圧閾値とを比較し、検出電圧が下限電圧閾値より低い時に、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにして、太陽電池1からバッテリ10への電力ラインを導通させる。
【0050】
上記のSOC推定部23が本発明の「充電状態推定手段」に相当し、下限SOC閾値が「下限充電状態閾値」に相当する。
【0051】
《第4実施形態》
図7は、発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。本例では上述した第3実施形態に対して、直並列切替回路3を設け、出力電力演算部24の演算結果に基づいて、出力切替回路2を制御する点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、第1〜第3実施形態の記載を適宜、援用する。
【0052】
太陽電池1a及び太陽電池1bは、それぞれの出力を独立させて、直並列切替回路3に接続されている。直並列切替回路3は、スイッチ3a、3b、3cを備え、太陽電池1a、1bと出力切替回路2との間に接続されている。スイッチ3a、スイッチ3b及びスイッチ3cは直列に接続され、太陽電池1aの出力のうちP側の出力線がスイッチ3cの高電位側の端子に接続され、太陽電池1aの出力のうちN側の出力線がスイッチ3aとスイッチ3bとの接続点に接続され、太陽電池1bの出力のうちP側の出力線がスイッチ3bとスイッチ3cとの接続点に接続され、太陽電池1aの出力のうちN側の出力線がスイッチ3aの低電位側の端子に接続されている。そして、スイッチ3a及びスイッチ3cがオンになると、太陽電池1a及び太陽電池1bは並列接続の状態となり、スイッチ3bがオンになると、太陽電池1a及び太陽電池1bは直列接続の状態となる。直並列切替回路2は、コントローラ20からの制御信号に基づいて、スイッチ3a〜3cのオン及びオフを切り替えることで、太陽電池1a及び太陽電池1bの接続状態を切り替える回路となる。直並列接続回路3の高電位側の出力端子はスイッチ2b及びスイッチ2dに接続され、直並列接続回路3の低電位側の出力端子はスイッチ2a及びスイッチ2cに接続されている。
【0053】
電圧センサ16及び電流センサ17は、太陽電池1a、1bから出力される電圧及び電流をそれぞれ検出するセンサであり、直並列切替回路3及び出力切替回路2の間に接続されている。
【0054】
コントローラ20は出力電力演算部24を備えている。出力電力演算部24は、電圧センサ16の検出電圧と電流センサ17の検出電流とから、太陽電池1a、1bの出力電力を演算する。出力電力演算部24により演算された太陽電池1a、1bの出力電力が太陽電池1a、1bの発電電力に相当する。なお、出力電力演算部24により太陽電池1a、1bの出力電力を演算する際に、電圧センサ16及び電流センサ17による検出値を得るために、コントローラ20はスイッチ2a〜2dをオンにしてもよい。
【0055】
コントローラ20には、バッテリ5の充電を可能とする、太陽電池1a、1bの発電電力(出力電力)の下限値として、下限出力電力閾値(Ppvth)が設定されている。太陽電池1a、1bの電力でバッテリ5を充電する場合には、PCS4を介して電力が供給されるため、電力損失が発生する。またバッテリ5は高電圧バッテリである。そのため、バッテリ5を充電するためには、バッテリ10を充電する電力と比較して高い充電電力を要し、PCS4による電力損失を考慮すると、太陽電池1a、1bに対して高い発電電力が求められる。そのため本例では、図7に示す回路において、バッテリ5を充電することができる程度の電力を太陽電池1a、1bが発電しているか否かを示す閾値として、下限出力電力閾値(Ppvth)が設定されている。
【0056】
そして、コントローラ20は、出力電力演算部24により演算された出力電力(Po)と下限出力電力閾値(Ppvth)とを比較する。出力電力(Po)が下限出力電力閾値(Ppvth)より高い場合には、コントローラ20は、バッテリ5を充電可能な電力が太陽電池1a、1bから発電していると判断して、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにする。また、バッテリ5を充電する際には、PCS4への入力電圧を高めるために、コントローラ20はスイッチ3bをオンに、スイッチ3a、3cをオフにする。これにより、コントローラ20は、直列に接続された太陽電池1a、1bの出力電力をバッテリ5に供給する回路に切り替え、PCS4をMPPT制御して、バッテリ5を充電する。
【0057】
一方、出力電力(Po)が下限出力電力閾値(Ppvth)より低い場合には、コントローラ20は、バッテリ5を充電可能な電力が太陽電池1a、1bから発電されていないと判断して、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにする。また、バッテリ10を充電する際には、コントローラ20はスイッチ3a、3cをオンに、スイッチ3bをオフにする。これにより、コントローラ20は、並列に接続された太陽電池1a、1bの出力電力をバッテリ10に供給する回路に切り替え、バッテリ10を充電する。
【0058】
次に、図8を用いて、本例の充電制御装置の制御手順を説明する。図8は、本例の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。ステップS81にて、車両状態判別21は車両情報に含まれるシフト情報を取得する。ステップS82にて、消費電力演算部22はバッテリ10が消費する消費電力(Pn)を演算する。ステップS83にて、出力電力演算部24は太陽電池1a、1bの出力電力(Po)を演算する。ステップS84にて車両状態判別部21は、シフトポジションがPレンジであるか否かを判別する。
【0059】
シフトポジションがPレンジである場合には、ステップS85にて、コントローラ20は、消費電力(Pn)と消費電力閾値(Pth)とを比較する。消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)以下である場合には、ステップS86にて、コントローラ20は出力電力(Po)と下限出力電力閾値(Ppvth)とを比較する。そして、出力電力(Po)が下限出力電力閾値(Ppvth)より低い場合には、コントローラ20は、車両駐車中、バッテリ5を充電するだけの電力が太陽電池1a、1bから発電されていないと判断して、ステップS90に遷る。
【0060】
一方、出力電力(Po)が下限出力電力閾値(Ppvth)以上である場合には、コントローラ20は、車両駐車中、バッテリ5を充電するだけの電力が太陽電池1a、1bから発電されている判断して、コントローラ20は、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにする(ステップS87)。ステップS88にて、コントローラ20は、スイッチ3bをオンに、スイッチ3a、3cをオフにする。ステップS89にて、コントローラ20は、PCS4を動作させて、MPPT制御を行い、直列接続された太陽電池1a、1bの電力によりバッテリ5を充電する。
【0061】
ステップS84に戻りシフトポジジョンがPレンジではない場合、ステップS85に戻り消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)より高い場合、または、ステップS86に戻り出力電力(Po)が下限出力電力閾値(Ppvth)より低い場合には、ステップS90にて、コントローラ20は、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにする(ステップS91)。ステップS92にて、コントローラ20はPCS4を動作させずに、太陽電池1の電力によりバッテリ10を充電する。
【0062】
上記のように、本例は、出力電力演算部24により演算された出力電力(Po)がバッテリ5を充電するための太陽電池の出力電力の下限値を示す下限出力電力閾値(Ppvth)より低い場合には、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、太陽電池1a、1bの発電電力が低くバッテリ5を充電することができない場合には、太陽電池1a、1bの電力でバッテリ10を充電することができる。またバッテリ10の電力で補機類を動作させている場合には、太陽電池1a、1bの出力電力を当該補機類などの回路に直接供給することができるため、バッテリ10の充電容量の低下を抑制することができる。
【0063】
また本例は、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ5に供給する場合には、太陽電池1a、1bの接続状態を直列接続に切り替え、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ10に供給する場合には、太陽電池1a、1bの接続状態を並列接続に切り替える。これにより、バッテリ10を充電する際には、PCS4をMPPT制御して、太陽電池1a、1bの出力の電流・電圧特性で定まる最大電力点により近い動作点電圧に設定することができる。また、バッテリ10を充電する場合には、太陽電池1a、1bは並列接続の状態となるため、太陽電池1a、1bの電圧・電流特性から定まる発電電力点を、最大発電電力点に近づけることができ、太陽電池1a、1bの発電電力量を増加させることができる。また、バッテリ5を充電する場合には、太陽電池1a、1bは直列接続の状態となるため、PCS4に入力する電圧を高めることができるため、同じ発電電力である場合に、PCS4の入力電流は下がり、これによってPCS4の電力変換損失を低減することができる。そして、その結果として、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【0064】
また本例は、駐車中に、太陽電池1a、1bの発電電力が低下し、太陽電池1a、1cの出力電力が下限出力電力閾値(Ppvth)より低くなった場合にも、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、車両の駐車中に、バッテリ5を充電するだけの電力を太陽電池1a、1bから得ることができなくなっても、バッテリ10を充電することができ、太陽電池1a、1bからの発電電力を有効に活用することができる。
【0065】
上記の出力電力演算部24が本発明の「出力電力演算手段」に相当する。
【0066】
《第5実施形態》
図9は、発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。本例では上述した第4実施形態に対して、SOC推定部23の演算結果に基づいて、出力切替回路2を制御する点が異なる。これ以外の構成は上述した第4実施形態と同じであるため、第4実施形態の記載を適宜、援用する。
【0067】
コントローラ20はSOC推定部23を備えている。SOC推定部23は、電圧センサ14の検出電圧からバッテリ5の充電状態(State of Charge:SOC)を推定する。SOC推定部23には、バッテリ5の開放電圧とバッテリ5のSOCとの関係を示すマップが予め格納されている。電圧センサ14はインバータが停止している場合、あるいは、バッテリ5に付加がかかっていない場合のバッテリ5の電圧を検出し、SOC推定部23は、当該マップを参照して、電圧センサ14の検出電圧に対応するSOCを抽出することで、バッテリ5のSOCを推定する。
【0068】
コントローラ20には、バッテリ5の充電容量の下限値を示すSOCである下限SOC閾値が設定されている。バッテリ10のSOCが当該下限SOC閾値(SOChth)より低くなるとバッテリ5が過放電になる可能性が高くなるため、バッテリ5の充電を必要とする。そして、コントローラ20は、SOC推定部23により推定されたバッテリ5の推定SOCと、下限SOC閾値(SOChth)とを比較する。推定SOCが下限SOC閾値(SOChth)より低い場合には、車両が走行中であっても、コントローラ20は、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにし、太陽電池1の電力をバッテリ5に供給する回路に切り替える。これにより、バッテリ5の充電量が低くなった場合でも、太陽電池1の発電電力を、バッテリ5に供給し、バッテリ5を充電することができる。
【0069】
また、コントローラ20には、バッテリ10を充電する際の、太陽電池1a、1bの発電電力(出力電力)の上限値として、上限出力電力閾値(Phpvth)が設定されている。バッテリ10は低電圧バッテリであり、太陽電池1a、1bの発電電力が、バッテリ10を充電する際の最大許容電力を越える場合がある。そのため、本例では最大許容電力に相当する閾値として、バッテリ10に応じて上限出力電力閾値(Phpvth)を設定する。そして、太陽電池1a、1bの発電電力が上限出力電力閾値(Phpvth)より高い場合には、太陽電池1a、1bの発電電力をバッテリ10に供給しても余剰となりうるため、コントローラ20は、太陽電池1a、1bの発電電力をバッテリ5に供給する。これにより、太陽電池1a、1bの発電電力を有効に活用することができる。
【0070】
次に、図10を用いて、本例の充電制御装置の制御手順を説明する。図10は、本例の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。なお、図10のステップS81、S83、S84、S87〜S92の制御処理は図8のステップS81、S83、S84、S87〜S92の制御処理と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
ステップS81の後、ステップS101にて、SOC推定部23はバッテリ5のSOCを推定し、ステップS83に遷る。ステップS84にて、シフトポジションがPレンジではない場合には、ステップS102にて、コントローラ20は、バッテリ5のSOCと下限SOC閾値(SOChth)とを比較する。SOCが下限SOC閾値(SOChth)以下である場合には、バッテリ5のSOCが不足しているとして、ステップS87〜ステップS89の処理へ遷り、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ5に供給し、バッテリ5を充電する。一方、SOCが下限SOC閾値(SOChth)より高い場合には、ステップS103に遷る。
【0072】
ステップS103にて、コントローラ20は太陽電池1a、1bの出力電力(Po)と上限出力電力閾値(Phpvth)とを比較する。出力電力(Po)が上限出力電力閾値(Phpvth)より高い場合には、太陽電池1a、1bの発電電力がバッテリ10を充電する際の最大電力を越えていると判断して、ステップS87〜ステップS89の処理へ遷る。一方、出力電力(Po)が上限出力電力閾値(Phpvth)以下である場合には、ステップS90〜ステップS92の処理へ遷り、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ10に供給し、バッテリ10を充電する。
【0073】
上記のように、本例は、バッテリ5のSOCが下限SOC閾値(SOChth)より低い場合には、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ5に供給する回路に切り替える。これにより、バッテリ5の充電容量が低い時に、太陽電池1a、1bの出力電力をバッテリ5に直接供給して、バッテリ5を充電することができるため、バッテリ5の過放電を防ぐことができる。また、本例では、バッテリ5とバッテリ10との間における電力変換の変換損失を発生させることなく、太陽電池1の発電電力をバッテリ5に供給するため、太陽電池1a、1bの発電電力の使用効率を高めることができる。また、バッテリ5を充電する際に、太陽電池1の発電電力を用いるため、バッテリ5の容量低下を抑制し、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【0074】
また本例は、太陽電池1a、1bの出力電力が、バッテリ10を充電する際の太陽電池1a、1bの出力電力の上限値を示す上限出力電力閾値(Phpvth)より高い場合には、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ5に供給する回路に切り替える。これにより、日照量が多く、太陽電池1a、1bの発電電力が上限出力電力閾値(Phpvth)を越えて、バッテリ10を充電するには余剰となる発電電力が発生する場合であっても、余剰となる発電電力をバッテリ5の充電に活用することができ、その結果として、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【符号の説明】
【0075】
1…太陽電池
2…出力切替回路
2a、2b、2c、2d…スイッチ
3…出力切替回路
3a、3b、3c…スイッチ
4…PCS
5…バッテリ
6…充電ポート
7…充電器
8…インバータ
9…モータ
10…バッテリ
11…DC/DCコンバータ
12、14、15、16…電圧センサ
13、17…電流センサ
20…コントローラ
21…車両状態判別部
22…消費電力演算部
23…SOC推定部
24…出力電力演算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行用電動機を駆動するための主バッテリと、補機類を駆動するための補機用バッテリと、各バッテリを充電すべく各バッテリに切替えスイッチを介して選択的に接続されたソーラーセルと、該ソーラーセルをその出力電力が最大となる動作点で作動させる作動制御手段と、該ソーラーセルの出力電力があらかじめ設定された所定値以上であるときには該ソーラーセルを前記主バッテリに接続して該主バッテリの充電を行うべく前記切替えスイッチを制御すると共に、該ソーラーセルの出力電力が前記所定値以下であるときには該ソーラーセルを前記補機用バッテリに接続して該補機用バッテリの充電を行うべく前記切替えスイッチを制御する充電制御手段とを備えた電気走行車が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−111112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ソーラーセルの出力電力により補機用バッテリを充電する際には、作動制御手段に含まれる電力変換回路により電力を変換しなければならないため、変換により損失が大きくなる、という可能性があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、低電圧バッテリを充電する際の電力変換による損失を抑制する充電制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、太陽電池から出力される電力を、高電圧バッテリの充電電力に変換する電力変換器を介さずに、低電圧バッテリに供給することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低電圧バッテリを太陽電池により充電する際に、電力変換による変換損失が発生しないため、低電圧バッテリを高効率で充電することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。
【図2】図1の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。
【図4】図3の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。
【図6】図5の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。
【図8】図7の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。
【図10】図9の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は、発明の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。以下、本例の充電制御装置を電気自動車に適用した例を挙げて説明するが、本例の充電制御装置は、例えばハイブリッド自動車等の電気自動車以外の車両にも適用可能である。
【0011】
図1に示すように、本例の車両は、太陽電池1と、出力切替回路2と、PCS4と、バッテリ5と、充電ポート6と、充電器7と、インバータ8と、モータ9と、バッテリ10と、DC/DCコンバータ11と、コントローラ20とを備えている。太陽電池1は、例えば車両のルーフパネルに設けられ、太陽エネルギーを電力に変換する電力機器である。
【0012】
出力切替回路2は、スイッチ2a、2b、2c、2dを備え、太陽電池1と、低電圧バッテリ10及びPCS4との間に接続されている。スイッチ2aとスイッチ2b、及び、スイッチ2cとスイッチ2dにより、それぞれリレースイッチを構成している。スイッチ2a及びスイッチ2bがオンになると、太陽電池1から出力される電力は出力切替回路2を介してPCS4に入力され、スイッチ2c及びスイッチ2dがオンになると、太陽電池1から出力される電力は出力切替回路2を介してバッテリ10に入力される。また後述するように、PCS4はバッテリ5と接続されているため、スイッチ2a及びスイッチ2bがオンになると、太陽電池1a、1bから出力される電力はPCS4を介してバッテリ5へ供給可能な状態となる。また、太陽電池1及びバッテリ10は、出力切替回路2を介して、直接接続されているため、スイッチ2c及びスイッチ2dがオンになると、太陽電池1からの電力はバッテリ10に直接供給される。出力切替回路2は、コントローラ20からの制御信号に基づき、スイッチ2a〜2dのオン及びオフを切り替えることで、太陽電池1からの出力をPCS4介してバッテリ5に供給する回路と、太陽電池1からの出力をバッテリ10に供給する回路とを選択的に切り替える。
【0013】
PCS(Power Conversion System)4は、太陽電池1から出力される電力を変換する変換回路を含む電力変換システム(パワーコンディショナー)であり、太陽電池1の最大電力点を追従するMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力追従制御)制御を行う回路である。PCS4は、出力切替回路2とバッテリ5との間に接続され、太陽電池1から出力される電力を昇圧して、バッテリ5の充電電力として、バッテリ5に供給する。PCS4には、例えば、昇圧チョッパ、整流回路及びDC/DCコンバータ等が設けられている。昇圧チョッパに含まれるトランジスタは、コントローラ20からのスイッチング信号に基づきオン及びオフを切り替える。そして、トランジスタのスイッチング波形のデューティ比がコントローラ20により設定されることで、PCS4は、変換回路からの出力電圧をほぼ一定に維持しつつ、PCS4の入力電圧の動作点を操作し、太陽電池1の発電電力を制御する。また、PCS4は、バッテリ5を含む高電圧回路と、低電圧回路とを絶縁可能な絶縁型の回路である。
【0014】
バッテリ5は、複数の二次電池により構成され、車両の駆動源となり、後述するバッテリ10と比較して、定格電圧が高い高電圧バッテリである。バッテリ5は、PCS4に接続され、またインバータ8を介してモータ9に接続されている。またバッテリ5は、外部電源からの電力により充電可能なバッテリであり、充電器7を介して、充電ポート6に接続されている。充電ポート6は、外部からの充電コネクタと接続可能な充電口であり、充電器7と配線を介して接続されている。また当該充電コネクタは、家庭用の交流電源等の商用電力系統の電源等に接続される。
【0015】
充電器7は、入力側を充電ポート6に接続され、出力側をバッテリ5に接続されている。充電器3は、外部電源からの電力を、バッテリ5を充電するための充電電力に変換し、バッテリ5に供給しバッテリ5を充電する。充電器7の充電制御は、コントローラ20により行われる。また充電器7は、DC/DCコンバータ11を介して、バッテリ10に接続され、コントローラ20の制御信号に基づいて、バッテリ10を充電する。
【0016】
インバータ8は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のスイッチング素子を複数備え、平滑用のコンデンサ等を備え、バッテリ5とモータ9との間に接続されている。インバータ8は、コントローラ20から送信されるスイッチング信号に基づき、当該スイッチング素子をPWM制御することで、バッテリ5から供給される直流電力を交流電力に変換し、モータ9の各相に提供する。また、インバータ8は、モータ9の回生によりモータ9から供給される電力を変換して、バッテリ5に供給する。モータ9は、例えば三相交流モータであり、インバータ8に接続されている。
【0017】
バッテリ10は、複数の二次電池により構成され、車両のヘッドライトやオーディオ機器などの補機類を運転させるための電力源となり、バッテリ5と比較して、定格電圧が低い低電圧バッテリである。バッテリ10は、DC/DCコンバータ11及び出力切替回路2に接続されている。バッテリ10は、太陽電池1から供給される電力及び外部電源からの電力により充電される。太陽電池1の電力でバッテリ10を充電する際には、太陽電池1の電力は、PCS4を介さず、かつ、電力変換されず、バッテリ10に供給されることでバッテリ10が充電され、言い換えると、電力変換されていない、太陽電池1からの電力で、バッテリ10は充電される。
【0018】
バッテリ10は、DC/DCコンバータ11を介してバッテリ5に接続され、バッテリ5の電力をバッテリ10に供給することで充電される。DC/DCコンバータ11は、バッテリ5とバッテリ10との間、及び、充電器7とバッテリ10との間に接続され、バッテリ5からの電力を変換してバッテリ10へ供給し、充電器7からの電力を変換してバッテリ10へ供給する。DC/DCコンバータ11は、コントローラ20から送信される制御信号に基づいて、バッテリ10と、バッテリ5及び充電器7との間の導通状態を切り替える。
【0019】
電圧センサ12及び電流センサ13は、太陽電池1の出力電流及び出力電圧を検出するセンサであり、太陽電池1に接続されている。電圧センサ12及び電流センサ13の検出値は、コントローラ20に送信される。電圧センサ14はバッテリ5の電圧を検出するセンサであり、バッテリ5に接続されている。電圧センサ15はバッテリ10の電圧を検出するセンサであり、バッテリ10に接続されている。そして、電圧センサ14、15の検出値は、コントローラ20に送信される。
【0020】
コントローラ20は、車両状態判定部21を備えている。コントローラ20は、本例の電力変換装置の全体を制御する回路であり、太陽電池1によるバッテリ5及びバッテリ10の充電制御、外部電源からのバッテリ5及びバッテリ10の充電制御、バッテリ5とバッテリ10との間における電力受給制御、及び、モータ9の駆動制御等を行い、スイッチ2a〜2dのオン及びオフを切り替える制御を行う。
【0021】
コントローラ20は、電圧センサ14及び電圧センサ15の検出値からバッテリ5及びバッテリ10の状態を管理し、電圧センサ12及び電流センサ13の検出値から太陽電池1の発電電力を算出する。また、コントローラ20は、バッテリ10の電力により動作する補機類の状態を管理し、補機類の動作状況からバッテリ10の消費電力を算出する。
【0022】
車両状態判別部21は、車両の車速、アクセル開度等を含む車両情報から、車両の走行状態を判別する。本例では、車両状態判別部21は、車両のシフト情報から車両状態を判別し、具体的にはシフトポジジョンがP(パーキング)レンジにある時には、車両が駐車していると判別し、シフトポジションがPレンジ以外のR(リーバース)、N(ニュートラル)またはD(ドライブ)レンジにある時には、車両が走行していると判別する。コントローラ20は、車両状態判別部21の判別結果に基づいて、出力切替回路2のスイッチ2a〜2dを制御して、太陽電池1と、バッテリ5及びバッテリ10との間の電力ラインを制御する。
【0023】
次に、図1を用いて、本例の充電制御装置の制御内容について説明する。まず、コントローラ20は車両情報を取得し、車両情報判別部21は当該車両情報に含まれるシフト情報からシフトポジションを検出し、車両が駐車しているか、車両が走行しているか判別する。シフトポジションがPレンジである場合には、車両情報判別部21は、車両が駐車中である、と判別し、コントローラ20は、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにすることで、太陽電池1からの電力を、PCS4を介してバッテリ5に供給する回路に切り替える。一方、シフトポジションがPレンジでない場合には、車両情報判別部21は、車両が走行中である、と判別し、コントローラ20は、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにすることで、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。また、車両走行中、太陽電池1の電力はPCS4に入力されないため、コントローラ20はPCS4を動作させない。
【0024】
車両の駐車中には、太陽電池1の発電電力を、PCS4により昇圧させることで電力変換させて、バッテリ5に供給することでバッテリ5を充電し、車両の航続距離を延ばすことができる。
【0025】
車両の走行中には、バッテリ5は主に車両を駆動されるために消費され、バッテリ10は補機類の使用により消費されている。コントローラ20は、車両走行中、補機類を動作させることで消費するバッテリ10を、太陽電池1の発電電力で充電する。コントローラ20は、車両走行中、バッテリ10の消費電力及び太陽電池1の発電電力を管理しているため、当該消費電力及び当該発電電力に応じて、出力切替回路を制御してバッテリ10を充電する。
【0026】
ここで、バッテリ5とバッテリ10との間には、DC/DCコンバータ11が接続されているため、バッテリ5の電力をバッテリ10の電力に供給した場合には、DC/DCコンバータ11の電力変換で電力損失が生じてしまう。そのため、本例では、車両の走行中、太陽電池1の電力をバッテリ10に直接供給してバッテリ10を充電することで、バッテリ5からバッテリ10に供給される電力を低減させる。これにより、バッテリ5の電力がバッテリ10に流れることが抑制されるため、バッテリ5の電力消費を低減させて、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【0027】
さらに、太陽電池1とバッテリ10との間には、スイッチ2c、2dが接続されているのみであり、PCS4のような電力変換回路が接続されていないため、太陽電池1とバッテリ10との間では、上記のような電力変換による電力損失が生じない。そのため、バッテリ10に対して、太陽電池1の発電電力を高効率で供給させることができる。さらにPCS4を動作しなくてもよいため、PCS4を動作させるためのバッテリ5の消費電力を抑制することができる。
【0028】
次に、図2を用いて、本例の充電制御装置の制御手順を説明する。図2は、本例の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。ステップS1にて、車両状態判別部21は、車両情報に含まれるシフト情報を取得する。ステップS2にて車両状態判別部21は、シフトポジションがPレンジであるか否かを判別する。シフトポジジョンがPレンジである場合には、車両状態判別部21は、車両が駐車していると判別し、コントローラ20は、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにする(ステップS3)。ステップS4にて、コントローラ20は、PCS4を動作させて、MPPT制御を行い、太陽電池1の電力によりバッテリ5を充電する。
【0029】
ステップS2に戻り、シフトポジジョンがPレンジではない場合には、車両状態判別部21は、車両が走行していると判別し、コントローラ20は、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにする(ステップS5)。ステップS6にて、コントローラ20はPCS4を動作させずに、太陽電池1の電力によりバッテリ10を充電する。
【0030】
上記のように、本例は、PCS4を介して太陽電池1からの電力で充電されるバッテリ5と、PCS4を介さず、太陽電池1からの電力で充電されるバッテリ10とを備えている。これにより、太陽電池1とバッテリ10との間は、PCS4等の電力変換回路を介さずに接続されており、太陽電池1の電力をバッテリ10に供給する際に、電力変換による変換損失が発生しないため、太陽電池1の電力でバッテリ10を効率よく充電することができる。また、本例では、太陽電池1の電力でバッテリ10を充電する際に、太陽電池1の電力をPCS4で電力変換してバッテリ5に供給し、バッテリ5の電力をDC/DCコンバータ11で電力変換してバッテリ10に供給する必要がないため、PCS4の変換損失及びDC/DCコンバータ11の変換損失を発生させず、太陽電池1の電力でバッテリ10を充電することができる。
【0031】
また本例は、出力切替回路2により、太陽電池1からの電力をバッテリ5に供給する回路と、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路とを選択的に切り替える。これにより、本例は、太陽電池1の電力をバッテリ5及びバッテリ10のいずれか一方のバッテリに供給した場合に、他方のバッテリには供給されないため、太陽電池1の出力電力を充電させたいバッテリに効率よく供給し、充電させることができる。また、出力切替回路2により、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替えた場合には、太陽電池1からの電力はPCS4に供給されないため、PCS4における変換損失が発生せず、充電効率を高めることができる。
【0032】
また本例は、車両状態判別部21により車両が駐車していると判別した場合には、太陽電池1からの電力をバッテリ5に供給する回路に切り替え、車両が走行していると判別した場合には、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、車両の走行状態に応じた太陽電池1の出力電力の供給先を選択することができ、電力変換損失を低減させることができ、電気自動車の一充電走行距離を増加させることが可能となる。また、走行中には、太陽電池1の出力電力をバッテリ10に直接供給し、バッテリ5からDC/DCコンバータ11を介してバッテリ10に繋がる電力変換回路に電力を通過させないため、電力変換による損失を低減させることができ、その結果として、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【0033】
上記のPCS4が本発明の「電力変換器」に相当し、出力切替回路2が本発明の「切替回路」に、コントローラ20が本発明の「制御手段」に、車両状態判別部21が本発明の「判別手段」に相当する。
【0034】
《第2実施形態》
図3は、発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。本例では上述した第1実施形態に対して、消費電力演算部22の演算結果に基づいて、出力切替回路2を制御する点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、第1実施形態及び第2実施形態の記載を適宜、援用する。
【0035】
コントローラ20は消費電力演算部22を備えている。消費電力演算部22は、バッテリ10の電力で動作している補機類の使用電力から、バッテリ10の消費電力を演算する。補機類に含まれる、オーディオやエアコンなどの使用電力は動作状況に応じて予め決まっているため、消費電力演算部22は、補機類の使用状況からバッテリ10の消費電力を演算することができる。
【0036】
コントローラ20には、補機類が利用されてバッテリ10の消費電力が高くなっていることを示す消費電力閾値(Pth)が設定されている。消費電力閾値には、例えば、車両の駐車中において、補機類等の待機電力によりバッテリ10で消費される電力より高い消費電力が設定される。そして、コントローラ20は、消費電力演算部22により演算された消費電力(Pn)と消費電力閾値(Pth)とを比較する。消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)より高い場合には、車両が駐車中でも、コントローラ20は、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにし、太陽電池1の電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、車両の走行中、例えばオーディオ、TV、ライト等の機器を動作させて、バッテリ10の消費電力が高くなった場合でも、太陽電池1の発電電力を、バッテリ10を介して、当該機器を含む低電圧回路に供給することができる。
【0037】
次に、図4を用いて、本例の充電制御装置の制御手順を説明する。図4は、本例の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。なお、図4のステップS1〜ステップS6の制御処理は、図2のステップS1〜S6の制御処理と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
ステップS1の後、ステップS41にて、消費電力演算部22は、バッテリ10が消費する消費電力(Pn)を演算し、ステップS2に遷る。ステップS2にて、シフトポジジョンがPレンジである場合には、ステップS42にて、コントローラ20は、消費電力演算部22により演算された消費電力(Pn)と消費電力閾値(Pth)とを比較する。消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)より高い場合には、ステップS5にて、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにして、太陽電池1からバッテリ10への電力ラインを導通させる。一方、消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)以下である場合には、ステップS3にて、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにして、太陽電池1からPCS4を介してバッテリ5へ繋がる電力ラインを導通させる。
【0039】
上記のように、本例は、消費電力演算部22により演算された消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)より高い場合には、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、バッテリ10の電力により動作する補機類等の回路における消費電力が高いときに、太陽電池1の出力電力を当該回路に直接供給することができ、バッテリ10の充電容量の低下を抑制することができる。また、本例では、バッテリ10の電力を消費させる回路に電力を供給する際に、バッテリ5とバッテリ10との間における電力変換の変換損失を発生させることなく、太陽電池1の出力電力を当該回路に供給するため、太陽電池1の発電電力の使用効率を高めることができる。
【0040】
また本例は、車両の駐車中、消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)より高くなった場合に、太陽電池1からの電力をバッテリ5に供給する回路に切り替えるため、車両駐車中であっても、バッテリ10の電力を消費させる補機類等を動作させることができる。
【0041】
なお、本例において、消費電力演算部22は、バッテリ10の出力電流を検出電流センサ(図示しない)及び電圧センサ15の検出値から、バッテリ10の消費電力を演算してもよい。
【0042】
上記消費電力演算部22は本発明の「消費電力演算手段」に相当し、消費電力閾値(Pth)が「所定の電力閾値」に相当する。
《第3実施形態》
図5は、発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。本例では上述した第2実施形態に対して、SOC推定部23の演算結果に基づいて、出力切替回路2を制御する点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、第1実施形態及び第2実施形態の記載を適宜、援用する。
【0043】
コントローラ20はSOC推定部23を備えている。SOC推定部23は、電圧センサ15の検出電圧からバッテリ10の充電状態(State of Charge:SOC)を推定する。SOC推定部23には、バッテリ10の開放電圧とバッテリ10のSOCとの関係を示すマップが予め格納されている。電圧センサ15はDC/DCコンバータ11を動作する前のバッテリ10の電圧を検出し、SOC推定部23は、当該マップを参照して、電圧センサ15の検出電圧に対応するSOCを抽出することで、バッテリ10のSOCを推定する。
【0044】
コントローラ20には、バッテリ10の充電容量の下限値を示すSOCである下限SOC閾値が設定されている。バッテリ10のSOCが当該下限SOC閾値(SOCth)より低くなるとバッテリ10が過放電になる可能性が高くなるため、バッテリ10の充電を必要とする。そして、コントローラ20は、SOC推定部23により推定されたバッテリ10の推定SOCと、下限SOC閾値(SOCth)とを比較する。推定SOCが下限SOC閾値(SOCth)より低い場合には、車両が駐車中であっても、コントローラ20は、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにし、太陽電池1の電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、車両の駐車中、例えばオーディオ、TV、ライト等の機器を動作させて、バッテリ10の充電容量が低くなった場合でも、太陽電池1の発電電力を、バッテリ10に供給し、バッテリ10を充電することができる。
【0045】
次に、図6を用いて、本例の充電制御装置の制御手順を説明する。図6は、本例の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。なお、図6のステップS1〜ステップS6の制御処理は図2のステップS1〜S6の制御処理と同様であり、図6のステップS41、42の制御処理は、図4のステップS41、42の制御処理と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
ステップS41の後、ステップS61にて、SOC推定部23は、電圧センサ15の検出電圧からマップを参照して、バッテリ10のSOCを推定し、ステップSに遷る。ステップS2にてシフトポジジョンがPレンジである場合で、ステップS42にて消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)以下である場合には、ステップS62にて、コントローラ20は、推定されたSOCと下限SOC閾値(SOCth)とを比較する。推定SOCが下限SOC閾値(SOCth)より低い場合には、ステップS5にて、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにして、太陽電池1からバッテリ10への電力ラインを導通させる。一方、推定SOCが下限SOC閾値(SOCth)以上である場合には、ステップS3にて、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにして、太陽電池1からPCS4を介してバッテリ5へ繋がる電力ラインを導通させる。
【0047】
上記のように、SOC推定部23により推定されたSOCが下限SOC閾値(SOCth)より低い場合には、太陽電池1からの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、バッテリ10の充電容量が低い時に、太陽電池1の出力電力をバッテリ10に直接供給して、バッテリ10を充電することができるため、バッテリ10の過放電を防ぐことができる。また、本例では、バッテリ5とバッテリ10との間における電力変換の変換損失を発生させることなく、太陽電池1の発電電力をバッテリ10に供給するため、太陽電池1の発電電力の使用効率を高めることができる。また、バッテリ10を充電する際に、太陽電池1の発電電力を用いるため、バッテリ5の容量低下を抑制し、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【0048】
なお本例において、SOC推定部23はマップを用いてSOCを推定したが、バッテリ10に接続された電流センサ(図示しない)により、バッテリ10の充放電電流を検出し、検出電流の積算値からSOCを演算することで、SOCを推定してもよい。
【0049】
また本例において、コントローラ20は、SOC推定部23により推定されるSOCと下限SOC閾値とを比較したが、電流センサ15の検出電圧とバッテリ10の下限電圧閾値とを比較して、出力切替回路2を制御してもよい。すなわち、上記のようにバッテリ10の開放電圧とバッテリ10のSOCとの間には関連性があるため、SOCとSOC閾値とを比較することは、バッテリ10の開放電圧と電圧閾値とを比較することに対応している。そのため、コントローラ20にバッテリ10の充電容量の下限値を示す開放電圧の閾値(下限電圧閾値)を予め設定する。コントローラ20は、DC/DCコンバータ11を動作する前のバッテリ10の検出電圧(開放電圧)と、下限電圧閾値とを比較し、検出電圧が下限電圧閾値より低い時に、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにして、太陽電池1からバッテリ10への電力ラインを導通させる。
【0050】
上記のSOC推定部23が本発明の「充電状態推定手段」に相当し、下限SOC閾値が「下限充電状態閾値」に相当する。
【0051】
《第4実施形態》
図7は、発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。本例では上述した第3実施形態に対して、直並列切替回路3を設け、出力電力演算部24の演算結果に基づいて、出力切替回路2を制御する点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、第1〜第3実施形態の記載を適宜、援用する。
【0052】
太陽電池1a及び太陽電池1bは、それぞれの出力を独立させて、直並列切替回路3に接続されている。直並列切替回路3は、スイッチ3a、3b、3cを備え、太陽電池1a、1bと出力切替回路2との間に接続されている。スイッチ3a、スイッチ3b及びスイッチ3cは直列に接続され、太陽電池1aの出力のうちP側の出力線がスイッチ3cの高電位側の端子に接続され、太陽電池1aの出力のうちN側の出力線がスイッチ3aとスイッチ3bとの接続点に接続され、太陽電池1bの出力のうちP側の出力線がスイッチ3bとスイッチ3cとの接続点に接続され、太陽電池1aの出力のうちN側の出力線がスイッチ3aの低電位側の端子に接続されている。そして、スイッチ3a及びスイッチ3cがオンになると、太陽電池1a及び太陽電池1bは並列接続の状態となり、スイッチ3bがオンになると、太陽電池1a及び太陽電池1bは直列接続の状態となる。直並列切替回路2は、コントローラ20からの制御信号に基づいて、スイッチ3a〜3cのオン及びオフを切り替えることで、太陽電池1a及び太陽電池1bの接続状態を切り替える回路となる。直並列接続回路3の高電位側の出力端子はスイッチ2b及びスイッチ2dに接続され、直並列接続回路3の低電位側の出力端子はスイッチ2a及びスイッチ2cに接続されている。
【0053】
電圧センサ16及び電流センサ17は、太陽電池1a、1bから出力される電圧及び電流をそれぞれ検出するセンサであり、直並列切替回路3及び出力切替回路2の間に接続されている。
【0054】
コントローラ20は出力電力演算部24を備えている。出力電力演算部24は、電圧センサ16の検出電圧と電流センサ17の検出電流とから、太陽電池1a、1bの出力電力を演算する。出力電力演算部24により演算された太陽電池1a、1bの出力電力が太陽電池1a、1bの発電電力に相当する。なお、出力電力演算部24により太陽電池1a、1bの出力電力を演算する際に、電圧センサ16及び電流センサ17による検出値を得るために、コントローラ20はスイッチ2a〜2dをオンにしてもよい。
【0055】
コントローラ20には、バッテリ5の充電を可能とする、太陽電池1a、1bの発電電力(出力電力)の下限値として、下限出力電力閾値(Ppvth)が設定されている。太陽電池1a、1bの電力でバッテリ5を充電する場合には、PCS4を介して電力が供給されるため、電力損失が発生する。またバッテリ5は高電圧バッテリである。そのため、バッテリ5を充電するためには、バッテリ10を充電する電力と比較して高い充電電力を要し、PCS4による電力損失を考慮すると、太陽電池1a、1bに対して高い発電電力が求められる。そのため本例では、図7に示す回路において、バッテリ5を充電することができる程度の電力を太陽電池1a、1bが発電しているか否かを示す閾値として、下限出力電力閾値(Ppvth)が設定されている。
【0056】
そして、コントローラ20は、出力電力演算部24により演算された出力電力(Po)と下限出力電力閾値(Ppvth)とを比較する。出力電力(Po)が下限出力電力閾値(Ppvth)より高い場合には、コントローラ20は、バッテリ5を充電可能な電力が太陽電池1a、1bから発電していると判断して、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにする。また、バッテリ5を充電する際には、PCS4への入力電圧を高めるために、コントローラ20はスイッチ3bをオンに、スイッチ3a、3cをオフにする。これにより、コントローラ20は、直列に接続された太陽電池1a、1bの出力電力をバッテリ5に供給する回路に切り替え、PCS4をMPPT制御して、バッテリ5を充電する。
【0057】
一方、出力電力(Po)が下限出力電力閾値(Ppvth)より低い場合には、コントローラ20は、バッテリ5を充電可能な電力が太陽電池1a、1bから発電されていないと判断して、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにする。また、バッテリ10を充電する際には、コントローラ20はスイッチ3a、3cをオンに、スイッチ3bをオフにする。これにより、コントローラ20は、並列に接続された太陽電池1a、1bの出力電力をバッテリ10に供給する回路に切り替え、バッテリ10を充電する。
【0058】
次に、図8を用いて、本例の充電制御装置の制御手順を説明する。図8は、本例の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。ステップS81にて、車両状態判別21は車両情報に含まれるシフト情報を取得する。ステップS82にて、消費電力演算部22はバッテリ10が消費する消費電力(Pn)を演算する。ステップS83にて、出力電力演算部24は太陽電池1a、1bの出力電力(Po)を演算する。ステップS84にて車両状態判別部21は、シフトポジションがPレンジであるか否かを判別する。
【0059】
シフトポジションがPレンジである場合には、ステップS85にて、コントローラ20は、消費電力(Pn)と消費電力閾値(Pth)とを比較する。消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)以下である場合には、ステップS86にて、コントローラ20は出力電力(Po)と下限出力電力閾値(Ppvth)とを比較する。そして、出力電力(Po)が下限出力電力閾値(Ppvth)より低い場合には、コントローラ20は、車両駐車中、バッテリ5を充電するだけの電力が太陽電池1a、1bから発電されていないと判断して、ステップS90に遷る。
【0060】
一方、出力電力(Po)が下限出力電力閾値(Ppvth)以上である場合には、コントローラ20は、車両駐車中、バッテリ5を充電するだけの電力が太陽電池1a、1bから発電されている判断して、コントローラ20は、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにする(ステップS87)。ステップS88にて、コントローラ20は、スイッチ3bをオンに、スイッチ3a、3cをオフにする。ステップS89にて、コントローラ20は、PCS4を動作させて、MPPT制御を行い、直列接続された太陽電池1a、1bの電力によりバッテリ5を充電する。
【0061】
ステップS84に戻りシフトポジジョンがPレンジではない場合、ステップS85に戻り消費電力(Pn)が消費電力閾値(Pth)より高い場合、または、ステップS86に戻り出力電力(Po)が下限出力電力閾値(Ppvth)より低い場合には、ステップS90にて、コントローラ20は、スイッチ2c、2dをオンに、スイッチ2a、2bをオフにする(ステップS91)。ステップS92にて、コントローラ20はPCS4を動作させずに、太陽電池1の電力によりバッテリ10を充電する。
【0062】
上記のように、本例は、出力電力演算部24により演算された出力電力(Po)がバッテリ5を充電するための太陽電池の出力電力の下限値を示す下限出力電力閾値(Ppvth)より低い場合には、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、太陽電池1a、1bの発電電力が低くバッテリ5を充電することができない場合には、太陽電池1a、1bの電力でバッテリ10を充電することができる。またバッテリ10の電力で補機類を動作させている場合には、太陽電池1a、1bの出力電力を当該補機類などの回路に直接供給することができるため、バッテリ10の充電容量の低下を抑制することができる。
【0063】
また本例は、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ5に供給する場合には、太陽電池1a、1bの接続状態を直列接続に切り替え、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ10に供給する場合には、太陽電池1a、1bの接続状態を並列接続に切り替える。これにより、バッテリ10を充電する際には、PCS4をMPPT制御して、太陽電池1a、1bの出力の電流・電圧特性で定まる最大電力点により近い動作点電圧に設定することができる。また、バッテリ10を充電する場合には、太陽電池1a、1bは並列接続の状態となるため、太陽電池1a、1bの電圧・電流特性から定まる発電電力点を、最大発電電力点に近づけることができ、太陽電池1a、1bの発電電力量を増加させることができる。また、バッテリ5を充電する場合には、太陽電池1a、1bは直列接続の状態となるため、PCS4に入力する電圧を高めることができるため、同じ発電電力である場合に、PCS4の入力電流は下がり、これによってPCS4の電力変換損失を低減することができる。そして、その結果として、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【0064】
また本例は、駐車中に、太陽電池1a、1bの発電電力が低下し、太陽電池1a、1cの出力電力が下限出力電力閾値(Ppvth)より低くなった場合にも、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、車両の駐車中に、バッテリ5を充電するだけの電力を太陽電池1a、1bから得ることができなくなっても、バッテリ10を充電することができ、太陽電池1a、1bからの発電電力を有効に活用することができる。
【0065】
上記の出力電力演算部24が本発明の「出力電力演算手段」に相当する。
【0066】
《第5実施形態》
図9は、発明の他の実施形態に係る充電制御装置を含む車両のブロック図である。本例では上述した第4実施形態に対して、SOC推定部23の演算結果に基づいて、出力切替回路2を制御する点が異なる。これ以外の構成は上述した第4実施形態と同じであるため、第4実施形態の記載を適宜、援用する。
【0067】
コントローラ20はSOC推定部23を備えている。SOC推定部23は、電圧センサ14の検出電圧からバッテリ5の充電状態(State of Charge:SOC)を推定する。SOC推定部23には、バッテリ5の開放電圧とバッテリ5のSOCとの関係を示すマップが予め格納されている。電圧センサ14はインバータが停止している場合、あるいは、バッテリ5に付加がかかっていない場合のバッテリ5の電圧を検出し、SOC推定部23は、当該マップを参照して、電圧センサ14の検出電圧に対応するSOCを抽出することで、バッテリ5のSOCを推定する。
【0068】
コントローラ20には、バッテリ5の充電容量の下限値を示すSOCである下限SOC閾値が設定されている。バッテリ10のSOCが当該下限SOC閾値(SOChth)より低くなるとバッテリ5が過放電になる可能性が高くなるため、バッテリ5の充電を必要とする。そして、コントローラ20は、SOC推定部23により推定されたバッテリ5の推定SOCと、下限SOC閾値(SOChth)とを比較する。推定SOCが下限SOC閾値(SOChth)より低い場合には、車両が走行中であっても、コントローラ20は、スイッチ2a、2bをオンに、スイッチ2c、2dをオフにし、太陽電池1の電力をバッテリ5に供給する回路に切り替える。これにより、バッテリ5の充電量が低くなった場合でも、太陽電池1の発電電力を、バッテリ5に供給し、バッテリ5を充電することができる。
【0069】
また、コントローラ20には、バッテリ10を充電する際の、太陽電池1a、1bの発電電力(出力電力)の上限値として、上限出力電力閾値(Phpvth)が設定されている。バッテリ10は低電圧バッテリであり、太陽電池1a、1bの発電電力が、バッテリ10を充電する際の最大許容電力を越える場合がある。そのため、本例では最大許容電力に相当する閾値として、バッテリ10に応じて上限出力電力閾値(Phpvth)を設定する。そして、太陽電池1a、1bの発電電力が上限出力電力閾値(Phpvth)より高い場合には、太陽電池1a、1bの発電電力をバッテリ10に供給しても余剰となりうるため、コントローラ20は、太陽電池1a、1bの発電電力をバッテリ5に供給する。これにより、太陽電池1a、1bの発電電力を有効に活用することができる。
【0070】
次に、図10を用いて、本例の充電制御装置の制御手順を説明する。図10は、本例の充電制御装置の制御手順を示すフローチャートである。なお、図10のステップS81、S83、S84、S87〜S92の制御処理は図8のステップS81、S83、S84、S87〜S92の制御処理と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
ステップS81の後、ステップS101にて、SOC推定部23はバッテリ5のSOCを推定し、ステップS83に遷る。ステップS84にて、シフトポジションがPレンジではない場合には、ステップS102にて、コントローラ20は、バッテリ5のSOCと下限SOC閾値(SOChth)とを比較する。SOCが下限SOC閾値(SOChth)以下である場合には、バッテリ5のSOCが不足しているとして、ステップS87〜ステップS89の処理へ遷り、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ5に供給し、バッテリ5を充電する。一方、SOCが下限SOC閾値(SOChth)より高い場合には、ステップS103に遷る。
【0072】
ステップS103にて、コントローラ20は太陽電池1a、1bの出力電力(Po)と上限出力電力閾値(Phpvth)とを比較する。出力電力(Po)が上限出力電力閾値(Phpvth)より高い場合には、太陽電池1a、1bの発電電力がバッテリ10を充電する際の最大電力を越えていると判断して、ステップS87〜ステップS89の処理へ遷る。一方、出力電力(Po)が上限出力電力閾値(Phpvth)以下である場合には、ステップS90〜ステップS92の処理へ遷り、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ10に供給し、バッテリ10を充電する。
【0073】
上記のように、本例は、バッテリ5のSOCが下限SOC閾値(SOChth)より低い場合には、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ5に供給する回路に切り替える。これにより、バッテリ5の充電容量が低い時に、太陽電池1a、1bの出力電力をバッテリ5に直接供給して、バッテリ5を充電することができるため、バッテリ5の過放電を防ぐことができる。また、本例では、バッテリ5とバッテリ10との間における電力変換の変換損失を発生させることなく、太陽電池1の発電電力をバッテリ5に供給するため、太陽電池1a、1bの発電電力の使用効率を高めることができる。また、バッテリ5を充電する際に、太陽電池1の発電電力を用いるため、バッテリ5の容量低下を抑制し、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【0074】
また本例は、太陽電池1a、1bの出力電力が、バッテリ10を充電する際の太陽電池1a、1bの出力電力の上限値を示す上限出力電力閾値(Phpvth)より高い場合には、太陽電池1a、1bからの電力をバッテリ5に供給する回路に切り替える。これにより、日照量が多く、太陽電池1a、1bの発電電力が上限出力電力閾値(Phpvth)を越えて、バッテリ10を充電するには余剰となる発電電力が発生する場合であっても、余剰となる発電電力をバッテリ5の充電に活用することができ、その結果として、車両の航続距離を伸ばすことができる。
【符号の説明】
【0075】
1…太陽電池
2…出力切替回路
2a、2b、2c、2d…スイッチ
3…出力切替回路
3a、3b、3c…スイッチ
4…PCS
5…バッテリ
6…充電ポート
7…充電器
8…インバータ
9…モータ
10…バッテリ
11…DC/DCコンバータ
12、14、15、16…電圧センサ
13、17…電流センサ
20…コントローラ
21…車両状態判別部
22…消費電力演算部
23…SOC推定部
24…出力電力演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、
電力変換器を介して前記太陽電池からの電力で充電される高電圧バッテリと、
前記電力変換器を介さず前記太陽電池からの電力で充電される前記高電圧バッテリより低い定格電圧の低電圧バッテリと、を備える
ことを特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
前記太陽電池からの電力を前記高電圧バッテリに供給する回路と、前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する回路とを選択的に切り替える切替回路と、
前記切替回路を制御する制御手段とをさらに備える
ことを特徴とする請求項1記載の充電制御装置。
【請求項3】
車両の走行及び駐車を判別する判別手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記判別手段により前記車両が駐車していると判別した場合には、前記太陽電池からの電力を前記高電圧バッテリに供給する回路に切り替え、
前記判別手段により前記車両が走行していると判別した場合には、前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記低電圧バッテリの電力により動作する機器の消費電力を演算する消費電力演算手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記消費電力演算手段により演算された消費電力が所定の電力閾値より高い場合には、前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2または3記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記低電圧バッテリの充電状態を推定する充電状態推定手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記充電状態推定手段により推定された低電圧バッテリの充電状態が前記低電圧バッテリの充電状態の下限値を示す下限充電状態閾値より低い場合には、前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記太陽電池から出力される出力電力を演算する出力電力演算手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記出力電力演算手段により演算された出力電力が、前記高電圧バッテリを充電するための前記太陽電池の出力電力の下限値を示す下限出力電力閾値より低い場合には、前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記高電圧バッテリの充電状態を推定する充電状態推定手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記充電状態推定手段により推定された高電圧バッテリの充電状態が前記高電圧バッテリの充電状態の下限値を示す下限充電状態閾値より低い場合には、前記太陽電池からの電力を前記高電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項8】
前記太陽電池から出力される出力電力を演算する出力電力演算手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記出力電力演算手段により演算された出力電力が、前記低電圧バッテリを充電する際の前記太陽電池の出力電力の上限値を示す上限出力電力閾値より高い場合には、前記太陽電池からの電力を前記高電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項9】
前記太陽電池に含まれる複数の電池の接続状態を直列接続または並列接続に切り替える直並列切替回路をさらに備え、
前記制御手段は、
前記太陽電池からの電力を前記高電圧バッテリに供給する場合には、前記接続状態を前記直列接続に切り替え、
前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する場合には、前記接続状態を前記並列接続に切り替える
ことを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項1】
太陽電池と、
電力変換器を介して前記太陽電池からの電力で充電される高電圧バッテリと、
前記電力変換器を介さず前記太陽電池からの電力で充電される前記高電圧バッテリより低い定格電圧の低電圧バッテリと、を備える
ことを特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
前記太陽電池からの電力を前記高電圧バッテリに供給する回路と、前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する回路とを選択的に切り替える切替回路と、
前記切替回路を制御する制御手段とをさらに備える
ことを特徴とする請求項1記載の充電制御装置。
【請求項3】
車両の走行及び駐車を判別する判別手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記判別手段により前記車両が駐車していると判別した場合には、前記太陽電池からの電力を前記高電圧バッテリに供給する回路に切り替え、
前記判別手段により前記車両が走行していると判別した場合には、前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記低電圧バッテリの電力により動作する機器の消費電力を演算する消費電力演算手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記消費電力演算手段により演算された消費電力が所定の電力閾値より高い場合には、前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2または3記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記低電圧バッテリの充電状態を推定する充電状態推定手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記充電状態推定手段により推定された低電圧バッテリの充電状態が前記低電圧バッテリの充電状態の下限値を示す下限充電状態閾値より低い場合には、前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記太陽電池から出力される出力電力を演算する出力電力演算手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記出力電力演算手段により演算された出力電力が、前記高電圧バッテリを充電するための前記太陽電池の出力電力の下限値を示す下限出力電力閾値より低い場合には、前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記高電圧バッテリの充電状態を推定する充電状態推定手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記充電状態推定手段により推定された高電圧バッテリの充電状態が前記高電圧バッテリの充電状態の下限値を示す下限充電状態閾値より低い場合には、前記太陽電池からの電力を前記高電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項8】
前記太陽電池から出力される出力電力を演算する出力電力演算手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記出力電力演算手段により演算された出力電力が、前記低電圧バッテリを充電する際の前記太陽電池の出力電力の上限値を示す上限出力電力閾値より高い場合には、前記太陽電池からの電力を前記高電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項9】
前記太陽電池に含まれる複数の電池の接続状態を直列接続または並列接続に切り替える直並列切替回路をさらに備え、
前記制御手段は、
前記太陽電池からの電力を前記高電圧バッテリに供給する場合には、前記接続状態を前記直列接続に切り替え、
前記太陽電池からの電力を前記低電圧バッテリに供給する場合には、前記接続状態を前記並列接続に切り替える
ことを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−74733(P2013−74733A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212260(P2011−212260)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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