説明

充電式電気機器

【課題】簡単かつ小型で低コストな充電式電気機器を提供することを課題とする。
【解決手段】スイッチング素子12と二次電池11の正極との間に接続され、充電式電気機器に供給される供給電流を検出する第1のシャント抵抗13−1と、負荷14と二次電池11の正極との間に接続され、負荷電流を検出する第2のシャント抵抗13−2との両端の電圧に基づいて、コントロールユニット15がスイッチング素子12のオン/オフを制御して、供給電流ならびに負荷電流を制御し、第1のシャント抵抗13−1の抵抗値は、コントロールユニット15のA/D変換電圧の最少分解能を供給電流の検出可能な最小値で除した値以上となるように設定され、第2のシャント抵抗13−2の抵抗値は、コントロールユニット15のA/D変換電圧の最少分解能を負荷電流の検出可能な最小値で除した値以上となるように設定されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池もしくは充電アダプターを介して給電される電力で負荷を駆動する充電式電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータなどの負荷を駆動制御する技術としては、例えば以下に示す文献に記載されたものが知られている(特許文献1参照)。この文献1には、モータに流れる電流を検出してシャント抵抗により電圧変換し、変換された電圧をオペアンプで増幅してモータを駆動制御するモータ駆動制御の技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−201493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、シャント抵抗で得られた電圧を増幅させる従来の構成では、電圧を増幅するオペアンプなどの構成が必要になっていた。このため、回路の構成が大型化する上に、コストの上昇を招いていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単かつ小型で低コストな充電式電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、充電式電気機器に着脱自在に接続される充電アダプターを介した外部からの給電により二次電池を充電し、二次電池または充電アダプターを介した外部からの給電により駆動される負荷を有する充電式電気機器において、充電アダプターを介した外部からの給電を受けて、スイッチング信号に基づいてオン/オフされて充電式電気機器に供給電流を供給するスイッチング素子と、スイッチング素子と二次電池の正極との間に接続され、スイッチング素子を介して充電式電気機器に供給される供給電流を検出する第1のシャント抵抗と、負荷と二次電池の正極との間に接続され、負荷に供給される負荷電流を検出する第2のシャント抵抗と、スイッチング素子のオン時に第1のシャント抵抗ならびに第2のシャント抵抗の両端の電圧を入力し、入力した電圧に基づいて、スイッチング素子のオン/オフを制御して、供給電流ならびに負荷電流を制御するコントロールユニットとを備え、第1のシャント抵抗の抵抗値は、コントロールユニットが入力したアナログ電圧をデジタル電圧に変換する際のA/D変換電圧の最少分解能を供給電流の検出可能な最小値で除した値以上となるように設定され、第2のシャント抵抗の抵抗値は、コントロールユニットが入力したアナログ電圧をデジタル電圧に変換する際のA/D変換電圧の最少分解能を負荷電流の検出可能な最小値で除した値以上となるように設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機器に供給される供給電流を検出する第1のシャント抵抗、ならびに負荷電流を検出する第2のシャント抵抗が二次電池の正極側に接続されている。第1のシャント抵抗の抵抗値は、コントロールユニットのA/D変換電圧の最少分解能を供給電流の検出可能な最小値で除した値以上となるように設定される。第2のシャント抵抗の抵抗値は、コントロールユニットのA/D変換電圧の最少分解能を負荷電流の検出可能な最小値で除した値以上となるように設定される。
【0008】
これにより、第1ならびに第2のシャント抵抗で得られた電圧を増幅処理することなく供給電流ならびに負荷電流を検出することが可能となる。この結果、増幅回路を要することなく二次電池の充電動作ならびに負荷の駆動を的確に制御することが可能となり、簡単かつ小型で低コストな充電式電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態1に係る充電式電気機器の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態2に係る充電式電気機器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明を実施するための実施形態を説明する。
【0011】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る充電式電気機器の構成を示す図である。図1に示す実施形態1の充電式電気機器は、二次電池11、スイッチング素子12、第1のシャント抵抗13−1、第2のシャント抵抗13−2、負荷14ならびにコントロールユニット15を備えて構成されている。この充電式電気機器は、例えば電気かみそり、電動バリカン、脱毛器、電動歯ブラシなどの機器に組み込まれて機能することができる。
【0012】
二次電池11は、例えばニッケル水素電池やニカド電池(ニッケル・カドミウム電池)、リチウム電池などの電池で構成される。二次電池11は、アダプター接続端子16に着脱自在に接続可能なACアダプター17を介して100V〜240V程度の交流の商用電源から供給される交流電力を直流に変換して得られた直流電力によって充電される。二次電池11は、その電池電圧V0をコントロールユニット15に入力する。
【0013】
スイッチング素子12は、アダプター接続端子16の一方と第1のシャント抵抗13−1との間に接続され、例えばトランジスタなどで構成される。スイッチング素子12は、ACアダプター17を介して与えられる直流電力を受けて、スイッチング信号に基づいてオン/オフ制御されることで二次電池11に供給される充電電流を制御調整する。
【0014】
第1のシャント抵抗13−1は、ACアダプター17から供給される本充電式電気機器に供給される供給電流を検出する際に機能する抵抗であり、スイッチング素子12と二次電池11の正極(+極)側との間に接続されている。第1のシャント抵抗13−1は、一方端の電圧すなわちスイッチング素子12に接続された接続点の電圧V1がコントロールユニット15に入力される。第1のシャント抵抗13−1は、例えば数m〜数百mΩ程度の低抵抗で構成されるが、後述するA/D変換の分解能との関係でその抵抗値が第2のシャント抵抗13−2との抵抗値とは独立して個別に設定される。
【0015】
第2のシャント抵抗13−2は、負荷14に供給される負荷電流を検出する際に機能する抵抗であり、二次電池11の正極(+極)側と負荷14との間に接続されている。第2のシャント抵抗13−2は、一方端の電圧すなわち負荷14に接続された接続点の電圧V2がコントロールユニット15に入力される。第2のシャント抵抗13−2は、例えば数m〜数百mΩ程度の低抵抗で構成されるが、後述するA/D変換の分解能との関係でその抵抗値が第1のシャント抵抗13−1との抵抗値とは独立して個別に設定される。
【0016】
負荷14は、例えばDCモータなどにより構成され、二次電池11もしくはACアダプター17から与えられる電力によって駆動される。したがって、本充電式電気機器は、二次電池11の充電動作と並行して負荷14の駆動が可能となり、所謂充電交流式の電気機器として機能する。
【0017】
コントロールユニット15は、本充電式電気機器の動作を制御する制御中枢として機能し、プログラムに基づいて各種動作処理を制御するコンピュータに必要な、CPUや記憶装置等のハードウェア資源を備えた例えばマイクロコンピュータ等により実現される。したがって、コントロールユニット15を構成するマイクロコンピュータのCPUで処理プログラムが実行されることによって、二次電池11の充放電動作ならびに負荷電流が制御される。コントロールユニット15は、二次電池11の負極(−極)ならびに負荷14が接続された共通のグランド(接地電位)に接続されている。
【0018】
コントロールユニット15は、スイッチング素子12にスイッチング信号を与え、このスイッチング信号に基づいてスイッチング素子12をオン/オフ制御する。このオン/オフ制御において、スイッチング信号のデューティ比、すなわちスイッチング信号の1周期あたりのオン時間を可変制御することでACアダプター17から供給される電流が増減制御される。これにより、コントロールユニット15は、例えば二次電池11の電池電圧V0に応じた所望の充電電流を二次電池11に供給して、二次電池11を充電制御する。また、コントロールユニット15は、例えば二次電池11の電池電圧V0に応じて負荷電流を負荷14に供給して、負荷14を駆動制御する。
【0019】
コントロールユニット15は、第1のシャント抵抗13−1の一方端の電圧V1と二次電池11の電池電圧V0ならびに第1のシャント抵抗13−1の抵抗値R1とで、ACアダプター17から供給される供給電流を、(V1−V0)/R1として算出する。また、コントロールユニット15は、第2のシャント抵抗13−2の一方端の電圧V2と二次電池11の電池電圧V0ならびに第2のシャント抵抗13−2の抵抗値R2とで、負荷14に供給される負荷電流を、(V2−V0)/R2として算出する。コントロールユニット15は、このようにして算出した電流に基づいて、二次電池11の充電動作ならびに負荷電流の供給を制御する。
【0020】
なお、コントロールユニット15に入力される電圧V0,V1,V2がコントロールユニット15の電源電圧を超えるような場合には、例えば抵抗により分圧することで降圧した後コントロールユニット15入力するものとする。
【0021】
第1のシャント抵抗13−1の抵抗値は、以下のようにして決定される。
【0022】
コントロールユニット15の電源電圧をVDD(V)として、コントロールユニット15が備えている、入力したアナログ信号を内部処理する際のデジタル信号に変換するA/D変換機能の分解能を例えばNビットする。このような場合に、A/D変換で検出できる最小の電圧値、すなわちA/D変換電圧の最少分解能(LSB)は、次式(1)で表される。
【0023】
(数1)
最少分解能(LSB)=VDD/2(V) …(1)
したがって、1LSBはVDD/2(V)となる。
【0024】
次に、ACアダプター17からスイッチング素子12を介して供給されて、検出しようとする供給電流の最小値(供給電流の最少分解能)をI1min(A)に設定すると、第1のシャント抵抗13−1の抵抗値R1との関係は次式(2)で表される。
【0025】
(数2)
I1min×R1≧VDD/2 …(2)
したがって、第1のシャント抵抗13−1の抵抗値R1は、次式(3)で表される。
【0026】
(数3)
R1≧(VDD/2)/I1min …(3)
このように、第1のシャント抵抗13−1の抵抗値R1は、(A/D変換電圧の最少分解能)/(供給電流の検出可能な最小値)以上となるように設定される。
【0027】
例えば、コントロールユニット15の電源電圧VDDが3V程度で、A/D変換の分解能が10ビットとすると、A/D変換電圧の最少分解能(LSB)は、2.9mV程度となる。そして、供給電流の検出可能な最小電流値を10mA程度とすると、第1のシャント抵抗13−1の抵抗値R1は290mΩ程度に設定される。
【0028】
このように、供給電流の検出可能な最小電流値を一定とした場合に、コントロールユニット15のA/D変換の分解能が高くなる程、第1のシャント抵抗13−1の抵抗値R1を小さくすることが可能となる。
【0029】
第2のシャント抵抗13−2の抵抗値も、上記と概ね同様にして決定される。
【0030】
上記と同様に、コントロールユニット15の電源電圧をVDD(V)とし、A/D変換機能の分解能を例えばNビットする。このような場合に、A/D変換で検出できる最小の電圧値、すなわちA/D変換電圧の最少分解能(LSB)は、先の式(1)で表される。
【0031】
次に、ACアダプター17からスイッチング素子12を介して供給されて、検出しようとする負荷電流の最小値(負荷電流の最少分解能)をI2min(A)に設定すると、第2のシャント抵抗13−2の抵抗値R2との関係は次式(4)で表される。
【0032】
(数4)
I2min×R2≧VDD/2 …(4)
したがって、第2のシャント抵抗13−2の抵抗値R2は、次式(5)で表される。
【0033】
(数5)
R2≧(VDD/2)/I2min …(3)
このように、第2のシャント抵抗13−2の抵抗値R2は、(A/D変換電圧の最少分解能)/(負荷電流の検出可能な最小値)以上となるように設定される。
【0034】
このように、上記実施形態1においては、ACアダプター17から本機器に供給される供給電流を検出する第1のシャント抵抗13−1ならびに負荷電流を検出する第2のシャント抵抗13−2を二次電池11の正極側に接続する構成を採用している。このような構成を採用することで、第1のシャント抵抗13−1の一方端の電圧V1ならびに第2のシャント抵抗13−2の一方端の電圧V2は、正電圧となる。このため、従来のようにシャント抵抗で発生する電圧の正負を反転したりオフセットを施すためのオペアンプなどの構成が不要となる。
【0035】
また、第1のシャント抵抗13−1の一方端の電圧V1、ならびに第2のシャント抵抗の一方端の電圧V2を検出することで、周囲温度の変化による二次電池11の内部抵抗や電池電圧などの変動の影響を排除することが可能となる。このため、供給電流ならびに負荷電流を精度よく検出することができる。
【0036】
さらに、供給電流を検出する際に、A/D変換時の最少分解能以上の電圧がコントロールユニット15に入力されるように第1のシャント抵抗13−1の抵抗値R1を設定している。また、負荷電流を検出する際に、A/D変換時の最少分解能以上の電圧がコントロールユニット15に入力されるように第2のシャント抵抗13−2の抵抗値R2を設定している。このような構成を採用することで、第1のシャント抵抗13−1の一方端ならびに第2のシャント抵抗13−2の一方端で発生する電圧V1,V2を増幅することなくコントロールユニット15に入力して電流を検出することが可能となる。これにより、電圧を増幅するオペアンプなどの構成が不要となる。
【0037】
したがって、従来に比べて、構成が簡略化されるとともに小型化することができ、コストの低減を図ることができる。また、オペアンプなどの増幅回路は、個々のばらつきが大きいため、個々の機器毎にばらつきを補正するのが一般的であり、検出精度の低下を招くおそれがあった。しかし、この実施形態1では、オペアンプなどの増幅回路が不要となるため、供給電流ならびに負荷電流を精度よく検出することが可能となる。このため、二次電池11の種類やACアダプター17の種類によって充電電流がそれぞれ異なった場合であって、充電電流を精度よく検出することができる。したがって、様々な種類の二次電池11やACアダプター17であっても、二次電池11の充電動作を的確に制御することが可能となる。
【0038】
また、供給電流を検出するための第1のシャント抵抗13−1と負荷電流を検出するための第2のシャント抵抗13−2をそれぞれ独立して個別に設けたので、検出しようとする電流の値に応じてそれぞれのシャント抵抗の抵抗値を独立して個別に設定することが可能となる。これにより、1つのシャント抵抗で供給電流ならびに負荷電流の双方の電流を検出する場合に比べて、供給電流ならびに負荷電流の検出精度を高めることができる。
【0039】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る充電式電気機器について説明する。
【0040】
この実施形態2は、先の実施形態1と同様な構成ならびに機能に加えて、供給電流と負荷電流とを平衡状態に制御するようにしたことを特徴としている。
【0041】
すなわち、ACアダプター17から供給される供給電流をI1とし、負荷電流をI2とすると、I1=I2が成立するように、コントロールユニット15がスイッチング素子12をオン/オフ制御する。ここで、第1のシャント抵抗13−1の抵抗値をR1、第2のシャント抵抗13−2の抵抗値をR2とすると、供給電流I1は(V1−V0)/R1となり、負荷電流I2は(V2−V0)/R2となる。
【0042】
このような平衡状態では、スイッチング素子12を介してACアダプター17から供給される供給電流は負荷電流と釣り合うので、二次電池11には電流は流れ込まない。この結果、二次電池11の電池電圧を一定に保つことが可能となる。これにより、負荷14がDCモータで構成されている場合には、負荷14の駆動時の過渡現象における二次電池11の電池電圧の変化によって発生するモータのうなり音を抑制することができる。
【0043】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る充電式電気機器について説明する。
【0044】
この実施形態3は、先の実施形態1と同様な構成ならびに機能に加えて、二次電池11の電池電圧V0に基づいて、負荷14の駆動時の供給電流と負荷電流との大小関係を制御するようにしたことを特徴としている。
【0045】
コントロールユニット15は、負荷14が駆動されている場合に、二次電池11の電池電圧V0を予め設定された第1の基準電圧Vt1と比較し、その比較結果に基づいて供給電流と負荷電流との大小関係を設定している。すなわち、下記(1)〜(3)に示すような大小関係となるように、スイッチング素子12がオン/オフ制御される。
【0046】
(1)V0>Vt1、供給電流I1<負荷電流I2
(2)V0=Vt1、供給電流I1=負荷電流I2
(3)V0<Vt1、供給電流I1>負荷電流I2
ここで、第1の基準電圧Vt1は、例えば二次電池11の種類に応じて決められている最大出力電圧によって設定される。二次電池11が例えば最大出力電圧が4.2V程度のリチウム電池で構成されている場合には、第1の基準電圧Vt1は最大出力電圧の近傍の例えば4.0V程度に設定される。また、第1のシャント抵抗13−1の抵抗値をR1、第2のシャント抵抗13−2の抵抗値をR2とすると、供給電流I1は(V1−V0)/R1となり、負荷電流I2は(V2−V0)/R2となる。
【0047】
上記(1)では、二次電池11の電池容量が満充電に近い状態で二次電池11は放電してもかまわないと判断し、電池電圧V0は第1の基準電圧Vt1に向けて徐々に低下する。上記(2)の場合には、二次電池11の充電は不要と判断して充電は行われず、電池電圧V0は変化しない。上記(3)の場合には、二次電池11は充電が必要であると判断して、負荷14を駆動しながら二次電池11を充電し、電池電圧V0が第1の基準電圧Vtに徐々に近づく。
【0048】
このように、この実施形態3では、二次電池11における充電の必要性を判断しつつ、電池電圧の変動を抑制することができる。これにより、二次電池11における電池容量の不足を回避することができる。さらに加えて、負荷14がDCモータで構成されている場合には、負荷14の駆動時の過渡現象における二次電池11の電池電圧の変化によって発生するモータのうなり音を抑制することができる。
【0049】
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4に係る充電式電気機器について説明する。
【0050】
この実施形態4は、先の実施形態1と同様な構成ならびに機能に加えて、二次電池11の電池電圧V0に基づいて、負荷14が駆動されていないときの供給電流と漏れ電流との大小関係を制御するようにしたことを特徴としている。ここで、漏れ電流とは、負荷が駆動されていない場合であってもコントロールユニット15は起動された状態にあるので、その際のコントロールユニット15の消費電流が主なものとなる。なお、コントロールユニット15の消費電流は、負荷電流に比べて極めて微少であるので、負荷14が駆動されたときの機器全体の消費電流に対して漏れ電流とすることができる。
【0051】
コントロールユニット15は、負荷14が駆動されていない場合に、二次電池11の電池電圧V0を予め設定された第2の基準電圧Vt2と比較し、その比較結果に基づいて供給電流と漏れ電流との大小関係を設定している。すなわち、下記(4)〜(5)に示すような大小関係となるように、スイッチング素子12がオン/オフ制御される。
【0052】
(4)V0<Vt2、供給電流I1>漏れ電流I3
(5)V0≧Vt2、供給電流I1=漏れ電流I3
ここで、第1の基準電圧Vt2は、例えば二次電池11の種類に応じて決められている最大出力電圧によって設定される。二次電池11が例えば最大出力電圧(満充電時)が4.2V程度のリチウム電池で構成されている場合には、第2の基準電圧Vt2は最大出力電圧の例えば90%程度の電圧に設定される。また、第1のシャント抵抗13−1の抵抗値をR1、第2のシャント抵抗13−2の抵抗値をR2とすると、供給電流I1は(V1−V0)/R1となり、漏れ電流I3は(V2−V0)/R2となる。
【0053】
上記(4)では、漏れ電流I3により電池電圧V0が徐々に低下して電池容量が減ってきているものと推定し、漏れ電流I3以上に供給電流I1を設定して二次電池11を充電する。上記(5)では、二次電池11の電池容量は充電を必要としない程度にあると判断し、供給電流I1によって漏れ電流I3を補い、二次電池11からの放電を回避している。
【0054】
このように、この実施形態4では、負荷14が駆動されずに機器が使用されていない場合には、ACアダプター17からの供給電流によって機器の漏れ電流を補うことで、二次電池11の放電を回避して、電池容量の低下を防止することができる。また、二次電池11の電池容量が充電が必要な程度に低下している場合には、供給電流によって機器の漏れ電流を補うととも、二次電池11を充電することが可能となる。これにより、二次電池11の電池容量の低下を回避することができる。
【0055】
(実施形態5)
図2は本発明の実施形態5に係る充電式電気機器の構成を示す図である。図2において、この実施形態5の充電式電気機器は、先の図1に示す構成に対して、スイッチ21を設けたことを特徴とし、他の構成は先の図1と同様である。
【0056】
スイッチ21は、第1のシャント抵抗13−1と第2のシャント抵抗13−2との接続点と二次電池11の正極との間に接続され、コントロールユニット15から与えられるスイッチング制御信号に基づいてオン/オフ制御される。
【0057】
この実施形態5は、先の実施形態2と同様に供給電流と負荷電流とを平衡状態に制御している。すなわち、ACアダプター17から供給される供給電流をI1とし、負荷電流をI2とすると、I1=I2が成立するように、コントロールユニット15がスイッチング素子12をオン/オフ制御する。ここで、第1のシャント抵抗13−1の抵抗値をR1、第2のシャント抵抗13−2の抵抗値をR2とすると、供給電流I1は(V1−V0)/R1となり、負荷電流I2は(V2−V0)/R2となる。
【0058】
このような平衡状態では、スイッチング素子12を介してACアダプター17から供給される供給電流は負荷電流と釣り合うので、二次電池11には電流は流れ込まない。このような状態において、スイッチ21は、スイッチング制御信号によりオフされる。これにより、二次電池11はACアダプター17ならびに負荷14から切り離される。
【0059】
上述したように、供給電流と負荷電流とが釣り合ったといっても、両者を完全に一致させることは困難であり、両者の間には微少ではあるが差が生じている。このため、二次電池11には、微少ではあるが充電電流もしくは放電電流が流れることになる。これは、電池の寿命を短くする要因となる。
【0060】
そこで、この実施形態5では、供給電流と負荷電流が釣り合ったときに、スイッチ21をオフして二次電池11を切り離すことで、不要な充放電電流を回避することが可能となる。この結果、二次電池11を保護して二次電池11の寿命を延ばすことができる。
【0061】
一方、上記負荷電流に代えて、先の実施形態4で説明した漏れ電流とした場合でも、上述したと同様にスイッチ21をオフして二次電池11を切り離すことが可能である。
【0062】
(実施形態6)
次に、本発明の実施形態6に係る充電式電気機器について説明する。
【0063】
この実施形態5は、先の実施形態1と同様な構成ならびに機能に加えて、供給電流と負荷電流とに基づいて、二次電池11の電池容量を算出するようにしたことを特徴としている。
【0064】
スイッチング素子12を介してACアダプター17から機器に供給される供給電流をI1とし、負荷14で消費される負荷電流をI2とすると、コントロールユニット15で供給電流と負荷電流との差となる(I1−I2)を積算する。ここで、第1のシャント抵抗13−1の抵抗値をR1、第2のシャント抵抗13−2の抵抗値をR2とすると、供給電流I1は(V1−V0)/R1となり、負荷電流I2は(V2−V0)/R2となる。
【0065】
(I1−I2)は、二次電池11に流れる込む充電電流となり、この充電電流を積算することで、電池容量を算出することができる。
【0066】
このように、この実施形態6では、それぞれ対応した別個のシャント抵抗で供給電流と負荷電流とを検出して双方の電流を精度よく検出するようにしたので、二次電池11の電池容量を正確に算出することができる。この結果、二次電池11の充電の必要性を精度よく判断することが可能となり、的確に二次電池11を充電することができる。
【符号の説明】
【0067】
11…二次電池
12…スイッチング素子
13…シャント抵抗
14…負荷
15…コントロールユニット
16…アダプター接続端子
17…ACアダプター
21…スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式電気機器に着脱自在に接続される充電アダプターを介した外部からの給電により二次電池を充電し、前記二次電池または前記充電アダプターを介した外部からの給電により駆動される負荷を有する充電式電気機器において、
前記充電アダプターを介した外部からの給電を受けて、スイッチング信号に基づいてオン/オフされて前記充電式電気機器に供給電流を供給するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子と前記二次電池の正極との間に接続され、前記スイッチング素子を介して前記充電式電気機器に供給される供給電流を検出する第1のシャント抵抗と、
前記負荷と前記二次電池の正極との間に接続され、前記負荷に供給される負荷電流を検出する第2のシャント抵抗と、
前記スイッチング素子のオン時に前記第1のシャント抵抗ならびに前記第2のシャント抵抗の両端の電圧を入力し、入力した電圧に基づいて、前記スイッチング素子のオン/オフを制御して、前記供給電流ならびに負荷電流を制御するコントロールユニットとを備え、
前記第1のシャント抵抗の抵抗値は、前記コントロールユニットが入力したアナログ電圧をデジタル電圧に変換する際のA/D変換電圧の最少分解能を前記供給電流の検出可能な最小値で除した値以上となるように設定され、
前記第2のシャント抵抗の抵抗値は、前記コントロールユニットが入力したアナログ電圧をデジタル電圧に変換する際のA/D変換電圧の最少分解能を前記負荷電流の検出可能な最小値で除した値以上となるように設定される
ことを特徴とする充電式電気機器。
【請求項2】
前記コントロールユニットは、前記第1のシャント抵抗の両端の電圧差を前記第1のシャント抵抗の抵抗値で除した値で前記供給電流を算出し、前記第2のシャント抵抗の両端の電圧差を前記第2のシャント抵抗の抵抗値で除した値で前記負荷電流を算出し、前記供給電流と前記負荷電流とが同等となるように前記スイッチング素子のオン/オフを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電式電気機器。
【請求項3】
前記コントロールユニットは、前記負荷が駆動されているときに、前記第1のシャント抵抗の両端の電圧差を前記第1のシャント抵抗の抵抗値で除した値で前記供給電流を算出し、前記第2のシャント抵抗の両端の電圧差を前記第2のシャント抵抗の抵抗値で除した値で前記負荷電流を算出し、前記二次電池の正極が接続された前記第1のシャント抵抗ならびに前記第2のシャント抵抗の一方端の電圧V0と、予め設定された第1の基準電圧Vt1とを比較し、
前記V0>Vt1の場合には、前記供給電流<前記負荷電流、
前記V0=Vt1の場合には、前記供給電流=前記負荷電流、
前記V0<Vt1の場合には、前記供給電流>前記負荷電流となるように、
前記前記スイッチング素子のオン/オフを制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の充電式電気機器。
【請求項4】
前記コントロールユニットは、前記負荷が駆動されてないときに、前記第1のシャント抵抗の両端の電圧差を前記第1のシャント抵抗の抵抗値で除した値で前記供給電流を算出し、前記第2のシャント抵抗の両端の電圧差を前記第2のシャント抵抗の抵抗値で除した値で前記充電式電気機器の漏れ電流を算出し、前記二次電池の正極が接続された前記第1のシャント抵抗ならびに前記第2のシャント抵抗の一方端の電圧V0と、予め設定された第2の基準電圧Vt2とを比較し、
前記V0<Vt2の場合には、前記供給電流>前記漏れ電流、
前記V0≧Vt2の場合には、前記供給電流=前記漏れ電流となるように、
前記前記スイッチング素子のオン/オフを制御する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の充電式電気機器。
【請求項5】
前記二次電池の正極と、前記第1のシャント抵抗ならびに前記第2のシャント抵抗との間に接続され、前記供給電流と前記負荷電流もしくは前記漏れ電流が同等となったときにオフして前記二次電池と前記スイッチング素子ならびに前記負荷とを電気的に切り離すスイッチ
を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の充電式電気機器。
【請求項6】
前記コントロールユニットは、前記第1のシャント抵抗の両端の電圧差を前記第1のシャント抵抗の抵抗値で除して算出した電流から、前記第2のシャント抵抗の両端の電圧差を前記第2のシャント抵抗の抵抗値で除して算出した電流を減じ、減じた値を積算して前記二次電池の電池容量を算出する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の充電式電気機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−70477(P2012−70477A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210892(P2010−210892)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】