説明

充電装置

【課題】被充電機器が装着される装着面上の異物が除去され易く、且つ、被充電機器の装着安定性を確保した充電装置を提供すること。
【解決手段】充電装置1では、筐体2の装着面12に携帯電話機50が装着されたときには、筐体2に備えられた支足部22が収納されることによって、筐体2を第1の姿勢とし、筐体2の装着面12から携帯電話機50が外されたときには、筐体2に備えられた支足部22が突出されることによって、筐体2を第2の姿勢とする。この点、筐体2の装着面12の水平面(設置面4)に対する傾斜角度については、筐体2が第2の姿勢であるときの第2の傾斜角度の方が、筐体2が第1の姿勢であるときの第1の傾斜角度よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用コードレス電話機、携帯用電話機、PHSなどの携帯用電子機器に対して非接触で充電を行う非接触式の充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触式の充電装置では、その充電装置に備えられた一次側コイルに対して、携帯用電子機器に備えられた二次側コイルが近づけられることによって、携帯用電子機器の充電が行われる。より詳細には、二次側コイルが一次側コイルからの電力を電磁誘導により受けて、二次側コイルに接続された電池が充電される。従って、その充電時には、二次側コイルが一次側コイルに対して位置決めされる必要がある。すなわち、電池が確実に充電される為には、携帯用電子機器と充電装置とは、二次側コイルが一次側コイルからの電磁誘導によって、電力を受けることが可能であるように配置された状態が維持されるように構成される必要がある。そのため、非接触式の充電装置には、携帯用電子機器を収容可能な凹部が設けられていた。
【0003】
しかし、携帯用電子機器を収納する凹部に異物が入り込んでしまった場合、充電が目的通りに行えなかったり、また、異物が金属製である場合には、異物が発熱して、充電装置や携帯用電子機器を変質させたり変形させたりするおそれがある。
【0004】
そこで、携帯用電子機器を収納する凹部に入り込んでしまった異物を排出する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。その具体例を図13(a)(b)に示す。
【0005】
図13(a)(b)に示すように、充電装置の筐体1111の上面の一部には、底面が一方向に傾斜した携帯用電子機器1119の一部を収納する保持凹部1120が設けられている。そして、携帯用電子機器1119の底面部に配置された二次側コイル1123が、保持凹部1120の底面に近接して配置された一次側コイル1115からの電力を電磁誘導によって受けて、二次側コイル1123に接続された電池が充電される。
【0006】
また、保持凹部1120の傾斜した底面を延長するように筐体1111の一側面に至る異物排出面1125が設けられている。すなわち、筐体1111の上面に形成した保持凹部1120に連続するように切欠部1126を設けて保持凹部1120の傾斜した底面を延長した異物排出面1125を形成している。特許文献1の記載によれば、傾斜角度αは15度〜40度の範囲内とすることが望ましい。
【0007】
図13(a)から図13(b)に示されるように、保持凹部1120に落ち込んだ異物1124は、自重が作用することにより、保持凹部1120の底面およびこの底面に連続した異物排出面1125の傾斜に沿って保持凹部1120から排出される。よって、異物が保持凹部1120かに留まることが防止される。
【特許文献1】特開平11−318036号公報(第3頁、第3−4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記充電装置では、上述したように、異物排出面1125の傾斜角度の設定によっては、携帯用電子機器が保持凹部に収容されたときの安定性が低下するという問題があった。すなわち、異物排出面1125の傾斜角度は急であるほど異物1124を排出しやすくなる反面、傾斜角度が急であるほど保持凹部1120に収容された携帯用電子機器1119も傾斜されるので、安定性が低下するという問題があった。一方、異物排出面1125の傾斜角度が緩やかである場合では、傾斜角度が緩やかであるほど保持凹部1120に落ち込んだ異物が排出されずに保持凹部に留まってしまう可能性が高くなる。特に異物の重量が軽いほど作用する自重が小さくなる為異物が留まってしまう虞れが大きい。
【0009】
また、保持凹部1120や異物排出面1125に沿って異物1124が排出される際には、保持凹部1120の底面に近接して配置された一次側コイル1115に異物1124が近づかない、あるいは、一次側コイル1115付近に異物1124が溜まらないようにする必要もある。以上のような観点から、充電装置の配置設計に制限が加えられると、携帯用電子機器1119の底面部に配置された二次側コイル1123との間で電磁誘導が最適になるような位置に、一次側コイル1115を設けることが困難になる場合もあり得る。また、携帯用電子機器1119の装着方向が制限されることも考えられる。
【0010】
よって、上記充電装置の保持凹部1120に携帯用電子機器1119を装着しても、携帯用電子機器1119に対して安定した電力が供給なされず、携帯用電子機器1119の電力が十分に充電されなかった結果、ユーザが携帯用電子機器1119を使用したいときに利用できないおそれがあった。
【0011】
尚、これらの点は、接触式の充電装置においても同様であり、さらに、金属製の異物を介した短絡の発生も考えられる。
【0012】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、被充電機器が装着される装着面上の異物が除去され易く、且つ、被充電機器の装着安定性を確保した充電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために成された請求項1に係る発明は、被装着面を有する被充電機器を着脱可能な筐体と、この筐体に設けられ、前記被充電機器が筐体に装着された状態において前記被装着面が対置される装着面と、を備え、前記被装着面が前記装着面に対置された状態において、前記被充電機器に対して電力を供給可能な充電装置であって、前記筐体には、前記筐体を、前記被充電機器が前記装着面に装着されたときには第1の姿勢に、前記被充電機器が前記装着面から外されたときには第2の姿勢に、姿勢変化可能とする姿勢変化部材が備えられ、前記筐体が前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との間で姿勢変化されるのに伴って、前記装着面の水平面に対する傾斜角度は、前記筐体が前記第1の姿勢であるときの第1の傾斜角度と、前記筐体が前記第2の姿勢であるときの第2の傾斜角度と、の間で変化され、前記第2の傾斜角度は第1の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の充電装置であって、前記姿勢変化部材は、前記筐体を回動可能に支持する支持部材であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の充電装置であって、前記姿勢変化部材は、前記筐体と、前記筐体が設置される設置面と、の間に、前記筐体に接近する接近姿勢と前記筐体から離間する離間姿勢とに姿勢変化可能に配置され、前記筐体は、前記姿勢変化部材が前記離間姿勢であるとき、前記設置面から離間されることによって前記第2の姿勢となり、前記姿勢変化部材が前記接近姿勢であるとき、前記設置面に接近されることによって前記第1の姿勢となることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の充電装置であって、前記姿勢変化部材には、前記筐体を前記設置面から離間させる方向に付勢する付勢部材が設けられ、前記離間姿勢において、前記筐体は前記付勢部材の付勢力によって前記設置面から離間され、前記接近姿勢において、前記筐体は前記付勢部材の付勢力に抗して前記設置面に接近されることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4に記載の充電装置であって、前記筐体内には一次側コイルが備えられ、前記被充電機器が前記装着面に装着された状態で前記一次側コイルは、前記被充電機器に内設された二次側コイルに対し、近傍で対向することを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に係る発明は、請求項1〜4に記載の充電装置であって、前記筐体には前記筐体から露呈された充電端子が備えられ、前記被充電機器が前記装着面に装着された状態で前記充電端子は、前記被充電機器から露呈された被充電端子に対し、当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
すなわち、本発明の請求項1に記載の充電装置によれば、、筐体に備えられた姿勢変化部材によって、筐体の装着面に被充電機器が装着されたときには筐体を第1の姿勢とし、筐体の装着面から被充電機器が外されたときには筐体を第2の姿勢とし、さらに、筐体の装着面の水平面に対する傾斜角度は、筐体が第2の姿勢であるときの第2の傾斜角度の方が筐体が第1の姿勢であるときの第1の傾斜角度よりも大きいので、筐体が第2の姿勢にあるときには筐体の装着面の勾配がきつくなり筐体の装着面上の異物が溜まることなく除去される。また、筐体が第1姿勢にあるときには筐体の装着面の勾配は筐体が第2の姿勢であるときよりも緩やかなので、筐体の装着面上での被充電機器の装着性が安定する。また、姿勢変化部材によって、筐体の姿勢が第1の姿勢と第2の姿勢とに変化可能に構成されているので、設計の自由度が高い。すなわち、携帯用電子機器に配置された二次側コイルとの間で電磁誘導が最適になるような位置に一次側コイルを設けることが容易である。すなわち、異物の除去性と被充電機器の装着安定性を兼ね備え、且つ、携帯用電子機器に対して安定した電力を供給可能な充電装置を提供することができるという効果を奏する。電力が十分に充電された結果、使用者は携帯用電子機器を使用したいときに利用できる。
【0020】
また、請求項2〜請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の充電装置において、筐体に備えられた姿勢変化部材には、筐体を回動可能に支持する支持部材や、筐体と筐体が設置される設置面との間に配置されるもの、筐体を設置面から離間させる方向に付勢する付勢部材がある。これらの姿勢変化部材は、いずれも、筐体の装着面に被充電機器が装着されたときには、被充電機器の重さが作用することによって筐体を第1の姿勢とし、筐体の装着面から被充電機器が外れたときには、被充電機器の重さから解放されることによって筐体を第2の姿勢とするものである。使用者が被充電機器を利用するために、筐体の装着面から被充電機器を外せば、筐体が自動的に第1の姿勢から第2の姿勢となって、筐体の装着面上の異物が溜まることなく除去される。また、使用者が被充電機器を充電するために、筐体の装着面に被充電機器を装着すれば、筐体が自動的に第2の姿勢から第1の姿勢となって、筐体の装着面上の被充電機器が安定して装着される。よって、ユーザーの手を煩わすことなく、筐体が適切な姿勢に変化されるという効果を奏する。適切な姿勢とは、筐体の装着面に被充電機器が装着された状態においては、被充電機器に対して安定した電力を供給可能な姿勢であり、筐体の装着面に被充電機器が装着された状態においては、装着面上の異物が留まることなく除去される姿勢である。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載の充電装置を、コイル間の電磁誘導によって充電を行う非接触式の充電装置に適用したものである。非接触式の充電装置とは、筐体内に備えられた一次側コイルに対し、被充電機器に内設された二次側コイルが近傍で対向された状態で、両コイル間の電磁誘導により被充電機器に対して電力が供給され充電が行われるものである。上述されたように、筐体が第2の姿勢であるとき、筐体の装着面上の異物は溜まることなく除去される。よって、一次側コイルが筐体の装着面もしくは一次側コイルから発生される磁力が装着面に及ぶ範囲に設けられ、且つ、異物が金属製である場合であっても、一次側コイルから発生される磁力によって異物が誘導されて発熱されることが防止される。すなわち、異物が発熱される位置に留まることが防止されるので、異物の発熱によって筐体が破損されることが防止される。また、異物の除去の観点から筐体内に備えられる一次側コイルに配置制限が加えられることがない。よって、設計の自由度が高まるという効果を奏する。さらに、筐体が第1の姿勢になることによって、筐体の装着面上の被充電機器は安定して装着されるため、被充電機器に対して電力が最適に供給される観点から、筐体内に備えられる一次側コイルの配置設計を行うことが可能となる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜4に記載の充電装置を、端子間の電気伝導によって充電を行う非接触式の充電装置に適用したものである。筐体から露呈された充電端子が被充電機器から露呈された被充電端子に当接された状態で、両充電端子間の電気伝導による接触式の充電が被充電機器に対して行われる。上述したように、筐体が第2の姿勢になることによって、筐体の装着面上の異物が溜まることなく除去されることから、異物の除去の観点から筐体から露呈された充電端子に配置制限が加えられることはない。よって、設計の自由度が高まるという効果を奏する。、さらに、筐体が第1の姿勢になることによって、筐体の装着面上の被充電機器は安定して装着されるため、被充電機器に対して電力が最適に供給される観点から、筐体から露呈される充電端子の配置設計を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。
先ず、第1実施形態の充電装置を図1乃至図6を参照にして説明する。図2は、第1実施形態の充電装置1を上方からみた斜視図である。図2に示すように、第1実施形態の充電装置1では、筐体2の上面2Aに保持凹部11が設けられている。また、保持凹部11の底面である装着面12は、筐体2の前面14まで連続して形成されている。さらに、保持凹部11の装着面12には、筐体2の背面側に保支部(姿勢変化部材)13が突設されている。尚、筐体2の背面15には、電源コード3が設けられている。
【0024】
図1は、第1実施形態の充電装置1の側面図である。第1実施形態の充電装置1では、図1(a)に示すように、筐体2の保持凹部11に何も装着されていないときは、筐体2から支足部22が突出され、筐体2は設置面4に対し傾いた第2の姿勢をとる。一方、図1(b)に示すように、筐体2の保持凹部11に携帯電話機50を装着したときは、筐体2内に支足部22が収納され、筐体2は設置面4とほぼ平行な第1の姿勢をとる。
【0025】
従って、設置面4が水平にあるとすると、筐体2が第2の姿勢(図1(a))と第1の姿勢(図1(b))との間で姿勢変化するのに伴い、装着面12の水平面(設置面4)に対する傾斜角度は、筐体2が第2の姿勢(図1(a))であるときの第2の傾斜角度と、筐体2が第1の姿勢(図1(b))であるときの第1の傾斜角度との間で変化する。また、第2の傾斜角度は第1の傾斜角度よりも大きい。
【0026】
尚、筐体2の保持凹部11に携帯電話機50を装着したときには、図1(b)に示すように、筐体2に内設された一次側コイル31は、携帯電話機50に内設された二次側コイル51に対し、近傍で対向し、この対向状態において、両コイル31,51間の電磁誘導による非接触式の充電が携帯電話機50に対して行われる。
【0027】
このように、筐体2が第2の姿勢(図1(a))と第1の姿勢(図1(b))との間で姿勢変化するのは、支足部22によるものである。支足部22は筐体2に対して回動可能であるように設けられ、筐体2から突出される姿勢と筐体2内に収納される姿勢との間で姿勢変化可能であるように構成されている。以下に、支足部22の構成について、図3乃至図6を参照にして説明する。
【0028】
図3は、第1実施形態の充電装置1を下方からみた斜視図である。図4は、第1実施形態の充電装置1の底面図である。図5は、第1実施形態の充電装置1を図4の線A−Aで切断した断面図である。図6は、第1実施形態の充電装置1において、筐体2内からみた支足部22の斜視図である。
【0029】
図3乃至図6に示すように、第1実施形態の充電装置1においては、筐体2の底面2Bに一対の開口部21が設けられている。この開口部21に隣接して軸受部27と係止部25とが設けられている。支足部22の一端は回動軸部24が設けられている。回動軸部24が軸受部27に嵌合されることによって、支足部22は筐体2に対して開口部から突出される位置と、開口部に収納される位置との間で回動可能に取り付けられている。回動軸部24にはネジリコイルバネ23が通され、そのネジリコイルバネ23の端部は係止部25に係止されている。このネジリコイルバネ23によって、支足部22は開口部から突出される方向に付勢されている。筐体2の保持凹部11に携帯電話機50を装着したときは、筐体2及び携帯電話機50の重さとネジリコイルバネ23の付勢力との力関係から、支足部22はネジリコイルバネ23の付勢力に抗して筐体2の収納空間26(図5参照)に収納される。一方、筐体2の保持凹部11から携帯電話機50を外したときは、筐体2の重さとネジリコイルバネ23の付勢力との力関係から、支足部22はネジリコイルバネ23の付勢力によって筐体2の収納空間26(図5参照)から突出される。
【0030】
すなわち、支足部22は、筐体2を設置面4から離間させる方向に付勢するものである。図1(a)の第2姿勢である離間姿勢において、筐体2はネジリコイルバネ23の付勢力によって設置面4から離間される。また、図1(b)の第1姿勢である接近姿勢において、筐体2はネジリコイルバネ23の付勢力に抗して設置面4に接近される。
【0031】
以上詳細に説明したように、第1実施形態の充電装置1では、筐体2に支足部22が備えられることによって、筐体2の装着面12に携帯電話機50が装着されたときには、図1(b)に示すように、筐体2は第1の姿勢となる。また、筐体2の装着面12から携帯電話機50が外されたときには、図1(a)に示すように、筐体2は第2の姿勢となる。さらに、筐体2の装着面12の水平面(設置面4)に対する傾斜角度については、筐体2が第2の姿勢(図1(a))であるときの第2の傾斜角度の方が、筐体2が第1の姿勢(図1(b))であるときの第1の傾斜角度よりも大きい。従って、筐体2が第2の姿勢(図1(a))にあるときには、筐体2の装着面12の勾配がきつくなる。すなわち、筐体2の装着面12上に異物があっても、その異物は、その自重によって筐体2の装着面12上を滑り、筐体2の装着面12上に溜まることなく除去される。また、筐体2が第1姿勢(図1(b))にあるときには、筐体2の装着面12の勾配がゆるくなり、筐体2の装着面12上での携帯電話機50の装着性が安定する。
以上より、第1実施形態の充電装置1では、異物の除去性と携帯電話機50の装着安定性を兼ね備えることができる。
【0032】
また、筐体2に備えられた支足部22は、ネジリコイルバネ23の付勢力を利用するものである。よって、筐体2の装着面12に携帯電話機50が装着されたときには、携帯電話機50の重さが作用することによって、筐体2は第1の姿勢(図1(b))となる。また、筐体2の装着面12から携帯電話機50が外されたときには、携帯電話機50の重さから解放されることによって、筐体2は第2の姿勢(図1(a))となる。従って、使用者が携帯電話機50を利用するために、筐体2の装着面12から携帯電話機50を外せば、筐体2が自動的に第1の姿勢(図1(b))から第2の姿勢(図1(a))となり、この状態でに筐体2の装着面12上に異物が落ちても、その異物は溜まることなく除去される。また、使用者が携帯電話機50を充電するために、筐体2の装着面12に携帯電話機50を装着すれば、筐体2が自動的に第2の姿勢(図1(a))から第1の姿勢(図1(b))となるので、筐体2の装着面12上の携帯電話機50が安定して装着される。
【0033】
また、第1実施形態の充電装置1は、非接触式の充電を携帯電話機50に対して行うものである。上述されたように、筐体2が第2の姿勢(図1(a))になることによって、筐体2の装着面12上の異物が溜まることなく除去される。よって異物の除去の観点から筐体2内に備えられる一次側コイル31に配置制限が加えられることがない。、また、、筐体2が第1の姿勢(図1(b))になることによって、筐体2の装着面12上の携帯電話機50は安定して装着される。よって、携帯電話機50に対して電力が最適に供給される観点から、筐体2内に備えられる一次側コイル31の配置設計を行うことが可能となる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の充電装置を図7を参照にして説明する。図7は、第2実施形態の充電装置101の側面図である。図7に示すように、第2実施形態の充電装置101では、筐体102の上面102Aに保持凹部111が設けられている。また、保持凹部111の底面である装着面112は、筐体102の前面114 にまでとどくように形成されている。さらに、保持凹部111の装着面112には、筐体102の背面側に保支部(姿勢変化部材)113が突設されている。尚、筐体102の背面115には、電源コード103が設けられている。
【0035】
第2実施形態の充電装置101では、図7(a)に示されるように、筐体102の保持凹部111に何も装着されていないときは、筐体102から支足部122が突出され、筐体102は設置面104に対し傾いた第2の姿勢をとる。一方、図7(b)に示されるように、筐体102の保持凹部111に携帯電話機150が装着されたときは、筐体102内に支足部122が収納され、筐体102は設置面104とほぼ平行な第1の姿勢をとる。
【0036】
従って、設置面104が水平にあるとすると、筐体102が第2の姿勢(図7(a))と第1の姿勢(図7(b))との間で姿勢変化するのに伴い、装着面112の水平面(設置面104)に対する傾斜角度は、筐体102が第2の姿勢(図7(a))であるときの第2の傾斜角度と、筐体102が第1の姿勢(図7(b))であるときの第1の傾斜角度との間で変化する。また、第2の傾斜角度は第1の傾斜角度よりも大きい。
【0037】
尚、筐体102の保持凹部112に携帯電話機150を装着したときには、図7(b)に示すように、筐体102に内設された一次側コイル31は、携帯電話機150に内設された二次側コイル151に対し、近傍で対向し、この対向状態において、両コイル131,151間の電磁誘導による非接触式の充電が携帯電話機150に対して行われる。
【0038】
このように、筐体102が第2の姿勢(図7(a))と第1の姿勢(図7(b))との間で姿勢変化するのは、筐体102から飛びしたり筐体102内に収納されたりする支足部122によるものである。
【0039】
以上より、第2実施形態の充電装置101は、上記第1実施形態の充電装置1と同様な構成を有しており、上記第1実施形態の充電装置1と同様な効果を奏するものである。
但し、支足部122については、以下の点が異なっている。すなわち、第2実施形態の充電装置101の支足部122は、図7に示すように、その回動軸124が筐体102の装着面112の前方下側に移設されており、筐体102の装着面112に装着された携帯電話機150の重さが効率よく支足部122の付勢力に抗するような構造となっている。また、支足部122が長くなっており、設置面4からの反力が効率よく支足部122の付勢力に抗するような構造となっている。
【0040】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の充電装置を図8乃至図10を参照にして説明する。図8は、第3実施形態の充電装置201の斜視図である。図8に示すように、第3実施形態の充電装置201では、円筒状の筐体202の側面に保持凹部211が設けられている。また、保持凹部211の底面である装着面212は、筐体202の側面214にまでとどくように形成されている。さらに、保持凹部211には、筐体202の中心側に保支部213が形成されている。また、筐体202の中心線215上には回動軸205が嵌挿されており、その回動軸205の両端が一対の支持板(姿勢変化部材)203により軸支される。
【0041】
図9と図10は、第3実施形態の充電装置201の側面図である。第3実施形態の充電装置201では、図9に示すように、筐体202の保持凹部211に何も装着されていないときは、筐体202に内設された錘221が最も下に位置するように筐体202が回動することによって、筐体202は、その装着面212が設置面204に対し傾いた第2の姿勢をとる。一方、図10に示すように、筐体202の保持凹部211に携帯電話機250を装着したときは、携帯電話機250と錘221の重さが均衡する位置に筐体202が回動することによって、筐体202は、その装着面212が設置面204とほぼ平行な第1の姿勢をとる。
【0042】
従って、設置面204が水平にあるとすると、筐体202が第2の姿勢(図9)と第1の姿勢(図10)との間で姿勢変化するのに伴い、装着面212の水平面(設置面204)に対する傾斜角度は、筐体202が第2の姿勢(図9)であるときの第2の傾斜角度と、筐体202が第1の姿勢(図10)であるときの第1の傾斜角度との間で変化する。また、第2の傾斜角度は第1の傾斜角度よりも大きい。
【0043】
尚、筐体202の保持凹部211に携帯電話機250を装着したときには、図10に示すように、筐体202に内設された一次側コイル231は、携帯電話機250に内設された二次側コイル251に対し、近傍で対向し、この対向状態において、両コイル231,251間の電磁誘導による非接触式の充電が携帯電話機250に対して行われる。
【0044】
このように、筐体202が第2の姿勢(図10)と第1の姿勢(図9)との間で姿勢変化する機構は、上述したように、回動軸205と一対の支持板203により回動自在に筐体202を支持し、そのような回動自在な筐体202において、錘221や携帯電話機250の重さにより発生するモーメントの作用に基づくものである。
【0045】
以上詳細に説明したように、第3実施形態の充電装置201では、回動軸205と一対の支持板203により筐体202が回動自在に支持されることによって、筐体202の装着面212に携帯電話機250が装着されたときには、図10に示すように、筐体202を第1の姿勢とし、筐体202の装着面212から携帯電話機250が外されたときには、図9に示すように、筐体202を第2の姿勢とする。さらに、筐体202の装着面212の水平面(設置面204)に対する傾斜角度については、筐体202が第2の姿勢(図9)であるときの第2の傾斜角度の方が、筐体202が第1の姿勢(図10)であるときの第1の傾斜角度よりも大きい。従って、筐体202が第2の姿勢(図9)にあるときには、筐体202の装着面212の勾配がきつくなり、筐体202の装着面212上に異物があっても、その異物は、その自重によって筐体202の装着面212上を滑ることになり、筐体202の装着面212上に溜まることなく除去される。また、筐体202が第1姿勢(図10)にあるときには、筐体202の装着面212の勾配がゆるくなり、筐体202の装着面212上での携帯電話機250の装着性が安定する。
以上より、第3実施形態の充電装置201では、異物の除去性と携帯電話機250の装着安定性を兼ね備えることができる。
【0046】
また、筐体202に備えられた回動軸205と一対の支持板203は、筐体202を回動自在に支持するものであり、筐体202の装着面212に携帯電話機250が装着されたときには、携帯電話機250の重さが作用することによって、筐体202を第1の姿勢(図10)とし、筐体202の装着面212から携帯電話機250が外されたときには、携帯電話機250の重さから解放されることによって、筐体202を第2の姿勢(図9)とするものである。従って、使用者が携帯電話機250を利用するために、筐体202の装着面212から携帯電話機250を外せば、筐体202が自動的に第1の姿勢(図10)から第2の姿勢(図9)となるので、その後に筐体202の装着面212上に異物が落ちても、その異物は溜まることなく除去される。また、使用者が携帯電話機250を充電するために、筐体202の装着面212に携帯電話機250を装着すれば、筐体202が自動的に第2の姿勢(図9)から第1の姿勢(図10)となるので、筐体202の装着面212上の携帯電話機250が安定して装着される。
【0047】
また、第3実施形態の充電装置201は、非接触式の充電を携帯電話機250に対して行うものであるが、上述したように、筐体202が第2の姿勢(図9)になることによって、筐体202の装着面212上の異物が溜まることなく除去されることから、異物の除去の観点から筐体202内に備えられる一次側コイル231に配置制限が加えられることはなく、さらに、筐体202が第1の姿勢(図10)になることによって、筐体202の装着面212上の携帯電話機250は安定して装着されるため、携帯電話機250に対して電力が最適に供給される観点から、筐体202内に備えられる一次側コイル231の配置設計を行うことが可能となる。
【0048】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の充電装置を図11を参照にして説明する。図11は、第4実施形態の充電装置301の側面図である。図11に示すように、第4実施形態の充電装置301では、筐体302の上面302Aに保持凹部311が設けられている。また、保持凹部311の底面である装着面312は、筐体302の前面315にまでとどくように形成されている。さらに、保持凹部311の装着面312には、筐体302の背面側に保支部(姿勢変化部材)313が突設されている。尚、筐体302の背面315には、電源コード303が設けられている。
【0049】
さらに、第4実施形態の充電装置301では、図11(a)に示すように、筐体302の保持凹部311に何も装着されていないときは、筐体302から支足部322が突出され、筐体302は設置面304に対し傾いた第2の姿勢をとる。一方、図11(b)に示すように、筐体302の保持凹部311に携帯電話機350を装着したときは、筐体302内に支足部322が収納され、筐体302は設置面304とほぼ平行な第1の姿勢をとる。
【0050】
従って、設置面304が水平にあるとすると、筐体302が第2の姿勢(図11(a))と第1の姿勢(図11(b))との間で姿勢変化するのに伴い、装着面312の水平面(設置面304)に対する傾斜角度は、筐体302が第2の姿勢(図11(a))であるときの第2の傾斜角度と、筐体302が第1の姿勢(図11(b))であるときの第1の傾斜角度との間で変化する。また、第2の傾斜角度は第1の傾斜角度よりも大きい。
【0051】
尚、筐体302の保持凹部312に携帯電話機350を装着したときには、図11(b)に示すように、筐体302に内設された一次側コイル331は、携帯電話機350に内設された二次側コイル351に対し、近傍で対向し、この対向状態において、両コイル331,351間の電磁誘導による非接触式の充電が携帯電話機350に対して行われる。
【0052】
このように、筐体302が第2の姿勢(図11(a))と第1の姿勢(図11(b))との間で姿勢変化するのは、筐体302から飛びしたり筐体302内に収納されたりする支足部322によるものである。
【0053】
以上より、第4実施形態の充電装置301は、上記第1実施形態の充電装置1と同様な構成を有しており、上記第1実施形態の充電装置1と同様な効果を奏するものである。
但し、支足部322の機構については、以下の点が異なっている。すなわち、第4実施形態の充電装置301の支足部322は、図11に示すように、筐体302に設けられた収納空間321において、コイルバネ323とともに挿入された構造となっている。
【0054】
すなわち、支足部322は、筐体302の収納空間321にコイルバネ323とともに挿入されることによって、筐体302と設置面304との間に、筐体302に接近する接近姿勢である第1の姿勢(図11(b))と筐体302から離間する離間姿勢である第2の姿勢(図11(a))とに姿勢変化可能に配置されたものである。
【0055】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第1実施形態の充電装置1は、非接触式の充電を携帯電話機50に対して行うものであるが、図12の斜視図に示すように、筐体2の装着面12に露呈した充電端子61を備えるとともに、さらに、図示はしないが携帯電話機50の底面にも露呈した充電端子を備えて、両充電端子間の電気伝導による接触式の充電が携帯電話機50に対して行われるものであってもよく、上述した各効果を奏することは可能である。
この点は、第2実施形態の充電装置101や、第3実施形態の充電装置201、第4実施形態の充電装置301においても、同様である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、充電装置の装着面上の異物を除去する技術に適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1実施形態の充電装置を上方からみた斜視図である。
【図2】第1実施形態の充電装置の側面図である。
【図3】第1実施形態の充電装置を下方からみた斜視図である。
【図4】第1実施形態の充電装置の底面図である。
【図5】第1実施形態の充電装置を図4の線A−Aで切断した断面図である。
【図6】第1実施形態の充電装置において、筐体内からみた支足部の斜視図である。
【図7】第2実施形態の充電装置の側面図である。
【図8】第3実施形態の充電装置の斜視図である。
【図9】第3実施形態の充電装置の側面図である。
【図10】第3実施形態の充電装置の側面図である。
【図11】第4実施形態の充電装置の側面図である。
【図12】第1実施形態の充電装置を上方からみた斜視図である。
【図13】従来技術の充電装置の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 充電装置
2 筐体
4 設置面
12 装着面
22 支足部
23 ネジリコイルバネ
31 一次側コイル
51 二次側コイル
61 充電端子
101 充電装置
102 筐体
104 設置面
112 装着面
122 支足部
131 一次側コイル
151 二次側コイル
201 充電装置
202 筐体
203 支持板
204 設置面
205 回動軸
212 装着面
221 錘
231 一次側コイル
251 二次側コイル
301 充電装置
302 筐体
304 設置面
312 装着面
322 支足部
331 一次側コイル
351 二次側コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着面を有する被充電機器を着脱可能な筐体と、この筐体に設けられ、前記被充電機器が筐体に装着された状態において前記被装着面が対置される装着面と、を備え、前記被装着面が前記装着面に対置された状態において、前記被充電機器に対して電力を供給可能な充電装置であって、
前記筐体には、前記筐体を、
前記被充電機器が前記装着面に装着されたときには第1の姿勢に、
前記被充電機器が前記装着面から外されたときには第2の姿勢に、姿勢変化可能とする姿勢変化部材が備えられ、
前記筐体が前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との間で姿勢変化されるのに伴って、前記装着面の水平面に対する傾斜角度は、前記筐体が前記第1の姿勢であるときの第1の傾斜角度と、前記筐体が前記第2の姿勢であるときの第2の傾斜角度と、の間で変化され、
前記第2の傾斜角度は第1の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記姿勢変化部材は、前記筐体を回動可能に支持する支持部材であることを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記姿勢変化部材は、前記筐体と、前記筐体が設置される設置面と、の間に、前記筐体に接近する接近姿勢と前記筐体から離間する離間姿勢とに姿勢変化可能に配置され、
前記筐体は、
前記姿勢変化部材が前記離間姿勢であるとき、前記設置面から離間されることによって前記第2の姿勢となり、
前記姿勢変化部材が前記接近姿勢であるとき、前記設置面に接近されることによって前記第1の姿勢となることを特徴とする請求項1または2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記姿勢変化部材には、前記筐体を前記設置面から離間させる方向に付勢する付勢部材が設けられ、前記離間姿勢において、前記筐体は前記付勢部材の付勢力によって前記設置面から離間され、
前記接近姿勢において、前記筐体は前記付勢部材の付勢力に抗して前記設置面に接近されることを特徴とする請求項3に記載の充電装置。
【請求項5】
前記筐体内には一次側コイルが備えられ、
前記被充電機器が前記装着面に装着された状態で前記一次側コイルは、前記被充電機器に内設された二次側コイルに対し、近傍で対向することを特徴とする請求項1〜4に記載の充電装置。
【請求項6】
前記筐体には前記筐体から露呈された充電端子が備えられ、
前記被充電機器が前記装着面に装着された状態で前記充電端子は、前記被充電機器から露呈された被充電端子に対し、当接することを特徴とする請求項1〜4に記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−211927(P2008−211927A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47159(P2007−47159)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】