説明

充電装置

【課題】携帯電話が接続可能に構成されている充電装置において、携帯電話を現場で使用する際の使い勝手を向上させることを目的とする。
【解決手段】本発明に係る充電装置は、携帯電話40が接続可能なように構成されている電動工具用バッテリの充電装置10であって、充電装置10に接続された携帯電話40が受信した音声信号を音声に変換する第1のスピーカ部と、音声を携帯電話40に入力するための音声信号に変換するマイク部と、第1のスピーカ部とマイク部とを使用し、携帯電話40の通信機能を利用して通話ができるように、第1のスピーカ部とマイク部とを身体に保持可能に構成された保持部材36とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話が接続可能なように構成されている電動工具用バッテリの充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この電動工具用バッテリの充電装置に関連する技術が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の充電装置は、携帯電話が接続されるコネクタを備えており、前記コネクタを介して接続された携帯電話に電動工具用バッテリの充電に関する情報を伝送できるように構成されている。これにより、前記携帯電話を介してバッテリの充電完了等の情報を離れた位置で作業している作業者の別の携帯電話に送信することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−86065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した充電装置では、携帯電話をバッテリの充電情報を伝送するための手段としてのみ使用している。このため、前記充電装置には携帯電話の使い勝手を向上させるような機能は特に設けられていない。
例えば、工事現場では、離れた位置にいる作業者どうしが携帯電話を使用して仕事の打ち合わせを行うことが頻繁に行われている。携帯電話を使用した作業打ち合わせで、図面等を持って要点をメモする場合を考えると、片手に携帯電話を持ちながらの作業では効率が非常に悪い。このため、現場において携帯電話の使い勝手を向上させる機能が要望されている。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、携帯電話が接続可能に構成されている充電装置において、前記携帯電話を現場で使用する際の使い勝手を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、携帯電話が接続可能なように構成されている電動工具用バッテリの充電装置であって、前記充電装置に接続された携帯電話が受信した音声信号を音声に変換する第1のスピーカ部と、音声を前記携帯電話に入力するための音声信号に変換するマイク部と、前記第1のスピーカ部と前記マイク部とを使用し、前記携帯電話の通信機能を利用して通話ができるように、前記第1のスピーカ部と前記マイク部とを身体に保持可能に構成された保持部材とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明によると、保持部材により第1のスピーカ部とマイク部とを身体に保持した状態で、その第1のスピーカ部とマイク部とを使用し、充電装置に接続された携帯電話の通信機能を利用して相手と通話することができる。即ち、両手がフリーの状態で相手との通話が可能になる。
このため、例えば、携帯電話による作業打ち合わせにおいて、両手が塞がっている場合にも効率良く打ち合わせを行なえるようになり、携帯電話の使い勝手が向上する。
【0008】
請求項2に係る発明によると、充電装置のハウジングには、携帯電話の通信機能を利用して通話可能なように構成された固定電話部が収納されており、前記固定電話部の受話器が前記第1のスピーカ部とマイク部とを備える前記保持部材を構成していることを特徴とする。
このため、携帯電話をかける際に、充電装置のハウジングに設けられた固定電話部の操作パネルを使用できるようになり、操作性が向上する。
【0009】
請求項3に係る発明によると、ハウジングには、電動工具用バッテリの充電状態、あるいは携帯電話の着信を報知する回転灯が設けられていることを特徴とする。
このため、騒音等の環境下でもバッテリの充電状態、あるいは携帯電話の着信が分かり易くなる。
【0010】
請求項4に係る発明によると、商用電源、あるいは電動工具用バッテリからの電力を携帯電話に供給できるように構成された携帯電話用電源部を備えることを特徴とする。
このため、現場で携帯電話の充電が可能になり、携帯電話の使い勝手が向上する。
【0011】
請求項5に係る発明によると、ハウジングには、携帯電話の音声信号を音声に変換するための第2のスピーカ部が収納されていることを特徴とする。
このため、例えば、携帯電話にダウンロードした音楽等を現場で聞くことが可能になる。
【0012】
請求項6に係る発明によると、ハウジングには、商用電源用のコンセントが取り付けられていることを特徴とする。
このため、充電装置のコンセントを利用して交流用の電動工具や照明を使用することが可能になる。なお、コンセントは連動サービスコンセントであっても良く、例えば、連動サービスコンセントに接続したライトが電話着信と連動して点灯するようにしても良い。
【0013】
請求項7に係る発明によると、ハウジングの端縁部は、弾性体によって外側から覆われていることを特徴とする。
このため、外部からの衝撃が弾性体によってある程度吸収され、充電装置が破損し難くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、携帯電話を作業現場で使用する際の使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係る充電装置の全体斜視図である。
【図2】本実施形態に係る充電装置に電動工具用バッテリを接続した状態を表す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る充電装置の配線ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1から図3に基づいて、本発明の実施形態1に係る充電装置の説明を行う。
ここで、図中の前後左右は、充電装置の前後左右を表しており、明細書中の前後左右も充電装置(図中)の前後左右に合わせている。
【0017】
<充電装置10の概要について>
充電装置10は、図1に示すように、一体化された扁平角形のハウジング12を備えており、そのハウジング12に充電器本体部20と固定電話部30及び携帯電話保持部45とが設けられている。即ち、前記ハウジング12の略左半分に充電器本体部20が設けられており、そのハウジング12の略右半分に固定電話部30が設けられている。そして、固定電話部30の前端中央位置に携帯電話保持部45が設けられている。
さらに、ハウジング12には、携帯電話保持部45の左隣に回転灯50が取り付けられており、そのハウジング12の右側面にサービスコンセント52が取り付けられている。
また、ハウジング12の右側面の周縁、即ち、ハウジング12の右側角部が全周に亘って帯状の弾性体14によって覆われており、同様にハウジング12の左側角部が全周に亘って帯状の弾性体14によって覆われている。
【0018】
<充電器本体部20について>
充電器本体部20は、電動工具用バッテリ60(図2参照)を充電する部分であり、図1に示すように、ハウジング12の上面に前後方向に延びるように形成された左右一対のレール状の連結部22を備えている。連結部22は電動工具用バッテリ60の連結部(図示省略)が連結される部分であり、その連結部22の前端位置に充電用端子P,N(図3参照)が設けられている。充電用端子P,Nには、電動工具用バッテリ60の前記連結部が充電器本体部20の連結部22に水平方向から連結された状態で、その電動工具用バッテリ60のP,N端子(図示省略)が接続されるように構成されている。また、ハウジング12の上面前端位置には、左右一対の連結部22間に信号用コネクタCN1が設けられており、その信号用コネクタCN1に電動工具用バッテリ60の信号用コネクタ(図示省略)が接続されるようになっている。
充電器本体部20は、図3の配線ブロック図に示すように、ハウジング12に収納された制御部70と信号線20sにより接続されており、その制御部70に対して充電完了信号や充電異常信号等を伝送できるように構成されている。また、充電器本体部20は、後記する電源部72から直流電力を供給されるように構成されている。
【0019】
<携帯電話保持部45について>
携帯電話保持部45は、図1に示すように、携帯電話40の略下半分を収納できるように上部開放容器状に形成されており、その携帯電話保持部45の内側に携帯電話40のケーブル43のコネクタ43cが接続される受けコネクタ45c(図3参照)が設けられている。そして、携帯電話保持部45の受けコネクタ45cが信号ケーブル45sによって前記制御部70に接続されている。
これにより、携帯電話40のケーブル43のコネクタ43cを携帯電話保持部45の受けコネクタ45cに接続することで、携帯電話40が制御部70に接続される。
【0020】
<固定電話部30について>
固定電話部30は、携帯電話40の操作補器であり、図3に示すように、信号線30sによって前記制御部70に接続されている。固定電話部30は、制御部70を介して携帯電話40との間でデータを送受信可能に構成されている。このため、固定電話部30を使用し、前記携帯電話40の通信機能を利用して相手と通話することが可能になる。
固定電話部30は、図1に示すように、携帯電話40の操作パネル(図示省略)と等しい機能を有する操作パネル34とを有しており、その操作パネル34がハウジング12の上面のほぼ中央位置に設けられている。また、操作パネル34の右側には、通話に使用される受話器36が配置されている。受話器36は、グリップ部36hと、そのグリップ部36hの上側に設けられた耳当部36yと、前記グリップ部36hの下側に設けられた通話部36mとを備えている。そして、耳当部36yの内側にスピーカが収納されており、通話部36mの内側にマイクが収納されている。即ち、前記スピーカにより携帯電話40が受信した相手の音声信号を音声に変換して聞くことができ、前記マイクにより音声を携帯電話40に入力するための音声信号に変換して相手に伝えることができる。このため、受話器36のグリップ部36hを握り、耳当部36yを耳に当てた状態で相手と通話することができる。また、前記耳当部36yを耳に当てた状態でグリップ部36hを頬と肩との間に挟み、相手と通話することも可能になる。
即ち、受話器36が本発明の保持部材に相当し、耳当部36yの内側に設けられたスピーカが本発明の第1のスピーカ部に相当する。また、通話部36mの内側に設けられたマイクが本発明のマイク部に相当する。
【0021】
<その他の構成について>
固定電話部30の操作パネル34の後側(手前側)には、多数のサウンドホール37が形成されており、そのサウンドホール37の内側にスピーカ38が収納されている。スピーカ38は、図3に示すように、信号線38sにより制御部70に接続されており、携帯電話40が受信した音声信号、あるいは携帯電話40でダウンロードした音楽等の音声信号を音声に変換できるように構成されている。
即ち、前記スピーカ38が本発明の第2のスピーカ部に相当する。
また、携帯電話保持部45の左横に配置された回転灯50は、図3に示すように、信号線50sにより制御部70に接続されており、携帯電話40の着信時、充電完了時、あるいは充電異常時等に点灯するように構成されている。このとき、前記スピーカ38により音楽や警報音を発生させるようにすることも可能である。
【0022】
また、ハウジング12内には、図3に示すように、制御部70と充電器本体部20、及びサービスコンセント52に電力を供給する電源部72が収納されている。電源部72は、プラグ17付きの電源ケーブル16を備えており、その電源ケーブル16により現場に設けられた工事電源用コンセント(図示省略)から交流電力(AC100V)を受電できるように構成されている。ここで、プラグ17付きの電源ケーブル16は、図1に示すように、ハウジング12の右側面から外部に引き出されている。
電源部72は、サービスコンセント52と電源線52pによって接続されており、サービスコンセント52に対して交流電力を供給できるように構成されている。また、電源部72は、制御部70と電源線70pによって接続されており、制御部70に対して直流電力を供給できるように構成されている。さらに、電源部72は、充電器本体部20と電源線20pによって接続されており、充電器本体部20に対して直流電力を供給できるように構成されている。
【0023】
<充電装置10の取り扱いについて>
充電装置10を使用する際には、先ず、電源ケーブル16のプラグ17を現場に設けられた工事電源用コンセントに接続し、携帯電話40のケーブル43のコネクタ43cを携帯電話保持部45の受けコネクタ45cに接続する。この状態で、図2に示すように、電動工具用バッテリ60を充電器本体部20に連結することで、その電動工具用バッテリ60の充電を行なえるようになる。この状態で、時間が経過して電動工具用バッテリ60の充電が完了すると、回転灯50が回転するとともに、スピーカ38から音楽、あるいは音声が流れ、充電完了が報知される。このとき、携帯電話40から指定番号の携帯電話に対して発信を行なわせる信号を出力することも可能である。これにより、現場から離れた作業者に対して電動工具用バッテリ60の充電を報知することが可能になる。
また、携帯電話40に着信があると、回転灯50が回転するとともに、スピーカ38から音楽等が流れ、着信有りが報知される。このとき、固定電話部30の受話器36を取って通話することが可能になる。これにより、例えば、図面を持ちながら要点をメモする場合等にも受話器36を頬と肩で支えて効率良く打ち合わせを行うことができる。
さらに、こちら側から相手に電話をかける場合にも固定電話部30の操作パネル34を使用して電話することができる。
また、充電装置10の制御部70を介して携帯電話40の充電を行なうことも可能である。このとき、現場に工事電源用コンセントがない場合には、電動工具用バッテリ60を利用して制御部70に給電し、携帯電話40の充電を行なうことも可能である。さらに、電動工具用バッテリ60を回転灯のモータ等、充電装置10に備わる機器の駆動源として利用することも可能である。
即ち、電源部72及び制御部70が本発明の携帯電話用電源部に相当する。
【0024】
<本発明に係る充電装置10の長所について>
本発明に係る充電装置10によると、固定電話部30の受話器36により耳当部36yのスピーカと通話部36mのマイクとを身体に保持した状態で、そのスピーカとマイクとを使用し、充電装置10に接続された携帯電話40の通信機能を利用して相手と通話することができる。即ち、両手をフリーの状態で相手との通話が可能になる。
このため、例えば、携帯電話40を使用した作業打ち合わせにおいて、図面を持ちながら要点をメモする場合等にも効率良く打ち合わせを行えるようになり、携帯電話40の使い勝手が向上する。
また、携帯電話40をかける際に、充電装置10のハウジング12に設けられた固定電話部30の操作パネル34を操作できるようになり、操作性が向上する。
【0025】
また、ハウジング12には、電動工具用バッテリ60の充電状態、あるいは携帯電話40の着信を報知する回転灯50が設けられているため、騒音等の環境下でも電動工具用バッテリ60の充電状態、あるいは携帯電話40の着信が分かり易くなる。
また、商用電源、あるいは電動工具用バッテリ60からの電力を携帯電話40に供給できるように構成された携帯電話用電源部(制御部70)を備えているため、現場で携帯電話40の充電が可能になり、携帯電話40の使い勝手が向上する。
また、ハウジング12には、携帯電話40が受信した音声信号を音声に変換するスピーカ38が収納されているため、例えば、携帯電話40にダウンロードした音楽等を現場で聞くことが可能になる。
また、ハウジング12には、商用電源用のサービスコンセント52が取り付けられているため、充電装置10のサービスコンセント52を利用して交流用の電動工具や照明を使用することが可能になる。
また、ハウジング12の左右端縁部は、弾性体14によって外側から覆われているため、外部からの衝撃が弾性体14によってある程度吸収され、充電装置10が破損し難くなる。
【0026】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、受話器36を備える固定電話部30を例示したが、受話器の代わりにヘッドホン、あるいはイアホンとマイクとを備える固定電話部を使用することも可能である。
また、操作パネルを備える固定電話部30を例示したが、操作パネルを有しない固定電話部を使用することも可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 充電装置
12 ハウジング
14 弾性体
20 充電器本体部
30 固定電話部
36 受話器(保持部材、第1のスピーカ部、マイク部)
38 スピーカ(第2のスピーカ部)
40 携帯電話
45 携帯電話保持部
50 回転灯
52 サービスコンセント
60 電動工具用バッテリ
70 制御部(携帯電話用電源部)
72 電源部(携帯電話用電源部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話が接続可能なように構成されている電動工具用バッテリの充電装置であって、
前記充電装置に接続された携帯電話が受信した音声信号を音声に変換する第1のスピーカ部と、
音声を前記携帯電話に入力するための音声信号に変換するマイク部と、
前記第1のスピーカ部と前記マイク部とを使用し、前記携帯電話の通信機能を利用して通話ができるように、前記第1のスピーカ部と前記マイク部とを身体に保持可能に構成された保持部材とを有することを特徴とする充電装置。
【請求項2】
請求項1に記載された充電装置であって、
前記充電装置のハウジングには、前記携帯電話の通信機能を利用して通話可能なように構成された固定電話部が収納されており、前記固定電話部の受話器が前記第1のスピーカ部とマイク部とを備える前記保持部材を構成していることを特徴とする充電装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された充電装置であって、
前記ハウジングには、前記電動工具用バッテリの充電状態、あるいは前記携帯電話の着信を報知する回転灯が設けられていることを特徴とする充電装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載された充電装置であって、
商用電源、あるいは前記電動工具用バッテリからの電力を前記携帯電話に供給できるように構成された携帯電話用電源部を備えることを特徴とする充電装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載された充電装置であって、
前記ハウジングには、前記携帯電話の音声信号を音声に変換するための第2のスピーカ部が収納されていることを特徴とする充電装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載された充電装置であって、
前記ハウジングには、商用電源用のコンセントが取り付けられていることを特徴とする充電装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載された充電装置であって、
前記ハウジングの端縁部は、弾性体によって外側から覆われていることを特徴とする充電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−97508(P2011−97508A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251819(P2009−251819)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】