説明

充電式電気機器

【課題】充電式電気機器において、トリクル充電時に、不活性電池を活性化させつつ充電することができ、しかも、充電に必要な消費電力を抑える。
【解決手段】第1回目のトリクル充電では、不活性電池を活性化させつつ充電するために必要な電流値の充電電流で充電を行い、第2回目以降のトリクル充電では、(第1回目のトリクル充電における充電電流の値よりも低い)電池の自然放電を補うために必要な電流値の充電電流で充電を行うようにした。従って、第1回目のトリクル充電では、不活性電池を活性化させつつ充電することができる。また、第2回目以降のトリクル充電では、電池の自然放電を補うために必要な電流値の充電電流で充電を行うようにしたことにより、従来のように不活性電池を活性化させつつ充電するために必要な、一定の電流値でトリクル充電を継続した場合と比べて、充電に必要な消費電力を抑えることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵の二次電池に急速充電可能な充電式電気機器に係り、特に、トリクル充電機能を有する充電式電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気シェーバ等のポータブルタイプの充電式電気機器の発達に伴い、ニッケル水素電池(Ni−MH:Nickel metal hydride)が、二次電池として広く使用されるようになってきている。ニッケル水素電池の普及によって、充電式電気機器における充電機能も進化してきており、従来の充電電流よりも大きな充電電流で急速充電することにより、従来の充電式電気機器よりも短い時間で充電を完了する充電式電気機器が著しく増加している。このニッケル水素電池を二次電池として用いる充電式電気機器では、急速充電後も、電池の自然放電を補うためと、不活性状態になった電池を活性化させるために、急速充電時の充電電流値よりも小さな一定の電流値を有する微小電流で充電を継続していた。この一定の電流値を有する微小電流による充電は、トリクル充電という。
【0003】
ところで、一般に、二次電池を備えた充電式電気機器では、二次電池の発熱や破裂を防ぐために、二次電池の過充電を防ぐ必要がある。そこで、従来、この種の充電式電気機器では、二次電池の残容量を検出する機能(残容量検出機能)をマイコンに持たせて、マイコンが、残容量が100%(満充電)になったことを検出したときに、二次電池への充電を終了させるものが多かった。けれども、上記の残容量検出機能を用いた満充電の検出方法では、マイコンを常時起動させて、少なくとも、二次電池に充電された充電電流量と、二次電池から負荷に対して放電された放電電流量とを管理する必要があるので、マイコンによる電力消費が問題になる。
【0004】
一方、二次電池としてのニッケル水素電池(Ni−MH:Nickel metal hydride)には、充電時に、その電池電圧の値がピーク値を越えてピーク値より低い値になったときにほぼ満充電の状態になるという特性がある。この特性を利用して、ニッケル水素電池を用いた充電式電気機器において、マイコンが、電池電圧の値がピーク値を越えてピーク値より低い値になったことを検出したときに、満充電になったと判定して、急速充電を終了させるものが増えている(特許文献1参照)。この充電式電気機器によれば、上記のような従来の残容量検出機能を有する充電式電気機器と異なり、マイコンを常時起動させて充電電流量と放電電流量とを管理する必要がないので、消費電力を削減することが可能である。
【0005】
ところが、上記の電池電圧の値がピーク値を越えてピーク値より低い値になったときに急速充電を終了させる方式の充電式電気機器では、不活性状態になったニッケル水素電池(以下、不活性電池と略す)を、急速充電だけでは満充電の状態にすることができない。
【0006】
上記の点について、図8を参照して説明する。不活性状態になっていない通常の電池は、急速充電を継続すると、上記のように電池電圧の値がピーク値を越えてピーク値より低い値になったとき(例えば図に示される充電開始から60分後)に、ほぼ満充電の状態になる。ところが、一般に、不活性電池に対して急速充電を行った場合には、充電開始から一定の時間以内に、上記の満充電に対応した電池電圧のピークとは異なる、電池電圧のピークを示すことが多い。このため、従来のこの種の機器は、電池電圧が上記の本来のピークとは異なるピークを越えたとき(例えば図中の充電開始から5分後)に、二次電池が満充電の状態になったと誤検出してしまい、満充電になる前に急速充電を終了してしまうことが多かった。この不活性電池で発生する充電不足への対策として、従来のこの種の機器は、急速充電後に、トリクル充電を継続して行うことにより、不活性電池の活性化をさせつつ、図中の両方向矢印で示される、急速充電で充電できなかった容量を補い、二次電池を満充電の状態まで充電していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−14472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
けれども、上記従来の急速充電後にトリクル充電を継続して行う充電式電気機器では、不活性電池を活性化させながら充電するためと、電池の自然放電を補うための両方の目的で、急速充電後に一定の電流値のトリクル充電電流を流し続けていた。このため、以下の問題があった。
【0009】
一般に、不活性電池を活性化させ(ながら充電す)るために必要なトリクル充電電流の電流値は、電池の自然放電を補うために必要なトリクル充電電流の電流値よりも大きい。従って、不活性電池を一旦活性化して満充電の状態まで充電した後には、それまでよりも小さな値の充電電流でトリクル充電を行えばよいはずである。にもかかわらず、従来の急速充電後にトリクル充電を継続して行う充電式電気機器では、急速充電後に、不活性電池を活性化させつつ充電するために必要な、一定の電流値のトリクル充電電流を流し続けていたため、消費電力に無駄が生じる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するものであり、トリクル充電において、不活性電池を活性化させつつ充電することができ、しかも、充電に必要な消費電力を抑えることが可能な充電式電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の充電式電気機器は、充電可能な二次電池と、前記二次電池と電源との間に設けられたスイッチング素子と、時間を計測する時間計測手段を有し、この時間計測手段から出力された時間に基づいて、前記スイッチング素子のオンの時間とオフの時間との比率であるデューティ比を制御することにより、前記二次電池に充電する充電電流の値を制御する制御手段とを備えた充電式電気機器において、前記二次電池への充電は、急速充電と、この急速充電の終了後の前記二次電池を、前記急速充電時の充電電流よりも小さな値の電流で充電するためのトリクル充電とを含み、前記制御手段は、前記急速充電の終了後の第1回目のトリクル充電における充電電流の値と、第2回目以降のトリクル充電における充電電流の値とを異ならせることを特徴とする。
【0012】
この充電式電気機器において、前記制御手段が、前記急速充電と前記第1回目のトリクル充電との間、又は/及び前記第1回目以降の各トリクル充電の間に、充電の休止時間を挿入することが望ましい。
【0013】
この充電式電気機器において、前記制御手段が、前記第2回目以降のトリクル充電における充電電流の値を、前記第1回目のトリクル充電における充電電流の値よりも低い値にすることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の充電式電気機器によれば、急速充電の終了後の第1回目のトリクル充電における充電電流の値と、第2回目以降のトリクル充電における充電電流の値とを異ならせるようにした。これにより、例えば、第1回目のトリクル充電では、不活性電池を活性化させつつ充電するために必要な電流値の充電電流で充電を行い、第2回目以降のトリクル充電では、電池の自然放電を補うために必要な電流値の充電電流で充電を行うようにすることができる。従って、第1回目のトリクル充電では、不活性電池を活性化させつつ充電することができる。また、第2回目以降のトリクル充電では、電池の自然放電を補うために必要な電流値の充電電流で充電を行うようにしたことにより、従来のように不活性電池を活性化させつつ充電するために必要な、一定の電流値でトリクル充電を継続した場合と比べて、充電に必要な消費電力を抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る充電式電気機器である電気シェーバとアダプタとの回路構成図。
【図2】上記電気シェーバにおける急速充電とトリクル充電のパターンを示すグラフ。
【図3】上記電気シェーバにおいて、通常の電池に充電した場合と、不活性電池に充電した場合における、急速充電とトリクル充電のパターンを示すグラフ。
【図4】上記電気シェーバにおけるトリクル充電のパターンの変形例を示すグラフ。
【図5】上記電気シェーバにおけるトリクル充電のパターンの変形例を示すグラフ。
【図6】上記電気シェーバにおけるトリクル充電のパターンの変形例を示すグラフ。
【図7】上記電気シェーバにおけるトリクル充電のパターンの変形例を示すグラフ。
【図8】不活性状態になったニッケル水素電池を、急速充電だけでは満充電の状態にすることができないという点の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る充電式電気機器である電気シェーバ1について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の電気シェーバ1(請求項における充電式電気機器)と、充電時に電気シェーバ1に接続されるアダプタ11との回路構成を示す。電気シェーバ1は、充電式の電気シェーバであり、負荷であるモータ2と、このモータ2に電力を供給する充電可能な二次電池3と、二次電池3と電気的に接続された充電端子4a,4bとを備えている。二次電池3は、標準的な電池電圧の値が1.4Vのニッケル水素電池を、複数個直列に接続して構成したものである。複数のニッケル水素電池から構成される二次電池3は、活性状態では、その残容量が一定の閾値未満の状態から充電させていった場合に、その電池電圧の値がピーク値を越えてピーク値より低い値になったときにほぼ満充電の状態になるという特性を有する。本電気シェーバ1における二次電池3への充電には、急速充電と、この急速充電の終了後の二次電池3を、急速充電時の充電電流よりも小さな値の電流で充電するためのトリクル充電とが含まれている。
【0017】
上記の電気シェーバ1は、装置全体を制御するマイコン5(制御手段)と、スイッチング素子6とを備えている。マイコン5は、時間を計測するタイマ8(時間計測手段)を有し、このタイマ8から出力された時間に基づいて、スイッチング素子6のオンの時間とオフの時間との比率であるデューティ比を制御することにより、二次電池3に充電する充電電流の値を制御する。また、マイコン5は、タイマ8から出力された時間に基づいて、所定の時間の間、スイッチング素子6をオフの状態のままにすることにより、急速充電と急速充電後の第1回目のトリクル充電との間、又は/及び急速充電後の第1回目以降の各トリクル充電の間に、充電の休止時間を挿入することができる。
【0018】
スイッチング素子6は、nチャンネル型のエンハンスメント・タイプのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。このスイッチング素子6は、二次電池3とアダプタ11との間(すなわち、二次電池3と商用電源20との間)に設けられている。スイッチング素子6は、マイコン5からラインL5を介して、ゲートに入力される制御信号の電圧レベルのハイ/ローに応じて、充電端子4aと二次電池3の+側とを結ぶ経路の遮断(オフ)と接続(オン)とを切り換える。具体的には、スイッチング素子6のゲートに入力される制御信号の電圧レベルがハイのときには、スイッチング素子6のドレイン・ソース間が導通して、充電端子4aと二次電池3の+側とを結ぶ経路が接続されて、二次電池3への充電が行われる。これに対して、スイッチング素子6のゲートに入力される制御信号の電圧レベルがローのときには、スイッチング素子6のドレイン・ソース間が導通せず、充電端子4aと二次電池3の+側とを結ぶ経路が遮断されて、二次電池3への充電が行われない。
【0019】
マイコン5の複数の入出力端子(不図示)には、それぞれラインL0〜L5が接続されている。ラインL0は、二次電池3への充電電流値の検出用の入力ラインである。マイコン5は、ラインL0に入力された電流を、マイコン内部に設けられた抵抗に流して、この抵抗による電圧降下の値を測定し、その電圧降下の値に基づき、二次電池3への充電電流値を検出(判定)する。また、ラインL1は、二次電池3の+側の電圧値の検出用の入力ラインである。また、グランドライン(以下、GNDラインと記す)L2は、二次電池3の−側の電圧値の検出用の入力ラインである。マイコン5は、ラインL1に印加される電圧と、GNDラインL2に印加される電圧とに基づいて、二次電池3の電池電圧の値を検出する。
【0020】
また、ラインL3は、二次電池3とマイコン5とを接続する電力供給用の入力ラインである。さらにまた、ラインL4は、二次電池3からモータ2に対して放電された放電電流値の検出用の入力ラインである。マイコン5は、ラインL4に入力された電流を、マイコン内部に設けられた抵抗に流して、この抵抗による電圧降下の値を測定し、その電圧降下の値に基づき、モータ2への放電電流値を検出(判定)する。そして、マイコン5は、検出した放電電流値に基づいて、負荷であるモータ2に過電流が流れるのを防ぐ。また、ラインL5は、充電端子4aと二次電池3の+側とを結ぶ(充電)経路の接続と遮断とを切り換えるための制御信号の出力ラインである。マイコン5は、ラインL0に入力された電流に基づいて検出した充電電流値の高低に応じて、スイッチング素子6のオンの時間とオフの時間との比率であるデューティ比を調整(変更)することにより、二次電池3に充電する充電電流の値をフィードバック制御する。
【0021】
また、上記の電気シェーバ1は、操作スイッチ7をさらに備えている。電気シェーバ1の使用時に、操作スイッチ7が、ユーザによりオン操作をされて、短絡させられると、二次電池3とモータ2とが電気的に接続されて、二次電池3からモータ2に電力が供給されて、モータ2が駆動する。
【0022】
次に、上記のアダプタ11について説明する。アダプタ11は、商用電源20の交流電力(電圧)を直流電力(電圧)に変換して、電気シェーバ1に電力(電源)を供給するスイッチング電源である。アダプタ11は、商用電源20との接続用の接続端子12a,12bと、電気シェーバ1との接続用(で給電用)の給電端子17a,17bを有している。アダプタ11は、二次電池3の充電時には、その接続端子12a,12bが商用電源20と接続され、その給電端子17a,17bが電気シェーバ1と接続されて、商用電源20から供給される交流電力に基づく直流電力を、電気シェーバ1に供給する。
【0023】
アダプタ11は、商用電源20から入力された交流電圧を脈流の直流電圧に変換するためのダイオードブリッジ13と、ダイオードブリッジ13から出力された脈流の直流電圧を平滑化し、電圧が略一定の直流電圧に変換するための平滑コンデンサC1とを備えている。
【0024】
また、アダプタ11は、アダプタ全体の制御を行う制御回路14と、平滑コンデンサC1を介して供給される直流電圧を降圧するための降圧回路15とを、さらに備えている。制御回路14は、ダイオードブリッジ13と平滑コンデンサC1とを介して供給される直流電圧の電力に基づいて動作する。また、上記の降圧回路15は、降圧用のトランス18と、トランス18の一次側コイルへの電圧の印加状態と非印加状態との切り換え(スイッチング)を行うためのトランジスタ16を有している。トランジスタ16は、NPN型のバイポーラ・トランジスタである。
【0025】
制御回路14は、出力ラインL7を介してトランジスタ16のベースに印加する電圧レベルのハイ/ローを切り換えることにより、トランジスタ16のコレクタ・エミッタ間の導通(ON)と非導通(OFF)とを切り換える。そして、制御回路14は、トランジスタ16のコレクタ・エミッタ間の導通と非導通とを切り換えることにより、トランス18の一次側コイルへの電圧の印加状態と非印加状態との切り換え(スイッチング)を行う。また、制御回路14は、トランジスタ16のベースに印加する電圧レベルのハイの時間とローの時間との比率を制御することにより、コレクタ・エミッタ間の導通(ON)の時間と非導通(OFF)の時間との比率(いわゆるデューティ比)を制御する。これにより、制御回路14は、トランス18の二次側コイルから出力される電力の電圧をほぼ一定の値に制御する。
【0026】
また、アダプタ11は、トランス18の二次側コイルに誘起された電圧レベルを検出するためのトランス19を有している。制御回路14は、入力ラインL8とGNDラインL9とを介して、トランス19に誘起された電圧の値を検出し、検出したトランス19の電圧値に基づいて、トランジスタ16のベースに印加する電圧のデューティ比をフィードバック制御する。
【0027】
アダプタ11は、トランス18の二次側コイルから出力されたパルス状の電力が入力される、逆流防止用のダイオードD1と、ダイオードD1から出力された電力の電圧値を平滑化するための平滑コンデンサC2とをさらに備えている。
【0028】
次に、図2を参照して、本実施形態の電気シェーバ1におけるトリクル充電方式について説明する。本電気シェーバ1におけるトリクル充電方式では、急速充電の終了後の第1回目のトリクル充電における充電電流の値と、第2回目以降のトリクル充電における充電電流の値とを異ならせている。具体的には、マイコン5は、第2回目以降のトリクル充電における充電電流の値(50mA)を、第1回目のトリクル充電における充電電流の値(100mA)よりも低い値にする。ここで、第1回目のトリクル充電における充電電流の値(100mA)は、不活性状態になったニッケル水素電池(以下、不活性電池と略す)を活性化させながら充電するために必要な電流値である。また、第2回目以降のトリクル充電における充電電流の値(50mA)は、電池の自然放電を補うために必要なトリクル充電電流の電流値である。
【0029】
また、マイコン5は、図2に示されるように、急速充電と第1回目のトリクル充電との間には、充電の休止時間を挿入しない(急速充電後の休止時間は0時間に設定する)が、第1回目以降の各トリクル充電の間に、充電の休止時間を挿入する。具体的には、マイコン5は、スイッチング素子6を制御することにより、1000mAの電流値で1時間急速充電させた後、充電を休止せずに、第1回目のトリクル充電に移行する。そして、第1回目のトリクル充電において、100mAの電流値で8時間充電させた後、充電を3.5時間休止させる。この後、マイコン5は、第2回目以降の各トリクル充電における50mAの電流値による2.5時間の充電処理と、その後の3.5時間の充電の休止処理とを繰り返す。なお、上記の第1回目以降の各トリクル充電の間に挿入する休止時間は、電気シェーバ1の使用に影響しない範囲の時間(電気シェーバ1が自然放電やマイコン5による電力消費により使用できなくなるのを防ぐのに充分短い時間)に設定される。
【0030】
上記図2に示されるパターンのトリクル充電を行った場合には、充電対象となる二次電池3が不活性状態になっているときでも、満充電にすることができる。以下に、この点について説明する。本電気シェーバ1も、上記図8に示されるように、電池電圧の値がピーク値を越えてピーク値より低い値になったときに急速充電を終了させる方式を採用している。このため、充電対象となる二次電池3が不活性電池の場合は、満充電になる前に急速充電を終了してしまうことが多い。
【0031】
上記の不活性電池で発生する充電不足への対策として、本電気シェーバ1のマイコン5は、図3の下段に示されるように、急速充電後の第1回目のトリクル充電において、不活性電池を活性化させながら充電するために必要な電流値(100mA)で8時間充電する。この第1回目のトリクル充電により、マイコン5は、不活性状態の二次電池3の活性化をさせつつ、図8中の両方向矢印で示される、急速充電で充電できなかった容量を補い、二次電池3を一旦満充電の状態まで充電する。その後、マイコン5は、図3の下段に示されるように、第2回目以降の各トリクル充電において、電池の自然放電を補うための充電を行う。上記のように、本電気シェーバ1では、第1回目のトリクル充電において、不活性電池を活性化させながら充電するために必要な電流値で充電したことにより、充電対象となる二次電池3が不活性状態になっているときでも、満充電にすることができる。
【0032】
これに対して、充電対象となる二次電池3が通常の電池のときには、二次電池3は、急速充電でほぼ満充電の状態まで充電されてしまうので、第1回目のトリクル充電における充電の目的は、主に電池の自然放電を補うためになる。
【0033】
次に、本電気シェーバ1において行われるトリクル充電のパターンの変形例について、図4乃至図7を参照して説明する。図4に示されるトリクル充電のパターンは、急速充電と第1回目のトリクル充電との間にも、充電の休止時間を挿入するという点で、図2に示されるトリクル充電のパターンと異なっている。それ以外の点については、図2に示されるトリクル充電のパターンと基本的に同じである。ただし、急速充電と第1回目のトリクル充電との間に休止時間を挿入したことにより生じる(自然放電による)残容量の不足を補うために、第1回目のトリクル充電の時間を、図2中の第1回目のトリクル充電の時間(8時間)よりも長くすることが望ましい。或いは、上記の残容量の不足を補うために、図4中の第1回目のトリクル充電の電流値を、図2中の第1回目のトリクル充電の電流値(100mA)より高くしてもよい。なお、上記の急速充電と第1回目のトリクル充電との間に挿入する休止時間は、二次電池3の活性化に影響しない範囲の時間(活性化に影響しない程度に短い時間)に設定される。
【0034】
また、図5に示されるトリクル充電のパターンは、第1回目以降の各トリクル充電の間に充電の休止時間が挿入されていないという点で、図4に示されるトリクル充電のパターンと異なっている。それ以外の点については、図4に示されるトリクル充電のパターンと基本的に同じである。ただし、このトリクル充電のパターンでは、第1回目以降の各トリクル充電の間に充電の休止時間を挿入せず、第2回目のトリクル充電を継続して行うようにしたために、第2回目のトリクル充電の合計時間が増える。この第2回目のトリクル充電の合計時間の増加を考慮して、図5のトリクル充電のパターンでは、第2回目のトリクル充電の電流値(20mA)を、図4中の第2回目以降のトリクル充電の電流値(50mA)と比べて小さくしている。
【0035】
さらにまた、図6に示されるトリクル充電のパターンは、第1回目以降の各トリクル充電の間に充電の休止時間が挿入されていないという点で、図2に示されるトリクル充電のパターンと異なっている。それ以外の点については、図2に示されるトリクル充電のパターンと基本的に同じである。ただし、このトリクル充電のパターンでは、第1回目以降の各トリクル充電の間に充電の休止時間を挿入せず、第2回目のトリクル充電を継続して行うようにしたために、第2回目のトリクル充電の合計時間が増える。この第2回目のトリクル充電の合計時間の増加を考慮して、図6のトリクル充電のパターンでは、第2回目のトリクル充電の電流値(20mA)を、図2中の第2回目以降のトリクル充電の電流値(50mA)と比べて小さくしている。
【0036】
また、図7に示されるトリクル充電のパターンは、第2回目のトリクル充電の電流値(75mA)を、第3回目のトリクル充電の電流値(50mA)よりも高くしている点で、図4に示されるトリクル充電のパターンと異なっており、それ以外の点については、図4に示されるトリクル充電のパターンと基本的に同じである。なお、第4回目以降のトリクル充電の電流値については、第3回目のトリクル充電の電流値(50mA)よりも低くしてもよいし、第3回目のトリクル充電の電流値と同じであってもよい。
【0037】
上述したように、本実施形態の電気シェーバ1によれば、急速充電の終了後の第1回目のトリクル充電における充電電流の値と、第2回目以降のトリクル充電における充電電流の値とを異ならせるようにした。すなわち、第2回目以降のトリクル充電における充電電流の値を、第1回目のトリクル充電における充電電流の値よりも低い値にした。より具体的には、第1回目のトリクル充電では、不活性電池を活性化させつつ充電するために必要な電流値の充電電流で充電を行い、第2回目以降のトリクル充電では、電池の自然放電を補うために必要な電流値の充電電流で充電を行うようにした。従って、第1回目のトリクル充電では、不活性電池を活性化させつつ充電することができる。また、第2回目以降のトリクル充電では、電池の自然放電を補うために必要な電流値の充電電流で充電を行うようにしたことにより、従来のように不活性電池を活性化させつつ充電するために必要な、一定の電流値でトリクル充電を継続した場合と比べて、充電に必要な消費電力を抑えることが可能になる。
【0038】
また、本電気シェーバ1において行われるトリクル充電のパターンが、図2、図4、図5、及び図7のパターンの場合には、マイコン5は、急速充電と第1回目のトリクル充電との間、又は/及び第1回目以降の各トリクル充電の間に、充電の休止時間を挿入する。これにより、従来のように不活性電池を活性化させつつ充電するために必要な、一定の電流値でトリクル充電を継続した場合と比べて、充電に必要な消費電力をさらに抑えることが可能になる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明の充電式電気機器が電気シェーバ1である場合の例について示したが、例えば携帯電話や携帯型の情報機器等の充電式電気機器に、本発明を適用してもよい。また、本発明の充電式電気機器が有する二次電池は、必ずしもニッケル水素電池に限られない。さらにまた、上記の実施形態では、スイッチング素子6がMOSFETである場合の例を示したが、スイッチング素子6は、バイポーラ型のトランジスタであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 電気シェーバ(充電式電気機器)
3 二次電池
5 マイコン(制御手段)
6 スイッチング素子
8 タイマ(時間計測手段)
20 商用電源(電源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能な二次電池と、
前記二次電池と電源との間に設けられたスイッチング素子と、
時間を計測する時間計測手段を有し、この時間計測手段から出力された時間に基づいて、前記スイッチング素子のオンの時間とオフの時間との比率であるデューティ比を制御することにより、前記二次電池に充電する充電電流の値を制御する制御手段とを備えた充電式電気機器において、
前記二次電池への充電は、急速充電と、この急速充電の終了後の前記二次電池を、前記急速充電時の充電電流よりも小さな値の電流で充電するためのトリクル充電とを含み、
前記制御手段は、前記急速充電の終了後の第1回目のトリクル充電における充電電流の値と、第2回目以降のトリクル充電における充電電流の値とを異ならせることを特徴とする充電式電気機器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記急速充電と前記第1回目のトリクル充電との間、又は/及び前記第1回目以降の各トリクル充電の間に、充電の休止時間を挿入するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の充電式電気機器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2回目以降のトリクル充電における充電電流の値を、前記第1回目のトリクル充電における充電電流の値よりも低い値にすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の充電式電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−70442(P2013−70442A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205027(P2011−205027)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】